(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-20
(45)【発行日】2022-12-28
(54)【発明の名称】リニア電源回路及びソースフォロワ回路
(51)【国際特許分類】
G05F 1/56 20060101AFI20221221BHJP
H02M 3/07 20060101ALI20221221BHJP
【FI】
G05F1/56 310L
G05F1/56 310C
H02M3/07
(21)【出願番号】P 2021513719
(86)(22)【出願日】2020-04-10
(86)【国際出願番号】 JP2020016153
(87)【国際公開番号】W WO2020209369
(87)【国際公開日】2020-10-15
【審査請求日】2022-02-10
(31)【優先権主張番号】P 2019076455
(32)【優先日】2019-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019086504
(32)【優先日】2019-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020053149
(32)【優先日】2020-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田古部 勲
【審査官】土井 悠生
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-090676(JP,A)
【文献】特開2018-073251(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0308108(US,A1)
【文献】特開2019-045886(JP,A)
【文献】特開2006-318204(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05F 1/445
G05F 1/56
G05F 1/613
G05F 1/618
H02M 3/00-3/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力電圧が印加される入力端と出力電圧が印加される出力端との間に設けられた出力トランジスタと、
前記出力電圧に基づく電圧と基準電圧との差に基づいて前記出力トランジスタを駆動するドライバと、
を備えるリニア電源回路であって、
前記ドライバは、前記出力電圧に基づく電圧と前記基準電圧との差に応じた電圧を出力する差動増幅器と、前記差動増幅器の出力が一端に印加されグランド電位が他端に印加される第1容量と、前記差動増幅器の出力に基づく電圧を電流に変換して出力する変換器と、前記変換器の出力を電流増幅する電流増幅器と、を備え、
前記差動増幅器及び前記変換器の電源電圧が前記出力電圧に依存する電圧であり、
前記リニア電源回路は、
第1端子が前記入力端に接続され、第2端子が前記出力端に接続される第1トランジスタを有するソースフォロワ回路又はエミッタフォロワ回路と、
前記出力トランジスタに直列接続され、前記第1トランジスタともにカレントミラー回路を構成する第2トランジスタと、
前記電流増幅器又は前記第1トランジスタの制御端子に接続される第2容量と、
を更に備える、リニア電源回路。
【請求項2】
入力電圧が印加される入力端と出力電圧が印加される出力端との間に設けられた出力トランジスタと、
前記出力電圧に基づく電圧と基準電圧との差に基づいて前記出力トランジスタを駆動するドライバと、
を備えるリニア電源回路であって、
前記ドライバは、前記出力電圧に基づく電圧と前記基準電圧との差に応じた電圧を出力する差動増幅器と、前記差動増幅器の出力が一端に印加され前記出力電圧に基づく電圧が他端に印加される第1容量と、前記差動増幅器の出力に基づく電圧を電流に変換して出力する変換器と、前記変換器の出力を電流増幅する電流増幅器と、を備え、
前記差動増幅器の電源電圧が第1定電圧であり、前記電流増幅器の電源電圧が第2定電圧である、又は、前記差動増幅器の電源電圧及び前記電流増幅器の電源電圧が前記入力電圧である、のいずれかであり、
前記リニア電源回路は、
第1端子が前記入力端に接続され、第2端子が前記出力端に接続される第1トランジスタを有するソースフォロワ回路又はエミッタフォロワ回路と、
前記出力トランジスタに直列接続され、前記第1トランジスタともにカレントミラー回路を構成する第2トランジスタと、
前記電流増幅器又は前記第1トランジスタの制御端子に接続される第2容量と、
を更に備える、リニア電源回路。
【請求項3】
前記第2容量は、前記第1トランジスタの制御端子に接続される、請求項1又は請求項2に記載のリニア電源回路。
【請求項4】
前記リニア電源回路は、前記ソースフォロワ回路を備え、
前記リニア電源回路は、前記第1トランジスタと第2トランジスタとの間に設けられるチャープポンプ回路を更に備え、
前記チャープポンプ回路は、前記第2容量を備え、前記入力電圧より大きい電圧を前記第2容量に充電し、前記第2容量の充電電圧を前記第1トランジスタの制御端子に印加する、請求項3に記載のリニア電源回路。
【請求項5】
前記チャープポンプ回路は、前記出力端から負荷に向かって流れるソース電流に依存したクロック周波数のクロック信号に基づき動作する、請求項4に記載のリニア電源回路。
【請求項6】
前記チャープポンプ回路は、前記出力端から負荷に向かって流れるソース電流と前記負荷から前記出力端から負荷に向かって流れるシンク電流とのスカラー和に依存したクロック周波数のクロック信号に基づき動作する、請求項4に記載のリニア電源回路。
【請求項7】
前記チャープポンプ回路が動作する第1モードと、
前記チャープポンプ回路の動作が停止しており前記第1トランジスタの制御端子と前記第2トランジスタの制御端子とが同電位である第2モードとの切り替えが可能である、請求項4~6のいずれか一項に記載のリニア電源回路。
【請求項8】
入力電圧が印加されるように構成される入力端と出力電圧が印加されるように構成される出力端との間に設けられた出力トランジスタと、
前記出力電圧に基づく電圧と基準電圧との差に基づいて前記出力トランジスタを駆動するように構成されるドライバと、
を備えるリニア電源回路であって、
前記ドライバは、前記出力電圧に基づく電圧と前記基準電圧との差に応じた電圧を出力するように構成される差動増幅器と、前記差動増幅器の出力が一端に印加されグランド電位が他端に印加されるように構成される第1容量と、前記差動増幅器の出力に基づく電圧を電流に変換して出力するように構成される変換器と、前記変換器の出力を電流増幅するように構成される電流増幅器と、を備え、
前記差動増幅器及び前記変換器の電源電圧が前記出力電圧に依存する電圧であり、
前記出力トランジスタは、PMOSFETであり、
前記リニア電源回路は、前記出力トランジスタのゲートとドレインとの間に設けられる第2容量をさらに備える、リニア電源回路。
【請求項9】
入力電圧が印加されるように構成される入力端と出力電圧が印加されるように構成される出力端との間に設けられた出力トランジスタと、
前記出力電圧に基づく電圧と基準電圧との差に基づいて前記出力トランジスタを駆動するように構成されるドライバと、
を備えるリニア電源回路であって、
前記ドライバは、前記出力電圧に基づく電圧と前記基準電圧との差に応じた電圧を出力するように構成される差動増幅器と、前記差動増幅器の出力が一端に印加され前記出力電圧に基づく電圧が他端に印加されるように構成される第1容量と、前記差動増幅器の出力に基づく電圧を電流に変換して出力するように構成される変換器と、前記変換器の出力を電流増幅するように構成される電流増幅器と、を備え、
前記差動増幅器の電源電圧が第1定電圧であり、前記電流増幅器の電源電圧が第2定電圧である、又は、前記差動増幅器の電源電圧及び前記電流増幅器の電源電圧が前記入力電圧である、のいずれかであり、
前記出力トランジスタは、PMOSFETであり、
前記リニア電源回路は、前記出力トランジスタのゲートとドレインとの間に設けられる第2容量をさらに備える、リニア電源回路。
【請求項10】
前記出力トランジスタのゲートとドレインとの間に設けられる整流部をさらに備え、
前記整流部は、前記出力トランジスタのゲートからドレインに向かう電流を阻止し、前記出力トランジスタのドレインからゲートに向かう電流を通過させるように構成される、請求項8又は請求項9に記載のリニア電源回路。
【請求項11】
前記整流部はバッファアンプである、請求項10に記載のリニア電源回路。
【請求項12】
前記出力端子に容量が接続されない、請求項1~11のいずれか一項に記載のリニア電源回路。
【請求項13】
前記出力端子に100nF未満の容量が接続される、請求項1~11のいずれか一項に記載のリニア電源回路。
【請求項14】
複数の外部ピンと、
内部電源である請求項1~13のいずれか一項に記載のリニア電源回路と、
を備え、
前記入力端が前記複数の外部ピンの一部に接続され、前記出力端が前記複数の外部ピンのいずれにも接続されない、半導体集積回路装置。
【請求項15】
入力電圧が印加される入力端と、
出力端と、
前記入力電圧又は前記入力電圧より小さい電圧を入力するチャージポンプ回路と、
ドレインが前記入力端に接続され、ソースが前記出力端に接続され、ゲートに前記チャージポンプ回路の出力電圧が印加されるNMOSトランジスタと、
を備え、
前記チャープポンプ回路は、前記出力端から負荷に向かって流れるソース電流に依存したクロック周波数のクロック信号に基づき動作する
、ソースフォロワ回路。
【請求項16】
入力電圧が印加される入力端と、
出力端と、
前記入力電圧又は前記入力電圧より小さい電圧を入力するチャージポンプ回路と、
ドレインが前記入力端に接続され、ソースが前記出力端に接続され、ゲートに前記チャージポンプ回路の出力電圧が印加されるNMOSトランジスタと、
を備え、
前記チャープポンプ回路は、前記出力端から負荷に向かって流れるソース電流と前記負荷から前記出力端に向かって流れるシンク電流とのスカラー和に依存したクロック周波数のクロック信号に基づき動作する
、ソースフォロワ回路。
【請求項17】
請求項15
又は請求項16に記載のソースフォロワ回路を備える、電源回路。
【請求項18】
請求項1~13のいずれか一項に記載のリニア電源回路、請求項14に記載の半導体集積回路装置、又は請求項
17に記載の電源回路を備える、車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書中に開示されている発明は、リニア電源回路及びソースフォロワ回路に関する。
【背景技術】
【0002】
LDO[low drop out]などのリニア電源回路は様々なデバイスの電源手段として用いられている。
【0003】
なお、上記に関連する従来技術の一例としては、特許文献1を挙げることができる。
【0004】
ソースフォロワ回路は、例えばインピーダンス変換回路として用いられる。
【0005】
なお、上記に関連する従来技術の一例としては、特許文献2を挙げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2003-84843号公報
【文献】特開2008-258849号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
リニア電源回路は、負荷が急激に変化した場合でも出力電圧の変動を小さく抑えられるように、高速応答が可能であることが望ましい。また、出力コンデンサを設けない場合又は出力コンデンサの静電容量を小さくした場合でも出力電圧の安定性を確保できることが望ましい。
【0008】
NMOSトランジスタを備えるソースフォロワ回路では、入力電圧が下がったときのNMOSトランジスタのソース電圧のドロップ量(入力電圧とNMOSトランジスタのソース電圧との差)が大きくなる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書中に開示されている第1局面に係るリニア電源回路は、入力電圧が印加される入力端と出力電圧が印加される出力端との間に設けられた出力トランジスタと、前記出力電圧に基づく電圧と基準電圧との差に基づいて前記出力トランジスタを駆動するドライバと、を備えるリニア電源回路であって、前記ドライバは、前記出力電圧に基づく電圧と前記基準電圧との差に応じた電圧を出力する差動増幅器と、前記差動増幅器の出力が一端に印加されグランド電位が他端に印加される第1容量と、前記差動増幅器の出力に基づく電圧を電流に変換して出力する変換器と、前記変換器の出力を電流増幅する電流増幅器と、を備え、前記差動増幅器及び前記変換器の電源電圧が前記出力電圧に依存する電圧であり、前記リニア電源回路は、第1端子が前記入力端に接続され、第2端子が前記出力端に接続される第1トランジスタを有するソースフォロワ回路又はエミッタフォロワ回路と、前記出力トランジスタに直列接続され、前記第1トランジスタともにカレントミラー回路を構成する第2トランジスタと、前記電流増幅器又は前記第1トランジスタの制御端子に接続される第2容量と、を更に備える構成(第1の構成)とする。
【0010】
本明細書中に開示されている第2局面に係るリニア電源回路は、入力電圧が印加される入力端と出力電圧が印加される出力端との間に設けられた出力トランジスタと、前記出力電圧に基づく電圧と基準電圧との差に基づいて前記出力トランジスタを駆動するドライバと、を備えるリニア電源回路であって、前記ドライバは、前記出力電圧に基づく電圧と前記基準電圧との差に応じた電圧を出力する差動増幅器と、前記差動増幅器の出力が一端に印加され前記出力電圧に基づく電圧が他端に印加される第1容量と、前記差動増幅器の出力に基づく電圧を電流に変換して出力する変換器と、前記変換器の出力を電流増幅する電流増幅器と、を備え、前記差動増幅器の電源電圧が第1定電圧であり、前記電流増幅器の電源電圧が第2定電圧である、又は、前記差動増幅器の電源電圧及び前記電流増幅器の電源電圧が前記入力電圧である、のいずれかであり、前記リニア電源回路は、第1端子が前記入力端に接続され、第2端子が前記出力端に接続される第1トランジスタを有するソースフォロワ回路又はエミッタフォロワ回路と、前記出力トランジスタに直列接続され、前記第1トランジスタともにカレントミラー回路を構成する第2トランジスタと、前記電流増幅器又は前記第1トランジスタの制御端子に接続される第2容量と、を更に備える構成(第2の構成)とする。
【0011】
また、上記第1又は第2の構成であるリニア電源回路において、前記第2容量は、前記第1トランジスタの制御端子に接続される構成(第3の構成)であってもよい。
【0012】
また、上記第3の構成であるリニア電源回路において、前記リニア電源回路は、前記ソースフォロワ回路を備え、前記リニア電源回路は、前記第1トランジスタと第2トランジスタとの間に設けられるチャープポンプ回路を更に備え、前記チャープポンプ回路は、前記第2容量を備え、前記入力電圧より大きい電圧を前記第2容量に充電し、前記第2容量の充電電圧を前記第1トランジスタの制御端子に印加する構成(第4の構成)であってもよい。
【0013】
また、上記第4の構成であるリニア電源回路において、前記チャープポンプ回路は、前記出力端から負荷に向かって流れるソース電流に依存したクロック周波数のクロック信号に基づき動作する構成(第5の構成)であってもよい。
【0014】
また、上記第4の構成であるリニア電源回路において、前記チャープポンプ回路は、前記出力端から負荷に向かって流れるソース電流と前記負荷から前記出力端から負荷に向かって流れるシンク電流とのスカラー和に依存したクロック周波数のクロック信号に基づき動作する構成(第6の構成)であってもよい。
【0015】
また、上記第4~第6いずれかの構成であるリニア電源回路において、前記チャープポンプ回路が動作する第1モードと、前記チャープポンプ回路の動作が停止しており前記第1トランジスタの制御端子と前記第2トランジスタの制御端子とが同電位である第2モードとの切り替えが可能である構成(第7の構成)であってもよい。
【0016】
本明細書中に開示されている第3局面に係るリニア電源回路は、入力電圧が印加されるように構成される入力端と出力電圧が印加されるように構成される出力端との間に設けられた出力トランジスタと、前記出力電圧に基づく電圧と基準電圧との差に基づいて前記出力トランジスタを駆動するように構成されるドライバと、を備えるリニア電源回路であって、前記ドライバは、前記出力電圧に基づく電圧と前記基準電圧との差に応じた電圧を出力するように構成される差動増幅器と、前記差動増幅器の出力が一端に印加されグランド電位が他端に印加されるように構成される第1容量と、前記差動増幅器の出力に基づく電圧を電流に変換して出力するように構成される変換器と、前記変換器の出力を電流増幅するように構成される電流増幅器と、を備え、前記差動増幅器及び前記変換器の電源電圧が前記出力電圧に依存する電圧であり、前記出力トランジスタは、PMOSFETであり、前記リニア電源回路は、前記出力トランジスタのゲートとドレインとの間に設けられる第2容量をさらに備える構成(第8の構成)とする。
【0017】
本明細書中に開示されている第4局面に係るリニア電源回路は、入力電圧が印加されるように構成される入力端と出力電圧が印加されるように構成される出力端との間に設けられた出力トランジスタと、前記出力電圧に基づく電圧と基準電圧との差に基づいて前記出力トランジスタを駆動するように構成されるドライバと、を備えるリニア電源回路であって、前記ドライバは、前記出力電圧に基づく電圧と前記基準電圧との差に応じた電圧を出力するように構成される差動増幅器と、前記差動増幅器の出力が一端に印加され前記出力電圧に基づく電圧が他端に印加されるように構成される第1容量と、前記差動増幅器の出力に基づく電圧を電流に変換して出力するように構成される変換器と、前記変換器の出力を電流増幅するように構成される電流増幅器と、を備え、前記差動増幅器の電源電圧が第1定電圧であり、前記電流増幅器の電源電圧が第2定電圧である、又は、前記差動増幅器の電源電圧及び前記電流増幅器の電源電圧が前記入力電圧である、のいずれかであり、前記出力トランジスタは、PMOSFETであり、前記リニア電源回路は、前記出力トランジスタのゲートとドレインとの間に設けられる第2容量をさらに備える構成(第9の構成)とする。
【0018】
また、上記第8又は第9の構成であるリニア電源回路において、前記出力トランジスタのゲートとドレインとの間に設けられる整流部をさらに備え、前記整流部は、前記出力トランジスタのゲートからドレインに向かう電流を阻止し、前記出力トランジスタのドレインからゲートに向かう電流を通過させるように構成される構成(第10の構成)であってもよい。
【0019】
また、上記第10の構成であるリニア電源回路において、前記整流部はバッファアンプである構成(第11の構成)であってもよい。
【0020】
また、上記第1~第11いずれかの構成であるリニア電源回路において、前記出力端子に容量が接続されない構成(第12の構成)であってもよい。
【0021】
また、上記第1~第11いずれかの構成であるリニア電源回路において、前記出力端子に100nF未満の容量が接続される構成(第13の構成)であってもよい。
【0022】
また、本明細書中に開示されている半導体集積回路装置は、複数の外部ピンと、内部電源である上記第1~第13いずれかの構成であるリニア電源回路と、を備え、前記入力端が前記複数の外部ピンの一部に接続され、前記出力端が前記複数の外部ピンのいずれにも接続されない構成(第14の構成)とする。
【0023】
本明細書中に開示されているソースフォロワ回路は、入力電圧が印加される入力端と、出力端と、前記入力電圧又は前記入力電圧より小さい電圧を入力するチャージポンプ回路と、ドレインが前記入力端に接続され、ソースが前記出力端に接続され、ゲートに前記チャージポンプ回路の出力電圧が印加されるNMOSトランジスタと、を備える構成(第15の構成)とする。
【0024】
また、上記第15の構成であるソースフォロワ回路において、前記出力端に印加される前記ソースフォロワ回路の出力電圧が所定値より小さい場合に前記チャージポンプ回路が動作し、前記出力端に印加される前記ソースフォロワ回路の出力電圧が前記所定値より大きい場合に前記チャージポンプ回路の動作が停止する構成(第16の構成)であってもよい。
【0025】
また、上記第16の構成であるソースフォロワ回路において、前記チャージポンプ回路は、クロック信号生成回路から出力されるクロック信号に基づき動作し、前記クロック信号生成回路は、前記出力端に印加される前記ソースフォロワ回路の出力電圧が所定値より小さい場合に前記クロック信号を出力し、前記出力端に印加される前記ソースフォロワ回路の出力電圧が前記所定値より大きい場合に前記クロック信号の出力を停止する、請求項2に記載のソースフォロワ回路構成(第17の構成)であってもよい。
【0026】
また、上記第15の構成であるソースフォロワ回路において、前記チャープポンプ回路は、前記出力端から負荷に向かって流れるソース電流に依存したクロック周波数のクロック信号に基づき動作する構成(第18の構成)であってもよい。
【0027】
また、上記第15の構成であるソースフォロワ回路において、前記チャープポンプ回路は、前記出力端から負荷に向かって流れるソース電流と前記負荷から前記出力端に向かって流れるシンク電流とのスカラー和に依存したクロック周波数のクロック信号に基づき動作する構成(第19の構成)であってもよい。
【0028】
また、本明細書中に開示されている第5局面に係る電源回路は、上記第15~第19いずれかの構成であるソースフォロワ回路を備える構成(第20の構成)とする。
【0029】
また、本明細書中に開示されている車両は、上記第1~第9いずれかの構成であるリニア電源回路、上記第10の構成である半導体集積回路装置、又は上記第20の構成である電源回路を備える構成(第21の構成)とする。
【発明の効果】
【0030】
本明細書中に開示されている発明によれば、リニア電源回路において高速応答が可能であって、出力コンデンサを設けない場合又は出力コンデンサの静電容量を小さくした場合でも出力電圧の安定性を確保できる。
【0031】
本明細書中に開示されている発明によれば、ソースフォロワ回路において、入力電圧が下がったときのNMOSトランジスタのソース電圧のドロップ量(入力電圧とNMOSトランジスタのソース電圧との差)を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明者が開発したリニア電源回路の構成を示す図
【
図2】
図1に示すリニア電源回路の出力特性を示すタイムチャート
【
図3】
図1に示すリニア電源回路、出力コンデンサ、及び負荷の伝達関数のゲイン特性を示す図
【
図4】
図1に示すリニア電源回路、出力コンデンサ、及び負荷の伝達関数のゲイン特性を示す図
【
図5】第1実施形態に係るリニア電源回路の構成を示す図
【
図7B】第1実施形態の他の変形例を説明するための図
【
図7C】第1実施形態の更に他の変形例を説明するための図
【
図8A】第2実施形態に係るリニア電源回路の構成を示す図
【
図9A】
図1に示すリニア電源回路の入出力電圧特性を示す図
【
図9B】リニア電源回路の理想的な入出力電圧特性を示す図
【
図10】第3及び第4実施形態に係るリニア電源回路の構成を示す図
【
図11】第3実施形態で用いられるクロック信号生成回路の一構成例を示す図
【
図12】第4実施形態で用いられるクロック信号生成回路の一構成例を示す図
【
図13】第5実施形態に係るリニア電源回路の構成を示す図
【
図14】第6実施形態に係るリニア電源回路の構成を示す図
【
図15A】第7実施形態に係るリニア電源回路の構成を示す図
【
図15B】第7実施形態に係るリニア電源回路の具体例を示す図
【
図16】第8実施形態に係るリニア電源回路の構成を示す図
【
図17】第9実施形態に係るリニア電源回路の構成を示す図
【発明を実施するための形態】
【0033】
<1.高速応答が可能なリニア電源回路>
図1は、高速応答が可能なリニア電源回路として本発明者が開発したリニア電源回路の構成を示す図である。
図1に示すリニア電源回路は、入力端T1と、出力端T2と、出力トランジスタ1と、ドライバ2と、基準電圧生成部3と、抵抗4及び5と、を備える。
【0034】
図1に示すリニア電源回路には出力コンデンサ6及び負荷7が外付けされる。具体的には、出力コンデンサ6及び負荷7が外付けで出力端T2に並列接続される。
図1に示すリニア電源回路は、入力電圧VINを降圧して出力電圧VOUTを生成し、出力電圧VOUTを負荷7に供給する。
【0035】
出力トランジスタ1は、入力電圧VINが印加される入力端T1と出力電圧VOUTが印加される出力端T2との間に設けられる。
【0036】
ドライバ2は、出力トランジスタ1を駆動する。具体的には、ドライバ2は、出力トランジスタ1のゲートにゲート信号G1を供給して出力トランジスタ1を駆動する。出力トランジスタ1の導通度(裏を返せばオン抵抗値)はゲート信号G1によって制御される。なお、
図1に示す構成では、出力トランジスタ1として、PMOSFET[P-channel type MOSFET]が用いられている。従って、ゲート信号G1が低いほど、出力トランジスタ1の導通度が高くなり、出力電圧VOUTが上昇する。逆に、ゲート信号G1が高いほど、出力トランジスタ1の導通度が低くなり、出力電圧VOUTが低下する。ただし、出力トランジスタ1としては、PMOSFETに代えて、PNPバイポーラトランジスタを用いてもよい。
【0037】
基準電圧生成部3は基準電圧VREFを生成する。抵抗4及び5は、出力電圧VOUTの分圧である帰還電圧VFBを生成する。
【0038】
ドライバ2の非反転入力端(+)に基準電圧VREFが印加され、ドライバ2の反転入力端(-)に帰還電圧VFBが印加される。ドライバ2は、帰還電圧VFBと基準電圧VREFとの差分値ΔV(=VREF-VFB)に基づいて出力トランジスタ1を駆動する。ドライバ2は、差分値ΔVが大きいほどゲート信号G1を高くし、逆に、差分値ΔVが小さいほどゲート信号G1を低くする。
【0039】
ドライバ2は、差動増幅器21と、容量22と、PMOSFET23と、電流増幅器24と、PMOSFET25と、を備える。
【0040】
差動増幅器21は、帰還電圧VFBと基準電圧VREFとの差に応じた電圧を出力する。差動増幅器21の電源電圧は出力電圧VOUTである。すなわち、差動増幅器21は、出力電圧VOUTとグランド電位との間の電圧で駆動する。なお、差動増幅器21の電源電圧として、出力電圧VOUTの代わりに、出力電圧VOUTより低い電圧であって出力電圧VOUTに依存する電圧を用いてもよい。
【0041】
差動増幅器21の耐圧は、電流増幅器24の耐圧より低い。また差動増幅器21のゲインは、電流増幅器24のゲインより小さい。これにより、差動増幅器21の小型化を図ることができる。
【0042】
容量22の一端に差動増幅器21の出力が印加され、容量22の他端にグランド電位が印加される。
【0043】
PMOSFET23のソースに出力電圧VOUTが印加され、PMOSFET23のゲートに差動増幅器21の出力に基づく電圧(差動増幅器21と容量22との接続ノード電圧)が印加される。PMOSFET23は、差動増幅器21の出力に基づく電圧を電流に変換してドレインから出力する。差動増幅器21と容量22との接続ノードが高周波帯域でグランド接地になるため、ドライバ2の高速応答を実現することができる。
【0044】
電流増幅器24は、PMOSFET23のドレインから出力される電流Iaを電流増幅する。電流増幅器24の電源電圧は定電圧VREGである。すなわち、電流増幅器24は、定電圧VREGとグランド電位との間の電圧で駆動する。
【0045】
PMOSFET25は、出力トランジスタ1とともにカレントミラー回路を構成している。PMOSFET25は、電流増幅器24から出力される電流Ibを電圧に変換して出力トランジスタ1のゲートに供給する。
【0046】
図2は、
図1に示すリニア電源回路の出力特性を示すタイムチャートである。
図2は、出力電圧VOUTの設定値がVSであり、出力コンデンサ6の静電容量が所定値である状態において、負荷7を第1の状態から第2の状態に切り替えた後再び第1の状態に戻した場合のタイムチャートである。第1の状態は出力電流IOUTの理論値がI1となる軽負荷状態であり、第2の状態は出力電流IOUTの理論値がI2(>I1)となる重負荷状態である。
【0047】
図1に示すリニア電源回路は高速応答が可能であるため、行き過ぎ量OSを小さくすることができる。
【0048】
図3は、
図1に示すリニア電源回路、出力コンデンサ6、及び負荷7の伝達関数のゲイン特性を示す図である。第1ポール周波数FP1は、出力コンデンサ6及び負荷7によって生じる第1ポールの周波数である。第2ポール周波数FP2は、出力トランジスタ1のソースとゲートとの間に形成される寄生容量CPDによって生じる第2ポールの周波数である。
【0049】
図3に示す伝達関数では、ゼロクロス周波数FZCが低く、ゲインが負の領域に第2ポール周波数FP2が出現しており、位相補償がとり易くなっている。
【0050】
ところが、出力コンデンサ6を無くすと、ゲインを調整していた第1ポール周波数FP1が無くなり、ゼロクロス周波数FZCが高域にシフトするため、
図1に示すリニア電源回路、出力コンデンサ6、及び負荷7の伝達関数のゲイン特性は
図4に示すようになる。なお、
図4において、比較のために
図3に示すゲイン特性を太い点線で示す。
【0051】
図4に示すゲイン特性では、ゼロクロス周波数FZCが高域にシフトするため、ゲインが正の領域に複数のポールが出現することになり、位相補償が難しくなる。
【0052】
<2.第1実施形態>
図5は、
図1に示すリニア電源回路の問題点を解決するために本発明者が開発したリニア電源回路の第1実施形態を示す図である。
図5において
図1と同一の部分には同一の符号を付し詳細な説明を省略する。
【0053】
図5に示すリニア電源回路は、NMOSFET101及び102と、容量103とを備える点で、
図1に示すリニア電源回路と異なっている。なお、NMOSFET101及び102に代えて、NPNバイポーラトランジスタを用いてもよい。なお、NMOSFET101の耐圧は特に限定されないが、例えば5Vを超える入力電圧VINにも対応できるようにNMOSFET101の耐圧を10V以上にしてもよい。
【0054】
図5に示すリニア電源回路は、
図1に示すリニア電源回路と同様に、差動増幅器21と容量22との接続ノードが高周波帯域でグランド接地になるため、ドライバ2の高速応答を実現することができる。
【0055】
差動増幅器21及びPMOSFET23の耐圧は、電流増幅器24の耐圧より低い。また差動増幅器21のゲインは、電流増幅器24のゲインより小さい。これにより、差動増幅器21及びPMOSFET23の小型化を図ることができる。
【0056】
PMOSFET23の耐圧は、電流増幅器24の耐圧より低い。これにより、PMOSFET23の小型化を図ることができる。
【0057】
図6は、電流増幅器24の一構成例を示す図である。
図6に示す構成例の電流増幅器24は、電流シンク型カレントミラー回路CM_1、CM_2、・・・、及びCM_nと、電流ソース型カレントミラー回路CM_3、・・・、及びCM_n-1(ただしCM_n-1は
図6において不図示)と、を備える。電流シンク型カレントミラー回路CM_1及び定電流I1を流す定電流源CS1と電流シンク型カレントミラー回路CM_nとの間において電流増幅器24の入力から出力に向かって、電流シンク型カレントミラー回路と電流ソース型カレントミラー回路とが交互に配置される。各カレントミラー回路で発生するポールをできるだけ低帯域に寄らないようにするために、各カレントミラー回路のミラー比(入力側トランジスタのサイズに対する出力側トランジスタのサイズ)は5以下であることが好ましく、より好ましくは3以下である。但し、各カレントミラー回路のミラー比を小さくするほど、電流増幅器24の回路面積は大きくなってしまうので、周波数特性の改善と小型化とのトレードオフを考慮して各カレントミラー回路のミラー比を決定すればよい。
【0058】
図5に戻り、NMOSFET101及び102と、容量103とについて説明する。NMOSFET101のドレインは入力端T1に接続される。NMOSFET101のソースは出力端T2に接続される。したがって、NMOSFET101はソースフォロワ回路になっている。NMOSFET102のドレインとNMOSFET101及び102の各ゲートと容量103の一端とは、出力トランジスタ1のドレインに接続される。NMOSFET102のソースは出力端T2に接続される。容量103の他端にグランド電位が印加される。
【0059】
図5に示すリニア電源回路では、ソースフォロワ回路であるNMOSFET101が出力段であるため、出力インピーダンスが小さくなる。そして、NMOSFET101のゲートに容量103が接続され、NMOSFET101及び102で構成されるカレントミラー回路によってNMOSFET101を駆動することで、上述したドライバ2での高速応答性能を維持した状態で、
図3に示す第1ポール周波数FP1と同程度の周波数である第1ポールを生成することができる。
【0060】
図5に示すリニア電源回路は、高速応答が可能であって、出力コンデンサ6(
図1参照)が外付けされていないにもかかわらず、出力電圧VOUTの安定性を確保できる。
【0061】
また、
図5に示すリニア電源回路では、NMOSFET102の相互コンダクタンスの逆数(1/gm)を負荷7のインピーダンスに対して十分に大きくすることができるので、容量103を半導体集積回路装置に内蔵できるまで容量103の静電容量を小さく(例えば20pF未満)できる。
【0062】
また、
図5に示すリニア電源回路では、NMOSFET101の相互コンダクタンスの逆数(1/gm)及びNMOSFET102の相互コンダクタンスの逆数(1/gm)が負荷7のインピーダンスに比例するので、
図1に示すリニア電源回路と同様に、負荷7のインピーダンスに応じてゼロクロス周波数が高くなる特性を維持している。過渡的な負荷(消費電力が矩形波のような負荷)を考えた場合、一般的にリニア電源回路の出力負荷が増えるとその負荷に応じて出力電圧のドロップ量は大きくなる。しかしながら、ゼロクロス周波数が高いと過渡的な負荷に対する応答が速いため、過渡的な負荷に対する出力電圧のドロップ量を抑えることができる。
図5に示すリニア電源回路では、上述した通り負荷が大きければゼロクロス周波数が高くなる。したがって、
図5に示すリニア電源回路は、過渡的に負荷が増えたとしても、出力電圧のドロップ量を一般的なリニア電源回路に比べ抑制することができる。また、リニア電源回路ではゼロクロス周波数を上げるためには回路電流を多く流す必要がある。しかしながら、過渡的な負荷が小さい場合には、ゼロクロス周波数が低くても出力電圧のドロップ量は小さいので回路電流を消費してまで高いゼロクロス周波数を維持する必要がない。
図5に示すリニア電源回路では、上述した通り負荷が小さければゼロクロス周波数が低くなる。したがって、
図5に示すリニア電源回路は、無負荷時消費電流(暗電流)を一般的なリニア電源回路に比べ抑制することができる。
【0063】
なお、容量103の接続位置は、NMOSFET101及び102のゲートに限定されず、例えば
図7A~
図7Cのように電流増幅器24内の電流シンク型カレントミラー回路に接続されてもよい。容量103をNMOSFET101のゲートに接続した場合、高速応答性能が最も良くなる。一方、PMOSFET23(
図5参照)に近い位置に容量103を接続するほど、容量103の静電容量を小さくすることができる。
【0064】
<3.第2実施形態>
図8Aは、第2実施形態に係るリニア電源回路の構成を示す図である。
図8Aにおいて
図5と同一の部分には同一の符号を付し詳細な説明を省略する。
【0065】
本実施形態では、ドライバ2は、差動増幅器21’と、容量22’と、NMOSFET23’と、電流増幅器24と、PMOSFET25と、を備える。
【0066】
差動増幅器21’は、帰還電圧VFBと基準電圧VREFとの差に応じた電圧を出力する。差動増幅器21’の電源電圧は第1定電圧VREG1である。すなわち、差動増幅器21’は、第1定電圧VREG1とグランド電位との間の電圧で駆動する。
【0067】
差動増幅器21’及びNMOSFET23’の耐圧は、電流増幅器24の耐圧より低い。また差動増幅器21’のゲインは、電流増幅器24のゲインより小さい。これにより、差動増幅器21’ 及びNMOSFET23’の小型化を図ることができる。
【0068】
容量22’の一端に差動増幅器21’の出力が印加され、容量22’の他端に出力電圧VOUTが印加される。なお、出力電圧VOUTの代わりに、出力電圧VOUTに依存する電圧を容量22の他端に印加してもよい。
【0069】
NMOSFET23’のソースにグランド電位が印加され、NMOSFET23’のゲートに差動増幅器21’の出力に基づく電圧(差動増幅器21’と容量22’との接続ノード電圧)が印加される。NMOSFET23’は、差動増幅器21’の出力に基づく電圧を電流に変換してドレインから出力する。差動増幅器21’と容量22’との接続ノードが高周波帯域で出力電圧VOUT接地になるため、ドライバ2の高速応答を実現することができる。
【0070】
電流増幅器24は、NMOSFET23’のドレインから出力される電流Iaを電流増幅する。電流増幅器24の電源電圧は第2定電圧VREG2である。すなわち、電流増幅器24は、第2定電圧VREG2とグランド電位との間の電圧で駆動する。第1定電圧VREG1と第2定電圧VREG2とは同一の値であってもよく、互いに異なる値であってもよい。本構成例では、電流増幅器24からNMOSFET23’に向かって電流Iaが流れるので、電流増幅器24を例えば
図8Bに示す回路構成にすればよい。
【0071】
図8Aに示す本実施形態に係るリニア電源回路は、
図5に示す第1実施形態に係るリニア電源回路と同様の効果を奏する。また、
図8Aに示す本実施形態に係るリニア電源回路は、出力電圧VOUTの設定値が低い場合でも差動増幅器21’の動作を確保することができる。なお、低電圧を入力電圧VINとして用いる場合は、第1定電圧VREG1の代わりに入力電圧VINを差動増幅器21’の電源電圧として用い、第2定電圧VREG2の代わりに入力電圧VINを電流増幅器24の電源電圧として用いてもよい。
【0072】
<4.第3実施形態>
図5及び
図8に示すリニア電源回路は、
図9Aに示すように、入力電圧VINが出力電圧VOUTに近い値まで下がってきたとき、出力電圧VOUTがNMOSFET101の閾値電圧Vth分入力電圧VINより低下してしまう。しかしながら、LDO(Low Drop Out)として理想的な入出力電圧特性は、
図9Bに示すように、入力電圧VINが出力電圧VOUTに近い値まで下がってきたとき、出力電圧VOUTが入力電圧VINからほとんど低下しない特性である。
【0073】
第3実施形態に係るリニア電源回路は、入出力電圧特性を
図9Bに示す理想的な入出力電圧特性に近づけることができる電源回路である。
図10は、第3実施形態に係るリニア電源回路の構成を示す図である。
図10において
図5と同一の部分には同一の符号を付し詳細な説明を省略する。
【0074】
図10に示すリニア電源回路は、チャージポンプ回路104と、クロック信号生成回路105とを備える点で、
図5に示すリニア電源回路と異なっている。
図10に示すリニア電源回路では、入力端T1、出力端T2、NMOSFET101、及びチャージポンプ回路104によってソースフォロワ回路が構成される。
【0075】
チャージポンプ回路104は、NMOSFET102とNMOSFET101との間に設けられる。チャージポンプ回路104は、スイッチS1~S4と、容量Ccとを備える。スイッチS1及びS2はクロック信号CKによってオンオフ制御される。スイッチS3及びS4は反転クロック信号バーCKによってオンオフ制御される。チャージポンプ回路104がクロック信号CK及び反転クロック信号バーCKに基づいて動作することで、NMOSFET101のソース電圧にNMOSFET102のゲート-ソース間電圧を加えた電圧がNMOSFET101のゲートに印加される。
【0076】
上記の通り、
図10に示すリニア電源回路は、チャージポンプ回路104によってNMOSFET101を駆動する。したがって、
図10に示すリニア電源回路では、NMOSFET101のゲート電圧を入力電圧VINより大きくできるので、入力電圧VINが下がったときの出力電圧VOUTのドロップ量(入力電圧VINと出力電圧VOUTとの差)を小さくすることができる。
【0077】
上記の通り、チャージポンプ回路104はNMOSFET101を駆動する。したがって、入力端T1、出力端T2、NMOSFET101、及びチャージポンプ回路104によって構成されるソースフォロワ回路は、NMOSFET101のゲート電圧を入力電圧VINより大きくできる。そのため、上記ソースフォロワ回路は、上記入力電圧VINが下がったときのトランジスタQ3のソース電圧のドロップ量(入力電圧VINとトランジスタQ3のソース電圧との差)を小さくすることができる。
図10に示すリニア電源回路は、上記ソースフォロワ回路を備えるので、入力電圧VINが下がったときの出力電圧VOUTのドロップ量(入力電圧VINと出力電圧VOUTとの差)を小さくすることができる。
【0078】
チャージポンプ回路104はRC回路に線形近似できるので、チャージポンプ回路104によって生じるポールの周波数はクロック信号CKの周波数に応じて変化する。したがって、クロック信号CKの周波数を適切に設定することで、
図10に示すリニア電源回路は、
図5に示すリニア電源回路と同等の高速応答性能を得ることができる。
【0079】
図5に示すリニア電源回路から
図10に示すリニア電源回路への変更は、
図9Aに示すリニア電源回路に対しても適用することができる。
【0080】
次に、クロック信号生成回路105について説明する。
図11は、クロック信号生成回路105の一構成例を示す図である。
図11に示す構成例のクロック信号生成回路105は、容量105Aと、基準電圧源105Bと、コンパレータ105Cと、放電用トランジスタ105Dとを備える。
【0081】
容量105Aは、電流増幅器24から出力される電流Ibに依存する充電電流によって充電される。電流Ibは出力電流IOUTに依存するので、容量105Aの充電速度は出力電流IOUTに依存する。コンパレータ105Cは、容量105Aの充電電圧と基準電圧源105Bから出力される基準電圧との比較結果をクロック信号CKとして出力する。クロック信号CKがハイレベルになると、放電用トランジスタ105Dがオンになって容量105Aが放電される。
図11に示す構成例のクロック信号生成回路105では、クロック信号CKの反転信号である反転クロック信号バーCKも生成される。
【0082】
図11に示す構成例のクロック信号生成回路105では、出力電流IOUTが大きいほどクロック信号CKのクロック周波数が高くなる。したがって、無負荷時(負荷7のインピーダンスが無限大とみなせる場合)にはチャージポンプ回路104の消費電力を抑えることができるとともに、負荷応答時にはチャージポンプ回路104を高速動作させることができる。
【0083】
なお、
図11に示す構成例のクロック信号生成回路105の代わりに、例えば下記の(1)~(4)のようなクロック信号生成回路を用いてもよい。
(1)出力電圧VOUTと基準電圧とを比較し出力電圧VOUTが基準電圧より小さいときにクロック信号CK及び反転クロック信号バーCKを生成するクロック信号生成回路
(2)入力電圧VINから出力電圧VOUTを引いた値と基準電圧とを比較し入力電圧VINから出力電圧VOUTを引いた値が基準電圧より小さいときにクロック信号CK及び反転クロック信号バーCKを生成するクロック信号生成回路
(3)入力電圧VINに対する出力電圧VOUTの比と基準電圧とを比較し入力電圧VINに対する出力電圧VOUTの比が基準電圧より大きいときにクロック信号CK及び反転クロック信号バーCKを生成するクロック信号生成回路
(4)クロック信号の生成を指示する信号(例えば車載マイコンから車両の始動時に主力される信号等)を受け取ったときにクロック信号CK及び反転クロック信号バーCKを生成するクロック信号生成回路
【0084】
クロック信号生成回路がクロック信号CK及び反転クロック信号バーCKを生成しないときには、例えば、ハイレベルの信号によってスイッチS1及びS3をオンにすればよい。この場合、例えば、クロック信号生成回路がクロック信号CK及び反転クロック信号バーCKを生成しないときにハイレベルの信号を出力する電圧源と、当該ハイレベルの信号とクロック信号CKとの論理和をスイッチS1に供給するORゲートと、当該ハイレベルの信号と反転クロック信号バーCKとの論理和をスイッチS3に供給するORゲートと、追加スイッチと、を設けるとよい。上記追加スイッチは、NMOSFET102のソースとスイッチS2の一端との接続ノードと、グランド電位との間に設けられる。上記追加スイッチは、後述する第1モードのときにオンになり、後述する第2モードのときにオフになる。これにより、チャープポンプ回路が動作する第1モードと、チャープポンプ回路の動作が停止しておりNMOSFET101のゲートとNMOSFET102とが同電位である第2モードとの切り替えが可能になる。第2モードでは、スイッチングリップルのない出力電圧VOUTを得ることができる。
【0085】
<5.第4実施形態>
第3実施形態で用いた
図11に示す構成例のクロック信号生成回路105は、出力電流IOUTが出力端T2から負荷7に向かって流れるソース電流であることを前提としている。従って、出力端T2に外部からリーク電流や出力電流IOUTが流入すると、
図11に示す構成例のクロック信号生成回路105は動作せず、出力電圧VOUTが上昇してしまう。
【0086】
第4実施形態に係るリニア電源回路は、出力電流IOUTがソース電流であってもシンク電流であってもクロック信号生成回路105及びチャープポンプ回路104を動作させることができ、出力電圧VOUTが上昇することを防止できる電源回路である。
図12は、第4実施形態に係るリニア電源回路で用いられるクロック信号生成回路105の一構成例である。なお、第4実施形態に係るリニア電源回路の全体的な構成は、第3実施形態に係るリニア電源回路の全体的な構成と同様であり、
図10に示す構成となる。
【0087】
図12に示す構成例のクロック信号生成回路105は、
図11に示す構成例のクロック信号生成回路105にカレントミラー回路105Eを追加した構成である。カレントミラー回路105Eは、電流Ia’から電流I2を生成する。電流Ia’は、電流Ia(
図10参照)のミラー電流である。つまり、第4実施形態に係るリニア電源回路は、電流Iaから電流Ia’を生成するカレントミラー回路(不図示)を備える。
【0088】
図12中の電流I1は、ソース電流である出力電流IOUTに依存した電流である。
図12中の電流I2は、シンク電流である出力電流IOUTに依存した電流である。容量105Aは、電流I1と電流I2とのスカラー和に依存した充電電流つまりソース電流である出力電流IOUTとシンク電流である出力電流IOUTとのスカラー和に依存した充電電流で充電される。したがって、
図12に示す構成例のクロック信号生成回路105は、出力電流IOUTがソース電流であってもシンク電流であっても動作する。
【0089】
なお、ソース電流である出力電流IOUTとシンク電流である出力電流IOUTとは同時に存在しないため、ソース電流である出力電流IOUTとシンク電流である出力電流IOUTとのスカラー和の各瞬時値は、ソース電流である出力電流IOUTかシンク電流である出力電流IOUTかのいずれかになる。
【0090】
<6.第5実施形態>
第5実施形態に係るリニア電源回路は、第3及び第4実施形態に係るリニア電源回路と同様に、入出力電圧特性を
図9Bに示す理想的な入出力電圧特性に近づけることができる電源回路である。
図13は、第5実施形態に係るリニア電源回路の構成を示す図である。
図13において
図1と同一の部分には同一の符号を付し詳細な説明を省略する。
【0091】
図13に示すリニア電源回路は、NMOSFET101及び102並びに容量103の代わりに容量106を備える点で、
図5に示すリニア電源回路と異なっている。
【0092】
容量106は、PMOSFETである出力トランジスタ1のゲートとドレインとの間に設けられている。つまり、容量106の一端は出力トランジスタ1のゲートに接続され、容量106の他端は出力トランジスタ1のドレインに接続される。
【0093】
図13に示すリニア電源回路は、NMOSFET101及び102を備えないので、
図5及び
図8Aに示すリニア電源回路とは異なり、入力電圧VINが出力電圧VOUTに近い値まで下がってきたときでも、出力電圧VOUTがNMOSFET101の閾値電圧Vth分入力電圧VINより低下してしまうことがない。
【0094】
また、負荷7の変動が急激であるとき、すなわち
図13に示すリニア電源回路が高周波で動作するとき、容量106がショートする。したがって、負荷7に対して出力電圧VOUT(出力トランジスタ1のドレイン電圧)が急激に下がると、出力トランジスタ1のゲート-ソース間電圧が出力トランジスタ1の閾値電圧よりも大きくなって、ドライバ2の出力に依らずに出力トランジスタ1がオンになる。これにより、
図13に示すリニア電源回路は、高速応答が可能である。
【0095】
また、
図13に示すリニア電源回路は、
図5及び
図8Aに示すリニア電源回路と同様の周波数特性を得ることができる。つまり、
図13に示すリニア電源回路では、位相補償が容易である。
【0096】
また、
図13に示すリニア電源回路は、
図10に示すリニア電源回路とは異なり、チャージポンプ回路を備えない構成であるため、原理的にチャージポンプ回路からのスイッチングノイズを発しない。
【0097】
<7.第6実施形態>
第6実施形態に係るリニア電源回路は、第3~第5実施形態に係るリニア電源回路と同様に、入出力電圧特性を
図9Bに示す理想的な入出力電圧特性に近づけることができる電源回路である。
図14は、第6実施形態に係るリニア電源回路の構成を示す図である。
図14において
図8Aと同一の部分には同一の符号を付し詳細な説明を省略する。
【0098】
図14に示すリニア電源回路は、NMOSFET101及び102並びに容量103の代わりに容量106を備える点で、
図8Aに示すリニア電源回路と異なっている。
【0099】
容量106は、PMOSFETである出力トランジスタ1のゲートとドレインとの間に設けられている。つまり、容量106の一端は出力トランジスタ1のゲートに接続され、容量106の他端は出力トランジスタ1のドレインに接続される。
【0100】
図14に示す本実施形態に係るリニア電源回路は、
図13に示す第5実施形態に係るリニア電源回路と同様の効果を奏する。また、
図14に示す本実施形態に係るリニア電源回路は、出力電圧VOUTの設定値が低い場合でも差動増幅器21’の動作を確保することができる。なお、低電圧を入力電圧VINとして用いる場合は、第1定電圧VREG1の代わりに入力電圧VINを差動増幅器21’の電源電圧として用い、第2定電圧VREG2の代わりに入力電圧VINを電流増幅器24の電源電圧として用いてもよい。
【0101】
<8.第7実施形態>
図15Aは、第7実施形態に係るリニア電源回路の構成を示す図である。
図15Aにおいて
図13と同一の部分には同一の符号を付し詳細な説明を省略する。
【0102】
図15Aに示すリニア電源回路は、バッファアンプ107を備える点で、
図13に示すリニア電源回路と異なっている。
【0103】
バッファアンプ107の入力端子は容量106に接続され、バッファアンプ107の出力端子は出力トランジスタ1のゲートに接続される。
【0104】
バッファアンプ107は、出力トランジスタ1のドレインからゲートに向かう電流を通過させる。したがって、
図15Aに示す本実施形態に係るリニア電源回路は、
図13に示す第5実施形態に係るリニア電源回路と同様の効果を奏する。
【0105】
バッファアンプ107は、出力トランジスタ1のゲートからドレインに向かう電流を阻止する。したがって、
図15Aに示す本実施形態に係るリニア電源回路は、入力電圧VINが変動したときに、入力電圧VINの変動の影響がPMOSFET25及び容量106を経由して出力電圧VOUTに及ぶことを防止することができる。
【0106】
図15Bは、第7実施形態に係るリニア電源回路の具体例を示す図である。
図15Bに示すリニア電源回路では、NMOSFET107A及び定電流源107Bによってバッファアンプ107が構成される。NMOSFET107Aのゲートには所定のバイアス電圧Vbiasが印加される。つまり、NMOSFET107Aはゲート接地される。
【0107】
入力電圧VINの変動によりNMOSFET107Aのドレイン電圧が変動してもNMOSFET107Aのドレイン電流は変動しない。一方、出力電圧VOUTの変動によりNMOSFET107Aのソース電圧が変動すると、NMOSFET107Aのゲート-ソース間電圧が変動するためNMOSFET107Aのドレイン電流が変動する。
【0108】
なお、バッファアンプ107は、出力トランジスタ1のゲートとドレインとの間に設けられ、出力トランジスタ1のゲートからドレインに向かう電流を阻止し、出力トランジスタ1のドレインからゲートに向かう電流を通過させるように構成される整流部の一例である。したがって、バッファアンプ107の代わりにバッファアンプ107以外の整流部を用いることが可能であるが、当該整流部はリニア電源回路の高速応答を阻害しない程度の高速応答性を有する必要がある。
【0109】
<9.第8実施形態>
図16は、第8実施形態に係るリニア電源回路の構成を示す図である。
図16に示すリニア電源回路は、入力端TM1と、出力端TM2と、トランジスタQ1~Q3と、チャージポンプ回路CP1と、基準電圧生成部REF1と、差動増幅器AMP1と、容量C1と、抵抗R1及びR2と、コンパレータCMP1と、クロック信号生成回路CLK1と、を備える。チャージポンプ回路CP1は、スイッチSW1~SW4と、容量C2と、を備える。入力端TM1、出力端TM2、トランジスタQ3、及びチャージポンプ回路CP1によってソースフォロワ回路が構成される。
【0110】
図16に示すリニア電源回路には出力コンデンサC3及び負荷LD1が外付けされる。具体的には、出力コンデンサC3及び負荷LD1が外付けで出力端TM2に並列接続される。
図16に示すリニア電源回路は、入力電圧VINを降圧して出力電圧VOUTを生成し、出力電圧VOUTを負荷LD1に供給する。
【0111】
トランジスタQ3は、入力電圧VINが印加される入力端TM1と出力電圧VOUTが印加される出力端TM2との間に設けられる。トランジスタQ3は、NMOSFETである。従って、チャージポンプ回路CP1からトランジスタQ3のゲートに供給されるゲート信号G3が低いほど、トランジスタQ1の導通度が高くなり、出力電圧VOUTが上昇する。逆に、ゲート信号G3が高いほど、トランジスタQの導通度が低くなり、出力電圧VOUTが低下する。
【0112】
基準電圧生成部REF1は基準電圧VREFを生成する。抵抗R1及びR2は、出力電圧VOUTの分圧である帰還電圧VFBを生成する。
【0113】
差動増幅器AMP1の反転入力端(-)に基準電圧VREFが印加され、差動増幅器AMP1の非反転入力端(+)に帰還電圧VFBが印加される。差動増幅器AMP1は入力電圧VINを電源電圧として用いる。差動増幅器AMP1は、基準電圧VREFと帰還電圧VFBとの差分値ΔV(=VFB-VREF)に基づいてトランジスタQ1を駆動する。すなわち、差動増幅器AMP1の出力端は、トランジスタQ1のゲートに接続される。
【0114】
トランジスタQ1は、PMOSFETである。トランジスタQ1のソースは入力端子TM1に接続される。トランジスタQ1のドレインは、NMOSFETであるトランジスタQ2のドレイン及びゲート並びに容量C1の一端及びスイッチSW1の一端に接続される。トランジスタQ2のソースは、グランド電位、容量C1の他端、及びスイッチSW2の一端に接続される。
【0115】
スイッチSW1の他端は、容量C2の一端及びスイッチSW3の一端に接続される。スイッチSW3の他端は、チャージポンプ回路CP1の出力端となる。スイッチSW2の他端は、容量C2の他端及びスイッチSW4の一端に接続される。スイッチSW4の他端は、出力端子TM2に接続される。
【0116】
チャージポンプ回路CP1のスイッチSW1及びSW2はクロック信号CKによってオンオフ制御される。スイッチSW3及びSW4は反転クロック信号バーCKによってオンオフ制御される。チャージポンプ回路CP1がクロック信号CK及び反転クロック信号バーCKに基づいて動作することで、NMOSFETであるトランジスタQ3のソース電圧に容量C2の充電電圧(容量C1の充電電圧と同一値の電圧)を加えた電圧がトランジスタQ3のゲートに印加される。
【0117】
上記の通り、チャージポンプ回路CP1はトランジスタQ3を駆動する。したがって、入力端TM1、出力端TM2、トランジスタQ3、及びチャージポンプ回路CP1によって構成されるソースフォロワ回路は、NMOSFETであるトランジスタQ3のゲート電圧を入力電圧VINより大きくできる。そのため、上記ソースフォロワ回路は、入力電圧VINが下がったときのトランジスタQ3のソース電圧のドロップ量(入力電圧VINとトランジスタQ3のソース電圧との差)を小さくすることができる。
図16に示すリニア電源回路は、上記ソースフォロワ回路を備えるので、入力電圧VINが下がったときの出力電圧VOUTのドロップ量(入力電圧VINと出力電圧VOUTとの差)を小さくすることができる。
【0118】
次に、コンパレータCMP1及びクロック信号生成回路CLK1について説明する。コンパレータCMP1の非反転入力端(+)に基準電圧VREFが印加され、コンパレータCMP1の反転入力端(-)に帰還電圧VFBが印加される。コンパレータCMP1は入力電圧VINを電源電圧として用いる。コンパレータCMP1は、基準電圧VREFと帰還電圧VFBとを比較し、帰還電圧VFBが基準電圧VREFより小さい場合にHighレベルの出力信号を出力し、帰還電圧VFBが基準電圧VREFより大きい場合にLowレベルの出力信号を出力する。
【0119】
なお、帰還電圧VFBが基準電圧VREFより小さい場合は、出力電圧VOUTが所定値(=基準電圧VREFに抵抗R1及びR2の分圧比の逆数を掛けた値)より小さい場合と等価である。また、帰還電圧VFBと基準電圧VREFとが等しい場合、コンパレータCMP1の出力信号は、Highレベル、Lowレベルのいずれであってもよい。
【0120】
コンパレータCMP1の出力信号は、イネーブル信号としてクロック信号生成回路CLK1に供給される。
【0121】
コンパレータCMP1の出力信号がHighレベルである場合、クロック信号生成回路CLK1はイネーブル状態となり、クロック信号CK及び反転クロック信号バーCKを出力する。クロック信号CK及び反転クロック信号バーCKはチャージポンプ回路CP1に供給される。これにより、チャージポンプ回路CP1が動作する。
【0122】
一方、コンパレータCMP1の出力信号がLowレベルである場合、クロック信号生成回路CLK1はディセーブル状態となり、クロック信号CK及び反転クロック信号バーCKの出力を停止する。これにより、チャージポンプ回路CP1の動作も停止する。すなわち、帰還電圧VFBが基準電圧VREFより大きい場合にクロック信号生成回路CLK1及びチャージポンプ回路CP1の動作を停止することができる。したがって、無負荷時(負荷LD1のインピーダンスが無限大とみなせる場合)にはクロック信号生成回路CLK1及びチャージポンプ回路CP1の消費電力を抑えることができる。
【0123】
<10.第9実施形態>
図17は、第9実施形態に係るリニア電源回路の構成を示す図である。
図17に示すリニア電源回路は、トランジスタQ1及びQ2を備えず、基準電圧VREGが差動増幅器AMP1の非反転入力端(+)に印加され、帰還電圧VFBが差動増幅器AMP1の反転入力端(-)に印加される点で
図16に示すリニア電源回路と異なっており、その他の点で
図16に示すリニア電源回路と同一である。
【0124】
図17に示すリニア電源回路は、
図16に示すリニア電源回路と同様の効果を奏する。
【0125】
<11.用途>
図18は、半導体集積回路装置の外観図である。
図18に示す半導体集積回路装置は、外部ピンP1~P14を備え、内部電源8を内蔵している。内部電源8は、先に説明した第1~第4実施形態のいずれかに係るリニア電源回路である。内部電源8は、
図18に示す半導体集積回路装置内の少なくとも一部の回路に内部電源電圧Vreg(=リニア電源回路の出力電圧VOUT)を供給する。
【0126】
内部電源8の入力端T1は外部ピンP1に接続される。なお、本実施例とは異なり、内部電源8の入力端T1は複数の外部ピンに接続されてもよい。
【0127】
一方、内部電源8の出力端T2は外部ピンP1~P14のいずれにも接続されない。内部電源8としてリニア電源回路が外付けのコンデンサを必要としない電源回路であるため、内部電源8の出力端T2を外部ピンに接続しなくてすむ。これにより、内部電源8に対して出力系の保護回路を設ける必要もなくなる。したがって、先に説明した第1~第7実施形態のいずれかに係るリニア電源回路を内部電源8として用いることは、半導体集積回路装置の小型化及び低コスト化に大きく寄与する。
【0128】
図19は、車両Xの外観図である。本構成例の車両Xは、不図示のバッテリから出力される電圧の供給を受けて動作する種々の電子機器X11~X18を搭載している。なお、本図における電子機器X11~X18の搭載位置は、図示の便宜上、実際とは異なる場合がある。
【0129】
電子機器X11は、エンジンに関連する制御(インジェクション制御、電子スロットル制御、アイドリング制御、酸素センサヒータ制御、及び、オートクルーズ制御など)を行うエンジンコントロールユニットである。
【0130】
電子機器X12は、HID[high intensity discharged lamp]やDRL[daytime running lamp]などの点消灯制御を行うランプコントロールユニットである。
【0131】
電子機器X13は、トランスミッションに関連する制御を行うトランスミッションコントロールユニットである。
【0132】
電子機器X14は、車両Xの運動に関連する制御(ABS[anti-lock brake system]制御、EPS[electric power steering]制御、電子サスペンション制御など)を行う制動ユニットである。
【0133】
電子機器X15は、ドアロックや防犯アラームなどの駆動制御を行うセキュリティコントロールユニットである。
【0134】
電子機器X16は、ワイパー、電動ドアミラー、パワーウィンドウ、ダンパー(ショックアブソーバー)、電動サンルーフ、及び、電動シートなど、標準装備品やメーカーオプション品として、工場出荷段階で車両Xに組み込まれている電子機器である。
【0135】
電子機器X17は、車載A/V[audio/visual]機器、カーナビゲーションシステム、及び、ETC[electronic toll collection system]など、ユーザオプション品として任意で車両Xに装着される電子機器である。
【0136】
電子機器X18は、車載ブロア、オイルポンプ、ウォーターポンプ、バッテリ冷却ファンなど、高耐圧系モータを備えた電子機器である。
【0137】
なお、先に説明したリニア電源回路又は先に説明した半導体集積回路装置は、電子機器X11~X18のいずれにも組み込むことが可能である。
【0138】
<12.その他>
上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
【0139】
例えば、上記第1~第7実施形態では、リニア電源回路が出力コンデンサを備えない構成であったが、リニア電源回路が100nF未満の出力コンデンサ(出力端子T2に接続される容量)を備える(内蔵する)構成であってもよい。
【符号の説明】
【0140】
1 出力トランジスタ
2 ドライバ
8 内部電源
21、21’ 差動増幅器
22、22’ 容量
23 PMOSFET(変換器の一例)
23’ NMOSFET(変換器の他の例)
24 電流増幅器
101、102 NMOSFET
103、106 容量
104、CP1 チャージポンプ回路
105、CLK1 クロック信号生成回路
T1、TM1 入力端
T2、TM2 出力端
P1~P14 外部ピン
Q1 トランジスタ
X 車両