(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-20
(45)【発行日】2022-12-28
(54)【発明の名称】周波数帯域の優先度に従ってセル選択を実行する端末装置、その制御方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 48/16 20090101AFI20221221BHJP
H04W 72/04 20090101ALI20221221BHJP
H04W 16/32 20090101ALI20221221BHJP
H04W 88/06 20090101ALI20221221BHJP
【FI】
H04W48/16 130
H04W48/16 110
H04W72/04 111
H04W16/32
H04W88/06
(21)【出願番号】P 2020147652
(22)【出願日】2020-09-02
【審査請求日】2022-09-13
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【氏名又は名称】永川 行光
(74)【代理人】
【識別番号】100131886
【氏名又は名称】坂本 隆志
(74)【代理人】
【識別番号】100170667
【氏名又は名称】前田 浩次
(72)【発明者】
【氏名】武田 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】李 ヤンウェイ
【審査官】田部井 和彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-535513(JP,A)
【文献】特開2015-142371(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0094571(US,A1)
【文献】3rd Generation Partnership Project; Technical Specification Group Radio Access Network; Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA); User Equipment (UE) procedures in idle mode (Release 16),3GPP TS 36.304 V16.1.0 (2020-07),2020年07月24日,pp.24-38,インターネット <URL: https://www.3gpp.org/ftp/Specs/archive/36_series/36.304/36304-g10.zip>
【文献】Huawei, HiSilicon,Distributing UEs to multiple carriers [online],3GPP TSG-RAN WG2 #91bis R2-154623, [検索日:2022年9月29日],インターネット <URL: https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_91bis/Docs/R2-154623.zip>,2015年09月26日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00-99/00
DB名 3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の基地局装置が形成する複数のセルの中から接続対象とするセルの選択を行う端末装置であって、
複数の周波数帯域に関して接続先のセルを選択する際の
第1の優先度を示す第1の情報
と、前記複数の周波数帯域に関して接続先のセルを選択する際の前記第1の優先度と異なる第2の優先度を示す第2の情報とを基地局装置から取得し、かつ、前記複数の周波数帯域のうちの1つまたは複数の所定の周波数帯域において当該基地局装置が所定の機能を実行可能であるかを示す第
3の情報を当該基地局装置から取
得する取得手段と、
前記第
3の情報と前記端末装置が使用可能な前記所定の機能とに基づいて、前記所定の周波数帯域において
、前記基地局装置および前記端末装置が所定の機能を実行可能である場合は前記第1の優先度に従っ
て、前記基地局装置または前記端末装置が所定の機能を実行可能でない場合は前記第2の優先度に従っ
て接続先のセルの選択を実行する実行手段と、
を有することを特徴とする端末装置。
【請求項2】
前記取得手段は、さらに、前記第3の情報を前記1つ以上の基地局装置から取得する、ことを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項3】
1つ以上の基地局装置が形成する複数のセルの中から接続対象とするセルの選択を行う端末装置であって、
複数の周波数帯域に関して、接続先のセルを選択する際の優先度を示す第1の情報を基地局装置から取得する取得手段と、
前記複数の周波数帯域のいずれにおいて前記1つ以上の基地局装置が所定の機能を実行可能であるかを示す第2の情報と、前記端末装置が前記所定の機能が実行可能である場合に前記
複数の周波数帯域に関して接続先のセルを選択する際の優先度を示す第3の情報と、前記端末装置が使用可能な前記所定の機能とに基づいて、前記
複数の周波数帯域において、前記第1の情報によって示される第1の優先度に従って接続先のセルを選択するか、前記第3の情報によって示される第2の優先度に従って接続先のセルを選択するかを決定する決定手段と、
前記決定手段による決定に従って、接続先のセルの選択を実行する実行手段と、
を有することを特徴とする端末装置。
【請求項4】
前記決定手段は、前記第2の情報により前記所定の機能を実行可能であることが示された第1の周波数帯域が前記第1の情報において優先されないことが示された周波数帯域であり、当該第1の周波数帯域において前記端末装置が前記所定の機能を実行可能であり、前記第1の情報において当該第1の周波数帯域より優先度が高いことが示された第2の周波数帯域において前記所定の機能を実行可能でないことが前記第2の情報により示される場合に、前記第2の優先度に従って接続先のセルを選択すると決定する、
ことを特徴とする請求項
3に記載の端末装置。
【請求項5】
前記決定手段は、前記第2の情報により前記所定の機能を実行可能であることが示された第1の周波数帯域が前記第1の情報において優先されないことが示された周波数帯域であり、当該第1の周波数帯域において前記端末装置が前記所定の機能を実行可能であり、当該第1の周波数帯域より優先度が高いことが前記第1の情報によって示された第2の周波数帯域において、前記端末装置が前記所定の機能を実行可能でない場合に、前記第2の優先度に従って接続先のセルを選択すると決定する、
ことを特徴とする請求項
3又は
4に記載の端末装置。
【請求項6】
前記決定手段は、前記第2の情報により前記所定の機能を実行可能であることが示された周波数帯域に、前記端末装置が前記所定の機能を実行可能な周波数帯域が含まれない場合に、前記第1の優先度に従って接続先のセルを選択すると決定する、
ことを特徴とする請求項
3から
5のいずれか1項に記載の端末装置。
【請求項7】
前記決定手段は、前記第2の情報により前記所定の機能を実行可能であることが示された周波数帯域がない場合に、前記第1の優先度に従って接続先のセルを選択すると決定する、
ことを特徴とする請求項
3から
6のいずれか1項に記載の端末装置。
【請求項8】
前記所定の機能は、Carrier AggregationまたはDual Connectivityの機能であり、
前記第2の情報は、前記所定の機能を実行可能な周波数帯域の組み合わせを示し、
前記決定手段は、前記第2の情報によって示される周波数帯域の組み合わせにおいて、前記端末装置が前記所定の機能を実行可能であるかに基づいて、前記第1の優先度と前記第2の優先度とのいずれに従って接続先のセルを選択するかを決定する、
ことを特徴とする請求項
3から
7のいずれか1項に記載の端末装置。
【請求項9】
前記所定の機能は、Multi-RAT (Radio Access Technology) Dual Connectivityの機能であり、
前記第2の情報は、前記所定の機能を実行可能な第1のRATの周波数帯域と第2のRATの周波数帯域との組み合わせを示し、
前記決定手段は、前記第2の情報によって示される第1のRATの周波数帯域と第2のRATの周波数帯域との組み合わせにおいて、前記端末装置が前記所定の機能を実行可能であるかに基づいて、前記第1の優先度と前記第2の優先度とのいずれに従って接続先のセルを選択するかを決定する、
ことを特徴とする請求項
3から
7のいずれか1項に記載の端末装置。
【請求項10】
前記取得手段は、さらに、前記第2の情報を前記1つ以上の基地局装置から取得する、ことを特徴とする請求項3から9のいずれか1項に記載の端末装置。
【請求項11】
前記所定の機能は、狭帯域通信の機能である、ことを特徴とする請求項1から
10のいずれか1項に記載の端末装置。
【請求項12】
前記所定の機能は、Early measurement reportの機能である、ことを特徴とする請求項1から
7のいずれか1項に記載の端末装置。
【請求項13】
前記所定の機能は、S-NSSAI(Single Network Slice Selection Assistance Information)、Slice/Service type (SST)、または、Slice Differentiator (SD)で識別されるネットワークスライスを実現するための機能である、ことを特徴とする請求項1から
7のいずれか1項に記載の端末装置。
【請求項14】
1つ以上の基地局装置が形成する複数のセルの中から接続対象とするセルの選択を行う端末装置によって実行される制御方法であって、
複数の周波数帯域に関して接続先のセルを選択する際の
第1の優先度を示す第1の情報を基地局装置から取得することと、
前記複数の周波数帯域に関して接続先のセルを選択する際の前記第1の優先度と異なる第2の優先度を示す第2の情報を前記基地局装置から取得することと、
前記複数の周波数帯域のうちの1つまたは複数の所定の周波数帯域において当該基地局装置が所定の機能を実行可能であるかを示す第
3の情報を当該基地局装置から取得すること
と、
前記第
3の情報と前記端末装置が使用可能な前記所定の機能とに基づいて、前記所定の周波数帯域において
、前記基地局装置および前記端末装置が所定の機能を実行可能である場合は前記第1の優先度に従っ
て、前記基地局装置または前記端末装置が所定の機能を実行可能でない場合は前記第2の優先度に従っ
て接続先のセルの選択を実行することと、
を有することを特徴とする制御方法。
【請求項15】
1つ以上の基地局装置が形成する複数のセルの中から接続対象とするセルの選択を行う端末装置によって実行される制御方法であって、
複数の周波数帯域に関して、接続先のセルを選択する際の優先度を示す第1の情報を基地局装置から取得することと、
前記複数の周波数帯域のいずれにおいて前記1つ以上の基地局装置が所定の機能を実行可能であるかを示す第2の情報と、前記端末装置が前記所定の機能が実行可能である場合に前記
複数の周波数帯域に関して接続先のセルを選択する際の優先度を示す第3の情報と、前記端末装置が使用可能な前記所定の機能とに基づいて、前記
複数の周波数帯域において、前記第1の情報によって示される第1の優先度に従って接続先のセルを選択するか、前記第3の情報によって示される第2の優先度に従って接続先のセルを選択するかの決定を行うことと、
前記決定に従って、接続先のセルの選択を実行することと、
を有することを特徴とする制御方法。
【請求項16】
1つ以上の基地局装置が形成する複数のセルの中から接続対象とするセルの選択を行う端末装置に備えられたコンピュータに、
複数の周波数帯域に関して接続先のセルを選択する際の
第1の優先度を示す第1の情報を基地局装置から取得させ、
前記複数の周波数帯域に関して接続先のセルを選択する際の前記第1の優先度と異なる第2の優先度を示す第2の情報を前記基地局装置から取得させ、
前記複数の周波数帯域のうちの1つまたは複数の所定の周波数帯域において当該基地局装置が所定の機能を実行可能であるかを示す第
3の情報を当該基地局装置から取得さ
せ、
前記第
3の情報と前記端末装置が使用可能な前記所定の機能とに基づいて、前記所定の周波数帯域において
、前記基地局装置および前記端末装置が所定の機能を実行可能である場合は前記第1の優先度に従っ
て、前記基地局装置または前記端末装置が所定の機能を実行可能でない場合は前記第2の優先度に従っ
て接続先のセルの選択を実行させる、
ためのプログラム。
【請求項17】
1つ以上の基地局装置が形成する複数のセルの中から接続対象とするセルの選択を行う端末装置に備えられたコンピュータに、
複数の周波数帯域に関して、接続先のセルを選択する際の優先度を示す第1の情報を基地局装置から取得させ、
前記複数の周波数帯域のいずれにおいて前記1つ以上の基地局装置が所定の機能を実行可能であるかを示す第2の情報と、前記端末装置が前記所定の機能が実行可能である場合に前記
複数の周波数帯域に関して接続先のセルを選択する際の優先度を示す第3の情報と、前記端末装置が使用可能な前記所定の機能とに基づいて、前記
複数の周波数帯域において、前記第1の情報によって示される第1の優先度に従って接続先のセルを選択するか、前記第3の情報によって示される第2の優先度に従って接続先のセルを選択するかの決定を行わせ、
前記決定に従って、接続先のセルの選択を実行させる、
ためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルラ通信システムにおけるセル選択の制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
セルラ通信システムにおいては、非接続状態(例えばRRC Idle状態)の端末装置が、必要に応じて接続状態へ遷移する際の接続先のセルを選択するセル選択を実行する。第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)のリリース16規格では、複数の異なる周波数帯域で運用されている複数のセルの中から、接続先のセルを選択する技術が提案されている。
【0003】
所定の機能が、所定の周波数帯域のみにおいて使用可能である場合が想定される。例えば、ロングタームエボリューション(LTE)の基地局が、EUTRA-NR Dual Connectivity(EN-DC)に対応することを条件に第1の周波数帯域を使用し、EN-DCに対応しない場合には第2の周波数帯域を使用するなどの設定が行われうる。非特許文献1には、このような設定を想定し、EN-DCに対応する端末装置に対して、優先して接続先のセルを探索する周波数帯域を示すために優先度を指定することが記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
所定の機能を実行する端末装置は、指定された優先度に基づいて、優先される周波数帯域において接続先のセルを探索することとなる。一方で、基地局装置がその周波数帯域において所定の機能を提供可能であっても、端末装置がその基地局装置に接続した場合に、例えばパラメータの制限等によりその所定の機能を実行できない場合がありうる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、実行されるべき機能に応じて端末装置が適切に接続先のセルを選択可能とする技術を提供する。
【0007】
本発明の一態様による端末装置は、1つ以上の基地局装置が形成する複数のセルの中から接続対象とするセルの選択を行う端末装置であって、複数の周波数帯域に関して接続先のセルを選択する際の第1の優先度を示す第1の情報と、前記複数の周波数帯域に関して接続先のセルを選択する際の前記第1の優先度と異なる第2の優先度を示す第2の情報とを基地局装置から取得し、かつ、前記複数の周波数帯域のうちの1つまたは複数の所定の周波数帯域において当該基地局装置が所定の機能を実行可能であるかを示す第3の情報を当該基地局装置から取得する取得手段と、前記第3の情報と前記端末装置が使用可能な前記所定の機能とに基づいて、前記所定の周波数帯域において、前記基地局装置および前記端末装置が所定の機能を実行可能である場合は前記第1の優先度に従って、前記基地局装置または前記端末装置が所定の機能を実行可能でない場合は前記第2の優先度に従って接続先のセルの選択を実行する実行手段と、を有する。
【0008】
本発明の別の一態様による端末装置は、1つ以上の基地局装置が形成する複数のセルの中から接続対象とするセルの選択を行う端末装置であって、複数の周波数帯域に関して、接続先のセルを選択する際の優先度を示す第1の情報を基地局装置から取得する取得手段と、前記複数の周波数帯域のいずれにおいて前記1つ以上の基地局装置が所定の機能を実行可能であるかを示す第2の情報と、前記端末装置が前記所定の機能が実行可能である場合に前記複数の周波数帯域に関して接続先のセルを選択する際の優先度を示す第3の情報と、前記端末装置が使用可能な前記所定の機能とに基づいて、前記複数の周波数帯域において、前記第1の情報によって示される第1の優先度に従って接続先のセルを選択するか、前記第3の情報によって示される第2の優先度に従って接続先のセルを選択するかを決定する決定手段と、前記決定手段による決定に従って、接続先のセルの選択を実行する実行手段と、を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、実行されるべき機能に応じて端末装置が適切に接続先のセルを選択することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】端末装置のハードウェア構成例を示す図である。
【
図4】端末装置が実行する処理の流れを概説する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0012】
(システム構成)
図1に、本実施形態に係る無線通信システムの構成例を示す。本無線通信システムは、基地局装置101と端末装置102とを含んで構成される。なお、
図1では、2つの基地局装置101と1つの端末装置102のみが図示されているが、これらの台数はこれに限られない。すなわち、1つ以上の基地局装置101と1つ以上の端末装置102が含まれる無線通信システムに以下の議論が適用可能であり、その台数は特に限定されない。
【0013】
基地局装置101は、例えば、800MHz帯と3.5GHz帯での通信サービスを提供可能に構成されうる。基地局装置101は、例えば、800MHz帯の通信サービスを提供可能なセル111を形成し、また、3.5GHz帯の通信サービスを提供可能なセル112を形成して、各セルの範囲内に存在する端末装置102に対して通信サービスを提供する。なお、これは一例であり、800MHz帯のみ、または3.5GHz帯のみにおいて通信サービスを提供可能な基地局装置が存在してもよいし、他の周波数帯域で通信サービスを提供可能な基地局装置が存在してもよい。すなわち、本無線通信システムは、複数の周波数帯域を用いて複数のセルが形成されることにより、その複数の周波数帯域の少なくとも1つを用いて端末装置102に通信サービスが提供可能となるように、1つ以上の基地局装置101が構成・配置される。
【0014】
なお、基地局装置101は、例えば、通信事業者によって、各周波数帯域で実行可能な通信機能が設定されうる。例えば、基地局装置101のそれぞれが、800MHz帯で狭帯域通信の機能を実行可能であり、3.5GHz帯で狭帯域通信の機能を実行しないように構成されうる。例えば、通常の通信では、20MHzの周波数帯域幅を用いて通信が行われ、狭帯域通信では、1.4MHzの周波数帯域幅を用いて通信が行われる。このような狭帯域通信によれば、省電力での通信が可能となる。例えば、狭帯域通信は、Machine Type Communication(MTC)に用いられうる。このような用途に対しては、多くの場合に地理的に広範囲なカバレッジが要求されうる。このような要求を満たすため、通信事業者は、例えば、カバレッジの広い800MHz帯で狭帯域通信の機能を実行可能とし、カバレッジが相対的に狭い3.5GHz帯では狭帯域通信の機能を実行可能としないようにしうる。このようにして、周波数帯域ごとに狭帯域通信の機能を実行可能であるか否かが異なるように無線通信システムが構成されうる。なお、周波数帯域と狭帯域通信の機能を実行可能であるか否かとの関係は一例であり、逆に高周波数帯域において狭帯域通信の機能が実行可能とされ、低周波数帯域において狭帯域通信の機能を実行可能としないように構成されてもよい。また、基地局装置101は、使用可能な複数の周波数帯域のいずれにおいても狭帯域通信の機能を実行可能に構成されてもよいし、使用可能な複数の周波数帯域のいずれにおいても狭帯域通信の機能を実行可能でないように構成されてもよい。
【0015】
また、基地局装置101のそれぞれが、800MHz帯でEarly measurement reportingの機能を実行可能であり、3.5GHz帯でEarly measurement reportingの機能を実行可能でないように構成されうる。Early measurement reportは、通信開始前の待ち受け状態において予めセカンダリセルを測定し、Carrier Aggregationの起動を高速化する技術である。基地局装置101は、Early measurement reportを実行可能な端末装置102に対して、セカンダリセルの候補となるセルを決定するために、待ち受け中の周波数帯域と異なる周波数帯域において測定を実行するように指示することができる。例えば、基地局装置101は、800MHz帯でEarly measurement reportを実行可能である場合に、端末装置102に対して3.5GHz帯の測定を指示しうる。上述のように、Early measurement reportでは、端末装置102が待ち受け中の周波数帯域と異なる周波数帯域での測定を実行させる。このため、基地局装置101が、例えば相対的に広範囲なカバレッジを獲得可能な低周波数帯域の800MHz帯ではEarly measurement reportを実行可能とするようにし、相対的にカバレッジが狭くなる傾向にある高周波数帯域の3.5GHz帯ではEarly measurement reportを実行可能としないように構成されうる。なお、周波数帯域とEarly measurement reportの機能を実行可能であるか否かとの関係は一例であり、逆に高周波数帯域においてEarly measurement reportの機能が実行可能とされ、低周波数帯域においてEarly measurement reportの機能を実行可能としないように構成されてもよい。また、基地局装置101は、使用可能な複数の周波数帯域のいずれにおいてもEarly measurement reportの機能を実行可能に構成されてもよいし、使用可能な複数の周波数帯域のいずれにおいてもEarly measurement reportの機能が実行可能でないように構成されてもよい。
【0016】
また、基地局装置101は、例えば上述のEN-DCのような、複数の無線アクセス技術(RAT)に渡るDual Connectivity(Multi-RAT Dual Connectivity、MR-DC)では、使用可能な周波数帯域の組み合わせが限定されうる。同様に、1つのRAT内でのDual Connectivityや、Carrier Aggregationにおいても、使用可能な周波数帯域の組み合わせが限定されうる。このように、基地局装置101は、使用可能な複数の周波数帯域のうち、一部の周波数帯域の組み合わせにおいてのみDual ConnectivityやCarrier Aggregationの機能を実行可能に構成されうる。
【0017】
さらに、基地局装置101は、例えば、周波数帯域ごとに、異なるレイヤ数でのMIMO(Multi-input Multi-output)の通信機能を実行可能となるように設定されうる。例えば、高周波数帯域においてレイヤ数の多いMIMO通信機能を実行可能とし、低周波数帯域においてレイヤ数の少ないMIMO通信機能を実行可能とするように、基地局装置101が構成されうる。また、基地局装置101は、例えば、周波数帯域ごとに、使用可能なネットワークスライス、アプリケーション機能、サービス機能を実行可能となるように構成されうる。例えば、広範囲なカバレッジが必要となるサービス機能を低周波数帯域でのみ実行可能とし、局地的なカバレッジで問題無いサービス機能を高周波数帯域でのみ実行可能とすることが考えうる。なお、上述の機能は一例であり、これら以外の機能についても、周波数帯域ごとに実行可否が設定され又は実行可能な内容が異なるように、基地局装置101が構成されうる。
【0018】
なお、一例において、少なくとも一定範囲内の基地局装置101は、共通の周波数帯域において所定の機能を実行可能となるように設定されうる。すなわち、通信事業者は、一定範囲内において、端末装置102が1つの周波数帯域を使用することによって所定の機能をその端末装置102へ提供可能となるように、基地局装置101を設定しうる。
【0019】
端末装置102は、例えば、800MHz帯や3.5GHz帯などの複数の周波数帯域のうちの少なくとも1つでの通信をサポートするように構成される。また、端末装置102は、例えば、狭帯域通信、Early measurement report、Dual Connectivity、Carrier Aggregationなどの機能を実行可能に構成されうる。なお、端末装置102は、これらの例示の機能以外の機能を実行可能に構成されてもよい。また、端末装置102は、これらの例示の機能の全部を実行可能であってもよいし、一部のみを実行可能であってもよい。また、場合によっては、端末装置102は、これらの例示の機能のいずれをも実行可能でなくてもよい。なお、端末装置102は、複数の周波数帯域を使用可能な場合に、その一部(例えば1つ)の周波数帯域でのみ、所定の機能を実行可能に構成されうる。例えば、端末装置102は、800MHz帯と3.5GH帯を使用可能である場合に、800MHz帯でのみ狭帯域通信を実行可能に構成されうる。
【0020】
上述のように、基地局装置101では、使用可能な複数の周波数帯域に対してそれぞれ異なる機能が実装されうる。例えば、基地局装置101は、800MHz帯で狭帯域通信を実行可能に構成され、3.5GHz帯で狭帯域通信を実行可能でないように構成されうる。また、その反対に、基地局装置101は、800MHz帯で狭帯域通信を実行可能でないように構成され、3.5GHz帯で狭帯域通信を実行可能に構成されうる。また、基地局装置101は、例えば、800MHz帯と3.5GHz帯の両方で狭帯域通信を実行可能に構成されてもよいし、その両方で狭帯域通信を実行可能でないこともありうる。また、Early measurement reportについても同様のことが言える。すなわち、基地局装置101は、使用可能な複数の周波数帯域のうちの一部または全部で所定の機能を実行可能に構成されうるし、その複数の周波数帯域のいずれにおいてもその所定の機能を実行可能でないこともありうる。同様に、端末装置102も、使用可能な1つ以上の周波数帯域のうちの一部または全部でその所定の機能を実行可能に構成されうるし、その1つ以上の周波数帯域のいずれにおいてもその所定の機能を実行可能でないこともありうる。
【0021】
端末装置102は、基地局装置101が使用可能な複数の周波数帯域に関して、端末装置102が接続先のセルを選択する際の優先度を示す情報を取得し、その優先度に基づいて、接続先のセルを選択することができる。例えば、端末装置102は、装置内部やSIM(Subscriber Identity Module)などに事前登録された優先度を示す情報を内部的に取得してもよいし、位置登録の際などにネットワークから優先度を示す情報を取得してもよい。また、基地局装置101が、例えば優先度を示す情報を含んだ報知信号を送出し、端末装置102は、その報知信号を受信することによって、優先度を示す情報を取得してもよい。端末装置102は、優先度に基づいて選択した周波数帯域において、接続状態(例えばRRC Connected状態)へ遷移した場合に接続すべきセルの選択を実行しうる。そして、端末装置102は、必要に応じて接続状態へと遷移して、実行すべき所定の機能のための通信を実行しようとする。
【0022】
しかしながら、セル選択の際に優先される周波数帯域は、必ずしも所定の機能を実行することができる周波数帯域ではない場合がありうる。例えば、基地局装置101は、端末装置102によって選択されたセルで使用される周波数帯域において、その所定の機能を実行することができないことがありうる。同様に、端末装置102も、選択した周波数帯域においてはその所定の機能を実行することができないことがありうる。この場合、端末装置102は、接続の確立時には選択したセルにおいて接続を確立するが、このセルではその所定の機能を実行できないこととなる。端末装置102は、例えば別の周波数帯域を用いるセルにハンドオーバすることによって、所定の機能を実行しうるが、そのハンドオーバによって不必要なシグナリングが発生し、また、所定の機能の実行開始までの時間が長期化してしまいうる。
【0023】
本実施形態では、このような事情に鑑み、基地局装置101が使用可能な周波数帯域において実行可能な機能についての情報を、端末装置102が取得するようにする。そして、端末装置102は、その周波数帯域において基地局装置101が所定の機能を実行可能であるかを判定し、その判定結果に基づいて、上述のようにして取得された優先度から変更されない第1の優先度に従ってセル選択を実行するか、その取得された優先度から変更された第2の優先度に従ってセル選択を実行するかを決定する。
【0024】
例えば、端末装置102は、1つ以上の基地局装置101のそれぞれから、その基地局装置101が使用可能な複数の周波数帯域のうちのいずれか1つの所定の周波数帯域において、その基地局装置101が所定の機能を実行可能であるか否かを示す情報を取得しうる。例えば、基地局装置101は、複数の周波数帯域のそれぞれに対応する複数のセルを形成しうる。そして、基地局装置101は、各セルにおいて、そのセルを形成する際に使用している1つの周波数帯域において、所定の機能を実行可能であるかを示す情報を提供しうる。この場合、端末装置102は、基地局装置101が形成する複数のセルのそれぞれにおいて、対応する周波数帯域で所定の機能を実行可能であるかを示す情報を取得しうる。なお、端末装置102は、複数の周波数帯域に対応する各セルにおいて情報を取得することで複数の周波数帯域のいずれにおいて所定の機能を実行可能であるかを示す情報を取得してもよい。また、基地局装置101は、事前に定められた(例えば優先度が最も高い)1つの周波数帯域において所定の機能を実行可能であるかを示す情報のみを送信するようにしてもよい。すなわち、基地局装置101は、形成している全セルにおいて、同じ情報を送信するようにしてもよい。
【0025】
なお、本実施形態及び特許請求の範囲において、「セル」は、「ビーム」を含むものとする。また、所定の機能は、例えば上述のような狭帯域通信やEarly measurement reportでありうる。
【0026】
ここで、第1の例として、基地局装置101が、800MHz帯と3.5GHz帯を使用可能であり、例えばトラフィックオフロードのために3.5GHz帯の方が800MHz帯より優先度が高く設定されているものとする。ここで、基地局装置101が、3.5GHz帯で所定の機能を実行可能であるか否かを通知するものとする。
【0027】
このとき、基地局装置101が3.5GHz帯で所定の機能を実行可能でないことを通知したものとする。ここで、端末装置102が800MHz帯で所定の機能を実行可能であるものとすると、端末装置102は、800MHz帯を優先してセル選択を実行するように、優先度を変更する。すなわち、この時点では、端末装置102は、基地局装置101が800MHz帯で所定の機能を実行可能であるか否かを認識することができないが、800MHz帯で所定の機能を実行可能である可能性があるため、800MHz帯を優先するようにする。一方、端末装置102が800MHz帯で所定の機能を実行可能でないものとすると、端末装置102は、800MHz帯で待ち受けたとしても所定の機能を実行できないため、事前に取得した優先度から変更せずに、3.5GHz帯を優先してセル選択を実行する。
【0028】
基地局装置101が3.5GHz帯で所定の機能を実行可能であることを通知した場合について説明する。端末装置102は、3.5GHz帯で所定の機能を実行可能である場合には、3.5GHz帯で所定の機能を実行可能であるため、事前に取得した優先度から変更せずに、3.5GHz帯を優先してセル選択を実行する。端末装置102は、3.5GHz帯で所定の機能を実行可能でなく、800MHz帯で所定の機能を実行可能である場合には、800MHz帯を優先してセル選択を実行するように、優先度を変更する。端末装置102は、3.5GHz帯で所定の機能を実行することはできないが、800MHz帯で所定の機能を実行することができる場合があるからである。すなわち、端末装置102は、この時点では、基地局装置101が800MHz帯で所定の機能を実行可能であるか否かを認識することができないが、800MHz帯で所定の機能を実行可能である可能性があるため、800MHz帯を優先してセル選択を実行するようにする。なお、端末装置102は、3.5GHz帯で所定の機能を実行可能でなく、800MHz帯でも所定の機能を実行可能でない場合、優先度を変更せずに、3.5GHz帯でセル選択を実行するようにしうる。端末装置102が800MHz帯で待ち受けたとしても所定の機能を実行することはできないため、優先度を変更する利点がないからである。
【0029】
続いて、第2の例として、基地局装置101が、800MHz帯で所定の機能を実行可能であるか否かを通知した場合について説明する。なお、本例でも、基地局装置101が、800MHz帯と3.5GHz帯を使用可能であり、例えばトラフィックオフロードのために3.5GHz帯の方が800MHz帯より優先度が高く設定されているものとする。
【0030】
基地局装置101が800MHz帯で所定の機能を実行可能でないことを通知したものとする。ここで、端末装置102が3.5GHz帯で所定の機能を実行可能であるものとすると、端末装置102は、3.5GHz帯を優先してセル選択を実行するように、取得した優先度をそのまま使用する。すなわち、この時点では、端末装置102は、基地局装置101が3.5GHz帯で所定の機能を実行可能であるか否かを認識することができないが、3.5GHz帯で所定の機能を実行可能である可能性があるため、3.5GHz帯を優先するようにする。一方、端末装置102が3.5GHz帯で所定の機能を実行可能でない場合も、端末装置102は、800MHz帯で待ち受けたとしても所定の機能を実行できないため、事前に取得した優先度から変更せずに、3.5GHz帯を優先してセル選択を実行する。
【0031】
基地局装置101が800MHz帯で所定の機能を実行可能であることを通知した場合について説明する。ここで、端末装置102は、800MHz帯と3.5GHz帯との両方で所定の機能を実行可能であるものとすると、端末装置102は、800MHz帯で所定の機能を実行することができるため、800MHz帯を優先してセル選択を実行するように、優先度を変更する。また、端末装置102は、3.5GHz帯で所定の機能を実行可能でなく、800MHz帯で所定の機能を実行可能である場合にも、800MHz帯を優先してセル選択を実行するように、優先度を変更する。端末装置102は、3.5GHz帯で所定の機能を実行することはできないが、800MHz帯で所定の機能を実行することができるからである。一方、端末装置102は、800MHz帯では所定の機能を実行できず、3.5GHz帯で所定の機能を実行可能である場合には、3.5GHz帯で所定の機能を実行可能である可能性があるため、事前に取得した優先度から変更せずに、3.5GHz帯を優先してセル選択を実行する。また、端末装置102は、3.5GHz帯で所定の機能を実行可能でなく、800MHz帯でも所定の機能を実行可能でない場合、優先度を変更せずに、3.5GHz帯でセル選択を実行するようにしうる。端末装置102が800MHz帯で待ち受けたとしても所定の機能を実行することはできないため、優先度を変更する利点がないからである。
【0032】
続いて、第3の例として、基地局装置101が、800MHz帯と3.5GHzとのそれぞれにおいて所定の機能を実行可能であるか否かを通知した場合について説明する。なお、本例でも、基地局装置101が、800MHz帯と3.5GHz帯を使用可能であり、例えばトラフィックオフロードのために3.5GHz帯の方が800MHz帯より優先度が高く設定されているものとする。すなわち、本例では、基地局装置101は、使用可能な周波数帯域のそれぞれにおいて、所定の機能が実行可能であるか否かを示す情報を端末装置102へ通知する。なお、基地局装置101は、例えば、複数の周波数帯域のそれぞれにおいてこの情報を通知してもよいし、複数の周波数帯域の中の1つの周波数帯域においてこの情報を通知してもよい。
【0033】
端末装置102は、基地局装置101から通知された情報と、自装置が所定の機能を実行可能な周波数帯域に基づいて、800MHz帯と3.5GHz帯とのそれぞれにおいて、その基地局装置101との間で所定の機能を実行可能であるかを判定する。すなわち、端末装置102は、(1)基地局装置101と端末装置102とが共に3.5GHz帯での所定の機能を実行可能である場合は、3.5GHz帯での所定の機能を実行可能であると判定し、(2)基地局装置101と端末装置102とが共に800MHz帯での所定の機能を実行可能である場合は、800MHz帯での所定の機能を実行可能であると判定し、(3)基地局装置101と端末装置102との少なくともいずれかが3.5GHz帯での所定の機能を実行可能でない場合は、3.5GHz帯での所定の機能を実行可能でないと判定し、(4)基地局装置101と端末装置102との少なくともいずれかが800MHz帯での所定の機能を実行可能でない場合は、800MHz帯での所定の機能を実行可能でないと判定する。端末装置102は、3.5GHz帯で所定の機能を実行可能であると判定した場合は、優先度を変更せずに、3.5GHz帯でセル選択を実行するようにしうる。すなわち、優先度の高い3.5GHz帯で所定の機能を実行可能である場合には、800MHz帯で所定の機能を実行可能であるか否かによらず、優先度は変更されない。一方、端末装置102は、3.5GHz帯で所定の機能を実行可能でなく、800MHz帯で所定の機能を実行可能であると判定した場合は、800MHz帯でセル選択を実行するように、優先度を変更する。また、端末装置102は、3.5GHz帯と800MHz帯の両方で所定の機能を実行可能でない場合は、優先度を変更せずに、3.5GHz帯でセル選択を実行する。
【0034】
なお、基地局装置101は、例えば複数の周波数帯域を組み合わせて使用する所定の機能については、どの周波数帯域の組み合わせにおいてその所定の機能を実行可能であるかを示す情報を端末装置102へ通知しうる。例えば、Carrier Aggregationや(Single-RATまたはMulti-RATの)Dual Connectivityで使用可能な周波数帯域の組み合わせの情報が、1つ以上の基地局装置101のそれぞれから端末装置102へ通知される。例えば、基地局装置101が、700MHz帯と3.5GHz帯との組み合わせで上述の所定の機能を実行可能であるが、800MHz帯と3.5GHz帯との組み合わせではこの所定の機能を実行可能でないなどの情報を通知しうる。このときに、端末装置102は、自装置が800MHz帯と3.5GHz帯との組み合わせで所定の機能を実行可能であるが、700MHz帯と3.5GHz帯との組み合わせでは所定の機能を実行可能でない場合、基地局装置101との間で所定の機能を実行することができないため、事前に取得していた優先度に基づいて、セル選択を実行すべき周波数帯域を決定しうる。一方、端末装置102は、自装置が700MHz帯と3.5GHz帯との組み合わせで所定の機能を実行可能である場合で、例えば800MHz帯の優先度が高いことが事前に取得した情報によって示されている場合には、優先度を変更して、700MHz帯や3.5GHz帯でのセル選択が優先的に実行されるようにしうる。
【0035】
また、基地局装置101は、例えば、使用可能な複数の周波数帯域のそれぞれにおける通信能力の情報を通知してもよい。一例において、基地局装置101は、各周波数帯域において設定可能なMIMOのレイヤの最大数を通知するようにしてもよい。端末装置102は、例えば、自装置が使用可能な周波数帯域のそれぞれで設定可能なMIMOのレイヤ数と、通知された情報とに基づいて、最大のレイヤ数を達成可能な周波数帯域でセル選択を行うことができるように、優先度を変更するか否かを決定しうる。
【0036】
また、基地局装置101は、各周波数帯域において、実行可能なネットワークスライス、アプリケーション機能、サービス機能の情報を通知してもよい。端末装置102は、自装置が使用可能な周波数帯域の中から、所定のネットワークスライス、アプリケーション機能、サービス機能を実行可能となる周波数帯域を選択できるように、セル選択の際の優先度を変更するか否かを決定しうる。その際に、ネットワークスライス、アプリケーション機能、サービス機能は、S-NSSAI(Single Network Slice Selection Assistance Information)、Slice/Service type (SST)、Slice Differentiator (SD)などのネットワークスライスの識別子によって特定されうる。また、各周波数帯域での実行可能なネットワークスライス、アプリケーション機能、サービス機能の通知は、基地局装置ではなく、コアネットワーク装置が通知を行ってもよい。
【0037】
また、例えば、Early measurement reportは、上述の通り、通信開始前に予めセカンダリセルを測定する機能であるが、基地局装置101は、このセカンダリセルの候補として測定可能な周波数帯域を示す情報を通知してもよい。例えば、基地局装置101は、3.5GHz帯でEarly measurement reportを実行可能であることを示す情報を端末装置102に通知すると共に、その際に測定指示を行いうる周波数帯域が800MHz帯であることを通知しうる。そして、端末装置102は、3.5GHz帯でのEarly measurement report機能をサポートしていると共に、3.5GHz帯での待ち受け中に測定可能な周波数帯域が800MHz帯である場合には、3.5GHz帯でのEarly measurement reportが実行可能であると判定しうる。一方、端末装置102は、例えば、3.5GHz帯での待ち受け中に測定可能な周波数帯域が700MHz帯であり、800MHz帯での測定ができない場合には、3.5GHz帯でのEarly measurement reportを実行できないと判定しうる。そして、端末装置102は、この判定結果に基づいて、優先度の変更を行うか否かを決定しうる。
【0038】
なお、端末装置102が優先度を変更する場合に用いる、変更後の優先度の情報を基地局装置101が端末装置102へ通知してもよい。すなわち、端末装置102は、複数の優先度を示す情報を取得し、上述のようにして、いずれの優先度を使用するかを決定しうる。なお、変更後の優先度は、例えば、所定の機能を実行できる周波数帯域が最も優先度が高く、所定の機能を実行できる可能性がある周波数帯域が次いで優先度が高く、所定の機能を実行できない周波数帯域が最も優先度が低くなるように決定されうる。なお、複数の周波数帯域において所定の機能を実行することができる場合には、その周波数帯域のうち変更前の優先度において最も優先度が高かった周波数帯域が最も高い優先度となるように変更後の優先度を構成しうる。
【0039】
(装置の構成)
続いて、上述のような処理を実行する端末装置102のハードウェア構成例について
図2を用いて説明する。端末装置102は、一例において、プロセッサ201、ROM202、RAM203、記憶装置204、及び通信回路205を含んで構成される。プロセッサ201は、汎用のCPU(中央演算装置)や、ASIC(特定用途向け集積回路)等の、1つ以上の処理回路を含んで構成されるコンピュータであり、ROM202や記憶装置204に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、端末装置102の全体の処理や、上述の各処理を実行する。ROM202は、端末装置102が実行する処理に関するプログラムや各種パラメータ等の情報を記憶する読み出し専用メモリである。RAM203は、プロセッサ201がプログラムを実行する際のワークスペースとして機能し、また、一時的な情報を記憶するランダムアクセスメモリである。記憶装置204は、例えば着脱可能な外部記憶装置等によって構成される。通信回路205は、例えば、LTEや5Gの無線通信用の回路によって構成される。なお、
図2では、1つの通信回路205が図示されているが、端末装置102は、(例えばLTE用、および5G用の)複数の通信回路を有しうる。なお、端末装置102は、使用可能な複数の周波数帯域のそれぞれについて別個の通信回路205を有してもよいし、それらの周波数帯域の少なくとも一部に対して共通の通信回路205を有してもよい。また、端末装置102は、セルラ通信用の通信回路205のみならず、無線LAN等の他の無線通信規格に対応する通信回路205を有してもよい。
【0040】
図3は、端末装置102の機能構成例を示す図である。端末装置102は、その機能構成として、例えば、優先度情報取得部301、機能情報取得部302、機能情報保持部303、優先度変更要否決定部304、および、セル選択制御部305を有する。なお、
図3では、本実施形態に特に関係する機能のみを示しており、他の端末装置102が有しうる各種機能については図示を省略している。例えば、端末装置102は、セルラ通信システムにおける端末装置が一般的に有する他の機能を当然に有する。また、
図3の機能ブロックは概略的に示したものであり、それぞれの機能ブロックが一体化されて実現されてもよいし、さらに細分化されてもよい。また、
図3の各機能は、例えば、プロセッサ201がROM202や記憶装置204に記憶されているプログラムを実行することにより実現されてもよいし、例えば通信回路205の内部に存在するプロセッサが所定のソフトウェアを実行することによって実現されてもよい。
【0041】
優先度情報取得部301は、無線通信において使用可能な複数の周波数帯域に関して、端末装置102が接続先のセルを選択する際の優先度を示す第1の情報を取得する。なお、優先度情報取得部301は、通常時(例えば所定の機能を実行しない場合)に用いるべき第1の優先度を示す情報に加え、第1の優先度から変更されるべき場合に使用される第2の優先度を示す情報を取得してもよい。なお、優先度情報取得部301は、事前に内部的に保持しておいた優先度の情報を読み出すことによって取得してもよいし、周囲に存在する基地局装置101から取得してもよい。例えば、優先度情報取得部301は、直前に接続状態となった際に、接続先の基地局装置から情報を取得して事前に保持しておき、待ち受け状態においては、その保持している情報を読み出すようにしうる。このようにすることで、選択の対象となるセルを構成する基地局装置101とは異なる基地局装置から情報が取得されてもよくなる。また、事前に通信事業者によって決定されている優先度の情報が、例えばSIMなどに事前登録されていてもよく、この場合、通信を介さずに情報が取得されうる。
【0042】
機能情報取得部302は、周囲の1つ以上の基地局装置101のそれぞれから、上述の無線通信において使用可能な複数の周波数帯域のうちの1つの所定の周波数帯域において、その1つ以上の基地局装置101のそれぞれが所定の機能を実行可能であるかを示す第2の情報を取得する。また、機能情報取得部302は、周囲の1つ以上の基地局装置101のそれぞれから、使用可能な複数の周波数帯域のそれぞれにおいて、その1つ以上の基地局装置101のそれぞれが所定の機能を実行可能であるかを示す第2の情報を取得してもよい。機能情報保持部303は、端末装置102が、無線通信に使用可能な1つ以上の周波数帯域のうち所定の機能を実行可能な周波数帯域を特定可能な情報を保持する。機能情報保持部303は、例えば、端末装置102の通信事業者との間で交わされた契約などに基づく情報を保持しうる。なお、所定の機能は、上述のように、例えば、狭帯域通信、Early measurement report、(単一RATの又はmulti-RATの)Dual Connectivity、Carrier Aggregation等を含みうる。なお、MIMOのレイヤ数などの実行可能な通信の能力の情報が所定の機能を実行可能であるかの情報として取り扱われてもよい。また、実行可能なネットワークスライス、アプリケーション機能、サービス機能に関する情報が所定の機能を実行可能であるかの情報として取り扱われてもよい。
【0043】
優先度変更要否決定部304は、機能情報取得部302によって取得された上述の第2の情報と、機能情報保持部303によって保持されている情報とに基づいて、第1の情報によって示される優先度(上述の第1の優先度)を変更するべきか否かを決定する。優先度変更要否決定部304による決定処理の例は上述の通りであるため、ここでは説明を繰り返さない。
【0044】
セル選択制御部305は、優先度変更要否決定部304による決定の結果に基づいて設定された優先度を用いて、セル選択を実行する。例えば、優先度変更要否決定部304が優先度を変更すべきでないと決定した場合には、セル選択制御部305は、優先度情報取得部301によって取得された、上述の第1の優先度に従ってセル選択を実行する。一方、優先度変更要否決定部304が優先度を変更すべきと決定した場合には、セル選択制御部305は、上述の第1の優先度から変更された第2の優先度に従ってセル選択を実行する。なお、第2の優先度は、上述のように、優先度情報取得部301によって取得されてもよいし、例えば、1つ以上の基地局装置101のそれぞれが所定の機能を実行可能な周波数帯域と、端末装置102が所定の機能を実行可能な周波数帯域と、変更前の優先度とに基づいて、セル選択制御部305や優先度変更要否決定部304によって決定されてもよい。
【0045】
(処理の流れ)
続いて、端末装置102が実行する処理の流れについて、
図4を用いて概説する。なお、本処理は一例であり、2つ以上の処理の順序が相互に入れ替えられてもよいし、それらの処理が同時に実行されてもよい。また、一部の処理が省略されてもよいし、変形されてもよい。なお、本処理は、例えば、プロセッサ201がROM202や記憶装置204に記憶されているプログラムを実行することにより実現されてもよいし、例えば通信回路205の内部に存在するプロセッサが所定のソフトウェアを実行することによって実現されてもよい。なお、以下では、各処理の内容については上述された通りであるため、詳細については説明を省略し、処理の流れの概要のみを説明する。
【0046】
端末装置102は、まず、無線通信において使用可能な複数の周波数帯域に関して、端末装置102が接続先のセルを選択する際の優先度を示す第1の情報を取得する(S401)。なお、この処理は、端末装置102の内部の処理として行われてもよいし、端末装置102が基地局装置101等から通信によって取得する処理として行われてもよい。また、端末装置102は、周囲の1つ以上の基地局装置101のそれぞれから、使用可能な複数の周波数帯域のうちの1つまたは複数(例えば全部)の周波数帯域において、その1つ以上の基地局装置101のそれぞれが所定の機能を実行可能であるかを示す第2の情報を取得する(S402)。そして、端末装置102は、自装置が所定の機能を実行可能な周波数帯域と、S402で取得した第2の情報とに基づいて、S401で取得した優先度から変更されない第1の優先度に従ってセル選択を実行するか、S401で取得した優先度から変更された第2の優先度に従ってセル選択を実行するかを決定し(S403)、S403の決定の結果に従って、セル選択を実行する(S404)。
【0047】
以上のような処理により、端末装置102は、周囲の基地局装置101が所定の機能を実行可能な周波数帯域と、自装置が所定の機能を実行可能な周波数帯域と、に基づいて、セル選択の際に優先して着目すべき周波数帯域を適切に決定し、適切に接続先のセルの選択を行うことができるようになる。
【0048】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。