(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-20
(45)【発行日】2022-12-28
(54)【発明の名称】遺伝子パネル検査の結果を管理するための情報処理システムの制御方法、情報処理システム。
(51)【国際特許分類】
G16H 20/00 20180101AFI20221221BHJP
G16H 15/00 20180101ALI20221221BHJP
G16H 10/40 20180101ALI20221221BHJP
C12M 1/34 20060101ALI20221221BHJP
C12Q 1/6869 20180101ALN20221221BHJP
【FI】
G16H20/00
G16H15/00
G16H10/40
C12M1/34 B
C12Q1/6869 Z
(21)【出願番号】P 2021079184
(22)【出願日】2021-05-07
(62)【分割の表示】P 2019180791の分割
【原出願日】2019-09-30
【審査請求日】2021-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】390014960
【氏名又は名称】シスメックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高畑 隆之
(72)【発明者】
【氏名】池田 幸次
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 健一郎
(72)【発明者】
【氏名】尾上 紘子
【審査官】梅岡 信幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-075858(JP,A)
【文献】国際公開第2004/109551(WO,A1)
【文献】特表2018-533123(JP,A)
【文献】特開2015-032294(JP,A)
【文献】資料1 国内で使用されている遺伝子パネル検査の現状について(石川構成員提出資料)/第3回がんゲノム医,[online],2017年10月04日,https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000179778.html,[2020年8月7日検索],インターネット
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
C12M 1/00- 3/10
C12Q 1/00- 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遺伝子パネル検査の結果を管理するための情報処理システムの制御方法であって、
前記情報処理システムは、
前記遺伝子パネル検査を受けた前記患者に対応付けられた検査IDと、前記遺伝子パネル検査のレポートデータを表示するためのリンク情報と、検査結果の概要を示す属性情報とを含む症例情報を、データベースから抽出し、
複数の前記検査IDに各々対応する複数の前記症例情報を、前記情報処理システムへのアクセスに用いられた端末装置に提供する、前記制御方法。
【請求項2】
前記属性情報は、変異の有無に関する情報である、請求項1の制御方法。
【請求項3】
前記属性情報と前記リンク情報との対応関係が判別可能な表が前記端末装置に表示されるように、前記症例情報を前記端末装置に提供する、請求項1または2の制御方法。
【請求項4】
前記端末装置において前記リンク情報が操作されたことに応じて、前記レポートデータを前記端末装置に提供する、請求項1から3のいずれか1項に記載の制御方法。
【請求項5】
前記レポートデータは、複数区分に分かれて記載された検査結果を含む、請求項1から4のいずれか1項に記載の制御方法。
【請求項6】
前記レポートデータは、生殖細胞変異が検出されたことを示す情報を含む、請求項1から5のいずれか1項に記載の制御方法。
【請求項7】
前記レポートデータは、遺伝子変異が検出された遺伝子名を含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の制御方法。
【請求項8】
前記レポートデータは、遺伝子変異の変異箇所を含む、請求項1から7のいずれか1項に記載の制御方法。
【請求項9】
前記レポートデータは、遺伝子変異をタンパク質のアミノ酸配列によって標記した情報を含む、請求項1から8のいずれか1項に記載の制御方法。
【請求項10】
前記症例情報は、前記遺伝子パネル検査を受けた患者の情報、前記患者を担当する医師名、前記患者を担当する病院名、前記遺伝子パネル検査の種類を識別するためのパネルIDに関する情報の少なくとも1つを含む、請求項1から9のいずれか1項に記載の制御方法。
【請求項11】
前記情報処理システムは、クラウドシステムである、請求項1から10のいずれか1項に記載の制御方法。
【請求項12】
遺伝子パネル検査の結果を管理するための情報処理システムであって、
前記遺伝子パネル検査を受けた前記患者に対応付けられた検査IDと、前記遺伝子パネル検査のレポートデータを表示するためのリンク情報と、検査結果の概要を示す属性情報とを含む症例情報を記録するデータベースと、
複数の前記検査IDに各々対応する複数の前記症例情報を、前記情報処理システムへのアクセスに用いられた端末装置に提供する制御部と、を含む
情報処理システム。
【請求項13】
前記属性情報は、変異の有無に関する情報である、請求項12の情報処理システム。
【請求項14】
前記制御部は、前記属性情報と前記リンク情報との対応関係が判別可能な表が前記端末装置に表示されるように、前記症例情報を前記端末装置に提供する、請求項12または13に記載の情報処理システム。
【請求項15】
前記制御部は、前記端末装置において前記リンク情報が操作されたこと応じて、前記レポートデータを前記端末装置に提供する、請求項12から14のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項16】
前記レポートデータは、複数区分に分かれて記載された検査結果を含む、請求項12から15のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項17】
前記レポートデータは、生殖細胞変異が検出されたことを示す情報を含む、請求項12から16のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項18】
前記レポートデータは、遺伝子変異が検出された遺伝子名を含む、請求項12から17のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項19】
前記レポートデータは、遺伝子変異の変異箇所を含む、請求項12から18のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項20】
前記レポートデータは、遺伝子変異をタンパク質のアミノ酸配列によって標記した情報を含む、請求項12から19のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項21】
前記症例情報は、前記遺伝子パネル検査を受けた患者の情報、前記患者を担当する医師名、前記患者を担当する病院名、前記遺伝子パネル検査の種類を識別するためのパネルIDに関する情報の少なくとも1つを含む、請求項12から20のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項22】
前記情報処理システムは、クラウドシステムである、
請求項12から21のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書には、遺伝子パネル検査の結果を管理するための情報処理システムの制御方法、情報処理システムが開示される。
【背景技術】
【0002】
近年、がん治療においては、患者毎に、一度に多くの遺伝子の変異を次世代シーケンサーなどによって網羅的に調べることが可能な遺伝子パネル検査を行い、その結果に基づいて各患者に適した治療方針を策定するがんゲノム医療の研究が推進されている。
【0003】
しかし、一般的に各患者に適した治療方針の策定に参考となる患者の電子カルテ、病理画像、および遺伝子パネル検査の各種検査結果は、医療施設内においてそれぞれ異なるシステムにて管理されている。特許文献1には、ある医療施設において分散している電子カルテ、病理画像、および遺伝子パネル検査等の検査結果などを集約し、患者の治療方針の策定を支援する情報プラットフォームが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ゲノム医療において、治療方針の策定は、患者の担当医や病理医だけでなく、遺伝子カウンセラー、分子遺伝学の研究者、臨床検査技師、バイオインフォマティシャン等から構成される専門家会議を経て行われる。専門家会議においては、遺伝子パネル検査でどのような変異が検出されたのか、あるいは検出されなかったのかに応じて異なる治療方針が提案される場合がある。また、複数の検査依頼が存在する場合においては、その検査結果に応じて治療の緊急度が異なる場合がある。
【0006】
このような状況において、今後さらなる依頼件数の増加が見込まれることからも、複数の検査依頼を扱うゲノム医療の運営全体を効率化するためのシステムが求められている。
【0007】
そこで、本発明は、複数の検査依頼を扱うゲノム医療の運営全体を効率化するため方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある実施形態は、(1)遺伝子パネル検査の検査依頼をコンピュータにより管理する方法に関する。前記方法では、複数の検査依頼の各々について、前記検査依頼に関する情報、および前記遺伝子パネル検査における検査結果の属性を取得し、複数の前記検査依頼と前記属性とを各々対応させて表示するための表示情報を出力する。
【0009】
このような構成とすることにより、これまで、異なるコンピュータで管理されていた、検査依頼に関する情報と、検査結果の属性を一つのグラフィカルユーザインタフェース上に統合させて表示することができる。
【0010】
本発明のある実施形態は、(2)遺伝子パネル検査の検査依頼を管理する管理装置(A)に関する。前記管理装置(
図5のA)は、制御部(
図5の100A)を備える。前記制御部(
図5の100A)は、複数の検査依頼の各々について、前記検査依頼に関する情報、および前記遺伝子パネル検査における検査結果の属性を取得し、複数の前記検査依と前記属性とを各々対応させて表示するための表示情報を出力する。
【0011】
本発明のある実施形態は、(3)遺伝子パネル検査の検査依頼を管理するためのコンピュータプログラムに関する。前記コンピュータプログラムは、コンピュータに、複数の検査依頼の各々について、前記検査依頼に関する情報、および検査依頼に対応する遺伝子パネル検査における検査結果の属性を取得するステップ(
図19のステップST21及び
図20のST35)と、前記複数の前記検査依頼と前記属性とを各々対応させて表示するための表示情報を出力するステップ(
図21のステップST40)と、を実行させる。
【0012】
本発明のある実施形態は、(4)遺伝子パネル検査の検査依頼を管理する管理システム(
図4の1000)に関する。管理システム(
図4の1000)は、制御部(
図11の100B)を備える第1のコンピュータ(
図11の10B)と、制御部(
図13の100)を備える第2のコンピュータ(
図13のC11)と、制御部(
図5の100A)を備える管理装置(
図5のA)と、を備え、前記第1のコンピュータの制御部は、複数の検査依頼に関する情報を前記管理装置に送信し、前記第2のコンピュータの制御部は、前記遺伝子パネル検査における検査結果の属性を前記管理装置に送信し、前記管理装置の前記制御部は、受信した複数の前記検査依頼と前記属性とを各々対応させて表示するための表示情報を出力する。
【0013】
上記(1)から(4)の構成とすることにより、これまで、異なるコンピュータで管理されていた、検査依頼に関する情報と、検査結果の属性を一つのグラフィカルユーザインタフェース上に統合させて表示することができる。
【発明の効果】
【0014】
複数の検査依頼を扱うゲノム医療の運営全体を効率化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図2】
図2(a)は、遺伝子パネル検査依頼から属性情報の取得までの流れを示す。
図2(b)は、検査依頼リストの表示例を示す。
【
図4】
図4は、システム1000のハードウエアの構成を示す。
【
図5】
図5は、統合データ管理装置Aのハードウエアの構成を示す。
【
図6】
図6は、統合データ管理装置Aの制御部の機能ブロックを示す。
【
図8】
図8は、マスターテーブルMの「患者情報」欄にリンクした病理画像テーブルPTの概略を示す。
【
図9】
図9は、マスターテーブルMの「グループID」欄にリンクした専門家会議グループテーブルGTの概略を示す。
【
図10】
図10(a)は、役割テーブルCTの概略を示す。
図10(b)は、閲覧可能情報テーブルATの概略を示す。
【
図11】
図11は、臨床情報管理装置B10,B20,B30のハードウエアの構成を示す。
【
図12】
図12は、臨床情報管理装置B10,B20,B30の制御部の機能ブロックを示す。
【
図13】
図13は、検査情報管理装置C11のハードウエアの構成を示す。
【
図14】
図14は、検査情報管理装置C11の制御部の機能ブロックを示す。
【
図15】
図15は、各専門家会議端末B15,B25,B35,C15,SP11,SP15のハードウエアの構成を示す。
【
図16】
図16は、医療施設の専門家会議端末B15,B25,B35の制御部の機能ブロックを示す。
【
図17】
図17は、検査施設の専門家会議端末C15と、外部機関の専門会議端末SP11の制御部の機能ブロックを示す。
【
図18】
図18は、事務局専門家会議端末SP15の制御部の機能ブロックを示す。
【
図19】
図19は、システム1000の動作の一部を示すフローチャートである。
【
図20】
図20は、システム1000の動作の一部を示すフローチャートである。
【
図21】
図21は、システム1000の動作の一部を示すフローチャートである。
【
図22】
図22は、システム1000の動作の一部を示すフローチャートである。
【
図23】
図23は、検査依頼を行うためのグラフィカルユーザインタフェースUIaの例を示す。
【
図26】
図26は、検体の品質情報を記録する検体品質情報入力テーブルQの概要を示す。
【
図29】
図29は、変異解析において出力される検査結果の一例を示す。
【
図30】
図30(a)は、属性情報を取得するためのグラフィカルユーザインタフェースUIcの例を示す。
図30(b)は、属性情報を取得するためのグラフィカルユーザインタフェースUIdの例を示す。
図30(c)は、属性情報が入力された検査管理テーブルLの例を示す。
【
図31】
図31は、属性情報を取得するためリストの例を示す。
【
図32】
図32は、検査情報管理装置C11が、属性情報を判定するためのフローチャートを示す。
【
図33】
図33は、検査情報管理装置C11が、属性情報を判定するためのフローチャートを示す。
【
図34】
図34(a)は、検出結果テーブルGの概略を示す。
図34(b)は、判定テーブルHの概略を示す。
【
図36】
図36は、偶発的所見を秘匿する必要がある場合の、レポート様式を示す。
【
図37】
図37は、レポート生成処理のフローチャートを示す。
【
図38】
図38は、統合データ管理装置Aから出力された検査依頼リストからレポート様式を選択するための、検査依頼リスト領域UI1の例を示す。
【
図39】
図39は、統合データ管理装置Aにおけるレポート生成処理のフローチャートを示す。
【
図40】
図40は、レポートの様式を選択させる際に表示するダイアログの例を示す。
【
図41】
図41は、統合データ管理装置Aから出力された検査依頼リストから、専門家会議の設定を行う際の、検査依頼リスト領域UI1の例を示す。
【
図42】
図42は、統合データ管理装置Aにおいて、専門家会議を設定するためのリンクをグラフィカルユーザインタフェースUIへの表示するための処理のフローチャートを示す。
【
図43】
図43は、医療施設の専門家会議端末B15,B25,B35における表示処理のフローチャートを示す。
【
図44】
図44は、統合データ管理装置Aにおいて、専門家会議を設定するため処理のフローチャートを示す。
【
図45】
図45は、会議スケジュールを表示するダイアログUI5の例を示す。
【
図46】
図46は、会議スケジュールを表示するダイアログUI7の例を示す。
【
図47】
図47は、統合データ管理装置Aから出力された検査依頼リストから、品質情報を表示させるための、検査依頼リスト領域UI1の例を示す。
【
図48】
図48は、統合データ管理装置Aにおいて、品質情報へのリンクをグラフィカルユーザインタフェースUIへの表示するための処理のフローチャートを示す。
【
図49】
図49は、検査施設C1の専門家会議端末C15における表示処理のフローチャートを示す。
【
図50】
図50は、統合データ管理装置Aから出力された検査依頼リストから、外部データベースを表示させる際の、検査依頼リスト領域UI1の例を示す。
【
図51】
図51は、統合データ管理装置Aにおいて、外部データベースへのリンクをグラフィカルユーザインタフェースUIへの表示するための処理のフローチャートを示す。
【
図52】
図52は、外部施設SP1の専門家会議端末SP11,事務局専門家会議端末SP15における表示処理のフローチャートを示す。
【
図55】
図55は、統合データ管理装置Aにおける検査の進捗情報の更新処理を示す。
【
図56】
図56は、検査情報管理装置C11における検査の進捗情報の更新処理を示す。
【
図57】
図57は、役割IDに応じた検査依頼リストの表示処理を示すフローチャートである。
【
図58】
図58は、事務局専門家会議端末SP15における新規の専門家会議スケジュール枠の登録処理を示す。
【
図59】
図59は、統合データ管理装置Aから出力された検査依頼リストから、専門家会議の設定を行う際の、検査依頼リスト領域UI1の変形例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、発明を実施するための形態を、添付の図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明及び図面において、同じ符号は同じ又は類似の構成要素を示すこととし、よって、同じ又は類似の構成要素に関する説明を省略する。
【0017】
I.実施形態の概要
本発明のある実施形態は、遺伝子パネル検査の検査依頼をコンピュータにより管理する方法に関する。
はじめに、
図1~
図3を用いて本実施形態の概要を説明する。
【0018】
患者検体の核酸配列の解析は、例えば、腫瘍細胞に対する抗がん剤の効果や、予後を予測するために、腫瘍細胞に存在する核酸の塩基配列の変異を検出する目的で行われる。
【0019】
本明細書において「塩基配列の変異」は、ヌクレオチドの置換、挿入、欠失、遺伝子の融合などを含む概念である。塩基配列の変異には、その変異がアミノ酸の配列に影響を及ぼさない同義変異と、アミノ酸配列に影響を及ぼす非同義変異を含み得る。検出対象の変異は、非同義変異であることが好ましい。非同義変異は、タンパク質の構造異常を引き起こす変異であり、細胞の腫瘍化に関連すると考えられている。
【0020】
また、変異は、受精前の生殖細胞に生じていたか、受精後に生じたかに応じて、2つに分類され得る。体細胞で生じた変異は体細胞変異(somatic mutation)と呼ばれ、生殖細胞で生じた変異は生殖細胞変異(germline mutation)と呼ばれる。体細胞変異と異なり生殖細胞変異は次世代の個体に引き継がれ得る。したがって、本実施形態の方法が適用される患者が親世代から生殖細胞変異を引き継いでいる場合、体細胞から調製される検体であっても生殖細胞変異を含むこととなる。
【0021】
また、上記のような核酸の塩基配列変異の分類に加え、抗がん剤治療に対する反応性により、変異を分類することもできる。例えば、疾患の原因となる体細胞変異や生殖細胞変異が生じていたとしても、日本臨床腫瘍学会、日本癌治療学会及び日本癌学会が合同で発行した「次世代シークエンサー等を用いた遺伝子パネル検査に基づくがん診療ガイダンス」に示される治療効果3A以上が期待できる変異は、一般的にアクショナブル変異と呼ばれることがある。
【0022】
患者のがん組織検体を用いたがん関連遺伝子の核酸配列の解析は、患者が保有するがんに対する有効な抗がん剤等を見極める上で重要である。遺伝子パネル検査では、1回の検査で数十~数百種の遺伝子を同時に解析することが可能である。また、遺伝子パネル検査の結果は、患者の担当医のみが解釈するのではなく、担当医の他、組織診断を行う病理医、遺伝子パネル検査を行う臨床検査技師及び/又はバイオインフォマティシャン、遺伝子変異解釈の専門家である遺伝子カウンセラー及び/又は分子遺伝学の研究者等で構成される専門家会議(エキスパートパネルとも呼ばれる)によって解釈される。また、専門家会議では、遺伝子パネル検査を受けた患者に適した治療方針が決定される。
【0023】
遺伝子パネル検査の検査依頼は、各医療施設から行われるが、専門家会議は、各地域の1つの拠点機関が中心となって開催されることが多い。したがって、1つの専門家会議には、地域の複数の医療施設から個々に、また患者ごとに検査依頼された遺伝子パネル検査の結果が集約されることとなる。
【0024】
したがって、数多くの遺伝子パネル検査の依頼を効率よく管理するため、本発明のある実施形態は、複数の遺伝子パネル検査の検査依頼の各々について、コンピュータを使って、前記検査依頼に関する情報、および前記遺伝子パネル検査における検査結果の概要を示す属性を取得し、複数の前記検査依頼と前記属性とを各々対応させて表示するための表示情報を出力する、遺伝子パネル検査の検査依頼を管理する方法を提供する。
図1に、本実施形態における遺伝子パネル検査の流れを示す。
【0025】
図1では、3つの組織を例にして、遺伝子パネル検査の流れを説明する。遺伝子パネル検査に関与する第1の組織は、実際にがん患者が受診する病院等の医療施設B1である。第2の組織は、実際に遺伝子パネル検査を行う検査施設C1である。第3の組織は、専門家会議EPである。3つの組織は、各組織における情報を共有するための統合データ管理装置Aにより情報を共有し得る。
【0026】
遺伝子パネル検査(以下、単に検査と呼ぶこともある)では、医療施設B1を腫瘍を保有する患者P1が受診し、担当医H1aから遺伝子パネル検査の内容や流れ等について説明を受ける。説明の際には、検査において、万が一、偶発的所見、例えば生殖細胞変異が見つかった場合にその結果の知得を、患者P1やその家族が希望するか等のインフォームドコンセントの取得も行われる(
図1のI)。
【0027】
患者P1が遺伝子パネル検査の実施に同意した場合、担当医H1aは、遺伝子パネル検査を依頼する(
図1のII)。検査依頼に関する情報は、統合データ管理装置Aに送信され、マスターテーブルMに患者情報と共に記録される。検査依頼に関する情報には、検査依頼日、検査識別情報(ID)、検査パネル番号、検体種別、患者に関する情報(患者情報)等の情報が含まれうる。患者情報には、患者識別情報(ID)、患者氏名、性別、年齢、病理診断結果、患者の病歴、患者の家族歴等が含まれ得る。
【0028】
検査が依頼されると、医療施設B1において、検査に必要な検体の採取が行われる(
図1のIII)。検体は、一人の患者につき、通常、腫瘍細胞を含む検体と非腫瘍細胞を含む検体とが採取される。検体の採取は、病理医H1bや臨床検査技師H3が行い得る。採取された検体は、検査施設C1に搬送される。
【0029】
検査施設C1では、臨床検査技師T1が、検体の前処理を行い、次世代シーケンサーを用いて検体に含まれる核酸の塩基配列のシーケンシングを行い、遺伝子パネル検査を実施する(
図1のIV)。検査実施後、臨床検査技師T1とバイオインフォマティシャンT2が連携し、検査報告書(レポートとも言う)が作成される。また、この他に、検査の進捗状況を示す前処理情報等の検査状況に関する情報、検査や検体の品質に関する品質情報、検査結果の概要を示す属性情報(以下、単に「属性情報」、又は「属性」と呼ぶことがある)が生成される。属性情報には、所定の遺伝子に関する変異の有無に関する第1の属性情報と、変異の種類に関する第2の属性情報を含み得る。遺伝子パネル検査の検査結果、前処理情報、検査や検体の品質情報、属性情報は、統合データ管理装置Aに送信され、検査依頼に関する情報、患者情報と対応づけられて、マスターテーブルMに記録される。また、検査報告書は、紙媒体で検査を依頼した医療施設B1に返送され得る。
【0030】
図2に、統合データ管理装置Aから出力される表示情報を含む、グラフィカルユーザインタフェースUIの例を示す。
図2(a)において、検査依頼が行われると、検査依頼に関する情報に含まれる遺伝子パネル検査が行われる。遺伝子パネル検査の検査対象の遺伝子として、例えば、a遺伝子、b遺伝子、c遺伝子、d遺伝子・・・のように所定の遺伝子が含まれている。遺伝子パネル検査の結果には、属性情報が付される。
図2(b)において、グラフィカルユーザインタフェースUIは、検査依頼リストを表示する検査依頼リスト領域UI1と、表示日時を示す領域UI10を備える。検査依頼リスト領域UI1は、個々の検査依頼を表示する個別検査依頼表示領域UI3を備える。検査依頼リスト領域UI1は、複数の個別検査依頼表示領域UI3を備え得る。検査依頼リスト領域UI1には、個々の検査の依頼日、検査依頼ID、検査状況、患者情報、結果の属性情報、結果登録状況等を示す列領域を備え得る。例えば、検査依頼ID領域には、個々の検査を識別するための検査依頼IDを示すラベルが、T01、T02、・・・・のように付されている。個々のIDには、例えば、マスターテーブルMに登録されている個々の検査依頼に関する情報へのリンクが張られている。検査状況領域は、検査施設C1から送信された「検査完了」、「前処理完了」等の検査状況を示すラベルが表示される。患者情報領域には、「登録済」、又は「未登録」のラベルが表示される。「登録済」のラベルにはマスターテーブルMに登録されている個々の検査依頼に紐付けられた患者情報へのリンクが張られている。結果の属性情報には、検査施設C1から送信された、第1の属性情報として変異が有るか無いかを示すラベル、第2の属性情報として変異の種類を示すラベル、「アクショナブル変異」、「生殖細胞変異」、「その他」が表示され得る。結果登録領域には、検査施設C1から送信された遺伝子パネル検査の結果がマスターテーブルMに登録されているか否かを示す「登録済」、「未登録」のラベルが表示され得る。
【0031】
検査依頼リスト領域UI1に表示される情報が、複数の前記検査依頼と属性とを各々対応させて表示するための表示情報となる。
【0032】
図1に戻り、医療施設B1では、担当医H1aが、統合データ管理装置Aから出力される検査依頼リストから、前記遺伝子パネル検査を受けた患者P1の個別検査依頼表示領域UI3にアクセスし、専門家会議の開催を要請する(
図1のV)。担当医H1aが、例えば、医療施設B1に備えられた専門家会議端末から統合データ管理装置Aにアクセスすると、
図3に示すグラフィカルユーザインタフェースUIが表示され得る。グラフィカルユーザインタフェースUIの検査依頼リスト領域UI1には、専門家会議の設定状況を示す設定状況領域と、開催日時領域が表示されている。設定状況領域は、会議が設定されているか否かを示す領域である。開催日時欄は、専門家会議が設定されると、そのスケジュールを表示する。専門家会議が設定されていない場合には、「未設定」のラベルが表示される。担当医H1aは患者P1の個別検査依頼表示領域UI3から、未設定のラベルを選択することにより、専門家会議のスケジュールを設定することができる。これにより、患者P1の遺伝子パネル検査の結果についての専門家会議の開催が要請される。
【0033】
ここで、一般的に遺伝子パネル検査が行われた場合、その結果についてはほぼ全ての患者について専門家会議が開催され、治療方針が決定される。ほぼ全てとは、例えば検査や検体の品質が検査に耐えなかった場合や、患者が死亡した場合等が除かれ得ることを意図する。
【0034】
図1に戻る。患者P1の遺伝子パネル検査について、担当医H1aが設定した日時に専門家会議が開催される(
図1のVI)。専門家会議は、一般的に専門家会議端末等を使用し、Web会議等で行われ得る。専門家会議において、患者P1に対する腫瘍の治療方針が決定され、その結果がマスターテーブルMに記録される。
【0035】
担当医H1aは、専門家会議で示された治療方針について患者P1に説明する(
図1のVII)。治療方針について、患者P1の同意が得られれば、治療が開始される(
図1のVIII)。
ここで、医療施設は複数であってもよい。この場合、符号B1、B2、B3のように、各医療施設を表す。
【0036】
塩基配列の変異は、腫瘍細胞に由来する核酸を含む検体と、非腫瘍細胞に由来する核酸を含む検体から抽出された核酸を用いて、(工程1)患者から採取された腫瘍細胞に由来する第1の核酸配列データと、同一患者から採取された非腫瘍細胞に由来する第2の核酸配列データとを取得すること;(工程2)第1の核酸配列データ、又は第1の核酸配列データと第2の核酸配列データに基づいて体細胞変異を検出すること;或いは(工程2’)第2の核酸配列データに基づいて生殖細胞変異を検出することを含む方法により検出することができる。
【0037】
腫瘍は、良性上皮性腫瘍、良性非上皮性腫瘍、悪性上皮性腫瘍、悪性非上皮性腫瘍を含み得る。腫瘍の発生母地は、制限されない。腫瘍の発生母地として、気管、気管支又は肺等の呼吸器系組織;上咽頭、食道、胃、十二指腸、空腸、回腸、盲腸、虫垂、上行結腸、横行結腸、S状結腸、直腸又は肛門部等の消化管組織;肝臓;膵臓;膀胱、尿管又は腎臓等の泌尿器系組織;卵巣、卵管及び子宮等の女性生殖器系組織;乳腺:前立腺等の男性生殖器系組織;皮膚;視床下部、下垂体、甲状腺、副甲状腺、副腎等の内分泌系組織;中枢神経系組織;骨軟部組織;骨髄、リンパ節等の造血系組織;血管等を例示することができる。
【0038】
検体は、患者から採取した組織、体液、排泄物、これらから調製された試料等、腫瘍細胞に由来する核酸を含む試料である。体液は、例えば、血液、骨髄液、腹水、胸水、髄液等である。排泄物は、たとえば大便、尿である。腹腔内洗浄液や大腸洗浄液など、患者の体の一部を洗浄した後に得られる液体を用いてもよい。
【0039】
検体に含まれる核酸量は、核酸の配列を検出できる量であれば制限されない。また、非腫瘍細胞に由来する核酸配列データを取得する場合、非腫瘍細胞に由来する核酸を含む検体が用いられる。前記組織、体液等に含まれる非腫瘍細胞の濃度は、非腫瘍細胞に存在する核酸の配列を検出できる限り制限されない。ここで、腫瘍細胞が固形腫瘍に由来する場合には、非腫瘍細胞を含む検体として、例えば、末梢血、口腔粘膜組織、皮膚組織等を使用することができる。腫瘍細胞が造血系組織に由来する場合には、非腫瘍細胞を含む検体として、例えば、口腔粘膜組織、皮膚組織等を使用することができる。
前記検体は新鮮組織、新鮮凍結組織、パラフィン包埋組織等から採取することができる。検体の採取は公知の方法にしたがって行うことができる。
【0040】
腫瘍細胞に由来する核酸を含む検体と、非腫瘍細胞に由来する核酸を含む検体とは、同一の患者から採取される。非腫瘍細胞に由来する核酸を含む試料と、腫瘍細胞に由来する核酸を含む試料とは、同時期に採取されてもよいし、異なる時期に採取されてもよい。 核酸は、DNAであってもRNAであってもよい。
【0041】
核酸配列の解析対象となる遺伝子は、ヒトゲノム上に存在する遺伝子である限り、制限されない。好ましくは、腫瘍の発症、予後、治療効果に関連する遺伝子である。
【0042】
生殖細胞変異は、疾患に関連する変異であっても、遺伝子の配列多型であってもよい。遺伝子の「多型」は、SNV(Single Nucleotide Variant、一塩基多型)、VNTR(Variable Nucleotide of Tandem Repeat、反復配列多型)、及びSTRP(Short Tandem Repeat Polymorphism、マイクロサテライト多型)などを含む。表1の左列に生殖細胞変異を検出し得る遺伝子の例を示す。表1の左列に記載の遺伝子は、それぞれ当該表の右列に示す疾患に関連する。
【0043】
【0044】
核酸配列データは、核酸配列を反映したデータである限り制限されない。核酸配列データは、核酸配列情報そのものであってもよいが、核酸配列の構造、核酸配列上の変異の有無を示すデータ、核酸配列に由来するタンパク質の構造を示すデータであってもよい。好ましくは、核酸配列情報そのものである。
【0045】
核酸配列データの取得は、変異情報が取得できる方法である限り制限されない。核酸配列データの取得は、後述する次世代シーケンサーを使って核酸配列情報そのものを取得してもよいが、PCR-Invader法、PCR-RFLP法、PCR-SSCP法、サザンブロッティング法、ノーザンブロッティング法、ウエスタンブロッティング法、FISH法、マイクロアレイ法、免疫染色法等により、核酸配列の構造、核酸配列上の変異の有無を示すデータ、核酸配列に由来するタンパク質の構造を示すデータを、核酸配列データとして取得してもよい。これらの核酸配列データの取得方法は、公知である。腫瘍細胞に由来する第1の核酸配列データと非腫瘍細胞に由来する第2の核酸配列データの取得方法は、同じ方法であることが好ましい。
【0046】
体細胞変異及び生殖細胞変異の検出は、一般的な配列として報告されている参照配列データと、第1の核酸配列データ及び第2の核酸配列データとを比較することにより行うことができる。例えば、参照配列データと第1の核酸配列データとを比較する場合には、参照配列データ内の配列と異なる第1の核酸配列データ内の配列を検出することにより、第1の核酸配列データ内の変異を検出することができる。同様に、参照配列データと第2の核酸配列データとを比較する場合には、参照配列データ内の配列と異なる第2の核酸配列データ内の配列を検出することにより、第2の核酸配列データ内の変異を検出することができる。
【0047】
図2(b)及び
図3においては、全ての検査依頼を一覧として表示しているが、前記一覧は、例えば、検査日、属性情報、専門家会議の設定の有無、等に応じてリスト表示を変更してもよい。
【0048】
II.遺伝子パネル検査の検査依頼の管理システム
1.システムの構成
図4を用いて、遺伝子パネル検査の検査依頼をコンピュータにより管理するための管理システム1000(以下、単にシステム1000とする)の構成について説明する。システム1000に接続する医療施設は、複数存在し得る。ここでは3つの医療施設B1、医療施設B2、医療施設B3が接続している例を示す。システム1000は、医療施設B1に設置された臨床情報管理装置B10及び専門家会議端末B15と、医療施設B2に設置された臨床情報管理装置B20及び専門家会議端末B25と、医療施設B3に設置された臨床情報管理装置B30及び専門家会議端末B35と、を備える。臨床情報管理装置B10、専門家会議端末B15、臨床情報管理装置B20、専門家会議端末B25、臨床情報管理装置B30、及び専門家会議端末B35は、統合データ管理装置Aと通信可能に、有線又は無線のネットワークを介して接続されている。臨床情報管理装置B10,B20,B30は、医療施設内における、検査依頼、検査結果、処方箋情報、食事情報、手術情報等のカルテ記載情報を統合的に管理する管理装置である。臨床情報管理装置B10,B20,B30はそれぞれ、電子カルテデータベース(電子カルテDB)B11,B21,B31と、検査画像データベース(検査画像DB)B12,B22,B32と、検査依頼データベース(検査依頼DB)B13,B23,B33と通信可能に、有線又は無線のネットワークで接続されている。各医療施設の専門家会議端末B15,B25,B35は、統合データ管理装置Aから出力されるグラフィカルユーザインタフェースUIの表示や、専門家会議の開催の要請等に使用される。本実施形態において、臨床情報管理装置B10、専門家会議端末B15、臨床情報管理装置B20、専門家会議端末B25、臨床情報管理装置B30、及び専門家会議端末B35には、統合データ管理装置Aにアクセスするための専用のアプリケーションがインストールされている。
【0049】
また、システム1000は、検査施設C1に設置された、検査情報管理装置C11と、検査情報管理装置C11に接続された次世代シーケンサーC13と、検査施設C1の専門家会議端末C15とを備える。検査情報管理装置C11と、検査施設C1の専門家会議端末C15は、統合データ管理装置Aと通信可能に、有線又は無線のネットワークを介して接続されている。検査情報管理装置C11は次世代シーケンサーC13から取得された核酸配列データを用いて塩基配列の解析を行う。また、検査情報管理装置C11は、検体の受領、検体及び検査の品質情報、検査の進捗状況の管理等を行う。検査施設C1の専門家会議端末C15は、専門家会議に参加する臨床検査技師やバイオインフォマティスが、統合データ管理装置Aから出力されるグラフィカルユーザインタフェースUIを表示したり、専門家会議に参加する際に使用される。
【0050】
システム1000は、外部施設SP1に設置された専門家会議端末SP11を備える。外部施設SP1の専門家会議端末SP11は、統合データ管理装置Aと通信可能に、有線又は無線のネットワークを介して接続されている。専門家会議端末SP11は、専門家会議に参加する遺伝子カウンセラーや分子遺伝学の研究者が、統合データ管理装置Aから出力されるグラフィカルユーザインタフェースUIを表示したり、専門家会議に参加する際に使用される。ここで、外部施設は複数であってもよい。ここでは、5つの外部施設が存在する場合を例とし、外部施設SP1~SP5で表している。また、外部施設に設置された専門家会議端末も外部施設の専門家会議端末SP11~SP15で表している。また、外部施設の専門家会議端末のうちの1台、例えば専門家会議端末SP15は、専門家会議を統率する専門家会議の事務局が使用する端末であり得る。外部施設の専門家会議端末SP15を、事務局専門家会議端末SP15ともよび、専門家会議スケジュールデータベースSDBに新しい専門家会議スケジュール枠を登録するために使用される。
【0051】
さらに、システム1000は、外部機関のデータベースである薬剤情報データベース(単に、薬剤データベースや薬剤DBともいう)F11、治験情報データベース(単に、治験データベースや治験DBともいう)F21、論文情報データベース(単に、論文データベースや論文DBともいう)F31を含み得る。薬剤情報データベースF11、治験データベースF21、論文データベースF31は、統合データ管理装置Aと通信可能に、有線又は無線のネットワークを介して接続されている。
薬剤情報データベースF11の例として、例えば、CanDL(https://candl.osu.edu/)、Cancer Genome Interpreter (https://www.cancergenomeinterpreter.org/home)、CIViC (https://civicdb.org/home)、OncoKB(https://oncokb.org/)等を挙げることができる。治験情報データベースF21として、例えば、clinicaltrials.gov (https://clinicaltrials.gov/)、FAERS(https://www.fda.gov/Drugs/GuidanceComplianceRegulatoryInformation/Surveillance/AdverseDrugEffects/ucm082193.htm)を挙げることができる。論文情報データベースF31として、例えば、PubMed(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/)を挙げることができる。
【0052】
システム1000において、遺伝子パネル検査に関する検査依頼情報や、属性情報、品質情報、専門家会議設定等を統合するのは、統合データ管理装置Aであるため、それ以外の装置や端末は本発明において「他のコンピュータ」と呼ばれることがある。
【0053】
2.統合データ管理装置
2-1.統合データ管理装置のハードウエアの構成
図5に、統合データ管理装置A(単に、「管理装置A」ともいう)のハードウエアの構成を示す。
【0054】
統合データ管理装置Aは、汎用コンピュータであり得る。
統合データ管理装置Aは、制御部100Aと、入力部106Aと、出力部107Aとを備える。
【0055】
制御部100Aは、後述するデータ処理を行うCPU(Central Processing Unit)101Aと、データ処理を行うための一時的な記憶領域として使用するメモリ102Aと、後述するプログラム及び処理データを記録する記憶装置103Aと、各部の間でデータを伝送するバス104Aとを備える。入力部106A及び出力部107Aは、制御部100Aに接続される。例示的には、入力部106Aは、キーボード、マウス、タッチセンサ等を含む。出力部107Aは、ディスプレイ、プリンタ、スピーカ等を含む。また、タッチセンサとディスプレイとが一体化されたタッチパネルのような、入力部及び出力部の双方の機能を有する装置を用いてもよい。I/F部105Aは、制御部100Aが外部の装置、又はネットワークと通信するためのインタフェースである。制御部100Aは、I/F部105Aを介して、ネットワーク99に接続し、臨床情報管理装置B10、医療施設B1の専門家会議端末B15、臨床情報管理装置B20、医療施設B1の専門家会議端末B25、臨床情報管理装置B30、医療施設B1の専門家会議端末B35、検査情報管理装置C11、検査施設C1の専門家会議端末C15、外部施設の専門家会議端末SP11、外部施設の専門家会議端末SP15、外部機関のデータベースである薬剤情報データベース(薬剤情報DB)F11、治験データベース(治験DB)F21、及び論文データベース(論文DB)F31と通信し得る。
【0056】
また、記憶装置103Aは、オペレーティングシステム(OS)、以下の
図19から
図22、
図32、
図33、
図39、
図42、
図44、
図48、
図51、
図55及び
図57に示す各ステップの処理を行うためのアプリケーションプログラム、及びメールソフトを、例えば実行形式で記憶装置103Aに予め記録している。実行形式は、例えばプログラミング言語からコンパイラにより変換されて生成される形式である。制御部100Aは、記憶装置103Aに記録した各プログラムを使用して、
図19から
図22、
図32、
図33、
図39、
図42、
図44、
図48、
図51、
図55及び
図57に示す各処理を行う。また、記憶装置103Aには、マスターテーブルM及び、マスターテーブルMにリンクする専門家会議スケジュールデータベースSDB等、後述する処理に使用される各種データベースが記録されている。制御部100Aは、各臨床情報管理装置、検査情報管理装置、各医療施設の専門家会議端末から送信された情報に基づいて、マスターテーブルM内の情報を更新する。また、制御部100Aは、各医療施設の専門家会議端末、検査施設C1の専門家会議端末及び各外部施設の専門家会議端末から送信された情報に基づいて、専門家会議スケジュールデータベースSDB内の情報を更新する。
【0057】
以下の説明においては、特に断らない限り、制御部100Aが行う処理は、記憶装置103A又はメモリ102Aに格納されたアプリケーションプログラムに基づいて、CPU101Aが行う処理を意味する。CPU101Aはメモリ102Aを作業領域として必要なデータ(処理途中の中間データ等)を揮発性に一時記憶し、記憶装置103Aに解析結果等の長期保存するデータを不揮発性に適宜記憶する。
【0058】
アプリケーションプログラムは、DVDやUSBメモリなどの外部記憶媒体98Aからダウンロードして制御部100Aの記憶装置103Aにインストールしてもよい。
【0059】
2-2.統合データ管理装置の制御部の機能構成
図6に、統合データ管理装置Aの制御部100Aの機能構成を示す。
統合データ管理装置Aの制御部100Aは、検査依頼受信部A1、検査依頼送信部A3、患者情報受信部A5、検査状況管理部A7、品質情報管理部A11、属性情報取得部A15、レポート取得部A17、検査依頼リスト出力部A19、スケジュール受信部A20、スケジュール出力部A21、患者情報出力部A23、会議内容受信部A25、会議内容出力部A27、マスターテーブル更新部A50、薬剤情報DBアクセス部A31、治験DBアクセス部A33、論文DBアクセス部A35、統合データベースOGを備える。統合データベースOG内には、マスターテーブルM、マスターテーブルMにリンクする各種データテーブル、及び専門家会議スケジュールデータベースSDB等が格納される。
【0060】
検査依頼受信部A1、患者情報受信部A5、検査状況管理部A7、品質情報管理部A11、属性情報取得部A15、レポート取得部A17、検査依頼リスト出力部A19、スケジュール受信部A20、患者情報出力部A23、会議内容受信部A25、会議内容出力部A27は、マスターテーブル更新部A50、マスターテーブルM内の情報を更新する。スケジュール受信部A20は、各医療施設の専門家会議端末B15,B25,B35から受信した専門家会議の設定日時を専門家会議スケジュールデータベースSDBに格納する。
【0061】
スケジュール出力部A21は、各医療施設の専門家会議端末B15,B25,B35,C15,SP11,SP15に各医療施設の専門家会議端末B15,B25,B35から受信した専門家会議の設定日時をメールソフト等で送信する。
【0062】
薬剤情報DBアクセス部A31、治験DBアクセス部A33、論文DBアクセス部A35は、それぞれI/F部105Aを介して、それぞれ薬剤情報データベースF11、治験データベースF21、論文データベースF31に接続する。
【0063】
2-3.マスターテーブルの構成
図7に、マスターテーブルMの一例を示す。
マスターテーブルMには、患者の識別ラベルである「患者ID」を記録する領域と、検体の識別ラベルである「検体ID」を記録する領域と、検査依頼の識別ラベルである「検査依頼ID」を記録する領域と、遺伝子パネル検査の識別ラベルである「遺伝子パネルID」を記録する領域と、「患者氏名」を記録する領域と、「患者の性別」を記録する領域と、「患者の生年月日」を記録する領域と、患者のインフォームドコンセント情報である「患者の同意」を記録する領域と、「検査依頼日」を記録する領域と、担当医の識別ラベルである「医療関係者のユーザID」を記録する領域と、「医療関係者のユーザID」に対応する「医療関係者の氏名」を記録する領域と、専門家会議を担当するグループラベルである「グループID」を記録する領域と、検査の進捗状況を示す情報である「検査状況」を記録する領域と、患者の臨床情報に関連する情報である「患者情報」を示す領域と、遺伝子パネル検査の結果に関する情報である「検査結果」を記録する領域と、検査結果の概要であって遺伝子変異の有無の情報である「第1の属性情報」を記録する領域と、検査結果の概要であって遺伝子変異の種類に関する情報である「第2の属性情報」を記録する領域と、検体や検査の品質に関する情報である「品質情報」を記録する領域と、専門家会議を統率する事務局の識別情報である「事務局施設ID」を記録する領域と、専門家会議の「開催日時」を記録する領域とが格納される。
【0064】
図7のマスターテーブルMには、遺伝子パネル検査の際、一人の患者の1回の検査において、検体として腫瘍細胞を含む第1の検体と、正常細胞を含む第2の検体とを使用する例を示す。一人の患者の1回の検査で2種類の検体を用いるため、
図7のマスターテーブルMでは、「検体ID」、「検査状況」、「品質情報」を除き、1行目と2行目の個別検査依頼表示領域UI3と、3行目と4行目の個別検査依頼表示領域UI3が同じ内容となっている。
【0065】
マスターテーブルMの各欄には、他のデータベース、またはデータテーブルがリンクし得る。例えば、
図7のマスターテーブルMの「患者情報」の欄には、後述する
図19のステップST2において、
図8に示す臨床情報管理装置B10から統合データ管理装置Aに送信される患者情報の一つである、検体IDに対応する病理画像データを格納する病理画像テーブルPTがリンクしている。病理画像テーブルPTに格納される情報は、臨床情報管理装置B10から統合データ管理装置Aに送信さる。病理画像テーブルPTは、統合データベースOGに記録される。
【0066】
図7のマスターテーブルMの「事務局施設ID」の欄には、
図9に示す専門家会議の「グループID」と、を構成するユーザの識別情報を記録した「グループを構成するユーザID」を含む専門家会議グループテーブルGTとがリンクしている。専門家会議グループテーブルGTの「グループID」は、マスターテーブルMの「グループID」に対応する。
図9の「施設ID」F01には、2つのグループIDであるG01とG02が対応している。G01には、ユーザID:U01、U02、U03、U04、U05・・・で識別される構成員が登録されている。また、G01には、ユーザID U01、U04、U06、U10、U11・・・で識別される構成員が登録されている。
【0067】
さらに、
図7のマスターテーブルMの「医療関係者のユーザID」を記録する欄には、
図10(a)に示す各医療関係者の役割を示す役割テーブルCTがリンクしている。各医療関係者は、システム1000においてユーザIDにより識別されている。各医療関係者の役割は、
図10(a)に示す役割IDにより識別される。
図10(a)において、ユーザID:U01には、役割を示す識別情報として役割ID「R01」が記録されている。また、ユーザID:U01、U02には、「役割ID」としてR02が記録されている。また、役割IDに応じて、後述する検査依頼リストにおいて表示可能な情報が異なる場合がある。
図10(a)に示す「役割ID」には、
図10(b)に示す閲覧可能情報テーブルATがリンクしている。閲覧可能情報テーブルATには、役割IDに応じて、後述する検査依頼リストにおいて表示可能な情報のリストが格納されている。例えば、
図10(b)に示す例では、システム1000を利用するユーザ全員が閲覧することが可能な共通項目と、役割IDに応じて追加閲覧が可能な追加項目とが存在している。
図10(b)では、共通項目として、「検査依頼日」、「患者ID」、「属性情報」が例示されている。役割ID:R01を有するユーザが閲覧可能な追加項目として、「会議スケジュール情報」、「検査状況」、「検査結果」、「患者情報」が例示されている。役割ID:R02を有するユーザが閲覧可能な追加項目として、「検査状況」、「検査結果」、「薬剤情報」、「治験情報」、「論文情報」、「患者IC情報」、「患者情報」が例示されている。
専門家会議グループテーブルGT、役割テーブルCT、及び閲覧可能情報テーブルATは、あらかじめ生成され、統合データベースOGに記録されている。
【0068】
3.臨床情報管理装置
3-1.臨床情報管理装置のハードウエアの構成
図11に、臨床情報管理装置B10,B20,B30のハードウエアの構成を示す。 臨床情報管理装置B10,B20,B30は、汎用コンピュータであり得る。臨床情報管理装置B10,B20,B30のハードウエアの構成は、基本的には、統合データ管理装置Aと同様である。統合データ管理装置Aにおける制御部100A、入力部106A、出力部107A、CPU101A、メモリ102A、記憶装置103A、バス104A、I/F部105Aは、臨床情報管理装置B10,B20,B30において、制御部100B、入力部106B、出力部107B、CPU101B、メモリ102B、記憶装置103B、バス104B、I/F部105Bと読み替えるものとする。
【0069】
記憶装置103Bは、オペレーティングシステム(OS)、以下の
図19及び
図53に示す各ステップの処理を行うためのコンピュータプログラム、電子カルテデータベース(DB)B11に格納された電子カルテを表示するためのコンピュータプログラム、検査画像データベース(DB)B12に格納された検査画像を表示するためのコンピュータプログラム、病院等の検査依頼を行うコンピュータプログラム、遺伝子パネル検査の検査依頼を行うブラウザソフト、統合データ管理装置Aから出力された表示情報等を表示するためのブラウザソフト等を予め記録している。また、記憶装置103Bは、電子カルテデータベース(DB)B11、検査画像データベース(DB)B12、検査依頼データベース(DB)B13を格納していてもよい。
【0070】
上述のコンピュータプログラム、及びブラウザソフトは、DVDやUSBメモリなどの外部記憶媒体98Bからダウンロードして記憶装置103Bにインストールしてもよい。
【0071】
制御部100Bは、I/F部105Bを介して、ネットワーク99に接続し、統合データ管理装置Aと通信する。
【0072】
3-2.臨床情報管理装置の制御部の機能構成
図12に、臨床情報管理装置B10,B20,B30の制御部100Bの機能構成を示す。
臨床情報管理装置B10,B20,B30の制御部100Bは、検査依頼情報取得部1B、検査依頼情報送信部3B、患者情報送信要求受信部5B、患者情報送信部7B、電子カルテデータベース(DB)B11、検査画像データベース(DB)B12、検査依頼データベース(DB)B13を備える。電子カルテデータベース(DB)B11、検査画像データベース(DB)B12、検査依頼データベース(DB)B13は、臨床情報管理装置B10,B20,B30の外部にあって、通信可能に接続されていてもよい。
【0073】
4.検査情報管理装置
4-1.検査情報管理装置のハードウエアの構成
図13に、検査情報管理装置C11のハードウエアの構成を示す。検査情報管理装置C11は、汎用コンピュータであり得る。
検査情報管理装置C11は、制御部100と、入力部106と、出力部107とを備える。
【0074】
制御部100は、後述するデータ処理を行うCPU101と、データ処理を行うための一時的な記憶領域として使用するメモリ102と、後述するプログラム及び処理データを記録する記憶装置103と、各部の間でデータを伝送するバス104と、外部機器とのデータの入出力を行うI/F部105とを備える。入力部106及び出力部107は、制御部100に接続される。例示的には、入力部106は、キーボード、マウス、タッチセンサ等を含む。出力部107は、ディスプレイ、プリンタ、スピーカ等を含む。また、タッチセンサとディスプレイとが一体化されたタッチパネルのような、入力部及び出力部の双方の機能を有する装置を用いてもよい。I/F部105は、制御部100が外部の装置と通信するためのインタフェースである。
【0075】
また、制御部100の記憶装置103は、オペレーションシステムと、以下の
図19、
図20、
図27、
図28、
図37、及び
図56に示す各ステップの処理を行うためのアプリケーションプログラムを、例えば実行形式で記憶装置103に予め記録している。実行形式は、例えばプログラミング言語からコンパイラにより変換されて生成される形式である。制御部100は、記憶装置103に記録したプログラムを使用して、核酸配列解析処理、属性情報取得処理、レポート生成処理を行う。
【0076】
以下の説明においては、特に断らない限り、制御部100が行う処理は、記憶装置103又はメモリ102に格納されたコンピュータプログラムに基づいて、CPU101が行う処理を意味する。CPU101はメモリ102を作業領域として必要なデータ(処理途中の中間データ等)を揮発性に一時記憶し、記憶装置103に解析結果等の長期保存するデータを不揮発性に適宜記憶する。
【0077】
アプリケーションプログラムは、DVDやUSBメモリなどの外部記憶媒体98からダウンロードして制御部100の記憶装置103にインストールしてもよい。
【0078】
検査情報管理装置C11は、ネットワーク99を介して変異情報データベース400および核酸配列データ記憶装置300に接続可能である。
【0079】
変異情報データベース400は、外部の公開配列情報データベース及び公開既知変異情報データベースなどである。公開配列情報データベースとしては、NCBI RefSeq(ウェブページ、www.ncbi.nlm.nih.gov/refseq/)、NCBI GenBank(ウェブページ、www.ncbi.nlm.nih.gov/genbank/)、UCSC Genome Browserなどが挙げられる。また、公開既知変異情報データベースとしては、COSMICデータベース(ウェブページ、www.sanger.ac.uk/genetics/CGP/cosmic/)、ClinVarデータベース(ウェブページ、www.ncbi.nlm.nih.gov/clinvar/)及びdbSNP(ウェブページ、www.ncbi.nlm.nih.gov/SNP/)などが挙げられる。なお、変異情報データベース400は、公開既知変異に関し、人種あるいは動物種別毎の頻度情報を含む公開既知変異情報データベースであってもよい。このような情報を有する公開既知変異情報データベースとしては、HapMap Genome Browser release #28、Human Genetic Variation Browser(ウェブページ、www.genome.med.kyoto-u.ac.jp/SnpDB/index.html)及び1000 Genomes(ウェブページ、www.1000genomes.org/)が挙げられ、これらのデータベースからは、例えば、日本人の変異頻度情報などを入手することができる。
【0080】
次世代シーケンサーC13に適用可能なシークエンシング技術の例としては、イオン半導体シークエンシング、パイロシークエンシング(pyrosequencing)、可逆色素ターミネータを使用するシークエンシング・バイ・シンセシス(sequencing-by-synthesis)、シークエンシング・バイ・リゲーション(sequencing-by-ligation)、及びオリゴヌクレオチドのプローブ結紮によるシークエンシングなどの、1ラン当たりに多数のリード配列を取得可能なシーケンシング技術が挙げられる。次世代シーケンサーC13は、核酸配列をシーケンシングし、核酸配列情報として、リード配列情報を取得する。リード配列は、シーケンシングによって得られた核酸配列である。次世代シーケンサーC13は、リード配列情報を出力する。リード配列情報には、配列名、核酸配列、シーケンシングのクオリティスコア等が含まれ得る。腫瘍細胞に由来する核酸から取得されたリード配列情報が第1の核酸配列データであり、非腫瘍細胞に由来する核酸から取得されたリード配列情報が第2の核酸配列データとなる。
核酸配列データ記憶装置300は、次世代シーケンサーC13によって取得された核酸配列データを記憶するコンピュータである。
【0081】
4-2.検査情報管理装置の制御部の機能構成
図14に、検査情報管理装置C11の制御部100の機能構成を示す。
検査情報管理装置C11の制御部100は、検査依頼情報取得部11、検査状況管理部12、リード配列情報取得部1、配列決定部2、変異検出部3、属性情報取得部4、レポート生成部5、情報出力部14、フォーム選択部9、フォームデータベース17、品質情報取得部16、検査管理データベースQCD、参照配列管理部102a、参照配列生成部102b、遺伝子パネル情報データベース121、参照配列データベース6、及び変異データベース7を含む。
【0082】
検査依頼情報取得部11は、統合データ管理装置Aから、検査依頼に関する情報を取得する。また、検査状況管理部12は、入力部106から臨床検査技師T1等が入力する検体受領情報、前処理情報、検査の進捗状況等を取得する。品質情報取得部16は、入力部106から臨床検査技師T1等が入力する検体の品質に関する情報を取得し、検査管理データベースQCDに格納された検査管理テーブルLに記録する。また、品質情報取得部16は、リード配列情報取得部1が取得するシーケンシング等の検査の品質に関する情報を取得し、検査管理データベースQCDに記録する。
【0083】
5.医療施設の専門家会議端末
5-1.医療施設の専門家会議端末のハードウエアの構成
図15に、医療施設B1,B2,B3に設置された専門家会議端末B15,B25,B35のハードウエアの構成を示す。
医療施設B1,B2,B3に設置された専門家会議端末B15,B25,B35は、汎用コンピュータであり得る。専門家会議端末B15,B25,B35のハードウエアの構成は、基本的には、統合データ管理装置Aと同様である。統合データ管理装置Aにおける制御部100A、入力部106A、出力部107A、CPU101A、メモリ102A、記憶装置103A、バス104A、I/F部105Aは、専門家会議端末B15,B25,B35において、制御部100X、入力部106X、出力部107X、CPU101X、メモリ102X、記憶装置103X、バス104X、I/F部105Xと読み替えるものとする。
【0084】
記憶装置103Xは、オペレーティングシステム(OS)、以下の
図21、
図22、
図43、
図23、
図26、
図30、
図31、
図33及び
図35に示す各ステップの処理を行うためのコンピュータプログラム、統合データ管理装置Aから出力された表示情報等を表示するためのブラウザソフト等を予め格納している。
ブラウザソフトは、DVDやUSBメモリなどの外部記憶媒体98Xからダウンロードして記憶装置103Xにインストールしてもよい。
制御部100Xは、I/F部105Xを介して、ネットワーク99に接続し、統合データ管理装置Aと通信する。
【0085】
5-2.医療施設の専門家会議端末の制御部の機能構成
図16に、医療施設B1,B2,B3に設置された専門家会議端末B15,B25,B35の制御部100Xの機能構成を示す。
医療施設B1,B2,B3に設置された専門家会議端末B15,B25,B35の制御部100Xは、スケジュール設定部X1、スケジュール受信部X3、検査依頼リスト表示要求部X5、検査依頼リスト出力部X7、特定検査依頼リスト出力部X9、品質情報出力部X11、外部データベース(DB)情報出力部X13、リスト内リンク選択部X15、会議内容取得部X17、会議内容出力部X19を備える。
【0086】
6.検査施設の専門家会議端末・外部施設の専門家会議端末
6-1.検査施設の専門家会議端末・外部施設の専門家会議端末のハードウエアの構成
図15に、検査施設C1の専門家会議端末C15及び外部施設SP1の専門家会議端末SP11のハードウエアの構成を示す。
【0087】
専門家会議端末C15及び専門家会議端末SP11は、汎用コンピュータであり得る。専門家会議端末C15及び専門家会議端末SP11のハードウエアの構成は、基本的には、統合データ管理装置Aと同様である。統合データ管理装置Aにおける制御部100A、入力部106A、出力部107A、CPU101A、メモリ102A、記憶装置103A、バス104A、I/F部105Aは、検査施設C1の専門家会議端末C15・外部施設SP1の専門家会議端末SP11において、制御部100Y、入力部106Y、出力部107Y、CPU101Y、メモリ102Y、記憶装置103Y、バス104Y、I/F部105Yと読み替えるものとする。
【0088】
記憶装置103Yは、オペレーティングシステム(OS)、以下の
図21、
図22、
図48、及び
図52に示す各ステップの処理を行うためのコンピュータプログラム、統合データ管理装置Aから出力された表示情報等を表示するためのブラウザソフト等を予め格納している。
【0089】
ブラウザソフトは、DVDやUSBメモリなどの外部記憶媒体98Yからダウンロードして記憶装置103Yにインストールしてもよい。
【0090】
制御部100Yは、I/F部105Yを介して、ネットワーク99に接続し、統合データ管理装置Aと通信する。
【0091】
6-2.検査施設の専門家会議端末・外部施設の専門家会議端末の制御部の機能構成
図17に、検査施設C1の専門家会議端末C15の制御部100Y及び外部施設SP1の専門家会議端末SP11の制御部100Yの機能構成を示す。
【0092】
専門家会議端末C15及び専門家会議端末SP11の制御部100Yは、スケジュール受信部Y1、検査依頼リスト表示要求部Y3、検査依頼リスト出力部Y5、特定検査依頼リスト出力部Y7、品質情報出力部Y9、外部データベース(DB)情報出力部Y11、リスト内リンク選択部Y13を備える。
【0093】
7.事務局専門家会議端末
7-1.事務局専門家会議端末のハードウエアの構成
図15に、事務局専門家会議端末SP15のハードウエアの構成を示す。
事務局専門家会議端末SP15は、汎用コンピュータであり得る。事務局専門家会議端末SP15のハードウエアの構成は、基本的には、統合データ管理装置Aと同様である。統合データ管理装置Aにおける制御部100A、入力部106A、出力部107A、CPU101A、メモリ102A、記憶装置103A、バス104A、I/F部105Aは、事務局専門家会議端末SP15において、制御部100Z、入力部106Z、出力部107Z、CPU101Z、メモリ102Z、記憶装置103Z、バス104Z、I/F部105Zと読み替えるものとする。
【0094】
記憶装置103Zは、オペレーティングシステム(OS)、以下の
図21、
図22、
図48、
図52、及び
図58で説明する各ステップの処理を行うためのコンピュータプログラム、統合データ管理装置Aから出力された表示情報等を表示するためのブラウザソフト等を予め格納している。
【0095】
ブラウザソフトは、DVDやUSBメモリなどの外部記憶媒体98Zからダウンロードして記憶装置103Zにインストールしてもよい。
【0096】
制御部100Zは、I/F部105Zを介して、ネットワーク99に接続し、統合データ管理装置Aと通信する。
【0097】
7-2.事務局専門家会議端末の制御部の機能構成
図18に、事務局専門家会議端末SP15の制御部100Zの機能構成を示す。
事務局専門家会議端末SP15の制御部100Zは、スケジュール受信部Z1、検査依頼リスト表示要求部Z3、検査依頼リスト出力部Z5、特定検査依頼リスト出力部Z7、品質情報出力部Z9、外部データベース(DB)情報出力部Z10、リスト内リンク選択部Z11、会議内容取得部Z13、会議内容出力部Z15、新規予約枠登録部Z17、スケジュール更新部Z19を備える。
【0098】
8.システムの動作
図19から
図22を用いて、遺伝子パネル検査の検査依頼の管理システム1000の動作について説明する。
8-1.検査依頼の流れ
システム1000において、はじめに、腫瘍を保有する患者について医療施設B1,B2,B3から、遺伝子パネル検査の依頼が行われる。
【0099】
システム1000に参加する医療施設は、複数存在し得るが、ここでは、医療施設B1を例にして、臨床情報管理装置B10及び医療施設B1の専門家会議端末B15を使用する場合を例にして動作を説明する。
【0100】
医療施設B1に設置された臨床情報管理装置B10の制御部100B(以下、単に臨床情報管理装置B10ともいう)は、
図19のステップST1において、入力部106Bからの担当医H1aによる検査依頼開始の入力を受け付ける。このとき制御部100Bは、
図12に示す検査依頼情報取得部1Bとして機能する。検査依頼情報取得部1Bの処理は、後述する。
【0101】
検査依頼の入力は、
図23に示すグラフィカルユーザインタフェースUIaを介して行われる。グラフィカルユーザインタフェースUIaは、依頼元の医療施設の情報を入力するための医療施設情報入力領域UIa1と、検査依頼情報を入力するための検査依頼情報入力領域UIa3と、依頼を確定するための依頼確定アイコンUIa7を備え得る。医療施設情報入力領域UIa1には施設名を表示する領域UIa11と、施設の識別情報(ID)を入力する領域UIa13と、施設の住所を入力する領域UIa15と、施設の連絡先を入力する領域UIa17が設けられている。
【0102】
検査依頼情報入力領域UIa3には、依頼する遺伝子パネル検査を特定するための検査種別を入力する領域UIa31と、検査を依頼する患者の担当医名を入力する領域UIa32と、担当医の遺伝子パネル検査におけるユーザとしての識別情報を入力する領域UIa33と、患者の識別情報(ID)を入力する領域UIa34と、患者のインフォームドコンセントに関する情報を入力する領域UIa35と、患者の氏名を入力する領域UIa41と、患者の性別を入力する領域UIa42と、患者の生年月日を入力する領域UIa43と、遺伝子パネル検査を依頼する検査施設名を入力する領域UIa44と、検査依頼日を入力する領域UIa51と、専門家会議を統率する事務局となる施設名を入力する領域UIa52、前記事務局となる施設の識別情報(ID)を入力する領域UIa53と、腫瘍細胞に由来する核酸を含む第1の検体のIDを入力する領域UIa57と、非腫瘍細胞に由来する核酸を含む第2の検体のIDを入力する領域UIa58が設けられている。
【0103】
担当医H1aが、臨床情報管理装置B10の入力部106Bより、グラフィカルユーザインタフェースUIaの各領域の一部、又は全部に入力し、依頼確定アイコンUIa7を選択すると、臨床情報管理装置B10は、グラフィカルユーザインタフェースUIaに入力された内容を検査依頼に関連する情報として、統合データ管理装置Aに送信する。この時、臨床情報管理装置B10の制御部100Bは、検査依頼情報送信部3Bとして機能する。
【0104】
統合データ管理装置Aの制御部100A(以下、単に統合データ管理装置Aという)は
図19のステップST21において、臨床情報管理装置B10から送信された検査依頼情報を、I/F部105Aを介して受信する。このとき、制御部100Aは、検査依頼受信部A1として機能する。
【0105】
続いて、ステップST22において、統合データ管理装置Aは、検査依頼情報をマスターテーブルMに記録し、マスターテーブルMを更新する。このとき、制御部100Aは、マスターテーブル更新部A50として機能する。
【0106】
図19のステップST22のマスターテーブルMの更新処理において、グラフィカルユーザインタフェースUIaから入力された検査依頼に関する情報は、例えば、以下の対応関係で、マスターテーブルMへ反映され得る。
【0107】
マスターテーブルMの「患者ID」を示す列と、患者ID入力領域UIa34
マスターテーブルMの「検体ID」を示す列と、第1の検体ID入力領域UIa57及び第2の検体ID入力領域UIa58
マスターテーブルMの「遺伝子パネルID」領域と、検査種別入力領域UIa31
マスターテーブルMの「患者氏名」領域と、患者氏名入力領域UIa41
マスターテーブルMの「患者の性別」領域と、患者性別入力領域UIa42
マスターテーブルMの「患者の生年月日」領域と、患者生年月日入力領域UIa43 マスターテーブルMの「患者の同意」領域と、患インフォームドコンセント情報入力領域UIa35
マスターテーブルMの「検査依頼日」領域と、検査依頼日入力領域UIa51、
マスターテーブルMの「医療関係者のユーザID」領域と、担当医ユーザID入力領域UIa33
マスターテーブルMの「医療関係者の氏名」領域と、担当医名入力領域UIa32
マスターテーブルMの「事務局施設」領域と、事務局施設名入力領域UIa52。
【0108】
図7に入力領域が示されていない、上記以外の検査依頼に関する情報も、マスターテーブルMの所定の領域に格納される。
【0109】
ここで、マスターテーブルMの「検査依頼ID」領域に入力される情報は、例えば、マスターテーブルMにあらかじめ付されており、統合データ管理装置Aが、新しい検査依頼に関する情報を取得すると、自動的に、「検査依頼ID」領域以外の同行の欄が空欄であり、検査依頼IDが最も小さい番号である行の欄に、取得した新しい検査依頼に関する情報を入力することで、新たな検査依頼に関する情報とマスターテーブルM内の検査依頼IDを対応させることができる。
【0110】
次に、統合データ管理装置Aは、
図19のステップST23において、ステップST22で取得した検査依頼情報を、I/F部105Aを介して検査情報管理装置C11に送信する。このとき、取得した検査依頼情報の他、ステップST22において付した検査依頼IDを検査依頼情報に含めて、検査情報管理装置C11に送信してもよい。ステップST23において、統合データ管理装置Aの制御部100Aは、検査依頼送信部A3として機能する。
図19のステップST23における送信は、統合データ管理装置AがマスターテーブルMを更新したことをトリガーとして行ってもよい。また、統合データ管理装置Aを操作するオペレータが入力部106Aを介して送信要求を入力してもよい。
【0111】
検査情報管理装置C11の制御部100(以下、単に検査情報管理装置C11ともいう)は、ステップST61において、I/F部105を介して、統合データ管理装置Aから送信された検査依頼情報を取得する。検査情報管理装置C11は、取得した検査依頼情報を記憶装置103に格納する。このとき、検査情報管理装置C11の制御部100は、検査依頼情報取得部11として機能する。
図24に、検査情報管理装置C11に格納されている検査情報管理装置C11において取得されるデータを格納するための、検査管理テーブルLの例を示す。
図19のステップST61において取得された検査依頼に関する情報は、例えば、以下の対応関係で、検査管理テーブルLへ反映され得る。
【0112】
検査管理テーブルLの「患者ID」を示す列と、患者ID入力領域UIa34
検査管理テーブルLの「検体ID」を示す列と、第1の検体ID入力領域UIa57及び第2の検体ID入力領域UIa58
検査管理テーブルLの「遺伝子パネルID」領域と、検査種別入力領域UIa31
検査管理テーブルLの「患者氏名」領域と、患者氏名入力領域UIa41
検査管理テーブルLの「患者の性別」領域と、患者性別入力領域UIa42
検査管理テーブルLの「患者の生年月日」領域と、患者生年月日入力領域UIa43 検査管理テーブルLの「患者の同意」領域と、患インフォームドコンセント情報入力領域UIa35
検査管理テーブルLの「検査依頼日」領域と、検査依頼日入力領域UIa51、
検査管理テーブルLの「医療関係者のユーザID」と、担当医ユーザID入力領域UIa33
検査管理テーブルLの「医療関係者の氏名」領域と、担当医名入力領域UIa32。
【0113】
検査管理テーブルLは、マスターテーブルMと同じ構成であってもよいが、検査段階に、専門家会議の事務局や開催日時、グループID、患者情報等はなくてもよい。
【0114】
次に、臨床情報管理装置B10は、
図19のステップST2において、検査依頼を行った患者の患者情報を電子カルテデータベースB11又は検査画像データベースB12から呼び出し、統合データ管理装置Aに送信する。このとき、臨床情報管理装置B10の制御部100Bは、患者情報送信部7Bとして機能する。
図19のステップST2において送信される情報は、ステップST1において検査依頼情報を送信する際に、検査依頼情報に含めて送信されてもよい。また担当医H1aが、入力部106Bから制御部100Bに送信要求を入力してもよい。例えば、患者情報の送信は、後述する
図21のステップST83において、担当医H1aが行ってもよい。このとき、臨床情報管理装置B10の制御部100Bは、患者情報送信要求受信部5Bとして機能する(
図12)。
【0115】
統合データ管理装置Aは、
図19のステップST25において、I/F部105Aを介して患者情報を受信する。このとき統合データ管理装置Aの制御部100は、患者情報受信部A5として機能する。
図19のステップST26において、統合データ管理装置Aは、患者情報をマスターテーブルMに記録し、マスターターテブルMを更新する。患者情報は、マスターテーブルMの「患者情報」領域に格納される。このとき統合データ管理装置Aの制御部100は、マスターテーブル更新部A50として機能する(
図6)。
【0116】
図19のステップST2、ステップST25及びステップST26の処理は、
図19のステップST1よりも前に行われてもよい。遅くとも、後述する専門家会議の設定(
図21のST83)が終了する前に行われればよい。
【0117】
8-2.遺伝子パネル検査の流れ
遺伝子パネル検査は、検査情報管理装置C11が検査依頼情報を受信することで開始される。医療施設B1で採取された患者の検体が、検査施設C1に搬入されると、例えば検査施設C1の臨床検査技師T1が、検査情報管理装置C11の入力部106を介して、記憶装置103に格納された検査管理テーブルLの検査状況の領域に検体受領済みのラベルを入力する。検査状況を示すラベルの一覧は、
図25に示す。検査状況のラベルは、検査の進捗に併せて、臨床検査技師T1により適宜入力され得る。検査情報管理装置C11は、この入力を受け付ける。このとき検査情報管理装置C11の制御部100は、検査状況管理部12として機能する(
図14)。
【0118】
図19のステップST63において、検査情報管理装置C11は、ステップST62において検査管理テーブルLの検査状況を「検体受領済」に更新した旨を、検体受領情報として、統合データ管理装置Aに送信する。このとき、検査情報管理装置C11の制御部100は、検査状況管理部12として機能する(
図6)。
【0119】
統合データ管理装置Aは、ステップST63において検査情報管理装置C11が送信した検体受領情報を、ステップST27において受信する。このとき、統合データ管理装置Aの制御部100Aは、検査状況管理部A7として機能する。統合データ管理装置Aは、ステップST27において受信した内容に基づいて、ステップST28においてマスターテーブルMの「検
査状況」の領域を更新する。このとき、統合データ管理装置Aの制御部100Aは、マスターテーブル更新部A50として機能する(
図6)。ここで、検査管理テーブルL内の情報と、マスターテーブルMの情報との紐付けは、例えば、検査依頼ID等、検体ID、患者IDと検査依頼日等で行うことができる。
図19のステップST63における情報の送信は、検査管理テーブルLが更新された時に自動的に行われてもよく、臨床検査技師T1等が、入力部106から送信要求を入力することで行ってもよい。
【0120】
検査施設C1に搬入された検体は、核酸抽出処理、核酸の品質検定等の前処理が行われる。臨床検査技師T1は、検体の前処理が完了すると、
図19のステップST64において、検査情報管理装置C11の入力部106を介して、記憶装置103に格納された検査管理テーブルLの検査状況の領域に
図25に示す前処理工程完了を示すラベルを入力する。検査情報管理装置C11は、この入力を受け付ける。このとき、検査情報管理装置C11の制御部100は、検査状況管理部12として機能する(
図14)。
【0121】
図19のステップST65において、検査情報管理装置C11は、ステップST64において、検査管理テーブルLの検査状況を「前処理工程完了」に更新し、その検査状況の情報を、統合データ管理装置Aに送信する。検査情報管理装置C11の制御部100は、検査状況管理部12として機能する(
図14)。
【0122】
統合データ管理装置Aは、
図20のステップST29において検査情報管理装置C11が送信した検査状況の情報に基づいて、マスターテーブルMの「検査状況」の領域を更新する。このとき、統合データ管理装置Aの制御部100Aは、マスターテーブル更新部A50として機能する(
図6)。ここで、検査管理テーブルL内の情報と、マスターテーブルMの情報の紐付けは、例えば、検査依頼ID等、検体ID、患者IDと検査依頼日等で行うことができる。ステップST65における情報の送信は、検査管理テーブルLが更新された時に自動的に行われてもよく、臨床検査技師T1等が、入力部106から送信要求を入力することで行ってもよい。
【0123】
臨床検査技師T1は、次に検体の品質に関する情報を、検査情報管理装置C11の入力部106を介して、記憶装置103に格納された検査管理テーブルLの「品質情報」に登録する。「品質情報」の欄は、検体の品質情報を入力するための検体品質情報入力テーブルQにリンクしている。検体品質情報入力テーブルQの例を
図26に示す。
図26に示す検体品質情報入力テーブルQには、抽出日と、検査依頼IDと、第1の検体について抽出された核酸の絶対量を入力する「核酸抽出量」の入力欄と、抽出された核酸が過度に分解されていないかを電気泳動で評価した「電気泳動結果」の入力欄と、第2の検体について「核酸抽出量」を入力する入力欄と、「電気泳動結果」を入力する入力欄とが、少なくとも設けられている。抽出日は、核酸を抽出した日である。検体品質情報入力テーブルQの「検体依頼ID」は、検査管理テーブルL及びマスターテーブルMの「検査依頼ID」に対応している。検体品質情報入力テーブルQに示された「検査依頼ID」がT01及びT02のサンプルは、第1の検体、第2の検体とも抽出された核酸量が十分であり、電気泳動結果も良好であることからシーケンシングに使用する核酸サンプルとして十分な品質を有しているといえる。しかし、「検査依頼ID」がT03の第1の検体に由来する核酸サンプルは、核酸量が検出限界以下であり、十分な核酸サンプルが得られていない。このような場合には、仮にシーケンシングにより変異が検出されなかったとしても、その検査結果を採用することはできない。したがって、検体の採取をやり直す必要がある。
【0124】
図20のステップST66において、検査情報管理装置C11は、臨床検査技師T1が入力部106を介して検体品質情報テーブルに入力した情報を受け付け、記憶装置103に記録する。このとき、検査情報管理装置C11の制御部100は、品質情報取得部16として機能する(
図14)。
【0125】
次に、
図20のステップST67において、検査情報管理装置C1は、ステップST66において検体品質情報テーブルに記録された内容を、検体の品質情報として統合データ管理装置Aに送信する。検査情報管理装置C11の制御部100は、情報出力部14として機能する(
図14)。
【0126】
統合データ管理装置Aは、ステップST31において、検査情報管理装置C11がステップST67において送信した検体の品質情報を受信する。このとき、統合データ管理装置Aの制御部100Aは、品質情報管理部A11として機能する(
図6)。統合データ管理装置Aは、ステップST32においてマスターテーブルMの「品質情報」の領域を更新する。このとき、統合データ管理装置Aの制御部100Aは、マスターテーブル更新部A50として機能する(
図6)。ここで、検査管理テーブルLの情報と、マスターテーブルMの情報の紐付けは、例えば、検査依頼ID等で行うことができる。ステップST67における情報の送信は、検査管理テーブルLが更新された時に自動的に行われてもよく、臨床検査技師T1等が、入力部106から送信要求を入力することで行ってもよい。
【0127】
次に、検査情報管理装置C11は、
図20のステップST68において、第1の検体から抽出された核酸サンプルと、第2の検体から抽出された核酸サンプルについて次世代シーケンサーC13によるシーケンシングを行い、核酸配列の変異解析を行う。核酸配列の変異解析処理の概略を後述する。
【0128】
図20のステップST68において、シーケンシングが行われると、シーケンシング解析の品質が検査の品質管理レポート(QCレポートともいう)が、次世代シーケンサーC13により検査バッチ(1回のシーケンシングが1バッチであり、複数の患者の検体が1バッチでシーケンシングされる)ごとに取得され、記憶装置103の検査管理データベースQCDに記録される。
【0129】
検査情報管理装置C11は、
図20のステップST69おいて、シーケンシングが行われた各検体に対応するQCレポートを、検査管理テーブルLの各検体に対応する品質情報の欄に格納するか、対応付けることで検査の品質情報を登録する。
図20のステップST68及びST69において、検査情報管理装置C11の制御部100は、品質情報取得部16として機能する(
図14)。
【0130】
図20のステップST70において、検査情報管理装置C1は、ステップST69において「品質情報」の欄に新たな検査の品質情報を登録すると、検査管理テーブルLに記録した内容を、検査の品質情報として統合データ管理装置Aに送信する。このとき、検査情報管理装置C11の制御部100は、情報出力部14として機能する(
図14)。
【0131】
統合データ管理装置Aは、
図20のステップST70で送信された検査品質情報をステップST33において受信し、ステップST34においてマスターテーブルMの「品質情報」の領域に記録し、マスターテーブルMを更新する。このとき、統合データ管理装置Aの制御部100Aは、マスターテーブル更新部A50として機能する(
図6)。ここで、検査管理テーブルLの情報と、マスターテーブルMの情報の紐付けは、例えば、検査依頼ID等で行うことができる。
図20のステップST70における情報の送信は、検査管理テーブルLが更新された時に自動的に行われてもよく、臨床検査技師T1等が、入力部106から送信要求を入力することで行ってもよい。
【0132】
次に、検査情報管理装置C11は、
図20のステップST71において、ステップST68において検出された変異解析の結果に基づいて、遺伝子パネル検査の検査結果の概要を示す属性情報を取得する。属性情報取得処理の詳細は、後述する。検査情報管理装置C11は、取得した属性情報を検査管理テーブルLの属性情報の欄に記録する。ステップST71において、検査情報管理装置C11の制御部100は、属性情報取得部4として機能する(
図14)。
【0133】
検査情報管理装置C11は、
図20のステップST72において、ステップST71において「属性情報」の欄に新たな属性情報を登録すると、検査管理テーブルLに記録した内容を、属性情報として統合データ管理装置Aに送信する。このとき、検査情報管理装置C11の制御部100は、情報出力部14として機能する(
図14)。
【0134】
統合データ管理装置Aは、
図20のステップST72で送信された検査品質情報をステップST35において受信し、ステップST36においてマスターテーブルMの「属性情報」の領域に記録し、マスターテーブルMを更新する。ここで、検査管理テーブルLの情報と、マスターテーブルMの情報の紐付けは、例えば、検査依頼ID等で行うことができる。
図20のステップST72における情報の送信は、検査管理テーブルLが更新された時に自動的に行われてもよく、臨床検査技師T1等が、入力部106から送信要求を入力することで行ってもよい。
【0135】
次に、検査情報管理装置C11は、
図20のステップST73において、ステップST68において検出された変異解析の結果に基づいて、遺伝子パネル検査の検査結果のレポートの生成処理を行う。このとき、検査情報管理装置C11の制御部100は、レポート生成部5として機能する(
図14)。レポート生成処理の詳細は、後述する。このとき、検査情報管理装置C11の制御部100は、情報出力部14として機能する(
図14)。
【0136】
検査情報管理装置C11は、
図20のステップST73において生成したレポートを、検査管理テーブルLの各検査依頼IDに対応する検査結果の欄に格納するか、リンクを張ることで検査結果のレポートを登録する。
【0137】
図20のステップST74において、検査情報管理装置C1は、ステップST73において「検査結果」の欄に新たな検査結果を登録すると、検査管理テーブルLに記録した内容を、検査結果情報として統合データ管理装置Aに送信する。
【0138】
統合データ管理装置Aは、
図20のステップST74で送信された検査結果の情報をステップST37において受信し、ステップST38においてマスターテーブルMの「検査結果」の領域に記録し、マスターテーブルMを更新する。ここで、検査管理テーブルLの情報と、マスターテーブルMの情報の紐付けは、例えば、検査依頼ID等で行うことができる。
図20のステップST74における情報の送信は、検査管理テーブルLが更新された時に自動的に行われてもよく、臨床検査技師T1等が、入力部106から送信要求を入力することで行ってもよい。
【0139】
ここで、検査情報管理装置C11が、
図20のステップST73において生成した、遺伝子パネル検査のレポートは、プリンタ等の出力部107から出力され、紙媒体としても医療施設B1に送られる。
【0140】
図20において、統合データ管理装置Aは、
図19に示すステップST21からステップST28及び
図20に示すステップST29からステップST38までの処理により、統合データ管理装置Aとは異なる他のコンピュータである、臨床情報管理装置B10、または第1群の臨床情報管理装置B10、B20、B30から検査依頼に関する情報を取得し、また、統合データ管理装置A及び臨床情報管理装置B10、B20、B30とは異なる検査情報管理装置C1から、属性情報、検査結果、検体及び検査の品質管理情報を取得し、これらを統合して、
図7に示すマスターテーブルM及びマスターテーブルにリンクしたテーブルに各情報を記録した。
【0141】
マスターテーブルMに記録された情報、及びマスターテーブルMにリンクしたテーブルに記録された情報は、
図4に示す医療施設B1,B2,B3の専門家会議端末B15,B25,B35、検査施設C1の専門家会議端末C15、外部施設SP1の専門家会議端末SP11,事務局専門家会議端末SP15から、検査依頼リストとして又は検査一覧からのリンクとして表示が可能である。すなわち、統合データ管理装置Aは、マスターテーブルMに記録された情報を検査依頼リストとして、各専門家会議端末に出力することができる。また、マスターテーブルMにリンクしたテーブルに記録された情報を検査依頼リストの対応項目に張られたリンクを介して、出力することができる。
【0142】
各専門家会議端末は、各端末の記憶装置に格納されたブラウザソフトを介して、検査依頼リスト及び検査依頼リストにリンクした情報を表示することができる。
検査依頼リストの例は、
図2及び
図3に示した通りである。
【0143】
(1)変異解析処理
以下、
図27及び
図28を用いて、変異解析の概要を説明する。変異解析の詳細は、米国公開特許第2019-156914号公報に記載の方法に従う。
【0144】
検査情報管理装置C11は、第1の検体から取得された核酸サンプルから腫瘍細胞に由来する核酸配列のリード(腫瘍リード配列)を取得し、第2の検体から取得された核酸サンプルから正常細胞に由来する核酸配列のリード(正常リード配列)を取得し、変異解析に用いる。
【0145】
検査情報管理装置C11は、腫瘍リード配列、及び正常リード配列から、患者が保有する腫瘍に体細胞変異があるか否かを決定する。また、正常リード配列から、患者が生殖細胞変異を保有するかを決定する。
【0146】
体細胞変異及び生殖細胞変異の検出は、一般的な配列として報告されている参照配列データと、腫瘍リード配列及び正常リード配列とを比較することにより行うことができる。例えば、参照配列データと第1の核酸配列データとを比較する場合には、参照配列データ内の配列と異なる腫瘍リード配列内の配列を検出することにより、腫瘍リード配列内の変異を検出することができる。同様に、参照配列データと正常リード配列を比較する場合には、参照配列データ内の配列と異なる正常リード配列内の配列を検出することにより、正常リード配列内の変異を検出することができる。また、参照配列データに代えて、米国公開特許第2019-156914号公報に記載の変異参照配列データを用いて、変異を検出してもよい。
【0147】
生殖細胞変異に関する情報は、核酸配列の解析を行った患者が保有する生殖細胞変異に関する情報である限り制限されない。例えば、生殖細胞変異に関する情報には、少なくとも変異が検出された遺伝子名を示すラベルを含み得る。好ましくは、生殖細胞変異に関する情報は、変異が検出された遺伝子名を示すラベルと検出された核酸配列情報及び/又は変異により生じるアミノ酸配列の情報を含んでいてもよい。また、I.実施形態の概要]の項で述べたように、変異が検出された遺伝子のローカス情報、参照配列情報、患者が保有する変異配列の情報を含んでいてもよい。また、生殖細胞変異に関する情報は、変異が有るか無いかを検出した情報に限られず、例えば、生殖細胞変異がある可能性を示唆する情報(例えば、モザイク変異)であってもよい。
【0148】
(1-1)体細胞変異の検出
図13、
図14、及び
図27を用いて、検査情報管理装置C11が、体細胞変異を検出するための制御部100の動作の例を示す。
【0149】
図27のステップST201において、検査情報管理装置C11の制御部100(以下、単に検査情報管理装置C11ともいう)は、
図13に示す核酸配列データ記憶装置300からリード配列を取得する。このとき、検査情報管理装置C11の制御部100は、
図14に示すリード配列情報取得部1として機能する。取得されるリード配列には、正常リード配列と、腫瘍リード配列が含まれる。
図27のステップST202において、検査情報管理装置C11は、正常リード配列と腫瘍リード配列のそれぞれを参照配列にアラインメントする。このとき、検査情報管理装置C11の制御部100は、
図14に示す配列決定部2として機能する。
【0150】
図27のステップST203において、検査情報管理装置C11は、腫瘍リードに参照配列との不一致があるか否かを判定する。腫瘍リードに参照配列との不一致がある場合(「Yes」の場合)、処理はST204に進み、正常リードに参照配列との不一致がないか否かを判定する。正常リードに参照配列との不一致がない場合(「Yes」の場合)、処理は、ステップST205に進み、腫瘍リードに存在する変異を体細胞変異と判定する。また、検査情報管理装置C11は不一致のあったリード配列に対応する参照配列の遺伝子名、遺伝子座、不一致部位を特定する。
【0151】
検査情報管理装置C11は、
図27のステップST206において、検出された変異に基づいて、変異データベース7を検索する。ここで、
図14の変異データベース7は、例えば、COSMICやClinVarなどの外部の変異情報データベース400を基に構築される。また、一態様において、データベース中の各変異情報には、遺伝子パネルに関する情報のメタデータが付与され得る。
【0152】
次に、検査情報管理装置C11は、
図27のステップST207において、ステップST206の検索結果に基づき、検出された変異にアノテーションを付与する。
図29に、検索結果とアノテーションの例を示す。
図29は、左から、変異の識別情報を示す「変異ID」、変異部位を含む染色体番号を示す「CHROM」、変異部位の位置番号を示す「POS」、参照配列のヌクレオチド配列を示す「REF」、変異配列を示す「ALT」、具体的にどのような変異であるかを示す「Annotation」の情報を含んでいる。本発明において、アノテーションの付与は省略可能である。
【0153】
検査情報管理装置C11は、ステップST203において、腫瘍リードに参照配列との不一致がない(「No」)と判定した場合、ステップST208において、体細胞変異無しの判定を行い、処理を終了する。
【0154】
図27のステップST207の後に、
図29に示す結果を出力してもよい。
図27に示すステップST203からステップST207において、検査情報管理装置C11の制御部100は、
図14に示す変異検出部3として機能する。
(1-2)生殖細胞変異の検出
図13、
図14及び
図28を用いて、検査情報管理装置C11が、生殖細胞変異を検出するための制御部100の動作の例を説明する。
【0155】
図28のステップST301において検査情報管理装置C11は、
図13に示す核酸配列データ記憶装置300からリード配列を取得する。このとき、検査情報管理装置C11の制御部100は、
図14のリード配列情報取得部1として機能する。取得されるリード配列には、正常リード配列が含まれる。
【0156】
図28のステップST302において、検査情報管理装置C11は、正常リード配列を参照配列にアラインメントする。このとき、検査情報管理装置C11の制御部100は、
図14に示す配列決定部2として機能する。
【0157】
図28のステップST303において、検査情報管理装置C11は、正常リードに参照配列との不一致があるか否かを判定する。正常リードに参照配列との不一致がある場合(「Yes」の場合)、変異検出部3はST304に進み、正常リードに存在する変異を生殖細胞変異と判定する。また、検査情報管理装置C11は不一致のあったリード配列に対応する参照配列の遺伝子名、遺伝子座、不一致部位を特定する。
【0158】
検査情報管理装置C11は、
図28のステップST305において、特定された変異に基づいて、
図9に示す変異データベース7を検索する。
【0159】
次に検査情報管理装置C11は、
図28のステップST306において、ステップST306の検索結果に基づき、検出された変異にアノテーションを付与する。このステップは、
図27のステップST207と同様である。
検査情報管理装置C11は、
図28のステップST303において、正常リードに参照配列との不一致がない(「No」)と判定した場合、ステップST307において、生殖細胞変異無しの判定を行い、処理を終了する。
図28に示すステップST303からステップST306において、検査情報管理装置C11の制御部100は、
図14に示す変異検出部3として機能する。
【0160】
(2)属性情報取得処理
図13、
図14、及び
図30から
図33を用いて、検査情報管理装置C11が属性情報を取得するための動作を説明する。
【0161】
ここで、遺伝子パネル検査の検査項目には、一つのパネルに複数の遺伝子の変異解析が含まれている。第1の属性情報、及び第2の属性情報は、遺伝子パネル検査に含まれる。したがって、第1の属性情報は、遺伝子パネル検査に含まれる少なくとも一つの検査対象の遺伝子(所定の遺伝子ともいう)に変異が認められれば、「変異有」のラベルが付されることとなる。また、第2の属性情報についても、遺伝子パネル検査に含まれる少なくとも一つの検査対象の遺伝子(所定の遺伝子ともいう)に変異が認められれば、その変異の種類を示すラベルが付されることとなる。1回の遺伝子パネル検査において、例えば、アクショナブル変異と生殖細胞変異の両方が認められれば、両方のラベルが付されることとなる。
【0162】
(2-1)第1の取得形態
属性情報の第1の取得形態は臨床検査技師T1またはバイオインフォマティシャンT2が、検査結果に基づいて、検査結果の概要を示す属性を判定し、
図13に示す検査情報管理装置C11の入力部106から判定結果を入力することによって、検査情報管理装置C11がこの入力を受け付ける方法である。
【0163】
図30に臨床検査技師T1等が、検査情報管理装置C11に属性情報を入力するためのグラフィカルユーザインタフェースの例と、その入力例を示す。
図30(a)には、遺伝子パネル検査の検査対象遺伝子において、生殖細胞変異が検出されている場合のグラフィカルユーザインタフェースUIcを示す。グラフィカルユーザインタフェースUIcは、第1の属性情報として、検査対象遺伝子に変異が検出されたか否かを選択する選択領域UIc1を備える。また、グラフィカルユーザインタフェースUIcは、第2の属性情報として、アクショナブル変異が検出されたか否か、生殖細胞変異が検出されたか否か、その他の変異が検出されたかを選択するための選択領域UIc2を備える。
図30(b)には、遺伝子パネル検査の検査対象遺伝子において、生殖細胞変異が検出されていない場合のグラフィカルユーザインタフェースUIdを示す。
図30(b)の選択領域UId1は、
図20(a)の選択領域UIc1と同様である。
図30(b)の選択領域UId2は、生殖細胞変異に関する入力欄がない点を除き、
図20(a)の選択領域UIc2と同様である。グラフィカルユーザインタフェースUIcを表示するか、グラフィカルユーザインタフェースUIdを表示するかは、検査情報管理装置C11の制御部100が、検査結果に基づいて判定する。生殖細胞変異の開示に患者が非同意の場合、生殖細胞変異が検出されたとしても、グラフィカルユーザインタフェースUIdが表示されてもよい。
【0164】
臨床検査技師T1等は、
図13に示す入力部106であるマウス等を使って、各選択領域の該当するチェックボックスを選択する。
【0165】
図13に示す入力部106からの入力は、
図30(c)に示す検査管理テーブルの第1の属性情報、及び第2の属性情報の欄に記録される。
【0166】
また、
図13に示す入力部106からの属性情報の入力は、リスト形式の属性を示すラベルの選択肢から対応する属性情報を選択することにより行われてもよい。リスト形式の選択しとして、
図31に示すプルダウン形式のグラフィカルユーザインタフェースUIeを例示できる。
【0167】
ここで、アクショナブル変異とは、一例として、「次世代シークエンサー等を用いた遺伝子パネル検査に基づくがん診療ガイダンス」に示される治療効果のエビデンスレベル分類の3A以上が期待できる変異を意図する。治療効果のエビデンスレベル分類は、1A、1B、2A、2B、3A、3B、4の7段階に分類される。「3A以上」とは、1A、1B、2A、2B及び3Aのいずれかに分類される変異であることを意図する。どのような遺伝子の変異が、どのようなエビデンスレベルに分類されるかに関する情報は、「次世代シークエンサー等を用いた遺伝子パネル検査に基づくがん診療ガイダンス」の別表2_エビデンスレベル(2017年8月21日時点)から、取得することができる。
【0168】
(2-2)第2の取得形態
属性情報の第2の取得形態は、検査情報管理装置C11が
図27及び
図28に示す処理により検出した変異に基づいて、属性情報を取得する方法である。
図32~
図34を用いて、検査情報管理装置C11が属性情報を取得する処理を説明する。
【0169】
図32のステップST501において、検査情報管理装置C11は、
図27及び
図28に示す処理により取得された変異情報を取得する。変異情報は、例えば
図34(a)に示すように、検出結果テーブルGとして、記憶装置103に記録される。例えば、
図34(a)では、検出結果テーブルGは、次世代シーケンサーC13から取得されたデータの識別情報を示す「データID」欄と、「検査依頼ID」欄と、検査結果を格納しているフォルダへのリンクが張られた「レポートへのリンク」欄と、変異が検出された遺伝子名を示す「検出された変異」欄と、遺伝子パネルIDを示す「パネルID」欄とを備える。
【0170】
図32のステップST502において、検査情報管理装置C11は、ステップST501で取得された、変異情報に基づいて、結果に変異が含まれているか否かを判定する。例えば、検査情報管理装置C11の記憶装置103は、予め
図34(b)に示す判定テーブルを記録している。
【0171】
図34(b)の判定テーブルHは、遺伝子パネルIDごとに作成されている。ここでは遺伝子パネルIDがP001の例を示す。
図34(b)の判定テーブルHは、P001の遺伝子パネルで変異を検出しうる遺伝子名が、「第1の属性情報の対象となる変異」欄に記録されている。ここでは、遺伝子変異a、遺伝子変異b、遺伝子変異c、・・・遺伝子変異i、遺伝子変異zについて第1の属性情報、すなわち変異の有無を検出することができる。第2の属性情報の対象となる遺伝子は、「アクショナブル変異」、「生殖細胞変異」、「その他の変異」に分かれて記録されている。ここでは、「アクショナブル変異」欄には、遺伝子変異a、遺伝子変異bが記録されており、「生殖細胞変異」欄には、遺伝子変異h、遺伝子変異iが記録されており、「その他の変異」欄には、遺伝子変異v、遺伝子変異w、遺伝子変異xが記録されている。
【0172】
検査情報管理装置C11は、
図32のステップST502において、ステップST501において記録した
図34(a)に示す検出結果テーブルGの「検出された変異」欄に格納された遺伝子変異a及び遺伝子変異iが、
図34(b)の判定テーブルHの「第1の属性情報の対象となる変異」欄にあるか否かを判定する。
【0173】
もし
図34(b)の判定テーブルHの「第1の属性情報の対象となる変異」欄に、検出結果テーブルGの「検出された変異」欄に格納された遺伝子変異がない場合には、
図32のステップST502はYESとなる。この場合、検査情報管理装置C11は、
図32のステップST503に進み、
図30(c)に示す検査管理テーブルLの第1の属性情報の欄に、「変異無」のラベルを付与し記録する。
【0174】
図34の例では、判定テーブルHの「第1の属性情報の対象となる変異」欄に遺伝子変異a及び遺伝子変異iがあるため、
図32のステップST502はNOとなる。この場合、検査情報管理装置C11は、
図32のステップST504に進み、
図30(c)に示す検査管理テーブルLの第1の属性情報の欄に、「変異有」のラベルを付与し記録する。次に、検査情報管理装置C11は、
図33のステップST601に進む。
図33では、第2の属性情報、すなわち変異の種類を判定する。
【0175】
次に、検査情報管理装置C11は、
図33のステップST601において、変異があった遺伝子を特定する。変異があった遺伝子の特定は、
図32のステップST501において記録した
図34(a)に示す検出結果テーブルGの「検出された変異」欄に格納された遺伝子変異a及び遺伝子変異iが、
図34(b)の判定テーブルHの「第2の属性情報の対象となる変異」欄のどの変異の欄にあるか検索する。
【0176】
図34(a)に示す検出結果テーブルGの「検出された変異」欄に格納された遺伝子が、
図34(b)の判定テーブルHの「アクショナブル変異」の欄にある場合には、
図33のステップST602はYESとなり、検査情報管理装置C11は、
図33のステップST603へ進む。そして、
図30(c)に示す検査管理テーブルの「第2の属性情報」の欄に「アクショナブル変異」があることを示すラベルを付し、これを記録する。
【0177】
図30(a)に示す検出結果テーブルGの「検出された変異」欄に格納された遺伝子が、
図34(b)の判定テーブルHの「アクショナブル変異」の欄にない場合(
図33のステップST602がNOの場合)、及び
図33のステップST603の後、検査情報管理装置C11は、
図33のステップST604へ進む。
【0178】
図34(b)の判定テーブルHの「生殖細胞変異」の欄にある場合には、
図33のステップST604はYESとなり、検査情報管理装置C11は、
図33のステップST605へ進む。そして、
図30(c)に示す検査管理テーブルの「第2の属性情報」の欄に「生殖細胞変異」があることを示すラベルを付し、これを記録する。
【0179】
図34(a)に示す検出結果テーブルGの「検出された変異」欄に格納された遺伝子が、
図34(b)の判定テーブルHの「生殖細胞変異」の欄にない場合(
図33のステップST604がNOの場合)、検査情報管理装置C11は、
図33のステップST606へ進む。そして、
図33のステップST607において、
図30(c)に示す検査管理テーブルの「第2の属性情報」の欄に「その他の変異」があることを示すラベルを付し、これを記録する。
【0180】
属性情報取得処理によって、検査管理テーブルLに記録された属性情報は、
図20のステップST70において、統合データ管理装置Aに送信される。
【0181】
図32に示すステップST501からステップST504及び
図33に示すステップST601からST607において、検査情報管理装置C11の制御部100は、
図14に示す属性情報取得部4として機能する。
【0182】
(3)レポート生成処理
検査情報管理装置C11は、
図27及び
図28に示す処理により取得した検査結果の検査報告(レポート)を生成する。遺伝子パネル検査において、生殖細胞変異は、偶発的又は補足的に見つかる変異である。検査目的以外の核酸配列の変異を、本明細書において偶発的所見と呼ぶことがある。偶発的所見や補足情報について患者に伝えるか否かについては、変異が検出された遺伝子の種類、変異の種類、変異に関連して発症する疾患の重症度、治療の可能性、生殖細胞に関する情報の知得に関する患者、その親族の意向等を踏まえ熟考する必要がある。したがって、遺伝子パネル検査においては、通常検査の前に、生殖細胞に関する情報の知得に関する患者、その親族の意向を確認するインフォームドコンセント(IC)が取得される。
【0183】
本実施形態においては、患者のIC情報に応じてレポートの様式を変更し得る。例えば、生殖細胞変異が検出された場合に、通常レポートR1の様式で解析報告書を生成するか、秘匿レポートR2に例示されるいずれかの様式でレポートを生成するかを選択することができる。
【0184】
図35を用いて、通常レポートR1の様式の例を説明する。通常レポートR1の様式は、第1の領域であるサマリレポートの領域S(以下、「サマリレポート領域S」ともいう)と、第2の領域である詳細レポートの領域DT(以下、「詳細レポート領域DT」ともいう)を含む例である。サマリレポート領域Sは、さらに患者や検査内容に関する情報が示される検査依頼情報の一部を示す領域S1(以下、「依頼情報領域S1」ともいう)と、検出された全ての遺伝子変異のリストが示される領域S2(以下、「変異リスト領域S2」ともいう)を含む。詳細レポート領域Dには、第1の検体(腫瘍細胞を含む)に由来する核酸配列において検出された遺伝子とその変異の詳細情報が示される領域DT1(以下、「遺伝子変異情報領域DT1」ともいう)と、第2の検体(非腫瘍細胞を含む)に由来する核酸配列において生殖細胞変異が検出された遺伝子とその変異の詳細情報が示される領域DT2(以下、「生殖細胞変異情報領域DT2」ともいう)を含む。
【0185】
図35において、属性情報領域S1には、患者識別子(ID)、担当医名、医療施設名等の患者を識別するための情報や、遺伝子パネル等の検査項目を示す情報等が表示されうる。遺伝子変異リスト領域S2には、体細胞変異であるか生殖細胞変異であるかを問わず、検出された全ての遺伝子の変異が示され得る。
図35に示される遺伝子変異リスト領域S2の例において、EGFR、BRAF、BRCA1は遺伝子名を示し、L585R、V600E、K1183Rは変異部位を示す。したがって、EGFR_L585Rは、EGFR遺伝子の585番目のアミノ酸のコドンがロイシン(L)をコードする核酸配列からアルギニン(R)をコードする核酸配列に変異していることを示す。
サマリレポート領域Sは、患者、担当医、遺伝子解析のエキスパート等に示され得る領域である。
【0186】
遺伝子変異情報領域DT1には、変異が検出された遺伝子名、変異識別子(ID)、変異が検出された遺伝子のローカス番号(染色体番号:CROMと変異位置:POSを含む)、参照配列の核酸配列(REF)、検出された変異配列(ALT)、解析報告書において検出された変異を示す際のアノテーション等の情報を含み得る。
【0187】
生殖細胞変異情報領域DT2には、変異が検出された遺伝子名、変異識別子(ID)、変異が検出された遺伝子のローカス番号(染色体番号:CROMと変異位置:POSを含む)、参照配列の核酸配列(REF)、検出された変異配列(ALT)、解析報告書において検出された変異を示す際のアノテーション等の情報を含み得る。
詳細レポート領域DTは、少なくとも遺伝子解析のエキスパートには提示されうる。詳細レポート領域DTは、患者や担当医には提示されなくてもよい。
【0188】
図35の例では、生殖細胞変異情報領域DT2に、BRCA1遺伝子に生殖細胞変異である「BRCA1_K1183R」があることが示されており、また、サマリレポート領域Sの遺伝子変異リスト領域S2にも「BRCA1_K1183R」が示されている。言い換えると
図35に示される通常レポートR1では、遺伝子変異リスト領域S2に示された生殖細胞変異である「BRCA1_K1183R」が患者に提示されることとなる。
【0189】
図36に秘匿レポートR2の様式の例を示す。秘匿レポートR2は通常レポートR1と同様にサマリレポート領域Sと、詳細レポート領域DTを含む。しかし、生殖細胞変異が検出された場合であっても、サマリレポート領域Sと、詳細レポート領域DTに生殖細胞変異に関する情報を示さない例である。例えば、秘匿レポートR2の様式では、変異リスト領域S2に、生殖細胞変異である「BRCA1_K1183R」に関する情報は記載されない。また、詳細レポート領域DTにも、生殖細胞詳細情報である「BRCA1_K1183R」の詳細情報は記載されない。秘匿レポートR2は、サマリレポート領域Sと詳細レポート領域DTとの両方に、生殖細胞変異に関する情報を提示しない例である。ここで秘匿レポートは、サマリレポート領域Sのみに生殖細胞変異に関する情報を提示しないフォームであってもよい。
【0190】
検査情報管理装置C11は、
図37のステップST141において、臨床検査技師T1またはバイオインフォマティシャンT2が
図13の入力部106から入力したレポート出力要求を受け付ける。検査情報管理装置C11は、
図37のステップST142において、
図28のステップST304において、生殖細胞変異があると判定した場合(
図37のステップST142が「Yes」の場合)、
図37のステップST143に進む。
図37のステップST143において、検査情報管理装置C11は、
図24に示す検査管理テーブルLの「患者の同意」欄を参照し、患者が生殖細胞変異の開示に同意していない場合は、生殖細胞変異に関する情報の秘匿が「要」である(
図37のステップST143が「Yes」)と判定する。
図24に示す検査管理テーブルLの「患者の同意」欄において、患者が生殖細胞変異の開示に同意している場合には、検査情報管理装置C11は、生殖細胞変異に関する情報の秘匿が「不要」である(
図37のステップST143が「No」)と判定する。
【0191】
図37のステップST143が「Yes」の場合、検査情報管理装置C11は、ステップST144に進み、フォーム選択部9を介してフォームデータベース17から
図36に示す秘匿レポートR2の様式を呼び出し、レポートを生成する。
【0192】
図37のステップST143が「No」の場合、検査情報管理装置C11は、ステップST145に進み、フォーム選択部9を介してフォームデータベース17から
図35に示す通常レポートR1の様式を呼び出し、レポートを生成する。
レポート生成後は、検査情報管理装置C1は
図20のステップST74へ進む。
図37に示すステップST141から145において、検査情報管理装置C11の制御部100は、
図14に示すレポート生成部5として機能する。
【0193】
8-3.検査依頼リストからのレポート出力処理
図20のステップS38において、マスターテーブルMに検査結果を記録した後、統合データ管理装置Aは、検査依頼リストに張られたリンクから、レポートの様式を選択し、出力してもよい。
【0194】
図38にレポートの様式選択へのリンクが表示された検査依頼リスト領域UI1の例を示す。例えば、
図38に示す検査依頼リスト領域UI1の検査T02には、結果の属性情報として「変異有」、「生殖細胞変異」が表示されている。上述の通り、生殖細胞変異が確認された場合には、患者のIC情報に基づいてレポートを出力する必要がある。このため、検査依頼リスト領域UI1の「IC情報」の領域に、患者IC情報が登録されていることを示す「登録済」のラベルが表示される。また、「患者情報」の領域にはレポートのフォームを選択するための「様式選択」のラベルが表示される。
【0195】
統合データ管理装置Aからレポートを出力する場合、各レポートのフォームは、統合データベースOGに格納されている。
【0196】
図39に、統合データ管理装置Aの制御部100Aによるレポート生成処理の流れを示す。
【0197】
制御部100Aは、ステップST151において、マスターテーブルMの、レポートを作成しようとする患者の検査依頼に対応する欄に第2の属性情報として「生殖細胞変異」のラベルが記録されているかを判定する。「生殖細胞変異」のラベルが記録されている場合(ステップST151において「Yes」の場合)には、ステップST152に進む。
【0198】
制御部100Aは、ステップST152において、マスターテーブルMの、レポートを作成しようとする患者の検査依頼に対応する欄に患者IC情報が記録されているかを判定する。患者IC情報が記録されている場合(ステップST152において「Yes」の場合)、ステップST153に進む。
【0199】
制御部100Aは、ステップST153において、
図38に示す検査依頼リスト領域UI1の、レポートを作成しようとする患者の検査依頼に対応する欄に患者IC情報へのリンクを出力する。
【0200】
また、制御部100Aは、
図39のステップST154において、
図38に示す検査依頼リスト領域UI1の、レポートを作成しようとする患者の検査依頼に対応する欄に、レポート様式選択画面へのリンクを出力する。
【0201】
ユーザは、IC情報のリンクからレポートを作成しようとする患者のIC情報を表示することができ、患者が偶発的所見の結果の知得を希望しているか知ることができる。また、ユーザは、患者のIC情報に併せてレポートのフォームを選択することができる。
【0202】
制御部100Aは、
図39のステップST155において、ユーザによる様式選択画面へのリンクの選択を受け付け、
図40に示すフォーム選択ダイアログを出力する。
【0203】
ユーザが
図40のダイアログ内の「No」アイコンW23を選択すると、
図36に示す秘匿レポートR2の様式が選択される。ユーザが
図40のダイアログ内の「Yes」アイコンW24を選択すると、
図35に示す通常レポートR1の様式が選択される。
【0204】
制御部100Aは、
図39のステップST156において、ユーザによる
図40に示す「No」アイコンW23又は「Yes」アイコンW24の選択を受け付け、ステップST157において選択されたフォームでレポートを出力する。
【0205】
8-4.検査依頼リストの表示と専門家会議設定
図21に戻りシステム1000の動作の続きを説明する。
図21及び
図22に示すシステムの動作は、統合データ管理装置Aと、医療施設B1の専門家会議端末B15,B25,B35、検査施設C1の専門家会議端末C15、専門家会議端末SP11、及び事務局専門家会議端末SP15との間の通信となる。
【0206】
図13から
図18、
図20及び
図21を用いて、システム1000における検査依頼リストの表示処理と専門家会議の設定処理について説明する。医療施設B1の専門家会議端末B15と、医療施設B2の専門家会議端末B25と、医療施設B3の専門家会議端末B35は、処理内容が同じであるため、医療施設B1の専門家会議端末B15を用いて処理を説明する。
【0207】
担当医H1aが遺伝子パネル検査を依頼した患者の検査結果を表示する場合には、医療施設B1に備えられた医療施設B1の専門家会議端末B15から、ブラウザソフトを介して、統合データ管理装置Aにアクセスする。
図21のステップST81において、
図15に示す医療施設B1の専門家会議端末B15の制御部100X(以下、単に「医療施設B1の専門家会議端末B15」とする)は、入力部106Xを介して担当医H1aから、
図3に示す検査依頼リスト領域UI1の表示要求を受け付ける。そしてI/F部105Xを介して、統合データ管理装置Aに検査依頼リスト領域UI1の表示要求を送信する。このとき、制御部100Xは、
図16に示す検査依頼リスト表示要求部X5として機能する。
【0208】
統合データ管理装置Aは、
図21に示すステップST39において、医療施設B1の専門家会議端末B15からの表示要求を受け付ける。続いて、統合データ管理装置Aは、
図21に示すステップST40において
図3に示す検査依頼リスト領域UI1を出力する。このとき制御部100Aは、
図6に示す検査依頼リスト出力部A19として機能する。
【0209】
医療施設B1の専門家会議端末B15は、ステップST82において、ディスプレイ等の出力部107Xに統合データ管理装置Aから出力された
図3に示す検査依頼リスト領域UI1をブラウザソフトを介して表示する。このとき、制御部100Xは、
図16に示す検査依頼リスト出力部X7として機能する。
【0210】
担当医H1aは、医療施設B1の専門家会議端末B15から専門家会議のスケジュールを設定する。医療施設B1の専門家会議端末B15は、ステップST83において、担当医H1aによる
図15に示す入力部106Xからの会議スケジュールの設定を受け付ける。このとき、制御部100Xは、
図16に示すスケジュール設定部X1として機能する。専門家会議の設定処理の詳細は、後述する。
【0211】
統合データ管理装置Aは、
図21に示すST41においてスケジュール設定処理を行う。スケジュール設定処理の詳細は、後述する。このとき制御部100Aは、
図6に示すスケジュール受信部A20として機能する。
【0212】
続いて、統合データ管理装置Aは、
図21のステップST42において、設定された専門家会議スケジュールを出力する。この出力は、例えば、メールソフトを使用した、専門家会議の各参加者への専門家会議スケジュールの送信である。このとき制御部100Aは、
図6に示すスケジュール出力部A21として機能する。
【0213】
統合データ管理装置Aから送信された専門家会議スケジュールのメールは、
図21のステップST84において、医療施設B1の専門家会議端末B15のメールソフトが受信する。このとき、制御部100Xは、
図16に示すスケジュール受信部X3として機能する。また、
図21のステップST101において、専門家会議端末SP11のメールソフトも専門家会議スケジュールのメールを受信する。このとき、
図15に示す制御部100Yは、
図17に示すスケジュール受信部Y1として機能する。
【0214】
専門家会議に先立ち、専門家会議の各参加者は、専門家会議において検討される患者の検査依頼リストを、各専門会議端末に表示することができる。
【0215】
以下において、医療施設B1の専門家会議端末B15と専門家会議端末SP11は、同様の処理により検査依頼リストを表示することができる。
【0216】
医療施設B1の専門家会議端末B15と統合データ管理装置Aとの間の通信の例を先に説明する。
【0217】
担当医H1aは、医療施設B1に備えられた医療施設B1の専門家会議端末B15から、ブラウザソフトを介して、統合データ管理装置Aにアクセスする。
【0218】
図21のステップST85において、
図15に示す医療施設B1の専門家会議端末B15は、入力部106Xから担当医H1aから、
図3に示す検査依頼リスト領域UI1の表示要求を受け付ける。そしてI/F部105Xを介して、統合データ管理装置Aに検査依頼リスト領域UI1の表示要求を送信する。このとき、制御部100Xは、
図16に示す検査依頼リスト表示要求部X5として機能する。
【0219】
統合データ管理装置Aは、
図21に示すステップST43において、医療施設B1の専門家会議端末B15からの表示要求を受け付け、
図3に示す検査依頼リスト領域UI1を出力する。このとき制御部100Aは、
図6に示す検査依頼リスト出力部A19として機能する。
【0220】
医療施設B1の専門家会議端末B15は、ステップST86において、ディスプレイ等の出力部107Xに統合データ管理装置Aから出力された
図3に示す検査依頼リスト領域UI1をブラウザソフトを介して表示する。このとき、制御部100Xは、
図16に示す検査依頼リスト出力部X7として機能する。
【0221】
各参加者は、自らが担当する専門家会議において担当する特定の検査依頼について、表示を要求することができる。例えば、検査依頼リストにソーティング機能や抽出機能を設け、専門家会議の「開催日時」により検査依頼リストを並べ替えたり、自らが参加する専門家会議の「グループID」で担当検査依頼を抽出してもよい。
図22に示すステップST88は、このような特定の検査依頼の表示要求を医療施設B1の専門家会議端末B15が行うステップである。このステップにおいて、制御部100Xは、検査依頼リスト表示要求部X5として機能する。
【0222】
統合データ管理装置Aは、
図22に示すステップST45において、医療施設B1の専門家会議端末B15からの表示要求を受け付け、
図3に示す検査依頼リスト領域UI1から特定の検査依頼を出力する。このとき制御部100Aは、
図6に示す検査依頼リスト出力部A19として機能する。特定の検査依頼の出力処理は後述する。
【0223】
医療施設B1の専門家会議端末B15は、ステップST89において、ディスプレイ等の出力部107Xに統合データ管理装置Aから出力された
図3に示す検査依頼リスト領域UI1をブラウザソフトを介して表示する。このとき、制御部100Xは、
図16に示す特定検査依頼リスト出力部X9として機能する。
【0224】
医療施設B1の専門家会議端末B15は、専門家会議において、
図15に示す入力部106Xからの担当医H1aによる会議内容の入力を受け付ける(ステップST90)。このとき制御部100Xは、
図16に示す会議内容取得部X17として機能する。続いて、ステップST91において、医療施設B1の専門家会議端末B15がステップST90で受け付けた会議内容を統合データ管理装置Aに送信する。このとき制御部100Xは、
図16に示す会議内容出力部X19として機能する。
【0225】
統合データ管理装置Aは、ステップST46において、医療施設B1の専門家会議端末B15から送信された会議内容を受信し、ステップST47において会議内容を検査依頼IDや患者情報と対応づけて統合データベースOGに記録し、マスターテーブルを更新する。
【0226】
検査施設C1の専門家会議端末C15、外部施設SP1の専門家会議端末SP11、事務局専門家会議端末SP15は、
図21及び
図22のステップST101からST107において、医療施設B1の専門家会議端末B15が行うステップST84からST91と同様の処理を行う。
【0227】
ここで、検査施設C1の専門家会議端末C15、外部施設SP1の専門家会議端末SP11が行う処理については、
図15に示す医療施設B1の専門家会議端末B15の制御部100X、I/F部105X、入力部106X、出力部107Xは、
図15に示す検査施設C1の専門家会議端末C15又は専門家会議端末SP11の制御部100Y、I/F部105Y、入力部106Y、出力部107Yと読み替えるものとする。また、
図16に示す医療施設B1の専門家会議端末B15の制御部100Xの機能を示す、スケジュール受信部X3、検査依頼リスト表示要求部X5、検査依頼リスト出力部X7、特定検査依頼リスト出力部X9は、それぞれ
図17に示すスケジュール受信部Y1、検査依頼リスト表示要求部Y3、検査依頼リスト出力部Y5、特定検査依頼リスト出力部Y7と読み替えるものとする。
【0228】
事務局専門家会議端末SP15が行う処理については、
図15に示す医療施設B1の専門家会議端末B15の制御部100X、I/F部105X、入力部106X、出力部107Xは、
図15に示す事務局専門家会議端末SP15の制御部100Z、I/F部105Z、入力部106Z、出力部107Zと読み替えるものとする。また、
図16に示す医療施設B1の専門家会議端末B15の制御部100Xの機能を示す、スケジュール受信部X3、検査依頼リスト表示要求部X5、検査依頼リスト出力部X7、特定検査依頼リスト出力部X9、会議内容取得部X17、会議内容出力部X19は、
図18に示す、スケジュール受信部Z1、検査依頼リスト表示要求部Z3、検査依頼リスト出力部Z5、特定検査依頼リスト出力部Z7、会議内容取得部Z13、会議内容出力部Z15と読み替えるものとする。
【0229】
(1)専門家会議設定
図41から
図46を用いて専門家会議を設定するためのグラフィカルユーザインタフェースUI、
図21に示すステップST40の検査依頼リスト出力処理、ステップST83の専門家会議の設定処理、及びステップST41のスケジュール設定処理の詳細について説明する。
【0230】
(1-1)グラフィカルユーザインタフェース
図41には、専門家会議を設定可能な、グラフィカルユーザインタフェースUIの例を示す。検査依頼リスト領域UI1の「設定状況」の領域には、専門家会議のスケジュールが設定されているか否かを示す「設定済」又は「未設定」のラベルが表示されている。また、専門家会議のスケジュールが設定されている場合には、「開催日時」の領域に設定された日時が表示される。専門家会議のスケジュールが設定されていない場合には、「開催日時」の領域には「-」が示されている。
【0231】
(1-2)ダイアログ表示
図42は、統合データ管理装置Aが、
図41に示すグラフィカルユーザインタフェースUIの「設定状況」の欄に専門家会議を設定するためのダイアログへのリンクを表示する処理を示す。
【0232】
図42のステップST221において、統合データ管理装置Aは、専門家会議の設定状況が未設定であるか否かを判定する。この判定は、
図7に示すマスターテーブルMの各検査依頼IDの「開催日時」欄に開催日時が入力されているか否かで判定することができる。
【0233】
図42のステップST222において、統合データ管理装置Aは、
図7に示すマスターテーブルMの「開催日時」欄に開催日が記録されていない場合(ステップST221が「Yes」の場合)、
図41に示すグラフィカルユーザインタフェースUIの「設定状況」の欄に「未設定」のラベルを出力する。「未設定」のラベルには、
図45に示すダイアログUI5、又は
図46に示すダイアログUI7を出力するためのリンクが張られている。
【0234】
図45に示すダイアログUI5には、会議スケジュールデータベースSDBにあらかじめ格納されている会議スケジュールの空き枠の日時と、空き枠の日時内で設定可能な件数と、担当医H1aが
図15に示す医療施設B1の専門家会議端末B15の入力部106Xから選択可能なチェックボックスが表示され得る。また、
図46に示すダイアログUI7には、患者氏名、性別、生年月日等の患者を特定するための患者特定情報を表示する領域UI71と、専門家会議に参加するメンバーのリストを表示する領域UI73と、専門家会議のスケジュール設定を行う領域UI75と、担当医H1aの選択により、設定を確定し、会議の各参加者にメールで会議が設定されたことを通知する会議通知アイコンUI77が表示され得る。
【0235】
患者氏名、性別、生年月日等は、
図7に示すマスターテーブルMの対応する領域から読み込まれる。専門家会議に参加するメンバーのリストは、
図7に示すマスターテーブルMの「グループID」の領域にリンクする専門家会議グループテーブルGT(
図9)から読み込まれる。専門家会議のスケジュール設定を行う領域UI75は
図45に対応する。
【0236】
(1-3)医療施設の専門家会議端末側
図43を用いて、
図21に示すステップST83における専門家会議設定処理の具体的なステップを説明する。
【0237】
医療施設B1の専門家会議端末B15は、
図43に示すステップST231において、統合データ管理装置Aが
図41のステップST222で出力した専門家会議の設定ダイアログへのリンクを含む「未設定」のラベルをブラウザソフトを使用して表示する。
【0238】
医療施設B1の専門家会議端末B15は、
図43に示すステップST232において、担当医H1aによる入力部106Xからの前記リンクの選択を受け付けたかを判定する。
【0239】
医療施設B1の専門家会議端末B15は、
図43に示すステップST232において専門家会議の設定ダイアログへのリンクの選択を受け付けた場合(「Yes」の場合)には、ステップST233へ進み、医療施設B1の専門家会議端末B15のディスプレイ等の出力部107Xに
図45に示すダイアログUI5又は
図46に示すダイアログUI7を表示する。
図43に示すステップST232において専門家会議の設定ダイアログへのリンクの選択を受け付けていない場合(「No」の場合)には、待機する。
【0240】
医療施設B1の専門家会議端末B15は、
図43に示すステップST234において、担当医H1aによる入力部106Xからのスケジュールの選択を受け付ける。スケジュールの選択の受け付けは、担当医H1aが入力部106Xから専門家会議の開始を希望する日時の選択用チェックボックスをチェックし、これを医療施設B1の専門家会議端末B15が受け付けることにより行われる。
【0241】
図43に示すステップST235において、医療施設B1の専門家会議端末B15は、ステップST234において受け付けた情報を統合データ管理装置Aに送信する。ステップST235におけるステップST234において受け付けた情報の送信は、
図45に示すチェックボックスを担当医H1aが選択した時点で、医療施設B1の専門家会議端末B15がこれを受け付けると同時に、統合データ管理Aにその情報を送信してもよい。また、
図46に示すチェックボックスを担当医H1aが選択し、会議通知アイコンUI77をさらに担当医H1aが選択した時点で、医療施設B1の専門家会議端末B15が、統合データ管理装置Aにその情報を送信してもよい。
【0242】
(1-4)統合データ管理装置側
次に、
図44を用いて、
図21に示すステップST41のスケジュール設定処理の具体的なステップを説明する。
【0243】
統合データ管理装置Aは、
図44のステップST241において、医療施設B1の専門家会議端末B15のブラウザ上から、専門家会議の設定ダイアログへのリンクが選択されたことを受け付けたか否かを判定する。医療施設B1の専門家会議端末B15から、前記リンクの選択を受け付けた場合(
図44のステップST241が「Yes」の場合)には、統合データ管理装置Aは、ステップST242へ進み、会議スケジュールデータベースSDBから空き枠のあるスケジュールを取得する。次に、統合データ管理装置Aは、ステップST243へ進み、医療施設B1の専門家会議端末B15にスケジュールの空き枠情報を含む
図45に示すダイアログUI5又は
図46に示すダイアログUI7を出力する。
【0244】
統合データ管理装置Aは、
図44のステップST244において、医療施設B1の専門家会議端末B15が送信した、担当医H1aが選択したスケジュール情報を受け付け、ステップST245において、会議スケジュールデータベースSDBに記録する。専門家会議が設定されると、統合データ管理装置Aは、
図41に示す検査依頼リスト領域UI1の「設定状況」の欄に「設定済」のラベルを表示する。また、「開催日時」の欄に設定した専門家会議のスケジュールを表示する。
【0245】
(2)品質情報へのリンク
統合データ管理装置Aは、
図21に示すステップST43の検査依頼リスト出力処理において、
図47に示すように、検査依頼リスト領域UI1に品質情報を出力してもよい。遺伝子パネル検査において変異が検出されなかった場合、検体から適切に核酸が得られていたのか等の検体の品質に関する情報や、シーケンシングにおける反応に問題がなかったか等の検査の品質に関する情報を考慮した上で、
図27に示すステップST208における体細胞変異無しの判定や、
図28に示すステップST307における生殖細胞変異無しの判定が妥当であったか否かを、専門家会議において評価する必要がある。
図47に示すグラフィカルユーザインタフェースUIの表示例は専門家会議において検体や検査の適性を検討する上で有用である。
【0246】
図48に、
図21に示すステップST43の検査依頼リスト出力処理における、
図47のグラフィカルユーザインタフェースUIの表示処理を示す。
【0247】
(2-1)統合データ管理装置側
統合データ管理装置Aは、専門家会議において検討の対象となる患者の検査依頼IDに対応するマスターテーブルM内の
図48に示すステップST251において、
図7に示すマスターテーブルMの「第1の属性情報」の領域に変異がなかったことを示す「変異無」のラベルがあるか否かを判定する。
【0248】
統合データ管理装置Aは、
図48に示すステップST251において、「変異無」のラベルがあると判定した場合(「Yes」の場合)、ステップST252に進む。
【0249】
次に、統合データ管理装置Aは、
図48のステップST252において、検査及び検体の品質情報が取得され、
図7に示すマスターテーブルMの「品質情報」の欄に、検査及び検体の品質情報が記録されているかを確認する。
【0250】
統合データ管理装置Aは、
図48のステップST252において、検査及び検体の品質情報が取得されていた場合(「Yes」の場合)、ステップST253に進む。
【0251】
統合データ管理装置Aは、ステップST253において、
図47に示す検査依頼リスト領域UI1の「品質情報」の欄に出力する、品質情報が登録されていることを示す「登録済」のラベルに、
図7に示すマスターテーブルMの「品質情報」の欄へのリンクを生成する。検査依頼リスト領域UI1の「品質情報」の欄とマスターテーブルMの「品質情報」の欄との対応は、検査依頼IDや、検査依頼IDに対応している検体IDにより行うことができる。
【0252】
統合データ管理装置Aは、
図48のステップST254において、ステップST253において生成したリンクが張られた「登録済」のラベルを出力する。
【0253】
統合データ管理装置Aは、後述する検査施設C1の専門家会議端末C15等からの、ステップST254において出力したリンクが張られたラベルへのアクセスを待って、
図48のステップST255において、リンク先の品質情報を出力する。
【0254】
(2-2)専門家会議端末側
専門家会議において、検査施設C1の臨床検査技師T1やバイオインフォマティシャンT2が主体となって、品質情報を元に遺伝子パネル検査の品質を評価する。
【0255】
図21に示すステップST103において、専門家会議に参加する臨床検査技師T1やバイオインフォマティシャンT2が、検査依頼リスト領域UI1から品質情報を表示する際には、検査施設C1の専門家会議端末C15は、
図49に示すステップST261において、ブラウザソフトを使って
図15に示すディスプレイ等の出力部107Yに表示された検査依頼リスト領域UI1の品質情報の欄に、統合データ管理装置Aが、
図48のステップST254において出力したリンクが張られた「登録済」のラベルを表示する。
【0256】
図49に示すステップST262において、検査施設C1の専門家会議端末C15は、
図15に示す入力部106Yから、
図48のステップST254において表示したラベルの選択を受け付ける。入力部106Yからの入力は、臨床検査技師T1やバイオインフォマティシャンT2が行う。
【0257】
図49に示すステップST263において、検査施設C1の専門家会議端末C15は、統合データ管理装置Aが、
図48のステップST255において出力したリンク先の品質情報を表示する。
【0258】
(3)外部データベースへのリンク
遺伝子パネル検査の結果、「アクショナブル変異」や「その他の変異」の第2の属性情報が付された場合には、変異が検出された遺伝子の種類や変異の部位等に応じて、専門家会議において、治療方法等に関する情報を外部データベースから検査する場合がある。
【0259】
統合データ管理装置Aは、
図21に示すステップST43の検査依頼リスト出力処理において、第2の属性情報に応じて、
図50に示すように、検査依頼リスト領域UI1の検査結果が登録されたことを示す「結果登録」と、外部情報データベース(DB)へのリンクを表示する「情報DB」の欄を出力してもよい。
【0260】
「結果登録」の欄には、
図7に示すマスターテーブルMの「検査結果」の欄に検査結果が登録されたことを示し、かつマスターテーブルMの「検査結果」の欄にリンクが張られた「登録済」のラベルが表示される。
図50に示す検査依頼リスト領域UI1の「結果登録」欄と、
図7に示すマスターテーブルMの「検査結果」欄の紐付けは、検査依頼IDや検査依頼IDに対応する検体IDにより行うことができる。
【0261】
「情報DB」の欄には、薬剤情報データベースサーバF11へのリンクが張られている「薬剤DB」のラベルと、治験データベースサーバF21へのリンクが張られている「治験DB」のラベルと、論文データベースサーバF31へのリンクが張られている「論文DB」のラベルとが、第2の属性情報に応じて表示されうる。
【0262】
このような情報データベースへのリンクを表示することで、専門家会議への参加者が、検査依頼リスト領域UI1から、検討対象患者の遺伝子の変異情報に関する情報へアクセスすることができ、利便性が高まる。
【0263】
(3-1)統合データ管理装置側
図51に、統合データ管理装置Aにおける外部データベースへのリンクの生成処理とリンクの出力処理を示す。
【0264】
統合データ管理装置Aは、
図51のステップST271において、
図7に示すマスターテーブルMの「検査結果」の欄に検査結果が記録されたか否かを判定する。
【0265】
図51のステップST271において「検査結果」が記録されていない場合(「No」の場合)には、統合データ管理装置Aは、マスターテーブルMに「検査結果」が記録されるまで、待機する。これは、外部データベースにおける情報検索が、具体的な遺伝子名や変異部位に基づいて行われるため、詳細な検査結果が登録される前に、外部データベースへのリンクを表示しても情報検索ができないためである。
【0266】
図51のステップST271において「検査結果」が記録されている場合(「Yes」の場合)には、統合データ管理装置Aは、ステップST272に進み、
図50の検査依頼リスト領域UI1の「結果登録」欄に「登録済」ラベルを出力する。
【0267】
続いて、統合データ管理装置Aは、
図51のステップST273に進み、
図7に示すマスターテーブルMの「第1の属性情報」の欄を参照する。統合データ管理装置Aは、「第1の属性情報欄」に「変異有」ラベルがある場合(
図51のステップST273が「YES」の場合)には、
図51のステップST274に進む。統合データ管理装置Aは、「第1の属性情報欄」に「変異有」ラベルがない場合(
図51のステップST273が「NO」の場合)には、処理を終了する。
【0268】
図51のステップST274において、統合データ管理装置Aは、
図7に示すマスターテーブルMの「第2の属性情報」を参照し、「第2の属性情報」の欄に「アクショナブル変異」及び/又は「生殖細胞変異」のラベルがあるか否かを判定する。
図51のステップST274において、「アクショナブル変異」及び/又は「生殖細胞変異」のラベルがある場合(「Yes」の場合)には、統合データ管理装置Aは、
図51のステップST275に進み、「薬剤DB」及び「治験DB」のラベルを出力する。
図51のステップST274において、「アクショナブル変異」及び/又は「生殖細胞変異」のラベルがない場合(「No」の場合)には、「第2の属性情報」の欄には「その他の変異」のラベルが付される。この場合、統合データ管理装置Aは、
図51のステップST276に進み、「論文DB」のラベルを出力する。
【0269】
「薬剤DB」、「治験DB」及び「論文DB」には、対応するサーバにアクセスするためのURLがリンクされている。各データベースのリンクは、
図4に示す統合データ管理装置Aの統合データベースOGに格納されている。
【0270】
統合データ管理装置Aは、各専門家会議端末からの
図50に示す検査依頼リスト領域UI1の「情報DB」欄へのアクセスを待って、
図51に示すステップST277において、「薬剤DB」ラベル、「治験DB」ラベル又は「論文DB」ラベルのいずれかの選択を受け付ける。
続いて、統合データ管理装置Aは、
図51に示すステップST278において、選択されたラベルのリンク先を出力する。
【0271】
(3-3)専門家会議端末側
専門家会議において、各参加者が外部データベースを参照する。
図21に示すステップST86及びステップST103において、専門家会議に各参加者が、
図50に示す検査依頼リスト領域UI1から外部データベースにアクセスする。
【0272】
各専門家会議端末B15,B25,B23,C15,SP11,SP15は、
図52に示すステップST281において、ブラウザソフトを使って
図15に示すディスプレイ等の出力部107X,107Y,107Zに表示された検査依頼リスト領域UI1の「結果登録」欄に、統合データ管理装置Aが、
図51のステップST272において出力した「登録済」のラベルを表示する。
【0273】
図52に示すステップST282において、各専門家会議端末B15,B25,B23,C15,SP11,SP15は、ブラウザソフトを使って
図51のステップST275又はステップST276において出力された「薬剤DB」、「治験DB」、又は「論文DB」のラベルを含む検査依頼リスト領域UI1を表示する。
【0274】
図52に示すステップST283において、各専門家会議端末B15,B25,B23,C15,SP11,SP15は、
図15に示す入力部106X,106Y,106Zから、
図451のステップST282において表示したラベルの選択を受け付ける。入力部106X,106Y,106Zからの入力は、専門家会議の各参加者が行う。
【0275】
図52に示すステップST284において、各専門家会議端末B15,B25,B23,C15,SP11,SP15は、統合データ管理装置Aが、
図51のステップST278において出力したリンク先の外部データベースを表示する。
【0276】
9.コンピュータプログラム
図19から
図20に示すステップST21からステップST38、
図32に示すステップST501から505、
図33に示すステップST601からST607、及び
図55に示すステップST321からステップST338;又は
図19から
図22に示すST21からステップST47、
図32に示すステップST501から505、及び
図33に示すステップST601からST607、
図42に示すステップ221及びステップST222、
図44に示すステップST241からステップST245、
図48に示すステップST251からステップST255、
図51に示すステップST271からステップST278及び
図55に示すステップST321からステップST338は、遺伝子パネル検査の検査依頼を管理するためのコンピュータプログラムとしてコンピュータ上で実行されうる。
【0277】
前記コンピュータプログラムは、記憶媒体等のプログラム製品として提供されうる。前記コンピュータプログラムは、ハードディスク、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、光ディスク等の記憶媒体に記憶される。前記記憶媒体へのプログラムの記憶形式は、前記制御部が前記プログラムを読み取り可能である限り制限されない。前記記憶媒体への記憶は、不揮発性であることが好ましい。
【0278】
III.その他の処理と変形例
(1)検査依頼時のユーザ認証処理
上記8-1.の「検査依頼の流れ」において言及した
図12に示す臨床情報管理装置B10の検査依頼情報取得部1Bが行う
図19のステップST1の検査依頼処理の例を説明する。
図53には、
図19のステップST1のユーザ認証処理の流れを示す。
【0279】
図53のステップST111において、担当医H1aは、臨床情報管理装置B10において、遺伝子パネル検査の検査依頼を行う際、統合データ管理装置Aの統合データベースOGに格納されている
図23に示すグラフィカルユーザインタフェースUIaにアクセスするためのログインを行う。臨床情報管理装置B10は
図11に示す入力部106Bから担当医H1aによる処理開始の指令、例えば遺伝子パネル検査依頼のURLの選択を受け付け、ブラウザソフトを使用してログイン画面を
図11に示すディスプレイ等の出力部107Bに表示する。
【0280】
続いて、
図53に示すステップST112において、臨床情報管理装置B10は
図11に示す入力部106Bから担当医H1aによるユーザIDとパスワードの入力を受け付け、これを統合データ管理装置Aに送信する。
【0281】
図4に示す統合データベースOGには、
図54に示すユーザIDとログインパスワードを記録したログイン情報テーブルが格納されている。統合データ管理装置Aは、このログイン情報テーブルの記録情報と
図53のステップST112において入力された情報とを照合する。照合がとれたら、ブラウザソフトを介して、
図23に示すグラフィカルユーザインタフェースUIaを出力する。
【0282】
臨床情報管理装置B10は、
図53におけるステップST113において、上記8-1.で説明した
図19のステップST1の検査依頼情報の入力の受け付けを行い、受け付けた検査依頼情報を統合データ管理装置Aに送信する。
【0283】
(2)検査依頼画面の変形例
図19
のステップST1の検査依頼情報を入力する際、依頼元施設の情報、担当医に関連する情報、専門家会議を統率する事務局に関する情報等は、あらかじめ、統合データベースOGに記録されていてよい。
図53のステップST113において、
図23に示すグラフィカルユーザインタフェースUIaにあらかじめ記録した依頼元施設の情報、担当医に関連する情報、専門家会議を統率する事務局に関する情報等に関する情報を対応する領域に出力してもよい。
【0284】
(3)検査依頼ID付与の変形例
図7に示すマスターテーブルMにおいて、「検査依頼ID」は、検査依頼を受け付けた施設が保有する発番システムが個別に発番してもよく、もしくは、検査依頼を受け付けた施設の担当者が任意に発番してもよい。
【0285】
(4)検査状況表示処理
上記8-2.においては、検査の進捗状況について、
図19に示すステップST61からステップST65、
図19に示すステップST27、
図19に示すステップST28、
図20に示すステップST29及び
図20に示すステップST30において「検体受領済」、「前処理工程完了」を例にして説明している。しかし、
図4に示す「検査状況」の欄に入力されるラベルは、
図55及び
図56に検査施設C1における検査の進捗にしたがって、随時更新されうる。「検査状況」の欄に入力されうるラベルは、
図25に示す。
【0286】
図55は、統合データ管理Aにおける、
図7に示すマスターテーブルMの「検査状況」欄の更新処理を示す。
図56は、検査情報管理装置C11における、
図24に示す検査管理テーブルLの「検査状況」欄の更新処理を示す。
【0287】
統合データ管理Aは、
図55のステップST321において、臨床情報管理装置B10から送信された検査依頼情報を受信すると(
図19のステップST21に対応)、
図55のステップST322において、受信した検査依頼に対応するマスターテーブルMの「検査状況」の欄を、「検体準備中」のラベルに更新する。
【0288】
統合データ管理Aは、
図55のステップST323において、臨床情報管理装置B10から送信された検体発送完了の情報を受信すると、
図55のステップST324において、受信した検体情報に対応するマスターテーブルMの「検査状況」の欄を、「検体搬送中」のラベルに更新する。臨床情報管理装置B10からの検体発送完了の情報は、臨床情報管理装置B10から、病理医H1b又は臨床検査技師H3が、
図11に示す臨床情報管理装置B10の入力部106bから、入力してもよい。
【0289】
検体を検査施設C1で受領すると、臨床検査技師T1はその情報を検査情報管理装置C11に
図13の入力部106を介して入力する。
図56のステップST421において、検査情報管理装置C11は、検体受領情報として、臨床検査技師T1による
図13の入力部106からの「検体受領済」のラベルの入力を受け付ける(
図19のステップST62に対応)。
図56のステップST422において、検査情報管理装置C11は、
図24に示す検査管理テーブルLの「検査状況」を「検体受領済」のラベルに更新する(
図19のステップST62に対応)。続いて、検査情報管理装置C11は、
図56のステップST423において、更新した内容を統合データ管理装置Aに送信する(
図19のステップST63に対応)。
【0290】
統合データ管理Aは、
図55のステップST325において、検査情報管理装置C11から送信された「検体受領済」ラベルへの更新情報を、検体受領情報として受信する(
図19のステップST27に対応)。
図55のステップST326において、受信した検体情報に対応するマスターテーブルMの「検査状況」の欄を、「検体受領済」のラベルに更新する(
図19のステップST28に対応)。
【0291】
検体の前処理が開始されると、臨床検査技師T1はその情報を検査情報管理装置C11に
図13の入力部106を介して入力する。
図56のステップST424において、検査情報管理装置C11は、検体の前処理開始情報として、臨床検査技師T1による
図13の入力部106からの入力を受け付ける。
図56のステップST425において、検査情報管理装置C11は、
図24に示す検査管理テーブルLの「検査状況」を「前処理中」のラベルに更新する。続いて、検査情報管理装置C11は、
図56のステップST426において、更新した内容を統合データ管理装置Aに送信する。
【0292】
統合データ管理Aは、
図55のステップST327において、検査情報管理装置C11から送信された「前処理中」ラベルへの更新情報を、前処理開始情報として受信する。
図55のステップST328において、受信した検体情報に対応するマスターテーブルMの「検査状況」の欄を、「前処理中」のラベルに更新する。
【0293】
検体の前処理が完了すると、臨床検査技師T1はその情報を検査情報管理装置C11に
図13の入力部106を介して入力する。
図56のステップST427において、検査情報管理装置C11は、検体の前処理完了情報として、臨床検査技師T1による
図13の入力部106からの入力を受け付ける(
図19のステップST64に対応)。
図56のステップST428において、検査情報管理装置C11は、
図24に示す検査管理テーブルLの「検査状況」を「前処理完了」のラベルに更新する(
図19のステップST64に対応)。続いて、検査情報管理装置C11は、
図56のステップST429において、更新した内容を統合データ管理装置Aに送信する(
図19のステップST65に対応)。
【0294】
統合データ管理Aは、
図55のステップST329において、検査情報管理装置C11から送信された「前処理完了」ラベルへの更新情報を、前処理完了情報として受信する(
図20のST29に対応)。
図55のステップST330において、受信した検体情報に対応するマスターテーブルMの「検査状況」の欄を、「前処理完了」のラベルに更新する(
図20のST30に対応)。
【0295】
シーケンシングが開始されると、臨床検査技師T1はその情報を検査情報管理装置C11に
図13の入力部106を介して入力する。
図56のステップST430において、検査情報管理装置C11は、シーケンシング開始情報として、臨床検査技師T1による
図13の入力部106からの入力を受け付ける。
図56のステップST431において、検査情報管理装置C11は、
図24に示す検査管理テーブルLの「検査状況」を「シーケンシング中」のラベルに更新する。続いて、検査情報管理装置C11は、
図56のステップST432において、更新した内容を統合データ管理装置Aに送信する。
【0296】
統合データ管理Aは、
図55のステップST331において、検査情報管理装置C11から送信された「シーケンシング中」ラベルへの更新情報を、シーケンシング開始情報として受信する。
図55のステップST332において、受信した検体情報に対応するマスターテーブルMの「検査状況」の欄を、「シーケンシング中」のラベルに更新する。
【0297】
シーケンシングが完了すると、臨床検査技師T1はその情報を検査情報管理装置C11に
図13の入力部106を介して入力する。
図56のステップST433において、検査情報管理装置C11は、シーケンシング完了情報として、臨床検査技師T1による
図13の入力部106からの入力を受け付ける。
図56のステップST434において、検査情報管理装置C11は、
図24に示す検査管理テーブルLの「検査状況」を「シーケンシング完了」のラベルに更新する。続いて、検査情報管理装置C11は、
図56のステップST435において、更新した内容を統合データ管理装置Aに送信する。
【0298】
統合データ管理Aは、
図55のステップST333において、検査情報管理装置C11から送信された「シーケンシング完了」ラベルへの更新情報を、シーケンシング開始情報として受信する。
図55のステップST334において、受信した検体情報に対応するマスターテーブルMの「検査状況」の欄を、「シーケンシング完了」のラベルに更新する。
【0299】
シーケンシングが完了すると、臨床検査技師T1はその情報を検査情報管理装置C11に
図13の入力部106を介して入力する。
図56のステップST433において、検査情報管理装置C11は、シーケンシング完了情報として、臨床検査技師T1による
図13の入力部106からの入力を受け付ける。
図56のステップST434において、検査情報管理装置C11は、
図24に示す検査管理テーブルLの「検査状況」を「シーケンシング完了」のラベルに更新する。続いて、検査情報管理装置C11は、
図56のステップST435において、更新した内容を統合データ管理装置Aに送信する。
【0300】
統合データ管理Aは、
図55のステップST333において、検査情報管理装置C11から送信された「シーケンシング完了」ラベルへの更新情報を、シーケンシング完了情報として受信する。
図55のステップST334において、受信した検体情報に対応するマスターテーブルMの「検査状況」の欄を、「シーケンシング完了」のラベルに更新する。
【0301】
シーケンシングが完了すると、検査情報管理装置C11は、シーケンシングで得られた配列情報を次世代シーケンサーC13から受信し、変異解析を開始する。臨床検査技師T1はその情報を検査情報管理装置C11に
図13の入力部106を介して入力する。
図56のステップST436において、検査情報管理装置C11は、変異解析開始情報として、臨床検査技師T1による
図13の入力部106からの入力を受け付ける。
図56のステップST437において、検査情報管理装置C11は、
図24に示す検査管理テーブルLの「検査状況」を「変異解析中」のラベルに更新する。続いて、検査情報管理装置C11は、
図56のステップST438において、更新した内容を統合データ管理装置Aに送信する。
【0302】
統合データ管理Aは、
図55のステップST335において、検査情報管理装置C11から送信された「変異解析中」ラベルへの更新情報を、変異解析開始情報として受信する。
図55のステップST334において、受信した検体情報に対応するマスターテーブルMの「検査状況」の欄を、「変異解析中」のラベルに更新する。
【0303】
変異解析が完了すると。臨床検査技師T1はその情報を検査情報管理装置C11に
図13の入力部106を介して入力する。
図56のステップST439において、検査情報管理装置C11は、変異解析完了情報として、臨床検査技師T1による
図13の入力部106からの入力を受け付ける。
図56のステップST440において、検査情報管理装置C11は、
図24に示す検査管理テーブルLの「検査状況」を「変異解析完了」のラベルに更新する。続いて、検査情報管理装置C11は、
図56のステップST441において、更新した内容を統合データ管理装置Aに送信する。
【0304】
統合データ管理Aは、
図55のステップST337において、検査情報管理装置C11から送信された「変異解析完了」ラベルへの更新情報を、変異解析完了情報として受信する。
図55のステップST334において、受信した検体情報に対応するマスターテーブルMの「検査状況」の欄を、「変異解析完了」のラベルに更新する。
【0305】
ここで、臨床検査技師T1が検体から抽出された核酸の品質が悪いと判断した場合には
図56のステップST427(
図19のステップST64)において、検体の再採取が必要であることを示す情報、例えば「検体再取得」のラベルを、マスターテーブルM及び検査管理テーブルLの「検査状況」の欄に記録してもよい。
【0306】
また、何らかの理由で遺伝子パネル検査が中止となった場合には、検査が中止されたことを示す情報、例えば「検査中止」のラベルをマスターテーブルM及び検査管理テーブルLの「検査状況」の欄に記録してもよい。
【0307】
(5)特定の検査依頼の出力処理
図22に示すステップST45において、統合データ管理装置Aは、ユーザID、グループID、役割IDに応じた、
図4に示す検査依頼リスト領域UI1へのアクセス権限を設定し、前記IDに応じてマスターテーブルMに格納された個別検査依頼表示領域UI3について表示を制限することができる。また、一つの個別検査依頼UI3について検査依頼リスト領域UI1に表示する各領域についても、アクセス権限に応じて表示を変更することができる。
【0308】
例えば、
図10に示すように、各ユーザは、専門家会議を行うグループが決められており、それぞれグループ内で所定の役割を担っている。
【0309】
図7と、
図10と、
図57を用いて、特定の検査依頼の出力処理を説明する。
統合データ管理装置Aは、
図57のステップST701において、各専門家会議端末からの
図4に示す検査依頼リスト領域UI1への表示要求を受け付ける。
【0310】
統合データ管理装置Aは、
図57のステップST702において、統合データベースOGに格納された
図10(a)に示す役割テーブルCTから、システムにログインしたユーザIDか当該ユーザの役割IDを特定する。
図10(b)の閲覧可能情報テーブルATに示されているように各役割IDには、検査依頼リストにおいてどのような情報を表示するかがあらかじめ決められている。
【0311】
統合データ管理装置Aは、
図57のステップST703において、
図7に示すマスターテーブルMを参照して前記ユーザIDからそのユーザが属する専門家会議のグループIDを特定する。
【0312】
さらに、統合データ管理装置Aは、
図57のステップST704において、
図7に示すマスターテーブルMを参照して前記グループIDからそのグループIDが対応する1つ又は複数の個別検査依頼を特定する。
【0313】
図57のステップST705において、統合データ管理装置Aは、
図57のステップST702において特定した役割に対応するIDに基づいて、
図10(b)の閲覧可能情報テーブルATに記録されている共通項目と追加項目を特定する。
【0314】
図57のステップST706において、統合データ管理装置Aは、を
図57のステップST704において特定した各個別検査依頼について、各ユーザIDに対応する役割IDに応じた項目を検査依頼リスト領域UI1に出力する。
このような設定を行うことにより、秘匿性の高い遺伝子変異に関する情報の不要な表示を避けることができる。
【0315】
一方で、第2の属性情報の欄に「生殖細胞変異」のラベルが記録された場合、専門家会議に参加する医療関係者(遺伝子カウンセラー、担当医等)は、検査依頼リスト領域UI1から患者IC情報にアクセスし、患者のIC情報、患者病歴、家族歴等を確認することができる。これにより、生殖細胞変異が検出された場合の、検査結果の開示方法や患者や家族への情報提供が適切となる。
【0316】
(6)検査依頼リストの変形例
図3に示す検査依頼リストにおいて、属性情報は、属性情報ごとに識別可能に歩湯辞されてもよい。識別可能とは、例えば、属性情報ごとにラベルの表示色を変えて表してもよい。また、属性情報は、「A」、「G」、「O」等のアルファベット等の識別記号で表されてもよい。表示例は、
図3において符号SMで表す。
【0317】
特定の属性情報(変異無など)に注意を促す凡例(例えば、「!」等)を付けて表示してもよい。
【0318】
さらに注意を促す凡例や、ラベルの色による識別は、検査依頼リストの「検査状況」に、通常の検査の進捗とは異なるラベルが付された時、例えば「検体再取得」、「検査中止」等が記録された際に、表示してもよい。
検査依頼リストにおいて、各属性情報に対してあらかじめ優先度を設定して、属性情報の優先度に応じて検査依頼リストを表示させてもよい。
【0319】
(7)新たな専門家会議スケジュール枠の記録
事務局専門家会議端末SP15は、会議スケジュールデータベースSDBに、
図45及び
図46に示すダイアログに表示するための新しいスケジュール枠の記録を行う。
専門家会議を統率する施設のスタッフが、
図15に示す事務局専門家会議端末SP15の入力部106Zから、新たな会議スケジュール枠の入力を行う。
【0320】
図58のステップST801において、事務局専門家会議端末SP15は、
図15に示す入力部106Zからの入力を受け付ける。このとき、事務局専門家会議端末SP15の制御部100Zは、
図18に示す新規予約枠登録部Z17として機能する。
【0321】
図58のステップST801において、事務局専門家会議端末SP15は、
図58のステップST801において入力された情報を統合データ管理装置Aに送信する。このとき、事務局専門家会議端末SP15の制御部100Zは、
図18に示すスケジュール更新部Z18として機能する。統合データ管理装置Aが、これを会議スケジュールデータベースSDBに記録する。
(8)会議の仮予約
図43に示すステップST235では、担当医H1aがスケジュールを選択するか、会議通知アイコンUI77を選択することで、専門家会議の設定が確定する例を説明した。しかし、別の実施形態として、例えば、遺伝子パネル検査の結果が出る前に、担当医H1aが
図45に示すダイアログUI5を使って専門家会議の設定を仮予約してもよい。仮予約により、
図59の検査依頼リスト領域UI1の「設定状況」の欄に「仮予約」であることを示すラベルが表示され得る。「仮予約」のラベルには、
図46に示すダイアログUI7へのリンクが張られており、担当医H1aが「仮予約」のラベルを選択すると
図46に示すダイアログUI7が医療施設B1の専門家会議端末B15の出力部107Xに表示される。予約を確定する場合には、担当医H1aが会議通知アイコンUI77を選択することで、専門家会議が本設定され、検査依頼リスト領域UI1の「設定状況」の欄に「設定済」のラベルが表示される。また、本設定により、専門家会議の各参加者に専門家会議のスケジュールがメール送信されうる。
(9)システム1000の変形例1
上記実施形態において、統合データ管理装置Aは、臨床情報管理装置B10、B20,B30から検査依頼情報を取得し、検査情報管理装置C11から属性情報を取得しているが、これらの情報を同じコンピュータから取得してもよい。例えば、臨床情報管理装置B10、B20,B30が検査依頼情報を検査情報管理装置C11に送信し、検査情報管理装置C11が、検査依頼情報および属性情報を統合データ管理装置Aに送信してもよい。(10)システム1000の変形例2
統合データ管理装置Aは、クラウドコンピューティングを提供するウェブサーバであってもよい。臨床情報管理装置B10、専門家会議端末B15、臨床情報管理装置B20、専門家会議端末B25、臨床情報管理装置B30、及び専門家会議端末B35は、ウェブサーバである統合データ管理装置Aにウェブブラウザを介してアクセスしてもよい。すなわち、システム1000は、統合データ管理装置Aへのアクセスに専用のアプリケーションを必要としない、クラウドコンピューティングシステムであってもよい。
【符号の説明】
【0322】
A 統合データ管理装置
100A 制御部
107A 出力部
B10,B20,B30 臨床情報管理装置
C11 検査情報管理装置
B15,B25,B35,C15,SP11,SP15 専門家会議端末