(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-20
(45)【発行日】2022-12-28
(54)【発明の名称】大員環免疫調節剤
(51)【国際特許分類】
C07D 273/02 20060101AFI20221221BHJP
C07D 498/08 20060101ALI20221221BHJP
C07D 471/18 20060101ALI20221221BHJP
A61K 31/5395 20060101ALI20221221BHJP
A61K 31/439 20060101ALI20221221BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20221221BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20221221BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20221221BHJP
A61P 35/04 20060101ALI20221221BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20221221BHJP
A61P 31/00 20060101ALI20221221BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20221221BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20221221BHJP
A61P 31/10 20060101ALI20221221BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20221221BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20221221BHJP
【FI】
C07D273/02
C07D498/08 CSP
C07D471/18
A61K31/5395
A61K31/439
A61K45/00
A61P37/02
A61P35/00
A61P35/04
A61P43/00
A61P31/00
A61P31/04
A61P31/12
A61P31/10
A61P35/02
A61P29/00
(21)【出願番号】P 2020506737
(86)(22)【出願日】2018-08-07
(86)【国際出願番号】 US2018045553
(87)【国際公開番号】W WO2019032547
(87)【国際公開日】2019-02-14
【審査請求日】2021-07-09
(32)【優先日】2017-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507416218
【氏名又は名称】ケモセントリックス,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【氏名又は名称】武居 良太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100196977
【氏名又は名称】上原 路子
(72)【発明者】
【氏名】ビエンカム マラソン
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー マクマホン
(72)【発明者】
【氏名】ダレン ジェイ.マクマツリー
(72)【発明者】
【氏名】スリーニバス パナ
(72)【発明者】
【氏名】ハワード エス.ロス
(72)【発明者】
【氏名】ラジンダー シング
(72)【発明者】
【氏名】ペングリー ジャーン
【審査官】水島 英一郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/066227(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/160641(WO,A2)
【文献】特表2016-519062(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus(STN)
REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)または式(II)の化合物:
【化1】
またはその医薬として許容可能な塩
(式中、
Rは、H、ハロゲン、CN、C
1-3ハロアルキル、C
1-3アルキル、C
1-3アルコキシからなる群から選択され;
R
1は、ハロゲン、C
5-8シクロアルキル、C
6-10アリール、チエニルからなる群から選択され、その中のC
6-10アリールとチエニルは、場合によっては1~5個のR
1a置換基で置換されており;
それぞれのR
1aは、独立に、ハロゲン、-CN、-R
c、-CO
2R
a、-CONR
aR
b、-C(O)R
a、-OC(O)NR
aR
b、-NR
bC(O)R
a、-NR
bC(O)
2R
c、-NR
a-C(O)NR
aR
b、-NR
aR
b、-OR
a、-O-X
1-OR
a、-O-X
1-CO
2R
a、-O-X
1-CONR
aR
b、-X
1-OR
a、-X
1-NR
aR
b、-X
1-CO
2R
a、-X
1-CONR
aR
b、-SF
5、-S(O)
2NR
aR
bからなる群から選択され、その中のそれぞれのX
1はC
1-4アルキレンであり;それぞれのR
aとR
bは、独立に、水素、C
1-8アルキル、C
1-8ハロアルキルから選択されるか、同じ窒素原子に結合しているときにはその窒素原子と合わさって、環メンバーとしてN、O、Sから選択された0~2個の追加へテロ原子を有する5員または6員の環を形成し、その環は、場合によってはオキソで置換されており;それぞれのR
cは、独立に、C
1-8アルキル、C
2-8アルケニル、C
2-8アルキニル、C
1-8ハロアルキルからなる群から選択され;場合によって2個のR
1a置換基が隣接した原子上にあるときには、それら置換基が合わさって縮合した5員、または6員、または7員の炭素環または複素環を形成し、その環は、場合によっては、ハロゲン、オキソ、C
1-8ハロアルキル、C
1-8アルキルから独立に選択された1~3個の置換基で置換されているか;
R
1は、
【化2】
であり;その中のそれぞれのR
1b、R
1c、R
1d、R
1eは、独立に、H、ハロゲン、CF
3、CN、C
1-4アルキル、-O-C
1-4アルキルからなる群から選択され、その中のC
1-4アルキルと-O-C
1-4アルキルは、場合によってはハロゲン、ヒドロキシル、メトキシ、エトキシのいずれかでさらに置換されており;
Lは、
【化3】
からなる群から選択された結合基であり、その中のそれぞれの下添字qは、独立に、1、2、3、4のいずれかであり、Lは、場合によっては、ハロゲン、ヒドロキシ、C
1-3アルキル、-O-C
1-3アルキル、C
1-3ヒドロキシアルキル、C
1-3ハロアルキル、-CO
2Hからなる群から選択された1個または2個のメンバーでさらに置換され;
Zは、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピリジル、ピリミジニル、グアニジニル、キヌクリジン、8-アザビシクロ[3.2.1]オクタンからなる群から選択され、そのそれぞれは、場合によっては、ハロゲン、ヒドロキシ、C
1-3アルキル、-NH
2、-NHC
1-3アルキル、-N(C
1-3アルキル)
2、-O-C
1-3アルキル、C
1-3ヒドロキシアルキル、C
1-3ハロアルキル、-CO
2Hから独立に選択された1~3個の基で置換されているか;
Zは、-CO
2R
z1と-NR
z1R
z2からなる群から選択され;その中のR
z1は、H、C
1-8アルキル、C
1-8 ハロアルキル、C
1-8ヒドロキシアルキルからなる群から選択され、R
z2は、-C
1-8アルキル、C
1-8ハロアルキル、C
1-8アルキル-COOH、C
1-8アルキル-OH、C
1-8アルキル-CONH
2、C
1-8アルキル-SO
2NH
2、C
1-8アルキル-PO
3H
2、C
1-8アルキル-C(O)NHOH、-C(O)-C
1-8アルキル-OH、-C(O)-C
1-8アルキル-COOH、C
3-10シクロアルキル、-C
3-10シクロアルキル-COOH、-C
3-10 シクロアルキル-OH、C
4-8ヘテロシクリル、-C
4-8ヘテロシクリル-COOH、-C
4-8ヘテロシクリル-OH、-C
1-8アルキル-C
4-8ヘテロシクリル、-C
1-8アルキル-C
3-10シクロアルキル、C
5-10 へテロアリール、-C
1-8アルキル-C
5-10 へテロアリールから選択され;
それぞれのR
2a、R
2b、R
2cは、独立に、H
及びハロゲン
からなる群から選択され、
R
3は、-NR
gR
h
であり;
R
gは、H
であり;
R
hは、C
1-8アルキル、C
1-8ハロアルキル、C
1-8ヒドロキシアルキル、C
1-8アルキル-CO
2R
j、C
1-8アルキル-CONR
jR
k、C
1-8アルキル-CONHSO
2R
j、C
1-8アルキル-SO
2NR
jR
k、C
1-8アルキル-PO
3H
2、C
1-8アルキル- C(O)NHOH、C
1-8アルキル-NR
jR
k、
及び-C(O)R
j
から選択され
、それぞれのR
j
とR
k
は独立にハロゲン及びC
1-8
アルキルから選択され;
R
hのC
1-8アルキル部分は、場合によっては、OH、COOH、SO
2NH
2、CONH
2、C(O)NHOH、COO-C
1-4アルキル、
及びPO
3H
2
から独立に選択された1~3個の置換基でさらに置換されており、
R
4は、O-C
1-8 アルキル、O-C
1-8ハロアルキル、
-O-C
1-4 アルキル-C
6-10アリール、-O-C
1-4アルキル-C
5-10ヘテロアリールからなる群から選択され、そのそれぞれは、場合によっては1~5個のR
4aで置換されており;
それぞれのR
4aは、独立に、ハロゲン、-CN、-R
m、-CO
2R
n、-CONR
nR
p、
及び-C(O)R
n
からなる群から選択され
;それぞれのR
nとR
pは、独立に、水素、C
1-8アルキル、
及びC
1-8ハロアルキルから選択され
、それぞれのR
mは、独立に、C
1-8アルキル、C
2-8アルケニル、C
1-8ハロアルキルからなる群から選択され;
R
3とR
4は合わさって、12~20員の大員環を形成し;
R
6aとR
6cは、それぞれ
Hである)。
【請求項2】
式(I)を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
式(II)を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
式(Ia)または式(IIa)を有する、請求項1に記載の化合物:
【化4】
またはその医薬として許容可能な塩
(式中、
WはNまたはC(R
9)であり;
X、Y、Vは、それぞれ独立に、結合、O、NH、N(CH
3)、C(O)、メチレン、エチレンからなる群から選択され、その中のメチレンとエチレンは、場合によっては1個または2個のR
7aで置換されており;
R
1は、C
6-10アリールとチエニルからなる群から選択され、そのそれぞれは、場合によっては1~5個のR
1a置換基で置換されており;
それぞれのR
7aとR
7bは、独立に、H、C
1-6アルキル、CO
2H、CH
2OH、-CO
2-(C
1-6アルキル)、PO
3H
2からなる群から選択され、その中のC
1-6アルキルは、場合によっては、ハロゲン、OH、NH
2、
CO
2Hから選択された1個または2個のメンバーで置換されており;
それぞれのR
8aとR
8bは、独立に、HとC
1-6アルキルからなる群から選択され、場合によってはハロゲン、OH、NH
2、
CO
2Hで置換されており;かつ、
R
9は、H、ハロゲン、CN、C
1-6アルキル、
及び-O-C
1-6アルキル
からなる群から選択されたメンバーである)。
【請求項5】
式(Ia)を有する、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
式(IIa)を有する、請求項4に記載の化合物。
【請求項7】
式(Ib)または式(IIb)を有する、請求項1に記載の化合物:
【化5】
またはその医薬として許容可能な塩
(式中、
WはNまたはC(R
9)であり;
X、Y、Vは、それぞれ独立に、結合、O、NH、N(CH
3)、C(O)、メチレン、エチレンからなる群から選択され、その中のメチレンとエチレンは、場合によっては1個または2個のR
7aで置換されており;
それぞれのR
7aとR
7bは、独立に、H、C
1-6アルキル、CO
2H、CH
2OH、-CO
2-(C
1-6アルキル)、PO
3H
2からなる群から選択され、その中のC
1-6アルキルは、場合によっては、ハロゲン、OH、NH
2、
CO
2Hから選択された1個または2個のメンバーで置換されており;
それぞれのR
8aとR
8bは、独立に、HとC
1-6アルキルからなる群から選択され、場合によってはハロゲン、OH、NH
2、
CO
2Hで置換されており;かつ、
R
9は、H、ハロゲン、CN、C
1-6アルキル、
及び-O-C
1-6アルキル
からなる群から選択されたメンバーである)。
【請求項8】
式(Ib)を有する、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
式(IIb)を有する、請求項7に記載の化合物。
【請求項10】
式(Ic)または式(IIc)を有する、請求項1に記載の化合物:
【化6】
またはその医薬として許容可能な塩
(式中、
X
9はC
1-8アルキレンであり;
X、Y、Vは、それぞれ独立に、結合、O、NH、N(CH
3)、C(O)、メチレン、エチレンからなる群から選択され、その中のメチレンとエチレンは、場合によっては1個または2個のR
7aで置換されており;
それぞれのR
7aとR
7bは、独立に、H、C
1-6アルキル、CO
2H、CH
2OH、-CO
2-(C
1-6アルキル)、PO
3H
2からなる群から選択され、その中のC
1-6アルキルは、場合によっては、ハロゲン、OH、NH
2、
CO
2Hから選択された1個または2個のメンバーで置換されており;かつ、
それぞれのR
8aとR
8bは、独立に、HとC
1-6アルキルからなる群から選択され、場合によってはハロゲン、OH、NH
2、
CO
2Hで置換されている)。
【請求項11】
式(Ic)を有する、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
式(IIc)を有する、請求項10に記載の化合物。
【請求項13】
R
3とR
4が合わさって形成される大員環は、15員または16員の大員環である、
請求項1に記載の化合物またはその医薬として許容可能な塩。
【請求項14】
式(Ia1)または式(IIa1)を有する、請求項1に記載の化合物:
【化7】
またはその医薬として許容可能な塩
(式中、
WはNまたはC(R
9)であり;
R
1は、C
6-10アリールとチエニルからなる群から選択され、そのそれぞれは、場合によっては1~5個のR
1a置換基で置換されており;
それぞれのR
7aとR
7bは、独立に、H、C
1-6アルキル、CO
2H、-CO
2-(C
1-6アルキル)、PO
3H
2からなる群から選択され、その中のC
1-6アルキルは、場合によっては、ハロゲン、OH、NH
2、
CO
2Hから選択された1つまたは2つのメンバーで置換されており;かつ、
R
9は、H、ハロゲン、CN、C
1-6アルキル、
及び-O-C
1-6アルキル
からなる群から選択されたメンバーである)。
【請求項15】
式(Ia1)を有する、請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
式(IIa1)を有する、請求項14に記載の化合物。
【請求項17】
R
9はCNである、請求項14に記載の化合物。
【請求項18】
それぞれのR
7aとR
7bは、独立に、H、CO
2H、およびCH
2OHからなる群から選択される、請求項14に記載の化合物。
【請求項19】
式(Ib1)または式(IIb1)を有する、請求項1に記載の化合物:
【化8】
またはその医薬として許容可能な塩
(式中、
WはNまたはC(R
9)であり;
それぞれのR
7aとR
7bは、独立に、H、C
1-6アルキル、CO
2H、CH
2OH、-CO
2-(C
1-6アルキル)、PO
3H
2からなる群から選択され、その中のC
1-6アルキルは、場合によっては、ハロゲン、OH、NH
2、
CO
2Hから選択された1つまたは2つのメンバーで置換されており;
R
9は、H、ハロゲン、CN、
及びC
1-6アルキル
からなる群から選択されたメンバーである)。
【請求項20】
式(Ib1)を有する、請求項19に記載の化合物。
【請求項21】
式(IIb1)を有する、請求項19に記載の化合物。
【請求項22】
R
9はCNである、請求項19に記載の化合物。
【請求項23】
それぞれのR
7aとR
7bは、独立に、H、CO
2H、およびCH
2OHからなる群から選択される、請求項19に記載の化合物。
【請求項24】
式(Ic1)または式(IIc1)を有する、請求項1に記載の化合物:
【化9】
またはその医薬として許容可能な塩
(式中、
WはNまたはC(R
9)であり;
それぞれのR
7aとR
7bは、独立に、H、C
1-6アルキル、CO
2H、CH
2OH、-CO
2-(C
1-6アルキル)、PO
3H
2からなる群から選択され、その中のC
1-6アルキルは、場合によっては、ハロゲン、OH、NH
2、
CO
2Hから選択された1つまたは2つのメンバーで置換されており;
R
9は、H、ハロゲン、CN、C
1-6アルキル、
及び-O-C
1-6アルキル
からなる群から選択されたメンバーである)。
【請求項25】
式(Ic1)を有する、請求項
24に記載の化合物。
【請求項26】
式(IIc1)を有する、請求項
24に記載の化合物。
【請求項27】
R
9はCNである、請求項
24に記載の化合物。
【請求項28】
それぞれのR
7aとR
7bは、独立に、H、CO
2H、およびCH
2OHからなる群から選択される、請求項
24に記載の化合物。
【請求項29】
R
1は、場合によっては1~3個のR
1a置換基で置換されているフェニルである、請求項1~6
及び13~16のいずれか1項に記載の化合物またはその医薬として許容可能な塩。
【請求項30】
R
1は、場合によっては1~3個のR
1a置換基で置換されているフェニルであり、それぞれのR
1aは、独立に、ハロゲン、C
1-8アルキル、O-C
1-8アルキル、O-C
1-8ハロアルキル、-NR
aR
b、CNから選択され、場合によっては2つのR
1a置換基が隣接した原子上にあるときには、それらが合わさって縮合した6員の複素環を形成し、その環は、場合によっては、オキソ、C
1-8ハロアルキル、C
1-8アルキルから独立に選択された1~3個の置換基で置換されている、請求項1~6
及び13~16のいずれか1項に記載の化合物またはその医薬として許容可能な塩。
【請求項31】
R
1は、
【化10】
からなる群から選択される、請求項1~6
及び13~16のいずれか1項に記載の化合物またはその医薬として許容可能な塩。
【請求項32】
基Z-L-は、
【化11】
からなる群から選択されるメンバーである、請求項1,2,3,7~13
及び19~26のいずれか1項に記載の化合物またはその医薬として許容可能な塩。
【請求項33】
基Z-L-は、
【化12】
からなる群から選択されるメンバーである、請求項1,2,3,7~13
及び19~26のいずれか1項に記載の化合物またはその医薬として許容可能な塩。
【請求項34】
基Z-L-は、
【化13】
からなる群から選択されるメンバーである、請求項1,2,3,7~13
及び19~26のいずれか1項に記載の化合物またはその医薬として許容可能な塩。
【請求項35】
R
1は、場合によってはFで置換されたフェニルである、請求項1~6
及び13~16のいずれか1項に記載の化合物またはその医薬として許容可能な塩。
【請求項36】
R
2bとR
2cは両方ともHであり、R
2aはハロゲンである、請求項1~31のいずれか1項に記載の化合物またはその医薬として許容可能な塩。
【請求項37】
R
2bとR
2cは両方ともHであり、R
2aはClである、請求項1~31のいずれか1項に記載の化合物またはその医薬として許容可能な塩。
【請求項38】
【化14】
として示されている部分が、
【化15】
のいずれかである、請求項1~
37のいずれか1項に記載の化合物またはその医薬として許容可能な塩。
【請求項39】
【化16】
として示されている部分が、
【化17】
のいずれかである、請求項1~
37のいずれか1項に記載の化合物またはその医薬として許容可能な塩。
【請求項40】
R
4は、場合によっては1~2個のR
4aで置換されており。それぞれのR
4aは、独立に、ハロゲン、-CN、
及びCONR
nR
p
からなる群から選択される、請求項1~
38のいずれか1項に記載の化合物またはその医薬として許容可能な塩。
【請求項41】
R
4は、O-C
1-4アルキル、
-O-C
1-2アルキル-ピリジニル、
及び-O-C
1-2アルキル-フェニルからなる群から選択され、そのそれぞれは、場合によっては1~2個のR
4aで置換されており、それぞれのR
4aは、独立に、ハロゲン、-CN、-CO
2R
n、
-CONR
n
R
p
、-NR
nR
p、-OR
nから選択される、請求項1~
38のいずれか1項に記載の化合物またはその医薬として許容可能な塩。
【請求項42】
【化18-1】
【化18-2】
【化18-3】
【化18-4】
【化18-5】
からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物またはその医薬として許容可能な塩。
【請求項43】
【化19】
を有する請求項1に記載の化合物またはその医薬として許容可能な塩。
【請求項44】
【化20】
を有する請求項1に記載の化合物またはその医薬として許容可能な塩。
【請求項45】
【化21】
を有する請求項1に記載の化合物またはその医薬として許容可能な塩。
【請求項46】
【化22】
を有する請求項1に記載の化合物またはその医薬として許容可能な塩。
【請求項47】
請求項1~
46のいずれか1項に記載の化合物またはその医薬として許容可能な塩および医薬として許容可能な賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項48】
1種類以上の追加の治療剤をさらに含む、請求項
47に記載の医薬組成物。
【請求項49】
前記1種類以上の追加の治療剤は、抗微生物剤、抗ウイルス剤、細胞毒性剤、遺伝子発現調節剤、化学療法剤、抗がん剤、抗血管新生剤、免疫治療剤、抗ホルモン剤、抗線維化剤、放射線療法、放射線療法剤、抗腫瘍剤、抗増殖剤からなる群から選択される、請求項
48に記載の医薬組成物。
【請求項50】
対象におけるPD-1シグナル伝達経路によって媒介される免疫応答を調節する
ための、請求項
47に記載の
医薬組成物。
【請求項51】
対象における、免疫応答を増強する、および/または刺激する、および/または調節する、および/または増大させるための
、請求項
47に記載の
医薬組成物。
【請求項52】
対象における、がん細胞の成長、または増殖、または転移を抑制するための
、請求項
47に記載の
医薬組成物。
【請求項53】
PD-1シグナル伝達経路によって媒介される疾患又は障害を患っているか又はなりやすい対象を処置する
ための、
請求項
47に記載の
医薬組成物。
【請求項54】
対象は、感染性疾患、細菌感染疾患、ウイルス感染疾患、真菌感染疾患、固形腫瘍、血液系悪性腫瘍、免疫障害、炎症性疾患、がんから選択される疾患または障害を患っている、請求項5
0~53のいずれか1項に記載の
医薬組成物。
【請求項55】
前記疾患または障害は、黒色腫、神経膠芽腫、食道腫瘍、鼻咽頭癌、ブドウ膜黒色腫、リンパ腫、リンパ性リンパ腫、原発CNSリンパ腫、T細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、原発縦隔大細胞型B細胞リンパ腫、前立腺がん、去勢抵抗性前立腺がん、慢性骨髄性白血病、カポジ肉腫、線維肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫、血管肉腫、リンパ管肉腫、滑膜腫、髄膜腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、軟組織の肉腫、肉腫、敗血症、胆管腫瘍、基底細胞癌、胸腺腫瘍、甲状腺のがん、副甲状腺のがん、子宮がん、副腎のがん、肝臓感染症、メルケル細胞癌、神経腫瘍、濾胞中心リンパ腫、大腸がん、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、白血病、慢性または急性の白血病(急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ性白血病を含む)、多発性骨髄腫、卵巣腫瘍、骨髄異形成症候群、皮膚または眼内の悪性黒色腫、腎細胞癌、小細胞肺がん、肺がん、中皮腫、乳がん、扁平上皮非小細胞肺がん(SCLC)、非扁平上皮NSCLC、直結腸がん、卵巣がん、胃がん、肝細胞癌、膵臓癌、膵臓がん、膵管腺癌、頭頸部扁平上皮癌、頭部または首のがん、胃腸管がん、胃がん、HIV、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、D型肝炎、ヘルペスウイルス、パピローマウイルス、インフルエンザ、骨がん、皮膚がん、直腸がん、肛門領域のがん、精巣がん、卵管の癌、子宮内膜の癌、子宮頸の癌、膣の癌、陰門の癌、食道のがん、小腸のがん、内分泌系のがん、尿道のがん、陰茎のがん、膀胱のがん、腎臓のがん、尿管のがん、腎盂の癌、中枢神経系の腫瘍 (CNS)、腫瘍血管新生、脊髄腫瘍、脳幹グリオーマ、下垂体腺腫、扁平上皮がん、石綿肺症、癌腫、腺癌、乳頭癌、嚢胞腺癌、気管支癌、腎細胞癌、移行細胞癌、絨毛癌、精上皮腫、胎児性癌、ウィルムス腫瘍、多形線腫、肝細胞パピローマ、尿細管線腫、嚢胞腺腫、乳頭腫、腺腫、平滑筋腫、横紋筋腫、血管腫、リンパ管腫、骨腫、軟骨腫、脂肪腫、線維腫からなる群から選択される、請求項
53に記載の
医薬組成物。
【請求項56】
対象は、更に1つ以上の追加治療剤
を治療に有効な量
で投与される、請求項
50~55のいずれか1項に記載の
医薬組成物。
【請求項57】
前記1つ以上の追加治療剤は、抗微生物剤、抗ウイルス剤、細胞毒性剤、遺伝子発現調節剤、化学療法剤、抗がん剤、抗血管新生剤、免疫療法剤、抗ホルモン剤、抗線維化剤、放射線療法、放射線療法剤、抗腫瘍剤、抗増殖剤からなる群から選択される、請求項
56に記載の
医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年8月8日に出願されたアメリカ合衆国仮出願第62/542,694号の優先権を主張するものであり、その内容全体が参照によって本明細書に組み込まれている。
【0002】
連邦が資金提供する研究開発のもとでなされる発明の権利に関する宣言
適用なし
【0003】
添付資料としてコンパクトディスクで提出される「配列リスト」、または表、またはコンピュータプログラムリストの参照
適用なし
【背景技術】
【0004】
プログラムされた細胞死タンパク質-1(PD-1)はCD28スーパーファミリーのメンバーであり、対応する2つのリガンドPD-L1またはPD-L2と相互作用して負のシグナルを送達する。PD-1とそのリガンドは広く発現しており、T細胞活性化と免疫寛容において広い範囲の免疫調節の役割を果たしている。PD-1とそのリガンドは、感染免疫と腫瘍免疫を弱めることと、慢性感染と腫瘍進行を容易にすることに関与している。
【0005】
PD-1経路を変化させると、ヒトのさまざまな疾患を治療できる可能性がある(Hyun-Tak Jin他、Curr Top Microbiol Immunol.(2011年);第350巻:17~37ページ)。PD-1経路を阻止することが、がんの治療における魅力的な標的になっている。プログラムされた細胞死タンパク質-1(PD-1)免疫チェックポイント経路を阻止する治療用抗体は、T細胞の下方調節を阻止し、がんに対する免疫応答を促進する。いくつかのPD-1経路阻害剤が、臨床試験のさまざまな相で強い活性を示している(RD Harvey、Clinical Pharmacology and Therapeutics(2014年);第96巻(2)、214~223ページ)。
【0006】
そのためPD-L1とPD-1またはCD80の間の相互作用を阻止する薬剤が望まれている。抗体がいくつか開発されて市販されている。しかし有利な性質を経口投与、生物学的利用能、治療指数、毒性に関して示す可能性のある小分子などの代替化合物が相変わらず必要とされている。非ペプチド小分子を開示した特許出願が数件公開されている(BMS 社からのWO 2015/160641、WO 2015/034820、WO 2017/066227、WO 2018/00905、WO 2018/044963、WO 2018/118848;Aurigene社からのWO 2015/033299、WO 2015/033301、WO 2016/142886、WO 2016/142894、WO 2018/051254、WO 2018/051255;Incyte社からのWO 2017/070089、US 2017/0145025、WO 2017/106634、US2017/0174679、US 2017/0107216、WO 2017/112730、WO 2017/192961、WO 2017/205464、WO 2017/222976、WO 2018/013789、WO 2018/044783、WO 2018/119221、WO 2018/119224、WO 2018/119236、WO 2018/119263、WO 2018/119266、WO 2018/119286)。しかしPD-1経路の阻害剤として役立つ代わりの小分子が相変わらず必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
1つの側面では、本明細書において、式(I)または(II)を持つ化合物:
【化1】
またはその医薬として許容可能な塩が提供される。ただしR、R
1、R
2a、R
2b、R
2c、R
3、R
4、R
5、R
6a、R
6b、R
6c、m、nは、本明細書に定義されている通りである。
【0008】
本開示では、本明細書に提示した化合物に加え、これら化合物を1種類以上含む医薬組成物、ならびにそのような化合物の調製と利用に関する方法をさらに提供する。いくつかの実施態様では、その化合物を、PD-1/PD-L1経路に関係する疾患を処置するための治療法で用いる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
適用なし
【発明を実施するための形態】
【0010】
略号と定義
本明細書では、「1つの」または「その」には、メンバーが1つであるアスペクトが含まれるだけでなく、メンバーが2つ以上のアスペクトも含まれる。例えば単数形の「1つの」と「その」は、文脈からそうでないことが明確にわかる場合は別にして、複数形を含んでいる。したがって例えば「1つの細胞」への言及には複数のそのような細胞が含まれ、「その薬剤」への言及には、当業者に知られている1つ以上の薬剤が含まれ、それ以外も同様である。
【0011】
「約」と「ほぼ」という用語は、一般に、測定の性質または精度が決められた状態で測定した量について許容できる誤差の程度を意味する。典型的には、誤差の程度の例は、与えられた数値または数値範囲の20パーセント(%)以内、好ましくは10%以内であり、より好ましいのは5%以内である。あるいは特に生物系では、「約」と「ほぼ」という用語は、1桁の範囲内、好ましくは与えられている数値の5倍以内、より好ましくは2倍以内を意味することができる。本明細書に提示する数量は、特に断わらない限り、概略値であり、明示的に表現されていないときには、「約」または「ほぼ」という用語の付いた数量であると推定することができる。
【0012】
特に断わらない限り、「アルキル」という用語は、単独で、または別の置換基の一部として、指定された数の炭素原子(すなわちC1-8は1~8個の炭素を意味する)を有する直鎖または分岐鎖の炭化水素基を意味する。アルキル基の例に含まれるのは、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル、イソブチル、s-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチルなどである。「アルケニル」という用語は、1つ以上の二重結合を有する不飽和アルキル基を意味する。同様に、「アルキニル」という用語は、1つ以上の三重結合を有する不飽和アルキル基を意味する。アルケニル基の例に含まれるのは、ビニル、2-プロペニル、クロチル、2-イソペンテニル、2-(ブタジエニル)、2,4-ペンタジエニル、3-(1,4-ペンタジエニル)である。アルキニル基の例に含まれるのは、エチニル、1-プロピニル、3-プロピニル、3-ブチニルと、より高次のホモログと異性体である。「シクロアルキル」という用語は、環の原子が指定された個数であり(例えばC3-6シクロアルキル)、完全に飽和しているか、環の頂点間に二重結合を2つ以上持たない炭化水素環を意味する。「シクロアルキル」は、二環と多環の炭化水素環も意味し、例としてビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタンなどが挙げられる。二環または多環は、縮合していてもよいし、架橋していてもよいし、スピロであってもよいし、これらの組み合わせでもよい。「ヘテロシクロアルキル」または「ヘテロシクリル」という用語は、N、O、Sから選択された1~5個のヘテロ原子(ただし窒素原子とイオウ原子は場合によっては酸化されており、窒素原子は場合によっては四級化されている)を含有するシクロアルキル環を意味する。ヘテロシクロアルキルは、単環系、二環系、多環系のどれでもよい。二環または多環は、縮合していてもよいし、架橋していてもよいし、スピロであってもよいし、これらの組み合わせでもよい。C4-12ヘテロシクリルという表記は、環のメンバーが4~12個で、環のそれらメンバーの少なくとも1つがヘテロ原子である基を意味すると理解される。ヘテロシクロアルキル基の非限定的な例に含まれるのは、ピロリジン、イミダゾリジン、ピラゾリジン、ブチロラクタム、バレロラクタム、イミダゾリジノン、ヒダントイン、ジオキソラン、フタルイミド、ピペリジン、1,4-ジオキサン、モルホリン、チオモルホリン、チオモルホリン-S-オキシド、チオモルホリン-S,S-オキシド、ピペラジン、ピラン、ピリドン、3-ピロリン、チオピラン、ピロン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、キヌクリジンなどである。ヘテロシクロアルキル基は、環の炭素またはヘテロ原子を通じて分子の残部に結合させることができる。
【0013】
「アルキレン」という用語は、単独で、または別の置換基の一部として、アルカンに由来する2価の基を意味し、その例は-CH2CH2CH2CH2-である。典型的には、アルキル(またはアルキレン)基は1~12個の炭素原子を持つが、本開示では8個以下の炭素原子を持つ基が好ましい。同様に、「アルケニレン」と「アルキニレン」は、「アルキレン」の不飽和形態で、それぞれ二重結合または三重結合を持つものを意味する。
【0014】
特に断わらない限り、「ヘテロアルキル」という用語は、単独で、または別の置換基の一部として、指定された数の炭素原子と、O、N、Si、Sから選択された1~3個のヘテロ原子(ただし窒素原子とイオウ原子は場合によっては酸化されていてもよく、窒素原子は場合によっては四級化されていてもよい)からなる安定な直鎖または分岐鎖または環式の炭化水素基を意味する。ヘテロ原子O、N、Sは、ヘテロアルキル基の任意の内部位置に配置することができる。ヘテロ原子Siは、ヘテロアルキル基の任意の位置に配置することができ、その位置にはアルキル基が分子の残部に結合する位置が含まれる。その例に含まれるのは、-CH2-CH2-O-CH3、-CH2-CH2-NH-CH3、-CH2-CH2-N(CH3)-CH3、-CH2-S-CH2-CH3、-CH2-CH2、-S(O)-CH3、-CH2-CH2-S(O)2-CH3、-CH=CH-O-CH3、-Si(CH3)3、-CH2-CH=N-OCH3、-CH=CH-N(CH3)-CH3である。ヘテロ原子は2個まで連続していてもよく、その例は、-CH2-NH-OCH3と-CH2-O-Si(CH3)3である。同様に、特に断わらない限り、「ヘテロアルケニル」と「ヘテロアルキニル」という用語は、単独で、または別の用語と組み合わせて、指定された数の炭素と、O、N、Si、Sからなる群から選択された1~3個のヘテロ原子(ただし窒素原子とイオウ原子は場合によっては酸化されていてもよく、窒素原子は場合によっては四級化されていてもよい)を含有するアルケニル基またはアルキニル基をそれぞれ意味する。ヘテロ原子O、N、Sは、ヘテロアルキル基の任意の内部位置に配置することができる。
【0015】
「ヘテロアルキレン」という用語は、単独で、または別の置換基の一部として、ヘテロアルキルに由来する飽和または不飽和または多不飽和の2価の基を意味し、その例は、CH2-CH2-S-CH2CH2-、-CH2-S-CH2-CH2-NH-CH2-、-O-CH2-CH=CH-、-CH2-CH=C(H)CH2-O-CH2-、-S-CH2-C≡C-である。ヘテロアルキレン基では、ヘテロ原子が鎖の一端または両端を占めることもできる(例えばアルキレンオキシ、アルキレンジオキシ、アルキレンアミノ、アルキレンジアミノなど)。
【0016】
「アルコキシ」、「アルキルアミノ」、「アルキルチオ」(またはチオアルコキシ)という用語は通常の意味で用いられ、それぞれ酸素原子、アミノ基、イオウ基を通じて分子の残部に結合したアルキル基を意味する。それに加え、ジアルキルアミノ基では、アルキル部分は同じでも異なっていてもよく、そのアルキル部分が結合している窒素原子と組み合わさって3~7員の環を形成することもできる。したがって-NRaRbとして表わされる基は、ピペリジニル、ピロリジニル、モルホリニル、アゼチジニルなどを含むことを意味する。
【0017】
特に断わらない限り、「ハロ」または「ハロゲン」という用語は、単独で、または別の置換基の一部として、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子のいずれかを意味する。それに加え、「ハロアルキル」などの用語は、一ハロアルキルと多ハロアルキルを含むことを意味する。例えば「C1-4ハロアルキル」という用語は、トリフルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、4-クロロブチル、3-ブロモプロピルなどを含むことを意味する。
【0018】
「ヒドロキシアルキル」または「アルキル-OH」という用語は、上に定義したアルキル基において、水素原子の少なくとも1個がヒドロキシ基で置き換えられたものを意味する。アルキル基と同様、ヒドロキシアルキル基は、適切な任意の数の炭素原子を持つことができる(C1-6など)。ヒドロキシアルキル基の非限定的な例に含まれるのは、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル(その中のヒドロキシは1位または2位である)、ヒドロキシプロピル(その中のヒドロキシは1位または2位または3位である)などである。
【0019】
「C1-3アルキル-グアニジニル」という用語は、上に定義したC1-3アルキル基において、水素原子の少なくとも1個がグアニジニル基(-NHC(NH)NH2)で置き換えられたものを意味する。
【0020】
特に断わらない限り、「アリール」という用語は、多不飽和の典型的には芳香族で、単環であるか、互いに縮合または共有結合した多環(3環まで)の炭化水素基を意味する。「ヘテロアリール」という用語は、N、O、Sから選択した1~5個のヘテロ原子(ただし窒素原子とイオウ原子は場合によっては酸化されており、窒素原子は場合によっては四級化されている)を含有するアリール基(またはアリール環)を意味する。ヘテロアリール基はヘテロ原子を通じて分子の残部に結合させることができる。C5-10ヘテロアリールという表記は、環のメンバーが5~10個で、その中の少なくとも1個がヘテロ原子であるヘテロアリール部分を意味すると理解される。アリール基の非限定的な例に含まれるのは、フェニル、ナフチル、ビフェニルであり、ヘテロアリール基の非限定的な例に含まれるのは、ピリジル、ピリダジニル、ピラジニル、ピリミジニル、トリアジニル、キノリニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、フタルアジニル、ベンゾトリアジニル、プリニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾピラゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンズイソオキサゾリル、イソベンゾフリル、イソインドリル、インドリジニル、ベンゾトリアジニル、チエノピリジニル、チエノピリミジニル、ピラゾロピリミジニル、イミダゾピリジン、ベンゾチアキソリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、インドリル、キノリル、イソキノリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、インダゾリル、プテリジニル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、 チアジアゾリル、ピロリル、チアゾリル、フリル、チエニルなどである。上記のアリール環系とヘテロアリール環系のそれぞれに対する置換基は、下記の許容可能な置換基の群から選択される。
【0021】
「炭素環」、「炭素環式」、「カルボシクリル」という用語は、炭素原子だけが環の頂点である環部分を意味する。炭素環部分は飽和または不飽和であり、芳香族が可能である。一般に、炭素環部分は環のメンバーを3~10個有する。多環構造(例えば二環)を持つ炭素環部分は、芳香族環に縮合したシクロアルキル環を含むことができる(例えば1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン)。したがって炭素環には、シクロペンチル、シクロヘキセニル、ナフチル、1,2,3,4-テトラヒドロナフチルが含まれる。「複素環」という用語は、「ヘテロシクロアルキル」部分と「ヘテロアリール」部分の両方を意味する。したがって複素環は飽和または不飽和であり、芳香族が可能である。一般に、複素環は環のメンバーが4~10個であり、ピペリジニル、ピラゾリル、インドリルを含む。
【0022】
置換基に関してさらに表示せずに上記の任意の用語(例えば「アルキル」、「アリール」、「ヘテロアリール」)が「置換された」と呼ばれるとき、示されている基の置換された形態は下記のようになろう。
【0023】
アルキル基(アルキレン、アルケニル、アルキニル、シクロアルキルと呼ばれることがしばしばある基を含む)の置換基として多彩な基が可能であり、その選択は、ハロゲン、-OR’、-NR’R”、-SR’、-SiR’R”R”’、-OC(O)R’、-C(O)R’、-CO2R’、-CONR’R”、-OC(O)NR’R”、-NR”C(O)R’、-NR’-C(O)NR”R”’、-NR”C(O)2R’、-NH-C(NH2)=NH、-NR’C(NH2)=NH、-NH-C(NH2)=NR’、-S(O)R’、-S(O)2R’、-S(O)2NR’R”、-NR’S(O)2R”、-CN、-NO2からなされ、その数は0~(2m'+1)個の範囲である。ただしm'は、このような基の中の炭素原子の総数である。R'、R"、R”’は、それぞれ独立に、水素、置換されていないC1-8アルキル基、置換されていないヘテロアルキル基、置換されていないアリール基、1~3個のハロゲンで置換されたアリール基、C1-8アルコキシ基、C1-8チオアルコキシ基、置換されていないアリール-C1-4アルキル基のいずれかを意味する。R'とR"が同じ窒素原子に結合しているときには、それらがその窒素原子と組み合わさって、3員、または4員、または5員、または6員、または7員の環を形成することができる。例えば-NR’R”は、1-ピロリジニルと4-モルホリニルを含むことを意味する。「アシル」という用語は、単独で、または別の基の一部として、アルキル基であって、この基の結合点に最も近い炭素上の2個の置換基が置換基=Oで置換されているもの(例えば-C(O)CH3、-C(O)CH2CH2OR’など)を意味する。
【0024】
同様に、アリール基とヘテロアリール基の置換基はさまざまであり、一般に選択されるのは、-ハロゲン、-OR’、-OC(O)R’、-NR’R”、-SR’、-R’、-CN、-NO2、-CO2R’、-CONR’R”、-C(O)R’、-OC(O)NR’R”、-NR”C(O)R’、-NR”C(O)2R’、-NR’-C(O)NR”R”’、-NH-C(NH2)=NH、-NR’C(NH2)=NH、-NH-C(NH2)=NR’、-S(O)R’、-S(O)2R’、-S(O)2NR’R”、-NR’S(O)2R”、-N3、ペルフルオロ(C1-C4)アルコキシ、ペルフルオロ(C1-C4)アルキルであり、その数は、0から芳香族環系上の空いている原子価の総数であり;R'、R"、R”’は、独立に、水素、C1-8アルキル、C3-6シクロアルキル、C2-8アルケニル、C2-8アルキニル、置換されていないアリール、置換されていないヘテロアリール、(置換されていないアリール)-C1-4アルキル、置換されていないアリールオキシ-C1-4アルキルから選択される。他の適切な置換基に含まれるのは、1~4個の炭素原子からなるアルキレンテザーによって環の原子に結合した上記アリール置換基のそれぞれである。
【0025】
アリール環またはヘテロアルキル環の隣接した原子上の2つの置換基は、場合によっては式-T-C(O)-(CH2)q-U-の置換基(ただしTとUは、独立に、-NH-、-O-、-CH2-、単結合のいずれかであり、qは0~2の整数である)で置換されていてもよい。あるいはアリール環またはヘテロアリール環の隣接した原子上の2個の置換基は、場合によっては式-A-(CH2)r-B-の置換基(ただしAとBは、独立に、-CH2-、-O-、-NH-、-S-、-S(O)-、-S(O)2-、-S(O)2NR’、単結合のいずれかであり、rは1~3の整数である)で置換されていてもよい。このようにして形成された新たな環の単結合の1つは、場合によっては二重結合で置換されていてもよい。あるいはアリール環またはヘテロアリール環の隣接した原子上の2個の置換基は、場合によっては式-(CH2)s-X-(CH2)t-の置換基(ただしsとtは独立に0~3の整数であり、Xは、-O-、-NR’-、-S-、-S(O)-、-S(O)2-、-S(O)2NR’-のいずれかである)で置換されていてもよい。-NR’-と-S(O)2NR’-の中の置換基R'は、水素と、置換されていないC1-6アルキルから選択される。
【0026】
本明細書では、「ヘテロ原子」という用語は、酸素(O)、窒素(N)、イオウ(S)、ケイ素(Si)を含むことを意味する。
【0027】
本明細書では、「大員環(macrocyclic)」という用語は、環の頂点として12~20個の原子を有する環状化学構造を意味する。環の適切な頂点は、炭素、窒素、酸素、イオウを含んでいる。大員環は、1つ以上の環構造(フェニル基、シクロアルキル基、ヘテロアリール基、ヘテロシクロアルキル基など)を含むことができる。大員環のサイズを指定するとき、環外原子はその範囲に含まれない。例えばメタ結合を有するピリジンが大員環の一部を含んでいるとき、大員環の中で環の頂点として機能する3個の原子だけが含まれる。
【化2】
同様に、オルト結合を有するフェニル環が大員環の一部を含んでいるとき、大員環の中で環の頂点として機能する2個の原子だけが含まれる。
【化3】
【0028】
「天然アミノ酸」という用語は、一般的な20種類のアミノ酸と、セレノシスチンまたはピロロシンを意味する。
【0029】
「非天然アミノ酸」という用語は、修飾されたα炭素置換基を有するために天然アミノ基の1つではないアミノ酸を意味する。いくつかの実施態様では、非天然アミノ酸は、C2-4ヒドロキシアルキル、C1-3アルキル-グアニジニル、C1-4アルキル-ヘテロアリールからなる群から選択されたα炭素置換基を有する。
【0030】
「患者」と「対象」という用語には、霊長類(特にヒト)、飼い馴らされたコンパニオンアニマル(イヌ、ネコ、ウマなど)、家畜(ウシ、ブタ、ヒツジなど)が含まれる。
【0031】
本明細書では、「処置している」または「処置」という用語は、疾患を変化させる処置と対症処置の両方を包含し、そのどちらも、予防的処置(すなわち、症状が重くなるのを予防すること、遅延させること、軽減することを目的とした、症状が現われる前の処置)、または治療的処置(すなわち、症状の重さを軽減すること、および/または症状の継続期間を短くすることを目的とした、症状が現われた後の処置)が可能である。
【0032】
「医薬として許容可能な塩」という用語は、本明細書に記載されている化合物に見られる具体的な置換基が何であるかに応じ、どちらかといえば非毒性の酸または塩基を用いて調製される活性化合物の塩を含むことを意味する。本開示の化合物がどちらかといえば酸性の官能基を含有する場合には、中性形態のそのような化合物を、そのままの状態の、または適切な不活性溶媒の中の十分な量の望む塩基と接触させることによって塩基添加塩を得ることができる。医薬として許容可能な無機塩基に由来する塩の例に含まれるのは、アルミニウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩、銅塩、第二鉄塩、第一鉄塩、リチウム塩、マグネシウム塩、第二マンガン塩、第一マンガン塩、カリウム塩、ナトリウム塩、亜鉛塩などである。医薬として許容可能な有機塩基に由来する塩の例に含まれるのは、第一級アミンの塩、第二級アミンの塩、第三級アミンの塩であり(そこには置換されたアミン塩、環式アミン塩、天然のアミン塩などが含まれる)、具体的には、アルギニン塩、ベタイン塩、カフェイン塩、コリン塩、N,N'-ジベンジルエチレンジアミン塩、ジエチルアミン塩、2-ジエチルアミノエタノール塩、2-ジメチルアミノエタノール塩、エタノールアミン塩、エチレンジアミン塩、N-エチルモルホリン塩、N-エチルピペリジン塩、グルカミン塩、グルコサミン塩、ヒスチジン塩、ヒドラバミン塩、イソプロピルアミン塩、リシン塩、メチルグルカミン塩、モルホリン塩、ピペラジン塩、ピペリジン塩、ポリアミン樹脂塩、プロカイン塩、プリン塩、テオブロミン塩、トリエチルアミン塩、トリメチルアミン塩、トリプロピルアミン塩、トロメタミン塩などがある。本開示の化合物がどちらかといえば塩基性の官能基を含有する場合には、中性形態のそのような化合物を、そのままの状態の、または適切な不活性溶媒の中の十分な量の望む酸と接触させることによって酸添加塩を得ることができる。医薬として許容可能な酸添加塩に含まれるのは、無機酸(例えば塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、一水素炭酸、リン酸、一水素リン酸、二水素リン酸、硫酸、一水素硫酸、ヨウ化水素酸、亜リン酸など)に由来する塩と、どちらかといえば非毒性の有機酸(例えば酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸など)に由来する塩である。アミノ酸の塩(アルギン酸塩など)と有機酸(グルクロン酸やガラクツロン酸など)の塩も含まれる(例えばBerge, S.M.他「医薬用塩」、Journal of Pharmaceutical Science、1977年、第66巻、1~19ページを参照されたい)。本開示のいくつかの特別な化合物は塩基性官能基と酸性官能基の両方を含有しているため、その化合物を塩基添加塩または酸添加塩に変換することができる。
【0033】
中性形態の化合物は、一般的なやり方で塩を塩基または酸と接触させて親化合物を単離することによって再生させることができる。親形態の化合物は、さまざまな塩形態とはいくつかの物理的特性(例えば極性溶媒への溶解度)が異なっているが、それ以外はその塩形態は、本開示の目的にとって親形態の化合物と同等である。
【0034】
本開示のいくつかの化合物は、非溶媒和物と溶媒和物(水和物が含まれる)の形態で存在することができる。一般に、溶媒和物の形態は非溶媒和物の形態と同等であり、本開示の範囲に包含されることを想定している。本開示のいくつかの化合物は、多結晶の形態またはアモルファスの形態で存在することができる。一般に、本開示で考える用途に関してはあらゆる物理的形態が同等であり、本開示の範囲に包含されることを想定している。
【0035】
本発明のいくつかの化合物は、不斉炭素原子(光学中心)または二重結合を有する。ラセミ体、ジアステレオマー、幾何異性体、位置異性体、個別の異性体(例えば別々の鏡像異性体)はすべて、本開示の範囲に包含されることを想定している。立体化学の図が示されている場合には、異性体のうちの1つが存在していて他の異性体は実質的に存在しない化合物を意味する。別の異性体が「実質的に存在しない」は、2つの異性体が少なくとも80/20の比であること、より好ましくは90/10の比、または95/5超の比であることを示す。いくつかの実施態様では、異性体のうちの1つが少なくとも99%の量で存在することになろう。
【0036】
本開示の化合物は、その化合物を構成する原子の1つ以上について自然に存在しない割合の原子同位体を含有することもできる。例えば本開示の化合物は、放射性同位体(例えば三重水素(3H)、ヨウ素-125(125I)、炭素-14(14C))で放射標識することができる。本開示の化合物のあらゆる同位体バリエーションが、放射性であるかないかに関係なく、本開示の範囲に包含されることを想定している。例えば本開示の化合物は、任意の数の水素原子が重水素(2H)同位体で置換されるように調製することができる。本開示の化合物は、そのような化合物を構成する原子の1つ以上について自然に存在しない割合の原子同位体を含有することもできる。自然に存在しない割合の同位体は、自然で見いだされる量から、100%が問題の原子からなる量までの範囲と定義される。例えば本開示の化合物は、放射性同位体(例えば三重水素(3H)、ヨウ素-125(125I)、炭素-14(14C))または非放射性同位体(例えば重水素(2H)、炭素-13(13C))を組み込むことができる。そのような同位体バリエーションは、本出願の別の箇所に記載した化合物に追加の用途を提供することができる。本開示の化合物の同位体バリエーションが見いだすことのできる追加の用途の非限定的な例に含まれるのは、診断用および/またはイメージング用試薬、細胞毒性/放射毒性治療剤である。それに加え、本開示の化合物の同位体バリアントは、変化した薬物動態特性と薬力学特性を持つ可能性があり、それが、処置中の安全性、忍容性、効率の増大に寄与する可能性がある。本開示の化合物のあらゆる同位体バリエーションは、放射性であるかないかに関係なく、本開示の範囲に包含されることを想定している。
【0037】
化合物
1つの側面では、本開示により、式(I)または(II)を持つ化合物:
【化4】
またはその医薬として許容可能な塩が提供される。ただしこれらの式において、
Rは、H、ハロゲン、CN、C
1-3ハロアルキル、C
1-3アルキル、C
1-3アルコキシからなる群から選択され;
R
1は、ハロゲン、C
5-8シクロアルキル、C
6-10アリール、チエニルからなる群から選択され、その中のC
6-10アリールとチエニルは、場合によっては1~5個のR
1a置換基で置換されており;
それぞれのR
1aは、独立に、ハロゲン、-CN、-R
c、-CO
2R
a、-CONR
aR
b、-C(O)R
a、-OC(O)NR
aR
b、-NR
bC(O)R
a、-NR
bC(O)
2R
c、-NR
a-C(O)NR
aR
b、-NR
aR
b、-OR
a、-O-X
1-OR
a、-O-X
1-CO
2R
a、-O-X
1-CONR
aR
b、-X
1-OR
a、-X
1-NR
aR
b、-X
1-CO
2R
a、-X
1-CONR
aR
b、-SF
5、-S(O)
2NR
aR
bからなる群から選択され、その中のそれぞれのX
1はC
1-4アルキレンであり;それぞれのR
aとR
bは、独立に、水素、C
1-8アルキル、C
1-8ハロアルキルから選択されるか、同じ窒素原子に結合しているときにはその窒素原子と合わさって、環メンバーとしてN、O、Sから選択された0~2個の追加へテロ原子を有する5員または6員の環を形成し、その環は、場合によってはオキソで置換されており;それぞれのR
cは、独立に、C
1-8アルキル、C
2-8アルケニル、C
2-8アルキニル、C
1-8ハロアルキルからなる群から選択され;場合によって2個のR
1a置換基が隣接した原子上にあるときには、それら置換基が合わさって縮合した5員、または6員、または7員の炭素環または複素環を形成し、その環は、場合によっては、ハロゲン、オキソ、C
1-8ハロアルキル、C
1-8アルキルから独立に選択された1~3個の置換基で置換されているか;
R
1は、
【化5】
であり;その中のそれぞれのR
1b、R
1c、R
1d、R
1eは、独立に、H、ハロゲン、CF
3、CN、C
1-4アルキル、-O-C
1-4アルキルからなる群から選択され、その中のC
1-4アルキルと-O-C
1-4アルキルは、場合によってはハロゲン、ヒドロキシル、メトキシ、エトキシのいずれかでさらに置換されており;
Lは、
【化6】
からなる群から選択された結合基であり、その中のそれぞれの下添字qは、独立に、1、2、3、4のいずれかであり、Lは、場合によっては、ハロゲン、ヒドロキシ、C
1-3アルキル、-O-C
1-3アルキル、C
1-3ヒドロキシアルキル、C
1-3ハロアルキル、-CO
2Hからなる群から選択された1個または2個のメンバーでさらに置換され;
Zは、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピリジル、ピリミジニル、グアニジニル、キヌクリジン、8-アザビシクロ[3.2.1]オクタンからなる群から選択され、そのそれぞれは、場合によっては、ハロゲン、ヒドロキシ、C
1-3アルキル、-NH
2、-NHC
1-3アルキル、-N(C
1-3アルキル)
2、-O-C
1-3アルキル、C
1-3ヒドロキシアルキル、C
1-3ハロアルキル、-CO
2Hから独立に選択された1~3個の基で置換されているか;
Zは、-CO
2R
z1と-NR
z1R
z2からなる群から選択され;その中のR
z1は、H、C
1-8アルキル、C
1-8 ハロアルキル、C
1-8ヒドロキシアルキルからなる群から選択され、R
z2は、-C
1-8アルキル、C
1-8ハロアルキル、C
1-8アルキル-COOH、C
1-8アルキル-OH、C
1-8アルキル-CONH
2、C
1-8アルキル-SO
2NH
2、C
1-8アルキル-PO
3H
2、C
1-8アルキル-C(O)NHOH、-C(O)-C
1-8アルキル-OH、-C(O)-C
1-8アルキル-COOH、C
3-10シクロアルキル、-C
3-10シクロアルキル-COOH、-C
3-10 シクロアルキル-OH、C
4-8ヘテロシクリル、-C
4-8ヘテロシクリル-COOH、-C
4-8ヘテロシクリル-OH、-C
1-8アルキル-C
4-8ヘテロシクリル、-C
1-8アルキル-C
3-10シクロアルキル、C
5-10 へテロアリール、-C
1-8アルキル-C
5-10 へテロアリールから選択され;
それぞれのR
2a、R
2b、R
2cは、独立に、H、ハロゲン、-CN、-R
d、-CO
2R
e、-CONR
eR
f、-OC(O)NR
eR
f、-NR
fC(O)R
e、-NR
fC(O)
2R
d、-NR
e-C(O)NR
eR
f、-NR
eR
f、-OR
e、-X
2-OR
e、-X
2-NR
eR
f、-X
2-CO
2R
e、-SF
5、-S(O)
2NR
eR
fからなる群から選択され、その中のそれぞれのX
2はC
1-4アルキレンであり;それぞれのR
eとR
fは、独立に、水素、C
1-8アルキル、C
1-8ハロアルキルから選択されるか、同じ窒素原子に結合しているときにはその窒素原子と合わさって、環メンバーとしてN、O、Sから選択された0~2個の追加へテロ原子を有する5員または6員の環を形成し、その環は、場合によってはオキソで置換されており;それぞれのR
dは、独立に、C
1-8アルキル、C
2-8アルケニル、C
1-8ハロアルキルからなる群から選択され;
R
3は、-NR
gR
hとC
4-12ヘテロシクリルからなる群から選択され、その中のC
4-12ヘテロシクリルは、場合によっては1~6個のR
3aで置換され;
それぞれのR
3aは、独立に、ハロゲン、-CN、-R
i、-CO
2R
j、-CONR
jR
k、-CONHC
1-6アルキル-OH、-C(O)R
j、-OC(O)NR
jR
k、-NR
jC(O)R
k、-NR
jC(O)
2R
k、-CONHOH、-PO
3H
2、-NR
j-X
3-C(O)
2R
k、-NR
jC(O)NR
jR
k、-NR
jR
k、-OR
j、-S(O)
2NR
jR
k、-O-X
3-OR
j、-O-X
3-NR
jR
k、-O-X
3-CO
2R
j、-O-X
3-CONR
jR
k、-X
3-OR
j、-X
3-NR
jR
k、-X
3-CO
2R
j、-X
3-CONR
jR
k、-X
3-CONHSO
2R
j、SF
5からなる群から選択され;その中のX
3はC
1-6アルキレンであり、場合によっては、OH、SO
2NH
2、CONH
2、C(O)NHOH、PO
3H
2、COO-C
1-8アルキル、CO
2Hのいずれかでさらに置換されており、それぞれのR
jとR
kは、独立に、水素、C
1-8アルキル(場合によっては、OH、SO
2NH
2、CONH
2、C(O)NHOH、PO
3H
2、B(OH)
2、COO-C
1-8アルキル、CO
2Hから選択された1~2個の置換基で置換されている)、C
1-8ハロアルキル(場合によっては、OH、SO
2NH
2、CONH
2、C(O)NHOH、PO
3H
2、COO-C
1-8アルキル、CO
2Hから選択された1~2個の置換基で置換されている)から選択されるか、同じ原子に結合しているときにはR
jとR
kがその窒素原子と合わさって、環メンバーとしてN、O、Sから選択された0~2個の追加へテロ原子を有する5員または6員の環を形成し、その環は、場合によってはオキソで置換されており;それぞれのR
iは、独立に、C
1-8アルキル、C
2-8アルケニル、C
1-8ハロアルキルからなる群から選択され、そのそれぞれは、場合によっては、OH、SO
2NH
2、CONH
2、C(O)NHOH、PO
3H
2、COO-C
1-8アルキル、CO
2Hのいずれかで置換されていてもよく;
R
gは、H、C
1-8ハロアルキル、C
1-8アルキルからなる群から選択され;
R
hは、C
1-8アルキル、C
1-8ハロアルキル、C
1-8ヒドロキシアルキル、C
1-8アルキル-CO
2R
j、C
1-8アルキル-CONR
jR
k、C
1-8アルキル-CONHSO
2R
j、C
1-8アルキル-SO
2NR
jR
k、C
1-8アルキル-PO
3H
2、C
1-8アルキル- C(O)NHOH、C
1-8アルキル-NR
jR
k、-C(O)R
j、C
3-10シクロアルキル、-C
3-10シクロアルキル-COOR
j、-C
3-10シクロアルキル-OR
j、C
4-8ヘテロシクリル、-C
4-8 ヘテロシクリル-COOR
j、-C
4-8 ヘテロシクリル-OR
j、-C
1-8アルキル-C
4-8ヘテロシクリル、-C(=O)OC
1-8アルキル-C
4-8ヘテロシクリル、-C
1-8アルキル-C
3-10シクロアルキル、C
5-10 ヘテロアリール、-C
1-8アルキル-C
5-10ヘテロアリール、-C
1-8アルキル-C
6-10 アリール、-C
1-8アルキル-(C=O)-C
6-10アリール、-CO
2-C
1-8アルキル-O
2C-C
1-8アルキル、-C
1-8アルキル-NH(C=O)-C
2-8アルケニル、-C
1-8アルキル- NH(C=O)-C
1-8アルキル、-C
1-8アルキル-NH(C=O)-C
2-8アルキニル、-C
1-8 アルキル-(C=O)-NH-C
1-8アルキル-COOR
j、-C
1-8アルキル-(C=O)-NH-C
1-8アルキル-OR
j(場合によってはCO
2Hで置換されている)から選択されるか;
R
hは、この基が結合しているNと合わさって、1~3個の天然アミノ酸と0~2個の非天然アミノ酸を含むモノペプチド、またはジペプチド、またはトリペプチドであり、
その中の非天然アミノ酸は、C
2-4ヒドロキシアルキル、C
1-3アルキル-グアニジニル、C
1-4アルキル-ヘテロアリールからなる群から選択されたα炭素置換基を持ち、
それぞれ天然アミノ酸または非天然アミノ酸のそのα炭素は、場合によってはメチル基でさらに置換されており、
前記モノペプチド、またはジペプチド、またはトリペプチドの末端部分は、C(O)OH、C(O)O-C
1-6アルキル、PO
3H
2からなる群から選択され、
R
hのC
1-8アルキル部分は、場合によっては、OH、COOH、SO
2NH
2、CONH
2、C(O)NHOH、COO-C
1-4アルキル、PO
3H
2、C
5-6ヘテロアリール(場合によっては1~2個のC
1-3アルキル置換基で置換されている)から独立に選択された1~3個の置換基でさらに置換されており、
R
hのC
5-10ヘテロアリール部分とC
6-10アリール部分は、場合によっては、OH、B(OH)
2、COOH、SO
2NH
2、CONH
2、C(O)NHOH、PO
3H
2、COO-C
1-8アルキル、C
1-4アルキル、C
1-4アルキル-OH、C
1-4アルキル-SO
2NH
2、C
1-4アルキル-CONH
2、C
1-4アルキル-C(O)NHOH、C
1-4アルキル- PO
3H
2、C
1-4アルキル-COOH、フェニルから独立に選択された1~3個の置換基で置換されており、
R
hのC
4-8ヘテロシクリル部分とC
3-10シクロアルキル部分は、場合によっては1~4個のR
h1置換基で置換されており;
それぞれのR
h1は、独立に、C
1-4 アルキル、C
1-4アルキル-OH、C
1-4アルキル-COOH、C
1-4 アルキル-SO
2NH
2、C
1-4アルキル-CONH
2、C
1-4アルキル-C(O)NHOH、C
1-4アルキル-PO
3H、OH、COO-C
1-8アルキル、COOH、SO
2NH
2、CONH
2、C(O)NHOH、PO
3H
2、B(OH)
2、オキソから選択され;
R
4は、O-C
1-8 アルキル、O-C
1-8ハロアルキル、C
6-10アリール、C
5-10ヘテロアリール、-O-C
1-4アルキル-C
4-7へテロシクロアルキル、-O-C
1-4 アルキル-C
6-10アリール、-O-C
1-4アルキル-C
5-10ヘテロアリールからなる群から選択され、そのそれぞれは、場合によっては1~5個のR
4aで置換されており;
それぞれのR
4aは、独立に、ハロゲン、-CN、-R
m、-CO
2R
n、-CONR
nR
p、-C(O)R
n、-OC(O)NR
nR
p、-NR
nC(O)R
p、-NR
nC(O)
2R
m、-NR
n-C(O)NR
nR
p、-NR
nR
p、-OR
n、-O-X
4-OR
n、-O-X
4-NR
nR
p、-O-X
4-CO
2R
n、-O-X
4-CONR
nR
p、-X
4-OR
n、-X
4-NR
nR
p、-X
4-CO
2R
n、-X
4-CONR
nR
p、-SF
5、-S(O)
2R
nR
p、-S(O)
2NR
nR
p、C
3-7シクロアルキル、C
4-7ヘテロシクロアルキルからなる群から選択され、その中のシクロアルキル環とヘテロシクロアルキル環は、場合によっては1~5個のR
tで置換されており、それぞれのR
tは、独立に、C
1-8アルキル、C
1-8ハロアルキル、-CO
2R
n、-CONR
nR
p、-C(O)R
n、-OC(O)NR
nR
p、-NR
nC(O)R
p、-NR
nC(O)
2R
m、-NR
n-C(O)NR
nR
p、-NR
nR
p、-OR
n、-O-X
4-OR
n、-O-X
4-NR
nR
p、-O-X
4-CO
2R
n、-O-X
4-CONR
nR
p、-X
4-OR
n、-X
4-NR
nR
p、-X
4-CO
2R
n、-X
4-CONR
nR
p、-SF
5、-S(O)
2NR
nR
pからなる群から選択され;
その中のそれぞれのX
4はC
1-6アルキレンであり;それぞれのR
nとR
pは、独立に、水素、C
1-8アルキル、C
1-8ハロアルキルから選択されるか、同じ窒素原子に結合しているときにはその窒素原子と合わさって、環メンバーとしてN、O、Sから選択された0~2個の追加へテロ原子を有する5員または6員の環を形成し、その環は、場合によってはオキソで置換されており;それぞれのR
mは、独立に、C
1-8アルキル、C
2-8アルケニル、C
1-8ハロアルキルからなる群から選択され;場合によっては2つのR
4a置換基が隣接した原子上にあるとき、それらが合わさって、場合によってはオキソで置換された縮合した5員または6員の炭素環または複素環を形成し;
R
3とR
4は合わさって、12~20員の大員環を形成し;
nは、0、1、2、3のいずれかであり;
それぞれのR
5は、独立に、ハロゲン、-CN、-R
q、-CO
2R
r、-CONR
rR
s、-C(O)R
r、-OC(O)NR
rR
s、-NR
rC(O)R
s、-NR
rC(O)
2R
q、-NR
rC(O)NR
rR
s、-NR
rR
s、-OR
r、-O-X
5-OR
r、-O-X
5-NR
rR
s、-O-X
5-CO
2R
r、-O-X
5-CONR
rR
s、-X
5-OR
r、-X
5-NR
rR
s、-X
5-CO
2R
r、-X
5-CONR
rR
s、-SF
5、-S(O)
2NR
rR
sからなる群から選択され、その中のそれぞれのX
5はC
1-4アルキレンであり;それぞれのR
rとR
sは、独立に、水素、C
1-8アルキル、C
1-8ハロアルキルから選択されるか、同じ窒素原子に結合しているときにはその窒素原子と合わさって、環メンバーとしてN、O、Sから選択された0~2個の追加へテロ原子を有する5員または6員の環を形成し、その環は、場合によってはオキソで置換されており;それぞれのR
qは、独立に、C
1-8アルキルとC
1-8ハロアルキルからなる群から選択され;
R
6aとR
6cは、それぞれ独立に、H、C
1-4 アルキル、C
1-4ハロアルキルからなる群から選択され;
mは、0、1、2、3のいずれかであり;
それぞれのR
6bは、独立に、F、C
1-4 アルキル、O-R
u、C
1-4ハロアルキル、NR
uR
vからなる群から選択され、その中のR
uとR
vは、独立に、水素、C
1-8アルキル、C
1-8ハロアルキルからなる群から選択されるか、同じ窒素原子に結合しているときにはその窒素原子と合わさって、環メンバーとしてN、O、Sから選択された0~2個の追加へテロ原子を有する5員または6員の環を形成し、その環は、場合によってはオキソで置換されている。
【0038】
R3とR4は、それぞれの置換基の原子間に結合を形成することによって結合される。いくつかの実施態様では、R3はNRgRhである(ただしRhはアミノ酸であり、Rhは、そのアミノ酸のα炭素置換基によってR4に結合する)。いくつかの実施態様では、R3はNRgRhであり、その中のRhはアミノ酸であり、Rhはカルボン酸置換基によってR4に結合する。いくつかの実施態様では、R4は-O-C1-4アルキル-C5-10ヘテロアリールであり、R4は、場合によってはR4aで置換されている(ただしR4aは-CONRnRpであり、その中のRpはC1-8アルキルであり、Rpは、C1-8アルキル部分によってR3に結合する)。
【0039】
いくつかの実施態様では、式(I)を持つ化合物が提供される。別の実施態様では、式(II)を持つ化合物が提供される。
【0040】
いくつかの実施態様では、本開示により、式(Ia)または(IIa)を持つ化合物:
【化7】
またはその医薬として許容可能な塩が提供される。ただしこれらの式において、
WはNまたはC(R
9)であり;
X、Y、Vは、それぞれ独立に、結合、O、NH、N(CH
3)、C(O)、メチレン、エチレンからなる群から選択され、その中のメチレンとエチレンは、場合によっては1個または2個のR
7aで置換されており;
R
1は、C
6-10アリールとチエニルからなる群から選択され、そのそれぞれは、場合によっては1~5個のR
1a置換基で置換されており;
それぞれのR
7aとR
7bは、独立に、H、C
1-6アルキル、CO
2H、-CO
2-(C
1-6アルキル)、PO
3H
2からなる群から選択され、その中のC
1-6アルキルは、場合によっては、ハロゲン、OH、NH
2、CN、CO
2Hから選択された1個または2個のメンバーで置換されており;
それぞれのR
8aとR
8bは、独立に、HとC
1-6アルキルからなる群から選択され、場合によってはハロゲン、OH、NH
2、CN、CO
2Hで置換されており;
R
9は、H、ハロゲン、CN、C
1-6アルキル、-O-C
1-6アルキル、-SO
2(C
1-6アルキル)、-C
1-6アルキル-CO
2H、-C
1-6アルキル-CO
2-C
1-6アルキル、-C
1-6アルキル-C(O)NH
2、-C
1-6アルキル-C(O)NHC
1-6 アルキル、-C
1-6アルキル-C(O)N(C
1-6アルキル)
2からなる群から選択されたメンバーであり、
残りの基は、上記の式(I)と(II)を参照して提示されている意味を持つ。
【0041】
いくつかの実施態様では、式(Ia)を持つ化合物が提供される。別の実施態様では、式(IIa)を持つ化合物が提供される。
【0042】
いくつかの実施態様では、化合物、またはその医薬として許容可能な塩は、式(I)、(II)、(Ia)、(IIa)いずれかの化合物であり、その中でR3とR4が合わさって(またはX、Y、Vを環のメンバーとして持つことによって)形成される大員環は、12員、または13員、または14員、または15員、または16員、または17員、または18員、または19員、または20員の大員環である。
【0043】
いくつかの実施態様では、式(Ib)または式(IIb)の化合物:
【化8】
またはその医薬として許容可能な塩が提供される。ただしこれらの式において、
WはNまたはC(R
9)であり;
X、Y、Vは、それぞれ独立に、結合、O、NH、N(CH
3)、C(O)、メチレン、エチレンからなる群から選択され、その中のメチレンとエチレンは、場合によっては1個または2個のR
7aで置換されており;
それぞれのR
7aとR
7bは、独立に、H、C
1-6アルキル、CO
2H、CH
2OH、-CO
2-(C
1-6アルキル)、PO
3H
2からなる群から選択され、その中のC
1-6アルキルは、場合によっては、ハロゲン、OH、NH
2、CN、CO
2Hから選択された1個または2個のメンバーで置換されており;
それぞれのR
8aとR
8bは、独立に、HとC
1-6アルキルからなる群から選択され、場合によってはハロゲン、OH、NH
2、CN、CO
2Hで置換されており;
R
9は、H、ハロゲン、CN、C
1-6アルキル、-O-C
1-6アルキル、-SO
2(C
1-6アルキル)、-C
1-6アルキル-CO
2H、-C
1-6アルキル-CO
2-C
1-6アルキル、-C
1-6アルキル-C(O)NH
2、-C
1-6アルキル-C(O)NHC
1-6アルキル、-C
1-6アルキル-C(O)N(C
1-6アルキル)
2からなる群から選択されたメンバーであり、
残りの基は、上記の式(I)と(II)を参照して提示されている意味を持つ。
【0044】
いくつかの実施態様では、式(Ib)を持つ化合物が提供される。別の実施態様では、式(IIb)を持つ化合物が提供される。
【0045】
いくつかの実施態様では、式(Ic)または式(IIc)の化合物:
【化9】
またはその医薬として許容可能な塩が提供される。ただしこれらの式において、
X
9はC
1-8アルキレンであり;
X、Y、Vは、それぞれ独立に、結合、O、NH、N(CH
3)、C(O)、メチレン、エチレンからなる群から選択され、その中のメチレンとエチレンは、場合によっては1個または2個のR
7aで置換されており;
それぞれのR
7aとR
7bは、独立に、H、C
1-6アルキル、CO
2H、CH
2OH、-CO
2-(C
1-6アルキル)、PO
3H
2からなる群から選択され、その中のC
1-6アルキルは、場合によっては、ハロゲン、OH、NH
2、CN、CO
2Hから選択された1個または2個のメンバーで置換されており;
それぞれのR
8aとR
8bは、独立に、HとC
1-6アルキルからなる群から選択され、場合によってはハロゲン、OH、NH
2、CN、CO
2Hで置換されており;
残りの基は、上記の式(I)と(II)を参照して提示されている意味を持つ。
【0046】
いくつかの実施態様では、式(Ic)を持つ化合物が提供される。別の実施態様では、式(IIc)を持つ化合物が提供される。
【0047】
いくつかの実施態様では、式(Ia1)と式(IIa1)の化合物:
【化10】
またはその医薬として許容可能な塩が提供される。ただしこれらの式において、
WはNまたはC(R
9)であり;
R
1は、C
6-10アリールとチエニルからなる群から選択され、そのそれぞれは、場合によっては1~5個のR
1a置換基で置換されており;
それぞれのR
7aとR
7bは、独立に、H、C
1-6アルキル、CO
2H、CH
2OH、-CO
2-(C
1-6アルキル)、PO
3H
2からなる群から選択され、その中のC
1-6アルキルは、場合によっては、ハロゲン、OH、NH
2、CN、CO
2Hから選択された1つまたは2つのメンバーで置換されており;
R
9は、H、ハロゲン、CN、C
1-6アルキル、-O-C
1-6アルキル、-SO
2(C
1-6アルキル)、-C
1-6アルキル-CO
2H、-C
1-6アルキル-CO
2-C
1-6アルキル、-C
1-6アルキル-C(O)NH
2、-C
1-6アルキル-C(O)NHC
1-6アルキル、-C
1-6アルキル-C(O)N(C
1-6アルキル)
2からなる群から選択されたメンバーであり、
残りの基は、上記の式(I)と(II)を参照して提示されている意味を持つ。
【0048】
いくつかの実施態様では、式(Ia1)を持つ化合物が提供される。別の実施態様では、式(IIa1)を持つ化合物が提供される。
【0049】
いくつかの実施態様では、式(Ib1)と式(IIb1)の化合物:
【化11】
またはその医薬として許容可能な塩が提供される。ただしこれらの式において、
WはNまたはC(R
9)であり;
それぞれのR
7aとR
7bは、独立に、H、C
1-6アルキル、CO
2H、CH
2OH、-CO
2-(C
1-6アルキル)、PO
3H
2からなる群から選択され、その中のC
1-6アルキルは、場合によっては、ハロゲン、OH、NH
2、CN、CO
2Hから選択された1つまたは2つのメンバーで置換されており;
R
9は、H、ハロゲン、CN、C
1-6アルキル、-O-C
1-6アルキル、-SO
2(C
1-6アルキル)、-C
1-6アルキル-CO
2H、-C
1-6アルキル-CO
2-C
1-6アルキル、-C
1-6アルキル-C(O)NH
2、-C
1-6アルキル-C(O)NHC
1-6アルキル、-C
1-6アルキル-C(O)N(C
1-6アルキル)
2からなる群から選択されたメンバーであり、
残りの基は、上記の式(I)と(II)を参照して提示されている意味を持つ。
【0050】
いくつかの実施態様では、式(Ib1)を持つ化合物が提供される。別の実施態様では、式(IIb1)を持つ化合物が提供される。
【0051】
いくつかの実施態様では、式(Ic1)と式(IIc1)の化合物:
【化12】
またはその医薬として許容可能な塩が提供される。ただしこれらの式において、
WはNまたはC(R
9)であり;
それぞれのR
7aとR
7bは、独立に、H、C
1-6アルキル、CO
2H、CH
2OH、-CO
2-(C
1-6アルキル)、PO
3H
2からなる群から選択され、その中のC
1-6アルキルは、場合によっては、ハロゲン、OH、NH
2、CN、CO
2Hから選択された1つまたは2つのメンバーで置換されており;
R
9は、H、ハロゲン、CN、C
1-6アルキル、-O-C
1-6アルキル、-SO
2(C
1-6アルキル)、-C
1-6アルキル-CO
2H、-C
1-6アルキル-CO
2-C
1-6アルキル、-C
1-6アルキル-C(O)NH
2、-C
1-6アルキル-C(O)NHC
1-6アルキル、-C
1-6アルキル-C(O)N(C
1-6アルキル)
2からなる群から選択されたメンバーであり、
残りの基は、上記の式(I)と(II)を参照して提示されている意味を持つ。
【0052】
いくつかの実施態様では、式(Ic1)を持つ化合物が提供される。別の実施態様では、式(IIc1)を持つ化合物が提供される。
【0053】
式(I)、(II)、(Ia)、(IIa)、(Ia1)、(IIa1)それぞれについてのいくつかの実施態様では、R
1はフェニルとチエニルからなる群から選択され、そのフェニルとチエニルは、場合によっては1~5個のR
1a置換基で置換されており、いくつかの実施態様では、1~3個のR
1a置換基で置換されている。いくつかの実施態様では、R
1は、場合によっては1個または2個のR
1a置換基で置換されたフェニルであり、それぞれのR
1aは、独立に、ハロゲン、C
1-8アルキル、O-C
1-8アルキル、O-C
1-8ハロアルキル、-NR
aR
b、CNから選択され、場合によっては2つのR
1a置換基が隣接した原子上にあるときには、それらが合わさって縮合した6員の複素環を形成し、その環は、場合によっては、オキソ、C
1-8ハロアルキル、C
1-8アルキルから独立に選択された1~3個の置換基で置換されている。いくつかの実施態様では、R
1は、場合によってはFで置換されたフェニルである。いくつかの実施態様では、R
1の選択は、
【化13】
からなる群からなされる。
【0054】
式(I)、(II)、(Ib)、(IIb)、(Ib1)、(IIb1)、(Ic)、(IIc)、(Ic1)、(IIc1)のいくつかの実施態様では、基Z-L-の選択は、
【化14】
からなされる。
【0055】
式(I)、(II)、(Ib)、(IIb)、(Ib1)、(IIb1)、(Ic)、(IIc)、(Ic1)、(IIc1)のいくつかの実施態様では、基Z-L-の選択は、
【化15】
からなされる。
【0056】
式(I)、(II)、(Ib)、(IIb)、(Ib1)、(IIb1)、(Ic)、(IIc)、(Ic1)、(IIc1)のいくつかの実施態様では、基Z-L-の選択は、
【化16】
からなされる。
【0057】
式(I)、(II)、(Ia)、(IIa)、(Ia1)、(IIa1)、(Ib)、(IIb)、(Ib1)、(IIb1)、(Ic)、(IIc)、(Ic1)、(IIc1)のそれぞれについてのいくつかの実施態様では、それぞれのR2a、R2b、R2cは、独立に、H、ハロゲン、-CN、-Rd、-NReRf、-ORe、-X2-ORe、-X2-NReRfからなる群から選択され、その中のX2はC1-4アルキレンであり;それぞれのReとRfは、独立に、水素、C1-8 アルキル、C1-8ハロアルキルから選択されるか、同じ窒素原子に結合しているときには、その窒素原子と合わさって、環メンバーとしてN、O、Sから選択された0~2個の追加へテロ原子を有する5員または6員の環を形成し、その環は、場合によってはオキソで置換されており;それぞれのRdは、独立に、C1-8アルキル、C2-8アルケニル、C1-8ハロアルキルからなる群から選択される。いくつかの実施態様では、R2bとR2cは両方ともHであり、R2aは、ハロゲン、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C1-3ハロアルキル、-CN、-OMe、OEtからなる群から選択される。いくつかの実施態様では、R2bとR2cは両方ともHであり、R2aはハロゲンである。いくつかの実施態様では、R2bとR2cは両方ともHであり、R2aはClである。
【0058】
いくつかの実施態様では、化合物、またはその医薬として許容可能な塩は、式(I)、(II)、(Ia)、(IIa)、(Ia1)、(IIa1)、(Ib)、(IIb)、(Ib1)、(IIb1)、(Ic)、(IIc)、(Ic1)、(IIc1)いずれかの化合物において、nが0、1、2のいずれかであり、R5が、独立に、ハロゲン、-CN、-Rm、-NRnRp、-ORnからなる群から選択され、その中のRnとRpが、独立に、水素、C1-8アルキル、C1-8ハロアルキルから選択され、それぞれのRmが、独立に、C1-8アルキルとC1-8ハロアルキルからなる群から選択された化合物である。いくつかの実施態様では、nは0である。
【0059】
いくつかの実施態様では、化合物、またはその医薬として許容可能な塩は、式(I)、(II)、(Ia)、(IIa)、(Ia1)、(IIa1)、(Ib)、(IIb)、(Ib1)、(IIb1)、(Ic)、(IIc)、(Ic1)、(IIc1)いずれかの化合物において、R6aがHである化合物である。いくつかの実施態様では、mは0である。いくつかの実施態様では、mは1であり、R6bは、F、C1-4アルキル、O-Rq、C1-4ハロアルキル、NRqRrからなる群から選択され、その中のそれぞれのRqとRrは、独立に、水素、C1-8アルキル、C1-8ハロアルキルから選択される。いくつかの実施態様では、mは1であり、R6bはFである。
【0060】
いくつかの実施態様では、式(Ia)、(IIa)、(Ib)、(IIb)、(Ia1)、(IIa1)、(Ib1)、(IIb1)、(Ic1)、(IIc1)を持つ化合物の中のR9はCNである。いくつかの実施態様では、式(Ia1)、(IIa1)、(Ib1)、(IIb1)、(Ic1)、(IIc1)のいずれかを持つ化合物の中のWはNである。
【0061】
いくつかの実施態様では、式(Ia)、(IIa)、(Ib)、(IIb)、(Ic)、(IIc)、(Ia1)、(IIa1)、(Ib1)、(IIb1)、(Ic1)、(IIc1)を持つ化合物の中のそれぞれのR7aとR7bは、独立に、H、CO2H、CH2OHからなる群から選択される。
【0062】
いくつかの実施態様では、化合物、またはその医薬として許容可能な塩は、式(I)、(Ia)、(Ia1)いずれかの化合物において、
【化17】
として示されている部分が、
【化18】
のいずれかである化合物である。
【0063】
いくつかの実施態様では、化合物、またはその医薬として許容可能な塩は、式(I)、(Ia)、(Ia1)いずれかの化合物において、
【化19】
として示されている部分が、
【化20】
である化合物である。
【0064】
いくつかの実施態様では、化合物、またはその医薬として許容可能な塩は、式(I)、(Ia)、(Ia1)、(Ib)、(Ib1)、(Ic)、(Ic1)いずれかの化合物において、
【化21】
として示されている部分が、
【化22】
のいずれかである化合物である。
【0065】
いくつかの実施態様の式(I)、(II)、(Ia)、(IIa)、(Ia1)、(IIa1)、(Ib)、(IIb)、(Ib1)、(IIb1)、(Ic)、(IIc)、(Ic1)、(IIc1)のそれぞれに戻ると、R4は、場合によっては1~2個のR4aで置換されており、それぞれのR4aは、独立に、ハロゲン、-CN、-Ri、-CO2Rj、-CONRjRk、-C(O)Rj、-OC(O)NRjRk、-NRjC(O)Rk、-NRjC(O)2Ri、-NRj-C(O)NRjRk、-NRjRk、-ORj、-S(O)2NRjRkからなる群から選択される。いくつかの実施態様では、R4は、O-C1-4アルキル、O-C1-6 アルキル-CN、フェニル、ピリジニル、-O-C1-2アルキル-ピリジニル、-O-C1-2 アルキル-ピリミジニル、-O-C1-2アルキル- ピリダジニル、-O-C1-2アルキル-フェニルからなる群から選択され、そのそれぞれは、場合によっては1~2個のR4aで置換されており、それぞれのR4aは、独立に、ハロゲン、-CN、-CO2Rj、-NRjRk、-ORjから選択される。
【0066】
いくつかの実施態様では、化合物、またはその医薬として許容可能な塩は、表1で活性が++または+++である化合物から選択される。いくつかの実施態様では、化合物、またはその医薬として許容可能な塩は、表1で活性が+++である化合物から選択される。いくつかの実施態様では、化合物、またはその医薬として許容可能な塩は、表1で活性が++である化合物から選択される。いくつかの実施態様では、化合物、またはその医薬として許容可能な塩は、表1で活性が+である化合物から選択される。
【0067】
上に示した化合物に加え、これら化合物の医薬として許容可能な塩も提供される。いくつかの実施態様では、医薬として許容可能な塩の選択は、アンモニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、亜鉛塩、アルギニン塩、ベタイン塩、カフェイン塩、コリン塩、N,N’-ジベンジルエチレンジアミン塩、ジエチルアミン塩、2-ジエチルアミノエタノール塩、2-ジメチルアミノエタノール塩、エタノールアミン塩、エチレンジアミン塩、N-エチルモルホリン塩、N-エチルピペリジン塩、グルカミン塩、グルコサミン塩、ヒスチジン塩、ヒドラバミン塩、イソプロピルアミン塩、リシン塩、メチルグルカミン塩、モルホリン塩、ピペラジン塩、ピペリジン塩、プロカイン塩、プリン塩、テオブロミン塩、トリエチルアミン塩、トリメチルアミン塩、トリプロピルアミン塩、トロメタミン塩、塩酸塩、炭酸塩、一水素炭酸塩、リン酸塩、一水素リン酸塩、二水素リン酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、イソブチル酸塩、マロン酸塩、安息香酸塩、クエン酸塩、スベリン酸塩、フマル酸塩、マンデル酸塩、フタル酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トリルスルホン酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、アルギン酸塩、グルクロン酸塩、ガラクツロン酸塩からなされる。いくつかの実施態様では、医薬として許容可能な塩の選択は、アンモニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、塩酸塩、炭酸塩、一水素炭酸塩、リン酸塩、一水素リン酸塩、二水素リン酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、イソブチル酸塩、マロン酸塩、安息香酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、フマル酸塩、マンデル酸塩、フタル酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トリルスルホン酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、アルギン酸塩、グルクロン酸塩、ガラクツロン酸塩からなされる。いくつかの実施態様では、医薬として許容可能な塩は、ナトリウム塩または塩酸塩である。
【0068】
本開示により、塩の形態に加えてプロドラッグの形態の化合物が提供される。本明細書に記載した化合物のプロドラッグは、生理学的条件下で容易に化学変化して本開示の化合物を提供する化合物である。それに加え、プロドラッグは、生体外環境で化学的方法または生化学的方法によって本開示の化合物に変換することができる。例えばプロドラッグは、適切な酵素または化学的試薬を含む経皮パッチリザーバの中に入れておくことで、ゆっくりと本開示の化合物に変換することができる。
【0069】
エステルを、対応するカルボン酸のためのプロドラッグとして用いることができる。C
1-10アルキルエステルまたはC
1-10ハロアルキルエステルを、対応するカルボン酸のためのプロドラッグとして用いることができる。以下のエステルを用いることができる:t-ブチルエステル、メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル。より具体的には、エステルプロドラッグ(トレオニンプロドラッグエステルまたはセリンプロドラッグエステルなど)をR
3基として用いることができ、R
3基は、この基の窒素を通じて分子の残部に結合している。より具体的には、以下のプロドラッグ:
【化23】
をR
3のために用いることができる。
【0070】
より具体的には、R
3として以下のプロドラッグ:
【化24】
を用いることができる。
【0071】
医薬組成物
これら化合物の組成物は、本明細書に提示されている化合物に加え、典型的には医薬用の基剤または希釈剤を含有することになる。
【0072】
本明細書では、「組成物」という用語は、指定された成分を指定された量で含む製品と、指定された量の指定された成分の組み合わせから直接または間接に得られるあらゆる製品を包含することを想定している。「医薬として許容可能な」は、基剤、希釈剤、賦形剤が、製剤の他の成分と適合していて、その製剤のレシピエントにとって有害であってはならないことを意味する。
【0073】
別の一実施態様では、本開示の化合物(その中には、式(I)、(Ia)、(II)、(IIa)いずれかの化合物が含まれる)、またはその医薬として許容可能な塩と、医薬として許容可能な賦形剤を含む医薬組成物が提供される。
【0074】
いくつかの実施態様では、医薬組成物は、1種類以上の追加の治療剤をさらに含んでいる。いくつかの実施態様では、その1種類以上の追加の治療剤の選択は、抗微生物剤、抗ウイルス剤、細胞毒性剤、遺伝子発現調節剤、化学療法剤、抗がん剤、抗血管新生剤、免疫治療剤、抗ホルモン剤、抗線維化剤、放射線療法、放射線療法剤、抗腫瘍剤、抗増殖剤からなる群からなされる。いくつかの実施態様では、その1種類以上の追加の治療剤の選択は、CCX354、CCX9588、CCX140、CCX872、CCX598、CCX6239、CCX9664、CCX2553、CCX 2991、CCX282、CCX025、CCX507、CCX430、CCX765、CCX224、CCX662、CCX650、CCX832、CCX168、CCX168-M1の1つ以上からなる群からなされる。
【0075】
本開示の化合物を投与するための医薬組成物は、単位用量の形態で提示することができると便利であり、薬学と薬送達の分野でよく知られている任意の方法で調製することができる。どの方法も、活性成分を、1種類以上の副成分を構成する基剤と組み合わせる工程が含んでいる。一般に、医薬組成物は、活性成分を、液体基剤と細分化された固体基剤の一方または両方と均一かつ密に組み合わせた後、必要な場合には生成物を成形して望む製剤にすることによって調製される。その医薬組成物には、疾患のプロセスまたは状態に望む効果を生じさせるのに十分な量の活性化合物が含まれている。
【0076】
活性化合物を含有する医薬組成物は、経口で用いるのに適した形態にすることができ、その例は、錠剤、トローチ、ロゼンジ、水性または油性の懸濁液、分散可能な粉末または顆粒、アメリカ合衆国特許出願第2002-0012680号に記載されている乳剤と自己乳化剤、硬カプセルまたは軟カプセル、シロップ、エリキシル、溶液、口腔パッチ、経口ゲル、チューインガム、咀嚼錠、発泡性粉末、発泡性錠剤である。経口で用いることが想定される組成物は、医薬組成物の製造の分野で知られている任意の方法に従って調製することができ、そのような組成物は、医薬として見た目がよくて口当たりがよい調製物にするため、甘味剤、香味剤、着色剤、抗酸化剤、保存剤からなる群から選択された1種類以上の薬剤を含有することができる。錠剤は、活性成分を、錠剤の製造に適していて医薬として許容可能な非毒性賦形剤との混合物として含有する。これら賦形剤として可能なのは、例えば、不活性な希釈剤(例えばセルロース、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、グルコース、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、リン酸カルシウム、リン酸ナトリウム);粒化剤と崩壊剤(例えばコーンスターチ、アルギン酸);結合剤(例えばPVP、セルロース、PEG、デンプン、ゼラチン、アラビアゴム)、潤滑剤(例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、タルク)である。錠剤は被覆しなくてもよいし、公知の技術によって腸溶コーティングその他のコーティングをして胃腸管での崩壊と吸収を遅延させ、そのことによってより長期間にわたって作用を持続させてもよい。例えば遅延材料(例えばモノステアリン酸グリセリルやジステアリン酸グリセリル)を使用することができる。錠剤をアメリカ合衆国特許第4,256,108号;第4,166,452号;第4,265,874号に記載されている技術によって被覆し、制御放出のための浸透性治療用錠剤を形成することもできる。
【0077】
経口で用いる製剤は、不活性な固体希釈剤(例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、カオリン)、さまざまな平均サイズのポリエチレングリコール(PEG)(例えばPEG400、PEG4000))、いくつかの界面活性剤(例えばクレモフォールまたはソルトール)と混合された活性成分を含む硬ゼラチンカプセルとして提供すること、または水か油媒体(例えばピーナツ油、液体パラフィン、オリーブ油)と混合された活性成分を含む軟ゼラチンカプセルとして提供することもできる。それに加え、水と混和しない成分(例えば油)とで乳剤を調製し、界面活性剤(例えばモノジグリセリド、PEGエステルなど)を用いて安定化させることができる。
【0078】
水性懸濁液は、活性材料を、水性懸濁液の製造に適した賦形剤との混合物として含有している。そのような賦形剤は、懸濁剤(例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシ-プロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニル-ピロリドン、トラガカントゴム、アラビアゴム)であり、分散剤または湿潤剤は、天然のホスファチド(例えばレシチン)、またはアルキレンオキシドと脂肪酸の縮合生成物(例えばステアリン酸ポリオキシ-エチレン)、またはエチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールの縮合生成物(例えばヘプタデカエチレンオキシセタノール)、またはエチレンオキシドと、脂肪酸とヘキシトールに由来する部分エステルの縮合生成物(例えばモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビトール)、またはエチレンオキシドと、脂肪酸と無水ヘキシトールに由来する部分エステルの縮合生成物(例えばモノオレイン酸ポリエチレンソルビタン)が可能である。水性懸濁液は、1種類以上の保存剤(例えばp-ヒドロキシ安息香酸エチル、p-ヒドロキシ安息香酸n-プロピル)、1種類以上の着色剤、1種類以上の香味剤、1種類以上の甘味剤(例えばスクロース、サッカリン)も含有することができる。
【0079】
油性懸濁液は、活性成分を植物油(例えばピーナツ油、オリーブ油、ゴマ油、ココナツ油)または鉱物油(例えば液体パラフィン)の中に懸濁させることによって調製できる。油性懸濁液は、増粘剤(例えば蜜蝋、硬パラフィン、セチルアルコール)を含有することができる。口当たりのよい経口調製物にするため、上記のような甘味剤と、香味剤を添加することができる。これら組成物は、抗酸化剤(例えばアスコルビン酸)を添加することによって保存することができる。
【0080】
水を添加して水性懸濁液を調製するのに適した分散性の粉末と顆粒は、活性成分を、分散剤または湿潤剤と、懸濁剤と、1種類以上の保存剤の混合物として提供する。適切な分散剤または湿潤剤と懸濁剤の例はすでに上に例示してある。追加の賦形剤(例えば甘味剤、香味剤、着色剤)も存在することができる。
【0081】
本開示の医薬組成物は、水中油型エマルジョンの形態にすることもできる。油相として、植物油(例えばオリーブ油、ピーナツ油)、または鉱物油(例えば液体パラフィン)、またはこれらの混合物が可能である。適切な乳化剤として、天然ゴム(例えばアラビアゴム、トラガカントゴム)、天然のホスファチド(例えばダイズのレシチン)、脂肪酸と無水ヘキシトールに由来するエステルまたは部分エステル(例えばモノオレイン酸ソルビタン)、その部分エステルとエチレンオキシドの縮合生成物(例えばモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン)が可能である。乳剤は、甘味剤と香味剤も含有することができる。
【0082】
シロップとエリキシルは、甘味剤(例えばグリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール、スクロース)を用いて製剤にすることができる。そのような製剤は、粘滑剤、保存剤、香味剤、着色剤も含むことができる。経口溶液は、例えばシクロデキストリン、PEG、界面活性剤と組み合わせて調製することができる。
【0083】
医薬組成物は、無菌の注射可能な水性または油性の懸濁液の形態にすることができる。この懸濁液は、公知の技術に従い、上記の適切な分散剤または湿潤剤と懸濁剤を用いて製剤にすることができる。無菌の注射可能な調製物として、医薬として許容可能な非毒性の希釈液または溶媒の中の無菌の注射可能な溶液または懸濁液(例えば1,3-ブタンジオールの中の溶液)も可能である。使用できる許容可能なビヒクルと溶媒には、水、リンゲル溶液、等張塩化ナトリウム溶液が含まれる。それに加え、無菌の不揮発性油が、溶媒または懸濁媒体として通常用いられる。この目的で、合成モノグリセリドまたは合成ジグリセリドを含む任意の無刺激性不揮発性油を用いることができる。それに加え、脂肪酸(例えばオレイン酸)が、注射可能な溶液の調製に用いられる。
【0084】
本開示の化合物は、薬を直腸に投与するため座薬の形態で投与することもできる。この組成物は、薬を、常温では固体だが直腸温では液体になるために直腸で溶解してその薬を放出する適切な非刺激性賦形剤と混合することによって調製できる。そのような材料には、カカオバターとポリエチレングリコールが含まれる。それに加え、この化合物は、溶液または軟膏によって眼に送達することができる。さらに、本開示の化合物の経皮送達は、イオン注入パッチなどによって実現することができる。局所で使用するため、本開示の化合物を含有するクリーム、軟膏、ゼリー、溶液、懸濁液などが利用される。本明細書では、局所塗布に、口内洗浄液とうがい液の使用も含まれる。
【0085】
本開示の化合物は、標的に送達できる薬担体として適したポリマーである基剤と組み合わせることもできる。そのようなポリマーに含めることができるのは、ポリビニルピロリドン、ピランコポリマー、ポリヒドロキシ-プロピル-メタクリルアミド-フェノール、ポリヒドロキシエチル-アスパルタミド-フェノール、パルミトイル残基で置換されたポリエチレンオキシド-ポリリシンである。さらに、本開示の化合物は、薬の制御放出を実現するのに役立つ1つのクラスの生体分解性ポリマーである基剤(例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸とポリグリコール酸のコポリマー、ポリイプシロンカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリレート、ヒドロゲルの架橋ブロックポリマーまたは両親媒性ブロックポリマー)と組み合わせることができる。ポリマーと半透過性ポリマーマトリックスを成形された物品(例えば弁、ステント、チューブ、補綴材など)にすることができる。本開示の一実施態様では、本開示の化合物をポリマーまたは半透過性ポリマーマトリックスと組み合わせ、ステントまたはステント-グラフト装置として成形する。
【0086】
疾患と障害を処置する方法
本開示の化合物は、免疫調節剤として用いることができる。本開示の化合物は、インビトロと生体内の多彩な文脈において、PD-1および/またはPD-L1のアゴニスト、アンタゴニスト、部分的アゴニスト、逆アゴニスト、阻害剤として用いることができる。いくつかの実施態様では、本開示の化合物は、PD-1/ PD-L1タンパク質-タンパク質相互作用の阻害剤として用いることができる。いくつかの実施態様では、本開示の化合物は、PD-L1の阻害剤として用いることができる。いくつかの実施態様では、本開示の化合物は、CD80/PD-L1タンパク質-タンパク質相互作用の阻害剤として用いることができる。いくつかの実施態様では、本開示の化合物は、インビトロまたは生体内で、PD-1と PD-L1の間の相互作用、および/またはPD-1とCD80の間の相互作用、および/またはPD-1とPD-L2の間の相互作用を抑制するのに用いることができる。いくつかの実施態様では、本開示の化合物は、VISTAおよび/またはTIM-3の抑制に用いることができる。いくつかの実施態様では、本開示の化合物は、PD-1/PD-L1タンパク質-タンパク質相互作用の阻害剤と、VISTAおよび/またはTIM-3の阻害剤になることができる。いくつかの実施態様では、本開示の化合物は、PD-1/PD-L1タンパク質-タンパク質相互作用の阻害剤になることに加え、CTLA-4および/またはBTLAおよび/またはLAG-3および/またはKLRG-1および/または2B4および/またはCD160および/またはHVEMおよび/またはCD48および/またはE-カドヘリンおよび/またはMHC-IIおよび/またはガレクチン-9 および/またはCD86および/またはPD-L2および/またはVISTAおよび/またはTIM-3 および/またはCD80の阻害剤になることができる。
【0087】
本開示の化合物は、その化合物が相互作用する受容体と、水溶液の中で、リガンドがその受容体に結合するのに適していない条件下にて接触させることができる。受容体は、懸濁液(例えば単離された膜、または細胞調製物)の中、または培養されるか単離された細胞の中、または組織や臓器の中に存在しているものが可能である。
【0088】
受容体と接触させる本開示の化合物の量は、例えばELISAを利用して測定するとき、インビトロでPD-1/PD-L1結合を抑制するのに十分であることが好ましい。受容体は、溶液または懸濁液の中、または培養されるか単離された細胞調製物の中、または患者の体内に存在しているものが可能である。
【0089】
いくつかの実施態様では、本開示の化合物は、T細胞の活性化を回復させて増大させるのに有用である。いくつかの実施態様では、本開示の化合物は、患者で免疫応答を増強するのに有用である。いくつかの実施態様では、本開示の化合物は、さまざまな治療分野における疾患または障害(例えばがん、感染性疾患)の進行を処置したり、予防したり、遅延させたりするのに有用である。
【0090】
いくつかの実施態様では、PD-1/PD-L1タンパク質-タンパク質相互作用の調節に応答する病気を患っている患者の処置に本開示の化合物を用いることができる。
【0091】
いくつかの実施態様では、対象におけるPD-1シグナル伝達経路によって媒介される免疫応答を調節する方法であって、対象に、式(I)、(Ia)、(II)、(IIa)いずれかの化合物またはその医薬として許容可能な塩を含有する本開示の化合物を治療に有効な量投与するか、式(I)、(Ia)、(II)、(IIa)いずれかの化合物またはその医薬として許容可能な塩を含有する本開示の化合物を含む組成物を治療に有効な量投与することを含む方法が提供される。
【0092】
いくつかの実施態様では、免疫応答を増強する、および/または刺激する、および/または調節する、および/または増大させることを必要とする対象における、免疫応答を増強する、および/または刺激する、および/または調節する、および/または増大させるための方法であって、対象に、式(I)、(Ia)、(II)、(IIa)いずれかの化合物またはその医薬として許容可能な塩を含有する本開示の化合物を治療に有効な量投与するか、式(I)、(Ia)、(II)、(IIa)いずれかの化合物またはその医薬として許容可能な塩を含有する本開示の化合物を含む組成物を治療に有効な量投与することを含む方法が提供される。
【0093】
いくつかの実施態様では、がん細胞の成長、または増殖、または転移を抑制することを必要とする対象における、がん細胞の成長、または増殖、または転移を抑制するための方法であって、対象に、式(I)、(Ia)、(II)、(IIa)いずれかの化合物またはその医薬として許容可能な塩を含有する本開示の化合物を治療に有効な量投与するか、式(I)、(Ia)、(II)、(IIa)いずれかの化合物またはその医薬として許容可能な塩を含有する本開示の化合物を含む組成物を治療に有効な量投与することを含む方法が提供される。
【0094】
いくつかの実施態様では、処置を必要とする対象において処置するための方法であって、対象に、式(I)、(Ia)、(II)、(IIa)いずれかの化合物またはその医薬として許容可能な塩を含有する本開示の化合物を治療に有効な量投与するか、式(I)、(Ia)、(II)、(IIa)いずれかの化合物またはその医薬として許容可能な塩を含有する本開示の化合物を含む組成物を治療に有効な量投与することを含む方法が提供される。
【0095】
いくつかの実施態様では、対象は、疾患または障害を患っており、その疾患または障害の選択は、感染性疾患、細菌感染疾患、ウイルス感染疾患、真菌感染疾患、固形腫瘍、血液系悪性腫瘍、免疫障害、炎症性疾患、がんからなされる。いくつかの実施態様では、疾患または障害の選択は、黒色腫、神経膠芽腫、食道腫瘍、鼻咽頭癌、ブドウ膜黒色腫、リンパ腫、リンパ性リンパ腫、原発CNSリンパ腫、T細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、原発縦隔大細胞型B細胞リンパ腫、前立腺がん、去勢抵抗性前立腺がん、慢性骨髄性白血病、カポジ肉腫、線維肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫、血管肉腫、リンパ管肉腫、滑膜腫、髄膜腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、軟組織の肉腫、肉腫、敗血症、胆管腫瘍、基底細胞癌、胸腺腫瘍、甲状腺のがん、副甲状腺のがん、子宮がん、副腎のがん、肝臓感染症、メルケル細胞癌、神経腫瘍、濾胞中心リンパ腫、大腸がん、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、白血病、慢性または急性の白血病(急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ性白血病を含む)、多発性骨髄腫、卵巣腫瘍、骨髄異形成症候群、皮膚または眼内の悪性黒色腫、腎細胞癌、小細胞肺がん、肺がん、中皮腫、乳がん、扁平上皮非小細胞肺がん(SCLC)、非扁平上皮NSCLC、直結腸がん、卵巣がん、胃がん、肝細胞癌、膵臓癌、膵臓がん、膵管腺癌、頭頸部扁平上皮癌、頭部または首のがん、胃腸管がん、胃がん、HIV、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、D型肝炎、ヘルペスウイルス、パピローマウイルス、インフルエンザ、骨がん、皮膚がん、直腸がん、肛門領域のがん、精巣がん、卵管の癌、子宮内膜の癌、子宮頸の癌、膣の癌、陰門の癌、食道のがん、小腸のがん、内分泌系のがん、尿道のがん、陰茎のがん、膀胱のがん、腎臓のがん、尿管のがん、腎盂の癌、中枢神経系の腫瘍 (CNS)、腫瘍血管新生、脊髄腫瘍、脳幹グリオーマ、下垂体腺腫、扁平上皮がん、石綿肺症、癌腫、腺癌、乳頭癌、嚢胞腺癌、気管支癌、腎細胞癌、移行細胞癌、絨毛癌、精上皮腫、胎児性癌、ウィルムス腫瘍、多形線腫、肝細胞パピローマ、尿細管線腫、嚢胞腺腫、乳頭腫、腺腫、平滑筋腫、横紋筋腫、血管腫、リンパ管腫、骨腫、軟骨腫、脂肪腫、線維腫からなる群からなされる。
【0096】
いくつかの実施態様では、1つ以上の追加治療剤の治療に有効な量をさらに対象に投与する。いくつかの実施態様では、その1つ以上の追加治療剤の選択は、抗微生物剤、抗ウイルス剤、細胞毒性剤、遺伝子発現調節剤、化学療法剤、抗がん剤、抗血管新生剤、免疫療法剤、抗ホルモン剤、抗線維化剤、放射線療法、放射線療法剤、抗腫瘍剤、抗増殖剤からなる群からなされる。いくつかの実施態様では、その1つ以上の追加治療剤の選択は、CCX354、CCX9588、CCX140、CCX872、CCX598、CCX6239、CCX9664、CCX2553、CCX2991、CCX282、CCX025、CCX507、CCX430、CCX765、CCX224、CCX662、CCX650、CCX832、CCX168、CCX168-M1のうちの1つ以上からなる群からなされる。
【0097】
いくつかの実施態様では、本開示の化合物を用いて感染性疾患を抑制することができる。感染性疾患の非限定的な例に含まれるのは、HIV感染症、インフルエンザ感染症、ヘルペス感染症、ジアルジア症、マラリア感染症、リーシュマニア症;ウイルスである肝炎ウイルス(A、B、C)、ヘルペスウイルス(例えばVZV、HSV-I、HAV-6、HSV-II、CMV、エプスタイン・バールウイルス)、アデノウイルス、インフルエンザウイルス、フラビウイルス、エコーウイルス、ライノウイルス、コクサッキーウイルス、コロナウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、ムンプスウイルス、ロタウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、パルボウイルス、ワクシニアウイルス、HTLVウイルス、デングウイルス、パピローマウイルス、伝染性軟属腫ウイルス、ポリオウイルス、狂犬病ウイルス、JCウイルス、 アルボウイルス脳炎ウイルスによる病原性感染症;細菌であるクラミジア菌、リケッチア菌、マイコバクテリア菌、ブドウ球菌、連鎖球菌、肺炎球菌、髄膜炎菌、淋菌、クレブシエラ、プロテウス、セラチア、シュードモナス、大腸菌、レジオネラ、ジフテリア、サルモネラ、桿菌、コレラ、破傷風、ボツリヌス、炭疽菌、ペスト菌、レプトスピラ、ライム病の細菌よる病原性感染症;真菌であるカンジダ(アルビカンス、クルセイ、グラブラタ、トロピカリスなど)、クリプトコッカス・ネオフォルマンス、アスペルギルス(フミガタス、ニガーなど)、ケカビ属(ケカビ、ユミケカビ、クモノスカビ)、スポロトリックス・シェンキー、ブラストミセス・デルマトチチジス、パラコクシジオイデス・ブラジリエンシス、コクシジオイデス・イミティス、ヒストプラズマ・カプスレータムによる病原性感染症;寄生虫である赤痢アメーバ、大腸バランチジウム、ネグレリアフォーレリ、アカントアメーバ属の種、ジアルジア・ランブリア、クリプトスポリジウム属の種、ニューモシスチス・カリニ、三日熱マラリア原虫、バベシア・ミクロチ、トリパノソーマ・ブルセイ、トリパノソーマ・クルジ、リーシュマニア・ドノバニ、トキソプラズマ・ゴンディ、ニッポストロンギルス・ブラジリエンシスよる病原性感染症である。
【0098】
いくつかの実施態様では、本開示の化合物を用いてHIV感染症を抑制すること、エイズの進行を遅延させること、HIVウイルスリザーバを激減させること、症状、HIV感染症、エイズの重症度を低減させることができる。
【0099】
本開示の化合物を用いて対象のがんと前がん状態を処置することができる。
【0100】
本明細書に提示する処置法には、一般に、本明細書に提示した1種類以上の化合物の有効量を患者に投与することが含まれる。適切な患者に含まれるのは、本明細書に記載した障害または疾患を患っている患者、またはその障害または疾患になりやすい(すなわち予防的処置に適した)患者である。本明細書に記載したような処置のための典型的な患者に含まれるのは、哺乳動物、特に霊長類、その中でも特にヒトである。他の適切な患者には、飼いならしてコンパニオンアニマルになった(例えばイヌ、ネコ、ウマなど)、家畜(例えばウシ、ブタ、ヒツジなど)が含まれる。
【0101】
一般に、本明細書に提示する処置法は、本明細書に提示した1つ以上の化合物の有効量を患者に投与することを含んでいる。好ましい一実施態様では、本開示の化合物を患者(例えばヒト)の静脈内に、または患者に経口で、または患者の局所に投与することが好ましい。有効量として、PD-1/PD-L1相互作用を調節するのに十分な量、および/または患者が示す症状を減らすか緩和するのに十分な量が可能である。投与する量は、化合物(その化合物がプロドラッグの場合には、その活性な代謝産物)の血漿濃度が、PD-1/PD-L1相互作用を変化させるのに十分なほど大きくなる量が好ましい。処置計画は、用いる化合物と、処置する個々の病気によって異なる可能性があるが、大半の障害の処置では、1日に4回以下という投与頻度が好ましい。一般に、1日に2回という投与計画がより好ましく、1日に1回の投与が特に好ましい。しかし個々の患者のための具体的な用量レベルと処置計画は、多彩な因子(使用する具体的な化合物の活性、年齢、体重、一般的な健康状態、性別、食事、投与時刻、投与経路、排泄率、薬の組み合わせ(すなわち患者に投与している他の薬)、治療を受けている具体的な疾患の重症度が含まれる)と、処方する医療従事者の判断に依存することが理解されよう。一般に、有効な処置を提供するのに十分な最少用量を用いることが好ましい。一般に、処置している病気、または予防しようとする病気に適した医学的基準または獣医学的基準を用いて患者で治療の有効性をモニタすることができる。
組み合わせ
【0102】
本開示の化合物と他の薬を含む併用薬を、両方の成分が単一の製剤の中に含まれている組み合わせ調製物として投与すること、または別々の製剤として投与することができる。別々の製剤による投与には、同時投与と、いくらか時間間隔を空けた投与が含まれる。いくらか時間間隔を空けた投与の場合には、本開示の化合物を最初に投与した後、別の薬を投与するか、別の薬を最初に投与した後、本開示の化合物を投与することができる。それぞれの薬の投与法は同じでも異なっていてもよい。
【0103】
他の薬の用量は、臨床でこれまで使用してきた用量に基づいて適切に選択することができる。本開示の化合物と他の薬の構成比は、投与する対象の年齢と体重、投与法、投与時間、治療する障害、症状や、これらの組み合わせに応じて適切に選択することができる。例えば他の薬は、本開示の化合物の1質量部を基準にして0.01~100質量部の量で用いることができる。他の薬は、適切な割合の2種類以上の任意の薬の組み合わせにすることができる。
【0104】
本明細書に記載の化合物は、抗微生物剤、抗ウイルス剤、細胞毒性剤、遺伝子発現調節剤、化学療法剤、抗がん剤、抗血管新生剤、免疫療法剤、抗ホルモン剤、抗線維化剤、放射線療法、放射線療法剤、抗腫瘍剤、抗増殖剤などの1種類以上の治療剤と組み合わせて用いることができる。これら治療剤は、化合物、抗体、ポリペプチド、ポリヌクレオチドの形態にすることができる。
【0105】
本明細書に記載の化合物は、治療用抗体、二重特異性抗体と「抗体様」治療用タンパク質(例えばDART(登録商標)、Duobodies(登録商標)、Bites(登録商標)、XmAb(登録商標)、 TandAb(登録商標)、Fab誘導体)、抗体-薬物複合体(ADC)、ウイルス、腫瘍溶解ウイルス、遺伝子改変剤や遺伝子編集剤(例えばCRISPR(CRISPR Cas9を含む)、ジンクフィンガーヌクレアーゼまたは合成ヌクレアーゼ(TALEN)、CAR(キメラ抗原受容体)T細胞免疫療法剤のうちの1つ以上、またはこれらの任意の組み合わせとともに用いたり組み合わせたりすることができる。
【0106】
化学療法剤の例に含まれるのは、アルキル化剤、ニトロソウレア剤、抗代謝剤、抗がん抗生物質、植物由来のアルカロイド、トポイソメラーゼ阻害剤、ホルモン薬、ホルモンアンタゴニスト、アロマターゼ阻害剤、P-糖タンパク質阻害剤、白金錯体誘導体、他の免疫療法薬、他の抗がん薬である。
【0107】
本明細書に記載の化合物は、がん治療補助薬(例えば白血球減少症(好中球減少症)治療薬、血小板減少症治療薬、制吐薬、がん疼痛介入薬)と組み合わせて併用したり、混合物の形態にして用いたりすることができる。
【0108】
本明細書に記載の化合物は、キナーゼ阻害剤とともに使用すること、またはキナーゼ阻害剤と組み合わせることができる。
【0109】
一実施態様では、本開示の化合物は、他の免疫調節剤および/または増強剤と併用すること、または混合物の形態にして用いることができる。免疫調節剤の例に含まれるのは、さまざまなサイトカイン、ワクチン、アジュバントである。免疫応答を刺激するこれらサイトカイン、ワクチン、アジュバントの非限定的な例に含まれるのは、GM-CSF、M-CSF、G-CSF、インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγ、IL-1、IL-2、IL-3、IL-12、ポリ(I:C)、CPGである。増強剤に含まれるのは、シクロホスファミド、シクロホスファミドの類似体、抗TGF、イマチニブ(グリベック)、有糸分裂阻害剤(例えばパクリタキセル、スニチニブ(スーテント)、他の抗血管新生剤)、アロマターゼ阻害剤(例えばレトロゾール)、A2aアデノシン受容体(A2AR)アンタゴニスト、血管新生阻害剤、アントラサイクリン、オキサリプラチン、ドキソルビシン、TLR4アンタゴニスト、IL-18アンタゴニストである。
【0110】
いくつかの実施態様では、本明細書に記載の化合物は、CCR1、CCR2、CCR3、CCR4、CCR5、CCR6、CCR7、CCR8、CCR9、CCR10、CCR11、CXCR1、CXCR2、CXCR3、CXCR4、CXCR5、CXCR6、CXCR7、CX3CR1, ChemR23、C5aR、C5a、C5のうちの1つ以上の調節剤とともに用いたり、組み合わせたりすることができる。いくつかの実施態様では、調節剤はアンタゴニストである。
【0111】
いくつかの実施態様では、本明細書に記載の化合物は、CCX354、CCX9588、CCX140、CCX872、CCX598、CCX6239、CCX9664、CCX2553、CCX 2991、CCX282、CCX025、CCX507、CCX430、CCX765、CCX224、CCX662、CCX650、CCX832、CCX168、CCX168-M1のうちの1つ以上の調節剤とともに用いたり、組み合わせたりすることができる。
用量
【0112】
1日当たり体重1 kgにつき約0.1 mg~約140 mgのオーダーの用量レベルが、PD-1/PD-L1相互作用が関与する病気の処置または予防に有用である(1日にヒト患者1人当たり約0.5 mg~約7 g)。単回用剤形を製造するために基剤材料と組み合わせることのできる活性成分の量は、処置する宿主と具体的な投与様式によって異なるであろう。単位剤形は、一般に、約1 mg~約500 mgの活性成分を含むことになる。経口投与、経皮投与、静脈内投与、皮下投与する化合物に関しては、血清濃度を5 ng(ナノグラム)/ml~10μg(マイクログラム)/mlにするのに十分な量、より好ましくは血清濃度を20 ng/ml~1μg/mlにするのに十分な量、最も好ましくは血清濃度を50 ng/ml~200 ng/mlにするのに十分な量を投与することが好ましい。(関節炎を処置するため)滑膜に直接注入するには、局所濃度を約1マイクロモルにするのに十分な化合物を投与すべきである。
【0113】
投与の頻度は、使用する化合物と処置する具体的な疾患によっても異なる可能性がある。しかし大半の障害の処置では、1日に4回、または1日に3回、またはそれよりも少ない回数という投与計画が好ましく、1日に1回、または1日に2回という投与計画が特に好ましい。しかし特定の患者に関する具体的な用量レベルと投与頻度は変化してもよく、多彩な因子(用いる具体的な化合物の活性、代謝安定性、その化合物の作用期間、年齢、体重、遺伝的性質、全体的な健康状態、性別、食事、投与様式と投与時刻、排泄率、薬の組み合わせ(すなわち患者に投与される他の薬)、治療を受けている具体的な病気の重症度、他の因子(処方する医療者の判断など))に依存することがわかるであろう。
【0114】
本開示の別の1つの側面では、本開示の化合物をインビトロと生体内で医薬以外の多彩な用途に用いることができる。本開示の化合物は、PD-1/PD-L1相互作用活性のアッセイにおいて陽性対照として、すなわちPD-1および/またはPD-L1に結合する候補薬の能力を明らかにするための基準として用いることや、陽電子放出断層撮影(PET)または単一光子放出断層撮影(SPECT)のための放射性トレーサとして用いることもできる。
【0115】
本開示の範囲には、本開示の化合物またはその医薬として許容可能な塩と、利用のための手引を含むキットも含まれる。このキットはさらに、少なくとも1つの追加薬剤を含むことができる。キットは、典型的には、そのキットの内容の想定される利用法を示すラベルを含んでいる。ラベルという用語には、そのキットの表面に提供されるか、そのキットに付随して提供されるか、そのキットに別のやり方で添付されるあらゆる記述、または記録された材料が含まれる。
【0116】
一般的な合成手続き
実施態様は、主題である化合物またはその医薬として許容可能な塩を調製する上で有用な方法と中間体にも向けられている。
【0117】
実施態様の方法において有用な化合物の例を、本明細書の一般的な調製法に関する説明用の合成スキームとその後の具体的な実施例を参照してこれから説明する。当業者は、本明細書のさまざまな化合物を得るため、出発材料を適切に選択することで、必要に応じて保護ありまたは保護なしで適切な反応スキームを通じて最終的に望ましい置換基を導入し、望む生成物を製造できることがわかるであろう。あるいは最終的に望ましい置換基の代わりに、反応スキームを通じて導入され、必要に応じて望む置換基で置き換えられる適切な基を用いることが必要である可能性、または望ましい可能性がある。さらに、当業者は、下記のスキームに示した変換を、具体的なペンダント基の機能に合った任意の順番で実施できることがわかるであろう。
【0118】
本開示の化合物の代表的な合成法を下記のスキームとその後に続く具体的な実施例において説明する。スキーム1と2は、本開示のさらなる実施態様として提示してあり、式(I)、(Ia)、(II)、(IIa)いずれかの化合物を含む本開示の化合物の調製に利用した一般的な方法と、式(I)、(Ia)、(II)、(IIa)いずれかを持つ追加の化合物の調製に利用できる一般的な方法を示している。この方法は、多彩な機能に適合している。
【化25】
【0119】
3-ブロモベンジルアルコールを鈴木カップリング条件にすると適切なR
1基を導入することができる。続く工程で試薬(トリフェニルホスフィンと、アゾジカルボン酸ジイソプロピルまたはアゾジカルボン酸ジエチル)を用いてエーテル結合を形成することができる。フェノール中間体のアルキル化は、適切なハロゲン化アルキルまたはメシレート試薬を用いて実現することができる。カルボン酸メチルエステルの加水分解は塩基(水酸化リチウムなど)を用いて実現することができる。還元性アミノ化は、適切なアミンと還元剤(ホウ水素化トリアセトキシなど)を弱酸(酢酸など)の存在下で用いて実現することができる。Boc脱保護はHClを用いて実現することができる。マクロラクタムの形成は、EDACとHOBtを希釈反応条件下で用いて実現することができる。そしてカルボン酸メチルエステルの加水分解は、塩基(水酸化リチウムなど)を用いて実現することができる。スキーム1に示した変換は、具体的なペンダント基の機能に合った任意の順番で実施することができる。
【化26】
【0120】
4-ブロモインダノール誘導体を鈴木カップリング条件にすると適切なR
1基を導入することができる。続く工程で試薬(トリフェニルホスフィンと、アゾジカルボン酸ジイソプロピルまたはアゾジカルボン酸ジエチル)を用いてエーテル結合を形成することができる。フェノール中間体のアルキル化は、適切なハロゲン化アルキルまたはメシレート試薬を用いて実現することができる。カルボン酸メチルエステルの加水分解は塩基(水酸化リチウムなど)を用いて実現することができる。還元性アミノ化は、適切なアミンと還元剤(ホウ水素化トリアセトキシなど)を弱酸(酢酸など)の存在下で用いて実現することができる。Boc脱保護はHClを用いて実現することができる。マクロラクタムの形成は、EDACとHOBtを希釈反応条件下で用いて実現することができる。そしてカルボン酸メチルエステルの加水分解は、塩基(水酸化リチウムなど)を用いて実現することができる。スキーム2に示した変換は、具体的なペンダント基の機能に合った任意の順番で実施することができ、光学的に純粋な(R)-4-ブロモインダノールまたは(S)-4-ブロモインダノールを使用する。
【化27】
【0121】
一例として、スキーム3に記載したようにしてキラル中間体の光学純度を大きくすることができる。
【実施例】
【0122】
以下の実施例は、式(I)、(Ia)、(II)、(IIa)いずれかの化合物を含む本開示の化合物を製造するさまざまな方法を示している。以下の実施例は説明のために提供しているのであり、請求項の開示を制限するためではない。
【0123】
以下で使用する試薬と溶媒は、市場の供給元(例えばAldrich Chemical Co.社(ミルウォーキー、ウィスコンシン州、アメリカ合衆国))から入手することができる。1H-NMRスペクトルは、Varian Mercury 400 MHz NMR分光器で記録した。TMSと比べて顕著なピークを、多重度(s、一重線;d、二重線;t、三重線;q、四重線;m、多重線)とプロトンの数の順番で表に示してある。質量分析の結果は、質量/電荷の比として記載してある。実施例では、1つだけ記載したm/z値は、最も一般的な原子同位体を含有するM+H(または、記載してあるようにM-H)イオンについての値である。同位体のパターンは、すべてのケースで、予想される式に対応する。エレクトロスプレーイオン化(ESI)質量分析は、サンプル供給用のHP1100 HPLCを用いてHewlett-Packard MSDエレクトロスプレー質量分析器で実施した。通常は、分析物をメタノールまたはCH3CNに0.1 mg/mlの濃度で溶かし、1マイクロリットルを送達用溶媒とともに質量分析器の中に流入させる。すると質量分析器が100ダルトンから1000ダルトンまで走査する。送達用溶媒としてアセトニトリル/1%ギ酸を含む水を用い、すべての化合物をポジティブESIモードまたはネガティブESIモードで分析することができた。
【0124】
実施例と本開示の説明全体を通じて以下の略号を使用する:TLCは薄層クロマトグラフィを意味する;DMFはジメチルホルムアミドを意味する;EDACはN-(3-ジメチルアミノプロピル)-N'-エチルカルボジイミドヒドロクロリドを意味する;DIPEAはN,N-ジイソプロピルエチルアミンを意味する;HOBTは1-ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物を意味する;DCMはジクロロメタンを意味する;THFはテトラヒドロフランを意味する;PBSはリン酸塩緩衝化生理食塩水を意味する;BSAはウシ血清アルブミンを意味する;HRPはセイヨウワサビのペルオキシダーゼを意味する;TMBは3,3',5,5'-テトラメチルベンジジンを意味する。
【0125】
本開示の範囲に含まれる化合物は、当業者に知られている多彩な反応を利用して下記のようにして合成することができる。当業者は、本開示の標的化合物を合成するのに別の方法を利用できることと、本明細書に記載したアプローチはすべてを網羅しているのではなく、興味ある化合物への広く適用可能で実際的な経路を提供していることもわかるであろう。
【0126】
本出願に開示したいくつかの分子は、異なる鏡像異性体およびジアステレオマーの形態で存在することができ、特定の鏡像異性体を指定する場合を除き、これら化合物のそのようなバリアントのすべてについて権利を請求する。
【0127】
本明細書の中でカギとなる化合物の合成に用いる実験手続きの詳細な説明により、同定するための物理的データとそれに付随する構造の図によって記述される分子に至る。
【0128】
当業者は、有機化学の標準的なワークアップ手続きの間に酸と塩基が頻繁に用いられることも認識しているであろう。親化合物が、必要な固有の酸性または塩基性を有する場合には、本特許出願に記載した実験手続きの間に親化合物の塩がときに生成する。
【0129】
実施例1:(S)-4
4-クロロ-5
4-((2-メチル-[1,1'-ビフェニル]-3-イル)メトキシ)-13-オキソ-3-オキサ-6,12-ジアザ-1(3,5)-ピリジナ-4(1,2)-ベンゼンアシクロトリデカファン-7-カルボン酸のリチウム塩の合成
【化28】
工程a:100 mlの丸底フラスコに5-クロロ-2-ヒドロキシ-4-((2-メチル-[1,1'-ビフェニル]-3-イル)メトキシベンズアルデヒド(1.0 g、2.8ミリモル)と、5-(クロロメチル)ニコチン酸メチル塩酸塩(0.82 g、3.7ミリモル)と、炭酸セシウム(4.6 g、14.5ミリモル)と、ヨウ化ナトリウム(42 mg、0.28ミリモル)と、DMF(20 ml)を添加した。この混合物を室温で2日間撹拌した。水(50 ml)を添加した後、この水性混合物をEtOAc(3×50 ml)で抽出した。有機層を1つにまとめ、MgSO
4上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮すると、5-((4-クロロ-2-ホルミル-5-((2-メチル-[1,1'-ビフェニル]-3-イル)メトキシ)フェノキシ)メチル)ニコチン酸メチルが得られた。
【0130】
工程b:5-((4-クロロ-2-ホルミル-5-((2-メチル-[1,1'-ビフェニル]-3-イル)メトキシ)フェノキシ)メチル)ニコチン酸メチル(470 mg、0.93ミリモル)をジオキサン(5.0 ml)と水(0.5 ml)に溶かした二相溶液に水酸化リチウム一水和物(40 mg、0.93ミリモル)を添加した。この混合物を室温で2時間撹拌した後、真空中で濃縮すると、5-((4-クロロ-2-ホルミル-5-((2-メチル[1,1'-ビフェニル]-3-イル)メトキシ)フェノキシ)メチル)ニコチン酸が得られた。
【0131】
工程c:5-((4-クロロ-2-ホルミル-5-((2-メチル[1,1'-ビフェニル]-3-イル)メトキシ)フェノキシ)メチル)ニコチン酸(230 mg、0.47ミリモル)とN'-Fmoc-L-リシンメチルエステルヒドロクロリド(0.97 g、2.33ミリモル)をDMF(6 ml)に溶かした溶液に酢酸(133μl、2.33ミリモル)とN,N-ジイソプロピルエチルアミン(283μl、1.63ミリモル)を添加した。この混合物を室温で15分間撹拌した後、トリアセトキシホウ水素化ナトリウム(300 mg、1.40ミリモル)を少量ずつ5分間かけて添加した。1時間撹拌した後、追加量のトリアセトキシホウ水素化ナトリウム(230 mg、1.08ミリモル)を一度に添加した。この反応混合物を室温でさらに4時間撹拌した後、この混合物を真空中で濃縮し、フラッシュクロマトグラフィ(10%MeOH/DCM)によって精製すると、(S)-5-((2-(((6-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-1-メトキシ-1-オキソヘキサン-2-イル)アミノ)メチル)-4-クロロ-5-((2-メチル-[1,1'-ビフェニル]-3-イル)メトキシ)フェノキシ)メチル)ニコチン酸が得られた。
【0132】
工程d:(S)-5-((2-(((6-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-1-メトキシ-1-オキソヘキサン-2-イル)アミノ)メチル)-4-クロロ-5-((2-メチル-[1,1'-ビフェニル]-3-イル)メトキシ)フェノキシ)メチル)ニコチン酸(46 mg、0.054ミリモル)をDMF(0.45 ml)に溶かした溶液にピペリジン(50μl)を添加した。この混合物を室温で15分間撹拌した後、真空中で濃縮すると、(S)-5-((2-(((6-アミノ-1-メトキシ-1-オキソヘキサン-2-イル)アミノ)メチル)-4-クロロ-5-((2-メチル-[1,1'-ビフェニル]-3-イル)メトキシ)フェノキシ)メチル)ニコチン酸が得られた。
【0133】
工程e:(S)-5-((2-(((6-アミノ-1-メトキシ-1-オキソヘキサン-2-イル)アミノ)メチル)-4-クロロ-5-((2-メチル-[1,1'-ビフェニル]-3-イル)メトキシ)フェノキシ)メチル)ニコチン酸(34 mg、0.054ミリモル)をDMF(5.4 ml)に溶かした溶液にN-(3-ジメチルアミノプロピル)-N'-エチルカルボジイミドヒドロクロリド(41 mg、0.22ミリモル)と、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(17 mg、0.11ミリモル)と、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(94μl、0.54ミリモル)を添加した。この混合物を36時間撹拌した後、真空中で濃縮した。粗固形物をアセトニトリルに再懸濁させ、濾過し、アセトニトリルで洗浄すると、(S)-44-クロロ-45-((2-メチル-[1,1'-ビフェニル]-3-イル)メトキシ)-13-オキソ-3-オキサ-6,12-ジアザ-1(3,5)-ピリジナ-4(1,2)-ベンゼンアシクロトリデカファン-7-カルボン酸メチルが得られた。
【0134】
工程f:(S)-44-クロロ-45-((2-メチル-[1,1'-ビフェニル]-3-イル)メトキシ)-13-オキソ-3-オキサ-6,12-ジアザ-1(3,5)-ピリジナ-4(1,2)-ベンゼンアシクロトリデカファン-7-カルボン酸メチル(13 mg、0.021ミリモル)をジオキサン(1 ml)と水(0.5 ml)に溶かした二相溶液に水酸化リチウム一水和物(4 mg、0.064ミリモル)を添加した。この反応混合物を室温で5時間撹拌した後、凍らせ、凍結乾燥させると、(S)-44-クロロ-54-((2-メチル-[1,1'-ビフェニル]-3-イル)メトキシ)-13-オキソ-3-オキサ-6,12-ジアザ-1(3,5)-ピリジナ-4(1,2)-ベンゼンアシクロトリデカファン-7-カルボン酸のリチウム塩が得られた。MS:C34H34ClN3O5 [M+H]+に関する (ES) m/zの計算値600.2、実測値600.1。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.63 (br s, 1H)、8.81 (s, 1H)、8.79 (d, J = 2.0 Hz, 1H)、8.74 (s, 1H)、7.50~7.46 (m, 2H)、7.45 (d, J = 7.6 Hz, 1H)、7.41~7.35 (m, 1H)、7.35~7.30 (m, 2H)、7.26 (d, J = 5.8 Hz, 2H)、7.20 (d, J = 7.5 Hz, 1H)、7.08 (s, 1H)、5.43 (q, J = 13.7 Hz, 2H)、5.22 (s, 2H)、3.63~3.56 (m, 1H)、3.51~3.44 (m, 1H)、2.71~2.61 (m, 1H)、2.23 (s, 3H)、2.00~1.89 (m, 1H)、1.60~1.49 (m, 3H)、1.49~1.35 (m, 4H)。
【0135】
実施例2:(S)-4
4-クロロ-4
5-((3'-(3-(4-ヒドロキシピペリジン-1-イル)プロポキシ)-2,2'-ジメチル-[1,1'-ビフェニル]-3-イル)メトキシ)-13-オキソ-3-オキサ-6,12-ジアザ-1(3,5)-ピリジナ-4(1,2)-ベンゼンアシクロトリデカファン-7-カルボン酸のトリフルオロ酢酸塩の合成
【化29-1】
【化29-2】
工程a:5-クロロ-4-((3'-(3-クロロプロポキシ)-2,2'-ジメチル-[1,1'-ビフェニル]-3-イルメトキシ)-2-ヒドロキシベンズアルデヒド(100 mg、0.218ミリモル)と、5-(クロロメチル)ニコチン酸メチル塩酸塩(48 g、0.218ミリモル)と、炭酸セシウム(214 g、0.655ミリモル)の混合物を含むDMF(1 ml)を70℃で2時間撹拌した。水(10 ml)を添加した後、この水性混合物をEtOAc(3×20 ml)で抽出した。有機層を1つにまとめ、MgSO
4上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮すると、5-((4-クロロ-5-((3'-(3-クロロプロポキシ)-2,2'-ジメチル-[1,1'-ビフェニルl]-3-イル)メトキシ)-2-ホルミルフェノキシ)メチル)ニコチン酸メチルが得られた。
【0136】
工程b:5-((4-クロロ-5-((3'-(3-クロロプロポキシ)-2,2'-ジメチル-[1,1'-ビフェニルl]-3-イル)メトキシ)-2-ホルミルフェノキシ)メチル)ニコチン酸メチル(110 mg、0.181ミリモル)をTHF(2 ml)と水(0.228 ml)に溶かした二相溶液に1 Mの水酸化リチウム一水和物水溶液(0.272 ml、0.272ミリモル)を添加した。この混合物を室温で1時間撹拌した後、真空中で濃縮すると、5-((4-クロロ-5-((3'-(3-クロロプロポキシ)-2,2'-ジメチル-[1,1'-ビフェニル]-3-イル)メトキシ)-2-ホルミルフェノキシ)メチル)ニコチン酸メチルリチウム塩が得られた。
【0137】
工程c:5-((4-クロロ-5-((3'-(3-クロロプロポキシ)-2,2'-ジメチル-[1,1'-ビフェニル]-3-イル)メトキシ)-2-ホルミルフェノキシ)メチル)ニコチン酸メチルリチウム塩(110 mg、0.185ミリモル)とN6-(t-ブトキシカルボニル)- L-リシン酸メチルヒドロクロリド(55 mg、0.185ミリモル)をDMF(2 ml)に溶かした溶液に酢酸(60μl、0.925ミリモル)と、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(50μl、0.277ミリモル)と、トリアセトキシホウ水素化ナトリウム(78 mg、0.37ミリモル)を添加した。室温で5時間撹拌した後、追加のトリアセトキシホウ水素化ナトリウム(100 mg、0.47ミリモル)と酢酸(50μl、0.83ミリモル)を添加し、この反応物を室温で一晩撹拌した。この反応混合物を2:1 CHCl3/イソプロパノール(30 ml)で希釈し、1 N HCl水溶液(10 ml)と飽和NaHCO3水溶液(10 ml)で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、真空中で濃縮すると、(S)-5-((2-(((6-((t-ブトキシカルボニル)アミノ)-1-メトキシ-1-オキソヘキサン-2-イル)アミノ)メチル)-4-クロロ-5-((3'-(3-クロロプロポキシ)-2,2'-ジメチル-[1,1'-ビフェニル]-3-イル)メトキシ)フェノキシ)メチル)ニコチン酸が得られた。
【0138】
工程d:(S)-5-((2-(((6-((t-ブトキシカルボニル)アミノ)-1-メトキシ-1-オキソヘキサン-2-イル)アミノ)メチル)-4-クロロ-5-((3'-(3-クロロプロポキシ)-2,2'-ジメチル-[1,1'-ビフェニル]-3-イル)メトキシ)フェノキシ)メチル)ニコチン酸(162 mg、0.193ミリモル)をジオキサン(3 ml)に溶かした溶液に、1 N HClを含むジオキサン(1 ml)を添加した。この混合物を室温で2時間撹拌した後、真空中で濃縮すると、(S)-5-((2-(((6-アミノ-1-メトキシ-1-オキソヘキサン-2-イル)アミノ)メチル)-4-クロロ-5-((3'-(3-クロロプロポキシ)-2,2'-ジメチル-[1,1'-ビフェニル]-3-イル)メトキシ)フェノキシ)メチル)ニコチン酸ヒドロクロリドが得られた。
【0139】
工程e:(S)-5-((2-(((6-アミノ-1-メトキシ-1-オキソヘキサン-2-イル)アミノ)メチル)-4-クロロ-5-((3'-(3-クロロプロポキシ)-2,2'-ジメチル-[1,1'-ビフェニル]-3-イル)メトキシ) フェノキシ)メチル)ニコチン酸ヒドロクロリド(160 mg、0.189ミリモル)をDMF(20 ml)に溶かした溶液にN-(3-ジメチルアミノプロピル)-N'-エチルカルボジイミドヒドロクロリド(300 mg、1.562ミリモル)と、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(100 mg、0.65ミリモル)と、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(329μl、1.89ミリモル)を添加した。この混合物を室温で一晩撹拌した後、真空中で濃縮した。EtOAc(20 ml)を残留物に添加し、飽和NH4Cl水溶液(20 ml)で洗浄した。有機層を分離し、水(10 ml)とブライン(10 ml)で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、真空中で濃縮した。粗生成物を自動化フラッシュクロマトグラフィ(SiO2、10%MeOHを含むCH2Cl2)によって精製すると、(S)-44-クロロ-45-((3'-(3-クロロプロポキシ)-2,2'-ジメチル-[1,1'-ビフェニル]-3-イル)メトキシ)-13-オキソ-3-オキサ-6,12-ジアザ-1(3,5)-ピリジナ-4(1,2)-ベンゼンアシクロトリデカファン-7-カルボン酸メチルが得られた。
【0140】
工程f:(S)-44-クロロ-45-((3'-(3-クロロプロポキシ)-2,2'-ジメチル-[1,1'-ビフェニル]-3-イル) メトキシ)-13-オキソ-3-オキサ-6,12-ジアザ-1(3,5)-ピリジナ-4(1,2)-ベンゼンアシクロトリデカファン-7-カルボン酸メチル(150 mg、0.209ミリモル)をTHF(4 ml)と水(0.5 ml)に溶かした二相溶液に1 Mの水酸化リチウム水溶液(500μl、0.5ミリモル)を添加した。この反応混合物を室温で4時間撹拌した後、真空中で濃縮すると、(S)-44-クロロ-45-((3'-(3-クロロプロポキシ)-2,2'-ジメチル-[1,1'-ビフェニル]-3-イル)メトキシ)-13-オキソ-3-オキサ-6,12-ジアザ-1(3,5)-ピリジナ-4(1,2)-ベンゼンアシクロトリデカファン-7-カルボン酸リチウムが得られた。
【0141】
工程g:(S)-44-クロロ-45-((3'-(3-クロロプロポキシ)-2,2'-ジメチル-[1,1'-ビフェニル]-3-イル)メトキシ)-13-オキソ-3-オキサ-6,12-ジアザ-1(3,5)-ピリジナ-4(1,2)-ベンゼンアシクロトリデカファン-7-カルボン酸リチウム塩(130 mg、0.18ミリモル)をDMF(3 ml)に溶かした溶液にピペリジン-4-オール(183 mg、1.8ミリモル)と、K2CO3(124 mg、0.9ミリモル)と、NaI(54 mg、0.36ミリモル)を添加した。得られた懸濁液を80℃で一晩撹拌した。この反応混合物を濾過し、真空中で濃縮し、粗生成物を逆相分離用HPLC(CH3CN-0.1%TFAを含むH2O)によって精製すると、(S)-44-クロロ-45-((3'-(3-(4-ヒドロキシピペリジン-1-イル)プロポキシ)-2,2'-ジメチル-[1,1'-ビフェニル]-3-イル)メトキシ)-13-オキソ-3-オキサ-6,12-ジアザ-1(3,5)-ピリジナ-4(1,2)-ベンゼンアシクロトリデカファン-7-カルボン酸のトリフルオロ酢酸塩が得られた。MS:C43H52ClN4O7 [M+H]+に関する(ES) m/zの計算値771.3、実測値771.2。1H NMR (400 MHz,メタノール-d4) δ 8.85 (d, J = 2.1 Hz, 1H)、8.76~8.71 (m, 1H)、8.48 (s, 1H)、7.61 (s, 1H)、7.52 (d, J = 7.7 Hz, 1H)、7.24 (dt, J = 20.8, 7.9 Hz, 2H)、7.16~7.04 (m, 2H)、6.95 (d, J = 8.2 Hz, 1H)、6.73 (d, J = 7.6 Hz, 1H)、5.39 (d, J = 13.2 Hz, 4H)、4.62~4.54 (m, 1H)、4.24 (d, J = 12.3 Hz, 1H)、4.20~4.02 (m, 4H)、3.71~3.54 (m, 2H)、3.50~3.26 (m, 5H)、3.28~3.15 (m, 2H)、3.11~3.01 (m, 1H)、2.33~2.24 (m, 3H)、2.11 (s, 5H)、1.98~1.89 (m, 5H)、1.83~1.67 (m, 6H)、1.31 (t, J = 7.3 Hz, 2H)。
【0142】
実施例3:(S)-1
4-クロロ-4
5-シアノ-1
5-((3'-(3-((R)-3-ヒドロキシピロリジン-1-イル)プロポキシ)-2,2'-ジメチル-[1,1'-ビフェニル]-3-イル)メトキシ)-5-オキソ-2-オキサ-6,12-ジアザ-1(1,2),4(1,3)-ジベンゼ (S)-1
4-クロロ-4
5-シアノ-15-((3'-(3-((R)-3-ヒドロキシピロリジン-1-イル)プロポキシ)-2,2'-ジメチル-[1,1'-ビフェニル]-3-イル)メトキシ)-5-オキソ-2-オキサ-6,12-ジアザ-1(1,2),4(1,3)-ベンゼンアシクロトリデカファン-11-カルボン酸の合成
【化30-1】
【化30-2】
工程a:5-クロロ-4-((3'-(3-クロロプロポキシ)-2,2'-ジメチル-[1,1'-ビフェニル]-3-イル)メトキシ)-2-ヒドロキシベンズアルデヒド(1.0 g、2.18ミリモル)と、3-(ブロモメチル)-5-シアノ安息香酸メチル(0.63 g、2.50ミリモル)と、炭酸セシウム(1.77 g、2.50ミリモル)の混合物を含むDMF(7 ml)を100℃で1.5時間撹拌した。水(20 ml)を添加した後、この水性混合物をEtOAc(3×30 ml)で抽出した。1つにまとめた有機層をMgSO
4上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。粗材料をフラッシュクロマトグラフィ(SiO
2、20%EtOAcを含むヘキサンから100%EtOAcへ)によって精製すると、3-((4-クロロ-5-((3'-(3-クロロプロポキシ)-2,2'-ジメチル-[1,1'-ビフェニル]-3-イル) メトキシ)-2-ホルミルフェノキシ)メチル)-5-シアノ安息香酸メチルが得られた。
【0143】
工程b:3-((4-クロロ-5-((3'-(3-クロロプロポキシ)-2,2'-ジメチル-[1,1'-ビフェニル]-3-イル) メトキシ)-2-ホルミルフェノキシ)メチル)-5-シアノ安息香酸メチル(250 mg、0.40ミリモル)をジオキサン(6 ml)と水(1 ml)に溶かした二相溶液に水酸化リチウム一水和物(25 mg、0.60ミリモル)を添加した。この混合物を45℃まで加熱し、2.5時間撹拌した後、凍らせ、凍結乾燥させると、3-((4-クロロ-5-((3'-(3-クロロプロポキシ)-2,2'-ジメチル-[1,1'-ビフェニル]-3-イル)メトキシ)-2-ホルミルフェノキシ)メチル)-5-シアノ安息香酸リチウムが得られた。この材料を精製せずに次の工程で使用した。
【0144】
工程c:3-((4-クロロ-5-((3'-(3-クロロプロポキシ)-2,2'-ジメチル-[1,1'-ビフェニル]-3-イル)メトキシ)-2-ホルミルフェノキシ)メチル)-5-シアノ安息香酸リチウム(220 mg、0.36ミリモル)とN'-Boc-L-リシンメチルエステルヒドロクロリド(116 mg、0.39ミリモル)をMeOH(4 ml)に溶かした溶液にN,N-ジイソプロピルエチルアミン(100μl、0.53ミリモル)とTi(Oi-Pr)4(160μl、0.53ミリモル)を添加した。この混合物を室温で16時間撹拌した後、ホウ水素化ナトリウム(54 mg、1.42ミリモル)を少量ずつ5分間かけて添加した。この反応混合物を15分間撹拌した後、真空中で濃縮した。粗材料をフラッシュクロマトグラフィ(SiO2、100%DCMから20%MeOHを含むDCMへ)によって精製すると、(S)-3-((2-(((6-((t-ブトキシカルボニル)アミノ)-1-メトキシ-1-オキソヘキサン-2-イル)アミノ)メチル)-4-クロロ-5-((3'-(3-クロロプロポキシ)-2,2'-ジメチル-[1,1'-ビフェニル]-3-イル)メトキシ)フェノキシ)メチル)-5-シアノ安息香酸が得られた。
【0145】
工程d:(S)-3-((2-(((6-((t-ブトキシカルボニル)アミノ)-1-メトキシ-1-オキソヘキサン-2-イル)アミノ)メチル)-4-クロロ-5-((3'-(3-クロロプロポキシ)-2,2'-ジメチル-[1,1'-ビフェニル]-3-イル)メトキシ)フェノキシ)メチル)-5-シアノ安息香酸(146 mg、0.17ミリモル)をDCM(3 ml)に溶かした溶液に、4 N HClを含むジオキサン(0.17 ml、0.68ミリモル)を添加した。この混合物を室温で4時間撹拌した後、真空中で濃縮すると、(S)-3-((2-(((6-アミノ-1-メトキシ-1-オキソヘキサン-2-イル)アミノ)メチル)-4-クロロ-5-((3'-(3-クロロプロポキシ)-2,2'-ジメチル-[1,1'-ビフェニル]-3-イル)メトキシ)フェノキシ)メチル)-5-シアノ安息香酸塩酸塩が得られた。この材料を精製せずに次の工程で使用した。
【0146】
工程e:(S)-3-((2-(((6-アミノ-1-メトキシ-1-オキソヘキサン-2-イル)アミノ)メチル)-4-クロロ-5-((3'-(3-クロロプロポキシ)-2,2'-ジメチル-[1,1'-ビフェニル]-3-イル)メトキシ)フェノキシ)メチル)-5-シアノ安息香酸塩酸塩(142 mg、0.17ミリモル)をDMF(17 ml)に溶かした溶液にN-(3-ジメチルアミノプロピル)-N'-エチルカルボジイミドヒドロクロリド(130 mg、0.68ミリモル)と、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(52 mg、0.34ミリモル)と、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(300μl、1.7ミリモル)を添加した。この混合物を18時間撹拌した後、真空中で濃縮した。粗材料をフラッシュクロマトグラフィ(SiO2、5%MeOHを含むDCM)によって精製すると、(S)-14-クロロ-15-((3'-(3-クロロプロポキシ)-2,2'-ジメチル-[1,1'-ビフェニル]-3-イル)メトキシ)-45-シアノ-5-オキソ-2-オキサ-6,12-ジアザ-1(1,2),4(1,3)-ジベンゼンアシクロトリデカファン-11-カルボン酸メチルが得られた。
【0147】
工程f:(S)-14-クロロ-15-((3'-(3-クロロプロポキシ)-2,2'-ジメチル-[1,1'-ビフェニル]-3-イル)メトキシ)-45-シアノ-5-オキソ-2-オキサ-6,12-ジアザ-1(1,2),4(1,3)-ジベンゼンアシクロトリデカファン-11-カルボン酸メチル(116 mg、0.156ミリモル)をジオキサン(2 ml)と水(1 ml)に溶かした二相溶液に水酸化リチウム一水和物(7 mg、0.17ミリモル)を添加した。この反応混合物を室温で3時間撹拌した後、凍らせ、凍結乾燥させると、(S)-14-クロロ-15-((3'-(3-クロロプロポキシ)-2,2'-ジメチル-[1,1'-ビフェニル]-3-イル)メトキシ)-45-シアノ-5-オキソ-2-オキサ-6,12-ジアザ-1(1,2),4(1,3)-ジベンゼンアシクロトリデカファン-11-カルボン酸リチウムが得られた。この材料を精製せずに次の工程で使用した。
【0148】
工程g:(S)-14-クロロ-15-((3'-(3-クロロプロポキシ)-2,2'-ジメチル-[1,1'-ビフェニル]-3-イル)メトキシ)-45-シアノ-5-オキソ-2-オキサ-6,12-ジアザ-1(1,2),4(1,3)-ジベンゼンアシクロトリデカファン-11-カルボン酸リチウム(35 mg、0.048ミリモル)をDMF(1 ml)に溶かした溶液に(R)-ピロリジン-3-オール塩酸塩(10 mg、0.081ミリモル)と、K2CO3(38 mg、0.27ミリモル)と、NaI(3 mg、0.02ミリモル)を添加した。得られた懸濁液を70℃で18時間撹拌した。この反応混合物を濾過し、濾液を真空中で濃縮した。粗材料を逆相分離用HPLC(CH3CN-0.1%TFA を含むH2O)によって精製すると、(S)-14-クロロ-45-シアノ-15-((3'-(3-((R)-3-ヒドロキシピロリジン-1-イル)プロポキシ)-2,2'-ジメチル-[1,1'-ビフェニル]-3-イル)メトキシ)-5-オキソ-2-オキサ-6,12-ジアザ-1(1,2),4(1,3)- ジベンゼンアシクロトリデカファン-11-カルボン酸がトリフルオロ酢酸塩として得られた。MS:C44H49ClN4O7 [M+H]+に関する(ES) m/zの計算値781.3、実測値781.5。1H NMR (400 MHz,メタノール-d4) δ 8.28 (s, 1H)、7.94 (s, 1H)、7.83 (s, 1H)、7.55 (s, 1H)、7.43 (d, J = 7.6 Hz, 1H)、7.18 (t, J = 7.7 Hz, 1H)、7.14 (t, J = 8.1 Hz, 1H)、7.02 (s, 1H)、7.00 (d, J = 7.7 Hz, 1H)、6.88 (d, J = 8.3 Hz, 1H)、6.65 (d, J = 7.6 Hz, 1H)、5.29 (s, 4H)、4.55~4.40 (m, 2H)、4.18 (d, J = 13.1 Hz, 1H)、4.15~4.05 (m, 2H)、3.90 (t, J = 6.6 Hz, 1H)、3.84~3.62 (m, 1H)、3.59~3.43 (m, 2H)、3.43~3.27 (m, 2H)、3.14~2.99 (m, 2H)、2.90 (d, J = 12.4 Hz, 1H)、2.37~2.10 (m, 4H)、2.10~2.01 (m, 4H)、2.00~1.89 (m, 2H)、1.85 (d, J = 2.1 Hz, 3H)、1.67~1.54 (m, 4H)。
【0149】
実施例4:(S)-2
4-クロロ-2
5-((2-メチル-[1,1'-ビフェニル]-3-イル)メトキシ)-11-オキソ-4,10-ジアザ-1(3,5)-ピリジナ-2(1,2)-ベンゼンアシクロウンデカファン-5-カルボン酸の合成
【化31】
工程a:5-クロロ-2-ヒドロキシ-4-((2-メチル-[1,1'-ビフェニル]-3-イル)メトキシ)ベンズアルデヒド(0.42 g、1.2ミリモル)をDCM(20 ml)に溶かして冷却した(-78℃)溶液に窒素雰囲気下でピリジン(0.5 ml)と無水トリフルオロメタンスルホン酸(0.4 ml、2.4ミリモル)をゆっくりと添加した。この溶液を徐々に温めて室温にした後、3時間撹拌した。ガスの発生が止まるまで飽和NaHCO
3水溶液をゆっくりと添加することによって反応を注意深く停止させた。水(30 ml)を添加した後、この水性混合物をDCM(2×25 ml)で抽出した。1つにまとめた有機層をMgSO
4上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィ(SiO
2、100%ヘキサンから30%EtOAcを含むヘキサンへ)によって精製すると、4-クロロ-2-ホルミル-5-((2-メチル-[1,1'-ビフェニル]-3-イル)メトキシ)フェニルトリフルオロメタンスルホン酸塩が得られた。
【0150】
工程b:4-クロロ-2-ホルミル-5-((2-メチル-[1,1'-ビフェニル]-3-イル)メトキシ) フェニルトリフルオロメタンスルホン酸塩(180 mg、0.37ミリモル)と、(5-(メトキシカルボニル)ピリジン-3-イル)ボロン酸(81 mg、0.44ミリモル)と、2 M K2CO3水溶液(0.4 ml、0.20ミリモル)を1,2-ジメトキシエタン(1.5 ml)に溶かした溶液を窒素で10分間脱ガスした後、Pd(PPh3)4(85 mg、0.074ミリモル)を添加した。さらに5分間脱ガスした後、溶液を80℃まで加熱し、1時間撹拌した。室温まで冷却した後、水(5 ml)を反応混合物に添加し、この混合物をEtOAc(5 ml×2)で抽出した。1つにまとめた有機層をMgSO4上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。粗材料をフラッシュクロマトグラフィ(SiO2、100%ヘキサンから40%EtOAcを含むヘキサンへ)によって精製すると、5-(4-クロロ-2-ホルミル-5-((2-メチル-[1,1'-ビフェニル]-3-イル)メトキシ)フェニル)ニコチン酸メチルが得られた。
【0151】
工程c:5-(4-クロロ-2-ホルミル-5-((2-メチル-[1,1'-ビフェニル]-3-イル)メトキシ)フェニル)ニコチン酸メチル(121 mg、0.26ミリモル)をジオキサン(4 ml)と水(1 ml)に溶かした二相溶液に水酸化リチウム一水和物(16 mg、0.39ミリモル)を添加した。この混合物を40℃まで加熱した後、30分間撹拌すると、その時点で反応が完了した。粗反応混合物を凍らせ、凍結乾燥させると、粗5-(4-クロロ-2-ホルミル-5-((2-メチル-[1,1'-ビフェニル]-3-イル)メトキシ)フェニル)ニコチン酸リチウムが得られた。それを精製せずに次の工程で使用した。
【0152】
工程d:5-(4-クロロ-2-ホルミル-5-((2-メチル-[1,1'-ビフェニル]-3-イル)メトキシ)フェニル)ニコチン酸リチウム(117 mg、0.26ミリモル)とN'-Fmoc-L-リシンメチルエステル塩酸塩(430 mg、1.02ミリモル)をDMF(6 ml)に溶かした溶液に酢酸(50μl、0.88ミリモル)とN,N-ジイソプロピルエチルアミン(177μl、1.02ミリモル)を添加した。この混合物を室温で30分間撹拌した後、トリアセトキシホウ水素化ナトリウム(163 mg、0.77ミリモル)を少量ずつ5分間かけて添加した。この反応混合物を室温で18時間撹拌した後、この混合物を真空中で濃縮した。粗材料をMeOHの中で再度希釈し、0.45μmのシリンジフィルタを通過させ、逆相分離用HPLC(CH3CN-0.1%TFAを含むH2O)によって精製すると、(S)-5-(2-(((6-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-1-メトキシ-1-オキソヘキサン-2-イル)アミノ)メチル)-4-クロロ-5-((2-メチル-[1,1'-ビフェニル]-3-イル)メトキシ)フェニル)ニコチン酸がトリフルオロ酢酸塩として得られた。
【0153】
工程e:(S)-5-(2-(((6-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-1-メトキシ-1-オキソヘキサン-2-イル)アミノ)メチル)-4-クロロ-5-((2-メチル-[1,1'-ビフェニル]-3-イル)メトキシ)フェニル)ニコチン酸(46 mg、0.054ミリモル)を、10%ピペリジンを含むDMF(1.8 ml)に溶かし、この溶液を室温で15分間撹拌した。この混合物を真空中で濃縮すると、(S)-5-(2-(((6-アミノ-1-メトキシ-1-オキソヘキサン-2-イル)アミノ)メチル)-4-クロロ-5-((2-メチル-[1,1'-ビフェニル]-3-イル)メトキシ)フェニル)ニコチン酸が得られた。それを精製せずに次の工程で使用した。
【0154】
工程f:(S)-5-(2-(((6-アミノ-1-メトキシ-1-オキソヘキサン-2-イル)アミノ)メチル)-4-クロロ-5-((2-メチル-[1,1'-ビフェニル]-3-イル)メトキシ)フェニル)ニコチン酸をDMF(6.2 ml)に溶かした溶液にN-(3-ジメチルアミノプロピル)-N'-エチルカルボジイミドヒドロクロリド(50 mg、0.25ミリモル)と、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(20 mg、0.125ミリモル)と、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(110μl、0.62ミリモル)を添加した。この混合物を室温で18時間撹拌した後、真空中で濃縮した。粗材料をフラッシュクロマトグラフィ(SiO2, 10% MeOHを含むDCM)によって精製すると、(S)-24-クロロ-25-((2-メチル-[1,1'-ビフェニル]-3-イル)メトキシ)-11-オキソ-4,10-ジアザ-1(3,5)-ピリジナ-2(1,2)-ベンゼンアシクロウンデカファン-5-カルボン酸メチルが得られた。
【0155】
工程g:(S)-24-クロロ-25-((2-メチル-[1,1'-ビフェニル]-3-イル)メトキシ)-11-オキソ-4,10-ジアザ-1(3,5)-ピリジナ-2(1,2)-ベンゼンアシクロウンデカファン-5-カルボン酸メチル(20 mg、0.034ミリモル)をジオキサン(1 ml)と水(0.5 ml)に溶かした二相溶液に水酸化リチウム一水和物(19 mg、0.45ミリモル)を添加し、この混合物を40℃まで加熱した。1時間後、粗反応混合物を、0.45μmのシリンジフィルタを通過させ、逆相分離用HPLC(CH3CN-0.1%TFAを含むH2O)によって精製すると、(S)-24-クロロ-25-((2-メチル-[1,1'-ビフェニル]-3-イル)メトキシ)-11-オキソ-4,10-ジアザ-1(3,5)-ピリジナ-2(1,2)-ベンゼンアシクロウンデカファン-5-カルボン酸が得られた。MS:C33H32ClN3O4 [M+H]+に関する(ES) m/zの計算値 570.2、実測値570.1。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.02 (s, 1H)、8.87 (s, 1H)、8.76 (s, 1H)、8.62 (br s, 1H)、7.59~7.40 (m, 2H)、7.40~7.24 (m, 2H)、7.19 (s, 2H)、7.06 (s, 2H)、6.93 (s, 2H)、5.48~5.25 (m, 2H)、3.76~3.48 (m, 2H)、3.12~2.92 (m, 2H)、2.85~2.69 (m, 1H)、2.22 (s, 3H)、1.98~1.79 (m, 1H)、1.73~1.31 (m, 5H)。
【0156】
実施例5:(S)-4
4-クロロ-7-(ヒドロキシメチル)-4
5-((3'-(3-(4-ヒドロキシピペリジン-1-イル)プロポキシ)-2,2'-ジメチル-[1,1'-ビフェニル]-3-イル)メトキシ)-3-オキサ-6,12-ジアザ-1(3,5)-ピリジナ-4(1,2)-ベンゼンアシクロトリデカファン-13-オンの合成
【化32】
工程a:5-((4-クロロ-5-((3'-(3-クロロプロポキシ)-2,2'-ジメチル-[1,1'-ビフェニル]-3-イル)メトキシ)-2-ホルミルフェノキシ)メチル)ニコチン酸リチウム(250 mg、0.42ミリモル)と(S)-(5-アミノ-6-ヒドロキシヘキシル)カルバミン酸t-ブチル(116 mg、0.39ミリモル)をMeOH(4 ml)に溶かした溶液にTi(Oi-Pr)
4(185μl、0.63ミリモル)を添加した。この混合物を室温で7時間撹拌した後、ホウ水素化ナトリウム(117 mg、3.08ミリモル)を少量ずつ5分間かけて添加した。この反応混合物を30分間撹拌した後、真空中で濃縮した。粗材料をフラッシュクロマトグラフィ(SiO
2、100%DCMから20%MeOHを含むDCMへ)によって精製すると、((S)-5-((2-(((6-((t-ブトキシカルボニル)アミノ)-1-ヒドロキシへ起算-2-イル)アミノ)メチル)-4-クロロ-5-((3'-(3-クロロプロポキシ)-2,2'-ジメチル-[1,1'-ビフェニル]-3-イル)メトキシ)フェノキシ)メチル)ニコチン酸が得られた。
【0157】
工程b:((S)-5-((2-(((6-((t-ブトキシカルボニル)アミノ)-1-ヒドロキシヘキサン-2-イル)アミノ)メチル)-4-クロロ-5-((3'-(3-クロロプロポキシ)-2,2'-ジメチル-[1,1'-ビフェニル]-3-イル)メトキシ)フェノキシ)メチル)ニコチン酸(286 mg、0.35ミリモル)をDCM(6 ml)に溶かした溶液に、4 N HClを含むジオキサン(0.35 ml、1.41ミリモル)を添加した。この混合物を室温で4時間撹拌した後、真空中で濃縮すると、(S)-5-((2-(((6-アミノ-1-ヒドロキシヘキサン-2-イル)アミノ)メチル)-4-クロロ-5-((3'-(3-クロロプロポキシ)-2,2'-ジメチル-[1,1'-ビフェニル]-3-イル)メトキシ)フェノキシ)メチル)ニコチン酸塩酸塩が得られた。この材料を精製せずに次の工程で使用した。
【0158】
工程c:(S)-5-((2-(((6-アミノ-1-ヒドロキシヘキサン-2-イル)アミノ)メチル)-4-クロロ-5-((3'-(3-クロロプロポキシ)-2,2'-ジメチル-[1,1'-ビフェニル]-3-イル)メトキシ)フェノキシ)メチル)ニコチン酸塩酸塩(167 mg、0.20ミリモル)をDMF(20 ml)に溶かした溶液にN-(3-ジメチルアミノプロピル)-N'-エチルカルボジイミドヒドロクロリド(153 mg、0.81ミリモル)と、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(61 mg、0.40ミリモル)と、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(420μl、2.40ミリモル)を添加した。この混合物を室温で3日間撹拌した後、真空中で濃縮した。粗材料をMeOHの中に再度希釈し、0.45μmのシリンジフィルタを通過させ、逆相分離用HPLC(CH3CN-0.1%TFAを含むH2O)によって精製すると、(S)-44-クロロ-45-((3'-(3-クロロプロポキシ)-2,2'-ジメチル-[1,1'-ビフェニル]-3-イル)メトキシ)-7-(ヒドロキシメチル)-3-オキサ-6,12-ジアザ-1(3,5)-ピリジナ-4(1,2)-ベンゼンアシクロトリデカファン-13-オンがトリフルオロ酢酸塩として得られた。
【0159】
工程d:(S)-44-クロロ-45-((3'-(3-クロロプロポキシ)-2,2'-ジメチル-[1,1'-ビフェニル]-3-イル)メトキシ)-7-(ヒドロキシメチル)-3-オキサ-6,12-ジアザ-1(3,5)-ピリジナ-4(1,2)-ベンゼンアシクロトリデカファン-13-オントリフルオロ酢酸塩(39 mg、0.044ミリモル)をDMF(1 ml)に溶かした溶液に4-ヒドロキシピペリジン(7 mg、0.066ミリモル)と、K2CO3(24 mg、0.18ミリモル)と、NaI(2 mg、0.013ミリモル)を添加した。得られた懸濁液を80℃で12時間撹拌した。この反応混合物を濾過し、真空中で濃縮した。粗材料を逆相分離用HPLC(CH3CN-0.1%TFAを含むH2O)によって精製すると、(S)-44-クロロ-7-(ヒドロキシメチル)-45-((3'-(3-(4-ヒドロキシピペリジン-1-イル)プロポキシ)-2,2'-ジメチル-[1,1'-ビフェニル]-3-イル)メトキシ)-3-オキサ-6,12-ジアザ-1(3,5)-ピリジナ-4(1,2)-ベンゼンアシクロトリデカファン-13-オンがトリフルオロ酢酸塩として得られた。MS:C43H53ClN4O6 [M+H]+に関する(ES) m/zの計算値757.4、実測値757.7。1H NMR (400 MHz,メタノール-d4) δ 8.81 (d, J = 2.1 Hz, 1H)、8.70 (d, J = 2.0 Hz, 1H)、8.48 (dt, J = 2.2, 1.1 Hz, 1H)、7.49 (dd, J = 7.7, 1.7 Hz, 1H)、7.40 (s, 1H)、7.23 (t, J = 7.6 Hz, 1H)、7.21~7.13 (m, 1H)、7.06 (dd, J = 7.6, 1.4 Hz, 1H)、7.01 (d, J = 3.5 Hz, 1H)、6.92 (d, J = 8.3 Hz, 1H)、6.68 (d, J = 37.7 Hz, 1H)、5.32 (s, 2H)、5.30 (s, 2H)、4.19 (d, J = 11.8 Hz, 1H)、4.08 (tq, J = 6.3, 3.5 Hz, 2H)、3.71 (dd, J = 11.2, 4.1 Hz, 1H)、3.69~3.61 (m, 2H)、3.62~3.43 (m, 2H)、2.96~2.84 (m, 2H)、2.84~2.73 (m, 1H)、2.69~2.59 (m, 2H)、2.33~2.17 (m, 2H)、2.10 (d, J = 1.4 Hz, 3H)、2.09~1.98 (m, 3H)、1.93~1.81 (m, 4H)、1.80~1.66 (m, 5H)、1.66~1.48 (m, 5H)。
【0160】
実施例6:(S)-16-クロロ-17-((2-メチル-[1,1'-ビフェニル]-3-イル)メトキシ)-6-オキソ-3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14-ドデカヒドロ-2H-ベンゾ[b][1]オキサ[5,11]ジアザシクロヘキサデシン-12-カルボン酸の合成
【化33】
工程a:5-ブロモ吉草酸メチル(0.18 ml、1.2ミリモル)を一滴ずつ、5-クロロ-2 ヒドロキシ-4-((2-メチル-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)メトキシベンズアルデヒド(353 mg、1.0ミリモル)と炭酸セシウム(652 mg、2.0ミリモル)をDMF(2 ml)に溶かした混合物に、撹拌しながら添加した。この混合物を室温で一晩撹拌した。この反応混合物を水(20 ml)で希釈し、EtOAc(3×20 ml)で抽出した。1つにまとめた有機層をブライン(20 ml)で洗浄し、MgSO
4上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。シリカ上のフラッシュクロマトグラフィ(0~50%EtOAc/ヘキサン)によって精製すると、5-(4-クロロ-2-ホルミル-5-((2-メチル-[1,1'-ビフェニル]-3-イル)メトキシ)フェノキシ)ペンタン酸メチルが得られた。
【0161】
工程b:5-(4-クロロ-2-ホルミル-5-((2-メチル-[1,1'-ビフェニル]-3-イル)メトキシ)フェノキシ)ペンタン酸メチル(280 mg、0.60ミリモル)をTHF(8 ml)に溶かした溶液に、撹拌しながら、水酸化リチウム一水和物(76 mg、1.8ミリモル)を水(2 ml)に溶かした溶液を添加した。この反応混合物を室温で一晩撹拌した。この反応混合物を1 M HCl(10 ml)で希釈し、EtOAc(3×10 ml)で抽出した。1つにまとめた有機層をブライン(10 ml)で洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、濃縮すると、5-(4-クロロ-2-ホルミル-5-((2-メチル-[1,1'-ビフェニル]-3-イル)メトキシ)フェノキシ)ペンタン酸が得られた。それをさらに精製せずに使用した。
【0162】
工程c:5-(4-クロロ-2-ホルミル-5-((2-メチル-[1,1'-ビフェニル]-3-イル)メトキシ)フェノキシ)ペンタン酸(254 mg、0.56ミリモル)とN'-Fmoc-L-リシンメチルエステルヒドロクロリド(1.7 g、2.8ミリモル)をDMF(5 ml)に溶かした溶液にN,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.5 ml)を添加した。この混合物を室温で撹拌し、トリアセトキシホウ水素化ナトリウム(361 mg、1.7ミリモル)を少量ずつゆっくりと添加した。この反応混合物を室温で一晩撹拌した。分離用HPLC(H2O/0.1%TFA を含むMeCN)によって精製すると、(S)-5-(2-(((6-アミノ-1-メトキシ-1-オキソヘキサン-2-イル)アミノ)メチル)-4-クロロ-5-((2-メチル-[1,1'-ビフェニル]-3-イル)メトキシ)フェノキシ) ペンタン酸がビスTFA塩として得られた。
【0163】
工程d:(S)-5-(2-(((6-アミノ-1-メトキシ-1-オキソヘキサン-2-イル)アミノ)メチル)-4-クロロ-5-((2-メチル-[1,1'-ビフェニル]-3-イル)メトキシ)フェノキシ) ペンタン酸(62 mg、0.075ミリモル)をDMF(7.5 ml)に溶かした溶液に、撹拌しながら、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.13 ml、0.75ミリモル)と、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(23 mg、0.15ミリモル)と、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N'-エチルカルボジイミドヒドロクロリド(58 mg、0.30ミリモル)を添加した。この反応混合物を室温で一晩撹拌した後、濃縮した。分離用HPLC(H2O/0.1%TFAを含むMeCN)によって精製すると、(S)-16-クロロ-17-((2-メチル-[1,1'-ビフェニル]-3-イル)メトキシ)-6-オキソ-3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14-ドデカヒドロ-2H-ベンゾ[b][1]オキサ[5,11]ジアザシクロヘキサデシン-12-カルボン酸メチルがTFA塩として得られた。
【0164】
工程e:(S)-16-クロロ-17-((2-メチル-[1,1'-ビフェニル]-3-イル)メトキシ)-6-オキソ-3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14-ドデカヒドロ-2H-ベンゾ[b][1]オキサ[5,11]ジアザシクロヘキサデシン-12-カルボン酸メチル(10 mg、0.015ミリモル)をTHF(0.8 ml)に溶かした溶液に、撹拌しながら、水酸化リチウム一水和物(3 mg、0.060ミリモル)を水(0.2 ml)に溶かした溶液を添加した。この反応混合物を室温で一晩撹拌した。分離用HPLC(H2O/0.1%TFAを含むMeCN)によって精製すると、(S)-16-クロロ-17-((2-メチル-[1,1'-ビフェニル]-3-イル)メトキシ)-6-オキソ-3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14-ドデカヒドロ-2H-ベンゾ[b][1]オキサ[5,11]ジアザシクロヘキサデシン-12-カルボン酸がTFA塩として得られた。MS:C32H38ClN2O5 [M+H]+に関する(ES) m/zの計算値565.2、実測値565.2。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.90 (br s, 2H)、7.81 (t, 1H, J = 5.6 Hz)、7.52 (dd, 1H, J = 1.2, 7.6 Hz)、7.48~7.41 (m, 3H)、7.39~7.34 (m, 1H)、7.32~7.26 (m, 3H)、7.21 (dd, 1H, J = 1.2, 8.0 Hz)、5.31 (s, 2H)、4.20~4.10 (m, 2H)、4.04~3.94 (m, 2H)、3.90~3.84 (m, 1H)、3.23~3.12 (m, 1H)、3.09~2.98 (m, 1H)、2.22 (s, 3H)、2.18~2.07 (m, 2H)、2.04~1.93 (m, 1H)、1.92~1.82 (m, 1H)、1.79~1.66 (m, 4H)、1.53~1.40 (m, 3H)、1.34~1.20 (m, 1H)。
【0165】
表1の保持時間を求めるのに利用した逆相HPLCの条件:
カラム:ZORBAX(SB-C18 2.1×50 mm、5μm)
移動相A:95%H2O、5%MeCN(0.1%ギ酸を含む)
移動相B:5%H2O、95%MeCN(0.1%ギ酸を含む)
流速:1.0 ml/分
勾配:3.5分間で20%から100%のB へ
【0166】
実施例7:酵素結合免疫吸着アッセイ - ELISA
96ウエルのプレートを、1μg/mlのヒトPD-L1(R&D社から取得)を含むPBSで、4℃にて一晩かけて被覆した。次にウエルを、2%BSAを含むPBS(w/v)/0.05%TWEEN-20を用いて37℃で1時間ブロックした。プレートをPBS/0.05%TWEEN-20で3回洗浄した後、化合物を希釈培地の中で段階希釈(1:5)し、ELISAプレートに添加した。ヒトPD-1とビオチン0.3μg/ml(ACRO Biosystems社)を添加し、37℃で1時間インキュベートした後、PBS/0.05%TWEEN-20で3回洗浄した。2%BSAを含むPBS(w/v)/0.05%TWEEN-20を用いて37℃で2回目のブロックを10分間実施した後、PBS/0.05%TWEEN-20で3回洗浄した。ストレプトアビジン-HRPを37℃で1時間かけて添加した後、PBS/0.05%TWEEN-20で3回洗浄した。TMB基質を添加して37℃で20分間反応させた。停止溶液(2 NのH2SO4水溶液)を添加した。マイクロプレート分光測光器を用いて吸光度を450 nmで読み取った。結果を表1に示す。
【0167】
表1の化合物を実施例に記載した方法によって調製し、上記のアッセイに従って評価した。化合物のIC
50を表1に、以下の記号で示す:
+:20000 nM≧IC
50≧500 nM;
++:500 nM>IC
50≧100 nM;
+++:100 nM>IC
50。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】