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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-21
(45)【発行日】2023-01-04
(54)【発明の名称】変速操作装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 20/02 20060101AFI20221222BHJP
【FI】
B60K20/02 A
B60K20/02 E
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018157227
(22)【出願日】2018-08-24
(65)【公開番号】P2020029227
(43)【公開日】2020-02-27
【審査請求日】2021-07-01
(73)【特許権者】
【識別番号】391064005
【氏名又は名称】株式会社アツミテック
(74)【代理人】
【識別番号】100095614
【弁理士】
【氏名又は名称】越川 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】松原 伸幸
(72)【発明者】
【氏名】村木 周二
【審査官】増岡 亘
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第0748961(EP,A1)
【文献】特開2007-308082(JP,A)
【文献】特開2010-83449(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 20/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回動操作によって車両の変速機を操作可能な操作レバーと、
前記操作レバーに取り付けられ、当該操作レバーの長手方向に摺動可能な摺動部材と、
前記摺動部材を初期位置に向かって付勢する付勢手段と、
前記操作レバーが回動可能に取り付けられるブラケットと、
前記操作レバー及び摺動部材の何れか一方に形成され、当該操作レバー及び摺動部材の他方に対して当接する当接部と、
を備えた変速操作装置であって、
前記当接部は、
前記操作レバー又は摺動部材に接触した接触部と、
所定位置に前記接触部が形成されるとともに、弾性変形した状態で前記摺動部材の摺動方向に延設されたアーム状の延設部と、
を具備し、前記操作レバーに対して前記摺動部材が摺動する際、前記接触部の接触圧が一定に維持されることを特徴とする変速操作装置。
【請求項2】
前記当接部は、前記操作レバー及び摺動部材の何れか一方の周方向に複数形成され、前記操作レバーに対して前記摺動部材が回転した際、前記延設部の全体の弾性変形量を保持し得ることを特徴とする請求項1記載の変速操作装置。
【請求項3】
前記操作レバー又は摺動部材は、前記摺動部材の摺動を案内する案内部材を有するとともに、前記案内部材は、前記操作レバーに対する前記摺動部材の摺動過程において前記接触部を摺動させる摺動面が形成されたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の変速操作装置。
【請求項4】
前記案内部材は、前記操作レバーに対する前記摺動部材の回転を規制することを特徴とする請求項3記載の変速操作装置。
【請求項5】
前記摺動部材は、樹脂製の成形品から成り、前記当接部が一体形成されたことを特徴とする請求項1~4の何れか1つに記載の変速操作装置。
【請求項6】
前記摺動部材の一端側に前記付勢手段が配設されるとともに、他端側に当接部が形成されたことを特徴とする請求項1~5の何れか1つに記載の変速操作装置。
【請求項7】
請求項1~6の何れか1つの変速操作装置を搭載した自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の変速機を操作し得る変速操作装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載される変速機(トランスミッション)を変速操作するための変速操作装置は、通常、回動操作可能な操作レバーを有しており、運転者が当該操作レバーを把持しつつ所望位置まで回動させることにより、変速機の変速段を所望に操作可能とされている。しかるに、手動で変速操作する変速操作装置におけるリバース(R)に変速操作する際の安全機構として、操作レバーに摺動部材が取り付けられたものが開示されている。
【0003】
かかる従来の変速操作装置は、例えば特許文献1に開示されているように、摺動部材に干渉部を設け、操作レバーをリバースに変速操作する際、ブラケットに形成された被干渉部に干渉してリバースへの変速操作を規制するとともに、運転者が摺動部材を上方に向かって摺動させることにより、被干渉部に対する干渉部の干渉を回避させ、リバースへの変速操作を可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】欧州特許出願公開第0834683号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術においては、操作レバーに対して摺動する摺動部材を具備していたため、以下の如き問題があった。
通常、摺動部材を操作レバーの長手方向に摺動させるには、当該摺動部材と操作レバーとの間にクリアランスが必要とされ、かかるクリアランスによってガタが生じて質感を悪化させてしまう虞があった。一方、従来技術においては、延設部及び接触部を有した当接部材を摺動部材に形成し、延設部が弾性変形した状態で接触部が操作レバーに接触しているので、構成上、ガタを抑制し得るものであった。
【0006】
しかし、従来技術における当接部は、その延設部が摺動部材の摺動方向に対して略直交する方向に延設していたため、摺動部材が操作レバーに対して摺動する過程において、延設部が幅方向(摺動部材の摺動方向)に撓んでしまい、摺動抵抗が大きくなって操作性が悪化してしまうという不具合があった。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、操作レバーと摺動部材との間のガタを抑制して質感を向上させるとともに、摺動部材の摺動を円滑に行わせて操作性を維持することができる変速操作装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明は、回動操作によって車両の変速機を操作可能な操作レバーと、前記操作レバーに取り付けられ、当該操作レバーの長手方向に摺動可能な摺動部材と、前記摺動部材を初期位置に向かって付勢する付勢手段と、前記操作レバーが回動可能に取り付けられるブラケットと、前記操作レバー及び摺動部材の何れか一方に形成され、当該操作レバー及び摺動部材の他方に対して当接する当接部とを備えた変速操作装置であって、前記当接部は、前記操作レバー又は摺動部材に接触した接触部と、所定位置に前記接触部が形成されるとともに、弾性変形した状態で前記摺動部材の摺動方向に延設されたアーム状の延設部とを具備し、前記操作レバーに対して前記摺動部材が摺動する際、前記接触部の接触圧が一定に維持されることを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の変速操作装置において、前記当接部は、前記操作レバー及び摺動部材の何れか一方の周方向に複数形成され、前記操作レバーに対して前記摺動部材が回転した際、前記延設部の全体の弾性変形量を保持し得ることを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の変速操作装置において、前記操作レバー又は摺動部材は、前記摺動部材の摺動を案内する案内部材を有するとともに、前記案内部材は、前記操作レバーに対する前記摺動部材の摺動過程において前記接触部を摺動させる摺動面が形成されたことを特徴とする。
【0011】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の変速操作装置において、前記案内部材は、前記操作レバーに対する前記摺動部材の回転を規制することを特徴とする。
【0012】
請求項5記載の発明は、請求項1~4の何れか1つに記載の変速操作装置において、前記摺動部材は、樹脂製の成形品から成り、前記当接部が一体形成されたことを特徴とする。
【0013】
請求項6記載の発明は、請求項1~5の何れか1つに記載の変速操作装置において、前記摺動部材の一端側に前記付勢手段が配設されるとともに、他端側に当接部が形成されたことを特徴とする。
【0014】
請求項7記載の発明は、請求項1~6の何れか1つの変速操作装置を搭載した自動車。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明によれば、操作レバー又は摺動部材に当接する当接部を有し、当接部は、操作レバー又は摺動部材に接触した接触部と、所定位置に接触部が形成されるとともに、弾性変形した状態で摺動部材の摺動方向に延設されたアーム状の延設部とを具備し、操作レバーに対して摺動部材が摺動する際、接触部の接触圧が一定に維持されるので、操作レバーと摺動部材との間のガタを抑制して質感を向上させるとともに、摺動部材の摺動を円滑に行わせて操作性を維持することができる。
【0016】
請求項2の発明によれば、当接部は、操作レバー及び摺動部材の何れか一方の周方向に複数形成され、操作レバーに対して摺動部材が回転した際、延設部の全体の弾性変形量を保持し得るので、摺動部材の操作時に摺動部材が捩れて操作レバーに対して回転しても、接触部により付与される接触圧を一定に保持することができ、回転方向に対するガタを抑制することができる。
【0017】
請求項3の発明によれば、操作レバー又は摺動部材は、摺動部材の摺動を案内する案内部材を有するとともに、案内部材は、操作レバーに対する摺動部材の摺動過程において接触部を摺動させる摺動面が形成されたので、案内部材が、摺動部材を摺動させる際の案内機能と、接触部を摺動させる機能とを兼ね備えることができる。
【0018】
請求項4の発明によれば、案内部材は、操作レバーに対する摺動部材の回転を規制するので、案内部材が、摺動部材を摺動させる際の案内機能と、操作レバーに対する摺動部材の回転止め機能と、接触部を摺動させる機能とを兼ね備えることができる。
【0019】
請求項5の発明によれば、摺動部材は、樹脂製の成形品から成り、当接部が一体形成されたので、当接部を容易に形成することができる。
【0020】
請求項6の発明によれば、摺動部材の一端側に付勢手段が配設されるとともに、他端側に当接部が形成されたので、他端側(付勢手段の配設位置と反対側)に発生するガタを効果的に抑制することができる。
【0021】
請求項7の発明によれば、請求項1~6の効果を奏する自動車を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施形態に係る変速操作装置を示す正面図
図2】同変速操作装置を示す右側面図
図3】同変速操作装置を示す斜視図
図4】同変速操作装置における操作レバーを示す3面図
図5】同操作レバーの上部を示す斜視図
図6】同変速操作装置における摺動部材を示す4面図
図7図6におけるVII-VII線断面図
図8】同摺動部材の下部を示す斜視図
図9】同変速操作装置における変速レバーに摺動部材を組み付けた状態を示す正面図及び側面図
図10図9におけるX-X線断面図
図11図9におけるXI-XI線断面図
図12図9におけるXII-XII線断面図
図13】同変速操作装置における当接部及び案内部材の摺動面を示す拡大図
図14】本発明の他の実施形態に係る変速操作装置の当接部を示すための断面図
図15】本発明の他の実施形態に係る変速操作装置の当接部を示すための断面図
図16】本発明の他の実施形態に係る変速操作装置の当接部を示すための断面図
図17】本発明の他の実施形態に係る変速操作装置の当接部を示すための断面図
図18】本発明の他の実施形態に係る変速操作装置の当接部を示すための断面図
図19】本発明の他の実施形態に係る変速操作装置の当接部を示すための断面図
図20】本発明の他の実施形態に係る変速操作装置の当接部を示すための断面図
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係る変速操作装置1は、自動車の運転席近傍に取り付けられるもので、図1~3に示すように、操作レバー2と、摺動部材3と、ブラケットBとを具備して構成され、操作レバー2の回動操作に伴って操作ワイヤ(不図示)を動作させることにより車両が搭載する変速機(トランスミッション)を任意に操作し得るものである。
【0024】
操作レバー2は、回動軸を中心に回動することによって車両の変速機を操作可能なもので、先端に操作ノブN(図1、2参照)が取り付けられ、当該操作ノブNを運転者が把持しつつブラケットBに対して回動操作可能とされている。そして、操作レバー2を任意の位置(例えば、1段~6段、及びリバース(R)等の位置)まで回動操作すると、その位置に応じた変速機の操作が可能とされている。
【0025】
また、本実施形態に係る操作レバー2は、図4、5に示すように、樹脂成形部品から成る案内部材4がインサート成形されるとともに、上端部には、コイルスプリング5(付勢手段)が取り付けられるよう構成されている。かかるコイルスプリング5は、摺動部材3を初期位置(操作レバー2の下端側)に向かって付勢するもので、当該コイルスプリング5の付勢力に抗して摺動部材3が摺動可能とされている。さらに、操作レバー2の上端部には、コイルスプリング5の上端を受けるための円環状のスプリング受け部材6が取り付けられている。なお、コイルスプリング5の下端は、摺動部材3に形成された受け部3f(図10、11参照)にて受けるようになっている。
【0026】
摺動部材3は、操作レバー2の外周に取り付けられ、当該操作レバー2の長手方向に摺動可能なもので、図6~8に示すように、側方へ膨出した形状の掴み部3aと、一方側に突出形成された干渉部3bと、内部の操作レバー2を視認可能な窓部3cと、当接部3dと、被案内部3eと、受け部3fとを有して構成されている。そして、運転者が操作ノブNを把持しつつ掴み部3aを掴み、上方へ引き上げることにより、摺動部材3がコイルスプリング5の付勢力に抗して操作レバー2に沿って上方に移動し得るようになっている。
【0027】
干渉部3bは、摺動部材3を上方に移動させずに操作レバー2をリバース(R)側に回動しようとすると、ブラケットBの被干渉部Baに干渉して当該操作レバー2のリバース(R)位置への回動を防止し得るものである。なお、操作レバー2に対して摺動部材3が上方へ移動した状態において、操作レバー2をリバース(R)側に移動すると、被干渉部Baに対する干渉部3bの干渉が回避され、図1の二点鎖線で示すように、操作レバー2のリバース(R)位置の回動が許容される。
【0028】
一方、操作レバー2に一体的に形成された案内部材4は、操作レバー2の軸方向(摺動部材3の摺動方向)に延設された一対の凸条部4aが周方向に2組形成されており、それぞれの凸条部4aの離間部が摺動部材3に形成された被案内部3eを嵌入し得る嵌入溝4abを構成している。しかして、図12、13に示すように、嵌入溝4abに被案内部3eが嵌入して組み付けられるので、操作レバー2に対する摺動部材3の摺動過程において、被案内部3eが嵌入溝4abにて案内されて摺動部材3の摺動を案内し得るとともに、操作レバー2に対する摺動部材3の回転を規制することができる。
【0029】
ブラケットBは、操作レバー2が回動可能に取り付けられるとともに、車両の運転席近傍に固定されるもので、図1~3に示すように、被干渉部Baを有して構成されている。かかるブラケットBは、セレクトレバーMを有して構成されており、このセレクトレバーMには、一端が変速機のセレクト機構に連結されたセレクトケーブル(操作ケーブル)の他端が接続可能とされている。なお、操作レバー2の下端部には、一端が変速機のシフト機構に連結されたシフトケーブル(操作ケーブル)の他端が接続可能とされている。
【0030】
ここで、本実施形態に係る変速操作装置1は、摺動部材3に形成され、操作レバー2に対して当接する当接部3dが形成されている。かかる当接部3dは、図6~8、12、13に示すように、操作レバー2の案内部材4(具体的には案内部材4の凸条部4aの側面)に接触した接触部3daと、所定位置(本実施形態においては先端)に接触部3daが形成されるとともに、弾性変形した状態(撓んだ状態)で摺動部材3の摺動方向(すなわち、操作レバー2の軸方向)に延設された延設部3dbとを有して構成されている。
【0031】
より具体的には、当接部3dは、樹脂製の成形品から成る摺動部材3に一体形成された部位であり、摺動部材3の摺動方向に延設されたアーム状の延設部3dbの先端に爪状の接触部3daが形成されるとともに、摺動部材3を操作レバー2に組み付けた状態において、接触部3daが案内部材4の所定位置に接触しつつ延設部3dbが撓んで弾性変形した状態となっている。これにより、接触部3daは、延設部3dbの弾性変形によって、摺動部材3(案内部材4)に対して所定の接触圧を有して接触している。
【0032】
また、当接部3dの接触部3daは、案内部材4に形成された凸条部4aの側面から成る摺動面4aaに対して所定の接触圧を有して接触しており、操作レバー2に対して摺動部材3が摺動する過程において、接触部3daが摺動面4aa上を摺動し得るようになっている。これにより、操作レバー2に対して摺動部材3が摺動する際、接触部3daが一定の接触圧を維持しつつ摺動面4aaに対して接触することとなる。
【0033】
しかるに、凸条部4aは、案内部材4の径方向に突出形成された板形状とされており、かかる凸条部4aが所定寸法離間して嵌入溝4abを形成するとともに、操作レバー2の周方向に2組(1つの嵌入溝4abを形成する一対の凸条部4aが2組)形成されている。そして、それぞれの組の凸条部4aの側面(摺動面4aa)には、接触部3daが接触して組み付けられており、操作レバー2の軸方向に摺動部材3が摺動するのに伴い、接触部3daが摺動面4aa上を摺動するようになっている。
【0034】
さらに、本実施形態に係る当接部3dは、図7、8、12に示すように、摺動部材3の周方向に複数(本実施形態においては2つ)形成され、操作レバー2に対して摺動部材3が回転した際、延設部3dbの全体の弾性変形量(撓み量)を保持し得るようになっている。すなわち、当接部3dは、2組の凸条部4aに対応する位置にそれぞれ形成されており、図12に示すように、操作レバー2に対して摺動部材3がa方向に回転すると、B側の当接部3dの弾性変形量(撓み量)が減少するものの、A側の当接部3dの弾性変形量(撓み量)が増加し、全体の弾性変形量が保持されることとなる。また、操作レバー2に対して摺動部材3がb方向に回転すると、A側の当接部3dの弾性変形量(撓み量)が減少するものの、B側の当接部3dの弾性変形量(撓み量)が増加し、全体の弾性変形量が保持される。
【0035】
またさらに、本実施形態においては、摺動部材3の一端側(上端側)にコイルスプリング5(付勢手段)が配設されるとともに、他端側(下端側)に当接部3dが形成されている。なお、本実施形態に係る当接部3dは、摺動部材3の周方向に2つ形成されているが、図14に示すように、単一の当接部3dを有するものとしてもよく、或いは3つ以上の当接部3dを有するものであってもよい。また、本実施形態に係る当接部3dは、案内部材4に形成された摺動面4aaに接触部3daが接触及び摺動し得るようになっているが、案内部材4とは別個に形成された面に接触部3daが接触及び摺動し得るようにしてもよい。
【0036】
本実施形態によれば、摺動部材3に形成され、操作レバー2に対して当接する当接部3dを有し、当接部3dは、操作レバー2に接触(本実施形態においては案内部材4を介して操作レバー2に接触)した接触部3daと、所定位置に接触部3daが形成されるとともに、弾性変形した状態で摺動部材3の摺動方向に延設された延設部3dbとを具備したので、操作レバー2と摺動部材3との間のガタを抑制して質感を向上させるとともに、摺動部材3の摺動を円滑に行わせて操作性を維持することができる。
【0037】
また、本実施形態に係る当接部3dは、摺動部材3の周方向に複数形成され、操作レバー2に対して摺動部材3が回転した際、延設部3dbの全体の弾性変形量を保持し得るので、摺動部材3の操作時に摺動部材3が捩れて操作レバー2に対して回転しても、接触部3daにより付与される接触圧を一定に保持することができ、回転方向に対するガタを抑制することができる。
【0038】
さらに、本実施形態に係る操作レバー2は、摺動部材3の摺動を案内する案内部材4を有するとともに、案内部材4は、操作レバー2に対する摺動部材3の摺動過程において接触部3daを摺動させる摺動面4aaが形成されたので、案内部材4が、摺動部材3を摺動させる際の案内機能と、接触部3daを摺動させる機能とを兼ね備えることができる。加えて、本実施形態に係る案内部材4は、操作レバー2に対する摺動部材3の回転を規制するので、案内部材4が、摺動部材3を摺動させる際の案内機能と、操作レバー2に対する摺動部材3の回転止め機能と、接触部3daを摺動させる機能とを兼ね備えることができる。
【0039】
さらに、本実施形態に係る摺動部材3は、樹脂製の成形品から成り、当接部3dが一体形成されたので、当接部3dを容易に形成することができる。すなわち、摺動部材3を樹脂成形する際の成形金型に当接部3dを形成するための形状を作り込んでおけば、当接部3dが一体形成された摺動部材3を簡単に得ることができるのである。またさらに、摺動部材3の一端側(上端側)にコイルスプリング5(付勢手段)が配設されるとともに、他端側(下端側)に当接部3dが形成されているので、他端側(付勢手段の配設位置と反対側)に発生するガタを効果的に抑制することができる。また、本実施形態に係る変速操作装置は、自動車に適用されたので、本実施形態の上記効果を奏する自動車を提供することができる。
【0040】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば図15に示すように、摺動部材3に形成された当接部3dの接触部3daの接触圧を摺動部材3の摺動方向に対して略直交する方向に作用させ、案内部材4に対して同方向(摺動方向に対して略直交する方向であって操作レバー2の径方向)に接触部3daを接触させるものとしてもよい。この場合、図16に示すように、単一の当接部3dを有するものとしてもよい。また、図17に示すように、摺動部材3に形成された当接部3dの接触部3daを操作レバー2の側面に直接接触させるものとしてもよく、その場合、図18に示すように、単一の当接部3dを有するものとしてもよい。
【0041】
さらに、本実施形態に係る当接部3dは、摺動部材3に形成され、(案内部材4を介して)操作レバー2に当接しているが、図19に示すように、操作レバー2に形成され、摺動部材3の所定部位(同図における面f)に当接する当接部4bとしてもよく、その場合、図20に示すように、単一の当接部4bを有するものとしてもよい。すなわち、当接部は、操作レバー2及び摺動部材3の何れか一方に形成され、当該操作レバー2及び摺動部材3の他方に対して当接するものであれば足りるのである。
【0042】
またさらに、本実施形態においては、摺動部材3の一端側(上端側)にコイルスプリング5(付勢手段)が配設されるとともに、他端側(下端側)に当接部3dが形成されているが、例えば摺動部材3の他端側(すなわち、下端側)にコイルスプリング5(付勢手段)が配設されるとともに、一端側(上端側)に当接部3dが形成されたものとしてもよい。なお、コイルスプリング5及び当接部3dは、摺動部材3の上端又は下端に配設されるものに限らず、摺動部材3の他の位置(上端と下端の間の中間位置等)に配設されるものであってもよい。
【0043】
なお、本実施形態においては、マニュアルトランスミッションを操作する変速操作装置に適用されているが、オートマティックトランスミッションを操作する変速操作装置に適用してもよい。また、本実施形態においては、適用される車両が自動車とされているが、他の形態の車両に適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0044】
操作レバー又は摺動部材に接触した接触部と、所定位置に接触部が形成されるとともに、弾性変形した状態で摺動部材の摺動方向に延設されたアーム状の延設部とを具備し、操作レバーに対して摺動部材が摺動する際、接触部の接触圧が一定に維持される当接部を有した変速操作装置であれば、外観形状が異なるもの或いは他の機能が付加されたもの等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0045】
1 変速操作装置
2 操作レバー
3 摺動部材
3a 掴み部
3b 干渉部
3c 窓部
3d 当接部
3da 接触部
3db 延設部
3e 被案内部
3f 受け部
4 案内部材
4a 凸条部
4aa 摺動面
4ab 嵌入溝
5 コイルスプリング(付勢手段)
6 スプリング受け部材
B ブラケット
Ba 被干渉部
N 操作ノブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20