(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-20
(45)【発行日】2022-12-28
(54)【発明の名称】ゴールスポーツおよびネットスポーツを練習するためのマルチスポーツスペース
(51)【国際特許分類】
A63C 19/02 20060101AFI20221221BHJP
E04H 3/14 20060101ALI20221221BHJP
【FI】
A63C19/02
E04H3/14 Z
(21)【出願番号】P 2020502985
(86)(22)【出願日】2018-07-11
(86)【国際出願番号】 EP2018068834
(87)【国際公開番号】W WO2019016049
(87)【国際公開日】2019-01-24
【審査請求日】2021-06-30
(32)【優先日】2017-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】520017719
【氏名又は名称】ヴィニヨー, フランソワ エマニュエル
【氏名又は名称原語表記】VIGNEAU,FRANCOIS EMMANUEL
(74)【代理人】
【識別番号】100080447
【氏名又は名称】太田 恵一
(72)【発明者】
【氏名】ヴィニヨー, フランソワ エマニュエル
【審査官】槙 俊秋
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第2388051(EP,A1)
【文献】欧州特許出願公開第2591830(EP,A1)
【文献】国際公開第2012/031319(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63C 19/00-19/08
A63B 61/00
E04H 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴールスポーツおよびネットスポーツに同時に使用することができる複数の異なるピッチを備えるマルチスポーツ複合施設(20)であって、
-前記マルチスポーツ複合施設は、垂直壁(22)によって区切られる第1のゴールスポーツエリア(21)を備え、前記第1のゴールスポーツエリア(21)は正方形または長方形であり、前記第1のゴールスポーツエリア(21)は、地面を起点とする垂直なゴールを含むゴールスポーツ用ピッチ(23)と、ある高さに位置決めされる水平なゴールを含むゴールスポーツ用ピッチ(24)と、を備え、
-前記第1のゴールスポーツエリア(21)を取り囲む前記垂直壁(22)のセクションは、ネットを越えて、ネットスポーツ投擲体を通過させる必要がある複数のネットスポーツピッチ(25)のネットを形成し、前記ネットスポーツピッチ(25)は、前記垂直壁(22)の前記セクションのいずれの側にも配置され、
-前記第1のゴールスポーツエリア(21)の少なくとも1つの隅角の領域では、2つの垂直壁(22)セクションが、2つの直交軸線に従って設定されて前記隅角を形成し、各隅角は、前記隅角のそれぞれの設定された軸線の延長部にセクション延長部(26)を含み、前記セクション延長部(26)は、前記隅角から前記第1のゴールスポーツエリア(21)の外側に向かって続いており、
-各セクション延長部(26)は、ネットを越えて、ネットスポーツ投擲体を通過させる必要がある少なくとも1つのネットスポーツピッチのネットを形成し、前記少なくとも2つのネットスポーツピッチ(25)がこのようにして、直交軸線に沿って延在するように形成されることを特徴とする、マルチスポーツ複合施設(20)。
【請求項2】
-前記第1のゴールスポーツエリア(21)の少なくとも2つの連続する隅角の領域では、2つの垂直壁(22)セクションは、2つの直交軸線に従って設定されて前記2つの連続する隅角のそれぞれを形成し、各隅角は、前記隅角のそれぞれの設定された軸線の延長部に、前記隅角から前記第1のゴールスポーツエリア(21)の外側に向かって続いているセクション延長部(26)を含み、
-前記2つの連続する隅角の各々について、各セクション延長部(26)は、ネットを越えて、ネットスポーツ投擲体を通過させる必要がある少なくとも1つのネットスポーツピッチのネットを形成し、前記少なくとも2つのネットスポーツピッチ(25)がこのようにして、直交軸線に沿って延在するように形成され、
-相互に平行である前記2つの連続する隅角の前記セクション延長部(26)は、地面を起点とする追加の垂直なゴールを含むゴールスポーツ用ピッチ(23)と、ある高さに位置決めされる追加の水平なゴールを含むゴールスポーツ用ピッチ(24)と、を含む、追加の正方形または長方形ゴールスポーツエリア(27)の2つの対向する制限部をさらに形成する、請求項1に記載のマルチスポーツ複合施設(20)。
【請求項3】
-前記第1のゴールスポーツエリア(21)の各隅角の領域では、前記2つの
垂直壁
(22)セクションは、2つの直交軸線に従って設定されて前記隅角を形成し、各隅角は、前記隅角のそれぞれの設定された軸線の延長部に、前記隅角から前記第1のゴールスポーツエリア(21)の外側に向かって続いているセクション延長部(26)を含み、
-各隅角について、各セクション延長部(26)は、ネットを越えて、ネットスポーツ投擲体を通過させる必要がある少なくとも1つのネットスポーツピッチのネットを形成し、前記少なくとも2つのネットスポーツピッチ(25)がこのようにして、直交軸線に沿って延在するように形成され、
-相互に平行である連続する隅角の各対の前記セクション延長部(26)は、地面を起点とする垂直なゴールを含むゴールスポーツ用ピッチ(23)と、ある高さに位置決めされる水平なゴールを含むゴールスポーツ用ピッチ(24)と、を含む、追加の正方形または長方形ゴールスポーツエリア(27)の2つの対向する制限部をさらに形成する、請求項1に記載のマルチスポーツ複合施設(20)。
【請求項4】
各
垂直壁
(22)セクションについて、前記
垂直壁
(22)セクションにより形成される前記ネットまたはネット群、および前記
垂直壁
(22)セクションの前記
セクション延長部(26)により形成される前記ネット群は、複数の同一ネットスポーツピッチ(25)を平行に、同じ軸線方向に設定すること、およびひいては、同じスポーツを前記同一ネットスポーツピッチ(25)で同時に練習することを可能にするために、地面に対して同じ高さに上縁部を有する、請求項2または請求項3のいずれかに記載のマルチスポーツ複合施設(20)。
【請求項5】
前記第1のゴールスポーツエリア(21)の第1の垂直壁(22)セクションは、地面に対する第1の高さにあるネットの上縁部を形成し、前記第1の垂直壁(22)セクションと直交する前記第1のゴールスポーツエリア(21)の第2の垂直壁(22)セクションは、地面に対する第2の高さにある追加のネットの上縁部を形成し、前記第1の高さは前記第2の高さとは異なり、前記第1の高さと前記第2の高さは、異なるネットスポーツの練習に好適である、請求項1~4のいずれかに記載のマルチスポーツ複合施設(20)。
【請求項6】
隅角を前記セクション延長部(26)が起点とする前記第1のゴールスポーツエリア(21)の各隅角について、前記隅角を起点とするセクション延長部(26)により形成される前記ネットは、同じ隅角を起点とする他方のセクション延長部(26)により形成される前記ネットの前記上縁部の地面に対する高さとは異なる地面に対する高さにある上縁部を有し、前記異なる高さは、異なるネットスポーツの練習に好適である、請求項
4または請求項5のいずれかに記載のマルチスポーツ複合施設(20)。
【請求項7】
前記第1のゴールスポーツエリア(21)および/または前記セクション延長部(26)を取り囲む前記垂直壁(22)の前記セクションは、下側部分において高剛性であり、上部を可撓性部分で覆われる、請求項1~6のいずれかに記載のマルチスポーツ複合施設(20)。
【請求項8】
各垂直壁(22)セクションおよび各
セクション延長部(26)は、以下の要素:
-垂直の、開口された、もしくは中実だが透明の壁または膜、
-金属からなる、または任意の他の材料からなるワイヤを有する天然繊維もしくは合成繊維、外装繊維もしくは非外装繊維で構成される格子、
-合成材料からなる被覆材で保護されていても、または保護されていなくてもよい、金属または任意の他の材料からなるケーブル、ロッド、または輪郭部で構成される格子、
のうち1つの要素、または前記要素のうち少なくとも2つの要素の混合物により形成される、請求項1~7のいずれかに記載のマルチスポーツ複合施設(20)。
【請求項9】
前記垂直壁(22)の前記セクションの前記
セクション延長部(26)は、異なる長さである、請求項1~8のいずれかに記載のマルチスポーツ複合施設(20)。
【請求項10】
前記地面は、「ビーチスポーツ」練習用の砂のような緩和材料により形成される、請求項1~9のいずれかに記載のマルチスポーツ複合施設(20)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スポーツ分野に関するものであり、複数のスポーツを練習するための複合施設の装備に関する。
【0002】
本発明は、ボール、シャトルコック、輪投げで競技する、または任意の他の投擲競技を行う複数の個人(1対1)または集団(1チーム対別チーム)の対戦スポーツの練習用のピッチ、特にレジャー用のピッチからなる、ゴールスポーツおよびネットスポーツを行うためのマルチスポーツ複合施設に関するものである。
【背景技術】
【0003】
先行技術
レジャー目的のマルチスポーツ用の地形、特に産業的に実現されるマルチスポーツ用の地形は、複数の機能に関連付けられ、セキュリティ問題にも関連付けられる。
【0004】
フットボール、ハンドボール、またはバスケットボールの練習にも用いられるピッチ上で行われるバドミントン、テニス、またはバレーボールの練習は、ネットまたはさらにはポストの設置、撤去、および片付けがあるので困難を伴う場合にのみ可能であり、取り扱い、および保管の問題を伴う。多くの場合、重いポストの取り扱いは、ポストを取り扱う人たちに安全を脅かす危険をもたらす。さらに、上記の材料、特にネットは、破損の危険に晒される。
【0005】
少人数制フットボールのピッチ、またはハンドボールピッチ、およびバスケットボールピッチの設定は、安全性または機能性の問題を伴う。実際、この構成では、バスケットボールゴール(パネルおよびリング)の少人数制フットボールまたはハンドボールのゴール(ケージ)を上回る必要な設定により、少人数制フットボールおよびハンドボールゴールの垂直方向に対するバスケットボールゴールのずれ余裕が小さくなり、バスケットボールプレーヤーがポストまたはゴールの水平バーと衝突する、またはボールを返すための壁、または壁の内部にゴールが、特にずれ余裕をより大きくしてバスケットボールプレーヤーの安全を確保するように切られる場合が多いが、フットボールまたはハンドボール競技スペースのボールの障害物を表す壁と衝突する危険を伴う。
【0006】
複数の長方形ピッチを2つの異なる略直交する軸線方向に設定することはまた、安全上の問題が伴う。実際、競技または体育および伝統的なスポーツにおけるピッチの場合のように、ゴールが隔絶されて設定される場合、2つのピッチのうち1つのピッチの長手軸線の2つの端部に配置されるゴールは、他方のピッチの長手軸線に沿って競技するプレーヤーが衝突する危険を表している。ゴールが、特にボールを競技エリアに、アイスホッケーピッチを取り囲むレールに沿って返すために使用される壁に一体化される場合、異なる軸線方向に配置されるピッチを取り囲む壁(略十字形の)は、これらの壁の間で鋭角をなし、これにより、プレーヤーの安全を脅かす危険をさらに伴う。
【0007】
さらに、長方形ピッチの実現は普通、レジャースポーツ活動に専念するプレーヤーの希望に対応していない。実際、長方形形状は、対向するゴールの距離が相対的に長くなり、これは、ボールを一方のゴールから他方のゴールに運ぶ(「bring the ball up(ボールを送り込む)」という通常の表現が明確である)ためのエネルギー消費を必要とする、および/またはフィールドプレーヤーを比較的特殊な持ち場(ディフェンス、パッサー、オフェンス)に配置する必要があるのに対し、特にレジャー用の練習の場合、プレーヤーは、競技に可能な限り参加したい、すなわち可能な限りボールに触れて、プレーヤーのエネルギーの大部分をボールに費やしたいと考える。
【0008】
幾つかの特許は、新規ネットスポーツ用のオリジナルのピッチタイプを提案しているが、これらのピッチタイプにより、マルチスポーツ練習が行えず、これらのピッチタイプは、従来のネットスポーツに関して機能しない。
【0009】
このようなことから、米国特許第3,452,985号(JD ZMURA Cornelius)、および米国特許第4,108,434号(ROYER George Ronald)は、テーブルで競技が行われる競技、および卓球台で競技が行われる競技をそれぞれ提案しており、これらの競技は共に、3または4つのプレーヤーまたはチームが一緒に競技することができるような複数のネットを備える。各々が、準三角形または円弧の形をした競技エリアを有しているので、1対1または1チーム対別チームの従来のネットスポーツの練習は可能ではない。これらの特許が提案する競技テーブルにより、上記新規競技の練習、および上記新規卓球形式の練習のみが可能となる。
【0010】
米国特許第4,569,515号(GORDON Donald W)は、ボールをネットを越えないように、2つのネットの間の隙間を通過させる構造を提案している。しかしながら、当該構造は、2対2で競技する、または1対1の2つの試合で別々に競技してより大きなチームでは競技しない一緒に競技する4人のプレーヤーのためにのみ用いられる。さらに、この構造は、トランポリンのように跳ね返る、またはエアクッションにより跳ね返る競技面を備える。いずれにせよ、ネットの上側部分は同じ高さにあり、当該構造により、複数のネットスポーツを従来のルールに従って練習することはできない。
【0011】
英国特許出願公開第2,448,989号(JB Corrie and Company Ltd)の場合、当該文書は、スポーツピッチを、緊張ネットにより、スポーツ用の、または他の用途の複数の小ピッチに分割するデバイスを提案している。しかしながら、当該ネットは、異なるピッチを分離するために用いられ、1つのピッチを2つの側に分離するスポーツネットとして使用されるために用いられるのではない。いずれにしても、同じ高さにあると、当該ネットによりマルチスポーツの練習を行えない。
【0012】
欧州特許第2,591,830号(VIGNEAU Francois-Emmanuel)は、ネットスポーツ用の複数の異なるピッチ、および2つの直交軸線上に配置されるネットからなるマルチスポーツ複合施設を開示しており、ネットスポーツとして、例えば2つの直交軸線に従って設定されるバドミントン、セパタクロー、バレーボール、テニス、フットテニス、またはさらにはパドルテニスがあり、各ピッチを2つの部分に分割する当該ネットが固定され、当該ネットの上縁部が、当該異なるスポーツの練習に好適な異なる高さにあって、複数のスポーツの練習、または複数のピッチにおける1種類のスポーツの練習を行うことができ、無事に行えると、1つ以上の他のスポーツの練習を行うことができる。この種類のマルチスポーツ複合施設は、ゴールスポーツの練習を可能にすることができない。
【0013】
欧州特許第2,388,051号(VIGNEAU Francois-Emmanuel)は、垂直壁で取り囲まれるピッチからなるマルチスポーツ複合施設を提案しており、複合施設は、少人数制フットボール、ハンドボール、および任意の他の形式のホッケーのような、ゴールが垂直であり、地面を起点とするスタンディングスポーツ用競技エリアと、ゴールスポーツピッチを取り囲む垂直壁のセクションが、ネットを越えて、バドミントン、セパタクロー、テニス、フットテニス、およびバレーボールのような複数のネットスポーツピッチのボールまたはシャトルコックを通過させる必要がある当該ネットを形成するバスケットボールのようなゴールが水平であり、ある高さに位置決めされるスタンディングスポーツ用競技エリアと、を備え、当該ネットスポーツピッチは、当該垂直壁のセクションのいずれの側にも配置される。中央ピッチを解放してゴールスポーツ用の競技エリアを収容するために、ネットとして作用する壁は、当該中央ピッチの周りに正方形に配置される。さらに、当該壁のいずれの側にも配置されるネットスポーツピッチは、当該壁の長手軸線に従って2つずつ揃えられる。このようなことから、マルチスポーツ複合施設は、ピッチを同時使用するために限られた収容能力を有する-1つのゴールスポーツピッチまたは最大で4つのネットスポーツピッチ-を有する。
【発明の概要】
【0014】
発明の開示
先行技術のこれらの様々な不具合を克服するために、第1の態様によれば、本発明は、ゴールスポーツおよびネットスポーツに同時に使用することができる複数の異なるピッチを備えるマルチスポーツ複合施設に関するものであり、
-マルチスポーツ複合施設は、垂直壁によって区切られる第1の正方形または長方形ゴールスポーツエリアを備え、当該第1のゴールスポーツエリアは、ゴールが垂直であり、地面を起点とするゴールスポーツ用ピッチと、ゴールが水平であり、ある高さに位置決めされるゴールスポーツ用ピッチと、を含み、
-第1のゴールスポーツエリアを取り囲む垂直壁のセクションは、ネットを越えて、ネットスポーツ投擲体を通過させる必要がある複数のネットスポーツピッチのネットを形成し、当該ネットスポーツピッチは、垂直壁のセクションのいずれの側にも配置され、
-第1のゴールスポーツエリアの少なくとも1つの隅角の領域では、2つのセクションが、2つの直交軸線に従って設定されて当該隅角を形成し、各隅角は、セクション延長部を当該隅角のそれぞれの設定された軸線の延長部に含み、当該延長部は、当該隅角から第1のゴールスポーツエリアの外側に向かって続いており、
-各セクション延長部は、ネットを越えて、ネットスポーツ投擲体を通過させる必要がある少なくとも1つのネットスポーツピッチのネットを形成し、少なくとも2つのネットスポーツピッチがこのようにして、直交軸線に沿って延在するように形成される。
【0015】
本発明は、本発明により、複数種類のゴールスポーツおよびネットスポーツの練習が、マルチスポーツ複合施設で可能になるという点で有利である。実施形態によれば、4種類の異なるスポーツ(水平ゴールを有するゴールスポーツ、垂直ゴールを有するゴールスポーツ、ネットスポーツX、およびネットスポーツY)の場合、このようなことから、マルチスポーツ複合施設を変更することなく、特に壁セクションにより形成されるネット、およびセクション延長部により形成されるネットを操作することなく、選択されるスポーツに応じて、最大で6つのピッチを同時に使用して、4種類の異なるスポーツを同時に練習することができ、選択されるスポーツに応じて、最大で7つのピッチを同時に使用して、2種類の、または3種類の異なるスポーツを同時に練習することができ、選択されるスポーツに応じて、最大で8つのピッチを同時に使用して、異なるスポーツのうち1種類のスポーツを練習することができる。同時に練習することができる異なるスポーツの種類数は、4種類に限定されない。実際、選択される第1の競技エリアの水平寸法、選択されるネットスポーツピッチの寸法、およびネットスポーツピッチ群の各々について各壁セクションにより形成され、各セクション延長部により形成されるネットについて選択される高さ(異なる可能性がある)に応じて、4種類よりも多くの異なるスポーツを同時に練習することが可能である。
【0016】
好ましい実施形態によれば、本発明は、個別に実現される、または特徴の技術的に有効な組み合わせの各々において実現される以下の特徴にさらに適合する。
【0017】
垂直壁セクションおよびセクション延長部はこのようにして、ネットスポーツピッチの競技ネットとして機能する。垂直壁セクションおよび/またはセクション延長部は、中実とすることができる、および/または開口することができる。垂直壁セクションおよびセクション延長部はさらに、高剛性および/または可撓性とすることができる。例えば、垂直壁セクションおよび/またはセクション延長部は、上部を可撓性部分で覆われる高剛性下側部分を有することができる。
【0018】
特定の実施形態では、各壁セクションおよび各延長部は、以下の要素:
-垂直の、開口された、もしくは中実だが透明の壁または膜、
-金属からなる、または任意の他の材料からなるワイヤを有する天然繊維もしくは合成繊維、外装繊維もしくは非外装繊維で構成される格子、
-合成材料からなる被覆材で保護することができる、または保護されなくてもよい、金属または任意の他の材料からなるケーブル、ロッド、または輪郭部で構成される格子のうち1つの要素、または当該要素のうち少なくとも2つの要素の混合物により形成される。
【0019】
壁セクションまたはセクション延長部は、例えば上部を合成繊維格子で覆われた高剛性下側部分を有する壁により形成することができる。
【0020】
異なる壁セクションおよび異なる延長部は、異なるように形成することができる。
【0021】
少人数制フットボール、ハンドボール、バスケットボール、足で競技する、または従来のローラスケートまたはローラブレードで競技する全ての方式のホッケーのようなゴールスポーツ用の第1のエリアはこのようにして、地面領域において、中実とすることができる、および/または開口することができ、ボールを競技エリアに返すために使用される垂直壁で取り囲まれる。少人数制フットボール、ハンドボール、または異なる方式のホッケーの垂直ゴールは、当該垂直壁に配置されて、競技者の安全を脅かす危険を表すことができる可能な限り少なく突出する部分を含むようにする。
【0022】
第1のゴールスポーツエリアの人員容量に応じて、可能な安全規則に応じて、少なくとも1つの通路を垂直壁に配置して、第1のゴールスポーツエリアに入場することができるようにする必要がある。
【0023】
特定の実施形態によれば、ゴールが垂直であり、地面を起点とする少人数制フットボール、ハンドボール、または全ての方式のホッケーのようなスポーツのピッチ、およびゴールが水平であり、ある高さにある、バスケットボールのようなスポーツのピッチは、同じ軸線方向に延在していないが、直交している。2つのピッチは、これらのピッチの表面の一部を共有する。
【0024】
特定の実施形態では:
-第1のゴールスポーツエリアの少なくとも2つの連続する隅角の領域では、2つの壁セクションが、2つの直交軸線に従って設定されて各隅角を形成し、各隅角は、当該隅角から第1のゴールスポーツエリアの外側に向かって続いているセクション延長部を当該隅角のそれぞれの設定された軸線の延長部に含み、
-2つの連続する隅角の各々について、各セクション延長部は、ネットを越えて、ネットスポーツ投擲体を通過させる必要がある少なくとも1つのネットスポーツピッチのネットを形成し、少なくとも2つのネットスポーツピッチがこのようにして、直交軸線に沿って延在するように形成され、
-相互に平行である2つの連続する隅角のセクション延長部は、ゴールが垂直であり、地面を起点とするゴールスポーツ用ピッチと、ゴールが水平であり、ある高さに位置決めされるゴールスポーツ用ピッチと、を含む追加の正方形または長方形ゴールスポーツエリアの2つの対向する制限部をさらに形成する。
【0025】
特定の実施形態では:
-第1のゴールスポーツエリアの各隅角の領域では、2つの壁セクションが、2つの直交軸線に従って設定されて当該隅角を形成し、各隅角は、当該隅角から第1のゴールスポーツエリアの外側に向かって続いているセクション延長部を当該隅角のそれぞれの設定された軸線の延長部に含み、
-各隅角について、各セクション延長部は、ネットを越えて、ネットスポーツ投擲体を通過させる必要がある少なくとも1つのネットスポーツピッチのネットを形成し、少なくとも2つのネットスポーツピッチがこのようにして、直交軸線に沿って延在するように形成され、
-セクション延長部について、相互に平行である連続する隅角の各対は、ゴールが垂直であり、地面を起点とするゴールスポーツ用ピッチと、ゴールが水平であり、ある高さに位置決めされるゴールスポーツ用ピッチと、を含む追加の正方形または長方形ゴールスポーツエリアの2つの対向する制限部をさらに形成する。
【0026】
第1のゴールスポーツエリアを取り囲む壁セクションにより形成されるネットの上縁部、およびセクション延長部により形成されるネットの上縁部は、異なるネットスポーツにおけるネットの高さに対応する地面に対する高さにある。例えば、垂直ゴールが配置される壁セクションにより形成されるネットの上縁部は、男性のバレーボールネットの高さ(2.43m)とすることができる、およびまたは女性のバレーボールネットの高さ(2.24m)とすることができる。壁セクションの前方に、バスケットボールパネルおよびバスケットボールリングが位置している当該壁セクションにより形成されるネットの上縁部は、バドミントンネットおよびセパタクローネットの高さ(1.524m)、および/またはテニスネットの高さ(0.914m)とすることができる。子供、成人、高齢者、または障害者が当該スポーツを練習するのを容易にするために、当該高さを低くすることができる。
【0027】
特定の実施形態では、垂直壁セクションにより形成されるネット、およびセクション延長部により形成されるネットのいずれも上縁部を、垂直壁セクションにより形成される他のネット、およびセクション延長部により形成される他のネットのいずれとも地面に対する同じ高さに有することがない。
【0028】
特定の実施形態によれば、各壁セクションについて、壁セクションにより形成されるネットまたはネット群、および当該壁セクションの延長部により形成されるネット群は、上縁部を地面に対して同じ高さに有して、複数の同一ネットスポーツピッチを平行に同じ軸線方向に設定することができることにより同じスポーツを当該同一ネットスポーツピッチで同時に練習することができる。
【0029】
特定の実施形態では、第1のゴールスポーツエリアの第1の壁セクションにより形成されるネットまたはネット群の上縁部は、第1のセクションと直交する第2の壁セクションにより形成されるネットまたはネット群の上縁部の地面に対する高さとは異なる地面に対する高さにあり、当該異なる高さは、異なるネットスポーツの練習に好適である。
【0030】
特定の実施形態では、隅角をセクション延長部が起点とする第1のゴールスポーツエリアの各隅角について、隅角を起点とするセクション延長部により形成されるネットは、同じ隅角を起点とする他方のセクション延長部により形成されるネットの上縁部の地面に対する高さとは異なる地面に対する高さにある上縁部を有し、当該異なる高さは、異なるネットスポーツの練習に好適である。
【0031】
特定の実施形態では、壁セクション延長部は、異なる長さである。
【0032】
特定の実施形態では、異なるスポーツピッチの地面は、「beach volleyball(ビーチバレーボール)」またはビーチバドミントンのような「beach sports(ビーチスポーツ)」練習用の砂のような緩和材料により形成される。
【0033】
図の説明
本発明は、非限定的に与えられ、図を参照して与えられる以下の説明を読み取ると、より良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】垂直壁で取り囲まれるゴールスポーツピッチを含む第1の正方形ゴールスポーツエリアを備えるマルチスポーツ複合施設全体の平面図であり、マルチスポーツ複合施設の異なるセクションは、第1のエリアの隅角を起点とする延長部を、セクションの設定された軸線の延長部に有するのみならず、当該壁の様々なセクションのいずれの側でも設定され、壁のセクションの様々な延長部のいずれの側だけでなく、相互に平行である連続する隅角の各対のセクション延長部の間で設定される第1のエリアに追加される他のゴールスポーツエリアのいずれの側でも設定されるネットスポーツピッチを有する。
【
図2】4種類の異なるスポーツを、当該スポーツ群のうち1種類のスポーツをマルチスポーツ複合施設で一度に練習するときに練習することができる場合の本発明が関わるマルチスポーツ複合施設の異なる可能な使用構成を示している。
【
図3】2種類の異なるスポーツをマルチスポーツ複合施設で同時に練習するときの本発明が関わるマルチスポーツ複合施設の異なる可能な使用構成を示している。
【
図4】3種類の異なるスポーツをマルチスポーツ複合施設で同時に練習するときの本発明が関わるマルチスポーツ複合施設の異なる可能な使用構成を示している。
【
図5】4種類の異なるスポーツをマルチスポーツ複合施設で同時に練習するときの本発明が関わるマルチスポーツ複合施設の異なる可能な使用構成を示している。
【発明を実施するための形態】
【0035】
発明の詳細な説明
図は寸法通りになっていないことが直ぐに分かるであろう。
【0036】
より一般的な態様では、本発明の範囲は、非限定的な例を通して上に説明される実施形態に限定されることがなく、代わりに、当業者の能力内の全ての変形を包含する。1つの実施形態の各特徴は、単独で、または任意の他の実施形態の任意の他の特徴と組み合わせて、有利になるように実現することができる。
【0037】
図1は、本発明の特定の実施形態によるマルチスポーツ複合施設20を示している。当該マルチスポーツ複合施設20は、ゴールスポーツ用およびネットスポーツ用の複数の異なるピッチからなる。当該複合施設は、垂直壁22によって区切られる第1の正方形ゴールスポーツエリア21を備え、当該第1のゴールスポーツエリア21は、ゴールが垂直であり、地面を起点とするゴールスポーツ用ピッチ23と、ゴールが水平であり、ある高さに位置決めされるゴールスポーツ用ピッチ24と、を含む。
【0038】
第1のゴールスポーツエリア21を取り囲む垂直壁22のセクションは、ネットを越えて、ネットスポーツ投擲体を通過させる必要がある複数のネットスポーツピッチ25のネットを形成し、当該ネットスポーツピッチ25は、垂直壁22のセクションのいずれの側にも配置される。
図1では、各垂直壁22セクションは、2つのネットスポーツピッチ25のネットを形成する。選択される第1のゴールスポーツエリア21の水平寸法、および選択されるネットスポーツピッチ25の寸法に応じて、各垂直壁22セクションは、2つよりも多くのネットスポーツピッチ25のネットを形成することができる。
【0039】
第1のゴールスポーツエリア21の4つの隅角の領域では、2つのセクションが2つの直交軸線に従って設定されて各隅角を形成するようにし、各隅角は、セクション延長部26を当該隅角のそれぞれの設定された軸線の延長部に含み、当該延長部26は、当該隅角から第1のゴールスポーツエリア21の外側に向かって続いている。
【0040】
各セクション延長部26は、少なくとも1つのネットスポーツピッチ25のネットを形成し、ネットを越えて、ネットスポーツ投擲体を通過させる必要があり、2つのネットスポーツピッチ25がこのようにして、直交軸線に沿って延在するように形成される。各延長部26は、1つよりも多くのネットスポーツピッチ25のネット、例えば2つ、または3つのネットスポーツピッチ25、またはより多くのネットスポーツピッチ25のネットを形成することができる。
【0041】
さらに、各垂直壁22セクションにより形成される、または各セクション延長部26により形成されるネットはそれぞれ、ネットの上縁部を互いに対して、地面に対して異なる高さに有することができる。このようなことから、選択される第1の競技エリア21の水平寸法、選択されるネットスポーツピッチ25の寸法、および各垂直壁22セクションにより形成され、ネットスポーツピッチ25の各々の各セクション延長部26により形成されるネットについて選択される高さ(異なる可能性がある)に応じて、複数の異なるネットスポーツをマルチスポーツ複合施設20で同時に練習することができる、または練習することができない。例えば、2、3、4、または5種類の異なるネットスポーツは、マルチスポーツ複合施設20で同時に練習することができる、または練習することができない。
【0042】
連続する隅角の各対が、垂直壁22のセクションにより形成される場合、相互に平行である2つの連続する隅角のセクション延長部26は、ゴールが垂直であり、地面を起点とするゴールスポーツ用ピッチ23と、ゴールが水平であり、ある高さに位置決めされるゴールスポーツ用ピッチ24と、を備える追加の正方形または長方形ゴールスポーツエリア27の2つの対向する制限部を形成する。
【0043】
1つの実施形態によれば、各壁セクションについて、壁セクションにより形成されるネットまたはネット群、および当該壁セクションの延長部により形成されるネット群は、複数の同一ネットスポーツピッチ25を平行に、同じ軸線方向に設定すること、およびひいては、同じスポーツを当該同一ネットスポーツピッチ25で同時に練習することを可能にするために、地面に対する同じ高さに上縁部を有する。第1のゴールスポーツエリア21の第1の壁セクションにより形成されるネットの上縁部、および当該第1のセクションの延長部26により形成されるネットの上縁部は、第1のセクションと直交する第2の壁セクションにより形成されるネットの上縁部、および当該第2のセクションの延長部26により形成されるネットの上縁部の地面に対する高さとは異なる地面に対する高さにあり、当該異なる高さは、異なるネットスポーツを練習するのに好適である。実際、平行セクションの各対、およびその延長部26(同様に平行である)について、当該平行セクションにより形成されるネットの上縁部、および平行セクションの延長部により形成されるネットの上縁部は、地面に対して同じ高さにある。
【0044】
このように、この実施形態によれば、第1のネットスポーツX(例えば、バレーボール)は、第1のセクションおよび第1のセクションの延長部26のいずれの側にも配置されるネットスポーツピッチ25で競技することができ、第1のセクションに平行なセクション、および当該平行セクションの延長部26のいずれの側にも配置されるネットスポーツピッチ25で競技することもできる。第1とは異なる第2のネットスポーツY(例えば、バドミントン)は、2つの他の平行セクションの各々、およびその延長部26のいずれの側にも配置されるネットスポーツピッチ25で競技することができる。
【0045】
4種類の異なるスポーツ(水平ゴールを有するゴールスポーツ、垂直ゴールを有するゴールスポーツ、ネットスポーツXおよびネットスポーツY)を練習することができる場合の上の実施形態によるマルチスポーツ複合施設20の可能な構成は、1種類の当該スポーツをマルチスポーツ複合施設で一度に練習する場合の
図2に示されており、2種類の異なるスポーツを同時に練習する(例えば、2つのクラスが2種類の異なるスポーツをマルチスポーツ複合施設で競技したいと考える場合の学校において)ことが必要な場合の
図3に示されており、3種類の異なるスポーツを同時に練習することが必要な場合の
図4に示されており、4種類の異なるスポーツを同時に練習することが必要な場合の
図5に示されている。
【0046】
水平ゴールを有するゴールスポーツはバスケットボールとすることができ、垂直ゴールを有するゴールスポーツはフットボールとすることができ、ネットスポーツXはバレーボールとすることができ、ネットスポーツYはバドミントンとすることができる。
【0047】
1種類のスポーツを一度に練習する場合(
図2)、5つのピッチを、垂直ゴールを有するゴールスポーツに同時に使用することが可能である、または5つのピッチを、水平ゴールを有するゴールスポーツに同時に使用することが可能である、または8つのピッチを、ネットスポーツXまたはYに同時に使用することが可能であることに留意されたい。
【0048】
さらに、2種類の異なるスポーツを同時に練習するために(
図3)、選択されるスポーツに応じて最大で7つのピッチを同時に使用することが可能であることに留意されたい。同じことが、3種類の異なるスポーツを同時に練習する場合に当てはまる(
図4)。
【0049】
4種類の異なるスポーツを同時に練習するために(
図5)、選択されるスポーツに応じて、最大で6つのピッチを同時に使用することが可能である。
【符号の説明】
【0050】
20 マルチスポーツ複合施設
21 第1のゴールスポーツエリア
22 垂直壁
23、24 ゴールスポーツ用ピッチ
25 ネットスポーツピッチ
26 セクション延長部
27 ゴールスポーツエリア
【先行技術文献】
【特許文献】
【0051】
【文献】米国特許第3452985号明細書
【文献】米国特許第4108434号明細書
【文献】米国特許第4569515号明細書
【文献】英国特許出願公開第2448989号明細書
【文献】欧州特許第2591830号明細書
【文献】欧州特許第2388051号明細書