(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-21
(45)【発行日】2023-01-04
(54)【発明の名称】鞍乗型車両
(51)【国際特許分類】
B62J 50/30 20200101AFI20221222BHJP
B62J 35/00 20060101ALI20221222BHJP
B62J 41/00 20200101ALI20221222BHJP
B62J 37/00 20060101ALI20221222BHJP
【FI】
B62J50/30
B62J35/00 F
B62J41/00
B62J37/00 B
(21)【出願番号】P 2018199145
(22)【出願日】2018-10-23
【審査請求日】2021-05-24
(73)【特許権者】
【識別番号】521431099
【氏名又は名称】カワサキモータース株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118784
【氏名又は名称】桂川 直己
(72)【発明者】
【氏名】橋場 雄伍
(72)【発明者】
【氏名】西原 寿行
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼山 翔吾
(72)【発明者】
【氏名】里 哲朗
(72)【発明者】
【氏名】牧原 稔
【審査官】渡邊 義之
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3157143(JP,U)
【文献】特開2014-69624(JP,A)
【文献】英国特許出願公開第2529531(GB,A)
【文献】特開2018-86908(JP,A)
【文献】特開2020-15386(JP,A)
【文献】特開2013-166505(JP,A)
【文献】登録実用新案第3158848(JP,U)
【文献】特開2004-306625(JP,A)
【文献】特開2016-168948(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 50/30
B62J 35/00
B62J 41/00
B62J 37/00
B62J 23/00
B62J 17/02- 17/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、
前記エンジンとの間で循環する冷却水から熱を奪い、熱を放出して冷却水の温度を下げることができるラジエータと、
前記ラジエータの上方に配置される燃料タンクと、
前後方向に延びる第1カバー部材と、
前後方向に延び、前記第1カバー部材とは別の部品である第2カバー部材と、
を備え、
前記第1カバー部材は、前記ラジエータの車幅方向外側に配置され、
前記第2カバー部材は、前記燃料タンクの車幅方向外側に配置され、
車幅方向で見たときに、前記第1カバー部材の上縁と前記第2カバー部材の下縁との間に、前後方向に隙間が形成され
、
前記ラジエータの上部にラジエータキャップが配置されており、
車幅方向で見たときに、前記第1カバー部材と前記第2カバー部材との間の前記隙間から、前記ラジエータキャップの少なくとも一部が露出していることを特徴とする鞍乗型車両。
【請求項2】
請求項1に記載の鞍乗型車両であって、
前記第1カバー部材の上縁に、上方を開放させる凹部が形成されていることを特徴とする鞍乗型車両。
【請求項3】
請求項1
又は2に記載の鞍乗型車両であって、
前記第1カバー部材の縁部が、車幅方向中央側に折り曲げられていることを特徴とする鞍乗型車両。
【請求項4】
エンジンと、
前記エンジンとの間で循環する冷却水から熱を奪い、熱を放出して冷却水の温度を下げることができるラジエータと、
前記ラジエータの上方に配置される燃料タンクと、
前後方向に延びる第1カバー部材と、
前後方向に延び、前記第1カバー部材とは別の部品である第2カバー部材と、
を備え、
前記第1カバー部材は、前記ラジエータの車幅方向外側に配置され、
前記第2カバー部材は、前記燃料タンクの車幅方向外側に配置され、
車幅方向で見たときに、前記第1カバー部材の上縁と前記第2カバー部材の下縁との間に、前後方向に隙間が形成され、
前記エンジンは、前記ラジエータの後方に配置され、
前記エンジンは、シリンダブロックと、前記シリンダブロックの上方に配置されるシリンダヘッドと、を備え、
車幅方向で見たときに、前記第1カバー部材が、前記シリンダヘッドと前記シリンダブロックとの境界の少なくとも一部に重なるように配置されることを特徴とする鞍乗型車両。
【請求項5】
請求項1から
4までの何れか一項に記載の鞍乗型車両であって、
フレームを備え、
車幅方向で見たときに、前記第1カバー部材が、前記フレームに形成された溶接部分の少なくとも一部に重なるように配置されることを特徴とする鞍乗型車両。
【請求項6】
エンジンと、
前記エンジンとの間で循環する冷却水から熱を奪い、熱を放出して冷却水の温度を下げることができるラジエータと、
前記ラジエータの上方に配置される燃料タンクと、
前後方向に延びる第1カバー部材と、
前後方向に延び、前記第1カバー部材とは別の部品である第2カバー部材と、
を備え、
前記第1カバー部材は、前記ラジエータの車幅方向外側に配置され、
前記第2カバー部材は、前記燃料タンクの車幅方向外側に配置され、
車幅方向で見たときに、前記第1カバー部材の上縁と前記第2カバー部材の下縁との間に、前後方向に隙間が形成され、
前記エンジンには、前記冷却水の排出口が、車幅方向外側に開口するように形成され、
前記車幅方向で見たときに、前記第1カバー部材が、前記排出口の少なくとも一部と重なるように配置されることを特徴とする鞍乗型車両。
【請求項7】
請求項1から
6までの何れか一項に記載の鞍乗型車両であって、
前記エンジンの車幅方向外側に配置され、前記燃料タンク内で蒸散した燃料ガスを吸着することができるキャニスタを備え、
前記車幅方向で見たときに、前記第1カバー部材が、前記キャニスタの少なくとも一部と重なるように配置されることを特徴とする鞍乗型車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鞍乗型車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、エンジンと、ラジエータ等の部材を車幅方向外側から覆うカバー部材と、を備える鞍乗型車両が知られている。特許文献1から6は、この種の鞍乗型車両を開示する。
【0003】
特許文献1の自動二輪車は、エンジンと、エンジンの前方に配置されたラジエータと、ラジエータを覆ったラジエータカバーと、燃料タンクとエンジンとの間の両側方を覆うサイドカバーと、を備える。そして、ラジエータカバーには、ラジエータからの排風を車体後方へ排出する排風口が形成されている。サイドカバーは、排風口を臨む位置に設けられている。
【0004】
特許文献2の自動2輪車は、エンジンと、エンジンのシリンダ部を冷却するラジエータと、燃料タンクの前部左右を覆うタンクシュラウドと、サイドカバーと、を備える。タンクシュラウドは、ラジエータシュラウドも兼ね、ラジエータを内側に収容する。そして、タンクシュラウドの後部は、サイドカバーの上側前部と接続する。ただし、部分的に非接続の離隔部が設けられ、この離隔部による間隙が排風口になっている。この自動2輪車では、排風口からラジエータの温排風を車外へ排出する。
【0005】
特許文献3の自動二輪車は、エンジンと、エンジンからの熱を大気に放出するラジエータと、ラジエータの車幅方向外側外面を覆い、走行風を前方からその内側に取込んでラジエータに送るラジエータシュラウドと、を備える。ラジエータシュラウドには、ラジエータを通過した走行風を排出させる排出口が形成されている。また、ラジエータシュラウドには、当該ラジエータシュラウド内側に前方から取り込む走行風の一部を、ラジエータを通さずにその外側に流す開口が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2004-306625号公報
【文献】特開2016-168948号公報
【文献】特開2014-125012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1の構成では、ラジエータからの排風を排出する排風口がサイドカバーに臨んでいるので、サイドカバーが、排風口から流出する排風を遮る可能性がある。そのため、ラジエータカバー内に熱がこもる可能性がある。
【0008】
上記特許文献2の構成では、タンクシュラウド後部の排風口が部分的であるので、当該排風口を介して、温排風を効果的に排出することができなくなる可能性がある。
【0009】
上記特許文献3の構成では、ラジエータを通過した走行風を排出させる排出口が、ラジエータシュラウドに部分的に形成されているだけである。そのため、特許文献3の構成は、ラジエータシュラウド内に熱がこもる可能性がある点で改善の余地があった。
【0010】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その目的は、カバー部材の内側に熱がこもることを効果的に抑制することができる鞍乗型車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0012】
本発明の観点によれば、以下の構成の鞍乗型車両が提供される。即ち、この鞍乗型車両は、エンジンと、ラジエータと、燃料タンクと、第1カバー部材と、第2カバー部材と、を備える。ラジエータは、エンジンとの間で循環する冷却水から熱を奪い、熱を放出して冷却水の温度を下げることができる。燃料タンクは、ラジエータの上方に配置される。第1カバー部材は、前後方向に延びる。第2カバー部材は、前後方向に延び、第1カバー部材とは別の部品である。そして、第1カバー部材は、ラジエータの車幅方向外側に配置され、第2カバー部材は、燃料タンクの車幅方向外側に配置され、車幅方向で見たときに、第1カバー部材の上縁と第2カバー部材の下縁との間に、前後方向に隙間が形成されている。前記ラジエータの上部にラジエータキャップが配置されている。車幅方向で見たときに、前記第1カバー部材と前記第2カバー部材との間の前記隙間から、前記ラジエータキャップの少なくとも一部が露出している。
【0013】
これにより、ラジエータを覆う第1カバー部材を、燃料タンクを覆う第2カバー部材とは別の部品とすることで、第1カバー部材を小型化できる。従って、ラジエータ及びエンジン等から発生する熱がこもりにくくなるとともに、音の反響による騒音の増幅作用も防止できる。ラジエータキャップに外部から容易にアクセスすることができる。
【0014】
第1カバー部材と第2カバーとの間の隙間が前後方向に長いので、走行時に当該隙間に風を円滑に流すことができ、これによっても熱のこもりを低減できる。
【0015】
第1カバー部材及び第2カバー部材は、それぞれ独立して取外し/取付けを行うことが容易である。例えば、第1カバーだけを取り外す簡単な作業で、ラジエータにアクセスすることができ、メンテナンス性が良好である。また、第1カバー部材及び第2カバー部材のうち一方だけが破損した場合、破損した方だけを交換すれば良いので、修理の工数及びコストを低減できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、カバー部材の内側に熱がこもることを効果的に抑制することができる鞍乗型車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態に係る自動二輪車の全体的な構成を示す右側面図。
【
図2】左側のラジエータカバーを取り外した状態を示す左側面図。
【
図3】右側のラジエータカバーを取り外した状態を示す右側面図。
【
図4】左側のラジエータカバー及びその周囲の構造を示す左側面図。
【
図5】右側のラジエータカバー及びその周囲の構造を示す右側面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る自動二輪車1の全体的な構成を示す右側面図である。
図2は、左側のラジエータカバー69Lを取り外した状態を示す左側面図である。
図3は、右側のラジエータカバー69Rを取り外した状態を示す右側面図である。
図4は、左側のラジエータカバー69L及びその周囲の構造を示す左側面図である。
図5は、右側のラジエータカバー69R及びその周囲の構造を示す右側面図である。
【0019】
以下の説明において、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、及び「下」というときは、自動二輪車1に跨るライダーを基準とした前、後、左、右、上、及び下を意味する。
【0020】
図1に示すように、自動二輪車(鞍乗型車両)1は、エンジン11と、車体フレーム5と、燃料タンク6と、ラジエータ51と、キャニスタ61と、を備える。
【0021】
エンジン11は、自動二輪車1の駆動源である。エンジン11は、シリンダブロック12と、シリンダヘッド13と、を備える。シリンダブロック12の上方には、シリンダヘッド13が配置されている。シリンダブロック12は、ピストンを収容するシリンダと、クランクシャフトや変速ギア等を収容するクランクケースと、を備える。ピストンが往復運動することによって発生する駆動力は、変速ギアによって変速され、ドライブチェーンを介して後輪3に伝達される。
【0022】
エンジン11は水冷式のエンジンとして構成されており、シリンダヘッド13の上部には、エンジン11の内部に冷却水を供給するための冷却水入口部14が形成されている。また、シリンダブロック12の左側面には、エンジン11の外部に冷却水を排出するための冷却水出口部(排出口)15が形成されている。シリンダブロック12及びシリンダヘッド13の内部には、冷却水の流路である図略のジャケットが形成されている。
【0023】
車体フレーム5は、自動二輪車1の骨格となる部材である。車体フレーム5は、複数の金属パイプを組み合わせて形成されている。車体フレーム5は、
図1に示すように、ヘッドパイプ21と、メインフレーム22と、ダウンフレーム23と、シートフレーム24と、サブシートフレーム25と、を備える。
【0024】
ヘッドパイプ21は、パイプ形状を有しており、車体の前部に配置されている。ヘッドパイプ21の上端は、上方に向かって開放されており、ヘッドパイプ21の下端は、下方に向かって開放されている。ヘッドパイプ21には、図示しないステアリングシャフトが差し込まれて回転可能に支持されている。
【0025】
ステアリングシャフトの上端部には、ライダーが操舵するためのステアリングハンドル31が取り付けられている。ステアリングシャフトの下端部には、フロントフォーク32が設けられている。
【0026】
フロントフォーク32は、図略の適宜の部材を介してステアリングシャフトに連結されている。フロントフォーク32の下端部には、前輪2が回転可能に支持されている。また、フロントフォーク32の下部には、前輪2を上側から覆うフロントフェンダー33が設けられている。
【0027】
メインフレーム22は、左右1対のフレームであり、エンジン11の上方に配置されている。メインフレーム22は、それぞれ、ヘッドパイプ21から略後方下側に向かって延びている。メインフレーム22の後端部にはエンジン11が固定されている。メインフレーム22には、様々な部材(例えば、燃料タンク6等)が固定されている。
【0028】
ダウンフレーム23は、メインフレーム22の下方に配置されている。ダウンフレーム23の前端部は、ヘッドパイプ21の後部に溶接により固定されている。
【0029】
ダウンフレーム23は、メインフレーム22と同様に左右1対のフレームであり、ヘッドパイプ21から後方下側に向かって延びている。ダウンフレーム23の後端部にはエンジン11が固定されている。
【0030】
シートフレーム24は、ライダーが座るためのシート90を支持する。シートフレーム24は左右1対のフレームであり、左右1対のメインフレーム22の後端部からそれぞれ後方上側に向かって延びている。
【0031】
サブシートフレーム25は、左右1対のフレームであり、シートフレーム24の下方に配置されている。それぞれのサブシートフレーム25は、シートフレーム24と同様に、後方上側に向かって延びている。サブシートフレーム25の前端部は、シートフレーム24の前端部よりも低くかつ後方に位置している。シートフレーム24の前端部とサブシートフレーム25の前端部は、補強フレーム26によって連結されている。
【0032】
車体フレーム5には、複数のブラケット部材が溶接により固定されている。例えば、
図2及び
図3に示すように、ダウンフレーム23の左右それぞれの後端部の近くには、第1ブラケット部材41が溶接されている。第1ブラケット部材41は、左右1対で(2つ)配置される。それぞれの第1ブラケット部材41にはボルト孔が形成されている。第1ブラケット部材41は、後述するラジエータ51及びラジエータカバー69をボルトで固定するために用いられる。
【0033】
図2に示すように、左側のメインフレーム22の後端部近傍には、第2ブラケット部材42が溶接により固定されている。第2ブラケット部材42は、メインフレーム22との溶接箇所から前側に突出するように設けられている。左側のシートフレーム24の前端部には、第3ブラケット部材43が溶接により固定されている。第3ブラケット部材43は、シートフレーム24との溶接箇所から下側に突出するように設けられている。第2ブラケット部材42及び第3ブラケット部材43のそれぞれには、ボルト孔が形成されている。第2ブラケット部材42及び第3ブラケット部材43は、左側のラジエータカバー69Lをボルトにより固定するために用いられる。
【0034】
図3に示すように、右側のメインフレーム22の後端部近傍には、2つの第4ブラケット部材44がそれぞれ溶接により固定されている。第4ブラケット部材44は、メインフレーム22の長手方向に沿って間隔をあけて2つ並べて配置されている。2つの第4ブラケット部材44は、何れも前側に突出するように設けられている。それぞれの第4ブラケット部材44には、ボルト孔が形成されている。第4ブラケット部材44は、右側のラジエータカバー69Rをボルトにより固定するために用いられる。
【0035】
図1に示す燃料タンク6は、エンジン11に供給するための燃料を貯留する。燃料タンク6は、後述するラジエータ51の上方に配置され、車体フレーム5に固定される。
【0036】
次に、ラジエータ51について説明する。本実施形態では、ラジエータ51は、サイドタンク型であり、正面から見て、左右のダウンフレーム23に跨るように設けられている。ラジエータ51は、第1ブラケット部材41を介して、左右のダウンフレーム23に固定される。
【0037】
ラジエータ51は、図示しないラジエータコアと、上流側タンク52と、下流側タンク53と、を備える。
図2に示すように、上流側タンク52は、ラジエータコアの左端部に接続されている。
図3に示すように、下流側タンク53は、ラジエータコアの右端部に接続されている。
【0038】
ラジエータコアは公知の構成であるため詳細な説明は省略するが、当該ラジエータコアは、上流側タンク52内の冷却水を下流側タンク53内に流すための複数のパイプを有している。また、ラジエータコアは、冷却フィンを有している。冷却フィンは、ラジエータコアのパイプの周囲に設けられており、冷却フィンに走行風が当たることによって、パイプ内の冷却水から熱が奪われる。
【0039】
上流側タンク52の後部には、エンジン11からの冷却水を流入させるための図略の開口部が形成されている。上流側タンク52の開口部とエンジン11の冷却水出口部15は、
図2に示すアッパーホース54によって接続されている。
【0040】
下流側タンク53の下部には、当該下流側タンク53内の冷却水を流出させるための図略の開口部が形成されている。下流側タンク53の開口部とエンジン11の冷却水入口部14は、ロアホース55によって接続されている。
【0041】
この構成で、エンジン11の駆動に応じて図略のウォータポンプが作動すると、エンジン11から熱を奪った冷却水は、エンジン11の冷却水出口部15から排出され、アッパーホース54内を流れる。そして、当該冷却水は、アッパーホース54を通じて、上流側タンク52内に流入する。上流側タンク52の冷却水は、ラジエータコアを通過する過程で冷却された後、下流側タンク53に流れる。下流側タンク53内に流入した冷却水は、ロアホース55を通じて、エンジン11の冷却水入口部14に供給される。このように、エンジン11の駆動によって冷却水が循環するようになっている。
【0042】
なお、下流側タンク53の上部には、
図3に示すように、ラジエータキャップ57が設けられている。ラジエータキャップ57には、図示しないリザーバタンクが接続されている。
【0043】
ラジエータキャップ57は、加圧弁と、負圧弁と、を備える。冷却系統内(即ち、冷却水の循環経路)の圧力が所定値以上になった場合は、加圧弁が開弁し、下流側タンク53内の冷却水をリザーバタンク内に流入させる。その一方で、冷却系統内の圧力が大気圧よりも低くなった場合は、負圧弁が開弁し、リザーバタンク内の冷却水を下流側タンク53内に流入させる。
【0044】
次に、キャニスタ61について説明する。キャニスタ61は、
図2及び
図4に示すように、エンジン11の左側に設けられている。具体的には、
図2に示すように、左側の第1ブラケット部材41にマウントステー62が固定される。キャニスタ61は、マウントステー62に対して、弾性体からなる保持部材であるゴムバンド63によって取り付けられる。
【0045】
キャニスタ61は、燃料蒸発ガス排出抑止装置であり、燃料タンク6及びエンジン11に接続されている。キャニスタ61は、燃料タンク6内で蒸散した燃料ガスを吸着することができる。キャニスタ61において吸着された燃料ガスは、エンジン11の駆動時に当該エンジン11へ供給される。
【0046】
キャニスタ61は、
図2に示すように、シリンダブロック12の左側面に形成されている冷却水出口部15に、車幅方向外側から重なるように配置されている。
【0047】
図1に示すように、自動二輪車1には、機器の機械的保護、意匠性の向上等を目的として、車体の外側を覆う各種のカバー部材が設けられている。カバー部材としては、例えば、フロントカウル65、シュラウド67、サイドカバー68、及びラジエータカバー69を挙げることができる。ラジエータカバー69は第1カバー部材に相当し、シュラウド67は第2カバー部材に相当する。以下、それぞれについて説明する。
【0048】
フロントカウル65は、フロントフェンダー33の上方に配置されている。フロントカウル65は、車体の前方に向けられたヘッドライト7を露出させた状態で、車体の前端部を覆っている。
【0049】
シュラウド67は、前後方向に延びており、燃料タンク6と、後述するサイドカバー68の上部と、に隣接するように、車体の左右両側に取り付けられる。シュラウド67は、車幅方向外側から、メインフレーム22、ダウンフレーム23、燃料タンク6等を、車幅方向外側から覆う。
図1等に示すように、車幅方向外側から見たときに、シュラウド67の下端から、メインフレーム22及びダウンフレーム23が露出している。
【0050】
サイドカバー68は、車体の左右両側に取り付けられる。サイドカバー68は、車幅方向外側から、シートフレーム24や補強フレーム26等を覆う。
【0051】
ラジエータカバー69は、車体の左右両側に配置されている。それぞれのラジエータカバー69は、
図4及び
図5に示すように、シュラウド67の下方に配置されている。これにより、車体の左右の何れにおいても、シュラウド67の下縁とラジエータカバー69の上縁との間には、隙間85が形成されている。この隙間85は、前後方向に延びるように形成されている。
【0052】
先ず、
図2及び
図4を参照して、左側のラジエータカバー69L(以下、左ラジエータカバーと呼ぶことがある)について詳しく説明する。
【0053】
左ラジエータカバー69Lは、
図4に示すように、ラジエータ51の前面左端部から、左側のメインフレーム22とシートフレーム24との接続部分近傍まで、前後方向に延びている。
【0054】
左ラジエータカバー69Lの上部であって前後方向中途部は、下方にV字状に窪んでいる。従って、左ラジエータカバー69Lの上縁には、上方を開放させる凹部81Lが形成されている。この凹部81Lが形成されている部分では、シュラウド67と左ラジエータカバー69Lの間の距離が、他の部分(例えば、ラジエータカバー69Lの前端部)の場合と比較して、上下方向で大きくなっている。
【0055】
左ラジエータカバー69Lは、1つの部材である。左ラジエータカバー69Lにおいては、前カバー部71と、後カバー部72と、が一体的に形成されている。前カバー部71と後カバー部72とは互いに接続しており、この接続箇所が、上記の凹部81Lにおいて最も窪んだ部分に対応している。
【0056】
前カバー部71は、側面視で上下方向にやや細長い略5角形状に形成されている。前カバー部71は、後方にいくに従って細くなるように形成されている。前カバー部71は、車幅方向左側から、ラジエータ51が備える上流側タンク52の左側面を覆っている。
【0057】
後カバー部72は、
図4に示すように、前後方向に細長い略3角形状に形成されている。後カバー部72は、前カバー部71よりも後方に配置されている。
【0058】
後カバー部72は、前後方向中央部から前方にいくに従って細くなるように、また、後方にいくに従って細くなるように形成されている。後カバー部72は、前カバー部71に対して車幅方向外側(左側)へ少し盛り上がるように形成されている。
【0059】
後カバー部72は、メインフレーム22の前側に位置している。後カバー部72のうち、前カバー部71と接続している部分の近傍は、車幅方向外側からダウンフレーム23を覆うように設けられている。後カバー部72は、車幅方向外側から、キャニスタ61及びエンジン11を覆っている。また、後カバー部72は、車幅方向外側から、第1ブラケット部材41と、第2ブラケット部材42と、第3ブラケット部材43と、を覆っている。後カバー部72は、車体の左側に配置された第1ブラケット部材41の溶接部分を隠している。従って、車幅方向外側から、溶接部分の溶接痕が見えないようになっている。また、後カバー部72は、メインフレーム22又はシートフレーム24に近接して配置されている。従って、第2ブラケット部材42とメインフレーム22との溶接部分、及び、第3ブラケット部材43とシートフレーム24との溶接部分において、溶接痕は車幅方向外側から殆ど見えなくなっている。
【0060】
後カバー部72の中央部には、
図4に示すように、前後方向に延びる開口部が形成されている。開口部は、後カバー部72を車幅方向で貫通するように形成されている。この開口部を通じて、キャニスタ61の一部が露出している。
【0061】
後カバー部72のうち、当該開口部の上側で前後方向に延びている部分は、キャニスタ61よりも車幅方向中央側に配置されているエンジン11のシリンダブロック12とシリンダヘッド13との境界部分(シリンダブロック12とシリンダヘッド13との接合面11a)に沿うように形成されている。当該部分は、車幅方向外側から、接合面11aを覆っている。
【0062】
後カバー部72のうち、当該開口部の下側で前後方向に延びている部分の後部は、エンジン11の冷却水出口部15に車幅方向外側から重なるように配置されている。
【0063】
後カバー部72のうち、上述の第1ブラケット部材41、第2ブラケット部材42及び第3ブラケット部材43のボルト孔に対向する位置には、ボルト8を差込可能な図略の取付孔が形成されている。
【0064】
次に、
図3及び
図5を参照して、右側のラジエータカバー69R(以下、右側ラジエータカバーと呼ぶことがある)について詳しく説明する。
【0065】
右ラジエータカバー69Rは、
図5に示すように、ラジエータ51の前面右端部から、右側のメインフレーム22とシートフレーム24との接続部分近傍まで、前後方向に延びている。
【0066】
右ラジエータカバー69Rの上部であって前後方向中途部は、下方にV字状に窪んでいる。従って、右ラジエータカバー69Rの上縁には、上方を開放させる凹部81Rが形成されている。この凹部81Rが形成されている部分では、シュラウド67と右ラジエータカバー69Rの間の距離が、他の部分(例えば、ラジエータカバー69Rの前端部)の場合と比較して、上下方向で大きくなっている。
【0067】
右ラジエータカバー69Rは、左ラジエータカバー69Lと同様に、1つの部材である。右ラジエータカバー69Rにおいては、前カバー部76と、後カバー部77と、が一体的に形成されている。前カバー部76と後カバー部77とは互いに接続しており、この接続箇所が、上記の凹部81Rにおいて最も窪んだ部分に対応している。
【0068】
前カバー部76は、上下方向にやや細長い略6角形状に形成されている。前カバー部71は、後方にいくに従って細くなるように形成されている。前カバー部71は、車幅方向右側から、ラジエータ51が備える下流側タンク53の右側面を覆っている。
【0069】
前カバー部76のうち、後カバー部77と接続している部分の近傍は、車幅方向外側からダウンフレーム23を覆うように設けられている。前カバー部76は、右側のダウンフレーム23の後端部近傍に溶接されている第1ブラケット部材41を覆っている。前カバー部76は、当該第1ブラケット部材41の溶接部分を隠している。従って、車幅方向外側から、溶接部分の溶接痕が見えないようになっている。
【0070】
ラジエータ51の上面右端近傍にはラジエータキャップ57が配置されている。車体の右側から車幅方向で見たときに、このラジエータキャップ57は、前カバー部76から上方へ突出するようにして、前カバー部76と右側のシュラウド67との隙間85から大部分が露出している。従って、右側のシュラウド67及び右ラジエータカバー69Rを装着した状態であっても、ライダー等がラジエータキャップ57に容易にアクセスすることができる。
【0071】
前カバー部76のうち、上述の第1ブラケット部材41のボルト孔に対向する位置には、ボルト8を差込可能な図略の取付孔が形成されている。
【0072】
後カバー部77は、
図5に示すように、前後方向に細長い略3角形状に形成されている。後カバー部77は、前カバー部76よりも後方に配置されている。後カバー部77は、前後方向中央部から前方にいくに従って細くなるように、また、後方にいくに従って細くなるように形成されている。後カバー部77は、前カバー部76に対して車幅方向外側(右側)へ少し盛り上がるように形成されている。
【0073】
後カバー部77は、メインフレーム22の前側に位置している。後カバー部77の後端部は、車幅方向外側から見て、メインフレーム22に沿うように形成されている。後カバー部77は、メインフレーム22に溶接されている第4ブラケット部材44を覆っている。後カバー部77は、メインフレーム22に近接して配置されている。従って、第4ブラケット部材44とメインフレーム22との溶接部分の溶接痕は、車幅方向外側から殆ど見えなくなっている。
【0074】
後カバー部77の中央部には、
図5に示すように、開口部が形成されている。開口部は、後カバー部77を車幅方向で貫通するように形成されている。この開口部を通じて、エンジン11のシリンダヘッド13の一部が露出している。
【0075】
後カバー部77のうち、当該開口部の下側で前後方向に延びている部分は、車幅方向外側から見て、シリンダブロック12とシリンダヘッド13との境界部分である接合面11aに沿うように形成されている。当該部分は、車幅方向外側から、接合面11aを覆っている。
【0076】
また、後カバー部77のうち、上述の第4ブラケット部材44のボルト孔に対向する位置には、ボルト8を差込可能な図略の取付孔が形成されている。
【0077】
本実施形態の自動二輪車1では、
図4及び
図5に示すように、シュラウド67及びラジエータカバー69を装着した状態であっても、ラジエータ51の上部の後方(言い換えれば、シュラウド67とラジエータカバー69の間)に、前後方向に延びる隙間85が形成される。従って、ラジエータ51の上部付近の空気を、前後方向に延びる隙間85から効果的に逃がすことができ、熱のこもりを良好に抑制することができる。また、エンジン11等が発生する音が、左右のカバーで広範囲で跳ね返って反響することが、隙間85によって防止される。従って、静音性も高めることができる。
【0078】
ラジエータカバー69には、凹部81L,81Rが形成される分だけ隙間85が大きくなっている。従って、熱のこもり及び音の増幅を軽減する効果が更に高くなっている。
【0079】
本実施形態では、ラジエータカバー69の前後方向中途部において、上縁だけでなく下縁にも凹部82L,82Rが形成されている。それぞれの凹部82L,82Rは逆V字状に形成され、下方に向けて開放している。これにより、ラジエータ51のラジエータコアを通過した走行風を、スムーズに車体の幅方向外側に流すことができる。
【0080】
自動二輪車1が備えるラジエータカバー69等のカバー部材は、適宜の工具を利用してボルト8を着脱することによって、車体に対する取付け/取外しを容易に行うことができる。本実施形態では、シュラウド67とラジエータカバー69とが1つではなく別の部品である。従って、ラジエータ51をメンテナンスしたい場合は、小さなラジエータカバー69を取り外すだけで、ラジエータ51にアクセスすることができる。また、シュラウド67とラジエータカバー69のうち一方が破損した場合は、破損した側だけを交換すれば修理としては十分である。特に、ラジエータカバー69はエンジン11及びラジエータカバー69の近くに設置され、熱及び振動の点で過酷な環境となるので、ラジエータカバー69だけを交換できることは有利である。
【0081】
本実施形態では、ラジエータカバー69の外縁部の殆ど全部が、車幅方向中央側に折り曲げられている(例えば、
図4及び
図5の折曲げ部69aを参照)。これにより、ラジエータカバー69の剛性を確保することができる。また、ラジエータカバー69の内側に配置される部材の機械的保護の確実性を、折曲げ部69aによって高めることができる。更に、ラジエータカバー69の折曲げ部69aによって内部の部品が見えにくくなるので、外観がすっきりした印象を強調することができる。
【0082】
本実施形態の自動二輪車1はキャニスタ61を備えており、このキャニスタ61はゴムバンド63によって車体に取り付けられる。ゴムバンドは機械的強度が良好でないので、本実施形態のように右ラジエータカバー69Rによってキャニスタ61の大部分を覆うことが好適である。
【0083】
エンジン11の冷却水出口部15は、キャニスタ61と、左ラジエータカバー69Lと、によって、車幅方向外側から多重に覆われている。ただし、キャニスタ61は省略されても良い。
【0084】
以上に説明したように、本実施形態の自動二輪車1は、エンジン11と、ラジエータ51と、燃料タンク6と、ラジエータカバー69と、シュラウド67と、を備える。ラジエータ51は、エンジン11との間で循環する冷却水から熱を奪い、熱を放出して冷却水の温度を下げることができる。燃料タンク6は、ラジエータ51の上方に配置される。ラジエータカバー69は、前後方向に延びる。シュラウド67は、前後方向に延び、ラジエータカバー69とは別の部材である。ラジエータカバー69は、ラジエータ51の車幅方向外側に配置される。シュラウド67は、燃料タンク6の車幅方向外側に配置される。車幅方向で見たときに、ラジエータカバー69の上縁とシュラウド67の下縁との間に、前後方向に隙間85が形成されている。
【0085】
これにより、ラジエータ51を覆うラジエータカバー69を、燃料タンク6を覆うシュラウド67とは別の部品とすることで、ラジエータカバー69を小型化できる。従って、ラジエータ51及びエンジン11等から発生する熱がこもりにくくなるとともに、音の反響による騒音の増幅作用も防止できる。
【0086】
また、ラジエータカバー69とシュラウド67との間の隙間85が前後方向に長いので、走行時に当該隙間85に風を円滑に流すことができ、これによっても熱のこもりを低減できる。
【0087】
また、ラジエータカバー69及びシュラウド67は、それぞれ独立して取外し/組付けを行うことが容易である。例えば、ラジエータカバー69だけを取り外す簡単な作業で、ラジエータ51にアクセスすることができ、メンテナンス性が良好である。また、ラジエータカバー69及びシュラウド67のうち一方だけが破損した場合、破損した方だけを交換すれば良いので、修理の工数及びコストを低減できる。
【0088】
また、本実施形態の自動二輪車1において、ラジエータカバー69の上縁に、上方を開放させる凹部81L,凹部81Rが形成されている。
【0089】
これにより、ラジエータカバー69の上部側を広く開放することができるので、ラジエータ51の周囲の熱を良好に逃がすことができる。
【0090】
また、本実施形態の自動二輪車1において、ラジエータ51の上部にラジエータキャップ57が配置されている。車幅方向で見たときに、ラジエータカバー69とシュラウド67との間の前記隙間から、ラジエータキャップ57の一部が露出している。
【0091】
これにより、ラジエータキャップ57に外部から容易にアクセスすることができる。
【0092】
また、本実施形態の自動二輪車1において、ラジエータカバー69の縁部に、車幅方向中央側に折り曲げられた折曲げ部69aが形成されている。
【0093】
これにより、ラジエータカバー69によって、車幅方向中央側の部品を機械的に良好に保護することができる。また、ラジエータカバー69によって視線を遮る効果が高まり、整然とした印象を与えることができる。
【0094】
また、本実施形態の自動二輪車1において、エンジン11は、ラジエータ51の後方に配置される。エンジン11は、シリンダブロック12と、シリンダブロック12の上方に配置されるシリンダヘッド13と、を備える。車幅方向で見たときに、ラジエータカバー69の一部が、シリンダヘッド13とシリンダブロック12との境界である接合面11aに重なるように配置される。
【0095】
これにより、シリンダヘッド13とシリンダブロック12との接合面11aを機械的に保護することができる。
【0096】
また、本実施形態の自動二輪車1は、車体フレーム5を備える。車幅方向で見たときに、ラジエータカバー69が、車体フレーム5に形成された溶接部分と重なるように配置される。
【0097】
これにより、溶接部分を隠して、整然とした印象を与えることができる。
【0098】
また、本実施形態の自動二輪車1において、エンジン11には、冷却水の冷却水出口部15が、車幅方向外側に開口するように形成される。車幅方向で見たときに、ラジエータカバー69が、冷却水出口部15と重なるように配置される。
【0099】
これにより、エンジン11の冷却水出口部15の周辺の構成を機械的に保護することができる。
【0100】
また、本実施形態の自動二輪車1は、エンジン11の車幅方向外側に配置され、燃料タンク6内で蒸散した燃料ガスを吸着することができるキャニスタ61を備える。車幅方向で見たときに、ラジエータカバー69が、キャニスタ61の大部分と重なるように配置される。
【0101】
これにより、キャニスタ61を機械的に保護することができる。
【0102】
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0103】
ラジエータカバー69及びシュラウド67の位置及び形状は、適宜変更することができる。例えば、ラジエータカバー69の上縁に凹部81L,81Rを形成しなくても良い。ラジエータカバー69を車体に取り付けるボルト8の数及び位置も、適宜変更することができる。
【0104】
ラジエータキャップ57は、右ラジエータカバー69Rとシュラウド67との間の隙間85から、その一部でなく全部が露出しても良い。また、ラジエータキャップ57が当該隙間85に全く露出しなくても良い。
【0105】
ラジエータカバー69の折曲げ部69aは、省略されても良い。
【0106】
ラジエータカバー69が、エンジン11におけるシリンダブロック12とシリンダヘッド13との接合面11aの全部ではなく一部に重なっても良い。また、接合面11aと全く重ならない位置にラジエータカバー69が配置されても良い。
【0107】
ラジエータカバー69が、車体フレーム5の溶接部分の全部ではなく一部に重なるように配置されても良い。
【0108】
車幅方向で見たときに、左ラジエータカバー69Lは、冷却水出口部15の一部だけに重なっても良い。また、左ラジエータカバー69Lは冷却水出口部15に全く重ならなくても良い。
【0109】
車幅方向で見たときに、左ラジエータカバー69Lは、キャニスタ61の全部に重なるように構成しても良い。また、左ラジエータカバー69Lは、キャニスタ61に全く重ならないように配置されても良い。
【0110】
後カバー部72,77に開口部を形成しなくても良い。ただし、熱のこもり及び音の増幅を低減する観点からは、開口部が形成されることが好ましい。
【0111】
エンジン11に形成される冷却水入口部14の位置は、適宜に変更しても良い。また、各構造の位置関係を左右反転させても良い。
【0112】
ラジエータ51の背面側に、ファンシュラウド機構を設けても良い。このファンシュラウド機構は、空気を引き込むことができるファン部と、引き込んだ空気を左右の隙間85に案内する空気ガイド部と、を備える。
【0113】
自動二輪車1の転倒時に車体が地面と擦れるのを防止するために、図示しない公知のエンジンガードをエンジン11に取り付けても良い。この場合、ラジエータカバー69が、当該エンジンガードがエンジン11に固定される部分を隠すように構成しても良い。
【0114】
本発明は、自動二輪車1以外の鞍乗型車両(運転者が跨って乗る車両)に適用することができる。他の鞍乗型車両としては、例えば、主として非舗装地を走行するための全地形対応車、及び、水上オートバイを挙げることができる。
【符号の説明】
【0115】
1 自動二輪車(鞍乗型車両)
6 燃料タンク
11 エンジン
11a 接合面(境界)
12 シリンダブロック
13 シリンダヘッド
51 ラジエータ
57 ラジエータキャップ
61 キャニスタ
67 シュラウド(第2カバー部材)
69 ラジエータカバー(第1カバー部材)
81L,81R 凹部
85 隙間