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特許7198314トンネル内構造およびトンネル内構造の築造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-20
(45)【発行日】2022-12-28
(54)【発明の名称】トンネル内構造およびトンネル内構造の築造方法
(51)【国際特許分類】
   E21D 11/08 20060101AFI20221221BHJP
【FI】
E21D11/08
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021113984
(22)【出願日】2021-07-09
(62)【分割の表示】P 2016256781の分割
【原出願日】2016-12-28
(65)【公開番号】P2021167566
(43)【公開日】2021-10-21
【審査請求日】2021-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000230010
【氏名又は名称】ジオスター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100207789
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 良平
(72)【発明者】
【氏名】中谷 郁夫
(72)【発明者】
【氏名】谷口 哲憲
【審査官】五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-150165(JP,A)
【文献】特開2001-254428(JP,A)
【文献】特開2006-152746(JP,A)
【文献】特開2003-120194(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21D 11/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向して配置された一対の板状の脚部と、前記一対の板状の脚部に支持された天板とを備える門型ブロックと、
トンネルの底部に設置され、上面に前記トンネル形状に合わせた傾斜面が形成され、前記傾斜面に応じた高さ位置にそれぞれ複数の前記一対の板状の脚部の下端部を支持する複数の溝部を有するインバートブロックと、を備え、
複数の前記門型ブロックは、前記インバートブロック上にトンネル軸方向に沿って配置され、
前記一対の板状の脚部は、対応する前記溝部の高さ位置に応じて、前記天板が水平となるようにそれぞれの長さが非対称に設定されており、
前記溝部は、前記下端部を、トンネル軸方向を軸として回転自在に支持し、
前記溝部と前記下端部とによりヒンジ構造を形成する、トンネル内構造。
【請求項2】
対向して配置された一対の板状の脚部と、前記一対の板状の脚部に支持された天板とを備える門型ブロック、トンネルの底部に設置され、上面に前記トンネル形状に合わせた傾斜面が形成され、前記傾斜面に応じた高さ位置にそれぞれ複数の前記一対の板状の脚部の下端部を支持する複数の溝部を有するインバートブロック上にトンネル軸方向に沿って配置するトンネル内構造の築造方法であって、
前記インバートブロックをトンネル内に設置する第1工程と、
前記インバートブロック上に複数の前記門型ブロックをトンネル軸方向に沿って載置する第2工程と、を有し、
前記第2工程において、前記門型ブロックは、対応する前記溝部の高さ位置に応じて、それぞれの長さが非対称に設定されている前記一対の板状の脚部により支持されて前記天板が水平となるように配置され、且つ、前記下端部が前記溝部によってトンネル軸方向を軸として回転自在に支持されるように載置され、前記溝部と前記下端部とによりヒンジ構造を形成する、
トンネル内構造の築造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネル内に形成される床面を支持するためのトンネル内構造およびトンネル内構造の築造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シールドトンネルは、シールドマシンで掘削されたトンネル開口部を掘削に従ってセグメントで覆って構築される。シールドトンネルが構築された後、トンネル内の底部に床面が形成される。特許文献1には、トンネル断面方向に開口するボックスカルバートをトンネル底部の中央に設置し、その両側にボックスカルバートを拘束するためのコンクリートブロックを設置する、トンネル内の床面構造が記載されている。特許文献2には、トンネルの底部に底板となるインバートブロックを設置し、その上に一対の側板と天板をそれぞれピン結合して組み立てられるボックスカルバートによるトンネル内の床面構造が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5492342号公報
【文献】特開2009-150165号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された床面構造は、剛構造のボックスカルバートを用いており、地震動や経年変化等の外力によって生じる地盤の変形に対して追従性が低下する可能性がある。また、特許文献2に記載された床面構造は、分割された底板、一対の側板、天板をそれぞれ結合してボックスカルバートを構築するため、施工の手間が増加して工期が延びる可能性がある。
【0005】
本発明は、柔構造を有すると共に、施工を簡略化することができるトンネル内構造およびトンネル内構造の築造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様にかかるトンネル内構造は、対向して配置された一対の脚部と、前記一対の脚部に支持された天板とを備える1つまたは複数の門型ブロックと、トンネルの底部に設置され、上面に前記トンネル形状に合わせた傾斜面が形成され、前記傾斜面に応じた高さ位置にそれぞれ複数の前記脚部の下端部を支持する複数の溝部を有するインバートブロックと、を備え、前記一対の脚部は、対応する前記溝部の高さ位置に応じて、前記天板が水平となるようにそれぞれの長さが設定されており、前記溝部は、前記下端部を、トンネル軸方向を軸として回転自在に支持し、前記溝部と前記下端部とによりヒンジ構造を形成する。
【0007】
本発明は、このような構成により、門型ブロックをインバートブロックに設置する際に、脚部の下端部が溝部に位置決めされ施工性が向上すると共に下端部と溝部がヒンジ構造を形成し、変形に追従する柔構造とすることができる。
【0008】
本発明の一態様に係るトンネル内構造の築造方法は、対向して配置された一対の脚部と、前記一対の脚部に支持された天板とを備える1つまたは複数の門型ブロックと、トンネルの底部に設置され、上面に前記トンネル形状に合わせた傾斜面が形成され、前記傾斜面に応じた高さ位置にそれぞれ複数の前記脚部の下端部を支持する複数の溝部を有するインバートブロックと、を備え、前記一対の脚部は、対応する前記溝部の高さ位置に応じて、前記天板が水平となるようにそれぞれの長さが設定されているトンネル内構造の築造方法であって、前記インバートブロックをトンネル内に設置する第1工程と、前記インバートブロック上に前記1つまたは複数の門型ブロックを載置する第2工程と、を有し、前記第2工程において前記門型ブロックは、前記天板が水平となり、且つ、前記下端部が前記溝部によってトンネル軸方向を軸として回転自在に支持されるように載置され、前記溝部と前記下端部とによりヒンジ構造を形成する。
【0009】
本発明はこのような構成により、門型ブロックをインバートブロックに設置する際に、脚部の下端部が溝部に位置決めされ施工性が向上する。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るトンネル内構造およびトンネル内構造の築造方法によると、柔構造を有すると共に施工を簡略化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態に係るトンネル内構造を示す斜視図である。
図2】ヒンジ構造の動作を説明する図である。
図3】ヒンジ構造の動作を説明する図である。
図4】ヒンジ構造の動作を説明する図である。
図5】回転バネ構造の動作を説明する図である。
図6】回転バネ構造の動作を説明する図である。
図7】回転バネ構造の動作を説明する図である。
図8】トンネル内構造の築造方法を示すフローチャートである。
図9】シールドトンネルを示す断面斜視図である。
図10】シールドトンネルにインバートブロックを設置した状態を示す斜視図である。
図11】インバートブロックに門型ブロックを設置した状態を示す斜視図である。
図12】門型ブロックの端部に端部構造を設ける状態を示す斜視図である。
図13】第2実施形態に係るトンネル内構造を示す斜視図である。
図14】第3実施形態に係るトンネル内構造を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態に係るトンネル内構造1について説明する。
【0013】
[第1実施形態]
図1に示されるように、トンネル内構造1は、シールドトンネル10内に構築される構造物である。トンネル内構造1は、シールドトンネル10の底部に設置されるインバートブロック20と、インバートブロック20に載置される一対の門型ブロック30と、一対の門型ブロック30の両側に設置される一対の端部構造40とによって構成される。
【0014】
インバートブロック20は、例えばプレキャストで成型されているコンクリート製のブロックである。プレキャストとは、工場で予め製造されることをいう。プレキャストで形成されたコンクリート部材を組み立てることにより、現場でコンクリートを打設する工法より工期を短縮することができる。インバートブロック20は、例えば鉄筋コンクリート構造で形成されている。インバートブロック20は、一体で形成されていてもよいし、分割されて形成されていてもよい。
【0015】
インバートブロック20の底面21は、シールドトンネル10の底部に設置された際に、シールドトンネル10の内壁11の形状に合致するように下側に突出する欠円形状に形成されている。インバートブロック20の上面22は、シールドトンネル10の内壁11の形状に合わせて傾斜面22aが形成されている。
【0016】
インバートブロック20の上面22には、シールドトンネル10のトンネル軸Lの方向に沿って複数の溝部23,24が形成されている。一対の溝部23は、上面22の両端に形成されている。一対の溝部24は、上面22の中央の近傍に形成されている。複数の溝部23,24のそれぞれは、例えば断面が欠円状に凹んで形成されている。複数の溝部23,24のそれぞれには、後述するように門型ブロック30の脚部32,33の下端部32a,33aが当接する。
【0017】
門型ブロック30は、例えばプレキャストで形成されたコンクリート製の門型カルバートである。門型ブロック30は、例えば鉄筋コンクリート構造で形成されている。一対の門型ブロック30は、トンネル軸Lに直交する方向のトンネル断面に沿って互いに対称になるように連続して配置される。門型ブロック30は、方形の板状体の天板31を有する。天板31のトンネル軸Lに沿った両側31a,31bには、下方に垂下して方形の板状の一対の脚部32,33が設けられている。
【0018】
一対の脚部32,33は、平行に対向して配置されている。天板31は、脚部32,33によって支持される。天板31と脚部32,33とは剛結されており、門型ブロック30はラーメン構造である。トンネル内の形状に合致させるために、トンネル断面の水平方向の外側に設置される脚部32の長さは、内側に設置される脚部33の長さに対して短く形成されている。
【0019】
それぞれの脚部32,33の下端部32a,33aは、それぞれ断面が下方に突出した欠円形状に形成されている。下端部32a,33aの断面形状は、溝部23,24の断面形状に嵌るように形成されている。門型ブロック30をインバートブロック20の上方から載置する際、門型ブロック30の脚部32,33の下端部32a,33aは、それぞれインバートブロック20の複数の溝部23,24に嵌り、門型ブロック30が位置決めされる。
【0020】
溝部23,24の断面の欠円状の形状は下端部32a,33aの断面の欠円状の形状に合致しているため、下端部32a,33aが溝部23,24に嵌ると、下端部32a,33aは、溝部23,24に対して回転可能となる。これにより、下端部32aと溝部23及び下端部33aと溝部24とによって回転機構R1,R2が形成される。
【0021】
回転機構R1,R2は、下端部32aと溝部23及び下端部33aと溝部24とによって構成されるヒンジ構造である。回転機構R1,R2において、複数の溝部23,24のそれぞれは、下端部32a,33aを、トンネル軸方向を軸として回転自在に支持する。これにより、天板31は、トンネル断面に沿った水平方向に変位することができる。天板31が変位した場合、脚部32,33の下端部32a,33aは、それぞれ溝部23,24に拘束され、下端部32a,33aはトンネル断面に沿った水平方向の変位が規制される。
【0022】
この状態で脚部32,33は、それぞれトンネル軸方向を軸とした溝部23,24を中心に回転自在に支持される。天板31が変位した状態では、脚部32,33は撓むように弾性変形する。そして、脚部32,33の変形が元に戻るのに従って天板31が元の位置に戻る。回転機構R1,R2により、門型ブロック30は、柔構造となる。回転機構R1,R2の動作については後に詳述する。
【0023】
インバートブロック20に門型ブロック30が載置されると、トンネル軸Lに沿って連続した開口部Pが形成される。開口部Pは、路面が形成された後に、例えば災害時の避難通路として用いられる。開口部Pは、避難通路の他、例えば換気口、通信や電力ケーブル等を敷設するための共同溝として用いられてもよい。開口部Pは、用途に合わせて断面積が決定される。そのため一対の門型ブロック30は必ずしも対称の形状とは限らない。
【0024】
従って一対の門型ブロック30は、それぞれの開口部Pの形状が異なるように非対称に形成されてもよい。一対の門型ブロック30は、互いに所定の間隔で離間して配置されている。これにより、一対の門型ブロック30の間には隙間Sが形成される。隙間Sの所定の間隔は例えば数センチから十数センチ程度である。
【0025】
隙間Sには、緩衝材Qが充填される。緩衝材Qは、例えば土や軽量土が充填されることにより形成される。緩衝材Qは、土や軽量土以外のものを用いてもよい。緩衝材Qによって門型ブロック30がトンネル断面方向に変位した場合、一対の門型ブロック30同士が互いに衝突して破損することが防止される。
【0026】
一対の門型ブロック30が載置された後、一対の門型ブロック30の両端に、一対の端部構造40が設けられる。例えば、端部構造40の上面41の高さは、門型ブロック30の天板31の高さと同一に形成される。端部構造40は、例えば流動化処理土によって形成される。端部構造40を流動化処理土で形成する際、門型ブロック30の外側の脚部32が型枠の一部となる。
【0027】
トンネル内構造1をシールドトンネル10内に順次築造していくと、既に形成された端部構造40も型枠となるため、端部構造40の型枠はトンネル断面方向の一部に設けるだけでよい。そのため、トンネル内構造1は、築造時に型枠の一部を省略することができ施工性が向上する。
【0028】
端部構造40は、門型ブロック30が水平方向に変位した際、門型ブロック30に対して変位と反対方向の反力を与える。このとき、端部構造40が弾性変形して門型ブロック30の変位によって生じる運動エネルギーを吸収し、端部構造40は、門型ブロック30の変位に対するダンパーとなる。従って、端部構造40は、門型ブロック30に生じる振動を端部構造40が無い場合に比して早期に収束させる。
【0029】
一対の端部構造40を設置した後、門型ブロック30の天板31と端部構造40との上方には、例えば土層50が敷かれて路面が形成される。天板31の上方には、土層の他、例えば床板を載置してその上に路面を形成してもよい。
【0030】
次に、回転機構R1,R2の動作について説明する。
【0031】
図2に示されるように、門型ブロック30に矢印Aの方向の変位が生じた場合、脚部33は、下端部33aが溝部24に拘束される。これにより、脚部33には溝部24を中心にトンネル軸Lに沿った方向を軸とした矢印B方向の回転が生じる。下端部33aは、溝部24の断面を形成する壁を滑りながら回転する。
【0032】
このように、溝部24の断面の欠円状の形状は下端部33aの断面の欠円状の形状に回転可能に合致しているため、下端部33aと溝部24とからなる回転機構R2は、回転自在なヒンジ構造とみなしてよい。脚部32の下端部32aと溝部23とからなる回転機構R1も同様に、回転自在なヒンジ構造とみなしてよい。
【0033】
図3に示されるように、門型ブロック30に互いに離間する矢印A1,A2の方向の変位が生じた場合、一対の脚部33には溝部24を中心にトンネル軸Lに沿った方向を軸とした互いに離間する矢印B1,B2方向の回転が生じる。緩衝材Qは、回転しないように図示されているが、一対の脚部33のいずれかの壁面に付着して、一対の脚部33のいずれかと共に回転し得る。
【0034】
図4に示されるように、門型ブロック30に互いに接近する矢印A1,A2の方向の変位が生じた場合、一対の脚部33は、緩衝材Qを介して互いに反力を与えるため回転しない。この場合、緩衝材Qによって一対の門型ブロック30が互いに衝突して破損することを防止する。
【0035】
上記例で回転機構R1,R2をヒンジ構造として説明したが、回転機構R1,R2には他の構造を用いてもよい。図5図7に示されるように、例えば、回転機構R1,R2に回転バネ構造を用いてもよい。回転バネ構造は、例えば、階段状に下方に突出して形成された脚部33の下端部33aと、階段状に下方に凹んで形成された溝部24とによって構成される(図7参照)。脚部32の下端部32aと、溝部23も同様に階段状に形成される。
【0036】
回転バネ構造は、門型ブロック30の設置時にはヒンジ構造と同様に門型ブロック30の位置決め用のガイドとなる。回転バネ構造を有する回転機構R1,R2は、端部32a,33aと溝部23,24とが例えばボルトやアンカーなどの連結部材によって連結されていてもよい。この場合、端部32a,33aと溝部23,24との間には弾性体からなる支承材を挟んでもよい。
【0037】
回転バネ構造は、脚部32,33の回転時に下端部32a,33aが溝部23,24を滑らずに回転する。この時、下端部32a,33aは、溝部23,24によって回転の動きが規制され、下端部32a,33aの接触面には弾性変形が生じる。
【0038】
また、端部32a,33aと溝部23,24とが連結部材で連結されている場合に脚部32,33が回転した場合は、連結部材の弾性変形も生じ、連結部材や支承材の復元力が生じる。従って回転バネ構造は、ヒンジ構造よりも回転抵抗があるが、復元力も生じる。
【0039】
次に、トンネル内構造1の築造方法について説明する。
【0040】
図8は、トンネル内構造1を築造する処理を示すフローチャートである。図9に示されるように、セグメント12が組まれてシールドトンネル10が築造される。図10に示されるように、シールドトンネル10内の底部にインバートブロック20を設置する:第1工程(S10)。インバートブロック20は、例えば地上からシールドマシンの発進立坑に搬入される。その後、インバートブロック20は、シールドトンネル10の入り口から内部を通って設置点まで運搬され、例えばクレーンで設置される。
【0041】
図11に示されるように、インバートブロック20の上面に一対の門型ブロック30を設置する:第2工程(S11)。この際、門型ブロック30の脚部32,33の下端部32a,33aのそれぞれを溝部23,24にそれぞれ嵌める。これにより、門型ブロック30は、確実に設計位置に位置決めされる。
【0042】
そして、門型ブロック30は、下端部32a,33aが溝部23,24によってトンネル軸L方向を軸として回転自在に支持されるようにインバートブロック20に載置される。門型ブロック30の搬入経路はインバートブロック20と同様である。一対の門型ブロック30の間の隙間Sには、緩衝材Qが充填される。
【0043】
図12に示されるように、一対の門型ブロック30の両側に一対の端部構造40を設置する(S12)。端部構造40は、例えば型枠を用いて例えば流動化処理土によって形成される。その後、一対の門型ブロック30と一対の端部構造40の上面に路面(不図示)を形成する(S13)。
【0044】
上記の工程を繰り返し行って、トンネル内構造1をシールドトンネル10のトンネル軸Lに沿って順次築造することにより、シールドトンネル10内に路面が形成される。シールドトンネル10内に連続して築造されたトンネル内構造1は、土層50の下に構築されるため、トンネル軸L方向に隣接したトンネル内構造1の各ブロック同士は、必ずしも継手、ボルト及びPC鋼材等の連結部材によって連結されていなくてもよいが、連結されていてもよい。
【0045】
上述したようにトンネル内構造1によると、回転機構R1,R2を有することにより、外力が加わった際に変形し、外力に対して追従する柔構造とすることができる。トンネル内構造1は、柔構造を有するように各ブロックを薄肉化したり軽量化したりして運搬性を向上し、コストも低減することができる。
【0046】
また、トンネル内構造1は、溝部23,24を有することにより、門型ブロック30の位置決めを容易にし、施工性を向上させることができる。さらに、トンネル内構造1は、門型ブロック30が取り外し容易な構造であるため、トンネル完工後に、門型ブロック30を1つずつ取り外して補修または交換することができる。
【0047】
[第2実施形態]
第1実施形態では、トンネル内構造1の門型ブロック30は、2連で配置されていた。第2実施形態では、門型ブロック30を複数連ねてトンネル内構造を築造する例を示す。以下の説明では、第1実施形態と同一の構成については同一の符号を用い、同様の説明については省略する。
【0048】
図13に示されるように、トンネル内構造2は、3連の門型ブロック30A,30B,30Cを有する。インバートブロック20Aには、3連の門型ブロック30A,30B,30Cを載置するために複数の溝部が形成されている。トンネル内構造2は、回転機構R3,R4,R5を有する。門型ブロック30A,30B,30Cとインバートブロック20Aとによって空間P1,P2,P3が形成されている。
【0049】
トンネル内構造2によると、3連の門型ブロック30A,30B,30Cを有することにより、複数の空間P1,P2,P3が形成され、これらの空間P1,P2,P3を避難路や共同溝の他、多様な用途に用いることができる。
【0050】
第2実施形態では3連の門型ブロック30A,30B,30Cを例示したが、3連以上の門型ブロックを用いてトンネル内構造を築造してもよい。
【0051】
[第3実施形態]
第1実施形態では、トンネル内構造1の端部構造40は、流動化処理土を用いて形成した。第3実施形態では、端部構造40は、ブロックで形成される例を示す。
【0052】
図14に示されるように、トンネル内構造3は、ブロックで形成された一対の端部構造40を有する。端部構造40は、中空の端部ブロックで形成されている。
【0053】
トンネル内構造3によると、ブロックで形成された端部構造40Aを用いることにより、搬入及び設置が容易となり、流動化処理土を用いる場合に比して工期を短縮することができる。
【0054】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。例えば、上記実施形態は左右対称に例示したが、トンネル内構造1~3の片側をそれぞれ組み合わせて非対称の構造を築造してもよい。また、上記実施形態では門型ブロックを2連以上に配置することを例示したが、門型ブロックは1つであってもよい。
【符号の説明】
【0055】
1…トンネル内構造、2…トンネル内構造、3…トンネル内構造、10…シールドトンネル、11…内壁、12…セグメント、20…インバートブロック、20A…インバートブロック、21…底面、22…上面、22a…傾斜面、23…溝部、24…溝部、30…門型ブロック、30A…門型ブロック、30B…門型ブロック、30C…門型ブロック、31…天板、31a…両側、31b…両側、32…脚部、32a…下端部、33…脚部、33a…下端部、40…端部構造、40A…端部構造、41…上面、50…土層、P…開口部、P1…空間、P2…空間、P3…空間、Q…緩衝材、R1…回転機構、R2…回転機構、R3…回転機構、R4…回転機構、R5…回転機構、S…隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14