(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-21
(45)【発行日】2023-01-04
(54)【発明の名称】コンテンツ制作システム、コンテンツ制作装置及びコンテンツ制作方法
(51)【国際特許分類】
H04N 21/8549 20110101AFI20221222BHJP
H04N 5/91 20060101ALI20221222BHJP
H04N 5/92 20060101ALI20221222BHJP
【FI】
H04N21/8549
H04N5/91
H04N5/92 010
(21)【出願番号】P 2018175712
(22)【出願日】2018-09-20
【審査請求日】2021-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】313000601
【氏名又は名称】日本テレビ放送網株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079005
【氏名又は名称】宇高 克己
(74)【代理人】
【識別番号】100154405
【氏名又は名称】前島 大吾
(74)【代理人】
【識別番号】100201341
【氏名又は名称】畠山 順一
(72)【発明者】
【氏名】加藤 大樹
【審査官】松元 伸次
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/108089(WO,A1)
【文献】特開2010-183264(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F3/01
3/048-3/04895
G11B27/00-27/06
H04N5/76-5/775
5/80-5/956
7/10
7/14-7/173
7/20-7/56
21/00-21/858
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放送素材の編集元として共有されるコンテンツデータが記憶されたコンテンツデータ記憶部と、
前記コンテンツデータのコンテンツ区間と、前記コンテンツ区間のコンテンツの重要度とが関連付けられたデータベースと、
前記コンテンツデータを編集元とし、放送される放送素材が登録される放送素材記憶部と、
前記放送素材記憶部に登録された放送素材の前記コンテンツデータ上におけるコンテンツ区間と、前記放送素材の登録履歴とを記録する履歴記録部と、
前記登録履歴を用いて、前記コンテンツデータ上におけるコンテンツ区間のコンテンツの重要度を算出する重要度算出部と、
算出した重要度を用いて、前記データベースにおけるコンテンツデータのコンテンツ区間の重要度を更新する重要度更新部と、
前記コンテンツデータのプレビューを、端末に再生するプレビュー表示制御部と、
前記端末で再生されているプレビューのコンテンツ区間に関連付けられている重要度を視覚的に表現した重要度情報を、前記プレビューのタイムライン上に表示する重要度情報表示制御部と、
を有するコンテンツ制作システム。
【請求項2】
前記重要度更新部は、現在及び過去の登録履歴から得られる登録回数が多くなるほど、前記重要度が高くなるように算出する
請求項1に記載のコンテンツ制作システム。
【請求項3】
前記履歴記録部は、前記放送素材の前記コンテンツデータ上におけるコンテンツ区間と、前記放送素材の放送履歴とを記録し、
前記重要度更新部は、現在及び過去の放送履歴から得られる放送回数が多くなるほど、前記重要度が高くなるように算出する
請求項1又は請求項2に記載のコンテンツ制作システム。
【請求項4】
前記履歴記録部は、前記コンテンツデータ記憶部から前記プレビューとして表示された参照履歴を記録し、
前記重要度更新部は、現在及び過去の参照履歴から得られる参照回数が多くなるほど、前記重要度が高くなるように算出する
請求項1から請求項3のいずれかに記載のコンテンツ制作システム。
【請求項5】
前記重要度更新部は、登録回数、放送回数、参照回数の順で重視されるように、前記重要度を算出する
請求項4に記載のコンテンツ制作システム。
【請求項6】
前記重要度更新部は、履歴が新しい登録回数、放送回数、又は、参照回数が重視されるように、前記重要度を算出する
請求項1から請求項5のいずれかに記載のコンテンツ制作システム。
【請求項7】
前記履歴記録部は、前記放送素材記憶部に放送素材を作成したユーザを識別するユーザ識別情報を記録し、
前記重要度更新部は、前記ユーザ識別情報で識別されるユーザの重要度を参照し、前記重要度を算出する
請求項1から請求項6のいずれかに記載のコンテンツ制作システム。
【請求項8】
前記重要度情報表示制御部は、前記コンテンツ区間の重要度を反映した色、前記コンテンツ区間の重要度を反映した矩形を、前記プレビューのタイムライン上の前記コンテンツ区間に対応する部分に表示する
請求項1から請求項7のいずれかに記載のコンテンツ制作システム。
【請求項9】
前記コンテンツデータ記憶部
の前記コンテンツデータは少なくも一以上のシーンに分割されており、
前記放送素材記憶部に登録された放送素材を複数のシーンに分割し、分割したシーンが前記コンテンツデータ記憶部に記憶されているコンテンツデータのいずれかのシーンに対応するかを推定するシーン分割部と、
前記放送素材のシーン間の関連度を算出する関連度算出部と、
前記算出されたシーン間の関連度を、前記コンテンツデータのシーン毎に関連付けて記憶する関連度データベースと、
前記端末でプレビューされているコンテンツのシーンに関連付けられている関連度のうち上位所定数の関連度に対応するコンテンツデータのシーンを、前記コンテンツデータ記憶部から読み出し、前記端末に表示するコンテンツ処理部と
を有する請求項1から請求項8のいずれかに記載のコンテンツ制作システム。
【請求項10】
放送素材の編集元として共有されるコンテンツデータのコンテンツ区間と、前記コンテンツ区間のコンテンツの重要度とが関連付けられたデータベースと、
前記コンテンツデータを編集元とし、放送される放送素材が登録される放送素材記憶部に登録された放送素材の前記コンテンツデータ上におけるコンテンツ区間と、前記放送素材の登録履歴とを記録する履歴記録部と、
前記登録履歴を用いて、前記コンテンツデータ上におけるコンテンツ区間のコンテンツの重要度を算出する重要度算出部と、
算出した重要度を用いて、前記データベースにおけるコンテンツデータのコンテンツ区間の重要度を更新する重要度更新部と、
前記コンテンツデータのプレビューを、端末に再生するプレビュー表示制御部と、
前記端末で再生されているプレビューのコンテンツ区間に関連付けられている重要度を視覚的に表現した重要度情報を、前記プレビューのタイムライン上に表示する重要度情報表示制御部と、
を有するコンテンツ制作装置。
【請求項11】
前記放送素材の編集元として共有されるコンテンツデータは少なくも一以上のシーンに分割されており、
前記放送素材記憶部に登録された放送素材を複数のシーンに分割し、分割したシーンが前記
コンテンツデータのいずれかのシーンに対応するかを推定するシーン分割部と、
前記放送素材のシーン間の関連度を算出する関連度算出部と、
前記算出されたシーン間の関連度を、前記コンテンツデータのシーン毎に関連付けて記憶する関連度データベースと、
前記端末でプレビューされているコンテンツのシーンに関連付けられている関連度のうち上位所定数の関連度に対応するコンテンツデータのシーンを、前記端末に表示するコンテンツ処理部と
を有する請求項10に記載のコンテンツ制作装置。
【請求項12】
放送素材の編集元として共有されるコンテンツデータが記憶されたコンテンツデータ記憶部と、前記コンテンツデータを編集元とし、放送される放送素材が登録される放送素材記憶部と、を有するシステムのコンテンツの表示方法であって、
前記放送素材記憶部に登録された放送素材の前記コンテンツデータ上におけるコンテンツ区間と、前記放送素材の登録履歴とを記録し、
前記登録履歴を用いて、前記コンテンツデータ上におけるコンテンツ区間のコンテンツの重要度を算出し、
算出した重要度と、前記コンテンツデータのコンテンツ区間との重要度とを関連付け、
前記コンテンツデータのプレビューを端末に再生し、
前記端末で再生されているプレビューのコンテンツ区間に関連付けられている重要度を視覚的に表現した重要度情報を、前記プレビューのタイムライン上に表示する
コンテンツ制作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコンテンツ制作システム、コンテンツ制作装置及びコンテンツ制作方法に関し、アーカイブされたコンテンツ(素材)を編集して放送素材を制作するためのコンテンツ制作システム、コンテンツ制作装置及びコンテンツ制作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
放送局は、放送素材の編集元となるコンテンツ資産をアーカイブしており、これらのコンテンツを、複数の編集者がプレビューし、放送する放送素材を編集することが一般的に行われている。
【0003】
このような編集システムにおいて、再利用できそうなシーン(所定のコンテンツ区間)を検索するには、従来では各々のコンテンツを最初から最後までプレビューして確認する必要があり、時間がかかる。シーン毎にテキスト情報やサムネイル画像を登録しておき、それを頼りに検索することでプレビュー作業を効率化することもできるが、テキスト情報やサムネイル画像の登録作業そのものに煩雑な手間を要し、オペレータの負担も大きくなる。
【0004】
そこで、目的とするシーンをより効率的に選択できるようにし、これによりアーカイブされたコンテンツ資産を高めることを目的する映像編集システムが提案されている(例えば、特許文献1)。
【0005】
特許文献1に開示された発明は、映像編集端末とデータベースとを備えるアーカイブシステムにおいて、映像素材データのシーンごとに、払出し指示をされた回数を払出し指示された時間(タイムコード)範囲とともに、編集履歴データに記憶する。そして、編集履歴データをもとに、過去の払出し回数を単位時間毎にグラフィカル表示(色の濃淡など)する時間帯別払出回数表示バーを、プレビュー操作画面上に表示する。また、スライドバーをスライドさせることで目的とするシーンをプレビューさせ、時間帯別払出回数表示バーを目安として払出ししたい時間帯を選定できるようにする。さらに、当該時間帯を含む払出しを過去に実施したユーザ情報の一覧を払出し日と共に表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1の技術は、過去の払出し回数を、編集者がコンテンツのシーンを選択する目安としている。
【0008】
しかし、コンピュータの処理能力や、記録装置の増大等により、近年では、まず、編集元のコンテンツを、放送素材に使用するシーン以外の部分も含めて、コンテンツがアーカイブされている素材サーバから編集端末にダウンロード(払出し)し、ダウンロードされたコンテンツをプレビューし、放送素材に使用するシーン(コンテンツ区間のコンテンツ)を特定する場合が多い。このような場合、払出しされた区間のコンテンツそのものは、かならずしも、放送素材として用いられないことが多い。ましてや、払出しされた区間のコンテンツ自体が放送素材として使用されない場合もある。
【0009】
このような近年の状況を考慮すると、過去の払出し回数を、編集者がコンテンツのシーンを選択する目安とするのは、適切ではない。
【0010】
そこで、本発明は、編集者がコンテンツのシーンを選択する目安が近年の放送局の編集環境に合致したコンテンツ制作システム、コンテンツ制作装置及びコンテンツ制作方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様は、放送素材の編集元として共有されるコンテンツデータが記憶されたコンテンツデータ記憶部と、前記コンテンツデータのコンテンツ区間と、前記コンテンツ区間のコンテンツの重要度とが関連付けられたデータベースと、前記コンテンツデータを編集元とし、放送される放送素材が登録される放送素材記憶部と、前記放送素材記憶部に登録された放送素材の前記コンテンツデータ上におけるコンテンツ区間と、前記放送素材の登録履歴とを記録する履歴記録部と、前記登録履歴を用いて、前記コンテンツデータ上におけるコンテンツ区間のコンテンツの重要度を算出する重要度算出部と、算出した重要度を用いて、前記データベースにおけるコンテンツデータのコンテンツ区間の重要度を更新する重要度更新部と、前記コンテンツデータのプレビューを、端末に再生するプレビュー表示制御部と、前記端末で再生されているプレビューのコンテンツ区間に関連付けられている重要度を視覚的に表現した重要度情報を、前記プレビューのタイムライン上に表示する重要度情報表示制御部と、を有するコンテンツ制作システムである。
【0012】
本発明の一態様は、放送素材の編集元として共有されるコンテンツデータのコンテンツ区間と、前記コンテンツ区間のコンテンツの重要度とが関連付けられたデータベースと、前記コンテンツデータを編集元とし、放送される放送素材が登録される放送素材記憶部に登録された放送素材の前記コンテンツデータ上におけるコンテンツ区間と、前記放送素材の登録履歴とを記録する履歴記録部と、前記登録履歴を用いて、前記コンテンツデータ上におけるコンテンツ区間のコンテンツの重要度を算出する重要度算出部と、算出した重要度を用いて、前記データベースにおけるコンテンツデータのコンテンツ区間の重要度を更新する重要度更新部と、前記コンテンツデータのプレビューを、端末に再生するプレビュー表示制御部と、前記端末で再生されているプレビューのコンテンツ区間に関連付けられている重要度を視覚的に表現した重要度情報を、前記プレビューのタイムライン上に表示する重要度情報表示制御部と、を有するコンテンツ制作装置である。
【0013】
本発明の一態様は、放送素材の編集元として共有されるコンテンツデータが記憶されたコンテンツデータ記憶部と、前記コンテンツデータを編集元とし、放送される放送素材が登録される放送素材記憶部と、を有するシステムのコンテンツの表示方法であって、前記放送素材記憶部に登録された放送素材の前記コンテンツデータ上におけるコンテンツ区間と、前記放送素材の登録履歴とを記録し、前記登録履歴を用いて、前記コンテンツデータ上におけるコンテンツ区間のコンテンツの重要度を算出し、算出した重要度と、前記コンテンツデータのコンテンツ区間との重要度とを関連付け、前記コンテンツデータのプレビューを端末に再生し、前記端末で再生されているプレビューのコンテンツ区間に関連付けられている重要度を視覚的に表現した重要度情報を、前記プレビューのタイムライン上に表示するコンテンツ制作方法である。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、編集者が、アーカイブされているコンテンツから、放送素材として使用できるシーン(所定コンテンツ区間のコンテンツ)を、効率的に選択できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は本発明の実施の形態の概略を説明するための図である。
【
図2】
図2は端末4に表示されるコンテンツの重要度の一例を示す図である。
【
図3】
図3は端末4に表示されるコンテンツの重要度の一例を示す図である。
【
図5】
図5は素材ファイル格納部11に格納されるデータの一例である。
【
図6】
図6はコンピュータシステムによって構成された素材サーバ1のブロック図である。
【
図8】
図8は放送素材格納部21に格納されるデータの一例である。
【
図9】
図9はコンピュータシステムによって構成された放送サーバ2のブロック図である。
【
図11】
図11は重要度データベース31の一例を示す図である。
【
図12】
図12は履歴データベース32の一例を示す図である。
【
図13】
図13はコンピュータシステムによって構成された制作管理サーバ3のブロック図である。
【
図15】
図15はコンピュータシステムによって構成された端末4のブロック図である。
【
図16】
図16は第2の実施の形態における制作管理サーバ3のブロック図である。
【
図17】
図17は素材サーバ1の素材ファイル格納部11に格納されている素材ファイルの素材(コンテンツ)を複数のシーン(カット)に分割した一例を示した図である。
【
図18】
図18はシーンデータベースの一例を示した図である。
【
図19】
図19は放送素材1を、シーンX、シーンY及びシーンZに分割した例を示した図である。
【
図20】
図20は放送素材1,2,3を複数のシーンに分割した例を示した図である。
【
図21】
図21は関連度データベース39の一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施の形態を説明する。
【0017】
<第1の実施の形態>
図1は本発明の実施の形態の概略を説明するための図である。1は素材サーバ、2は放送サーバ、3は制作管理サーバ、4は端末である。
【0018】
素材サーバ1は、放送素材の編集元として使用されるコンテンツデータ(素材ファイル)が、アーカイブされたサーバである。コンテンツデータは、複数のユーザの共有資源であり、端末4により閲覧(プレビュー)することができる。コンテンツデータは、映像、音声、音楽、テロップ及びそれらの組み合わせであり、コンピュータグラフィック画像も含む。
【0019】
放送サーバ2は、コンテンツデータを編集した放送素材が登録されるサーバである。ここで留意すべきは、放送素材が登録されても、必ず放送されるとは限られない点である。何故なら、より良い放送素材が作成されることによる素材差し替え、緊急事態の発生による放送予定であった番組の放送の延期、諸事情による番組の放送中止等があるからである。従って、本実施の形態では、放送番組に使用される放送素材の放送サーバ2への登録と、放送サーバ2から放送のために放送素材が送出される放送素材の放送とを、区別している。
【0020】
制作管理サーバ3は、重要度データベース31を有している。重要度データベース31は、素材ファイルのコンテンツデータのコンテンツ区間と、コンテンツ区間のそのコンテンツの重要度とが関連付けられたデータベースである。コンテンツ区間とは、時間的に連続性のあるコンテンツにおいて、そのコンテンツのある時間的な区間である。例えば、1秒ごとの区間、カットごとの区間等である。重要度データベース31は、そのコンテンツ区間ごとに、コンテンツの重要度が関連付けられる。
【0021】
コンテンツの重要度は、関連付けられたコンテンツ区間のコンテンツが、放送素材としてどの程度の頻度で使用、又は放送、さらには、編集のために参照されたかを示す指標である。特に、コンテンツ区間のコンテンツが、放送素材として編集に使用されて、放送サーバ2に登録された回数は重要な指標となる。更に、その放送素材が実際に放送された回数も、重要な指標となる。更に、コンテンツ区間のコンテンツが、放送素材の編集のために参照された回数も、重要な指標となる。
【0022】
本実施の形態では、所定のコンテンツ区間のコンテンツが放送素材となり、放送サーバ2に登録された回数を「X」、その放送素材が実際に放送された回数を「Y」、コンテンツ区間のコンテンツが放送素材の編集のために参照された回数を「Z」とした場合、下記の式により、重要度Pを算出する。
【0023】
P(重要度)=a*X+b*Y+c*Z
ここで、a,b,cは、各回数に対する重みづけの定数である。a,b,cの値の大きさは、通常、a>b>cである。aの値が一番大きい理由は、編集者等(ユーザ)の編集意図により編集され、放送サーバ2に登録された放送素材が、その後の事情により、その放送素材が放送されなかったとしても、その放送中止は編集者等(ユーザ)の編集意図とは直接関係ないものであるので、編集者等(ユーザ)の編集意図が最も反映される放送サーバ2に登録された回数「X」を重視するためである。次に、bの値が二番目大きい理由は、実際に放送された放送素材に利用されたコンテンツは、重要だからである。cの値が最も小さい理由は、放送素材を制作する過程においては、色々なコンテンツ区間のコンテンツが参照されることは常であり、参照されたからと言って、そのコンテンツ区間のコンテンツが放送素材として実際に使用されるとは限らないからである。
【0024】
尚、上述したP(重要度)の算出について、登録回数「X」、放送回数「Y」、参照回数「Z」の全てを用いる必要はない。少なくとも、編集意図が最も反映される放送サーバ2に登録された回数「X」のみを用いるようにしても良い。すなわち、定数b,cをゼロにしても良い。更に、登録回数「X」、放送回数「Y」、参照回数「Z」のうち、登録回数「X」及び参照「Y」のみを用いてよい。すなわち、定数cをゼロにしても良い。この場合は、参照回数は重要度の算出には影響を与えない。
【0025】
制作管理サーバ3は、上述したP(重要度)を算出するために、放送サーバ2から放送素材の登録履歴及び放送履歴、端末4から参照履歴を取得する。そして、取得した登録履歴、放送履歴、及び参照履歴からP(重要度)を算出する。そして、算出したP(重要度)を用いて、対応するコンテンツ区間の重要度を更新する。
【0026】
端末4は、ユーザ(例えば、編集者)が利用する端末である。端末4は、素材サーバ1に蓄積されているコンテンツデータから放送素材に使用するコンテンツを探すために、素材サーバ1に蓄積されているコンテンツデータをプレビューする機能を有する。このプレビューする機能は、例えば、コンテンツが映像である場合、
図2に示すようなプレビュー映像を表示部に表示する。プレビュー映像の下には、コンテンツデータのタイムライン(時間軸)が表示され、このタイムライン上にスライドバーが表示される。そして、スライドバーをドラッグ操作してスライドさせることにより、任意のコンテンツ区間のコンテンツ(映像)をプレビューすることができる。尚、スライドバーの左端は映像の開始位置に対応し、右端は終了位置に対応する。
【0027】
端末4は、プレビューするコンテンツの重要度を、制作管理サーバ3から取得する。そして、コンテンツ区間に対応するタイムライン上の位置に、その重要度に応じた色の濃淡や、矩形の高さ等で、重要度をグラフィカルに表示する。例えば、
図2に示す如く、第1の閾値及び第2の閾値(第1の閾値>第2の閾値)を設定し、タイムラインのコンテンツ区間毎に、重要度が第1の閾値より大きい場合は赤、重要度が第1の閾値より小さく、第2の閾値より大きい場合は黄色、第2の閾値より小さい場合は緑色に表示する。また、
図3に示すように、例えば、第1の閾値及び第2の閾値(第1の閾値>第2の閾値)を設定し、コンテンツ区間毎に、上述の例と同様に、3段階の高さの棒グラフ(矩形)を、タイムラインに表示する。もちろん、数値化された重要度を表示するようにしても良い。
【0028】
このように表示することにより、ユーザは、コンテンツデータのうち、どのコンテンツ区間のコンテンツが放送素材として重要なのかを知ることができる。特に、本実施の形態では、放送サーバ2に登録された回数を最も重視することにより、編集者の意図が最も反映された重要度がそのコンテンツ区間に反映される。
【0029】
次に、各装置の詳細を説明する。
【0030】
まず、素材サーバ1について説明する。
図4は素材サーバ1のブロック図である。
【0031】
素材サーバ1は、放送素材の編集元として使用されるコンテンツデータが、アーカイブされたサーバであり、コンテンツデータを含む素材ファイルが格納される素材ファイル格納部11と、制作管理サーバ端末4からの要求に応答して、素材ファイルを読みだして端末4に送信する素材ファイル管理部12とを有する。
【0032】
素材ファイル格納部11は、
図5に示す如く、素材ファイル毎に、素材ファイルを識別する識別情報(素材ファイルID)と、素材の実データであるコンテンツデータ(タイムコードも含む)と、コンテンツデータのメタデータ(素材の内容を示すデータ)とが関連付けられて記憶されている。
【0033】
素材ファイル管理部12は、制作管理サーバ3を介して、端末4から要求された素材ファイルIDに関連付けられているコンテンツデータ(必要ならばメタデータも)を、端末4に送信する。
【0034】
上述した素材サーバ1は、具体的には、各種の演算処理等を行うプロセッサを有するコンピュータシステムによって実現することができる。
図6はコンピュータシステムによって構成された素材サーバ1のブロック図である。
【0035】
素材サーバ1は、
図6に示す如く、プロセッサ101、メモリ(ROMやRAM)102、記憶装置(ハードディスク、半導体ディスクなど)103、入力装置(キーボード、マウス、タッチパネルなど)104、表示装置105、通信装置106、素材ファイルデータベース107を有するコンピュータ100により構成することができる。
【0036】
素材サーバ1は、記憶装置103に格納されたプログラムがメモリ102にロードされ、プロセッサ101により実行されることにより、素材ファイル管理処理が実現されるものである。ここで、素材ファイルデータベース107は素材ファイル格納部11に対応し、素材ファイル管理処理は素材ファイル管理部12に対応する。
【0037】
尚、素材ファイルデータベース107はコンピュータ100が備えていても良い。また、コンピュータ100と物理的に外部に設けられ、LAN等のネットワークを介してコンピュータ100と接続されていても良い。
【0038】
放送サーバ2について説明する。
図7は放送サーバ1のブロック図である。
【0039】
放送サーバ2は、コンテンツデータを編集した放送素材が登録される放送素材格納部21と、放送素材の放送(送出)を管理する放送素材管理部22とを備える。
【0040】
放送素材格納部21は、
図8に示す如く、放送素材を識別する放送素材識別情報(放送素材ID)と、放送素材のコンテンツデータと、放送素材のメタデータと、その放送素材の登録履歴及び放送履歴とが関連付けられて記憶される。
【0041】
ここで、放送素材のメタデータは、放送素材の編集元となった素材ファイルの識別情報(素材ファイルID)と、その素材ファイルのコンテンツのうち、放送素材として利用したコンテンツ区間(例えば、タイムコード)とを、少なくとも含む。
【0042】
放送素材の登録履歴は、放送素材の放送サーバ2への登録日時(放送素材格納部21に格納された日時)、放送素材を登録したユーザを識別するユーザ識別情報(ユーザID)などである。
【0043】
放送素材の放送履歴は、放送素材が放送(送出)された日時、放送素材が使用された番組名等がある。
【0044】
放送素材管理部22は、端末4からの放送素材の登録要求に応答して、放送素材を放送素材格納部21に登録し、登録履歴を更新する。また、放送素材が放送されると、その放送素材の放送履歴を更新する。
【0045】
更に、放送素材管理部22は、放送素材が登録又は放送されると、登録又は放送された放送素材の登録履歴又は放送履歴と、その放送素材のメタデータから編集元の素材ファイルIDと、放送素材として利用したコンテンツ区間(例えば、タイムコード)とを、制作管理サーバ3に送信する。尚、素材ファイルID及びコンテンツ区間(例えば、タイムコード)は、登録履歴又は放送履歴に含めても良い。
【0046】
上述した放送サーバ2は、具体的には、各種の演算処理等を行うプロセッサを有するコンピュータシステムによって実現することができる。
図9はコンピュータシステムによって構成された放送サーバ2のブロック図である。
【0047】
放送サーバ2は、
図9に示す如く、プロセッサ111、メモリ(ROMやRAM)112、記憶装置(ハードディスク、半導体ディスクなど)113、入力装置(キーボード、マウス、タッチパネルなど)114、表示装置115、通信装置116、放送素材データベース117を有するコンピュータ110により構成することができる。
【0048】
放送サーバ2は、記憶装置113に格納されたプログラムがメモリ112にロードされ、プロセッサ111により実行されることにより、放送素材管理処理が実現されるものである。ここで、放送素材データベース117は放送素材格納部21に対応し、放送素材管理処理は放送素材管理部22に対応する。
【0049】
尚、放送素材データベース117はコンピュータ110が備えていても良い。また、コンピュータ110と物理的に外部に設けられ、LAN等のネットワークを介してコンピュータ110と接続されていても良い。
【0050】
制作管理サーバ3について説明する。
図10は制作管理サーバ3のブロック図である。
【0051】
制作管理サーバ3は、重要度データベース31と、履歴データベース32と、履歴取得部33と、重要度算出部34と、重要度更新部35と、コンテンツ参照処理部36とを備える。
【0052】
重要度データベース31は、
図11に示す如く、素材サーバ1の素材ファイル格納部11に格納されている素材ファイル(素材ファイルID)毎に、コンテンツ区間(タイムコードで示される区間)と、そのコンテンツ区間の重要度とが関連付けられて記憶されているデータベースである。
図11は、素材ファイルID「100」で識別される素材(コンテンツ)について、コンテンツ区間の間隔を1秒間隔とし、タイムコードの1秒間隔とその区間の重要度とが関連付けられた例を示している。
【0053】
履歴データベース32は、
図12に示す如く、素材サーバ1の素材ファイル格納部11に格納されている素材ファイル(素材ファイルID)毎に、その素材ファイルのコンテンツのコンテンツ区間と、取得した登録履歴、放送履歴及び参照履歴とが関連付けられて記憶されているデータベースである。尚、取得した登録履歴、放送履歴及び参照履歴は、蓄積される。
図12は、素材ファイルID「100」で識別される素材(コンテンツ)について、コンテンツ区間の間隔を1秒間隔とし、タイムコードの1秒間隔とその区間の登録履歴、放送履歴及び参照履歴とが関連付けられた例を示している。尚、参照履歴は、端末4において、ユーザが素材ファイルのコンテンツをプレビュー(参照)したコンテンツ区間と、プレビュー(参照)した日時と、プレビュー(参照)したユーザの識別情報とを含む。
【0054】
履歴取得部33は、放送サーバ2から登録履歴又は放送履歴と、登録履歴又は放送履歴に対応する素材ファイルID及びコンテンツ区間を取得し、端末4から参照履歴を取得し、履歴データベース32に追記する。
【0055】
重要度算出部34は、登録履歴、放送履歴又は参照履歴を取得したタイミングで、その履歴に対応する素材(コンテンツ)ファイルの重要度を算出する。まず、重要度算出部34は、コンテンツ区間毎に、そのコンテンツ区間に蓄積されている登録履歴、放送履歴又は参照履歴を、履歴データベース32から取得する。
【0056】
重要度算出部34は、取得した登録履歴、放送履歴又は参照履歴から、放送サーバ2に登録された回数を「X」、その放送素材が実際に放送された回数を「Y」、コンテンツ区間のコンテンツが放送素材の編集のために参照された回数を「Z」を算出する。回答のカウントは、原則、履歴ひとつで1回とカウントする。この時、一定期間が経過した古い履歴は、回数のカウントの対象としなくても良い。例えば、履歴の日時が3年以上古い場合は、その履歴を回数の対象としない。更に、履歴の日時に応じて、回数を重み付けても良い。例えば、履歴の日時が1年以内のものは1回、履歴の日時が1年から2年以内のものは0.7回、履歴の日時が2年以上のものは0.5回として回数を算出しても良い。更に、履歴に含まれているユーザIDより、回数を重み付けても良い。例えば、ユーザID「AAA」で識別されるユーザはベテランであるため、他のユーザよりも、回数を多く算出し、例えば、ユーザID「AAA」を含む履歴については、1.5回と回数を算出しても良い。
【0057】
次に、重要度算出部34は、算出された回数を「X」、「Y」及び「Z」を用いて、下記の式により、コンテンツ区間の重要度Pを算出する。
【0058】
P(重要度)=a*X+b*Y+c*Z
ここで、a,b,cは、各回数に対する重みづけの定数であり、予め設定しておく。尚、a,b,cの値の大きさは、通常、a>b>cであり、理由は上述した通りである。
【0059】
尚、重要度算出部34は、素材(コンテンツ)ファイルの重要度の算出するタイミンクであるが、上述したように、登録履歴、放送履歴又は参照履歴を取得したタイミングに限定するものではなく、例えば、所定の期間ごとに、重要度を算出しても良い。
【0060】
重要度更新部35は、重要度データベース31のコンテンツ区間の重要度を、重要度算出部34により算出されたそのコンテンツ区間の重要度に更新する。
【0061】
コンテンツ参照処理部36は、端末4から素材(コンテンツ)のプレビューの要求に応答して、その素材(コンテンツ)のコンテンツデータを、素材サーバ1から読み出し、読み出したコンテンツデータの素材ファイルIDに関連付けられたコンテンツ区間毎の重要度を、重要度データベース31から読み出し、コンテンツデータ及びそのコンテンツ区間毎の重要度を、端末4に送信する。
【0062】
上述した制作管理サーバ3は、具体的には、各種の演算処理等を行うプロセッサを有するコンピュータシステムによって実現することができる。
図13はコンピュータシステムによって構成された制作管理サーバ3のブロック図である。
【0063】
制作管理サーバ3は、
図13に示す如く、プロセッサ121、メモリ(ROMやRAM)122、記憶装置(ハードディスク、半導体ディスクなど)123、入力装置(キーボード、マウス、タッチパネルなど)124、表示装置125、通信装置126、重要度データベース127と、履歴データベース128を有するコンピュータ120により構成することができる。
【0064】
制作管理サーバ3は、記憶装置123に格納されたプログラムがメモリ122にロードされ、プロセッサ121により実行されることにより、履歴取得処理、重要度算出処理、重要度更新処理及びコンテンツ参照処理が実現されるものである。ここで、履歴取得処理は履歴取得部33に対応し、重要度算出処理は重要度算出部34に対応し、重要度更新処理は重要度更新部35に対応し、コンテンツ参照処理はコンテンツ参照処理部36に対応する。また、重要度データベース127は重要度データベース31に対応し、履歴データベース128は履歴データベース32に対応する。
【0065】
尚、重要度データベース31又は履歴データベース32はコンピュータ110が備えていても良い。また、コンピュータ110と物理的に外部に設けられ、LAN等のネットワークを介してコンピュータ110と接続されていても良い。更に、重要度データベース31と履歴データベース32とは、その一部又は全体が一つとして構成されていても良い。
【0066】
端末4について説明する。
図14は端末4のブロック図である。
【0067】
端末4は、表示部41と、ユーザインタフェースとしての入出力部42と、プレビュー表示処理部43と、スライドバー表示処理部44と、重要度表示部45と、参照履歴取得部46と、編集部47とを備える。
【0068】
プレビュー表示処理部43は、制作管理サーバ3を介して素材サーバ1から、指定した素材ファイルのコンテンツデータを取得し、コンテンツデータのコンテンツをプレビューする。コンテンツデータが映像である場合は、
図2に示すようなプレビュー映像を表示部41に表示する。プレビュー映像下には、コンテンツデータのタイムライン(時間軸)が表示され、このタイムライン上にスライドバーが表示される。そして、スライドバーをドラッグ操作してスライドさせることにより、任意のコンテンツ区間のコンテンツ(映像)をプレビューすることができる。尚、スライドバーの左端は映像の開始位置に対応し、右端は終了位置に対応する。
【0069】
スライドバー表示処理部44は、プレビュー画面下のタイムライン上にスライドバーを表示する。このスライドバーをドラッグ操作してタイムライン上をスライドさせることにより、対応する時刻のコンテンツを再生することができる。
【0070】
重要度表示部45は、プレビューするコンテンツのコンテンツ区間毎の重要度を、制作管理サーバ3から取得する。そして、コンテンツ区間に対応するタイムライン上の位置に、その重要度に応じた色の濃淡や、矩形の高さ等で、重要度をグラフィカルに表示する。例えば、受信したコンテンツ区間の重要度を、第1の閾値及び第2の閾値(第1の閾値>第2の閾値)を設定し、タイムラインのコンテンツ区間毎に、重要度が第1の閾値より大きい場合は赤、重要度が第1の閾値より小さく、第2の閾値より大きい場合は黄色、第2の閾値より小さい場合は緑色に表示する。また、
図3に示すように、例えば、第1の閾値及び第2の閾値(第1の閾値>第2の閾値)を設定し、コンテンツ区間毎に、上述の例と同様に、3段階の高さの棒グラフ(矩形)を、タイムラインに表示する。もちろん、数値化された重要度を表示するようにしても良い。
【0071】
参照履歴取得部46は、ユーザがタイムライン上のスライドバーをスライドさせ、コンテンツをプレビュー(参照)したコンテンツ区間の参照履歴(参照した素材ファイルID、参照したコンテンツ区間)を取得する。そして、取得した参照履歴に、端末4を使用したユーザのユーザ識別情報(ユーザID)を含めて、制作管理サーバ3に送信する。
【0072】
編集部47は、スライドバーの操作により、放送素材として使用するコンテンツ区間が決定すると、例えばマウスクリックなどにより、放送素材として使用するコンテンツ区間を特定し、そのコンテンツ区間のコンテンツを放送素材として編集する。尚、コンテンツ区間は、コンテンツデータに付されているタイムコードで特定する。そして、放送素材を放送サーバ2に登録する。このとき、登録する放送素材にはメタデータが含まれ、そのメタデータには、編集元の素材ファイルIDと、放送素材として利用したコンテンツ区間(例えば、タイムコード)とが含まれる。
【0073】
上述した端末4は、具体的には、各種の演算処理等を行うプロセッサを有するコンピュータシステムによって実現することができる。
図15はコンピュータシステムによって構成された端末4のブロック図である。
【0074】
端末4は、
図15に示す如く、プロセッサ131、メモリ(ROMやRAM)132、記憶装置(ハードディスク、半導体ディスクなど)133、入力装置(キーボード、マウス、タッチパネルなど)134、表示装置135、通信装置136を有するコンピュータ130により構成することができる。
【0075】
端末4は、記憶装置133に格納されたプログラムがメモリ132にロードされ、プロセッサ131により実行されることにより、プレビュー表示処理、スライドバー表示処理、重要度表示処理、参照履歴取得処理及び編集処理が実現されるものである。ここで、プレビュー表示処理はプレビュー表示処理部43に対応し、スライドバー表示処理はスライドバー表示処理部44に対応し、重要度表示処理は重要度表示部45に対応し、参照履歴取得処理は参照履歴取得部46に対応し、編集処理は編集部47に対応する。また、表示装置135は表示部41に対応し、入出力部42は入力装置134に対応する。
【0076】
次に、本実施の形態の動作を説明する。
【0077】
放送サーバ2の放送素材管理部22は、端末4からの放送素材の登録要求に応答して、放送素材を放送素材格納部21に登録し、登録履歴を更新する。また、放送素材が放送されると、その放送素材の放送履歴を更新する。そして、放送素材管理部22は、登録履歴又は放送履歴と、その登録履歴又は放送履歴に対応する素材ファイルID及びコンテンツ区間を、制作管理サーバ3に送信する。
【0078】
制作管理サーバ3の履歴取得部33は放送サーバ2から、登録履歴又は放送履歴と、その登録履歴又は放送履歴に対応する素材ファイルID及びコンテンツ区間を取得すると、履歴データベース32の対応する素材ファイルIDのコンテンツ区間に、登録履歴又は放送履歴を追記する。同様に、履歴取得部33は端末4から参照履歴(参照したコンテンツの素材ファイルID、参照したコンテンツ区間、参照したユーザのユーザIDを含む)を取得すると、履歴データベース32の対応する素材ファイルIDのコンテンツ区間に、参照履歴を追記する。
【0079】
制作管理サーバ3の重要度算出部34は、登録履歴、放送履歴又は参照履歴を取得したタイミングで、その履歴に対応する素材(コンテンツ)ファイルの重要度を算出する。まず、重要度算出部34は、コンテンツ区間毎に、そのコンテンツ区間に蓄積されている登録履歴、放送履歴又は参照履歴を、履歴データベース32から取得する。そして、上述した重要度の算出方法により、素材ファイルIDで特定されるコンテンツのコンテンツ区間毎の重要度を算出する。
【0080】
制作管理サーバ3の重要度更新部35は、重要度データベース31のコンテンツ区間の重要度を、重要度算出部34により算出されたそのコンテンツ区間の重要度に更新する。
【0081】
一方、端末4により、素材ファイルの閲覧要求があると、制作管理サーバ3のコンテンツ参照処理部36は、指定された素材ファイルIDで特定される素材ファイルのコンテンツデータを、素材サーバ1から読み出し、端末4に送信する。更に、コンテンツ参照処理部36は、指定された素材ファイルIDに関連付けられているコンテンツ区間毎の重要度を、端末4に送信する。
【0082】
端末4はコンテンツデータ及び重要度を受信する。プレビュー表示処理部43は、取得したコンテンツデータのコンテンツを表示部41にプレビューする。また、重要度表示部45は、コンテンツ区間に対応するタイムライン上の位置に、その区間の重要度に応じた色の濃淡や、矩形の高さ等で、重要度をグラフィカルに表示する。
【0083】
ユーザ(編集者)は、スライドバー表示処理部44により、スライドバーをドラッグ操作してタイムライン上をスライドさせることにより、対応する時刻のコンテンツを再生することができる。このとき、参照履歴取得部46は、ユーザがタイムライン上のスライドバーをスライドさせ、コンテンツをプレビュー(参照)したコンテンツ区間の参照履歴(参照した素材ファイルID、参照したコンテンツ区間)を取得する。そして、取得した参照履歴に、端末4を使用したユーザのユーザ識別情報(ユーザID)を含めて、制作管理サーバ3に送信する。
【0084】
ユーザ(編集者)のスライドバーの操作、マウスクリックなどにより、放送素材として使用するコンテンツ区間が決定すると、編集部47は、その区間のコンテンツを放送素材として決定する。そして、その放送素材(コンテンツデータ、編集元の素材ファイルID、放送素材として利用したコンテンツ区間(例えば、タイムコード)が含まれる)を、放送サーバ2に登録する。
【0085】
以上の動作が繰り返し、行われる。
【0086】
本実施の形態によれば、アーカイブされている素材(コンテンツ)を使用して放送素材を編集し、その放送素材が放送のための放送装置に登録又は放送されるまでの一連の履歴を取得し、その履歴に基づいて、素材(コンテンツ)の重要度を算出している。これにより、複数のユーザ(編集者)の集合知を解析し、自動的に素材(コンテンツ)のどこのコンテンツ区間のコンテンツが重要であるかを提示することができ、ユーザ(編集者)の編集作業の効率化を図ることができる。
【0087】
特に、本実施の形態では、放送素材の放送装置への登録や、放送素材の実際に放送されたかを重視して重要度を算出しているので、現在の編集環境に合致した制作システムを提供することができる。
【0088】
<第2の実施の形態>
第2の実施の形態を説明する。
【0089】
放送素材を編集する場合、一つ又は複数の素材(コンテンツ)から所定のシーン(カット)を複数抜き出して、それらを結合してひとつの放送素材を編集することが多いと思われる。そして、編集には、ある程度、決まったパターンが存在する。例えば、最初に状況がわかりやすいロングのカットがあり、そのあとアップのカットがあるなどである。
【0090】
そこで、第2の実施の形態では、あるシーン(カット)の組み合わせが放送素材上に出現する確度を関連度として、その値を算出する。そして、ある特定のシーン(カット)を選択した際に、そのシーン(カット)との関連度が高いシーン(カット)を提示(リコメンド)する例を説明する。
【0091】
図16は第2の実施の形態における制作管理サーバ3のブロック図である。
【0092】
第2の実施の形態における制作管理サーバ3は、第1の実施の形態に加えて、シーン分割部37と、関連度算出部38と、関連度データベース39とを備える。
【0093】
各部を説明する前に、素材(コンテンツ)のシーン(カット)の分割について説明する。
【0094】
ひとつの素材(コンテンツ)は複数のシーン(カット)から構成されていることが多い。例えば、あるひとつの素材(コンテンツ)が、屋内の情景のシーンと、屋外のシーンとから構成される場合などである。そして、これらの各シーン(カット)は、そのシーン(カット)特有の特徴量(例えば、輝度、色や画角等)持っている。そこで、その特徴量を利用して、ひとつの素材(コンテンツ)を複数のシーン(カット)に分割する。このシーン(カット)の分割は、従来技術を用いて自動的に行うことができる。尚、ここでいう分割は、物理的に、ひとつのコンテンツを複数のコンテンツに分割することを意味するのではなく、シーン間の区切りを見つけることである。
【0095】
図17は、素材サーバ1の素材ファイル格納部11に格納されている素材ファイルの素材(コンテンツ)を複数のシーン(カット)に分割した一例を示した図である。
図17の例では、素材ファイルID100の素材(コンテンツ)がシーンA、シーンB及びシーンCに分割され、素材ファイルID101の素材(コンテンツ)がシーンD、シーンE及びシーンFに分割され、素材ファイルID102の素材(コンテンツ)がシーンG、シーンH及びシーンIに分割されている。
【0096】
素材ファイル格納部11は、上述のようにシーン分割された素材(コンテンツ)毎に、分割された各シーンの区間がわかるように、シーンと、このシーンの区間のタイムコードとが関連付けられたシーンデータベースを備える。
図18は素材ファイルID100の素材(コンテンツ)の例を示しており、シーンAがタイムコード00:00:00-00:05:00と、シーンBがタイムコード00:05:00-00:10:12と、シーンCがタイムコード00:10:13-00:20:00と関連付けられて記憶されている。
【0097】
このように、素材サーバ1の素材ファイル格納部11には、複数のシーンから構成された素材ファイルの素材(コンテンツ)が格納されている。
【0098】
次に、制作管理サーバ3のシーン分割部37について説明する。
【0099】
シーン分割部37は、放送素材サーバ2に登録された放送素材を取得する。そして、素材ファイルの素材(コンテンツ)を複数のシーンに分割した同様の方法で、その放送素材を複数のシーンに分割する。
図19は、シーン分割部37が、放送素材1を、シーンX、シーンY及びシーンZに分割した例を示している。
【0100】
更に、シーン分割部37は、分割した放送素材の各シーンが、素材ファイル格納部11に格納されている素材ファイルの素材(コンテンツ)のいずれのシーンに該当するのかを検索する。放送素材には、上述した通り、編集元の素材及びタイムコード等のメタデータを有しており、このメタデータを検索に用いることができる。但し、分割した放送素材の各シーンのタイムコードが、編集元の素材(コンテンツ)の各シーンのタイムコードとかならずしも一致しているとは限らない。そこで、シーンの特定については、放送素材の特定するシーンの区間を示すタイムコードの中央値を含んでいる編集元の素材(コンテンツ)のシーンを、その特定するシーンとする。例えば、
図19の例における放送素材1のシーンXが、素材ファイルID100、そのタイムコード00:00:00-00:04:00のメタデータを有する場合、素材ファイルID100のうち、タイムコード00:02:00を有するシーンを、素材ファイル格納部11のシーンデータベースから検索する。この場合、シーンXに対応する素材ファイルID100のシーンは、シーンAである。同様に、シーンY、シーンZを特定し、放送素材1の各シーンが、素材ファイルID100のシーンAと、素材ファイルID100のシーンCと、素材ファイルID102のシーンIとから構成されていることを特定する。
【0101】
関連度算出部38は、シーン分割部37で特定された放送素材の各シーンについて、そのシーンに組み合わせで出現するシーンの確度をそのシーンの関連度として算出する。
【0102】
例えば、
図20に示すように、放送素材1、放送素材2、放送素材3があるとする。シーン分割部37により、放送素材1は、素材ファイルID100のシーンAと、素材ファイルID100のシーンCと、素材ファイルID102のシーンIとから構成されていることが特定されているものとする。また、シーン分割部37により、放送素材2は、素材ファイルID100のシーンAと、素材ファイルID101のシーンEと、素材ファイルID100のシーンCとから構成されていることが特定されているものとする。また、シーン分割部37により、放送素材3は、素材ファイルID100のシーンAと、素材ファイルID100のシーンCと、素材ファイルID101のシーンDとから構成されていることが特定されているものとする。
【0103】
こここで、あるシーンと他のシーンとのシーン間の関連度を、あるシーンと他のシーンとがどれだけ離れているかで、関連度のスコアを求めるものとする。例えば、
距離が1シーン(隣接)の場合=10
距離が2シーンの場合=5
距離が3シーン以上の場合=1
とする。
【0104】
上述のスコアを適用して各放送素材のシーン間の関連度のスコアを求めると、以下の通りになる。
【0105】
(放送素材1)
・シーンA(素材ファイルID100)とシーンC(素材ファイルID100)との距離=1
関連度S1(A-C)=10
・シーンA(素材ファイルID100)とシーンI(素材ファイルID102)との距離=2
関連度S1(A-I)=5
・シーンC(素材ファイルID100)とシーンI(素材ファイルID102)との距離=1
関連度S1(C-I)=10
【0106】
(放送素材2)
・シーンA(素材ファイルID100)とシーンE(素材ファイルID101)との距離=1
関連度S2(A-E)=10
・シーンA(素材ファイルID100)とシーンC(素材ファイルID100)との距離=2
関連度S2(A-C)=5
・シーンE(素材ファイルID101)とシーンC(素材ファイルID100)との距離=1
関連度S2(C-E)=10
【0107】
(放送素材3)
・シーンA(素材ファイルID100)とシーンC(素材ファイルID100)との距離=1
関連度S3(A-C)=10
・シーンA(素材ファイルID100)とシーンD(素材ファイルID101)との距離=2
関連度S3(A-D)=5
・シーンC(素材ファイルID100)とシーンD(素材ファイルID101)との距離=1
関連度S3(C-D)=10
【0108】
次に、上述した各放送素材のシーン間の関連度Sの合計値を、関連度TSとする。
・関連度TS(A-C)
=関連度S1(A-C)+関連度S2(A-C)+関連度S3(A-C)
=10+5+10
=25
・関連度TS(A-D)
=関連度S3(A-D)
=5
・関連度TS(A-E)
=関連度S2(A-E)
=10
・関連度TS(A-I)
=関連度S1(A-I)
=5
・関連度TS(C-I)
=関連度S1(C-I)
=10
・関連度TS(C-D)
=関連度S3(C-D)
=10
・関連度TS(C-E)
=関連度S2(C-E)
=10
その他の関連度TSはゼロである。
【0109】
上述の算出結果より、シーンAと関連度が高いシーン(シーンAと共に出現する確度が高いシーン)は、シーンCが一番高く、次にシーンEであり、続いて、シーンD及びシーンIが同程度であることがわかる。
【0110】
関連度算出部38は、このように算出したシーン間の関連度の合計値を、関連度データベース39に蓄積していく。
【0111】
図21は、関連度データベース39の一例を示した図である。
図21は、素材ファイルID100の各シーンA,B,Cと、そのシーンと他のシーンとの関連度TSとが関連付けられた例を示している。例えば、
図17に示される素材ファイルのコンテンツの各シーンとの関係で、シーンAについては、シーンAとシーンBとの関連度TS(A-B)、シーンAとシーンCとの関連度TS(A-C)、シーンAとシーンDとの関連度TS(A-D)、シーンAとシーンEとの関連度TS(A-E)、...、とが関連付けられている。
【0112】
コンテンツ参照処理部36は、端末4から素材(コンテンツ)のプレビューの要求に応答して、その素材(コンテンツ)のコンテンツデータを、素材サーバ1から読み出し、端末4に送信する。更に、端末4で行われるスライドバーの操作により、現在端末4で表示されているコンテンツのシーンを特定する。そして、端末4で表示されているシーンに対して関連度の高いシーンを、関連度データベース39から特定する。
【0113】
例えば、
図22に示されるように、メインの画面に素材ファイルID100のシーンAが表示されているものとすると、素材ファイルID100のシーンAの関連度のうち、上位二つの関連度TS(A-C)、関連度TS(A-E)を選択する。そして、素材ファイルID100のシーンCと、素材ファイルID101のシーンEとを、素材ファイル格納部11から読出し、シーンCとシーンEとをメインの画面の横に表示する。尚、提示するシーンは上位二つに限られず、一つでも、又、三以上であっても良い。
【0114】
第2の実施の形態によれば、素材(コンテンツ)のどこのコンテンツ区間のコンテンツが重要であるかがわかるばかりでなく、そのシーンと良く一緒に使用されるシーンについても、編集者に提示することができる。これにより、ユーザ(編集者)の編集作業の効率化を図ることができる。
【0115】
尚、上述した第2の実施の形態は、第1の実施の形態と組み合わせた例を説明したが、第2の実施の形態(関連度の高いシーンの提示)のみでも実施可能である。
【0116】
<第3の実施の形態>
第3の実施の形態を説明する。
【0117】
【0118】
BGMサーバから放送素材に使用するBGM(バックグランドミュージック)のファイル(BGMファイル)を取得する。そして、編集済みの放送素材は、送出サーバに登録される。登録された放送素材は、放送番組の情報を管理する番組情報サーバに記憶されている番組情報と関連付けられる。尚、番組情報サーバの番組情報は、原稿サーバの原稿(番組の台本等)と関連付けられている。
【0119】
放送素材が放送サーバに登録されると、中間処理サーバは、放送素材のメタデータから、BGMの識別情報(BGMの名前や、ファイル名)、及び、放送素材に用いられた映像素材の識別情報を取得する。そして、中間処理サーバは、映像素材サーバから、映像素材の識別情報に関連付けられている素材のメタデータからテキストデータを取得する。
【0120】
また、中間処理サーバは、番組情報サーバから、放送素材に関連付けられている番組情報からテキストを取得する。同様に、中間処理サーバは、番組情報に関連付けられている原稿のテキストデータを、原稿サーバから取得する。
【0121】
中間処理サーバは、取得した素材のメタデータ、番組情報及び原稿のテキストデータから、放送素材に使用されたBGM(バックグランドミュージック)のキーワードとなるテキストを抽出する。このキーワードの抽出は、従来からある形態素解析等を用いたテキストマイニングにより行うことができる。
【0122】
中間処理サーバは、抽出したキーワードを、BGMの識別情報に対応するBGMファイルにタグとして登録する。
【0123】
これにより、ユーザ(編集者)は、BGMファイルにタグ付けされたキーワードを、検索キーワードとして用いて、BGMファイルを検索することが可能となる。
【0124】
また、新たな項目についての映像編集作業を行う際、その項目に関連する各種テキストデータ(原稿、番組名、項目名等)と、各BGMファイルにタグ付けされたテキストデータの類似度を計算し、その類似度の高い順にBGMファイルを自動的にリコメンドする機能を持たせることも可能である。更に、BGMファイルにタグ付けされたテキストデータを教師データとして機械学習させておき、新たな項目についての映像編集作業を行う際、その項目に関連する各種テキストデータ(原稿、番組名、項目名等)を、機械学習部に入力することにより、BGMファイルを自動的にリコメンドすることもできる。
【0125】
第3の実施の形態は、実際の運用に即したタグが、BGMファイルに付与されるので、キーワードによる検索が効率的になり、BGMの選定作業を短時間で行うことができる。また、日々の編集作業で自動的にタグが付与されていくため、タグ付与の作業量が少ない。更に、BGMの使用ログを取得することで、放送された番組素材で使用されているBGMを実際に聞くことなく、BGMの使用実績を知ることができる。
【0126】
以上好ましい実施の形態をあげて本発明を説明したが、全ての実施の形態の構成を備える必要はなく、適時組合せて実施することができるばかりでなく、本発明は必ずしも上記実施の形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内において様々に変形し実施することが出来る。
【符号の説明】
【0127】
1 素材サーバ
2 放送サーバ
3 制作管理サーバ
4 端末