(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-21
(45)【発行日】2023-01-04
(54)【発明の名称】換気装置
(51)【国際特許分類】
F24F 13/04 20060101AFI20221222BHJP
F24F 7/013 20060101ALI20221222BHJP
F24F 7/06 20060101ALI20221222BHJP
F24F 13/10 20060101ALI20221222BHJP
F24F 13/26 20060101ALI20221222BHJP
F24F 13/28 20060101ALI20221222BHJP
F24F 7/007 20060101ALI20221222BHJP
【FI】
F24F13/04
F24F7/013 101A
F24F7/013 101B
F24F7/013 101C
F24F7/013 101G
F24F7/06 A
F24F13/10 A
F24F13/26
F24F13/28
F24F7/007 Z
(21)【出願番号】P 2019094513
(22)【出願日】2019-05-20
【審査請求日】2022-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】504254770
【氏名又は名称】株式会社佐原
(74)【代理人】
【識別番号】100085556
【氏名又は名称】渡辺 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100115211
【氏名又は名称】原田 三十義
(74)【代理人】
【識別番号】100153800
【氏名又は名称】青野 哲巳
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 徳哉
【審査官】伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04526318(US,A)
【文献】中国特許出願公開第1517629(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第108488981(CN,A)
【文献】国際公開第2018/180607(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0016901(KR,A)
【文献】特開2018-179490(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0269057(US,A1)
【文献】特開2003-014268(JP,A)
【文献】特開2005-133961(JP,A)
【文献】特開2002-243227(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 13/00-13/28
F24F 7/013
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋外の空気を導入する屋外側導入口と、屋内の空気を導入する屋内側導入口と、屋外の空気と屋内の空気との混合空気を吹き出す吹出口と、を有する中空の装置本体と、
上記装置本体内に設置され、上記屋外の空気と上記屋内の空気を吸込口から吸い込んで、屋外の空気と屋内の空気の混合空気を上記吹出口へ吐出するファンと、
を備えた換気装置において、
さらに、上記装置本体内に配置され上記ファンの上記吸込口に至るまで延びる仕切壁を備え、上記仕切壁により、上記屋外側導入口から上記吸込口まで屋外の空気を案内する屋外空気通路と、上記屋内側導入口から上記吸込口まで屋内の空気を案内する屋内空気通路が、隔離され、
上記装置本体が細長く形成され、上記ファンの回転軸線が上記装置本体の長手方向に沿って延びており、
上記仕切壁は、上記装置本体の長手方向に延びてその一端が上記ファンの上記吸込口に至る第1仕切壁部と、少なくとも一部が上記装置本体の長手方向と交差する方向に延びる第2仕切壁部と、を有し、
上記屋外空気通路と上記屋内空気通路は、上記第1仕切壁部により隔離されたファン側通路部分をそれぞれ有することを特徴とする換気装置。
【請求項2】
上記第1仕切壁部の他端と上記第2仕切壁との間には、フィルタを着脱可能に挿入するためのフィルタ挿入口が形成されており、
上記フィルタは、上記
屋外空気通路の上記ファン側通路部分における上記吸込口とは反対側の開口端に配置される屋外側フィルタ部と、上記
屋内空気通路の上記ファン側通路部分における上記吸込口とは反対側の開口端に配置される屋内側フィルタ部と、を有し、上記屋外側フィルタ部と上記屋内側フィルタ部の境部が上記フィルタ挿入口に配置されていることを特徴とする請求項
1に記載の換気装置。
【請求項3】
上記装置本体は上記屋外側導入口に連なる滞留室を有しており、
上記第2仕切壁部は、屋外に向かって上記ファンに近づくように傾斜して上記装置本体の内部空間を横切り、上記屋内空気通路の上記ファン側通路部分と上記滞留室とを隔離しており、
上記第2仕切壁部には、上記屋外空気通路の上記ファン側通路部分と上記滞留室とを連通させる連通口が形成され、これにより、上記
屋外空気通路は、上記ファン側通路部分と上記滞留室を含んでおり、
上記屋外側フィルタ部と上記屋内側フィルタ部は互いに交差する2つの平面上にあり、これによりフィルタは折り曲げられた形状を有しており、
上記屋外側フィルタ部が上記第2仕切壁部に沿って配置され、上記屋内側フィルタ部が上記第2仕切壁部と交差する方向に傾斜して配置され、上記第2仕切壁部と上記屋内側フィルタ部との間に上記屋内側導入口が配置されていることを特徴とする請求項
2に記載の換気装置。
【請求項4】
上記装置本体は、屋内に臨む正面壁と、屋外に臨む背面壁とを含んでおり、上記背面壁に上記屋外側導入口が形成され、上記正面壁には上記ファンおよび上記フィルタを露出させるための開口が形成され、この開口が上記装置本体に回動可能に支持されたカバーにより開閉されるようになっており、上記カバーは上記正面壁の一部として提供されるとともに、上記吹出口を有しており、
さらに、上記装置本体には上記カバーの開閉操作に応答するスイッチが配置され、このスイッチは、上記カバーが閉じ位置にある時に上記ファンを回転駆動させ、上記カバーが開き位置にある時に上記ファンを停止させることを特徴とする請求項
2または3に記載の換気装置。
【請求項5】
さらに、上記装置本体の背面壁に沿って配置されたシャッタ板と、このシャッタ板を上記屋外側導入口を開く開き位置と上記屋外側導入口を閉じる閉じ位置との間で移動させるアクチュエータと、を備え、
上記スイッチは、上記カバーが閉じられた時に上記アクチュエータを駆動させて上記シャッタを開き位置にし、上記カバーが開かれた時に上記アクチュエータを駆動させて上記シャッタを閉じ位置にすることを特徴とする請求項
4に記載の換気装置。
【請求項6】
屋外の空気を導入する屋外側導入口と、屋内の空気を導入する屋内側導入口と、屋外の空気と屋内の空気との混合空気を吹き出す吹出口と、を有する中空の装置本体と、
上記装置本体内に設置され、上記屋外の空気と上記屋内の空気を吸込口から吸い込んで、屋外の空気と屋内の空気の混合空気を上記吹出口へ吐出するファンと、
を備えた換気装置において、
さらに、上記装置本体内に配置され上記ファンの上記吸込口に至るまで延びる仕切壁を備え、上記仕切壁により、上記屋外側導入口から上記吸込口まで屋外の空気を案内する屋外空気通路と、上記屋内側導入口から上記吸込口まで屋内の空気を案内する屋内空気通路が、隔離され、
上記ファンは、上記装置本体の中央部に設置されるとともに、その両端に上記吸込口を有し、上記屋外側導入口、上記屋内側導入口、上記屋外空気通路、上記屋内空気通路および上記仕切壁が、上記ファンの両側に配置されていることを特徴
とする換気装置。
【請求項7】
屋外の空気を導入する屋外側導入口と、屋内の空気を導入する屋内側導入口と、屋外の空気と屋内の空気との混合空気を吹き出す吹出口と、を有する中空の装置本体と、
上記装置本体内に設置され、上記屋外の空気と上記屋内の空気を吸込口から吸い込んで、屋外の空気と屋内の空気の混合空気を上記吹出口へ吐出するファンと、
を備えた換気装置において、
さらに、上記装置本体内に配置され上記ファンの上記吸込口に至るまで延びる仕切壁を備え、上記仕切壁により、上記屋外側導入口から上記吸込口まで屋外の空気を案内する屋外空気通路と、上記屋内側導入口から上記吸込口まで屋内の空気を案内する屋内空気通路が、隔離され、
上記装置本体は、屋内に臨む正面壁と、屋外に臨む背面壁と、底壁とを含んでおり、上記背面壁に上記屋外側導入口が形成され、上記底壁に上記屋内側導入口が形成され、上記正面壁に上記吹出口が形成されていることを特徴
とする換気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファンを用いて屋外の空気を屋内に取り入れる換気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ファンを用いて屋外の新鮮な空気を屋内に吹き出すことにより、屋内環境を清浄に維持するようにした換気装置は公知である。このような換気装置では、特に寒冷時に屋内を暖房している状況において、屋外の冷たい空気が屋内に吐き出されるため、結露が生じたり、居住者の足元に冷気が当たり不快感を与える。
【0003】
そこで、特許文献1,2に開示された換気装置では、装置本体が屋外の空気を導入する屋外側導入口に加えて、屋内の空気を導入する屋内側導入口を有している。屋外の空気と屋内の空気は、換気装置内の空間で混合され、この混合された空気がファンの吸込口に吸いこまれ、装置本体の吹出口から屋内に吹き出されるようになっている。
上記換気装置によれば、寒冷時において屋外の冷たい空気が屋内の暖かい空気と混合して屋内に供給されるため、冷気を和らげることができ、結露が生じたり居住者の足元に冷気が当たるのを抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2000-274784号公報
【文献】特開2005-133961号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1,2に開示された換気装置では、装置本体内に屋外の空気と屋内の空気を混合する空間が存在しているため、屋外の風圧により屋外の空気と屋内の空気の混合比が大きく影響を受けてしまう。例えば屋外の風圧が高い場合には、屋外の空気が屋内の空気を圧迫し、その結果、屋外の空気の比率が異常に高まってしまい、上述した結露や居住者の足元への冷気を防ぐことができなくなる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、屋外の空気を導入する屋外側導入口と、屋内の空気を導入する屋内側導入口と、屋外の空気と屋内の空気との混合空気を吹き出す吹出口と、を有する中空の装置本体と、上記装置本体内に設置され、上記屋外の空気と上記屋内の空気を吸込口から吸い込んで、屋外の空気と屋内の空気の混合空気を上記吹出口へ吐出するファンと、を備えた換気装置において、
さらに、上記装置本体内に配置され上記ファンの上記吸込口に至るまで延びる仕切壁を備え、上記仕切壁により、上記屋外側導入口から上記吸込口まで屋外の空気を案内する屋外空気通路と、上記屋内側導入口から上記吸込口まで屋内の空気を案内する屋内空気通路が、隔離されていることを特徴とする。
【0007】
上記構成によれば、屋外の空気と屋内の空気が仕切壁によりファンの吸込口に至るまで混合しないため、屋外の風圧による影響を大きく受けずにファンにより屋内の空気を確実に吸い込み、屋外の空気と混合して屋内に吹き出すことができる。そのため、寒冷時に屋外の風圧が高い場合でも混合空気の温度を屋外空気の温度より確実に高めることができ、その結果として、結露を防止でき、居住者の足元に冷気が当たるのを防ぐことができる。
【0008】
好ましくは、上記装置本体が細長く形成され、上記ファンの回転軸線が上記装置本体の長手方向に沿って延びており、上記仕切壁は、上記装置本体の長手方向に延びてその一端が上記ファンの上記吸込口に至る第1仕切壁部と、少なくとも一部が上記装置本体の長手方向と交差する方向に延びる第2仕切壁部と、を有し、上記屋外空気通路と上記屋内空気通路は、上記第1仕切壁部により隔離されたファン側通路部分をそれぞれ有する。
上記構成によれば、屋外の空気と屋内の空気は、互いに隔離されながらファンの回転軸線に沿って流れてファンに吸い込まれるため、より一層確実に屋内空気を屋外空気とともに吸い込むことができる。
【0009】
好ましくは、上記第1仕切壁部の他端と上記第2仕切壁との間には、フィルタを着脱可能に挿入するためのフィルタ挿入口が形成されており、上記フィルタは、上記屋外側空気通路の上記ファン側通路部分における上記吸込口とは反対側の開口端に配置される屋外側フィルタ部と、上記屋内側空気通路の上記ファン側通路部分における上記吸込口とは反対側の開口端に配置される屋内側フィルタ部と、を有し、上記屋外側フィルタ部と上記屋内側フィルタ部の境部が上記フィルタ挿入口に配置されている。
上記構成によれば、屋外の空気および屋内の空気に含まれる花粉等の塵埃は、フィルタの屋外側フィルタ部と屋内側フィルタ部により除去されるので、清浄な混合空気を屋内に吹き出すことができる。また、フィルタは第1仕切壁部と第2仕切壁部との間のフィルタ挿入口を介して着脱可能に装着できるため、交換作業も簡単である。
【0010】
好ましくは、上記装置本体は上記屋外側導入口に連なる滞留室を有しており、上記第2仕切壁部は、屋外に向かって上記ファンに近づくように傾斜して上記装置本体の内部空間を横切り、上記屋内空気通路の上記ファン側通路部分と上記滞留室とを隔離しており、上記第2仕切壁部には、上記屋外空気通路の上記ファン側通路部分と上記滞留室とを連通させる連通口が形成され、これにより、上記屋外側空気通路は、上記ファン側通路部分と上記滞留室を含んでおり、上記屋外側フィルタ部と上記屋内側フィルタ部は互いに交差する2つの平面上にあり、これによりフィルタは折り曲げられた形状を有しており、上記屋外側フィルタ部が上記第2仕切壁部に沿って配置され、上記屋内側フィルタ部が上記第2仕切壁部と交差する方向に傾斜して配置され、上記第2仕切壁部と上記屋内側フィルタ部との間に上記屋内側導入口が配置されている。
上記構成によれば、滞留室がバッファとして働くので、屋外の風圧の一時的な上昇の影響を緩和できる。また、フィルタは第2仕切壁部に沿って挿入することができ、その設置作業が楽である。さらに、屋内側フィルタ部と第2仕切壁部との間にスペースが形成され、このスペースに屋内側導入口を連ねることができる。
【0011】
好ましくは、上記ファンは、上記装置本体の中央部に設置されるとともに、その両端に上記吸込口を有し、上記屋外側導入口、上記屋内側導入口、上記屋外空気通路、上記屋内空気通路および上記仕切壁が、上記ファンの両側に配置されている。
上記構成によれば、ファンの両側から屋外空気と屋外空気を吸い込むことができる。
【0012】
好ましくは、上記装置本体は、屋内に臨む正面壁と、屋外に臨む背面壁と、底壁とを含んでおり、上記背面壁に上記屋外側導入口が形成され、上記底壁に上記屋内側導入口が形成され、上記正面壁に上記吹出口が形成されている。
上記構成によれば、屋内空気の導入方向と混合空気の吹き出し方向が異なるので、吹き出した混合空気が直ぐに換気装置に導入されるのを回避でき、良好な換気を確保できるとともに、寒冷時に吹出される冷気を効率良く和らげることができる。
【0013】
好ましくは、上記装置本体は、屋内に臨む正面壁と、屋外に臨む背面壁とを含んでおり、上記背面壁に上記屋外側導入口が形成され、上記正面壁には上記ファンおよび上記フィルタを露出させるための開口が形成され、この開口が上記装置本体に回動可能に支持されたカバーにより開閉されるようになっており、上記カバーは上記正面壁の一部として提供されるとともに、上記吹出口を有しており、さらに、上記装置本体には上記カバーの開閉操作に応答するスイッチが配置され、このスイッチは、上記カバーが閉じ位置にある時に上記ファンを回転駆動させ、上記カバーが開き位置にある時に上記ファンを停止させる。
上記構成によれば、ファンのメンテナンスやフィルタの交換等を行なうためにカバーを開いた時に、ファンを自動的に停止させることができ、ファンのメンテナンスやフィルタの交換の作業が完了してカバーを閉じた時に、ファンを自動的に回転駆動させることができる。
【0014】
好ましくは、さらに、上記装置本体の背面壁に沿って配置されたシャッタ板と、このシャッタ板を上記屋外側導入口を開く開き位置と上記屋外側導入口を閉じる閉じ位置との間で移動させるアクチュエータと、を備え、上記スイッチは、上記カバーが閉じられた時に上記アクチュエータを駆動させて上記シャッタを開き位置にし、上記カバーが開かれた時に上記アクチュエータを駆動させて上記シャッタを閉じ位置にする。
上記構成によれば、ファンのメンテナンスやフィルタの交換等を行なうためにカバーを開いた時に、モータの停止に連動して屋外側導入口を自動的に閉じ、カバーを閉じた時にモータの回転駆動開始に連動して屋外側導入口を自動的に開くことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、屋外の風圧による影響を大きく受けずにファンにより屋内の空気を確実に吸い込み、屋外の空気と混合して屋内に吹き出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態に係る換気装置を組み込んだサッシ戸を屋内側から見た正面図である。
【
図2A】上記換気装置を屋内側から見た斜視図である。
【
図2B】上記換気装置を屋外側から見た斜視図である。
【
図3】上記換気装置を、カバーを開いた状態で示す斜視図である。
【
図4】上記換気装置を、装置本体とファンとフィルタに分解した状態で示す斜視図である。
【
図5A】上記換気装置の右半分を水平面で切断した断面図である。
【
図5B】上記換気装置の左半分を水平面で切断した断面図である。
【
図6B】上記フィルタを
図6Aにおいて矢印B方向から見た図である。
【
図6C】上記フィルタを
図6Aにおいて矢印C方向から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照しながら説明する。
図1に示すように、建物の壁穴に嵌め込まれた窓枠1に、サッシ戸2が例えば右側縁を中心に回動可能に支持され、屋外に向かって開くことができるようになっている。
本発明の換気装置3は、サッシ戸2の上框または上框の一部として、サッシ戸2に組み込まれている。
【0018】
図1~
図3に示すように、換気装置3は、左右方向に細長く延びその両端が閉塞された中空の装置本体10を備えている。装置本体10の中央部にはファン20が配置され、その左右には送風ガイド30およびフィルタ40が配置されている。
【0019】
装置本体10は屋内に臨む垂直に起立した正面壁11を有している。この正面壁11には、左右に延びる細長い開口11aが形成されており、この開口11aにより、上記ファン20と左右の送風ガイド30およびフィルタ40が屋内に露出されるようになっている。
開口11aの下縁には、左右に延びるカバー15の下縁がヒンジ16により送風ガイド30ひいては装置本体10に回動可能に支持されており、このカバー15により開口11aが開閉されるようになっている。カバー15は正面壁11の一部として提供され、後述する混合空気を吹き出すための多数の穴からなる吹出口15aを有している。
【0020】
図3、
図4に示すように、カバー15の屋外側を向く面の左右部には磁石17が固定され、左右の送風ガイド30の屋内側を向く面にも磁石18が固定されている。これら磁石17,18同士が吸着することにより、カバー15の閉じ状態が維持されている。
【0021】
図2B、
図5A、
図5Bに示すように、装置本体10は屋外に臨む垂直に起立した背面壁12を有している。この背面壁12の左右部には、屋外の空気を導入するための屋外側導入口12aが形成されている。本実施形態の屋外側導入口12aは、縦に並べられた複数の穴群を左右方向に等ピッチで配置することにより構成されている。
【0022】
装置本体10内には、背面壁12の屋内側の面に接するようにしてシャッタ板50が配置されている。このシャッタ板50は、左右方向に延びており、その左右部には上記屋外側導入口12aに対応する制御口51が屋外側導入口12aと等しいピッチで多数形成されている。シャッタ板50は、アクチュエータ55により、制御口51が屋外側導入口12aと一致して屋外側導入口12aを開く開き位置と、制御口51が屋外側導入口12aと一致せず屋外側導入口12aを閉じる閉じ位置との間で、左右に移動されるようになっている。
【0023】
図3~
図5に示すように、装置本体10の底壁13の左右部には、屋内の空気を導入するための屋内側導入口13aが形成されている。
【0024】
図3~
図5に示すように、装置本体10の中央部に配置されたファン20は、ダブルシロッコファンからなり、屋内側が開放されたケース21と、このケース21の中央に支持されたモータ22と、このモータ22の左右の出力軸部に固定され円筒状に配置されたブレード23とを有している。ブレード23の回転軸線は装置本体10の長手方向に延び、その先端開口が吸込口24となっている。ケース21の屋内側開放部は吐出口25として提供される。吐出口25から吐出された空気は、正面壁11の吹出口15aから屋内に吹き出すようになっている。
【0025】
図5A,
図5Bに示すように、一対の送風ガイド30の各々は、左右両端が開放された筒状のガイド本体31と、垂直に起立した平板形状の第1、第2の仕切壁部35,36(仕切壁)と、を一体に有している。
第1仕切壁部35は、装置本体10の長手方向に延びており、ガイド本体31の内部空間を2つのファン側通路部分37a,38aに分断している。ガイド本体31と第1仕切壁部35の一端は、ファン20の吸込口24まで延びている。第1仕切壁部35は、ファン30の吸込口24の面積Aを、屋外側のファン側通路部分37aが大きく屋内側のファン側通路部分38aが小さくなるように、例えばその比が7:3になるように分割している。
【0026】
第2仕切壁部36は、その屋外側端部がガイド本体31の他端に連なり、装置本体10の内部空間を横切っている。第2仕切壁部36は、屋内から屋外に向かってファン20に近づくように、装置本体10の長手方向に対して傾斜している。
【0027】
第2仕切壁部36と装置本体10の閉塞端との間には、背面壁12の屋外側導入口12aに連なる滞留室37bが形成されている。
第2仕切壁部36の屋外側の部分には、連通口36aが形成されている。この連通口36aを介して滞留室37bと屋外側のフィン側通路部分37aが連通されている。この滞留室37bとファン側通路部分37aにより、屋外側導入口12aから導入された屋外の空気をファン20の吸込口24まで案内するための屋外空気通路37が構成されている。
【0028】
第2仕切壁部36の屋内側の部分は、滞留室37bと、屋内側導入口13aおよび屋内側のファン側通路部分38aとを隔離している。装置本体10における屋内側導入口13aの真上のスペース38bとファン側通路部分38aにより、屋内側導入口13aから導入された屋内の空気をファン20の吸込口24まで案内するための屋内空気通路38が構成されている。スペース38bは滞留室37bより遥かに小さい。
【0029】
第1仕切壁部35は第2仕切壁部36に向かって延びており、その他端と第2仕切壁部36との間には間隙が形成されている。この間隙はフィルタ挿入口39として提供されている。
【0030】
図6に示すように、左右一対のフィルタ40の各々は、枠41と2つのフィルタ材42,43を有している。枠41は、屋外側の第1枠部41aと屋内側の第2枠部41bを有している。第1枠部41aとこの第1枠部41aに取り付けられたフィルタ材42により、屋外側フィルタ部47が構成され、第2枠部41bとこの第2枠部41bに取り付けられたフィルタ材43により、屋内側フィルタ部48が構成されている。屋外側フィルタ部47は屋内側フィルタ部48より広い面積を有している。
【0031】
屋外側フィルタ部47と屋内側フィルタ部48は、互いに略90°で交差する平面上に配置され、これによりフィルタ40はく字状に折り曲げられた形状を有している。フィルタ40はさらに、枠41の屋内側の縁と一体をなすつまみ45を有している。
【0032】
屋外側フィルタ部47は、第2仕切壁部36に沿い、ファン側通路部分37aのファン20とは反対側の開口端(すなわち、屋外空気通路37の滞留室37bとファン側通路部分37aとの間)に配置されている。
屋内側フィルタ部48は、第2仕切壁部36と反対方向に傾斜して第2仕切壁部36と交差しており、ファン側通路部分38aのファン20とは反対側の開口端(すなわち、スペース38bとファン側通路部分38aとの間)に配置されている。換言すれば、屋内側フィルタ48と第2仕切壁部36との間に、上記スペース38bと上記屋内側導入口13aが配置されている。
【0033】
図5A,
図5Bに示すように、フィルタ40はカバー15を開いた状態で、つまみ45を手でつまみ、屋外側フィルタ部47をフィルタ挿入口39に差し込み第2仕切壁部36に沿って屋外に向かって押し込むことにより、簡単に設置することができる。この設置状態で、フィルタ40における屋外側フィルタ部47と屋内側フィルタ部48の境部49(屈曲部)がフィルタ挿入口39を塞ぐ。つまみ45は閉じ状態のカバー15に沿って配置される。
【0034】
図3に示すように、装置本体10、より具体的にはファン20のケース21の屋内側の面には、カバー15の開閉に応答して作動するスイッチ70が設置されている。
ファン20のメンテナンスやフィルタ40の交換の際に、カバー15を開くとスイッチ70がオフ位置となり、ファン20のモータ22を停止させるとともに、アクチュエータ55を駆動してシャッタ板50を閉じ位置(屋外側導入口12aを閉じる位置)まで移動する。
ファン20のメンテナンスやフィルタ40の交換が完了してカバー15を閉じた時には、カバー15に押されてスイッチがオン位置となり、これによりファン20のモータ22を回転駆動するとともに、アクチュエータ55を駆動してシャッタ板50を開き位置(屋外側導入口12aを開く位置)まで移動する。
【0035】
装置本体10内には図示しない電池(図示しない)が収容されている。この電池は非接触型(ワイヤレス)の給電システムにより充電される。簡単に説明すると、
図5Aに示すように、装置本体10の右端部の屋内側には受電部81が設けられており、窓枠1には送電部82が設置されている。サッシ戸2が閉じ状態にある時に、送電部82から受電部81を経て電池が充電される。
【0036】
上記構成をなす換気装置の作用を説明する。カバー15が閉じられ、屋外側導入口12aが開きファン20が回転駆動している状態では、屋外の空気が左右の屋外側導入口12aから導入され、屋外空気通路37を通ってファン20の左右の吸込口24に吸い込まれる。これと同時に、屋内の空気が左右の屋内側導入口13aから導入され、屋内空気通路38を通ってファン20の左右の吸込口24に吸い込まれる。
【0037】
吸い込まれた屋外の空気と屋内の空気はファン20において混合され、この混合された空気はファン20の吐出口25から正面壁11の吹出口15aを経て屋内に吹き出す。吹き出した混合空気は屋外の空気のみならず屋内の空気も含んでいるため、寒冷時に屋内を暖房している状況において、屋外の冷気を屋内の暖気によって和らげることができ、その結果、屋内で結露が発生するのを防止でき、居住者の足元に冷気が付与されるのを防止できる。
本実施形態では、屋外空気の吸い込み量は屋内空気の吸い込み量より多く、例えば7:3であり、良好な換気を行なうことができる。
【0038】
屋外空気通路37と屋内空気通路38は第1仕切壁部35と第2仕切壁部36からなる仕切壁により、ファン20の吸込口24に至るまで隔離されているので、屋外空気と屋内空気はファン20の吸込口24に至るまで混合されない。そのため、屋外の風圧の影響を大きく受けて屋外空気の吸い込み量の割合が異常に高くなる(屋内空気の吸い込み量の割合が異常に低くなる)のを防止でき、上記結露や居住者の足元への冷気付与を確実に防止することができる。
【0039】
特に本実施形態では、屋外空気通路37と屋内空気通路38は、ファン20の回転軸線と平行をなす第1仕切壁35によりファン側通路部分37a,38aに隔離されているので、屋外空気と屋内空気は回転軸線に沿って吸込口24に吸い込まれる。そのため、両者の混合をより一層確実に阻止することができる。
また、屋外空気通路37は屋外側導入口12aに連なる滞留室37bを有しているので、この滞留室37bがバッファとなり屋外の風圧の急変動の影響を弱めることができる。
【0040】
屋内側導入口13aは底壁13に形成されているので、屋内空気の吸い込み方向と吹き出し方向を異ならせることができ、これにより吹き出される混合空気が直ぐに屋内側導入口13aに導入するのを回避することができる。
【0041】
屋外空気に含まれる花粉を含む塵埃は屋外空気が屋外側フィルタ部47を通過する際に除去され、屋内空気に含まれる花粉を含む塵埃は屋内空気が屋内側フィルタ部48を通過する際に除去されるので、吹出口15aから清浄な混合空気を吹き出すことができる。
【0042】
ファン20のメンテナンスやフィルタ40の交換が必要な時には、カバー15を開く。ファン20のモータ22は、ケース21の屋内側の面にネジ止めされているので、このネジを外すことにより、ブレード23と一緒にケース21から簡単に取り外すことができる。
フィルタ40はつまみ45をつまんで第2仕切壁部36に沿って引き抜くことにより簡単に引き抜くことができる。新しいフィルタ40も前述したように簡単にセットすることができる。
【0043】
上記実施形態では、本発明に係る換気装置を単独で用いているが、排気ファン付きの換気装置を装備した常時換気システムに用いることもできる。この換気システムでは、例えば排気ファンがトイレや浴室等のサッシ窓に設置され、本発明に係る換気装置が居室のサッシ戸等に設置される。この換気システムでは、排気ファンが屋内の空気を屋外に排出し、屋内を負圧にして屋外の空気を屋内に導く。このように、排気ファンが主に換気の役割を担うことができるので、本発明に係る換気装置は、居室に供給される屋外の冷気を緩和するために屋内空気を混合する役割を担うだけでもよい。この場合、本発明に係る換気装置のファンの出力は、排気ファンに比べて小さくて済む。
【0044】
本発明は上記実施形態に制約されず種々の態様が可能である。
仕切壁の端とファンの吸込口とは、屋外空気と屋内空気が吸込口で混合しない程度に若干離間していてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、ファンを用いて屋外空気を屋内に吹き出すようにした換気装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0046】
3 換気装置
10 装置本体
11 正面壁
11a 開口
12 背面壁
12a 屋外側導入口
13 底壁
13a 屋内側導入口
15 カバー
15a 吹出口
20 ファン
24 吸込口
30 送風ガイド
35 第1仕切壁部(仕切壁)
36 第2仕切壁部(仕切壁)
36a 連通口
37 屋外空気通路
37a ファン側通路部分
37b 滞留室
38 屋内空気通路
38a ファン側通路部分
38b スペース
39 フィルタ挿入口
40 フィルタ
47 屋外側フィルタ部
48 屋内側フィルタ部
49 境部
50 シャッタ板
55 アクチュエータ
70 スイッチ