(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-20
(45)【発行日】2022-12-28
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G09F 9/30 20060101AFI20221221BHJP
G02B 5/20 20060101ALI20221221BHJP
G02F 1/1335 20060101ALI20221221BHJP
G09F 9/302 20060101ALI20221221BHJP
H01L 27/32 20060101ALI20221221BHJP
H05B 33/02 20060101ALI20221221BHJP
H05B 33/12 20060101ALI20221221BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20221221BHJP
【FI】
G09F9/30 349B
G02B5/20 101
G02F1/1335 505
G09F9/30 349Z
G09F9/30 365
G09F9/302 C
H01L27/32
H05B33/02
H05B33/12 B
H05B33/12 E
H05B33/14 A
(21)【出願番号】P 2020172135
(22)【出願日】2020-10-12
【審査請求日】2021-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石津谷 幸司
(72)【発明者】
【氏名】梶本 典史
(72)【発明者】
【氏名】松田 陽次郎
【審査官】石本 努
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/169563(WO,A1)
【文献】特開2019-174837(JP,A)
【文献】国際公開第2017/169961(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0165052(US,A1)
【文献】特開2014-089804(JP,A)
【文献】特開2018-081831(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111682122(CN,A)
【文献】国際公開第2020/111101(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B5/20-5/28
27/00-30/60
G02F1/1335
1/13363
G09F9/30-9/46
H01L27/32
51/50
H04N5/222-5/257
H05B33/00-33/28
44/00
45/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に沿って互いに隣り合うように配された第1画素および第2画素を含む複数の画素を含む表示領域を備える表示装置であって、
前記複数の画素のそれぞれは、発光領域と、前記発光領域の上に配されたカラーフィルタと、をそれぞれ含み、
前記カラーフィルタは、それぞれの中心位置が前記表示領域に対する正射影において対応するそれぞれの前記発光領域の中心位置よりも前記第1方向にずれて配され、
前記第1画素の前記カラーフィルタを透過する光の視感度が、前記第2画素の前記カラーフィルタを透過する光の視感度よりも大きく、
前記表示領域に対す
る前記第1画素の前記カラーフィルタの
上面の正射影における前記第1方向の端部から、前記表示領域に対する前記第1画素の前記カラーフィルタの底面の正射影における前記第1方向とは反対の方向の端部まで、の長さが、
前記表示領域に対する前記第2画素の前記カラーフィルタの
上面の正射影における前記第1方向の端部から、前記表示領域に対する前記第2画素の前記カラーフィルタの底面の正射影における前記第1方向とは反対の方向の端部まで、の長さよりも長いことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
第1方向に沿って互いに隣り合うように配された第1画素および第2画素を含む複数の画素を含む表示領域を備える表示装置であって、
前記複数の画素のそれぞれは、発光領域と、前記発光領域の上に配されたカラーフィルタと、をそれぞれ含み、
前記カラーフィルタは、テーパー形状を有しており、
前記カラーフィルタは、それぞれの中心位置が前記表示領域に対する正射影において対応するそれぞれの前記発光領域の中心位置よりも前記第1方向にずれて配され、
前記第1画素の前記カラーフィルタを透過する光の視感度が、前記第2画素の前記カラーフィルタを透過する光の視感度よりも大きく、
前記カラーフィルタの端部は、互いに接するカラーフィルタの厚みが互いに同じになる箇所であり、
前記表示領域に対する正射影において、前記第1画素の前記カラーフィルタの前記第1方向の端部から前記第1方向とは反対の方向の端部までの長さが、前記第2画素の前記カラーフィルタの前記第1方向の端部から前記第1方向とは反対の方向の端部まで、の長さよりも長いことを特徴とする表示装置。
【請求項3】
前記第1画素が、前記第1方向に沿って周期的に配され、
前記第1方向に沿って前記第1画素の前記カラーフィルタは一定のピッチで配され、
前記第1方向に沿って前記第1画素の前記発光領域は一定のピッチで配され、
前記第1方向に沿って前記第1画素の前記カラーフィルタが配されるピッチと、前記第1方向に沿って前記第1画素の前記発光領域が配されるピッチと、が互いに異なることを特徴とする請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第2画素が、前記第1方向に沿って周期的に配され、
前記第1方向に沿って前記第2画素の前記カラーフィルタは一定のピッチで配され、
前記第1方向に沿って前記第2画素の前記発光領域は一定のピッチで配され、
前記第1方向に沿って前記第2画素の前記カラーフィルタが配されるピッチと、前記第1方向に沿って前記第2画素の前記発光領域が配されるピッチと、が互いに異なることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記第1画素および前記第2画素が、前記第1方向に沿って周期的に配され、
前記第1方向に沿って前記第1画素の前記カラーフィルタが配されるピッチと、前記第1方向に沿って前記第2画素の前記カラーフィルタが配されるピッチと、が同じであり、
前記第1方向に沿って前記第1画素の前記発光領域が配されるピッチと、前記第1方向に沿って前記第2画素の前記発光領域が配されるピッチと、が同じであることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記第1方向が、前記表示領域の中央から外縁に向かう方向であることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項7】
前記第1方向が、前記表示領域の外縁から中央に向かう方向であることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項8】
前記第2画素の前記カラーフィルタの端部が、前記第1画素の前記カラーフィルタの端部の上に重なるように配されていることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項9】
前記第2画素の前記カラーフィルタの第1画素の前記カラーフィルタの上に配された端部が、テーパー形状を有していることを特徴とする請求項8に記載の表示装置。
【請求項10】
前記複数の画素のそれぞれは、前記カラーフィルタの上に配されたマイクロレンズをさらに含み、
前記マイクロレンズは、それぞれの中心位置が前記表示領域に対する正射影において対応するそれぞれの前記カラーフィルタの中心位置と合致していることを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項11】
前記複数の画素のそれぞれは、前記カラーフィルタの上に配されたマイクロレンズをさらに含み、
前記マイクロレンズは、それぞれの中心位置が前記表示領域に対する正射影において対応するそれぞれの前記カラーフィルタの中心位置よりも前記第1方向にずれて配されていることを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項12】
前記第1画素の前記カラーフィルタが、緑色の光を透過し、
前記第2画素の前記カラーフィルタが、赤色または青色の光を透過することを特徴とする請求項1乃至11の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項13】
前記複数の画素が、前記第1方向に沿って前記第1画素と互いに隣り合うように配された第3画素をさらに含み、前記第1画素は、前記第2画素と前記第3画素との間に配され、
前記第2画素および前記第3画素のそれぞれの前記カラーフィルタが、同じ色の光を透過し、
前記表示領域に対す
る前記第1画素の前記カラーフィルタの
上面の正射影における前記第1方向の端部から、前記表示領域に対する前記第1画素の前記カラーフィルタの底面の正射影における前記第1方向とは反対の方向の端部まで、の長さが、
前記表示領域に対する前記第3画素の前記カラーフィルタの
上面の正射影における前記第1方向の端部から、前記表示領域に対する前記第3画素の前記カラーフィルタの底面の正射影における前記第1方向とは反対の方向の端部まで、の長さよりも長いことを特徴とする請求項1
および3乃至12の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項14】
前記複数の画素が、前記第1方向に沿って前記第1画素と互いに隣り合うように配された第3画素をさらに含み、前記第1画素は、前記第2画素と前記第3画素との間に配され、
前記第1画素の前記カラーフィルタを透過する光の視感度が、前記第3画素の前記カラーフィルタを透過する光の視感度よりも大きく、かつ、前記第2画素および前記第3画素のそれぞれの前記カラーフィルタが、互いに異なる色の光を透過し、
前記表示領域に対す
る前記第1画素の前記カラーフィルタの
上面の正射影における前記第1方向の端部から、前記表示領域に対する前記第1画素の前記カラーフィルタの底面の正射影における前記第1方向とは反対の方向の端部まで、の長さが、
前記表示領域に対する前記第3画素の前記カラーフィルタの
上面の正射影における前記第1方向の端部から、前記表示領域に対する前記第3画素の前記カラーフィルタの底面の正射影における前記第1方向とは反対の方向の端部まで、の長さよりも長いことを特徴とする請求項1
および3乃至12の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項15】
前記第1画素の前記カラーフィルタの中心位置から前記第2画素の前記カラーフィルタの中心位置までの距離と、前記第1画素の前記カラーフィルタの中心位置から前記第3画素の前記カラーフィルタの中心位置までの距離と、は同じであり、
前記第1画素の前記発光領域の中心位置から前記第2画素の前記発光領域の中心位置までの距離と、前記第1画素の前記発光領域の中心位置から前記第3画素の前記発光領域の中心位置までの距離と、は同じであり、
前記第1画素の前記カラーフィルタの中心から前記第2画素の前記カラーフィルタの中心までの距離と、前記第1画素の前記発光領域の中心から前記第3画素の前記発光領域の中心までの距離と、が異なることを特徴とする請求項13または14に記載の表示装置。
【請求項16】
前記第3画素が、前記第1方向に沿って周期的に配され、
前記第1方向に沿って前記第3画素の前記カラーフィルタは、一定のピッチで配され、
前記第1方向に沿って前記第3画素の前記発光領域は、一定のピッチで配され、
前記第1方向に沿って前記第3画素の前記カラーフィルタが配されるピッチと、前記第1方向に沿って前記第3画素の前記発光領域が配されるピッチと、が互いに異なることを特徴とする請求項13乃至15の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項17】
前記第2画素および前記第3画素のそれぞれの前記カラーフィルタの端部が前記第1画素の前記カラーフィルタの端部の上に重なるように配され、
前記第1画素、前記第2画素および前記第3画素は、前記第1方向に沿って、前記第3画素、前記第1画素、前記第2画素の順に配され、
前記第2画素の前記カラーフィルタのうち第1画素の前記カラーフィルタの上に配された部分の厚さが、前記第3画素の前記カラーフィルタのうち第1画素の前記カラーフィルタの上に配された部分の厚さよりも薄いことを特徴とする請求項13乃至16の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項18】
前記第1画素および前記第2画素が
、前記第1方向
に沿って、前記第1画素、前記第2画素の
順に配されていることを特徴とする請求項1乃至17の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項19】
前記発光領域が、有機発光素子を含むことを特徴とする請求項1乃至18の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項20】
複数のレンズを有する光学部と、前記光学部を通過した光を受光する撮像素子と、画像を表示する表示部と、を有し、
前記表示部は、前記撮像素子が撮像した画像を表示する表示部であり、かつ、請求項1乃至19の何れか1項に記載の表示装置を有することを特徴とする光電変換装置。
【請求項21】
表示部が設けられた筐体と、前記筐体に設けられ、外部と通信する通信部と、を有し、
前記表示部は、請求項1乃至19の何れか1項に記載の表示装置を有することを特徴とする電子機器。
【請求項22】
画像を表示するための表示部を有するウェアラブルデバイスであって、
前記表示部は、請求項1乃至19の何れか1項に記載の表示装置を有することを特徴とするウェアラブルデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL発光素子を備える表示装置が注目されている。表示装置の高精細化のために、白色発光する発光素子とカラーフィルタとを用いる方式(以下、白+CF方式と呼ぶ)が知られている。画素サイズや画素間のピッチなど高精細化された表示装置は、例えば、カメラの電子式ファインダ(Electronic View Finder:EVF)などに用いられる。
図11に示されるように、EVFにおいて、表示装置10の表示領域DAから出射される光のうち表示面に対して法線方向に出射した光だけでなく法線方向に対して斜めの方向に出射した光が、光学系20を介してユーザ30に到達する。表示領域DAの中央部と外周部との間では、法線方向に出射した光と斜め方向に出射した光とを利用する割合に角度分布が存在するため、中央部と外周部との間で輝度や色度が異なるなどむらが発生しやすい。特許文献1には、発光素子とカラーフィルタとを用いた画素を備える表示装置において、表示面から出射される光線のうち斜め方向に出射した光線に対する特性を向上させることが示されている。より具体的には、表示面内の少なくとも一部の領域において、発光素子から斜め方向に出射した光が画素の対応するカラーフィルタに入射するように、発光素子の中心とカラーフィルタの中心とを相対的な位置ずれが生じるように配置することが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
画質のより一層の向上のために、表示面の法線方向に対して斜めに出射する光をより効率的に使用する必要がある。
【0005】
本発明は、表示装置において、画質の向上に有利な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題に鑑みて、本発明の実施形態に係る表示装置は、第1方向に沿って互いに隣り合うように配された第1画素および第2画素を含む複数の画素を含む表示領域を備える表示装置であって、前記複数の画素のそれぞれは、発光領域と、前記発光領域の上に配されたカラーフィルタと、をそれぞれ含み、前記カラーフィルタは、それぞれの中心位置が前記表示領域に対する正射影において対応するそれぞれの前記発光領域の中心位置よりも前記第1方向にずれて配され、前記第1画素の前記カラーフィルタを透過する光の視感度が、前記第2画素の前記カラーフィルタを透過する光の視感度よりも大きく、前記表示領域に対する前記第1画素の前記カラーフィルタの上面の正射影における前記第1方向の端部から、前記表示領域に対する前記第1画素の前記カラーフィルタの底面の正射影における前記第1方向とは反対の方向の端部まで、の長さが、前記表示領域に対する前記第2画素の前記カラーフィルタの上面の正射影における前記第1方向の端部から、前記表示領域に対する前記第2画素の前記カラーフィルタの底面の正射影における前記第1方向とは反対の方向の端部まで、の長さよりも長いことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、表示装置において、画質の向上に有利な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図4】
図1の表示装置の光の出射方向の例を示す図。
【
図5】
図1の表示装置のカラーフィルタと発光領域との配置例を示す図。
【
図9】
図1の表示装置のマイクロレンズの配置例を示す図。
【
図10】
図1の表示装置のマイクロレンズの配置例を示す図。
【
図11】拡大光学系を介した表示装置と観察者との関係を示す概念図。
【
図14】発光スペクトルと視感度との関係を示す図。
【
図16】
図1の表示装置を用いた光電変換装置の一例を示す図。
【
図17】
図1の表示装置を用いた電子機器の一例を示す図。
【
図19】
図1の表示装置を用いた照明装置の一例を示す図。
【
図20】
図1の表示装置を用いた移動体の一例を示す図。
【
図21】
図1の表示装置を用いたウェアラブルデバイスの一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
図1~14を参照して、本開示の実施形態による表示装置について説明する。まず、比較例の表示装置の構成について説明し、次いで、比較例の表示装置と本実施形態の表示装置とについて比較することによって、本実施形態の表示装置の特徴を明らかにする。また、本明細書において、表示装置の一例として、発光領域において有機化合物が発光する有機発光素子(有機EL素子)を用いた有機デバイスについて説明する。しかしながら、これに限られることはなく、カラーフィルタを用いて文字や画像などを表示する表示装置であれば、液晶パネルを用いたディスプレイやプロジェクタなど各種の表示装置に本実施形態を適用することが可能である。本実施形態に示される表示装置は、例えば、画像データを表示する電子機器の一部として用いることができる。表示装置を含む電子機器としては、デジタルカメラ、スマートフォン、タブレット、携帯用ゲーム機、テレビなどが挙げられる。
【0011】
まず、比較例の表示装置について説明する。
図12は比較例の表示装置11の概略的な断面図である。
図12は、表示装置11の表示領域DAにおいて、表示面の法線方向に対して斜め方向に出射する光Lを主に利用する領域の断面図である。表示面の法線方向に対して斜め方向に出射する光Lを主に利用する領域とは、例えば、光学系20として拡大光学系を用いる場合、表示領域DAのうち外縁に近い領域である。ここで、法線方向とは、
図12において上下の方向である。
図12には、第1方向に沿って互いに隣り合うように配された画素100および画素200が示されている。ここで、第1方向とは、
図12に示されるように、右方向である。また、画素200が、画素100に対して第1方向の側に配されている。画素100は、有機発光素子(有機EL素子)を用いた発光領域101と、発光領域101の上に配されたカラーフィルタ102と、を含む。カラーフィルタ102は、中心位置が表示領域DAに対する正射影において発光領域101の中心位置よりも第1方向にずれて配されている。同様に、画素200は、発光領域201と、発光領域201の上に配されたカラーフィルタ202と、を含む。カラーフィルタ202は、中心位置が表示領域DAに対する正射影において発光領域201の中心位置よりも第1方向にずれて配されている。このように、複数の画素のそれぞれは、発光領域と、発光領域の上に配されたカラーフィルタと、をそれぞれ含む。また、カラーフィルタは、それぞれの中心位置が表示領域に対する正射影において対応するそれぞれの発光領域の中心位置よりも第1方向にずれて配されている。
【0012】
ここで、発光領域101、201の中心位置とは、例えば、表示領域DAに対する正射影において、発光領域101、201の幾何学的な重心位置でありうる。また、例えば、発光領域101、201の中心位置とは、表示領域DAに対する正射影において、発光領域101、201に外接し第1方向および第1方向に直交する辺を有する四角形の中心位置であってもよい。さらに、例えば、発光領域101、201の中心位置とは、表示領域DAに対する正射影において、発光領域101、201が矩形の場合、その対角線の交点であってもよい。同様に、カラーフィルタ102、202の中心位置とは、例えば、表示領域DAに対する正射影において、カラーフィルタ102、202の幾何学的な重心位置でありうる。また、例えば、カラーフィルタ102、202の中心位置とは、表示領域DAに対する正射影において、カラーフィルタ102、202に外接し第1方向および第1方向に直交する辺を有する四角形の中心位置であってもよい。さらに、例えば、カラーフィルタ102、202の中心位置とは、表示領域DAに対する正射影において、カラーフィルタ102、202が矩形の場合、その対角線の交点であってもよい。他の構成においても、中心位置とは、上述のように定義された位置でありうる。
【0013】
次に、カラーフィルタ102、202について説明する。カラーフィルタ102の光の透過率の波長依存性と、カラーフィルタ202の光の透過率の波長依存性と、は異なっている。つまり、カラーフィルタ102とカラーフィルタ202とは、異なる色の光を透過するカラーフィルタである。さらに、カラーフィルタ102を透過する光の視感度は、カラーフィルタ202を透過する光の視感度よりも大きく(高く)なっている。例えば、画素100のカラーフィルタ102は、緑色の光を透過するカラーフィルタでありうる。また、例えば、画素200のカラーフィルタ202は、赤色または青色の光を透過するカラーフィルタでありうる。
【0014】
ここで、カラーフィルタ102の第1方向に平行な長さ103を定義する。長さ103は、
図12に示されるように、表示領域DAに対する正射影におけるカラーフィルタ102の第1方向とは反対の方向の端部と第1方向の端部との間の長さでありうる。換言すると、長さ103は、表示領域DAに対する正射影におけるカラーフィルタ102の第1方向と交差する方向の端部と端部と間の長さでありうる。また、本実施形態において、表示面の法線方向に対して斜め方向に出射する光Lが、所定の厚さを有するカラーフィルタ102に入射する場合を扱う。従って、カラーフィルタ102の第1方向に平行な長さ103は、より厳密には、表示領域DAに対するカラーフィルタ102の底面の正射影における第1方向とは反対の方向の端部13から、表示領域DAに対するカラーフィルタ102の上面の正射影における第1方向の端部14まで、の長さでありうる。
図12に示されるように、カラーフィルタ102の第1方向における断面が矩形の場合、長さ103は、表示領域DAに対する正射影におけるカラーフィルタ102の第1方向とは反対の方向の端部と第1方向の端部との間の長さであるといえる。また、カラーフィルタ102が、テーパー形状などを有する場合は、上述のより厳密な定義を用いて、カラーフィルタ102の第1方向に平行な長さ103を決定することができる。カラーフィルタ202など、他のカラーフィルタの第1方向に平行な長さも同様に決定することができる。
【0015】
図12に示される比較例の表示装置11において、カラーフィルタ102の第1方向に平行な長さ103と、カラーフィルタ202の第1方向に平行な長さ203と、は同じ長さになっている。ここで、カラーフィルタ102の第1方向の端部とは、カラーフィルタ102とカラーフィルタ202とが接する境界の部分である。同様に、カラーフィルタ102の第1方向とは反対の方向の端部とは、カラーフィルタ102とカラーフィルタ102に対して第1方向とは反対の方向に隣り合うカラーフィルタ302とが接する境界の部分である。他のカラーフィルタについても同様である。カラーフィルタが、テーパー形状を有する場合は、互いに接するカラーフィルタの厚みが、互いに同じになる箇所をカラーフィルタの端部とみなしてもよい。
【0016】
ここで、光の視感度について説明する。
図14は、赤色、緑色、青色の光を透過するカラーフィルタを通過した光の発光スペクトルを示す図である。発光スペクトルは、ピーク強度が1になるように規格化されている。この発光スペクトルEL(λ)に対し、標準比視感度曲線y(λ)を波長ごとに乗算し積分した値が、発光スペクトルの視感度Yである。計算式を式(1)に示す。
【0017】
【0018】
例えば、
図14の赤色、緑色、青色の発光スペクトルのそれぞれの視感度は式1から、赤色は17、緑色は31、青色は4となる。視感度の数値が大きくなるほど、人は明るさを強く感じ、すなわち輝度が高くなる。また、一般的な表示装置の場合、例えば、赤色画素、緑色画素、青色画素の輝度を調整する加法混色によって白色が表示される。例えば、CIE標準光源D65における白色を、それぞれsRGBの赤色、緑色、青色の発光色で表現する場合、赤色画素:緑色画素:青色画素の輝度の強度比は、0.21:0.72:0.07となる。このように白色表示において緑色の画素の輝度比が高くなるが、これは緑色の視感度が高いためである。
【0019】
図12に示される比較例の表示装置11の構成では、上述のように、カラーフィルタ102の第1方向に平行な長さ103と、カラーフィルタ202の第1方向に平行な長さ203と、が同じになっている。ここで、カラーフィルタ102、202の第1方向に平行な長さ103、203は、それぞれのカラーフィルタ102、202の第1方向における光が透過する開口部の長さでありうる。発光領域101で発光した光Lの一部は、カラーフィルタ102の長さ103の開口部を透過する。一方で、発光領域101で発光した光Lの一部は、カラーフィルタ102を透過した後に隣接するカラーフィルタ202に入射する。カラーフィルタ102を透過した後にカラーフィルタ202の入射した光は、カラーフィルタ202の光の透過率の波長依存性とカラーフィルタ102の光の透過率の波長依存性とが異なるため、カラーフィルタ202において吸収されてしまう。このため、発光領域101から出射した光のうちカラーフィルタ102を透過する光が少なくなってしまい、画素100の輝度が低下してしまう。上述したように、カラーフィルタ102を透過する光
の視感度は、カラーフィルタ202を透過する光
の視感度よりも大きく設定されている。このため、カラーフィルタ102を透過する光が少なくなった場合、表示画像のうち表示装置11の表示領域DAの表示面の法線方向に対して斜め方向に出射する光を主に利用する部分の輝度が低下して見えてしまう。つまり、輝度や色度が異なるなどむらが表示画像に発生し、画質が低下してしまう可能性がある。
【0020】
図13は、さらなる比較例の表示装置11’の概略的な断面図である。
図12に示される表示装置11と比較して、画素100、200において、発光領域101、201に対するカラーフィルタ102、202の第1方向へのずれ量が増加している。この場合、発光領域101で発光した光Lの一部は、カラーフィルタ102の第1方向とは反対の方向に隣り合うカラーフィルタ302に入射する。例えば、カラーフィルタ302は、カラーフィルタ202と同じ色の光を透過する。従って、カラーフィルタ102の光の透過率の波長依存性とカラーフィルタ302の光の透過率の波長依存性とが異なるため、発光領域101から出射しカラーフィルタ302を透過した後にカラーフィルタ102に入射した光は、カラーフィルタ102において吸収されてしまう。
【0021】
このように、比較例の表示装置11、11’の構成において、発光領域101で発光した光Lは、カラーフィルタ102に隣接するカラーフィルタ202またはカラーフィルタ302の影響によって吸収されてしまう可能性がある。このため、カラーフィルタ102が、上述のように視感度が大きい光を透過する場合、表示される画像の輝度や色度が変化していまい、画質が低下してしまう可能性がある。
【0022】
次いで、本開示の表示装置について説明する。
図1は、本実施形態における表示装置10の概略的な断面図である。本実施形態の表示装置10は、第1方向に沿って互いに隣り合うように配された画素100および画素200を含む複数の画素を含む表示領域DAを備える。また、表示領域DAに配された複数の画素は、第1の方向に沿って画素100と互いに隣り合うように配された画素300を含む。
図1に示されるように、画素100は、画素200と画素300との間に配される。換言すると、表示領域DAに配された複数の画素は、第1方向に沿って配された画素300および画素200と、画素300および画素200と互いに隣り合うように画素300と画素200との間に配された画素100と、を含む。つまり、画素100に対して第1方向の側に、画素200が配されている。また、画素100に対して第1方向とは反対の側に、画素300が配されている。上述の比較例の表示装置11と同様に、画素100のカラーフィルタ102を透過する光
の視感度が、画素200および画素300のそれぞれのカラーフィルタ202、302を透過する光
の視感度よりも大きくなっている。また、
図1に示される構成において、画素200および画素300のそれぞれのカラーフィルタ202、302は、同じ色の光を透過する。ここで、本実施形態の表示装置10において、比較例の表示装置11と比較して、画素100のカラーフィルタ102の第1方向に平行な長さ103が、画素200のカラーフィルタ202の第1方向に平行な長さ203よりも長い。さらに、表示装置10において、比較例の表示装置11と比較して、画素100のカラーフィルタ102の第1方向に平行な長さ103が、画素300のカラーフィルタ302の第1方向に平行な長さ303よりも長くなっている。
【0023】
本実施形態の表示装置10は、カラーフィルタ102の第1方向に平行な長さ103、つまり、発光領域101から出射した光が透過する開口部が、比較例の表示装置11よりも大きくなっている。このことから、発光領域101から出射しカラーフィルタ102の上面の第1方向の側の端部14付近を通過する光Lが、カラーフィルタ202に入射する可能性が低くなる。また、発光領域101から出射した光Lが、カラーフィルタ102の底面の第1方向とは反対の方向の端部13付近でカラーフィルタ302に入射し難くなる。これによって、発光領域101から出射した光が、視感度が大きいカラーフィルタ102を通過しやすくなる。換言すると、発光領域101から出射した光が、カラーフィルタ202、302の影響で吸収され難くなる。
【0024】
一方、発光領域201、301から出射した光の一部は、隣接するカラーフィルタ102を通過することによって吸収されやすくなる。しかしながら、カラーフィルタ202、302を透過した光の視感度は、カラーフィルタ102を透過した光の視感度に比べて小さい。このため、表示装置10の全体で考えた場合、表示画像において輝度や色度の変化に対する影響は少ない。従って、本実施形態の表示装置10は、カラーフィルタ102の第1方向に平行な長さ103が、カラーフィルタ202、302の第1方向に平行な長さ203、303よりも長いため、視感度が大きいカラーフィルタ102を透過する光の減衰を抑制することができる。結果として、発光領域101から表示領域DAの表示面の法線方向に対して斜め方向に出射する光の輝度が低下し難くなる。これによって、表示面の法線方向に対して斜めに出射する光を、対応するカラーフィルタが透過する色に応じて、より効率的に使用し、表示装置10の表示領域DAに表示される画像を観察した際の画質を向上させることが可能となる。
【0025】
本実施形態において、画素100と同じ色の光を透過する画素200、300とが、第1方向に並んで配されている例を示した。つまり、
図1に示される表示装置10の断面図は、例えば、
図2(a)に示されるベイヤー配列のカラーフィルタの配置における点線部分の断面図でありうる。つまり、透過する光
の視感度が大きい緑色を含む光を出射する画素100に隣り合って、画素100よりも透過する光
の視感度が小さい赤色または青色を含む光を出射する画素200、300が配されている。また、点線が描かれている画素100、200、300の第1方向とは交差する方向に隣り合う行には、画素100と同じ緑色を透過する画素と、赤色または青色のうち画素200、300とは異なる色を透過する画素400と、が互いに隣り合って並んで配されている。画素100、200、300、400は、副画素(サブ画素)とも呼ばれうる。ベイヤー配列の場合、緑色を透過する画素(画素100に準じた画素)が2つ、および、赤色または青色の光を透過する画素(画素200、300、400に準じた画素)がそれぞれ1つずつで、1つの主画素PXLを構成しうる。
【0026】
第1方向に沿って並ぶ画素は、
図1、
図2(a)に示されるように2色の画素に限られることはない。例えば、
図2(b)に示されるストライプ配列や、
図2(c)に示されるデルタ配列のように、それぞれ異なる色の光を透過する3種類の画素100、200、300が、第1方向に沿って並んだ配列であっても構わない。つまり、
図2(b)、
図2(c)に示される構成において、
図1、
図2(a)に示される構成とは異なり、カラーフィルタ102、202、302は、それぞれ異なる色の光を透過する。
図2(b)、
図2(c)に示される構成において、3種類のカラーフィルタ102、202、302を備える画素100、200、300の3つの副画素(サブ画素)によって、1つの主画素PXLが構成されうる。
図2(b)、
図2(c)の点線部分に示される、それぞれ異なる光を透過する3種類のカラーフィルタ102、202、302を備える画素100、200、300が、第1方向に沿って並んで配される場合の表示装置10の構成について、次に説明する。
【0027】
図3(a)は、それぞれ異なる色の光を透過する3種類のカラーフィルタ102、202、302を備える画素100、200、300が、第1方向に沿って並ぶ表示装置10の概略的な断面図である。
図3(a)は、表示装置10の表示領域DAにおいて、表示面の法線方向に対して斜め方向に出射する光Lを主に利用する領域の断面図である。
図3(a)に示されるように、画素100に対して第1方向の側に画素200が配され、画素100に対して第1方向とは反対の側に画素300が配されている。また、表示装置10において、画素100、画素200および画素300は、発光領域101、201、301と、発光領域101、201、301の上に配されたカラーフィルタ102、202、302と、をそれぞれ含む。カラーフィルタ102、202、302は、それぞれの中心位置が表示領域DAに対する正射影において発光領域101、201、301の中心位置よりも第1方向にずれて配されている。また、画素100のカラーフィルタ102を透過する光
の視感度が、画素200および画素300のそれぞれのカラーフィルタ202、302を透過する光
の視感度よりも大きい。また、上述したように、
図3(a)に示される表示装置10において、
図1に示される構成とは異なり、画素100と第1方向に沿って互いに隣り合う画素200および画素300のそれぞれのカラーフィルタ202、302が、互いに異なる色の光を透過する。
【0028】
本実施形態の表示装置10においても、表示領域DAに対する正射影において、画素100のカラーフィルタ102の第1方向に平行な長さ103が、画素200および画素300のそれぞれのカラーフィルタ202、302の第1方向に平行な長さ303、203よりも長くなっている。画素100、200、300のそれぞれのカラーフィルタ102、202、302の第1方向に平行な長さ103、203、303は、より厳密には、上述と同様に、表示領域DAに対するカラーフィルタ102、202、302の底面の正射影における第1方向とは反対の方向の端部から、表示領域DAに対するカラーフィルタ102、202、302の上面の正射影における第1方向の端部まで、の長さである。
【0029】
本実施形態の表示装置10においても、視感度が大きい画素100のカラーフィルタ102の第1方向に平行な長さ103、つまり、発光領域101から出射した光が透過する開口部が、
図1に示される構成と同様に、画素200、300よりも大きくなっている。このことから、発光領域101から出射しカラーフィルタ102の上面の第1方向の側の端部14付近を通過する光が、カラーフィルタ202に入射する可能性が低くなる。また、発光領域101から出射した光が、カラーフィルタ102の底面の第1方向とは反対の方向の端部13付近でカラーフィルタ302に入射し難くなる。これによって、発光領域101から出射した光が、視感度が大きいカラーフィルタ102を通過しやすくなる。換言すると、発光領域101から出射した光が、カラーフィルタ202、302の影響で吸収され難くなる。
【0030】
一方、発光領域301、201から出射した光の一部は、隣接するカラーフィルタ102を通過することによって吸収されやすくなる。しかしながら、カラーフィルタ202、302を透過した光
の視感度は、カラーフィルタ102を透過した光
の視感度に比べて小さいため、表示装置10の全体で考えた場合、輝度や色度の変化に対する影響は少ない。従って、本実施形態の表示装置10は、カラーフィルタ102の第1方向に平行な長さ103が、カラーフィルタ202、302の第1方向に平行な長さ203、303よりも長いため、視感度が大きいカラーフィルタ102を透過した光の減衰を抑制することができる。結果として、発光領域101から表示領域DAの表示面の法線方向に対して斜め方向に出射する光の輝度が低下し難くなる。これによって、上述の
図1に示される構成と同様に、表示面の法線方向に対して斜めに出射する光を、対応するカラーフィルタが透過する色に応じて、より効率的に使用することができる。つまり、表示装置10において、表示領域DAに表示される画像を観察した際の画質を向上させることが可能となる。
【0031】
これまで、
図1、
図3(a)に示されるように、画素100のカラーフィルタ102の第1方向に平行な長さ103が、画素200、300の両方のカラーフィルタ202、302の第1方向に平行な長さ203、303よりも長い場合を説明した。しかしながら、これに限られることはない。例えば、カラーフィルタ202の第1方向に平行な長さ203とカラーフィルタ302の第1方向に平行な長さ303との一方が、カラーフィルタ102の第1方向に平行な長さ103よりも短くてもよい。このとき、カラーフィルタ202の第1方向に平行な長さ203とカラーフィルタ302の第1方向に平行な長さ303との他方が、カラーフィルタ102の第1方向に平行な長さ103と同じ長さであってもよい。カラーフィルタ202の第1方向に平行な長さ203とカラーフィルタ302の第1方向に平行な長さ303との少なくとも一方が、カラーフィルタ102の第1方向に平行な長さ103よりも短くなることによって、視感度が大きいカラーフィルタ102を透過する光の減衰を抑制することができる。また、長さ103が、長さ203、303よりも長い場合、カラーフィルタ202の第1方向に平行な長さ203とカラーフィルタ302の第1方向に平行な長さ303とが同じ長さであってもよい。また、例えば、長さ103が、長さ203、303よりも長い場合、カラーフィルタ202の第1方向に平行な長さ203が、カラーフィルタ302の第1方向に平行な長さ303よりも長くてもよい。さらに、例えば、長さ103が、長さ203、303よりも長い場合、カラーフィルタ302の第1方向に平行な長さ303が、カラーフィルタ202の第1方向に平行な長さ203よりも長くてもよい。
【0032】
これまで示した第1方向は、光学系20の構成に応じて任意に設定が可能である。例えば、
図4(a)に示されるように、表示領域DAの外周領域DL、DRにおいて、光学系20が表示領域DAの表示面の法線方向に対して外周方向に向かう光を利用する場合を考える。つまり、例えば、光学系20が、
図14に示される拡大光学系など、凸レンズのように機能する場合を考える。この場合、第1方向は、表示領域DAの中央から外縁に向かう方向となる。また、
図4(b)に示されるように、表示領域DAの外周領域DL、DAにおいて、光学系20が中心方向に向かう光を利用する場合を考える。つまり、例えば、光学系20が、凹レンズのように機能する場合を考える。この場合、第1方向は、表示領域DAの外縁から中央に向かう方向となる。さらに、
図4(c)に示されるように、表示領域DAの全域において、光学系20が、ある一方向に向かう光を利用する場合を考える。この場合、第1方向は、表示領域DAの一方の端部から他方の端部に向かう方向となる。このように、第1方向は、表示装置10に対して用いられる光学系20の構成に応じて、適宜、設定することが可能である。
【0033】
次いで、
図4(a)に示される表示領域DAの外周領域DL、DRにおいて、光学系20が外周方向に向かう光を利用する場合の、表示領域DAの全体の構成について説明する。表示領域DAの外周領域DL、DRにおいて光学系20が外周方向に向かう光を利用する場合、
図4(a)おける中央よりも右側の外周領域DRにおいて、画素100、200、300の構成は、例えば、
図3(a)に示される構造となる。つまり、第1方向は、
図3(a)に示されるように右方向になり、カラーフィルタ102、202、302の中心位置は、発光領域101、201、301の中心位置よりも右側にずれて配される。
【0034】
一方、
図3(b)は、表示領域DAの
図4(a)における左側の外周領域DLの概略的な断面図である。
図3(b)において、第1方向は、左方向になる。従って、カラーフィルタ102、202、302の中心位置は、発光領域101、201、301の中心位置よりも左側にずれて配される。
図3(a)に示される構成において、第1方向に沿って画素300、画素100、画素200の順番で配されているが、
図3(b)に示される構成では、第1方向に沿って画素200、画素100、画素300の順番で、それぞれの画素が配される。
【0035】
図3(b)に示される構成であっても、視感度が大きい画素100のカラーフィルタ102の第1方向に平行な長さ103、つまり、発光領域101から出射した光が透過する開口部が、
図3(a)に示される構成と同様に、画素200、300よりも大きくなっている。このことから、発光領域101から出射しカラーフィルタ102の上面の第1方向の側の端部14付近を通過する光が、カラーフィルタ302に入射する可能性が低くなる。また、発光領域101から出射した光が、カラーフィルタ102の底部の第1方向とは反対の方向の端部13付近でカラーフィルタ202に入射し難くなる。これによって、発光領域101から出射した光が、視感度が大きいカラーフィルタ102を通過しやすくなる。これによって、
図3(a)に示される構成と同様に、表示領域DAの表示面の法線方向に対して斜め方向に出射する光の輝度が低下し難くなる。
【0036】
また、
図3(c)は、
図4(a)の表示領域DAの中央領域DCの位置の概略的な断面図である。表示領域DAの中央領域DCは、表示領域DAの表示面に対して法線方向に向かう光を主として利用する。このため、例えば、中央領域DCにおいて、カラーフィルタ102、202、302の中心位置と発光領域101、201、301の中心位置との間のずれ量が、外周領域DL、DRよりも小さくなっている。さらに、例えば、中央領域DCにおいて、
図3(c)に示されるように、カラーフィルタ102、202、302の中心位置が、発光領域101、201、301の中心位置に合致していてもよい。
【0037】
本実施形態の表示装置10において、表示領域DAでのカラーフィルタ102、202、302の中心位置と発光領域101、201、301の中心位置との間のずれ量の分布は、適宜、設定可能である。例えば、表示領域DAを複数の区画に分け、それぞれの区画ごとにずれ量を設定することが可能である。換言すると、表示領域DAの中心領域から外周領域まで、段階的にカラーフィルタ102、202、302の中心位置と発光領域101、201、301の中心位置との間のずれ量を変えることが可能である。さらに、カラーフィルタ102、202、302の配置に対する設計を煩雑化することなく、表示領域DAの中心領域から外周領域まで、連続的にカラーフィルタ102、202、302の中心位置と発光領域101、201、301の中心位置との間のずれ量を変えることも可能である。
【0038】
具体的には、画素100が、第1方向に沿って周期的に配され、第1方向に沿って画素100のカラーフィルタ102が一定のピッチで配され、同様に、第1方向に沿って画素100の発光領域101が一定のピッチで配される。この場合、第1方向に沿って画素100のカラーフィルタ102が配されるピッチと、第1方向に沿って画素100の発光領域101が配されるピッチと、が互いに異なっている。より具体的には、第1方向に沿って画素100のカラーフィルタ102が配されるピッチが、第1方向に沿って画素100の発光領域101が配されるピッチよりも大きくなりうる。これによって、第1方向に沿って表示領域DAの中央領域DCから外周領域DL、DR、さらに外縁部まで、カラーフィルタ102の中心位置と発光領域101の中心位置との間のずれ量を連続的に変えることができる。
【0039】
また、
図1に示されるように、透過する光が2種類の画素が第1方向に沿って並ぶ場合、周期的に配される画素100の間に、画素200(または、画素200と同じ色の光を透過する画素300)が配される。このとき、画素200が、第1方向に沿って周期的に配され、第1方向に沿って画素200のカラーフィルタ202が一定のピッチで配され、同様に、第1方向に沿って画素200の発光領域201が一定のピッチで配される。この場合、第1方向に沿って画素200のカラーフィルタ202が配されるピッチと、第1方向に沿って画素200の発光領域201が配されるピッチと、が互いに異なっている。より具体的には、第1方向に沿って画素200のカラーフィルタ202が配されるピッチが、第1方向に沿って画素200の発光領域201が配されるピッチよりも大きくなりうる。これによって、第1方向に沿って表示領域DAの中央領域DCから外周領域DL、DR、さらに外縁部まで、カラーフィルタ102、202の中心位置と発光領域101、201の中心位置との間のずれ量を連続的に変えることができる。
【0040】
また、この場合、第1方向に沿って画素100のカラーフィルタ102が配されるピッチと、第1方向に沿って画素200のカラーフィルタ202が配されるピッチと、が同じであってもよい。さらに、第1方向に沿って画素100の発光領域101が配されるピッチと、第1方向に沿って画素200の発光領域201が配されるピッチと、が同じであってもよい。
【0041】
また、
図3(a)に示されるように、第1方向に沿って透過する光が3種類の画素が並ぶ場合、周期的に配される画素100の間に、画素200および画素300が配される。このとき、画素200、300が、第1方向に沿って周期的に配され、第1方向に沿って画素200、300のカラーフィルタ202、302が、それぞれ一定のピッチで配され、同様に、第1方向に沿って画素200、300の発光領域201、301が、それぞれ一定のピッチで配される。この場合、第1方向に沿って画素200、300のカラーフィルタ202、302がそれぞれ配されるピッチと、第1方向に沿って画素200、300の発光領域201、301がそれぞれ配されるピッチと、が互いに異なっている。より具体的には、第1方向に沿って画素200、300のカラーフィルタ202、302がそれぞれ配されるピッチが、第1方向に沿って画素200、300の発光領域201、301がそれぞれ配されるピッチよりも大きくなりうる。これによって、第1方向に沿って表示領域DAの中央領域DCから外周領域DL、DR、さらに外縁部まで、カラーフィルタ102、202、302の中心位置と発光領域101、201、301の中心位置との間のずれ量を連続的に変えることができる。
【0042】
また、この場合、第1方向に沿って画素100のカラーフィルタ102が配されるピッチと、第1方向に沿って画素200のカラーフィルタ202が配されるピッチと、第1方向に沿って画素300のカラーフィルタ302が配されるピッチと、が同じであってもよい。さらに、第1方向に沿って画素100の発光領域101が配されるピッチと、第1方向に沿って画素200の発光領域201が配されるピッチと、第1方向に沿って画素300の発光領域301が配されるピッチと、が同じであってもよい。例えば、画素100のカラーフィルタ102の中心位置から画素200のカラーフィルタ202の中心位置までの距離と、画素100のカラーフィルタ102の中心位置から画素300のカラーフィルタ302の中心位置までの距離と、は同じでありうる。同様に、画素100の発光領域101の中心位置から画素200の発光領域201の中心位置までの距離と、画素100の発光領域101の中心位置から画素300の発光領域301の中心位置までの距離と、は同じでありうる。このとき、画素100のカラーフィルタ102の中心位置から画素200のカラーフィルタ202の中心位置までの距離と、画素100の発光領域101の中心位置から画素200の発光領域201の中心位置までの距離と、が異なりうる。
【0043】
図5は、表示領域DAの中央領域DCから外周領域DL、DRまでカラーフィルタ102、202、302の中心位置と発光領域101、201、301の中心位置との間のずれ量を連続的に変化させる場合の概念図である。
図5は、
図4(a)に示されるような、表示領域DAの外周領域DL、DRにおいて光学系20が外周方向に向かう光を利用する場合の、カラーフィルタ102、202、302と発光領域101、201、301との配置の関係を示しうる。
【0044】
画素100の発光領域101が周期的に配されるピッチ108のそれぞれは、表示領域DA内で同じとなっている。同様に、画素100のカラーフィルタ102が周期的に配されるピッチ109は、表示領域DA内で同じとなっている。ここで、カラーフィルタ102が配されるピッチ109は、発光領域101が配されるピッチ108に対して大きくなっている。このような構成にすることによって、表示領域DAの中央領域DCでは、カラーフィルタ102の中心位置は、対応する発光領域101の中心位置に対してずれ量が小さい(または、ずれていない)。一方、外周領域DL、DRでは、カラーフィルタ102の中心位置は、対応する発光領域101の中心位置に対して位置がずれている。また中心領域DCと外周領域DL、DRとの中間の領域では、外周領域DL、DRよりも、カラーフィルタ102の中心位置と対応する発光領域101の中心位置とのずれ量は小さくなっている。ここでは、
図5の左右方向について説明したが、上下方向、対角方向においても、同様の設計手法が適用可能である。また、画素200、300においても、同様の設計手法が適用可能である。このように本実施形態の表示装置10は、カラーフィルタの配置に関わる設計を煩雑化することなく、表示領域DAの中心領域DCから外周領域DL、DR、さらには外縁部まで、カラーフィルタ102、202、302の中心位置と発光領域101、201、301の中心位置とのずれ量を連続的に変えることが可能である。また、表示領域DAの中心領域DCと、外周領域DL、DRと、中間の領域内において、カラーフィルタ102の第1方向に平行な長さ103、カラーフィルタ202の第1方向に平行な長さ203、カラーフィルタ302の第1方向に平行な長さ303のそれぞれは略同一であってもよい。表示領域DA内において、カラーフィルタ102、202、302の第1方向に平行な長さ103、203、303を略同一とすることによって、カラーフィルタの設計が容易となる。
【0045】
以下、
図1~
図5を用いて説明した本実施形態の表示装置10の各構成要素に関して、具体例を説明する。基板1は、下部電極2、有機化合物層3、上部電極4などを支持できる材料であれば、特に限定さることはない。基板1には、例えば、石英、ガラス、プラスチック、シリコン、樹脂、金属などが用いられてもよい。基板1や基板1上には、トランジスタなどのスイッチング素子や配線、層間絶縁膜などが形成されうる。
【0046】
下部電極2は、画素100、200、300のそれぞれにおいて、相互に電気的に分離されている。下部電極2は、発光効率の観点から可視光の反射率が50%以上の金属材料で構成されうる。具体的には、下部電極2には、アルミニウム(Al)、銀(Ag)などの金属や、それら金属にシリコン(Si)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、ネオジム(Nd)、チタン(Ti)などを添加した合金が用いられてもよい。また、下部電極2は、光を出射する有機化合物層3の側の表面にバリア層を有していてもよい。バリア層には、Ti、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、金(Au)などの金属や、それらの合金、または、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)などの透明導電性酸化物が用いられうる。
【0047】
光学干渉の最適化のため、バリア層に透明導電性酸化物を用いた場合、透明導電性酸化物の膜厚は、カラーフィルタ102、202、302が透過する光の色に応じて、画素100、200、300において、相互に異なっていてもよい。光学干渉を最適化するための他の方法として、金属またはその合金と、透明導電性酸化物と、の間に絶縁膜を形成することも可能である。この場合、透明導電性酸化物が下部電極2として機能するといえる。この場合、金属またはその合金と透明導電性酸化物とは、絶縁膜に設けたスルーホールに充填された導電体を介して電気的に接続されていてもよいし、電気的に分離されていても構わない。透明導電性酸化物が、下部電極2として機能するように電気的な接続がなされていればよい。また、この場合、絶縁膜および透明導電性酸化物のうち少なくとも一方の膜厚が、画素100、画素200および画素300において、相互に異なっていてもよい。
【0048】
有機化合物層3は、表示領域DAに配された全ての画素100、200、300のすべて、または、一部にまたがって、すなわち、画素100、200、300に共通に配されうる。有機化合物層3は、例えば、蒸着法、スピンコート法など公知の技術によって形成されうる。有機化合物層3は、例えば、表示領域DAの全域において連続して配されうる。
【0049】
有機化合物層3は、少なくとも光を射出する発光層を含む層であり、複数の層から構成されていてもよい。複数の層として、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層、発光層、正孔ブロック層、電子輸送層、電子注入層などが挙げられる。これらの層は、有機化合物だけに限られることはなく、無機化合物を含んでいてもよい。主たる発光が有機化合物で起こることで、表示装置10の発光領域101、201、301を構成する発光素子は、有機発光素子(有機EL素子)と呼ぶことができる。
【0050】
有機化合物層3は、陽極から注入された正孔と陰極から注入された電子が発光層において再結合することによって、発光層から白色光を射出してもよい。発光層は、複数の層で構成されていてもよい。この場合、例えば、複数の発光層が、それぞれ赤色発光材料、緑色発光材料、青色発光材料を有することができ、各発光色を混合することによって白色光が得られる。また、例えば、複数の発光層が、青色発光材料および黄色発光材料など補色の関係を有する光を射出する発光材料を有していてもよい。
【0051】
電子注入層が、有機化合物層3と上部電極4との間に配されていてもよい。電子注入層は、電子供与性の高い化合物で構成されうる。電子供与性が高い化合物として、例えば、リチウム(Li)、セシウム(Cs)などのアルカリ金属や、カルシウム(Ca)、バリウム(Ba)などのアルカリ土類金属などの電子供与性の高い金属、または、その化合物などが挙げられる。電子供与性が高い化合物は、ここに挙げた金属などと有機化合物とが結合した有機金属錯体であってもよい。電子注入層は、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよいし、電子輸送層の有機化合物との混合層であってもよい。
【0052】
上部電極4は、表示領域DAに配された全ての画素100、200、300のすべて、または、一部にまたがって、すなわち、画素100、200、300に共通に配されうる。上部電極4は、光透光性を有する。上部電極4は、その表面に到達した光の一部を透過するとともに光の他の一部を反射する性質(すなわち半透過反射性)を持った半透過材料であってもよい。上部電極4は、透明導電性酸化物などの透明材料、Al、Ag、Auなどの金属、Li、Csなどのアルカリ金属、マグネシウム(Mg)、Ca、Baなどのアルカリ土類金属、または、これらの金属材料を含んだ合金材料からなる半透過材料で構成されうる。半透過材料は、マグネシウムまたは銀を主成分とする合金であってもよい。上部電極4は、適当な透過率を有するならば、上記材料の積層構造であってもよい。一例において、下部電極2は陽極であり、上部電極4は陰極でありうるが、他の例において、下部電極2は陰極であり、上部電極4が陽極でありうる。
【0053】
それぞれの画素100、200、300の下部電極2の間には、絶縁層5が配されうる。絶縁層5は、例えば、それぞれの画素100、200、300の下部電極2の端部を覆うように配され、下部電極2の端部の内側の領域を露出させる開口を有しうる。この構成によって、絶縁層5は、画素100、200、300の発光領域101、201、301を規定しうる。絶縁層5を設けない場合、下部電極2自体の形状によって、発光領域101、201、301が規定されうる。絶縁層5は、窒化シリコン(SiN)、酸窒化シリコン(SiON)、酸化シリコン(SiO)などの無機材料で構成されうる。絶縁層5は、スパッタリング法または化学気相堆積法(CVD法)など公知の技術を用いて形成されうる。また、絶縁層5を構成する材料は無機材料に限られることはなく、例えば、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂のような有機材料が用いられてもよい。
【0054】
表示装置10は、上部電極4の上に保護層6を有していてもよい。保護層6は、画素100、200、300を覆うように配されうる。保護層6は、光透過性を有し、かつ、外部からの酸素および水分の透過性が低い無機材料を含んでいてもよい。保護層6には、例えば、SiN、SiON、SiO、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化チタン(TiO2)などが用いられうる。保護層6は、スパッタリング法、CVD法、原子層堆積法(ALD法)などによって形成されうる。保護層6は、十分な酸素および水分遮断性能があれば、単層構造であってもよいし、上記の材料を含む積層構造であってもよい。さらに、保護層6は、上述の無機材料と有機材料との積層構造であってもよい。有機材料として、公知の有機化合物(樹脂/高分子化合物)が用いられうる。保護層6の上面には、保護層6よりも先に形成されている下部電極5以下の構造体の形状にならった凹凸があってもよい。保護層6は、封止層と呼ぶこともできる。封止層と呼ばれる場合であっても、保護層6は、保護層6と基板1との間の空間を封止する性能が完全でなくてもよい。つまり、保護層6よりも上に配される各構成を含めて、保護層6と基板1との間の空間が封止できればよい。
【0055】
表示装置10は、保護層6とカラーフィルタ102、202、302が配されるカラーフィルタ層CFLとの間に、平坦化層7を有していてもよい。平坦化層7は、光透過性を有する材料で形成される。平坦化層7は、無機材料および有機材料の何れの材料で構成されていてもよい。樹脂材料を用いて平坦化層7を形成した場合、平坦化層7の上面(保護層6とは反対の側の面)は、保護層6よりも凹凸形状が小さくなりうることから、保護層6の上面の凹凸による散乱光が低減されうる。平坦化層7は、コート層と呼ぶこともできる。平坦化層7には、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂などの有機材料が用いられてもよい。平坦化層7は、塗布法、重合蒸着法など公知の方法で形成されうる。
【0056】
カラーフィルタ層CFLは、保護層6または平坦化層7の上に直接形成されてもよい。また、例えば、カラーフィルタ層CFLが形成された対向基板と、画素100、200、300が形成された基板1と、を貼り合わされることによって、カラーフィルタ層CFLを含む表示装置10が形成されてもよい。カラーフィルタ層CFLが形成された対向基板と、画素100、200、300が形成された基板1と、を貼り合わせる場合、保護層6または平坦化層7とカラーフィルタ層CFLとの間に空隙が生じないように、樹脂を介して貼り合わせが実施されてもよい。カラーフィルタ層CFLは、何れの方法によって形成されてもよいが、発光領域101、201、301とカラーフィルタ層CFLとを近付けた方が、画素100、200、300間での混色を抑制しやすい。保護層6または平坦化層7の上に直接、カラーフィルタ層CFLを形成した方が、より容易に発光領域101、201、301とカラーフィルタ層CFLとを近付けることが可能となりうる。
【0057】
カラーフィルタ層CFLは、カラーフィルタ102、カラーフィルタ202、カラーフィルタ302ごとに、保護層6または平坦化層7などの下地の上にカラーレジストを塗布し、リソグラフィ工程を用いてパターニングすることによって形成されうる。カラーレジストは、例えば、光硬化性樹脂で構成され、紫外線などが照射された部位を硬化させることによって、カラーフィルタ102、202、302のそれぞれのパターンが形成されうる。
【0058】
カラーフィルタ102、202、302の端部の断面形状は、特に制限されるものではない。例えば、
図1に示されるように、カラーフィルタ102、202、302の端部は、表示領域DAの表示面の法線方向に沿うように形成されてもよい。また、例えば、
図6に示されるように、カラーフィルタ102、202、302の端部が、テーパー形状や逆テーパー形状を有していてもよい。つまり、カラーフィルタ102、202、302が、第1方向に沿った断面において平行四辺形や台形であっても構わない。さらに、例えば、
図7に示されるように、カラーフィルタ102、202、302が、第1方向に沿った断面において厚み方向の中央付近が隣接するカラーフィルタ方向に凸形状であったり、凹形状であったりしてもよい。前述したように、互いに隣り合うカラーフィルタの境界が表示領域DAの表示面の法線方向に対して傾斜している場合、互いに接するカラーフィルタの厚みが同じ箇所をカラーフィルタの端部とみなしてもよい。
【0059】
また、カラーフィルタ層CFLのそれぞれのカラーフィルタ102、202、302の境界部における光漏れ抑制のために、カラーフィルタの端部が隣接する画素のカラーフィルタの上に重なるように配されていてもよい。
【0060】
図8は、表示装置10において、カラーフィルタ102、202、302の端部が重なる場合の一例を示す。
図8に示されるように、カラーフィルタ層CFLを保護層6または平坦化層7の上に直接形成する場合、カラーフィルタ102は、カラーフィルタ202、カラーフィルタ302の下側に形成されてもよい。つまり、例えば、カラーフィルタ102を形成した後に、カラーフィルタ202、302を形成してもよい。このとき、第1方向に平行な、カラーフィルタ102の形成幅104と、カラーフィルタ202の形成幅204と、カラーフィルタ302の形成幅304と、は同じ幅(長さ)であってもよい。第1方向に平行なカラーフィルタ102の形成幅104、カラーフィルタ202の形成幅204およびカラーフィルタ302の形成幅304は、第1方向に平行な画素100の幅110、画素200の幅210および画素300の幅310よりも大きく形成されている。ここで、画素100の幅110は、
図8に示されるように、発光領域101に隣接する発光領域201、301とのそれぞれ中間点の間の幅で定義されうる。画素200の幅210、画素300の幅310も同様に、対応する発光領域201、301に隣接する発光領域との中間点の間の幅で定義されうる。
【0061】
このように、カラーフィルタ102は、カラーフィルタ202、カラーフィルタ302よりも先に形成され、カラーフィルタ102の形成幅104、カラーフィルタ202の形成幅204およびカラーフィルタ302の形成幅304が第1方向に平行に同じ幅とすることによって、カラーフィルタ102の第1方向に平行な長さ103は、カラーフィルタ202、302の第1方向に平行な長さ203、303よりも長くすることができる。また、カラーフィルタ102とカラーフィルタ202、302との境界部での光漏れ抑制の効果も得られる。
【0062】
図8に示されるように、画素300および画素200のそれぞれのカラーフィルタ302、202の両方の端部が、画素100のカラーフィルタ102の端部の上に重なるように配されていてもよい。
図1に示されるように、光Lは、表示面の法線方向に対して第1方向に傾いて出射する。このため、カラーフィルタ202のうちカラーフィルタ102の上に配された部分の厚さが厚くなると、カラーフィルタ102の端部14付近を通過する光Lが、カラーフィルタ202のカラーフィルタ102の上に重なる部分に入射し吸収されやすくなってしまう。これを避けるために、例えば、画素200のカラーフィルタ202のうち画素100のカラーフィルタ102の上に配された部分の厚さが、画素300のカラーフィルタ302のうち画素100のカラーフィルタ102の上に配された部分の厚さよりも薄くなっていてもよい。
【0063】
また、画素300および画素200のそれぞれのカラーフィルタ302、202の両方の端部が、画素100のカラーフィルタ102の端部の上に重なるように配されることに限られることはない。画素300および画素200のそれぞれのカラーフィルタ302、202のうち少なくとも一方の端部が、画素100のカラーフィルタ102の端部の上に重なるように配されていてもよい。
【0064】
また、画素200のカラーフィルタ202の端部が画素100のカラーフィルタ102の端部の上に重なるように配され、画素200のカラーフィルタ102の画素100のカラーフィルタ102の上に配された端部が、テーパー形状を有していてもよい。これによって、画素100のカラーフィルタ102の上面の第1方向の端部14付近を通過する光Lが、画素200のカラーフィルタ202の端部がテーパー形状を有していない場合よりも、カラーフィルタ202の端部に吸収されてしまう可能性が低くなる。光Lが、表示面の法線方向に対して第1方向に傾いて出射する。このため、カラーフィルタ102とカラーフィルタ202との間だけでなく、それぞれのカラーフィルタにおいて第1方向の端部の上に隣接するカラーフィルタが重なる場合、上に重なるカラーフィルタの端部がテーパー形状を有していれば、この効果が得られる。
【0065】
また、例えば、画素300のカラーフィルタ302の端部が画素100のカラーフィルタ102の端部の上に重なるように配され、画素300のカラーフィルタ302の画素100のカラーフィルタ102の上に配された端部が、テーパー形状を有していてもよい。互いに隣り合うカラーフィルタ同士が重なる場合、上に重なるカラーフィルタの端部の形状は適当な形状を適宜、選択すればよい。
【0066】
カラーフィルタ層CFLの上には、充填層8が配されていてもよい。充填層8は、光透過性を有し、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂などの有機材料によって構成されていてもよい。充填層8の光射出側の面(充填層8の上面)は、カラーフィルタ層CFLの上面よりも平坦であってもよい。また、カラーフィルタ層CFLと充填層8との間に、さらに平坦化層が配されていてもよい。カラーフィルタ層CFLと充填層8との間の平坦化層と、上述の保護層6とカラーフィルタ層CFLとの間に配される平坦化層7とは、同じ材料で構成されていてもよい。カラーフィルタ層CFLと充填層8との間に配される平坦化層と平坦化層7とは、表示領域DAの外、すなわち、表示装置10の端部で接していてもよい。カラーフィルタ層CFLと充填層8との間に配置される平坦化層と、保護層6とカラーフィルタ層CFLとの間に配される平坦化層7とが同じ材料で構成されている場合、それらの間で高い密着性を得ることができる。
【0067】
充填層8の上には、対向基板9が配されうる。対向基板9は、光透過性の材料で構成される。対向基板9は、例えば、ガラス、プラスチックなどによって構成され、対向基板9の光を出射する上面は、平坦でありうる。
【0068】
発光効率の向上のために、カラーフィルタ層CFLの光が出射する側に、換言すると、画素100、画素200および画素300のそれぞれのカラーフィルタ102、202、302の上に、マイクロレンズ105、205、305が配されていてもよい。つまり、表示装置10の表示領域DAに配された複数の画素のそれぞれは、カラーフィルタの上に配されたマイクロレンズをさらに含んでいてもよい。マイクロレンズ105、205、305は、
図9、10に示されるように、充填層8の上に形成されていてもよい。また、
図9、10には示されていないが、マイクロレンズ105、205、305の上に対向基板9が配されていてもよい。この場合、マイクロレンズ105、205、305と対向基板9との間に、空間があってもよい。空間には各種の材料が充填されていてもよいし、空隙であってもよい。
【0069】
より具体的に、マイクロレンズ105、205、305は光透過性を有し、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂などの有機材料や、SiN、SiON、SiOなど無機材料によって構成されうる。マイクロレンズ105、205、305の形状は、凸形状であってもよいし、凹形状であってもよい。凸形状の場合、マイクロレンズ105、205、305の光が出射する側にはマイクロレンズ105、205、305を構成する材料よりも屈折率が低い材料が配される。マイクロレンズ105、205、305の光が出射する側に、例えば、空気、窒素などの気体やシリカエアロゲルなどの屈折率が低い材料が配されてもよい。また、例えば、マイクロレンズ105、205、305の光が出射する側が、真空状態であってもよい。凸形状のマイクロレンズ105、205、305をSiNなどの高屈折材料で構成する場合、マイクロレンズ105、205、305の光が出射する側は、クリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂などの有機材料やSiOなどの無機材料など、比較的、屈折率が低い材料で構成することも可能である。また凹形状のマイクロレンズ105、205、305の場合、光出射側にはマイクロレンズ105、205、305を構成する材料よりも屈折率が高い材料が配される。マイクロレンズ105、205、305の形状は特に制限されない。マイクロレンズ105、205、305の形状は、球面状であってもよいし、非球面状であってもよい。
【0070】
図9に示されるように、画素100、200、300のそれぞれのマイクロレンズ105、205、305は、それぞれの中心位置が表示領域DAに対する正射影において画素100、200、300の対応するそれぞれのカラーフィルタ102、202、302の中心位置と合致していてもよい。また、広い視野角が必要な場合、
図10に示されるように、画素100、200、300のそれぞれのマイクロレンズ105、205、305は、それぞれの中心位置が表示領域DAに対する正射影において画素100、200、300の対応するそれぞれのカラーフィルタ102、202、302の中心位置よりも第1方向にずれて配されていてもよい。表示領域DA内におけるマイクロレンズ105、205、305とカラーフィルタ102、202、302との間のずれ量の分布は、適宜設定が可能である。上述のカラーフィルタ102、202、302と発光領域101、201、301との間のずれ量の関係と同様に、表示領域DAの中央領域DCから外周領域DL、DRに向かって、マイクロレンズ105、205、305とカラーフィルタ102、202、302との間のずれ量を連続的または段階的に増加させてもよい。ずれ量を連続的に変化させる方法として、上述のカラーフィルタ102、202、302と発光領域101、201、301との間の関係と同様に、表示領域DAの全面において、発光領域101、201、301のそれぞれを配するピッチよりも、マイクロレンズ105、205、305のそれぞれを配するピッチを大きくしてもよい。
【0071】
また、マイクロレンズ105、205、305を配する際の画素100、200、300を含む画素の配列は、上述のベイヤー配列、ストライプ配列、デルタ配列など、どのような画素配列でも対応することが可能である。例えば、
図2(c)に示されるデルタ配列は、円形状のマイクロレンズ105、205、305を表示領域DA内に配置しやすい。
【0072】
ここで、本実施形態の表示装置10を光電変換装置、電子機器、照明装置、移動体、ウェアラブルデバイスに適用した応用例について
図15~
図21(a)、
図21(b)を用いて説明する。他にも、表示装置10には、電子写真方式の画像形成装置の露光光源や液晶表示装置のバックライト、白色光源にカラーフィルタを有する発光デバイスなどの用途がある。表示装置10は、エリアCCD、リニアCCD、メモリーカードなどからの画像情報を入力する画像入力部を有し、入力された情報を処理する情報処理部を有し、入力された画像を表示部に表示する画像情報処理装置でもよい。また、カメラやインクジェットプリンタが有する表示部は、タッチパネル機能を有していてもよい。このタッチパネル機能の駆動方式は、赤外線方式でも、静電容量方式でも、抵抗膜方式であっても、電磁誘導方式であってもよく、特に限定されない。また表示装置はマルチファンクションプリンタの表示部に用いられてもよい。
【0073】
図15は、本実施形態の表示装置10の応用例である表示装置1000を表す模式図である。
図15に示される表示装置1000は、上部カバー1001と、下部カバー1009と、の間に、タッチパネル1003、表示パネル1005、フレーム1006、回路基板1007、バッテリー1008を有していてもよい。表示装置1000において表示パネル1005に画像を表示する際に、表示される画像の画質などに応じて、上述したように表示モードを切り替えながら画像の表示を行ってもよい。タッチパネル1003および表示パネル1005は、フレキシブルプリント回路FPC1002、1004が接続されている。回路基板1007には、トランジスタなどの能動素子が配される。バッテリー1008は、表示装置1000が携帯機器でなければ、設けなくてもよいし、携帯機器であっても、この位置に設ける必要はない。
【0074】
図15に示される表示装置1000は、複数のレンズを有する光学部と、当該光学部を通過した光を受光し電気信号に光電変換する撮像素子とを有する光電変換装置(撮像装置)の表示部に用いられてもよい。光電変換装置は、撮像素子が取得した情報を表示する表示部を有してもよい。また、表示部は、光電変換装置の外部に露出した表示部であっても、ファインダ内に配置された表示部であってもよい。光電変換装置は、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラであってもよい。
【0075】
図16は、本実施形態の表示装置10を用いた光電変換装置の一例を表す模式図である。光電変換装置1100は、ビューファインダ1101、背面ディスプレイ1102、操作部1103、筐体1104を有してよい。光電変換装置1100は、撮像装置とも呼ばれうる。表示部であるビューファインダ1101に、上述の表示装置10が適用できる。また、背面ディスプレイ1102に、上述の表示装置10が適用されてもよい。これらの場合、表示装置10は、撮像する画像のみならず、環境情報、撮像指示などを表示してもよい。環境情報には、外光の強度、外光の向き、被写体の動く速度、被写体が遮蔽物に遮蔽される可能性などであってよい。
【0076】
撮像に適するタイミングはわずかな時間である場合が多いため、少しでも早く情報を表示した方がよい。したがって、発光素子として有機EL素子などの有機発光材料を含む表示装置10がビューファインダ1101に用いられてもよい。有機発光材料は応答速度が速いためである。有機発光材料を用いた表示装置10は、表示速度が求められる、これらの装置に、液晶表示装置よりも適して用いることができる。
【0077】
光電変換装置1100は、不図示の光学部を有する。光学部は複数のレンズを有し、光学部を通過した光を受光する筐体1104内に収容されている光電変換素子(不図示)に結像する。複数のレンズは、その相対位置を調整することで、焦点を調整することができる。この操作を自動で行うこともできる。
【0078】
表示装置10は、電子機器の表示部に適用されてもよい。その際には、表示機能と操作機能との双方を有してもよい。携帯端末としては、スマートフォンなどの携帯電話、タブレット、ヘッドマウントディスプレイなどが挙げられる。
【0079】
図17は、本実施形態の表示装置10を用いた電子機器の一例を表す模式図である。電子機器1200は、表示部1201と、操作部1202と、筐体1203を有する。筐体1203には、回路、当該回路を有するプリント基板、バッテリー、通信部、を有してよい。操作部1202は、ボタンであってもよいし、タッチパネル方式の反応部であってもよい。操作部1202は、指紋を認識してロックの解除等を行う、生体認識部であってもよい。通信部を有する携帯機器は通信機器ということもできる。表示部1201に、上述の表示装置10が適用できる。
【0080】
図18(a)は、本実施形態の表示装置10を用いたさらなる応用例である表示装置1300を表す模式図である。
図18(a)の表示装置1300は、テレビモニタやPCモニタなどの表示装置である。表示装置1300は、額縁1301を有し表示部1302を有する。表示装置1300において表示部1302に画像を表示する際に、表示される画像の画質などに応じて、上述したように表示モードを切り替えながら画像の表示を行ってもよい。表示装置1300は、額縁1301と表示部1302とを支える土台1303を有していてもよい。土台1303は、
図18(a)の形態に限られない。例えば、額縁1301の下辺が土台1303を兼ねていてもよい。また、額縁1301および表示部1302は、曲がっていてもよい。その曲率半径は、5000mm以上6000mm以下であってよい。表示装置1300において表示部1302に画像を表示する際に、表示される画像の画質などに応じて、上述したように表示モードを切り替えながら画像の表示を行ってもよい。
【0081】
図18(b)は、本実施形態の表示装置10を用いた他の応用例である表示装置1310を表す模式図である。
図18(b)の表示装置1310は、折り曲げ可能に構成されており、いわゆるフォルダブルな表示装置である。表示装置1310は、第1表示部1311、第2表示部1312、筐体1313、屈曲点1314を有する。表示装置1310において第1表示部1311、第2表示部1312に画像を表示する際に、表示される画像の画質などに応じて、上述したように表示モードを切り替えながら画像の表示を行ってもよい。第1表示部1311と第2表示部1312とは、つなぎ目のない1枚の表示装置であってよい。第1表示部1311と第2表示部1312とは、屈曲点で分けることができる。第1表示部1311と第2表示部1312とは、それぞれ異なる画像を表示してもよいし、第1表示部と第2表示部とで1つの画像を表示してもよい。
【0082】
図19は、本実施形態の表示装置10を用いた照明装置の一例を表す模式図である。照明装置1400は、筐体1401と、光源1402と、回路基板1403と、光学フィルム1404と、光拡散部1405と、を有していてもよい。光源1402には、上述の表示装置10が適用できる。光学フィルム1404は光源の演色性を向上させるフィルタであってよい。光拡散部1405は、ライトアップなど、光源の光を効果的に拡散し、広い範囲に光を届けることができる。必要に応じて、最外部にカバーを設けてもよい。照明装置1400は、光学フィルム1404と光拡散部1405との両方を有していてもよいし、何れか一方のみを有していてもよい。
【0083】
照明装置1400は例えば室内を照明する装置である。照明装置1400は白色、昼白色、その他青から赤のいずれの色を発光するものであってよい。それらを調光する調光回路を有してよい。照明装置1400は、光源1402として機能する表示装置10に接続される電源回路を有していてもよい。電源回路は、交流電圧を直流電圧に変換する回路である。また、白とは色温度が4200Kで昼白色とは色温度が5000Kである。また、照明装置1400は、カラーフィルタを有してもよい。また、照明装置1400は、放熱部を有していてもよい。放熱部は装置内の熱を装置外へ放出するものであり、比熱の高い金属、液体シリコンなどが挙げられる。
【0084】
図20は、本実施形態の表示装置10を用いた車両用の灯具の一例であるテールランプを有する自動車の模式図である。自動車1500は、テールランプ1501を有し、ブレーキ操作などを行った際に、テールランプ1501を点灯する形態であってもよい。本実施形態の表示装置10は、車両用の灯具としてヘッドランプに用いられてもよい。自動車は移動体の一例であり、移動体は船舶やドローン、航空機、鉄道車両、無人搬送車(Automated Guided Vehicle:AGV)などの産業用ロボットなどであってもよい。移動体は、機体と機体に設けられた灯具とを有してよい。灯具は機体の現在位置を知らせるものであってもよい。
【0085】
テールランプ1501に、上述の表示装置10が適用できる。テールランプ1501は、テールランプ1501として機能する表示装置10を保護する保護部材を有してよい。保護部材は、ある程度高い強度を有し、透明であれば材料は問わないが、ポリカーボネートなどで構成されてもよい。また、保護部材は、ポリカーボネートにフランジカルボン酸誘導体、アクリロニトリル誘導体などを混ぜてよい。
【0086】
自動車1500は、車体1503、それに取り付けられている窓1502を有してもよい。窓は、自動車の前後を確認するための窓であってもよいし、透明なディスプレイであってもよい。当該透明なディスプレイに、表示装置10が用いられてもよい。この場合、表示装置10が有する電極などの構成材料は透明な部材で構成される。また、自動車1500の計器盤(インストルメントパネル)やカーナビゲーション・システムの画像表示部などに、表示装置10が用いられてもよい。
【0087】
図21(a)、
図21(b)を参照して、上述の各実施形態の表示装置10の適用例について、さらに説明する。表示装置10は、例えばスマートグラス、HMD、スマートコンタクトのようなウェアラブルデバイスとして装着可能なシステムに適用できる。このような適用例に使用される表示装置10は、可視光を光電変換可能な撮像装置と、可視光を発光可能な表示装置10とを有しうる。
【0088】
図21(a)は、1つの適用例に係る眼鏡1600(スマートグラス)を説明する。眼鏡1600のレンズ1601の表面側に、CMOSセンサやSPADのような撮像装置1602が設けられている。また、レンズ1601の裏面側には、上述した各実施形態の表示装置10が設けられている。
【0089】
眼鏡1600は、制御装置1603をさらに備える。制御装置1603は、撮像装置1602と各実施形態に係る表示装置10に電力を供給する電源として機能する。また、制御装置1603は、撮像装置1602と表示装置の動作を制御する。レンズ1601には、撮像装置1602に光を集光するための光学系が形成されている。
【0090】
図21(b)は、1つの適用例に係る眼鏡1610(スマートグラス)を説明する。眼鏡1610は、制御装置1612を有しており、制御装置1612に、撮像装置1602に相当する撮像装置と、表示装置10が搭載される。レンズ1611には、制御装置1612内の撮像装置と、表示装置10からの発光を投影するための光学系が形成されており、レンズ1611には画像が投影される。制御装置1612は、撮像装置および表示装置に電力を供給する電源として機能するとともに、撮像装置および表示装置10の動作を制御する。制御装置は、装着者の視線を検知する視線検知部を有してもよい。視線の検知は赤外線を用いてよい。赤外発光部は、表示画像を注視しているユーザの眼球に対して、赤外光を発する。発せられた赤外光の眼球からの反射光を、受光素子を有する撮像部が検出することで眼球の撮像画像が得られる。平面視における赤外発光部から表示部への光を低減する低減手段を有することで、画像品位の低下を低減する。
【0091】
赤外光の撮像により得られた眼球の撮像画像から表示画像に対するユーザの視線を検出する。眼球の撮像画像を用いた視線検出には任意の公知の手法が適用できる。一例として、角膜での照射光の反射によるプルキニエ像に基づく視線検出方法を用いることができる。
【0092】
より具体的には、瞳孔角膜反射法に基づく視線検出処理が行われる。瞳孔角膜反射法を用いて、眼球の撮像画像に含まれる瞳孔の像とプルキニエ像とに基づいて、眼球の向き(回転角度)を表す視線ベクトルが算出されることにより、ユーザの視線が検出される。
【0093】
本発明の一実施形態に係る表示装置10は、受光素子を有する撮像装置を有し、撮像装置からのユーザの視線情報に基づいて表示装置10の表示画像を制御してもよい。
【0094】
具体的には、表示装置10は、視線情報に基づいて、ユーザが注視する第一の視界領域と、第一の視界領域以外の第二の視界領域とを決定される。第一の視界領域、第二の視界領域は、表示装置10に配された制御装置が決定してもよいし、外部の制御装置が決定したものを受信してもよい。表示装置10の表示領域において、第一の視界領域の表示解像度を第二の視界領域の表示解像度よりも高く制御してよい。つまり、第二の視界領域の解像度を第一の視界領域よりも低くしてよい。
【0095】
また、表示領域は、第一の表示領域、第一の表示領域とは異なる第二の表示領域とを有し、視線情報に基づいて、第一の表示領域および第二の表示領域から優先度が高い領域を決定される。第一の視界領域、第二の視界領域は、表示装置10の制御装置が決定してもよいし、外部の制御装置が決定したものを受信してもよい。優先度の高い領域の解像度を、優先度が高い領域以外の領域の解像度よりも高く制御してよい。つまり優先度が相対的に低い領域の解像度を低くしてよい。
【0096】
なお、第一の視界領域や優先度が高い領域の決定には、AIを用いてもよい。AIは、眼球の画像と当該画像の眼球が実際に視ていた方向とを教師データとして、眼球の画像から視線の角度、視線の先の目的物までの距離を推定するよう構成されたモデルであってよい。AIプログラムは、表示装置が有しても、撮像装置が有しても、外部装置が有してもよい。外部装置が有する場合は、通信を介して、表示装置10に伝えられる。
【0097】
視認検知に基づいて表示制御する場合、外部を撮像する撮像装置を更に有するスマートグラスに好ましく適用できる。スマートグラスは、撮像した外部情報をリアルタイムで表示することができる。
【0098】
以下、本実施形態の実施例について説明する。
【0099】
第1実施例
図3(a)~
図3(c)、
図4(a)に示される構成を有する表示装置10を以下のように作製した。まず、基板1上にアルミニウムを堆積させ、これをパターニングすることによって下部電極2を形成した。次に、下部電極2間に絶縁層5を形成した。絶縁層5には酸化シリコンを用いた。絶縁層5の層厚は65nmとした。下部電極2の上の絶縁層5に開口部を設け、発光領域101、201、301を決定した。表示領域DAの全体において、発光領域101が周期的に配されるピッチ、発光領域201が周期的に配されるピッチおよび発光領域301が周期的に配されるピッチは、それぞれ7.8μmとした。表示領域DAの全体の大きさは、横方向が8mm、縦方向が6mmになるように形成した。
【0100】
次に、下部電極2上に有機化合物層3を形成した。具体的には、正孔注入層として下記の化合物1を3nmの厚さで形成した。次に、正孔輸送層として、下記の化合物2を15nm、電子ブロック層として下記の化合物3を10nmの厚さで形成した。
【0101】
第1発光層は、ホスト材料として下記の化合物4を重量比97%、発光ドーパントとして下記の化合物5を重量比3%となるように調整し、10nmの厚さで形成した。第2発光層は、ホスト材料として下記の化合物4を重量比98%、発光ドーパントとして下記の化合物6および化合物7をそれぞれ重量比1%となるように調整し、10nmの厚さで形成した。電子輸送層は、下記の化合物8を110nmの厚さで形成した。電子注入層はフッ化リチウムを1nmの厚さで形成した。
【0102】
【0103】
次いで、上部電極4としてマグネシウムと銀との合金を10nmの厚さで形成した。マグネシウムと銀との比率は1:1とした。その後、保護層6としてCVD法を用いて窒化シリコンを2μmの厚さで形成した。さらに窒化シリコンの保護層6の上に平坦化層7としてスピンコート法を用いて樹脂層を300nmの厚さで形成した。
【0104】
次に、カラーフィルタ層CFLを平坦化層7の上に形成した。カラーフィルタ102は、緑色の光を透過するカラーフィルタ、カラーフィルタ202は、赤色の光を透過するカラーフィルタ、カラーフィルタ302は、青色の光を透過するカラーフィルタとした。カラーフィルタ102の第1方向に平行な長さ103は、5.6μmの大きさになるようにした。カラーフィルタ202の第1方向に平行な長さ203は、5.2μmの大きさになるようにした。カラーフィルタ302の第1方向に平行な長さ303は、4.8μmの大きさになるようにした。
【0105】
カラーフィルタ102が周期的に配されるピッチ、カラーフィルタ202が周期的に配されるピッチ、カラーフィルタ302が周期的に配されるピッチは、それぞれ7.8016μmになるようにした。つまり、上述の発光領域101、201、301が周期的に配されるピッチ(7.8μm)よりも、カラーフィルタ102、202、302が配されるピッチを200ppm大きくした。
【0106】
表示領域DAの中央領域DCにおいて、カラーフィルタ102の中心位置、カラーフィルタ202の中心位置、カラーフィルタ302の中心位置が、それぞれ発光領域101の中心位置、発光領域201の中心位置、発光領域301の中心位置と合致するようにした。それぞれのカラーフィルタ102、202、302が周期的に配されるピッチを、それぞれの発光領域101、201、301が周期的に配されるピッチよりも大きくすることによって、表示領域DAの最外周領域(外縁)において、カラーフィルタ102の中心位置、カラーフィルタ202の中心位置、カラーフィルタ302の中心位置が、それぞれ発光領域101の中心位置、発光領域201の中心位置、発光領域301の中心位置に対して、外周方向に0.8μmずれていることを確認した。また、表示領域DAの中央領域DCから外周領域DL、DR、さらに外縁までのカラーフィルタ102、202、302の中心位置と発光領域101、201、301の中心位置との間のずれ量は、連続的に変化していることを確認した。
【0107】
対向基板9には、上面、下面(底面)ともに平坦なガラス基板を用いた。対向基板9とカラーフィルタ層CFLとの間には、光硬化性のアクリル樹脂で形成された充填層8を配した。
【0108】
本実施例の構成において、表示領域DAの外周領域DL、DRの表示面の法線方向に対して斜め方向の光の輝度低下の改善を確認し、本実施形態における表示装置10の構成の効果を確認した。また、光学系20を介して表示装置10の表示領域DAに表示される画像を観察し、中央領域DCと外周領域DL、DRとの間で輝度や色度が異なるなどむらの発生が抑制されていることを確認した。
【0109】
第2実施例
第1実施例とカラーフィルタ層CFLの形成までは、上述と同様に表示装置10を作製した。カラーフィルタ層CFLの形成後、充填層8(平坦化層)を形成した。さらに、本実施例において充填層8上に、アクリル樹脂を用いて、それぞれのカラーフィルタ102、2020、302に対応したマイクロレンズ105、205、305を形成した。本実施例において、
図9に示されるように、画素100、200、300のそれぞれのマイクロレンズ105、205、305の中心位置と、画素100、200、300のそれぞれのカラーフィルタ102、202、302の中心位置と、が合致するようにマイクロレンズ105、205、305を形成した。
【0110】
本実施例においても、表示領域DAの外周領域DL、DRの表示面の法線方向に対して斜め方向の光の輝度低下の改善を確認し、本実施形態における表示装置10の構成の効果を確認した。
【0111】
第3実施例
第2実施例と充填層8の形成までは同様に表示装置10を作製した。充填層8上に、アクリル樹脂を用いて、それぞれのカラーフィルタ102、202、302に対応したマイクロレンズ105、205、305を形成した。本実施例において、
図10に示されるように、画素100、200、300のそれぞれのマイクロレンズ105、205、305の中心位置が、対応するそれぞれのカラーフィルタ102、202、302の中心位置に対して、外周領域に0.8μmずつずれるようにマイクロレンズ105、205、305を形成した。
【0112】
本実施例においても、表示領域DAの外周領域DL、DRの表示面の法線方向に対して斜め方向の光の輝度低下の改善を確認し、本実施形態における表示装置10の構成の効果を確認した。
【0113】
第4実施例
第3実施例と、下部電極2の構成以外は同様に表示装置10を作製した。本実施例では、下部電極2として、厚み50nmのアルミニウムと厚み20nmのITOとの間に、発光効率を向上させるためのSiO層を形成した。画素100、200、300においてSiO層の厚みはそれぞれ異なり、画素100のSiOの膜厚は150nm、画素200のSiOの膜厚は200nm、画素300のSiOの膜厚は100nmとした。
【0114】
本実施例の構成において、表示領域DAの外周領域DL、DRの表示面の法線方向に対して斜め方向の光の輝度低下の改善を確認し、本実施形態における表示装置10の構成の効果を確認した。
【0115】
このように、各実施例において、表示面の法線方向に対して斜めに出射する光を、対応するカラーフィルタが透過する色に応じて、より効率的に使用し、表示装置10の表示領域DAに表示される画像を観察した際の画質が向上することを確認できた。
【0116】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0117】
10:表示装置、100,200,300:画素、101,201,301:発光領域、102,202,302:カラーフィルタ、DA:表示領域