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特許7198292表示のネイティブの色域及び明るさに基づくソース側のトーンマッピング
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-20
(45)【発行日】2022-12-28
(54)【発明の名称】表示のネイティブの色域及び明るさに基づくソース側のトーンマッピング
(51)【国際特許分類】
   H04N 9/64 20060101AFI20221221BHJP
   G09G 5/36 20060101ALN20221221BHJP
【FI】
H04N9/64 F
G09G5/36 530W
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020566604
(86)(22)【出願日】2019-03-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-30
(86)【国際出願番号】 IB2019052613
(87)【国際公開番号】W WO2019229548
(87)【国際公開日】2019-12-05
【審査請求日】2022-03-24
(31)【優先権主張番号】15/993,393
(32)【優先日】2018-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】508301087
【氏名又は名称】エーティーアイ・テクノロジーズ・ユーエルシー
【氏名又は名称原語表記】ATI TECHNOLOGIES ULC
【住所又は居所原語表記】One Commerce Valley Drive East, Markham, Ontario, L3T 7X6 Canada
(74)【代理人】
【識別番号】100108833
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100111615
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 良太
(74)【代理人】
【識別番号】100162156
【弁理士】
【氏名又は名称】村雨 圭介
(72)【発明者】
【氏名】アンソニー ダブリューエル. クー
(72)【発明者】
【氏名】サイド アザー フセイン
【審査官】西谷 憲人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0041784(US,A1)
【文献】特開2014-066928(JP,A)
【文献】特開2001-147667(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0156469(US,A1)
【文献】国際公開第2017/012871(WO,A1)
【文献】特開2007-215156(JP,A)
【文献】国際公開第2015/198560(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 9/64
G09G 5/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンダリングデバイスにおいて、前記レンダリングデバイスに結合された表示モニタの表示パラメータを取得することであって、前記表示パラメータがネイティブの色域、前記表示モニタのネイティブの輝度の範囲、及び前記表示モニタの1つまたは複数のバックライト特性を識別するデータを含む、前記取得すること、
前記レンダリングデバイスのグラフィックスプロセッシングユニット(GPU)で、前記ネイティブの色域及び前記ネイティブの輝度の範囲にトーンマッピングされ、前記1つまたは複数のバックライト特性に基づく第1の表示画像をレンダリングすること、
ビデオストリームの一部として前記表示モニタが受信するための前記第1の表示画像を提示すること、
前記GPUで、前記表示モニタでサポートされているディスプレイ仕様に関連付けられたデフォルトの色域とデフォルトの輝度の範囲にトーンマッピングされた第2の表示画像をレンダリングすること、及び
前記ビデオストリームの一部として前記表示モニタが受信するための前記第2の表示画像を提示すること、を含む、
方法。
【請求項2】
前記表示モニタで、前記第1の表示画像を受信すること、及び
前記第1の表示画像をトーンリマッピングすることなく、前記表示モニタに表示するための前記第1の表示画像を提示すること、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記表示モニタで、前記第1の表示画像を受信すること、
前記第1の表示画像をトーンリマッピングすることなく、前記表示モニタに表示するための前記第1の表示画像を提示すること、
前記表示モニタで、前記第2の表示画像を受信すること、
トーンリマッピングされた表示画像を生成するために、前記デフォルトの色域から前記ネイティブの色域へ、及び前記デフォルトの輝度の範囲から前記ネイティブの輝度の範囲へ前記第2の表示画像をトーンリマッピングすること、及び
前記表示モニタに表示するための前記トーンリマッピングされた表示画像を提示すること、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記レンダリングデバイスから前記表示モニタへの前記第1の表示画像に関連付けられた第1のメタデータを提供することであって、前記第1のメタデータが、前記第1の表示画像を、前記ネイティブの色域及びネイティブの輝度の範囲にトーンマッピングされたとして識別する、前記提供すること、
前記レンダリングデバイスから前記表示モニタへの前記第2の表示画像に関連付けられた第2のメタデータを提供することであって、前記第2のメタデータが、前記第2の表示画像を、前記デフォルトの色域及びデフォルトの輝度の範囲にトーンマッピングされたとして識別する、前記提供すること、
をさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
トーンリマッピングすることなく前記表示モニタに表示するための前記第1の表示画像を提示することは、前記表示モニタでの前記第1のメタデータの受信に応答し、
前記第2の表示画像のトーンリマッピングは、前記表示モニタでの前記第2のメタデータの受信に応答する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記1つまたは複数のバックライト特性が、
ソース制御のグローバルバックライトの前記表示モニタによるサポート、及び
ソース制御のローカル調光の前記表示モニタによるサポート、
のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記1つまたは複数のバックライト特性が、
最大バックライトレベルでの最大のパネルの明るさ、
最大バックライトレベルでの最小のパネルの明るさ、
最小バックライトレベルでの最大のパネルの明るさ、
最小バックライトレベルでの最小のパネルの明るさ、
ローカル調光を有効にしたパネルのピークの明るさ、及び
ローカル調光を有効にしたパネルの平均の明るさ
のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記表示パラメータを取得することは、
前記表示モニタから前記レンダリングデバイスへ拡張ディスプレイ識別データ(EDID)を提供することであって、前記EDIDは、前記ネイティブの色域を表す色度の値及び前記ネイティブの輝度の範囲を表す1つまたは複数の値を含む、前記提供することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
表示システムであって、
表示モニタに結合するように構成されたレンダリングデバイスを含み、前記レンダリングデバイスは、
前記表示モニタに表示されるビデオストリームの表示画像をレンダリングするように構成されたグラフィックスプロセッシングユニット(GPU)と、
中央処理装置(CPU)であって、
前記表示モニタの表示パラメータを取得することであって、前記表示パラメータが、ネイティブの色域、前記表示モニタのネイティブの輝度の範囲、及び前記表示モニタの少なくとも1つのバックライト特性を識別するデータを含む、前記取得すること、及び
前記GPUを、前記ネイティブの色域及び前記ネイティブの輝度の範囲にトーンマッピングされ、前記少なくとも1つのバックライト特性に基づく前記ビデオストリームの第1の表示画像をレンダリングするように構成し、前記GPUを、前記表示モニタでサポートされているディスプレイ仕様に関連付けられたデフォルトの色域及びデフォルトの輝度の範囲にトーンマッピングされる、前記ビデオストリームの第2の表示画像をレンダリングするように前記GPUを構成すること、のために構成される前記中央処理装置と、
を含む、前記表示システム。
【請求項10】
前記第1の表示画像を受信すること、及び
前記第1の表示画像をトーンリマッピングすることなく前記表示モニタに表示するため前記第1の表示画像を提示することのために構成される前記表示モニタをさらに含む、請求項9に記載の表示システム。
【請求項11】
前記第1の表示画像を受信すること、
前記第1の表示画像をトーンリマッピングすることなく表示するための前記第1の表示画像を提示すること、
前記第2の表示画像を受信すること、
トーンリマッピングされた表示画像を生成するために、前記デフォルトの色域から前記ネイティブの色域へ、及び前記デフォルトの輝度の範囲から前記ネイティブの輝度の範囲へ前記第2の表示画像をトーンリマッピングすること、及び
表示するための前記トーンリマッピングされた表示画像を提示することのために構成される前記表示モニタをさらに含む、請求項9に記載の表示システム。
【請求項12】
前記レンダリングデバイスは、
前記表示モニタへの前記第1の表示画像に関連付けられた第1のメタデータを提供することであって、前記第1のメタデータが、前記第1の表示画像を、前記ネイティブの色域及びネイティブの輝度の範囲にトーンマッピングされたとして識別する、前記提供すること、及び
前記表示モニタへの前記第2の表示画像に関連付けられた第2のメタデータを提供することであって、前記第2のメタデータは、前記デフォルトの色域及びデフォルトの輝度の範囲にトーンマッピングされたとして前記第2の表示画像を識別する、前記提供することのためにさらに構成される、請求項11に記載の表示システム。
【請求項13】
前記表示モニタは、
前記第1のメタデータを受信するのに応じてトーンリマッピングすることなく表示するための前記第1の表示画像を提示すること、及び
前記第2のメタデータを受信するのに応じて前記第2の表示画像をトーンリマッピングすること、
のためにさらに構成されている、請求項12に記載の表示システム。
【請求項14】
前記表示モニタを前記レンダリングデバイスへ提供する拡張ディスプレイ識別データ(EDID)にアクセスすることで、前記CPUが前記表示パラメータを取得するよう構成され、前記EDIDが、前記ネイティブの色域を表す色度の値及び前記ネイティブの輝度の範囲を表す1つまたは複数の値を含む、請求項9に記載の表示システム。
【請求項15】
表示モニタで、レンダリングデバイスからのビデオストリームの表示画像を受信すること、
前記表示モニタで、前記表示画像に関連するメタデータを受信することであって、前記メタデータが、前記表示画像がネイティブの色域、前記表示モニタのネイティブの輝度の範囲にトーンマッピングされ、前記表示モニタの1つまたは複数のバックライト特性に基づいているか、または前記表示モニタでサポートされているディスプレイ仕様のデフォルトの色域及びデフォルトの輝度の範囲にトーンマッピングされているかどうかを示す、前記受信すること、
前記メタデータが前記ネイティブの色域、ネイティブの輝度の範囲にトーンマッピングされ、前記表示モニタの1つまたは複数のバックライト特性に基づいているものとして前記表示画像を識別するのに応答し、前記表示画像をトーンリマッピングすることなく前記表示モニタに表示するための前記表示画像を提示すること、及び
前記メタデータが前記デフォルトの色域及びデフォルトの輝度の範囲にトーンマッピングされているものとして前記表示画像を識別するのに応答して、
トーンリマッピングされた表示画像を生成するために、前記デフォルトの色域から前記ネイティブの色域へ、及び前記デフォルトの輝度の範囲から前記ネイティブの輝度の範囲へ前記表示画像をトーンリマッピングすること、及び
前記表示モニタに表示するための前記トーンリマッピングされた表示画像を提示すること、
を含む、方法。
【請求項16】
初期化プロセスの間に前記表示モニタから前記レンダリングデバイスに表示パラメータを提供することであって、前記表示パラメータは、前記表示モニタの前記ネイティブの色域及び前記ネイティブの輝度の範囲の表現をさらに含む、前記提供すること
をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記1つまたは複数のバックライト特性が、
ソース制御のグローバルバックライトの前記表示モニタによるサポート、及び
ソース制御のローカル調光の前記表示モニタによるサポート、
のうちの少なくとも1つを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記1つまたは複数のバックライト特性が、
最大バックライトレベルでの最大のパネルの明るさ、
最大バックライトレベルでの最小のパネルの明るさ、
最小バックライトレベルでの最大のパネルの明るさ、
最小バックライトレベルでの最小のパネルの明るさ、
ローカル調光を有効にしたパネルのピークの明るさ、及び
ローカル調光を有効にしたパネルの平均の明るさ
のうちの少なくとも1つを含む、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
従来のディスプレイの規格は、固有の一般的な色域及び輝度の範囲に従った表示画像のレンダリングを提供している。しかし、多くの表示モニタには、レンダリング中に使用される範囲よりも小さい、または場合によっては大きい色域範囲または輝度の範囲がある。したがって、従来の表示システムでは、レンダリングデバイスは、通常、デフォルトの色域及び輝度の範囲に従って表示画像をレンダリングし、結果として得られるデータストリームを表示モニタに送信する。次に、表示モニタは、別個のトーンマッピングプロセスを実行して、レンダリングされた表示データを、表示モニタによって表示できる色域及び輝度の範囲にリマッピングする。表示モニタでのこの二次的なトーンマッピングプロセスは、かなりの遅延をもたらす可能性がある。これは、楽しいユーザエクスペリエンスを提供する、レンダリングから表示までの待ち時間が短いゲームの用途では、特に問題になる。さらに、二次的なトーンマッピングは、コンテンツ作成者の意図と矛盾する方式で、結果として得られる表示コンテンツを変更する可能性がある。
【発明の概要】
【0002】
一態様では、方法は、レンダリングデバイスにおいて、レンダリングデバイスに結合された表示モニタの表示パラメータを取得することであって、表示パラメータがネイティブの色域、表示モニタのネイティブの輝度の範囲、及び表示モニタの1つまたは複数のバックライト特性を識別するデータを含む、取得することを含む。方法は、レンダリングデバイスのグラフィックスプロセッシングユニット(GPU)で、ネイティブの色域及びネイティブの輝度の範囲にトーンマッピングされ、1つまたは複数のバックライト特性に基づく第1の表示画像をレンダリングすること、及びビデオストリームの一部として表示モニタが受信するための第1の表示画像を提示することをさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、表示モニタで、第1の表示画像を受信すること、及び第1の表示画像をトーンリマッピングすることなく、表示モニタに表示するための第1の表示画像を提示することをさらに含む。いくつかの実施形態では、表示パラメータを取得することは、表示モニタからレンダリングデバイスへ拡張ディスプレイ識別データ(EDID)を提供することであって、EDIDは、ネイティブの色域を表す色度の値及びネイティブの輝度の範囲を表す1つまたは複数の値を含む、提供することを含む。
【0003】
いくつかの実施形態では、方法はまた、表示モニタでサポートされているディスプレイ仕様に関連付けられたデフォルトの色域及びデフォルトの輝度の範囲にトーンマッピングされる第2の表示画像をGPUでレンダリングすること、及びビデオストリームの一部として表示モニタが受信するための第2の表示画像を提示することを含む。方法は、表示モニタで、第1の表示画像を受信すること、第1の表示画像をトーンリマッピングすることなく、表示モニタに表示するための第1の表示画像を提示すること、表示モニタで、第2の表示画像を受信すること、トーンリマッピングされた表示画像を生成するために、デフォルトの色域からネイティブの色域へ、及びデフォルトの輝度の範囲からネイティブの輝度の範囲へ第2の表示画像をトーンリマッピングすること、及び表示モニタに表示するためのトーンリマッピングされた表示画像を提示することをさらに含み得る。方法はまた、レンダリングデバイスから表示モニタへの第1の表示画像に関連付けられた第1のメタデータを提供することであって、第1のメタデータが、第1の表示画像を、ネイティブの色域及びネイティブの輝度の範囲にトーンマッピングされたとして識別する、提供すること、及びレンダリングデバイスから表示モニタへの第2の表示画像に関連付けられた第2のメタデータを提供することであって、第2のメタデータが、第2の表示画像を、デフォルトの色域及びデフォルトの輝度の範囲にトーンマッピングされたとして識別する、提供することを含むことができる。方法はさらに、トーンリマッピングすることなく表示モニタに表示するための第1の表示画像を提示することが、表示モニタでの第1のメタデータの受信に応答し、第2の表示画像のトーンリマッピングが、表示モニタでの第2のメタデータの受信に応答することを含み得る。
【0004】
別の態様によると、表示システムは、表示モニタに結合するように構成されたレンダリングデバイスを含む。レンダリングデバイスは、表示モニタに表示されるビデオストリームの表示画像をレンダリングするように構成されたグラフィックスプロセッシングユニット(GPU)と、中央処理装置(CPU)(210)であって、表示モニタの表示パラメータ(111、316)を取得することであって、表示パラメータが、ネイティブの色域、表示モニタのネイティブの輝度の範囲、及び表示モニタの少なくとも1つのバックライト特性を識別するデータを含む、取得すること、及びGPUを、ネイティブの色域及びネイティブの輝度の範囲にトーンマッピングされ、少なくとも1つのバックライト特性に基づくビデオストリームの第1の表示画像をレンダリングするように構成すること、のために構成される中央処理装置とを含む。いくつかの実施形態では、表示システムは、表示モニタであって、第1の表示画像を受信すること、及び第1の表示画像をトーンリマッピングすることなく表示モニタに表示するため第1の表示画像を提示することのために構成される表示モニタをさらに含む。いくつかの実施形態では、CPUは、表示モニタでサポートされているディスプレイ仕様に関連付けられたデフォルトの色域とデフォルトの輝度の範囲にトーンマッピングされる、ビデオストリームの第2の表示画像をレンダリングするようにGPUを構成することのためにさらに構成される。いくつかの実施形態では、CPUは、表示モニタをレンダリングデバイスへ提供する拡張ディスプレイ識別データ(EDID)にアクセスすることによって表示パラメータを取得するよう構成され、EDIDは、ネイティブの色域を表す色度の値及びネイティブの輝度の範囲を表す1つまたは複数の値を含む。
【0005】
いくつかの実施形態では、表示モニタは、第1の表示画像を受信すること、第1の表示画像をトーンリマッピングすることなく表示するための第1の表示画像を提示すること、第2の表示画像を受信すること、トーンリマッピングされた表示画像を生成するために、デフォルトの色域からネイティブの色域へ、及びデフォルトの輝度の範囲からネイティブの輝度の範囲へ第2の表示画像をトーンリマッピングすること、及び表示するためのトーンリマッピングされた表示画像を提示することのために構成される。レンダリングデバイスは、表示モニタへの第1の表示画像に関連付けられた第1のメタデータを提供することであって、第1のメタデータが、第1の表示画像を、ネイティブの色域及びネイティブの輝度の範囲にトーンマッピングされたとして識別する、提供すること、及び表示モニタへの第2の表示画像に関連付けられた第2のメタデータを提供することであって、第2のメタデータは、デフォルトの色域及びデフォルトの輝度の範囲にトーンマッピングされたとして第2の表示画像を識別する提供することのためにさらに構成され得る。こうした場合、表示モニタは、第1のメタデータを受信するのに応じてトーンリマッピングすることなく表示するための第1の表示画像を提示すること、及び第2のメタデータを受信するのに応じる第2の表示画像をトーンリマッピングすること、のためにさらに構成され得る。
【0006】
さらに別の態様によると、方法は、表示モニタで、レンダリングデバイスからのビデオストリームの表示画像を受信すること、表示モニタで、表示画像に関連するメタデータを受信することであって、メタデータが、表示画像がネイティブの色域、表示モニタのネイティブの輝度の範囲にトーンマッピングされ、表示モニタの1つまたは複数のバックライト特性に基づいているか、または表示モニタでサポートされているディスプレイ仕様のデフォルトの色域及びデフォルトの輝度の範囲にトーンマッピングされているかを示す、受信することを含む。方法は、メタデータがネイティブの色域、ネイティブの輝度の範囲にトーンマッピングされているものとして表示画像を識別するのに応答し、表示モニタの1つまたは複数のバックライト特性に基づいて、表示画像をトーンリマッピングすることなく表示モニタに表示するための表示画像を提示すること、及びメタデータがデフォルトの色域及びデフォルトの輝度の範囲にトーンマッピングされているものとして表示画像を識別するのに応答して、トーンリマッピングされた表示画像を生成するために、デフォルトの色域からネイティブの色域へ、及びデフォルトの輝度の範囲からネイティブの輝度の範囲へ表示画像をトーンリマッピングすること、及び表示モニタに表示するためのトーンリマッピングされた表示画像を提示すること、をさらに含む。
【0007】
一実施形態で、方法はさらに、初期化プロセスの間に表示モニタからレンダリングデバイスに表示パラメータを提供することであって、表示パラメータは、表示モニタのネイティブの色域及びネイティブの輝度の範囲の表現を含む、提供することを含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数のバックライト特性が、ソース制御のグローバルバックライトの表示モニタによるサポート、及びソース制御のローカル調光の表示モニタによるサポートのうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のバックライト特性がまた、最大バックライトレベルでの最大のパネルの明るさ、最大バックライトレベルでの最小のパネルの明るさ、最小バックライトレベルでの最大のパネルの明るさ、最小バックライトレベルでの最小のパネルの明るさ、ローカル調光を有効にしたパネルのピークの明るさ、及びローカル調光を有効にしたパネルの平均の明るさのうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0009】
本開示は、添付の図面を参照することによって、一層よく理解することができ、その多数の特徴及び利点が当業者に明らかになる。異なる図面で同じ参照記号を使用することは、類似または同一の要素ということを意味する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】いくつかの実施形態による、従来のデフォルトモードのレンダリングプロセスと比較した表示のネイティブモードのレンダリングプロセスを示す図である。
図2】いくつかの実施形態による、ビデオストリームの表示画像をレンダリングするためのネイティブの表示モードを実装する表示システムを示すブロック図である。
図3】いくつかの実施形態による、図2の表示システムによって実装されたソフトウェアスタックを示す図である。
図4】いくつかの実施形態による、デフォルトのトーンマッピングモードまたはネイティブのトーンマッピングモードのいずれかを使用して、レンダリングデバイスでビデオストリームの表示画像をレンダリングするための方法を示す図である。
図5】いくつかの実施形態による、各表示画像のトーンマッピングモードに基づいて、表示モニタでビデオストリームの表示画像を受信および表示するための方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
従来の表示システムは、ビデオストリームの表示画像をレンダリングするときにデフォルトの色域の範囲及びデフォルトの輝度の範囲を想定し、したがって、ビデオストリームを受信する表示モニタに、受信した各表示画像に対して後処理を実行させ、受信した表示画像を表示モニタによって実装された実際の色域及び輝度の範囲(以下、「ネイティブ」の色域及び輝度の範囲)にリマッピングする。表示モニタの処理能力は、特にレンダリングデバイスのグラフィックスプロセッシングユニット(GPU)に専用パイプラインがある場合、ビデオストリームを提供するレンダリングデバイスと比較して比較的制限されており、そのため、表示モニタによって実行されるこの第2のトーンマッピングプロセスは、レンダリングから表示へのパイプラインにしばしばかなりの遅延をもたらす。さらに、このリマッピングプロセスにより、結果として得られる表示画像が頻繁に変更され得、ビデオストリームのコンテンツ作成者の本来の意図と矛盾することがある。さらに、GPUは通常、表示モニタよりも高い処理能力を備えているため、GPUによってネイティブに作成された画像は、通常、表示モニタによって生成された後処理画像よりも質の優れたものになる。
【0012】
対照的に、本明細書に記載のシステム及び技術は、レンダリングデバイスのグラフィックスプロセッシングユニット(GPU)を使用して、表示画像をレンダリングし、表示モニタのネイティブの色域及び輝度の範囲にトーンマッピングされ、表示モニタに送信される前の表示モニタの特定のバックライト特性を考慮している。これにより、表示モニタはトーンリマッピングの後処理をバイパスすることができ、このため、表示モニタで受信された後、より早く表示するための表示画像を提示する。さらに、ネイティブの色域及び輝度の範囲、並びに表示モニタのバックライト特性に従って表示画像を元々レンダリングし、したがって第2のトーンマッピングプロセスの必要性を排除することにより、最終的に表示される表示画像に導入されるトーンマッピングエラーが少なくなり、このため、表示される画像はコンテンツ作成者の意図をより正確に表すことができる。
【0013】
図1は、いくつかの実施形態による、ネイティブのトーンマッピングのアプローチと比較した従来のデフォルトのトーンマッピングアプローチを示している。従来のアプローチは、従来モードの表示パイプライン100によって表される。従来モードの表示パイプライン100では、表示モニタは、ハイダイナミックレンジ10(HDR.10)仕様、ドルビービジョン仕様などのディスプレイ仕様に準拠しているものとして、レンダリングデバイスであると同定する。レンダリングデバイスは、表示モニタの識別されたディスプレイ仕様に従って従来モードの表示パイプライン100を構成し、従来モードの表示パイプライン100を使用してビデオストリームの生成及び送信を開始する。理解されるように、ビデオストリームは、表示画像のストリームを表すデータ、及び関連するメタデータで構成される。表示画像を生成するために、段階101で、ビデオストリームのソースとして機能するソフトウェアアプリケーションが、表示画像に提示される視覚的コンテンツを決定し、グラフィックスドライバ、表示ドライバ、または他のソフトウェアインターフェースがレンダリングデバイスのGPUを構成し、段階102でそれに応じて表示画像をレンダリングする。
【0014】
表示モニタによって識別されるディスプレイ仕様は、通常、デフォルトの色域及び1つまたは複数の輝度の範囲(複数可)を採用している。説明のために、HDR.10の仕様は、CEA861.3HDRの静的メタデータ仕様またはBT.2020の仕様を実装し、これは、広い色域(WCG)及び0~10,000ニットのグローバル輝度の範囲を提供する。したがって、段階102のレンダリングプロセスの一部、従来モードの表示パイプラインにおいて、レンダリングデバイスのGPUは、結果として得られる表示画像に対して初期のトーンマッピングを実行するように構成され、そのため表示画像のピクセル値がディスプレイ仕様のデフォルトの色域及びデフォルトの輝度の範囲(複数可)に準拠する対応するコードワードにマッピングされる。したがって、表示モニタがHDR.10ディスプレイ仕様を実装している場合、レンダリングされた表示画像を表すコードワードは、デフォルトの広い色域及び0~10,000ニットのデフォルトの輝度の範囲にマッピングされる。段階103で、デフォルトの色域/輝度の範囲にトーンマッピングされた表示画像がコード化され、有線または無線の相互接続と、DisplayPort仕様、高品位マルチメディアインターフェース(HDMI(登録商標))仕様などの対応するトランスポートプロトコルを使用して、表示モニタに送信される。
【0015】
表示画像を受信した後、表示モニタは表示用の表示画像を作成する。しかし、表示モニタは、表示画像がレンダリング及びコード化される特定のディスプレイ仕様をサポートしている場合があるが、表示モニタは通常、ディスプレイ仕様のデフォルトの色域及び輝度の範囲を完全にまたは正しく表示することができない。HDR.10を使用して再度説明すると、この仕様ではデフォルトの広い色域と0~10,000ニットの輝度の範囲が指定されているが、表示モニタは、sRGBの色空間よりも大きいが、ITU-R BT.2020仕様で定義されている色空間よりも小さい色域、及びわずか0~400ニットの輝度の範囲しかサポートできない場合がある。したがって、表示用の表示画像を作成するために、従来モードの表示パイプライン100の段階104で、表示モニタは、その比較的限定された処理能力を使用して、受信した表示画像を後処理して、表示画像を色域(例えば、sRGBより大きく、BT.2020より小さい)、及び表示モニタによってネイティブにサポートされる輝度の範囲(例えば、0~400ニット)にトーンリマッピングし、このプロセスには、多くの場合、数十ミリ秒(ms)以上かかる。表示画像が表示モニタのネイティブの色域/輝度の範囲に適合するようにリマッピングされた後、段階105において、表示モニタは、表示するリマッピングされた表示画像を提供して進行する。
【0016】
次に、ネイティブモードの表示パイプライン110によって表されるネイティブのトーンマッピングアプローチに移ると、表示モニタが準拠しているとみなされるディスプレイ仕様を識別することに加えて、初期化段階111で、レンダリングデバイスは、ネイティブの色域、表示モニタで実際にサポートされている輝度の範囲(複数可)、表示モニタのバックライトパラメータ、例えばローカル調光またはグローバルバックライト制御がサポートされているかどうか、及び対応するバックライトモードまたはレベルでの輝度の範囲を決定する。本明細書でより詳細に説明するように、この情報は、初期化の最中に表示モニタによって提供されるディスプレイ識別データ(DID)または拡張DID(EDID)の一部として表示モニタによって提供され得る。次に、レンダリングデバイスは、ビデオストリーミングプロセスを開始して、表示画像のストリームを、対応するメタデータと共に表示のために表示モニタに供給することができる。
【0017】
従来モードの表示パイプライン100と同様に、レンダリングデバイスのソースアプリケーションは、段階112でレンダリングされる表示画像に表される画像コンテンツを決定する。しかし、表示画像がデフォルトの色域及びデフォルトの輝度の範囲に従ってGPUによってレンダリングされる従来モードの表示パイプライン100とは異なり、ネイティブモードの表示パイプライン110の段階113において、レンダリングデバイスは、表示画像をレンダリングするそのGPUを構成して、結果として得られる表示画像が、表示モニタによって提供されるネイティブの色域及びネイティブの輝度の範囲(複数可)にトーンマッピングされるようにする。つまり、ネイティブモードの表示パイプラインは、表示画像をデフォルトの色域及び輝度の範囲にトーンマッピングするのではなく、表示モニタが実際にサポートできる特定の色の範囲及び輝度の範囲(複数可)、つまり表示モニタのネイティブの色域及びネイティブの輝度の範囲(複数可)に表示画像をトーンマッピングする。したがって、レンダリングされた表示画像が表示モニタに送信された後(段階114)、表示画像を表示モニタがサポートできる色空間及び輝度レベルにトーンリマッピングする必要はなく(従来モードの表示パイプライン100の段階104)、ネイティブモードの表示パイプライン110において、表示モニタは、段階115での表示のためにネイティブでマッピングされた表示画像を提示することに、直接進むことができる。
【0018】
さらに、バックライトは、表示モニタでのネイティブの色域及び輝度の表示において役割を果たし、そのため、いくつかの実施形態で、レンダリングデバイスは、表示モニタによって与えられるバックライトパラメータに基づいて表示画像をさらにレンダリングするようにGPUを構成する。説明のために、バックライトパラメータは、例えば、表示モニタがソースによるローカル調光制御(すなわち、表示モニタの表示パネルの異なる領域またはゾーンのバックライトが、ソースデバイスによって別個に制御可能である場合)か、グローバルバックライト制御(つまり、全体がソースデバイス(つまり、GPUドライバまたはハードウェア)によって制御可能であるように、バックライトが表示パネル全体に対して制御される場合)のいずれかをサポートするかどうかの表示を含む。グローバルバックライトモードの場合、いくつかの実施形態では、表示モニタによって提供されるバックライトパラメータは、1つまたは複数の範囲を含む。説明のために、バックライトパラメータは、最小バックライト及び最大バックライトでフルホワイトスクリーンに表示モニタによって放出される輝度、ならびに最小バックライト及び最大バックライトでフルブラックスクリーンに対して表示モニタによって放出される輝度を示すパラメータを示すことができる。いくつかの実施形態では、ローカル調光モードのバックライトパラメータは、同様の輝度の範囲によって示される。
【0019】
表示モニタのバックライトパラメータの一部として得られる輝度の範囲または値により、レンダリングデバイスのGPUまたはレンダリングアプリケーションが、バックライトの設定に関連する表示の輝度の特性を理解することが可能になり、したがって、GPUまたはレンダリングアプリケーションは、表示画像の表示コンテンツをレンダリングして、表示モニタに正しく表示されるようになる。説明のために、バックライトが非常に低いレベルまたは非常に高いレベルに設定されない限り、表示モニタは特定の輝度レベルを達成できない可能性がある。このようなバックライト特性を考慮したネイティブレンダリングプロセスの制御により、コンテンツ作成者は、レンダリングアプリケーションまたはGPUの構成を通じて、対応するバックライト設定が与えられた場合に、示された表示の輝度を考慮して表示のバックライトを動的に調整することにより、暗い画像を表現でき、またはバックライトを動的に高レベルに設定することにより、明るいピクセルを表し得る。バックライト特性は、様々な方法のいずれかでバックライトパラメータによって表すことができる。いくつかの実施態様では、比較的単純な最小/最大のバックライトマッピングが、表現された線形マッピングまたはデフォルトの比較的単純な曲線の表現の形で提供され得る。あるいは、バックライト特性は、各バックライトレベルでの表示の輝度を表すさらに詳細な曲線によって、表すことができる。
【0020】
以下に説明するように、いくつかの実施形態では、レンダリングデバイス及び表示モニタは、従来モードの表示パイプライン100によって表される従来のデフォルトのトーンマッピングモードと、画像ごとにネイティブモードの表示パイプライン110によって表されるネイティブのトーンマッピングモードとを切り替えることができる。したがって、そのような実施態様では、段階116(段階114と同時に起きる)で、レンダリングデバイスは、送信された表示画像がデフォルトのトーンマッピングされているか、ネイティブのトーンマッピングされているか、を表示モニタに信号で送る。説明のために、HDMI(登録商標)とDisplayPortの両方の仕様は、フレームに関連付けられたInfoFrameの形式で、各「フレーム」(つまり、表示画像)のメタデータの送信をもたらし、また対応する表示画像のトーンマッピングモードとフレームごとの同期バックライト制御モードのインジケーターは、したがって、対応するInfoFrameに含まれる。
【0021】
従来モードの表示パイプライン100をネイティブモードの表示パイプライン100と比較すると、ネイティブモードの表示パイプライン110は、段階113で単一のトーンマッピングプロセスのみを実装し、従来モードの表示パイプライン100の段階104により必要とされる第2のトーンマッピングプロセスを回避することが理解されよう。第1のトーンマッピングプロセスのみがネイティブモードの表示パイプライン110で実行されるので、ネイティブモードの表示パイプライン110のレンダリングから表示への待ち時間は、従来モードの表示パイプラインと比較して、例えば、数十ミリ秒以上短縮される。さらに、最初のトーンマッピングプロセスのみを必要とすることにより、結果として得られる表示画像は、コンテンツ作成者の意図にさらに厳密に準拠するようにレンダリングされ、したがって、ユーザにより正確な視聴体験を提供することができる。
【0022】
図2は、いくつかの実施形態による図1のネイティブモードの表示パイプライン110を実装する表示システム200を示している。表示システム200は、有線または無線の相互接続203によって接続されたレンダリングデバイス202及び表示モニタ204を含む。レンダリングデバイス202は、ノートブックコンピュータ、デスクトップコンピュータ、サーバ、ゲームコンソール、コンピューティング対応スマートフォンなどを含む、ビデオコンテンツを生成するために使用される様々なデバイスのいずれかを含む。表示モニタ204は、デジタルテレビ、コンピュータモニタ、ポータブルデバイスディスプレイなどの、ビデオコンテンツを表示するためのデジタルディスプレイデバイスを備える。レンダリングデバイス202は、少なくとも1つのメモリ206、GPU208及び中央処理装置(CPU)210などの少なくとも1つのプロセッサ、ならびにディスプレイインターフェース(IF)212を含む。表示モニタ204は、ディスプレイインターフェース214、表示コントローラ216、及び表示マトリックス218を含む。ディスプレイインターフェース212、214は、HDMI(登録商標)インターフェース、DisplayPortインターフェース、組み込みDisplayPort(eDP)インターフェースなどの有線または無線の相互接続インターフェースを含む。表示コントローラ216は、メモリ(図示せず)、1つもしくは複数のプログラマブル論理コンポーネント、1つもしくは複数のハードコードの論理コンポーネント、またはそれらの組み合わせに格納されたソフトウェアの命令を実行するように構成された1つもしくは複数のプロセッサとして実装される。表示マトリックス218は、一連の表示画像を表示するために使用されるピクセルの2次元アレイを含み、例えば、発光ダイオード(LED)マトリックス、有機LED(OLED)マトリックス、液晶ディスプレイ(LCD)マトリックスなどを含む。
【0023】
一般的な動作を概観すると、メモリ206は、一連の表示画像及び対応するメタデータを含むビデオストリームをレンダリングし、このビデオストリームをディスプレイインターフェース212、214及び相互接続203を介して表示モニタ204に送信するようにCPU210及びGPU208を操作するように構成された実行可能ソフトウェア命令の1つまたは複数のセットを格納する。表示モニタにおいて、表示コントローラ216は、各表示画像及び対応するメタデータを順番に受信し、表示マトリックス218で順番に表示するために表示画像を処理する。少なくとも1つの実施形態では、レンダリングデバイス202及び表示モニタ204は、図1のネイティブモードの表示パイプライン110を実装するように構成可能であり、そのため表示コントローラ216のEDIDモジュール220が、EDIDまたは他の構成情報パケットをレンダリングデバイス202に提供し、それは表示モニタ204によってサポートされるネイティブの色域及び1つまたは複数の輝度の範囲、ならびにバックライトモード機能(例えば、ソースによるローカル調光制御またはソースによるグローバルバックライト制御)を示すバックライトパラメータ、及び様々なバックライト条件またはレベルでの輝度の範囲を表すパラメータを指定する。レンダリングデバイス202は、GPU208を制御して、ビデオストリームの1つまたは複数の表示画像を、示されたネイティブの色域及びネイティブの輝度の範囲(複数可)ならびに示されたバックライト特性、つまりネイティブのトーンマッピングと一致するトーンマッピングでレンダリングする。このプロセスについては、以下でさらに詳しく説明する。
【0024】
図3は、いくつかの実施形態による、ネイティブモードの表示パイプライン110の実装を容易にするために、レンダリングデバイス202及び表示モニタ204に実装されるソフトウェアスタックを示す。ソフトウェアスタック302は、レンダリングデバイス202に実装され、1つまたは複数のビデオコンテンツアプリケーション304、1つまたは複数のオペレーティングシステム(OS)インターフェース306、ソフトウェア開発キット(SDK)/OSインターフェース308、グラフィックスドライバ310、及び表示ドライバ312を含む。ビデオコンテンツアプリケーション304は、レンダリングされるビデオコンテンツを調達するソフトウェアのアプリケーション、例えばゲームのアプリケーション、仮想現実(VR)または拡張現実(AR)のアプリケーション、ビデオ再生アプリケーションなどを含む。このビデオコンテンツの表示画像の描画命令は、OSインターフェース306を介してグラフィックスドライバ310に与えられ、GPUシェーダ作業制御機能314は、対応する表示画像をレンダリングするためにGPU208のシェーダを制御する。SDK/OSインターフェース308は、EDID、DID、または表示モニタ204によって提供される他の構成情報パケットを分析して、そのネイティブの色域及びネイティブの輝度の範囲(複数可)を含む、表示モニタ204の様々なパラメータを決定する表示パラメータ取得機能316を含む。
【0025】
表示ドライバ312は、表示画像をレンダリングするためにGPU208によって実行されるシェーダ操作が、指定された色域及び輝度の範囲にトーンマッピングされるようにGPU208を構成するためのトーンマッピング機能317を含み、それはレンダリングモードに応じて、ディスプレイ仕様で設定されたデフォルトの色域及びデフォルトの輝度の範囲、またはネイティブの色域及びネイティブの輝度の範囲であってよい。さらに、いくつかの実施形態では、トーンマッピング機能317は、シェーダ動作が表示モニタのバックライト特性を反映するようにGPU208をさらに構成する。表示ドライバ312は、生成された各表示画像のInfoFrameの生成及び送信を容易にするために使用されるHDR InfoFrame機能318をさらに含む。
【0026】
ソフトウェアスタック320は、表示モニタ204に実装されるソフトウェアスタックを表し、初期化中にレンダリングデバイス202のEDIDを生成するためのEDID機能322(EDIDモジュール220の1つの実装、図2)を含む。いくつかの実施形態では、ソフトウェアスタック320は、表示モニタ204によってサポートされる表示パラメータと両立性のない表示画像の後処理のためのスカラー構成及び電気光学伝達関数(EOTF)インターフェース324、ならびにSDK/OSインターフェース308と協働して、受信された表示画像を表示する間に表示モニタ204のバックライトを構成するためのバックライト制御インターフェース326をさらに含む。
【0027】
図4及び図5は共に、ディスプレイ仕様のデフォルトの色域及び輝度の範囲のいずれかにトーンマッピングされた、またはレンダリングデバイス202に結合された特定の表示モニタ204のネイティブの色域、輝度の範囲、及びバックライト特性にトーンマッピングされた一連の表示画像を含むビデオストリームの生成、送信、及び表示用のレンダリングデバイス202及びそのソフトウェアスタック302(図4)、ならびに表示モニタ204及びそのソフトウェアスタック320(図5)の動作を示す。図4に移ると、いくつかの実施形態によるビデオストリームレンダリング方法400が示されている。方法400は、ブロック402で開始し、レンダリングデバイス202及び表示モニタ204は、相互接続203を介して互いを検出する。この検出に応答して、レンダリングデバイス202及び表示モニタ204は、対の初期化を開始する。この初期化プロセスの一部として、ブロック404で、表示モニタ204は、その表示パラメータを表すデータをレンダリングデバイス202に送信する。一実施形態では、このデータは、表示モニタ204の図2のEDIDモジュール220(例えば、図3のEDID機能322として実装される)によって生成及び提供され、当技術分野で既知のように、I2Cバスまたは他のサイドチャネルを介して、レンダリングデバイス202の表示パラメータ機能316をEDIDとして取得する。他の実施形態では、このディスプレイ構成データは、例えば、ディスプレイID(DID)として、または独自のフォーマットで送信される。
【0028】
従来のEDIDは、バージョン、製造業者、画面サイズ、ガンマ設定、タイミング、リフレッシュレートなどを含む、EDIDを提供する表示モニタの様々なパラメータを含む。少なくとも1つの実施形態では、EDIDモジュール220は、従来のEDIDを拡張する。それは、パラメータが表示モニタ204のネイティブの色域及びネイティブの輝度の範囲(複数可)を定義しながら表示モニタ204の色度及び輝度パラメータを含むことによって、また、バックライトパラメータが異なるバックライト条件またはレベルの下などで表示モニタ204、輝度の値または範囲によってサポートされる1つまたは複数のバックライトモードを指定しながら、表示モニタ204のバックライトパラメータを含むことによる。説明のために、EDIDのEIA/CEA-861仕様のバージョン3は、ベンダーが定義したベンダー固有データブロック(VSDB)の使用を含む、特定の拡張ブロックを提供する。したがって、いくつかの実施形態では、EDIDモジュール220は、レンダリングデバイスに提供されるEDIDにVSDBを挿入し、この場合このVSDBは、例えば、表示モニタ204が、ネイティブのトーンマッピングモード、表示モニタ204の色度パラメータ、表示モニタの1つまたは複数の輝度の範囲、例えば最大のバックライトでの最小及び最大の静的パネル明るさレベル、最小のバックライトでの最小及び最大の静的パネル明るさレベルなどをサポートするかどうかなどのうちの1つまたは複数を識別することによって、ネイティブの色度及び輝度の値の正確な報告を提供する。例えば、表1は、一実施形態に従ってEDIDでネイティブの輝度機能を提供するために使用される例示的なVSDB形式を示し(ネイティブの色域機能はEDIDで提供される)、表2は、別の例示的なVSDB形式(太字で強調された、ネイティブのトーンマッピングモードに関連するパラメータを含む)を示す。
表1:EDIDに含めるためのネイティブモードパラメータの第1のVSDBの例


*シームレスローカル調光制御をサポートするには、表示モニタが、レンダリングデバイスによって送信された値に基づいてローカル調光の有効化/無効化を切り替える必要がある。シームレスローカル調光制御が表示モニタでサポートされている場合は、次のことが示唆される:最大輝度1フィールドには、10%の白いパッチに基づくピーク輝度の値を入力するべきである;最大輝度2フィールドには、100%のフルホワイトパターンに基づく平均輝度の値を入力するべきである;最小輝度1フィールドには、100%黒のパターンに基づく最小輝度の値を入力すべきである;最小輝度2フィールドには、隅に白いパッチがある黒い画像に基づいた最小輝度の値を入力すべきである。
表2:EDIDに含めるためのネイティブモードパラメータでの第2のVSDBの例(ネイティブのトーンマッピングモードに関連するパラメータは太字で強調)
【0029】
表3は、表2の例に従ってVSDBを[データブロック4]として組み込んだ例示的なEDIDを示している(ネイティブのトーンマッピングモードに関連するパラメータは太字で強調されている)。
表3:ネイティブのトーンマッピングVSDBを使用した例示的なEDID


【0030】
表示モニタ204のネイティブの色域特性、ネイティブの輝度の範囲、及びバックライトパラメータを示すEDIDを用いて、または初期化中に側波帯データとして信号を送ると、ブロック406で、SDK/OSインターフェース308は、EDIDのデータまたは他の側波帯データにアクセスし、表示モニタ204が、EDIDのVSDBの対応するビットフィールドからのネイティブのトーンマッピングサポートをサポートするかどうかを決定する。ネイティブのトーンマッピングが表示モニタ204により有効にされていない場合、ブロック408で、SDK/OSインターフェース308は、表示ドライバ312のトーンマッピング機能317に信号を送り、ビデオストリームの各表示画像を、上記の従来モードの表示パイプライン100に従ってデフォルトのトーンマッピングでレンダリングするようにGPU208を構成する。
【0031】
そうでなければ、EDIDのVSDBのビットフィールドが、表示モニタ204がネイティブのトーンマッピングをサポートすることを示す場合、SDK/OSインターフェース308は、この機能を表示ドライバ312に信号で送る。それに応答して、ブロック410において、表示ドライバ312は、表示モニタのネイティブの色域を表すEDIDからの色度の値(例えば、赤、緑、及び青の色度のX-Yの値)と、様々なバックライトレベルまたはモードでのネイティブの輝度の範囲(複数可)を表すEDIDの輝度の値及びバックライトパラメータ(例えば、最大の明るさでバックライトを当てるときの最小から最大の輝度、最小の明るさでのバックライト時の最小から最大の輝度、またはローカル調光が有効な場合の最大、最小、及び平均の輝度)にアクセスすることによって、表示モニタ204のネイティブの色域及び輝度の範囲(複数可)を決定し、後で使用するために1つもしくは複数の表または他のデータ構造に代表値を入力する。
【0032】
この初期化が完了すると、ブロック412で、ビデオコンテンツアプリケーション304は、レンダリングデバイス202を操作して、表示モニタ204に送信し、表示モニタ204で表示するための一連の表示画像及び対応するメタデータから構成されるビデオストリームの生成を開始する。生成される各表示画像について、ブロック414で、ビデオコンテンツアプリケーション304は、表示画像によって表される画像コンテンツを決定し、OSインターフェース306を介してそのような表現をグラフィックスドライバ310に提供する。
【0033】
ブロック416において、グラフィックスドライバ310、あるいは、表示ドライバ312は、表示画像が、ネイティブのトーンマッピングモードまたは従来のデフォルトのトーンマッピングモードのどちらを使用してレンダリングされるかを決定する。説明しておくと、状況によっては、複数のアプリケーションウィンドウが同時に開いている場合があり、一部のアプリケーションウィンドウはネイティブトーンでレンダリングされ、他のものはデフォルトのトーンでレンダリングされる。このような場合、すべての異なるアプリケーションウィンドウを組み込んだ最終的な表示画像は、従来のデフォルトのトーンマッピングモードを使用してレンダリングできる。同様に、オペレーティングシステムがネイティブカラーアプリケーションの上部に様々な表示コンテンツを作成している場合(ネイティブ表示コンテンツの上部にユーザインターフェイス(UI)の制御を表示する場合など)、結果として得られる合成表示フレームは、従来のデフォルトのトーンマッピングモードに従ってレンダリングされる見込みがある。
【0034】
表示画像が、表示モニタ204によってサポートされるディスプレイ仕様のデフォルトの色空間及び輝度の範囲にトーンマッピングされる場合、ブロック418で、表示ドライバ312のトーンマッピング機能317は、デフォルトの色域の場合の色度の値でGPU208を、デフォルトの輝度の範囲を表す輝度EOTFでGPU208を構成し、ブロック420で、GPU208は、これらのデフォルトのパラメータに基づいてシェーダの操作及びその他の描画の操作を実行し、ディスプレイ仕様のデフォルトの色域及び輝度の範囲に一致するトーンマッピングで表示画像をレンダリングする。特定の輝度の範囲内のトーンマッピングコンテンツには、通常、ソース表示コンテンツを取得し、コンテンツを圧縮またはクリッピングするか、圧縮とクリッピングの組み合わせが含まれる。例えば、表示コンテンツは通常、8/10ビットのARGBサーフェスまたはFP16サーフェスのいずれかにレンダリングされる。8/10ビットのARGBサーフェスの場合、通常、表示コンテンツはすでにsRGBガンマでコード化されているため、表示コンテンツはすでに表示モニタに直接送信できる形式になっている。そのため、表示ドライバは、コンテンツがsRGBでコード化されている旨をモニタに通知することだけを必要とする。
【0035】
FP16サーフェスの場合、表示コンテンツは通常線形空間にあり、各値は特定の輝度の意味を有する。具体的には、例えば1のFP16値はXニットに変換され、2のFP16値はYニットに変換され、0.5のFP16値はZニットに変換される。これは、表示モニタが理解できる何らかのデフォルトの業界フォーマットでトーンマッピング及びコード化する必要があることを意味する。このマッピングとコード化への1つのアプローチは、ターゲットの輝度の範囲外にあるいずれかの表示データをクリップすることによる。例えば、GPUが、色深度あたり8ビット、sRGBの符号化、SDRの輝度の範囲(この例では最大Xニットまで拡張されると想定)で出力するように構成されていると仮定する。したがって、255の8ビットの値は、Xニットの最大SDR輝度を表す。1つのアプローチでは、FP16値をsRGBガンマ曲線にコード化し得、1の値を超えるいずれかのFP16値をクリップする。事実上、1のFP16値を超えるいずれか表示コンテンツも、Xニット(8ビット出力値255)にクリップされているため、すべて同じように見える。別のアプローチは、1のFP16値を超える表示コンテンツの詳細の一部を保持することである。コンテンツは、最大コンテンツの値がこのとき1になるようすべての値が縮小されるようにスケーリングされ、また結果として得られるスケーリングされたコンテンツはsRGBコード化できる。
【0036】
特定の色域内に収まるトーンマッピングは、通常、識別された色空間で表現できる最大の赤、緑、及び青の点を表す3つのX/Y座標によって定義される色域の表現の下で動作する。表示コンテンツが、表示モニタ204によってサポートされる色域よりも大きい色域によって表される場合、色域リマッピングを使用して、より小さな色域で表示コンテンツを表す。輝度トーンマッピングと同様に、色域リマッピングには通常、スケーリング、クリッピング、またはそれらの組み合わせが含まれる。説明のために、1つの一般的なアプローチは、ピクセルに3x3色域リマッピング行列を乗算することによって色域リマッピング関数を実装することであり、これにより、入力ピクセルRGBx/y座標が3x3の行列と乗算され、出力ピクセルRGBのx/y座標の値が生成される。理解されるように、これらのアプローチは、コンテンツ作成者の観点からはいくぶん予測不可能であり、したがって、輝度クリッピング/マッピング及びカラークリッピング/マッピングを表示モニタに残すことは、予測できない結果を提供し得、それは、コンテンツ作成者の意図したものと矛盾する可能性がある。
【0037】
ブロック416に戻ると、レンダリングされる表示画像に対してネイティブのトーンマッピングがアクティブである場合、ブロック422で、表示ドライバ312のトーンマッピング機能317は、ブロック410に格納されたネイティブの色域及び輝度のパラメータにアクセスし、GPU208をこれらのパラメータで構成する。ブロック424において、GPU208は、これらの構成パラメータに従って表示画像をレンダリングし、その結果、表示画像は、これらのパラメータによって表されるネイティブの色域及びネイティブの輝度の範囲にトーンマッピングされる。
【0038】
ブロック426において、表示ドライバ312は、ディスプレイポートまたはHDMI(登録商標)仕様などの適切なコーディング/トランスポートプロトコルに従って、ブロック418及び420またはブロック422及び424のいずれかのプロセスを通じて生成された表示画像のデータをコード化し、ディスプレイIF212及び相互接続203を介して表示モニタ204に送信するため、結果として生じたデータを提供する。方法400の例では、ネイティブのトーンマッピングが表示モニタ204によって有効にされている場合、送信されたビデオストリームの所与の表示画像は、1つまたは複数の要因に応じて、ネイティブのトーンマッピングまたはデフォルトのトーンマッピングのいずれかであり得る。したがって、表示画像をレンダリングするのに使用されるトーンマッピングモードを識別し、表示モニタ204が受信した表示画像を適宜処理できるようにするために、ブロック428で、表示ドライバ312は、コード化された表示画像に関連するメタデータを提供して表示画像に採用されているトーンマッピングモードを識別するようにする。HDMI(登録商標)及びDisplayPortの仕様の少なくとも一部で採用されているCEA-861仕様では、側波帯InfoFrameパケットの使用が規定され、コード化された表示フレームまたは表示画像のメタデータをフレームごとに供給するために使用される。したがって、少なくとも1つの実施形態では、表示ドライバ312のHDR InfoFrame機能318は、表示画像をレンダリングするために使用されるトーンマッピングモードを識別し、コード化された表示画像と共に送信するためのInfoFrameパケットを生成し、InfoFrameパケットは、トーンマッピングモードの識別子を含む。例えば、以下の表4は、表示画像にネイティブのトーンマッピングモードが使用されたかどうかを識別するビットフィールドPB6-ビット3のInfoFrameパケットの例示的なフォーマットを示している。
表4:トーンマッピングモードインジケーターの例示的なInfoFrameパケット
【0039】
方法400の現在の反復中に表示画像レンダリングの送信が開始されると、方法400は、次の反復のために、出力ビデオストリームに含まれる次の表示画像のブロック414に戻ることができる。
【0040】
ここで図5に移ると、いくつかの実施形態による、表示モニタ204の例示的なビデオストリーム表示方法500が示されている。方法500の反復は、レンダリングデバイス202から出力されたビデオストリームで受信されたコード化された表示画像ごとに実行される。したがって、ブロック502において、ディスプレイインターフェース214は、相互接続203及びディスプレイインターフェース214を介して、レンダリングデバイス202から表示画像を表すデータを受信する。同時に、ブロック504で、ディスプレイインターフェース214は、その特定の表示画像に関連するInfoFrameパケットまたは他の画像ごとのメタデータを受信していた。
【0041】
ブロック506において、表示コントローラ216は、InfoFrameパケットのトーンマッピングフィールドを使用して、表示画像がネイティブのトーンマッピングでレンダリングされたか、従来のデフォルトのトーンマッピングでレンダリングされたかを判定する。説明しておくと、上記の表4のInfoFrameパケット形式を使用する場合、PB6ビット3の値「0」は従来のデフォルトのトーンマッピングが使用されたことを示し、一方で値「1」はネイティブのトーンマッピングが使用されたことを示す。InfoFrameパケットまたは他の画像メタデータが、そのInfoFrameパケットに関連付けられた個々の表示画像にネイティブのトーンマッピングが使用されたことを示している場合、表示コントローラ216は、表示画像を、表示マトリックス218の機能とすでに両立性のある色域及び輝度の範囲を有するものとして識別する。したがって、ブロック508で、表示コントローラ216は、表示画像のネイティブの色域及び輝度の範囲(複数可)に干渉する可能性のあるいずれかのユーザ固有のオンスクリーンディスプレイ(OSD)の設定を上書きするように構成され、ブロック510で、表示コントローラ216は、表示画像を別の色空間及び輝度の範囲から、表示モニタ204によって実際にサポートされる色空間及び輝度の範囲にリマッピングするためのいずれかのさらなるトーンマッピングを必要とせずに、表示マトリックス218で表示するための表示画像を提示するか、さもなければ準備する。
【0042】
ブロック506に戻ると、表示コントローラ216が、代わりに、表示画像が従来のデフォルトの色域及び輝度の範囲に従ってコード化されたと判定する場合、ブロック512で、表示コントローラ216は、色空間または輝度の設定、例えば明るさ、色相、彩度などに関連する任意のユーザ定義のOSD設定にアクセスする。さらに、一部の表示モニタの実装では、OSD設定を介してユーザが表示モニタによって実装されたEOTFを上書きすることさえもできる。説明のために、そのような表示モニタは、レンダリングデバイスからのビデオ出力が例えばsRGBフォーマットであるという表示ドライバからの指示を無視し、代わりに表示データをガンマ2.6のEOTFにあるものとして解釈することができる。したがって、表示パラメータとしてそのようなEOTFのオーバーライドを信号で伝える表示モニタ204の能力は、レンダリングデバイスによる正確なネイティブのトーンマッピングをさらにサポートする。
【0043】
ブロック514で、表示コントローラ216は、表示画像に対して後処理を実行して、電気光学伝達関数、知覚量子化(PQ)曲線、または表示モニタ204の色域及び輝度の範囲へのマッピングを表すガンマ曲線を使用して、表示画像をネイティブの色空間及びネイティブの輝度の範囲にトーンマッピングする。この後処理はさらに、ブロック512で決定されたユーザ定義のOSD設定に基づくことができ、例えば、ピクセルデータに対応する色調整マトリックスを乗算することで様々な明るさ、色相、及び彩度の設定を実装するによって、または適用されるEOTFを修正することによるものである。ブロック516で、表示コントローラ216は、表示マトリックス218で表示するために、結果として得られるトーンリマッピングされた表示画像を提示する。
【0044】
いくつかの実施形態では、上記で説明された装置及び技術は、1つまたは複数の集積回路(IC)デバイス(集積回路パッケージまたはマイクロチップとも呼ばれる)を備えるシステム、例えば図1~5を参照して上で説明したレンダリングデバイス及び表示モニタなどにおいて実装される。電子設計自動化(EDA)及びコンピュータ支援設計(CAD)ソフトウェアツールは、これらのICデバイスの設計及び製作で使用され得る。それらの設計ツールは典型的には、1つまたは複数のソフトウェアプログラムとして表される。1つまたは複数のソフトウェアプログラムは、1つまたは複数のICデバイスの回路を表すコード上で動作して、回路を製作するための製造システムを設計する、または適合させるプロセスの少なくとも一部を実行するようにコンピュータシステムを操作するために、コンピュータシステムによって実行可能なコードを含む。このコードは、命令、データ、または命令及びデータの組み合わせを含むことができる。設計ツールまたは製作ツールを表すソフトウェア命令は、典型的には、コンピューティングシステムにアクセス可能なコンピュータ可読記憶媒体に格納される。同様に、ICデバイスの設計または製作の1つまたは複数のフェーズを表すコードは、同じコンピュータ可読記憶媒体または異なるコンピュータ可読記憶媒体の中に記憶され、同じコンピュータ可読記憶媒体または異なるコンピュータ可読記憶媒体からアクセスされ得る。
【0045】
コンピュータ可読記憶媒体は、命令及び/またはデータをコンピュータシステムに提供するために、使用中にコンピュータシステムによりアクセス可能な任意の非一時的記憶媒体、または非一時的記憶媒体の組み合わせを含み得る。このような記憶媒体には、光学媒体(例えばコンパクトディスク(CD)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイディスク)、磁気媒体(例えばフロッピーディスク、磁気テープ、または磁器ハードドライブ)、揮発性メモリ(例えばランダムアクセスメモリ(RAM)またはキャッシュ)、不揮発性メモリ(例えば読み出し専用メモリ(ROM)またはフラッシュメモリ)、または微小電気機械システム(MEMS)ベース記憶媒体が含まれ得るが、これらに限定されない。コンピュータ可読記憶媒体は、コンピューティングシステムに組み込まれてもよく(例えば、システムRAMまたはROM)、コンピューティングシステムに固定して取り付けられてもよく(例えば、磁気ハードドライブ)、コンピューティングシステムに取り外し可能に取り付けられてもよく(例えば、光学ディスクまたはユニバーサルシリアルバス(USB)ベースフラッシュメモリ)、または有線もしくは無線ネットワークを介してコンピュータシステムに結合されてもよい(例えば、ネットワークアクセス可能ストレージ(NAS))。
【0046】
いくつかの実施形態において、上述される技法の特定の態様は、ソフトウェアを実行する処理システムの1つまたは複数のプロセッサにより実施されることができる。ソフトウェアは、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体上に、格納される、またはその他の方法により有形に具現化される、実行可能な命令の1つまたは複数のセットを含む。ソフトウェアは、1つまたは複数のプロセッサにより実行されるときに、1つまたは複数のプロセッサが上述される技法の1つまたは複数の態様を実行するように操作する、命令及び特定のデータを含むことが可能である。非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、例えば、磁気もしくは光ディスク記憶デバイス、フラッシュメモリ、キャッシュ、ランダムアクセスメモリ(RAM)などのソリッドステート記憶デバイス、または他の不揮発性メモリデバイス(複数可)などを含み得る。非一時的なコンピュータ可読記憶媒体に格納される実行可能命令は、ソースコード、アセンブリ言語コード、オブジェクトコード、または1つもしくは複数のプロセッサによって解釈されるか、または別の方法で実行可能な他の命令形式であり得る。
【0047】
説明したものに加えて、上記の一般的説明で述べたアクティビティまたは要素の全てが必須ではないこと、特定のアクティビティまたはデバイスの一部は必要ない場合があること、及び1つまたは複数の追加のアクティビティを実行することができ、または要素を含めることができることに留意されたい。さらに、アクティビティが列挙されている順序は、必ずしもそれらが実行される順序ではない。また、特定の実施形態を参照して概念が説明されている。しかし、当業者は、以下の特許請求の範囲に記載されている本開示の範囲から逸脱することなく、様々な修正及び変更を行うことができることを理解する。したがって、本明細書及び図面は、限定的な意味ではなく、例示的な意味で見なされるべきであり、全てのそのような修正は、本開示の範囲内に含まれることが意図されている。
【0048】
特定の実施形態に関して、利益、他の利点、及び問題に対する解決策を上で説明している。しかし、利益、利点、問題に対する解決策、及び何らかの利益、利点または解決策を生じさせ得るかもしくは顕著にする特徴(複数可)は、いずれかまたはすべての請求項の、重要な、必要な、または本質的な特徴として解釈されるべきではない。さらに、上記に開示される特定の実施形態は例示に過ぎず、開示された発明の主題が本明細書に教示の利益を有する当業者へ明らかである、異なるが均等な方式において変更され、実施されることができる。以下の特許請求の範囲に記述される以外の、本明細書に示される構成または設計の詳細への限定を意図しない。したがって、上に開示された特定の実施形態は変更または修正されてもよく、そのような全ての変形は開示された主題の範囲内であると見なされることは明らかである。したがって、本明細書にて求められる保護は、以下の特許請求の範囲に記載されるとおりである。

図1
図2
図3
図4
図5