(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-21
(45)【発行日】2023-01-04
(54)【発明の名称】設備稼働監視装置
(51)【国際特許分類】
G05B 19/418 20060101AFI20221222BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
(21)【出願番号】P 2018102394
(22)【出願日】2018-05-29
【審査請求日】2021-05-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000119830
【氏名又は名称】因幡電機産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】細井 元嗣
(72)【発明者】
【氏名】東 正己
(72)【発明者】
【氏名】多田 潤也
【審査官】藤崎 詔夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-006291(JP,A)
【文献】特開2014-212438(JP,A)
【文献】特開2016-208067(JP,A)
【文献】特開平09-311930(JP,A)
【文献】特開2002-132324(JP,A)
【文献】特開2004-171314(JP,A)
【文献】特開2001-273010(JP,A)
【文献】登録実用新案第3202062(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2004/0171915(US,A1)
【文献】韓国公開特許第2011-0125193(KR,A)
【文献】特開昭61-237042(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設備の稼働状態に応じた点灯状態で点灯
し、異なる色で点灯する複数の点灯層が上下方向に並ぶ積層表示灯に装着され、
前記
積層表示灯
の上端面に固定される本体部と、
前記
複数の点灯層の各々において光が現れる部分に面して
当接するように設けられる
複数の受光部と、
前記
複数の受光部
の各々と前記本体部とを結び、
前記本体部から垂下していて、前記受光部で受けた前記表示灯の光を前記本体部へと導く、外周面が光の透過を抑制する被膜で覆われた光ファイバーを備え
、異なる長さとされた複数の導光部と、を備え、
前記本体部は、前記
複数の導光部
の各々から導かれた光を検出する
ように、前記複数の導光部の各々に対応して設けられた複数の光センサと、前記
複数の光センサの検出結果を処理する処理部と、前記処理部における処理に要する電力を供給する電源部と、前記処理部における処理結果を無線信号によって外部に発信する送信部と、を一体に備え、
前記複数の光センサは、前記積層表示灯の前記光が現れる部分に面して設けられているのではなく前記本体部に内蔵されていて、受光素子として機能するLEDと電流検出ICとの組み合わせを備え、前記LEDにより前記複数の導光部の各々から導かれた光を電流に変換した上で前記電流検出ICにより前記検出を行うものであり、
前記受光部は、
前記点灯層の光を反射することにより光の進む方向を前記導光部の方向に転換させる反射部を備えるとともに、前記表示灯の外周を取り巻くことで当該受光部を固定するバンドを引っ掛ける部分を有する設備稼働監視装置。
【請求項2】
前記本体部を、前記
積層表示灯の
前記上端面から離して配置するスペーサを更に備える、請求項
1に記載の設備稼働監視装置。
【請求項3】
前記電源部が、前記本体部の外部に露出する太陽電池を備える、請求項1
または2に記載の設備稼働監視装置。
【請求項4】
前記処理部は、前記
積層表示灯の点灯状態に変化が無い場合は一旦スリープ状態となり、点灯状態に変化があったことが前記光センサを介して検知されたことにより、前記スリープ状態が解除される、請求項1~
3のいずれかに記載の設備稼働監視装置。
【請求項5】
前記処理部は、前記点灯状態に変化があったことの検知があった場合、その後一定時間における光検出に係る入力エッジの回数をカウントし、前記カウントされた回数によって点灯、点滅、消灯の3状態を判定する、請求項
4に記載の設備稼働監視装置。
【請求項6】
前記処理部は、前記3状態の判定結果を、
前記一定時間の継続が初回である場合には、即時に前記送信部を通じて発信し、
前記3状態の各々が継続されている場合には、前記判定の時点以前の一定時間の点灯状態との比較を行い、状態変化があった場合には変化後の状態を前記送信部を通じて発信し、状態変化が無かった場合には発信自体を行わない、請求項
5に記載の設備稼働監視装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生産設備等の種々の設備の稼働状態を監視できる設備稼働監視装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、生産設備の稼働状態を確認できる装置が存在していた(例えば特許文献1参照)。これは、生産設備の稼働状態に対応して点灯するように、生産設備に設けられた積層表示灯の点灯状態をリアルタイムで観察することによって、生産設備の稼働状態を確認するものであった。
【0003】
特許文献1には複数の実施形態が記載されており、そのうちで、特許文献1の
図8には、積層表示灯における各段の表示部に対して光センサを取り付け、光センサの検出結果を送信部から無線送信できる形態が記載されている。この形態において、光センサと送信部との間は電線で結ばれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、例えば工場内において、生産設備の周囲には電磁波が生じていることがあり、光センサの検出結果が電磁波に起因するノイズの影響を受ける場合があった。この場合、生産設備の稼働状態を確認することに関する信頼性が低下してしまう可能性があった。
【0006】
そこで本発明は、設置環境の影響を受けにくく、信頼性の高い設備稼働監視装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、設備の稼働状態に応じた点灯状態で点灯する表示灯に装着され、本体部と、前記表示灯において光が現れる部分に面して設けられる受光部と、前記受光部と前記本体部とを結び、前記受光部で受けた前記表示灯の光を前記本体部へと導く導光部と、を備え、前記本体部は、前記導光部から導かれた光を検出する光センサと、前記光センサの検出結果を処理する処理部と、前記処理部における処理に要する電力を供給する電源部と、前記処理部における処理結果を無線信号によって外部に発信する送信部と、を備えた設備稼働監視装置である。
【0008】
この構成によれば、受光部と本体部とが導光部により結ばれており、導光部から導かれた光は光のまま本体部に至る。このため、生産設備の周囲に電磁波が生じていても、光センサの検出結果に電磁波に起因するノイズが混入してしまうことがない。
【0009】
また、前記受光部が、前記表示灯の光を反射することにより光の進む方向を転換させる反射部を備えることもできる。
【0010】
この構成によれば、受光部で受けた表示灯の光が本体部に向けて確実に導光される。
【0011】
また、前記導光部が光ファイバーを備え、前記光ファイバーの外周面が光の透過を抑制する被膜で覆われていることもできる。
【0012】
この構成によれば、導光部に、光センサの検出に関係のない光が混入することを抑制できる。
【0013】
また、前記本体部を、前記表示灯の表面から離して配置するスペーサを更に備えることもできる。
【0014】
この構成によれば、例えばスピーカー一体型の表示灯に対して、スピーカーを塞ぐことなく本体部を装着可能である。
【0015】
また、前記電源部が、前記本体部の外部に露出する太陽電池を備えることもできる。
【0016】
この構成によれば、外部電源が不要なため、外部との電線の接続が不要となる。
【0017】
また、前記処理部は、前記表示灯の点灯状態に変化が無い場合は一旦スリープ状態となり、点灯状態に変化があったことが前記光センサを介して検知されたことにより、前記スリープ状態が解除されるものとできる。
【0018】
この構成によれば、このように点灯状態に変化がない場合にスリープ状態とすることにより、処理部の消費電力を節約できる。
【0019】
また、前記処理部は、前記点灯状態に変化があったことの検知があった場合、その後一定時間における光検出に係る入力エッジの回数をカウントし、前記カウントされた回数によって点灯、点滅、消灯の3状態を判定するものとできる。
【0020】
この構成によれば、一定時間周期での判定を確実に行うことができる。
【0021】
また、前記処理部は、前記3状態の判定結果を、割込み開始の直後の場合には、即時に前記送信部を通じて発信し、前記3状態の各々が継続されている場合には、前記判定の時点以前の一定時間の点灯状態との比較を行い、状態変化があった場合には変化後の状態を前記送信部を通じて発信し、状態変化が無かった場合には発信自体を行わないものとできる。
【0022】
この構成によれば、送信部の発信回数を減らすことができるため、送信部において節電が可能である。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、光センサの検出結果に電磁波に起因するノイズが混入してしまうことがない。よって、設置環境の影響を受けにくく、信頼性の高い設備稼働監視装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の実施形態に係る設備稼働監視装置の、表示灯に装着した状態を示す、正面及び平面側で右側から見た斜視図である。
【
図2】前記設備稼働監視装置を示す、正面及び平面側で右側から見た斜視図である。
【
図3】前記設備稼働監視装置を示す、正面及び底面側で左側から見た斜視図である。
【
図4】前記設備稼働監視装置を示し、(a)は正面図、(b)は背面図である。
【
図5】前記設備稼働監視装置を示し、(a)は平面図、(b)は底面図である。
【
図6】前記設備稼働監視装置を示し、(a)は右側面図、(b)は左側面図である。
【
図7】前記設備稼働監視装置の構成を示すブロック図である。
【
図8】前記設備稼働監視装置において光検出に関する処理部での処理内容の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に、本発明につき、実施形態を取り上げて説明を行う。
【0026】
本実施形態の設備稼働監視装置1は、例えば工場における生産設備等の設備(図示しない)に取り付けられる。詳しくは、設備が有しており、設備の稼働状態に応じた点灯状態で点灯する表示灯Sに、
図1に示すように装着される。生産設備とは、生産活動を行うための設備であって、例えば工作機械である。表示灯Sは内部に発光部(図示しない)が設けられており、例えば、それぞれ異なる色(黄色、赤色、緑色、青色等)で点灯する複数の点灯層S1が複数積層されて構成された積層表示灯(商品名の一例が「シグナル・タワー」(株式会社パトライトの登録商標))が該当する。表示灯Sとしての積層表示灯は、例えば上下方向に長い柱状(円柱状や角柱状等)とされており、各色の点灯層S1が上下方向に並んでいる。発光部は、固定的に設けられていてもよいし、表示灯Sの内部で点灯しつつ回転するように設けられていてもよい。また、前記「点灯」には、例えば、継続的に点灯する場合や種々のパターンにより点滅する場合が含まれる。また、表示灯Sは、当然ながら消灯状態になることがある。
【0027】
本実施形態の設備稼働監視装置1は、
図2~
図7に示すように構成されており、主に、本体部2、受光部3、導光部4を備える。本体部2は、例えば硬質樹脂製である外装ケース21と、外装ケース21内に設けられており表示灯Sの光に対して処理等を行う電気部品、回路基板等からなる。設備稼働監視装置1は工場内等の粉塵の多い場所に設置されることがあるため、外装ケース21は内部に粉塵が入り込まないように、防塵性を有して構成されていることが好ましい。本実施形態では、本体部2は柱状(円柱状)とされた表示灯Sの上端面に固定される。表示灯Sに対する本体部2の固定は種々の手段により行うことができる。例えば、表示灯Sの上端面部分に本体部2を嵌合させて固定することができる。本実施形態では後述のスペーサ5を介して本体部2が固定されている。このスペーサ5は本発明において必須ではなく、スペーサ5を用いなくてもよい。また、ねじ、クランプ、ゴムバンド、針金等の、本体部2とは別体の固定手段(弾性を発揮する固定手段、または、固着力を発揮する固定手段)を用いて固定することもできる。また、両面テープや接着剤を用いて固定することもできる。
【0028】
受光部3は、表示灯Sにおいて光が現れる部分に面して設けられる。表示灯Sが積層表示灯である場合、光が現れる部分は各点灯層S1において着色透明樹脂等からなる外周面である。また、積層表示灯の場合、各点灯層S1が異なる色で点灯することで、設備の稼働状態に応じた点灯状態が実現することから、この点灯状態を把握するため、各点灯層S1に対して少なくとも1個の受光部3が設けられている。本実施形態では、点灯層S1が4層設けられているため、合計で4個の受光部3が設けられている。なお、信頼性向上等の目的で、各点灯層S1に対して2個以上の受光部3を設けてもよい。
【0029】
本実施形態の受光部3は、
図3等に示すように、枠部31と、枠部31の内部に配置された反射部32とを備えている。反射部32は、表示灯Sの光を反射することにより光の進む方向を転換させる機能を有する。この反射部32により、表示灯Sの光を本体部2に向けて、導光部4を介し確実に導光できる。本実施形態の反射部32は、詳細形状は図示していないが、透明樹脂製のプリズムである。このプリズムは、光が略直角に反射するものであって、表示灯Sにおいて光が現れる部分と、導光部4との両方に光を通すことができる位置に配置される。受光部3は、
図1に示すように、例えば表示灯Sの外周を取り巻くバンド33(樹脂製バンドや金属製バンド)により固定される。これに対応し、枠部31の、表示灯Sを基準とした外側には突起311が形成されており、バンド33を上下方向にずれないように引っ掛けることができる。バンド33としては、透明の樹脂製バンドを用いることにより、目立たないように受光部3を固定することが可能である。更に、弾性を発揮する軟質樹脂製バンドを用いることで、バンド33を表示灯Sの外周に取り巻くように取り付けるだけで簡便に受光部3を固定することが可能である。なお、場合によっては接着剤によって受光部3を固定することもできる。
【0030】
導光部4は、各受光部3と本体部2とを結び、本実施形態では上下方向に延びる部分である。導光部4は受光部3と対応して設けられている。このため、本実施形態では導光部4が4本設けられている。各導光部4により、各受光部3で受けた表示灯Sの光を光のままで(電流等に変換することなく)本体部2へと導くことができる。本実施形態の導光部4は光ファイバー41を備え、この光ファイバー41の下端部が受光部3における反射部32(プリズム)に対して光が通るように接続され、上端部は本体部2(詳しくは光センサ22)に対して光が通るように接続されている。
【0031】
導光部4は、表示灯Sの光を光のまま本体部2に伝達することができる。ところで、光センサを表示灯Sにおいて光が現れる部分に面して設けておき、光センサの検出信号を電気配線で本体部2に導く構成が考えられる。このような構成では、本体部2の外部に露出した電気配線が、工作機械等の装置から生じる電磁波の影響を受けることで前記検出信号にノイズが混入し、検出精度に悪影響を及ぼすことが考えられる。一方、本実施形態の導光部4では、光のまま伝達がなされるため、前記構成のようなノイズ混入は発生しない。また、ノイズ対策を講ずる場合であっても本体部2にだけ講じればよい。このため本実施形態は、簡易な構成でありながら検出精度を保つことができる利点を有する。
【0032】
本実施形態の導光部4において、光ファイバー41の外周面は光の透過を抑制する、樹脂製の被膜42で覆われている。このように被膜42を設けることで、光ファイバー41の内部に外周面から外光が入り込むこと、つまり、本体部2での検出に関係のない光が混入することを抑制できる。よって、検出精度を上げることができる。
【0033】
本体部2は主に、
図7に示すように、光センサ22、処理部23、電源部24、送信部25を備える。光センサ22は、各導光部4から導かれた光を検出する光検出部として機能する。本実施形態の光センサ22は、光を受けることで電気が発生する受光素子として機能するLED221(詳しくはRGB3色LED)と、LED221の発した電流を検出する電流検出IC222とが組み合わされている。この構成により光の検出は常時行われる。なお、光センサ22の構成はこれに限定されるものではなく、種々の構成とすることができる。また、本実施形態では光センサ22の数量は受光部3の数量に一致している。
【0034】
処理部23は、光センサ22の検出結果を処理する。処理部23は、本実施形態では、本体部が備える制御部Cの一構成要素である、マイクロコンピュータ(
図7参照)の一部として設けられている。処理部23では、光センサ22の検出結果をもとに、表示灯Sとしての積層表示灯の各点灯層S1における点灯(継続的な点灯)、点滅(継続的でない点灯)、消灯の各状態を判定する。
【0035】
光検出に関する処理部23での処理につき、
図8に一例を示す。この処理は、低消費電力で動作させるため、後述するスリープ状態では「待受け」をなし、各点灯層S1が点灯状態から消灯状態となる変化、または、消灯状態から点灯状態となる変化(
図8に矢印で示した変化)を割込みで検知し、前記変化があったことのみをカウント(及び記憶)して、スリープ状態になると再び「待受け」に戻る処理である。このように点灯状態に変化がない場合にスリープ状態とすることにより、処理部23の消費電力を節約できる。
【0036】
処理部23では、前記割込みが開始される(
図8では、1秒目(最初の変化であるが、便宜上これも「割込み」とする)、20.5秒目、34秒目)と、当該割込み開始後一定時間(本実施形態では3秒)毎の入力エッジ、つまり、光が点く際の立ち上げ、または、光が消える際の立ち下りの回数をカウントし、カウントされた回数によって点灯、点滅、消灯の3状態を判定している。これにより、一定時間周期での判定を確実に行うことができる。
【0037】
図8の例では、判定期間(3秒間)で立ち上がりが1回あるか、それ以前の判定期間で立ち上がりが1回あって、かつ、立ち下りが0回の時に「点灯状態」と判定する。また、判定期間で立ち上がり、立ち下りが各3回の時に「点滅状態」と判定する。また、判定期間で立ち下がりが1回あるか、それ以前の判定期間で立ち下がりが1回あって、かつ、立ち上りが0回の時に「消灯状態」と判定する。
【0038】
前記3状態の判定結果は、前記一定時間の継続が初回である場合には即時に送信部25を通じて本体部2の外部に発信される。一方、前記3状態の各々が継続されている場合には、前記判定の時点以前の判定期間(3秒間)の状態(点灯、点滅、消灯の各状態)との比較を行い、状態変化があった場合には変化後の状態に係るデータを送信部25が発信し、状態変化が無かった場合には発信自体を行わないような処理としている。送信処理の回数を極力少なくすることで、設備稼働監視装置1の単体としての消費電力を極力小さくできるように構成している。また、光検出とカウント処理を行うための基準時間は、複数のチャンネル(本実施形態では4チャンネル)が設けられた内の最初の1チャンネルの割込み処理に対応させている。
【0039】
以上、処理部23での前記処理については、点灯または消灯の検知のみであれば、遅延なしに即時に送信処理をすることができるが、点滅も検出する必要があることから、本実施形態では、前記処理を行うことで、遅延を最小限にしながら低消費電力動作を実現している。
【0040】
電源部24は、本体部2にて必要な電力を供給する部分であって、少なくとも、処理部23における処理に要する電力を供給する。また、電源部24は、本体部2の外部に露出する太陽電池241(ソーラーパネル)を備える。設備の設置場所は工場内等の室内であることがほとんどであるため、太陽電池241のパネル面積は前記設置場所の明るさに応じて決定される。この構成によると、太陽電池241を設けることで外部電源が不要なため、処理部23における処理に要する電力供給に関し、外部との有線接続が不要となる。よって、表示灯Sを物理的に変形する加工や生産設備側の電源に対する電気配線工事を要さず、表示灯Sに対して「置く」だけで設備稼働監視装置1の設置が可能であるから、取り付けが極めて容易にできる点でメリットが大きい。この電源部24には、太陽電池241が発電した電気を蓄えることのできる蓄電素子242が設けられている。蓄電素子242としては、キャパシタ(コンデンサ)や二次電池が例示できる。また、本実施形態では、太陽電池241の発電電力が不足した場合に備えてボタン電池等の一次電池243も備えている。制御部Cの一構成要素である電源制御回路244は、太陽電池241の電力を監視しており、電力が低下した場合には電力供給元を一次電池243に切り替える。ただし、このように一次電池243を備えた構成とした場合には、ある程度期間経過すると電池交換が必要となるので、電池交換を前提とした電池ケース等を設けておく必要がある。
【0041】
送信部25は、処理部23における処理結果を無線信号によって本体部2の外部に発信する。送信部25は、制御部Cの一構成要素として送信のための制御が行われる送信モジュール251と、電波を発するアンテナ252とを有する。送信モジュール251としては、例えばEnOcean(ドイツEnOcean社の登録商標)の規格に準拠したものを用いることができる(ただしこれに限定されない)。
【0042】
本実施形態の送信部25では、一定周期で電波の発信を行う。ただし、前記一定周期における現在の時点と前の時点とで処理部23が判定した点灯状態(具体的には全ての点灯層S1の点灯状態)に変化がない場合には発信を行わないように設定されている。このように設定されたことにより、送信部25の発信回数を減らすことができるため、送信部25において節電が可能である。
【0043】
なお、前記「一定周期」に関し、制御部C(マイクロコンピュータ)では決まった時間の周期(例えば、
図8に示した3秒周期)でカウントを行っている。ただし本実施形態では、処理部23に関して前述したように、前回の電波の発信後一定のカウント(例えば2カウント(
図8の例では6秒))後、点灯状態に変化が無い場合は一旦スリープ状態となってカウントを行わず、点灯状態に変化があったことをトリガーとしてスリープ状態が解除され、そこから再び前記一定のカウントが開始されるように設定されている。この設定により、前記の場合よりも一定時間当たりでの発信回数を低減できることから、送信部25において更なる節電が可能である。なお、スリープ状態が長くなった場合において、制御部Cの死活監視(故障していないか否かの監視)のために、前記周期よりも更に長い一定周期(特に限定されないが、例えば約15分周期)で送信部25がパケット送信等の電波発信を行うように設定してもよい。更に、表示灯Sが全消灯の状態にあることを条件として、前記パケット送信等の周期が更に長くなるように設定してもよい。
【0044】
送信部25から送信された電波は、設備稼働監視装置1から離れて設けられた受信部(図示しない)で受信され、受信されたデータはパーソナルコンピュータ等にインストールされたソフトウェアにより、状態表示、稼働率等の集計、状態変化や異常の監視等に供することができる。更に、インターネットを利用すると、例えば全国に点在する工場における多数の設備を一括管理し、必要に応じて保全を実施する等、既存設備をIoT化するように発展させることも可能となる。
【0045】
また、本実施形態の設備稼働監視装置1は、本体部2を、表示灯Sの表面から離して配置するスペーサ5を更に備えることも可能である(ただし、スペーサ5は本発明において必須ではなく、備えないこともできる)。このスペーサ5は、本体部2に対して着脱可能に構成されており、必要により本体部2に取り付けて用いる。ここで、例えばスピーカー一体型の表示灯Sが存在する。スピーカーは柱状である上端面から音が出るように、多数の小穴を設ける等して開放されていることがある。このような表示灯Sであっても、スペーサ5により本体部2から浮かせられるので、表示灯Sに対して、スピーカーを塞ぐことなく装着可能であって、スピーカーの機能を低下させることがない。本実施形態では、1対のスペーサ5のうち一方につき、他方に対して間隔を調整できるようにスライドレール6が本体部2の下面に設けられている。
【0046】
以上のように構成された、本実施形態に係る設備稼働監視装置1によると、設備における表示灯Sに対して、電気的改造を加えることなく取り付けることが可能である。このため、設備稼働監視装置1を簡便に取り付けることができるので、設備の稼働状態を監視するシステムを導入することが容易である。また、設備の新設時に限らず、稼働開始後に相当期間経過してから後付けすることも容易にできる。また、設備側の物理的及び電気的な改造は一切不要であるため、設備の所有者においても、監視システムの導入につき抵抗をおぼえることがない。
【0047】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えることができる。
【0048】
例えば、前記実施形態に係る設備稼働監視装置1の装着対象である設備としては、工場における生産設備が一例として挙げられるが、生産の概念に該当しなくても、何らかの処理を行う設備であればよく、特に限定されるものではない。例えば、自動販売機、洗車機、業務用洗濯機、業務用食器洗い機も前記設備に該当する。
【0049】
また、反射部32は、前記実施形態におけるプリズム以外に、板状である鏡であってもよい。
【0050】
また、導光部4は、光ファイバー41以外に、樹脂で形成されたライトパイプであってもよい。
【0051】
また、前記実施形態における導光部4は、1本の光ファイバー41から構成されていた。しかしこれに限られず、表示灯Sの大きさに対応させるため、導光部4を複数の部材(例えば複数本の光ファイバー41)から構成しておき、長手方向に適宜接続することで所望の長さにできるようにしてもよい。また、導光部4が伸縮機構を備え、伸縮させることで所望の長さにできるようにしてもよい。
【0052】
なお、参考例として、太陽電池(前記実施形態の太陽電池241とは別のもの)を表示灯Sにおいて光が現れる部分に面して設けておき、太陽電池と本体部2とを電気配線(ケーブル)で結び、太陽電池に生じた電流を、電気配線を介して本体部2で検知できるように構成することもできる。図示は省略するが、この参考例の形態は、
図1~
図6(a)(b)に示された受光部3が太陽電池に置き換えられ、導光部4が電気配線に置き換えられた形態である。この参考例に係る構成であっても、前記実施形態に係る設備稼働監視装置1と同様の機能を発揮できる。
【符号の説明】
【0053】
1 設備稼働監視装置
2 本体部
21 外装ケース
22 光センサ
23 処理部
24 電源部
241 太陽電池
25 送信部
3 受光部
31 枠部
32 反射部(プリズム)
4 導光部
41 光ファイバー
42 被膜
5 スペーサ
S 表示灯(積層表示灯)