(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-21
(45)【発行日】2023-01-04
(54)【発明の名称】評価検査装置
(51)【国際特許分類】
G01M 99/00 20110101AFI20221222BHJP
G01M 7/02 20060101ALI20221222BHJP
【FI】
G01M99/00 Z
G01M7/02 G
(21)【出願番号】P 2021553732
(86)(22)【出願日】2020-10-30
(86)【国際出願番号】 JP2020040914
(87)【国際公開番号】W WO2021085620
(87)【国際公開日】2021-05-06
【審査請求日】2022-02-03
(31)【優先権主張番号】P 2019198883
(32)【優先日】2019-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】304036754
【氏名又は名称】国立大学法人山形大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】弁理士法人エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】熊木 大介
(72)【発明者】
【氏名】時任 静士
【審査官】森口 正治
(56)【参考文献】
【文献】特開平2-59638(JP,A)
【文献】特開昭63-3321(JP,A)
【文献】特開2018-9926(JP,A)
【文献】特開2016-32501(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 13/00-99/00
G01M 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体情報を測定する生体情報計測装置の計測精度を評価または検査するための評価検査装置において、
所定の操作により複数の入力波形信号を生成する入力波形生成部と、
前記生体情報計測装置の振動入力部を加圧する圧子と、
前記圧子を振動させる振動駆動部と、
前記振動駆動部の制御を行う制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記入力波形生成部により生成された複数の入力波形信号を合成する合成波形生成部と、を有し、
前記振動駆動部は、
前記合成波形生成部により合成された合成波形信号に基づいて前記圧子を振動させる、
ことを特徴とする評価検査装置。
【請求項2】
前記振動駆動部は、前記圧子を介して前記振動入力部に10N以下の荷重であって、0~10000Hzまでの周波数の振動を発生させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の評価検査装置。
【請求項3】
前記生体情報計測装置は、人体の体動、心音、心拍、呼吸、及びいびきの少なくともいずれかの生体情報を測定するベッド用の生体情報計測装置であって、
前記振動入力部は、ベッド上に載置される、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の評価検査装置。
【請求項4】
波形信号を波形として表示する波形表示部と、
前記圧子が実際に振動している振動波形の振動波形信号を出力する振動波形出力部と、を更に備え、
前記波形表示部は、
前記振動波形出力部から出力された振動波形信号と、前記入力波形生成部により生成された複数の入力波形信号と、を入力し、
前記振動波形信号に基づく振動波形と、前記入力波形信号に基づく入力波形とを表示する、
ことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の評価検査装置。
【請求項5】
前記振動波形出力部は、
前記振動駆動部により前記圧子に荷重している力を検出する荷重検出部と、
前記振動駆動部により前記圧子を振動させている変位を検出する変位検出部と、を有し、
前記荷重検出部により検出された荷重信号と、前記変位検出部により検出された変位信号とを前記波形表示部に出力する、
ことを特徴とする請求項4に記載の評価検査装置。
【請求項6】
前記振動駆動部と前記荷重検出部とが連結され、
前記圧子は、前記振動駆動部と前記荷重検出部とのいずれとも連結されておらず、
前記振動駆動部は、
前記圧子を前記生体情報計測装置の振動入力部に加圧させる加圧動作のときには、前記荷重検出部を前記圧子に向けて前進させることにより、前記荷重検出部を前記圧子に接触させて加圧させ、
前記圧子を前記生体情報計測装置の振動入力部に加圧させない非加圧動作のときには、前記荷重検出部を前記圧子から後退させることにより、前記荷重検出部を前記圧子から離間させて加圧させない、
ことを特徴とする請求項5に記載の評価検査装置。
【請求項7】
前記圧子は、底面側が円板からなり、上面側の中心部には前記荷重検出部が接触する突起部が形成されている、
ことを特徴とする請求項6に記載の評価検査装置。
【請求項8】
前記圧子は、前記生体情報計測装置の振動入力部に載置すると、当該振動入力部が沈み込む重さを有している、
ことを特徴とする請求項6または7に記載の評価検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動を発生させて計測装置の計測精度を評価または検査するための評価検査装置であって、特に、生体情報を測定する生体情報計測装置の計測精度を評価または検査するための評価検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、所望の変位、速度又は加速度波形で、ピストンを上下動させることにより被検体を振動させて、被検体の検査・試験を行う振動試験装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、被検体を振動させて被検体の検査を行うためには、実際に生じる振動と同じような周波数で被検体を振動させて、より精密に検査を行うことが求められていた。
【0005】
特に、生体の生体情報(例えば、人体の心拍や呼吸等)を測定する生体情報計測装置を被検体として、生体情報計測装置の計測精度を評価または検査するような場合においては、実際の人間から生じる振動が微小な荷重であることや、心拍、呼吸、いびき等の複数の周波数からなること、生体情報計測装置の計測位置等により複数の計測状態が成立してしまうことから、生体情報計測装置の計測精度をより精密に評価または検査することが困難であった。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するものであり、生体情報を測定する生体情報計測装置の計測精度を評価または検査するための評価検査装置において、生体情報計測装置の計測精度をより精密に評価または検査することができる評価検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の評価検査装置は、生体情報を測定する生体情報計測装置の計測精度を評価または検査するための評価検査装置において、所定の操作により複数の入力波形信号を生成する入力波形生成部と、前記生体情報計測装置の振動入力部を加圧する圧子と、前記圧子を振動させる振動駆動部と、前記振動駆動部の制御を行う制御部と、を備え、前記制御部は、前記入力波形生成部により生成された複数の入力波形信号を合成する合成波形生成部と、を有し、前記振動駆動部は、前記合成波形生成部により合成された合成波形信号に基づいて前記圧子を振動させることを特徴とする。
【0008】
また、前記振動駆動部は、前記圧子を介して前記振動入力部に10N以下の荷重であって、0~10000Hzまでの周波数の振動を発生させることが望ましい。
【0009】
また、前記生体情報計測装置は、人体の心拍、呼吸、及びいびきの少なくともいずれかの生体情報を測定するベッド用の生体情報計測装置であって、前記振動入力部は、ベッド上に載置されることが望ましい。
【0010】
また、波形信号を波形として表示する波形表示部と、前記圧子が実際に振動している振動波形の振動波形信号を出力する振動波形出力部と、を更に備え、前記波形表示部は、前記振動波形出力部から出力された振動波形信号と、前記入力波形生成部により生成された複数の入力波形信号と、を入力し、前記振動波形信号に基づく振動波形と、前記入力波形信号に基づく入力波形とを表示することが望ましい。
【0011】
また、前記振動波形出力部は、前記振動駆動部により前記圧子に荷重している力を検出する荷重検出部と、前記振動駆動部により前記圧子を振動させている変位を検出する変位検出部と、を有し、前記荷重検出部により検出された荷重信号と、前記変位検出部により検出された変位信号とを前記波形表示部に出力することが望ましい。
【0012】
また、前記振動駆動部と前記荷重検出部とが連結され、前記圧子は、前記振動駆動部と前記荷重検出部とのいずれとも連結されておらず、前記振動駆動部は、前記圧子を前記生体情報計測装置の振動入力部に加圧させる加圧動作のときには、前記荷重検出部を前記圧子に向けて前進させることにより、前記荷重検出部を前記圧子に接触させて加圧させ、前記圧子を前記生体情報計測装置の振動入力部に加圧させない非加圧動作のときには、前記荷重検出部を前記圧子から後退させることにより、前記荷重検出部を前記圧子から離間させて加圧させないことが望ましい。
【0013】
また、前記圧子は、底面側が円板からなり、上面側の中心部には前記荷重検出部が接触する突起部が形成されていることが望ましい。
【0014】
また、前記圧子は、前記生体情報計測装置の振動入力部に載置すると、当該振動入力部が沈み込む重さを有していることが望ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、検査員が生体情報計測装置の計測状態等を鑑みながら生体情報計測装置に入力される複数の入力波形を想定し、想定した複数の入力波形信号を生成させ、生成された複数の入力波形信号を合成した合成波形信号に基づいて圧子を振動させるので、より精密なシミュレーションを行うことになり、生体情報計測装置の計測精度をより精密に評価または検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の評価検査装置をベッド上に配置したときの斜視図である。
【
図2】本発明の評価検査装置の要部を拡大した斜視図である。
【
図3】本発明の評価検査装置の機能的な構成を示すブロック図である。
【
図4】本発明の評価検査装置におけるボイスコイルモータの動作態様の概念図である。
【
図5】本発明の評価検査装置を駆動させるまでの動作フローである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の評価検査装置1の実施形態を、
図1~
図5に基づいて説明する。
【0018】
本実施形態では、一例として、ベッド200上に載置されるベッドセンサ101を振動入力部として、ベッド200上で寝ている被検体(人体)の心拍、呼吸、及びいびき等の生体情報を測定するベッド用生体情報計測装置100の計測精度を評価または検査する評価検査装置1について説明する。
【0019】
<評価検査装置1の構成>
図1は、本発明の評価検査装置1をベッド200上に配置したときの斜視図であり、
図2は、本発明の評価検査装置1の要部を拡大した斜視図である。
【0020】
図1に示すように、ベッド200の床板上に配置された寝具(マットレス、敷布団等)の上には、ベッドセンサ101が載置されている。このベッドセンサ101は、薄型の圧電素子等から構成され、寝具の略全域を覆っているが、寝具の少なくとも一部を覆えばよい。例えば、ベッド200に人が寝たときに人体の上半身と当接可能な領域のみにベッドセンサ101を載置してもよい。
【0021】
評価検査装置1は、ベッド200の左右側に配置された一対の縦フレーム2と、ベッド200の上側に配置された横フレーム3とを備え、一対の縦フレーム2の上端側に横フレーム3が連結されることにより、ベッド200を跨ぐような門型フレームが形成されている。
【0022】
一対の縦フレーム2の下端側には、平板状のベースプレート4が連結されており、評価検査装置1の移動を規制している。なお、ベースプレート4には、ベッド用生体情報計測装置100を検査等する前に、評価検査装置1がベッド200の長手方向(前後方向)を移動可能となるように、ストッパー付のキャスターが設けられていてもよい。
【0023】
横フレーム3には、振動駆動部の制御を行う制御部20と、振動駆動部を備えた加圧部30とが支持されている。また、横フレーム3には、ベッド200の短手方向(左右方向)にスライド溝3aが形成されている。
【0024】
また、評価検査装置1は、入力波形生成部としてのファンクションジェネレータ10と、波形表示部としてのオシロスコープ50と、制御部20に電源を供給するための電源BOX60とが内蔵された装置ユニット90を備えている。なお、ファンクションジェネレータ10と、オシロスコープ50と、電源BOX60との少なくともいずれかは、装置ユニット90に内蔵されずに、独立したパーツとして構成されていてもよいし、制御部20に内蔵されていてもよい。
【0025】
図2に示すように、制御部20の背面側には、背面基部5が設けられており、その背面基部5に前面基部6とハンドル7とが取り付けられている。
【0026】
背面基部5は、横フレーム3の対向面側にスライド溝3aに挿入されるスライダ(図示せず)が形成されており、このスライド溝3aとスライダとにより、背面基部5は、ベッド200の短手方向(左右方向)にスライドして移動可能に構成されている。
【0027】
また、背面基部5は、その上端部に前面基部6に向けて屈曲した上端屈曲部5aが形成され、下端部にも前面基部6に向けて屈曲した下端屈曲部5bが形成されており、背面基部5は、側面視において略コの字状に形成されている。
【0028】
前面基部6には、振動駆動部を構成するボイスコイルモータ31とが取り付けられている。
【0029】
また、前面基部6は、背面基部5の対向面側に延出したストッパー6aと、ボイスコイルモータ31の上端側を支持する上面台座6bと、ボイスコイルモータ31の下端側を支持する下面台座6cとが形成されている。
【0030】
ハンドル7は、背面基部5と前面基部6との間にらせん状のネジ部を有しており、ハンドル7を回動させることにより、前面基部6は、ネジ部を介して背面基部5に対して上下方向に移動可能に構成されている。
【0031】
そして、ハンドル7を回動させた際に、上端限界値においてはストッパー6aと上端屈曲部5aとが衝突し、下端限界値においてはストッパー6aと下端屈曲部5bとが衝突することにより、前面基部6の背面基部5に対する上下方向の移動範囲を規定している。
【0032】
上面台座6bは、ファンクションジェネレータ10から制御部20への電気信号を送信する配線を通過させるための矩形状の配線用孔が形成されている。また、上述した通り、上面台座6bの底面では、ボイスコイルモータ31の上端側を支持している。
【0033】
下面台座6cは、ボイスコイルモータ31の下端側を支持しており、後述するように、ボイスコイルモータ31に取り付けられたロードセル33が通過可能な駆動開口部6d(
図4参照)が形成されている。
【0034】
下面台座6cの下方にあるベッド200上には、ベッドセンサ101を加圧する圧子40が載置されている。
【0035】
この圧子40は、底面側が円板からなり、上面側の中心部には突起部41が形成されている。そして、圧子40は、評価検査装置1のいずれの部位とも連結されておらず、評価検査装置1から自由に取り外し可能に構成されている。
【0036】
さらに、圧子40は、寝具に沈み込む重さを有していることが望ましく、一例として、直径が10~30cm、重さが1~5kgであることが望ましい。この圧子40は、生体情報計測装置の種類や検査位置によって、適宜異なる大きさ、重さの圧子40に交換可能である。
【0037】
<評価検査装置1のブロック図>
次に、
図3に基づいて、評価検査装置1の機能的な構成について説明する。
図3は、評価検査装置1の機能的な構成を示すブロック図である。
【0038】
図3に示すように、評価検査装置1は、ファンクションジェネレータ10と、制御部20と、加圧部30と、圧子40と、オシロスコープ50と、電源BOX60と、を備えて構成されている。
【0039】
なお、本実施形態においては、評価検査装置1はオシロスコープ50を備えるように構成したが、本発明の評価検査装置1においてオシロスコープ50は必ずしも必須の構成ではなく、評価検査装置1はオシロスコープ50を備えずに、外部の汎用性のあるオシロスコープに信号を出力するように構成してもよい。
【0040】
ファンクションジェネレータ10は、所定の操作により、任意の波形である周波数を示す入力波形信号を複数生成し、生成した複数の入力波形信号をオシロスコープ50と、制御部20の後述する加算器21とに出力する。
【0041】
制御部20は、加圧部30の制御を行う制御基板であり、加算器21と、リニアモータドライバ22と、内部電源23と、フィルター24と、ロードセルアンプ25とを少なくとも有している。
【0042】
加算器21は、ファンクションジェネレータ10から出力された複数の入力波形信号を合成する合成波形生成部を構成し、合成した入力波形信号を合成波形信号としてリニアモータドライバ22に出力する。
【0043】
なお、本実施形態においては、ファンクションジェネレータ10は2つの入力波形信号を生成し、加算器21は2つの入力波形信号を合成しているが、入力波形信号は複数であれば2つであることには限定されない。
【0044】
リニアモータドライバ22は、加算器21から出力された合成波形信号を入力し、その合成波形信号に基づいて、ボイスコイルモータ31に出力する電流量、タイミング等を制御する。また、リニアモータドライバ22は、ボイスコイルモータ31に出力した電流量を自身にフィードバックさせるフィードバック制御を行いながら、ボイスコイルモータ31をリアルタイムに制御している。
【0045】
内部電源23は、電源BOX60からの電源を入力し、制御部20の各素子に電源を供給している。
【0046】
フィルター24は、電源BOX60からの電源を入力し、ノイズを取り除き、リニアモータドライバ22に電源を供給している。
【0047】
ロードセルアンプ25は、後述するロードセル33からの荷重信号を入力し、入力した荷重信号を増幅させ、増幅させた荷重信号をオシロスコープ50に出力する。
【0048】
加圧部30は、ボイスコイルモータ31と、レーザー変位計32と、ロードセル33とを有している。
【0049】
ボイスコイルモータ31は、磁石がつくる磁界の中をコイルボビンの可動子31aが直線的に往復運動するモータである。
【0050】
なお、本実施形態においては、圧子40を振動させるための振動駆動部として、直線的に往復運動するボイスコイルモータ31を採用しているが、回転的に往復運動するモータを採用してもよいし、直線運動するソレノイドを採用してもよい。
ただし、疑似的な生体情報の振動を行わせるためには、電気的応答に優れ、高精度でスムーズな制御が可能なボイスコイルモータ(リニアモータ)を採用することが望ましい。
【0051】
ロードセル33は、圧子40に荷重している力を検出する荷重検出部を構成し、検出した力を示す荷重信号をオシロスコープ50に向けてロードセルアンプ25を介して出力する。このボイスコイルモータ31における可動子31aの下端部に連結されている(
図4参照)。
【0052】
レーザー変位計32は、圧子40を振動させている変位を検出する変位検出部を構成し、検出した変位を示す変位信号をオシロスコープ50に向けて出力する。このボイスコイルモータ31の背面側にある前面基部6に配置されている。
【0053】
圧子40は、ロードセル33とは連結されていないものの、ボイスコイルモータ31が直線的に往復運動することで、ロードセル33が圧子40に接触するように構成されている。
【0054】
ベッド用生体情報計測装置100は、ベッドセンサ101からの圧子40による振動がセンサアンプ102を介してコントローラ103に入力されるように構成されている。
【0055】
オシロスコープ50は、ファンクションジェネレータ10からの複数の入力波形信号と、レーザー変位計32からの変位信号と、ロードセル33からの荷重信号とを入力し、複数の入力波形信号と変位信号とに基づく波形と、荷重信号に基づく荷重値とを表示する。また、オシロスコープ50は、複数の入力波形信号を合成せずに、それぞれの入力波形信号に基づく波形を表示している。
【0056】
これにより、入力している複数の入力波形と、実際に出力している出力波形とを比較することができ、入力すべき入力波形の修正・フィードバックを行うことができる。さらに、検査者は、ベッド用生体情報計測装置100に出力されている出力値や出力波形と、評価検査装置1のオシロスコープ50に表示されている荷重値と波形とを比較することもでき、より的確な入力波形の修正・フィードバックを行うことができる。特に、オシロスコープ50は、複数の入力波形信号を合成せずに、それぞれの入力波形信号に基づく波形を表示した方が、入力波形の修正・フィードバックを行い易くなる。
【0057】
なお、本実施形態においては、オシロスコープ50は、複数の入力波形信号を合成せずに、それぞれの入力波形信号に基づく波形を表示するように構成したが、複数の入力波形信号を合成して、合成波形を表示するように構成してもよい。さらには、オシロスコープ50は、ファンクションジェネレータ10からの複数の入力波形信号を入力しているが、加算器21により合成された合成波形信号を入力して合成波形信号に基づく波形を表示してもよい。
【0058】
<ボイスコイルモータ33の動作態様>
次に、
図4に基づいて、評価検査装置1におけるボイスコイルモータ31の動作態様について説明する。
図4は、評価検査装置1におけるボイスコイルモータ31の動作態様の概念図である。特に、
図4(a)は、ボイスコイルモータ31が通電されておらず、圧子40をベッドセンサ101に加圧させるときの加圧動作態様の概念図であり、
図4(b)は、ボイスコイルモータ31が通電され、圧子40をベッドセンサ101に加圧させないときの非加圧動作態様の概念図である。
【0059】
図4に示すように、ロードセル33は、ボイスコイルモータ31における可動子31aの下端部に連結されているが、圧子40は、ボイスコイルモータ31とロードセル33とのいずれとも連結されていない。
【0060】
図4(a)に示すように、ボイスコイルモータ31が通電されていないときには、可動子31aは、ボイスコイルモータ31の固定子(本体部)から前進している。
【0061】
検査員は、ハンドル7を回動させて、可動子31aに連結されたロードセル33が圧子40の突起部41に接触する位置まで、前面基部6を下降させる。この前面基部6の下降度合、すなわちロードセル33が突起部41に押し込まれる押し込み量によって、圧子40に加圧させる荷重を設定することができる。
【0062】
図4(b)に示すように、ボイスコイルモータ31が通電されているときには、可動子31aは、ボイスコイルモータ31の固定子から後退している。可動子31aが後退したときには、ロードセル33が突起部41から離れて、圧子40を加圧させないことになる。
【0063】
そして、リニアモータドライバ22は、加算器21により合成された合成波形信号に基づいてボイスコイルモータ31に所定の電流量を出力(通電・非通電)させることにより、可動子31aが直線的に往復運動し、合成波形信号に基づく周波数で圧子40が振動することになる。
【0064】
特に、マットレス、敷布団等の寝具上に載置されるベッドセンサ101を備えたベッド用生体情報計測装置100の計測精度を評価または検査するような場合においては、高周波数での圧子40の振動を要することがある。このときに、高周波数で圧子40を振動させると、寝具の反発力により圧子40が跳ね返ってロードセル33と衝突し、正しい周波数による振動で圧子40を振動できなくなる恐れがある。
本実施形態においては、圧子40は、ボイスコイルモータ31とロードセル33とのいずれとも連結されていないので、寝具の反発力により圧子40が跳ね返ってロードセル33と衝突することを防止し、正しい周波数による振動で圧子40を振動させることができる。
【0065】
また、圧子40は、寝具に沈み込む重さを有していることから、ベッドセンサ101を備えたベッド用生体情報計測装置100の計測精度を評価または検査するような場合においては、人が寝具に寝ておりベッドセンサ101が沈み込んだ状態と同じような状態で、圧子40を振動させることができる。
【0066】
さらには、圧子40は、底面側が円板からなっていることから、ベッドセンサ101が点での振動を受けることなく、人体の心臓等が振動しているかのように、ベッドセンサ101が面での振動を受けることができる。
【0067】
<評価検査装置1を駆動させるまでの動作フロー>
次に、
図5に基づいて、評価検査装置1を駆動させるまでの動作手順について説明する。
図5は、評価検査装置1を駆動させるまでの動作フローである。
【0068】
まず、ステップS10において、検査員は、圧子40をベッドセンサ101上の検査を行いたい任意の検査領域に配置する。
【0069】
ステップS20において、検査員は、圧子40の突起部41にロードセル33が接触するように、一対の縦フレーム2を移動させる。
【0070】
すなわち、ステップS10及びS20においては、検査員は、評価検査装置1をベッドセンサ101の検査領域に移動させることになる。
ここで、本実施形態においては、ステップS10の後にステップS20の動作を行っているが、ステップS20の後にステップS10の動作を行ってもよい。
【0071】
ステップS30において、検査員は、ファンクションジェネレータ10に所定の操作を行い、被検体から生じ得る周波数を複数設定する。
【0072】
本実施形態においては、ベッド用生体情報計測装置100の計測精度を評価または検査する場合には、人体の心拍として1.0~10.0hzの周波数帯域の値を設定し、呼吸として1.0hz以下の周波数帯域の値を設定し、いびきとして50.0~500hzの周波数帯域の値を設定する。
【0073】
ステップS40において、検査員は、ハンドル7を回動させて、可動子31aに連結されたロードセル33が圧子40の突起部41に接触する位置まで前面基部6を下降させ、圧子40に加圧させる荷重を設定する。
【0074】
本実施形態においては、ベッドセンサ101に加圧される荷重は、(1)圧子40に加圧させる荷重と(2)圧子40の重さとの合計値となる。
そして、人体の生体情報を測定する生体情報計測装置を被検体として、生体情報計測装置の計測精度を評価または検査するような場合においては、実際の人間から生じる振動が微小な荷重であることから、ロードセル33は圧子40の突起部41に1N以下の0に近い荷重を設定することが望ましい。すなわち、ロードセル33は圧子40の突起部41にあまり押圧せずに接触する程度であることが望ましい。
【0075】
また、本実施形態においては、ステップS30において周波数を設定した後にステップS40において圧子に付与する荷重を設定する動作を行っているが、ステップS40の後にステップS30の動作を行ってもよい。
【0076】
最後に、ステップS40において、検査員は、評価検査装置1における振動スイッチ(図示せず)をONにする。これにより、ボイスコイルモータ31の可動子31aが直線的に往復運動し、合成波形信号に基づく周波数で圧子40が振動することになる。
【0077】
以上の本実施形態の評価検査装置1によれば、検査員がベッドセンサ101に配置される圧子40の配置等を鑑みながらベッドセンサ101(ベッド用生体情報計測装置100)に入力される心拍、呼吸、及びいびき等の生体情報に対応した複数の入力波形を想定し、想定した複数の入力波形信号を生成させ、生成された複数の入力波形信号を合成した合成波形信号に基づいて圧子40を振動させるので、ベッド用生体情報計測装置100の計測精度をより精密に評価または検査することができる。
【0078】
また、本実施形態の評価検査装置1によれば、オシロスコープ50は、ファンクションジェネレータ10からの複数の入力波形信号と、レーザー変位計32からの変位信号と、ロードセル33からの荷重信号とを入力し、複数の入力波形信号と変位信号とに基づく波形と、荷重信号に基づく荷重値とを表示するので、入力している複数の入力波形と、実際に出力している出力波形とを比較することができ、入力すべき入力波形の修正・フィードバックを行うことができる。
【0079】
また、本実施形態の評価検査装置1によれば、圧子40は、ボイスコイルモータ31とロードセル33とのいずれとも連結されていないので、寝具の反発力により圧子40が跳ね返ってロードセル33と衝突することを防止し、正しい周波数による振動で圧子40を振動させることができる。
【0080】
<変形例>
本実施形態の評価検査装置1においては、圧子40は、評価検査装置1のいずれの部位とも連結されないように構成したが、圧子40がロードセル33や、ボイスコイルモータ31の可動子31aに連結されていてもよい。
さらには、圧子40は、ロードセル33や、ボイスコイルモータ31の可動子31aとは連結せずに、ロードセル33とボイスコイルモータ31以外の部材により、圧子40を支持する支持部材を設けてもよい。例えば、前面基部6に、圧子40が上下移動可能となるように圧子40を支持する支持部材を設けてもよい。
【0081】
また、本実施形態の評価検査装置1においては、背面基部5にハンドル7を取り付けて、ハンドル7を回動させることにより、前面基部6が背面基部5に対して上下移動可能となるように構成したが、ハンドル7を備えずに、縦フレーム2と横フレーム3とからなる門型フレームにおいて、横フレーム3が縦フレーム2に対して上下移動可能となるように構成してもよい。
【0082】
また、本実施形態においては、ベッドセンサ101を備えたベッド用生体情報計測装置100の計測精度を評価または検査する評価検査装置1について説明したが、ベッド用生体情報計測装置100に限られず、座布団や椅子等の着座部位に圧電素子からなるセンサを備えた生体情報計測装置の計測精度を評価または検査する評価検査装置であってもよい。
さらには、人体の身体(腕や頭等)に取り付けられる接触センサを備えた生体情報計測装置の計測精度を評価または検査する評価検査装置であってもよい。
【0083】
また、本実施形態においては、人体の生体情報を測定する生体情報計測装置の計測精度を評価または検査するための評価検査装置について説明したが、人体に限られず、人間以外の動物(犬、猫、馬等)の生体情報を測定する生体情報計測装置の計測精度を評価または検査するための評価検査装置であってもよい。
【符号の説明】
【0084】
1 :評価検査装置
10:ファンクションジェネレータ(入力波形生成部)
20:制御部
21:加算器
22:リニアモータドライバ
30:加圧部
31:ボイスコイルモータ(振動駆動部)
32:レーザー変位計
33:ロードセル
40:圧子
50:オシロスコープ(波形表示部)
100:ベッド用生体情報計測装置
101:ベッドセンサ
200:ベッド