(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-21
(45)【発行日】2023-01-04
(54)【発明の名称】車両の電源供給システム及びそれを制御する方法
(51)【国際特許分類】
B60L 1/00 20060101AFI20221222BHJP
B60L 9/18 20060101ALI20221222BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20221222BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20221222BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20221222BHJP
H02J 7/10 20060101ALI20221222BHJP
【FI】
B60L1/00 L
B60L9/18 P
B60L50/60
B60R16/02 645Z
H02J7/00 302A
H02J7/00 P
H02J7/10 P
(21)【出願番号】P 2018149682
(22)【出願日】2018-08-08
【審査請求日】2021-03-11
(31)【優先権主張番号】10-2018-0026313
(32)【優先日】2018-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(73)【特許権者】
【識別番号】500518050
【氏名又は名称】起亞株式会社
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100124372
【氏名又は名称】山ノ井 傑
(72)【発明者】
【氏名】キム、ユ、ソク
(72)【発明者】
【氏名】チェ、ジェ、フン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ソク、ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】パク、ジン、ホ
【審査官】篠原 将之
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-204983(JP,A)
【文献】特開2008-005622(JP,A)
【文献】特開2010-284064(JP,A)
【文献】特開2013-062907(JP,A)
【文献】特開2013-188102(JP,A)
【文献】特開2016-130106(JP,A)
【文献】特開2016-135010(JP,A)
【文献】国際公開第2013/132604(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0130671(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 1/00 - 3/12
B60L 7/00 - 13/00
B60L 15/00 - 58/40
B60R 16/02
H02J 7/00
H02J 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電
力を貯蔵する高電圧バッテリーと、
前記高電圧バッテリーと電装負荷との間に設けられたパワーリレーと、
前記パワーリレーを介して前記高電圧バッテリーから電源の供給を受ける第1コンバータと、
前記パワーリレーをバイパスして前記高電圧バッテリーから直接電源の供給を受ける第2コンバータと、
前記第1コンバータ及び前記第2コンバータのうちの少なくとも一つから電源の供給を受ける電装負荷と、
車両の始動状態に基づいて前記パワーリレー、前記第1コンバータまたは前記第2コンバータの作動を制御するコントローラと、
前記第2コンバータと前記電装負荷との間に位置し、前記第2コンバータから供給する
電力を貯蔵する
電力貯蔵装置を含み、
前記電力貯蔵装置は、キャパシタ、スーパーキャパシタまたは電気二重層キャパシタである、車両の電源供給システム。
【請求項2】
前記パワーリレーと前記第1コンバータとの間から分岐して前記パワーリレーを介して前記高電圧バッテリーから電源の供給を受けるモーターをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の車両の電源供給システム。
【請求項3】
前記第1コンバータの電力変換容量は前記第2コンバータの電力変換容量よりも大きいことを特徴とする、請求項1に記載の車両の電源供給システム。
【請求項4】
前記コントローラは、車両の始動がオン状態である場合には、前記パワーリレーを接続して前記高電圧バッテリーの電源が前記第1コンバータへ供給されるように制御することを特徴とする、請求項1に記載の車両の電源供給システム。
【請求項5】
前記コントローラは、前記パワーリレーが接続された状態で前記第1コンバータの故障が感知された場合、前記第1コンバータの作動を停止するように制御することを特徴とする、請求項4に記載の車両の電源供給システム。
【請求項6】
前記コントローラは、車両の始動がオフ状態である場合には、前記パワーリレーの接続を遮断して、前記第1コンバータへ供給される前記高電圧バッテリーの電源を遮断するように制御することを特徴とする、請求項1に記載の車両の電源供給システム。
【請求項7】
前記コントローラは、車両の始動がオフ状態である場合には、前記
電力貯蔵装置の充電状態に基づいて前記第2コンバータの作動を制御することを特徴とする、請求項1に記載の車両の電源供給システム。
【請求項8】
前記第2コンバータと前記電装負荷との間に位置し、前記第2コンバータから前記電装負荷へ供給する電源を接続または遮断する補助リレーをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の車両の電源供給システム。
【請求項9】
前記コントローラは、車両の始動がオフ状態である場合には、前記高電圧バッテリーの放電可能性を判断し、判断した放電可能性に基づいて前記補助リレーの作動を制御することを特徴とする、請求項8に記載の車両の電源供給システム。
【請求項10】
前記補助リレーは、車両の手動キーが回転することにより接続され、前記第2コンバータから前記電装負荷へ供給する電源を接続することを特徴とする、請求項8に記載の車両の電源供給システム。
【請求項11】
請求項1に記載の電源供給システムを制御する方法であって、
コントローラが車両の始動状態を判断する段階と、
車両の始動がオン状態である場合には、前記コントローラがパワーリレーを接続して高電圧バッテリーの電源が第1コンバータへ供給されるように制御し、車両の始動がオフ状態である場合には、前記コントローラが前記パワーリレーを遮断して前記高電圧バッテリーの電源が前記第1コンバータへ供給されないように制御する段階とを含んでなる、車両の電源供給システムの制御方法。
【請求項12】
前記コントローラが前記パワーリレーを接続または遮断する段階の後に、前記パワーリレーが接続された場合、前記コントローラが前記第1コンバータの故障を感知する段階と、
前記第1コンバータが故障した場合には、前記コントローラが前記第1コンバータの作動を停止するように制御する段階とをさらに含むことを特徴とする、請求項11に記載の車両の電源供給システムの制御方法。
【請求項13】
前記コントローラが前記パワーリレーを接続または遮断する段階では、前記コントローラは、車両の始動状態に関係なく、第2コンバータを作動し続けるように制御することを特徴とする、請求項11に記載の車両の電源供給システムの制御方法。
【請求項14】
請求項1に記載の電源供給システムを制御する方法であって、
コントローラが車両の始動状態を判断する段階と、
車両の始動がオン状態である場合には、前記コントローラがパワーリレーを接続して高電圧バッテリーの電源が第1コンバータへ供給されるように制御し、車両の始動がオフ状態である場合には、前記コントローラが前記パワーリレーを遮断して前記高電圧バッテリーの電源が前記第1コンバータへ供給されないように制御する段階と、
車両の始動がオフ状態である場合には、前記コントローラは
電力貯蔵装置の充電状態を感知し、感知した充電状態に基づいて第2コンバータの作動を制御する段階とを含んでなる、車両の電源供給システムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の電源供給システム及びそれを制御する方法に係り、具体的には、低電圧バッテリーを取り除き、高電圧バッテリーの電源を用いて車両の電源を供給するシステム及びこれを制御する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、化石燃料を燃料として用いる内燃機関自動車は、排気ガスによる環境汚染、二酸化炭素による地球温暖化、オゾン生成などによる呼吸器疾患誘発などの問題点を有する。
【0003】
かかる問題点を解決するために、電気モーターで走行する純粋な電気自動車(EV)、エンジンと電気モーターで走行するハイブリッド車(HEV)、燃料電池を利用した発電によって電気モーターを駆動させて走行する燃料電池車(FCEV)などの様々なエコカーの開発が盛んに行われている。
【0004】
特に、このようなエコカーには、電源変換装置などを含む電源供給システムが搭載される。
図1は従来技術に係る電源供給システムの構成図である。
図1を参照すると、従来技術に係る電源供給システムは、高電圧バッテリー10と低電圧バッテリー50(12V BAT)を別途含む。
【0005】
低電圧バッテリー50(12V BAT)は、車両の始動オフ(Off)状態で電装負荷30に電源を供給し、車両の始動がオン(On)になるとき、コントローラ(図示せず)がパワーリレー20(PRA)をオンにするようにコントローラ(図示せず)へ電源を供給することにより、高電圧バッテリー10の電源がモーター60に供給されるようにする。モーター60は、パワーリレー20(PRA)がオンになることにより、高電圧バッテリー10の電源の供給を受けてエンジン61をクランキングする。
【0006】
車両の始動オン(On)状態では、高電圧バッテリー10の電源がコンバータ40(LDC)の電源変換を経て電装負荷30に供給される。つまり、車両の始動オン状態では高電圧バッテリー10の電源が電装負荷30に供給されるが、車両の始動オフ(Off)状態では低電圧バッテリー50の電源が電装負荷30に供給される。
【0007】
したがって、エコカーでは、高電圧(60V以上)の電源を供給する高電圧バッテリー10、及び低電圧(12V)の電源を供給する低電圧バッテリー50の2つのバッテリーを併用する。また、低電圧バッテリー50の充電量が足りない場合には、高電圧バッテリー10の電源をコンバータ40(LDC)を介して電圧変換して低電圧バッテリー50を充電させる。
【0008】
但し、車両に高電圧バッテリー以外にさらに低電圧バッテリーが搭載されなければならないことにより、追加の費用及びスペースを必要とした。また、車両の始動オフ状態で低電圧バッテリーが放電する場合には、外部の電源を供給しなくては車両の始動が不可能であるという問題点があった。
【0009】
前述の背景技術として説明された事項は、本発明の背景に対する理解増進のためのものに過ぎず、当該技術分野における通常の知識を有する者に既に知られている従来技術に該当することを認めるものと受け入れられてはならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】韓国特許登録第10-1500080号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、かかる問題点を解決するためになされたもので、その目的は、車両に低電圧バッテリーを搭載せず、高電圧バッテリーのみを利用して車両に電源を供給する、車両の電源供給システム及びそれを制御する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するための本発明のある観点によれば、電源を貯蔵する高電圧バッテリーと、高電圧バッテリーと電装負荷との間に設けられたパワーリレーと、パワーリレーを介して高電圧バッテリーから電源の供給を受ける第1コンバータと、パワーリレーをバイパスして高電圧バッテリーから直接電源の供給を受ける第2コンバータと、第1コンバータ及び第2コンバータのうちの少なくとも一つから電源の供給を受ける電装負荷と、車両の始動状態に基づいてパワーリレー、第1コンバータまたは第2コンバータの作動を制御するコントローラとを含んでなる、車両の電源供給システムを提供する。
【0013】
パワーリレーと第1コンバータとの間から分岐してパワーリレーを介して高電圧バッテリーから電源の供給を受けるモーターをさらに含むことができる。
【0014】
第1コンバータの電力変換容量は第2コンバータの電力変換容量より大きくてもよい。
【0015】
コントローラは、車両の始動がオン状態である場合には、パワーリレーを接続して高電圧バッテリーの電源が第1コンバータへ供給されるように制御することができる。
【0016】
コントローラは、パワーリレーが接続された状態で第1コンバータの故障が感知された場合には、第1コンバータの作動を停止するように制御することができる。
【0017】
コントローラは、車両の始動がオフ状態である場合には、パワーリレーの接続を遮断して、第1コンバータへ供給される高電圧バッテリーの電源を遮断するように制御することができる。
【0018】
第2コンバータと電装負荷との間に位置し、第2コンバータから供給する電源を貯蔵する電源貯蔵装置をさらに含むことができる。
【0019】
コントローラは、車両の始動がオフ状態である場合には、電源貯蔵装置の充電状態に基づいて第2コンバータの作動を制御することができる。
【0020】
第2コンバータと電装負荷との間に位置し、第2コンバータから電装負荷へ供給する電源を接続または遮断する補助リレーをさらに含むことができる。
【0021】
コントローラは、車両の始動がオフ状態である場合には、高電圧バッテリーの放電可能性を判断し、判断した放電可能性に基づいて補助リレーの作動を制御することができる。
【0022】
補助リレーは、車両の手動キーが回転することにより接続され、第2コンバータから電装負荷へ供給する電源を接続することができる。
【0023】
上記の目的を達成するための本発明の他の観点によれば、コントローラが車両の始動状態を判断する段階と、車両の始動がオン状態である場合には、コントローラがパワーリレーを接続して高電圧バッテリーの電源が第1コンバータへ供給されるように制御し、車両の始動がオフ状態である場合には、コントローラがパワーリレーを遮断して高電圧バッテリーの電源が第1コンバータへ供給されないように制御する段階とを含んでなる、車両の電源供給システムの制御方法を提供する。
【0024】
コントローラがパワーリレーを接続または遮断する段階の後に、パワーリレーが接続された場合には、コントローラが第1コンバータの故障を感知する段階と、第1コンバータが故障した場合には、コントローラが第1コンバータの作動を停止するように制御する段階とをさらに含むことができる。
【0025】
コントローラがパワーリレーを接続または遮断する段階では、コントローラは、車両の始動状態に関係なく、第2コンバータを作動し続けるように制御することができる。
【0026】
上記の目的を達成するための本発明の別の観点によれば、コントローラが車両の始動状態を判断する段階と、車両の始動がオン状態である場合には、コントローラがパワーリレーを接続して高電圧バッテリーの電源が第1コンバータへ供給されるように制御し、車両の始動がオフ状態である場合には、コントローラがパワーリレーを遮断して高電圧バッテリーの電源が第1コンバータへ供給されないように制御する段階と、車両の始動がオフ状態である場合には、コントローラは電源貯蔵装置の充電状態を感知し、感知した充電状態に基づいて第2コンバータの作動を制御する段階とを含んでなる、車両の電源供給システムの制御方法を提供する。
【発明の効果】
【0027】
本発明の車両の電源供給システム及びその制御方法によれば、低電圧バッテリーの構成を含まないことにより、原価及び車両の重量が減少するという効果を持つ。
【0028】
また、本発明によれば、電装負荷の必要電力に応じて第1コンバータと第2コンバータを選択して使用することができるため、全体的な電源供給システムのコンバート効率が向上するという効果を持つ。
【0029】
また、本発明によれば、第1コンバータの故障の際に、第2コンバータを利用したフェイルセーフ(Fail-Safe)制御が可能であるという効果を持つ。
【0030】
また、本発明によれば、電力貯蔵装置の追加によって第2コンバータが間欠的に動作して第2コンバータの発熱電力及び損失電力を最小化するという効果を持つ。
【0031】
また、本発明によれば、補助リレーの追加によって、暗電流により高電圧バッテリーが放電する状況を防止することができるという効果を持つ。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】従来技術に係る車両の電源供給システムの構成図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る車両の電源供給システムの構成図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る車両の電源供給システムの構成図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る車両の電源供給システムの構成図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る車両の電源供給システムの制御方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本明細書または出願に開示されている本発明の実施態様についての特定の構造的または機能的説明は、単に本発明に係る実施態様を説明するために例示されたものに過ぎない。本発明に係る実施態様は、様々な形態で実施でき、本明細書または出願に説明された実施態様に限定されるものではない。
【0034】
本発明に係る実施態様は、多様な変更を加えることができ、種々の形態を有することができるので、特定の実施態様を図面に例示して本明細書または出願に詳細に説明する。しかし、これは本発明の概念による実施様態を特定の開示形態に限定しようとするものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるすべての変更、均等物または代替物を含むと理解されるべきである。
【0035】
本明細書において、「第1」及び/又は「第2」などの用語は多様な構成要素の説明に使用できるが、これらの構成要素はこれらの用語によって限定されてはならない。前記用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的のみで使われる。例えば、本発明の概念による権利範囲から逸脱することなく、第1構成要素は第2構成要素と命名でき、同様に第2構成要素も第1構成要素と命名できる。
【0036】
ある構成要素が他の構成要素に「連結されて」いる或いは「接続されて」いると言及された場合には、該他の構成要素に直接連結または接続されていることもあるが、それらの間に別の構成要素が介在することもあると理解されるべきである。一方、ある構成要素が他の構成要素に「直接連結されて」いる或いは「直接接続されて」いると言及された場合には、それらの間に別の構成要素が介在しないと理解されるべきである。構成要素間の関係を説明する他の表現、すなわち「~間に」と「すぐに~間に」または「~に隣り合う」と「~に直接隣り合う」等も同様に解釈されるべきである。
【0037】
本明細書で使用した用語は、単に特定の実施態様を説明するためのもので、本発明を限定するものではない。単数の表現は、文脈上明白に異なる意味ではない限り、複数の表現を含む。本明細書において、「含む」または「有する」などの用語は、説示された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部分品またはこれらの組み合わせが存在することを指定しようとするもので、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部分品またはこれらの組み合わせの存在または付加の可能性を予め排除しないものと理解されるべきである。
【0038】
また、別に定義しない限り、技術的或いは科学的用語を含んで、ここで使用される全ての用語は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば一般に理解されるのと同一の意味を有する。 一般に使用される辞典に定義されているような用語は、関連技術の文脈上において有する意味と一致する意味であると解釈されるべきであり、本明細書において明白に定義しない限りは、理想的または過度に形式的な意味で解釈されない。
【0039】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施形態を説明することにより本発明を詳細に説明する。各図面に提示された同一の参照符号は同一の部材を示す。
【0040】
図2は本発明の一実施形態に係る車両の電源供給システムの構成図である。
【0041】
図2を参照すると、本発明の一実施形態に係る車両の電源供給システムは、電源を貯蔵する高電圧バッテリー10と、高電圧バッテリー10と電装負荷30との間に設けられたパワーリレー20と、パワーリレー20を介して高電圧バッテリー10から電源の供給を受ける第1コンバータ70と、パワーリレー20をバイパスして高電圧バッテリー10から直接電源の供給を受ける第2コンバータ80と、第1コンバータ70及び第2コンバータ80のうちの少なくとも一つから電源の供給を受ける電装負荷30と、車両の始動状態に基づいてパワーリレー20、第1コンバータ70または第2コンバータ80の作動を制御するコントローラ90とを含んでなる。
【0042】
高電圧バッテリー10は、充電された電源を貯蔵するバッテリーであって、60V以上の高電圧を供給することができる。高電圧バッテリー10は電装負荷30に接続できる。電装負荷30は第1コンバータ70及び第2コンバータ80のうちの少なくとも一つから電源供給を受けることができる。
【0043】
パワーリレー20(PRA、Power Relay Assembly)は、車両の始動状態に応じて制御されるリレーであって、車両の始動オフ状態ではオフになった状態に維持され、車両の始動をオンにするときに接続されるリレーである。車両の始動のためにパワーリレー20をオンにする制御装置(図示せず)が電装負荷30に含まれ得る。制御装置(図示せず)は、別途に電装負荷30に接続され、車両の始動オフ状態で第2コンバータ80から供給を受けた電源でパワーリレー20をオンにすることができる。
【0044】
電装負荷30は、約12Vの低電圧電源で作動することができる。このために、高電圧バッテリー10から供給された電源が第1コンバータ70または第2コンバータ80を介して低電圧に変換(Converting)されて電装負荷30へ供給できる。
【0045】
第1コンバータ70は、パワーリレー20を介して高電圧バッテリーから電源の供給を受け、電装負荷30へ電源を供給することができる。第2コンバータ80は、パワーリレー20をバイパスして高電圧バッテリー10から直接電源の供給を受け、電装負荷30へ電源を供給することができる。すなわち、第2コンバータ80は常時動作し、第1コンバータ70はパワーリレー20がオンになった場合にのみ動作することができる。よって、低電圧バッテリーの構成を含まない車両の電源供給システムであって、低電圧バッテリーの構成を取り除くことにより原価及び重量を減少させながら、低電圧の電源を要求する電装負荷30へ電源を供給することができるという効果を持つ。
【0046】
第1コンバータ70の電力変換容量は第2コンバータ80の電力変換容量よりも大きいことができる。すなわち、第1コンバータ70は、車両の始動オン状態で電装負荷30に十分な電力を供給するためにキロワット(kW)級の大きな電力変換容量を持つことができ、車両の始動オフ状態では相対的に低い電力が必要なので、第2コンバータ80は、始動オフ状態の暗電流及び待機電力を供給するためのワット(W)級の小さな電力変換容量を持つことができる。第2コンバータ80は、相対的に少ない電力変換容量及び低コストのコンバータを用いることができる。
【0047】
一般に、コンバータは、低電流領域で低いコンバート効率を持つ。よって、電装負荷30に多量の電源が必要な始動オン状態では第1コンバータ70を用いて電源を供給し、電装負荷30に少量の電源が必要な始動オフ状態では第2コンバータ80を用いて電源を供給する構成によって、全体システムのコンバート効率を高めることができるという効果を持つ。
【0048】
また、第1コンバータ70と第2コンバータ80は、別個に分割された2つのコンバータからなるものに限定されるのではなく、一つのハウジング内部で回路的にのみ分割されて形成できる。特に、一つのハウジングを有するコンバータを複数の回路に分割し、電装負荷30の必要電力量に応じて、分割した複数の回路の中から作動させる回路を選択することができる。つまり、必要電力量が多いほど多くの回路を作動させて大きな電力変換容量を耐えるようにすることができ、必要電力量が少ないほど少ない数の回路を作動させてコンバート効率を高めることができる。
【0049】
パワーリレー20と第1コンバータ70との間から分岐してパワーリレー20を介して高電圧バッテリー10から電力の供給を受けるモーター60をさらに含むことができる。モーター60は、パワーリレー20がオンになった場合、高電圧バッテリー10の電力供給を受けることができる。モーター60とパワーリレー20との間にはインバータがさらに含まれ得る。モーター60は、電気モーター60であって、車両を駆動することができ、車両の始動の際にエンジン61をクランキング(Cranking)することができる。
【0050】
コントローラ90は、バッテリー管理システム(BMS:Battery Management System)またはエネルギー管理システム(EMS:Energy Management System)に含まれているコントローラ90であってもよく、上位コントローラ90であるECU(Electronic Control Unit)などであってもよい。
【0051】
コントローラ90は、車両の始動状態に基づいてパワーリレー20、第1コンバータ70または第2コンバータ80の作動を制御することができる。具体的には、コントローラ90は、車両の始動がオン状態である場合には、パワーリレー20を接続して高電圧バッテリー10の電力が第1コンバータ70へ供給されるように制御することができる。逆に、コントローラ90は、車両の始動がオフ状態である場合には、パワーリレー20の接続を遮断して、第1コンバータ70へ供給される高電圧バッテリー10の電力を遮断するように制御することができる。
【0052】
コントローラ90は、第2コンバータ80が常に作動するように制御することができる。すなわち、車両の始動オン/オフに関係なく引き続き作動させることができる。または、コントローラ90は、第2コンバータ80を車両の始動オフ時にのみ作動させ、車両の始動がオン状態である場合には、第1コンバータ70が作動するので第2コンバータ80の作動を停止するように制御することができる。
【0053】
コントローラ90は、第1コンバータ70も常に作動するように制御することができる。または、コントローラ90は、第1コンバータ70をパワーリレー20と一緒に制御して、パワーリレー20が接続されるときに第1コンバータ70を作動させ、パワーリレー20の接続を遮断するときに第1コンバータの作動を停止するように制御することができる。
【0054】
コントローラ90は、パワーリレー20が接続された状態で第1コンバータ70の故障が感知された場合には、第1コンバータ70の作動を停止するように制御することができる。第1コンバータ70の電力変換が正常でないか、危険なレベルの発熱が発生するなど、第1コンバータ70を作動させるには問題があると判断される場合には、第1コンバータ70が故障したと判断して第1コンバータ70の作動を停止することができる。この場合、第1コンバータ70の作動を停止すると、第2コンバータ80を用いて電装負荷に最小限の電源を供給して車両を安全な場所まで移動させることができるように制御することができる。したがって、第1コンバータ70の故障の際に、第2コンバータ80を用いたフェイルセーフ(Fail-Safe)制御が可能であるという効果を持つ。
【0055】
図3は本発明の他の実施形態に係る車両の電源供給システムの構成図である。
【0056】
図3を参照すると、本発明の他の実施形態に係る車両の電源供給システムは、第2コンバータ80と電装負荷30との間に位置し、第2コンバータ80から供給する電力を貯蔵する電力貯蔵装置81をさらに含むことができる。
【0057】
電力貯蔵装置81は、キャパシタ(Capacitor)、スーパーキャパシタ(Super Capacitor)または電気二重層キャパシタ(EDLC:Electrical Double Layer Capacitor)などの電気エネルギーを貯蔵することができる装置であり得る。電力貯蔵装置81は、第2コンバータ80から供給する電力を貯蔵することができ、第2コンバータ80の作動が停止すると、放電しながら電装負荷30に電力を供給することができる。電力貯蔵装置81は、従来の低電圧バッテリーよりも充電容量が少なく、価格が安い。このような構成により、第2コンバータ80の作動が停止した状態で電装負荷30に電力を供給することができる。
【0058】
特に、コントローラ90は、車両の始動がオフ状態である場合、電力貯蔵装置81の充電状態に基づいて第2コンバータ80の作動を制御することができる。電力貯蔵装置81は、少量のエネルギーを貯蔵するものなので、車両の始動オフ状態で電装負荷30が暗電流(10mA)のみを必要とする場合に電力貯蔵装置81が放電しながら電装負荷30に電源を供給することができる。
【0059】
このとき、コントローラ90は、電力貯蔵装置81の充電状態を監視し、監視した電力貯蔵装置81の充電状態に基づいて第2コンバータ80を制御することができる。具体的には、電力貯蔵装置81の充電装置が所定の充電量を超える場合には、第2コンバータ80の動作を停止することができ、電力貯蔵装置81の充電状態が所定の充電量以下である場合にのみ、第2コンバータ80を動作させて電力貯蔵装置81を充電することができる。これにより、第2コンバータ80が間欠的に動作することにより、第2コンバータ80内のスイッチングによる発熱及び損失電力を最小化することができるという効果を持つ。
【0060】
図4は本発明の別の実施形態に係る車両の電源供給システムの構成図である。
【0061】
図4を参照すると、本発明の別の実施形態に係る車両の電源供給システムは、第2コンバータ80と電装負荷30との間に位置し、第2コンバータ80から電装負荷30へ供給する電力を接続または遮断する補助リレー82をさらに含むことができる。
【0062】
車両の始動オフ状態が長時間維持されるなど、暗電流が過多に消費される場合には、高電圧バッテリー10が放電するおそれがあるという問題が発生しうる。このため、補助リレー82は、第2コンバータ80から電装負荷30へ供給する電力を接続または遮断することができる。補助リレー82は、第2コンバータ80の内部に含まれて電装負荷30への電源供給を遮断することができる。
【0063】
特に、コントローラ90は、車両の始動がオフ状態である場合には、高電圧バッテリー10の放電可能性を判断し、判断した放電可能性に基づいて補助リレー82の作動を制御することができる。高電圧バッテリー10の放電可能性は、車両の始動オフ維持時間が所定の時間以上であるか否かによって判断するか、或いは高電圧バッテリー10の充電量(SOC)を監視し、監視した高電圧バッテリー10の充電量によって判断することができる。
【0064】
コントローラ90は、高電圧バッテリー10の放電可能性が高いと判断されると、補助リレー82が第2コンバータ80から電装負荷30へ供給する電力を遮断するように制御することができる。これにより、暗電流により高電圧バッテリー10が放電する状況を回避することができるという効果を持つ。
【0065】
また、補助リレー82は、車両の手動キーが回転することにより接続され、第2コンバータ80から電装負荷30へ供給する電力を接続することができる。具体的には、車両の手動キーにはピニオンギアが形成され、ピニオンギアの回転運動によって直線運動するラックギアをピニオンギアに接続することができ、ラックギアの直線運動によって補助リレー82を接続することができる。補助リレー82は、ラッチタイプであって、ラックギアの直線運動によって接続されると、ラックギアが再び元の位置に戻っても、接続された状態を維持することができる。
【0066】
つまり、補助リレー82は、車両の手動キーが回転することにより接続され、これにより、第2コンバータ80から電装負荷30へ供給する電力を接続することができる。車両の手動キーは、車両の運転席ドア(Door)のロックを解除するキーホルダーであるか、或いは始動のためのキーホルダーである。
【0067】
高電圧バッテリー10の放電可能性の判断によって補助リレー82が遮断された場合には、電装負荷30は電源の供給を受けないもので、車両を始動させることができない。よって、運転者が車両に進入するための手動キーの回転動作のみで車両の始動ができるように電装負荷30に低電圧電源を供給する効果を持つ。
【0068】
図5は本発明の一実施形態に係る車両の電源供給システムの制御方法のフローチャートである。
【0069】
図5を再び参照すると、本発明の一実施形態に係る車両の電源供給システムの制御方法は、コントローラ90が車両の始動状態を判断する段階(S100)と、車両の始動がオン状態である場合には、コントローラ90がパワーリレー20を接続して、高電圧バッテリー10の電力が第1コンバータ70へ供給されるように制御し、車両の始動がオフ状態である場合には、コントローラ90がパワーリレー20を遮断して、高電圧バッテリー10の電力が第1コンバータ70へ供給されないように制御する段階(S200)とを含むことができる。
【0070】
コントローラ90がパワーリレー20を接続または遮断する段階は、具体的には、車両の始動がオン状態である場合には、コントローラ90がパワーリレー20を接続し(S210)、車両の始動がオフ状態である場合には、コントローラ90がパワーリレー20を遮断(S220)するように制御することができる。
【0071】
コントローラ90がパワーリレー20を接続または遮断する段階の後に、パワーリレー20が接続された場合、コントローラ90が第1コンバータ70の故障を感知する段階(S300)と、第1コンバータ70が故障した場合、コントローラ90が第1コンバータ70の作動を停止するように制御する段階(S400)とをさらに含むことができる。この場合には、第1コンバータ70の作動を停止し、第2コンバータ80で最小限の電源を電装負荷に供給して安全な場所へ車両をフェイルセーフ(FAIL-SAFE)制御することができる。
【0072】
コントローラ90がパワーリレー20を接続または遮断する段階(S200)では、コントローラ90は、車両の始動状態に関係なく、第2コンバータ80を作動し続けるように制御することができる。つまり、車両の始動状態がオン状態であるときとオフ状態であるときの両方とも、第2コンバータ80を作動し続けるように制御することができる(図示せず)。
【0073】
または、コントローラ90がパワーリレー20を接続または遮断する段階(S200)の後に、車両の始動がオフ状態である場合、コントローラ90は、電力貯蔵装置81の充電状態を感知し(S500)、感知した充電状態に基づいて第2コンバータ80の作動を制御する段階(S600)をさらに含むことができる。すなわち、
図3に示した実施形態の電力貯蔵装置81の充電状態を感知し(S500)、感知した電力貯蔵装置81の充電状態に応じて第2コンバータ80を作動または停止するように制御することができる(S600)。
【0074】
つまり、電力貯蔵装置81の充電状態を感知し(S500)、電力貯蔵装置81の充電量が所定の充電量以上である場合には、第2コンバータ80の作動をオフにすることができ、電力貯蔵装置81の充電量が所定の充電量未満である場合には、第2コンバータ80を再び作動させて電力貯蔵装置81を充電しながら電装負荷30に電源を供給するように制御することができる。
【0075】
また、コントローラ90は、車両の始動がオフ状態である場合には、高電圧バッテリー10の放電可能性を判断し、判断した放電可能性に基づいて補助リレー82の作動を制御することができる。
図4に示した実施形態の補助リレー82をコントローラ90が制御して、高電圧バッテリー10の放電可能性が高い場合には補助リレー82を遮断することができる。
【0076】
つまり、高電圧バッテリー10の充電量を監視したり車両の始動オフ持続時間を確認したりして高電圧バッテリー10の放電可能性を判断することができ、これに基づいて高電圧バッテリー10の放電可能性が高い場合には補助リレー82を遮断するように制御することができる。
【0077】
本発明の特定の実施形態について図示及び説明したが、以下の特許請求の範囲によって提供される本発明の技術的思想から外れない範囲内で、本発明に多様な改良及び変更を加え得るのは、当業分野における通常の知識を有する者にとっては自明である。
【符号の説明】
【0078】
10 高電圧バッテリー
20 パワーリレー(PRA)
30 電装負荷
40 コンバータ
50 低電圧バッテリー
60 モーター
61 エンジン
70 第1コンバータ
80 第2コンバータ
81 電力貯蔵装置
82 補助リレー
90 コントローラ