IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ビーボックス・フォー・キッズ・ディベロップメンツ・プロプリエタリー・リミテッドの特許一覧

<>
  • 特許-シッピーカップ 図1
  • 特許-シッピーカップ 図2
  • 特許-シッピーカップ 図3
  • 特許-シッピーカップ 図4A
  • 特許-シッピーカップ 図4B
  • 特許-シッピーカップ 図5
  • 特許-シッピーカップ 図6
  • 特許-シッピーカップ 図7
  • 特許-シッピーカップ 図8
  • 特許-シッピーカップ 図9
  • 特許-シッピーカップ 図10
  • 特許-シッピーカップ 図11
  • 特許-シッピーカップ 図12
  • 特許-シッピーカップ 図13
  • 特許-シッピーカップ 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-21
(45)【発行日】2023-01-04
(54)【発明の名称】シッピーカップ
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/06 20060101AFI20221222BHJP
   B65D 47/32 20060101ALI20221222BHJP
【FI】
B65D47/06 120
B65D47/32 210
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2019569254
(86)(22)【出願日】2017-06-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-10-22
(86)【国際出願番号】 IB2017053532
(87)【国際公開番号】W WO2018229529
(87)【国際公開日】2018-12-20
【審査請求日】2020-06-08
(73)【特許権者】
【識別番号】519440799
【氏名又は名称】ビーボックス・フォー・キッズ・ディベロップメンツ・プロプリエタリー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】B.BOX FOR KIDS DEVELOPMENTS PTY LTD
【住所又は居所原語表記】Unit 5,677 Springvale Road,Mulgrave,Victoria 3170(AU)
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マイケルズ,ダニエレ・リサ
(72)【発明者】
【氏名】フィラー,モニーク・ミリアム
【審査官】家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-030791(JP,A)
【文献】国際公開第2007/148441(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/102698(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/039400(WO,A1)
【文献】特開2017-056952(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 39/00-55/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料容器であって、
開口部と内部空洞を有するカップと、
カップの開口部に取り付け可能で、出入口部を有する着脱可能な蓋部と、出入口部と密閉係合する弾性体と、弾性体を貫通する流体通路を有する柔軟性のある管状ストローと、通気開口部を形成する空気通路とを有する弾性ストロー通気アセンブリと、
移動可能に蓋部の上部に取り付けられ、閉位置と開位置間を移動可能なカバーとを備え、
カバーが閉位置にあるとき、カバーの内向面と通気開口部とで流体密閉シールを形成し、蓋部に対して柔軟性のある管状ストローを挟んで流体通路を閉じ、
カバーを閉位置から開くとき、ストローを挟んでいない状態にする前、かつ、ストローを折り畳んでいない状態にする前に、カバーが通気開口部を解放し、
弾性ストロー通気アセンブリがさらに、スリットを有する通気膜を空気通路内に備え、通気膜からの液漏れを制限するようになっており
通気膜のスリットは、水で満たされた飲料容器を転倒させたときに通気膜に対して加えられる、飲料容器内の水の重量による圧力よりも大きな圧力が通気膜に加えられた場合に初めて、外向きの流れ方向に開くことを特徴とする飲料容器。
【請求項2】
請求項1に記載の飲料容器であって、弾性ストロー通気アセンブリが、通気開口部を取り囲む環状の通気リングをさらに備え、カバーが閉位置にあるとき、通気リングとカバーの内面に形成された突起とが密閉係合することを特徴とする飲料容器。
【請求項3】
請求項1に記載の飲料容器であって、弾性ストロー通気アセンブリがさらに、ストローの流体通路内に、スリットを有するストロー膜を備え、容器が傾いたときの液漏れを制限することを特徴とする飲料容器。
【請求項4】
請求項3に記載の飲料容器であって、ストロー膜が内向きに突出する凸形状を有し、水で満たされた容器が、ストローが伸びた状態で反転されたときに、外向きの流れ方向にスリットが開くのを防ぐことを特徴とする飲料容器。
【請求項5】
請求項4に記載の飲料容器であって、カバーが開位置にあり、かつ、内部空洞が加圧されているとき、ストロー膜の開口圧力よりも低い圧力で通気膜が開き、内部空洞の圧力に起因して液体がストローを通して排出されるのを防ぐことを特徴とする飲料容器。
【請求項6】
請求項1に記載の飲料容器であって、弾性ストロー通気アセンブリが、通気開口部の周りに延びる山型の突出部を有し、カバーの内面に通気開口部を密閉する突起が設けられ、カバーが閉位置にあるときに、カバーを閉位置に保持する戻り止め機構をさらに提供することを特徴とする飲料容器。
【請求項7】
請求項1に記載の飲料容器であって、カバーが一対のピンによってカバーに旋回可能に取り付けられており、ピンは蓋部の整合穴に突出しており、ピンとそれらの整合穴とが異なる直径を有し、その結果、カバーが一の向きにのみ蓋部に取り付けられることを特徴とする飲料容器。
【請求項8】
請求項1に記載の飲料容器であって、弾性ストロー通気アセンブリがさらに、容器の内側方向に延びるプルタブを備え、蓋部に取り付けたとき、利用者によってプルタブがつかまれて、弾性ストロー通気アセンブリを蓋部から取り外せることを特徴とする飲料容器。
【請求項9】
飲料容器の蓋部の出入口部内に取り付け可能な弾性ストロー通気アセンブリであって、
飲料容器の蓋部の出入口部と密閉係合する弾性体と、弾性体を貫通する流体通路を有する柔軟性のある管状ストローと、
隆起した通気開口部と通気膜とを有する弾性体を貫通する通気孔を提供する空気通路とを備え、
通気膜は空気通路内にあり、通気膜にはスリットが形成されており、通気膜によって通気孔を通して容器から液体が漏れるのを制限し、
通気膜のスリットは、水で満たされた飲料容器を転倒させたときに通気膜に対して加えられる、飲料容器内の水の重量による圧力よりも大きな圧力が通気膜に加えられた場合に初めて、外向きの流れ方向に開くことを特徴とする弾性ストロー通気アセンブリ。
【請求項10】
請求項9に記載の弾性ストロー通気アセンブリであって、空気通路の通気膜のスリットは通常は閉じられており、少なくとも6水柱インチの圧力で開くことを特徴とする弾性ストロー通気アセンブリ。
【請求項11】
請求項9に記載の弾性ストロー通気アセンブリであって、弾性体がポリマーからなり、ショアA 30-70のデュロメーター硬さを有することを特徴とする弾性ストロー通気アセンブリ。
【請求項12】
請求項9に記載の弾性ストロー通気アセンブリであって、弾性体がさらに、容器の内側方向に延びるプルタブを備え、蓋部に取り付けられたとき、利用者によってプルタブがつかまれて、弾性ストロー通気アセンブリを蓋部から取り外せることを特徴とする弾性ストロー通気アセンブリ。
【請求項13】
請求項9に記載の弾性ストロー通気アセンブリであって、通気開口部を取り囲む環状の通気リングをさらに備え、通気リングは、カバーが閉位置にあるときに、カバーの内面に形成された突起と密閉係合することを特徴とする弾性ストロー通気アセンブリ。
【請求項14】
飲料容器であって、
開口部と内部空洞を有するカップと、
カップの開口部に取り付け可能であり、出入口部と通気開口部とを有する蓋部と、
出入口部と密閉係合する弾性体と、蓋部の内側の通気開口部と協働する通気膜と、弾性体を貫通する流体通路を有する柔軟性のある管状ストローと、流体通路内に設けられたストロー膜とを有する弾性ストローアセンブリと、
移動可能に蓋部の上部に取り付けられ、閉位置と開位置間で移動可能なカバーとを備え、
カバーが閉位置にあるとき、カバーの内向面の弾性突起と通気開口部とで流体密閉シールを形成し、
カバーが閉位置にあるとき、カバーがストローと係合し、蓋部に対してストローを折り畳んでストローの通路を密閉し、カバーが開位置にあるとき、ストローの流体通路と通気開口部とがカバーによって遮られず、
カバーが開位置にあるとき、ストロー膜の開口圧力よりも低い圧力で通気膜が開き、液体が内部空洞の圧力に起因してストローを通して排出されるのを防ぐことを特徴とする飲料容器。
【請求項15】
請求項14に記載の飲料容器であって、通気開口部が、通気開口部を取り囲む環状の通気リングをさらに備え、カバーが閉位置にあるとき、通気リングは、カバーの内面に形成された突起と密閉係合し、カバーを閉位置に保持する戻り止め機構を提供することを特徴とする飲料容器。
【請求項16】
請求項14に記載の飲料容器であって、弾性ストローアセンブリに、内部空洞内に延びるハンドルを形成するタブ部分が設けられており、洗浄または交換のために、弾性ストローアセンブリをつかんで蓋部から取り外せることを特徴とする飲料容器。
【請求項17】
請求項14に記載の飲料容器であって、カバーを閉位置から開くときに、ストローを挟んでいない状態にする前、かつ、ストローを折り畳んでいない状態にする前に、カバーが通気開口部を開くように、カバーの内向面が形成されていることを特徴とする飲料容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
子供用の飲物用カップであって、液こぼれや液漏れを最小限にするための、ストローが組み込まれた閉蓋部を有する。
【背景技術】
【0002】
シッピーカップは、幼児や幼い子供たちに飲み物を与えるための飲物用容器として広く利用されるようになった。シッピーカップは、液体を保持する容器本体と、容器の口を閉じる取り外し可能な蓋部と、蓋部を貫通するストローとを有し、子供たちはストローを通して液体を飲むことができる。概して、使用しないときには、カバーを蓋部に取り付けてストローを覆い、かつ、ストローを挟んだ状態でシッピーカップを保管する。過去には、カバーが閉位置にあるときの液漏れを最小限にするため、シッピーカップを密閉するための様々な機構が展開されてきた。同様に、使用時に利用者がストローを通して自由に液体を取り出せるようにするため、シッピーカップを通気するための様々な機構が展開されてきた。利用者が自由に液体を取り出せるシンプルな通気機構および、カップが使用されておらず、かつ、カバーが閉じられているときの液こぼれや液漏れを防ぐため、カップ内の気圧を均一にすることで、思いがけずこぼしたり噴き出したりするのを防ぐように確実に密閉できるシンプルな通気機構が必要とされている。
【発明の概要】
【0003】
本開示のシッピーカップは、出入口部を有する取り外し可能な蓋部によって囲まれる開口部に、内部空洞を有するカップを用いる。弾性体を有する弾性ストロー通気アセンブリが設けられており、弾性体は蓋部に形成された出入口部と密閉係合する。ストロー通気アセンブリはさらに、柔軟性のある管状ストローを備え、管状ストローは内部を貫通する流体通路を有し、好ましくは通気開口部を形成し、弾性体を貫通する別個の空気通路を有する。カバーは蓋部の上部に移動可能に取り付けられ、開位置と閉位置との間を移動可能である。カバーには内向面が設けられており、カバーが閉位置にあるときに、内向面が閉じた通気開口部と係合して密閉し、カバーが開位置にあるときは、通気開口部を解放して内部空洞が雰囲気に通気できるようにする。閉位置にあるとき、カバーの内側がストローに係合し、蓋部に対してストローを折り畳む。ストローはカバーの内側の尾根部と、蓋部に形成された尾根部との間に挟まれることで、ストローを貫通する流体通路を密閉する。カバーが開位置にあるとき、ストローは伸びる。ストローの流体通路と通気開口部とは塞がれず、子どもは自由にストローを通してカップから液体を飲むことができる。カバーが最初に開かれるとき、カップ内の圧力が上昇した結果として流体がストローを通して排出されるのを防ぐため、ストローの流体通路が開かれるより前に通気孔が開いてカップ内と雰囲気の圧力を等しくする。
【0004】
弾性ストロー通気アセンブリには、環状リングが設けられていることが好ましい。環状リングは通気開口部を取り囲み、カバーが閉位置にあるときに、カバーの内面に形成された突起と密閉係合する。カバーが開位置にあるとき、突起が環状リングから離れて通気開口部を解放する。理想的には、ストロー内の流体通路と通気開口部内の空気通路のそれぞれに、スリットが形成された薄い弾性膜が設けられており、これにより容器が傾いたときでも容器から液体が漏れるのを制限できる。理想的には、通気膜のスリットが、ストロー膜の開口圧力と比べて低い圧力で開くことが望ましく、それによってカップ内の圧力の上昇に起因して液体がストローを通して排出されないようにすることができる。カップに満杯の水が入り、かつ、ストローが伸びた状態のシッピーカップが転倒したときに膜にかかる圧力を超える圧力で、ストロー膜と通気膜とが開くことが望ましい。
【0005】
好ましい弾性ストロー通気アセンブリにはさらにプルタブが備えられている。プルタブは容器に取り付けられたときに、容器から内向きに延びる。ストロー通気アセンブリを洗浄したり傷があるときに取り替えたりする際、プルタブがあることで、利用者がストロー通気アセンブリをつかみ、蓋部から容易に取り外せるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、シッピーカップの正面立体図であり、蓋部は開位置にあり、ストローは伸ばした状態である。
図2図2は、図1のシッピーカップの左側立体図であり、開位置に回転された蓋部を示す。
図3図3は、図1のシッピーカップの後側立体図であり、蓋部は閉位置に回転されている。
図4A図4Aは、図3の4A―4A線に沿って切断したときの断面図であり、カバーが通気孔を閉じる閉位置にある状態を示す。
図4B図4Bは、図3の4B―4B線に沿って切断したときの断面図であり、オプションの戻り止め機構を示す。
図5図5は、図4のカバーが開位置に移動され、ストローが伸びた状態に対応する。
図6図6は、弾性ストロー通気アセンブリの斜視図であり、プルタブと環状通気リングをより詳細に示す。
図7図7は、図3の7-7線に沿って切断したときの断面図であり、カバーと柔軟性のあるストローとが閉位置にあり、ストローの内部通路が挟み込まれて閉じられている状態を示す。
図8図8は、ストローが挟み込まれて閉じられている一方で、カバーが通気孔の開いた位置に最初に移動した状態の図4の断面図に対応する。
図9図9は、別のシッピーカップの実施例の側面図である。
図10図10は、図9のシッピーカップの平面図である。
図11図11は、図10の11-11線に沿って切断したときの断面図であり、カバーが閉位置にあり、通気孔が密閉されて閉じられており、ストローがカバーと蓋部の間に挟み込まれた状態を示す。
図12図12は、カバーが開いており、かつ、ストローが伸びた状態の、別のシッピーカップの実施例の側面図である。
図13図13は、図12のシッピーカップの平面図である。
図14図14は、図13の14-14線に沿って切断したときの断面図であり、カバーは開位置にあり、通気孔は開いており、ストローが伸びた状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
必要に応じて、本発明の詳細な実施例を本明細書に開示する。しかしながら、当然理解できることであるが、開示した実施例は本発明の単なる例示に過ぎず、様々かつ別の形態で具体化されてもよい。図面は必ずしも縮尺通りではない。特徴によっては、特定の構成要素を詳細に示すために誇張されたり最小限度に抑えられたりして示されている。したがって、本明細書に開示された特定の構造及び機能的な詳細は、限定するものとして解釈されず、当業者が本発明を様々に採用できることを教示するための単なる典型的な土台として解釈される。
【0008】
図1、2及び3に開位置および閉位置にある、好ましい実施例のシッピーカップ10を示す。図1及び2は、開位置にあるシッピーカップを示す。シッピーカップは4つの主要な構成要素からなる。すなわち、液体を保持するためのカップ12と、開口部が設けられた内部空洞と、取り外し可能な蓋部14である。蓋部14は、ねじ接続によってカップ12の開口部に接続されており、弾性Оリングが設けられて液漏れを最小限に抑えることが望ましい。カバー16は、蓋部14に移動可能に取り付けられており、横軸A回りに回転する。好ましい実施例として、カバー16は一対のピン15及び17によってカバーに対して旋回可能に取り付けられている。ピン15及び17は、蓋部14内の整合穴に突出している。ピン15及び17とそれらの整合穴とが異なる直径を有し、カバー16のみが一方向において蓋部14に付属することが好ましい。図1及び2において、カバー16は開位置にあり、図示するように弾性ストロー通気アセンブリ18を露出し、かつ、柔軟性のある管状ストロー20を上方向に伸ばすことができる。好ましくは、重り付き端部24のついた細長い管22が、柔軟性のある管状ストロー20に接続されることで、カップが通常の位置にある場合だけでなく逆位置にある場合にもカップから液体が引き抜けるようにする。
【0009】
好ましい実施例として、カップ12が透き通ったまたは透明のプラスチックからできていることが好ましく、同時に蓋部14とカバー16が鮮やかな色のプラスチック材料からできていてもよい。好ましくは、蓋部14が概して半円形のドーム26を有し、ドーム26が中央の出入口部28を有し、その中において、弾性ストロー通気アセンブリ18が、平面図における軸Aに対して概して垂直な方向と一致するように設けられた凹型溝30に挿入される。カバー16は、軸Aの回りを図2に示す矢印方向に回転できる。カバー16は、概して半円形のドーム26の輪郭に倣った半円シェル部分の形状である。カバー16が図3に示す閉位置に回転するとき、柔軟性のある管状ストロー18は、溝30内に折り畳まれ、かつ、容器が傾いたときにストローから液体が漏れるのを防ぐように、挟まれて閉じられる。
【0010】
図4Aは、図3の4A-4A線における拡大部分断面図である。カバー16は閉位置にあり、柔軟性のある管状ストロー18は、カバー16のドーム26に形成された溝30内に折り畳まれた状態となっている。弾性ストロー通気アセンブリ18には、その内部を貫通する空気通路が設けられており、通気口を提供する。空気通路32の外側端部は、通気開口部34を形成しており、通気開口部34は環状の通気リング36によって取り囲まれている。カバー16が図5に示す開位置にあるとき、通気開口部34は雰囲気に対して開いている。カバー16が図4に示す閉位置に移動されると、カバー16の内面に形成された突起38が通気リング36と整合し、通気リング36は弾性的に変形して通気開口部34をしっかりと密閉する。通気リング36は山型の突出部を形成し、この突出部は通気開口部34の回りに延出し、カバーの突起と協働して戻り止め機構を提供する。この戻り止め機構は、カバー16を解放可能に閉位置に保持する。必要に応じて、図4Bに示すように蓋部14とカバー16に形成された一対の協働する突起37及び39によって、補助的な戻り止めを設けてもよい。なお図4Bは、図3の4B-4B線における拡大部分断面図である。
【0011】
空気通路32の内側端部は、カップ12と蓋部14とによって集合的に形成される内部空洞40に対して開放している。空気空洞32の内側端部には、薄膜42が設けられており、薄膜42には小さなスリットが形成されている。その薄膜とスリットは通常、容器が傾けられて、空気通路32の内側端部が液体に触れた場合に、空気通路32を密閉して閉じる働きをする。通気膜42によって漏出を無くしたりまたは減らしたりすることができる。利用者が容器内の液体をストロー20で吸い上げるときに、その膜を介した圧力差が約6水柱インチよりも大きければ、通気膜42のスリットが開いて、空気を内部空洞40内に引き入れられるであろう。ストロー20も同様に、その内部に形成された薄膜44を有し、薄膜44には圧力差に応じて開く同様のスリットが設けられている。カバー16が開いた状態で、かつ、ストロー20が伸びた状態でシッピーカップが転倒したとしても、ストロー膜44によって、ストロー内及びチューブ22内の液体がストロー20から滴り落ちるのを防ぐことができる。ストロー膜44は、ストロー20の自由端に隣接して配置され、かつ、内部へ突出する凸面形状を有することが望ましい。ストロー膜は、6水柱インチ未満の圧力の外向きの流れにおいてスリットが開くのを防ぐように形成されており、器が転倒したときに液体が漏れるのを制限できる。器が大きいほど、通気開口圧力を高くすることで、ストローが伸びた状態でかつ満杯の容器が転倒したときでも漏れないようにすることができる。
【0012】
使用時には、カバー16は図5に示す開位置にあり、ストロー20は伸ばされる。シッピーカップが、太陽光や温かい部屋から来る熱にさらされると、内部空洞40内の空気は膨張することとなるだろう。この空気の圧力によって液体がストロー20を通して押し出されるのを防ぐため、ストロー膜44が内部空洞40を雰囲気に通気する前に、通気膜42が開く。通気膜42は、ストロー膜44の開口圧力と比べて十分低い圧力で開口し、内部空洞内の圧力に起因して液体がストローを通して移動されるのを防ぐことができる。
【0013】
ストロー通気孔アセンブリ18が、図6に斜視図で示されている。図6においてチューブ22と重り付き端部24は取り外された状態となっている。この図には、通気開口部34を取り囲む通気リング36が示されている。タブ46の形状も示されている。タブ46は、利用者がつかみやすいリング形状であることが望ましく、これによって利用者がストロー通気孔アセンブリ18を蓋部から引き抜き、単独で洗浄したり、傷があれば取り替えたりすることができる。ストロー通気孔アセンブリ18の弾性体はポリマーからできており、そのポリマーのデュロメーター硬さは、ショアA 30-70、あるいはおよそショアA 50であることが好ましい。
【0014】
図7図3の7-7線における断面図であり、完全に閉じたカバーを示す。この位置において、柔軟性のあるストローは、カバー16に形成された尾根部48と、溝30の上端部に隣接する蓋部14に形成された尾根部50との間に折り畳まれかつ挟まれている。閉位置においてストローの内部通路は挟まれて閉じられている。
【0015】
カップ内の圧力が高まった結果、ストロー20を通して流体が排出されるのを防ぐため、図8に示すように最初にカバー16が開かれるとき、通気孔34が最初に開き、カップの空洞32と雰囲気間の圧力を等しくする一方で、ストローの流体通路は閉じたままである。この特徴は、部分的に満たされたシッピーカップが、カバーを閉じた状態で日光によって加熱されたときに特に有益である。ストローを挟んでない状態にする前に内部圧力を開放することで、カバーを開いたときに流体が噴出するのを防ぐことができる。
【0016】
図1-4に示す望ましい実施例として、ストロー通気孔アセンブリ18は、ストローと通気孔とを組み合わせて単一の一体型ユニットとしてもよい。その代わりに、ストローと通気孔とをそれぞれ別の部品として弾性材料から形成し、蓋部における2つの離れた出入口部に取り付けてもよい。しかしながら、使いやすくするため、ストロー通気孔アセンブリは一体型タブと結合されていることが望ましい。
【0017】
図9-14には、別のシッピーカップ60の実施例が示されている。シッピーカップ60はシッピーカップ10と同様に、カップ62、Oリング63、蓋部64、カバー66及び柔軟性のあるストロー68とを有する。別の実施例として、図11に示されるように、通気通路70が蓋部64に形成されている。隆起した通気リング72は、通気通路70の外側端部を取り囲み、カバー66に形成された弾性突起74によって密閉されて閉じられる。弾性突起74は、カバー66を形成する、より硬質なプラスチック材料に対して共成形されることが望ましい。
【0018】
ストロー通気孔アセンブリ18と似たストロー68は、本体76を形成する比較的柔らかい弾性材料の一部として形成されている。本体76は、蓋部64の中央開口部にしっかり嵌合する。蓋部64の内側に延びる本体76の部分は、流体取り出し管78に接続される。本体76は同様に、タブ80と通気膜82を形成する。通気膜82は通気通路70と協働して前述の実施例10における通気膜42と同様に機能する。通気通路70は蓋部64内に形成される。ストロー膜84は、自由端に隣接する柔軟性のあるストロー68に形成されており、最初の実施例におけるストロー膜44と同様の方法で、シッピーカップが傾いたり転倒したりしたときに液体が漏れるのを防ぐことができる。
【0019】
例示的実施例について上述してきたが、これらの実施例によって本発明のすべての可能な形態を説明することを意図するものではない。むしろ、明細書等で用いた用語は、限定するというよりは説明するための用語であり、当然理解されることであるが、本発明の主旨および範囲から逸脱することなく様々な変更が可能である。さらに、様々な実施例の特徴を組み合わせて本発明のさらなる実施例を形成してもよい。

図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14