(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-21
(45)【発行日】2023-01-04
(54)【発明の名称】防火ダンパ
(51)【国際特許分類】
F24F 13/15 20060101AFI20221222BHJP
【FI】
F24F13/15 J
(21)【出願番号】P 2019000294
(22)【出願日】2019-01-04
【審査請求日】2021-04-05
(73)【特許権者】
【識別番号】515119321
【氏名又は名称】株式会社アステム
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】西山 基広
【審査官】伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】実開昭51-005897(JP,U)
【文献】特開2015-114090(JP,A)
【文献】実開平02-020563(JP,U)
【文献】米国特許第04219185(US,A)
【文献】特開2018-128182(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0058808(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 13/15
A62C 2/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒形状のケーシングと、
前記ケーシング内に設けられたダンパ軸と、
前記ダンパ軸に設けられ、前記ダンパ軸の回転に応じて前記ケーシング内の流路を開閉自在な開閉羽根と、
前記開閉羽根を開状態から閉状態とする駆動部と、を有し、
前記ダンパ軸は、当該ダンパ軸の一方の端部が、前記ケーシングに設けられた軸受部材に遊嵌するとともに回転自在に支持され、
通常温度の場合に、前記開閉羽根の一方の端部と前記ケーシングの内面との間に隙間が設けられ、
前記隙間は、想定される使用環境の最大温度における、熱膨張による、前記開閉羽根の軸方向の長さの伸びと同じ又は前記伸びより僅かに長く設定されており、
閉状態の前記開閉羽根の一方の端部と前記ケーシングの内面との間の前記隙間を塞ぐように、前記ケーシングの前記内面から前記ケーシング内に突出する略平板状の閉塞部が設けられている
ことを特徴とする防火ダンパ。
【請求項2】
前記ケーシングは、断面矩形状又は断面円形状であることを特徴とする請求項1に記載の防火ダンパ。
【請求項3】
複数の前記閉塞部を有し、
前記閉塞部は、前記ダンパ軸と前記ダンパ軸との間、前記ダンパ軸と前記ケーシングの内面のうちの下側面との間、及び/又は、前記ダンパ軸と前記ケーシングの内面のうちの上側面との間に設けられ、
一直線上に配置された本体部と、前記ダンパ軸近傍の端部が前記ダンパ軸から離間する方向に且つ前記閉塞部の前記本体部の長軸方向に対して傾斜するように屈曲する屈曲部とを有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の防火ダンパ。
【請求項4】
さらに、閉状態の前記開閉羽根の一方の端部と前記ケーシングの内面との間の前記隙間を塞ぐように、前記開閉羽根に設けられた第2の閉塞部を有することを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の防火ダンパ。
【請求項5】
筒形状のケーシングと、
前記ケーシング内に設けられたダンパ軸と、
前記ダンパ軸に設けられ、前記ダンパ軸の回転に応じて前記ケーシング内の流路を開閉自在な開閉羽根と、
前記開閉羽根を開状態から閉状態とする駆動部と、を有し、
前記ダンパ軸は、当該ダンパ軸の一方の端部が、前記ケーシングに設けられた軸受部材に遊嵌するとともに回転自在に支持され、
通常温度の場合に、前記開閉羽根の一方の端部と前記ケーシングの内面との間に隙間が設けられ、
閉状態の前記開閉羽根の一方の端部と前記ケーシングの内面との間の前記隙間を塞ぐように、前記ケーシングの前記内面から前記ケーシング内に突出する略平板状の閉塞部が複数設けられており、
前記閉塞部は、前記ダンパ軸と前記ダンパ軸との間、前記ダンパ軸と前記ケーシングの内面のうちの下側面との間、及び/又は、前記ダンパ軸と前記ケーシングの内面のうちの上側面との間に設けられ、
一直線上に配置された本体部と、前記ダンパ軸近傍の端部が前記ダンパ軸から離間する方向に且つ前記閉塞部の前記本体部の長軸方向に対して傾斜するように屈曲する屈曲部とを有する
ことを特徴とする防火ダンパ。
【請求項6】
筒形状のケーシングと、
前記ケーシング内に設けられたダンパ軸と、
前記ダンパ軸に設けられ、前記ダンパ軸の回転に応じて前記ケーシング内の流路を開閉自在な開閉羽根と、
前記開閉羽根を開状態から閉状態とする駆動部と、を有し、
前記ダンパ軸は、当該ダンパ軸の一方の端部が、前記ケーシングに設けられた軸受部材に遊嵌するとともに回転自在に支持され、
通常温度の場合に、前記開閉羽根の一方の端部と前記ケーシングの内面との間に隙間が設けられ、
閉状態の前記開閉羽根の一方の端部と前記ケーシングの内面との間の前記隙間を塞ぐように、前記ケーシングの前記内面から前記ケーシング内に突出する略平板状の第1の閉塞部と、前記開閉羽根に設けられた第2の閉塞部とが設けられている
ことを特徴とする防火ダンパ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防火ダンパに関する。
【背景技術】
【0002】
空調ダクトにおいて、火災時の延焼防止や熱い空気の噴出を防止するために、ダクトの中間に設けられる空調ダクト用防火ダンパが知られている(例えば、特許文献1参照)。一般的な空調ダクト用防火ダンパは、ケーシング内に複数のダンパ軸が設けられ、そのダンパ軸に開閉羽根が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、原子力発電所設備における新規制基準では、「原子炉の高温停止及び低温停止に係る安全機能を有する構造物、系統及び機器を設置する火災区域については、3時間以上の耐火能力を有する耐火壁によって他の火災区域から分離すること」、「放射性物質の貯蔵又は閉じ込め機能を有する構造物、系統及び機器が設置される火災区域については、3時間以上の耐火能力を有する耐火壁によって他の火災区域から分離すること」等が要求されている。
【0005】
しかしながら、一般的な防火ダンパは、例えば火災などで長時間(3時間等)、遮炎性、遮煙性等を維持することは困難である。
このため、火災時、長時間高温状態が続いた場合であっても、遮炎性、遮煙性、耐火性を維持できる防火ダンパが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の防火ダンパは、少なくとも以下の構成を具備するものである。
筒形状のケーシングと、
前記ケーシング内に設けられたダンパ軸と、
前記ダンパ軸に設けられ、前記ダンパ軸の回転に応じて前記ケーシング内の流路を開閉自在な開閉羽根と、
前記開閉羽根を開状態から閉状態とする駆動部と、を有し、
前記ダンパ軸は、当該ダンパ軸の一方の端部が、前記ケーシングに設けられた軸受部材に遊嵌するとともに回転自在に支持され、
通常温度の場合に、前記開閉羽根の一方の端部と前記ケーシングの内面との間に隙間が設けられ、
前記隙間は、想定される使用環境の最大温度における、熱膨張による、前記開閉羽根の軸方向の長さの伸びと同じ又は前記伸びより僅かに長く設定されており、
閉状態の前記開閉羽根の一方の端部と前記ケーシングの内面との間の前記隙間を塞ぐように、前記ケーシングの前記内面から前記ケーシング内に突出する略平板状の閉塞部が設けられている
ことを特徴とする防火ダンパ。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、簡単な構成で、優れた遮炎性、遮煙性、耐火性を有する防火ダンパを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る防火ダンパの一例を示す図、
図1(a)は開閉羽根が開状態の防火ダンパの平面図であり、
図1(b)は正面図である。
【
図2】
図2(a)は
図1(b)に示した開閉羽根が開状態の防火ダンパの側面図、
図2(b)は開状態の開閉羽根、ダンパ軸、及び連結部材の一例を示す図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る防火ダンパの開閉羽根及びダンパ軸の一例を示す断面概念図である。
【
図4】
図4(a)は通常温度時のダンパ軸および開閉羽根の一例を示す図、
図4(b)は熱膨張状態のダンパ軸および開閉羽根の一例を示す図、
図4(c)はケーシングの内面から突出するように設けられた閉塞部の一例を示す図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る防火ダンパの閉塞部の一例を説明するための図である。
【
図6】開閉羽根が閉状態の防火ダンパの一例を示す図、
図6(a)は平面図であり、
図6(b)は正面図である。
【
図7】
図7(a)は開閉羽根が閉状態の防火ダンパの側面図、
図7(b)は閉状態の開閉羽根、ダンパ軸、及び連結部材の一例を示す図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る防火ダンパの一例を示す図、
図8(a)は開閉羽根が開状態の防火ダンパの正面図であり、
図8(b)は防火ダンパの透過側面図である。
【
図9】
図8に示す防火ダンパの閉状態の一例を示す図であり、
図9(a)は防火ダンパの一部分の斜視図、
図9(b)は
図9(a)に示したA部分の拡大斜視図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係る防火ダンパの一例を示す図、
図10(a)は開閉羽根が閉状態の防火ダンパの平面図であり、
図10(b)は防火ダンパの正面図であり、
図10(c)は
図10(b)の防火ダンパの透過側面図である。
【
図11】防火ダンパの一例を説明するための概念図、
図11(a)は防火ダンパの一部分を示す斜視図、
図11(b)は
図11(a)に示したA部分の拡大斜視図である。
【
図12】
図12(a)は防火ダンパのケーシング側閉塞部と開閉羽根と羽根側閉塞部の一例を示す図、
図12(b)は
図12(a)のB-B線に沿った断面図である。
【
図13】本発明の一実施形態に係る防火ダンパの通常時と高温時の
図12(a)のC-C線に沿った断面図であり、
図13(a)は通常時(通常温度時)のケーシング側閉塞部と開閉羽根と羽根側閉塞部の一例を示す概念図、
図13(b)は高温時(熱膨張時)のケーシング側閉塞部と開閉羽根と羽根側閉塞部の一例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態に係る防火ダンパは、筒形状のケーシングと、ケーシングに設けられたダンパ軸と、ダンパ軸に設けられ、ダンパ軸の回転に応じてケーシング内の流路を開閉自在な開閉羽根と、開閉羽根を開状態から閉状態とする駆動部とを有する。ダンパ軸は、当該ダンパ軸の一方の端部が、ケーシングに設けられた軸受部材に遊嵌するとともに回転自在に支持されている。防火ダンパは、通常温度の場合に、開閉羽根の一方の端部と前記ケーシングの内面との間に隙間が設けられている。この防火ダンパは、開閉羽根の一方の端部とケーシングの内面との間に隙間が設けられている。また、この防火ダンパは、閉状態の開閉羽根の一方の端部とケーシングの内面との間の隙間を塞ぐように、ケーシングの内面に、又は/及び開閉羽根の前記一方の端部に、閉塞部が設けられている。
なお、通常温度(室温等)の場合の上記隙間は、想定される使用環境の最大温度における、熱膨張による、開閉羽根の軸方向の長さの伸びと同じ又は伸びよりも僅かに長く設定されていることが好ましい。
また、開閉羽根が閉状態の場合、開閉羽根と閉塞部の全部又は一部分が重なるように、開閉羽根と閉塞部が形成されていることが好ましい。
本発明に係る防火ダンパは、簡単な構造で、優れた遮炎性、遮煙性、耐火性を有することができる。
【0010】
なお、本発明に係る防火ダンパは、例えば、空調用ダンパや流体用ダンパ等に適用してもよい。空調用ダンパとしては、例えば空調ダクト用ダンパ等を含んでもよい。流体用ダンパとしては、例えば、液体用ダンパ、気体用ダンパ、燃料用ダンパ、空気用ダンパ等を挙げることができる。
【0011】
以下、本発明の実施形態の一例を図面に基づいて説明する。なお、実施形態を説明する図面では、原則として同一の構成要素に同一の符号を付し繰り返しの説明を省略する。
【0012】
<ケーシングの内面に閉塞部を有する防火ダンパ>
図1(a)は本発明の一実施形態に係る防火ダンパ10の平面図であり、
図1(b)は防火ダンパ10の正面図である。
図2(a)は
図1(b)に示した開閉羽根が開状態の防火ダンパの側面図、
図2(b)は開状態の開閉羽根、ダンパ軸、及び連結部材の一例を示す図である。
【0013】
<開状態>
図1、
図2に示した本発明の一実施形態に係る防火ダンパ10は、ケーシング11、検査口11k、ダンパ軸12(支軸)、開閉羽根13、駆動部14、軸受部材15、連結部材16、温度ヒューズ17等を有する。
【0014】
ケーシング11は、筒形状に形成されている。ケーシング11は、耐火能を有する材料、例えば、金属材、セラミック等により形成されている。金属材としては、例えば、鋼板、詳細には溶融亜鉛めっき鋼板等を挙げることができる。ケーシング11は、例えば、断面矩形状、断面円形状など任意の形状であってもよい。本実施形態では、ケーシング11は、四角筒形状(断面矩形状)に形成されている。ケーシング11の側板11aの略中央部には検査口11kが形成されている。検査口11kには開閉式の蓋が設けられている。ケーシング11は、検査口11kを介してケーシング11内に配置された開閉羽根13の開閉状態などを視認可能に構成されている。
また、ケーシング11は、周囲に所定の幅のフランジ11fが形成されており、フランジ11fには所定の間隔で複数の取付用孔11fhが形成されている。
また、ケーシング11は、内面(内側面)に閉塞部11sが設けられている。この閉塞部11sは、開閉羽根13の動きを規制する規制部材(羽根ストッパー)としても機能する。詳細には、ダンパ軸12が回転し、開閉羽根13が開状態から閉状態となった場合、ダンパ軸12がそれ以上回転しないように、閉状態の開閉羽根13に当接する位置に、閉塞部11s(規制部材)が設けられている。閉塞部11sの詳細については後述する。また、ケーシング11の内面の下面には規制部材110(羽根ストッパー)が設けられている。この規制部材110は、閉状態の下段の開閉羽根13とケーシング11の間の隙間を閉塞するとともに、開閉羽根13の動きを規制する機能を有する。
【0015】
ケーシング11内には、1つ又は複数のダンパ軸12が配置され、ダンパ軸12の両端部付近が、金属製の軸受部材15を介してケーシング11に回転自在に軸支されている。ダンパ軸12は、耐火能を有する材料、例えば、金属材、セラミック等により形成されている。金属材としては、例えば、ステンレス鋼(SUS)等を挙げることができる。
【0016】
図3に示す例では、ダンパ軸12は、中空構造の回転軸である。また、ダンパ軸12は、軸方向に直交する断面形状が例えば四角形状、多角形状、円形状等の形状であることが好ましい。本実施形態では、ダンパ軸12は、断面形状が四角形状で、中空構造である。ダンパ軸12の形状や厚みは、ダンパ軸12の共振周波数や、強度(剛性)の観点から適宜規定される。
また、
図4に示すように、ダンパ軸12の両端部には被支持部125(12)としての円柱部材又は円筒部材が設けられている。被支持部125は、ケーシング11に設けられた軸受部材15により回転自在に支持されている。
なお、本実施形態では、ダンパ軸12は中空構造であったが、この実施形態に限られるものではなく、非中空の柱形状であってもよく、詳細には、上記断面形状が例えば円形状、四角形状、多角形状等であってもよい。
【0017】
ダンパ軸12には、開閉羽根13が設けられている。開閉羽根13は、ダンパ軸12の回転に応じてケーシング11内の流路を開閉可能に構成されている。
開閉羽根13は、耐火能を有する材料、例えば、金属材、セラミック等により形成されている。金属材としては、例えば、鋼板、詳細には溶融亜鉛めっき鋼板等を挙げることができる。本実施形態では、開閉羽根13は、略板状に形成されており、中央部にダンパ軸12に対応した屈曲部が形成され、端部に半円弧状等の所定の形状の凸形状部13t及び凹形状部13uが形成されている。
また、取付部材131により、開閉羽根13がダンパ軸12に取り付けられている。この取付部材131は、ダンパ軸12に対応した屈曲部を有する。
また、複数の開閉羽根13が閉状態の場合、開閉羽根13の凸形状部13tと、その開閉羽根13に隣接する開閉羽根13の凹形状部13uとが重なるように、複数の開閉羽根13が配置されている。
【0018】
また、複数の開閉羽根13の端部には、略棒形状又はフラットバー等の連結部材16が設けられており、この連結部材16により、複数の開閉羽根13が連動するように構成されている。詳細には、連結部材16は、連結部材16の本体部16aが屈曲部材16bを介して開閉羽根13に接続されている。連結部材16は、耐火能を有する材料、例えば、金属材、セラミック等により形成されている。金属材としては、例えば、鋼板、詳細には溶融亜鉛めっき鋼板等を挙げることができる。
【0019】
図1、
図2に示すように、ダンパ軸12には、駆動装置(駆動部14)が設けられている。
駆動装置(駆動部14)は、所定の条件を満たした場合、ダンパ軸12に設けられた開閉羽根13を開状態から閉状態とする。詳細には、本実施形態では、駆動装置(駆動部14)は、1つのダンパ軸12の一端部に設けられたハンドル14aを有し、ハンドル14aを操作することにより、ダンパ軸12を回転させることができるとともに、ダンパ軸12に設けられた開閉羽根13を開状態又は閉状態とすることができる。
【0020】
また、駆動装置(駆動部14)には、温度ヒューズ17、係止ピン(17p)、付勢バネ(不図示)が設けられている。温度ヒューズ17の本体部は、ケーシング11内に位置するように配置されている。
通常時には、ダンパ軸12の端部に設けられたハンドル14aの一方の端部に設けられた係止部14kと、温度ヒューズ17の本体部から突出している係止ピン17pとが係止することで、ダンパ軸12に設けられた開閉羽根13が開状態に保持されている。通常時には、係止ピン17pは、付勢バネにより温度ヒューズ17側に付勢されている。
なお、駆動装置(駆動部14)は、上述した実施形態に限られるものではなく、例えば、作動ガスの圧力に連動して、開閉羽根13を開状態から閉状態としてもよい。また、駆動装置(駆動部14)は、管理装置(コンピュータ)や個別のコンピュータ等の制御により、開閉羽根13を開状態又は閉状態としてもよい。また、駆動装置(駆動部14)は、防火ダンパから離れた位置に設けられた温度センサ、ガスセンサ、圧力センサ等の検知装置により、正常とは異なる異常状態が検知された場合に、開閉羽根13を開状態から閉状態としてもよい。
【0021】
<閉状態>
図4(a)は通常温度時のダンパ軸および開閉羽根の一例を示す図であり、
図4(b)は熱膨張状態のダンパ軸および開閉羽根の一例を示す図であり、
図4(c)はケーシングの内面から突出するように設けられた閉塞部の一例を示す図である。
図5は本発明の一実施形態に係る防火ダンパの閉塞部の一例を説明するための図である。
【0022】
図6は開閉羽根が閉状態の防火ダンパの一例を示す図である。詳細には、
図6(a)は防火ダンパの平面図であり、
図6(b)は正面図である。
図7(a)は開閉羽根が閉状態の防火ダンパの側面図であり、
図7(b)は閉状態の開閉羽根、ダンパ軸、及び連結部材の一例を示す図である。
【0023】
温度ヒューズ17は、例えば火災発生時など、所定の設定温度以上、例えば72℃以上で、温度ヒューズ17の本体部の可溶部分が溶断し、係止ピン17pが付勢バネにより温度ヒューズ17本体部側に没入する。そして、係止ピン17pがハンドル14aの係止部14kと非係止状態となり、ダンパ軸12が付勢部(不図示)の付勢力により、開閉羽根13が閉状態となる方向に回転することで、連結部材16により連結された複数の開閉羽根13が閉状態となり、ケーシング11内の流路が遮断される(
図6,
図7参照)。
【0024】
また、
図4(a)、
図4(c)に示すように、通常温度(設定温度よりも低い温度、室温等)の場合に、開閉羽根13の一方の端部とケーシング11の内面との間に設けられた隙間CLは、室温よりも高温時、例えば、想定される使用環境の最大温度(例えば1100℃程度)における、熱膨張による、開閉羽根13の軸方向の長さの伸びLcと同じ又は伸びよりも僅かに長く設定されている。
また、
図4、
図5に示すように、閉塞部11sは、閉状態の開閉羽根13の一方の端部とケーシング11の内面との間の隙間CLを塞ぐように、ケーシング11の内面からケーシング内に突出するように設けられている。閉塞部11sの長さL11s(ケーシング11の内面から突出する方向の長さ)は、通常温度時の隙間CLと略同じ又はそれよりも僅かに長くなるように設定されている。
また、
図5~
図7に示すように、本実施形態では、複数の閉塞部11sがケーシング11に設けられており、詳細には、閉塞部11sの本体部が、ダンパ軸12とダンパ軸12の間に、一直線上に配置され、ダンパ軸近傍の端部が、ダンパ軸12から離間する方向に、且つ閉塞部11sの本体部の長軸方向に対して傾斜するように、屈曲する屈曲部(11sa,11sb)を有する。
例えば、開閉羽根13を閉状態にして、ケーシング11内の流体(気体や液体等)の流れを遮断する場合、この屈曲部(11sa,11sb)により、ダンパ軸12の端部の被支持部125付近の流体の流れを確実に遮断することができる。
【0025】
<高温(熱膨張)時>
図4(b)に示すように、高温時、開閉羽根13は、熱膨張して、軸方向(ダンパ軸12の軸方向)の長さが伸びLcだけ伸長する。また、ダンパ軸12および被支持部125が熱膨張により軸方向に伸長する。本実施形態では、隙間CL側のダンパ軸12の端部の被支持部125は、ケーシング11に設けられた軸受部材15に遊嵌するとともに回転自在に支持されている。詳細には、ケーシング11に設けられた軸受部材15により、回転軸としてのダンパ軸12が回転自在に軸支されている。また、ダンパ軸12の端部を支持する軸受部材15のうち、ケーシング側閉塞部111sが設けられたケーシング11の側面側の軸受部材15は、ダンパ軸12が軸方向に移動自在に遊嵌され、且つダンパ軸12を回転自在に軸支している。すなわち、高温時、ダンパ軸12は、熱膨張により軸方向に伸長可能に形成されている。高温から通常の温度(室温等)になった場合、ダンパ軸12の軸方向の長さは、元の長さとなる。
なお、本実施形態では、隙間CLと反対側のダンパ軸12の端部の被支持部125は、軸受部材15に遊嵌することなく、回転自在に支持されている。つまり、ケーシング側閉塞部111sが設けられていないケーシング11の側面側の軸受部材15は、ダンパ軸12の軸方向の移動を規制し、且つダンパ軸12を回転自在に軸支している。
【0026】
本願発明者は、本発明の一実施形態に係る防火ダンパを実際に作製し、防火ダンパによる効果を確認した。
詳細には、本願発明者は、本発明の一実施形態に係る防火ダンパを作製し、約3時間の耐火試験を行った。なお、軸受(軸受部材15)はSUSなどの金属材、ダンパ軸12はSUSなどの金属材、連結部材16はSUSなどの金属材で形成した。
【0027】
この耐火試験方法および手順は、防火ダンパの性能試験方法であるJIS A 1314に準拠し、各部分の温度上昇を計測し、構造と材質の妥当性等を確認した。このJIS A 1314はISO834-1の標準加熱曲線式を包含する。
詳細には、試験開始後、駆動装置が正常に動作し、開閉羽根の閉鎖を確認した。その後、ISO834-1に規定された温度カーブに則りつつ下回らないように、温度上昇を行った。その結果、破損、脱落、発火等の不具合は認められず、JIS A 1314を満足するものとなった。
このように耐火試験の結果、本発明の実施形態に係る防火ダンパは、JIS A 1314を満足することが確認できた。また、3時間の耐火試験の前後において、UL555(FIRE DAMPER 耐火試験方法 米国)で求められる以下の性能についても満足することが確認できた。
(1)羽根の回転軸に垂直な羽根端とケーシングとの間において、9.5mmを超える目に見える開口がないこと。
(2)羽根の回転軸に平行な羽根端とケーシングとの間において、3.2mmを超える目に見える開口がないこと。
(3)隣接する羽根同士の間に、0.8mmを超える目に見える開口がないこと。
(4)部材間に隙間が19.1mmを超えないこと。
また、本発明の実施形態に係る防火ダンパは、建築基準法の定めによる防火ダンパに求められる項目「防火ダンパ性能規定と例示仕様」も満たしている。
【0028】
また、ケーシングと開閉羽根との間の隙間は、UL555で定められた寸法基準内に十分に収まることを確認した。
【0029】
<羽根側閉塞部を備えた開閉羽根を有する防火ダンパ>
次に、
図8~
図13を参照しながら、本発明の一実施形態に係る防火ダンパ10Aを説明する。なお、本実施形態を説明する図面では、原則として、
図1~
図7に示した実施形態と同一の構成要素に同一の符号を付し繰り返しの説明を省略する。
【0030】
図8は本発明の一実施形態に係る防火ダンパ10Aの一例を示す図である。詳細には、
図8(a)は開閉羽根が開状態の防火ダンパ10Aの正面図であり、
図8(b)は開閉羽根が開状態の防火ダンパ10Aの透過側面図である。
図9(a)は
図8に示した防火ダンパの開閉羽根の支持付近の斜視図であり、
図9(b)は
図9(a)の開閉羽根の拡大斜視図である。
図10は開閉羽根が閉状態の防火ダンパ10Aの一例を示す図である。詳細には、
図10(a)は防火ダンパ10Aの平面図、
図10(b)は防火ダンパ10Aの正面図、
図10(c)は防火ダンパ10Aの透過側面図である。
図11(a)は防火ダンパの一部分を示す斜視図、
図11(b)は
図11(a)に示したA部分の拡大斜視図である。
図12(a)は防火ダンパのケーシング側閉塞部と開閉羽根と羽根側閉塞部の一例を示す図であり、詳細には
図12(b)は
図12(a)のB-B線に沿った断面図である。
図13は、本発明の一実施形態に係る防火ダンパ10Aの通常時と高温時の
図12(a)のC-C線に沿った断面図である。詳細には、
図13(a)は通常時(通常温度時)のケーシング側閉塞部と開閉羽根と羽根側閉塞部の一例を示す概念図、
図13(b)は高温時(熱膨張時)のケーシング側閉塞部と開閉羽根と羽根側閉塞部の一例を示す概念図である。
【0031】
本実施形態では、防火ダンパ10Aは、筒形状のケーシング11と、ケーシング11に設けられたダンパ軸12と、ダンパ軸12に設けられた開閉羽根13と、開閉羽根13を開状態から閉状態とする駆動部14とを有する。ダンパ軸12は、当該ダンパ軸12の一方の端部が、ケーシング11に設けられた軸受部材15に遊嵌し且つ回転自在に支持されている。通常温度の場合に、開閉羽根13の一方の端部とケーシング11の内面との間に隙間が設けられている。閉状態の開閉羽根13の一方の端部とケーシング11の内面との間の隙間を塞ぐように、ケーシング11の内面に閉塞部(第1の閉塞部としてのケーシング側閉塞部111s)、又は/及び開閉羽根13の一方の端部(ケーシング側閉塞部111s側の端部)に、閉塞部(第2の閉塞部としての羽根側閉塞部311s)が設けられている。
図8~
図13に示す例では、閉塞部は、ケーシング側閉塞部111sと羽根側閉塞部311sを有する。
【0032】
本実施形態では、ケーシング11に設けられた軸受部材15により、回転軸としてのダンパ軸12が回転自在に軸支されている。また、ダンパ軸12の端部を支持する軸受部材15のうち、ケーシング側閉塞部111sが設けられたケーシング11の側面側の軸受部材15は、ダンパ軸12が軸方向に移動自在に遊嵌され、且つダンパ軸12を回転自在に軸支している。ケーシング側閉塞部111sが設けられていないケーシング11の側面側の軸受部材15は、ダンパ軸12の軸方向の移動を規制し、且つダンパ軸12を回転自在に軸支している。
【0033】
ケーシング側閉塞部111sは、ケーシング11の両側面のうち一方の側面の内面に設けられている。また、
図8~
図13に示すように、ケーシング側閉塞部111sは、ケーシング11の内面の平坦部11gからケーシング内部側に(X軸方向に)突出した形状に形成されている。
また、ケーシング側閉塞部111sは、上下方向(Z軸方向)に沿って延設されている。ケーシング側閉塞部111sには切欠部111shが設けられている。この切欠部111shは、開閉羽根13が閉状態のとき、羽根側閉塞部311sの端部311shが嵌合するように形成されている(
図11等参照)。
【0034】
また、羽根側閉塞部311sの端部311sh(ダンパ軸12から遠い端部)は、開閉羽根13が閉じる方向に屈曲した形状に形成されており、切欠部111shに嵌合可能に構成されている。
【0035】
また、
図11に示すように、羽根側閉塞部311sは、ダンパ軸12に近い端部311skが、羽根側閉塞部本体部から延出してダンパ軸12を越えて、開閉羽根13が閉じる方向に屈曲した形状に形成されており、その端部311skが、ケーシング側閉塞部111sに設けられた切欠部111skに嵌合可能に構成されている。
【0036】
開閉羽根13が閉状態で、高温時に、ダンパ軸12、開閉羽根13が熱膨張により軸方向に伸びた場合であっても、端部311shが切欠部111shに嵌合し、端部311skが切欠部111skに嵌合するので、ダンパ軸12や開閉羽根13の伸び分だけケーシング側閉塞部111sに嵌入することで、この伸び分の影響を低減することができる。
【0037】
図12(a)は開閉羽根が閉状態の防火ダンパの部分拡大側面図であり、
図12(b)は
図12(a)のB-B線に沿った断面図である。
図12に示すように、開閉羽根13の端部(回転軸の軸方向に沿ったケーシング側端部)には、羽根側閉塞部311sが設けられている。
【0038】
<通常時(通常温度)>
通常温度では、開閉羽根13が閉状態の場合、ケーシング11の内面の平坦部11gと、羽根側閉塞部311sの端部(ケーシング側端部)との間に、所定の長さの間隔が設けられている。この間隔の長さは、開閉羽根の長手方向(軸方向)の伸びと同じ、又はそれよりも僅かに長くなるように規定されている。なお、この間隔は、ケーシング側閉塞部111sの薄板部分の厚みを考慮して僅かに短くてもよい。
また、ケーシングの内面の平坦部から突起した部分、つまり、ケーシング側閉塞部111sの長さ(X方向の長さ)は、上記ケーシング11の内面の平坦部と、羽根側閉塞部311sの端部(ケーシング側端部)との間の間隔よりも僅かに長く形成されるように規定されている。
つまり、
図13に示すように、ケーシング側閉塞部111sと、羽根側閉塞部311sとが一部分重なるように配置される。
すなわち、ケーシング側閉塞部111sと羽根側閉塞部311sとが一部分重なっているので、ケーシング11内の流体(気体(空気等)や液体等)の流れを遮断することができる。
詳細には、
図13(a)に示す例では、開閉羽根13が閉状態の場合、羽根側閉塞部311sの先端の一部分が、ケーシング11に設けられたケーシング側閉塞部111sに当接するように、羽根側閉塞部311sとケーシング側閉塞部111sが形成されている。
【0039】
<熱膨張時(高温時)>
熱膨張時(高温時)では、回転軸であるダンパ軸12や開閉羽根13が熱膨張によりX軸方向に伸び、
図13(b)に示すように、羽根側閉塞部311s先端部が、ケーシング11の内面の平坦部11gに当接するように、又は僅かに間隔があくように、各構成要素が構成されている。
【0040】
また、開閉羽根13に設けられた羽根側閉塞部311sは、
図13に示すように、開閉羽根13の端部(ケーシング側端部)に設けられ、ケーシング側閉塞部111sの幅(Y軸方向に沿った幅)の約半分の長さだけ延出したのち、ケーシング11の内面に向かって屈曲し所定の長さだけ延出した形状に形成されている。
【0041】
図13(a)に示すように、通常時(通常温度の状態(室温等))の場合、開閉羽根13は熱膨張を考慮して、熱膨張分(伸びLc)と同じ又はそれよりも僅かに長く隙間CLが設けられている。
すなわち、高温時、ダンパ軸(回転軸)やダンパ軸(回転軸)に設けられた開閉羽根が熱膨張により、開閉羽根やダンパ軸の長手方向(X方向)に沿って伸びた場合であっても、伸び分の影響を低減することができる。
【0042】
図13(b)に示す例では、高熱状態では、羽根やダンパ軸としての回転軸が、熱膨張により羽根の長手方向(軸方向)に沿って(詳細には
図13(a)のX軸に沿って右から左へ)へ伸びる。
すなわち、高温時に、開閉羽根13やダンパ軸12(回転軸)が軸方向に熱膨張した場合であっても、開閉羽根13が閉状態で、ケーシング側閉塞部111sと、羽根側閉塞部311sにより確実にケーシング11内の流体の流れを遮断することができる。
【0043】
以上、説明したように、本発明の一実施形態に係る防火ダンパは、筒形状のケーシング11と、ケーシング11に設けられたダンパ軸12と、ダンパ軸12に設けられ、ダンパ軸12の回転に応じてケーシング11内の流路を開閉自在な開閉羽根13と、開閉羽根13開状態から閉状態とする駆動部14(駆動装置)と、を有する。ダンパ軸12は、当該ダンパ軸12の一方の端部が、前記ケーシング11に設けられた軸受部材15に遊嵌するとともに回転自在に支持されている。また、通常温度(設定温度よりも低い温度、室温等)の場合に、閉状態の開閉羽根13の一方の端部とケーシング11の内面との間に隙間CLが設けられている。
例えば、防火ダンパ10は、閉状態の開閉羽根13の一方の端部とケーシング11の内面との間の隙間CLを塞ぐように、ケーシング11の内面に閉塞部11sが設けられている。
すなわち、通常温度(室温等)の場合、開閉羽根13が閉状態のとき、閉塞部11sにより、閉状態の開閉羽根13の一方の端部とケーシング11の内面との間の隙間CLを塞ぐように構成されているので、簡単な構成で、優れた遮炎性、遮煙性、耐火性を有する防火ダンパ10を提供することができる。
また、高温時、回転軸としてのダンパ軸12が熱膨張により軸方向に伸びた場合であっても、ケーシング11の内面(閉塞部11sが設けられている内面付近)に設けられている軸受部材15により、ダンパ軸12が回転自在に遊嵌しており、且つ軸方向に摺動自在に支持されているので、ダンパ軸12の熱膨張による伸び分を吸収することができる。
また、高温時には、開閉羽根13やダンパ軸12が熱膨張により軸方向(ダンパ軸の軸方向)に伸びた場合であっても、開閉羽根13の端部(ケーシング側の端部)は、ケーシング11の内面に近づくことで、開閉羽根13の熱膨張による伸び分を吸収することができる。また、防火ダンパ10は、高温時であっても、閉塞部11sにより、閉状態の開閉羽根13の一方の端部とケーシング11の内面との間の隙間を塞ぐように構成されているので、優れた遮炎性、遮煙性、耐火性を有する。
【0044】
また、閉塞部11s(羽根ストッパー)は、閉塞部11sの本体部が、ダンパ軸12とダンパ軸12の間に、一直線上に配置され、ダンパ軸近傍の端部が、ダンパ軸12から離間する方向に、且つ閉塞部11sの本体部の長軸方向に対して傾斜するように、屈曲する屈曲部(11sa,11sb)を有する。本実施形態では、屈曲部11saと屈曲部11sbは互いに反対方向に屈曲するように規定されている。
すなわち、閉塞部11s(羽根ストッパー)が屈曲部(11sa,11sb)を有するので、室温よりも高温時、例えば、想定される使用環境の最大温度時等、閉塞部11sが熱膨張した場合であっても、閉塞部11sがダンパ軸12に接触することなく、閉塞部11sにより隙間CLを確実に閉塞することができる。
【0045】
また、防火ダンパ10Aは、閉状態の開閉羽根13の一方の端部(軸方向に沿ったケーシング側端部)とケーシング11の内面との間の隙間CLを塞ぐように、ケーシング11の内面に閉塞部(ケーシング側閉塞部111s)が設けられ、又は/及び開閉羽根13の一方の端部に、閉塞部(羽根側閉塞部311s)が設けられていてもよい。詳細には、閉状態の開閉羽根13の一方の端部(軸方向に沿ったケーシング側端部)は、ダンパ軸を回転自在に遊嵌している軸受部材が設けられているケーシング付近の端部である。
また、防火ダンパ10Aは、上記ケーシング側閉塞部111s、上記羽根側閉塞部311sのいずれか一方だけを備えていてもよい。すなわち、簡単な構成で、優れた遮炎性、遮煙性、耐火性を有する防火ダンパ10を提供することができる。
【0046】
上記隙間CLは、例えば、想定される使用環境の最大温度(例えば1100℃程度)における、熱膨張による、開閉羽根の軸方向の長さの伸びLcと同じ又は前記伸びLcよりも僅かに長く設定されていることが好ましい。すなわち、高温状態で、防火ダンパの開閉羽根13やダンパ軸12が熱膨張した場合であっても、優れた遮炎性、遮煙性、耐火性を有する防火ダンパ10を提供することができる。
【0047】
また、本発明の実施形態に係る防火ダンパのケーシングは、断面矩形状、断面円形状等の任意の形状であってもよい。開閉羽根等は、閉状態の場合、ケーシング内の流体の流れを遮断するようにケーシングに対応した形状に形成されていることが好ましい。すなわち、本発明に係る防火ダンパを断面矩形状、断面円形状等の任意の形状の防火ダンパに適用することができる。
【0048】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
また、上述の各図で示した実施形態は、その目的及び構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの記載内容を組み合わせることが可能である。
また、各図の記載内容はそれぞれ独立した実施形態になり得るものであり、本発明の実施形態は各図を組み合わせた一つの実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0049】
10…防火ダンパ(耐火性防火ダンパ等)
11…ケーシング
11k…検査口
11s…閉塞部
11sa,11sb…屈曲部
12…ダンパ軸
13…開閉羽根(羽根)
14…駆動部(駆動装置)
15…軸受部材
16…連結部材
17…温度ヒューズ
110…規制部材(羽根ストッパー)
111s…ケーシング側閉塞部(第1の閉塞部)
311s…羽根側閉塞部(第2の閉塞部)
CL…隙間(クリアランス)
Lc…開閉羽根の長手方向(軸方向)の伸び