(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-20
(45)【発行日】2022-12-28
(54)【発明の名称】頭蓋用アンカー及び位置決めシステム
(51)【国際特許分類】
A61B 90/14 20160101AFI20221221BHJP
【FI】
A61B90/14
(21)【出願番号】P 2020500783
(86)(22)【出願日】2018-03-19
(86)【国際出願番号】 US2018023065
(87)【国際公開番号】W WO2018175280
(87)【国際公開日】2018-09-27
【審査請求日】2021-03-12
(32)【優先日】2017-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519342839
【氏名又は名称】エムユーエスシー ファウンデーション フォー リサーチ ディベロップメント
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100165995
【氏名又は名称】加藤 寿人
(72)【発明者】
【氏名】レイモンド ターナー
(72)【発明者】
【氏名】マーク イー.セムラー
(72)【発明者】
【氏名】アクィラ ターク
(72)【発明者】
【氏名】アレックス スピオッタ
(72)【発明者】
【氏名】イムラン チャウドリー
【審査官】宮崎 敏長
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/178857(WO,A1)
【文献】特表2009-523534(JP,A)
【文献】特表2000-502279(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/56 - A61B 17/92
A61B 90/10 - A61B 90/11
A61B 90/14 - A61B 90/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭蓋の開口部に取り付けるように構成された頭蓋用アンカーシステムであって、前記システムは:
第一の軸線に沿って細長であるアンカー部材であって:
前記第一の軸線を中心として延びる中央アンカー凹み部を定める中央アンカー部分;及び
前記中央アンカー部分から前記第一の軸線に沿って前記中央アンカー部分に対して下向きの方向に延びている下側アンカー部分であって、前記下側アンカー部分は:
前記中央アンカー部分の下部から延びるレッグであって、各レッグは、前記レッグの上側セクション及び下側セクションを定める角度の付いた屈曲部を有する、レッグと、
前記レッグに装着されたリブと
を各々が有し、一緒になって下側アンカー凹み部を定める、複数の接触部材、
を含む、下側アンカー部分、
を含む、アンカー部材;並びに
第二の軸線に沿って細長であり、第一のチャネルを定める外側シースであって、前記外側シースは、前記中央アンカー凹み部及び前記下側アンカー凹み部の中で回転可能であるように前記中央アンカー凹み部及び前記下側アンカー凹み部の中に少なくとも部分的に配置されるように構成されたジョイントを含む、外側シース、
を備え
、
前記レッグの前記下側セクションが、平坦面を備え、前記リブが、前記レッグの前記下側セクションに装着されており、前記リブが、シャープエッジを含み、前記シャープエッジは、前記レッグの前記下側セクションに対して平行に延びている、頭蓋用アンカーシステム。
【請求項2】
前記複数の接触部材が、第一の位置と第二の位置との間で動かされるように構成され、前記第一の位置では、前記レッグの前記下側セクションの面は、実質的に下向きの方向に延びており、前記第二の位置では、前記レッグの前記下側セクションの前記面は、少なくとも部分的に半径方向に延びており、前記半径方向は、前記下向きの方向に対して実質的に直角である、請求項1に記載の頭蓋用アンカーシステム。
【請求項3】
前記ジョイントが、前記複数の接触部材を前記第一の位置と前記第二の位置との間で動かすための力を前記複数の接触部材に加えるように構成され、前記第二の位置では、前記リブが、前記頭蓋の前記開口部の壁又はエッジに圧力を加える、請求項2に記載の頭蓋用アンカーシステム。
【請求項4】
前記ジョイントに前記下向きの方向に力を加えるように構成されたロックアセンブリをさらに備える、請求項3に記載の頭蓋用アンカーシステム。
【請求項5】
前記下側アンカー部分が、内側面から延びる少なくとも1つの突起部を含み、前記ロックアセンブリが、スロット付き下部を含み、前記スロット付き下部は、少なくとも1つのスロットを定める外側面を有し、各少なくとも1つのスロットは、各少なくとも1つの突起部を中に受けるように構成され、前記アンカー部材が、さらに、前記中央アンカー部分から延びる上側アンカー部分を含み、前記上側アンカー部分は、第一のねじ領域を定め、並びに前記ロックアセンブリが、さらに、ねじ上部を含み、前記ねじ上部は、前記第一のねじ領域とかみ合うように構成された第二のねじ領域を定める、請求項4に記載の頭蓋用アンカーシステム。
【請求項6】
前記下側アンカー部分の前記少なくとも1つの各突起部が、前記スロット付き下部の前記少なくとも1つの各スロット内にある場合、前記スロット付き下部が、前記下側アンカー部分から前記上側アンカー部分まで延びている、請求項5に記載の頭蓋用アンカーシステム。
【請求項7】
前記ねじ上部が、前記スロット付き下部と結合しており、前記ロックアセンブリが、前記ねじ上部の前記第二のねじ領域が前記上側アンカー部分の前記第一のねじ領域とかみ合う前に、前記下側アンカー部分の前記少なくとも1つの各突起部が前記スロット付き下部の前記少なくとも1つの各スロット内に収容されるように、サイズを合わされている、請求項5に記載の頭蓋用アンカーシステム。
【請求項8】
前記角度の付いた屈曲部が、前記レッグの前記上側セクションと前記レッグの前記下側セクションとの間に鈍角を形成する、請求項1に記載の頭蓋用アンカーシステム。
【請求項9】
前記複数の接触部材の各々が、前記下側アンカー部分のまわり円周方向に間隔を空けて配置され、各リブが、前記レッグの前記上側セクション又は前記レッグの前記下側セクションのうちの少なくとも1つに装着され、前記複数の接触部材の各連続する対が、前記レッグの前記上側セクションに装着されたリブ及び前記レッグの前記下側セクションに装着されたリブを含む、請求項1に記載の頭蓋用アンカーシステム。
【請求項10】
頭蓋の開口部に取り付けるように構成された頭蓋用アンカー装置であって、前記アンカー装置は、第一の軸線に沿って延びており:
前記第一の軸線を中心として延びる中央アンカー凹み部を定める中央アンカー部分;及び
前記中央アンカー部分と結合し、前記第一の軸線に沿って前記中央アンカー部分に対して下向きの方向に配置された下側アンカー部分、
を備え、前記下側アンカー部分は:
前記中央アンカー部分の下部から延びるレッグであって、前記レッグは、前記レッグの上側セクション及び下側セクションを定める角度の付いた屈曲部を有する、レッグと、
前記レッグに装着されたリブと
を各々が有し、一緒になって下側アンカー凹み部を定める、複数の接触部材、
を含
み、
前記レッグの前記下側セクションが、平坦面を備え、前記リブが、前記レッグの前記下側セクションに装着されており、前記リブが、シャープエッジを含み、前記シャープエッジは、前記レッグの前記下側セクションに対して平行に延びている、頭蓋用アンカー装置。
【請求項11】
前記複数の接触部材の各々が、前記下側アンカー部分のまわり円周方向に間隔を空けて配置され、前記複数の接触部材の各々が、互いに等距離で間隔を空けて配置されている、
請求項10に記載の頭蓋用アンカー装置。
【請求項12】
前記複数の接触部材が、第一の位置と第二の位置との間で動かされるように構成され、前記第一の位置では、前記レッグの前記下側セクションの面は、実質的に下向きの方向に延びており、前記第二の位置では、前記レッグの前記下側セクションの前記面は、少なくとも部分的に半径方向に延びており、前記半径方向は、前記下向きの方向に対して実質的に直角である、
請求項10に記載の頭蓋用アンカー装置。
【請求項13】
前記頭蓋用アンカー装置が前記頭蓋の前記開口部に取り付けられ、前記複数の接触部材が前記第二の位置にある場合、前記リブが、前記頭蓋の前記開口部の壁又はエッジに圧力を加える、
請求項12に記載の頭蓋用アンカー装置。
【請求項14】
前記下側アンカー部分が、さらに、前記第一の軸線を中心として、及び前記複数の接触部材の各々の少なくとも一部分の下に配置された支持リングも含む、
請求項10に記載の頭蓋用アンカー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その開示事項全体が参照により本明細書に援用される、2017年3月24日出願の米国仮特許出願第62/476157号明細書の利益を主張するものである。
【0002】
医療手順又は外科手順の前に及びその一部として、頭蓋及び脳内のアクセス構造にアンカーシステムを固定するためのシステム及び方法が示され、記載される。
【背景技術】
【0003】
医療手順の過程において、医療デバイスを、患者に対して固定された位置に、正確に及び確実に位置決めし、支持することが所望される。例えば、頭蓋腔へのアクセスを必要とする医療手順の過程において、外部アンカーシステムが頭蓋骨に固定される。このアンカーシステムは、患者に対する固定された基準点を作り出し、それによって、医療手順の過程において、より高い度合いの制御及び精度が可能となる。加えて、アンカーシステムによって、患者の外部で操作上の制御を維持しながら、患者内部の位置へ医療デバイスをアクセスさせることが可能となる。アンカーシステムは、締結具によって頭蓋骨に取り付けられ、頭蓋骨の穿孔にアクセスするチャネルを含む。チャネルは、外科ゾンデ又は内視鏡などの器具を収容することができる。
【0004】
既存の頭蓋用アンカーシステムは、骨スクリューの使用などの従来の方法によって頭蓋骨に固定される。頭蓋への確実なアンカリングを提供することが重要である一方で、手順の過程で頭蓋骨に必要以上の外傷を与えることは最善ではない。例えば、米国特許第8845655号明細書には、患者の脳に対する手術を可能とするための患者の頭蓋骨の穿頭孔上に配置されるガイド器具が記載されている。ベースプレートを患者の頭蓋骨に固定するために、スクリューが用いられている。このガイド器具では、複数の骨固定スクリューを患者の頭蓋骨に配置することが必要である。この組み付け作業によって、器具の位置決め及び取り付け、並びに患者からの器具の取り外しに要する時間が長くなる。その結果、患者の頭蓋骨は、ドリルによる穿頭孔を有するだけでなく、ねじ込まれた骨固定スクリューからの外傷も追加で受けなければならない。
【発明の概要】
【0005】
改善された頭蓋用アンカーシステムが開示される。本開示の1つの態様では、頭蓋の開口部に取り付けられるように構成された頭蓋用アンカーシステムは、第一の軸線に沿って細長のアンカー部材を含む。アンカー部材は、第一の軸線を中心として延びる中央アンカー凹み部を定める中央アンカー部分、及び中央アンカー部分と結合し、第一の軸線に沿って中央アンカー部分に対して下向きの方向に配置された下側アンカー部分を含む。下側アンカー部分は、一緒になって下側アンカー凹み部を定める複数の接触部材を含む。複数の接触部材の各々は、中央アンカー部分の下部から延びるレッグ、及びレッグに装着されたリブを有し、各レッグは、レッグの上側セクション及び下側セクションを定める角度の付いた屈曲部を有する。システムはさらに、第二の軸線に沿って細長で、第一のチャネルを定める外側シースを含み、外側シースは、中央アンカー凹み部及び下側アンカー凹み部の中で回転可能であるように中央アンカー凹み部及び下側アンカー凹み部の中に少なくとも部分的に配置されるように構成されたジョイントを含む。システムはまた、第一のチャネル内に配置され、第二の軸線に沿って外側シースに対して摺動可能である内側シースも含む。内側シースは、第二の軸線に沿って細長の第二のチャネルを定める。
【0006】
本開示の別の態様では、頭蓋用アンカー装置は、頭蓋の開口部に取り付けるように構成されている。アンカー装置は、第一の軸線に沿って細長である。この装置は、第一の軸線を中心として延びる中央アンカー凹み部を定める中央アンカー部分を含む。この装置は、中央アンカー部分と結合し、第一の軸線に沿って中央アンカー部分に対して下向きの方向に配置された下側アンカー部分も含む。下側アンカー部分は、一緒になって下側アンカー凹み部を定める複数の接触部材を含む。複数の接触部材の各々は、中央アンカー部分の下部から延びるレッグ、及びレッグに装着されたリブを有し、レッグは、レッグの上側セクション及び下側セクションを定める角度の付いた屈曲部を有する。
【0007】
本開示のなお別の態様では、頭蓋用アンカー装置は、頭蓋の開口部に取り付けるように構成されている。アンカー装置は、第一の軸線に沿って細長である。この装置は、第一の軸線を中心として延びる中央アンカー凹み部を定める中央アンカー部分を含む。この装置は、中央アンカー部分と結合し、第一の軸線に沿って中央アンカー部分に対して下向きの方向に配置された下側アンカー部分も含む。下側アンカー部分は、一緒になって下側アンカー凹み部を定める複数の接触部材を含む。複数の接触部材の各々は、中央アンカー部分の下部から延びるレッグ、及びレッグに装着されたリブを有し、各レッグは、レッグの上側セクション及び下側セクションを定める角度の付いた屈曲部を有する。この装置は、さらに、中央アンカー部分に接続され、第一の軸線を中心として、及び複数の接触部材の各々の少なくとも一部分の下に配置された支持リングも含む。
【0008】
本開示の別の態様は、本明細書で述べるシステム及び装置を用いる方法に関し、その方法は、頭蓋用アンカーシステムを患者の頭蓋骨上に位置決めする工程を含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本開示の態様に従う頭蓋用アンカーシステムの断面側面図である。
【
図2】
図2は、本開示の態様に従う頭蓋用アンカー装置の透視図である。
【
図3】
図3は、本開示の別の態様に従う頭蓋用アンカーシステムの側面図である。
【
図4A】
図4Aは、本開示の別の態様に従う頭蓋用アンカー装置の透視図である。
【
図5A】
図5Aは、本開示の態様に従うロックアセンブリの分解組立等角図である。
【
図6】
図6は、ロックアセンブリ及び外側シースが固定されたアンカー部材の断面図である。
【
図7】
図7は、本開示の別の態様に従う頭蓋用アンカーシステムの透視図である。
【
図8】
図8は、本開示の態様に従う
図7に示す頭蓋用アンカーシステムの下側部分の透視図である。
【
図9】
図9は、本開示の態様に従う
図7に示す頭蓋用アンカーシステムの断面図である。
【
図10】
図10は、本開示の別の態様に従う、ロックアセンブリの一部分が内部に位置する
図7に示す頭蓋用アンカーシステムの透視図である。
【
図11】
図11は、本開示の別の態様に従う、ロックアセンブリが内部に位置する
図10に示す頭蓋用アンカーシステムの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、頭蓋内液及び組織を除去するための外科手順に用いられるタイプなどの頭蓋用アンカーシステム100の断面の側面図を示す。
図1に示されるように、このシステムは、Medtronic StealthStation(商標)、Brainlab Curve(商標)、又はStryker Nav3i(商標)などであるがこれらに限定されない既存の術中ナビゲーションシステムで用いられる基準アレイに類似の基準アレイ112を含む。この図面では、頭蓋骨Sの穿頭孔H内に配置することができる好ましい頭蓋用アンカーシステム100が示される。
【0011】
頭蓋用アンカーシステム100は、アンカー部材又はベースプレート200、外側シース104、内側シース106、高さ調節デバイス108、ロック部材110、及び基準アレイ112を含む。基準アレイ112は、アンカー部材200に操作可能に装着されて、患者の頭蓋骨S上でのアンカーシステム100の位置のための基準点を提供する。例えば、追加の支持を提供するために、操作性を高めるために、又は頭蓋内液及び組織の除去を促進するための他の機能を提供するために、他のコンポーネントがシステム100に含まれていてもよい。
【0012】
アンカー部材200は、以下でより詳細に記載されるように、頭蓋骨Sの穿頭孔Hに取り付けられるように構成されている。アンカー部材200は、アンカーシステム100を頭蓋骨Sに装着して頭蓋骨Sの内部とのアクセス及び接続を可能とするためのプラットフォームを提供する。
【0013】
図2を参照すると、アンカー部材200は、上側アンカー部分202、中央アンカー部分204、及び下側アンカー部分206を含む。上側アンカー部分202、中央アンカー部分204、及び下側アンカー部分206は、上側アンカー部分202が中央アンカー部分204の上にあり、中央アンカー部分204が下側アンカー部分206の上にあるように、長手軸線50に沿って軸線方向に整列されている。「上に」及び「下に」の用語は、本明細書で用いられる場合、ある特定のコンポーネントの互いに対する位置を表し、したがって、近似的である。「上に」、「上側」、又は「最上部」の用語は、内側シース106など、頭蓋用アンカーシステム100の最上部分により近い位置を意味し、「下に」、「下」、又は「最下部」の用語は、アンカー部材200の下側アンカー部分206など、頭蓋用アンカーシステム100の最下部により近い位置を意味する。
【0014】
中央アンカー部分204は、内側エッジ205、第一の面217、及び第一の面から軸線方向A1に間隔を空けて配置された第二の面207を含む。軸線方向A1は、長手軸線50に沿って延びている。内側エッジ205は、長手軸線50を中心として円周方向に延びており、それによって、中央アンカー部分204内の中央アンカー凹み部209を部分的に定める。中央アンカー部分204の内側エッジ205は、円形状であってよい孔を定める。
【0015】
下側アンカー部分206は、中央アンカー部分204の第二の面207から下向きに延びている。下側アンカー部分206は、一緒になって下側アンカー凹み部201を定める複数の接触部材208を含み、その各々は、少なくとも部分的に軸線方向A1に延びているレッグ203を有する。各接触部材208は、内側接触面210、外側接触面212、リブ214、及びタブ216を有する。各リブ214は、レッグ203とタブ216との間に延び、外側接触面212に付いており、各タブ216は、レッグ203の最下端部に付いている。各リブ214及び各タブ216は、少なくとも部分的に、軸線50に対して外向きに、半径方向R1に延びている。半径方向R1は、軸線50に対して直角である。各タブ216は、下側アンカー部分206の最上部に向かって、半径方向R1に対して上向きに角度が付けられていてよく、それによって、対応する接触部材208に対して鋭角を形成する。別の選択肢として、タブ216は、下側アンカー部分206の最下部に向かって、半径方向R1に対して下向きに角度が付けられていてもよく、それによって、対応する接触部材208に対して鈍角を形成する。さらに別の選択肢として、タブ216は、半径方向R1に沿って、又は実質的に沿って延びていてもよく、それによって、軸線50に対して90°の角度を形成する。いくつかの態様では、下側アンカー部分206は、上向きに、下向きに、半径方向R1に沿って、又はこれらのいずれかの組み合わせで延びているタブを含んでよい。いくつかの態様では、各リブ214は、各対応するタブ216に付けられることなく、外側接触面212に付けられていてよい。いくつかの態様では、各接触部材208は、他の接触部材208に対して異なる構成を含んでいてよい。
【0016】
リブ214及びタブ216が付けられている接触部材208の複数の構成が、下側アンカー部分206に組み込まれていてよい。例えば、下側アンカー部分206は、接触部材が頭蓋骨Sにアンカー部材200を充分に取り付ける限りにおいて、12個の接触部材などのいかなる数の接触部材208を含んでいてもよい。さらなる例では、下側アンカー部分206は、8、9、10、11、13、14、15、又は16個の接触部材を含んでいてよい。さらに、各接触部材208は、異なる構成を有していてもよい。例えば、各接触部材208は、リブ214又はタブ216のいずれかのみを含んでいてよい。別の選択肢として、各接触部材208は、リブ214及びタブ216の両方を含んでいてよい、又はリブ214もタブ216も含んでいなくてもよい。
【0017】
接触部材208は、半径方向の内向きに圧縮された場合に、接触部材208によって半径方向R1の外向きの力が働くように、外向きに偏っていてよく、例えば、カンチレバー入り、スプリング入り、又はそれ以外の方法で弾性的に偏っていてよい。例えば、アンカー部材200が穿頭孔H内に配置された場合、接触部材208は、頭蓋骨S上の穿頭孔Hのエッジに対して、及び頭蓋骨Sの穿頭孔Hの内側面に対して、穿頭孔Hの直ぐ近くに保持力を掛けることができる。
【0018】
本開示のいくつかの態様では、リブ214は、シャープエッジ215を含んでよい。シャープエッジ215は、アンカー部材200が孔H内に配置された場合に、頭蓋骨Sの端に少し貫入するように構成されてよい。シャープエッジ215は、外科手順の過程でのアンカー部材200の動きを最小限に抑える、又は防止するように機能する。タブ216も、頭蓋骨Sの下側に引っ掛かって、アンカー部材200の外向きへの移動を最小限に抑え得る、又は防止し得る。アンカー部材200は、軸線50を中心として回転させながら軸線方向A1に押すことによって、孔Hに挿入することができる。
【0019】
図1及び2を参照すると、上側アンカー部分202は、中央アンカー部分204の第一の面から延び、及び長手軸線50を中心として円周方向に延びている。上側アンカー部分202の内側面211は、雌ねじ領域などのねじ領域、及び上側アンカー開口部213を定める。上側アンカー開口部213は、中央アンカー部分204の中央アンカー凹み部209と、軸線50に沿って整列されている。上側アンカー部分202のアンカー外側面219は、アンカー部材200を掴む、又はそれ以外で扱うことを可能とするように構成された、溝、ギアの歯、又は同種のものを定め得る。
【0020】
外側シース104は、ジョイント104a及び外側シース上側部分104bを含む。ジョイント104aは、中央アンカー部分204の中央アンカー凹み部209内に配置される。ジョイント104aは、外側シース104がアンカー部材200内で回転するように、接触部材208の内側接触面210と少なくとも部分的に回転可能に結合されている。ジョイント104aは、シース長手軸線60に沿って延びる下側シースチャネルを定める。シース長手軸線60は、外側シース104の最下端部から内側シース106の最上端部まで延びている。
【0021】
ジョイント104aは、球形状である。中央アンカー部分204内にジョイント104aを配置することは、ジョイント104aの動きに対する支点として働く。例えば、中央アンカー部分204内でのジョイント104aの動きは、ボールソケットジョイントに類似していてよく、その場合、ジョイント104aは、軸線方向A2及び半径方向R2への動きは制限されるが、円周方向への動きは自由である。
【0022】
外側シース上側部分104bは、シース長手軸線60に沿ってジョイント104aの上に位置する。外側シース上側部分104bは、上側シースチャネルを定める。上側シースチャネルは、シース軸線方向A2に沿って下側シースチャネルと整列されている。シース軸線方向A2は、長手軸線60に沿って延びている。アンカー部材200に対するジョイント104aの動きは、ジョイント104aとロック部材110との間の接触によって最小限に抑えられる。本開示のいくつかの態様では、ジョイント104aは、軸線50に対して30度まで回転し、その場合、シース長手軸線60は、アンカー長手軸線50から30度ずれる。
【0023】
内側シース106は、外側シース104の下側シースチャネル及び上側シースチャネルの内部に摺動可能に配置される。内側シース106は、内側シース106を通ってシース軸線方向A2に延びる内側シースチャネルを定める。内側シース106は、アンカー部材200を通って延びて、頭蓋骨Sの内部へのアクセスを提供する。内側シース106は、頭蓋骨Sの内部を、頭蓋骨S内の標的位置へのアクセスを提供する距離延びるように構成されていてよい。
【0024】
本開示のいくつかの態様では、導管107が、内側シース106の下端部に結合されてよい。導管107は、内側シースチャネルと整列されている導管チャネルを定める。導管チャネルは、内側シースチャネルと同じ直径を有してよい、又は導管チャネルは、内側シースチャネルの直径よりも大きい若しくは小さい直径を有してよい。導管チャネルは、軸線60を中心として配置されてよい、又は導管チャネルは、軸線60からずれていてもよい。導管チャネルは、内側シースチャネルから延びて、頭蓋骨S内部へのより広いアクセスを提供する。
【0025】
高さ調節デバイス108は、内側シース106と操作可能に結合され、及び外側シース104と回転可能に結合されている。高さ調節デバイス108がシース長手軸線60を中心として回転することによって、内側シース106がシース軸線方向A2に動くことができる。高さ調節デバイス108は、外側シース上側部分104bと回転可能に結合されている。例えば、高さ調節デバイス108は、高さ調節デバイス108が軸線60を中心として回転することによって、内側シース106が外側シース104に対して軸線60に沿って移動するように、外側シース104に固定されて、内側シース106のねじ外側面とかみ合うねじ内側面を含んでいてよい。
【0026】
ロック部材110は、雄ねじ領域などのねじ領域114、及び内部ロック面116を定める。ロック部材110の領域114は、ロック部材110が長手軸線50を中心として回転する動きによって、ロック部材110がアンカー部材200に固定されるように、上側アンカー部分202の内側面211のねじ領域とかみ合うように構成されている。
【0027】
ロック部材110の内部ロック面116は、外側シース104のジョイント104aと嵌合するように構成されている。内部ロック面116と外側シース104との接触によって、アンカー部材200に対する外側シース104の動きが制限される、又は最小限に抑えられる。例えば、この接触によって、アンカー部材200内での外側シース104の、軸線50に対する軸線方向、半径方向、及び円周方向の動きが制限される。この動きの制限は、内部ロック面116と外側シース104との間の摩擦、内部ロック面116上及び/若しくは外側シース104上に配置された溝若しくは歯、又は動きを限定する目的で組み込まれ得る他の構造的特徴によって引き起こされる。
【0028】
頭蓋用アンカーシステム100は、さらに、アスピレーションポンプ又はサクションポンプなどのポンプ503を含んでもよい。ポンプ503は、内側シース106の上側端部に、フレキシブルチューブ505を介して結合されていてよい。ポンプ503は、ぜん動型又は連続型であってよく、頭蓋内液、組織、又は他の頭蓋内物質を、内側シース106を通して頭蓋骨Sの外部へ吸い出すための吸引力を発生させる。
【0029】
頭蓋用アンカーシステム100は、振動機構又は超音波機構(図示せず)を含んでもよい。振動機構は、アンカーシステム100の最上端部に結合されていてよく、内側シース106に対して振動力又は超音波力を提供してよい。提供された力は、頭蓋骨S内の液体及び組織を分解することを補助し、それによって、抽出される粒子のサイズを最小化する。
【0030】
頭蓋用アンカーシステム100は、さらに、栓塞子(obturator)(以下で述べる栓塞子313など)を含んでもよい。栓塞子は、内側シースチャネル内に摺動可能に配置されてよく、内側シース106の最下端部から外に延びていてよい。栓塞子は、頭蓋骨S内への内側シース106の最初の挿入の過程で、不必要な脳組織の抜き取りを最小限に抑える、又は防止するように構成されていてよい。
【0031】
図3から
図6は、頭蓋用アンカーシステムの別の選択肢としての実施形態を示す。
図3から
図6に開示される実施形態の部分は、
図1及び
図2において上記で述べた態様に類似しており、それらの部分は、上記で述べた部分と同様に機能する。頭蓋用アンカーシステム300は、アンカー部材又はベースプレート400、外側シース304、内側シース306、高さ調節デバイス308、ロックアセンブリ310、及び基準アレイ312を含む。頭蓋用アンカーシステム300は、頭蓋用アンカーシステム100の場合と実質的に同様にして、頭蓋骨Sの穿頭孔H内に配置することができる。
【0032】
本開示のいくつかの態様では、システム300は、内側シース306内に摺動可能に装着される、又は別の選択肢として、栓塞子に操作可能に装着される、
図3に示される第二の基準アレイ315を含んでよい。本開示の他の態様では、アンカーシステム300は、内側シース306に取り付けられた、又は別の選択肢として、栓塞子に取り付けられた単一の基準アレイ315のみを含んでいてもよい。アレイ312、315は、空間基準情報を術中ナビゲーションシステム(図示せず)に提供する。ナビゲーションシステムは、アレイ312、315の空間基準点の位置を検出して、患者の解剖学的構造に対する内側シース306の配置を決定する。アレイ312、315は、本技術分野において公知であり、使用されている様々なナビゲーションシステムと共に作動するように構成することができる。ナビゲーションシステムはまた、頭蓋骨Sの内部の磁気共鳴画像法(MRI)、コンピュータ断層撮影法(CT)、超音波画像法、又は他の画像データセットに関する情報を受けてもよい。ナビゲーションシステムは、外科医が頭蓋用アンカーシステム300を精密に調節して患者内の位置を標的とすることを可能とする、リアルタイムの情報を提供する。
【0033】
外側シース304、内側シース306、高さ調節デバイス308、ロックアセンブリ310、及び基準アレイ312は、頭蓋用アンカーシステム100の外側シース104、内側シース106、高さ調節デバイス108、ロック部材110、及び基準アレイ112と実質的に同様に構成され、整列されていてよい。頭蓋用アンカーシステム300は、さらに、ロックアセンブリ310と外側シース304との間に配置されるスペーサー部材311を含んでよく、その場合、ロックアセンブリ310の最下端部は、スペーサー部材311を介して外側シースの下端部と接続する。
【0034】
頭蓋用アンカーシステム300は、さらに、栓塞子313を含んでもよい。栓塞子313は、外側シース304及び内側シース306によって定められる内側シースチャネル内に摺動可能に配置されてよい。栓塞子313は、内側シース306の最下端部から外に延びていてよい。栓塞子313は、同様にして頭蓋用アンカーシステム100に組み込まれてもよい。栓塞子313はまた、空間基準アレイと接続していてもよい。
【0035】
図4A及び
図4Bを参照すると、アンカー部材400は、上側アンカー部分402、中央アンカー部分404、及び下側アンカー部分406を含む。上側アンカー部分402、中央アンカー部分404、及び下側アンカー部分406は、上側アンカー部分402が中央アンカー部分404の上にあり、中央部分404が下側アンカー部分406の上にあるように、長手軸線70に沿って軸線方向に整列されている。上側アンカー部分402及び中央アンカー部分404は、頭蓋用アンカーシステム100の上側アンカー部分202及び中央アンカー部分204と実質的に類似する構造を有してよい。
【0036】
下側アンカー部分406は、中央アンカー部分404から延び、複数の接触部材又は足部408及び支持リング420を含む。接触部材408の各々は、リブ414及びタブ416の一方又は両方を含んでよく、頭蓋用アンカーシステム100の接触部材208に関して上記で述べたように、複数の構成を含んでよい。
【0037】
支持リング420は、少なくとも部分的に軸線方向A3に延び、及び長手軸線70を中心として円周方向に延びている。軸線方向A3は、長手軸線70に沿って延びている。複数の支持アーム422は、支持リング420から上向きに延びている。各支持アーム422は、長手軸線70を中心として円周方向に間隔が空けられ、接触部材408の間に配置されている。各支持アーム422は、下側リング部分424と結合されている。
【0038】
下側リング部分424は、軸線方向A3の支持アーム422の最下端部に配置されている。下側リング部分424は、接触部材408の最下端部と整列されていてよい。本開示の他の態様では、下側リング部分424は、軸線方向A3の接触部材408の最下端部の上又は下(
図4B参照)に配置されていてよい。
【0039】
下側アンカー部分406は、下側アンカー部分406に沿って最上端部から最下端部まで、半径方向R3に外向きに延びる複数のアンカーリブ430も含む。半径方向R3は、軸線方向A3に対して実質的に直角である。本開示の態様では、アンカーリブ430の各々は、支持アーム422を強化するために支持アーム422の各々に沿って延びる。
【0040】
外側シース304は、中央アンカー部分404内に配置され、アンカー部材400の下側アンカー部分406によって支持されるように構成される。より具体的には、外側シース304は、接触部材408、支持アーム422、下側リング部分424、又はこれらの組み合わせによって支持されてよい。
【0041】
アンカー部材400の上面図を示す
図4Cを参照すると、下側アンカー部分406は、さらに、内側アンカー面434から半径方向R3に延びる複数の突起部432を含む。突起部432は、下側アンカー部分406のまわり円周方向に間隔を空けて配置されてよく、接触部材408の各々の間に配置されてよい。
【0042】
図5A及び
図5Bは、それぞれ、本開示の態様に従うロックアセンブリ310の分解組立透視図及び分解組立側面図を示す。ロックアセンブリ310は、ねじ上部502及びスロット付き下部(slotted bottom)504を含む。ねじ上部502は、雄ねじ領域などのねじ領域506を定める。ねじ領域506は、ロックアセンブリ310がアンカー部材400に固定されるように、上側アンカー部分402の雌ねじ領域などのねじ領域436(
図4C参照)とかみ合うように構成されている。
【0043】
スロット付き下部504は、少なくとも部分的に、アンカー部材400の下側アンカー部分406の中へ、軸線方向A3に延びるように構成されている。スロット付き下部504は、下側ロック面508及び外側面510を含んでよい。下側ロック面508は、外側シース304と嵌合して、外側シース304へ軸線50に対して下向きの力を提供してよく、外側シース304は、下側リング部分424を圧迫して、接触部材408を半径方向R3に外向きに押し、それによって、外側シース304をアンカー部材400内にさらに固定する。この方法により、スロット付き下部504は、いずれもロック部材と外側シースとの間を接続するという点で、スペーサー部材311と同様に機能する。本開示の態様では、スロット付き下部504は、スロット付き下部504がアンカー部材400内に配置された際に下側ロック面508と外側シース304との間の接触を最大とする、円錐形状又はそれ以外の形状であってよい。
【0044】
スロット付き下部504の外側面510は、スロット付き下部504のまわり円周方向に間隔を空けて配置された複数のスロット512を定めていてよい。スロット512の各々は、下側アンカー部分406の対応する突起部432と整列するように配置されていてよい。各スロット512の各突起部432との整列によって、アンカー部材400に対するスロット付き下部504の円周方向の動きが最小限に抑えられる、又は防止される。
【0045】
図6は、本開示の態様に従う、ロックアセンブリ310及び外側シース304が固定されたアンカー部材400の断面図を示す。下側ロック面508は、スロット付き下部504の最下端部に配置されており、外側シース304と接触するように構成されている。下側ロック面508と外側シース304との間の接触は、外側シース304がアンカー部材400内に配置された場合に、外側シース304の軸線方向、半径方向、及び円周方向の動きを制限し得る、又はそれ以外で限定し得る。さらに、ロックアセンブリ502がアンカー部材400に固定されている間、外側シース304に対するスロット付き下部504の動きは、スロット付き下部504の各スロット512とアンカー部材400の各突起部432との整列によって、実質的に軸線方向の動きに限定され得る。スプリット下部(split bottom)504と外側シース304との間の動きを限定することにより、外側シース304がアンカー部材400に固定されている間、スロット付き下部504が、回転位置を含む外側シース304の位置に対して有し得るいかなる乱れも最小限に抑えられる。
【0046】
図7から
図12は、頭蓋用アンカーシステムの別の選択肢としての実施形態を示す。
図7Aから
図11に開示される実施形態の部分は、
図1及び
図6において上記で述べた態様に類似しており、それらの部分は、上記で述べた部分と同様に機能する。頭蓋用アンカーシステム600は、アンカー部材又はベースプレート700、外側シース604、内側シース(図示せず)、ロックナット608、ロックアセンブリ610、及び基準アレイ(図示せず)を含む。頭蓋用アンカーシステム600は、頭蓋用アンカーシステム100及び300の場合と実質的に同様にして、頭蓋骨Sの穿頭孔H内に配置することができる。
【0047】
外側シース604、内側シース、及び基準アレイは、頭蓋用アンカーシステム100及び300の外側シース104及び304、内側シース106及び306、並びに基準アレイ112及び312と実質的に同様に構成され、整列されていてよい。ロックナット608は、外側シース604内の内側シースをロックし、その両者間の軸線方向の動きを防止するように構成されていてよい。頭蓋用アンカーシステム600は、頭蓋用アンカーシステム300の栓塞子313と実質的に同様に構成され、整列されている栓塞子(図示せず)も含んでよい。
【0048】
図8及び
図9を参照すると、アンカー部材700は、上側アンカー部分702、中央アンカー部分704、及び下側アンカー部分706を含む。上側アンカー部分402、中央アンカー部分404、及び下側アンカー部分406は、上側アンカー部分702が中央アンカー部分704の上にあり、中央部分704が下側アンカー部分706の上にあるように、長手軸線80に沿って軸線方向に整列されている。上側アンカー部分702及び中央アンカー部分704は、頭蓋用アンカーシステム100及び400の上側アンカー部分202及び402並びに中央アンカー部分204及び404と実質的に類似する構造を有してよい。
【0049】
下側アンカー部分706は、中央アンカー部分704から延び、複数の接触部材708及び支持リング720を含む。接触部材708の各々は、レッグ703及びリブ714を含んでよい。レッグ703及びリブ714は、頭蓋用アンカーシステム100及び400の接触部材208及び408に関して上記で述べたように、複数の構成を含んでよい。支持リング720は、頭蓋用アンカーシステム400の支持リング420と実質的に同様に構成され、整列されていてよい。
【0050】
各レッグ703は、レッグ703の上側セクション713及びレッグ703の下側セクション716を定める角度の付いた屈曲部705を有する。レッグ703の下側セクション716は、角度の付いた屈曲部705からレッグ703の端部719まで延びている。端部719は、複数の接触部材708の各々の軸線方向又は下向き方向A4の最下端部を定めていてよい。軸線方向A4は、長手軸線80に沿って延びている。下側セクション716は、平坦構成を備えていてよい下側面717を含む。態様では、レッグ703の下側セクション716と上側セクション713との間の角度の付いた屈曲部705で形成される角度Φは、鈍角を形成していてよい。
【0051】
各リブ714は、各リブ714の長さに沿って延びるシャープエッジ715を含んでよい。各リブ714は、レッグ703の上側セクション713若しくは下側セクション716のいずれか、又は上側セクション713及び下側セクション716の両方に装着されていてよい。レッグ703の下側セクション716に装着された各リブは、角度の付いた屈曲部705からレッグ703の端部719に向かって延びていてよい。各シャープエッジ715は、下側面717に対して平行に延びていてよい。上側セクション713に装着された各リブ714は、角度の付いた屈曲部705から中央アンカー部分704に向かって延びていてよい。
【0052】
複数の接触部材708は、長手軸線80を中心として円周方向に間隔を空けて配置されていてよい。各リブ714は、レッグ703の上側セクション713又はレッグ703の下側セクション716に装着されていてよい。態様では、複数の接触部材708の各連続する対は、レッグ703の上側セクション713に装着されたリブ714、及びレッグ703の下側セクション716上のリブ714を含む。例えば、リブ714は、下側アンカー部分706のまわりに間隔を空けて配置されたすべての接触部材708に対して、上側セクション713上及び下側セクション716上の間で交互に装着されていてよい。
【0053】
図9を参照すると、下側アンカー部分706は、さらに、内側アンカー面734から半径方向R4に延びる複数の突起部732を含む。半径方向R4は、軸線方向A4に対して実質的に直角である。突起部732は、下側アンカー部分706のまわり円周方向に間隔を空けて配置されてよく、接触部材708の各々の間に配置されてよい。
【0054】
ロックアセンブリ610は、ねじ上部802及びスロット付き下部804を含む。スプリット上部802は、雄ねじ領域などのねじ領域806を定める。ねじ領域806は、ロックアセンブリ610がアンカー部材700に固定されるように、上側アンカー部分702の雌ねじ領域などのねじ領域736とかみ合うように構成されている。
【0055】
スロット付き下部804は、少なくとも部分的に、アンカー部材700の下側アンカー部分706の中へ、軸線方向A4に延びるように構成されている。スロット付き下部804は、下側ロック面808及び外側面810を含んでよい。下側ロック面808は、外側シース604をA4方向に移動させ、その結果、外側シース604は、接触部材708を、半径方向R4に外向きにさせる。接触部材708が半径方向R4に充分に曲げられると、外側シース604は、支持リング720上に載り、それによって、外側シース604を下側ロック面808と支持リング720との間にさらに固定する。本開示の態様では、スロット付き下部804は、スプリット下部804がアンカー部材700内に配置された際に下側ロック面808と外側シース604との間の接触を最大とする、円錐形状又はそれ以外の形状であってよい。
【0056】
図10及び
図11は、本開示の態様に従う、中にスロット付き下部804が配置されたアンカー部材700を示す。説明の目的で、
図10ではスロット付き下部804が透明であり、
図11ではアンカー部材700が透明である。スプリット下部804の外側面810は、スプリット下部804のまわり円周方向に間隔を空けて配置された複数のスロット812を定めていてよい。スロット812の各々は、下側アンカー部分706の対応する突起部732と整列するように配置されていてよい。各スロット712の各突起部732との整列によって、アンカー部材700に対するスプリット下部804の円周方向の動きが最小限に抑えられる、又は防止される。
【0057】
下側ロック面808は、スロット付き下部804の最下端部に配置されており、外側シース604と接触するように構成されている。下側ロック面808と外側シース604との間の接触は、外側シース604がアンカー部材700内に配置された場合に、外側シース604の軸線方向、半径方向、及び円周方向の動きを制限し得る、又はそれ以外で限定し得る。さらに、ロックアセンブリ702がアンカー部材700に固定されている間、外側シース604に対するスプリット下部804の動きは、スロット付き下部804の各スロット812とアンカー部材700の各突起部732との整列によって、実質的に軸線方向の動きに限定され得る。ロックアセンブリ610は、スプリット上部802のねじ領域806が上側アンカー部分702のねじ領域736とかみ合う前に、各突起部732が各スロット812内に収容されるようにサイズが合わされていてよく、それによって、ロックアセンブリ610とアンカー部材700が、両者がずれている間に一緒にねじ込まれることが防止される。態様では、スプリット下部804は、各突起部732が各スロット812内に配置された場合、アンカー部材700の下側アンカー部分706から上側アンカー部分702まで伸びていてよい。スロット付き下部804と外側シース604との間の動きを限定することにより、外側シース604がアンカー部材600に固定されている間、スプリット下部804が、回転位置を含む外側シース604の位置に対して有し得るいかなる乱れも最小限に抑えられる。
【0058】
複数の接触部材708は、初期位置から第一の位置へ、及び第二の位置へ動かされるように構成されている。
図12Aは、複数の接触部材708の初期位置を示す。初期位置では、接触部材708は、穿頭孔Hに挿入される前、又はそれ以外の非使用時に、半径方向R4に偏っている。
【0059】
図12Bは、接触部材708の、それらが穿頭孔Hに挿入される際の第一の位置を示す。第一の位置では、各接触部材708は、各下側面717が穿頭孔Hの壁に対して実質的に平行に延びるように、半径方向R4に内向きに延びている。各リブ714のシャープエッジ715は、穿頭孔Hの壁と接触していてよい。接触部材708が穿頭孔Hに軸線方向A4に挿入されるに従って、接触部材708は、半径方向R4に内向きに圧縮されることは理解される。
【0060】
図12Cは、接触部材708の第二の位置を示す。第二の位置では、各接触部材708は、半径方向R4に外向きに延び、それによって、下側面717が少なくとも部分的に半径方向R4に延びる。各リブ714のシャープエッジ715の各々は、穿頭孔Hの壁又はエッジに圧力を加え、外向きに穿頭孔Hの壁又はエッジの中へ延びてよく、頭蓋骨Sに対してアンカー部材700を固定する。
【0061】
接触部材708は、外側シース604によって第一の位置と第二の位置との間で動かされてよい。外側シース604の外側シース下側部分又はジョイント604aは、下側アンカー部分706の内側接触面710と嵌合するように構成されている。ロックアセンブリ610がアンカー部材700に固定されるに従って、ねじ上部802及びスロット付き下部804は、ジョイント604aに対して、接触部材708の各々を半径方向R4に外向きに延ばす軸線方向A4の力を与える。
【0062】
穿頭孔Hは、例えば標準的なクラッチ穿孔器によって形成された、円筒形状を有していてよい。穿頭孔Hの直径は、第一の位置において軸線方向A4を中心として延びている接触部材708の直径の長さと実質的に類似する長さを有していてよい。
【0063】
頭蓋用アンカーシステム100、300、及び600のコンポーネントは、放射線透過性材料から作られていてよい。別の実施形態では、コンポーネントは、ポリマーをベースとし、放射線透過性又は放射線不透過性の材料がポリマー中に分散されていてよい材料から作られている。
【0064】
頭蓋用アンカーシステム300を使用するための方法の1つの例は、脳内の対象部位のMRIを撮影し、それを術中ナビゲーションシステムにロードすることから開始する。MRIからの情報に基づいて、外科医は、脳内の標的点を識別し、患者の頭蓋骨Sを通って標的点へアクセスするための進入点を決定することができる。次に、例えば、限定されないが、特定の形状を有するツイストドリルを用いて、頭蓋骨Sの進入点に穿頭孔Hをあける。好ましい態様では、ドリルは、頭蓋用アンカーシステム300を取り付けるための穿頭孔Hをあけるために、円錐形状である。さらなる態様では、孔Hの直径は、11ミリメートル、14ミリメートル、又は18ミリメートルなど、標準的ドリルビットのサイズである。孔Hが形成された後、アンカー部材400が、下側アンカー部分406が頭蓋骨Sと嵌合するように、孔Hに挿入される。リブ414及びアンカーリブ430が、孔Hのエッジで頭蓋骨Sに貫入し、タブ416が、頭蓋骨Sの内部面と接触し、したがって、アンカー部材400が頭蓋骨Sに固定される。
【0065】
アンカー部材400が穿頭孔H内に配置された後、外側シース304が接触部材408と回転可能に接触するように、外側シース304がアンカー部材400内に配置される。外側シース304と接触部材408との間の接触により、接触部材408によって変換されて半径方向R3の力を提供する軸線方向A3の力を提供することによって、アンカー部材400を孔H内の適切な位置にさらにロックすることができる。半径方向の力はさらに、リブ414及びアンカーリブ430を、孔Hのエッジ内に固定する。ロックアセンブリ310は、アンカー部材400内に配置されて、外側シース304を固定する。ロックアセンブリ310を締める前に、外側シース304は、脳内の標的点へのアクセスを容易とし得る位置へ回転される。外側シース304が適切な位置とされた後、ロックアセンブリ310は、外側シースを、軸線方向、回転方向、及び円周方向の動きから固定する。
【0066】
内側シース306は、外側シース304内に配置される。内側シース306の位置は、高さ調節デバイス308によって調節され、MRI、基準アレイ312、外側シース304の角度、内側シース306が外側シース304を通って延びる距離、又はこれらの組み合わせに基づいて、ナビゲーションシステムによって概算される。
【0067】
栓塞子313は、頭蓋骨S内での内側シース306の位置決めを容易とするために用いられ得る。内側シース306が標的点に到達すると、栓塞子313は除去され、アスピレーターポンプが、フレキシブルチューブを介して内側シース306の上側端部に結合されてよく、それによって、頭蓋内液及び組織の除去が可能となる。
【0068】
頭蓋用アンカーシステム300の使用についての上記で述べた例において頭蓋用アンカーシステム300を参照したが、類似の方法を、頭蓋用アンカーシステム100及び600で用いることもできる。
【0069】
頭蓋用アンカーシステム100、300、及び600は、様々な手順で用いられてよく、限定されないが、脳生検、コロイド嚢胞又は第三脳室開窓術などの脳室内手術、頭蓋内出血による血餅の除去、及び脳深部電極留置のため、が挙げられる。
【0070】
本開示及びその例への言及はすべて、その点で考察されている特定の例を言及することを意図しており、より全体的な本開示の範囲に関するいかなる限定も暗示することを意図するものではない。保護される技術革新の範囲は、添付の請求項によって定められる。