(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-21
(45)【発行日】2023-01-04
(54)【発明の名称】セルロース濃度の高いセルロース懸濁液を製造するための高濃度混合器
(51)【国際特許分類】
B01F 27/92 20220101AFI20221222BHJP
B01F 27/808 20220101ALI20221222BHJP
B01F 27/86 20220101ALI20221222BHJP
C08B 16/00 20060101ALN20221222BHJP
【FI】
B01F27/92
B01F27/808
B01F27/86
C08B16/00
(21)【出願番号】P 2018521581
(86)(22)【出願日】2016-10-04
(86)【国際出願番号】 AT2016050259
(87)【国際公開番号】W WO2017070720
(87)【国際公開日】2017-05-04
【審査請求日】2019-03-08
【審判番号】
【審判請求日】2021-03-30
(32)【優先日】2015-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】507127314
【氏名又は名称】レンチング アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100149076
【氏名又は名称】梅田 慎介
(72)【発明者】
【氏名】ピリッヒシャマー,ヨハン
(72)【発明者】
【氏名】シュレンプ,クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】マイヤー,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】マルツネール,ゲルハルト
【合議体】
【審判長】粟野 正明
【審判官】井上 猛
【審判官】羽鳥 友哉
(56)【参考文献】
【文献】特開昭59-199895(JP,A)
【文献】特開2008-246352(JP,A)
【文献】特表平11-513076(JP,A)
【文献】特開昭55-152887(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第00350754(EP,A1)
【文献】特開2005-876(JP,A)
【文献】特開昭57-77384(JP,A)
【文献】特開2013-123705(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 7/24
D21B 1/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
三級アミンオキシドの水溶液中におけるセルロースの均質な懸濁液(2)を製造するための高濃度混合器(1)であって、
固定コンテナ(3)と、コンテナ軸(7)に配置された撹拌器(8)とを備え、
前記撹拌器が、コンテナ底部(4)の領域に設けられたフランジ(9)を介してモーターに接続され、
前記モーターが、前記コンテナ(3)内に提供された前記懸濁液(2)を混合するために前記撹拌器(8)を回転駆動するように設計され、
前記撹拌器(8)が、前記コンテナ(3)の中心における前記懸濁液(2)の縦下降流(12)とコンテナ壁の領域における前記懸濁液(2)の縦上昇流(13)とを引き起こす少なくとも1つの螺旋コイル(11)を含み、該少なくとも1つの螺旋コイル(11)は、前記撹拌器(8)の軸の外周に搭載され、前記フランジ(9)において終端し、
前記フランジ(9)が、前記コンテナ(3)から前記懸濁液(2)を拭うように、および、前記コンテナ壁の領域における前記懸濁液(2)の前記縦上昇流(13)を援助するように設計された、前記フランジ(9)の外周に設けられた少なくとも1つのブレード(15)を備え、該少なくとも1つのブレード(15)は、前記少なくとも1つの螺旋コイル(11)が前記フランジ(9)において終端する位置に設けられることと、
スペーサ(16)が、前記コンテナ底部(4)と前記フランジ(9)との間に設けられ、前記スペーサが、前記コンテナ底部(4)と前記フランジ(9)との間における
少なくとも20mmの幅(17)のギャップを確実なものとするこ
とを特徴とする、高濃度混合器(1)。
【請求項2】
前記フランジ下方で前記コンテナ底部にフラッシュ接続体が設けられ、
前記フラッシュ接続体を介して、前記三級アミンオキシドの水溶液または前記懸濁液(2)が
、ポンプにより前記コンテナ内に導入されることができ、
前記フラッシュ接続体が、動作中、前記三級アミンオキシドの水溶液または前記懸濁液(2)が、コンテナからフランジとコンテナ底部との間におけるギャップ内に連続的にポンプ搬送されるように配置されることを特徴とする、請求項1に記載の高濃度混合器(1)。
【請求項3】
前記螺旋コイル(11)の自由周辺縁部が、前記懸濁液(2)に含有されたパルプパーツを切り裂くための突起または引き裂き歯(18)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の高濃度混合器(1)。
【請求項4】
前記撹拌器(8)が、前記フランジ(9)の反対側における端部にスクレイパー(19)を含み、
前記スクレイパーが、前記懸濁液(2)のパルプパーツを拭うように設計されたことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の高濃度混合器(1)。
【請求項5】
独立したモーターを含む補助撹拌器(20)が、前記コンテナ(3)の前記中心における前記懸濁液(2)の前記縦下降流(12)と前記コンテナ壁の領域における前記懸濁液(2)の前記縦上昇流(13)とを援助するように前記コンテナ壁に設けられることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の高濃度混合器(1)。
【請求項6】
セルロースが、均質な懸濁液の調製のために、乾燥状態において事前粉砕せずに
60×80cm~75×100cmの寸法のパルプ片にした混合パートナーとして72%~80%の三級アミンオキシドの水溶液中に導入される、または、最大50%の含水率
で60×80cm~75×100cmの寸法のパルプ片にした混合パートナーとして72%~80%の三級アミンオキシドの水溶液中に導入されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の高濃度混合器(1)を使用する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定コンテナと、コンテナ軸に配置された撹拌器とを備え、撹拌器が、コンテナ底部の領域に設けられたフランジを介してモーターに接続され、モーターが、コンテナ内に提供された懸濁液を混合するために撹拌器を回転駆動するように設計され、撹拌器が、コンテナの中心における懸濁液の縦下降流とコンテナ壁の領域における懸濁液の縦上昇流とを引き起こすフローブレーカーを含む、三級アミンオキシドの水溶液中におけるセルロースの均質な懸濁液を製造するための高濃度混合器に関する。
【背景技術】
【0002】
文献EP0853642B1は、撹拌器を備えるコンテナが水溶液中にパルプを混合および溶解させるために使用される、セルロース懸濁液を製造する方法を開示する。溶媒として、N-メチルモルホリン-N-酸化物(NMMO:N-methylmorpholine-N-oxide)が主に使用され、NMMO中にパルプが配置され、NMMOが、セルロース懸濁液に混合される。同特許の教示によると、特に十分な混合体を得るために、コンテナが一方向に回転駆動され、撹拌器が逆方向に回転駆動される。さらに、コンテナ軸の外部にある撹拌器を提供することが開示される。比較的少ないセルロース含有量のみがセルロース懸濁液中で得られることが、この知られた方法の欠点であることがわかった。
【0003】
文献WO2013/131113A1は、同様に、セルロース懸濁液を製造する方法を開示し、セルロース含有量が4.0~9.0重量%であるセルロース懸濁液が、高濃度混合器において得られる。このセルロース懸濁液は、ダブルワイヤベルトプレスに注がれ、ダブルワイヤベルトプレスにおいて、9.0~15.0重量%のセルロース含有量まで押しつぶされる。ダブルワイヤベルトプレスが技術的に複雑であり、結果として動作中に故障しやすく高価となることが、この知られた方法の欠点であることがわかった。
【0004】
さらに、高濃度混合器は、製紙業の分野で知られており、再利用される紙が、セルロース懸濁液の調製のために水溶液内に導入される。このような混合器が、例えばVaahtoという会社から市販されている。この混合器は、コンテナ軸に配置された、コイルとコンテナ上においてコンテナの外周に対称に分散したフローブレーカーとを備える撹拌器を備え、フローブレーカーが、コンテナの中心におけるセルロース懸濁液の縦下降流と、コンテナ壁の領域におけるセルロース懸濁液の縦上昇流とを引き起こす。セルロース含有量がより高い場合、回転子とコンテナ底部との間においてセルロース懸濁液中にスケーリングが発生し得ることが、知られた混合器の欠点であることがわかった。このギャップ内でセルロース懸濁液がもはや循環および交換されなくなることにより、セルロース懸濁液が強く押圧されて損傷を受けた。このことが、工程の中断と、摩擦熱の発生に起因した火災の危険性とをもたらした。このように、セルロース懸濁液中における所望の高セルロース含有量は、達成することが不可能であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、三級アミンオキシドの水溶液中におけるセルロースの均質な懸濁液の調製のための高濃度混合器を提供するという目的に基づき、それにより、9.0重量%を上回るセルロース濃度が、高濃度混合器において得られ得る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によると、フランジが、フランジの外周に設けられた少なくとも1つのブレードを備え、少なくとも1つのブレードが、コンテナからセルロース懸濁液を拭うように、および、コンテナ壁の領域におけるセルロース懸濁液の縦上昇流を援助するように設計されるという点で、および、スペーサが、コンテナ底部とフランジとの間に設けられ、スペーサが、コンテナ底部とフランジとの間における実質的に一定の幅のギャップを確実なものとするという点でこの目的が達成される。
【0007】
本発明は、コンテナ底部の領域において回転子によりセルロース懸濁液中により高い圧力が生成され、より高い圧力が、コンテナの下中央領域からコンテナの下周辺領域までの、およびコンテナ内でコンテナの下周辺領域からコンテナ壁に縦方向上向きに沿ったセルロース懸濁液の流れに寄与するという発見に基づく。しかし、従来技術に従った混合器で、例えば9重量%を上回るセルロース濃度の場合、コンテナの下領域におけるより高い圧力によって、比較的粘性のあるセルロース懸濁液がフランジとコンテナ底部との間におけるギャップ内に押圧され、懸濁液がギャップ内で損傷を受けることになり、それによって、コンテナに沿った縦方向の流れが停止する。本発明によると、この影響がフランジの外周にブレードを設けることにより打ち消されることになるので、高濃度混合器は、9重量%を上回る、および最大15重量%以上のセルロース濃度の、NMMO水溶液中におけるセルロース懸濁液の製造にも適切となる。
【0008】
コンテナの下中央領域におけるセルロース懸濁液中のより高い圧力は、回転子の螺旋コイルがフランジにおいて終端する場所において常に最高であるので、厳密にそれらの位置においてフランジにブレードを装着することが有益であることがわかった。このように、フランジとコンテナ底部との間におけるギャップ内へ比較的粘性のあるセルロース懸濁液が入ることが、特に効果的に防止され、既存の圧力エネルギーは、コンテナ壁において縦上昇流に変換される。
【0009】
フランジとコンテナ底部との間にスペーサを設けることにより、コンテナ底部からフランジの距離は、ギャップから、セルロース懸濁液が粘性をもつ場合でも、回転駆動される撹拌器に依然として有意でない程度に小さな摩擦力しかもたらさない幅にまで広げられる。
【0010】
別の例示的な実施形態によると、スペーサが省略されるが、その代わりに、フラッシュ接続体がフランジの下方でコンテナ底部内に設置される。動作中、水溶液、例えばNMMO、または懸濁液が、代表的なコンテナからフランジとコンテナ底部との間におけるギャップ内に連続的にポンプ搬送され、従って、粘性のセルロース懸濁液が、摩擦の高まる手法でギャップ内に堆積されないことを確実にする。もちろん、コンテナ底部内におけるスペーサおよびフラッシュ接続体の技術的手段は、また、特に高いセルロース濃度を混ぜることができるように、組み合わせられ得る。
【0011】
パルプパーツを切り裂くために、螺旋コイルの自由周辺縁部に突起または引き裂き歯を設けることが有益であることがわかった。このように、特に高いセルロース濃度が短期間の内に達成され得る。
【0012】
撹拌器の、フランジの反対側における端部にスクレイパーを設けることにより、かき混ぜ工程中、セルロース懸濁液の液面の上方で撹拌器に堆積し得るパルプパーツが、セルロース懸濁液中に再導入されるという利点が得られる。
【0013】
コンテナ壁に独立したモーターを含む補助撹拌器は、コンテナの中心におけるセルロース懸濁液の縦下降流と、コンテナ壁の領域におけるセルロース懸濁液の縦上昇流とを援助するように機能し、その結果、高セルロース濃度を濃縮するための混合工程を加速する。
【0014】
本発明による高濃度混合器のさらなる有益な実施形態が、図に基づいて以下でさらに詳細に示される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、側断面
図A-Aとして高濃度混合器、または、それぞれ、簡略した形態の混合器1を示し、
図2は、混合器1の上面図を示す。混合器1は、異なる懸濁液を混合することに適しているが、セルロース懸濁液、すなわち、三級アミンオキシド、特にN-メチルモルホリン-N-酸化物(NMMO)の水溶液中におけるセルロースの均質な懸濁液2を調製するために特によく適している。混合器1のコンテナ3内における懸濁液2の液面が
図1に示される。コンテナ3は円柱に設計され、コンテナ底部4はチャムファー5を呈する。コンテナ壁におけるフローブレーカー6は、懸濁液2のより良好なブレンドのために機能する。
【0017】
混合器1は、コンテナ軸7に配置された撹拌器8を備え、撹拌器は、コンテナ底部4の領域に設けられたフランジ9を介して図示されないモーターに接続され、モーターは、コンテナ3内に提供された懸濁液2を混合するための撹拌器8を回転駆動するように設計される。モーターは、撹拌器8の回転軸の周りで回転方向10に撹拌器8を駆動する。撹拌器8は、回転対称な手法で撹拌器8の軸の外周に装着された3つの螺旋コイル11を含み、3つの螺旋コイル11が、コンテナ3の中心における懸濁液2の縦下降流12と、コンテナ壁の領域における懸濁液2の縦上昇流13とを引き起こす。撹拌器8の軸が下領域14において錐形に広がることにより、下向きに流れる懸濁液2中の圧力が高まり、説明されるようなコンテナ3内における懸濁液2の流れがさらに強められる。コンテナ3の直径に対する撹拌器8の直径の比は、典型的には0.4~0.8である。
【0018】
ここで、混合器1のフランジ9は、フランジ9の外周に設けられた3つのブレード15を含み、3つのブレード15は、コンテナ3から懸濁液2を拭うように設計され、そうするために、特にチャムファー5から懸濁液2を拭うように設計される。いくぶん重く、または、それぞれ、粘性のある懸濁液2の部分、および、これに関連して、特に、溶媒NMMO中に溶解されるセルロースの部分は、それにより、コンテナ壁の領域における懸濁液2の縦上昇流13内に再導入される。このように、それらのいくぶん粘性のある、またはさらには固体の部分が、フランジ9とコンテナ底部4との間におけるギャップ内に入ることと、ギャップ内に残って、回転するフランジ9と固定されたコンテナ底部4との間において摩擦を大きくすることとを有益に防ぐ。
【0019】
混合器1において、さらに、スペーサ16がフランジとコンテナ底部4との間に設けられることにより、スペーサ16がなければ非常に狭くなるギャップが、セルロース懸濁液が粘性をもつ場合でも、回転駆動される撹拌器8に依然として有意でない程度に小さな摩擦力しかもたらさない幅17にまで広げられる。幅17は、少なくとも20mmなければならず、撹拌器8の直径に応じて大きくなる。
【0020】
本発明の別の例示的な実施形態によると、スペーサ16が省略され得るが、その代わり、フラッシュ接続体が、フランジ9の下方においてコンテナ底部4内に設置され得る。この例示的な実施形態において、粘性のセルロース懸濁液が摩擦の大きくなる手法でギャップ内に堆積されないことを確実にするために、水溶液、例えばNMMO、または懸濁液が、動作中、代表的なコンテナからフランジ9とコンテナ底部4との間におけるギャップ内に連続的にポンプ搬送される。もちろん、また、コンテナ底部4内におけるスペーサ16およびフラッシュ接続体の技術的手段が組み合わせられ得る。
【0021】
下領域14において錐形に広がった撹拌器8の軸により高められたコンテナ3の下中央領域における懸濁液2中の圧力は、回転子の螺旋コイル11がフランジ9において終端する場所において常に最高である。この理由により、
図2から理解され得るように、厳密なそれらの位置においてフランジ9にブレード5を装着することが有益であることがわかった。このように、フランジ9とコンテナ底部4との間におけるギャップ内に比較的粘性のある懸濁液2が入ることが、特に効果的に防止され、既存の圧力エネルギーが、コンテナ壁において縦上昇流に変換される。
【0022】
さらに、ここで、混合器1は、懸濁液に含有されたパルプパーツを切り裂くために、螺旋コイル11の自由周辺縁部に突起18を含む。突起は、さらに、周辺縁部の窪みにより、または他の形状により形成され得る。このように、特に高いセルロース濃度が、短期間の内に達成され得る。
【0023】
一用途例によると、まず、トウヒパルプから8%の懸濁液2が最初に製造され、撹拌器に引き裂き歯を含まない撹拌器により76%のNMMO溶液が製造された。パルプシートが潰れて大きな塊を形成することにより、溶解することができず、加えて、空にするときに出口をふさいだので、懸濁液の質は低質であった。撹拌器8に引き裂き歯18を装備することにより、塊の形成が効果的に防止され得、懸濁液2中へのパルプシートの引込みが改善され得る。
【0024】
さらに、ここで、混合器1の撹拌器8が、フランジ9の反対側における端部にスクレイパー19を含み、スクレイパーは、懸濁液2のパルプパーツを拭うように設計される。パルプパーツが導入されたとき、それらのパルプパーツは、典型的には、60×80cmまたは75×100cmの寸法をもち、撹拌器8にくっつき得る。しかし、既に溶解した、または、それぞれ、裁断されたパルプパーツが、液面のすぐ上に位置する撹拌器8の端部に部分的に堆積する可能性もある。スクレイパー19を設けるだけで、コンテナ3内に導入されたすべてのパルプパーツが懸濁液2中に溶解されることが確実にされる。
【0025】
さらに、混合器1は、コンテナ3の中心における懸濁液2の縦下降流12とコンテナ壁の領域における懸濁液2の縦上昇流13とを援助するために、コンテナ壁に独立したモーターを含む補助撹拌器20を備える。補助撹拌器20により流れがさらに強くされ、懸濁液2のブレンドが加速される。しかし、混合器が、さらには補助モーターを含まずに、9重量%を上回る、および最大15重量%以上のセルロース濃度の、NMMO水溶液中におけるセルロース懸濁液を製造する本発明による目的を達成することが明示的に記載される。
【0026】
混合器1の一用途例において、セルロースは、乾燥状態において事前粉砕せず、または最大50%の含水率で、60×80cmの寸法の片にした混合パートナーとして72%~80%のNMMO水溶液中に導入された。撹拌器8は、100~500の毎分回転数で駆動され、コンテナ3の寸法に応じて回転数が選択された。セルロースは、また、三級アミンオキシドの水溶液中におけるセルロースの均質な懸濁液2を得るために、75×100cmまたはそれより大きないくぶん大きなパルプシートとして混合器1内に導入され得る。
【0027】
ブレードのうちの少なくとも1つが、特別な形状をもち得ることが言及され得る。このブレードの先端は、回転方向において下向きに屈曲されないのに対し、バッフルが底側に搭載され、撹拌器が回転するときに、バッフルがブレードの下方に蓄積した懸濁液をコンテナの出口開口に向けて押圧する。これは、非常に粘性のある懸濁液の非常に大規模な排出を引き起こす。
【0028】
回転方向10に見たときのブレード15の端部から次のブレード15の始まりまでの距離は、フランジ9の下方における懸濁液2の交換が促進されるために十分な大きさであるように選択されなければならない。外周の少なくとも30%が、このように空けられなければならない。
【0029】
さらに、コンテナ壁が加熱され得ることが言及され得る。さらなる用途例によると、短線維パルプからの12.7%の懸濁液2と、75℃の温度における78%のNMMO溶液とが調製された。この温度において、懸濁液は明らかにより高い流動性をもち、撹拌器8に対する駆動電力は、懸濁液2の温度を65℃とした場合より著しく小さい。既に65℃において、懸濁液2は、非常に高い剛性を達成した。
【0030】
高濃度混合器は、不連続的と連続的との両方で操作され得る。
【0031】
撹拌器が、1つまたはいくつかの螺旋コイルを含む代替的な設計変更例も含み得ることが言及され得る。一設計変更例によると、1つの螺旋コイルが、フランジに至るまで延びておらず、または、いくつかの螺旋コイルがフランジに至るまで延びておらず、より上方で終端する。それらの螺旋コイルがコンテナの中心における縦下降流のみを生成するのに対し、1つまたはいくつかのさらなる螺旋コイルは、フランジにおいて直接的にコンテナの中心からコンテナ壁までの水平流を生成し、これにより、コンテナ壁における縦上昇流が援助される。