(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-21
(45)【発行日】2023-01-04
(54)【発明の名称】ドライブレコーダ
(51)【国際特許分類】
G07C 5/00 20060101AFI20221222BHJP
B60R 11/02 20060101ALI20221222BHJP
【FI】
G07C5/00 Z
B60R11/02 C
(21)【出願番号】P 2018173808
(22)【出願日】2018-09-18
【審査請求日】2021-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】391021226
【氏名又は名称】株式会社カーメイト
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村中 剛
(72)【発明者】
【氏名】柴田 聖也
(72)【発明者】
【氏名】三浦 真人
(72)【発明者】
【氏名】秋葉 幹彦
(72)【発明者】
【氏名】須田 徹
(72)【発明者】
【氏名】川向 敏博
【審査官】葛原 怜士郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-234507(JP,A)
【文献】特開2016-008017(JP,A)
【文献】特開2009-262773(JP,A)
【文献】特開2008-140334(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 11/02
G07C 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車外で使用可能な機能を有するドライブレコーダであって、
車外で使用する際の電源として電池電源を着脱可能な電源装着部と、
前記電源装着部に前記電池電源を装着した状態での車載を規制する車載規制機構と、
前記電源装着部が設けられた筐体と、
車載状態で使用する際の電源として前記電源装着部に着脱可能な補助電源と、を備え
、
前記筐体には、車載に用いる支持具と嵌合する嵌合孔が設けられており、
前記車載規制機構は、前記電池電源を前記電源装着部に装着した状態では前記嵌合孔を閉塞し、前記補助電源を前記電源装着部に装着した状態では前記嵌合孔を開放するように構成されている
ことを特徴とするドライブレコーダ。
【請求項2】
請求項
1に記載されたドライブレコーダにおいて、
前記車載規制機構は、前記電源装着部への前記電池電源または前記補助電源の着脱に応じて変位する開閉体を有し、該開閉体の変位により前記嵌合孔を開閉するように構成され、
前記開閉体の変位前後の位置が外部から視認可能である
ことを特徴とするドライブレコーダ。
【請求項3】
請求項1
または2に記載されたドライブレコーダにおいて、
車載している状態での前記電源装着部への前記電池電源の装着を規制する電池装着規制機構をさらに備える
ことを特徴とするドライブレコーダ。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載されたドライブレコーダにおいて、
非車載状態でアクションカメラ、データロガーまたは監視カメラとして使用可能である
ことを特徴とするドライブレコーダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車外で使用可能な機能を有するドライブレコーダに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ドライブレコーダに他の機能を持たせて、ドライブレコーダをポータブル機器として車外でも使用可能にすることが知られている。例えば、特許文献1には、カーナビゲーション装置としての機能とドライブレコーダとしての機能とを兼ね備え、ドライブレコーダとして使用可能でありながらも、内蔵された二次電池からの電力によりポータブルナビとして持ち運びできる一体型装置が開示されている。
【0003】
この一体型装置は、自動車に搭載された外部電源から電力の供給を受ける電源部を備えている。電源部は、外部電源から供給される電力を蓄えるように構成されており、スーパーキャパシタ(登録商標)などと称される電気二重層キャパシタと、二次電池として周知のリチウムイオン電池とを備えている。そして、当該一体型装置は、ドライブレコーダとして使用している最中に外部電源からの電力供給が断たれると、電気二重層キャパシタに蓄えられた電力によりシャットダウン処理を行い、リチウムイオン電池から供給される電力によりナビ機能を動作させることにより、ポータブルナビとして使用可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された一体型装置では、ドライブレコーダとして車載した状態でもリチウムイオン電池からなる二次電池を内蔵しているため、炎天下などで高温になり得る車室内に二次電池が放置されることになり、二次電池が熱暴走を引き起こしたり異常加熱による破裂や発火を生じたりするおそれがある。あいにく、ドライブレコーダの設置場所は、車室内でフロントウインドガラスの上部またはその付近とされるのが通常であり、ドライブレコーダは上述したような二次電池などの電池電源が車室内の熱による弊害を受けやすい。
【0006】
本開示の技術は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、車外で使用可能な機能を有するドライブレコーダにおいて、車載している状態で車外用途の電源に用いられる電池電源が車室内の熱による弊害を被るのを防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本開示の技術では、ドライブレコーダを車外で使用する際の電池電源を着脱式とし、且つ当該電池電源を装着したままの状態ではドライブレコーダを車載できないようにした。
【0008】
具体的には、本開示の技術は、車外で使用可能な機能を有するドライブレコーダを対象とする。本開示の技術に係るドライブレコーダは、車外で使用する際の電源として電池電源を着脱可能な電源装着部と、電源装着部に電池電源を装着した状態での車載を規制する車載規制機構とを備える。ここでいう「電池電源」とは、電池を用いた電源を意味し、電池パックのような複数の電池を容器で一纏めにした電源部品は勿論、単一の電池であってもよい。
【0009】
この構成によると、電池電源を装着した状態でのドライブレコーダの車載が車載規制機構により規制されるので、電池電源を装着したままではドライブレコーダが車載されないようにして、ドライブレコーダが電池電源付きの状態で高温になり得る車室内に放置されるのを回避することができる。これにより、当該ドライブレコーダにおいて、車載している状態で車外用途の電源に用いられる電池電源が車室内の熱による弊害を被るのを防止することができる。
【0010】
本開示の技術に係るドライブレコーダは、電源装着部が設けられた筐体と、車載状態で使用する際の電源として電源装着部に着脱可能な補助電源とをさらに備えていてもよい。ここでいう「補助電源」には、車両に搭載された外部電源からの電力不足を補う役割を果たす電源の他、そうした外部電源からの電力供給が断たれたときのバックアップ電源も含まれる。前述のようにドライブレコーダの補助電源を着脱可能な構成として備えれば、補助電源用の回路素子としてのキャパシタを回路基板に直に取り付ける必要がなく、補助電源の交換が容易になる。
【0011】
さらに、筐体には、車載に用いる支持具と嵌合する嵌合孔が設けられていてもよい。この場合、車載規制機構は、電池電源を電源装着部に装着した状態では嵌合孔を閉塞し、補助電源を電源装着部に装着した状態では嵌合孔を開放するように構成されていてもよい。
【0012】
そうした構成によると、補助電源を電源装着部に装着した状態では、嵌合孔が開放されるのでその嵌合孔に支持具を嵌合させてドライブレコーダを車載できるが、電池電源を電源装着部に装着した状態では、嵌合孔が閉塞されるためにその嵌合孔に支持具を嵌合させることができず、ドライブレコーダを車載することができない。一般に、ドライブレコーダは、支持具を用いて車載されるので、前述のように、ドライブレコーダに車載用の支持具と嵌合する嵌合孔を設け、当該嵌合孔の開閉によってドライブレコーダの車載を許容したり規制したりすることで、車載規制機構を比較的簡単な構成で実現することができる。
【0013】
さらに、車載規制機構は、電源装着部への電池電源または補助電源の着脱に応じて変位する開閉体を有し、その開閉体の変位により嵌合孔を開閉するように構成されていてもよい。この場合、開閉体の変位前後の位置が外部から視認可能であってもよい。このような構成によると、開閉体の位置を外部から視認するだけで、嵌合孔が開放されているのか或いは閉塞されているのか(つまり、車載を許容する状態にあるのか或いは車載を規制する状態にあるのか)を確認できるので、ドライブレコーダの車載作業を容易に行える。
【0014】
また、電源装着部は、電池電源および補助電源のうち一方の電源を選択的に収容可能な収容空間を内包し、その収容空間に当該電源を挿入するための挿入口を有する電源収容部であってもよい。この構成によれば、電池電源の収容空間と補助電源の収容空間とを1つの収容空間で兼用するので、電源収容部に必要な収容空間が電池電源および補助電源のうち一方の電源のみを択一的に収容可能な広さで済む。このことは、ドライブレコーダの大型化を抑制するのに有利である。
【0015】
さらに、電源収容部の内面には、挿入口から収容空間の奥側に向かって延びる凹状部が設けられていてもよい。この場合、電池電源の外形と補助電源の外形とを互いに相違させて、車載規制機構を、電池電源が電源収容部内の収容空間に収容されたときに嵌合孔を閉塞するか、補助電源が電源収容部内の収容空間に収容されたときにのみ嵌合孔を開放するといった構成としていてもよい。
【0016】
例えば、電池電源は、電源収容部内の収容空間に挿入するときに凹状部の外側をスライドする形態とされ、補助電源は、電源収容部内の収容空間に挿入するときに凹状部の内側をスライドする凸状部を有していてもよい。この場合、車載規制機構は、凹状部内に突出した第1の位置と、第1の位置から収容空間の奥側に向かって押し込まれた位置である第2の位置との間を変位可能な作動片を備え、その作動片が第1の位置にあるときには嵌合孔を閉塞する一方で、作動片が第2の位置にあるときには嵌合孔を開放するように構成されていてもよい。ここで、作動片は、第1の位置に向かって常時付勢されており、電池収容部に電池電源を収容したときには第1の位置に位置し、電源収容部に補助電源を収容したときには凸状部により押し込まれて第2の位置に位置する。
【0017】
前記の構成によると、電池収容部内の収容空間が空のとき(つまり、電池電源および補助電源のいずれも収容していないとき)と、電池電源を電池収容部に収容したときとでは、作動片が付勢力により第1の位置に位置して、嵌合孔が閉塞される。その状態では、当該嵌合孔に支持具を嵌合させられず、ドライブレコーダを車載することができない。これに対し、補助電源を電池収容部に収容したときには、作動片が補助電源の凸状部により押し込まれて第2の位置に変位し、その作動片の変位に応じて嵌合孔が開放される。その状態では、当該嵌合孔に支持具を嵌合させてドライブレコーダを車載することが可能である。
【0018】
このように補助電源を電池収容部に収容したときにのみ嵌合孔を開放する構成は、車載規制機構による目的、つまり電池電源を装着したままの状態ではドライブレコーダを車載できないようにし、且つ電池電源を取り外した状態ではドライブレコーダを車載できるようにする、という目的に適っており合理的である。
【0019】
また、補助電源は、キャパシタを収容してなるキャパシタパックであってもよい。キャパシタは、電気二重層キャパシタであってもよい。電気二重層キャパシタは、一般に、二次電池に比べて短時間で蓄電されるため、非常用の電力を確実に維持することができる。また、電気二重層キャパシタは、二次電池のように、電極において化学反応が生じないため、電極の劣化が抑えられて相対的に長寿命となる。よって、電気二重層キャパシタは、非常用の電力の確保が求められ、且つ車両の運転中は常時作動するドライブレコーダに補助電源として用いるのに適している。
【0020】
前述したドライブレコーダは、車載している状態での電源装着部への電池電源の装着を規制する電池装着規制機構をさらに備えていてもよい。
【0021】
この構成によると、ドライブレコーダを車載している状態での電源装着部への電池電源の装着が電池装着規制機構により規制されるので、ドライブレコーダを車載した後にも車載したままのドライブレコーダに電池電源を装着することができないようにして、ドライブレコーダが電池電源付きの状態で高温になり得る車室内に放置されるのを回避することができる。これにより、当該ドライブレコーダにおいて、車載している状態で車外用途の電源に用いられる電池電源が車室内の熱による弊害を被るのを確実に防止することができる。
【0022】
電池装着規制機構は、電源装着部における電池電源の装着箇所に突出しない第1の位置と、電源装着部における電池電源の装着箇所に突出する第2の位置との間を変位可能な規制片を備え、その規制片が第1の位置にあるときには電源装着部への電池電源の装着を許容する一方で、規制片が第2の位置にあるときには電源装着部への電池電源の装着を阻害するように構成されていてもよい。ここで、規制片は、車載規制機構により車載を規制しているときには第1の位置に位置し、車載規制機構により車載を許容しているときには第2の位置に位置する。
【0023】
前記の構成によると、車載規制機構により車載を規制しているときには、規制片が電池電源の装着箇所に突出しない第1の位置に位置して、電源装着部への電池電源の装着を許容するが、車載規制機構により車載を許容しているときには、規制片が電池電源の装着箇所に突出する第2の位置に位置して、電源装着部への電池電源の装着を阻害する。このように車載を許容しているときにのみ規制片を電池電源の装着箇所に突出させて電源装着部への電池電源の装着を阻害する構成は、電池装着規制機構による目的、つまり車載したままのドライブレコーダに電池電源を装着することができないようにする、という目的に適っており合理的である。
【発明の効果】
【0024】
本開示の技術に係るドライブレコーダによれば、車外でも使用可能でありながら、車載している状態で車外用途の電源に用いられる電池電源が車室内の熱による弊害を被るのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、車載状態におけるドライブレコーダの側面図である。
【
図2】
図2は、ドライブレコーダダを斜め後方から見た斜視図である。
【
図3】
図3は、ドライブレコーダにおける電源パックの入替え可能な構成の分解斜視図である。
【
図4】
図4は、ドライブレコーダにおけるレコーダ本体とキャパシタパックの概略構成のブロック図である。
【
図5】
図5は、ドライブレコーダにおけるレコーダ本体と電池パックの概略構成のブロック図である。
【
図6】
図6は、ドライブレコーダの車載に用いる支持具を斜め下方から見た斜視図である。
【
図7】
図7は、キャパシタパックを斜め後方から見た斜視図である。
【
図8】
図8は、電池パックを斜め後方から見た斜視図である。
【
図9】
図9は、レコーダ本体のキャパシタパックを装着した状態での側面図である。
【
図10】
図10は、レコーダ本体の電池パックを装着した状態での側面図である。
【
図13】
図13は、ドライブレコーダの斜め上方から見た車載許容状態の斜視図である。
【
図14】
図14は、ドライブレコーダの斜め上方から見た車載規制状態の斜視図である。
【
図15】
図15は、ドライブレコーダに内蔵された車載規制機構および電池装着規制機構の要部を示す内部構造図である。
【
図16】
図16は、電池装着規制機構によって電池パックの収容が規制された様子を示す内部構造図である。
【
図17】
図17は、ドライブレコーダの電源収容部に電池パックが収容された状態の内部構造を示す概念図である。
【
図18】
図18は、ドライブレコーダの電源収容部にキャパシタパックが収容された状態の内部構造を示す概念図である。
【
図19】
図19は、車載状態にあるドライブレコーダにおいてキャパシタパックと電池パックとを入れ替えようとしたときの内部構造を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、例示的な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態において、説明の便宜上、ドライブレコーダが自動車に車載された状態での方向を基準として、車両前後方向における前側を「前」、後側を「後」と称し、車両前方を向いて車幅方向における左側を「左」、右側を「右」と称し、車高方向における上側を「上」、下側を「下」と称する。
【0027】
図1に、車載状態におけるドライブレコーダ1の側面図を示す。
図2に、ドライブレコーダ1を斜め後方から見た斜視図を示す。
図3に、ドライブレコーダ1における電源パック90の入替え可能な構成の分解斜視図を示す。
図4に、レコーダ本体10とキャパシタパック70の概略構成のブロック図を示す。また、
図5に、レコーダ本体10と電池パック80の概略構成のブロック図を示す。
【0028】
この実施形態に係るドライブレコーダ1は、
図1に示す車載状態(車両に搭載している状態)では、車両前方および車室内を含む全方位を撮影し続けて、急ブレーキや衝突などの異常動作を検知したときにその前後の映像や音声と共に運転状態(速度やブレーキなど)を記録する車載記録機器であって、非車載状態(車両に搭載していない状態)では、ポータブル機器であるアクションカメラとして使用可能である。ドライブレコーダ1の車載記録機器としての機能は、運転中のみならず駐車中も所定の異常動作を検知して記録するようになっているなど、上記の機能に限らない。非車載状態でのアクションカメラの機能は、車外で使用可能な機能の一例である。
【0029】
ドライブレコーダ1は、
図1に示すように、車両100のフロントウインドシールド101に固定されることにより車載状態とされる。車載状態のドライブレコーダ1は、電源ケーブル91を介して外部電源92から供給される電力によって作動し、車載記録機器として機能する(
図4参照)。ドライブレコーダ1には、車載状態にあってはキャパシタパック70が装着される。キャパシタパック70は、キャパシタ71を収容してなる電源パック90である。
【0030】
キャパシタパック70は、車載記録機器として使用する際の補助電源であって、この実施形態では外部電源92からの電力供給が断たれたときに非常用の電源として用いられる。ドライブレコーダ1は、車載記録機器として作動しているときに外部電源92からの電力供給が遮断されても、キャパシタパック70に蓄えられた電力を使用してファイルクローズ(データ保存)を含めたシャットダウン処理を行う。
【0031】
また、ドライブレコーダ1は、フロントウインドシールド101に固定された状態から解除されて非車載状態とされる。
図3に示すように、非車載状態のドライブレコーダ1には、前述のキャパシタパック70の代わりに電池パック80が装着される。電池パック80は、アクションカメラとして車外で使用する際の電池電源であって、二次電池81を収容してなる電源パック90である。ドライブレコーダ1は、電池パック80から供給される電力によって作動し、アクションカメラとして機能する(
図5参照)。
【0032】
以下、ドライブレコーダ1の構成について詳述する。
【0033】
<全体構成>
まず、ドライブレコーダ1の全体構成について説明する。
図1および
図2に示すように、ドライブレコーダダ1は、前後両面に撮像レンズ31,32が設けられたレコーダ本体10を備えている。
【0034】
このドライブレコーダ1は、車載状態にあるときには、レコーダ本体10の右側面に設けられた挿入口52から内部に挿入されるキャパシタパック70をさらに備え、支持具20を用いてフロントウインドシールド101に固定される。キャパシタパック70の右端部は、挿入口52を閉塞すると共にレコーダ本体10の右側面から突出するようになっている。そうして突出したキャパシタパック70の右端部の後面には、電源ケーブル91を介して外部電源92に接続されるコネクタ72が設けられている。
【0035】
また、ドライブレコーダ1は、非車載状態にあるときには、キャパシタパック70の代わりにレコーダ本体10右側面の挿入口52から内部に挿入される電池パック80をさらに備え、支持具20から取り外されて持ち運び可能とされる。電池パック80は、レコーダ本体10の右側面から突出せず、レコーダ本体10の内部に完全に収容される。レコーダ本体10の挿入口52は、電池パック80を収容した状態で別体の蓋部材12によって閉塞される。
【0036】
<支持具>
次に、支持具20の構成について説明する。
図6に、支持具20を斜め下方から見た斜視図を示す。
図1、
図2および
図6に示すように、支持具20は、レコーダ本体10を保持する可動アーム21と、可動アーム21を回動可能に支持する固定基部22とを備えている。
【0037】
固定基部22の裏面には、図示しない両面テープが貼り付けられる。そして、支持具20は、固定基部22裏面の両面テープをフロントウインドシールド101の車内側の面における上部寄りの位置に貼り付けることで、フロントウインドシールド101に固定される。固定基部22には、車幅方向に延びる軸部材23を介して可動アーム21の基端部が取り付けられている。可動アーム21は、軸部材23を中心として回動可能となっている。
【0038】
可動アーム21の先端部は、固定基部22をフロントウインドシールド101に固定した状態で下側に臨む取付面24を有している。ドライブレコーダ1は、その取付面24に上面を宛がって可動アーム21に取り付けられる。可動アーム21の先端部において、取付面24とは反対側の面には締付ホイール25が回転自在に設けられている。締付ホイール25の中央部下側には、取付面24から軸部(ねじ切り部分)が突出した取付ねじ26が固定されている。
【0039】
さらに、可動アーム21の取付面24には、ドライブレコーダ1を車載するときにレコーダ本体10と嵌合する嵌合突起27が、取付ねじ26の軸部と車幅方向に間隔をあけて設けられている。この嵌合突起27は、ドライブレコーダ1の車載状態での向きを決めると共に、レコーダ本体10に設けられた後述の車載規制機構60と協働して電池パック80を装着した状態でのドライブレコーダ1の車載を規制する役割を担う。
【0040】
また、可動アーム21と固定基部22との軸部材23の周辺で互いに対向する部位には、ギザギザ形状同士の噛合い構造からなるラチェット機構28が設けられている。ラチェット機構28は、固定基部22側のギザギザ形状をなす凹凸に対して可動アーム21側のギザギザ形状をなす凹凸を軸部材23周りにずらすことで、可動アーム21の固定基部22に対する回転位置を多段階に切り替え可能にしている。
【0041】
このような支持具20では、ドライブレコーダ1の取付け、撮影姿勢(撮影方向)の調節および取外しを容易に行える。すなわち、ドライブレコーダ1は、嵌合突起27と嵌合させた状態で、可動アーム21の取付面24に締付ホイール25の回転操作を以て取付ねじ26で上面部を締結することにより支持具20に取り付けられ、ラチェット機構28により撮影姿勢を調節できる。また、ドライブレコーダ1は、締付ホイール25の回転操作を以て取付ねじ26を緩めることにより、支持具20から取り外せる。
【0042】
<電源パック>
次に、電源パック90の構成について説明する。
図7に、キャパシタパック70を斜め後方から見た斜視図を示す。また、
図8に、電池パック80を斜め後方から見た斜視図を示す。電源パック90は、レコーダ本体10に内蔵された後述の制御部40に電力を供給する。ドライブレコーダ1に用いられる電源パック90には、キャパシタ71を収容してなるキャパシタパック70と、二次電池81を収容してなる電池パック80とがある。
【0043】
- キャパシタパック -
キャパシタパック70は、
図7に示すように、左右方向に横長な矩形薄板状の板状挿入部75と、板状挿入部75の右端に一体に設けられた電源制御部76とを備えている。また、板状挿入部75には、キャパシタ71が複数収容されている。この実施形態において、キャパシタ71は、シリンダ型の電気二重キャパシタである。複数のキャパシタ71は、長手方向が左右方向に向く横置き姿勢で左右方向に並べられて列をなし、上下方向において複数列を構成している。板状挿入部75は、そうしたキャパシタ71の列に対応して後方に向かって突出した凸状部77を後面に複数有している。
【0044】
凸状部77は、電源制御部76から左方へ連なって延び、後方に張り出した凸面をなす蒲鉾形状に形成されている。この実施形態において、凸状部77は、3つ設けられている。また、板状挿入部75の上部左側には、後方に開放される切欠き状の逃げ部78が形成されている。電源制御部76は、外部電源92に接続されるコネクタ72を有し、切替部73aが実装された図示しない回路基板を内蔵している。切替部73aは、キャパシタ71に蓄電された電力と、コネクタ72を介して外部電源92から供給される電力とを択一的に選択するようになっている。
【0045】
キャパシタパック70または外部電源92から切替部73aを介して供給される電力は、板状挿入部75の左側面に設けられた複数のキャパシタ端子74から出力される。この実施形態において、キャパシタ端子74は、計5つ設けられている。キャパシタパック70の左側面において、上側の部位70aは、下側の部位70bに比べて左方に向かって突出している。そうして突出した上側の部位(突出部位)70aには、蓄電状況の監視や切替え制御などに用いられる2つのキャパシタ端子74a,74bが設けられている。他方、下側の部位70bには、電力の出力や接地、キャパシタパック70の温度検出などを行う3つのキャパシタ端子74c,74d,74eが設けられている。
【0046】
- 電池パック -
電池パック80は、
図8に示すように、左右方向に横長の扁平な矩形薄板状に構成されており、二次電池81が複数収容されている。この実施形態において、二次電池81は、周知のリチウムイオン電池である。電池パック80から供給される電力は、電池パック80の左側面に設けられた複数の電池端子82から出力される。この実施形態において、電池端子82は、計3つ設けられており、電力の出力や接地、電池パック80の温度検出などに用いられる。電池パック80の左側面は、キャパシタパック70とは異なり平坦状に形成されている。
【0047】
<レコーダ本体>
次に、レコーダ本体10の構成について説明する。レコーダ本体10は、車両100の前後を撮像する撮像部30と、撮像部30から出力された画像信号を処理する制御部40と、画像信号をフレーム単位で一時的に記憶するメモリ40aと、これら撮像部30、制御部40、メモリ40a、加えて電源パック90を収容する筐体11とを備えている。また、レコーダ本体10には、メモリ40aに記憶された画像信号を記憶する記録媒体40bが装着され得る。
【0048】
- 撮像部 -
撮像部30は、
図1に例示した前後の撮像レンズ31,32に加えて、露光量を調整する絞り(不図示)と、被写体像を画像信号に光電変換する撮像素子33とを有している。撮像素子33は、前側の撮像レンズ31と後側の撮像レンズ32との双方に対応して1つずつ設けられている。前後の撮像レンズ31,32はそれぞれ、被写体からの光を集光して、集光した光を撮像素子33に入射させる。
【0049】
撮像素子33は、例えば、CCD(Charge Couple Device)イメージセンサおよびCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサなどの固体撮像素子としてもよい。レコーダ本体10は、前述した前後の撮像レンズ31,32と撮像レンズ31,32毎に設けられた絞りおよび撮像素子33とによって、全天球カメラとして機能する。
【0050】
- 制御部 -
制御部40は、樹脂製の回路基板41上に実装されたASIC(Application Specific Integrated Circuit:特定用途向けの集積回路)であって、種々の処理を行うように構成された電子部品である。制御部40には、メモリ40aと、記録媒体40bと、電源パック90としてのキャパシタパック70または電池パック80とが電気的に接続されている。
【0051】
制御部40は、ドライブレコーダ1が車載状態で車載記録機器として使用されているのか、或いは非車載状態でアクションカメラとして使用されているかのを、車載した自動車からの信号や電源系統によって判断し、用途に応じて種々の処理を実行するようになっている。すなわち、ドライブレコーダ1における車載記録機器およびアクションカメラとしての機能は制御部40によって実現される。
【0052】
- 筐体 -
図9および
図10に、レコーダ本体10の挿入口52を開けた状態での側面図を示す。
図9は、レコーダ本体10にキャパシタパック70を装着した状態を示し、
図10は、レコーダ本体10に電池パック80を収容した状態を示す。また、
図11に、
図9のXI-XI線における断面図を示す。
図12に、
図10のXII-XII線における断面図を示す。
図13および
図14に、ドライブレコーダ1の斜め上方から見た斜視図を示す。
図13は車載許容状態を示し、
図14は車載規制状態を示す。
【0053】
筐体11は、
図13および
図14に示すように、左右方向に横長で、且つ前後方向に厚みを有する手の平サイズの大きさに形成されている。筐体11の左側部分には、その前面および後面に撮像レンズ31,32を露出させて撮像部30が内蔵されている。また、筐体11内には、
図9および
図10に示すように制御部40を実装した回路基板41が収容されていると共に、
図11および
図12にも示すように電源パック90を着脱可能な電源収容部50が設けられている。電源収容部50は、電源装着部の一例である。
【0054】
電源収容部50は、キャパシタパック70および電池パック80のうち一方の電源パック90を選択的に収容可能に構成されている。電源収容部50は、電源パック90が収容される収容空間51を内包している。この収容空間51は、キャパシタパック70と電池パック80との一方のみを択一的に受入れ可能な寸法とされており、筐体11内に設けられた内壁部54によって区画されている。
【0055】
収容空間51は、筐体11の右側面に開放されている。この開放部は、キャパシタパック70および電池パック80を収容空間51に挿入するための挿入口52を構成している。電源収容部50は、このように収容空間51の一側方に挿入口52を有し、車載状態において、筐体11内の前側に配置されて、回路基板41よりも前側に位置する。それによって、車載状態のドライブレコーダ1においては、電源収容部50に収容されたキャパシタパック70によって回路基板41を熱害から守るようになっている。
【0056】
電源収容部50の内面のうち後面には、挿入口52から収容空間51の奥側に向かって延びる凹状部55が複数設けられている。複数の凹状部55は、湾曲状の凹面を内部に有し、上下方向に並んで配置されている。この実施形態において、凹状部55は、3つ設けられている。これら凹状部55は、キャパシタパック70の凸状部77と嵌め合う形状とされていて、この実施形態において、後述する車載規制機構60の実現に一役を担っている。
【0057】
このような電源収容部50に対し、電源パック90としてキャパシタパック70または電池パック80を収容することで、収容した電源パック90と前述の制御部40とが電気的に接続される。収容空間51を仕切る内壁部54のうち収容空間51の左端部を区画する部分には、複数の本体端子53が設けられている。これら複数の本体端子53は、上下方向に並んで配置されており、それぞれ右方向に向かって突出している。この実施形態において、本体端子53は、計5つ設けられている。
【0058】
本体端子53が設けられた内壁部54の上側の部位54aは、下側の部位54bに比べて左方に向かって陥没し、下側の部位54bとの間に段差を形成している。そうして陥没した上側の部位(陥没部位)54aには、5つある本体端子53のうちキャパシタパック専用の端子として、2つの本体端子53a,53bが設けられている。他方、下側の部位54bには、キャパシタパック70と電池パック80とで共用される端子として、3つの本体端子53c,53d,53eが設けられている。本体端子53は、電源収容部50にキャパシタパック70または電池パック80を収容したときに、収容した電源パック90に設けた端子と電気的に接続される。
【0059】
電池パック80は、二次電池81から制御部40へと電力を供給する機能のみを果たすのに対し、キャパシタパック70は、通常時と非常時とで、外部電源92から電力を供給するのか、あるいはキャパシタ71から電力を供給するのかを使い分ける必要がある。そうした使い分けに関連した機能を実現するべく、キャパシタパック70には、電池パック80よりも多くの端子74が設けられており、これに接続される本体端子53には、キャパシタパック専用の端子53a,53bが含まれる。
【0060】
キャパシタパック70を電源収容部50に挿入するときには、各凸状部77が電源収容部50内後面の対応する凹状部55の内側をスライドする。キャパシタパック70が電源収容部50に収容されると、
図11に示すように、個々のキャパシタ端子74とそれらに対応する本体端子53とが接続される。このとき、キャパシタパック70の突出部位70aは、電源収容部50の陥没部位54aに入り込み、それら突出部位70aのキャパシタ端子74と陥没部位54aの本体端子53とは、必要以上に押圧し合うことなく接触する。
【0061】
他方、電池パック80を電源収容部50に挿入するときには、電池パック80は凹状部55の外側をスライドする。電池パック80が電源収容部50に収容されると、
図12に示すように、個々の電池端子82とそれらに対応する本体端子53とが接続される。このとき、キャパシタパック70専用の本体端子53a,53bは、当該本体端子53a,53bが設けられた上側の部位54aと下側の部位54bとの段差により電池パック80とは接触しない。そのことで、キャパシタパック70専用の本体端子53a,53bが電池パック80との干渉により座屈したりして損傷するのを回避している。そして、電池パック80は凹状部55の内側に入るような部分を持たないので、凹状部55内は空間(空気層)とされる。
【0062】
また、筐体11の上面部分には、
図13および
図14に示すように、支持具20の取付ねじ26が締結される締結孔56と、ドライブレコーダ1(レコーダ本体10)の車載について許可および規制を管理するゲート部57とが設けられている。これら締結孔56をゲート部57とは、締結孔56と車幅方向に間隔をあけて配置されている。ゲート部57は、支持具20の嵌合突起27が嵌合する嵌合孔58と、嵌合孔58を開閉する板状バーからなる開閉体61とを有し、これら嵌合孔58および開閉体61が浅く窪んだ凹陥部59内に設けられた構造とされている。
【0063】
開閉体61は、レコーダ本体10の内部機構(車載規制機構60の動作)により回転変位するようになっている。この開閉体61は外部に露出しているため、その変位前後の位置は外部から視認可能である。そして、レコーダ本体10は、その開閉体61により嵌合孔56を閉塞することによって電源収容部50に電池パック80を装着した状態での車載を規制する車載規制機構60と、車載している状態での電源収容部50への電池パック80の装着を規制する電池装着規制機構65とをさらに備えている。
【0064】
- 車載規制機構・電池装着規制機構 -
図15に、ドライブレコーダ1において車載規制機構60および電池装着規制機構65を含む要部の内部構造図を示す。
図16に、電池装着規制機構65によって電池パック80の収容が規制された状態の内部構造図を示す。
図17に、ドライブレコーダ1において電源収容部50に電池パック80が収容された状態での内部構造の概念図を示す。
図18に、ドライブレコーダ1において電源収容部50にキャパシタパック70が収容された状態での内部構造の概念図を示す。また、
図19に、車載状態にあるドライブレコーダ1においてキャパシタパック70と電池パック80とを入れ替えようとしたときの内部構造の概念図を示す。
【0065】
車載規制機構60は、開閉体61を一構成要素とし、電源収容部50へのキャパシタパック70の着脱に応じて開閉体61を回転変位させる構造を有し、その開閉体61の回転変位により嵌合孔58を開閉するようにして、電池パック80を電源収容部50に収容した状態では嵌合孔58を閉塞する一方で、キャパシタパック70を電源収容部50に収容した状態では嵌合孔58を開放するように構成されている。
【0066】
具体的には、
図15に示すように、車載規制機構60は、開閉体61と、嵌合孔58から外れた箇所で開閉体61の一端部に上端が固定されて上下方向に延びる回転軸体62と、回転軸体62の長手方向における中程に設けられた作動片63とを備えている。開閉体61は、回転軸体62と一体に回転し、その回転位置に応じて回転径方向における外側の端部で嵌合孔58を開放したり閉塞したりするようになっている。回転軸体62は、トーションばねなどの図示しない付勢手段により、上方から見て時計回りに回転させる方向に常時付勢されて、開閉体62を嵌合孔58が閉塞される箇所に位置付けている。
【0067】
作動片63は、電源収容部50の凹状部55後側に対応する箇所に位置しており、回転軸体62の回転動作に伴って、電源収容部50で凹状部55内に突出する第1の位置(
図10および
図17参照)と、その第1の位置から収容空間51の奥側に向かって押し込まれた位置である第2の位置(
図9および
図18参照)との間を変位可能とされている。作動片63は、第1の位置にあるときには、凹状部55内に収まるサイズに形成されており、凹状部55の外側には迫り出さないようになっている。
【0068】
この作動片63は、上述の如く回転軸体62が付勢されていることで、第1の位置に向かって常時付勢されている。そして、作動片63における第1の位置と開閉体61による嵌合孔58の閉塞位置、作動片63における第2の位置と開閉体61による嵌合孔58の開放位置とは、それぞれ対応した関係とされている。すなわち、作動片63が第1の位置にあるときには嵌合孔58が開閉体61によって閉塞される一方で、作動片63が第2の位置にあるときには開閉体61が嵌合孔58に対応する箇所からずれて嵌合孔58が開放される。
【0069】
上記構成の車載規制機構60では、電源収容部50にキャパシタパック70を収容したときには、
図9、
図15および
図18に示すように、作動片63はキャパシタパック70に設けられた凸状部77により押し込まれて第2の位置に変位し、
図13に示すようにその作動片63の変位に伴う回転軸体62の回転動作により嵌合孔58が開放される。このようにして嵌合孔58が開放された状態では、支持具20の嵌合突起27を嵌合孔58に嵌合させることが可能になり、ドライブレコーダ1を支持具20に取り付けられる。よって、キャパシタパック70を装着した状態であると、ドライブレコーダ1を車載することができる。
【0070】
他方、電源収容部50に電池パック80を収容したときには、
図10および
図17に示すように、電池パック80は凹状部55内に入る部分を持たないため作動片63を押し込むことがなく、作動片63は回転軸体62の付勢力に任せて第1の位置に位置し、
図14に示すように嵌合孔58は閉塞される。このようにして嵌合孔58が閉塞された状態では、支持具20の嵌合突起27を嵌合孔58に嵌合させられず、ドライブレコーダ1を支持具20に取り付けられない。よって、電池パック80を装着したままの状態ではドライブレコーダ1を車載することができない。
【0071】
電池装着規制機構65は、前述の車載規制機構60と回転軸体62を共有し、嵌合孔58の開閉に応じて電源収容部50内の電池パック80の収容箇所(装着箇所)に電池パック80の挿入を阻害する規制片66を出没させるようにし、嵌合孔58が閉塞している状態(つまり、作動片63が第1の位置にある状態)では電池パック80の装着箇所に規制片66を突出させない一方で、嵌合孔58が開放している状態(つまり、作動片63が第2の位置にある状態)では電池パック80の収容箇所に規制片66を突出させるように構成されている。
【0072】
具体的には、電池装着規制機構65は、車載規制機構60と共通の回転軸体62と、回転軸体62の長手方向において作動片63よりも上側の位置に設けられた規制片66とを備えている。規制片66は、電源収容部50の凹状部55後側を外れた箇所に位置付けられていて、回転軸体62の回転動作に伴って、電源収容部50における電池パック80の収容箇所に突出しない第1の位置(
図17参照)と、電源収容部50における電池パック80の収容箇所に突出する第2の位置(
図9および
図18参照)との間を変位可能とされている。
【0073】
この規制片66は、上述の如く回転軸体62が付勢されていることで、第1の位置に向かって常時付勢されている。そして、規制片66における第1の位置と開閉体61による嵌合孔58の閉塞位置、規制片66における第2の位置と開閉体61による嵌合孔58の開放位置とは、それぞれ対応した関係とされている。すなわち、嵌合孔58が開閉体61によって閉塞されているときには規制片66が第1の位置に位置する一方で、開閉体61が嵌合孔58に対応する箇所からずれて嵌合孔58が開放されているときには規制片66が第2の位置に位置する。
【0074】
上記構成の電池装着規制機構65では、電源収容部50にキャパシタパック70を収容したときには、
図18に示すように、前述したように作動片63が第2の位置に変位して嵌合孔58が開放されると共に、そのときの回転軸体62の回転動作により規制片66が第2の位置に変位して電源収容部50内における電池パック80の収容箇所に突出する。このとき、キャパシタパック70には逃げ部78が設けられているので、規制片66は第2の位置にあっても逃げ部78に挿入されるだけでキャパシタパック70とは干渉しない。
【0075】
このようにして規制片66が第2の位置にある状態、つまり電池パック80の収容箇所に規制片66が突出した状態は、ドライブレコーダ1を車載状態としたまま電源収容部50からキャパシタパック70を取り外しても、開閉体61の戻り方向(嵌合孔58を閉塞する方向)への回転が嵌合突起27で制限されるため維持される。よって、
図16および
図19に示すように、車載状態のドライブレコーダ1において、キャパシタパック70に替えて電源収容部50に電池パック80を収容しようとしても、電源収容部50内で電池パック80の収容箇所に立った規制片66が電池パック80の挿入を阻害するため、電池パック80を装着することができない。
【0076】
この実施形態に係るドライブレコーダ1によると、電池パック80を装着した状態でのドライブレコーダ1の車載が車載規制機構60により規制されるので、電池パック80を装着したままではドライブレコーダ1が車載されないようにすることができる。また、車載している状態での電源収容部50への電池パック80の収容が電池装着規制機構65により規制されるので、ドライブレコーダ1を車載した後にも車載したままのドライブレコーダ1に電池パック80を収容できないようにすることができる。それらによって、ドライブレコーダ1が電池パック80付きの状態で高温になり得る車室内に放置されるのを回避することができる。その結果、ドライブレコーダ1を車載している状態で電池パック80が車室内の熱による弊害を被るのを防止することができる。
【0077】
また、この実施形態に係るドライブレコーダ1によると、開閉体61の回転位置を外部から視認するだけで、嵌合孔58が開放されているのか或いは閉塞されているのか(つまり、車載を許容する状態にあるのか或いは車載を規制する状態にあるのか)を確認できるので、ドライブレコーダ1の車載作業を容易に行える。
【0078】
また、この実施形態に係るドライブレコーダ1によると、電池パック80の収容空間とキャパシタパック70の収容空間とを1つの収容空間51で兼用するので、電源収容部50に必要な収容空間51がキャパシタパック70および電池パック80のうち一方の電源パック90のみを選択的に収容可能な広さで済む。このことは、ドライブレコーダ1の大型化を抑制するのに有利である。
【0079】
以上のように、本開示の技術の例示として、好ましい実施形態について説明した。しかし、本開示の技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。また、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須でない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることを以て、直ちにそれらの必須でない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0080】
例えば、前記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0081】
前記実施形態では、キャパシタパック70に収容されるキャパシタ71として、シリンダ型の電気二重層キャパシタを用いるとしたが、これに限らない。キャパシタ71には、シリンダ型の電気二重層キャパシタに代えて、コイン(ボタン)型、ラミネート型などの電気二重層キャパシタを用いてもよいし、電気二重層キャパシタ以外のコンデンサを用いても構わない。
【0082】
前記実施形態では、ドライブレコーダ1について補助電源としてキャパシタパック70を用いる場合を例示したが、これに限らない。例えば、ドライブレコーダ1の補助電源には、キャパシタパック70に代えて、車室内の高温環境下でも熱暴走を引き起こしたり発火などを生じたりしない程度に耐熱性の高いものであれば、電池パックを用いてもよい。
【0083】
また、前記実施形態では、電池パック80に収容される二次電池81として、リチウムイオン電池を用いるとしたが、これに限らない。リチウムイオン電池に代えて、その他の二次電池が用いてもよいし、使い捨ての乾電池を用いても構わない。
【0084】
また、前記実施形態では、車載規制機構60について開閉体61の回転動作によって嵌合孔を開閉する構成を例示したが、これに限らない。車載規制機構60は、開閉体61が、キャパシタパック70の着脱に応じて嵌合孔58に対応する位置と嵌合孔58から外れた位置とをスライド移動し、その開閉体61のスライド動作によって嵌合孔61を開閉するようになっていてもよい。また、車載規制機構60は、電池パック80が電源収容部50に収容されたときに嵌合孔58を閉塞するようになっていても構わない。要は、車載規制機構60は、電源収容部50に電池パック80を収容した状態での車載を規制するよう構成されていればよい。
【0085】
また、前記実施形態では、電池装着規制機構65について、車載規制機構60と一部の構成要素を共用している構成を例示したが、これに限らない。電池装着規制機構65は、全ての構成要素が車載規制機構60とは別個に設けられていてもよい。例えば、電池装着規制機構65は、車載規制機構60の回転軸体62および作動片63とそれぞれ機能は同じであるが別個の独立した回転軸体および作動片を備え、作動片および規制片66が回転軸体に一体に設けられた構成とされていてもよい。
【0086】
また、前記実施形態では、ドライブレコーダ1について電源パック90を収容する電源収容部50を備える構成を例示したが、これに限らない。電源収容部50は、電源装着部の一例に過ぎず、ドライブレコーダ1に電池パック90を着脱可能とする構成であれば、他の構成の電源装着部が採用されていてもよい。
【0087】
また、前記実施形態では、本開示の技術に係るドライブレコーダについて、アクションカメラとしても使用可能なドライブレコーダ1を例示したが、これに限らない。ドライブレコーダ1は、アクションカメラに代えて、またはアクションカメラに加えて、ポータブルナビやデータロガーなどの他のポータブル機器として使用可能とされていてもよいし、ポータブル機器以外にも監視カメラなどの据付け型の機器として使用可能とされていてもよく、車外で使用可能な機能は特に限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0088】
以上説明したように、本開示の技術は、車外で使用可能な機能を有するドライブレコーダについて有用である。
【符号の説明】
【0089】
1…ドライブレコーダ
10…レコーダ本体
11…筐体
12…蓋部材
20…支持具
21…可動アーム
22…固定基部
23…軸部材
24…取付面
25…締付ホイール
26…取付ねじ
27…嵌合突起
28…ラチェット機構
30…撮像部
31,32…撮像レンズ
33…撮像素子
40…制御部
41…回路基板
40a…メモリ
40b…記録媒体
50…電源収容部(電源装着部)
51…収容空間
52…挿入口
53,53a,53b,53c,53d,53e…本体端子
54…内壁部
54a…上側の部位(陥没部位)
54b…下側の部位
55…凹状部
56…締結孔
57…ゲート部
58…嵌合孔
59…凹陥部
60…車載規制機構
61…開閉体
62…回転軸体
63…作動片
65…電池装着規制機構
66…規制片
70…キャパシタパック(補助電源)
71…キャパシタ
72…コネクタ
73a…切替部
74,74a,74b,74c,74d,74e…キャパシタ端子
75…板状挿入部
76…電源制御部
77…凸状部
78…逃げ部
80…電池パック(電池電源)
81…二次電池
82,82c,82d,82e…電池端子
90…電源パック
91…電源ケーブル
92…外部電源
100…車両
101…フロントウインドシールド