IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニムの特許一覧

<>
  • 特許-隔離された可燃性熱源を含む喫煙物品 図1a
  • 特許-隔離された可燃性熱源を含む喫煙物品 図1b
  • 特許-隔離された可燃性熱源を含む喫煙物品 図1c
  • 特許-隔離された可燃性熱源を含む喫煙物品 図1d
  • 特許-隔離された可燃性熱源を含む喫煙物品 図1e
  • 特許-隔離された可燃性熱源を含む喫煙物品 図2
  • 特許-隔離された可燃性熱源を含む喫煙物品 図3
  • 特許-隔離された可燃性熱源を含む喫煙物品 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-20
(45)【発行日】2022-12-28
(54)【発明の名称】隔離された可燃性熱源を含む喫煙物品
(51)【国際特許分類】
   A24F 42/60 20200101AFI20221221BHJP
【FI】
A24F42/60
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020187681
(22)【出願日】2020-11-11
(62)【分割の表示】P 2017213661の分割
【原出願日】2013-02-12
(65)【公開番号】P2021013393
(43)【公開日】2021-02-12
【審査請求日】2020-12-09
(31)【優先権主張番号】12155239.2
(32)【優先日】2012-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100158551
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 貴明
(72)【発明者】
【氏名】ミロノフ オレク
(72)【発明者】
【氏名】ポジェ ローラン エドゥアール
【審査官】西村 賢
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-535530(JP,A)
【文献】特開平03-090161(JP,A)
【文献】米国特許第05105831(US,A)
【文献】国際公開第2011/117750(WO,A2)
【文献】特開昭62-048370(JP,A)
【文献】国際公開第2009/084458(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
喫煙物品であって、
前端部及び後端部を有する可燃性熱源と、
前記可燃性熱源の後端部の下流側にあるエアロゾル形成基材と、
前記可燃性熱源の下流側端部と前記エアロゾル形成基材の上流側端部との間に不燃性で実質的に空気不透過性の第1の障壁と、
前記エアロゾル形成基材の下流側にある膨張チャンバと、
前記エアロゾル形成基材及び前記可燃性熱源の少なくとも後方部分を囲む外側ラッパーと、
1又はそれ以上の空気流路であって、ユーザによる吸入において前記1又はそれ以上の空気流路に沿って前記喫煙物品を通って空気を吸い込むことができる、前記1又はそれ以上の空気流路と、
を備え、
前記可燃性熱源が、使用時に前記1又はそれ以上の空気流路に沿って前記喫煙物品を通って吸い込まれる空気が前記可燃性熱源と直接接触しないように前記1又はそれ以上の空気流路から隔離されている、喫煙物品。
【請求項2】
前記第1の障壁が、前記可燃性熱源の後面上に設けられた第1の障壁コーティングを含む、請求項に記載の喫煙物品。
【請求項3】
前記第1の障壁コーティングが蒸着により前記可燃性熱源の後面に起用される、請求項に記載の喫煙物品。
【請求項4】
前記1又はそれ以上の空気流路が、前記可燃性熱源に沿って1又はそれ以上の空気流チャネルを含む、請求項1からの何れか1項に記載の喫煙物品。
【請求項5】
前記可燃性熱源と、前記1又はそれ以上の空気流チャネルとの間に不燃性で実質的に空気不透過性の第2の障壁を備える、請求項に記載の喫煙物品。
【請求項6】
前記第2の障壁が、前記1又はそれ以上の空気流チャネルの内側表面上に設けられた第2の障壁コーティングを含む、請求項に記載の喫煙物品。
【請求項7】
前記膨張チャンバが細長い中空管である、請求項1からの何れか1項に記載の喫煙物品。
【請求項8】
前記1又はそれ以上の空気流路内に空気を吸い込むため前記可燃性熱源の後面の下流側に1又はそれ以上の空気入口を備える、請求項1~の何れか1項に記載の喫煙物品。
【請求項9】
前記可燃性熱源の下流側端部と、前記エアロゾル形成基材の上流側端部との間に1又はそれ以上の第1の空気入口を備える、請求項に記載の喫煙物品。
【請求項10】
前記1又はそれ以上の空気流路内に空気を吸い込むため前記エアロゾル形成基材の外周部の周りに1又はそれ以上の第2の空気入口を備える、請求項又はに記載の喫煙物品。
【請求項11】
前記1又はそれ以上の空気流路内に空気を吸い込むため前記エアロゾル形成基材の下流側に1又はそれ以上の第3の空気入口を備える、請求項又は10に記載の喫煙物品。
【請求項12】
前記1又はそれ以上の空気流路が、前記1又はそれ以上の第3の空気入口から前記エアロゾル形成基材に延びた第1の部分と、前記エアロゾル形成基材から前記喫煙物品の唇側端部に延びた第2の部分とを含む、請求項11に記載の喫煙物品。
【請求項13】
前記可燃性熱源の後方部分及び前記エアロゾル形成基材の前方部分の周りで直接接触状態にある熱伝導要素を更に備える、請求項1~12の何れか1項に記載の喫煙物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可燃性熱源と、該可燃性熱源の下流側にあるエアロゾル形成基材とを含む喫煙物品に関する。
【背景技術】
【0002】
当該技術分野においては、タバコを燃焼させるのではなくて加熱する幾つかの喫煙物品が提案されている。このような「加熱式」喫煙物品の狙いの1つは、従来のシガレットにおいてタバコの燃焼及び熱分解によって発生する種類の公知の有害な煙成分を低減することである。1つの既知のタイプの加熱式喫煙物品において、可燃性熱源からエアロゾル形成基材への熱伝達によってエアロゾルが発生する。エアロゾル形成基材は、可燃性熱源の内部、周囲、又は下流側に配置することができる。喫煙中に、揮発性化合物が、可燃性熱源からの熱伝達によってエアロゾル形成基材から放出され、喫煙物品を通じて吸い込まれた空気中に同伴される。放出された化合物が冷却すると、これらは凝縮してエアロゾルを形成し、このエアロゾルがユーザによって吸入される。通常、空気は、可燃性熱源を貫通して設けられた1又はそれ以上の空気流チャネルを通ってこのような既知の加熱式喫煙物品に吸い込まれ、可燃性熱源からエアロゾル形成基材への熱伝達が対流及び熱伝導によって起こる。
【0003】
例えば、国際公開特許第2009/022232A2号は、可燃性熱源、可燃性熱源の下流側のエアロゾル形成基材、及び可燃性熱源の後方部分及び隣接するエアロゾル形成基材の前方部分の周りで直接接触状態にある熱伝導要素を含む喫煙物品を開示している。エアロゾル形成基材の制御された対流加熱量を提供するために、可燃性熱源を貫通して少なくとも1つの長手方向空気流チャネルが設けられる。国際公開特許第2009/022232A2号の喫煙物品において、エアロゾル形成基材の表面は、可燃性熱源と当接し、喫煙物品を通って吸い込まれる空気が、可燃性熱源の後端部表面と直接接触している。
【0004】
可燃性熱源からエアロゾル形成基材への熱伝達が主として対流によって起こる公知の加熱式喫煙物品において、エアロゾル形成基材における対流熱伝達及びその温度は、ユーザの吸煙行動に応じて大きく変化する可能性がある。結果として、ユーザによって吸入される主流エアロゾルの組成及びひいては知覚特性は、不利なことには、ユーザの吸煙形態に極めて影響を受ける可能性がある。
【0005】
加熱式喫煙物品を通じて吸い込まれる空気が加熱式喫煙物品の可燃性熱源と直接接触するようになる既知の加熱式喫煙物品においては、ユーザの吸煙により可燃性熱源の燃焼が開始される。従って、強い吸煙形態は、十分に高い対流熱伝達をもたらし、エアロゾル形成基材の温度スパイクを引き起こし、不利なことに、エアロゾル形成基材の熱分解及び場合によっては局所的燃焼を生じる可能性がある。本明細書で使用される用語「スパイク」は、エアロゾル形成基材の温度の短時間での増大を説明するのに使用される。
【0006】
また、このような既知の加熱式喫煙物品において生じる主流エアロゾル中の望ましくない熱分解及び燃焼副生成物のレベルは、不利なことに、ユーザがとる特定の吸煙形態に応じて有意に変化する可能性がある。
【0007】
可燃性熱源の点火及び燃焼特性を改善するために、加熱式喫煙物品の可燃性熱源に添加剤を含めることは周知である。しかしながら、点火及び燃焼添加剤を含めることは、分解及び反応生成物を生じ、不利なことに、使用中に加熱式喫煙物品のエアロゾル形成基材を通って吸い込まれる空気に入り込む可能性がある。
【0008】
従来、使用中に加熱式喫煙物品のエアロゾル形成基材を通って吸い込まれる空気から望ましくない煙成分を低減又は排除するための幾つかの試みがこれまで行われてきた。例えば、炭素質熱源に触媒を用いて炭素質熱源の燃焼中に生成される一酸化炭素を二酸化炭素に変換することよって、加熱式喫煙物品のための炭素質熱源の燃焼中に生成される一酸化炭素の量を低減しようとする幾つかの試みがなされている。
【0009】
米国特許第5,040,551号では、エアロゾル発生手段を含む加熱式喫煙物品における炭素質燃料要素の燃焼中に生成される一酸化炭素の量を低減する方法を開示している。この方法は、炭素質燃料要素の燃焼温度にて実質的に不燃性である固体粒子状物質の薄い微細孔層で炭素質燃料要素の暴露面の一部又は全てをコーティングすることを含む。コーティングは、更に触媒成分を含むことができる。米国特許第5,040,551号によれば、微細孔層は、炭素質燃料の燃焼を過度に妨げないように十分に薄く、従って、空気に対して透過性である必要がある。米国特許第5,040,551号の喫煙物品を通って吸い込まれる空気は、炭素質燃料要素の表面と直接接触するようになり、望ましくない煙成分レベルの増大をもたらすことになる。
【0010】
米国特許第5,060,667号では、可燃性燃料要素と、燃料要素を囲む中空熱伝達管と、熱伝達管を囲む香味源材料と、喫煙物品を囲む多孔性ラッパーとを含む喫煙物品を開示している。熱伝達管は、その上流側端部にて開放され、その下流側端部にて閉鎖されており、上流側端部にて喫煙物品と実質的に同じ外径を有する環状フランジと、可燃性端部要素と整列して中心に配置された開口とを有する。熱伝達管の閉鎖された下流側端部と熱伝達管の上流側端部にある環状フランジとによって、燃料要素からの煙が喫煙者の口腔に入るのが阻止される。
【0011】
エアロゾル形成を容易にするために、加熱式喫煙物品のエアロゾル形成基材は通常、グリセリン又は他の公知のエアロゾル形成剤のような多価アルコールを含む。貯蔵及び喫煙中に、このようなエアロゾル形成剤は、公知の加熱式喫煙物品のエアロゾル形成基材からその可燃性熱源に移動する可能性がある。公知の加熱式喫煙物品の可燃性熱源へのエアロゾル形成剤の移動は、不利なことに、特に加熱式喫煙物品の喫煙中にエアロゾル形成剤の分解につながる可能性がある。
【0012】
従来、加熱式喫煙物品のエアロゾル形成基材から可燃性熱源へのエアロゾル形成剤の移動を阻止するために、幾つかの試みがなされてきた。一般に、従来のこのような試みは、加熱式喫煙物品のエアロゾル形成基材を金属ケージのような不燃性カプセル内に包んで貯蔵及び使用中にエアロゾル形成基材から可燃性熱源へのエアロゾル形成剤の移動を低減することを含んでいた。しかしながら、可燃性熱源は、貯蔵及び使用中にエアロゾル形成基材からのエアロゾル形成剤と直接接触することが依然として可能であり、ユーザによる吸入においてエアロゾル形成基材を通って吸い込まれる空気は、依然として可燃性熱源の表面と直接接触する可能性がある。このことは、不利なことに、可燃性熱源から発生する分解及び燃焼ガスをこのような公知の加熱式喫煙物品の主流エアロゾルに吸引することを可能とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】国際公開特許第2009/022232A2号
【文献】米国特許第5,040,551号明細書
【文献】米国特許第5,060,667号明細書
【文献】国際公開特許第2009/074870A2号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
対向する前面及び後面を有する可燃性熱源と、可燃性熱源の後面の下流側にあるエアロゾル形成基材と、を備え、強い吸煙形態の下でのエアロゾル形成基材の温度スパイクが回避される加熱式喫煙物品に対する必要性がある。詳細には、対向する前面及び後面を有する可燃性熱源と、可燃性熱源の後面の下流側にあるエアロゾル形成基材と、を備えた、強い吸煙形態の下で実質的にエアロゾル形成基材の燃焼又は熱分解が起こらない加熱式喫煙物品に対する必要性がある。
【0015】
対向する前面及び後面を有する可燃性熱源と、可燃性熱源の後面の下流側にあるエアロゾル形成基材と、を備え、可燃性熱源の点火及び燃焼中に形成された燃焼及び分解生成物が、加熱式喫煙物品の使用中にエアロゾル形成基材を通って吸い込まれる空気に入り込むのが阻止又は抑制される加熱式喫煙物品に対する更に別の必要性がある。
【0016】
また、対向する前面及び後面を有する可燃性熱源と、可燃性熱源の後面の下流側にあるエアロゾル形成基材と、を備え、エアロゾル形成基材から可燃性熱源へのエアロゾル形成剤の移動が実質的に阻止又は抑制される加熱式喫煙物品に対する更に別の必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明によれば、喫煙物品が提供され、該喫煙物品は、前端部及び後端部を有する可燃性熱源と、可燃性熱源の後端部の下流側にあるエアロゾル形成基材と、エアロゾル形成基材及び可燃性熱源の少なくとも後方部分を囲む外側ラッパーと、ユーザによる吸入において喫煙物品を通って空気を吸い込むことができる1又はそれ以上の空気流路と、を備える。可燃性熱源は、使用時に1又はそれ以上の空気流路に沿って喫煙物品を通って吸い込まれる空気が可燃性熱源と直接接触しないように1又はそれ以上の空気流路から隔離されている。
【0018】
本発明によれば、本発明による喫煙物品で使用するための対向する前面及び後面を備えた可燃性熱源が提供され、可燃性熱源が、該可燃性熱源の少なくとも実質的に後面全体上に設けられた不燃性で実質的に空気不透過性の第1の障壁を有する。特定の好ましい実施形態において、第1の障壁は、可燃性熱源の後面上に設けられた第1の障壁コーティングを含む。このような実施形態において、好ましくは、第1の障壁は、可燃性熱源の少なくとも実質的に後面全体上に設けられた第1の障壁コーティングを含む。より好ましくは、第1の障壁は、可燃性熱源の後面全体上に設けられた第1の障壁コーティングを含む。
【0019】
本発明によれば、吸煙中における喫煙物品のエアロゾル形成基材の温度上昇を低減又は排除する方法が更に提供される。本方法は、対向する前面及び後面を有する可燃性熱源と、
可燃性熱源の後面の下流側にあるエアロゾル形成基材と、エアロゾル形成基材及び可燃性熱源の少なくとも後方部分を囲む外側ラッパーと、ユーザによる吸入において喫煙物品を通って空気を吸い込むことができる1又はそれ以上の空気流路と、を備え、可燃性熱源が、使用時に1又はそれ以上の空気流路に沿って喫煙物品を通って吸い込まれる空気が可燃性熱源と直接接触しないように1又はそれ以上の空気流路から隔離されている、喫煙物品を提供するステップを含む。
【0020】
本明細書で使用される用語「空気流路」は、ユーザによる吸入において喫煙物品を通って空気を吸い込むことができる通路を説明するのに用いられる。
【0021】
本明細書で使用される用語「エアロゾル形成基材」は、揮発性化合物を加熱したときに放出し、エアロゾルを形成できる基材を説明するのに用いられる。本発明による喫煙物品のエアロゾル形成基材から発生するエアロゾルは、可視又は不可視とすることができ、蒸気(例えば、通常は室温で液体又は固定である、ガス状の物質の微細粒子)並びにガス及び凝縮蒸気の液滴を含むことができる。
【0022】
本明細書で用いる用語「上流側」及び「前方」並びに「下流側」及び「後方」は、その使用中にユーザが喫煙物品を吸引する方向に対しての喫煙物品の構成要素又は構成要素の一部の相対的な位置を説明するのに使用される。本発明による喫煙物品は、唇側端部及び対向する遠位端部を含む。使用時には、ユーザは、喫煙物品の唇側端部を吸入する。唇側端部は、遠位端部の下流側にある。可燃性熱源は、遠位端部にて又はこれに近接して配置される。
【0023】
可燃性熱源の前面は、可燃性熱源の上流側端部にある。可燃性熱源の上流側端部は、喫煙物品の唇側端部から離れた可燃性熱源の端部である。可燃性熱源の後面は、可燃性熱源の下流側端部にある。可燃性熱源の下流側端部は、喫煙物品の唇側端部に最も近接した可燃性熱源の端部である。
【0024】
本明細書で使用される用語「長さ」は、喫煙物品の長手方向の寸法を説明するのに使用される。
【0025】
本明細書で使用される用語「直接接触」は、1又はそれ以上の空気流路に沿って喫煙物品を通って吸い込まれる空気と可燃性熱源の表面との間の接触を説明するのに使用される。
【0026】
本明細書で使用される用語「隔離された可燃性熱源」は、1又はそれ以上の空気流路に沿って喫煙物品を通って吸い込まれる空気と接触しない可燃性熱源を説明するのに使用される。
【0027】
本明細書で使用される用語「コーティング」は、可燃性熱源を覆ってこれに接着される材料の層を説明するのに使用される。
【0028】
以下で更に説明されるように、本発明による喫煙物品は、閉塞又は非閉塞の可燃性熱源を含むことができる。
【0029】
本明細書で使用される用語「閉塞」は、ユーザによる吸入において喫煙物品を通って吸い込まれる空気が可燃性熱源に沿ったあらゆる空気流チャネルを通過しない、本発明による喫煙物品の可燃性熱源を説明するのに使用される。
【0030】
本明細書で使用される用語「非閉塞」は、ユーザによる吸入において喫煙物品を通って吸い込まれる空気が可燃性熱源に沿った1又はそれ以上の空気流チャネルを通過する、本発明による喫煙物品の可燃性熱源を説明するのに使用される。
【0031】
本明細書で使用される用語「空気流チャネル」は、ユーザによる吸入において空気を下流側に吸い込むことができる、可燃性熱源の長さに沿って延びたチャネルを説明するのに使用される。
【0032】
本発明による、1又はそれ以上の空気流路からの可燃性熱源の隔離は、有利には、ユーザによる吸煙中に本発明による喫煙物品の可燃性熱源の燃焼作動を実質的に阻止又は抑制する。これにより、ユーザによる吸煙中にエアロゾル形成基材の温度スパイクが実質的に阻止又は抑制される。
【0033】
可燃性熱源の燃焼作動を阻止又は抑制し、よってエアロゾル形成基材の過剰な温度上昇を阻止又は抑制することにより、有利には、強い吸煙形態の下での本発明による喫煙物品の燃焼又は熱分解を回避することができる。加えて、有利には、本発明による喫煙物品の主流エアロゾルの組成に対するユーザの吸煙形態の影響を最小限に又は軽減することができる。
【0034】
また、1又はそれ以上の空気流路からの可燃性熱源の隔離により、有利には、本発明による喫煙物品の可燃性熱源の点火及び燃焼中に形成される燃焼及び分解生成物及び他の材料が、1又はそれ以上の空気流路に沿って喫煙物品を通って吸い込まれる空気に入り込むのが実質的に阻止又は抑制される。以下で更に説明されるように、このことは、可燃性熱源の点火又は燃焼を助けるために、可燃性熱源が1又はそれ以上の添加剤を含む場合に特に有利である。
【0035】
1又はそれ以上の空気流路からの可燃性熱源の隔離により、可燃性熱源がエアロゾル形成基材から隔離される。エアロゾル形成基材から可燃性熱源が隔離されることにより、有利には、喫煙物品の貯蔵中の可燃性熱源への本発明による喫煙物品のエアロゾル形成基材の成分の移動が実質的に阻止又は抑制される。
【0036】
代替として、又はこれに加えて、1又はそれ以上の空気流路から可燃性熱源が隔離されることにより、有利には、喫煙物品の使用中の可燃性熱源への本発明による喫煙物品のエアロゾル形成基材の成分の移動が実質的に阻止又は抑制される。
【0037】
以下で更に説明するように、1又はそれ以上の空気流路及びエアロゾル形成基材からの可燃性熱源の隔離は、エアロゾル形成基材が少なくとも1つのエアロゾル形成剤を含む場合に特に有利である。
【0038】
可燃性熱源を1又はそれ以上の空気流路から隔離するために、本発明による喫煙物品は、可燃性熱源の下流側端部と、エアロゾル形成基材の上流側端部との間に不燃性で実質的に空気不透過性の第1の障壁を含むことができる。
【0039】
本明細書で使用される用語「不燃性」とは、可燃性熱源の燃焼又は点火中に可燃性熱源が到達する温度にて実質的に分先生である障壁を説明するのに使用される。
【0040】
第1の障壁は、可燃性熱源の下流側端部とエアロゾル形成基材の上流側端部の一方又は両方に当接することができる。
【0041】
第1の障壁は、可燃性熱源の下流側端部とエアロゾル形成基材の上流側端部の一方又は両方に接着又は他の方法で取り付けることができる。
【0042】
一部の実施形態において、第1の障壁は、可燃性熱源の後面上に設けられた第1の障壁コーティングを含む。このような実施形態において、好ましくは、第1の障壁は、可燃性熱源の少なくとも実質的に後面全体上に設けられた第1の障壁コーティングを含む。より好ましくは、第1の障壁は、可燃性熱源の後面全体上に設けられた第1の障壁コーティングを含む。
【0043】
第1の障壁は、有利には、可燃性熱源の点火又は燃焼中にエアロゾル形成基材が曝される温度を制限し、よって、喫煙物品の使用中にエアロゾル形成基材の熱劣化又は燃焼を排除又は軽減するのを助けることができる。以下で更に説明するように、このことは、可燃性熱源が、可燃性熱源の点火を助ける1又はそれ以上の添加剤を含む場合に特に有利である。
【0044】
喫煙物品の所望の特性及び性能に応じて、第1の障壁は、低熱伝導率又は高熱伝導率を有することができる。特定の実施形態において、第1の障壁は、改良非定常平面熱源(MTPS)法を用いて測定した23°C及び相対湿度50%において、約0.1ワット毎メートルケルビン(W/(m・K))から約200ワット毎メートルケルビン(W/(m・K))のバルク熱伝導率を有する材料から形成することができる。
【0045】
第1の障壁の厚さは、良好な喫煙性能を達成するよう適切に調節することができる。特定の実施形態において、第1の障壁は、約10ミクロンから約500ミクロンの厚さを有することができる。
【0046】
第1の障壁は、可燃性熱源によって点火及び燃焼中に達成される温度にて実質的に熱的に安定で不燃性である1又はそれ以上の好適な材料から形成することができる。好適な材料は、当該技術分野で公知であり、限定ではないが、粘土(例えば、ベントナイト及びカオリナイトなど)、ガラス、鉱物、セラミック材料、樹脂、金属、及びこれらの組み合わせを含む。
【0047】
第1の障壁が形成できる好ましい材料は、粘土及びガラスを含むことができる。第1の障壁が形成できるより好ましい材料は、銅、アルミニウム、ステンレス鋼、合金、アルミニウム(Al23)、樹脂、及び鉱物グルーを含む。
【0048】
1つの実施形態において、第1の障壁は、ベントナイト及びカオリナイトの50/50混合物を含む、可燃性熱源の後面上に設けられた粘土コーティングを含む。1又はそれ以上の好ましい実施形態において、第1の障壁は、可燃性熱源の後面上に設けられたアルミニウムコーティングを含む。別の好ましい実施形態において、第1の障壁は、可燃性熱源の後面上に設けられたガラスコーティング、より好ましくは焼結ガラスコーティングを含む。
【0049】
好ましくは、第1の障壁は、少なくとも約10ミクロンの厚さを有する。空気に対する粘土のわずかな透過性により、第1の障壁が可燃性熱源の後面上に設けられた粘土コーティングを含む実施形態において、粘土コーティングは、より好ましくは少なくとも約50ミクロン、及び最も好ましくは約50ミクロンから約350ミクロンの厚さを有する。第1の障壁がアルミニウムのような空気に対してより不透過性である1又はそれ以上の材料から形成される実施形態において、第1の障壁は、より薄くすることができ、一般に、好ましくは約100ミクロン未満、より好ましくは約20ミクロンの厚さを有することになる。第1の障壁が可燃性熱源の後面上に設けられたガラスコーティングを含む実施形態において、ガラスコーティングは、好ましくは200ミクロンを下回る厚さを有する。第1の障壁の厚さは、顕微鏡、走査電子顕微鏡(SEM)又は本技術分野で公知の任意の他の好適な測定方法を用いて測定することができる。
【0050】
第1の障壁が可燃性熱源の後面上に設けられた第1の障壁コーティングを含む場合、第1の障壁コーティングは、限定ではないが、噴霧コーティング、蒸着、浸漬、物質移動(例えば、ブラッシング又はグルーイング)、静電蒸着、又はこれらの何れかの組み合わせを含む当該技術分野で公知の任意の好適な方法によって、可燃性熱源の後面を覆ってこれに接着するよう施工することができる。
【0051】
例えば、第1の障壁コーティングは、可燃性熱源の後面の適切なサイズ及び形状で障壁を予備形成し、これを可燃性熱源の後面に施工して可燃性熱源の実質的に後面全体を覆ってこれに接着させることによって作ることができる。或いは、第1の障壁コーティングは、可燃性熱源の後面に施工した後に切断又は他の方法で機械加工することができる。1つの好ましい実施形態において、アルミニウムホイルは、可燃性熱源に接着又は加圧されることにより可燃性熱源の後面に施工されて、アルミニウムホイルが可燃性熱源の少なくとも実質的に後面全体、好ましくは可燃性熱源の後面全体を覆ってこれに接着されるように切断又は他の方法で機械加工される。
【0052】
別の好ましい実施形態において、第1の障壁コーティングは、1又はそれ以上の好適なコーティング材料の溶液又は懸濁体を可燃性熱源の後面に施工することによって形成される。例えば、第1の障壁コーティングは、1又はそれ以上の好適なコーティング材料の溶液又は懸濁体中に可燃性熱源の後面を浸漬することによって、又は溶液又は懸濁体をブラッシング又は噴霧コーティングすることによって、或いは可燃性熱源の後面上に1又はそれ以上の好適なコーティング材料の粉体又は粉体混合物を静電的に堆積することによって可燃性熱源の後面に施工することができる。第1の障壁コーティングが、1又はそれ以上の好適なコーティング材料の粉体又は粉体混合物を可燃性熱源の後面上に静電的に堆積することにより可燃性熱源の後面に施工される場合、可燃性熱源の後面は、静電堆積の前に水ガラスで前処理するのが好ましい。好ましくは、第1の障壁コーティングは、噴射コーティングにより施工される。
【0053】
第1の障壁コーティングは、可燃性熱源の後面への1又はそれ以上の好適なコーティング材料の溶液又は懸濁体の単一施工により形成することができる。或いは、第1の障壁コーティングは、可燃性熱源の後面への1又はそれ以上の好適なコーティング材料の溶液又は懸濁体の複数回の施工により形成することができる。例えば、第1の障壁コーティングは、可燃性熱源の後面への1又はそれ以上の好適なコーティング材料の溶液又は懸濁体の1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、又は8回の連続施工により形成することができる。
【0054】
好ましくは、第1の障壁コーティングは、可燃性熱源の後面への1又はそれ以上の好適なコーティング材料の溶液又は懸濁体の1から10回の施工により形成される。
【0055】
可燃性熱源の後面への1又はそれ以上のコーティング材料の溶液又は懸濁体の施工後、可燃性熱源を乾燥させて、第1の障壁コーティングを形成することができる。
【0056】
第1の障壁コーティングが、可燃性熱源の後面への1又はそれ以上の好適なコーティング材料の溶液又は懸濁体の複数回の施工により形成される場合には、可燃性熱源は、溶液又は懸濁体の連続施工の間に乾燥させる必要がある場合がある。
【0057】
乾燥の代わりに又はこれに加えて、可燃性熱源の後面への1又はそれ以上のコーティング材料の溶液又は懸濁体の施工後、可燃性熱源上のコーティング材料は、第1の障壁コーティングを形成するために焼結させることができる。第1の障壁コーティングの焼結は、障壁コーティングがガラス又はセラミックコーティングである場合に特に好ましい。好ましくは、第1の障壁コーティングは、を約500℃~約900℃、より好ましくは約700℃の温度で焼結される。
【0058】
本発明による喫煙物品は、喫煙物品を通って空気を吸い込むことができる1又はそれ以上の空気流路を含む。
【0059】
特定の実施形態において、本発明による喫煙物品の1又はそれ以上の空気流路は、可燃性熱源に沿った1又はそれ以上の空気流チャネルを含むことができる。このような実施形態による喫煙物品の可燃性熱源は、本明細書では非閉塞可燃性熱源と呼ばれる。
【0060】
非閉塞可燃性熱源を含む本発明による喫煙物品において、エアロゾル形成基材の加熱は、伝導又は対流により生じる。使用時には、ユーザが非閉塞熱源を含む本発明による喫煙物品を吸煙すると、可燃性熱源に沿った1又はそれ以上の空気流チャネルを通って下流側に空気が吸い込まれる。次いで、吸い込まれた空気は、ユーザによる吸入のため喫煙物品の1又はそれ以上の空気流路を通って更に下流側に吸い込まれるときにエアロゾル形成基材を通過する。
【0061】
非閉塞可燃性熱源を含む本発明による喫煙物品の1又はそれ以上の空気流路は、可燃性熱源に沿って1又はそれ以上の内封された空気流チャネルを含むことができる。
【0062】
本明細書で使用される用語「内封」は、長さに沿って可燃性熱源により囲まれる空気流チャネルを説明するのに使用される。
【0063】
例えば、1又はそれ以上の空気流チャネルは、可燃性熱源の全長に沿って可燃性熱源の内部を貫通して延びた1又はそれ以上の内封空気流チャネルを含むことができる。このような実施形態において、1又はそれ以上の空気流チャネルは、可燃性熱源の対向する前面と後面との間に延びる。
【0064】
代替として、又はこれに加えて、1又はそれ以上の空気流路は、可燃性熱源に沿った1又はそれ以上の非内封空気流チャネルを含むことができる。例えば、1又はそれ以上の空気流路は、可燃性熱源の長さの少なくとも下流側部分に沿った可燃性熱源の外側に沿って延びた1又はそれ以上の溝又は他の非内封空気流チャネルを含むことができる。
【0065】
1又はそれ以上の空気流路は、可燃性熱源に沿った1又はそれ以上の内封空気流チャネル、又は可燃性熱源に沿った1又はそれ以上の非内封空気流チャネル、或いはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0066】
特定の実施形態において、1又はそれ以上の空気流路は、1、2、又は3つの空気流チャネルを含むことができる。1つの好ましい実施形態において、1又はそれ以上の空気流路は、可燃性熱源の内部を貫通して延びる単一の空気流チャネルを含む。1つの特定の好ましい実施形態において、1又はそれ以上の空気流路は、可燃性熱源の内部を通って延びる単一の実質的に中心又は軸方向の空気流チャネルを含む。単一の空気流チャネルの直径は、好ましくは、約1.5mmから約3mmである。
【0067】
本発明による喫煙物品が、可燃性熱源の後面上に設けられた第1の障壁コーティングを含む第1の障壁と、可燃性熱源に沿った1又はそれ以上の空気流チャネルを含む1又はそれ以上の空気流路と、を備え、第1の障壁コーティングは、1又はそれ以上の空気流チャネルを通って下流側に空気を吸い込むことを可能にすべきである。
【0068】
1又はそれ以上の空気流路が、可燃性熱源に沿って1又はそれ以上の空気流チャネルを含む場合、本発明による喫煙物品は更に、可燃性熱源を1又はそれ以上の空気流路から隔離するために可燃性熱源と1又はそれ以上の空気流チャネルとの間に不燃性で実質的に空気不透過性の第2の障壁を備えることができる。
【0069】
一部の実施形態において、第2の障壁は、可燃性熱源に接着又は他の方法で取り付けることができる。
【0070】
好ましくは、第2の障壁は、1又はそれ以上の空気流チャネルの内側表面上に設けられた第2の障壁コーティングを含む。より好ましくは、第2の障壁は、1又はそれ以上の空気流チャネルの少なくとも実質的に内側表面全体上に設けられた第2の障壁コーティングを含む。最も好ましくは、第2の障壁は、1又はそれ以上の空気流チャネルの内側表面全体上に設けられた第2の障壁コーティングを含む。
【0071】
代替として、第2の障壁コーティングは、1又はそれ以上の空気流チャネルにライナを挿入することにより設けることができる。例えば、1又はそれ以上の空気流路が、可燃性熱源の内部を貫通して延びる1又はそれ以上の空気流チャネルを含む場合、不燃性で実質的に空気不透過性の中空管を1又はそれ以上の空気流チャネルの各々に挿入することができる。
【0072】
第2の障壁は、有利には、本発明による喫煙物品の可燃性熱源の点火及び燃焼中に形成される燃焼及び分解生成物が、1又はそれ以上の空気流チャネルに沿って下流側で吸い込まれる空気に入り込むのを実質的に阻止又は抑制することができる。
【0073】
第2の障壁はまた、有利には、ユーザによる吸煙中に本発明による喫煙物品の可燃性熱源の燃焼の発生を実質的に阻止又は抑制することができる。
【0074】
喫煙物品の所望の特性及び性能に応じて、第2の障壁は、低熱伝導率又は高熱伝導率を有することができる。好ましくは、第2の障壁は低熱伝導率を有する。
【0075】
第2の障壁の厚さは、良好な喫煙性能を達成するよう適切に調節することができる。特定の実施形態において、第2の障壁は、約30ミクロンから約200ミクロンの厚さを有することができる。好ましい実施形態において、第2の障壁は、約30ミクロンから約100ミクロンの厚さを有する。
【0076】
第2の障壁は、可燃性熱源によって点火及び燃焼中に達成される温度にて実質的に熱的に安定で不燃性である1又はそれ以上の好適な材料から形成することができる。好適な材料は、当該技術分野で公知であり、限定ではないが、例えば、粘土;酸化鉄、アルミナ、チタニア、シリカ、シリカ-アルミナ、ジルコニア、及びセリアなどの金属酸化物;ゼオライト;リン酸ジルコニウム;及び他のセラミック材料又はこれらの組み合わせを含む。
【0077】
第2の障壁が形成できる好ましい材料は、粘土、ガラス、アルミニウム、酸化鉄、及びこれらの組み合わせを含む。必要に応じて、一酸化炭素から二酸化炭素への酸化を促進する成分のような触媒成分を第2の障壁に組み込むことができる。このような触媒成分は、限定ではないが、例えば、プラチナ、パラジウム、遷移金属、及びこれらの酸化物を含む。
【0078】
本発明による可燃性熱源は、可燃性熱源の下流側端部とエアロゾル形成基材の上流側端部との間の第1の障壁と、可燃性熱源と可燃性熱源に沿った1又はそれ以上の空気流チャネルとの間の第2の障壁とを備え、第2の障壁は、第1の障壁と同じ又は異なる1つ又は複数の材料から形成することができる。
【0079】
第2の障壁が、1又はそれ以上の空気流チャネルの内側表面上に設けられた第2の障壁コーティングを含む場合、第2の障壁コーティングは、米国特許第5,040,551号に記載の方法のような、あらゆる好適な方法により1又はそれ以上の空気流チャネルの内側表面に施工することができる。例えば、1又はそれ以上の空気流チャネルの内側表面は、第2の障壁コーティングの溶液又は懸濁体を用いて噴霧、湿潤、又は塗布することができる。好ましい実施形態において、第2の障壁コーティングは、国際公開特許第2009/074870A2号において記載される工程により、可燃性熱源の押し出し成形時に1又はそれ以上の空気流チャネルの内側表面に施工される。
【0080】
他の実施形態において、本発明による喫煙物品の1又はそれ以上の空気流路は、可燃性熱源に沿ってどのような空気流チャネルも含まなくてもよい。
【0081】
このような実施形態による喫煙物品の可燃性熱源は、本明細書では閉塞可燃性熱源と呼ばれる。
【0082】
閉塞可燃性熱源を含む本発明による喫煙物品において、可燃性熱源からエアロゾル形成基材への熱伝達は、主として伝導によって生じ、対流によるエアロゾル形成基材の加熱は最小限又は低減される。これは、有利には、閉塞可燃性熱源を含む本発明による喫煙物品の主流エアロゾルの組成に対するユーザの吸煙形態の影響を最小限に又は低減するのに役立つ。
【0083】
本発明による喫煙物品は、ユーザによる吸入のため空気を吸い込むことができない1又はそれ以上の閉鎖又は遮断通路を含む閉塞可燃性熱源を備えることができることは理解されるであろう。このような閉鎖通路は、本発明による喫煙物品の1又はそれ以上の空気流路の一部を形成しない。また、ユーザによる吸入のため空気を吸い込むことができる1又はそれ以上の空気流チャネルに加えて、本発明による喫煙物品の非閉塞可燃性熱源は、ユーザによる吸入のため空気を吸い込むことができない1又はそれ以上の閉鎖通路も含むことができることは理解されるであろう。
【0084】
例えば、本発明による喫煙物品は、可燃性熱源の上流側端部にある前面から可燃性熱源の長さに沿って部分的にだけ延びた1又はそれ以上の閉鎖通路を含む可燃性熱源を備えることができる。
【0085】
1又はそれ以上の閉鎖空気通路を含めることにより、空気による酸素に曝される可燃性熱源の表面積が増大し、有利には、可燃性熱源の点火及び持続的燃焼を促進することができる。
【0086】
閉塞可燃性熱源を含む本発明による喫煙物品は、1又はそれ以上の空気流路に空気を吸い込むため可燃性熱源の後面の下流側に1又はそれ以上の空気入口を含む。非閉塞可燃性熱源を含む本発明による喫煙物品はまた、1又はそれ以上の空気流路に空気を吸い込むため可燃性熱源の後面の下流側に1又はそれ以上の空気入口を含むことができる。
【0087】
ユーザによる吸煙中、可燃性熱源の後面の下流側で空気入口を通って1又はそれ以上の空気流路に吸い込まれる低温空気は、有利には、エアロゾル形成基材の温度を低下させる。これは、ユーザによる吸煙中のエアロゾル形成基材の温度スパイクを実質的に阻止又は抑制する。
【0088】
本明細書で使用される用語「低温空気」は、ユーザによる吸煙時に可燃性熱源により有意には加熱されない周囲空気を説明するのに使用される。
【0089】
エアロゾル形成基材の温度スパイクを阻止又は抑制することにより、可燃性熱源の後面の下流側に1又はそれ以上の空気入口を含むことは、有利には、強い吸煙形態下で本発明による喫煙物品のエアロゾル形成基材の燃焼又は熱分解を排除又は低減するのに役立つ。加えて、可燃性熱源の後面の下流側に1又はそれ以上の空気入口を含むことは、有利には、本発明による喫煙物品の主流エアロゾルの組成に対するユーザの吸煙形態の影響を最小限に又は軽減するのに役立つ。
【0090】
本発明による喫煙物品は、可燃性熱源の少なくとも後方部分、エアロゾル形成基材、及びエアロゾル形成基材の下流側の喫煙物品の他の何れかの構成要素を囲む外側ラッパーを備える。本発明による喫煙物品は、あらゆる好適な材料又は材料の組み合わせから形成された外側ラッパーを含むことができる。好適な材料は、当該技術分野で公知であり、限定ではないが、シガレットペーパーを含む。外側ラッパーは、喫煙物品が組み立てられたときに、喫煙物品の可燃性熱源及びエアロゾル形成基材を把持する必要がある。
【0091】
1又はそれ以上の空気流路に空気を吸い込むための可燃性熱源の後面の下流側にある1又はそれ以上の空気入口は、存在する場合には、1又はそれ以上の空気流路に空気を吸い込むことができる本発明による喫煙物品の構成要素を囲む外側ラッパー及び他の何れかの材料に設けられる。本明細書で使用される用語「空気入口」は、1又はそれ以上の空気流路に空気を吸い込むことができる本発明による喫煙物品の構成要素を囲む外側ラッパー及び他の何れかの材料における1又はそれ以上の孔、スリット、スロット、又は他のアパーチャを説明するのに使用される。
【0092】
空気入口の数、形状、サイズ、及び位置は、良好な喫煙性能を達成するのに適切に調整することができる。
【0093】
本発明による喫煙物品は、1又はそれ以上の空気流路に空気を吸い込むために可燃性熱源の下流側端部とエアロゾル形成基材の上流側端部との間に1又はそれ以上の空気入口を備えることができる。可燃性熱源の下流側端部とエアロゾル形成基材の上流側端部との間に位置する空気入口は、本明細書では第1の空気入口と呼ばれる。
【0094】
使用時には、ユーザがこのような喫煙物品を吸煙すると、空気は、可燃性熱源の下流側端部とエアロゾル形成基材の上流側端部との間の1又はそれ以上の第1の空気入口を通って喫煙物品に吸い込むことができる。次いで、吸い込まれた空気は、ユーザによる吸入のため喫煙物品の1又はそれ以上の空気流路を通って下流側に吸い込まれるときにエアロゾル形成基材を通過する。
【0095】
本発明による喫煙物品が可燃性熱源の下流側端部とエアロゾル形成基材の上流側端部との間に第1の障壁を含む場合には、1又はそれ以上の第1の空気入口は、第1の障壁の下流側に位置付けられる。
【0096】
1又はそれ以上の第1の空気入口の代替として、又はこれに加えて、本発明による喫煙物品は、1又はそれ以上の第1の空気入口に空気を吸い込むためにエアロゾル形成基材の外周部の周りに1又はそれ以上の空気入口を含むことができる。エアロゾル形成基材の外周部の周りに位置する空気入口は、本明細書では第2の空気入口と呼ばれる。
【0097】
使用時には、ユーザがこのような喫煙物品を吸煙すると、空気は、第2の空気入口を通って喫煙物品に吸い込むことができる。次いで、吸い込まれた空気は、ユーザによる吸入のため喫煙物品の1又はそれ以上の空気流路を通って下流側に吸い込まれるときにエアロゾル形成基材を通過する。
【0098】
1又はそれ以上の第1の空気入口又は1又はそれ以上の第2の空気入口の代替として、又はこれに加えて、本発明による喫煙物品は、1又はそれ以上の第1の空気入口に空気を吸い込むためにエアロゾル形成基材の下流側に1又はそれ以上の空気入口を含むことができる。エアロゾル形成基材の下流側に位置する空気入口は、本明細書では第3の空気入口と呼ばれる。
【0099】
使用時には、ユーザがこのような喫煙物品を吸煙すると、空気は、エアロゾル形成基材の下流側にある1又はそれ以上の第3の空気入口を通って喫煙物品に吸い込むことができる。
【0100】
特定の好ましい実施形態において、本発明による喫煙物品は、エアロゾル形成基材の下流側の1又はそれ以上の第3の空気入口と喫煙物品の唇側端部との間に延びる空気流路を含むことができ、空気流路は、エアロゾル形成基材に向かって1又はそれ以上の第3の空気入口から長手方向上流側に延びる第1の部分と、喫煙物品の唇側端部に向かって第1の部分から長手方向下流側に延びる第2の部分と、を含む。
【0101】
使用時には、ユーザがこのような喫煙物品を吸煙すると、空気は、エアロゾル形成基材の下流側にある1又はそれ以上の第3の空気入口を通って喫煙物品に吸い込むことができ、エアロゾル形成基材に向かって空気流路の第1の部分を通って上流側に進む。次いで、吸い込まれた空気は、ユーザによる吸入のため喫煙物品の唇側端部に向けて空気流路の第2の部分を通って下流側に進む。
【0102】
好ましくは、空気流路の第1の部分は、1又はそれ以上の第3の空気入口から上流側にエアロゾル形成基材まで延び、空気流路の第2の部分は、エアロゾル形成基材から下流側に喫煙物品の唇側端部に向かって延びる。
【0103】
本発明による喫煙物品は、エアロゾル形成基材の下流側に空気流配向要素を含むことができる。空気流配向要素は、エアロゾル形成基材の下流側にある1又はそれ以上の第3の空気入口と喫煙物品の唇側端部との間に延びる空気流路の第1の部分及び第2の部分を定める。1又はそれ以上の第3の空気入口は、エアロゾル形成基材の下流側端部と、空気流配向要素の下流側端部との間に設けられる。空気流配向要素は、エアロゾル形成基材に当接することができる。或いは、空気流配向要素は、エアロゾル形成基材内に延びることができる。例えば、特定の実施形態において、空気流配向要素は、エアロゾル形成基材内に最大で0.5Lの距離を延びることができ、ここでLはエアロゾル形成基材の長さである。
【0104】
空気流配向要素は、約7mmから約50mmの長さ、例えば、約10mmから約45mmの長さ、又は約15mmから約30mmの長さを有することができる。空気流配向要素は、喫煙物品の望ましい全長、及び喫煙物品内の他の構成要素の存在及びその長さに応じて他の長さを有することができる。
【0105】
空気流配向要素は、開口した実質的に空気不透過性の中空本体を含むことができる。このような実施形態において、開口した実質的に空気不透過性の中空本体の外部は、空気流路の第1の部分及び空気流路の第2の部分の一方を定め、開口した実質的に空気不透過性の中空本体の空気流チャネルの内部は、空気流路の第1の部分及び空気流路の第2の部分の他方を定める。
【0106】
実質的に空気不透過性の中空本体は、可燃性熱源からエアロゾル形成基材への熱伝達によって発生したエアロゾルの温度にて実質的に熱的に安定している1又はそれ以上の好適な空気透過性の材料から形成することができる。好適な材料は、当該技術分野で公知であり、限定ではないが、ボール紙、プラスチック、セラミック、及びこれらの組み合わせを含む。
【0107】
好ましくは、開口した実質的に空気不透過性の中空本体の外部は、空気流路の第1の部分を定め、開口した実質的に空気不透過性の中空本体の内部は、空気流路の第2の部分を定める。
【0108】
1つの好ましい実施形態において、開口した実質的に空気不透過性の中空本体は、円筒体、好ましくは直円筒体である。
【0109】
別の好ましい実施形態において、開口した実質的に空気不透過性の中空本体は、円錐台であり、好ましくは、切頭直円錐体である。
【0110】
開口した実質的に空気不透過性の中空本体は、約7mmから約50mmの長さ、例えば、約10mmから約45mmの長さ、又は約15mmから約30mmの長さを有することができる。開口した実質的に空気不透過性の中空本体は、喫煙物品の望ましい全長、及び喫煙物品内の他の構成要素の存在及びその長さに応じて他の長さを有することができる。
【0111】
開口した実質的に空気不透過性の中空本体が円筒体である場合、該円筒体は、約2mmから約5mmの直径、例えば、約2.5mmから約4.5mmの直径を有することができる。円筒体は、喫煙物品の望ましい全体直径に応じて他の直径を有することができる。
【0112】
開口した実質的に空気不透過性の中空本体が円錐台である場合、円錐台の上流側端部は、約2mmから約5mmの直径、例えば、約2.5mmから約4.5mmの直径を有することができる。円錐台の上流側端部は、喫煙物品の望ましい全体直径に応じて他の直径を有することができる。
【0113】
開口した実質的に空気不透過性の中空本体が円錐台である場合、円錐台の下流側端部は、約5mmから約9mmの直径、例えば、約7mmから約8mmの直径を有することができる。円錐台の下流側端部は、喫煙物品の望ましい全体直径に応じて他の直径を有することができる。好ましくは、円錐台の下流側端部は、エアロゾル形成基材と実質的に同じ直径である。
【0114】
開口した実質的に空気不透過性の中空本体は、エアロゾル形成基材と当接することができる。或いは、開口した実質的に空気不透過性の中空本体は、エアロゾル形成基材内に延びることができる。例えば、特定の実施形態において、開口した実質的に空気不透過性の中空本体は、エアロゾル形成基材内に最大で0.5Lの距離を延びることができ、ここでLはエアロゾル形成基材の長さである。
【0115】
実質的に空気不透過性の中空本体の上流側端部は、エアロゾル形成基材よりも小さい直径のものである。
【0116】
特定の実施形態において、実質的に空気不透過性の中空本体の下流側端部は、エアロゾル形成基材よりも小さい直径のものである。
【0117】
他の実施形態において、実質的に空気不透過性の中空本体の下流側端部は、エアロゾル形成基材と実質的に同じ直径のものである。
【0118】
実質的に空気不透過性の中空本体の下流側端部がエアロゾル形成基材よりも小さい直径のものである場合、実質的に空気不透過性の中空本体は、実質的に空気不透過性のシールによって囲むことができる。このような実施形態において、実質的に空気不透過性のシールは、1又はそれ以上の第3の入口の下流側に位置付けられる。実質的に空気不透過性のシールは、エアロゾル形成基材と実質的に同じ直径のものとすることができる。例えば、一部の実施形態において、実質的に空気不透過性の中空本体の下流側端部は、エアロゾル形成基材と実質的に同じ直径の実質的に不透過性のプラグ又はワッシャによって囲むことができる。
【0119】
実質的に空気不透過性のシールは、可燃性熱源からエアロゾル形成基材への熱伝達によって発生したエアロゾルの温度にて実質的に熱的に安定している1又はそれ以上の好適な空気不透過性の材料から形成することができる。好適な材料は、当該技術分野で公知であり、限定ではないが、ボール紙、プラスチック、ワックス、シリコーン、及びこれらの組み合わせを含む。
【0120】
開口した実質的に空気不透過性の中空本体の長さの少なくとも一部は、空気透過性ディフューザによって囲むことができる。空気透過性ディフューザは、エアロゾル形成基材と実質的に同じ直径とすることができる。空気透過性ディフューザは、可燃性熱源からエアロゾル形成基材への熱伝達によって発生したエアロゾルの温度にて実質的に熱的に安定している1又はそれ以上の好適な空気透過性の材料から形成することができる。好適な空気透過性の材料は、当該技術分野で公知であり、限定ではないが、例えば、セルロースアセテートトウ、綿、オープンセルセラミック及びポリマー発泡体、タバコ材料、及びこれらの組み合わせなどの多孔性材料を含む。特定の好ましい実施形態において、空気透過性ディフューザは、実質的に均質な空気透過性の多孔性材料を含む。
【0121】
1つの好ましい実施形態において、空気流配向要素は、エアロゾル形成基材よりも小さな直径の開口した実質的に空気不透過性の中空管と、エアロゾル形成基材と実質的に同じ外径の実質的に空気不透過性の環状シールとを含み、該環状シールは、1又はそれ以上の第3の空気入口の下流側で中空管を囲む。
【0122】
この実施形態において、中空管の外部及び喫煙物品の外側ラッパーによって半径方向に境界付けられる容積は、1又はそれ以上の第3の空気入口から長手方向上流側にエアロゾル形成基材に向かって延びる空気流路の第1の部分を定め、中空管の内部によって半径方向に境界付けられる容積は、喫煙物品の唇側端部に向かって長手方向下流側に延びる空気流路の第2の部分を定める。
【0123】
空気流配向要素は更に、中空管及び実質的に空気不透過性の環状シールを囲む内側ラッパーを備えることができる。
【0124】
この実施形態において、中空管の外部及び空気流配向要素の内側ラッパーによって半径方向に境界付けられる容積は、1又はそれ以上の第3の空気入口から長手方向上流側にエアロゾル形成基材に向かって延びる空気流路の第1の部分を定め、中空管の内部によって境界付けられる容積は、喫煙物品の唇側端部に向かって長手方向下流側に延びる空気流路の第2の部分を定める。
【0125】
中空管の開放した上流側端部は、エアロゾル形成基材の下流側端部に当接することができる。或いは、中空管の開放した上流側端部は、エアロゾル形成基材の下流側端部に挿入又は他の方法で延びることができる。
【0126】
空気流配向要素は更に、エアロゾル形成基材と実質的に同じ外径の環状空気透過性ディフューザを含むことができ、該ディフューザは、実質的に空気不透過性の環状シールの上流側の中空管の長さの少なくとも一部を囲む。例えば、中空管は、セルロースアセテートトウのプラグ内に少なくとも部分的に埋め込むことができる。
【0127】
空気流配向要素が更に内側ラッパーを含む場合には、内側ラッパーは、中空管、実質的に空気不透過性の環状シール及び環状空気透過性ディフューザを囲むことができる。
【0128】
使用時には、ユーザが喫煙物品の唇側端部を吸入すると、低温空気が、エアロゾル形成基材の下流側の1又はそれ以上の第3の空気入口を通って喫煙物品内に吸い込まれる。吸い込まれた空気は、中空管の外部と、喫煙物品の外側ラッパー又は空気流配向要素の内側ラッパーとの間で空気流路の第1の部分に沿って上流側にエアロゾル形成基材に進む。吸い込まれた空気は、エアロゾル形成基材を通過し、次いで、ユーザによる吸入のため、空気流路の第2の部分に沿って下流側に中空管の内部を通り、喫煙物品の唇側端部に向かって進む。
【0129】
空気流配向要素が環状空気透過性ディフューザを含む場合、吸い込まれた空気は、空気流路の第1の部分に沿って上流側にエアロゾル形成基材に向けて進むときに環状空気透過性ディフューザを通過する。
【0130】
別の好ましい実施形態において、空気流配向要素は、エアロゾル形成基材よりも小さい直径の上流側端部及びエアロゾル形成基材と実質的に同じ直径の下流側端部を有する、開口した実質的に空気不透過性の中空円錐台を含む。
【0131】
この実施形態において、中空円錐台の外部及び喫煙物品の外側ラッパーによって半径方向に境界付けられる容積は、1又はそれ以上の第3の空気入口から長手方向上流側にエアロゾル形成基材に向かって延びる空気流路の第1の部分を定め、中空円錐台の内部によって半径方向に境界付けられる容積は、喫煙物品の唇側端部に向かって長手方向下流側に延びる空気流路の第2の部分を定める。
【0132】
中空円錐台の開放した上流側端部は、エアロゾル形成基材の下流側端部に当接することができる。或いは、中空円錐台の開放した上流側端部は、エアロゾル形成基材の下流側端部に挿入又は他の方法で延びることができる。
【0133】
空気流配向要素は更に、エアロゾル形成基材と実質的に同じ外径の環状空気透過性ディフューザを含むことができ、該ディフューザは、中空円錐台の長さの少なくとも一部を囲む。例えば、中空円錐台は、セルロースアセテートトウのプラグ内に少なくとも部分的に埋め込むことができる。
【0134】
使用時には、ユーザが喫煙物品の唇側端部を吸入すると、低温空気が、エアロゾル形成基材の下流側の1又はそれ以上の第3の空気入口を通って喫煙物品内に吸い込まれる。吸い込まれた空気は、エアロゾル形成基材を通過し、次いで、ユーザによる吸入のため、空気流路の第2の部分に沿って下流側に中空円錐台の内部を通り、喫煙物品の唇側端部に向かって進む。
【0135】
空気流配向要素が環状空気透過性ディフューザを含む場合、吸い込まれた空気は、空気流路の第1の部分に沿って上流側にエアロゾル形成基材に向けて進むときに環状空気透過性ディフューザを通過する。
【0136】
本発明による喫煙物品は、可燃性熱源の下流側端部とエアロゾル形成基材の上流側端部の間に1又はそれ以上の第1の空気入口、又はエアロゾル形成基材の外周部の周りに1又はそれ以上の第2の空気入口、或いは、エアロゾル形成基材の下流側に1又はそれ以上の第3の空気入口、もしくはこれらの組み合わせを含むことができることは理解されるであろう。
【0137】
好ましくは、可燃性熱源は炭素質熱源である。本明細書で用いる用語「炭素質」は、炭素を含む可燃性熱源を説明するのに使用される。
【0138】
好ましくは、本発明による喫煙物品で使用する可燃性炭素質熱源は、可燃性熱源の乾燥重量で、少なくとも約35パーセント、より好ましくは少なくとも約40パーセント、最も好ましくは少なくとも約40パーセントの炭素含有量を有する。
【0139】
一部の実施形態において、本発明による可燃性熱源は炭素系可燃性熱源である。本明細書で使用される用語「炭素系熱源」は、主として炭素から構成される熱源を説明するのに使用される。
【0140】
本発明による喫煙物品で使用する可燃性炭素系熱源は、乾燥重量で、可燃性炭素系熱源の少なくとも約50パーセント、好ましくは少なくとも約60パーセント、より好ましくは少なくとも約70パーセント、最も好ましくは少なくとも約80パーセントの炭素含有量を有することができる。
【0141】
本発明による喫煙物品は、1又はそれ以上の好適な炭素含有材料から形成された可燃性炭素質熱源を含むことができる。
【0142】
必要に応じて、1又はそれ以上の結合剤を1又はそれ以上の炭素含有材料と組み合わせることができる。好ましくは、1又はそれ以上の結合剤は有機結合剤である。好適な公知の有機結合剤は、限定ではないが、ガム(例えば、グアーガム)、改質セルロース及びセルロース誘導体(例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロース)小麦粉、澱粉、糖、植物性油、及びこれらの組み合わせを含む。
【0143】
1つの好ましい実施形態において、可燃性熱源は、炭素粉体、改質セルロース、小麦粉及び糖の混合物から形成される。
【0144】
1又はそれ以上の結合剤の代わりに又はこれに加えて、本発明による喫煙物品で使用する可燃性熱源は、可燃性炭素質熱源の特性を改善するために1又はそれ以上の添加剤を含むことができる。好適な添加剤は、限定ではないが、可燃性熱源の固化作用を促進する添加剤(例えば、焼結助剤)、可燃性熱源の点火を促進する添加剤(例えば、過塩素酸塩、塩素酸塩、硝酸塩、過酸化物、過マンガン酸塩、及び/又はジルコニウムなどの酸化剤)、可燃性熱源の燃焼を促進する添加剤(例えば、クエン酸カリウムのようなカリウム及びカリウム塩)及び可燃性熱源の燃焼によって生成する1又はそれ以上のガスの分解を促進する添加剤(例えば、CuO、Fe23及びAl23などの触媒)を含む。
【0145】
本発明による喫煙物品が、可燃性熱源の後面上に設けられた第1の障壁コーティングを含む第1の障壁を備える場合、このような添加剤は、第1の障壁コーティングを可燃性熱源の後面に施工する前又は施工した後に可燃性熱源に組み込むことができる。
【0146】
1つの好ましい実施形態において、可燃性熱源は、炭素及び少なくとも1つの点火助剤を含み且つ前端面(すなわち、上流側端面)及び反対側の後面(すなわち、下流側端面)を有する円筒形可燃性熱源であり、前面と後面との間の円筒形可燃性熱源の少なくとも一部が耐燃焼性ラッパーに包まれ、円筒形可燃性熱源の前面が点火すると、円筒形可燃性熱源の後面の温度が第1の温度まで上昇し、その後の円筒形可燃性熱源の燃焼中に、円筒形可燃性熱源の後面は、第1の温度よりも低い第2の温度を維持する。
【0147】
本明細書で用いる場合、用語「点火助剤」は、可燃性熱源の点火中にエネルギ及び酸素の一方又は両方を放出する材料を示すのに使用され、材料によるエネルギ及び酸素の一方又は両方の放出速度は、周囲の酸素拡散に制限されない。換言すると、可燃性熱源の点火中の材料によるエネルギ及び酸素の一方又は両方の放出速度は、概して、周囲酸素が材料に達することができる速度とは無関係である。また、本明細書で用いる用語「点火助剤」は、可燃性熱源の燃焼中にエネルギを放出する元素金属を示すのに使用され、元素金属の点火温度は約500℃を下回り、元素金属の燃焼熱は少なくとも約5kJ/gである。
【0148】
本明細書で用いる用語「点火助剤」は、炭素燃焼を改質すると考えられる、カルボン酸のアルカリ金属塩(アルカリ金属クエン酸塩、アルカリ金属酢酸塩及びアルカリ金属コハク酸塩など)、アルカリ金属ハロゲン塩(アルカリ金属塩酸塩など)、アルカリ金属カルボン酸塩又はアルカリ金属リン酸塩を含まない。このようなアルカリ金属燃焼塩は、可燃性熱源の総重量に対して大量に存在する場合でも、可燃性熱源の点火中、初期吸煙中に許容可能なエアロゾルを生成するほど十分なエネルギを放出しない。
【0149】
好適な酸化剤の例は、限定ではないが、例えば、硝酸カリウム、硝酸カルシウム、硝酸ストロンチウム、硝酸ナトリウム、硝酸バリウム、硝酸リチウム、硝酸アルミニウム及び硝酸鉄などの硝酸塩、亜硝酸塩、他の有機及び無機ニトロ化合物、例えば、塩素酸ナトリウム及び塩素酸カリウムなどの塩素酸塩、例えば、過塩素酸ナトリウムのような過塩素酸塩、亜塩素酸塩、例えば、臭素酸ナトリウム及び臭素酸カリウムなどの臭素酸塩、過臭素酸塩、亜臭素酸塩、例えば、ホウ酸ナトリウム及びホウ酸カリウムなどのホウ酸塩、例えば、鉄酸バリウムのような鉄酸塩、フェライト、例えば、マンガン酸カリウムのようなマンガン酸塩、例えば、過マンガン酸カリウムのような過マンガン酸塩、例えば、過酸化ベンゾイル及び過酸化アセトンのような有機化酸化物、例えば、過酸化水素、過酸化ストロンチウム、過酸化マグネシウム、過酸化カルシウム、過酸化バリウム、過酸化亜鉛及び過酸化リチウムなどの無機過酸化物、例えば、超酸化カリウム及び超酸化ナトリウムなどの超酸化物、炭酸塩、ヨウ素酸塩、過ヨウ素酸塩、亜ヨウ素酸塩、硫酸塩、亜硫酸塩、他のスルホキソド、リン酸塩、ホスフィン酸塩(phospinate)、亜リン酸塩、及び亜ホスフィン酸塩(phosphanite)を含む。
【0150】
有利には、可燃性熱源の点火及び燃焼特性を改善する一方で、点火及び燃焼添加剤を含有することで、喫煙物品の使用中に、望ましくない分解及び反応生成物が生じる可能性がある。例えば、点火を助けるために可燃性熱源に含まれる硝酸塩の分解は、窒素酸化物の形成をもたらす可能性がある。喫煙物品を通る1又はそれ以上の空気流路から可燃性熱源を隔離することで、有利には、使用中にこのような分解及び反応生成物が喫煙物品を通じて吸い込まれた空気に入り込むのが阻止又は抑制される。
【0151】
加えて、点火を助ける硝酸塩又は他の添加剤のような酸化剤を含有すると、可燃性熱源の点火中に、高温ガスの発生及び可燃性熱源の高温化をもたらす可能性がある。喫煙物品を通る1又はそれ以上の空気流路から可燃性熱源を隔離することで、有利には、エアロゾル形成基材が暴露される温度が制限されるので、可燃性熱源の点火中にエアロゾル形成基材の熱劣化又は燃焼を排除又は低減するのに役立つ。
【0152】
本発明による喫煙物品で使用する可燃性炭素質熱源は、好ましくは、1又はそれ以上の炭素含有材料を1又はそれ以上の結合剤及び他の添加剤(含有される場合)と混合して、所望の形状に予備形成することによって形成される。1又はそれ以上の炭素含有材料、1又はそれ以上の結合剤、及び任意選択の他の添加剤の混合物は、例えば、鋳込み成形、押し出し成形、射出成形、及びダイ圧密などのあらゆる好適な公知のセラミック形成法を用いて所望の形状に予備形成することができる。特定の好ましい実施形態において、混合物は、押し出し成形によって所望の形状に予備形成される。
【0153】
好ましくは、1又はそれ以上の炭素含有材料、1又はそれ以上の結合剤及び他の添加剤の混合物は、細長いロッドに予備形成される。しかしながら、1又はそれ以上の炭素含有材料、1又はそれ以上の結合剤及び他の添加剤の混合物は、他の所望の形状に予備形成することができることは理解されるであろう。
【0154】
形成後、特に押し出し成形後、細長いロッド又は他の所望の形状物は、好ましくは、乾燥させてその水分含有量を低減し、次に、存在する場合には、1又はそれ以上の結合剤を炭化するのに十分な温度の非酸化性雰囲気で熱分解して、細長いロッド又は他の形状物の何らかの揮発性物質を実質的に排除する。好ましくは、約700℃~約900℃の温度の窒素雰囲気において、細長いロッド又は他の所望の形状物を熱分解する。
【0155】
1つの実施形態では、少なくとも1つの金属硝酸塩は、1又はそれ以上の炭素含有材料、1又はそれ以上の結合剤及び他の添加剤の混合物中に少なくとも1つの金属硝酸塩前駆体を含むことによって可燃性熱源に組み込まれる。次に、少なくとも1つの金属硝酸塩前駆体は、硝酸水溶液で熱分解予備形成の円筒形ロッド又は他の形状物を処理することによって、少なくとも1つの金属硝酸塩に現場で転化される。1つの実施形態では、可燃性熱源は、約600℃未満、より好ましくは約400℃未満の熱分解温度を有する少なくとも1つの金属硝酸塩を含む。好ましくは、少なくとも1つの金属硝酸塩は、約150℃から約600℃、より好ましくは約200℃から約400℃の分解温度を有する。
【0156】
好ましい実施形態では、従来の黄炎ライター又は他の点火手段に可燃性熱源を暴露することで、少なくとも1つの金属硝酸塩が分解して酸素及びエネルギを放出するようになる。この分解は、可燃性熱源の初期の温度上昇をもたらし、また、可燃性熱源の点火を助ける。少なくとも1つの金属硝酸塩の分解に続いて、好ましくは、可燃性熱源はより低い温度で燃焼し続ける。
【0157】
有利には、少なくとも1つの金属硝酸塩を含有することで、可燃性熱源の点火は可燃性熱源の表面上のある点だけでなく内部で引き起こされることになる。好ましくは、可燃性熱源の乾燥重量で約20パーセントから約50パーセントの量の可燃性熱源中に、少なくとも1つの金属硝酸塩が存在する。
【0158】
別の実施形態では、可燃性熱源は、約600℃未満の温度、より好ましくは約400℃未満の温度で能動的に酸素を発生する少なくとも1つの過酸化物又は超酸化物を含む。
【0159】
好ましくは、少なくとも1つの過酸化物又は超酸化物は、約150℃から約600℃の温度、より好ましくは約200℃から約400℃の温度、最も好ましくは約350℃の温度で能動的に酸素を発生する。
【0160】
使用時には、従来の黄炎ライター又は他の点火手段に可燃性熱源を暴露すると、少なくとも1つの過酸化物又は超酸化物が分解して酸素を放出するようになる。これにより、可燃性熱源の初期の温度上昇をもたらし、また、可燃性熱源の点火を助ける。少なくとも1つの過酸化物又は超酸化物の分解に続いて、好ましくは、可燃性熱源はより低い温度で燃焼し続ける。
【0161】
有利には、少なくとも1つの過酸化物又は超酸化物を含有することで、可燃性熱源の点火は、可燃性熱源の表面上のある点だけでなく内部で引き起こされることになる。
【0162】
可燃性熱源は、好ましくは、約20パーセントから約80パーセント、より好ましくは約20パーセントから約60パーセントの多孔率を有する。可燃性熱源が少なくとも1つの金属硝酸塩を含有する場合、これにより、有利には、酸素は、少なくとも1つの金属硝酸塩が分解して燃焼が進むときに燃焼を持続するのに十分な速度で、可燃性熱源の質量体中に拡散できるようになる。より好ましくは、可燃性熱源は、例えば、水銀ポロシメトリ又はヘリウムピクノメトリによって測定すると、約50パーセントから約70パーセント、より好ましくは約50パーセントから約60パーセントの多孔率を有する。必要とされる多孔率は、従来の方法及び技術を用いて可燃性熱源の生成中に容易に達成することができる。
【0163】
有利には、本発明による喫煙物品で使用する可燃性炭素質熱源は、約0.6g/cm3から約1g/cm3の見掛け密度を有する。
【0164】
好ましくは、可燃性熱源は、約300mgから約500mg、より好ましくは約400mgから約450mgの質量を有する。
【0165】
好ましくは、可燃性熱源は、約7mmから約17mm、より好ましくは約7mmから約15mm、最も好ましくは約7mmから約13mmの長さを有する。
【0166】
好ましくは、可燃性熱源は、約5mmから約9mm、より好ましくは約7mmから約8mmの直径を有する。
【0167】
好ましくは、可燃性熱源の直径は、実質的に均一である。しかしながら、代替として、可燃性熱源はテーパ付けされ、可燃性熱源の後方部分の直径がその前方部分の直径よりも大きいようにすることができる。特に、実質的に円筒形の可燃性熱源が好ましい。可燃性熱源は、例えば、実質的に円形断面の円筒体又はテーパ付き円筒体、或いは実質的に楕円形断面の円筒体又はテーパ付き円筒体とすることができる。
【0168】
本発明による喫煙物品は、好ましくは、少なくとも1つのエアロゾル形成剤を含むエアロゾル形成基材を備える。このような実施形態において、エアロゾル形成基材からの可燃性熱源の隔離により、有利には、喫煙物品の貯蔵中のエアロゾル形成基材から可燃性熱源への少なくとも1つのエアロゾル形成剤の移動が阻止又は抑制される。このような実施形態において、1又はそれ以上の空気流路からの可燃性熱源の隔離はまた、有利には、喫煙物品の使用中のエアロゾル形成基材から可燃性熱源への少なくとも1つのエアロゾル形成剤の移動が実質的に阻止又は抑制される。従って、有利には、喫煙物品の使用中の少なくとも1つのエアロゾル形成剤の分解が実質的に排除又は低減される。
【0169】
少なくとも1つのエアロゾル形成剤は、使用時に高密度で安定したエアロゾルの形成を促進し、且つ喫煙物品の動作温度での熱劣化に実質的に耐性があるあらゆる好適な既知の化合物又は化合物の混合物とすることができる。好適なエアロゾル形成剤は、当該技術分野で公知であり、例えば、多価アルコール、グリセロールモノ-、ジ-又はトリアセテートのような多価アルコールのエステル、並びにジメチルドデカンジオアート及びジメチルテトラデカンジオアートなどのモノ-、ジ-又はポリカルボン酸の脂肪族エステルを含む。本発明による喫煙物品で用いるのに好ましいエアロゾル形成剤は、トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、最も好ましくはグリセリンなどの多価アルコール又はこれらの混合物である。
【0170】
本発明による喫煙物品の可燃性熱源及びエアロゾル形成基材は、実質的に互いに当接することができる。或いは、本発明による喫煙物品の可燃性熱源及びエアロゾル形成基材は、互いにから長手方向に離間して配置することができる。
【0171】
好ましくは、本発明による喫煙物品は更に、可燃性熱源の後方部分及び隣接するエアロゾル形成基材の前方部分の周りで直接接触状態にある熱伝導要素を含む。熱伝導要素は、好ましくは耐燃焼性であり酸素を制限する。
【0172】
熱伝導要素は、可燃性熱源の後方部分及びエアロゾル形成基材の前方部分の両方の周辺で直接接触状態にある。熱伝導要素は、本発明による喫煙物品のこれら2つの構成要素の間に熱リンクを提供する。
【0173】
本発明による喫煙物品で用いるのに好適な熱伝導要素は、限定ではないが、例えば、アルミニウム箔ラッパー、鋼ラッパー、鉄箔ラッパー及び銅箔ラッパーなどの金属箔ラッパー、並びに金属合金箔ラッパーを含む。
【0174】
好ましくは、熱伝導要素によって囲まれた可燃性熱源の後方部分は、長さが約2mmから約8mm、より好ましくは長さが約3mmから約5mmである。
【0175】
好ましくは、熱伝導要素によって囲まれていない可燃性熱源の前方部分は、長さが約4mmから約15mm、より好ましくは長さが約4mmから約8mmである。
【0176】
好ましくは、エアロゾル形成基材は、約5mmから約20mm、より好ましくは約8mmから約12mmの長さを有する。
【0177】
特定の実施形態において、エアロゾル形成基材は、熱伝導要素を越えて下流側に少なくとも約3mm延びる。
【0178】
好ましくは、熱伝導要素によって囲まれたエアロゾル形成基材の前方部分は、長さが約2mmから約10mm、より好ましくは長さが約3mmから約8mm、最も好ましくは長さが約4mmから約6mmである。好ましくは、熱伝導要素によって囲まれていないエアロゾル形成基材の後方部分は、長さが約3mmから約10mmである。換言すると、エアロゾル形成基材は、好ましくは、熱伝導要素を越えて下流側に約3mmから約10mm延びる。より好ましくは、エアロゾル形成基材は、熱伝導要素を越えて下流側に少なくとも約4mm延びる。
【0179】
他の実施形態において、エアロゾル形成基材は、熱伝導要素を越えて下流側に3mmよりも短く延びることができる。
【0180】
更に別の実施形態において、エアロゾル形成基材の全長を熱伝導要素によって囲むことができる。
【0181】
好ましくは、本発明による喫煙物品は、少なくとも1つのエアロゾル形成剤と、加熱に反応して揮発性化合物を放出できる材料とを有するエアロゾル形成基材を含む。好ましくは、加熱に反応して揮発性化合物を放出することができる材料は、植物由来の材料チャージ、より好ましくは均質化植物由来の材料チャージである。例えば、エアロゾル形成基材は、限定ではないが、タバコ、例えば緑茶のような茶、ペパーミント、月桂樹、ユーカリ、バジル、セージ、バーベナ、及びタラゴンを含む植物に由来する1又はそれ以上の材料を含むことができる。植物由来の材料は、限定ではないが、保湿剤、香味料、結合剤、及びこれらの混合物を含む添加剤を含むことができる。好ましくは、植物由来の材料は、本質的にタバコ材料、最も好ましくは均質化タバコ材料からなる。
【0182】
本発明による喫煙物品は更に、好ましくは、エアロゾル形成基材の下流側、及び存在する場合には空気流配向要素の下流側に膨張チャンバを含む。有利には、膨張チャンバを含むことで、可燃性熱源からエアロゾル形成基材への熱伝達によって生成されるエアロゾルの更なる冷却が可能になる。有利には、膨張チャンバはまた、本発明による喫煙物品の全長を所望の値、例えば、膨張チャンバの長さの適切な選択によって従来のシガレットの長さに類似した長さに調節することを可能にする。好ましくは、膨張チャンバは、細長い中空管である。
【0183】
また、本発明による喫煙物品は更に、エアロゾル形成基材の下流側、及び存在する場合には空気流配向要素及び膨張チャンバの下流側にマウスピースを備える。好ましくは、マウスピースは、低濾過効率のもの、より好ましくは超低濾過効率のものである。マウスピースは、単一セグメント又は構成要素のマウスピースとすることができる。代替として、マウスピースは、複数セグメント又は複数構成要素とすることができる。
【0184】
マウスピースは、例えば、酢酸セルロース、紙、又は他の好適な公知の濾過材で作られたフィルタを含むことができる。代替として、又はこれに加えて、マウスピースは、吸収剤、吸着剤、香味料、及び他のエアロゾル改質剤及び添加剤、又はこれらの組み合わせを含む1又はそれ以上のセグメントを含むことができる。
【0185】
本発明の1つの態様に関して記載した特徴は、本発明の別の態様にも適用可能とすることができる。詳細には、本発明による喫煙物品及び可燃性熱源に関して記載した特徴は、本発明による方法にも適用可能とすることができる。
【0186】
本発明は、例証として添付図面を参照しながら以下で更に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0187】
図1a】非閉塞可燃性熱源を含む本発明の第1の実施形態による喫煙物品の組立分解図である。
図1b】非閉塞可燃性熱源を含む本発明の第2の実施形態による喫煙物品の組立分解図である。
図1c】非閉塞可燃性熱源を含む本発明の第3の実施形態による喫煙物品の組立分解図である。
図1d】閉塞可燃性熱源を含む本発明の第4の実施形態による喫煙物品の組立分解図である。
図1e】閉塞可燃性熱源を含む本発明の第5の実施形態による喫煙物品の組立分解図である。
図2図1aに示す本発明の第1の実施形態による喫煙物品の概略長手方向断面図である。
図3】閉塞可燃性熱源を含む本発明の第6の実施形態による喫煙物品の概略長手方向断面図である。
図4】閉塞可燃性熱源を含む本発明の第7の実施形態による喫煙物品の概略長手方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0188】
図1a及び2に示す本発明の第1の実施形態による喫煙物品2は、同軸上に当接して整列された可燃性炭素質熱源4、エアロゾル形成基材6、細長い膨張チャンバ8、及びマウスピース10を備える。可燃性炭素質熱源4、エアロゾル形成基材6、細長い膨張チャンバ8、及びマウスピース10は、空気透過性の低いシガレット紙12の外側ラッパーで包装される。
【0189】
図2に示すように、不燃性で実質的に空気不透過性の第1の障壁コーティング14が、可燃性炭素質熱源4の後面全体に設けられる。
【0190】
可燃性炭素質熱源4は、可燃性炭素質熱源4及び不燃性で実質的に空気不透過性の第1の障壁コーティング14を長手方向に貫通して延びる中心空気流チャネル16を含む。不燃性で実質的に空気不透過性の第2の障壁コーティング18が、中心空気流チャネル16の内側表面全体に設けられる。
【0191】
エアロゾル形成基材6は、可燃性炭素質熱源4の後面の直ぐ下流側に配置され、エアロゾル形成剤としてグリセリンを含み且つフィルタプラグラップ22によって囲まれたタバコ材料20の円筒形プラグを含む。
【0192】
アルミニウム箔の管体からなる熱伝導要素24は、可燃性炭素質熱源4の後方部分4b及びエアロゾル形成基材6の当接する前方部分6aを囲み、これらと直接接触した状態にある。図2に示すように、エアロゾル形成基材6の後方部分は、熱伝導要素24によって囲まれていない。
【0193】
細長い膨張チャンバ8は、エアロゾル形成基材6の下流側に位置し、エアロゾル形成基材6と実質的に同じ直径のものであるボール紙の円筒形開口中空管26を備える。喫煙物品2のマウスピース10は、膨張チャンバ8の下流側に位置し、フィルタプラグラップ30によって囲まれた超低濾過効率のセルロースアセテートトウの円筒形プラグ28を備える。マウスピース10は、チップペーパー(図示せず)によって囲むことができる。
【0194】
使用時には、ユーザは、可燃性炭素質熱源4に点火し、次に、マウスピース10を吸引して、可燃性炭素質熱源4の中心空気流チャネル16を通じて下流側に空気を吸引する。エアロゾル形成基材6の前方部分6aは、可燃性炭素質熱源4の当接する後方部分4b及び熱伝導要素22を介して主として熱伝導によって加熱される。吸い込まれた空気は、可燃性炭素質熱源4の中心空気流チャネル16を通過するときに加熱され、その後、対流によってエアロゾル形成基材6を加熱する。熱伝導及び対流によるエアロゾル形成基材6の加熱により、タバコ材料20のプラグから揮発性及び半揮発性化合物及びグリセリンが放出され、これらはエアロゾル形成基材18を通過するときに加熱された吸引空気に同伴される。加熱された空気及び同伴された化合物は、膨張チャンバ8を通って下流側に進み、冷却されて凝縮し、マウスピース10を通過してユーザの口腔に入るエアロゾルを形成する。
【0195】
本発明の第1の実施形態による喫煙物品2を通る空気流路が図1aに破線矢印で例示されている。可燃性炭素質熱源4の後面上に設けられた不燃性で実質的に空気不透過性の第1の障壁コーティング14及び中心空気流チャネル16の内側表面上に設けられた不燃性で実質的に空気不透過性の第2の障壁コーティング18により、可燃性炭素質熱源4は、使用時に空気流路に沿って喫煙物品2を通って吸い込まれる空気が可燃性熱源4と直接接触しないように空気流路から隔離される。
【0196】
図1a及び2に示し、表1に示す寸法を有する本発明の第1の実施形態による喫煙物品は、以下の実施例1及び6に従って生成された可燃性炭素質熱源を用いて組み立てた。
【0197】
表1
【0198】
図1bに示す本発明の第2の実施形態による喫煙物品32は、図1a及び2に示す本発明の第1の実施形態による喫煙物品とほぼ同じ構造のものである。しかしながら、本発明の第2の実施形態による喫煙物品32において、可燃性炭素質熱源4及びエアロゾル形成基材6は、喫煙物品の長さに沿って互いに離間して配置される。第1の空気入口の円周方向の配列は、可燃性炭素質熱源4の下流側端部とエアロゾル形成基材6の上流側端部との間でシガレット紙12及び熱伝導要素24に設けられ、低温空気が可燃性炭素質熱源4とエアロゾル形成基材6との間のスペースに流入するようにする。
【0199】
使用時に、ユーザが本発明の第2の実施形態による喫煙物品32のマウスピース10を吸入すると、可燃性炭素質熱源4の中心空気流チャネル16を通って下流側に空気が吸い込まれ、空気はまた、シガレット紙12及び熱伝導要素24における第1の空気入口を通って可燃性炭素質熱源4とエアロゾル形成基材6との間のスペースに吸い込まれる。第1の空気入口を通って吸い込まれる低温空気と、可燃性炭素質熱源4の中心空気流チャネル16を通って吸い込まれる加熱空気とを混合することにより、ユーザによる吸煙中に本発明の第2の実施形態による喫煙物品32のエアロゾル形成基材6を通って吸い込まれる空気の温度が低くなる。
【0200】
本発明の第2の実施形態による喫煙物品32を貫通する空気流路が、図1bに破線矢印で例示されている。可燃性炭素質熱源4の後面上に設けられた不燃性で実質的に空気不透過性の第1の障壁コーティング14及び中心空気流チャネル16の内側表面上に設けられた不燃性で実質的に空気不透過性の第2の障壁コーティング18により、可燃性炭素質熱源4は、使用時に空気流路に沿って喫煙物品2を通って吸い込まれる空気が可燃性熱源4と直接接触しないように空気流路から隔離される。
【0201】
図1cに示す本発明の第3の実施形態による喫煙物品34はまた、図1a及び2に示す本発明の第1の実施形態による喫煙物品とほぼ同じ構造のものである。しかしながら、本発明の第3の実施形態による喫煙物品34において、第2の空気入口の円周方向の配列は、エアロゾル形成基材6を囲むシガレット紙12及びフィルタプラグラップ22に設けられ、エアロゾル形成基材6に低温空気が流入するようにする。
【0202】
使用時に、ユーザが本発明の第の実施形態による喫煙物品34のマウスピース10を吸入すると、可燃性炭素質熱源4の中心空気流チャネル16を通って下流側に空気が吸い込まれ、空気はまた、シガレット紙12及びフィルタプラグラップ22における第2の空気入口を通ってエアロゾル形成基材6に吸い込まれる。第2の空気入口を通って吸い込まれる低温空気により、ユーザによる吸煙中に本発明の第3の実施形態による喫煙物品32のエアロゾル形成基材6の温度が低くなる。
【0203】
本発明の第3の実施形態による喫煙物品34を貫通する空気流路が、図1cに破線矢印で例示されている。可燃性炭素質熱源4の後面上に設けられた不燃性で実質的に空気不透過性の第1の障壁コーティング14及び中心空気流チャネル16の内側表面上に設けられた不燃性で実質的に空気不透過性の第2の障壁コーティング18により、可燃性炭素質熱源4は、使用時に空気流路に沿って喫煙物品2を通って吸い込まれる空気が可燃性熱源4と直接接触しないように空気流路から隔離される。
【0204】
図1d及び1eに示す本発明の第4及び第5の実施形態による喫煙物品36、38は、図1b及び1cにそれぞれ示す本発明の第2及び第3の実施形態による喫煙物品とほぼ同じ構造のものであり、類似の方法で組み立てることができる。しかしながら、本発明の第4及び第5の実施形態による喫煙物品36、38は、中心空気流チャネル16を含まない可燃性炭素質熱源38を備える。不燃性で実質的に空気不透過性の第1の障壁コーティング14が、本発明の第4及び第5の実施形態による喫煙物品36、38の可燃性炭素質熱源38の後面全体上に設けられる。
【0205】
使用時に、ユーザが本発明の第4及び第5の実施形態による喫煙物品36、38のマウスピース10を吸入すると、空気は可燃性炭素質熱源38を通って吸い込まれない。そのため、エアロゾル形成基材6は、可燃性炭素質熱源4の当接する後方部分4b及び熱伝導要素24を通じた熱伝導によってのみ加熱される。
【0206】
本発明の第4及び第5の実施形態による喫煙物品36、38を貫通する空気流路が、図1d及び1eに破線矢印で例示されている。本発明の第4及び第5の実施形態による喫煙物品36、38の可燃性炭素質熱源38の後面全体に設けられた不燃性で実質的に空気不透過性の第1の障壁コーティング14により、可燃性炭素質熱源38は、使用時に空気流路に沿って喫煙物品36、38通って吸い込まれる空気が可燃性熱源38と直接接触しないように空気流路から隔離される。
【0207】
図3に示す本発明の第6の実施形態による喫煙物品42は、同軸上に当接して整列された可燃性炭素質熱源40、エアロゾル形成基材6、空気流配向要素44、細長い膨張チャンバ8、及びマウスピース10を備える。可燃性炭素質熱源40、エアロゾル形成基材6、空気流配向要素44、細長い膨張チャンバ8、及びマウスピース10は、空気透過性の低いシガレット紙12の外側ラッパーで包装される。
【0208】
図3に示すように、不燃性で実質的に空気不透過性の第1の障壁コーティング14が、可燃性炭素質熱源40の後面全体に設けられる。
【0209】
エアロゾル形成基材6は、可燃性炭素質熱源40の直ぐ下流側に配置され、エアロゾル形成剤としてグリセリンを含み且つフィルタプラグラップ22によって囲まれたタバコ材料の円筒形プラグ20を含む。
【0210】
アルミニウム箔の管体からなる熱伝導要素24は、可燃性炭素質熱源40の後方部分4b及びエアロゾル形成基材6の当接する前方部分6aを囲み、これらと直接接触した状態にある。図3に示すように、エアロゾル形成基材6の後方部分は、熱伝導要素24によって囲まれていない。
【0211】
空気流配向要素44は、エアロゾル形成基材6の下流側に配置され、例えば、ボール紙から作られた開口した実質的に空気不透過性の中空円錐台46を含む。開口中空円錐台46の下流側端部は、直径がエアロゾル形成基材6と実質的に同じであり、開口中空円錐台46の上流側端部は、エアロゾル形成基材6と比べて小さな直径である。
【0212】
開口中空円錐台46の上流側端部は、エアロゾル形成基材6と当接し、エアロゾル形成基材6と直径が実質的に同じであるフィルタプラグラップ50によって囲まれたセルロースアセテートトウの空気透過性円筒形プラグ48に埋め込まれる。代替の実施形態(図示せず)において、開口中空円錐台46の上流側端部は、エアロゾル形成基材6の後方部分に延びることができることは理解されるであろう。また、代替の実施形態(図示せず)において、セルロースアセテートトウの円筒形プラグ48は省略することができることは理解されるであろう。
【0213】
図3に示すように、セルロースアセテートトウの円筒形プラグ48に埋め込まれない開口中空円錐台46の部分は、例えば、ボール紙から作られた低空気透過性の内側ラッパー52によって囲まれる。代替の実施形態(図示せず)において、内側ラッパー52は省略することができることは理解されるであろう。
【0214】
図3にまた示すように、第3の空気入口54の円周方向の配列は、セルロースアセテートトウの円筒形プラグ48の下流側で開口中空円錐台46を囲む外側ラッパー12及び内側ラッパー52に設けられる。
【0215】
細長い膨張チャンバ8は、空気流配向要素44の下流側に配置され、例えば、ボール紙から作られた、エアロゾル形成基材6と実質的に同じ直径の円筒形開口中空管26を含む。喫煙物品42のマウスピース10は、膨張チャンバ8の下流側に配置され、フィルタプラグラップ50によって囲まれた低濾過効率のセルロースアセテートトウの円筒形プラグ28を含む。マウスピース10は、チップペーパー(図示せず)によって囲むことができる。
【0216】
本発明の第6の実施形態による喫煙物品42は、第3の空気入口54と喫煙物品42の唇側端部との間に延びる空気流路を含む。開口中空円錐台46の外部及び内側ラッパー52によって境界付けられる容積は、第3の空気入口54とエアロゾル形成基材6との間の空気流路の第1の部分を形成し、開口中空円錐台46の内部によって境界付けられる容積は、エアロゾル形成基材6と膨張チャンバ8との間の空気流路の第2の部分を形成する。
【0217】
使用時には、ユーザがマウスピース10を吸入すると、低温空気が、第3の空気入口54を通って本発明の第6の実施形態による喫煙物品42内に吸い込まれる。吸い込まれた空気は、開口中空円錐台46の外部と内側ラッパー52との間の空気流路の第1の部分に沿って且つセルロースアセテートトウの円筒形プラグ48を通ってエアロゾル形成基材6の上流側に進む。
【0218】
エアロゾル形成基材6の前方部分6aは、可燃性炭素質熱源40の当接する後方部分4b及び熱伝導要素24を通じた熱伝導によって加熱される。エアロゾル形成基材6の加熱により、タバコ材料20のプラグから揮発性及び半揮発性化合物及びグリセリンが放出され、これらはエアロゾル形成基材6を通過するときに吸引空気に同伴される。吸引空気及び同伴された化合物は、空気流路の第2の部分に沿って開口中空円錐台46の内部を通って膨張チャンバ8に下流側に進み、ここでこれらが冷却されて凝縮し、マウスピース10を通過してユーザの口腔に入るエアロゾルを形成する。
【0219】
可燃性炭素質熱源40の後面上に設けられた不燃性で実質的に空気不透過性の第1の障壁コーティング14により、可燃性炭素質熱源40は、使用時に空気流路の第1の部分及び空気流路の第2の部分に沿って喫煙物品42を通って吸い込まれる空気が可燃性熱源40と直接接触しないように、喫煙物品42を貫通する空気流路から隔離される。
【0220】
図4に示す本発明の第7の実施形態による喫煙物品56はまた、同軸上に当接して整列された可燃性炭素質熱源40、エアロゾル形成基材6、空気流配向要素44、細長い膨張チャンバ8、及びマウスピース10を備える。可燃性炭素質熱源40、エアロゾル形成基材6、空気流配向要素44、細長い膨張チャンバ8、及びマウスピース10は、空気透過性の低いシガレット紙12の外側ラッパーで包装される。
【0221】
図4に示すように、不燃性で実質的に空気不透過性の第1の障壁コーティング14は、可燃性炭素質熱源40の後面全体上に設けられる。
【0222】
エアロゾル形成基材6は、可燃性炭素質熱源40の直ぐ下流側に配置され、エアロゾル形成剤としてグリセリンを含み且つフィルタプラグラップ22によって囲まれたタバコ材料の円筒形プラグ20を含む。
【0223】
アルミニウム箔の管体からなる熱伝導要素24は、可燃性炭素質熱源40の後方部分4b及びエアロゾル形成基材6の当接する前方部分6aを囲み、これらと直接接触した状態にある。図4に示すように、エアロゾル形成基材6の後方部分は、熱伝導要素24によって囲まれていない。
【0224】
空気流配向要素44は、エアロゾル形成基材6の下流側に配置され、例えば、ボール紙から作られ、エアロゾル形成基材6と比べて小さな直径の開口した実質的に空気不透過性の中空管58を含む。開口中空管58の上流側端部は、エアロゾル形成基材6と当接する。開口中空管58の下流側端部は、直径がエアロゾル形成基材6と実質的に同じである実質的に空気不透過性の環状シール60によって囲まれる。開口中空管58の残りの部分は、直径がエアロゾル形成基材6と実質的に同じであるセルロースアセテートトウの空気透過性円筒形プラグ62に埋め込まれる。
【0225】
開口中空管58及びセルロースアセテートトウの円筒形プラグ62は、空気透過性内側ラッパー64によって囲まれる。
【0226】
図4にまた示すように、第3の空気入口54の円周方向の配列は、内側ラッパー64を囲む外側ラッパー12に設けられる。
【0227】
細長い膨張チャンバ8は、空気流配向要素44の下流側に配置され、例えば、ボール紙から作られた、エアロゾル形成基材6と実質的に同じ直径の円筒形開口中空管26を含む。喫煙物品42のマウスピース10は、膨張チャンバ8の下流側に配置され、フィルタプラグラップ50によって囲まれた超低濾過効率のセルロースアセテートトウの円筒形プラグ28を含む。マウスピース10は、チップペーパー(図示せず)によって囲むことができる。
【0228】
本発明の第7の実施形態による喫煙物品56は、第3の空気入口54と喫煙物品56の唇側端部との間に延びる空気流路を含む。開口中空管58の外部及び内側ラッパー64によって境界付けられる容積は、第3の空気入口54とエアロゾル形成基材6との間の空気流路の第1の部分を形成し、開口中空管58の内部によって境界付けられる容積は、エアロゾル形成基材6と膨張チャンバ8との間の空気流路の第2の部分を形成する。
【0229】
使用時には、ユーザがマウスピース10を吸入すると、低温空気が、第3の空気入口54を通って本発明の第7の実施形態による喫煙物品56内に吸い込まれる。吸い込まれた空気は、開口中空管58の外部と内側ラッパー64との間の空気流路の第1の部分に沿って且つセルロースアセテートトウの円筒形プラグ62を通ってエアロゾル形成基材6の上流側に進む。
【0230】
エアロゾル形成基材6の前方部分6aは、可燃性炭素質熱源40の当接する後方部分4b及び熱伝導要素24を通じた熱伝導によって加熱される。エアロゾル形成基材6の加熱により、タバコ材料20のプラグから揮発性及び半揮発性化合物及びグリセリンが放出され、これらはエアロゾル形成基材6を通過するときに吸引空気に同伴される。吸引空気及び同伴された化合物は、空気流路の第2の部分に沿って開口中空管58の内部を通って膨張チャンバ8に下流側に進み、ここでこれらが冷却されて凝縮し、マウスピース10を通過してユーザの口腔に入るエアロゾルを形成する。
【0231】
可燃性炭素質熱源40の後面上に設けられた不燃性で実質的に空気不透過性の第1の障壁コーティング14により、可燃性炭素質熱源40は、使用時に空気流路の第1の部分及び空気流路の第2の部分に沿って喫煙物品56を通って吸い込まれる空気が可燃性熱源40と直接接触しないように、喫煙物品56を貫通する空気流路から隔離される。
【0232】
図3及び4に示し、表2に示す寸法を有する本発明の第6及び7の実施形態による喫煙物品は、以下の実施例1及び6に従って生成され、長手方向空気流チャネルのない可燃性炭素質熱源を用いて組み立てた。
【0233】
表2
【実施例1】
【0234】
可燃性熱源の前処理
本発明による喫煙物品で使用するための可燃性の円筒形炭素質熱源は、国際公開特許第2009/074870A2号又は当業者に公知の任意の他の先行技術で説明されるように前処理することができる。国際公開特許第2009/074870A2号で説明するような水性スラリは、円形断面の中心ダイオリフィスを有するダイを通じて押し出されて、可燃性熱源を作るようになっている。ダイオリフィスは、約20cmから約22cmの長さ及び約9.1cmから約9.2mmの直径を有する円筒形ロッドを形成するように8.7mmの直径を有する。単一の長手方向空気流チャネルは、ダイオリフィスの中心に装着されたマンドレルによって円筒形ロッド内に形成される。マンドレルは、好ましくは、約2mm又は約3.5mmの外径の円形断面を有する。もしくは、3つの空気流チャネルは、ダイオリフィス内に直角で取り付けられた外径約2mmの円形断面の3つのマンドレルを用いて円筒形ロッド内に形成される。円筒形ロッドの押し出し時に、1つ又は複数のマンドレルの中心を貫通して延びる供給通路を通して粘土系コーティングスラリ(自然緑色粘土のような粘土を用いて作られた)を圧送し、1つ又は複数の空気流チャネルの内側表面上に約150ミクロンから約300ミクロンの薄い第2の障壁コーティングを形成する。約12時間から約72時間の間、約40%から約50%の相対湿度で約20℃から約25℃の温度で、円筒形ロッドを乾燥させ、次に、約240分の間、約750℃の窒素雰囲気中で熱分解する。熱分解後、研磨機を用いて円筒形ロッドを所定の直径に切断及び成形し、個々の可燃性炭素質熱源を形成する。切断及び成形後のロッドは、約11mmの長さ、約7.8mmの直径、及び約400mgの乾燥質量を有する。その後、個々の可燃性炭素質熱源は、約1時間の間、約130℃で乾燥させる。
【実施例2】
【0235】
ベントナイト/カオリナイトを有する可燃性熱源のコーティング
浸漬、ブラッシング、又は噴霧コーティングによって実施例1で説明したように前処理をした可燃性炭素質熱源の後面上に、ベントナイト/カオリナイトの不燃性で実質的に空気不透過性の第1の障壁コーティングを設ける。浸漬は、濃縮ベントナイト/カオリナイト溶液中への可燃性炭素質熱源の後面の挿入を含む。浸漬のためのベントナイト/カオリナイト溶液は、3.8%のベントナイト、12.5%のカオリナイト、及び83.7%のH2O[m/m]を含有する。可燃性炭素質熱源の後面は、約1秒間ベントナイト/カオリナイト溶液に浸漬し、可燃性炭素質熱源の後面の表面での炭素細孔中への溶液の浸透の結果としてメニスカスが消失する。ブラッシングは、ブラシを濃縮されたベントナイト/カオリナイト溶液中へ浸漬すること、及びブラシ上の濃縮されたベントナイト/カオリナイト溶液を可燃性炭素質熱源の後面の表面が覆われるまで施工することを含む。ブラッシングのためのベントナイト/カオリナイト溶液は、3.8%のベントナイト、12.5%のカオリナイト、及び83.7%のH2O[m/m]を含有する。
【0236】
浸漬又はブラッシングによる燃性で実質的に空気不透過性の第1の障壁コーティングの施工後、可燃性炭素質熱源を約30分間約130℃のオーブン内で乾燥させ、約5%相対湿度の下で乾燥器内に一晩放置する。
【0237】
噴霧コーティングは、好ましくは3.6%のベントナイト、18.0%のカオリナイト、及び78.4%のH2O[m/m]を含有し、レオメータ(Physica MCR 300の同軸円筒体構成)で測定した場合に約100s-1の剪断速度で約50mPa・sの粘度を有する懸濁溶液を含む。約10mm/s~約100m/sの速度でSMC E-MY2B線形アクチュエータ上で0.5mm、0.8mm、又は1mmの噴霧ノズルを用いてSata MiniJet 3000噴霧ガンで、噴霧コーティングを行う。以下の噴霧パラメータ:距離サンプルピストル15cm、サンプル粘度10mm/s、噴霧ノズル0.5mm、噴霧ジェットフラット及び噴霧圧2.5バールを使用する。単一の噴霧コーティングの場合、典型的には、約11ミクロンのコーティング厚さが得られる。噴霧は、3回繰り返す。各噴霧コーティングの間に、可燃性炭素質熱源を約10分間室温で乾燥させる。不燃性で実質的に空気不透過性の第1の障壁コーティングの施工後、約1時間の間、約700℃で可燃性炭素質熱源を熱分解する。
【実施例3】
【0238】
焼結ガラスによる可燃性熱源のコーティング
実施例1で説明したように噴霧コーティングによって前処理した可燃性炭素質熱源の後面上に、ガラスの不燃性で実質的に空気不透過性の第1の障壁コーティングを設ける。ガラスによる噴霧コーティングは、微粒子を用いた粉末ガラスの懸濁体で行なう。例えば、37.5%のガラス粉体(3μm)、2.5%メチルセルロース、及び120mPa・sの粘度を有する60%の水、又は37.5%のガラス粉体(3μm)、3.0%ベントナイト粉体、及び60~100mPa・sの粘度を有する59.5%の水のどちらかを含有する噴霧コーティング懸濁体を使用する。表3のガラス1、2、3及び4に対応する組成及び物理的特性を有するガラス粉体を使用することができる。
【0239】
約10mm/sから約100mm/sの速度でSMC E-MY2B線形アクチュエータ上の0.5mm、0.8mm、又は1mmの噴霧ノズルを用いてSata MiniJet 3000噴霧ガンで噴霧コーティングを行なう。噴霧は、数回繰り返すのが好ましい。噴霧を終了した後、約1時間の間、約700℃で可燃性炭素質熱源を熱分解する。
【0240】
表3
重量パーセントのガラス組成、遷移温度Tg、熱膨張係数A20~300及び組成から計算したKI値
【実施例4】
【0241】
アルミニウムによる可燃性熱源のコーティング
約20ミクロンの厚さを有するアルミニウムボビンバンドからアルミニウム障壁をレーザ切断することにより、実施例1で説明したように前処理をした可燃性炭素質熱源の後面上にアルミニウムの不燃性で実質的に空気不透過性の第1の障壁コーティングを設ける。
アルミニウム障壁は、実施例1の可燃性炭素質熱源の断面に一致するよう、直径が約7.8mmで、中心に約1.8mmの外径の単一の孔を有する。代替の実施形態において、アルミニウム障壁は、3つの孔を有し、これらは、可燃性炭素質熱源に設けられた3つの空気チャネルと位置合わせされるように位置決めされる。アルミニウム障壁コーティングは、あらゆる好適な接着剤を用いて可燃性炭素質熱源の後面にアルミニウム障壁を取り付けることにより形成される。
【実施例5】
【0242】
煙化合物を測定するための方法
喫煙するための条件
喫煙するための条件及び喫煙機械の規格は、ISO Standard 3308(ISO 3308:2000)に提示されている。調整及び試験するための雰囲気は、ISO Standard 3402に提示されている。ケンブリッジフィルタパッドを用いて、フェノールを閉じ込める。ホルムアルデヒド、アクロレイン、アセトアルデヒド、及びプロピオンアルデヒドを含むエアロゾル中のカルボニルの定量的決定は、UPLC-MSMSによって行なわれる。LC蛍光分析によって、カテーテル、ヒドロキノン、及びフェノールなどのフェノール樹脂の定量的測定を行なう。ISO Standard 8454(ISO 8454:2007)に提示されるように、煙中の一酸化炭素を、ガスサンプリングバッグを用いて閉じ込め非分散型赤外分析器を用いて測定する。
【0243】
喫煙形態
カナダ保健省喫煙形態下で試験したシガレットを、55mlの吸煙容積、2秒の吸煙持続時間、及び30秒の吸煙間隔によって12パフだけ喫煙する。強い喫煙形態の下で試験したシガレットを、80mlの吸煙容積、3.5秒の吸煙持続時間、及び23秒の吸煙間隔によって20パフだけ喫煙する。
【実施例6】
【0244】
点火助剤を有する可燃性熱源の前処理
本質的に国際公開特許第2009/074870A2号に開示するように、炭素粉体の525g、炭酸カルシウム(CaCO3)の225g、クエン酸カリウムの51.75g、改質セルロースの84g、小麦粉の276g、糖の141.75g、及び脱イオン水の579gを有するトウモロコシ油の21gを混合して水性スラリを形成することによって、点火助剤を含む炭素質可燃性熱源を前処理する。次に、約8.7mmの直径を有する円形断面の中心ダイオリフィスを有するダイを通して水性スラリを押し出すことで、約20cmから約22cmの長さ及び約9.1mmから約9.2mmの直径を有する円筒形ロッドを形成する。単一の長手方向空気流チャネルは、ダイオリフィスの中心に装着されたマンドレルによって円筒形ロッド内に形成する。マンドレルは、好ましくは、約2mm又は約3.5mmの外径を有する円形断面を有する。もしくは、3つの空気流チャネルは、ダイオリフィスに直角に取り付けられた約2mmの外径を有する円形断面の3つのマンドレルを用いて円筒形ロッド内に形成する。円筒形ロッドの押し出し時に、マンドレルの中心を通って延びる供給通路を通して緑色粘土系コーティングスラリを圧送し、単一の長手方向空気流チャネルの内側表面上に約150ミクロンから約300ミクロンの厚さを有する薄い第2の障壁コーティングを形成する。約12時間から約72時間の間、約40%から約50%の相対湿度、約20℃から約25℃で円筒形ロッドを乾燥させ、次に、約240分の間、約750℃の窒素雰囲気内で熱分解する。熱分解後、研磨機を用いて円筒形ロッドを所定の直径に切断及び成形し、約11mmの長さ、約7.8mmの直径、及び約400mgの乾燥質量を有する個々の可燃性炭素質熱源を形成する。個々の可燃性炭素質熱源は、約1時間の間、約130℃で乾燥させ、次に38重量パーセントの濃度を有する硝酸の水溶液中に放置し、硝酸カリウム(KNO3)で飽和させる。約5分後、個々の可燃性炭素質熱源は、溶液から取り出し、約1時間の間約130℃で乾燥させる。乾燥後、個々の可燃性炭素質熱源は、再度38重量パーセントの濃度の硝酸の水溶液中に放置し、硝酸カリウム(KNO3)で飽和させる。約5分後、個々の可燃性炭素質熱源は、溶液から取り出し、約1時間の間、約130℃で乾燥させた後、約1時間の間約160℃で乾燥させ、最後に約1時間の間約200℃で乾燥させる。
【実施例7】
【0245】
粘土又はガラスの不燃性で実質的に空気不透過性の第1の障壁コーティングを備えた可燃性熱源を有する喫煙物品からの煙化合物
点火助剤を含み、1.85mmの直径でベントナイト/カオリナイトの第2の障壁コーティングを有する単一の長手方向空気流チャネルを備える可燃性の円筒形炭素質熱源を実施例6で説明したように前処理する。可燃性の円筒形炭素質熱源は、実施例2で説明したような粘土の不燃性で実質的に空気不透過性の第1の障壁コーティングを備える。加えて、実施例6で説明したような点火助剤を含み、1.85mmの直径でガラスの第2の障壁コーティングを有する単一の長手方向空気流チャネルを備えた可燃性の円筒形炭素質熱源には、実施例3で説明したような焼結ガラスの不燃性で実質的に空気不透過性の第1の障壁コーティングを設けた。何れの場合においても、可燃性の円筒形炭素質熱源の長さは、11mmであった。粘土の不燃性で実質的に空気不透過性の第1の障壁コーティングは、約50ミクロンから約100ミクロンの厚さを有し、ガラスの不燃性で実質的に空気不透過性の第1の障壁コーティングは、約20ミクロン、約50ミクロン又は約100ミクロンの厚さを有する。上述の可燃性円筒形炭素質熱源を含む70mmの全長を有する、図1a及び2に示す本発明の第1の実施形態による喫煙物品を手で組み立てた。喫煙物品のエアロゾル形成基材は、長さが10mmであり、黄色種タバコを約60重量%、オリエント種タバコを約10重量%、日干乾燥タバコを約20重量%含んでいた。喫煙物品の熱伝導要素は、長さが9mmであり、そのうちの4mmが可燃性熱源の後方部分を覆い、5mmが隣接するエアロゾル形成基材の前方部分を覆っていた。この実施例において、前述の説明で言及した以外は、喫煙物品の特性は、前記の表1に記載した特性と合致した。また、同じ構成であるが不燃性で実質的に空気不透過性の第1の障壁コーティングを含まない喫煙物品を比較のために手で組み立てた。
【0246】
カナダ保健省喫煙形態の下で実施例5で説明したように結果として得られる喫煙物品を喫煙した。喫煙する前に、通常の黄炎ライターを用いて喫煙物品の可燃性熱源に着火した。喫煙物品の主流エアロゾル中のホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アクロレイン、及びプロピオンアルデヒドは、実施例5で説明したように測定した。結果は、以下の表4に要約され、アセトアルデヒド及び特にホルムアルデヒドのようなカルボニルが、不燃性で実質的に空気不透過性の第1の障壁コーティングを含まない可燃性熱源を含む喫煙物品の主流エアロゾルと比較して、不燃性で実質的に空気不透過性の第1の障壁コーティングを有する可燃性熱源を備えた喫煙物品の主流エアロゾルでは著しく低下することが示された。
【0247】
表4:可燃性炭素質熱源を含む喫煙物品に対するカナダ保健省喫煙形態の下で、主流エアロゾルで測定したカルボニルの量(1サンプル当たりのマイクログラム)であり、(a)が不燃性で実質的に空気不透過性の第1の障壁コーティングなし、(b)が粘土の不燃性で実質的に空気不透過性の第1の障壁コーティングあり、(c)が焼結ガラスの不燃性で実質的に空気不透過性の第1の障壁コーティングありである。

【実施例8】
【0248】
アルミニウムの不燃性で実質的に空気不透過性の第1の障壁コーティングを備えた可燃性熱源を有する喫煙物品の煙化合物
実施例7で説明しように前処理され、長さが11mmで、直径1.85mmの単一の長手方向空気流チャネルと、雲母状酸化鉄コーティング(オーストリア国Wolfsberg所在のKaerntner Montanindustrie社によるMiox)である第2の障壁コーティングを有する可燃性の円筒形炭素質熱源は、実施例4で説明したように約20ミクロンの厚さを有するアルミニウムの不燃性で実質的に空気不透過性の第1の障壁コーティングを備える。上述の可燃性円筒形炭素質熱源を含む70mmの全長を有する、図1a及び2に示す本発明の第1の実施形態による喫煙物品を手で組み立てた。喫煙物品のエアロゾル形成基材は、長さが10mmであり、黄色種タバコを約60重量%、オリエント種タバコを約10重量%、日干乾燥タバコを約20重量%含んでいた。喫煙物品の熱伝導要素は、長さが9mmであり、そのうちの4mmが可燃性熱源の後方部分を覆い、5mmが隣接するエアロゾル形成基材の前方部分を覆っていた。この実施例において、前述の説明で言及した以外は、喫煙物品の特性は、前記の表1に記載した特性と合致した。また、同じ構成であるが不燃性で実質的に空気不透過性の第1の障壁コーティングを含まない喫煙物品を比較のために手で組み立てた。
【0249】
カナダ保健省喫煙形態及び強い喫煙形態の下で実施例5で説明した喫煙物品を喫煙した。喫煙する前に、通常の黄炎ライターを用いて可燃性熱源に着火した。喫煙物品の主流エアロゾル中のホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アクロレイン、プロピオンアルデヒド、フェノール、カテコール、及びヒドロキノンは、実施例5で説明したように測定した。結果を表5に要約した。表から分かるように、カナダ保健省喫煙形態及び強い喫煙形態の下では、可燃性熱源の後面上にアルミニウムの不燃性で実質的に空気不透過性の第1の障壁コーティングを含めることにより、主流エアロゾル中のホルムアルデヒド及びアセトアルデヒドなどのフェノール類及びカルボニル類の有意な低減がもたらされる。
【0250】
表5:喫煙物品に対する、(i)カナダ保健省喫煙形態及び(ii)強い喫煙形態の下で主流エアロゾルにおいて測定した化合物の量(1サンプル当たりのマイクログラム)であり、(a)が不燃性で実質的に空気不透過性の第1の障壁コーティングなし、(b)がアルミニウムの不燃性で実質的に空気不透過性の第1の障壁コーティングありである。

【0251】
実施例7及び8から分かるように、可燃性熱源の少なくとも実質的に後面全体上に不燃性で実質的に空気不透過性の第1の障壁コーティングと可燃性熱源全体にわたり空気チャネルの少なくとも実質的に内側表面全体上に不燃性で実質的に空気不透過性の第2の障壁コーティングを設けることによって、本発明による喫煙物品の可燃性熱源を喫煙物品を貫通する1又はそれ以上の空気流路から隔離することで、主流エアロゾル中のホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アクロレイン、プロピオンアルデヒド、及びフェノールなどのカルボニル化合物の形成が有意に低減される結果となる。
【0252】
上記の実施形態及び実施例は、本発明の例証であり、限定するものではない。本発明の技術的思想及び範囲から逸脱することなく、本発明の他の実施形態が可能であり、本明細書で記載される特性の実施形態が限定ではないことを理解されたい。
【符号の説明】
【0253】
2 喫煙物品
4 可燃性熱源
6 エアロゾル形成基材
8 膨張チャンバ
10 マウスピース
12 外側ラッパー
図1a
図1b
図1c
図1d
図1e
図2
図3
図4