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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-20
(45)【発行日】2022-12-28
(54)【発明の名称】鞍乗型電動車両
(51)【国際特許分類】
   B62J 43/16 20200101AFI20221221BHJP
   B62H 1/02 20060101ALI20221221BHJP
【FI】
B62J43/16
B62H1/02 E
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021530440
(86)(22)【出願日】2019-07-10
(86)【国際出願番号】 JP2019027414
(87)【国際公開番号】W WO2021005768
(87)【国際公開日】2021-01-14
【審査請求日】2021-12-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092772
【弁理士】
【氏名又は名称】阪本 清孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119688
【弁理士】
【氏名又は名称】田邉 壽二
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 央
(72)【発明者】
【氏名】岡部 貞隆
(72)【発明者】
【氏名】中林 俊一
【審査官】福田 信成
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2004/078574(WO,A1)
【文献】特開2017-140932(JP,A)
【文献】特開平6-135369(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 43/16
B62H 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項5】
略直方体のバッテリ(B)と、該バッテリ(B)が収納されるバッテリケース(33)と、サイドスタンド(19)を有する鞍乗型電動車両(1)において、
前記バッテリケース(33)が、シート(29)の下方に配設されており、
前記サイドスタンド(19)のピボット(19b)が、車体側面視で、前記バッテリケース(33)に収納される前記バッテリ(B)の前後長さ内に配設されており、
前記バッテリ(B)の底面に設けられるバッテリ側端子(49)と、該バッテリ側端子(49)に係合するケース側端子(55)とを備え、
前記サイドスタンド(19)のピボット(19b)が、車体側面視で、前記ケース側端子(55)と重なる位置に設けられることを特徴とする鞍乗型電動車両。
【請求項6】
前記バッテリケース(33)の後方下部を覆うカバー部材(21)を備え、
前記カバー部材(21)は、格納された前記サイドスタンド(19)の車幅方向内側 位置しており、
前記カバー部材(21)に、格納された前記サイドスタンド(19)より上方に位置する幅広部(21a)と、該幅広部(21a)の下部に連結されて前記幅広部(21a)より車幅方向寸法の小さい幅狭部(21b)とが設けられていることを特徴とする請求項5に記載の鞍乗型電動車両。
【請求項7】
前記バッテリケース(33)の下方にダウンレギュレータ(57)が隣接配置されることを特徴とする請求項5または6に記載の鞍乗型電動車両。
【請求項8】
前記バッテリケース(33)の前後に、複数の電装部品(46,47,80,32)が集中配置されることを特徴とする請求項7に記載の鞍乗型電動車両。
【請求項12】
前記サイドスタンド(19)のピボット(19b)が、前記低床フロア(17)と同等の高さに配設されており、
前記サイドスタンド(19)を格納した際に、前記サイドスタンド(19)の指向方向が、車体側面視で、前記低床フロア(17)の上面の指向方向に沿うことを特徴とする請求項11に記載の鞍乗型電動車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鞍乗型電動車両に係り、特に、駆動源としてのモータに電力を供給する可搬型バッテリを車体に着脱可能に収納するようにした鞍乗型電動車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、モータに電力を供給するための可搬型バッテリを、車体に着脱可能に収納するようにした鞍乗型電動車両が知られている。
【0003】
特許文献1には、操向ハンドルとシートとの間に低床フロアが設けられたスクータ型の電動二輪車において、停車時に用いるサイドスタンドを、低床フロアを支持するアンダフレームの車幅方向左側に取り付けた構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-129368号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、重量物である可搬型バッテリをシートの下方に収納する構成においては、サイドスタンドにかかる負荷が大きくなりやすく、さらに、リヤキャリアに荷物を積載して重心位置が後方に移動した際にも好適なサイドスタンド構造に関しては、依然として工夫の余地があった。
【0006】
本発明の目的は、上記従来技術の課題を解決し、シートの下方に可搬型バッテリを収納する構成に好適なサイドスタンド構造を有する鞍乗型電動車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明は、略直方体のバッテリ(B)と、該バッテリ(B)が収納されるバッテリケース(33)と、サイドスタンド(19)を有する鞍乗型電動車両(1)において、前記バッテリケース(33)が、シート(29)の下方に配設されており、前記サイドスタンド(19)のピボット(19b)が、車体側面視で、前記バッテリケース(33)に収納される前記バッテリ(B)の前後長さ内に配設されている点に第1の特徴がある。
【0008】
また、前記サイドスタンド(19)のピボット(19b)が、前記鞍乗型電動車両(1)の車体フレーム(F)が車幅方向外側に膨出する部分に設けられる点に第2の特徴がある。
【0009】
また、前記鞍乗型電動車両(1)は、操向ハンドル(2)と前記シート(29)との間に低床フロア(17)を有するスクータ型車両であり、前記バッテリケース(33)は、前記低床フロア(17)を下方から支持するアンダフレーム(F3)の後端部から後方上方に立ち上がる左右一対の立ち上がりフレーム(F4)に挟まれて支持されており、前記サイドスタンド(19)のピボット(19b)が、前記立ち上がりフレーム(F4)の下方寄りの位置に設けられる点に第3の特徴がある。
【0010】
また、前記サイドスタンド(19)のピボット(19b)が、前記低床フロア(17)と同等の高さに配設されており、前記サイドスタンド(19)を格納した際に、前記サイドスタンド(19)の指向方向が、車体側面視で、前記低床フロア(17)の上面の指向方向に沿う点に第4の特徴がある。
【0011】
また、前記バッテリ(B)の底面に設けられるバッテリ側端子(49)と、該バッテリ側端子(49)に係合するケース側端子(55)とを備え、前記サイドスタンド(19)のピボット(19b)が、車体側面視で、前記ケース側端子(55)と重なる位置に設けられる点に第5の特徴がある。
【0012】
また、前記バッテリケース(33)の後方下部を覆うカバー部材(21)を備え、前記カバー部材(21)は、格納された前記サイドスタンド(19)の車幅方向内側に位置しており、前記カバー部材(21)に、格納された前記サイドスタンド(19)より上方に位置する幅広部(21a)と、該幅広部(21a)の下部に連結されて前記幅広部(21a)より車幅方向寸法の小さい幅狭部(21b)とが設けられている点に第6の特徴がある。
【0013】
また、前記バッテリケース(33)の下方にダウンレギュレータ(57)が隣接配置される点に第7の特徴がある。
【0014】
さらに、前記バッテリケース(33)の前後に、複数の電装部品(46,47,80,32)が集中配置される点に第8の特徴がある。
【発明の効果】
【0015】
第1の特徴によれば、略直方体のバッテリ(B)と、該バッテリ(B)が収納されるバッテリケース(33)と、サイドスタンド(19)を有する鞍乗型電動車両(1)において、前記バッテリケース(33)が、シート(29)の下方に配設されており、前記サイドスタンド(19)のピボット(19b)が、車体側面視で、前記バッテリケース(33)に収納される前記バッテリ(B)の前後長さ内に配設されているので、サイドスタンドを重量物であるバッテリの近傍に配設することで、ピボットにかかる負担を低減することが可能となる。
【0016】
第2の特徴によれば、前記サイドスタンド(19)のピボット(19b)が、前記鞍乗型電動車両(1)の車体フレーム(F)が車幅方向外側に膨出する部分に設けられるので、サイドスタンドが車体フレームの車幅方向外側寄りに軸支されることで、サイドスタンドを用いて停車した際に接地面が車幅方向外側寄りに位置して車体の安定性が高められると共に、サイドスタンドの展開および格納操作が容易となる。
【0017】
第3の特徴によれば、前記鞍乗型電動車両(1)は、操向ハンドル(2)と前記シート(29)との間に低床フロア(17)を有するスクータ型車両であり、前記バッテリケース(33)は、前記低床フロア(17)を下方から支持するアンダフレーム(F3)の後端部から後方上方に立ち上がる左右一対の立ち上がりフレーム(F4)に挟まれて支持されており、前記サイドスタンド(19)のピボット(19b)が、前記立ち上がりフレーム(F4)の下方寄りの位置に設けられるので、バッテリケースの車幅方向外側の位置で支持されるサイドスタンドによって停車時の安定性を高めると共に、サイドスタンドが立ち上がりフレームの下方寄りの位置に支持されることで、サイドスタンドの全長を抑えることができる。
【0018】
第4の特徴によれば、前記サイドスタンド(19)のピボット(19b)が、前記低床フロア(17)と同等の高さに配設されており、前記サイドスタンド(19)を格納した際に、前記サイドスタンド(19)の指向方向が、車体側面視で、前記低床フロア(17)の上面の指向方向に沿うので、格納したサイドスタンドが低床フロアと同等の高さに位置することで、乗車した状態での展開および格納操作が容易となる。
【0019】
第5の特徴によれば、前記バッテリ(B)の底面に設けられるバッテリ側端子(49)と、該バッテリ側端子(49)に係合するケース側端子(55)とを備え、前記サイドスタンド(19)のピボット(19b)が、車体側面視で、前記ケース側端子(55)と重なる位置に設けられるので、ピボットおよびこのピボットが固定される車体フレームによって、車幅方向外側から外力が加わった際にもケース側端子を保護することが可能となる。
【0020】
第6の特徴によれば、前記バッテリケース(33)の後方下部を覆うカバー部材(21)を備え、前記カバー部材(21)は、格納された前記サイドスタンド(19)の車幅方向内側に位置しており、前記カバー部材(21)に、格納された前記サイドスタンド(19)より上方に位置する幅広部(21a)と、該幅広部(21a)の下部に連結されて前記幅広部(21a)より車幅方向寸法の小さい幅狭部(21b)とが設けられているので、サイドスタンドが揺動する範囲に、カバー部材とサイドスタンドとの間隔を広げる幅狭部を設けることで、サイドスタンドの操作時にカバー部材に足が触れる可能性を低減し、サイドスタンドの操作性を高めることができる。
【0021】
第7の特徴によれば、前記バッテリケース(33)の下方にダウンレギュレータ(57)が隣接配置されるので、サイドスタンドのピボットの近傍に重量物を集中的に配置して、停車時の安定性をさらに高めることが可能となる。
【0022】
第8の特徴によれば、前記バッテリケース(33)の前後に、複数の電装部品(46,47,80,32)が集中配置されるので、車幅方向寸法の増加を防ぎつつ、サイドスタンドのピボットの近傍に重量物を集中配置することで、停車時の安定性をさらに高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施形態に係る電動二輪車の左側面図である。
図2】電動二輪車を右後方から見た斜視図である。
図3】主な外装部品を取り外した状態の電動二輪車の左側面図である。
図4】バッテリケースの周辺構造を示す拡大斜視図である。
図5図4の状態からバッテリケースを消去した構造説明図である。
図6】外装部品を取り外した電動二輪車の一部拡大平面図である。
図7】バッテリを取り外したバッテリケースの斜視図である。
図8】操作レバーの斜視図である。
図9】バッテリケースを前後方向で切断した状態を示す断面斜視図である。
図10】リンク機構の構成を示す斜視図である。
図11図3の一部拡大図である。
図12】電動二輪車を左後方から見た一部拡大斜視図である。
図13】外装部品を取り外した電動二輪車の底面図である。
図14】ケース側端子を通るように略水平面で切断した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る電動二輪車1の左側面図である。また、図2は電動二輪車1を右後方から見た斜視図である。電動二輪車1は、操向ハンドル2とシート29との間に、乗員が足を乗せる低床フロア17が設けられた、いわゆるスクータ型の鞍乗型電動車両である。
【0025】
前輪WFを回転自在に軸支する左右一対のフロントフォーク12は、車幅方向に延設される操向ハンドル2によって揺動可能とされる。操向ハンドル2の前後を覆うハンドルカバー5には、メータ装置39が埋設されるほか、防風スクリーン3および左右一対のバックミラー4が取り付けられる。ハンドルカバー5の下方には、車体前方側のフロントカバー6および該フロントカバー6の車体後方側で乗員の脚部に対向するフロアパネル13が配設されている。フロントカバー6の前方には、フロントキャリア7が支持されており、その下方には、ライトステー8に支持されるヘッドライト9および左右一対の前側フラッシャランプ10が配設されている。前輪WFの上方を覆うフロントフェンダ11は、左右のフロントフォーク12に支持されている。
【0026】
低床フロア17の上面には、後輪WRのブレーキ装置を作動させるブレーキペダル15と、ブレーキペダル15の操作性を高める足乗せ台16とが配設されている。低床フロア17の左右両端部には、低床フロア17を下方から覆うアンダカバー14が左右一対で連結されている。運転者が着座するシート29の下方には、車体前方側に凸の湾曲形状をなすシート下カバー30が配設されている。シート下カバー30の下部には、低床フロア17の上部に連なるフロア上カバー28が連結されている。
【0027】
車幅方向左側のアンダカバー14の車体後方には、サイドスタンド19が配設されている。フロア上カバー28の後方には、左右一対のリヤカバー27が配設されており、リヤカバー27の上部には、グリップパイプ26で囲まれたリヤキャリア40が配設されている。リヤカバー27の後方には、尾灯装置25および左右一対の後側フラッシャランプ24が配設されている。
【0028】
アンダカバー14の後方には、後輪WRを回転自在に軸支するスイングユニット式のパワーユニットPが配設されている。後輪WRを駆動するモータを内蔵するパワーユニットPは、リンクレバー18を介して車体フレームに揺動可能に取り付けられている。パワーユニットPの後部は、リヤクッション23によって車体フレームに吊り下げられている。パワーユニットPの上部には、後輪WRの上方後方を覆うリヤフェンダ22が取り付けられており、パワーユニットPの下部にはセンタスタンド20が取り付けられている。
【0029】
シート下カバー30とリヤフェンダ22との間の位置には、フロア上カバー28のスリット30aから導入された走行風およびアンダカバー14の内側を流れる走行風を受け止めるカバー部材21(図示グレー着色部)が配設されている。
【0030】
図3は、主な外装部品を取り外した状態の電動二輪車1の左側面図である。電動二輪車1の車体フレームF(図示点描ハッチング部)は、ヘッドパイプF1から下方に延出する車幅方向中央のメインフレームF2と、メインフレームF2の下端部に連結されて後方に湾曲する左右一対のアンダフレームF3と、アンダフレームF3の後端部から上方後方に指向する立ち上がりフレームF4と、立ち上がりフレームF4に連なって後方に延びる左右一対のリヤフレームF6とを含む。立ち上がりフレームF4の前部には、左右の立ち上がりフレームF4を互いに連結するクロスパイプF5が連結されている。
【0031】
ヘッドパイプF1には、ステアリングステム38が回動自在に軸支されている。ステアリングステム38の上端部には操向ハンドル2が固定されており、一方の下端部には、フロントフォーク12の上端部を支持するボトムブリッジ37が固定されている。シート29の下方には、モータに電力を供給する可搬式のバッテリBを車幅方向に2本並べて収納するバッテリケース33が配設されている。バッテリケース33は、バッテリBの形状に合わせた縦長の下側ケース35と、下側ケース35の上部に結合されてシート29の底部形状に合わせた開口を形成する上側ケース34とからなる。シート29は、バッテリケース33の前端上部に位置するヒンジ44によって開閉可能に軸支されており、バッテリケース33の開閉蓋として機能する。この図では、開状態のシート29を2点鎖線で示している。
【0032】
バッテリケース33は、クロスパイプF5の後方で、左右一対の立ち上がりフレームF4の間に収められている。シート下カバー30(図1,2参照)は、バッテリケース33の前方および側方を覆うように、クロスパイプF5の前方から左右の立ち上がりフレームF4の側方まで延びている。低床フロア17の下方には、ヘッドライト9等の補器類に電力を供給する低圧のサブバッテリBSおよびヒューズ等の電装部品を収納する収納ケース31が配設されている。アンダフレームF3の下部には、左右のアンダフレームF3を連結して剛性を高めると共に収納ケース31を保護する連結パイプF7が配設される。
【0033】
リヤフェンダ22の前方で車体前方からの走行風を受け止めるカバー部材21(図1,2参照)は、バッテリケース33の後面側に配設されており、バッテリケース33の後面側の上方寄りで、カバー部材21に覆われる位置には、モータへの電力供給を制御するPCU(パワー・コントロール・ユニット)32が配設されている。
【0034】
バッテリBは、上下方向に長尺な略直方体とされており、鉛直方向に対して若干後方に傾斜した状態でバッテリケース33に収納される。これにより、バッテリケース33の高さ寸法を抑えると共に重心位置を下げ、バッテリBの着脱作業を容易にしている。また、バッテリBが傾斜することにより、バッテリケース33からバッテリBを取り出す際の引き抜き方向(図示矢印)も若干後方に傾斜するが、その傾斜角度は、リヤキャリア40に大型の荷物Cを載せた状態でもバッテリBが荷物Cに干渉しない範囲とされる。
【0035】
図4は、バッテリケース33の周辺構造を示す拡大斜視図である。図4では、シート29、シート下カバー30を取り外すと共に、フロア上カバー28の左半分を取り外した状態を示している。また、図5図4の状態からバッテリケース33を消去した構造説明図である。
【0036】
バッテリケース33に収納された2本のバッテリBの間には、作業者が手で把持して上下動させる操作レバー36が配設されている。操作レバー36が下方に押し込まれてバッテリ側端子とケース側端子とが接続された状態では、揺動軸42aによって揺動自在に軸支される押圧ホルダ42が付勢力を伴ってバッテリBの上面に当接しており、これにより走行中に大きな段差を乗り越えた際等でもバッテリBの上下動が抑えられる。
【0037】
操作レバー36の前方には、操作レバー36を下方に押し込んだ状態で保持するためのロック部材43が配設されている。ロック部材43は、揺動軸43aによって上側ケース34に軸支されており、図示する起立状態から前方に倒すことでアンロック状態に切り替わる。
【0038】
バッテリケース33の上縁を構成する立壁部34aは、シート29の底面形状に沿うように前下がりに形成されている。これにより、シート29を開いた際に、前方寄りに位置するロック部材43および操作レバー36へのアクセスがしやすく、バッテリBの引き抜きおよび挿入の作業も容易となる。
【0039】
バッテリケース33は、左右の立ち上がりフレームF4の間に挟まれるように支持されている。立ち上がりフレームF4には、左右一対のタンデムステップホルダF11が設けられると共に、その下方前方の位置に、上方に向けて凸の略U字状の湾曲をなして左右の立ち上がりフレームF4を連結するクロスパイプF5が配設されている。
【0040】
図5を参照して、バッテリケース33の下側ケース35の前後には、操作レバー36の上下動をケース側端子の上下動に変換するためのリンク機構Lが、前後一対で配設されている。ヒンジ44の下方でシート下カバー30に覆われる位置には、バッテリケース33の後端上部に配設されるシートキャッチ機構48を作動させるためのキーシリンダ45が配設されている。シートキャッチ機構48の上方は後部カバー41で覆われており、シートキャッチ機構48の車幅方向左側に、キーシリンダ45から延びるケーブル60が接続されている。キーシリンダ45の下方には、電装部品への電力供給をオンオフするコンタクタ46が配設される。クロスパイプF5は、左右の立ち上がりフレームF4を連結してフレーム剛性を高め、バッテリケース33の側面側の保護機能を高めるほか、バッテリケース33の前面に隣接配置されるリンク機構Lやコンタクタ46等の電動部品を保護する機能を有する。また、バッテリBに近い位置にコンタクタ46を配置することで、バッテリBとコンタクタ46とを接続するハーネスを短くすることができる。
【0041】
鋼管からなるクロスパイプF5の下面には、リンク機構Lの下方でバッテリケース33の前面側を支持する板状の支持ステーF10が左右一対で設けられている。クロスパイプF5の下方および後方に位置する電装部品は、支持ステーF10によって側方側も保護されることとなる。
【0042】
タンデムステップホルダF11の後方には、カバー部材21の前端部が配設される。カバー部材21には、バッテリケース33の側方からPCU32の後方までを覆う幅広部21aと、幅広部21aの下部に連結されて幅広部21aより幅狭に形成される幅狭部21bとが設けられる。
【0043】
図6は、外装部品を取り外した電動二輪車1の一部拡大平面図である。2本のバッテリBは、左右に並んで配設されており、左右のバッテリBの間の車幅方向中央の位置に、前後方向に把持部が延びる操作レバー36が配設されている。バッテリBの上面を押さえる押圧ホルダ42は、1本のバッテリBに対して前後一対で設けられている。押圧ホルダ42は、揺動軸42aで揺動可能に軸支される金属製の本体部42bと、本体部42bの先端側を覆うラバー部42cとを有する。このラバー部42cの弾性力により、バッテリBの収納状態を安定的に保持することが可能となる。
【0044】
揺動軸42aによって揺動自在に軸支される押圧ホルダ42には、付勢部材によって一方側の付勢力が与えられており、操作レバー36を押し下げた状態では付勢力によってバッテリBの上面を押さえる一方、操作レバー36を引き上げることで操作レバー36によって押し上げられて鉛直方向に起立するように構成されている。
【0045】
本実施形態では、押圧ホルダ42がバッテリBに対して前後一対で設けられているため、バッテリBを上方に持ち上げつつバッテリケース33の立壁部34aに当接させて車幅方向外側に引き抜く際に、押圧ホルダ42が干渉せずにスムーズにバッテリBを取り外すことが可能となる。これにより、重量物であるバッテリBの着脱時に必要な持ち上げ高さを低減し、かつバッテリBを車幅方向外側に傾けながら着脱させることができ、着脱作業が容易になる。
【0046】
バッテリBの底部に設けられるバッテリ側端子49は、バッテリBの車幅方向外側寄りに配設されている。これにより、バッテリ側端子49の下方に位置するケース側端子55を上下動させる操作レバー36を、車体の左右どちら側からでも同様に操作することができ、バッテリBの交換作業が容易となる。また、操作レバー36とケース側端子55とが離間して配設されることで、操作レバー36とケース側端子とを連動させるリンク機構Lを設けるスペースを確保することが可能となる。
【0047】
低床フロア17を下方から支持するアンダフレームF3に連結される立ち上がりフレームF4は、アンダフレームF3からの立ち上がり部分でバッテリケース33の形状に合わせて左右間隔が広がる形状とされる。車幅方向左側の立ち上がりフレームF4に支持されるサイドスタンド19のピボット19bは、立ち上がりフレームF4が車幅方向外側に膨出する部分に設けられる。これにより、サイドスタンド19が車体フレームFの車幅方向外側寄りに軸支されることで、サイドスタンド19を用いて停車した際に接地面が車幅方向外側寄りに位置して車体の安定性が高められると共に、サイドスタンド19の展開および格納操作が容易となる。サイドスタンド19を展開状態および格納状態に付勢するリターンスプリング19aは、サイドスタンド19の外側および内側に一対で設けられる。
【0048】
図7は、バッテリBを取り外したバッテリケース33の斜視図である。上側ケース34と下側ケース35とを組み合わせたバッテリケース33には、車幅方向に近接配置される2本のバッテリBが挿入される収納部50が形成されている。バッテリケース33は、上方側が開放された有底箱状とされて剛性が高められている。これにより、バッテリBを着脱するたびに上側ケース34の立壁部34aにバッテリBが押し当てられることとなるバッテリケース33の耐久性が高められる。
【0049】
収納部50の底部には、左右のバッテリBの接触を防ぐ仕切部54が設けられる。仕切部54は、収納部50の前後の内壁に沿って、下側ケース35の半分ほどの高さまで上方に延びている。この仕切部54によれば、バッテリケース33に収納した2つのバッテリBが底部側で接触することを防いでバッテリBを安定的に保持することが可能となる。また、仕切部54が、バッテリケース33にバッテリBを挿入する際のガイドとして機能することで、バッテリBの挿入作業も容易となる。
【0050】
上側ケース34の前端部には、ヒンジ44が取り付けられる台座44aが設けられている。この台座44aと、ロック部材43との間には、書類等を収納できる深溝部51が設けられている。この深溝部51は、バッテリBを鉛直方向に対して後方に傾斜させることで生じたスペースを利用して設けられたものである。
【0051】
前記したように、左右のバッテリBの間には、作業者が手で把持して上下動させる操作レバー36が配設される。操作レバー36を上方に引き上げると、バッテリBがバッテリケース33から取り外し可能な状態となり、一方、操作レバー36を押し下げると、バッテリ側端子49およびケース側端子55が電気的に接続されると共にバッテリBが所定位置に保持される。
【0052】
バッテリBの上面を押さえる押圧ホルダ42は、左右それぞれの収納部50に対して前後一対で設けられている。バッテリBは車体上下方向に長尺な略直方体をなしており、バッテリBを構成する6面のうち車幅方向外側に指向する面は、車体平面視で、車幅方向外側に凸の湾曲形状をなしている。これにより、バッテリ容量の最大化を図りつつ、バッテリBの挿入方向を把握しやすくして挿入作業を容易にすることができる。また、バッテリBを着脱する際にバッテリケース33の立壁部34aの上端部に当接する面が湾曲していることで、バッテリBの重量をバッテリケース33の立壁部34aの上端部に預けた際の摩擦抵抗が少なく、スムーズな着脱作業が可能となる。
【0053】
さらに、バッテリBをバッテリケース33に収納した際に、車体平面視で、バッテリBの車幅方向外側の面とバッテリケース33の立壁部34aとが近接配置される。これにより、バッテリBを上方に持ち上げつつ車幅方向外側に引き抜く際、および、バッテリBをバッテリケース33に収納する際に、バッテリBの車幅方向外側面をバッテリケース33の立壁部34aに当接させることが容易となる。これにより、バッテリBを完全に持ち上げることなく、その重量を立壁部34aに預けながら着脱作業を行うことが可能となり、作業負担が軽減する。この立壁部34aは、図4に示したように、車体側面視で前下がりに形成されているので、バッテリBを上方に持ち上げつつ車幅方向外側に引き抜く際、および、バッテリBをバッテリケース33に収納する際に、バッテリBを車幅方向外側の斜め前方に傾けやすくなり、バッテリBの着脱作業が容易となる。
【0054】
図8は、操作レバー36の斜視図である。合成樹脂等で構成される操作レバー36は、前後および左右で対称の形状とされる。操作レバー36を上下動させるための把持部36aと、リンク機構Lを作動させるために下方に延びる連結棒36eとは、中空構造の連結ブロック36bによって連結されている。ロック部材43は、前側の連結ブロック36bの上面に係合することで、操作レバー36の上方への移動を規制する。
【0055】
連結棒36eの上下方向の略中央には、操作レバー36を引き上げる際に押圧ホルダ42の下面に当接して鉛直方向に起立させるための方形の係合板36dが設けられている。また、連結棒36eの下端部には、リンク機構Lに接続されるピン(第1軸)36gを支持する金属製のステー36fがインサート成形により固定されている。
【0056】
そして、把持部36aと連結棒36eとの間で、連結ブロック36bの内側の位置には、操作レバー36を押し下げた際に左右のバッテリBの間に挿入されるセパレータ部36cが前後一対で設けられている。これにより、操作レバー36に、近接配置された2つのバッテリBの接触を防ぎつつ所定位置に安定的に保持する仕切板の機能を兼用させることが可能となる。
【0057】
図9は、バッテリケース33を前後方向で切断した状態を示す断面斜視図である。また、図10はリンク機構Lの構成を示す斜視図である。前記したように、バッテリケース33の上部開口を形成する上側ケース34の立壁部34aは、車体側面視で前下がりの形状とされている。これにより、後方側では操作レバーや押圧ホルダ42が立壁部34aによって保護されると共に、前方側では車幅方向外側から操作レバー36やロック部材43にアクセスしやすくなる。
【0058】
操作レバー36の連結棒36eは、下側ケース35に設けられた開口を通って下側ケース35の外側に案内され、下側ケース35の前後に配設された前後一対のリンク機構Lにそれぞれ接続される。収納部50の底部から連なる仕切部54は、操作レバー36を所定位置まで押し下げた際の係合板36dの下部まで延びている。
【0059】
下側ケース35の下部には、リンク機構Lの動作に伴って上下動するケース側端子55を収納する左側端子カバー52および右側端子カバー53が取り付けられている。また、下側ケース35の下部で左側端子カバー52および右側端子カバー53の間には、バッテリケース33を下方から支持する支持パイプ56が左右一対で配設されている。
【0060】
左右のケース側端子55は、車幅方向外側寄りに配設されるバッテリ側端子49の位置に合わせて配設されており、ケース側端子55は、操作レバー36を押し下げることで下側ケース35の底部から上方に突出してバッテリ側端子49に接続され、一方、操作レバー36を引き上げることで、下側ケース35の底部より下方に移動する。このように、ケース側端子55がバッテリケース33の底部より下方に突出して配設されることで、バッテリケース33の上下寸法を低減することが可能となる。
【0061】
また、ケース側端子55の収納空間52a,53aを形成する左側端子カバー52および右側端子カバー53は、互いに車幅方向に離間して配設される。これにより、バッテリ側端子49とケース側端子55とが離間して配設され、操作レバー36を車幅方向中央に配設して車体の左右どちら側からも同様に操作可能とするほか、操作レバー36とケース側端子55とを連動させるリンク機構Lを配設するスペースを確保することを可能としている。
【0062】
本実施形態では、左側端子カバー52と右側端子カバー53の間に確保されたスペースを利用してダウンレギュレータ57を配設している。換言すれば、ダウンレギュレータ57は、下側ケース35の下方で、左右のケース側端子55の間に配設されている。これにより、レイアウト効率が高められると共に、ダウンレギュレータ57に接続されるハーネスを短縮することができる。さらに、左側端子カバー52と右側端子カバー53の間は、アンダカバー14の内側を通る走行風の通り道となるため、ダウンレギュレータ57を効率よく冷却することができる。
【0063】
図10を参照して、リンク機構Lは、バッテリケース33の前面および後面に前後一対で配設されている。これにより、ケース側端子55を安定的に上下動させることが可能となる。また、リンク機構Lがバッテリケース33の前後に配設されることで、バッテリケース33まわりの車幅方向寸法を低減すると共に、車体側方から外力が加わった際にもリンク機構Lを保護することができる。また、リンク機構Lは、車幅方向中央を中心とした左右対称構造とされており、左右のケース側端子55の動作を同期させると共に、1つの操作レバーによる端子の上下動を良好に行うことを可能としている。
【0064】
リンク機構Lは、操作レバー36の下端部に連結されるリンクアーム72によって、ケース側端子55を支持する端子支持アーム70を上下動させる構成を有する。リンクアーム72は、支点として機能する第3軸73によってベースプレート75に揺動可能に軸支されている。リンクアーム72の車幅方向中央側の端部は、力点として機能する第1軸36gによって操作レバー36に支持されている。一方、リンクアーム72の車幅方向外側の端部は、作用点として機能する第2軸71によって端子支持アーム70に支持されている。本実施形態では、第3軸73を、リンクアーム72の中央より第2軸71寄りに設けることで、リンク機構Lのレバー比を高めて、操作レバー36の操作荷重を低減している。左側端子カバー52および右側端子カバー53の前方には、クロスパイプF5の下面に設けられる支持ステーF10に固定される支持パイプ58が配設されている。
【0065】
図11は、図3の一部拡大図である。リンクレバー18を介してパワーユニットPを車体フレームに揺動可能に支持するための支持プレートF12は、サイドスタンド19のピボット19bの下方の位置で、アンダフレームF3の後端下部に設けられている。
【0066】
前記したように、バッテリBはバッテリケース33に対して後傾して収納されており、バッテリケース33の上縁をなす立壁部34aは、前下がりに傾斜した形状とされる。このとき、バッテリBを上方にある程度引き抜くと、バッテリBを立壁部34aの上縁に当接させながら車幅方向外側の斜め前方に傾けることが可能となり、バッテリBの直立状態を保ったまま持ち上げ切らなくてもバッテリBを取り外すことができ、作業負担が軽減される。逆に、バッテリBを挿入する際には、バッテリBの側面が立壁部34aの上縁に当接する位置まで持ち上げれば、バッテリBの重量を立壁部34aに預けて挿入動作を継続できるので、作業負担が軽減される。
【0067】
前記したように、サイドスタンド19のピボット19bは、立ち上がりフレームF4が車幅方向外側に膨出する位置に配設されている。この位置は、車体側面視で、バッテリBの前後長さ内に収まる位置となる。これにより、サイドスタンド19を重量物であるバッテリBの近傍に配設することで、ピボット19bにかかる負担を低減することができる。
【0068】
また、ピボット19bは、立ち上がりフレームF4の下方寄りの位置に設けられる。これにより、バッテリケース33の車幅方向外側の位置で支持されるサイドスタンド19によって停車時の安定性を高めると共に、サイドスタンド19が立ち上がりフレームF4の下方寄りの位置に支持されることで、サイドスタンド19の全長を抑えることが可能となる。
【0069】
さらに、ピボット19bは、低床フロア17と同等の高さに配設されており、サイドスタンド19を格納した際に、サイドスタンド19の指向方向が低床フロア17の上面の指向方向に沿うこととなる。これにより、格納したサイドスタンド19が低床フロア17と同等の高さに位置することで、乗車した状態での展開および格納操作が容易となる。また、ピボット19bは、車体側面視で、ケース側端子55と重なる位置に設けられるので、ピボット19bおよびこのピボット19bが固定される立ち上がりフレームF4によって、車幅方向外側から外力が加わった際にもケース側端子55を保護することが可能となる。
【0070】
バッテリケース33の後方上部には、重量物であるPCU32が近接配置されており、その下方には複数の高圧ハーネスが接続されるジャンクションボックス80が配設されている。また、バッテリケース33の下部にはダウンレギュレータ57が近接配置され、バッテリケース33の前後には前後一対のリンク機構L(図10参照)が配設され、さらに、前側のリンク機構Lの前方にはコンタクタ46が配設されている。このように、バッテリケース33の周辺、換言すれば、サイドスタンド19のピボット19bの周辺に複数の電装部品を集中配置することで、停車時の安定性を高めることを可能としている。また、バッテリケース33の側方には電装部品を配置しないことで、立ち上がりフレームF4の車幅方向外側への膨出量を抑え、車幅方向寸法の増大を防いでいる。
【0071】
図12は、電動二輪車1を左後方から見た一部拡大斜視図である。サイドスタンド19は、立ち上がりフレームF4の下方寄りの位置にピボット19bを設けることで、スタンドバー部分の全長を抑えながら、重量の大きなバッテリケース33の側方で車体を支持することを可能としている。これにより、リヤキャリア40に重量の大きな荷物を載せた場合でも、サイドスタンド19によって安定的に停車させることが可能となる。ピボット19bの後方には、サイドスタンド19の格納位置を規定するストッパ19dが設けられている。
【0072】
前記したように、バッテリケース33の後方下部を覆うカバー部材21には、格納されたサイドスタンド19より上方に位置する幅広部21aと、該幅広部21aの下部に連結されて幅広部21aより車幅方向寸法の小さい幅狭部21bとが設けられる。これにより、サイドスタンド19が揺動する範囲に、カバー部材21とサイドスタンド19との間隔を広げる幅狭部21bを設けることで、サイドスタンド19の操作時にカバー部材21に足が触れる可能性を低減し、サイドスタンド19の操作性が高められる。
【0073】
図13は、外装部品を取り外した電動二輪車1の底面図である。アンダフレームF3に挟まれてサブバッテリBSを収納する収納ケース31は、車幅方向左側にオフセットして配置されており、収納ケース31の車幅方向右側には、ブレーキペダル15の操作に伴って前後ブレーキを作動させる連動機構15aが配設されている。サブバッテリBSおよびヒューズボックス等に連なるハーネス81は、収納ケース31の底部から突出して後方に導かれる。連動機構15aの後方には、ブレーキペダル15を作動状態で保持するロックレバー15bが配設されている。収納ケース31の後方には、低床フロア17を下方から支持するレール部材F13が配設されている。
【0074】
パワーユニットPと支持プレートF12との間に支持されるリンクレバー18は、車体底面視で、バッテリケース33の下方に設けられるダウンレギュレータ57と重なる位置に配設される。ダウンレギュレータ57は、冷却フィンを車体下方に向けて配設することで、走行風による冷却効果を高めている。リンクレバー18は、その前端に設けられるピボットパイプ76を通るシャフトによって支持プレートF12に揺動可能に軸支される。バッテリケース33の下部に取り付けられる左側端子カバー52および右側端子カバー53は、それぞれ、リンクレバー18や高圧三相ハーネス82との干渉を防ぐために左右非対称形状とされる。センタスタンド20のリターンスプリング20aは、車幅方向右寄りの位置でパワーユニットPに支持される。
【0075】
図14は、ケース側端子55を通るように略水平面で切断した状態を示す断面図である。サイドスタンド19のピボット19bは、立ち上がりフレームF4が車幅方向外側に膨出する位置で、かつケース側端子55の略前後方向中央の位置に配設され、サイドスタンド19の負担を低減すると共に安定的な停車を可能とする。
【0076】
バッテリケース33の側方後方からPCU32の後方までを覆うカバー部材21は、幅狭部21bを設けることでサイドスタンド19の利便性を高めると共に、幅広部21aの内側はハーネスの配索スペースとして活用されている。また、ケース側端子55を車幅方向外側寄りとして互いに離間させると共に、バッテリケース33の下方に突出させることにより、車幅方向中央寄りのバッテリケース33の下部にスペースが確保され、このスペースを利用してバッテリケース33を下方から支持する支持パイプ56や連結パイプ59、ダウンレギュレータ57を配設することで、車体の小型化を可能としている。
【0077】
なお、電動二輪車の形態、車体フレームの形状や構造、バッテリやバッテリケースの形状や構造、操作レバーや押圧ホルダの形状や構造、リンク機構の形状や構造、サイドスタンドの形状や構造等は、上記実施形態に限られず、種々の変更が可能である。本発明に係る各種構造は、鞍乗型の三輪車や四輪車等に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0078】
1…電動二輪車(鞍乗型電動車両)、2…操向ハンドル、17…低床フロア、19…サイドスタンド、19b…サイドスタンドのピボット、29…シート、32…PCU、33…バッテリケース、34a…立壁部、36…操作レバー、36c…セパレータ部、40…リヤキャリア、42…押圧ホルダ、42c…ラバー部、46…コンタクタ、47…コネクタ、49…バッテリ側端子、51…深溝部、54…仕切部、55…ケース側端子、57…ダウンレギュレータ、80…ジャンクションボックス、36g…第1軸、71…第2軸、72…リンクアーム(アーム部材)、73…第3軸、B…バッテリ、F3…アンダフレーム、F4…立ち上がりフレーム、F5…クロスパイプ、L…リンク機構
図1
図2
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図10
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図14