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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-20
(45)【発行日】2022-12-28
(54)【発明の名称】企業通信ネットワークのセグメント化
(51)【国際特許分類】
   H04L 41/122 20220101AFI20221221BHJP
【FI】
H04L41/122
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2021506053
(86)(22)【出願日】2019-04-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-30
(86)【国際出願番号】 EP2019059894
(87)【国際公開番号】W WO2019201979
(87)【国際公開日】2019-10-24
【審査請求日】2021-03-30
(31)【優先権主張番号】1850454-8
(32)【優先日】2018-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】520406692
【氏名又は名称】ヒベ ストリーミング アクティエボラーグ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和広
(72)【発明者】
【氏名】リッカルド レアレ
(72)【発明者】
【氏名】ロベルト ロベルゾ
(72)【発明者】
【氏名】ヨナタン ボードビッレ
【審査官】佐々木 洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-050703(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0094274(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0054818(US,A1)
【文献】特開2009-213122(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 41/122
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クライアント装置(23)によって実行される、前記クライアント装置(23)が接続された企業通信ネットワーク(10)のセグメント化を容易にする方法であって、
前記企業通信ネットワーク(10)の複数の他のランダムに選択されたクライアント装置(24,25)にデータを送信すること(S101)と、
前記データを前記複数の他のランダムに選択されたクライアント装置(24,25)に転送する通信リンクの接続性能メトリックの値を測定すること(S102)と、
各通信リンクに対する接続性能メトリックの測定値を、各通信リンクの前記接続性能メトリックの測定値に基づいて前記企業通信ネットワーク(10)のセグメント(33)に前記クライアント装置(23)をマッピングするように構成されたネットワーク装置(50)に送信すること(S103)と、
を備え
接続性の品質尺度を超える測定値を有する通信リンクを通じて通信を行う二つのクライアント装置(23,31)は、同一のセグメント(33)にマッピングされ、前記企業通信ネットワーク(10)は、二つのサブネットワーク(11,12)を備え、前記二つのサブネットワーク(11,12)の一方は、前記二つのクライアント装置(23,31)の一方を含み、前記二つのサブネットワーク(11,12)の他方は、前記二つのクライアント装置(23,31)の他方を含む、方法。
【請求項2】
前記接続性能メトリックは、前記通信リンクのデータスループットと、前記通信リンクの往復時間RTTと、通信リンクを通じて通信を行う前記クライアント装置が同一のサブネットワークアドレスレンジに属するか否かを表す尺度と、のうちの一つ以上を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ネットワーク装置(50)によって実行される、企業通信ネットワーク(10)をセグメント化する方法であって、
前記企業通信ネットワーク(10)の複数のクライアント装置(23~32)から、前記複数のクライアント装置(23~32)の各々が複数の他のランダムに選択されたクライアント装置に転送した通信リンクの接続性能メトリックの測定値を受信すること(S103)と、
各通信リンクの前記接続性能メトリックの測定値に基づいて、前記クライアント装置(23~32)を前記企業通信ネットワーク(10)のセグメント(21,22,33)にマッピングする(S104)ことであって、接続性の品質尺度を超える測定値を有する通信リンクを通じて通信を行う二つのクライアント装置(23,31)は、同一のセグメント(33)にマッピングされることと、
を備え
前記企業通信ネットワーク(10)は、二つのサブネットワーク(11,12)を備え、前記二つのサブネットワーク(11,12)の一方は、前記二つのクライアント装置(23,31)の一方を含み、前記二つのサブネットワーク(11,12)の他方は、前記二つのクライアント装置(23,31)の他方を含む、方法。
【請求項4】
前記接続性能メトリックは、前記通信リンクのデータスループットを備え、前記データスループットが、予め決定されたデータスループットしきい値を超える場合、前記二つのクライアント装置が前記同一のセグメントにマッピングされる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記接続性能メトリックは、前記通信リンクの往復時間RTTを備え、前記RTTが、予め決定されたRTTしきい値より下である場合、前記二つのクライアント装置が前記同一のセグメントにマッピングされる、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
前記接続性能メトリックは、通信リンクを通じて通信を行う前記クライアント装置が同一のサブネットワークアドレスレンジに属するか否かを表す尺度を備え、前記二つのクライアント装置が、前記同一のサブネットワークアドレスレンジに属する場合、前記二つのクライアント装置が前記同一のセグメントにマッピングされる、請求項3~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記接続性能メトリックは、前記通信リンクのデータスループットと、前記通信リンクの往復時間RTTと、通信リンクを通じて通信を行う前記クライアント装置が同一のサブネットワークアドレスレンジに属するか否かを表す尺度と、のうちの二つ以上を備える、請求項3~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
クライアント装置(23)であって、前記クライアント装置(23)は、前記クライアント装置が接続された企業通信ネットワーク(10)のセグメント化を容易にするように構成され、前記クライアント装置(23)は、処理装置(61)及びメモリ(63)を備え、前記メモリは、前記処理装置によって実行可能な命令(62)を有し、これによって、前記クライアント装置(23)は、
前記企業通信ネットワーク(10)の複数の他のランダムに選択されたクライアント装置(24,25)にデータを送信し、
前記データを前記複数の他のランダムに選択されたクライアント装置(24,25)に転送する通信リンクの接続性能メトリックの値を測定し、
各通信リンクに対する接続性能メトリックの測定値を、各通信リンクの前記接続性能メトリックの測定値に基づいて前記企業通信ネットワーク(10)のセグメント(33)に前記クライアント装置(23)をマッピングするように構成されたネットワーク装置(50)に送信するように動作し、
接続性の品質尺度を超える測定値を有する通信リンクを通じて通信を行う二つのクライアント装置(23,31)は、同一のセグメント(33)にマッピングされ、前記企業通信ネットワーク(10)は、二つのサブネットワーク(11,12)を備え、前記二つのサブネットワーク(11,12)の一方は、前記二つのクライアント装置(23,31)の一方を含み、前記二つのサブネットワーク(11,12)の他方は、前記二つのクライアント装置(23,31)の他方を含む、クライアント装置(23)。
【請求項9】
前記接続性能メトリックは、前記通信リンクのデータスループットと、前記通信リンクの往復時間RTTと、通信リンクを通じて通信を行う前記クライアント装置が同一のサブネットワークアドレスレンジに属するか否かを表す尺度と、のうちの一つ以上を備える、請求項8に記載のクライアント装置(23)。
【請求項10】
企業通信ネットワーク(10)をセグメント化するように構成されたネットワーク装置(50)であって、前記ネットワーク装置(50)は、処理装置(61)及びメモリ(63)を備え、前記メモリは、前記処理装置によって実行可能な命令(72)を有し、これによって、前記ネットワーク装置(50)は、
前記企業通信ネットワーク(10)の複数のクライアント装置(23~32)から、前記複数のクライアント装置(23~32)の各々が複数の他のランダムに選択されたクライアント装置に転送した通信リンクの接続性能メトリックの測定値を受信し、
各通信リンクの前記接続性能メトリックの測定値に基づいて、前記クライアント装置(23~32)を前記企業通信ネットワーク(10)のセグメント(21,22,33)にマッピングし、接続性の品質尺度を超える測定値を有する通信リンクを通じて通信を行う二つのクライアント装置(23,31)は、同一のセグメント(33)にマッピングされるように動作し、
前記企業通信ネットワーク(10)は、二つのサブネットワーク(11,12)を備え、前記二つのサブネットワーク(11,12)の一方は、前記二つのクライアント装置(23,31)の一方を含み、前記二つのサブネットワーク(11,12)の他方は、前記二つのクライアント装置(23,31)の他方を含む、ネットワーク装置(50)。
【請求項11】
前記接続性能メトリックは、前記通信リンクのデータスループットを備え、前記データスループットが、予め決定されたデータスループットしきい値を超える場合、前記二つのクライアント装置が前記同一のセグメントにマッピングされる、請求項10に記載のネットワーク装置(50)。
【請求項12】
前記接続性能メトリックは、前記通信リンクの往復時間RTTを備え、前記RTTが、予め決定されたRTTしきい値より下である場合、前記二つのクライアント装置が前記同一のセグメントにマッピングされる、請求項10又は11に記載のネットワーク装置(50)。
【請求項13】
前記接続性能メトリックは、通信リンクを通じて通信を行う前記クライアント装置が同一のサブネットワークアドレスレンジに属するか否かを表す尺度を備え、前記二つのクライアント装置が、前記同一のサブネットワークアドレスレンジに属する場合、前記二つのクライアント装置が前記同一のセグメントにマッピングされる、請求項10~12のいずれか一項に記載のネットワーク装置(50)。
【請求項14】
前記接続性能メトリックは、前記通信リンクのデータスループットと、前記通信リンクの往復時間RTTと、通信リンクを通じて通信を行う前記クライアント装置が同一のサブネットワークアドレスレンジに属するか否かを表す尺度と、のうちの二つ以上を備える、請求項10~13のいずれか一項に記載のネットワーク装置(50)。
【請求項15】
企業通信ネットワーク(10)をセグメント化するように構成されたシステムであって、
前記企業通信ネットワーク(10)をセグメント化するように構成された少なくとも一つのネットワーク装置(50)と、
前記企業通信ネットワーク(10)に接続された複数のクライアント装置(23~32)と、
を備え、
前記複数のクライアント装置(23~32)の各々は、
前記企業通信ネットワーク(10)の複数の他のランダムに選択されたクライアント装置にデータを送信し、
前記複数のクライアント装置(23~32)の各々において、前記データを前記複数の他のランダムに選択されたクライアント装置に転送する通信リンクの接続性能メトリックの値を測定し、
各通信リンクに対する接続性能メトリックの測定値を、前記ネットワーク装置(50)に送信するように構成され、
前記少なくとも一つのネットワーク装置(50)は、
各通信リンクの前記接続性能メトリックの測定値に基づいて、前記クライアント装置(23~32)を前記企業通信ネットワーク(10)のセグメント(21,22,33)にマッピングし、接続性の品質尺度を超える測定値を有する通信リンクを通じて通信を行う二つのクライアント装置(23,31)は、同一のセグメント(33)にマッピングされるように構成され
前記企業通信ネットワーク(10)は、二つのサブネットワーク(11,12)を備え、前記二つのサブネットワーク(11,12)の一方は、前記二つのクライアント装置(23,31)の一方を含み、前記二つのサブネットワーク(11,12)の他方は、前記二つのクライアント装置(23,31)の他方を含む、システム。
【請求項16】
装置(23)に含まれる処理装置(61)において実行されるときに、請求項1又は2に列挙したステップを前記装置によって実行させるためのコンピュータ可読命令を備えるコンピュータプログラム(62)。
【請求項17】
請求項16に記載のコンピュータプログラム(62)を有するコンピュータ可読媒体(63)を備えるコンピュータプログラム製品。
【請求項18】
装置(50)に含まれる処理装置(71)において実行されるときに、請求項3~7のいずれか一項に列挙したステップを前記装置によって実行させるためのコンピュータ可読命令を備えるコンピュータプログラム(72)。
【請求項19】
請求項18に記載のコンピュータプログラム(72)を有するコンピュータ可読媒体(73)を備えるコンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、企業通信ネットワークのセグメント化する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
企業/会社ネットワークは、一般的には、ネットワークの各サイト又は位置に、固定されたコンピュータ、ラップトップ、携帯電話、タブレット等のような多数の端点を有する。これらの端点は、サイト内にサブネットワークを形成するために一つ以上のルータを介して互いに接続され、一意のローカルインターネットプロトコル(IP)アドレスを、サイトの各端点に割り当てる必要がある。
【0003】
会社ネットワークにおけるネットワークトポロジーの検出は、本質的に複雑な問題である。この複雑さは、主に、会社ネットワークのサイズ及び地理的分布に起因する。これらのネットワークが複数の大陸、国及び都市にまたがるのが一般的であり、それによって、管理者が運用、維持及び拡張するのを非常に困難にしている。それに加えて、会社ネットワークは、会社の合併及び買収のために複数の異種ネットワークで構成されることがよくある。全ての単一のサブネットワークは、独立した要件、予算及びセキュリティポリシーを有する様々な業者によって構成されることがよくある。したがって、ほとんどの場合、組織全体のネットワークの構造及び構成を完全に理解するのは不可能である。
【0004】
この複雑な環境では、ネットワークトポロジーの検出は、故障した部品及び誤った構成の発見のような問題の解決又はリソース管理及び拡張計画のような更に多くの管理業務のためにネットワーク管理者によって定期的に行われる。
【0005】
典型的には、管理者は、このために、ネットワークの機器業者又は第三者によって提供される複数のレイヤ2のツール及びレイヤ3のツールを利用する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ネットワークトポロジーは、ネットワーク管理のコンテキストに有用であるだけでなく、ネットワークで実行されるデータ集約型のリアルタイムアプリケーション及びサービスの性能を最適化するためにも必要である。
【0007】
本発明の目的は、従来のこの問題を解決する又は少なくとも軽減するとともに企業ネットワークのトポロジーを決定する改善された方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、クライアント装置によって実行される、クライアント装置が接続された企業通信ネットワークのセグメント化を容易にする方法により本発明の第1の態様において達成される。方法は、企業通信ネットワークの少なくとも一つの他のランダムに選択されたクライアント装置にデータを送信することと、データを少なくとも一つの他のランダムに選択されたクライアント装置に転送する通信リンクの接続性能メトリックの値を測定することと、各通信リンクに対する接続性能メトリックの測定値を、各通信リンクの接続性能メトリックの測定値に基づいて企業通信ネットワークのセグメントにクライアント装置をマッピングするように構成されたネットワーク装置に送信することと、を備える。
【0009】
この目的は、クライアント装置であって、クライアント装置が接続された企業通信ネットワークのセグメント化を容易にするように構成されたクライアント装置により本発明の第2の態様において達成される。クライアント装置は、処理装置及びメモリを備え、メモリは、処理装置によって実行可能な命令を有し、これによって、クライアント装置は、企業通信ネットワークの少なくとも一つの他のランダムに選択されたクライアント装置にデータを送信し、データを少なくとも一つの他のランダムに選択されたクライアント装置に転送する通信リンクの接続性能メトリックの値を測定し、各通信リンクに対する接続性能メトリックの測定値を、各通信リンクの接続性能メトリックの測定値に基づいて企業通信ネットワークのセグメントにクライアント装置をマッピングするように構成されたネットワーク装置に送信するように動作する。
【0010】
この目的は、ネットワーク装置によって実行される、企業通信ネットワークをセグメント化する方法により本発明の第3の態様において達成される。方法は、企業通信ネットワークの複数のクライアント装置から、複数のクライアント装置の各々が少なくとも一つの他のランダムに選択されたクライアント装置に転送した通信リンクの接続性能メトリックの測定値を受信することと、各通信リンクの接続性能メトリックの測定値に基づいて、クライアント装置を企業通信ネットワークのセグメントにマッピングすることであって、接続性の品質尺度を超える測定値を有する通信リンクを通じて通信を行う二つのクライアント装置は、同一のセグメントにマッピングされることと、を備える。
【0011】
この目的は、企業通信ネットワークをセグメント化するように構成されたネットワーク装置により本発明の第4の態様において達成される。ネットワーク装置は、処理装置及びメモリを備え、メモリは、処理装置によって実行可能な命令を有し、これによって、ネットワーク装置は、企業通信ネットワークの複数のクライアント装置から、複数のクライアント装置の各々が少なくとも一つの他のランダムに選択されたクライアント装置に転送した通信リンクの接続性能メトリックの測定値を受信し、各通信リンクの接続性能メトリックの測定値に基づいて、クライアント装置を企業通信ネットワークのセグメントにマッピングし、接続性の品質尺度を超える測定値を有する通信リンクを通じて通信を行う二つのクライアント装置は、同一のセグメントにマッピングされるように動作する。
【0012】
この目的は、企業通信ネットワークをセグメント化するように構成されたシステムにより本発明の第5の態様において達成される。システムは、企業通信ネットワークをセグメント化するように構成された少なくとも一つのネットワーク装置と、企業通信ネットワークに接続された複数のクライアント装置と、を備え、複数のクライアント装置の各々は、企業通信ネットワークの少なくとも一つの他のランダムに選択されたクライアント装置にデータを送信し、複数のクライアント装置の各々において、データを少なくとも一つの他のランダムに選択されたクライアント装置に転送する通信リンクの接続性能メトリックの値を測定し、各通信リンクに対する接続性能メトリックの測定値を、ネットワーク装置に送信するように構成され、少なくとも一つのネットワーク装置は、各通信リンクの接続性能メトリックの測定値に基づいて、クライアント装置を企業通信ネットワークのセグメントにマッピングし、接続性の品質尺度を超える測定値を有する通信リンクを通じて通信を行う二つのクライアント装置は、同一のセグメントにマッピングされるように構成される。
【0013】
本発明において、クライアント装置は、データが送信される少なくとも一つの他のクライアント装置をランダムに選択する。その後、各クライアント装置は、当該クライアント装置が他のクライアント装置にデータを送信する各通信リンクの接続性のメトリックの値を測定する。
【0014】
本発明の実施の形態において、用いられる接続性能メトリックは、スループット、すなわち、通信チャネルを通じた成功したメッセージ配信の割合、若しくは、RTT、又は、二つ(若しくは他の任意の適切な接続性能メトリック)の組合せである。
【0015】
データを他のクライアント装置に送信する各リンクの接続性能メトリックの値を測定した後、各クライアント装置は、接続性能メトリックの測定値をネットワーク装置に報告する。
【0016】
ネットワーク装置は、各リンクの接続性能メトリックの測定値が接続品質尺度(例えば、予め決定されたしきい値)を超えるか否かの評価を行う。
【0017】
そうである場合、リンクを通じて通信を行う二つのクライアント装置は、同一のセグメントにマッピングされる。換言すれば、二つのクライアント装置は、同一のサブネットワークに含まれる。
【0018】
有利には、本発明は、ネットワークに含まれるピア/クライアント装置のセットの選択プロセスに基づいてバイアスを除去することによって完全にランダムなオーバーレイ構築アプローチを実現する。この場合、クライアント装置は、典型的には、ネイバー間の転送を引き起こすとともにリンク容量の測定値を取得するために、低品質のデータストリームの形式で他のランダムに選択したクライアント装置にデータを送信する。これによって、クライアント装置間のバイアスのないランダムな測定値を取得することができる。
【0019】
本発明がない場合、ネットワークトポロジーに関する評価を行うために、例えば、各々がIP範囲を有するサブネットのリストとして定められたネットワークセグメントのセット及びその地理的な位置の形態のネットワーク「グランドトゥルース」にアクセスする必要がある。しかしながら、そのようなネットワークグランドトゥルースが利用できることがほとんどなく、時間の経過とともに更新され続けることは言うまでもない。さらに、この情報は、典型的には、ネットワークセグメント及びオフィスの地理的位置に限定され、帯域幅及び異なるオフィスの間のレイテンシーのような性能メトリックが欠けている。
【0020】
他の態様において、第1の態様に従って企業通信ネットワークのセグメント化を容易にする方法をクライアント装置に実施させるとともに第3の態様に従って企業通信ネットワークのセグメント化を容易にする方法をネットワーク装置に実施させるコンピュータプログラム及びコンピュータプログラムを記憶するコンピュータプログラム製品を提供する。
【0021】
他の実施の形態を後に説明する。
【0022】
一般的には、特許請求の範囲の全ての用語を、ここで別段の定めがない限り、技術分野における用語の通常の意味に従って解釈すべきである。「一つ(a/an)/要素、装置、コンポーネント、手段、ステップ等」に対する全ての言及を、特に明記しない限り、要素、装置、コンポーネント、手段、ステップ等の少なくとも一つの例を言及するものとして率直に解釈すべきである。ここに開示したあらゆる方法のステップを、明示的に述べられない限り、開示された正確な順序で実行する必要がない。
【0023】
次に、本発明を、添付図面を参照しながら例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明を有利に実施することができる従来の企業ネットワークを示す。
図2】二つのサブネットワークを備える従来の企業通信ネットワークの一部を示す。
図3図2の企業通信ネットワークのトポロジーを決定する方法の一実施の形態を示す。
図4】フローチャートを有する図3の実施の形態を示す。
図5】一実施の形態によるネットワークトポロジーを決定する方法及びその後のセグメント化の結果を示す。
図6】一実施の形態によるクライアント装置を示す。
図7】一実施の形態によるネットワーク装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明を、本発明の所定の実施の形態を示す添付図面を参照しながら後に更に詳しく説明する。しかしながら、本発明は、多数の異なる形態で実施することができ、ここで説明する実施の形態に限定されるものと解釈されるべきではなく、これらの実施の形態は、本開示が完璧かつ完全であるとともに本発明の範囲を当業者に十分に伝えるために例として提供される。説明全体に亘って、同様の番号は同様の要素を指す。
【0026】
図1は、本発明を有利に実施することができる従来の企業ネットワークを示す。企業ネットワーク10を、例えば、地理的に分散したオフィスを表す複数のサイト11,12が固定された仮想プライベートネットワーク(VPN)リンク14,15を介して主要サイト13に接続された企業又は公共企業体に設定することができる。
【0027】
公衆インターネットからの及び公衆インターネットへの、例えば、コンテンツデータネットワーク(CDN)16からの及びCDN16へのトラフィックを、主要サイト13に接続された固定容量のゲートウェイ(GTW)リンク17を介して企業ネットワークに入ってもよい。サイト11,12,13は、典型的には、企業ネットワーク10内の所定の階層に従って配置される。階層の最上位は、通常は企業ネットワーク10を実現する組織の本社(又は地域の本社)である主要サイト13である。例えば、企業環境において、所要サイト13を、多国籍企業の地域部門としてもよく、それに対し、地域サイト11,12は、例えば、当該地域の二つの生産工場の形態の支社を表してもよい。
【0028】
サイトにおいて、ルータは、例えば、テレビ、携帯電話、コンピュータ、タブレット、スマートフォン等のような(図1に示さない)クライアントノードに対するパケットの送受信を行う。ピアツーピア(P2P)アーキテクチャを、ルータとクライアントノードの間及びクライアントノード間のデータの転送に用いることができる。
【0029】
従来、企業ネットワークのトポロジーは、典型的には、ローカルエリアネットワーク(LAN)、仮想ネットワーク(VNET)及び内部自律システムをどのように構成するかの理解のようなネットワークの物理的構造に基づいて、ネットワーク管理者によって決定される。さらに、トポロジーは、バイアスのかかった決定に基づいて決定されることが多く、その結果、ネットワーク管理者による誤った仮定、したがって、最適化されていないネットワークとなる。
【0030】
後に説明する一実施の形態において、企業通信ネットワークの物理的構造を決定するのではなくネットワークの論理構造を決定することを提案する。
【0031】
すなわち、本発明は、ネットワークセグメントの間の物理的な相互接続に関係なく、高い接続性及び高いネットワークスループットを内部に有するネットワークセグメントにおいて、アプリケーションを実行するクライアント装置をどのように体系化するかを理解することを目的とする。
【0032】
これは、企業/会社に関して、オフィスの場所に対応する。ネットワークセグメントを特定するのに加えて、ネットワーク中の障害がある場所を特定するために接続性及びスループットに関連してセグメントをどのように相互接続するかを知ることに関心がある。
【0033】
物理的でない企業ネットワークの論理構造を取得することの背後にある論拠は、実際には、アプリケーションの実行中のネットワークの動作を決定するものである。P2Pアプリケーションにおいて、ネットワークのトポロジーの知識は、主に、障害のあるリンクのトラフィックを最小にしながら、所定のネットワークセグメントに対して局所的なトラフィック又はピア間のトラフィックを高いスループットで維持するために用いられる。
【0034】
したがって、本発明を、例えば、P2Pビデオストリーミングアプリケーション、ピア支援ソフトウェア更新配信スキーム、ボイスオーバーIP(VoIP)システム等、又は場所情報を利用するとともにネットワークの障害に対処するためにトラフィックを処理することができるあらゆるコンテンツ配信若しくはリアルタイムアプリケーションに有利に適用することができる。
【0035】
図2は、会社の二つのサブネットワーク11,12(図1の支社ネットワーク参照)を備える従来の企業通信ネットワークの一部を示し、この場合、第1のサブネットワーク11は、会社の建物の1階を表し、それに対し、第2のサブネットワーク12は、建物の2階を表す。
【0036】
本例において、企業通信ネットワーク10の二つのサブネットワーク11,12は、10個のスマートフォン23~32の形態のクライアント装置を含むことを示す。実際の状況において、数百又は数千のクライアント装置をネットワーク10に組み込んでもよく、クライアント装置は、ラップトップ、デスクトップ、タブレット、スマートフォン等のような全ての種類の通信装置を含んでよいことに留意されたい。
【0037】
従来、ネットワーク管理者は、実際には、物理的構造のために1階21及び2階22を互いに異なるサブネットワークにセグメント化すべきであると仮定した。したがって、1階のサブネットワーク11の5個のクライアント装置23~27は、互いにデータ/コンテンツを分配し、それに対し、21階のサブネットワーク13の5個のクライアント装置28~32は、互いにデータ/コンテンツを分配する。したがって、ネットワーク管理者は、潜在的には、クライアント装置間の接続性が建物の同一階に配置された装置に対して最適であるという誤った仮定に基づいて、バイアスのかかった決定を行い、それは、ネットワーク10のセグメント化に最適でないことがある。
【0038】
図3は、図2の企業通信ネットワークのトポロジーを決定する方法の実施の形態を示す。図4は、フローチャートを有する本実施の形態を示す。
【0039】
ネットワークトポロジーを決定することは、クライアント装置23~32によって形成されるP2Pプラットフォームの性能を向上させる目的に役立つ。実際には、メッシュオーバーレイネットワークは、IPネットワークの上に構成される。
【0040】
P2Pコンテキストにおいて、システムに加わるときに、クライアント装置23~32は、いわゆるトラッカー40によって互いに導入される、例えば、クラウドに配置されたコンピュータ装置によって具体化される。導入後、各クライアント装置は、他のクライアント-ネイバー-に対するランダムなセットの接続を構築し、それは、ライブ情報及びビデオコンテンツを広めるのに用いられる。クライアント装置は、トラッカーによって提供される場所情報に従ってトラッカー40によって提供されるセットをランク付けすることによってそのネイバーを選択する。P2Pシステムにおいて、クライアント装置(すなわち、ピア)は、同一ネットワークセグメントの外部よりも同一ネットワークセグメントにあるクライアント装置を選択することを好む。
【0041】
クライアント装置は、例えば、クライアント装置で実行されるビデオプレーヤからのコンテンツ要求に応答して、CDN又はコンテンツを既にダウンロードしたネイバーするクライアント装置からコンテンツをフェッチすることを試みる。
【0042】
代替的な実施の形態において、クライアント装置23~32は、P2Pネットワークの一部を形成せず、この場合、トラッカー40を省略してもよい。そのような実施の形態において、アプリケーションは、各クライアント装置23~32で実行され、各クライアント装置に、既知のクライアント装置のそれ自体のリストへのアクセスを与える。目的は、同一である、すなわち、クライアント装置23~32によって形成されるP2Pプラットフォームの性能を向上させることである。
【0043】
したがって、この場合、各クライアント装置23~32は、まだコンタクトしていない一つ以上の他のクライアント装置を再度ランダムに選択し、(一つ以上の)ランダムに選択したクライアント装置に対する直接接続を確立することを試み、クライアント装置が他のクライアント装置にデータを送信する各通信リンクの接続性能メトリックを測定する。
【0044】
リストを、トラッカーに要求を行うことによって又は他のクライアント装置に要求することにより新たなクライアント装置によって定期的にリフレッシュしてもよい(このプロセスは、交換と称され、トラッカーを用いて集中化する代わりに十分に分散される「ゴシップ」システムでは典型的である。)。
【0045】
各クライアント装置は、統計値をバックエンドサーバに定期的に報告し、統計値は、例えば、ネイバーからコンテンツをフェッチして測定される平均スループット及び最短往復時間(RTT)を含む。また、定期的に、各クライアント装置は、障害があるネイバーを除去するとともに地域情報に基づいてトラッカー40から新たなネイバーを選択することによってネイバーを再評価してもよい。クライアント装置は、各ネイバーを再評価することによって、地域的に近接する新たなクライアント装置の検出、障害があるクライアント装置の除去及び最高のスループットを提供することができるネイバーのセットの構成を確実に行う。この継続的なプロセスによって、全てのクライアント装置で新たに発生した動作が生じ、これによって、高品質のユーザエクスペリエンスがユーザに提供されるとともにCDNの負荷を最小にすることを確実にする。P2Pシステムの主要な特徴の一つは、可能な場合にはコンテンツをCDNに問い合わせるのではなく同一のセグメントの隣接するクライアント装置からフェッチする必要があることである。
【0046】
ここで、図3及び図4を参照すると、最初のステップS101において、クライアント装置23~32は、データを送信する少なくとも一つの他のクライアント装置をランダムに選択する。この状況において、トラッカー40は、各クライアント装置23~32に対して、データを送信することができる他のクライアント装置のリストを送信する。各クライアント装置は、リストされた装置の全て又はサブセットをデータ送信のために選択することができる。トラッカー40は、リストに含まれるクライアント装置をランダムに選択してもよい。その後にネットワークトポロジーを決定することができるようにするために、各クライアント装置は、典型的には、多数の他のクライアント装置と通信を行う必要がある。代替的には、各クライアント装置23~32は、後に説明するローカルアプリケーションを実行する。
【0047】
したがって、第1のクライアント装置(CD)23は、リンクL1を介して第2のCD24に送信し、リンクL2を介して第3のCD25に送信し、リンクL3を介して第4のCD31に送信する。
【0048】
第3のCD25は、リンクL4を介して第5のCD26にデータを送信し、第5のCD26は、リンクL5を介して第6のCD27にデータを送信する。
【0049】
第6のCD27は、リンクL6を介して第7のCD28にデータを送信するとともにリンクL7を介して第4のCD31にデータを送信する。
【0050】
第4のCD31は、リンクL8を介して第2のCD24にデータを送信し、第2のCD24は、リンクL9を介して第6のCD27にデータを送信する。
【0051】
第7のCD28は、リンクL10を介して第8のCD29にデータを送信し、リンクL11を介して第9のCD32にデータを送信する。
【0052】
最後に、第9のCD32は、リンクL12を介して第4のCD31にデータを送信し、さらに、第8のCD29は、リンクL13を介して第10のCD30にデータを送信し、第10のCD30は、リンクL14を介して第9のCD32にデータを送信する。
【0053】
理解できるように、実用化の際には、企業ネットワーク10の多数のランダムに選択したクライアント装置にデータを送信するために、更に多くのクライアント装置が割り当てられる。
【0054】
ここで、この例示的な実施の形態において、各クライアント装置23~32は、ステップS102において、クライアント装置が他のクライアント装置にデータを送信する各通信リンクの接続性能メトリックの値を測定する。
【0055】
本発明の実施の形態において、使用される接続性能メトリックは、スループット、すなわち、通信チャネルを通じた成功したメッセージ配信の割合、若しくは、RTT、又は、二つ(若しくは他の任意の適切な接続性能メトリック)の組合せである。
【0056】
次に、表は、用いられる接続性能メトリックの測定値を示し、この特定の例において、当該測定値は、重み付けされた、RTTの逆数、例えば、1×103/RTTであり、この場合、0に近い値は、長いRTTを表し、それに対し、1に近い値は、短いRTTを表す(この特定の例において、1の値は、実質的には、1ミリ秒のRTTを表し、それに対し、0.1の値は、10ミリ秒のRTTを表す。)。
【0057】
代替的には、例えば、1ミリ秒又は数ミリ秒から数百ミリ秒の範囲の絶対値を、RTTに用いてもよく、この場合、短いRTTで通信を行うクライアント装置が同一のセグメントにマッピングされる。
【0058】
【表1】
【0059】
データを他のクライアント装置に送信する各リンクの接続性能メトリックの値すなわちRTTの値を測定した後、ステップS103において、各クライアント装置は、測定したRTTの値を、トラッカー40又はバックエンドサーバ50に報告する。多くのP2Pネットワークにおいて、ブートストラップ及びピアの相互の導入を行うためにトラッカーが大抵用いられる。
【0060】
したがって、バックエンドサーバ50は、ステップS104において、各リンクの測定したRTTの値が接続品質尺度(例えば、予め決定されたしきい値)を超えるか否かについての評価を行う。
【0061】
例えば、接続品質しきい値を0.7に設定したと仮定すると、所定の通信リンクについて0.7を超えるRTTの値に対して、リンクを介して通信を行う二つのクライアント装置は、ステップS104において、同一のセグメントにマッピングされる。すなわち、二つのクライアント装置は、同一のサブネットワークに含まれる。
【0062】
実際には、接続品質しきい値を適切な値に設定することは複雑であることに留意すべきである。従来、各グラフノードがクライアント装置を表すとともに各エッジがリンクを表すグラフモデルを作成することができ、リンクの重みは、二つのクライアント装置の間のリンクの測定された品質に対応し、グラフモデルは、適切なしきい値を識別するために評価される。
【0063】
図5は、一実施の形態によるネットワークトポロジーを決定する方法の結果を示す。
【0064】
表1を参照すると、リンクL4及びL5は、0.7を超えるRTTの値を有し、それに対し、リンクL2,L6,L7及びL9は、0.7を超えるRTTの値を有しない。その結果、第3のCD25,第5のCD26及び第6のCD27が同一のセグメントにマッピングされる。したがって、第3のCD25、第5のCD26及び第6のCD27が、第1のサブネットワーク21に含まれる。
【0065】
さらに、リンクL1,L3及びL8は、0.7を超えるRTTの値を有し、それに対し、リンクL7及びL12は、0.7を超えるRTTの値を有しない。上述したように、リンクL2及びL9は、0.7を超えるRTTの値を有しない。
【0066】
その結果、第1のCD23、第2のCD24及び第4のCD31が同一のセグメントにマッピングされる。換言すれば、第1のCD23、第2のCD24及び第4のCD31は、第2のサブネットワーク33に含まれる。
【0067】
最後に、リンクL10,L11,L13及びL14は、0.7を超えるRTTの値を有し、それに対し、リンクL6及びL12は、0.7を超えるRTTの値を有しない。その結果、第7のCD28、第8のCD29、第9のCD32及び第10のCD30が同一のセグメントにマッピングされる。換言すれば、第7のCD28、第8のCD29、第9のCD32及び第10のCD30は、第3のサブネットワーク22に含まれる。
【0068】
有利には、図3~5を参照して説明した実施の形態によって、更に適切なネットワークトポロジーが決定される。
【0069】
説明のために、図2に示すようなバイアスのかかった情報に基づく古いトポロジーを、図5において破線で示す。
【0070】
結論として、クライアント装置23~27の全てが1階に配置されるとしても、クライアント装置間のデータ送信のランダムな割当てに続いて測定されたRTTの値を考慮するときにはクライアント装置23~27の全てが同一のサブネットワークにセグメント化されない。
【0071】
さらに、クライアント装置28~32の全てが2階に配置されるとしても、測定されたRTTの値を考慮するときにはクライアント装置28~32の全てが同一のサブネットワークにセグメント化されない。
【0072】
同一階に配置されたクライアント装置が最低のRTTを有しない理由は、例えば、WiFi(登録商標)アクセスポイントの設定ミスである可能性がある。1階は、互いに異なる二つのネットワーク、例えば、企業ネットワーク及びゲストネットワークによって配線されている可能性がある。したがって、1階の互いに異なるWiFi(登録商標)アクセスポイントは、異なるネットワークに誤って接続されることがある。
【0073】
他の状況において、クライアント装置が互いに異なる階に配置されていると仮定する代わりに、二つのネットワーク(企業ネットワーク及びゲストネットワーク)が特定の施設で用いられ、この場合、品質の点で同一であると誤って仮定される。その理由は、二つのネットワークが同一のオフィスビルでサービスを提供するからである。しかしながら、実際には、二つのネットワークは、これらの間の高速リンクで接続されていないので、アプリケーションの観点から、二つの論理的に分離されたネットワークとみなす必要がある。
【0074】
図5からわかるように、第4のCD31が第1のCD23及び第2のCD24と異なる階に配置されたとしても、これら三つのクライアント装置は、同一のサブネットワーク33にセグメント化される。理解できるように、複数の都市、国又は大陸にまたがるネットワークの場合、これによりネットワークのセグメント化が大幅に改善される。
【0075】
有利には、本発明は、参加時及び定期的なピア選択時の両方において、トラッカーから利用できるピア/クライアント装置のセットから選択プロセスのあらゆるバイアスを除去することによって、完全にランダムなオーバーレイ構築アプローチを実現する。この場合、クライアント装置は、典型的には、ネイバー間の転送にトリガーをかけるとともにリンク容量の測定値を取得するために低品質のデータストリームの形態で他のランダムに選択したクライアント装置にデータを送信する。これによって、クライアント装置間のバイアスのないランダムな測定値を取得することができる。
【0076】
本発明がない場合、ネットワークトポロジーに関する評価を行うために、例えば、各々がIP範囲を有するサブネットのリストとして定められたネットワークセグメントのセット及びその地理的な位置の形態のネットワーク「グランドトゥルース」にアクセスする必要がある。しかしながら、そのようなネットワークグランドトゥルースが利用できることがほとんどなく、時間の経過とともに更新され続けることは言うまでもない。さらに、この情報は、典型的には、ネットワークセグメント及びオフィスの地理的位置に限定され、帯域幅及び異なるオフィスの間のレイテンシーのような性能メトリックが欠けている。
【0077】
本発明の実施の形態において、用いられる接続性能メトリックは、スループット、すなわち、通信チャネルを通じた成功したメッセージ配信の割合、若しくは、RTT、又は、二つ(若しくは他の任意の適切な接続性能メトリック)の組合せである。考えられる別のメトリックは、二つのクライアント装置が同一のサブセットアドレス範囲に属するか否かを表すIpSimilarityである。二つのクライアント装置が同一のサブセットアドレス範囲に属する場合、二つのクライアント装置は、良好なリンク品質を有する可能性が高い。
【0078】
用いられる接続性能メトリックがこれら三つの測定値の一つ以上からの組合せすなわち重み付けであると考えられる。
【0079】
企業ネットワークにおいて、ネットワークの装置の間に完全又は半完全な接続があるのが典型的である。すなわち、直接接続を、ネットワークの残りから分離されている又は特定の場所からのみアクセスすることができるセキュリティの高いセグメントを除いて、ネットワークのクライアント装置の大抵の対の間で形成することができる。高度に接続された性質を考慮すると、会社ネットワークのトポロジーを、どの接続をクライアント装置の間で確立できるか否かのみを見ることによって確立することができず、どのようにホストをセグメント化すべきであるかを理解するためにこれらの接続の性能インジケータに依存する必要がある。換言すれば、二つのクライアント装置の間に接続を確立できるか否かではなく、単一の接続性能メトリック又は接続性能メトリックの重み付けられた組合せに依存する必要がある。
【0080】
したがって、測定したリンクの接続性能メトリックを、バックエンドサーバがクライアント装置をセグメントにマッピングできるようにするために重み関数fwによって表すことができ、この場合、大きい値の重み関数fwは、リンクを介して通信を行う二つのクライアント装置が同一のネットワークセグメントに属する可能背が高いことを表す。
【0081】
実験によれば、同一のネットワークセグメント内のリンクを相関させる最も重要なメトリックが(高)スループット及び(低)RTTであるように見えることを示す。さらに、実験によれば、メトリックの組合せが更に信頼性がある実用的な結果をもたらすように見えることを示す。
【0082】
例えば、スループットとRTTとを組み合わせると、リンク測定の数が限定されたとしてもセグメント化の品質を明らかに向上させる。IpSimilarityをスループット及びRTTに組み合わせると、セグメント化の品質を向上させることができる。この情報を、デフォルトのネットワークインタフェースのホストのプライベートIP及びサブネットマスクから収集することができる。
【0083】
互いに異なる四つの重み関数fwの例は、以下の通りである。
【0084】
・fw1=スループット
・fw2=1/RTT
・fw3=スループット/RTT
・fw4=スループット/RTT×IpSimilarity
【0085】
fw4について、IpSimilarityを、例えば、同一のサブネット内のクライアントノード間のリンクに対して2に設定するとともに他の全てについて1に設定してもよい。
【0086】
図6は、一実施の形態によるクライアント装置23を示す。本発明の実施の形態によるクライアント装置23によって実行される方法のステップは、実際には、コンピュータプログラム62を実行するように配置された一つ以上のマイクロプロセッサに組み込まれた処理装置61によって実行され、コンピュータプログラム62は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、フラッシュメモリ又はハードディスクドライブのような、マイクロプロセッサに関連した記憶媒体63にダウンロードされる。
【0087】
処理装置61は、コンピュータ実行可能命令を備える適切なコンピュータプログラム62が記憶媒体63にダウンロードされるとともに処理装置61によって実行されるときに本発明の実施の形態による方法をクライアント装置23によって実行させるように配置される。記憶媒体63を、コンピュータプログラム62を備えるコンピュータプログラム製品としてもよい。代替的には、コンピュータプログラム62を、デジタル多用途ディスク(DVD)又はメモリスティックのような適切なコンピュータプログラム製品によって記憶媒体63に転送してもよい。別の代替として、コンピュータプログラム62を、ネットワークを介して記憶媒体63にダウンロードしてもよい。代替的には、処理装置61を、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、結合プログラム可能論理回路(CPLD)等の形態で具体化してもよい。
【0088】
図7は、一実施の形態によるバックエンドサーバの形態のネットワーク装置50を示す。本発明の実施の形態によるネットワーク装置50によって実行される方法のステップは、実際には、コンピュータプログラム72を実行するように配置された一つ以上のマイクロプロセッサに組み込まれた処理装置71によって実行され、コンピュータプログラム72は、RAM、フラッシュメモリ又はハードディスクドライブのような、マイクロプロセッサに関連した記憶媒体73にダウンロードされる。
【0089】
処理装置71は、コンピュータ実行可能命令を備える適切なコンピュータプログラム72が記憶媒体73にダウンロードされるとともに処理装置71によって実行されるときに本発明の実施の形態による方法をネットワーク装置50によって実行させるように配置される。記憶媒体73を、コンピュータプログラム72を備えるコンピュータプログラム製品としてもよい。代替的には、コンピュータプログラム72を、DVD又はメモリスティックのような適切なコンピュータプログラム製品によって記憶媒体73に転送してもよい。別の代替として、コンピュータプログラム72を、ネットワークを介して記憶媒体73にダウンロードしてもよい。代替的には、処理装置71を、DSP、ASIC、FPGA、CPLD等の形態で具体化してもよい。
【0090】
本発明を、主に、少数の実施の形態を参照しながら説明した。しかしながら、当業者には容易に理解できるように、開示した実施の形態以外の実施の形態も、添付した特許請求の範囲によって定められるような本発明の範囲内で同様に可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7