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特許7198294液化天然ガスタンクからのボイルオフガスを再凝縮させるためのシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-20
(45)【発行日】2022-12-28
(54)【発明の名称】液化天然ガスタンクからのボイルオフガスを再凝縮させるためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   F17C 13/00 20060101AFI20221221BHJP
【FI】
F17C13/00 302A
【請求項の数】 20
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021006371
(22)【出願日】2021-01-19
(65)【公開番号】P2021116927
(43)【公開日】2021-08-10
【審査請求日】2021-01-26
(31)【優先権主張番号】16/750,534
(32)【優先日】2020-01-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591035368
【氏名又は名称】エア プロダクツ アンド ケミカルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】AIR PRODUCTS AND CHEMICALS INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100195213
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 健治
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(72)【発明者】
【氏名】マーク ジュリアン ロバーツ
(72)【発明者】
【氏名】チェン フェイ
【審査官】小川 克久
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-157583(JP,A)
【文献】英国特許出願公開第02069119(GB,A)
【文献】特開平02-183788(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102013001970(DE,A1)
【文献】特開昭49-090277(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵タンクから天然ガスを含むボイルオフガス流を再凝縮させるための方法であって、前記方法は:
(a)前記貯蔵タンクから引き出されたままの前記ボイルオフガス流を第1の熱交換器において二相冷媒流によって少なくとも部分的に凝縮して、少なくとも部分的に凝縮されたボイルオフガス流および気体冷媒流を形成することであって、前記二相冷媒流は、5mol%以下の炭化水素と、窒素およびアルゴンの群から選択される少なくとも1つの、少なくとも90mol%とを含み、前記二相冷媒流は、前記第1の熱交換器において気相部分および液相部分を有する、形成することと、
(b)前記少なくとも部分的に凝縮されたボイルオフガス流を前記貯蔵タンクに戻すことと、
(c)前記気体冷媒流を第2の熱交換器において高圧冷媒流によって加熱し、温められた冷媒流を形成することと、
(d)前記温められた冷媒流を圧縮システムにおいて圧縮し、圧縮された冷媒流を形成することと、
(e)前記圧縮された冷媒流を第3の熱交換器において冷却し、前記高圧冷媒流を形成することと、
(f)前記高圧冷媒流を前記第2の熱交換器において前記気体冷媒流によって冷却し、高圧冷却冷媒流を形成することと、
(g)前記高圧冷却冷媒流を第1の部分および第2の部分に分離させることと、
(h)前記高圧冷却冷媒流の前記第2の部分を膨張させ、膨張した冷媒流を形成することと、を含む、方法。
【請求項2】
(i)ステップ(c)の少なくとも一部を行う前に、前記膨張した冷媒流を前記気体冷媒流と組み合わせることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップ(i)は、ステップ(c)を行う前に、前記膨張した冷媒流を前記気体冷媒流および前記冷却冷媒流の一部と組み合わせることをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
ステップ(a)が、前記ボイルオフガス流を前記第1の熱交換器内において実質的に一定の温度で前記二相冷媒流によって少なくとも部分的に凝縮させ、前記少なくとも部分的に凝縮させられたボイルオフガス流および前記気体冷媒流を形成することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
(j)ステップ(a)および(b)を行う間、前記貯蔵タンクの圧力の110%以下の圧力に前記ボイルオフガスを維持することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ステップ(a)は、前記ボイルオフガス流を前記第1の熱交換器の第1の容器において、第2の容器を通流する前記二相冷媒流によって少なくとも部分的に凝縮させ、前記少なくとも部分的に凝縮されたボイルオフガス流および前記気体冷媒流を形成することをさらに含み、前記第1の容器は前記第2の容器内に収容されている、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記二相冷媒流は、少なくとも99mol%の窒素を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
ステップ(i)は、
(i)ステップ(c)の冷却の一部が前記気体冷媒流において行われた後、前記膨張した冷媒流を前記気体冷媒流と組み合わせることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
(l)前記第2の熱交換器において天然ガス流を前記気体冷媒流によって凝縮させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
(m)凝縮熱交換器を通る前記ボイルオフガス流の増大した流れを生じるブロワを提供することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
(n)ステップ(b)を行う前に、前記少なくとも部分的に凝縮されたボイルオフガス流を蒸気流と液体流とに相分離させ、前記液体流のみに対してステップ(b)を行うことをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
(p)前記気体冷媒流の圧力および第1の設定点に関して第1の弁の位置を制御することであって、前記第1の弁は前記第1の熱交換器の下流かつ前記第2の熱交換器の上流に配置されており、前記気体冷媒流と流体流連通している、制御することと、
(q)前記貯蔵タンクの圧力に関して前記第1の設定点を設定することと、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
ステップ(q)は、前記第1の設定点を、前記貯蔵タンクの前記圧力および前記圧縮システムの電力消費に関して設定することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
(r)ステップ(c)を行う前の前記気体冷媒流の温度と、冷却冷媒流の温度との間の差を、前記第2の熱交換器の下流かつ前記第1の熱交換器の上流における前記冷却冷媒流と流体流連通して配置された膨張弁の位置を制御することによって、第2の所定の範囲内に維持することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
ボイルオフガス再凝縮システムであって、
貯蔵タンクから引き出されたままのボイルオフガス流を、二相冷媒流によって少なくとも部分的に凝縮させ、前記貯蔵タンクに戻される少なくとも部分的に凝縮されたボイルオフガス流と、気体冷媒流とを生成するように適合された第1の熱交換器であって、前記二相冷媒流は、5mol%以下の炭化水素と、窒素およびアルゴンの群から選択される1つの少なくとも90mol%とを含む、第1の熱交換機と、
前記気体冷媒流を、高圧冷却冷媒流によって冷却し、温められた冷媒流を形成するように適合された第2の熱交換器と、
前記温められた冷媒流を圧縮して圧縮された冷媒流を形成するように適合させられた少なくとも1つの圧縮段と、前記圧縮された冷媒流を冷却して高圧冷媒流を形成するように適合された第3の熱交換器とを有する、圧縮システムと、
前記高圧冷却冷媒流の第2の部分を等エントロピー的に膨張させ、前記気体冷媒流と流体流連通した、膨張した冷媒流を形成するように適合された膨張装置と、
前記高圧冷却冷媒流の第1の部分を膨張させ、前記二相冷媒流を形成することができるように適合された弁と、を備える、ボイルオフガス再凝縮システム。
【請求項16】
前記第1の熱交換器は、実質的に一定の温度で前記ボイルオフガス流を少なくとも部分的に凝縮させるように適合されている、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記システムは、前記ボイルオフガスが前記ボイルオフガス流として前記貯蔵タンクから引き出される点から、前記ボイルオフガスが前記貯蔵タンクに前記少なくとも部分的に凝縮させられたボイルオフガス流として戻される点まで、前記貯蔵タンクの圧力の110%以下の圧力に前記ボイルオフガスを維持するように適合されている、請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
前記第1の熱交換器は、前記ボイルオフガス流と流体流連通した内側容器と、前記二相冷媒流と流体流連通した外側容器と、を備え、前記内側容器は、前記外側容器内に収容されている、請求項15に記載のシステム。
【請求項19】
前記気体冷媒流の圧力および第1の設定点に関して第1の弁の位置を設定するように適合された少なくとも1つの制御装置をさらに備え、前記第1の弁は、前記第1の熱交換器の下流かつ前記第2の熱交換器の上流に配置されており、かつ前記気体冷媒流と流体流連通しており、前記第1の設定点は、前記貯蔵タンクの圧力に関連している、請求項15に記載のシステム。
【請求項20】
前記少なくとも1つの制御装置は、前記気体冷媒流の温度と冷却冷媒流の温度との間の差を、前記第2の熱交換器の下流かつ前記第1の熱交換器の上流の前記冷却冷媒流と流体流連通して配置された膨張弁の位置を制御することによって、第2の所定の範囲内に維持するようにさらに適合されている、請求項15に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、液化天然ガス(LNG)ボイルオフ(BOG)を貯蔵容器(貯蔵タンクとも称される)から回収するためのプロセスに関する。
【0002】
液体天然ガス(LNG)の貨物を運ぶ海洋タンカー、ならびに陸上貯蔵タンクでは、LNG貯蔵レセプタクルを取り囲む絶縁体を通る熱漏れの結果として、液体の一部が蒸発によって失われる。さらに、陸および海の両方のLNG貯蔵容器への熱漏れは、液相の一部を蒸発させ、それによって容器圧力を上昇させる。エネルギーコストを節約したいという要望の高まりと組み合わさった、大都市エリアの近隣において放出するまたは燃やすことによる炭化水素含有流のタンカー廃棄を禁止する規制は、LNG BOGを回収するための新たなタンカーの設計への再液化装置の組み込みにつながった。
【0003】
BOG再液化への1つの既存のアプローチは、圧縮サイクルの使用であった。この圧縮サイクルにおいて、BOGは、より高い圧力に圧縮され、冷却され、貯蔵容器へ戻される前に膨張させられる。BOGを圧縮するために必要な機器は大きく、このことは、タンカーまたはその他の浮遊用途ではスペース制約により理想的ではない。さらに、BOGは、高圧においてシステムの一部を循環させられ、これは、可燃性ガスの漏れのリスクを高める。
【0004】
米国特許第4843829号には、主にメタンBOGが圧縮され、次いで閉ループ窒素リサイクル冷却プロセスにおいて気体窒素によって適切に冷却され、次いで沸騰した液体窒素を使用して凝縮させられる、LNG BOG再液化プロセスが記載されている。
【0005】
米国特許第6192705号には、ボイルオフガスが開ループメタン冷却サイクルにおいて凝縮され、ここでボイルオフガスが温められ、圧縮され、周囲冷却によって冷却され、次いで低圧に噴射され、液体を形成する、LNGボイルオフガス再液化プロセスが記載されている。この場合、BOGは、圧縮および冷却される前に周囲温度に温められる。
【0006】
BOGを圧縮する必要なくまたはBOGをサブクールする必要なくBOGを再液化することができる改良されたBOG液化システムが必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
この概要は、発明を実施するための形態において以下にさらに説明される概念の一部を、簡略化した形式で紹介するために提供されている。この概要は、特許請求の範囲に記載の対象の主要な特徴または本質的な特徴を特定することも、特許請求の範囲に記載の対象の範囲を限定するために使用されることも、意図されていない。
【0008】
システムおよび方法のいくつかの態様を以下に概説する
【0009】
態様1:貯蔵タンクから天然ガスを含むボイルオフガス流を再凝縮させるための方法であって、方法は:
(a)ボイルオフガス流を第1の熱交換器において二相冷媒流によって少なくとも部分的に凝縮して、少なくとも部分的に凝縮されたボイルオフガス流および気体冷媒流を形成することであって、二相冷媒流は、5mol%以下の炭化水素と、窒素およびアルゴンの群から選択される少なくとも1つの、少なくとも90mol%とを含み、二相冷媒流は、第1の熱交換器において気相部分および液相部分を有する、形成することと、
(b)少なくとも部分的に凝縮させられたボイルオフガス流を貯蔵タンクに戻すことと、
(c)気体冷媒流を第2の熱交換器において高圧冷媒流によって加熱し、温められた冷媒流を形成することと、
(d)温められた冷媒流を、圧縮システムにおいて圧縮し、圧縮された冷媒流を形成することと、
(e)圧縮された冷媒流を第3の熱交換器において冷却し、高圧冷媒流を形成することと、
(f)高圧冷媒流を、第2の熱交換器において気体冷媒流によって冷却し、高圧冷却冷媒流を形成することと、
(g)高圧冷却冷媒流を第1の部分および第2の部分に分離させることと、
(h)高圧冷却冷媒流の第2部分を膨張させ、膨張した冷媒流を形成することと、を含む、方法。
【0010】
態様2:
(i)ステップ(c)の少なくとも一部を行う前に、膨張した冷媒流を気体冷媒流と組み合わせることをさらに含む、態様1に記載の方法。
【0011】
態様3:ステップ(i)は、ステップ(c)を行う前に、膨張した冷媒流を気体冷媒流および冷却冷媒流の一部と組み合わせることをさらに含む、態様2に記載の方法。
【0012】
態様4:ステップ(a)は、ボイルオフガス流を第1の熱交換機において実質的に一定の温度で二相冷却流によって少なくとも部分的に凝縮させ、少なくとも部分的に凝縮させられたボイルオフガス流および気体冷媒流とを形成することをさらに含む、態様1~3のいずれかに記載の方法。
【0013】
態様5:
(j)ステップ(a)および(b)を行う間、貯蔵タンクの圧力の110%以下の圧力にボイルオフガスを維持することをさらに含む、態様1~4のいずれかに記載の方法。
【0014】
態様6:ステップ(a)は、ボイルオフガス流を第1の熱交換機の第1の容器において、第2の容器を通流する二相冷媒流によって少なくとも部分的に凝縮させ、少なくとも部分的に凝縮されたボイルオフガス流および気体冷媒流を形成することをさらに含み、第1の容器は、第2の容器内に収容されている、態様1~5のいずれかに記載の方法。
【0015】
態様7:二相冷媒流は、少なくとも99%の窒素を含む、態様1~6のいずれかに記載の方法。
【0016】
態様8:
(k)ステップ(h)を行うことにより回収されたエネルギーを使用して、圧縮システムまたは発電機の少なくとも一部を駆動することをさらに含む、態様1~7のいずれかに記載の方法。
【0017】
態様9:ステップ(i)は、ステップ(c)の冷却の一部が気体冷媒流において行われた後、膨張した冷媒流を気体冷媒流と組み合わせることを含む、態様1~8のいずれかに記載の方法。
【0018】
態様10:
(l)第2の熱交換器において天然ガス流を気体冷媒流によって凝縮させることをさらに含む、態様1~9のいずれかに記載の方法。
【0019】
態様11:
(m)凝縮熱交換機を通るボイルオフガス流の増大した流れを生じるブロワを提供することをさらに含む、態様1~10のいずれかに記載の方法。
【0020】
態様12:ステップ(a)は、貯蔵タンクのヘッドスペース内に配置された第1の熱交換器においてボイルオフガス流を二相冷媒流によって少なくとも部分的に凝縮させ、少なくとも部分的に凝縮されたボイルオフガス流および気体冷媒流を形成することを含み、二相冷媒流は、少なくとも90%の窒素を含み、第1の熱交換機において気相部分および液相部分を有する、態様1~11のいずれかに記載の方法。
【0021】
態様13:
(n)ステップ(b)を行う前に、少なくとも部分的に凝縮させられたボイルオフガス流を蒸気流と液体流とに相分離させ、液体流のみに対してステップ(b)を行うことをさらに含む、態様1~12のいずれかに記載の方法。
【0022】
態様14:
(o)貯蔵タンクの蒸気スペースに配置されたスプレーヘッダーを通って、貯蔵タンクから液体天然ガスをポンピングすることをさらに含む、態様1~13のいずれかに記載の方法。
【0023】
態様15:
(p)気体冷媒流の圧力および第1の設定点に関して第1の弁の位置を制御することであって、第1の弁は第1熱交換器の下流にかつ第2の熱交換器の上流に配置されており、気体冷媒流と流体連通している、制御することと、
(q)貯蔵タンクの圧力に関して第1の設定点を設定することと、をさらに含む、態様1~14のいずれかに記載の方法。
【0024】
態様16:ステップ(q)は、第1の設定点を、貯蔵タンクの圧力および圧縮システムの電力消費に関して設定することをさらに含む、態様15に記載の方法。
【0025】
態様17:
(r)ステップ(c)を行う前の気体冷媒流の温度と、冷却冷媒流の温度との間の差を、第2熱交換器の下流かつ第1熱交換器の上流における冷却冷媒流と流体流連通して配置された膨張弁の位置を制御することによって、第2の所定の範囲内に維持することをさらに含む、態様1~16のいずれかに記載の方法。
【0026】
態様18:ボイルオフガス再凝縮システムであって、
貯蔵タンクから引き出されたボイルオフガス流を、二相冷媒流によって少なくとも部分的に凝縮させ、貯蔵タンクに戻される少なくとも部分的に凝縮されたボイルオフガス流と、気体冷媒流とを生成するように適合された第1の熱交換器であって、二相冷媒流は、5mol%以下の炭化水素と、窒素およびアルゴンの群から選択される1つの少なくとも90mol%とを含む、第1の熱交換機と、
気体冷媒流を、高圧冷却冷媒流によって冷却し、温められた冷媒流を形成するように適合された第2の熱交換器と、
温められた冷媒流を圧縮して圧縮された冷媒流を形成するように適合れた少なくとも1つの圧縮段と、圧縮された冷媒流を冷却して高圧冷媒流を形成するように適合された第3の熱交換器とを有する、圧縮システムと、
高圧冷却冷媒流の第2の部分を等エントロピー的に膨張させ、気体冷媒流と流体流連通した、膨張した冷媒流を形成するように適合された膨張装置と、
高圧冷却冷媒流の第1の部分を膨張させ、二相冷媒流を形成することができるように適合された弁と、を備える、ボイルオフガス再凝縮システム。
【0027】
態様19:第1の熱交換器は実質的に一定の温度でボイルオフガス流を少なくとも部分的に凝縮させるように適合されている、態様18に記載のシステム。
【0028】
態様20:システムは、ボイルオフガスがボイルオフガス流として貯蔵タンクから引き出される点から、ボイルオフガスが貯蔵タンクに少なくとも部分的に凝縮させられたボイルオフガス流として戻される点まで、貯蔵タンクの圧力の110%以下の圧力にボイルオフガスを維持するように適合されている、態様18または19に記載のシステム。
【0029】
態様21:第1の熱交換機は、ボイルオフガス流と流体流連通した内側容器と、二相冷媒流と流体流連通した外側容器と、を備え、内側容器は、外側容器内に収容されている、態様18~20のいずれかに記載のシステム。
【0030】
態様22:気体冷媒流の圧力および第1の設定点に関して第1の弁の位置を設定するように適合された少なくとも1つの制御装置をさらに備え、第1の弁は、第1の熱交換器の下流かつ第2の熱交換器の上流に配置されており、かつ気体冷媒流と流体流連通しており、第1の設定点は、貯蔵タンクの圧力に関連している、態様18~21のいずれかに記載のシステム。
【0031】
態様23:少なくとも1つの制御装置は、気体冷媒流の温度と冷却冷媒流の温度との間の差を、第2の熱交換器の下流かつ第1の熱交換器の上流の冷却冷媒流と流体流連通して配置された膨張弁の位置を制御することによって、第2の所定の範囲内に維持するようにさらに適合されている、態様18~22のいずれかに記載のシステム。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1図1は、LNG貯蔵タンクの第1の例示的なBOG再凝縮システムの模式フロー図である。
【0033】
図2図2は、LNG貯蔵タンクの第2の例示的なBOG再凝縮システムの模式フロー図である。
【0034】
図3図3は、BOG流が主にメタンである、LNG貯蔵タンクの第3の例示的なBOG再凝縮システムの模式フロー図である。
【0035】
図4図4は、BOG流が主にメタンである、LNG貯蔵タンクの第4の例示的なBOG再凝縮システムの模式フロー図である。
【0036】
図5図5は、図1のBOG再凝縮システムと共に使用される例示的な制御を示す模式フロー図である。
【0037】
図6図6は、LNG貯蔵タンクの第5の例示的なBOG再凝縮システムの模式フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下の詳細な説明は、好ましい例示的な実施形態のみを提供し、その範囲、適用可能性、または構成を限定することは意図されていない。むしろ、以下の好ましい例示的な実施形態の詳細な説明は、好ましい例示的な実施形態を実施するための授権記述を当業者に提供する。その思想および範囲から逸脱することなく、要素の機能および配置の様々な変更がなされてもよい。
【0039】
図面に関連して本明細書に記載された参照番号は、1つ以上の後続の図面において、他の特徴のための文脈を提供するために、明細書において追加的な説明なしに繰り返されることがある。
【0040】
本出願は、複数の例示的な実施形態を含む。2つ以上の実施形態において存在する特徴は、100の位が異なる参照番号によって表されている。例えば、図1の実施形態の貯蔵タンク101は、図2の貯蔵タンク201および図3の貯蔵タンク301に対応している。図面に示された他の実施形態とは異なる特徴として具体的に説明されない限り、その特徴は、説明された実施形態における対応する特徴と同じ構造および機能を有すると仮定することができる。さらに、その特徴が、後述の実施形態において異なる構造または機能を有さない場合、本明細書では具体的に言及されない場合がある。
【0041】
本明細書および特許請求の範囲において使用される「fluid flow communication(流体流連通)」という用語は、液体、蒸気、および/または二相混合物を、構成要素間において、制御された態様で(すなわち、漏れが生じることなく)直接的または間接的のいずれかで移動させることができる、2つ以上の構成要素間の接続の性質を指している。2つ以上の構成要素を、これらの構成要素が互いに流体流連通するように接続することは、溶接部、フランジ付き導管、ガスケット、およびボルトを使用する場合のような、当技術分野で知られている任意の適切な方法を含むことができる。2つ以上の構成要素は、これらの構成要素を分離することができるシステムの他の構成要素を介して、例えば流体流を選択的に制限または誘導することができる弁、ゲート、または他の装置を介して互いに接続することもできる。
【0042】
本明細書および特許請求の範囲において使用される「導管」という用語は、流体がシステムの2つ以上の構成要素間でそれらを通って輸送されることができる1つ以上の構造を指す。例えば、導管は、液体、蒸気、および/またはガスを輸送するパイプ、ダクト、通路、ならびにそれらの組み合わせを含むことができる。
【0043】
本明細書および特許請求の範囲において使用される「天然ガス」という用語は、主にメタンからなる炭化水素ガス混合物を意味する。
【0044】
本明細書および特許請求の範囲において使用される「炭化水素」、「炭化水素ガス」、または「炭化水素流体」という用語は、少なくとも1つの炭化水素を含むガス/流体を意味し、そのため、このような炭化水素(複数可)は、ガス/流体の全体組成の少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%を含む。
【0045】
特許請求の範囲において、文字は、請求されるステップ(例えば、(a)、(b)、および(c))を特定するために使用される。これらの文字は、方法ステップを示すのを補助するために使用されており、請求されるステップが行われる順序を指すことは、このような順序が特許請求の範囲に具体的に列挙されていない限り意図されておらず、具体的に列挙される場合はその範囲でのみ示すことが意図されている。
【0046】
方向を表す用語(例えば、上、下、左、右など)が、本明細書および特許請求の範囲において使用され得る。これらの方向を表す用語は、例示的な実施形態を説明するのを補助することを意図しているに過ぎず、その範囲を限定することを意図していない。本明細書において使用される「上流」という用語は、基準点からの導管内の流体の流れ方向と反対の方向を意味することが意図されている。同様に、「下流」という用語は、基準点からの導管内の流体の流れの方向と同じ方向を意味することが意図されている。
【0047】
本明細書および特許請求の範囲で使用される高-高」、「高」、「中間」、「低」、および「低-低」という用語は、これらの用語が使用される要素の特性の相対値を表すことを意図している。例えば、高-高圧流は、本出願に記載または請求された対応する高圧流、中圧流、または低圧流よりも高い圧力を有する流れを示すことが意図されている。同様に、高圧流は、本明細書または特許請求の範囲に記載された対応する中圧流または低圧流よりも高い圧力を有するが、本出願に記載または請求された対応する高-高圧流よりも低い圧力を有する流れを示すことが意図されている。同様に、中圧流は、本明細書または特許請求の範囲に記載された対応する低圧流よりも高い圧力を有するが、本出願に記載または請求された対応する高圧流よりも低い圧力を有する流れを示すことが意図されている。
【0048】
本明細書に別段の定めがない限り、本明細書、図面、および特許請求の範囲に特定された任意および全ての割合は、質量パーセントベースであること理解されるべきである。本明細書に別段の定めがない限り、本明細書、図面、および特許請求の範囲に特定された任意および全ての圧力は、ゲージ圧を意味すると理解されるべきである。
【0049】
本明細書および特許請求の範囲において使用される「圧縮システム」という用語は、1つ以上の圧縮段として定義される。例えば、圧縮システムは、単一の圧縮機内に複数の圧縮段を備えてもよい。別の例では、圧縮システムは、複数の圧縮機を含んでもよい。
【0050】
本明細書に別段の定めがない限り、ある位置において流れを導入することは、その位置において実質的に全ての流を導入することを意味することが意図されている。本明細書において検討され、図面に示される全ての流れ(典型的には、通常の動作中の流体の流れの全体的な方向を示す矢印を持つ線で表される)が、対応する導管内に含まれると理解されるべきである。各導管は、少なくとも1つの入口および少なくとも1つの出口を有すると理解されるべきである。さらに、装置の各部分は、少なくとも1つの入口および少なくとも1つの出口を有すると理解されるべきである。
【0051】
図1は、LNGが貯蔵タンク101内に含まれた、ボイルオフガス(BOG)再凝縮システム138の例示的な実施形態を示している。ボイルオフガスは、BOG流100として貯蔵タンク101から出る。BOG流100は、凝縮熱交換器104を通流し、少なくとも部分的に凝縮され、部分的に凝縮されたBOG流102を形成する。部分的に凝縮されたBOG流102は、重力によって貯蔵タンク101へ、部分的に凝縮させられた場合はタンクの上部または完全に凝縮させられた場合は底部の近くへ戻される。
【0052】
この実施形態において、凝縮熱交換器104は、沸騰する液体窒素(LIN)を含む容器136内に配置されたプレートフィン熱交換器134である。この実施形態において、凝縮熱交換器104は、貯蔵タンク101の上方に配置されている。代替的に、凝縮熱交換器104は、貯蔵タンク101の内部に、例えば沸騰するLINを含む熱交換コイルの表面に配置することができる。
【0053】
気体窒素(GAN)流106は、凝縮熱交換器104から引き出され、膨張したGAN流108と組み合わされて、組み合わされたGAN流109を形成する。組み合わされたGAN流109は、熱交換器110において、高圧GAN流118(本明細書において説明される)によって周囲温度付近まで温められ、温められたGAN流112を形成する。代替的に、GAN流106が熱交換器110において部分的に温められた後に、膨張させられたGAN流108をGAN流106と合流させることができる。これは、選択的な膨張させられたGAN流108Aを表した点線によって示されている。
【0054】
次いで、温められたGAN流112を圧縮機114において圧縮し、圧縮されたGAN流117を形成する。次いで、圧縮されたGAN流117は、熱交換器116において冷却水または周囲空気(図示せず)によって周囲温度付近まで冷却され、高圧GAN流118を形成する。圧縮器114は、選択的に、冷却水または空気インタークーラー(図示せず)を備える複数の圧縮段を有することができる。
【0055】
高圧GAN流118は、熱交換器110において、組み合わせられたGAN流109によって中間温度まで冷却され、高圧の冷却されたGAN流121を形成する。次いで、高圧の冷却されたGAN流121の一部120が、膨張器122において等エントロピー的に膨張させられる。膨張器122によって発生された仕事は、発電機において電気エネルギーとして回収されてもよいか、または膨張器122は、温められたGAN流112を圧縮するために必要な圧縮エネルギーの一部を提供するために、圧縮機114に機械的に接続することができる。
【0056】
次いで、高圧の冷却されたGAN流121の残りの部分123は、熱交換機110においてさらに冷却され、GAN流106よりもわずかに暖かい温度を有する冷却されたGAN流124として出ていく。冷却されたGAN流124は、JT弁126において噴射され、二相窒素流128を形成し、二相窒素流128は凝縮熱交換機104のシェル側へ供給される。
【0057】
この実施形態において、BOG流100の凝縮のための冷却デューティは、窒素によって提供される。他の実施形態では、例えば、アルゴンなどの代替的な冷媒を使用することができる。冷媒が5mol%未満の炭化水素を含むことが好ましい。これは、より高い圧力下で作動させられるシステム138の部分において不燃性の冷媒を使用することによって安全性を向上させる。また、冷媒は、少なくとも90mol%、より好ましくは少なくとも99%の純度を有することが好ましい。例えば、冷媒が窒素である場合、冷媒は、好ましくは少なくとも90mol%の窒素を含む。冷媒の好ましい純度は、凝縮熱交換器104における冷媒の沸騰および圧縮システム114における冷媒の圧縮がより効率的に行われることを可能にする。
【0058】
この実施形態において、BOG流100の凝縮は、実質的に一定の温度で行われる。この文脈において、「実質的に一定の温度」とは、凝縮熱交換器104に入るときのBOG流100と、凝縮熱交換器を出るときの部分的に凝縮させられたBOG流102との間の温度差が好ましくは2℃未満であることを意味する。
【0059】
熱交換器110はまた、温かい天然ガス流130を凝縮し、凝縮された天然ガス流131を形成するために使用されてもよい。加えて、補足のLIN冷却流132を、選択的に、凝縮熱交換器104の低温端部へ送ることができる。
【0060】
図6は、BOG再凝縮システム638の別の例示的な実施形態を示しており、凝縮熱交換機が、貯蔵タンク601のヘッドスペース内に配置されている。この実施形態では、二相窒素流128が、貯蔵タンク601のヘッドスペースに配置された熱交換コイル604を通って循環させられる。ヘッドスペース内のBOG(破線600によって示されている)が熱交換コイル604の外面と接触し、少なくとも部分的に凝縮させられ(破線602によって示されている)、熱交換コイル604から下向きに流れる。
【0061】
図2は、配管と凝縮熱交換204との間の摩擦抵抗を克服するためにブロワ240が使用される、BOG再凝縮システム238の別の例示的な実施形態を示している。ブロワ240は、BOG流242を凝縮熱交換器204へ送り、凝縮熱交換機204においてBOG流242が少なくとも部分的に凝縮させられる。この実施形態では、BOGのわずかな適切な冷却が凝縮熱交換器204において生じるが、先行技術とは対照的に、BOG流242のすべての冷却は、依然として、沸騰する液体窒素によって提供される。
【0062】
図2に示された実施形態においても、BOGは、再液化プロセスを通じて実質的に貯蔵タンク101の圧力に留まることに留意することが重要である。この文脈において、「実質的に」という用語は、BOGが凝縮熱交換器104と、BOG流100および部分的に凝縮させられたBOG流102を含む導管とを通って循環する際に生じる摩擦損失を克服するために必要な程度にのみ、BOGの圧力が上昇させられることを意味する。言い換えれば、BOGは、好ましくは貯蔵タンク101の圧力の150%以下、より好ましくは120%以下、最も好ましくは105%以下の圧力に維持される。例えば、バルクLNG貯蔵タンクの圧力は、14.7PSIA(101.4kPa)の、大気圧よりわずかに高い圧力に維持されることが一般的である。15PSIA(103.4kPa)のタンク圧力に基づき、再凝縮プロセスは、プロセス中のあらゆる時点において(すなわち、BOG流200が貯蔵タンク301から引き出される時点から、部分的に凝縮させられたBOG流302が貯蔵タンク301に再び入る時点まで)、18PSIA(124.1kPa)を超えない圧力でBOGにおいて行われることが好ましい。利点の中でも特に、このことは、可燃性流体が循環するシステム338の部分が低圧で作動することを可能にし、これは、可燃性漏れのリスクを低減する。
【0063】
図3は、BOG流300が実質的な窒素割合(例えば、10mol%を超える窒素)を含む場合に有用な、BOG再凝縮システム338の別の例示的な実施形態を示す。BOG流300が実質的な窒素割合を含む場合、BOG流300を部分的に凝縮させることのみによって必要な冷却デューティを提供することがより効率的である。部分的に凝縮させられたBOG流302は、相分離器344において液体流348と蒸気流346とに分離される。液体流348は、貯蔵タンク301に戻され、蒸気流346(窒素が多い)は、燃料として燃焼または使用されてもよい。
【0064】
LNGが実質的な窒素割合を含む貯蔵タンク301の場合、図3に示された例示的な実施形態が有効である。なぜならば、この実施形態は、凝縮させられていない窒素が貯蔵タンク301の蒸気スペースに蓄積することを防止するからである。窒素が蒸気スペースに蓄積されると、BOG流300の温度が低下する。この低下した温度は、BOG流300の凝縮に必要な電力を増大させ、BOG再凝縮システム338の容量を減少させることがある。LNG輸送船におけるBOGの凝縮の場合、BOG流300における増加した窒素レベルもまた、BOGを燃料として使用する船舶エンジンに悪影響を及ぼすことがある。
【0065】
図4は、BOG再凝縮システム438の別の例示的な実施形態を示し、この実施形態もまた、BOG流400が窒素を含む場合に有効である。この場合、部分的に凝縮させられたガス流402は、部分的にのみ凝縮させられ、蒸気スペース440において貯蔵タンク401の上部へ戻される。窒素が蒸気スペース440に蓄積することを防止するために、スプレーヘッダー452にLNGを供給するためのポンプ450が使用され、スプレーヘッダー452は、液相と蒸気相とを平衡状態に保ち、蒸気スペース440における窒素の蓄積または濃縮を防止する。LNGキャリア船の場合、タンクの初期充填の前の貯蔵タンク101の冷却のために、ポンプ450およびスプレーヘッダー452がしばしば必要とされる。したがって、両目的のために同じポンプ450およびスプレーヘッダー452が使用されてもよい。
【0066】
BOG再凝縮システム538の別の例示的な実施形態が図5に示されている。この実施形態では、凝縮熱交換機504の容量を調整することによって貯蔵タンク501における圧力を間接的に制御するために、弁制御装置562が使用される。圧力制御装置560は、圧力制御装置560の出力OP1に基づき弁制御装置562の設定点SP1を調節することによって貯蔵タンク501における圧力を制御し、これは、ひいては、弁564を操作することによって凝縮熱交換機504における沸騰するLINの圧力を制御する。本明細書において使用される「閉じる」および「開く」という用語は、必ずしも弁位置を完全に開いた位置または完全に閉じた位置へ変化させるためではなく、弁の位置をある1つの方向または別の方向へ変更させることを意味することが意図されている。
【0067】
ボイルオフ率がBOG再凝縮システム538の設計能力にあるとき、(PV2によって測定された)貯蔵タンク501の圧力は、設定点SP2にあり、弁564は、完全にまたはほぼ完全に開いている。ボイルオフ率が設計能力より低下すると、貯蔵タンク501における圧力が低下し始め、圧力制御装置560は、弁制御装置562への設定点SP1を増大させることによって応答し、弁制御装置562は、弁564を部分的に閉じることによって応答し、これにより、沸騰するLINの圧力を上昇させ、ひいては、LIN温度を上昇させ、これは、熱伝達および冷却デューティのための駆動力を低下させ、これにより、タンク圧力が設定点に維持される。弁が閉じ、窒素の質量流量が減少していることにより、564の下流でかつJT弁526の上流における圧力は降下するのに対し、体積流量はほぼ同じままであり、これにより、圧縮機514はピーク効率においてまたはピーク効率付近において作動し続ける。凝縮熱交換機504における液体レベルは上昇する。なぜならば、514に接続された吸込みおよび排出回路の両方と、熱交換機510とにおける低下した圧力により、システムにおける気体窒素の在庫が減少するからである。このターンダウン法は、窒素冷媒の損失なしにシステム気体在庫を減少させることによって、圧縮機514の質量流量および消費電力を減少させる。
【0068】
逆に、ボイルオフ率が上昇する場合、圧力制御装置560は、弁制御装置562への設定点を上昇させることによって応答し、弁制御装置562は、弁564を開くことによって応答し、これにより、沸騰するLINの圧力を上昇させかつLINの温度を低下させ、これは、熱伝達および冷却デューティのための駆動力を増大し、これにより、貯蔵タンク501の圧力が設定点SP2に維持される。次いで、504における液体レベルが低下し、追加的な窒素在庫を循環させ、弁564の下流およびJT弁526の上流のシステムにおける圧力を上昇させる。
【0069】
前述のように、圧力制御装置560の出力OP2は通常、弁制御装置562の設定点SP1として使用される。設計点より高いボイルオフ率において、冷却デューティは、必要とされる動力が、圧縮機514を駆動するために使用されるモータ570から得られる最大動力に近づくようになっていてもよい。モータの過負荷を防止するために、動力制御装置572が設けられている。動力制御装置572は、モータの電力消費PV3を、ユーザから供給された設定点(SP3)(最大許容電力)と比較する。ボイルオフ率が高く、電力消費PV3が設定点SP3に近づくと、電力制御装置572からの出力OP3が増大する。この出力OP3は、セレクターブロック574において圧力制御装置560からの出力OP2と比較され、セレクターブロック574は、より大きな値を設定点SP1として弁制御装置562へ送る。電力制御装置572からの出力OP3が圧力制御装置560からの出力OP2より大きい場合、電力制御装置出力OP3は、モータ570の過負荷を防止するために圧力制御装置出力OP2より優先される。その場合、貯蔵タンク501における圧力が設定点SP2を超過し、圧力逃がし弁(図示せず)を作動させ、余分なBOGを燃焼させるまたは放出してもよい。
【0070】
制御システムの別の特徴は、(PV6において測定された)熱交換器510の低温端部に入る組み合わされたGAN流109の温度と、(PV7において測定された)熱交換機510の低温端部から出る冷却されたGAN流524との間の一定の温度差を維持することである。この温度差PV4は、FYによって測定され、信号PV4によって温度差制御装置566へ供給される。温度差制御装置566は、温度差PV4を、流れ制御装置568の設定点SP5を操作することによって、オペレータから供給される設定点SP4に維持する。これにより、流れ制御装置568はJT弁の位置を制御し、JT弁は、JT弁526を通る窒素の流量を制御する。熱交換機510の低温端部における温度差PV4が設定点SP4を超過し始めると、温度差制御装置566は、流れ制御装置568への設定点SP5を低下させる。次いで、流れ制御装置568は、JT弁526を閉じ始め、冷却されたGAN流524の流れを減少させ、これは、温度差PV4を減少させる。
【0071】
この例示的な実施形態では、膨張装置522には流れ制御ノズル576が備えられ、流れ制御ノズル576は、効率を高めるために膨張装置522および圧縮機514における流量および出口-入口差圧を変化させるように手動で調節することができる。
【実施例
【0072】
実施例1
【0073】
表1は、温かい天然ガス流130、代替的な膨張させられたGAN流108Aまたは補足的なLIN冷却流132を有さない、図1のシステムに従って行われるプロセスの一例の流れデータを示している。この例では、圧縮機114の総圧縮仕事は、2,252hpであり、膨張装置122によって発生される仕事は、1,943hpの正味仕事要求のために309hpである。この例では、凝縮熱交換器104の冷却デューティは、311kwである。
【0074】
【表1】
【0075】
本発明は、好ましい実施形態およびその代替実施形態に関して開示されている。もちろん、本発明の教示からの様々な変更、改良、および修正は、当業者であれば、本発明の意図された思想および範囲から逸脱することなく考慮されることがある。本発明は、添付の特許請求の範囲の用語によってのみ限定されることが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6