(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-21
(45)【発行日】2023-01-04
(54)【発明の名称】緩衝且つリラクゼーション効果を有する靴のエアクッション装置
(51)【国際特許分類】
A43B 13/20 20060101AFI20221222BHJP
【FI】
A43B13/20 Z
(21)【出願番号】P 2019139438
(22)【出願日】2019-07-30
【審査請求日】2021-11-04
(73)【特許権者】
【識別番号】519277841
【氏名又は名称】羅枝芳
【氏名又は名称原語表記】Chih-Fang Lo
【住所又は居所原語表記】No. 275-2, Yongfeng Rd., Taiping Dist., Taichung City 41141, TAIWAN
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】羅枝芳
【審査官】粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-087585(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A43B 13/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
緩衝且つリラクゼーション効果を有する靴のエアクッション装置であって、
その内部にスプリングが設置され、その外周部分にはそれぞれ第一単一方向空気弁及び第二単一方向空気弁を有し、前記第二単一方向空気弁により外部の空気を取り入れるヒール部エアクッションと、
その外周部分に、それぞれ空気逃がし弁及び空気進入口を有し、前記空気進入口と前記第一単一方向空気弁によって、チューブと相互に通じ、前記ヒール部エアクッションに圧力が加わると、その内部の空気が前記第一単一方向空気弁、前記チューブ、前記空気進入口によって、その内部に流れ、その内部の空気が徐々に空気逃がし弁から排出され、前記空気逃がし弁が逃がす空気の最高流量は、前記ヒール部エアクッションの空気進入口における空気進入の最高流量より小さいつま先部エアクッションとを備え
、
前記空気逃がし弁の空気逃がし部と前記第二単一方向空気弁の空気進入部は相互に通管と連通し、前記通管の周囲側面に通孔が設置され、前記ヒール部エアクッションに力を加えると、前記空気逃がし弁が逃がした空気の一部を前記通孔から前記通管の外に排出し、前記空気逃がし弁が逃がした他の空気は、前記第二単一方向空気弁に流れて、前記ヒール部エアクッションの圧力が解除されると、前記ヒール部エアクッションが取り入れた空気は、それぞれ空気逃がし弁から通管内に逃がされて、前記通孔から前記通管内に流れ込み、前記チューブと前記通管は並列の状態を呈することで、前記ヒール部エアクッションは前記つま先部エアクッションとからみ合うことはなく、前記チューブは、第三単一方向空気弁、三方接手の形態である第一連結管を備えて、前記第三単一方向空気弁は、前記第一単一方向空気弁と前記つま先部エアクッションの空気進入口の間に接続されて、さらに、第一空気調整弁を備え、前記第三単一方向空気弁は、相対する二端がそれぞれ第一端部と第二端部であり、空気は第一端部から前記第二端部に向かって流れるのみで、前記第一連結管の第一端は前記空気進入口に連通して、前記第一連結管の第二端は、前記第三単一方向空気弁の前記第二端部に連通し、前記第一連結管の第三端は、前記第一空気調整弁に連通し、つま先部エアクッション内部の空気が飽和状態である時、前記空気進入口に向かって流れる空気は、この時前記第一空気調整弁から排出され、前記チューブは、三方接手の形態を呈する第二連結管を備えて、さらに、第二空気調整弁備え、前記第二連結管の第一端は、前記第三単一方向空気弁の前記第一端部に連通し、前記第二連結管の第二端は、前記第一単一方向空気弁に連通し、前記第二連結管の第三端は、前記第二空気調整弁に連通し、前記第二空気調整弁は、前記ヒール部エアクッション内部の空気が前記第三単一方向空気弁に流れる量をコントロールして、前記第二空気調整弁は調整ボタンを備え、前記調整ボタンは、前記ヒール部エアクッション内部の、前記つま先部エアクッションに流れる空気の気圧値をコントロールすることを特徴とする緩衝且つリラクゼーション効果を有する靴のエアクッション装置。
【請求項2】
前記空気逃がし弁は、相対する二端にそれぞれ空気進入部及び空気逃がし弁を有し、前記空気逃がし弁は、前記空気進入部によって前記つま先部エアクッション内部と連通し、前記空気進入部と前記空気逃がし部は、貫通して中空部を形成し、前記中空部は、大径部を有し、前記大径部は、小径部と相互に通じ、前記小径部は、前記空気逃がし部の一端に位置し、前記大径部と前記小径部の交差箇所には開口を有し、前記大径部内には、調節球を有し、空気が空気進入部から進入すると、空気は前記調節球を押すことで、その一部が前記開口の辺縁に止まり、前記調節球と前記開口の内縁は不完全な密合で、両者の間に隙間を有して空気が通過するようになっていることを特徴とする請求項1に記載の緩衝且つリラクゼーション効果を有する靴のエアクッション装置。
【発明の詳細な説明】
【発明の属する技術分野】
【0001】
本発明は、緩衝且つリラクゼーション効果を有する靴のエアクッション装置に関し、特に、靴内に設置して用いて、歩行や跳躍の際の足の裏にかかる衝撃を和らげる効果を有する靴のエアクッション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
靴のインソールの改良に関しては、これまで様々な形態が開示されてきたが、比較的よく見られるインソールは、アメリカ特許US07331121B2の
図7に示されるような形態である。前記形態は、エアバッグ及びエア充填構造を有して、相互に連結し、ヒール部分がエア充填構造を押すと、エア充填構造内部の空気がエアバッグに送り込まれることで、エアバッグが膨張してフォアフットにかかる衝撃を和らげる効果を有する。ヒール部分が上がりエア充填構造にかかる圧力が解除されると、エア充填構造は外部の空気を取り入れて膨張する。これにより、フォアフット及びかかと部分の衝撃を和らげる効果を有する。しかしながら、この設計は着用時の心地良さは提供できるものの、充填構造を繰り返し踏みつけた場合、エアバッグに持続的に空気が送り込まれて、エアバッグ内部の空気の充填が多すぎると、エアバッグが過度に膨張して、フォアフットがエアバッグと靴のつま先部分に挟まれて不快感を感じることがある。また、跳躍の際に大きな踏み込む力がかかると、エアバッグ内の空気が多すぎて、大きな力で踏み込まれたことで破裂する可能性もあり、エアバッグが破裂した瞬間体のバランスを崩し転倒する危険性も否めない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明は、衝撃を和らげ、リラクゼーション効果を有する靴のエアクッション装置を提供して、靴のつま先のエアクッションが自ら空気を逃がして、エアバッグが過度に膨張することにより、フォアフットがエアバッグと靴のつま先に挟まれて不快感を有するという従来の課題を解決することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を解決するために、本発明は、緩衝且つリラクゼーション効果を有する靴のエアクッション装置を提供するものである。本発明の靴のエアクッション装置は、ヒール部エアクッションを備え、前記ヒール部エアクッション内部には、スプリングが設置され、前記ヒール部エアクッションの外周部分にはそれぞれ第一単一方向空気弁及び第二単一方向空気弁を有する。前記ヒール部エアクッションは、前記第二単一方向空気弁により外部の空気を取り入れる。さらに、本発明の靴のエアクッション装置は、つま先部エアクッションを備え、前記つま先部エアクッションは、その外周部分に、それぞれ空気逃がし弁及び空気進入口を有する。前記つま先部エアクッションは、前記空気進入口と前記第一単一方向空気弁によって、チューブと相互に通じる。前記ヒール部エアクッションに圧力が加わると、その内部の空気が前記第一単一方向空気弁、前記チューブ、前記空気進入口によって、前記ヒール部エアクッション内部に流れ、前記ヒール部エアクッション内部の空気が徐々に空気逃がし弁から排出される。前記空気逃がし弁が逃がす空気の最高流量は、前記ヒール部エアクッションの空気進入口における空気進入の最高流量より少ない。
【0005】
上述の内容により、本発明は、従来の靴のエアクッション装置の欠点を改善するのみならず、その構造は、足の裏を下ろしたときの衝撃を和らげる。跳躍の際着地時に、靴のつま先部エアクッションの空気逃がし弁がゆっくりと空気を逃がして、靴のつま先部エアクッション内部空間が徐々に小さくなることでフォアフットがゆっくりと下がり、衝撃を和らげることが明らかである。
【0006】
すなわち、本発明の緩衝且つリラクゼーション効果を有する靴のエアクッション装置 は、従来の欠点を改善すると同時に、つま先部エアクッションがゆっくりと膨張をゆるめることで、フォアフットの衝撃を和らげることを特徴とするものである。
[発明の効果]
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】本発明においてかかとがヒール部エアクッションを踏んだ状態を示した図である。
【
図3】本発明においてかかとがヒール部エアクッションを踏んで空気が流れる状態を示した図である。
【
図4】本発明においてかかとが上がりつま先が踏んだ状態を示した図である。
【
図5】本発明においてかかとが上がりつま先が踏んで空気が流れる状態を示した図である。
【
図6】本発明において第一空気調整弁、第二空気調整弁が設置された状態を示した図である。
【
図7】本発明において第一空気調整弁、第二空気調整弁が設置され、且つ、かかとが踏んでヒール部エアクッションの空気が流れる状態を示した図である。
【
図8】本発明において第一空気調整弁、第二空気調整弁が設置され、且つ、かかとが上がり、つま先が踏んで空気が流れる状態を示した図である。
【
図9】本発明における空気逃がし弁の立体図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0008】
図を参照しながら、本発明の緩衝且つリラクゼーション効果を有する靴のエアクッション装置について詳しく説明する。
図1に示したのは本発明の緩衝且つリラクゼーション効果を有する靴のエアクッション装置である。前記緩衝且つリラクゼーション効果を有する靴のエアクッション装置は、ヒール部エアクッション1を備え、前記ヒール部エアクッションは、その内部にスプリング11が設置されて、前記ヒール部エアクッション1の外周部分には、それぞれ第一単一方向空気弁12及び第二単一方向空気弁13を有する。前記ヒール部エアクッション1は、前記第二単一方向空気弁13により外部の空気を取り入れる。さらに、本発明の緩衝且つリラクゼーション効果を有する靴のエアクッション装置は、つま先部エアクッション2を備え、その外周部分には、それぞれ空気逃がし弁22及び空気進入口21を有する。前記つま先部エアクッション2は、前記空気進入口21と前記第一単一方向空気弁12により、チューブ4と相互に通じる。前記ヒール部エアクッション1に力が加わると、その内部の空気が、前記第一単一方向空気弁12、前記チューブ4、前記該空気進入口21により、前記つま先部エアクッション2内部に流れる。さらに、前記つま先部エアクッション2内部の空気は徐々に空気逃がし弁22から排出され、前記空気逃がし弁22から逃がされる空気の最高流量は、前記つま先部エアクッション2の空気進入口21から進入する空気の最高流量より小さい。圧力から開放された前記ヒール部エアクッション1は、前記スプリング11が設置されていることにより膨らみ、前記ヒール部エアクッション1外部の空気が、前記第二単一方向空気弁13から前記ヒール部エアクッション1内部に流れる。
【0009】
本発明は、
図2から
図5に示したように、ソール100内部に設置することも可能である(ミッドソール及びインソール内部でも可能)。また、別にインナーソール200と組み合わせて使用することも可能である。かかとがヒール部エアクッション1を踏むと、空気が徐々に前記つま先部エアクッション2に充填されて、つま先部エアクッション2内部の空気が徐々に空気逃がし弁22から逃がされて、つま先部エアクッション2が膨らみすぎて、従来のエアクッションのエアバッグのように、フォアフットがエアバッグと靴のつま先に挟まれて不快感を生じることがない。また、つま先部エアクッション2内部の空気が徐々に空気逃がし弁22から逃がされる構造により、かかとが上がりつま先がつま先部エアクッション2を踏むと、空気逃がし弁22の設置により、内部空間が小さくなり、つま先をゆっくりと下げて衝撃を和らげる。
【0010】
本発明は、
図6に示したように、前記空気逃がし弁22と前記第二単一方向空気弁13は通管3と連通する。前記通管3の周囲側面に通孔31が設置される。
図7と
図2を参照しながら説明する。かかとがヒール部エアクッション1を踏んで、前記ヒール部エアクッションに力を加えると、前記空気逃がし弁22が逃がした空気の一部を前記通孔31から前記通管3の外に排出する。前記空気逃がし弁22が逃がした他の空気は、前記第二単一方向空気弁13に流れる。
図8と
図4を参照しながら説明する。かかとが上がり、つま先が踏み込んで、前記ヒール部エアクッションの圧力が解除されると、前記ヒール部エアクッション1が取り入れた空気は、それぞれ空気逃がし弁22から通管3内に逃がされて、前記通孔31から前記通管3内に流れ込む、このうち、前記チューブ4と前記通管3は並列の状態を呈することで、前記ヒール部エアクッション1は前記つま先部エアクッション2とからみ合うことはない。
【0011】
図7と
図2を参照しながら説明する。
図7は、かかとが前記ヒール部エアクッション1を踏んでいる状態を示す。前記チューブ4は、第三単一方向空気弁41、三方接手の形態である第一連結管42を備えて、前記第三単一方向空気弁41は、前記第一単一方向空気弁12と前記つま先部エアクッション2の空気進入口21の間に接続されて、さらに、第一空気調整弁5を備え、前記第三単一方向空気弁41は、相対する二端がそれぞれ第一端部411と第二端部412であり、空気は第一端部411から前記第二端部412に向かって流れるのみで、前記第一連結管42の第一端は前記空気進入口21に連通して、前記第一連結管42の第二端は、前記第三単一方向空気弁41の前記第二端部412に連通する。前記第一連結管42の第三端は、前記第一空気調整弁5に連通する。つま先部エアクッション2内部の空気が飽和状態である時、前記空気進入口21に向かって流れる空気は、この時前記第一空気調整弁5から排出される。この構造は、かかとが踏む頻度が高すぎると、空気逃がし弁22が組み合わさって使用することで、つま先部エアクッション2に充填しすぎない状態を保持する。
【0012】
図7と
図2を参照しながら説明する。
図7は、かかとがヒール部エアクッション1を踏んでいる状態を示す。このうち、前記チューブ4は、三方接手の形態を呈する第二連結管43を備えて、さらに、第二空気調整弁6を備える。前記第二連結管43の第一端は、前記第三単一方向空気弁41の前記第一端部411に連通する。前記第二連結管43の第二端は、前記第一単一方向空気弁12に連通する。前記第二連結管43の第三端は、前記第二空気調整弁6に連通する。前記第二空気調整弁6は、前記ヒール部エアクッション1内部の空気が前記第三単一方向空気弁41に流れる量をコントロールする。
【0013】
図6に示したように、前記第二空気調整弁6は調整ボタン61を備える。前記調整ボタン61は、前記ヒール部エアクッション1内部の、前記つま先部エアクッション2に流れる空気の気圧値をコントロールする。一人ひとりの体重や踏み込みの圧力、頻度の違いがあることから、この構造は、異なる使用者及び使用方式によって、前記第二空気調整弁6の空気の排出量を調節することで、前記ヒール部エアクッション1内部の、前記つま先部エアクッション2に流れる空気の気圧値をコントロールする。
【0014】
図1及び
図9から
図11までを参照しながら説明する。このうち、前記空気逃がし弁22は、相対する二端にそれぞれ空気進入部221及び空気逃がし弁222を有する。前記空気逃がし弁22は、前記空気進入部221によって前記つま先部エアクッション2内部と連通する。前記空気進入部221と前記空気逃がし部222は、貫通して中空部223を形成する。前記中空部223は、大径部2231を有し、前記大径部2231は、小径部2232と相互に通じる。前記小径部2232は、前記空気逃がし部222の一端に位置し、前記大径部2231と前記小径部2232の交差箇所には開口2233を有する。前記大径部2231内には、調節球224を有し、空気が空気進入部221から進入すると、空気は前記調節球224を押すことで、その一部が前記開口2233の辺縁に止まり、前記調節球224と前記開口2233の内縁は不完全な密合で、両者の間に隙間を有して 空気が通過するようになっている。この構造において、空気逃がし弁22は、弾力性を有し、ヒール部エアクッション1の下がる時の圧力が強いほど、空気が押す調節球224の力も強くなる。同時に、調節球224と開口2233内縁の隙間も小さくなり、空気を逃がす速度もゆっくりになる。このため、空気逃がし弁22は、つま先部エアクッション2を下げる力の違いによって、空気を逃がす速度を調節することで、適度な緩衝速度を提供する。
【0015】
以上、本発明の実施例を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は、これらの実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更などがあっても、本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0016】
1 ヒール部エアクッション
11 スプリング
12 第一単一方向空気弁
13 第二単一方向空気弁
2 つま先部エアクッション
21 空気進入口
22 空気逃がし弁
221 空気進入部
222 空気逃がし部
223 中空部
2231 大径部
2232 小径部
2233 開口
224 調節球
225 隙間
3 通管
31 通孔
4 チューブ
41 第三単一方向空気弁
411 第一端部
412 第二端部
42 第一連結管
43 第二連結管
5 第一空気調整弁
6 第二空気調整弁
61 調整ボタン
100 ソール
200 インナーソール