(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-21
(45)【発行日】2023-01-04
(54)【発明の名称】住環境体感施設
(51)【国際特許分類】
G09B 25/04 20060101AFI20221222BHJP
G06K 19/06 20060101ALI20221222BHJP
G06K 7/14 20060101ALI20221222BHJP
G06K 7/10 20060101ALI20221222BHJP
G10L 13/00 20060101ALI20221222BHJP
【FI】
G09B25/04
G06K19/06 037
G06K7/14 017
G06K7/10 436
G10L13/00 100Z
(21)【出願番号】P 2018082833
(22)【出願日】2018-04-24
【審査請求日】2021-01-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080182
【氏名又は名称】渡辺 三彦
(72)【発明者】
【氏名】小東 陽子
(72)【発明者】
【氏名】大谷 康則
【審査官】宮本 昭彦
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-090861(JP,A)
【文献】特開2004-287229(JP,A)
【文献】特開2012-113738(JP,A)
【文献】特開2002-063554(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 1/00 - 9/56
G09B 17/00 - 19/26
G09B 23/00 - 29/14
A63H 1/00 - 37/00
G06K 19/06
G06K 7/14
G06K 7/10
G10L 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
住宅の性能及び使用勝手を擬似的に体感する住環境体感施設であって、
前記住宅を構成し、表面に二次元コードからなる識別情報を付された構成部材と、
前記識別情報を読み取って前記構成部材に関連する音声情報を再生する携帯可能な読取再生手段と、
表面に前記識別情報を付された家具を有し、前記構成部材によって居住空間を模して形成された展示室を更に備え、
前記読取再生手段には、住環境体感施設内に設置された全ての識別情報に対応した音声情報が記憶されており、
前記読取再生手段は、前記構成部材又は前記家具に付された前記識別情報を読み取って前記居住空間に関連する音声情報を再生するものであり、
前記読取再生手段は、複数種類備えられ、同一の前記識別情報に対して音声情報を来館する子供の年齢や性別に応じて子供に理解し易い最適な音声情報が記憶された読取再生手段を選択でき再生するものであり、
前記読取再生手
段は、ペン型の
音声ペンで先端部に識別情報を画像データとして取り込むカメラを識別情報
に押し当てて取り込むことによって、画像データをデジタル化して数値に変換し、この数値に対応した予め記憶されている音声情報を内蔵スピーカーより、当該読取再生手段を携帯する子供に聞こえる程度の音量で再生するもので
あり、
前記住環境体感施設の前記展示室の壁面には年齢別の人物イラストが描かれており、それぞれの人物イラスト部分には前記識別情報が付され、前記読取再生手段で情報を読み取ると、前記読取再生手段は人物イラストに該当する人物の運動機能や身体的特徴に関する音声情報を再生し、更に、前記読取再生手段により再生された前記音声情報に基づき擬似的に体感すべき室が設けられていることを特徴とする住宅環境体感施設。
【請求項2】
前記音声ペンがUSBケーブルでパーソナルコンピュータ(以下PC)に接続することによりPCから音声情報を必要に応じて変更することができることを特徴とする
請求項1に記載の住宅環境体感施設。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅の性能及び使用勝手を擬似的に体感する住環境体感施設に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、工業化住宅の購入検討者に対して住宅への理解や知識を深めてもらうための住宅体験施設が提案されている(例えば、特許文献1及び特許文献2)。これらの施設は、住宅の防音性能、断熱性能、気密性能、及びインテリアコーディネートを擬似的に体感するために室内外空間を模して形成した複数の展示室から構成されており、住宅購入検討者は、施設案内員の誘導に沿って住宅の様々な性能や使用勝手を擬似的に体感するとともに、説明を受けることによって購入を検討している住宅についての知識を深めることができる。
【0003】
このような住宅体験施設は、住宅の購入を検討する大人を対象として構成されているため、子供が疑似体験の内容や施設案内員の説明を正しく理解することは難しく、子供達に住環境についての知識を深める機会を与えるまでには至っていなかった。しかしながら、子供達にとっても居住空間についての知識を得ることは日常生活を送るうえで大切なことであり、また年齢を重ねていく中で自分達がどのような生活を送りたいか自主的に考える機会を与えることは、子供達が将来良好な住環境を形成する際に役立つことになる。
【0004】
一方、ドットパターンで形成された二次元コードを絵本やゲームカードに印刷し、この二次元コードを専用のスキャナで読み取ることによりスキャナが特定の音声情報を再生するトレース装置が提案されている(特許文献3)。この従来の発明では、ドットパターンを印刷物や玩具に付すことにより学習教材として使用できる旨が開示されており、例えば、住環境に関するパンフレットや絵本、玩具などにこれらのドットパターンを印刷すれば住教育のための教材を作成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2000-181341
【文献】特開2001-22262
【文献】特開2017-64449
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献3に記載のトレース装置を使用して新たに子供向けの住環境に関する教材を作成すると費用や手間がかかり経済的な負担が大きくなる。また、従来型の住環境体感施設に子供向けの案内表示板を設置したり、施設案内員による説明を子供が理解できるような易しい内容へ変更すると、住宅購入を検討する大人達に雑多な印象を与えるだけでなく、大人達が住宅への理解や知識を十分に深めることができない可能性がある。
【0007】
そこで、本発明は上述した課題を鑑みてなされたものであり、住宅の性能及び使用勝手を擬似的に体感する住環境体感施設であって、大人と子供がそれぞれ快適に住宅についての理解を深めることができる住環境体感施設を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1の住環境体験施設は、住宅の性能及び使用勝手を擬似的に体感する住環境体感施設であって、
前記住宅を構成し、表面に二次元コードからなる識別情報を付された構成部材と、
前記識別情報を読み取って前記構成部材に関連する音声情報を再生する携帯可能な読取再生手段と、
表面に前記識別情報を付された家具を有し、前記構成部材によって居住空間を模して形成された展示室を更に備え、
前記読取再生手段には、住環境体感施設内に設置された全ての識別情報に対応した音声情報が記憶されており、
前記読取再生手段は、前記構成部材又は前記家具に付された前記識別情報を読み取って前記居住空間に関連する音声情報を再生するものであり、
前記読取再生手段は、複数種類備えられ、同一の前記識別情報に対して音声情報を来館する子供の年齢や性別に応じて子供に理解し易い最適な音声情報が記憶された読取再生手段を選択でき再生するものであり、
前記読取再生手段は、ペン型の音声ペンで先端部に識別情報を画像データとして取り込むカメラを識別情報に押し当てて取り込むことによって、画像データをデジタル化して数値に変換し、この数値に対応した予め記憶されている音声情報を内蔵スピーカーより、当該読取再生手段を携帯する子供に聞こえる程度の音量で再生するものであり、
前記住環境体感施設の前記展示室の壁面には年齢別の人物イラストが描かれており、それぞれの人物イラスト部分には前記識別情報が付され、前記読取再生手段で情報を読み取ると、前記読取再生手段は人物イラストに該当する人物の運動機能や身体的特徴に関する音声情報を再生し、更に、前記読取再生手段により再生された前記音声情報に基づき擬似的に体感すべき室が設けられていることを特徴とする住宅環境体感施設としたことにある。
【0009】
本発明の第2の住環境体験施設は、前記音声ペンがUSBケーブルでパーソナルコンピュータ(以下PC)に接続することによりPCから音声情報を必要に応じて変更することができることにある。
【発明の効果】
【0013】
本発明の第1の住環境体感施設によると、住宅を構成し、識別情報を付された構成部材と、識別情報を読み取って構成部材に関連する音声情報を再生する携帯可能な読取再生手段と、を備えているので、予め子供が理解できる内容の構成部材に関する音声情報を読取再生手段に記憶させておき、子供が読取再生手段を識別情報に押し当てて情報を読み取ると、構成部材自体が構成部材に関する性能や住宅に与える効果について説明するような印象を子供に与えることができ、子供は遊び感覚で楽しみながら住宅に使用される構成部材の知識を高めることができる。
【0014】
本発明の第1の住環境体感施設によると、展示室は、表面に識別情報を付された家具を有し、構成部材によって居住空間を模して形成されており、読取再生手段は、構成部材又は前記家具に付された識別情報を読み取って居住空間に関連する音声情報を再生する。したがって、予め子供が理解できる内容の居住空間に関する音声情報を読取再生手段に記憶させておき、子供が読取再生手段を構成部材や家具に付された識別情報に押し当てて情報を読み取ると、構成部材や家具自体が居住空間の雰囲気や使用勝手について教えてくれているような印象を子供に与えることができ、子供は遊び感覚で楽しみながら居住空間に関する知識を高めることができる。
【0015】
本発明の第1の住環境体感施設によると、読取再生手段は複数種類備えられ、同一の識別情報に対してそれぞれ異なる音声情報を再生するので、例えば、構成部材に付された1つの識別情報を複数の読取再生手段でそれぞれ読み取ると、構成部材や居住空間に関する様々な知識を得ることができる。したがって、1つの構成部材や居住空間をテーマとしたグループ学習を行う際に、子供達は様々な観点から構成部材又は居住空間についての知識を深めることができる。
【0016】
本発明の請求項1の住環境体感施設によると、同一の前記識別情報に対して音声情報を来館する子供の年齢や性別に応じて子供に理解し易い最適な音声情報が記憶された読取再生手段を選択でき再生するので、子供達はより良く構成部材や家具などの展示物の理解度を深めることが出来る。更に、ペン型で先端部に識別情報を画像データとして取り込むカメラを識別情報押し当てて取り込むことによって、画像データをデジタル化して数値に変換し、この数値に対応した予め記憶されている音声情報を内蔵スピーカーより、当該読取再生手段を携帯する子供に聞こえる程度の音量で再生するものであるから、子供達はコンピュータの利用に関する理解を深めることが出来ると共に、移動しながら説明を聞くことが出来る。加えて、人物自体が自身の運動機能について話し、また家自体が居住空間に関する注意事項について教えてくれるような印象を子供達などの観覧者に与える効果を有するのである。
【0017】
本発明の第2の住環境体感施設によると、前記音声ペンがUSBケーブルでパーソナルコンピュータ(以下PC)に接続することによりPCから音声情報を必要に応じて変更することができるので、構成部材や家具などの展示物が健康になった場合でも、説明内容の変更が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図3】第1展示室に展示される構成部材を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、住環境体感施設の最良の実施形態について各図を参照しつつ説明する。
図1は住宅の様々な性能及び使用勝手を擬似的に体感するための住環境体感施設1を示す一例であり、施設中央に位置する受付コーナー10を囲んで建築材料の性能について学ぶ第1展示室11、照明について学ぶ第2展示室12、キッチン・ダイニングの使用勝手を体感する第3展示室13、住宅の収納及びインテリアコーディネートについて学ぶ第4展示室14、及び様々な人々の運動機能を擬似的に体感する第5展示室15を設置している。住環境体感施設1の主な来館者は住宅の購入を検討する大人達であるが、大人に連れられて子供達が来館することもある。大人の来館者は、受付コーナー10で受付を済ませた後、施設案内員の説明を受けながら各展示室に設置された住宅に関連する展示物の性能や使用勝手を順番に体感し、住宅についての知識を深めることができる。したがって、施設案内員による説明や各展示室に設置される展示案内板の説明は大人を対象としており、子供が理解することを想定していない。なお、住環境体感施設1の平面形状は、
図1の形状に限定されることはなく、その他の形状であってもよい。
【0020】
住環境体感施設1の各展示室には、
図2に示す二次元コードからなる識別情報2が各所に配置されており、識別情報2を読み取るための携帯可能な読取再生手段3で各所の識別情報2を読み取ると、読取再生手段3から特定の音声情報が再生される。来館した子供達は施設案内員より読取再生手段3の使い方を教わり、各所に配置された識別情報2を読取再生手段3によって各自で読み取りながら住宅についての知識を得ていく。
【0021】
図2に示す識別情報2は、カーボンインクや透明インクで印刷されたドットパターンからなる二次元コードである。識別情報2は、裏面に糊の付いた紙やプラスチックフィルムで形成されるシールの表面に印刷されて識別情報2を付したい対象物に貼着されたり、識別情報2を付したい対象物に直接印刷されるが、シールのように対象物に後付け可能とすれば、対象物に予め印刷する手間を省くことができるとともに、識別情報2が万が一損傷しても損傷した識別情報2を剥がして新たな識別情報2に貼替えるだけでよいので利便性を向上させることができる。識別情報2の二次元コードは、例えば、グリッドマーク株式会社のGrid Onputを好適に用いることができる。Grid Onputであれば、極小の二次元コードとすることができるので、各展示室に識別情報2を貼着しても目立ち過ぎることはなく、大人達は雑多な印象を受けずに快適に施設を回ることができる。
【0022】
図2に示すペン型の読取再生手段3は、先端部に識別情報2を画像データとして取り込むカメラ31を有しており、カメラ31を識別情報2に押し当てて取り込むと画像データをデジタル化して数値に変換し、数値に対応した予め記憶されている音声情報を内蔵スピーカー32より再生することができる。読取再生手段3は、先述のGrid Onputで形成された識別情報2を読み取る前記したグリッドマーク株式会社の音声ペンを好適に使用することができる。読取再生手段3が音声ペンであれば、読取再生手段3をUSBケーブルでパーソナルコンピュータ(以下PC)に接続することによりPCから音声情報を必要に応じて変更することができるので、利便性を向上させることができる。また、読取再生手段3に記憶させる音声情報を子供の年齢や性別に応じて変更することにより、子供達はより一層住環境についての理解を深めることができる。なお、識別情報2は、ドットパターンに限らずQRコード(登録商標)やその他の二次元コードでもよく、また読取再生手段3は、識別情報2を読取って識別情報2に関連する音声情報を再生することができるものであれば、その他の読取機器を使用してもよい。
【0023】
以下、来館した子供が、読取再生手段3を用いて住環境体感施設1内を順に回る場合について説明をする。施設案内員は、来館した子供達の年齢や性別に応じてそれぞれの子供に最適な音声情報が記憶された読取再生手段3を選択し、子供達に貸し出す。なお、読取再生手段3には、住環境体感施設1内に設置された全ての識別情報2に対応した音声情報が記憶されており、子供達は1つの読取再生手段3で全ての識別情報2を読み取ることができる。
図1に示す第1展示室11には、住宅に使用される構造材、断熱材や吸湿材のような機能性建材、室内に面して使用される内装材、及び開口部に使用されるガラスのような面材など、
図3に示すような建築材料である構成部材4が複数設置されており、その表面に識別情報2が付されている。また読取再生手段3には、予め子供が理解できる易しい内容の構成部材4に関連する音声情報が記憶されており、読取再生手段3で識別情報2を読み取ると、読み取った識別情報2の付された構成部材4に対応する音声情報が
図2に示す内蔵スピーカー32より再生される。なお、再生される音声情報は、読取再生手段3を携帯する子供に聞こえる程度の音量で再生される。
【0024】
例えば
図3(a)に示すように、構成部材4である木板41A、レンガ板41B、コンクリート板41C、鉄板41Dにそれぞれ異なる識別情報2を付して展示しておき、読取再生手段3を木板41Aに付された識別情報2に押し当てて情報を読み取ると、読取再生手段3が木板41Aの性能や特徴に関連する音声情報を再生する。したがって、木板41A自体が木板41Aについての性能や特徴を話しているような印象を子供達に与えることができ、子供達は遊び感覚で楽しみながら木板41Aについての知識を深めることができる。また同様に、レンガ板41B、コンクリート板41C、鉄板41Dに付された各々の識別情報2を読み取ると、読取再生手段3は識別情報2の付されたそれぞれの部材についての性能や特徴に関連する音声情報を再生することができ、子供達は異なる部材の性能や特徴を比較しながら理解することができる。さらに、識別情報2は、
図3(b)に示すように、廻り縁41E、ビニル幅木41F、フローリング材41G、壁紙41H、といった住宅の様々な部位に使用される構成部材4にそれぞれ付してもよいし、
図4に示すように、住宅の居室を模した室内空間に面する内装材41Iや柱材41Jに直接付してもよい。子供達は、このように読取再生手段3による音声情報を聞きながら様々な建築材料に触れることによって、自分達が生活している住宅がどのような材料で形成されているかを理解することができる。
【0025】
図1に示す第2展示室12は、
図5に示すように、構成部材4として吊り下げ式やスタンド式の様々な種類の照明器具42が展示される第1室12Aと、
図6(a)に示すように、住宅の廊下を模して形成され、床面、天井面、壁面、及び壁面に飾られた展示物を照射する間接照明43を設置した第2室12Bと、を具備している。
図5に示すように、第1室12Aに設置される照明器具42の表面にはそれぞれ異なる識別情報2が付されており、また、
図6(a)に示す間接照明43付近の壁面には、
図6(b)に示すように間接照明43を点灯又は消灯するスイッチボタン44aと、スイッチボタン44aを取り囲み、表面に識別情報2を付されたプレート44bと、を有する手元スイッチ44が設置されている。そして、読取再生手段3には予め子供が理解できる易しい内容の照明器具42及び間接照明43に関連する音声情報が記憶されている。
【0026】
第1室12Aに設置された照明器具42の識別情報2を読取再生手段3で読み取ると、読取再生手段3は、照明器具42の名称や特徴に関する音声情報を再生する。したがって、照明器具42自体が照明器具42についての名称や特徴を話しているような印象を子供達に与えることができるので、子供達は遊び感覚で楽しみながら様々な照明器具42についての知識を深めることができる。
【0027】
また、
図6(a)に示す第2室12Bに設置された間接照明43は、照明光の当たる角度や方向によって居住空間の印象を変えることができ、来館者は
図6(b)の手元スイッチ44で間接照明43を点灯及び消灯して間接照明43の効果を体感することができる。プレート44bに付された識別情報2に読取再生手段3を押し当てて情報を読み取ると、読取再生手段3は間接照明43の居住空間に与える効果について関連する音声情報を再生する。したがって、手元スイッチ44自体が間接照明43に関する効果を話しているかのような印象を子供達に与えるので、子供達は楽しみながら間接照明43についての知識を深めることができる。なお、第2室12Bは、住宅の廊下以外にも様々な居室を模して形成される展示室であってもよく、また、第2室12Bの識別情報2は、手元スイッチ44ではなく壁面に付されてもよい。
【0028】
図1に示すように、第3展示室13は、異なる複数のレイアウトのキッチン・ダイニングを模して形成されており、構成部材4によって形成された空間内に家具5や設備機器6を設置している。家具5の表面には図外の識別情報2が付されており、読取再生手段3で情報を読み取ると、読取再生手段3は、キッチン・ダイニングに関連する音声情報を再生する。またこのとき、子供が複数いる場合は読取再生手段3を子供の人数分用意し、それぞれの読取再生手段3で同一の識別情報2を読み取るとそれぞれ異なる音声情報、例えば「どんな雰囲気の場所で食事をしたい?」、「どんな色の照明だと食べ物が美味しそうに見えるかな?」、「ホームパーティをするならどんなキッチンとダイニングがいいかな?」などのようなキッチン・ダイニングに関連する異なる質問事項を再生させるようにしておいてもよい。そうすることによって、それぞれの子供が様々な観点からキッチン・ダイニングについて考察することができ、例えばキッチン・ダイニングをテーマとしたグループ学習を行うことができる。なお、第3展示室13は、キッチン・ダイニング以外の居住空間を模して形成したものであってもよく、複数の読取再生手段3を用意した場合にそれぞれの読取再生手段3に記憶させる音声情報は、子供達の性別や年齢に応じて異ならせてもよい。
【0029】
図7に示す第4展示室14は、子供部屋を模して形成された第3室14A及びウォークインクローゼットを再現した第4室14Bとを具備しており、第3室14Aには机5Aやベッド5B、ソファ5Cなどの家具5の他に、壁面棚5Dに設置された机5Aを装飾するための複数のインテリア雑貨5E、及び第4室14B内に設置される収納棚7に収納するための複数の収納物8が設置されている。
【0030】
机5A、インテリア雑貨5Eの表面には、それぞれ異なる識別情報2が付されており、読取再生手段3で机5Aに付された識別情報2を読み取ると、読取再生手段3はインテリア雑貨5Eを机5Aへ設置するよう促す音声情報(例えば「僕(机5A)を君の好きな雑貨で飾ってみよう」、「私(机5A)に似合う雑貨を飾ってみてね」など)を再生し、また、読取再生手段3でインテリア雑貨5Eに付された識別情報2を読み取ると、読取再生手段3はインテリア雑貨5Eに関連する音声情報(例えば、「僕(インテリア雑貨5E)は明るい色の木を使って出来たフォトスタンドだよ。僕をお部屋に飾ると温かみのある雰囲気になるよ。」など)を再生する。したがって、机5A自体が机5Aをインテリア雑貨5Eで飾るように促し、インテリア雑貨5E自体がインテリア雑貨5Eの特徴や部屋に与える効果を説明しているような印象を子供達に与えるので、子供達は、遊び感覚で楽しみながらインテリアコーディネートを実践し、自分に合った住環境を整える力を培うことができる。なお、本実施形態では第3室14Aを子供部屋を模して形成しているが、子供部屋に限定する必要はなく、住宅のその他の居室を模して形成してもよい。
【0031】
収納物8は、ランドセルや備品を入れる手さげバッグなどの鞄類、マフラーや帽子などの服飾雑貨、ボールや玩具などの遊び道具といった子供達が日頃から使用している生活用品であり、第4室14B内の収納棚7に収納することができる。複数の収納物8と収納棚7の表面には、それぞれ異なる識別情報2が付されており、読取再生手段3で収納物8に付された識別情報2を読み取ると、読取再生手段3は収納物8を収納棚7へ収納するように促す音声情報(例えば、「僕(収納物8)を置きっぱなしにしないで。棚に仕舞って欲しいなぁ。」、「私(収納物8)を収納棚のあるお部屋に連れて行って欲しいなぁ。」など)を再生し、また、読取再生手段3で収納棚7に付された識別情報2を読み取ると、読取再生手段3は収納物8の収納に関連する音声情報(例えば、「ここは広いスペースだから大きな鞄を載せるのに丁度いいよ。」、「ここは小さな棚がいくつかあるから、種類別におもちゃを収納すると使いやすいかもしれいないよ。」など)を再生する。したがって、収納物8自体が収納物8を収納棚7に片づけるように促し、収納棚7自体が収納できる収納物8についてのヒントを教えてくれるような印象を子供達に与えることができるので、子供達は、遊び感覚で「お片づけ」を楽しみ、収納物8をどのように収納したらよいか自主的に考える力を身に付けることができる。
【0032】
図1に示すように、第5展示室15は、居住空間を再現した第5室15Aと、年齢別の人の運動機能について学ぶことができる第6室15Bとから構成されている。
図8に示す第5室15Aは、構成部材4である壁材45で間仕切ることによって住宅の各室を形成しており、室内に設置された車椅子81に乗ったり、足に重りを装着することで車椅子使用者や高齢者の運動機能を擬似的に体感することができる。また、第5室15A内の段差82、出入口83付近及び廊下84の壁材45の表面には図外の識別情報2が付されており、それぞれの識別情報2に読取再生手段3を押し当てて情報を読み取ると、読取再生手段3が段差82や出入口83及び廊下84の寸法に関する音声情報を再生する。
【0033】
図9に示すように、第6室15Bは、壁材45で構成された壁面に年齢別の人物イラストが描かれている。それぞれの人物イラスト部分には識別情報2が付され、読取再生手段3で情報を読み取ると、読取再生手段3は人物イラストに該当する人物の運動機能や身体的な特徴に関する音声情報を再生する。
【0034】
例えば、
図9に示す第6室15Bの車椅子を使用している人物イラストに付された識別情報2を読取再生手段3で読み取ると、読取再生手段3は、「家の中を車椅子で移動するとき、廊下の幅や出入口の幅が狭いと上手く移動することができないわ。」というように車椅子使用者に関する音声情報を再生する。そして子供は
図8に示す第5室15Aへと移動し、実際に車椅子81に乗って廊下や出入口を通過することで車椅子81の使用勝手について体感する。このとき、読取再生手段3で出入口83付近及び廊下84の壁材45に付された識別情報2を読み取ると、「車椅子を使用する場合は、廊下(出入口)の幅を広くしなければ車椅子が通ることができないよ。廊下(出入口)の幅が○mm以上であれば、車椅子と人とがすれ違うことができるよ。」というように住居内を車椅子使用者が移動する場合における出入口83や廊下84の幅についての音声情報が再生される。
【0035】
また例えば、
図9に示す第6室15Bの杖をついている人物イラストに付された識別情報2を読取再生手段3で読み取ると、読取再生手段3は、「若い頃よりも足を動かすことが難しくなってきたから、小さな段差でも上り下りをすることがしんどいなぁ。」というように高齢者の運動機能に関する音声情報を再生する。そして子供は
図8に示す第5室15Aへと移動し、足に重りを装着して高齢者の運動機能を擬似的に体感する。このとき、識別手段3で段差82付近の壁面に付された識別情報2を読み取ると、「お年寄りの人達は、運動機能が低下しているので小さな段差でも躓く危険性があるよ。段差の高さを○mm以下にすると段差で躓く可能性が低くなるよ。」というような段差82が高齢者に与える影響についての音声情報が再生される。
【0036】
したがって、人物イラスト自体が自身の運動機能について話し、また家自体が居住空間に関する注意事項について教えてくれているかのような印象を子供達に与えるので、子供達は興味を持ちながら音声情報を聞き、居住者のそれぞれの運動機能によって居住空間の各所に求められる寸法が異なることを理解することができる。なお、
図9では人物イラストを年齢別としているが、体型別の人物イラストや、妊婦や松葉杖使用者などの人物イラストとしてもよい。
【0037】
このように、住環境体感施設1は、今まで大人を対象としていた従来型の体感施設と異なり、大人と子供とが共に住環境についての知識を得ることができる。また子供達は、自身で施設内の各所に配置された識別情報2を読取再生手段3で読み取ることにより住環境に関連する知識を深めることができるので、施設内に子供向けの展示案内板を新たに設ける必要がなく、大人達は雑多な印象を受けずに施設案内員の説明を聞いて住環境に関する理解を深めることができる。さらに、二次元コードをシールに印刷した識別情報2とすれば、識別情報2自体が万が一損傷した場合でも損傷した識別情報2を剥がして新しい識別情報2に取替えるだけでよく、また、展示されている構成部材4等を新しいものに入れ替える際に、新たな識別情報2を新しい構成部材4等に貼着するだけでよい。そして、読取再生手段3を音声ペンとした場合は、読取再生手段3に記憶されている音声情報を更新する際に読取再生手段3をPCに接続して音声情報を組み替えるだけでよい。したがって、読取再生手段3自体を取り替えたり、識別情報2を施設内の各所に配置するための特殊な展示物や装置を必要としないので、従来型の体感施設を利用して経費をかけずに住環境体感施設1を構築することができる。
【0038】
また、本発明の実施の形態は上述の形態に限ることなく、本発明の思想の範囲を逸脱しない範囲で適宜変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明に係る住環境体感施設は、子供連れの家族が来場する際や、子供の社会見学を行う際に好適に使用することができる。
【符号の説明】
【0040】
1 住環境体感施設
2 識別情報
3 読取再生手段
4 構成部材
5 家具
5A 机
5E インテリア雑貨
7 収納棚
8 収納物