(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-20
(45)【発行日】2022-12-28
(54)【発明の名称】スイッチ装置および製造方法
(51)【国際特許分類】
H01H 9/02 20060101AFI20221221BHJP
H01H 21/28 20060101ALI20221221BHJP
H01H 11/00 20060101ALI20221221BHJP
H01H 21/02 20060101ALI20221221BHJP
H01H 21/34 20060101ALI20221221BHJP
H01H 21/12 20060101ALI20221221BHJP
H01R 13/11 20060101ALI20221221BHJP
H01R 43/16 20060101ALI20221221BHJP
H01R 43/24 20060101ALI20221221BHJP
【FI】
H01H9/02 B
H01H21/28 D
H01H11/00 M
H01H21/02 C
H01H21/34
H01H21/12 B
H01R13/11 302A
H01R43/16
H01R43/24
(21)【出願番号】P 2021551193
(86)(22)【出願日】2020-09-25
(86)【国際出願番号】 JP2020036348
(87)【国際公開番号】W WO2021070637
(87)【国際公開日】2021-04-15
【審査請求日】2022-03-01
(31)【優先権主張番号】P 2019186855
(32)【優先日】2019-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】五明 英幸
(72)【発明者】
【氏名】森 俊晴
(72)【発明者】
【氏名】松下 敏久
(72)【発明者】
【氏名】高橋 剛教
【審査官】片岡 弘之
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-190750(JP,A)
【文献】特公昭46-012487(JP,B1)
【文献】特開2005-135689(JP,A)
【文献】実開昭60-136075(JP,U)
【文献】特公昭54-020667(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 9/02
H01H 21/28
H01H 11/00
H01H 21/02
H01H 21/34
H01H 21/12
H01R 13/11
H01R 43/16
H01R 43/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属端子部材と、インサート成形によって前記金属端子部材に対して一体的に形成される樹脂部材とを備えるスイッチ装置であって、
前記金属端子部材は、
前記樹脂部材の側部から外側方向である第1の方向に互いに並んで延在する第1の腕部および第2の腕部を備え、
前記第1の腕部は、前記第1の方向を向いた第1の接点部を有し、
前記第2の腕部は、前記第1の方向とは反対方向である第2の方向を向いて前記第1の接点部と対向する第2の接点部を有し、
前記第1の接点部および前記第2の接点部の各々を弾性変形させつつ、前記第1の接点部と前記第2の接点部との間に、外部端子を挿通可能である
ことを特徴とするスイッチ装置。
【請求項2】
前記第1の接点部の前記弾性変形に係るばね定数と、前記第2の接点部の前記弾性変形に係るばね定数とが、略等しい
ことを特徴とする請求項1に記載のスイッチ装置。
【請求項3】
前記第1の接点部および前記第2の接点部は、
互いに対称形状を有する
ことを特徴とする請求項2に記載のスイッチ装置。
【請求項4】
前記樹脂部材は、
前記側部から前記第1の方向に突出し、前記第2の腕部の根元部分の一部を保持する保持部を有する
ことを特徴とする請求項2または3に記載のスイッチ装置。
【請求項5】
前記第2の腕部は、
一部が折り曲げられることによって補強されている
ことを特徴とする請求項2から4のいずれか一項に記載のスイッチ装置。
【請求項6】
前記第1の腕部は、
前記第1の接点部の上端部を所定の高さ位置まで立ち上げる第1の立ち上げ部を有し、
前記第2の腕部は、
前記第2の接点部の上端部を前記所定の高さ位置まで立ち上げる第2の立ち上げ部を有する
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のスイッチ装置。
【請求項7】
前記第1の接点部と前記第2の接点部との間に、上方および下方の各々から、前記外部端子を挿通可能である
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のスイッチ装置。
【請求項8】
前記金属端子部材は、
一枚の金属板から折り曲げ加工によって立体形状に形成されている
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載のスイッチ装置。
【請求項9】
前記金属端子部材は、
前記折り曲げ加工における全ての折り曲げ線が、前記第1の方向および前記第2の方向の各々と直交する第3の方向に延在する
ことを特徴とする請求項8に記載のスイッチ装置。
【請求項10】
金属端子部材と、インサート成形によって前記金属端子部材に対して一体的に形成される樹脂部材とを備えるスイッチ装置の製造方法であって、
一枚の金属板から、展開した状態の前記金属端子部材を形成する金属端子部材形成工程と、
前記金属端子部材に対して、前記インサート成形によって前記樹脂部材を一体的に形成するインサート成形工程と、
前記金属端子部材を折り曲げ加工することにより、前記金属端子部材を立体的形状にする折り曲げ工程と
を含み、
前記金属端子部材は、前記立体的形状において、
前記樹脂部材の側部から外側方向である第1の方向に互いに並んで延在する第1の腕部および第2の腕部と、
前記第1の腕部に設けられ、前記第1の方向を向いた第1の接点部と、
前記第2の腕部に設けられ、前記第1の方向とは反対方向である第2の方向を向いて前記第1の接点部と対向する第2の接点部とを備え、
前記第1の接点部および前記第2の接点部の各々を弾性変形させつつ、前記第1の接点部と前記第2の接点部との間に、外部端子を挿通可能である
ことを特徴とする製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチ装置および製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、差込接続器に設けられる受刃バネであって、一対の連節部の各々の先端部に、互いに対向する一対の接触片の各々を備え、一対の接触片の間で差込栓刃を挿着させることが可能な受刃バネが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の技術は、一対の連節部が延在する方向と直交する方向において、一対の接触片が互いに対向して設けられているため、例えば、一対の連節部の間隔が外力等によって広がってしまった場合、一対の接触片の間隔も広がってしまうため、一対の接触片による差込栓刃の保持力が弱まってしまう虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態のスイッチ装置は、金属端子部材と、インサート成形によって金属端子部材に対して一体的に形成される樹脂部材とを備えるスイッチ装置であって、金属端子部材は、樹脂部材の側部から外側方向である第1の方向に互いに並んで延在する第1の腕部および第2の腕部を備え、第1の腕部は、第1の方向を向いた第1の接点部を有し、第2の腕部は、第1の方向とは反対方向である第2の方向を向いて第1の接点部と対向する第2の接点部を有し、第1の接点部および第2の接点部の各々を弾性変形させつつ、第1の接点部と第2の接点部との間に、外部端子を挿通可能である。
【発明の効果】
【0006】
一実施形態によれば、一対の腕部の間隔が広がってしまった場合であっても、一対の接点部による外部端子の保持力が弱まらないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図4】一実施形態に係る3つの金属端子部材の外観斜視図
【
図5】一実施形態に係る成形部品(レバー、スプリング、およびクリップが組み込まれた状態)の外観斜視図
【
図10】一実施形態に係る接続部に対する外部端子の接続方法を示す図
【
図11】一実施形態に係る成形部品における樹脂部材の側部の一部拡大図
【
図12】一実施形態に係る成形部品およびスイッチ装置の製造方法の手順を示すフローチャート
【
図14】一実施形態に係る金属板(第1の折り曲げ加工後)の三面図
【
図15】一実施形態に係る金属板(第2の折り曲げ加工後)の三面図
【
図16】一実施形態に係る金属板(インサート成形後)の三面図
【
図17】一実施形態に係る金属板(第3の折り曲げ加工後)の三面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、一実施形態について説明する。
【0009】
(成形部品100の概要)
図1は、一実施形態に係る成形部品100の外観斜視図である。
図2は、一実施形態に係る成形部品100の平面図である。
図3は、一実施形態に係る成形部品100の側面図である。
図4は、一実施形態に係る3つの金属端子部材111,112,113の外観斜視図である。
【0010】
図1~
図3に示す成形部品100は、3つの金属端子部材111,112,113と、樹脂部材120とを有する。樹脂部材120は、インサート成形によって、3つの金属端子部材111,112,113に対して一体的に形成される。
【0011】
3つの金属端子部材111,112,113は、いずれも、金属製且つ薄板状の部材である。
図4に示すように、3つの金属端子部材111,112,113は、同一の平面上(XY平面上)に互いに非接触に並べて配置される。また、
図1~
図3に示すように、成形部品100において、3つの金属端子部材111,112,113の各々は、一部(中間部分)が樹脂部材120に埋設される。
【0012】
3つの金属端子部材111,112,113は、それぞれ、一端側(X軸負側)に接続部130A,130B,130Cを有する。接続部130A,130B,130Cは、一対の腕部131,132を有する。
図2に示すように、一対の腕部131,132は、上方からの平面視において、樹脂部材120のX軸負側の側部120Aから、直線状且つ互いに平行に、外側方向(X軸負方向)に延在する。また、接続部130A,130B,130Cは、一対の腕部131,132が延在する方向(X軸方向)において互いに対向する、一対の接点部131D,132Eを有しており、一対の接点部131D,132Eの間に外部端子30(
図8参照)が挿通されることにより、当該外部端子30が接続される部分である。接続部130A,130B,130Cは、互いに平行に、Y軸方向に並べて(Y軸負側から、接続部130A,130B,130Cの順に)配置されている。
【0013】
また、3つの金属端子部材111,112,113は、それぞれ、他端側(Y軸正側)に摺接部111B,112B,113Bを有する。
図2に示すように、上方からの平面視において、摺接部111B,112B,113Bは、樹脂部材120のY軸正側の側部から、後述するクリップ16(
図5参照)の摺動経路に沿って曲線状に突出する部分である。また、摺接部111B,112B,113Bは、クリップ16が摺動することにより、端子同士の電気的な接続および切替が行われる部分である。摺接部111B,112B,113Bは、互いに一定の間隔を有して、X軸方向に(X軸負側から、摺接部113B,112B,111Bの順に)並べて配置されている。
【0014】
なお、摺接部112Bは、摺接部113Bよりも先端部分が短くカットされており、これによって形成される、摺接部112Bの延長線上のスペースには、摺接部112B側に折れ曲がった形状を有する、摺接部111Bの先端部が、摺接部112Bの先端部と対向して配置されている。
【0015】
図5は、一実施形態に係る成形部品100(レバー12、スプリング14、およびクリップ16が組み込まれた状態)の外観斜視図である。
図5に示すように、成形部品100には、レバー12、スプリング14、およびクリップ16が組み込まれる。レバー12は、Z軸方向に延びる回転中心軸AXを回転中心として、樹脂部材120によって回動可能に支持される、樹脂製の部材である。スプリング14は、いわゆるトーションバネであり、Z軸正側の端部に設けられたアーム14Aによって、レバー12を復帰方向(Z軸正側から見て反時計回り方向)に付勢する。
【0016】
クリップ16は、レバー12によって保持されており、レバー12の回動に伴って、回転中心軸AXを中心とする円周に沿って移動する。クリップ16は、金属素材から形成されており、上下一対の第1の接点(図示省略)と、上下一対の第2の接点(図示省略)とを有する。一対の第1の接点は、金属端子部材113の摺接部113Bの上面および下面に常に接触しており、金属端子部材113の摺接部113Bを挟み込んだ状態で、クリップ16の移動に伴って、摺接部113Bの上面および下面を摺動する。一対の第2の接点は、クリップ16の移動に伴って、金属端子部材111の摺接部111Bを挟み込んだ状態で、摺接部111Bの上面および下面を摺動するか、または、金属端子部材112の摺接部112Bを挟み込んだ状態で、摺接部112Bの上面および下面を摺動する。これにより、クリップ16は、移動に伴って、金属端子部材113を、金属端子部材111または金属端子部材112と導通させることができる。
【0017】
図6は、一実施形態に係るスイッチ装置10の外観斜視図である。
図6に示すように、成形部品100は、レバー12、スプリング14、およびクリップ16が組み込まれた状態で、ケース18内に収容される。これにより、成形部品100は、レバー12、スプリング14、クリップ16、およびケース18とともに、スイッチ装置10を構成する。
【0018】
このように構成されたスイッチ装置10は、レバー12が押圧されていない状態において、クリップ16の一対の第1の接点が金属端子部材113と接触し、クリップ16の一対の第2の接点が金属端子部材111に接触することにより、金属端子部材113と金属端子部材111とが互いに導通した第1の状態となる。
【0019】
また、スイッチ装置10は、レバー12が押圧された状態において、クリップ16の一対の第1の接点が金属端子部材112と接触し、クリップ16の一対の第2の接点が金属端子部材111に接触することにより、金属端子部材112と金属端子部材111とが互いに導通した第2の状態となる。
【0020】
さらに、スイッチ装置10は、レバー12の押圧から解放されると、スプリング14の付勢力によって、レバー12が初期位置に自動的に復帰する。これにより、スイッチ装置10は、金属端子部材113と金属端子部材111とが互いに導通した第1の状態に自動的に復帰する。
【0021】
例えば、スイッチ装置10は、自動車のドアの開閉状態を検知するために利用可能である。
【0022】
なお、スイッチ装置10において、ケース18の上面18Aおよび下面18Bの各々には、Z軸方向からの平面視において接続部130A,130B,130Cと重なる位置の各々に、少なくとも外部端子30を挿通することが可能な開口部18Cが形成されている。これにより、スイッチ装置10は、接続部130A,130B,130Cの各々が、上面18A側および下面18B側のいずれからも、外部端子30を接続可能となっている。
【0023】
(接続部130の構造)
次に、
図7~
図9を参照して、金属端子部材111,112,113が有する接続部130A,130B,130Cの詳細な構造について説明する。なお、接続部130A,130B,130Cは、互いに同様の構造を有する。したがって、ここでは、接続部130A,130B,130Cを、区別せずにまとめて「接続部130」として説明する。
【0024】
図7は、一実施形態に係る接続部130の外観斜視図である。
図8は、一実施形態に係る接続部130の平面図である。
図9は、一実施形態に係る接続部130の側面図である。
【0025】
<接続部130の概略構成>
図7~
図9に示すように、接続部130は、第1の腕部131、第2の腕部132、および分岐部133を有する。
【0026】
第1の腕部131は、分岐部133のY軸正側の部分から、X軸負方向に延在して設けられている。第1の腕部131は、樹脂部材120がインサート成形された後、樹脂部材120のX軸負側の側部120Aから、外側方向(X軸負方向)に延在する部分となる。
【0027】
第2の腕部132は、分岐部133のY軸負側の部分から、X軸負方向に延在して設けられている。第2の腕部132は、樹脂部材120がインサート成形された後、樹脂部材120のX軸負側の側部120Aから外側方向(X軸負方向)に、第1の腕部131と並んで、且つ、第1の腕部131よりも長い距離延在する部分となる。
【0028】
図8に示すように、上方からの平面視において、第1の腕部131の外側方向(X軸負方向)に延在する部分と、第2の腕部132の外側方向(X軸負方向)に延在する部分とは、互いに平行であり、且つ、一定の間隔を有する。
【0029】
また、
図8に示すように、接続部130は、第1の腕部131の外側方向(X軸負方向)に延在する部分と、第2の腕部132の外側方向(X軸負方向)に延在する部分との中間位置を通る、X軸と平行な中間線L1(
図8参照)上に、X軸方向において互いに対向して配置された、第1の接点部131Dおよび第2の接点部132Eを有する。
【0030】
第1の接点部131Dは、外側方向(X軸負方向、「第1の方向」の一例)を向いている。第1の接点部131Dは、外側方向に向って凸状に湾曲した形状、且つ、下方に垂下した形状を有する。第1の接点部131Dは、第1の腕部131の先端部分に設けられており、第1の腕部131の第1の梁部131Cによって、上端部が支持されている。第1の腕部131は、第1の接点部131Dを中間線L1上に位置させるため、上方からの平面視において、その外側方向(X軸負方向)に延在する部分の先端部において、中間線L1に向って直角に折れ曲がった形状を有している。
【0031】
第2の接点部132Eは、内側方向(X軸正方向、「第2の方向」の一例)を向いている。第2の接点部132Eは、内側方向に向って凸状に湾曲した形状、且つ、下方に垂下した形状を有する。第2の接点部132Eは、第2の腕部132の先端部分に設けられており、第2の腕部132の第2の梁部132Dによって、上端部が支持されている。第2の腕部132は、第2の接点部132Eを中間線L1上に位置させるため、上方からの平面視において、その外側方向(X軸負方向)に延在する部分の先端部において、中間線L1に向って直角に折れ曲がった形状を有している。
【0032】
第1の接点部131Dの頂部と第2の接点部132Eの頂部とは、互いに近接しており、両者の間には、上方および下方のいずれからも、平板状の外部端子30を挿通可能である。外部端子30は、第1の接点部131Dと第2の接点部132Eとの間に挿通されることにより、一対の接点部131D,132Eによって挟持されつつ、接続部130と電気的に接続される。
【0033】
<第1の腕部131の詳細な構成>
第1の腕部131は、第1の水平延在部131A、第1の立ち上げ部131B、第1の梁部131C、および第1の接点部131Dを有する。
【0034】
第1の水平延在部131Aは、第1の高さ位置H1(
図9参照)において、分岐部133のY軸正側の部分から、X軸負方向に直線状且つ水平に延在する部分である。
図8に示すように、上方からの平面視において、第1の水平延在部131Aは、第2の腕部132の第2の水平延在部132Bと平行である。
【0035】
第1の立ち上げ部131Bは、第1の水平延在部131Aの前端部(X軸負側の端部)から、前方(X軸負方向)且つ斜め上方に直線状に延在する部分である。第1の立ち上げ部131Bは、第1の水平延在部131Aとの境界線を折り曲げ線L11(
図7参照)として、上方に折り曲げられることにより、第1の水平延在部131Aの前端部から上方に向って傾斜した状態となる。また、
図9に示すように、第1の立ち上げ部131Bは、第1の高さ位置H1よりも高い、第2の高さ位置H2まで延在している。これにより、第1の立ち上げ部131Bは、第1の接点部131Dの上端部を、第2の高さ位置H2に位置させることができる。
【0036】
第1の梁部131Cは、第2の高さ位置H2において、第1の立ち上げ部131Bの上端部(X軸負側の端部)から、中間線L1方向(Y軸負方向)に直線状に延在する、垂直な梁状の部分である。第1の梁部131Cは、第1の立ち上げ部131Bとの境界線を折り曲げ線L12(
図7参照)として、上方に折り曲げられることにより、垂直な状態となる。第1の梁部131Cは、中間線L1上において、第1の接点部131Dの上端部に連結されている。これにより、第1の梁部131Cは、第1の接点部131Dの上端部を支持する。
【0037】
第1の梁部131Cの上部は、折り曲げ線L13(
図7参照)において、X軸正側に向って折り曲げられることによって補強されている。これにより、第1の梁部131Cは、一対の接点部131D,132Eの間に外部端子30が挿通された際に、第1の腕部131が捻じれ変形しないように、第1の腕部131の剛性を高めることができる。
【0038】
第1の接点部131Dは、中間線L1上において、第1の梁部131Cから下方に垂れ下がって延在する部分である。第1の接点部131Dは、第1の梁部131Cとの境界線を折り曲げ線L14(
図7参照)として、X軸負側に折り曲げられている。また、第1の接点部131Dは、X軸負側に向って凸状に湾曲した形状を有する。第1の接点部131Dの凸状部分の頂部は、第2の接点部132Eの凸状部分の頂部と対向している。第1の接点部131Dの凸状部分の頂部は、第1の接点部131Dと第2の接点部132Eとの間に平板状の外部端子30が挿し込まれた際に、当該外部端子30のX軸正側の表面と接触する。
【0039】
<第2の腕部132の詳細な構成>
第2の腕部132は、立ち下げ部132A、第2の水平延在部132B、第2の立ち上げ部132C、第2の梁部132D、および第2の接点部132Eを有する。
【0040】
立ち下げ部132Aは、分岐部133のY軸負側の部分から、前方(X軸負方向)且つ斜め下方に直線状に延在する部分である。立ち下げ部132Aは、分岐部133との境界線を折り曲げ線L21(
図7参照)として、下方に折り曲げられることにより、分岐部133のY軸負側の部分から下方に向って傾斜した状態となる。
図9に示すように、立ち下げ部132Aは、第1の高さ位置H1よりも低い、第3の高さ位置H3まで延在している。これにより、立ち下げ部132Aは、後続する第2の水平延在部132Bを、第3の高さ位置H3に位置させることができる。
【0041】
なお、第2の腕部132に立ち下げ部132Aを設ける理由は、以下のとおりである。
図13等に示すように、本実施形態では、一枚の金属板Pから金属端子部材111,112,113が形成される。ここで、
図13等に示すように、金属板Pが展開している状態において、第1の接点部131Dと、第2の接点部132Eとは、X軸方向において同一直線上に並べて設けられている。これにより、本実施形態では、一枚の金属板Pから、第1の接点部131Dと第2の接点部132Eとを効率的に形成できるようになっている。このためには、必然的に、X軸方向における第2の腕部132の端子長を第1の腕部131の端子長よりも長くする必要があるが、
図7~
図9に示すように、第1の腕部131および第2の腕部132を立体的形状にする際に、この端子長差を軽減して、第2の接点部132Eを第1の接点部131Dに近接させるために、第2の腕部132に立ち下げ部132Aを設けているのである。
【0042】
第2の水平延在部132Bは、第3の高さ位置H3において、立ち下げ部132Aの下端部(X軸負側の端部)から、X軸負方向に直線状且つ水平に延在する部分である。第2の水平延在部132Bは、立ち下げ部132Aとの境界線を折り曲げ線L22(
図7参照)として折り曲げられることにより、水平な状態となる。
図8に示すように、上方からの平面視において、第2の水平延在部132Bは、第1の腕部131の第1の水平延在部131Aと平行である。また、第2の水平延在部132Bは、一対の接点部131D,132EのY軸負側の側方を通って、第2の接点部132Eの上端部と並ぶ位置まで延在している。
【0043】
第2の立ち上げ部132Cは、第2の水平延在部132Bの先端部(X軸負側の端部)から上方に延在する垂直な部分である。第2の立ち上げ部132Cは、第2の水平延在部132Bとの間に設けられた2つの折り曲げ線L23,L24(
図7参照)において、上方に折り曲げられることにより、垂直な状態となる。また、
図9に示すように、第2の立ち上げ部132Cは、第2の高さ位置H2まで延在している。これにより、第2の立ち上げ部132Cは、第2の接点部132Eの上端部を、第2の高さ位置H2に位置させることができる。なお、本実施形態のスイッチ装置10は、第2の立ち上げ部132Cを、2つの折り曲げ線L23,L24で2段階で折り曲げる構成を有することにより、第2の立ち上げ部132Cの高さ位置およびX軸方向の位置(すなわち、第2の接点部132Eの高さ位置およびX軸方向の位置)を、高精度に調整できるようになっている。
【0044】
第2の梁部132Dは、第2の高さ位置H2において、第2の立ち上げ部132Cの上端部から、中間線L1方向(Y軸正方向)に直線状に延在する、垂直な梁状の部分である。第2の梁部132Dは、中間線L1上において、第2の接点部132Eの上端部に連結されている。これにより、第2の梁部132Dは、第2の接点部132Eの上端部を支持する。
【0045】
第2の梁部132Dの上部は、折り曲げ線L25(
図7参照)において、X軸負側に向って折り曲げられることによって補強されている。これにより、第2の梁部132Dは、一対の接点部131D,132Eの間に外部端子30が挿通された際に、第2の腕部132が捻じれ変形しないように、第2の腕部132の剛性を高めることができる。
【0046】
ここで、
図9に示すように、第2の梁部132Dの上部の折り曲げ角度は、略90°であり、第1の梁部131Cの上部の折り曲げ角度よりも大きくなっている。これにより、第2の梁部132Dは、第1の梁部131Cよりも強度が高められている。これは、第2の腕部132が、第1の腕部131よりもX軸負方向の端子長が長く、外力が加わった際に、第1の腕部131よりも捻じれ変形が生じ易いからである。そこで、本実施形態の成形部品100では、第2の梁部132Dの上部の折り曲げ角度を、第1の梁部131Cの上部の折り曲げ角度よりも大きくすることで、第2の腕部132と第1の腕部131とで、捻じれ変形の生じ難さを同程度としているのである。
【0047】
第2の接点部132Eは、中間線L1上において、第2の梁部132Dから下方に垂れ下がって延在する部分である。第2の接点部132Eは、第2の梁部132Dとの境界線を折り曲げ線L26(
図7参照)として、X軸正側に折り曲げられている。また、第2の接点部132Eは、X軸正側に向って凸状に湾曲した形状を有する。第2の接点部132Eの凸状部分の頂部は、第1の接点部131Dの凸状部分の頂部と対向している。第2の接点部132Eの凸状部分の頂部は、第1の接点部131Dと第2の接点部132Eとの間に平板状の外部端子30が挿し込まれた際に、当該外部端子30のX軸負側の表面と接触する。
【0048】
ここで、第1の接点部131Dおよび第2の接点部132Eは、互いに同じ高さ位置H2から、下方に垂れ下がって設けられており、且つ、互いに対称形状を有する。これにより、第1の接点部131Dおよび第2の接点部132Eは、ばね定数が互いに等しくなっている。このため、第1の接点部131Dおよび第2の接点部132Eは、両者の間に外部端子30が挿通されたときに、外部端子30に対して等しい荷重を加えることができる。
【0049】
(外部端子30の接続方法)
図10は、一実施形態に係る接続部130に対する外部端子30の接続方法を示す図である。
図10に示すように、平板状の外部端子30は、一方の表面が第1の接点部131D側を向き、他方の表面が第2の接点部132E側を向いた状態で、一対の接点部131D,132Eの上方または下方から、一対の接点部131D,132Eの間に挿通される。
【0050】
これにより、外部端子30は、一対の接点部131D,132Eの各々を、弾性変形させることによって、一対の接点部131D,132Eの間隔を押し広げる。そして、外部端子30は、一対の接点部131D,132Eの弾性力によって、一対の接点部131D,132Eの間で挟持されるとともに、接続部130に対して電気的に接続される。
【0051】
この際、前述したとおり、第1の接点部131Dのばね定数と、第2の接点部132Eのばね定数とが略等しくなっている。このため、外部端子30は、一対の接点部131D,132Eを均等に弾性変形させることができ、且つ、一対の接点部131D,132Eから等しい荷重を受けることができる。これにより、本実施形態の接続部130は、一対の接点部131D,132Eによって、安定的に外部端子30を挟持することができる。
【0052】
(樹脂部材120の側部120Aの構成)
図11は、一実施形態に係る成形部品100における樹脂部材120の側部120Aの一部拡大図である。
図11に示すように、樹脂部材120は、X軸負側の側部120Aに、いずれもX軸負方向に突出する、第1の保持部121および第2の保持部122を有する。第1の保持部121は、第1の腕部131の根元部分(第1の水平延在部131A)がインサート成形によって埋没されており、第1の腕部131の根元部分を保持する。第2の保持部122は、第2の腕部132の根元部分(立ち下げ部132Aおよび第2の水平延在部132B)がインサート成形によって埋没されており、第2の腕部132の根元部分を保持する。
【0053】
ここで、
図11に示すように、第2の保持部122の側部120Aからの突出量は、第1の保持部121の側部120Aからの突出量よりも多くなっている。これは、第2の腕部132は、第1の腕部131よりもX軸負方向の端子長が長いため、外力が加わった際に、第1の腕部131よりも捻じれ変形が生じ易いからである。そこで、本実施形態の成形部品100では、第2の保持部122の側部120Aからの突出量を、第1の保持部121の側部120Aからの突出量よりも多くすることにより、第2の腕部132の根元部分(立ち下げ部132Aおよび第2の水平延在部132B)の強度を高めている。これにより、本実施形態の成形部品100は、第2の腕部132と第1の腕部131とで、捻じれ変形の生じ難さを同程度としているのである。
【0054】
なお、第2の保持部122は、第2の腕部132の根元部分を被覆することで、当該第2の腕部132が、当該第2の腕部132と近接して設けられている第1の腕部131と、短絡してしまうことを抑制することができる。
【0055】
(成形部品100およびスイッチ装置10の製造方法の手順)
次に、
図12~
図17を参照して、成形部品100およびスイッチ装置10の製造方法の手順について説明する。
図12は、一実施形態に係る成形部品100およびスイッチ装置10の製造方法の手順を示すフローチャートである。
【0056】
<ステップS201:金属端子部材形成工程>
まず、
図13に示すように、一枚の金属板Pから、金属端子部材111,112,113と、保持部材20とを形成する。
図13は、一実施形態に係る金属板Pの三面図である。
図13に示す金属板Pは、金属端子部材111,112,113のベースとなる素材である。
【0057】
図13に示すように、金属板Pは、上方からの平面視において、矩形状の外形状を有している。金属板Pは、金型を用いた打ち抜き加工によって余白部分を打ち抜くことにより、
図13に示すように、金属端子部材111,112,113と、金属端子部材111,112,113を保持する保持部材20とが、一体的に形成される。
【0058】
図13に示すように、保持部材20は、外枠部22、一対の保持腕24,26、支持部27、支持部28、および支持部29を有する。外枠部22は、金属端子部材111,112,113を取り囲む、矩形状の外形状を有する部分である。
【0059】
一対の保持腕24,26は、外枠部22のY軸負側の枠部から、Y軸正方向に直線状且つ互いに平行に延在する腕状の部分である。
【0060】
支持部27は、外枠部22のY軸正側の枠部から、Y軸負方向に延在する直線状の部分である。支持部27は、金属端子部材111に連結されていることにより、金属端子部材111をY軸正側から支持する。
【0061】
支持部28は、外枠部22のX軸正側の枠部から、X軸負方向に延在する直線状の部分である。支持部28は、金属端子部材111に連結されていることにより、金属端子部材111をX軸正側から支持する。
【0062】
支持部29は、外枠部22のY軸負側の枠部から、一対の保持腕24,26の間を、Y軸正方向に延在する直線状の部分である。支持部29は、金属端子部材111に連結されていることにより、金属端子部材111をY軸負側から支持する。
【0063】
<ステップS202:第1の折り曲げ工程>
次に、
図14に示すように、金属端子部材111,112,113の各々の、第1の腕部131および第2の腕部132に対する第1の折り曲げ加工を行う。
図14は、一実施形態に係る金属板P(第1の折り曲げ加工後)の三面図である。
【0064】
具体的には、金属端子部材111,112,113の各々の、第1の腕部131の第1の接点部131Dを、折り曲げ線L14(
図7参照)において、下方に凸状に湾曲させる。また、金属端子部材111,112,113の各々の、第2の腕部132の第2の接点部132Eを、折り曲げ線L26(
図7参照)において、上方に凸状に湾曲させる。これら複数の接点部131D,132Eの湾曲は、例えば、金型を用いたプレス加工によって一括して行うことができる。
【0065】
<ステップS203:第2の折り曲げ工程>
次に、
図15に示すように、金属端子部材111,112,113の各々の、第1の腕部131および第2の腕部132に対する第2の折り曲げ加工を行う。
図15は、一実施形態に係る金属板P(第2の折り曲げ加工後)の三面図である。
【0066】
具体的には、第1の腕部131に対し、第1の水平延在部131Aと第1の立ち上げ部131Bとの境界にある折り曲げ線L11(
図7参照)において谷折りに折り曲げることにより、第1の立ち上げ部131Bを所定の傾斜角度に傾斜させる。また、第1の腕部131に対し、第1の立ち上げ部131Bと第1の梁部131Cとの境界にある折り曲げ線L12(
図7参照)において谷折りに折り曲げることにより、第1の梁部131Cを垂直状態にする。同時に、第1の梁部131Cを折り曲げ線L13(
図7参照)において谷折りに折り曲げることにより、第1の梁部131Cを補強する。
【0067】
また、第2の腕部132に対し、立ち下げ部132Aと分岐部133との境界にある折り曲げ線L21(
図7参照)において山折りに折り曲げることにより、立ち下げ部132Aを下方へ所定の傾斜角度で傾斜させる。また、第2の腕部132に対し、立ち下げ部132Aと第2の水平延在部132Bとの境界にある折り曲げ線L22(
図7参照)において谷折りに折り曲げることにより、第2の水平延在部132Bを水平状態にする。
【0068】
<ステップS204:インサート成形工程>
次に、
図16に示すように、金属端子部材111,112,113に対して、樹脂部材120をインサート成形する。
図16は、一実施形態に係る金属板P(インサート成形後)の三面図である。このインサート成形工程においては、まず、
図15に示す状態の金属板Pが、インサート成形機の金型内にセットされる。
【0069】
そして、インサート成形機によって、金型内に樹脂が注入される。これにより、金属端子部材111,112,113に対して、樹脂部材120がインサート成形され、金属端子部材111,112,113と樹脂部材120とが一体化した成形部品100が形成される。この際、インサート成形により、一対の保持腕24,26の各々の先端部分は、樹脂部材120に埋設された状態になる。
【0070】
この時点では、成形部品100は、一対の保持腕24,26、支持部27、支持部28、および支持部29によって、外枠部22と連結されており、すなわち、保持部材20によって保持された状態にある。
【0071】
<ステップS205:除去工程>
次に、
図17に示すように、保持部材20の不要部分を除去することにより、成形部品100が、一対の保持腕24,26によって片持ち保持された状態にする。
図17は、一実施形態に係る金属板P(第3の折り曲げ加工後)の三面図である。ここで、「不要部分」とは、後の組み込み工程において不要となる部分である。
【0072】
具体的には、打ち抜き加工等によって、保持部材20を
図16に示す切断線CL1で切断することにより、保持部材20の切断線CL1よりもY軸正側の部分である、除去対象部20Aを除去する。除去対象部20Aは、支持部27を含んでいるため、同時に支持部27も除去されることとなる。
【0073】
また、打ち抜き加工等によって、支持部28を
図16に示す切断線CL2(金属端子部材111との連結部分)および切断線CL3(外枠部22との連結部分)で切断することにより、支持部28を除去する。
【0074】
また、打ち抜き加工等によって、支持部29を
図16に示す切断線CL4(金属端子部材111との連結部分)および切断線CL5(外枠部22との連結部分)で切断することにより、支持部29を除去する。
【0075】
これにより、
図17に示すように、成形部品100は、一対の保持腕24,26によってY軸負側から片持ち保持された状態となる。また、保持部材20は、不要部分が除去されてY軸正側が開口した状態となる。その結果、成形部品100は、その他の部品の組み込みや、保持部材20からの取り外しを、Y軸正側から容易に行うことが可能となる。
【0076】
なお、除去対象部20A、支持部28、および支持部29は、一回の打ち抜き加工で一括して除去されてもよい。
【0077】
<ステップS206:第3の折り曲げ工程>
次に、
図17に示すように、第2の腕部132に対し、第2の水平延在部132Bと第2の立ち上げ部132Cの境界にある折り曲げ線L23,L24(
図7参照)において谷折りに折り曲げることにより、第2の立ち上げ部132Cおよび第2の梁部132Dを垂直状態にする。これにより、
図17に示すように、一対の接点部131D,132EがX軸方向において互いに対向した状態となる。同時に、第2の梁部132Dを折り曲げ線L25(
図7参照)において山折りに折り曲げることにより、第2の梁部132Dを補強する。このように、インサート成形後に、第2の腕部132の根元部分が第2の保持部122によって補強された状態で、第2の立ち上げ部132Cおよび第2の梁部132Dを垂直状態にする折り曲げ加工を行うことで、第2の接点部132Eを、第1の接点部131Dに高精度に位置合わせすることができる。インサート成形前にこの折り曲げ加工を行うと、第2の腕部132の反力により、第2の接点部132Eを、第1の接点部131Dに高精度に位置合わせできなくなる虞があるからである。
【0078】
<ステップS207:組み込み工程>
次に、
図17に示すように成形部品100が一対の保持腕24,26によって保持された状態で、成形部品100に対して、他の部品(レバー12、スプリング14、およびクリップ16、およびケース18)を組み込むことにより、スイッチ装置10(
図6参照)を形成する。成形部品100は、一対の保持腕24,26によって、Y軸負側から片持ち保持されているため、他の部品を容易に組み込むことが可能である。
【0079】
<ステップS208:取り外し工程>
その後、他の部品が組み込まれた状態の成形部品100(すなわち、スイッチ装置10)が、Y軸正方向(
図17に示すD1方向)に引き抜かれることにより、保持部材20から取り外される。成形部品100は、一対の保持腕24,26によって、Y軸負側から片持ち保持されているため、Y軸正方向へ容易に引き抜くことが可能である。
【0080】
以上説明したように、一実施形態に係るスイッチ装置10は、金属端子部材111,112,113と、インサート成形によって金属端子部材111,112,113に対して一体的に形成される樹脂部材120とを備えるスイッチ装置であって、金属端子部材111,112,113は、樹脂部材120の側部120AからX軸負方向(第1の方向)に互いに並んで延在する第1の腕部131および第2の腕部132を備え、第1の腕部131は、X軸負方向を向いた第1の接点部131Dを有し、第2の腕部132は、X軸正方向(第2の方向)を向いて第1の接点部131Dと対向する第2の接点部132Eを有し、第1の接点部131Dおよび第2の接点部132Eの各々を弾性変形させつつ、第1の接点部131Dと第2の接点部132Eとの間に、外部端子30を挿通可能である。
【0081】
これにより、一実施形態に係るスイッチ装置10は、外力等によって一対の腕部131,132の間隔が広がってしまった場合であっても、一対の接点部131D,132Eが、Y軸方向に相対的に位置ずれするだけであり、一対の接点部131D,132Eの間隔は広がらない。したがって、一実施形態に係るスイッチ装置10によれば、一対の腕部131,132の間隔が広がってしまった場合であっても、一対の接点部131D,132Eによる外部端子30の保持力が弱まらないようにすることができる。
【0082】
また、一実施形態に係るスイッチ装置10は、第1の接点部131Dの弾性変形に係るばね定数と、第2の接点部132Eの弾性変形に係るばね定数とが、略等しい。
【0083】
これにより、一実施形態に係るスイッチ装置10は、外部端子30が第1の接点部131Dから受ける荷重と、外部端子30が第2の接点部132Eから受ける荷重とを、略等しくすることができる。したがって、一実施形態に係るスイッチ装置10によれば、第1の接点部131Dと第2の接点部132Eとの間で、外部端子30を安定的に保持することができる。
【0084】
また、一実施形態に係るスイッチ装置10において、第1の接点部131Dおよび第2の接点部132Eは、互いに対称形状を有する。
【0085】
これにより、一実施形態に係るスイッチ装置10は、第1の接点部131Dの弾性変形に係るばね定数と、第2の接点部132Eの弾性変形に係るばね定数とを、比較的容易に等しくすることができる。
【0086】
また、一実施形態に係るスイッチ装置10において、樹脂部材120は、側部120AからX軸負方向に突出し、第2の腕部132の根元部分の一部を保持する第2の保持部122を有する。
【0087】
これにより、一実施形態に係るスイッチ装置10は、第1の腕部131よりも端子長が長いために捻じれ変形が生じ易い、第2の腕部132の捻じれ変形を抑制することができる。
【0088】
また、一実施形態に係るスイッチ装置10において、第2の腕部132は、一部が折り曲げられることによって補強されている。
【0089】
これにより、一実施形態に係るスイッチ装置10は、第1の腕部131よりも端子長が長いために捻じれ変形が生じ易い、第2の腕部132の捻じれ変形を抑制することができる。
【0090】
また、一実施形態に係るスイッチ装置10において、第1の腕部131は、第1の接点部131Dの上端部を所定の高さ位置まで立ち上げる第1の立ち上げ部131Bを有し、第2の腕部132は、第2の接点部132Eの上端部を所定の高さ位置まで立ち上げる第2の立ち上げ部132Cを有する。
【0091】
これにより、一実施形態に係るスイッチ装置10は、第1の接点部131Dおよび第2の接点部132Eの各々のばね長を稼ぐことができ、よって、両者の間に外部端子30が挿通された際に、第1の接点部131Dおよび第2の接点部132Eの各々を、適度に弾性変形させることができる。加えて、一実施形態に係るスイッチ装置10は、第1の接点部131Dと第2の接点部132Eとが同一の高さ位置から垂下するため、第1の接点部131Dの弾性変形に係るばね定数と、第2の接点部132Eの弾性変形に係るばね定数とを、比較的容易に等しくすることができる。
【0092】
また、一実施形態に係るスイッチ装置10は、第1の接点部131Dと第2の接点部132Eとの間に、上方および下方の各々から、外部端子30を挿通可能である。
【0093】
これにより、一実施形態に係るスイッチ装置10は、外部端子30を上方および下方のいずれから外部端子30を挿通させる場合であっても、スイッチ装置10の上下方向の向きを反転させることなく、外部端子30を挿通可能であるため、スイッチ装置10の多用途化を実現することができる。
【0094】
また、一実施形態に係るスイッチ装置10において、金属端子部材111,112,113は、一枚の金属板Pから折り曲げ加工によって立体形状に形成されている。
【0095】
これにより、一実施形態に係るスイッチ装置10は、一枚の金属板Pに対する折り曲げ加工を行うだけで、比較的容易に、一対の接点部131D,132EがX軸方向において互いに対向した立体形状を形成することができる。
【0096】
また、一実施形態に係るスイッチ装置10において、金属端子部材111,112,113は、折り曲げ加工における全ての折り曲げ線L11~L14,L21~L26(
図7参照)が、X軸負方向(第1の方向)およびX軸正方向(第2の方向)の各々と直交するY軸方向(第3の方向)に延在する。
【0097】
これにより、一実施形態に係るスイッチ装置10は、全ての折り曲げ加工を、Y軸方向に延在する折り曲げ線L11~L14,L21~L26に沿って行えばよいため、一枚の金属板Pから、比較的容易に、一対の接点部131D,132EがX軸方向において互いに対向した立体形状を形成することができる。
【0098】
以上、本発明の一実施形態について詳述したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形または変更が可能である。
【0099】
本国際出願は、2019年10月10日に出願した日本国特許出願第2019-186855号に基づく優先権を主張するものであり、当該出願の全内容を本国際出願に援用する。
【符号の説明】
【0100】
10 スイッチ装置
12 レバー
14 スプリング
16 クリップ
18 ケース
20 保持部材
22 外枠部
24,26 保持腕
27,28,29 支持部
30 外部端子
100 成形部品
111,112,113 金属端子部材
111B,112B,113B 摺接部
120 樹脂部材
120A 側部
121 第1の保持部
122 第2の保持部
130,130A,130B,130C 接続部
131 第1の腕部
131A 第1の水平延在部
131B 第1の立ち上げ部
131C 第1の梁部
131D 第1の接点部
132 第2の腕部
132A 立ち下げ部
132B 第2の水平延在部
132C 第2の立ち上げ部
132D 第2の梁部
132E 第2の接点部
133 分岐部
H1,H2,H3 高さ位置
L1 中間線
L11,L12,L13,L14 折り曲げ線
L21,L22,L23,L24,L25,L26 折り曲げ線
P 金属板