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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-21
(45)【発行日】2023-01-04
(54)【発明の名称】居住者見守りシステム
(51)【国際特許分類】
   G08B 25/04 20060101AFI20221222BHJP
   H04M 9/00 20060101ALI20221222BHJP
   G08B 21/02 20060101ALI20221222BHJP
   H04M 11/00 20060101ALI20221222BHJP
【FI】
G08B25/04 K
H04M9/00 D
G08B21/02
H04M11/00 301
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018120613
(22)【出願日】2018-06-26
(65)【公開番号】P2020003904
(43)【公開日】2020-01-09
【審査請求日】2021-03-10
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000100908
【氏名又は名称】アイホン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136630
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 祐啓
(74)【代理人】
【識別番号】100201514
【弁理士】
【氏名又は名称】玉井 悦
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 元気
【審査官】西巻 正臣
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-275640(JP,A)
【文献】特開2009-033662(JP,A)
【文献】特開2012-248146(JP,A)
【文献】特開2005-218851(JP,A)
【文献】特開2006-085390(JP,A)
【文献】特開2016-162053(JP,A)
【文献】特開2014-107816(JP,A)
【文献】特開2012-181728(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B19/00-31/00
H04M3/00
3/16-3/20
3/38-3/58
7/00-11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
居住者のバイタル情報を収集するセンサと、前記センサと同住宅内に設けられたインターホンの居室親機と、前記居室親機および前記センサとインターネットを介して接続された複数の外部サーバと、前記複数の外部サーバおよび前記センサを中継するクラウドサーバと、を備え、
前記センサは、バイタル異常を検出する異常検出手段と、前記居室親機を識別する識別情報を記憶する識別情報記憶手段を含み、
前記クラウドサーバは、前記センサおよび前記居室親機を接続する前記外部サーバを選択する選択手段を備え、
前記外部サーバは、居住者の住宅の外部にある公共施設に配置され、
前記選択手段は、前記複数の外部サーバの優先度を記憶する優先度記憶手段を含み、
前記優先度は、複数の項目により所定の重みづけがされて算出された総合的な優先度であり、
前記選択手段は、前記優先度に基づいて前記複数の外部サーバのいずれか一つを選択し、
前記居室親機は、居住者が任意の応答を入力するための応答手段を含み、
前記センサは、バイタル異常を検出した場合に、前記識別情報を含むバイタル異常信号を生成し、該バイタル異常信号を前記外部サーバに送信し、前記外部サーバは、前記識別情報に紐づけられた前記居室親機に居住者の安否を確認するメッセージを送信し、前記居室親機は、前記メッセージに対して居住者が前記応答手段を用いて入力した任意の応答を前記外部サーバに送信することを特徴とする居住者見守りシステム。
【請求項2】
前記項目が、前記公共施設の混雑状況と、居住者のかかりつけの施設であるかどうかと、バイタル異常の種別と、を含む、請求項1に記載の居住者見守りシステム。
【請求項3】
前記センサは、バイタル異常を示すバイタル異常情報を設定する異常情報設定手段を含み、
前記センサは、前記バイタル異常情報に基づいてバイタル異常を検出する請求項1または2に記載の居住者見守りシステム。
【請求項4】
前記センサは、バイタル情報を記憶するバイタル情報記憶手段を含み、
前記異常情報設定手段は、前記バイタル情報の平均値に基づいて前記バイタル異常情報を設定する請求項3に記載の居住者見守りシステム。
【請求項5】
前記センサは、前記居住者の関係者等の連絡先情報を記憶する連絡先情報記憶手段を含み、
前記センサは、前記連絡先情報を前記バイタル異常信号に含ませて前記バイタル異常信号を生成し、
前記外部サーバは、前記バイタル異常情報を前記連絡先情報に送信する請求項3または4に記載の居住者見守りシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、居住者のバイタル異常を検出し、インターホンシステムを利用して居住者に安否確認の問い合わせを実施する居住者見守りシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、居住者等の健康管理や介護支援を居室親機を利用して実施するインターホンシステムが提案されている。例えば、特許文献1には、玄関先の人物の様子を解析し、緊急状態と判断した場合には、警報音を出力する居室親機を備えたインターホンシステムが開示されている。また、特許文献2には、生体情報測定機器等から受信した生体情報データを記憶し、記憶したデータを来訪者のICカードに書き込む居室親機を備えたインターホンシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-177934号公報
【文献】特開2016-192674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の技術では、対象者のバイタル異常を一方的に報知するのみで、対象者本人から気分や容体を確認する術がなかった。このため、対象者に必要な対応がわからず、過剰な救援を要請してしまったり、反対に、必要な処置が施されず、手遅れになってしまったりする恐れもあった。一方、居住者の安否確認をするために新たな装置を設けると、コストがかかるという問題もあった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、居住者のバイタル情報等からバイタル異常を検知して居住者に安否確認を実施でき、また、安否確認の際には既存の装置を利用できる居住者見守りシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の居住者見守りシステムは、居住者のバイタル情報を収集するセンサと、センサと同住宅内に設けられたインターホンの居室親機と、居室親機およびセンサとインターネットを介して接続された外部サーバと、を備え、センサは、バイタル異常を検出する異常検出手段と、居室親機を識別する識別情報を記憶する識別情報記憶手段を含み、センサは、バイタル異常を検出した場合に、識別情報を含むバイタル異常信号を生成し、該バイタル異常信号を外部サーバに送信し、外部サーバは、識別情報に紐づけられた居室親機に居住者の安否を確認するメッセージを送信し、居室親機は、メッセージに対する居住者の応答を外部サーバに送信することを特徴とする。
【0007】
本発明の居住者見守りシステムは、さらに、複数の外部サーバと、複数の外部サーバおよびセンサを中継するクラウドサーバと、を備え、クラウドサーバは、センサおよび居室親機を接続する外部サーバを選択する選択手段を備える。ここで、選択手段は、複数の外部サーバの優先度を記憶する優先度記憶手段を含んでいても良い。
【0008】
センサは、バイタル異常を示す情報を設定する異常情報設定手段を含んでいても良い。このとき、センサは、バイタル異常情報に基づいてバイタル異常を検出する。また、センサは、バイタル情報を記憶するバイタル情報記憶手段をさらに含んでいても良い。このとき、異常情報設定手段は、バイタル情報の平均値に基づいてバイタル異常情報を設定する。
【0009】
その他、センサは、居住者の関係者等の連絡先情報を記憶する連絡先情報記憶手段を含んでいても良い。このとき、センサは、連絡先情報をバイタル異常信号に含ませてバイタル異常信号を生成し、外部サーバは、バイタル異常情報を連絡先情報に送信する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の居住者見守りシステムによれば、センサがバイタル異常を検出し、居室親機の識別情報を含むバイタル異常信号を外部サーバに送信し、これを受信した外部サーバから居室親機に居住者の安否を確認するメッセージを送信し、さらに、居室親機から外部サーバへ居住者の応答を送信することとしたため、住宅の外部から居住者の異変を察知し、また、居住者の応答を得ることによって実際の居住者の容体を確認できるという優れた効果を有する。また、外部サーバとの安否確認のやり取りに既存のインターホンの居室親機を用いるため、新たな設備を必要とせず、コストを抑えることができるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態を示す模式図である。
図2】本発明のシステム構成を示すブロック図である。
図3】(a)バイタル情報テーブル、(b)バイタル異常情報テーブルの例を示す表である。
図4】バイタル異常を検出した場合のシステムの動きを示す動作説明図である。
図5】本発明の変形例1を示す模式図である。
図6】変形例1のシステム構成を示すブロック図である。
図7】優先度テーブルの例を示す表である。
図8】本発明の変形例2を示す模式図である。
図9】変形例2のシステム構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に基づいて説明する。図1,2に示すように、本発明の居住者見守りシステム1は、居住者P1のバイタル情報を収集するセンサ2と、インターホンの居室親機3と、センサ2および居室親機3とインターネットNを介して接続された外部サーバ4により構成されている。なお、居住者P1の住宅8は、玄関子機7および居室親機3を含むインターホン(図示略)を備えている。
【0013】
センサ2は、居住者P1のバイタル情報を常時または所定の時間毎に計測して収集する計測部23と、計測したバイタル情報を記憶するバイタル情報記憶部25と、バイタル異常情報を設定する異常情報設定部24と、入力されたバイタル異常情報を記憶する異常情報記憶部25と、バイタル情報とバイタル異常情報を比較してバイタル異常を検出し、バイタル異常信号を生成する異常検出部26と、外部サーバ4へバイタル異常信号を送信する通信IF22と、これらを含むセンサ2全体を制御するCPU21とから構成されている。
【0014】
計測部23は、居住者P1の血圧、脈拍数、呼吸速度、体温、排尿・排便の量や頻度、意識状態、脳波パターン等のバイタル情報(図3(a)参照)を計測しても良く、また、居住者P1を撮影するカメラを含んでも良い。
【0015】
異常情報設定部24は、バイタル異常情報を記憶するバイタル異常情報記憶部(図示しない)を含む。ここで、バイタル異常情報は、各バイタル情報の正常範囲を示す上限閾値と下限閾値等により指定される(図3(b)参照)。また、バイタル異常情報を自動的に設定することも可能である。例えば、バイタル情報記憶部25に保存されたバイタル情報の平均値を算出し、平均値に基づいて異常情報を自動的に設定しても良い。
【0016】
異常検出部26は、例えば、バイタル情報が正常範囲を逸脱した場合等にバイタル異常を検出する。センサ2としてカメラを用いる場合には、居住者P1が所定時間動かない場合や、転倒した場合等にバイタル異常を検出しても良い。センサ2が送信するバイタル異常信号には、バイタル異常を示すステータス情報の他、バイタル情報の種別、異常発生時および正常時のバイタル情報、バイタル異常情報等の他、異常発生時の居住者を撮影した映像等も含めることができる。
【0017】
居室親機3は、居住者P1が来訪者と通話するためのマイク33およびスピーカ34と、玄関子機7のカメラ映像を出力するモニタ35と、外部サーバと通信する通信IF32と、居室親機3を制御するCPU31とから構成されている。また、外部サーバ4から安否確認メッセージを受信した場合には、居住者P1が応答を入力するための応答手段としてマイク33、タッチパネル(モニタ36)、図示しないボタン等を用いることができ、居住者P1が入力した応答情報は、通信IF32を通じて外部サーバに送信される。
【0018】
外部サーバ4は、居住者の住宅8の外部にある医療機関、介護施設等の公共施設6に配置されており、居室親機3とインターネットNを介して通信を行う通信IF42と、受信したバイタル異常信号に基づいて安否確認メッセージを生成するCPU41とから構成されている。なお、安否確認メッセージは、バイタル異常信号の内容を確認した医師や看護師が情報端末等を用いて入力しても良い。安否確認メッセージは、通信IF42から居室親機3に送信される。
【0019】
次に、上記構成の居住者見守りシステム1の動作について、図4に基づいて説明する。まず、センサ2の計測部23が、居住者P1のバイタル情報を取得すると、異常検出部26が、取得したバイタル情報とバイタル異常情報を比較する。このときバイタル異常が検出されると、CPU21は、識別情報記憶部27から居室親機3の識別情報を読み出し、該識別情報を含むバイタル異常信号を生成し、通信IF22,42およびインターネットNを介して医療機関、介護施設等の公共施設に設置された外部サーバ4に向けて送信する。
【0020】
次に、バイタル異常信号を受信した外部サーバ4のCPU41は、バイタル異常信号を読み取り、バイタル異常情報やバイタル情報等に基づいて居住者の安否を確認する安否確認メッセージを生成する。なお、このとき、外部サーバ4に接続された情報端末にバイタル異常情報やバイタル情報等を出力し、医師や看護師等が安否確認メッセージを入力することとしても良い。このあと、外部サーバ4のCPU41は、通信IF42,32およびインターネットNを介して居室親機3に安否確認メッセージを送信する。
【0021】
最後に、安否確認メッセージを受信した居室親機3は、スピーカ34やモニタ35から該メッセージを出力し、居住者の応答を待機する。そして、居住者がマイク33、タッチパネル(モニタ35)、ボタン等を用いて応答を音声、文字、画面選択等により入力すると、居室親機3のCPU31は、通信IF32,42およびインターネットNを介して外部サーバ4に居住者の応答を送信する。
【0022】
以上の構成の居住者見守りシステム1によれば、センサ2により居住者P1のバイタル異常を検出し、バイタル異常を公共施設6に設置された外部サーバ4に送信し、外部サーバ4から居住者P1の住宅8に設けられたインターホンの居室親機3に安否確認を行うため、居住者P1の状態に即した適切かつ細やかな処置を施すことができるという優れた効果を有する。また、居住者P1の住宅8の既存のインターホンを利用するため、別途設備を設ける必要がなく、コストを削減できるという効果も有する。
【0023】
次に、本発明の変形例について、図5,6に基づいて説明する。本変形例では、複数の外部サーバ4(1~n)と、これら複数の外部サーバ4およびセンサ2を中継するクラウドサーバCをさらに備える。クラウドサーバCは、複数の外部サーバ4いずれか一つを選択し、選択した外部サーバ4にセンサ2からのバイタル異常信号を中継するための選択部53と、選択部53を制御するCPU51から構成されている。選択部53は、所定の優先度を記憶した優先度記憶部54を含み、該優先度に基づいて外部サーバ4(1~n)のいずれか一つを選択する。
【0024】
優先度は、図7に示すように、外部サーバ4(1~n)毎に設けられ、例えば、公共施設6(1~n)の混雑状況、居住者P1のかかりつけの施設であるかどうか、バイタル異常の種別等、複数の項目を設けて設定することが可能である。また、選択部53は、優先度の項目毎に所定の重みづけを行い、総合的な優先度を算出し、総合的な優先度に基づいて外部サーバ4を選択することも可能である。あるいは、一つの公共施設6内で、異なる診療科目毎に外部サーバ4を設置し、バイタル異常の内容に応じて優先度を設け、適切な外部サーバ4を選択できるようにしても良い。なお、その他の構成については、前述の実施例と同様であるため省略する。
【0025】
以上の構成の居住者見守りシステム1によれば、複数の公共施設内に各々外部サーバ4を設け、クラウドサーバCを介して各々の外部サーバ4とセンサ2を接続し、クラウドサーバの選択部53によりバイタル異常を中継する外部サーバ4を選択することとしたため、例えば、一の外部サーバ4(1)が対応不可能な場合であっても、他の外部サーバ4(2~n)を呼び出すことができ、迅速に居住者P1に安否確認を実施することができるという効果がある。また、優先度に基づいて選択を行う場合には、居住者P1の所望する医療施設や、バイタル異常の状態に即した適切な外部サーバ4から安否確認を実施することができるという効果もある。
【0026】
本発明のその他の変形例について、図8,9に基づいて説明する。本変形例では、センサ2に、居住者P1の関係者P2の連絡先情報を記憶する連絡先情報記憶部28をさらに備える。バイタル異常が検出されると、センサ2のCPU21は、バイタル異常信号に居住者P1の関係者P2の連絡先情報、例えば、電話番号やメールアドレス等を含めて生成する。バイタル異常信号を受信した外部サーバ4は、情報端末9にバイタル異常情報を送信する。その際、異常情報を理解しやすく表示しても良い。例えば、情報端末9のモニタ(図示略)に画像や映像を表示したり、スピーカ(図示略)からメッセージを出力すること等が考えられる。なお、その他の構成については、実施例と同様であるため省略する。
【0027】
以上の構成の居住者見守りシステム1によれば、外部サーバ4が遠隔地にいる居住者P1の家族等の関係者P2にバイタル異常を通知するため、関係者P2は、遠くから居住者P1を見守ることができるという効果を有する。
【0028】
その他、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、各部の構成を任意に変更して実施することも可能である。
【符号の説明】
【0029】
1 居住者見守りシステム
2 センサ
3 居室親機
4 外部サーバ
5 インターネット
6 公共施設
7 玄関子機
8 居住者の住宅
9 情報端末
21,31,41,51 CPU
22,32,42,52 通信IF
23 計測部
24 異常情報設定部
25 バイタル情報記憶部
26 異常検出部
27 識別情報記憶部
28 連絡先情報記憶部
33 マイク
34 スピーカ
35 モニタ
53 選択部
54 優先度記憶部
C クラウドサーバ
N ネットワーク
P1 居住者
P2 居住者の関係者
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9