(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-20
(45)【発行日】2022-12-28
(54)【発明の名称】動的予測、集約、および妥当性確認のための機器および方法
(51)【国際特許分類】
H02J 3/00 20060101AFI20221221BHJP
G06Q 10/04 20120101ALI20221221BHJP
G06Q 50/06 20120101ALI20221221BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20221221BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20221221BHJP
【FI】
H02J3/00 170
G06Q10/04
G06Q50/06
H02J13/00 301A
H02J3/38 120
(21)【出願番号】P 2021566010
(86)(22)【出願日】2020-05-07
(86)【国際出願番号】 US2020031783
(87)【国際公開番号】W WO2020227476
(87)【国際公開日】2020-11-12
【審査請求日】2021-12-24
(32)【優先日】2019-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519431812
【氏名又は名称】ヒタチ・エナジー・スウィツァーランド・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】HITACHI ENERGY SWITZERLAND AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フォックス,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ハーパー,カール・エリック
【審査官】佐藤 卓馬
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-191482(JP,A)
【文献】特開2002-027685(JP,A)
【文献】特開2017-163772(JP,A)
【文献】国際公開第2014/010030(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0082596(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/00
G06Q 10/04
G06Q 50/06
H02J 13/00
H02J 3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路を含む機器であって、前記回路は、
送電網における複数の場所での電力潮流を示すデータを収集し、
前記送電網における前記複数の場所のうちの1つ以上の場所に関連付けられた予想電力潮流を示すカスタマイズされた予測の生成のための1つ以上のパラメータを、定義された期間にわたって受信し、
前記1つ以上のパラメータを満たす、収集された前記データのサブセットを選択し、
収集された前記データの選択された前記サブセットから、前記1つ以上の場所に関連付けられた前記送電網における電力潮流を予想するためのモデルを生成し、
予想電力生産から予想損失を引いたものが、前記送電網における前記1つ以上の場所での予想電力消費の予め定義された範囲内にあるかどうかを判断することによって、前記モデルの妥当性が確認されているかどうかを判断し、
前記モデルの妥当性が確認されているという判断に応答して、および、前記1つ以上のパラメータに基づいて、前記定義された期間についての前記1つ以上の場所に関連付けられた予想電力潮流を示す前記カスタマイズされた予測を生成する、
ように構成される、機器。
【請求項2】
電力潮流を示すデータを収集することは、前記送電網における前記複数の場所のうちの少なくとも1つからの電力生産を示すデータを収集することを含む、請求項1に記載の機器。
【請求項3】
電力潮流を示すデータを収集することは、前記送電網における前記複数の場所のうちの少なくとも1つからの電力消費を示すデータを収集することを含む、請求項1に記載の機器。
【請求項4】
電力潮流を示すデータを収集することは、前記送電網の1つ以上のフィーダからの電力潮流を示すデータを収集することを含む、請求項1に記載の機器。
【請求項5】
電力潮流を示すデータを収集することは、収集された前記データに関連して、収集された前記データのソースの属性を示すメタデータを格納することを含む、請求項1に記載の機器。
【請求項6】
メタデータを格納することは、前記送電網における場所を示すメタデータを格納することを含む、請求項5に記載の機器。
【請求項7】
メタデータを格納することは、電気設備のタイプを示すメタデータを格納することを含む、請求項5に記載の機器。
【請求項8】
電気設備のタイプを示すメタデータを格納することは、電力を生産する電気設備を示すメタデータを格納することを含む、請求項7に記載の機器。
【請求項9】
電気設備のタイプを示すメタデータを格納することは、電力を消費する電気設備を示すメタデータを格納することを含む、請求項7に記載の機器。
【請求項10】
電気設備のタイプを示すメタデータを格納することは、電力を損失する電気設備を示すメタデータを格納することを含む、請求項7に記載の機器。
【請求項11】
前記回路はさらに、前記送電網における電力潮流を示す前記データに関連して、天気を示すデータを格納するように構成される、請求項1に記載の機器。
【請求項12】
1つ以上のパラメータを受信することは、前記カスタマイズされた予測が関連するべき前記送電網における前記1つ以上の場所を示す1つ以上のパラメータを受信することを含む、請求項1に記載の機器。
【請求項13】
1つ以上のパラメータを受信することは、前記カスタマイズされた予測が関連するべき電気設備の1つ以上のタイプを受信することを含む、請求項1に記載の機器。
【請求項14】
1つ以上のパラメータを受信することは、前記カスタマイズされた予測が関連するべき1人以上の電力消費者を受信することを含む、請求項1に記載の機器。
【請求項15】
1つ以上のパラメータを受信することは、前記カスタマイズされた予測が関連するべき1人以上の電力生産者を受信すること、または、前記カスタマイズされた予測が関連するべき前記送電網の1つ以上のフィーダを受信することを含む、請求項1に記載の機器。
【請求項16】
前記1つ以上のパラメータを満たす、収集された前記データのサブセットを選択することは、前記1つ以上のパラメータと一致するメタデータに関連付けられたデータのサブセットを選択することを含む、請求項1に記載の機器。
【請求項17】
モデルを生成することは、収集された前記データの選択された前記サブセットのための電力潮流における傾向を識別すること、または、収集された前記データの選択された前記サブセットのための電力潮流に対する天気の1つ以上の影響を識別することを含む、請求項1に記載の機器。
【請求項18】
前記回路はさらに、前記送電網の構成、前記送電網の容量、1つ以上の環境状態、前記送電網の状態、または、前記送電網の専門家査定を示すデータを収集するように構成される、請求項1に記載の機器。
【請求項19】
機器が、送電網における複数の場所での電力潮流を示すデータを収集するステップと、
前記機器が、前記送電網における前記複数の場所のうちの1つ以上の場所に関連付けられた予想電力潮流を示すカスタマイズされた予測の生成のための1つ以上のパラメータを、定義された期間にわたって受信するステップと、
前記機器が、前記1つ以上のパラメータを満たす、収集された前記データのサブセットを選択するステップと、
前記機器が、収集された前記データの選択された前記サブセットから、前記1つ以上の場所に関連付けられた前記送電網における電力潮流を予想するためのモデルを生成するステップと、
前記機器が、予想電力生産から予想損失を引いたものが、前記送電網における前記1つ以上の場所での予想電力消費の予め定義された範囲内にあるかどうかを判断することによって、前記モデルの妥当性が確認されているかどうかを判断するステップと、
前記機器が、前記モデルの妥当性が確認されているという判断に応答して、および、前記1つ以上のパラメータに基づいて、前記定義された期間についての前記1つ以上の場所に関連付けられた予想電力潮流を示す前記カスタマイズされた予測を生成するステップとを含む、方法。
【請求項20】
電力潮流を示すデータを収集するステップは、前記送電網における前記複数の場所のうちの少なくとも1つからの電力生産を示すデータを収集するステップを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
電力潮流を示すデータを収集するステップは、前記送電網における前記複数の場所のうちの少なくとも1つからの電力消費を示すデータを収集するステップを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
電力潮流を示すデータを収集するステップは、前記送電網の1つ以上のフィーダからの電力潮流を示すデータを収集するステップを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
電力潮流を示すデータを収集するステップは、収集された前記データに関連して、収集された前記データのソースの属性を示すメタデータを格納するステップを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
メタデータを格納するステップは、前記送電網における場所を示すメタデータを格納するステップを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
メタデータを格納するステップは、電気設備のタイプを示すメタデータを格納するステップを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
電気設備のタイプを示すメタデータを格納するステップは、電力を生産する電気設備を示すメタデータを格納するステップを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
電気設備のタイプを示すメタデータを格納するステップは、電力を消費する電気設備を示すメタデータを格納するステップを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
電気設備のタイプを示すメタデータを格納するステップは、電力を損失する電気設備を示すメタデータを格納するステップを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
前記送電網における電力潮流を示す前記データに関連して、天気を示すデータを格納するステップをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項30】
1つ以上のパラメータを受信するステップは、前記カスタマイズされた予測が関連するべき前記送電網における前記1つ以上の場所を示す1つ以上のパラメータを受信するステップを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項31】
1つ以上のパラメータを受信するステップは、前記カスタマイズされた予測が関連するべき電気設備の1つ以上のタイプを受信するステップを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項32】
1つ以上のパラメータを受信するステップは、前記カスタマイズされた予測が関連するべき1人以上の電力消費者を受信するステップを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項33】
1つ以上のパラメータを受信するステップは、前記カスタマイズされた予測が関連するべき1人以上の電力生産者を受信するステップ、または、前記カスタマイズされた予測が関連するべき前記送電網の1つ以上のフィーダを受信するステップを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項34】
前記1つ以上のパラメータを満たす、収集された前記データのサブセットを選択するステップは、前記1つ以上のパラメータと一致するメタデータに関連付けられたデータのサブセットを選択するステップを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項35】
モデルを生成するステップは、収集された前記データの選択された前記サブセットのための電力潮流における傾向を識別するステップ、または、収集された前記データの選択された前記サブセットのための電力潮流に対する天気の1つ以上の影響を識別するステップを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項36】
前記送電網の構成、前記送電網の容量、1つ以上の環境状態、前記送電網の状態、または、前記送電網の専門家査定を示すデータを収集するステップをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項37】
1つ以上の機械読取可能記憶媒体であって、その上に格納された複数の命令を含み、前記複数の命令は、実行されることに応答して、機器に、
送電網における複数の場所での電力潮流を示すデータを収集することと、
前記送電網における前記複数の場所のうちの1つ以上の場所に関連付けられた予想電力潮流を示すカスタマイズされた予測の生成のための1つ以上のパラメータを、定義された期間にわたって受信することと、
前記1つ以上のパラメータを満たす、収集された前記データのサブセットを選択することと、
収集された前記データの選択された前記サブセットから、前記1つ以上の場所に関連付けられた前記送電網における電力潮流を予想するためのモデルを生成することと、
予想電力生産から予想損失を引いたものが、前記送電網における前記1つ以上の場所での予想電力消費の予め定義された範囲内にあるかどうかを判断することによって、前記モデルの妥当性が確認されているかどうかを判断することと、
前記モデルの妥当性が確認されているという判断に応答して、および、前記1つ以上のパラメータに基づいて、前記定義された期間についての前記1つ以上の場所に関連付けられた予想電力潮流を示す前記カスタマイズされた予測を生成することと、
を行なわせる、1つ以上の機械読取可能記憶媒体。
【請求項38】
電力潮流を示すデータを収集することは、前記送電網における前記複数の場所のうちの少なくとも1つからの電力生産を示すデータを収集することを含む、請求項37に記載の1つ以上の機械読取可能記憶媒体。
【請求項39】
電力潮流を示すデータを収集することは、前記送電網における前記複数の場所のうちの少なくとも1つからの電力消費を示すデータを収集することを含む、請求項37に記載の1つ以上の機械読取可能記憶媒体。
【請求項40】
電力潮流を示すデータを収集することは、前記送電網の1つ以上のフィーダからの電力潮流を示すデータを収集することを含む、請求項37に記載の1つ以上の機械読取可能記憶媒体。
【請求項41】
電力潮流を示すデータを収集することは、収集された前記データに関連して、収集された前記データのソースの属性を示すメタデータを格納することを含む、請求項37に記載の1つ以上の機械読取可能記憶媒体。
【請求項42】
メタデータを格納することは、前記送電網における場所を示すメタデータを格納することを含む、請求項41に記載の1つ以上の機械読取可能記憶媒体。
【請求項43】
メタデータを格納することは、電気設備のタイプを示すメタデータを格納することを含む、請求項41に記載の1つ以上の機械読取可能記憶媒体。
【請求項44】
電気設備のタイプを示すメタデータを格納することは、電力を生産する電気設備を示すメタデータを格納することを含む、請求項43に記載の1つ以上の機械読取可能記憶媒体。
【請求項45】
電気設備のタイプを示すメタデータを格納することは、電力を消費する電気設備を示すメタデータを格納することを含む、請求項43に記載の1つ以上の機械読取可能記憶媒体。
【請求項46】
電気設備のタイプを示すメタデータを格納することは、電力を損失する電気設備を示すメタデータを格納することを含む、請求項43に記載の1つ以上の機械読取可能記憶媒体。
【請求項47】
前記複数の命令は、実行されることに応答して、前記機器にさらに、前記送電網における電力潮流を示す前記データに関連して、天気を示すデータを格納することを行なわせる、請求項37に記載の1つ以上の機械読取可能記憶媒体。
【請求項48】
1つ以上のパラメータを受信することは、前記カスタマイズされた予測が関連するべき前記送電網における前記1つ以上の場所を示す1つ以上のパラメータを受信することを含む、請求項37に記載の1つ以上の機械読取可能記憶媒体。
【請求項49】
1つ以上のパラメータを受信することは、前記カスタマイズされた予測が関連するべき電気設備の1つ以上のタイプを受信することを含む、請求項37に記載の1つ以上の機械読取可能記憶媒体。
【請求項50】
1つ以上のパラメータを受信することは、前記カスタマイズされた予測が関連するべき1人以上の電力消費者を受信することを含む、請求項37に記載の1つ以上の機械読取可能記憶媒体。
【請求項51】
1つ以上のパラメータを受信することは、前記カスタマイズされた予測が関連するべき1人以上の電力生産者を受信すること、または、前記カスタマイズされた予測が関連するべき前記送電網の1つ以上のフィーダを受信することを含む、請求項37に記載の1つ以上の機械読取可能記憶媒体。
【請求項52】
前記1つ以上のパラメータを満たす、収集された前記データのサブセットを選択することは、前記1つ以上のパラメータと一致するメタデータに関連付けられたデータのサブセットを選択することを含む、請求項37に記載の1つ以上の機械読取可能記憶媒体。
【請求項53】
モデルを生成することは、収集された前記データの選択された前記サブセットのための電力潮流における傾向を識別すること、または、収集された前記データの選択された前記サブセットのための電力潮流に対する天気の1つ以上の影響を識別することを含む、請求項37に記載の1つ以上の機械読取可能記憶媒体。
【請求項54】
前記複数の命令は、実行されることに応答して、前記機器にさらに、前記送電網の構成、前記送電網の容量、1つ以上の環境状態、前記送電網の状態、または、前記送電網の専門家査定を示すデータを収集することを行なわせる、請求項37に記載の1つ以上の機械読取可能記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この特許出願は、2019年5月7日に出願され、「動的予測、集約、および妥当性確認のための技術」(Technologies for Dynamic Forecasting, Aggregation, and Validation)と題された米国出願第16/405,000号の優先権を主張する。当該出願はこれにより、その全体が再現されるかのように、ここに引用により援用される。
【背景技術】
【0002】
背景
再生可能エネルギーは、発電および電力所有権への非集中的アプローチを促進する。将来、分散型エネルギー資源(distributed energy resource:DER)が、大きいベース負荷に取って代わるにつれて、経済配分および管理システム(management system:MS)は、公益事業体および小売業者にとってますます複雑になるであろう。発展するエネルギー市場は、新しい発電および蓄電資源を追加している顧客と、顧客にエネルギーを販売するためにさまざまな条件の契約を結んでいる公益事業体および/または第三者エネルギー販売業者とを含む。しかしながら、電力潮流(たとえば、消費および/または生産)を予想するための既存の予測モデルは、特定の負荷点または発生点に基づいており、送電網における利用可能資源の変化を勘案すること、または、送電網に存在する特定のタイプの電力消費者または電力生産者に関する予測を生成することができない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
発明の概要
一局面では、本開示は、機器を提供する。機器は回路を含み、回路は、送電網における複数の場所での電力潮流を示すデータを収集するように構成される。加えて、回路は、送電網における複数の場所のうちの1つ以上の場所に関連付けられた予想電力潮流を示すカスタマイズされた予測の生成のための1つ以上のパラメータを、定義された期間にわたって受信するように構成される。また、回路は、1つ以上のパラメータを満たす、収集されたデータのサブセットを選択するように構成される。回路はまた、収集されたデータの選択されたサブセットから、1つ以上の場所に関連付けられた送電網における電力潮流を予想するためのモデルを生成し、予想電力生産から予想損失を引いたものが、送電網における1つ以上の場所での予想電力消費の予め定義された範囲内にあるかどうかを判断することによって、モデルの妥当性が確認されているかどうかを判断し、モデルの妥当性が確認されているという判断に応答して、および、1つ以上のパラメータに基づいて、定義された期間についての1つ以上の場所に関連付けられた予想電力潮流のカスタマイズされた予測を生成するように構成される。
【0004】
別の局面では、本開示は、方法を提供する。方法は、機器が、送電網における複数の場所での電力潮流を示すデータを収集するステップを含む。方法はまた、機器が、送電網における複数の場所のうちの1つ以上の場所に関連付けられた予想電力潮流を示すカスタマイズされた予測の生成のための1つ以上のパラメータを、定義された期間にわたって受信するステップを含む。方法はまた、機器が、1つ以上のパラメータを満たす、収集されたデータのサブセットを選択するステップを含む。方法はまた、機器が、収集されたデータの選択されたサブセットから、1つ以上の場所に関連付けられた送電網における電力潮流を予想するためのモデルを生成するステップを含む。加えて、方法は、機器が、予想電力生産から予想損失を引いたものが、送電網における1つ以上の場所での予想電力消費の予め定義された範囲内にあるかどうかを判断することによって、モデルの妥当性が確認されているかどうかを判断するステップを含む。さらに、方法は、機器が、モデルの妥当性が確認されているという判断に応答して、および、1つ以上のパラメータに基づいて、定義された期間についての1つ以上の場所に関連付けられた予想電力潮流のカスタマイズされた予測を生成するステップを含む。
【0005】
さらに別の局面では、本開示は、1つ以上の機械読取可能記憶媒体であって、その上に格納された複数の命令を有し、複数の命令は、実行されることに応答して、機器に、送電網における複数の場所での電力潮流を示すデータを収集することを行なわせる、1つ以上の機械読取可能記憶媒体を提供する。命令はまた、機器に、送電網における複数の場所のうちの1つ以上の場所に関連付けられた予想電力潮流を示すカスタマイズされた予測の生成のための1つ以上のパラメータを、定義された期間にわたって受信することを行なわせる。加えて、命令は機器に、収集されたデータのサブセットを選択することを行なわせる。サブセットは、1つ以上のパラメータを満たす。また、命令は機器に、収集されたデータの選択されたサブセットから、1つ以上の場所に関連付けられた送電網における電力潮流を予想するためのモデルを生成することと、予想電力生産から予想損失を引いたものが、送電網における1つ以上の場所での予想電力消費の予め定義された範囲内にあるかどうかを判断することによって、モデルの妥当性が確認されているかどうかを判断することとを行なわせる。加えて、命令は機器に、モデルの妥当性が確認されているという判断に応答して、および、1つ以上のパラメータに基づいて、定義された期間についての1つ以上の場所に関連付けられた予想電力潮流のカスタマイズされた予測を生成することを行なわせる。
【0006】
図面の簡単な説明
ここに説明される概念を、添付図面において、限定としてではなく例として示す。例示の簡潔性および明暸性のために、図に示す要素は必ずしも正確な比率で描かれてはいない。適切であると考えられる場合、参照符号が、対応または類似する要素を示すために図において繰り返されている。詳細な説明は特に添付図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】送電網からデータを集約し、送電網における電力潮流のための予測モデルの妥当性を確認し、カスタマイズされた予測を提供するためのシステムの少なくとも1つの実施形態の簡略ブロック図である。
【
図2】
図1のシステムに含まれる予測計算装置の少なくとも1つの実施形態の簡略ブロック図である。
【
図3】
図1および
図2の予測計算装置によって行なわれ得る、送電網からデータを集約し、送電網における電力潮流のための予測モデルの妥当性を確認し、カスタマイズされた予測を提供するための方法の少なくとも1つの実施形態の簡略ブロック図である。
【
図4】
図1および
図2の予測計算装置によって行なわれ得る、送電網からデータを集約し、送電網における電力潮流のための予測モデルの妥当性を確認し、カスタマイズされた予測を提供するための方法の少なくとも1つの実施形態の簡略ブロック図である。
【
図5】
図1および
図2の予測計算装置によって行なわれ得る、送電網からデータを集約し、送電網における電力潮流のための予測モデルの妥当性を確認し、カスタマイズされた予測を提供するための方法の少なくとも1つの実施形態の簡略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
例示的な実施形態の詳細な説明
本開示の概念はさまざまな修正および代替形態が可能であるものの、その特定の実施形態を例として図面に示し、ここに詳細に説明する。しかしながら、本開示の概念を開示された特定の形態に限定する意図はなく、逆に、意図は、本開示および添付された請求項と整合するすべての修正、均等物、および代替物を網羅することであるということが理解されるべきである。
【0009】
明細書における「一実施形態」、「ある実施形態」、「例示的な実施形態」などへの言及は、説明される実施形態がある特定の特徴、構造、または特性を含み得るものの、すべての実施形態がその特定の特徴、構造、または特性を含んでいても、もしくは必ずしも含んでいなくてもよいということを示す。また、そのような文言は必ずしも同じ実施形態を指していない。さらに、ある特定の特徴、構造、または特性がある実施形態に関連して説明される場合、明示的に説明されるか否かにかかわらず、そのような特徴、構造、または特性を他の実施形態に関連して達成することは、当業者の知識の範囲内にあると考えられる。加えて、「少なくとも1つのA、B、およびC」という形でリストに含まれる項目は、(A);(B);(C);(AおよびB);(AおよびC);(BおよびC);または(A、B、およびC)を意味し得るということが理解されるべきである。同様に、「A、B、またはCのうちの少なくとも1つ」という形でリストされた項目は、(A);(B);(C);(AおよびB);(AおよびC);(BおよびC);または(A、B、およびC)を意味し得る。
【0010】
開示される実施形態は、場合によっては、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、またはそれらの任意の組合せで実現されてもよい。開示される実施形態はまた、1つ以上のプロセッサによって読出され実行され得る、一時的または非一時的機械読取可能(たとえばコンピュータ読取可能)記憶媒体によって担持された、もしくは当該記憶媒体上に格納された命令として実現されてもよい。機械読取可能記憶媒体は、機械によって読取可能な形式で情報を格納または送信するためのあらゆる記憶装置、メカニズム、または他の物理的構造(たとえば、揮発性または不揮発性メモリ、媒体ディスク、または他の媒体装置)として具現化されてもよい。図面では、いくつかの構造的特徴または方法特徴は、特定の配置および/または順序で示されてもよい。しかしながら、そのような特定の配置および/または順序は必要とされなくてもよいということが理解されるべきである。むしろ、いくつかの実施形態では、そのような特徴は、例示的な図面に示されたものとは異なる態様および/または順序で配置されてもよい。加えて、構造的特徴または方法特徴をある特定の図面に含めることは、そのような特徴がすべての実施形態において必要とされることを暗示するよう意図されてはおらず、いくつかの実施形態では、そのような特徴は含まれなくてもよく、または、他の特徴と組合されてもよい。
【0011】
ここで
図1を参照して、送電網110からデータを集約し、送電網110における電力潮流のための予測モデルの妥当性を確認し、カスタマイズされた予測を提供するためのシステム100は、ネットワーク130を通して送電網110のコンポーネントおよびクライアント計算装置122と通信している予測計算装置120を含む。送電網110は、発電所140、142(たとえば、熱電供給(combined heat and power:CHP)プラント)、太陽光発電所144、および風力発電所を含む電力生産者を含んでいてもよい。加えて、例示的な実施形態では、送電網は、家150、152、オフィスビル154、および工場158を含む電力消費者を含む。加えて、送電網110は、家庭用CHPを有する家160(たとえば、マイクロCHP技術などを用いて熱電供給を生成する設備を有する家)を含んでいてもよい。送電網110は加えて、エネルギー貯蔵装置(たとえばバッテリー)170、172、174、176、潮流制御装置180、および電力品質装置182、184(たとえば、電力の電圧、周波数、および/または波形を絶えず監視し調節することによって電力を目標品質で維持するように構成された装置)を含む、送電網110を通る電力潮流を管理することができる他の設備を含んでいてもよい。送電網110は加えて、フィーダ190、192、194を含んでいてもよく、それらは各々、電力が異なる生産者から組合され、送電網110における異なる消費者に提供され得る場所として具現化される。動作時、分散型エネルギー資源(DER)の組合せおよび場所が発展し変化する際に、予測計算装置120は、配電ネットワークオペレータが、自分のネットワーク(たとえば送電網110)上の負荷および発生を予測することを可能にする。利用可能な発生および負荷の負担を予想することにより、配電ネットワークオペレータは、送電網110をより確実にかつ効率的に動作させることができ、電力の市場参加者、集約者、および個々の消費者に利益をもたらす。予め定義された一組の負荷点および/または発生点と、それらの対応する履歴データおよび関連付けられた独立変数とに頼るのではなく、予測計算装置120は、(たとえば、予測を求めるクライアント計算装置122からの要求に応答する)予測時に、収集されたデータの対象サブセット(たとえば、ある特定のタイプの電力消費者に関する収集されたデータのサブセット)に共通のユーザ定義パラメータに基づいて、履歴データと対応する独立データとを組合せる。たとえば、予測計算装置120は、特定の地理的エリアにいる顧客、および/または、あるタイプの電気設備(たとえば、太陽光発電所、特定のフィーダなど)に関連付けられた顧客のために、電力潮流の予測を生成してもよい。
【0012】
例示的な実施形態では、予測計算装置120は、要求があり次第、アカウント(たとえば、家150などの電力消費者)、フィーダ、または集約者(たとえば複数のフィーダ)レベルで予測を生成してもよい。各シナリオでは、予測計算装置120は、送電網110における電力潮流を示す収集されたデータ(たとえば履歴データ)を利用し、統計的手法などを使用して当該データを分析して関係およびパターンを判断し、どれだけの電力が(たとえば、経時的に、天気の変化に対して、などで)生産され消費されるかを判断するための1つ以上のモデルを開発する。予測計算装置120は、アカウントの任意のサブセットまたはクラスのためのモデルを生成してもよい。たとえば、同じ地域における同様のソーラー設備を有する住宅は、1つのクラスと考えられてもよい。そうする際、予測計算装置120は、送電網110のトポロジーを示すデータ(たとえば、送電網110に設置された電気設備を示すデータ)を使用して、当該電気設備の存在による(たとえば、当該電気設備の非効率性による)電力損失を勘案する(たとえばモデル化する)。また、予測計算装置120は、予想電力生産から既知の電気設備による損失を引いたものが、予測に関連付けられた電力消費者(たとえば、フィーダ190に接続された電力消費者150、156)による予想電力消費の予め定義された範囲(たとえば、当該電力消費と等しいか、または、1%といったあるパーセンテージプラスマイナスする範囲)内にあることを確認することによって、所与のモデル(たとえば、フィーダ190での電力潮流のモデル)が、予測に影響を与え得る電力潮流をすべて考慮に入れていることを妥当性確認する。言い換えれば、予測計算装置120は、動作時、所与のノードでの電流フローを合計するとゼロになるはずであると定めるキルヒホッフの第1法則に当該モデルが準拠するかどうかを判断してから、当該モデルによって生成される予測を当該予測の要求元(たとえば、クライアント計算装置122のオペレータ)に提供してもよい。
【0013】
ここで
図2を参照して、予測計算装置120は、ここに説明される機能を行なうことができる任意のタイプの装置として具現化されてもよい。
図2に示すように、例示的な予測計算装置120は、計算エンジン210と、入力/出力(I/O)サブシステム216と、通信回路218と、データストレージサブシステム222とを含む。もちろん、他の実施形態では、予測計算装置120は、コンピュータでよく見られるもの(たとえばディスプレイなど)といった、他のまたは追加のコンポーネントを含んでいてもよい。加えて、いくつかの実施形態では、例示的なコンポーネントの1つ以上が、別のコンポーネントに組込まれてもよく、または、他の態様で別のコンポーネントの一部を形成してもよい。
【0014】
計算エンジン210は、以下に説明されるさまざまな計算機能を行なうことができる任意のタイプの装置または装置の集合として具現化されてもよい。いくつかの実施形態では、計算エンジン210は、集積回路、埋込みシステム、フィールドプログラマブルゲートアレイ(field-programmable gate array:FPGA)、システム・オン・チップ(system-on-a-chip:SOC)、もしくは、他の集積システムまたは装置といった、単一の装置として具現化されてもよい。加えて、いくつかの実施形態では、計算エンジン210は、プロセッサ212とメモリ214とを含むか、または、プロセッサ212およびメモリ214として具現化される。プロセッサ212は、ここに説明される機能を行なうことができる任意のタイプのプロセッサとして具現化されてもよい。たとえば、プロセッサ212は、マイクロコントローラ、シングルまたはマルチコアプロセッサ、もしくは、他のプロセッサまたは処理/制御回路として具現化されてもよい。いくつかの実施形態では、プロセッサ212は、ここに説明される機能の性能を促進するために、FPGA、特定用途向け集積回路(application specific integrated circuit:ASIC)、再構成可能ハードウェアまたはハードウェア回路、もしくは、他の専用ハードウェアとして具現化され、それを含み、または、それに結合されてもよい。例示的な実施形態では、プロセッサ212は予測論理ユニット230を含み、それは、送電網110からの収集されたデータのセットを分析して、当該収集されたデータのある特定のサブセットに関するカスタマイズされた予測を生成すること、当該カスタマイズされた予測を生成するための1つ以上のモデルを生成すること、および、当該モデルの妥当性を確認すること(たとえば、上述のように、当該モデルがキルヒホッフの第1法則に準拠するかどうかを判断すること)に関連する機能をプロセッサ212の他の機能からオフロードすることができる、任意の装置または回路(たとえば、再構成可能回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)など)として具現化されてもよい。予測論理ユニット230はプロセッサ212に統合されているように示されているが、いくつかの実施形態では、予測論理ユニット230は、予測計算装置120の異なる部分に(たとえば別個のユニットとして)位置していてもよい。
【0015】
メインメモリ214は、ここに説明される機能を行なうことができる任意のタイプの揮発性(たとえばダイナミックランダムアクセスメモリ(dynamic random access memory:DRAM)など)または不揮発性メモリ、またはデータストレージとして具現化されてもよい。揮発性メモリは、媒体によって格納されたデータの状態を維持するために電力を必要とする記憶媒体であり得る。いくつかの実施形態では、メインメモリ214のすべてまたは一部がプロセッサ212に統合されてもよい。動作時、メインメモリ214は、送電網110における1つ以上の場所での電力潮流を示すデータ、送電網110における電力潮流を予想するための1つ以上のモデル、アプリケーション、プログラム、ライブラリ、およびドライバといった、動作中に使用されるさまざまなソフトウェアおよびデータを格納してもよい。
【0016】
計算エンジン210は、I/Oサブシステム216を介して、予測計算装置120の他のコンポーネントに通信可能に結合される。I/Oサブシステム216は、計算エンジン210(たとえば、プロセッサ212、予測論理ユニット230、メインメモリ214)および予測計算装置120の他のコンポーネントとの入力/出力動作を容易にするための回路および/またはコンポーネントとして具現化されてもよい。たとえば、I/Oサブシステム216は、メモリコントローラハブ、入力/出力制御ハブ、集積センサハブ、ファームウェア装置、通信リンク(たとえば、2地点間リンク、バスリンク、ワイヤ、ケーブル、光導体、プリント回路基板トレースなど)、および/または、入力/出力動作を容易にするための他のコンポーネントおよびサブシステムとして具現化されてもよく、または、他の態様でそれらを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、I/Oサブシステム216は、システム・オン・チップ(SoC)の一部を形成してもよく、予測計算装置120のプロセッサ212、メインメモリ214、および他のコンポーネントのうちの1つ以上とともに、計算エンジン210に組込まれてもよい。
【0017】
通信回路218は、予測計算装置120と別の装置(たとえば、クライアント計算装置122、送電網110のコンポーネントなど)との間のネットワークを通る通信を可能にすることができる任意の通信回路、装置、またはそれらの集合として具現化されてもよい。通信回路218は、任意の1つ以上の通信技術(たとえば、有線または無線通信)およびそのような通信を達成するための関連付けられたプロトコル(たとえば、イーサネット(登録商標)、ブルートゥース(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、WiMAXなど)を使用するように構成されてもよい。
【0018】
例示的な通信回路218は、ネットワークインターフェイスコントローラ(network interface controller:NIC)220を含む。NIC220は、別の装置に接続するために予測計算装置120によって使用され得る1つ以上のアドインボード、ドーターカード、ネットワークインターフェイスカード、コントローラチップ、チップセット、または他の装置として具現化されてもよい。いくつかの実施形態では、NIC220は、1つ以上のプロセッサを含むシステム・オン・チップ(SoC)の一部として具現化されてもよく、または、同様に1つ以上のプロセッサを含むマルチチップパッケージ上に含まれてもよい。いくつかの実施形態では、NIC220は、双方ともNIC220にとってローカルであるローカルプロセッサ(図示せず)および/またはローカルメモリ(図示せず)を含んでいてもよい。そのような実施形態では、NIC220のローカルプロセッサは、プロセッサ212の機能のうちの1つ以上を行なうことができてもよい。それに加えて、またはそれに代えて、そのような実施形態では、NIC218のローカルメモリは、ボードレベル、ソケットレベル、チップレベル、および/または他のレベルにある予測計算装置120の1つ以上のコンポーネントに統合されてもよい。
【0019】
データストレージサブシステム222は、たとえば、メモリ装置および回路、メモリカード、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ、または他のデータ記憶装置といった、データの短期または長期記憶のために構成された任意のタイプの装置として具現化されてもよい。例示的な実施形態では、データストレージサブシステムは、送電網110から収集された、複数の場所での経時的な電力潮流を示すデータ、送電網110の当該場所での経時的な天気を示す天気データ、送電網110に存在する電気設備の場所およびタイプを示すデータ、ならびに(たとえば、送電網110のトポロジーを定義する)送電網110に存在する電力生産者および電力消費者を示すデータを含む。
【0020】
クライアント計算装置122は、予測計算装置120に関して
図2で説明されたものと同様のコンポーネントを有していてもよい。例示的な実施形態ではクライアント計算装置122は予測論理ユニット230を含んでいなくてもよいという点を除き、予測計算装置120のそれらのコンポーネントの説明は、クライアント計算装置122のコンポーネントの説明に同等に適用可能である。また、予測計算装置120およびクライアント計算装置122のいずれかが、予測計算装置120に関して上述されず、説明の明暸性のためにここで述べられない、コンピューティング装置でよく見られる他のコンポーネント、サブコンポーネント、および装置を含んでいてもよいということが理解されるべきである。同様に、送電網110における装置140、142、144、146、150、152、154、156、160、170、172、174、176、180、182、184、190、192、および194は、予測計算装置120およびクライアント計算装置122のコンポーネントと同様のコンポーネントを含んでいてもよい。
【0021】
予測計算装置120と、クライアント計算装置122と、送電網110における装置140、142、144、146、150、152、154、156、160、170、172、174、176、180、182、184、190、192、194とは、例示的にネットワーク130を介して通信しており、ネットワーク130は、グローバルネットワーク(たとえばインターネット)、ローカルエリアネットワーク(local area network:LAN)またはワイドエリアネットワーク(wide area network:WAN)、セルラーネットワーク(たとえば、グローバル・システム・フォー・モバイル・コミュニケーションズ(Global System for Mobile Communications:GSM(登録商標))、3G、ロング・ターム・エボリューション(Long Term Evolution:LTE)、ワールドワイド・インターオペラビリティ・フォー・マイクロウェーブ・アクセス(Worldwide Interoperability for Microwave Access:WiMAX)など)、デジタル加入者線(digital subscriber line:DSL)ネットワーク、ケーブルネットワーク(たとえば、同軸ネットワーク、ファイバーネットワークなど)、またはそれらの任意の組合せを含む、データを通信可能な任意のタイプの有線または無線通信ネットワークとして具現化されてもよい。
【0022】
ここで
図3を参照して、予測計算装置120は動作時、送電網(たとえば送電網110)からデータを集約し、送電網110における電力潮流のための予測モデルの妥当性を確認し、カスタマイズされた予測を(たとえばクライアント計算装置122に)提供するための方法300を行なってもよい。方法300はブロック302で始まり、そこで予測計算装置120は、動的予測を可能にするかどうか(たとえば、方法300の残りを行なうかどうか)を判断する。そうする際、予測計算装置120は、予測計算装置120が(たとえばクライアント計算装置122から)動的予測を可能にしてほしいという要求を受信したという判断に応答して、予測計算装置120が予測論理ユニット230を備えているという判断に応答して、および/または、他の要因に基づいて、動的予測を可能にすると判断してもよい。何であれ、動的予測を可能にするという判断に応答して、方法300はブロック304に進み、そこで予測計算装置120は、送電網における(たとえば、送電網110における)複数の場所での電力潮流を示す任意のデータとして具現化され得る電力生産データを収集する。そうする際、およびブロック306に示されるように、予測計算装置120は、送電網110における場所(たとえば、発電所140、142、太陽光発電所144、および風力発電所146など)で経時的に生産された電力量を示す任意のデータとして具現化され得る電力生産データを収集してもよい。ブロック308に示されるように、予測計算装置120はまた、送電網110における場所(たとえば、家150、152、オフィスビル154、および工場158)で経時的に消費された電力量を示す任意のデータとして具現化され得る電力消費データを収集する。加えて、ブロック310に示されるように、予測計算装置120は、例示的な実施形態において、1つ以上のフィーダ190、192、194からデータ(たとえば、フィーダへの電力潮流を示すデータ、フィーダからの電力潮流を示すデータ、および、フィーダに関連付けられた電気設備の非効率性により損失された電力を示すデータ)を収集する。
【0023】
ブロック312に示されるように、予測計算装置120は、収集されたデータに関連して、収集されたデータのソースの属性を示すメタデータ(たとえばタグ)を格納する。たとえば、およびブロック314に示されるように、予測計算装置120は、(たとえば、予測計算装置120にデータを送信した送電網110における装置のインターネットプロトコルアドレスを、送電網110内の場所を示す地理的座標または他の識別子として具現化され得る対応する場所データと関連付けることによって)受信データのセットが生成された送電網110における場所を示すメタデータを格納してもよい。ブロック316に示されるように、予測計算装置120は、収集されたデータが生成された場所に関連付けられた電気設備のタイプ(たとえば、変圧器、電力品質装置、潮流制御装置など)を示すメタデータを格納してもよい。ブロック318に示されるように、予測計算装置120は、電力を生産する電気設備を示すメタデータ(たとえば、ある特定の場所での電力生産に関連付けられた特定のタイプの設備を示すデータ)を格納してもよい。たとえば、およびブロック320に示されるように、予測計算装置120は、場所(たとえば、太陽光発電所144の場所)に関連付けられた光電池を示すメタデータを格納してもよい。同様に、ブロック322に示されるように、予測計算装置120は、場所(たとえば、風力発電所146の場所)に関連付けられた風力タービンを示すメタデータを格納してもよい。ブロック324に示されるように、予測計算装置120は、場所(たとえば、エネルギー貯蔵装置170、172、174、176の場所)に関連付けられた1つ以上のエネルギー貯蔵装置を示すメタデータを格納してもよい。ブロック326に示されるように、予測計算装置120は、例示的な実施形態において、電力を消費する電気設備(たとえば、家150、152、工場158、オフィスビル154、156などの場所)を示すメタデータを格納する。また、ブロック328に示されるように、予測計算装置120は、例示的な実施形態において、フィーダに関連付けられた電力損失(たとえば、フィーダでの電力潮流を合計する際に勘案され得る損失)を引き起こす装置(変圧器、電力品質装置、潮流制御装置など)を示すメタデータを格納する。加えて、ブロック330に示されるように、予測計算装置120は、送電網110における場所に関連付けられた天気データ(たとえば、温度、大気条件、風速および風向、日光持続時間および強度など)を格納してもよい。いくつかの実施形態では、予測計算装置120は、送電網の構成(たとえばネットワークトポロジー)、送電網の容量(たとえば、ネームプレート定格)、送電網の状態(たとえばブレーカ設定)、および/または、送電網の専門家査定(たとえば保守記録)を示すデータを含む、追加データを収集してもよい。次に、方法300は
図4のブロック332に進み、そこで予測計算装置120は、送電網における(たとえば、送電網110の1つ以上の特定の部分における)予想電力潮流を示すカスタマイズされた予測の生成において使用可能な1つ以上のパラメータを、(たとえばクライアント計算装置122から)定義された期間にわたって受信する。
【0024】
ここで
図4を参照して、1つ以上のパラメータを受信する際、予測計算装置120は、ブロック334に示されるように、予測が関連するべき送電網における1つ以上の場所(たとえば地理的領域)を示すパラメータを受信してもよい。それに加えて、またはそれに代えて、ブロック336に示されるように、予測計算装置120は、予測(たとえば、具体的には、太陽光発電所144によって生成され、太陽光発電所144から消費されるエネルギーに関する予測)が関連するべき電気設備の1つ以上のタイプを示すパラメータを受信してもよい。ブロック338に示されるように、予測計算装置120は、予測(たとえば、具体的には、家150およびオフィスビル156のために生産され、それらによって消費される電力に関する予測)が関連するべき1人以上の電力消費者を示すパラメータを受信してもよい。ブロック340に示されるように、予測計算装置120は、予測(たとえば、具体的には、発電所140、144、146によって生産される電力に関する予測)が関連するべき1人以上の電力生産者を示すパラメータを受信してもよい。それに加えて、またはそれに代えて、ブロック342に示されるように、予測計算装置120は、予測(たとえば、具体的には、フィーダ190に提供され、フィーダ190から消費される電力に関する予測)が関連するべき1つ以上のフィーダを示すパラメータを受信してもよい。次に、ブロック344で、予測計算装置120は、パラメータ(たとえば、ブロック332からのパラメータ)を満たす、(たとえばブロック304からの)収集されたデータのサブセットを選択する。そうする際、およびブロック346に示されるように、予測計算装置120は、パラメータと一致する(たとえば、パラメータを示すキーワードまたは他のデータを含む)メタデータに関連付けられた収集されたデータのサブセットを選択する。次に、方法300は
図5のブロック348に進み、そこで予測計算装置120は、送電網110における電力潮流を予想するために、収集されたデータの選択されたサブセットから1つ以上のモデル(各々、たとえば、時間などの独立変数と、電力生産および消費などの従属変数との間の数学的関係など)を生成する。
【0025】
ここで
図5を参照して、1つ以上のモデルを生成する際、予測計算装置120は、ブロック350に示されるように、収集されたデータの選択されたサブセット(たとえば、
図4のブロック344で選択されたサブセット)のための電力潮流における傾向を識別してもよい。また、およびブロック352に示されるように、予測計算装置120は、データの選択されたサブセットのための電力潮流に対する天気の影響(たとえば、温度が基準温度から特定の量だけずれる場合の電力生産および消費の増加)を識別してもよい。例示的な実施形態では、ブロック354に示されるように、予測計算装置120は、生成されたあらゆるモデルの妥当性確認を行なう。そうする際、およびブロック356に示されるように、予測計算装置120は、キルヒホッフの第1法則を適用して、予想電力生産(たとえば、生産されるであろう電力量に関してモデルによって行なわれる予想)から予想損失(たとえば、送電網110における既知の電気設備の非効率性により損失されるであろう電力量に関する予想)を引いたものが、送電網110における1つ以上の場所(たとえば、収集されたデータのサブセットに関する、送電網110における1つ以上の場所)での予想電力消費の予め定義された範囲(たとえば、プラスマイナス1%)内にあるかどうかを判断する。たとえば、およびブロック358に示されるように、送電網110における1つ以上のフィーダが、選択されたパラメータに関連付けられている場合(たとえば、1つ以上のフィーダに関連付けられた電力生産および消費データが、収集されたデータのサブセットにおいて表わされる場合)、予測計算装置120は、1つ以上のフィーダのためにキルヒホッフの第1法則を適用してもよい。ブロック360で、複数のモデルが生成された場合、予測計算装置120は、収集されたデータにおいて表わされた履歴電力潮流に基づいて、電力潮流の最も正確な予想を提供する、生成されたモデルのセットからのモデルのうちの1つを識別してもよい。言い換えれば、予測計算装置120は、各モデルを使用して、実際の電力生産および消費データがすでに知られている以前の期間についての電力生産および消費データを予想し、モデルが実際の電力生産および消費を予想した精度を判断する。
【0026】
ブロック362で、予測計算装置120は、(たとえば、ブロック354に関連付けられた動作を使用して妥当性確認された)少なくとも1つの妥当性確認されたモデルが利用可能であるかどうかに基づいて、次の行動方針を判断する。モデルが利用可能である場合、方法300はブロック364に進み、そこで予測計算装置120は、妥当性確認されたモデルを用いて、パラメータ(たとえばブロック332からのパラメータ)に基づいて、定義された期間(たとえば、要求された予測が生成されるべき将来の期間)についての予想電力潮流(たとえば、予想生産および予想消費)の予測を生成する。そうする際、およびブロック366に示されるように、複数の妥当性確認されたモデルが利用可能である場合、予測計算装置120は、収集されたデータにおいて表わされた履歴電力潮流から最も正確な予想を提供したモデル(たとえば、ブロック360で最も正確であると識別されたモデル)を用いて、予測を生成する。予測が生成された後で、予測計算装置120は、予測を示すデータをネットワーク130を通して要求元装置(たとえば、クライアント計算装置122)に送信することなどによって、予測を要求元装置に提供してもよい。
【0027】
ブロック362を再度参照して、利用可能な妥当性確認されたモデルはないと予測計算装置120が判断した場合、方法300は代わりにブロック368へ分岐し、そこで予測計算装置120は、収集されたデータが間違っているかまたは不完全であることを示すエラーメッセージを生成する。たとえば、予測計算装置120は、送電網に存在する電気設備に関する収集されたデータが間違っているかまたは不完全である(たとえば、送電網110のトポロジーを示す収集されたデータは、存在し損失を引き起こしている電気設備に関する欠測データである)ことを示すエラーメッセージを生成してもよい。これに応答して、予測計算装置120のオペレータは、欠測データを予測計算装置120に提供して、予測計算装置120が、ブロック354の妥当性確認プロセスを満たすモデル(たとえば、キルヒホッフの第1法則を満たすモデル)を生成することを可能にしてもよい。次に、ブロック364で予測が生成された後、または、ブロック368でエラーメッセージが生成された後で、方法300は
図3のブロック302に戻ってもよく、そこで予測計算装置120は、動的予測を可能にし続けるかどうかを判断してもよい。
【0028】
ある例示的な実施形態が、図面および前述の説明において詳細に説明されてきたが、そのような例示および説明は性質が限定的でなく例示的であると考えられるべきであり、単なる例示的な実施形態が示され説明されたことと、この開示の精神の範囲に入るすべての変更および修正は保護されることが望まれることとが理解される。ここに説明される機器、システム、および方法のさまざまな特徴から生じる、本開示の複数の利点が存在する。なお、本開示の機器、システム、および方法の代替的な実施形態は、説明された特徴をすべて含むとは限らないかもしれないが、それでも依然として、そのような特徴の利点のうちの少なくともいくつかから利益を得る。当業者であれば、本開示の特徴のうちの1つ以上を取り入れる機器、システム、および方法の自分自身の実現化例を容易に考案し得る。