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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-21
(45)【発行日】2023-01-04
(54)【発明の名称】加熱処理方法及び光加熱装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/26 20060101AFI20221222BHJP
   H05B 3/00 20060101ALI20221222BHJP
【FI】
H01L21/26 F
H05B3/00 310B
H05B3/00 370
H01L21/26 T
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019060462
(22)【出願日】2019-03-27
(65)【公開番号】P2020161677
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2021-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000102212
【氏名又は名称】ウシオ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】溝尻 貴文
(72)【発明者】
【氏名】上嶋 由紀夫
【審査官】佐藤 靖史
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-027001(JP,A)
【文献】特表2014-502012(JP,A)
【文献】特開2007-141896(JP,A)
【文献】特表2005-536045(JP,A)
【文献】特開2011-077065(JP,A)
【文献】特開2008-060560(JP,A)
【文献】特表2012-524400(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/26
H05B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱ランプ及びLEDの双方に対して電力を供給し、前記加熱ランプから出射される光と、前記LEDから出射される光とを照射して加熱対象物を昇温させる工程(A)と、
前記工程(A)の実行後、前記加熱ランプに供給する電力を低下させる工程(B)と、
前記工程(B)の実行後、前記LEDに供給する電力を低下させることで、前記加熱対象物を降温させる工程(C)とを含むことを特徴とする加熱処理方法。
【請求項2】
前記工程(B)は、前記加熱対象物の温度を所定の温度範囲内に維持する工程であることを特徴とする請求項1に記載の加熱処理方法。
【請求項3】
前記工程(B)は、所定の時刻から前記工程(C)の開始前の間にわたって、前記LEDに供給する電力を維持する工程を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の加熱処理方法。
【請求項4】
前記工程(A)は、昇温開始時から所定時間にわたって、前記加熱ランプから出射される光の強度よりも、前記LEDから出射される光の強度が高い期間を有することを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の加熱処理方法。
【請求項5】
加熱ランプと、
LEDと、
前記加熱ランプと前記LEDに供給する電力を制御する制御部と、
加熱対象物を支持するための支持部材とを備え、
前記制御部は、
前記加熱ランプと前記LEDの双方に対して電力を供給する第一制御と、
前記第一制御の実行後に前記加熱ランプに供給する電力を低下させる第二制御と、
前記第二制御の実行後に前記LEDに供給する電力を低下させる第三制御を実行することを特徴とする光加熱装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記第二制御において、所定の時刻から前記第三制御の開始前の間にわたって、前記LEDに供給する電力を維持する制御を行うことを特徴とする請求項5に記載の光加熱装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記第一制御において、昇温開始時から所定時間にわたって、前記加熱ランプから出射される光の強度よりも、前記LEDから出射される光の強度が高い期間を有するように制御することを特徴とする請求項5又は6に記載の光加熱装置。
【請求項8】
前記加熱対象物の温度を測定する温度計を備え、
前記制御部は、前記温度計が測定した前記加熱対象物の温度が所定の温度に達したことを検知すると、前記第一制御から前記第二制御に切り替えることを特徴とする請求項5~7のいずれか一項に記載の光加熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱処理方法及び光加熱装置に関し、特に二つの異なる光源を用いた加熱処理方法及び光加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シリコンウェハの加熱処理には、加熱ランプによる光加熱装置が主に用いられているが、近年では、加熱ランプよりも省電力であり、加熱に適した光のスペクトルを選択できるといった特徴から、光源にLEDを用いた加熱装置も検討されている。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、シリコンウェハに対して吸収率の高い波長の光を出射するLEDと、ハロゲンランプとを組み合わせた光源による光加熱装置の構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2014-502012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
最近の半導体製造業においては、一つの製造拠点において年間で数十万から数百万枚ものシリコンウェハが製造されており、一枚ごとの処理にかかる時間が一秒でも短い製造装置や処理装置が期待されている。また、シリコンウェハ(以下、その他の加熱対象となるものも含めて「加熱対象物」と称する。)の加熱処理工程(例えば、成膜工程やエッチング工程等)においては、加熱処理に必要な時間よりも長く高温状態が維持されると、加熱対象物において意図しない化学反応等が起こってしまうことがあり、特に急速に降温できる光加熱装置が期待されている。
【0006】
ところが、ハロゲンランプ等の加熱ランプによる光加熱装置は、供給された電力の変化が出射する光強度の変化として表れる応答特性(以下、単に「応答性」という。)が遅く、さらに、構成するガラスやフィラメントの熱容量が大きいことから、応答性を速めることには限界があり、昇降温を速めることが困難であった。
【0007】
そこで、本発明者らは、加熱ランプよりも応答性が速く、ガラスやフィラメントを構成要素としないLEDを用いることによって、加熱対象物を昇降温させる時間の短縮を検討したところ、下記の課題が存在することを見出した。以下、図面を参照しながら説明する。
【0008】
まず、加熱ランプの一例としてのハロゲンランプとLEDの応答性の違いを説明する。図10Aは、電力供給を開始した時点(昇温時)のハロゲンランプとLEDの出射光量の変化を示すグラフであり、図10Bは、点灯状態から電力供給を停止した時点(降温時)のハロゲンランプとLEDの出射光量の変化を示すグラフである。
【0009】
図10Aが示すように、電力供給開始時において、ハロゲンランプは、最大出力の90%に到達するのに約0.5秒を要している。それに対して、LEDは約0.02秒で最大出力に到達している。また、図10Bが示すように、電力供給停止時について、ハロゲンランプは、最大出力から最大出力の10%まで低下するのに約0.4秒を要している。それに対して、LEDは約0.01秒でほぼ0%となっている。
【0010】
このことからわかるように、LEDは、ハロゲンランプに対して応答性が速いため、光加熱装置の加熱用の光源としてLEDを用いることは、処理工程の時間短縮に非常に有効であると考えられる。
【0011】
ところが、LEDは、電力を供給しすぎると自己発熱によって消灯や破壊が起きてしまうことから、供給できる電力に限界がある。そのため、LEDのみで構成された光加熱装置は、ハロゲンランプで構成された光加熱装置が出射する光と同等のエネルギーの光を出射することができない。LEDのみで構成された光加熱装置は、例えば、シリコンウェハの成膜処理工程等においては、シリコンウェハを約800℃付近まで昇温させる必要があるところ、約400~500℃までしか昇温できない。
【0012】
そこで、LEDの速い応答性を活用しつつ、高い温度まで加熱対象物を昇温させるべく、上記特許文献1のように、LEDとハロゲンランプ等の加熱ランプとを組み合わせることが考えられる。
【0013】
しかしながら、単純に加熱ランプとLEDを組み合わせただけでは昇降温時間の短縮にはつながらない。特に降温時間は、ハロゲンランプの遅い応答性があるため、降温時間を短縮させるためには、ハロゲンランプの影響を受けず、LEDの応答性によって急速に降温できるように、それぞれの光源を適切に制御する必要がある。
【0014】
本発明は、上記課題に鑑み、加熱ランプとLEDを組み合わせた光源によって、加熱対象物を急速に昇降温させる加熱処理方法及び光加熱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の加熱処理方法は、
加熱ランプ及びLEDの双方に対して電力を供給し、前記加熱ランプから出射される光と、前記LEDから出射される光とを照射して加熱対象物を昇温させる工程(A)と、
前記工程(A)の実行後、前記加熱ランプに供給する電力を低下させる工程(B)と、
前記工程(B)の実行後、前記LEDに供給する電力を低下させることで、前記加熱対象物を降温させる工程(C)とを含むことを特徴とする。
【0016】
加熱対象物を昇温させる工程(A)は、加熱ランプとLEDの双方に対して電力を供給し、両方の光源からの光を加熱対象物に照射させて加熱対象物を所定の温度まで昇温させる。昇温開始直後は、LEDの応答性の速さによって、LEDから出射される光で昇温可能な温度まで急速に昇温される。そして、加熱ランプの出力が徐々に大きくなってくると、LEDによって昇温されている温度から、加熱ランプによって出射される光によってさらに昇温され、最終的に加熱ランプとLEDの双方から出射される光によって目標温度付近まで昇温される。
【0017】
上記の方法によれば、加熱ランプとLEDの双方から出射される光によって加熱対象物を昇温させることで、LEDの速い応答性によって昇温開始直後の昇温が速まり、目標温度に到達するまでの昇温時間が短縮される。
【0018】
工程(A)によって、所定の温度に到達した後、もしくは所定の温度に達すると想定される時間が経過した後は、加熱ランプに供給する電力を低下させる工程(B)を行い、加熱ランプが出射する光の強度を低下させる。
【0019】
工程(B)の実行後、工程(C)は、LEDに供給する電力を低下させ、LEDが出射する光の強度を低下させることで加熱対象物を降温させる。かかる方法によれば、降温時にはすでに加熱ランプの出力が低下しているため、加熱対象物が加熱ランプの遅い応答性の影響を受けることなく、LEDの速い応答性によって降温され、降温時間が短縮される。
【0020】
なお、工程(B)における、「加熱ランプに供給する電力を低下させる」とは、加熱ランプに対して供給する電力を制御して小さくする方法であってもよく、電力を停止させる方法や、スイッチによって供給経路を遮断する方法であってもよい。また、工程(C)における、「LEDに供給する電力を低下させる」についても同様である。
【0021】
上記加熱処理方法において、
前記工程(B)は、前記加熱対象物の温度を所定の温度範囲内に維持する工程であっても構わない。
【0022】
また、上記加熱処理方法において、
前記工程(B)は、所定の時刻から前記工程(C)の開始前の間にわたって、前記LEDに供給する電力を維持する工程を含んでいても構わない。
【0023】
加熱対象物の加熱処理、例えば、加熱対象物(シリコンウェハ)の成膜処理のような工程では、成膜処理を進行させるために、昇温させた加熱対象物を約600℃以上や800℃以上といった温度範囲内で所定の時間だけ維持させる必要がある。この場合、加熱対象物の温度が下がらないように、エネルギーを供給し続けなければならない。
【0024】
しかしながら、加熱対象物の温度を維持する場合は、昇温させる場合とは異なり、加熱対象物から放出される熱エネルギーに相当するエネルギーの光を照射すれば、加熱対象物の温度を維持することができるため、昇温時と同等のエネルギーを必要とはしない。例えば、上記方法のように、所定の時刻から工程(C)の開始前の間にわたって、LEDに供給する電力が維持する工程を含むことでも、加熱対象物の温度を維持することができる。
【0025】
なお、上述のとおり、加熱対象物から放出される熱エネルギーに相当するだけの光を照射できればよいため、LEDに供給する電力は、工程(A)で供給していた電力と同じ電力で維持されなくても構わない。
【0026】
上記加熱処理方法において、
前記工程(A)は、昇温開始時から所定時間にわたって、前記加熱ランプから出射される光の強度よりも、前記LEDから出射される光の強度が高い期間を有する工程であっても構わない。
【0027】
工程(A)が、昇温開始時において、加熱ランプよりもLEDの光の強度が高い期間を有することで、昇温開始時は、LEDから出射される光によって急速に昇温されるため、目標温度に到達するまでの昇温時間が短縮される。
【0028】
本発明の光加熱装置は、加熱対象物を加熱するための装置であって、
加熱ランプと、
LEDと、
前記加熱ランプと前記LEDに供給する電力を制御する制御部と、
前記加熱対象物を支持するための支持部材とを備え、
前記制御部は、
前記加熱ランプと前記LEDの双方に対して電力を供給する第一制御と、
前記第一制御の実行後に前記加熱ランプに供給する電力を低下させる第二制御と、
前記第二制御の実行後に前記LEDに供給する電力を低下させる第三制御を実行することを特徴とする。
【0029】
本発明に係る光加熱装置は、支持部材に支持された加熱対象物に対して、加熱ランプとLEDから出射される光を照射することで加熱する構成であって、制御部が加熱ランプとLEDに供給する電力を制御して加熱対象物の昇温と降温を行う。
【0030】
制御部は、加熱ランプとLEDの双方に対して電力を供給する第一制御を実行し、各光源から出射される光が加熱対象物に照射されて、加熱対象物が昇温される。第一制御を実行し、加熱対象物にそれぞれの光源からの光を照射することで、所定の温度に到達した後、もしくは所定の温度に達すると想定される時間が経過した後、制御部は、加熱ランプに供給する電力を低下させる第二制御を実行する。第二制御の実行後は、LEDに供給する電力を低下させる第三制御を実行して、LEDが出射する光の強度を低下させることで加熱対象物を降温させる。
【0031】
制御部が第一制御を実行すると、昇温開始直後は、LEDの応答性の速さによって、LEDから出射される光で昇温可能な温度まで急速に昇温される。そして、加熱ランプの出力が徐々に大きくなってくると、LEDによって昇温されている温度から、加熱ランプによって出射される光によってさらに昇温され、最終的に加熱ランプとLEDの双方から出射される光によって目標温度付近まで昇温される。
【0032】
上記の構成によれば、加熱ランプとLEDの双方から出射される光によって加熱対象物を昇温させることで、LEDの速い応答性によって昇温開始直後の昇温が速まり、目標温度に到達する時間が短くなり、昇温時間が短縮される。
【0033】
また、降温時については、LEDに供給する電力を低下させ、LEDが出射する光の強度を低下させることで加熱対象物を降温させる。この時、第二制御によってすでに加熱ランプに供給される電力は低下しており、加熱ランプから出射される光の強度が低下しているため、加熱ランプの遅い応答性の影響を受けることなく、LEDの速い応答性によって降温され、降温時間が短縮される。
【0034】
なお、「加熱ランプに供給する電力を低下させる」とは、加熱ランプに対して供給する電力を小さくする制御であってもよく、電力を停止させる制御や、スイッチによって供給経路を遮断する制御であってもよい。また、「LEDに供給する電力を低下させる」についても同様である。
【0035】
上記光加熱装置において、
前記制御部は、前記第二制御において、所定の時刻から前記第三制御の開始前の間にわたって、前記LEDに供給する電力を維持する制御を行うものであっても構わない。
【0036】
上述の通り、加熱対象物の加熱処理を行う場合、加熱対象物における成膜処理等が完了までは、処理を進行させるために所定の温度範囲内に維持する必要がある。そこで、制御部は、加熱対象物が所定の温度まで上昇した後は、加熱対象物の温度が必要な時間だけ所定の範囲内に維持されるだけエネルギーの光、すなわち、加熱対象物から放出される熱エネルギーに相当するだけの光を照射するように、LEDに供給される電力を維持するように制御すればよい。なお、LEDは、制御部の制御に応じて光の強度を微調整しやすいため、制御部によって簡易的で、かつ高精度に加熱対象物の温度を維持することができる。
【0037】
上記光加熱装置において、
前記制御部は、前記第一制御において、昇温開始時から所定時間にわたって、前記加熱ランプから出射される光の強度よりも、前記LEDから出射される光の強度が高い期間を有するように制御するものであっても構わない。
【0038】
昇温開始時において、制御部が加熱ランプよりもLEDの光の強度が高い期間を有するように制御することで、上述の通り、加熱対象物は、昇温開始時に応答性の速いLEDによって急速に昇温されるため、昇温時間がさらに短縮される。
【0039】
昇温開始時に、加熱ランプよりもLEDの光の強度が高い期間を有するようにするために、制御部は、昇温開始時においてLEDのみに加熱用の電力を供給するように制御するものであってもよく、LEDと加熱ランプにほぼ同時に加熱用の電力を供給するように制御するものであってもよい。
【0040】
上記光加熱装置において、
前記加熱対象物の温度を測定する温度計を備え、
前記制御部は、前記温度計が測定した前記加熱対象物の温度が所定の温度に達することを検知すると、前記第一制御から前記第二制御に切り替えるものであっても構わない。
【0041】
上記の構成とすることで、加熱対象物が所定の温度に到達したことに合わせて、制御部は、第一制御から第二制御へと切り替えることができる。従って、第一制御から第二制御への切り替えのタイミングを最適化することができ、無駄な昇温と消費電力を抑えることができる。
【0042】
加熱対象物の温度を測定する温度計としては、例えば、熱電対や放射温度計等を用いることができる。
【発明の効果】
【0043】
本発明によれば、加熱ランプとLEDを組み合わせた光源によって、加熱対象物を急速に昇降温させる加熱処理方法及び光加熱装置が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1A】光加熱装置の第一実施形態の模式的な側面断面図である。
図1B図1Aの光加熱装置の加熱ランプとLEDを加熱対象物側から見たときの模式的な図面である。
図2】光加熱装置の第一実施形態の加熱ランプとLEDの光出力変化と加熱対象物の温度変化を示したグラフである。
図3A】光加熱装置の第一実施形態と加熱ランプのみで構成された光加熱装置とLEDのみで構成された光加熱装置の昇温時における加熱対象物の温度変化を示すグラフである。
図3B】光加熱装置の第一実施形態と加熱ランプのみで構成された光加熱装置の降温時における加熱対象物の温度変化を示すグラフである。
図4A】光加熱装置の第二実施形態の模式的な側面断面図である。
図4B図4Aの光加熱装置の加熱ランプの加熱対象物側から見たときの模式的な図面である。
図4C図4Aの光加熱装置のLEDを加熱対象物側から見たときの模式的な図面である。
図5A】光加熱装置の第三実施形態の模式的な側面断面図である。
図5B図5Aの光加熱装置の模式的な上図面である。
図6A】第四実施形態の光加熱装置の模式的な全体斜視図である。
図6B】第四実施形態の光加熱装置の加熱ランプとLEDを加熱対象物側から見たときの模式的な図面である。
図7】第五実施形態の光加熱装置の加熱ランプとLEDを加熱対象物側から見たときの模式的な図面である。
図8】第六実施形態の光加熱装置の加熱ランプとLEDを加熱対象物側から見たときの模式的な図面である。
図9A】光加熱装置の別実施形態の模式的な側面図である。
図9B図9Aの光加熱装置の模式的な上面図である。
図10A】電力供給開始時のハロゲンランプとLEDの出射光量の変化を示すグラフである。
図10B】電力供給停止時のハロゲンランプとLEDの出射光量の変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、本発明の加熱処理方法及び光加熱装置について、図面を参照して説明する。なお、以下の各図面は、いずれも模式的に図示されたものであり、図面上の寸法比や個数は、実際の寸法比や個数と必ずしも一致していない。
【0046】
[第一実施形態]
図1Aは、光加熱装置1の第一実施形態の模式的な側面断面図である。図1Aに示すように、第一実施形態の光加熱装置1は、加熱ランプ10と、LED11と、電力を制御する制御部12と、加熱対象物2の温度を測定する温度計13と、加熱対象物2を支持する支持部材14とを備える。
【0047】
ここで、以下の説明において、加熱対象物2の第一照射面2aと平行な面をXY平面とし、加熱対象物2の第一照射面2aに直交する方向をZ方向とする。なお、加熱対象物2の第一照射面2aの裏面は、第二照射面2bとする。
【0048】
加熱ランプ10は、一方向に延伸する管体10aの内部にフィラメント10bを配置させてなる、直管形状の加熱ランプ10である。なお、加熱ランプ10は、電球形状のものであってもよい。
【0049】
ここで、加熱ランプ10は、例えば、加熱対象物2の吸収波長帯に応じて、ハロゲンランプ、カーボンヒータ、カンタルヒータ、セラミックヒータ等の赤外線の波長帯を放射するランプを適宜採用することができ、LED11は、加熱対象物2の吸収率が高い波長帯の光を出射するものを選択して配置することができる。また、図1Aには詳細が図示されてはいないが、加熱ランプ10は、両端部に導電部材と発光管(ガラス管)を気密封止するためのシール部が形成されており、Z方向に対して直角の方向に取り出せるように構成されている。
【0050】
制御部12は、加熱ランプ10とLED11に供給する電力の制御を行う。図1に示す制御部12の配置位置は、模式的に示したものであって、実際にはどこに配置されていても構わない。
【0051】
温度計13は、第一実施形態においては放射温度計であって、Z方向から傾斜した方向から、受光部13aが加熱対象物2の第一照射面2aに向くように配置されている。温度計13の配置位置は、一例であって、加熱対象物2の温度を適切の測定できるのであれば、どこに配置されていても構わない。
【0052】
図1Bは、図1Aの光加熱装置1の加熱ランプ10とLED11を加熱対象物2側から見たときの模式的な図面である。図1Bが示すように、第一実施形態においては、加熱ランプ10とLED11から出射される光が、いずれも加熱対象物2の第一照射面2aに照射されるように、XY平面上に配置されている。また、中央部側に直管形状の加熱ランプ10が円形状を呈するように配置され、その周辺に加熱ランプ10を囲むように構成された円環状の基板15上にLED11が配置されている。
【0053】
次に、第一実施形態の光加熱装置1における、加熱対象物2の加熱処理方法について説明する。図2は、光加熱装置1の第一実施形態の加熱ランプ10とLED11の光出力変化と加熱対象物2の温度変化を示したグラフである。第一実施形態の制御部12は、加熱ランプ10及びLED11に対して供給される電力を制御することで、加熱ランプ10とLED11の光出力を、図2に示すような変化パターンにする。
【0054】
制御について、より詳細には、図2に示すように、第一実施形態の制御部12は、加熱ランプ10から出射される光と、LED11から出射される光とを照射して加熱対象物2を昇温させる第一制御と、加熱ランプ10に供給する電力を低下させる第二制御と、LED11に供給する電力を低下させるようにする第三制御を実行する。以下、それぞれの制御について詳細を説明する。
【0055】
まず、図2の時間軸に沿って、制御部12が行う制御について説明する。加熱対象物2が、支持部材14によって支持され、所定の位置に配置されると、制御部12によって、第一制御が実行される。第一制御は、図2において期間A1にわたって実行される制御に対応する。
【0056】
制御部12によって第一制御が実行されると、加熱ランプ10とLED11の光出力が上昇し、加熱対象物2が昇温し始める。LED11は、供給された電力に応じて出射できる最大出力まで急速に立ち上がるが、加熱ランプ10は、供給された電力に応じて徐々に光出力が立ち上がる。つまり、所定時間にわたって、加熱ランプ10から出射される光の強度よりも、LED11から出射される光の強度が高い期間A1aを有することとなる。
【0057】
加熱対象物2は、加熱ランプ10の光出力が徐々に立ち上がるのに応じて温度が上昇する。そして、加熱対象物2が所定の温度に到達すると(時刻t1)、制御部12は、加熱ランプ10の電力を低下させる第二制御に切り替える。すなわち、第一制御は、加熱対象物2の温度を所定の温度T1まで昇温させるための制御である。
【0058】
第一実施形態では制御部12は、例えば温度計13によって測定された加熱対象物2の温度に関する情報が入力される構成であり、この情報に基づいて加熱対象物2の温度がT1に達したことを検知できる。なお、ここでいう温度T1は、加熱対象物2の加熱目的に応じて適宜設定される。図2では、この温度T1が800℃に設定されている場合が図示されている。
【0059】
第二制御は、図2において期間A2にわたって実行される制御に対応する。時刻t1において、制御部12によって第一制御から第二制御に切り替えられると、加熱ランプ10の光出力が低下し、加熱対象物2に照射される光の強度が徐々に低下する。これにより、加熱対象物2は、ほとんど昇温されなくなる。
【0060】
しかし、加熱対象物2から放熱される熱エネルギーや、対流や伝導で奪われる熱エネルギーに相当するエネルギーの光がLED11から照射されていれば、加熱対象物2の加熱処理に必要な温度を維持することができる。この必要な温度とは、第一制御から第二制御に切り替える基準となる前記所定の温度T1から一定の範囲内を示す温度であり、加熱対象物2の加熱目的に応じて適宜設定される。
【0061】
例えば、この必要な温度は、温度T1の90%以上、110%以下の範囲内であり、好ましくは温度T1の95%以上、105%以下の範囲内であり、より好ましくは、温度T1の98%以上、102%以下の範囲内である。ここで加熱処理とは、例えば、加熱対象物2がある一定温度以上になることで発生する化学反応や成膜処理等である。
【0062】
加熱対象物2から放熱される熱エネルギーに対して、第一制御においてLED11に供給されている電力が大きい場合には、図2に示すように、第二制御の実行時(期間A2)において、LED11に供給されている電力を低下させても構わない。このような制御を行っても、加熱対象物2を上記の必要な温度に維持させることができる。
【0063】
なお、この第二制御の実行時において、温度計13で測定された加熱対象物2の温度の情報に応じて、制御部12がLED11に供給される電力をフィードバック制御することで、加熱対象物2の温度が所定の温度範囲内に維持されるように調整するものとしても構わない。
【0064】
また、図2には、比較のために、第二制御において、加熱ランプ10と併せて、LED11に供給する電力も、LED11がほとんど光を照射しない程度まで低下させた場合(比較例1)の温度変化も併記している。図2の比較例1の曲線が示すように、加熱ランプ10と併せて、LED11に供給する電力も低下させた場合は、加熱対象物2が所定の温度に到達する時刻t1から、加熱ランプ10の応答性に応じて温度が低下していく。そのため、加熱対象物2を所定の温度範囲内に短時間しか維持させることができず、加熱対象物2を十分に加熱処理できない事態が生じ得る。
【0065】
制御部12は、加熱対象物2に対する必要な加熱処理が完了したことを検知すると、LED11の電力を低下させる第三制御に切り替える。例えば、制御部12は不図示のタイマー機能を有しており、第二制御が開始した時刻t1から予め定められた温度維持処理時間が経過したことを検知すると、第二制御から第三制御に切り替えるものとして構わない。
【0066】
図2では、時刻t2においてこの第二制御から第三制御への切り替えが実行されたことが示されている。すなわち第三制御は、図2において時刻t2以後に(ここでは期間A3にわたって)実行される制御に対応する。
【0067】
制御部12によって第三制御が実行されると、LED11の光出力が低下し、加熱対象物2に照射される光の強度が急速に低下する。この時、加熱ランプ10に供給される電力は第二制御によってすでに低下させられているため、加熱ランプ10の遅い応答性の影響を受けることなく、加熱対象物2が急速に降温される。
【0068】
第一実施形態に係る光加熱装置1によれば、図2に示すように、第一制御の実行時、すなわち昇温時に、加熱ランプ10よりもLED11の光の強度が高い期間A1aが生じる。そのため、昇温開始直後に加熱対象物2がLED11によって急速に昇温されるため、所定の温度T1に到達する時間t1が短くなり、昇温時間が短縮される。
【0069】
「課題を解決するための手段」の項で上述したように、LED11は、供給する電力を高めても、光出力がある閾値以上には高めることができない。このため、LED11のみで光加熱装置を構成した場合には、高々400~500℃までしか加熱することができない。
【0070】
これに対し、第一実施形態に係る光加熱装置1によれば、加熱ランプ10も備えていることで、LED11のみで構成された光加熱装置では、到達させることが難しい約800℃~1000℃まで加熱対象物2を昇温させることができる。
【0071】
また、第一実施形態の光加熱装置1では、加熱対象物2を所定の温度まで昇温させた状態で維持する場合は、LED11に供給される電力を調整することで実現しており、加熱ランプ10の光強度は制御していない。LED11は、供給される電力に対する応答性が速く、制御部12の制御に応じて光の強度を微調整しやすいことから、加熱ランプ10によって加熱対象物2の温度を維持させるよりも、簡易的で、かつ高精度に温度を維持することができる。
【0072】
降温時については、加熱ランプ10に供給されている電力がすでに昇温時に対して低下されているため、加熱対象物2は、加熱ランプ10の遅い応答性の影響を受けることなく、LED11の応答性に応じて降温される。従って、降温時間は、大幅に短縮される。
【0073】
図3Aは、光加熱装置1の第一実施形態と加熱ランプ10のみで構成された光加熱装置とLED11のみで構成された光加熱装置の昇温時における加熱対象物2の温度変化を示すグラフである。図3Bは、第一実施形態と加熱ランプ10のみで構成された光加熱装置の降温時における加熱対象物2の温度変化を示すグラフである。
【0074】
図3Aについては、それぞれの光加熱装置において、それぞれの光源に対して電力の供給を開始した直後から、加熱対象物2が800℃に昇温されるまでの時間に対する温度変化を示している。なお、上述の通り、LED11のみの光加熱装置では、800℃程度まで加熱対象物2を昇温できない。
【0075】
電力の供給開始直後にてLED11から出射される光によって、加熱対象物2が400℃付近まで急速に昇温される。その後、加熱ランプの光出力が徐々に高まり、800℃に到達している。図3Aからもわかるように、昇温開始の時点で、LED11によって加熱対象物2を急速に昇温させられるため、加熱ランプ10だけで構成された光加熱装置に対して、昇温時間を短縮させることができる
【0076】
図3Bは、それぞれの光加熱装置において、加熱対象物2を800℃に昇温させている状態から、供給している電力を停止させたときの時間に対する温度変化を示している。応答性の速いLED11は、電力の供給が停止されたことによって、加熱対象物2へ照射される光も急速に停止し、エネルギーが供給されなくなった加熱対象物2は、自己放熱によって降温する。
【0077】
それに対して、加熱ランプ10は、応答性が遅いため、加熱対象物2へ照射される光が急速に停止せず、徐々に光出力が弱まる。従って、僅かながらにも、加熱対象物2は、加熱ランプ10から出射される光によって、エネルギーが供給されてしまい、降温に時間がかかってしまい、半分の温度に下がるまでの時間が長くなってしまう。なお、加熱ランプ10とLED11を組み合わせた構成で、双方の電力を同時に低下させることで降温する場合も、加熱ランプ10の遅い応答性が支配的であるため、加熱ランプ10のみで構成された光加熱装置とほぼ同じ温度変化を示す。
【0078】
以上のことから、図3A及び図3Bが示すように、昇温時は加熱ランプ10とLED11に電力を供給して昇温し、降温時は、先に加熱ランプ10の電力を低下させておき、その後、LED11の電力を低下させることで降温させる、第一実施形態の制御によれば、加熱対象物2を加熱するために所定の温度範囲内に維持させる時間を十分に確保しながらも、昇降温時間を短縮させ、加熱処理に要する時間を短縮できることがわかる。
【0079】
[第二実施形態]
本発明の光加熱装置1の第二実施形態の構成につき、第一実施形態と異なる箇所を中心に説明する。
【0080】
図4Aは、光加熱装置1の第二実施形態の模式的な側面断面図である。図4Bは、図4Aの光加熱装置1の加熱ランプ10の加熱対象物2側から見たときの模式的な図面である。図4Cは、図4Aの光加熱装置1のLED11を加熱対象物2側から見たときの模式的な図面である。図4A図4Cに示すように、直管形状の加熱ランプ10が、加熱対象物2の第二照射面2b側において円形状を呈するように配置され、LED11は、加熱対象物2の第一照射面2a側において円形状の基板15上に配置されている。
【0081】
加熱ランプ10とLED11は、加熱対象物2に対して、第一照射面2a側と第二照射面2b側とに分けて配置されているため、各照射面(2a,2b)側から、それぞれの光源(10a,10b)によって光を照射できる。そして、第二実施形態は、加熱対象物2の第一照射面2a側と第二照射面2b側の両方に光源を配置しているため、第一実施形態より加熱対象物2に照射できる光量が大きくなる。従って、第一実施形態と比較して、より高速に加熱対象物2を昇降温させることができる。
【0082】
また、加熱対象物2の第一照射面2aと第二照射面2bのいずれに対しても光を照射するため、第一実施形態と比較して各照射面(2a,2b)間の温度差が小さくなるため、加熱対象物2の熱膨張率の関係等によって、亀裂や割れと言った破損が生じにくい。
【0083】
また、上記の構成とすることで、加熱ランプ10から出射される光は、加熱対象物2に遮られ、LED11には直接照射されない。従って、LED11が加熱ランプ10から出射される光を吸収して昇温されないため、消灯や破壊の発生を抑えることができる。
【0084】
[第三実施形態]
本発明の光加熱装置1の第三実施形態の構成につき、第一実施形態及び第二実施形態と異なる箇所を中心に説明する。
【0085】
第三実施形態は、第二実施形態と比較すると、加熱ランプ10の配置に関しては同じであるが、LED11を配置する基板15の形状が第二実施形態とは異なる。
【0086】
図5Aは、光加熱装置1の第一実施形態の模式的な側面断面図である。図5Bは、図5Aの光加熱装置1の模式的な上図面である。図5A及び図5Bに示すように、LED11は、加熱対象物2の第一照射面2a側において円環状の基板15上に配置され、光加熱装置1をZ方向に向かって見たときに、加熱対象物2よりも外側に配置されている。
【0087】
光の強度が高い加熱ランプ10は、加熱対象物2の中央部に光を照射することで、加熱対象物2を高い温度まで昇温させる。応答性の速いLED11は、加熱対象物2の端部に光を照射することで、加熱対象物2の端部を昇温させながら、加熱対象物2の端部から放熱される熱エネルギー分を供給する。
【0088】
[第四実施形態]
本発明の光加熱装置1の第四実施形態の構成につき、第一実施形態~第三実施形態と異なる箇所を中心に説明する。
【0089】
第四実施形態の光加熱装置1は、光加熱装置1が備える支持部材14が、加熱対象物2をXY平面上で回転可能に構成されている。支持部材14が加熱対象物2をXY平面上で回転させることで、加熱ランプ10からの光と、LED11からの光が、加熱対象物2に対して周方向において均一に照射され、加熱対象物2の加熱ムラを抑えることができる。以下の第四実施形態~第六実施形態は、支持部材14が加熱対象物2をXY平面上で回転させる構成である。
【0090】
図6Aは、第四実施形態の光加熱装置1の模式的な全体斜視図である。図6Bは、第四実施形態の光加熱装置1の加熱ランプ10とLED11を加熱対象物2側から見たときの模式的な図面である。図6Bに示すように、加熱対象物2の中心を通る直線で加熱対象物2を二分したときの、第一領域61に直管形状の加熱ランプ10が、第二領域62にLED11が配置されている。
【0091】
上記の構成とすることで、加熱対象物2が回転し、加熱対象物2全体にわたって、加熱ランプ10とLED11の両方から出射される光を照射することができる。さらに、加熱対象物2において同心円上に照射される光の均一性を向上させることができる。
【0092】
[第五実施形態]
本発明の光加熱装置1の第五実施形態の構成につき、第一実施形態~第四実施形態と異なる箇所を中心に説明する。
【0093】
図7は、第五実施形態の光加熱装置1の加熱ランプ10とLED11を加熱対象物2側から見たときの模式的な図面である。図7に示すように、加熱対象物2の中心を通る直線で加熱対象物2を二分したときの、第一領域61に電球形状の加熱ランプ10が、第二領域62にLED11が配置されている。
【0094】
第五実施形態も第四実施形態と同様に、支持部材14が加熱対象物2を回転させると、加熱対象物2全体にわたって、加熱ランプ10とLED11の両方から出射される光を照射することができる。さらに、加熱対象物2において同心円上に照射される光の均一性を向上させることができる。
【0095】
[第六実施形態]
本発明の光加熱装置1の第六実施形態の構成につき、第一実施形態~第五実施形態と異なる箇所を中心に説明する。
【0096】
図8は、第六実施形態の光加熱装置1の加熱ランプ10とLED11を加熱対象物2側から見たときの模式的な図面である。図8に示すように、電球形状の加熱ランプ10と複数のLED11が配置されたLEDユニット20がX方向とY方向において交互に配置されている。
【0097】
第六実施形態も第四実施形態及び第五実施形態と同様に、支持部材14が加熱対象物2を回転させると、加熱対象物2全体にわたって、加熱ランプ10とLED11の両方から出射される光を照射することができる。さらに、加熱対象物2において同心円上に照射される光の均一性を向上させることができる。
【0098】
第六実施形態の光加熱装置1は、加熱対象物2の照射面(2a,2b)の特定の位置に対して、加熱ランプ10から出射される光と、LED11から出射される光とが短い周期で切り替わるため、加熱対象物2に照射される光の均一性をより向上させることができる。
【0099】
[別実施形態]
以下、別実施形態につき説明する。
【0100】
〈1〉 図9Aは、光加熱装置1の別実施形態の模式的な側面図である。図9Bは、図9Aの光加熱装置1の模式的な上面図である。図9A及び図9Bに示すように、複数の加熱対象物2が、Z方向において多段に配置され、加熱ランプ10とLED11は、加熱対象物2の側面側に配置される構成としても構わない。
【0101】
上記の構成とすることで、一度に複数の加熱対象物2の加熱処理が可能となり、加熱処理工程の時間を大幅に短縮することができる。また、LED11は、出力する光の波長を選択することができるため、加熱対象物2を透過しやすい波長を選択することで、加熱対象物2の中央部側と端部側とで温度差が小さくなるように昇降温させることができる。
【0102】
〈2〉 光加熱装置1は、加熱対象物2と各光源(10,11)の間に、全面又は一部において加熱対象物2の吸収波長帯の赤外線に対して透過性を有するガラスを配置しても構わない。加熱対象物2と各光源(10,11)の間にガラスが配置されることによって、加熱対象物2を加熱するための赤外線の照射を遮ることなく、加熱対象物2の加熱対象面に塵や埃等が付着してしまうことを回避することができる。
【0103】
〈3〉 上述した光加熱装置1が備える構成は、あくまで一例であり、本発明は、図示された各構成に限定されない。例えば、本発明の加熱処理方法及び光加熱装置1の制御は、上記特許文献1に記載されている構成の光加熱装置に対しても適用することができる。
【0104】
〈4〉 本発明において、加熱対象物2は、加熱ランプ10とLED11から出射される光によって加熱される対象物である限りにおいて任意である。
【符号の説明】
【0105】
1 : 光加熱装置
2 : 加熱対象物
2a : 第一照射面
2b : 第二照射面
10 : 加熱ランプ
10a : 管体
10b : フィラメント
11 : LED
12 : 制御部
13 : 温度計
13a : 受光部
14 : 支持部材
15 : 基板
20 : LEDユニット
61 : 第一領域
62 : 第二領域
t1,t2 : 時刻
A1,A1a,A2,A3 : 期間
T1 : 温度
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8
図9A
図9B
図10A
図10B