(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-21
(45)【発行日】2023-01-04
(54)【発明の名称】釣竿
(51)【国際特許分類】
A01K 87/00 20060101AFI20221222BHJP
A01K 87/08 20060101ALI20221222BHJP
【FI】
A01K87/00 620Z
A01K87/00 630C
A01K87/08 B
(21)【出願番号】P 2019104393
(22)【出願日】2019-06-04
【審査請求日】2022-03-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100117204
【氏名又は名称】岩田 徳哉
(72)【発明者】
【氏名】岩田 壮司
(72)【発明者】
【氏名】徳山 雄己
【審査官】田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-193133(JP,A)
【文献】特開2002-218867(JP,A)
【文献】特開平11-289925(JP,A)
【文献】特開2014-124108(JP,A)
【文献】特開2015-133936(JP,A)
【文献】特開2006-075020(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 87/00
A01K 87/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
竿体を備えた釣竿であって、
前記竿体は、複数の帯状体を備え、
前記帯状体は、竿元側に向けて徐々に幅狭となる竿元側幅狭部を有する竿先帯状体部と、竿先側に向けて徐々に幅狭となる竿先側幅狭部を有する竿元帯状体部と、を備え、
前記竿元側幅狭部の少なくとも一部と前記竿先側幅狭部の少なくとも一部が、互いに重なっており、
前記竿先帯状体部と前記竿元帯状体部は、何れも幅方向に対称形状であり、前記竿先帯状体部の幅方向の中心線と前記竿元帯状体部の幅方向の中心線は、前記竿体の周方向において同一線上に位置している、釣竿。
【請求項2】
前記竿先帯状体部の幅は、前記竿元帯状体部の幅よりも狭い、請求項1に記載の釣竿。
【請求項3】
前記竿体は、
小径部と、前記小径部の竿元側に連続する拡径部と、前記拡径部の竿元側に連続する大径部と、を有し、
前記拡径部は、前記竿元側幅狭部と前記竿先側幅狭部とが重なる部分を含む
、請求項
1又は2に記載の釣竿。
【請求項4】
前記竿先帯状体部は、第一プリプレグからなり、前記竿元帯状体部は、前記第一プリプレグとは異なる第二プリプレグからなる、請求項1乃至3の何れかに記載の釣竿。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、竿体を備えた釣竿に関する。
【背景技術】
【0002】
プリプレグから竿体を製造することができる。プリプレグは例えば竿体の全長に亘る長さを有している。プリプレグはマンドレルに二巻き以上巻き付けられる。このようにプリプレグが二巻き以上周回された構成では、竿体の形状や強度に制約が生じやすい。
【0003】
一方、下記特許文献1では、竿体の一周分の層が、四つの分割片によって形成されている。この構成によれば、竿体の直径が大きく変化する場合であっても、その変化に対応しやすい。しかしながら、竿体の形状や強度に対する設計自由度を更に高めることができる構成が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、竿体の形状や強度に対する設計自由度を高めることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る釣竿は、竿体を備えている。竿体は、複数の帯状体を備えている。帯状体は、竿先帯状体部と竿元帯状体部とを備えている。竿先帯状体部は、竿元側幅狭部を有している。竿元側幅狭部は、竿元側に向けて徐々に幅狭となっている。竿元帯状体部は、竿先側幅狭部を有している。竿先側幅狭部は、竿先側に向けて徐々に幅狭となっている。竿元側幅狭部の少なくとも一部と竿先側幅狭部の少なくとも一部が互いに重なっている。
【0007】
好ましくは、竿先帯状体部の幅は、竿元帯状体部の幅よりも狭い。
【0008】
好ましくは、竿体は、小径部と大径部と拡径部とを有している。小径部は、竿先帯状体部からなる。大径部は、竿元帯状体部からなる。拡径部は、竿元側幅狭部と竿先側幅狭部とが重なる部分を含んでいる。
【0009】
好ましくは、竿先帯状体部は、第一プリプレグからなり、竿元帯状体部は、第一プリプレグとは異なる第二プリプレグからなる。
【0010】
好ましくは、竿先帯状体部と竿元帯状体部は、何れも幅方向に対称形状であり、竿先帯状体部の幅方向の中心線と竿元帯状体部の幅方向の中心線は、竿体の周方向において同一線上に位置している。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、本発明に係る釣竿は、竿体の形状や強度に対する設計自由度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態における釣竿の要部を示す縦断面図。
【
図3】(a)は同竿体の横断面図、(b)は同竿体の要部縦断面図。
【
図7】(a)及び(b)は、同竿体の製造工程を示す模式図。
【
図8】本発明の他の実施形態における釣竿の竿体の要部を示す正面図。
【
図10】本発明の他の実施形態における釣竿の竿体の要部を示す正面図。
【
図12】本発明の他の実施形態における釣竿の竿体の製造工程を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態に係る釣竿について
図1~
図7を参酌しつつ説明する。尚、竿先側を前側とし、竿元側を後側とする。
図1に示すように、本実施形態における釣竿は、図示しないリールを取り付けるためのリールシート2を備えたものである。リールシート2は、パイプシートとも称される筒状のものである。リールシート2は、釣竿の竿本体1(ブランク)に外装されて所定位置に移動不能に固定される。リールシート2に竿本体1が挿通される。竿本体1は中空状あるいは中実状である。リールシート2は、竿本体1の外周面の所定位置に接着等により固定されている。尚、本実施形態におけるリールシート2は、スピニングリールを固定するためのものである。但し、リールシート2は、両軸受けリールを固定するためのものであってもよい。
【0014】
本実施形態において、竿本体1は、前側竿体3と、後側竿体4とを備えている。後側竿体4は、前側竿体3の後側に位置する。後側竿体4は、前側竿体3の後側に接合されている。前側竿体3と後側竿体4が内外重ね合わせられることにより、所定長さの重ね合わせ部5が形成されている。前側竿体3の後部と後側竿体4の前部とが接合されている。前側竿体3は、リールシート2よりも前側に延びている。後側竿体4は、リールシート2よりも後側に延びている。後側竿体4の後端部には尻栓6が装着されている。
【0015】
後側竿体4は、リアグリップ部10を有している。リアグリップ部10は、後側竿体4の後部に一体的に形成されている。リアグリップ部10は、後側竿体4の後端部側の所定長さ領域が局所的に拡径されたものである。リアグリップ部10はリールシート2から後側に離れている。リアグリップ部10は、後側竿体4の最後部に位置している。リアグリップ部10には、釣竿を持っている手の肘や前腕が当てられる。また、両手でキャストする場合には、リアグリップ部10は、リールシート2を持つ手とは反対側の手で把持される。
【0016】
釣竿の種類は任意であって、並継ぎ竿や振出竿等であってよい。例えば、ワンピースロッドの場合には前側竿体3は穂先まで連続した一本構造である。ツーピースロッドの場合には、釣竿は、穂先側の一番竿と元側の二番竿とから構成される。二番竿にリールシート2が備えられる。二番竿は、前側竿体3と後側竿体4から構成される。
【0017】
前側竿体3は、中空状であるが、中実状であってもよい。例えば中空状の前側竿体3は、プリプレグをマンドレル(図示省略)に巻回して加熱焼成することにより形成される。プリプレグの強化繊維は、例えばカーボン繊維やガラス繊維である。後側竿体4は、本実施形態では中空状である。但し、後側竿体4は、中実状であってもよい。後側竿体4は、プリプレグをマンドレル100(
図4参照)に巻回して加熱焼成することにより形成される。
【0018】
後側竿体4の単体を
図2に示している。後側竿体4は、小径部11と、小径部11の後側に連続する急拡径部12(拡径部)と、急拡径部12の後側に連続する大径部13とを有している。小径部11は、後側竿体4の前部を構成している。急拡径部12と大径部13が、リアグリップ部10を構成している。小径部11は、後側竿体4の前端部から所定長さ領域を構成している。小径部11の長さは、後側竿体4の全長のうち半分以上の長さとすることができる。小径部11は、後側竿体4の主要部分とすることができる。小径部11は、リアグリップ部10よりも長い。小径部11は、内径一定のストレート部となっているが、勾配があってもよい。小径部11にリールシート2が装着されている。
【0019】
急拡径部12は、小径部11の後側に連続している。急拡径部12は、小径部11の勾配よりも急な勾配で後側に向けて拡径している。急拡径部12は、前後二つの領域に区分される。急拡径部12は、前側の面部12aと後側の面部12bとに区分される。前側の面部12aは後側の面部12bに比して勾配が急である。大径部13は、急拡径部12の後側に連続している。大径部13は、小径部11よりも大径である。大径部13は、急拡径部12の後端部から後側竿体4の後端部まで延びている。大径部13は、小径部11と同様に、内径一定のストレート部である。小径部11は、前側のストレート部であって、大径部13は、後側のストレート部である。大径部13の長さは、例えば急拡径部12の長さよりも短い。尚、急拡径部12の形状は種々であってよく、前後二つの領域に区分されていなくてもよい。
【0020】
後側竿体4の層構造について説明する。
図3に後側竿体4の層構造の一例を示している。後側竿体4は、内側から順に、筒状のメイン層20と、筒状のサブ層21とを備えている。メイン層20は、後側竿体4の全長に亘って形成されている。メイン層20は、強化繊維を有する繊維強化樹脂層である。メイン層20は、プリプレグから形成されている。本実施形態においてメイン層20は、後側竿体4の最内層を構成している。
【0021】
<メイン層20>
メイン層20は、複数の帯状体30により構成されている。複数の帯状体30は、後側竿体4の周方向に並んで配置されている。周方向に隣り合う帯状体30の両側縁部同士は互いに重なり合っている。帯状体30は、後側竿体4の全長に亘って延びている。帯状体30の長さは、後側竿体4の全長に対応した長さである。帯状体30の幅は、後側竿体4の一周分よりも小さい。複数の帯状体30は全て同一形状とされることが好ましいが、互いに異なる形状であってもよい。帯状体30は、プリプレグから構成されている。帯状体30は、強化繊維を備えた繊維強化樹脂製である。強化繊維は、例えば、カーボン繊維やガラス繊維等であり、特にカーボン繊維が好ましい。
【0022】
本実施形態において、四つの帯状体30を一組として構成されている。メイン層20は、例えば四つの帯状体30から構成されたり、あるいは、合計八つの帯状体30から構成されたりする。四つ一組の帯状体30は、何れも同じ構成であることが好ましいが、異なっていてもよい。本実施形態では、四つの帯状体30は互いに同じ構成である。帯状体30の構成について更に説明する。帯状体30は、前後二つの片から構成されている。帯状体30は、前片31(竿先帯状体部)と、前片31に対して相対的に後側に位置する後片32(竿元帯状体部)とから構成されている。前片31の前端部31aは、帯状体30の前端部に位置する。即ち、前片31の前端部31aは、後側竿体4の前端部に位置する。前片31の後端部31bは、帯状体30の後端部に位置する。即ち、前片31の後端部31bは、後側竿体4の後端部に位置する。但し、前片31の後端部31bは後側竿体4の後端部よりも前側に位置していてもよい。後片32の前端部32aは、後側竿体4の中間部近傍に位置する。後片32の後端部32bは、帯状体30の後端部に位置する。即ち、後片32の後端部32bは、後側竿体4の後端部に位置する。
【0023】
前片31の形状と後片32の形状は、互いに異なっている。前片31の形状と後片32の形状は、何れも種々であってよい。前片31と後片32は、好ましくは、何れも幅方向に対称形状である。前片31の幅方向の中心線33と後片32の幅方向の中心線34は、後側竿体4の周方向において同一線上に位置していることが好ましい。前片31は、後側に向けて徐々に幅狭となる後方幅狭部35(竿元側幅狭部)を有していることが好ましい。後片32は、前側に向けて徐々に幅狭となる前方幅狭部36(竿先側幅狭部)を有していることが好ましい。
【0024】
図5(a)に前片31と後片32の一例を示している。前片31は、帯状体30の全長に対応した長さを有している。前片31は、後側竿体4の全長に対応した長さを有している。但し、前片31の長さは、後側竿体4の全長よりも短くてもよい。前片31は、幅一定の主部37と、主部37の後側に連続する後方幅狭部35とを有している。主部37は、長方形である。主部37の長さは、長方形の長辺の長さである。主部37の幅は、長方形の短辺の長さである。主部37の幅は、後側竿体4の小径部11の一周分の周長よりも小さい。主部37の幅は、例えば、後側竿体4の小径部11の一周分の約半分程度である。後方幅狭部35は、後側を頂部とする二等辺三角形である。従って、前片31は、全体として、五角形である。
【0025】
後片32は、その全体が前方幅狭部36である。後片32は、前端部32aを頂部とする二等辺三角形である。後片32の長さは、例えば前片31の後方幅狭部35の長さと同じである。但し、後片32の長さは、前片31の後方幅狭部35の長さよりも長くてもよいし、短くてもよい。後片32の後端部32bの幅は、前片31の主部37の幅よりも大きいことが好ましい。後片32の後端部32bの幅は、後側竿体4の大径部13の一周分の周長よりも小さい。後片32の後端部32bの幅は、例えば、後側竿体4の大径部13の一周分の約半分程度である。
【0026】
図5(b)のように、前片31と後片32は互いに部分的に重なり合っている。前片31と後片32のうち何れが外側に位置してもよいが、本実施形態では、前片31が外側に位置し、後片32が内側に位置している。重なり合った状態において、前片31の幅方向の中心線33と後片32の幅方向の中心線34は、後側竿体4の周方向において同一線上に位置する。後片32の前端部32aは、前片31の主部37と後方幅狭部35との境界部あるいは境界部近傍に位置する。前片31の後端部31bは、後片32の後端部32bと略一致する。前片31の後方幅狭部35と後片32の前方幅狭部36とが部分的に重なり合う。前片31と後片32が重なり合った部分を縦重なり部38と称する。本実施形態において、縦重なり部38は、菱形あるいは凧形である。このように帯状体30は、前片31と後片32が部分的に重なり合うことにより構成されている。縦重なり部38は、後側竿体4の少なくとも急拡径部12に位置する。縦重なり部38が急拡径部12に位置することにより、シワが発生しにくい。
【0027】
前片31を構成する第一プリプレグと、後片32を構成する第二プリプレグは、互いに同じものであってもよいが、互いに異なるものとすることができる。例えば、第一プリプレグの強化繊維と第二プリプレグの強化繊維の種類を変えることができる。第一プリプレグの強化繊維と第二プリプレグの強化繊維の種類が同じであっても、例えば、弾性率の異なるものを用いることができる。第一プリプレグの樹脂含有率に対して第二プリプレグの樹脂含有率を異なるものとすることができる。第一プリプレグの強化繊維の方向と第二プリプレグの強化繊維の方向を異なるものとすることができる。第一プリプレグを例えば二軸のものとし、第二プリプレグを例えば四軸のものとしたりすることができる。第一プリプレグの厚さと第二プリプレグの厚さを異なるものとすることができる。このように、第一プリプレグの仕様と第二プリプレグの仕様を異なるものとすることで、後側竿体4の設計の自由度が高まる。
【0028】
図4及び
図6のように、後側竿体4は、四つの帯状体30をマンドレル100に貼り付けて加熱焼成することにより形成される。マンドレル100の形状は、
図4のように、後側竿体4の形状に対応している。マンドレル100は、前側から順に、小径部11を形成するための第一領域101と、急拡径部12を形成するための第二領域102と、大径部13を形成するための第三領域103とを有している。尚、帯状体30をマンドレル100に貼り付ける際には、
図7(a)のように、前片31と後片32を予め重ね合わせた状態として、前片31と後片32をまとめてマンドレル100に貼り付けてもよい。また、
図7(b)のように、マンドレル100に前片31と後片32を別々に貼り付けてもよい。即ち、前片31と後片32を分離した状態で個別にマンドレル100に貼り付けてもよい。
図6のように、四つの帯状体30は、互いにマンドレル100の周方向に90度間隔で貼り付ける。帯状体30の縦重なり部38は、マンドレル100の少なくとも第二領域102に位置する。縦重なり部38は、マンドレル100の第一領域101に部分的に位置する。縦重なり部38は、マンドレル100の第三領域103に部分的に位置する。以上のようにして、メイン層20を形成する。
【0029】
<サブ層21>
サブ層21は、メイン層20の外側に形成されている。サブ層21は、後側竿体4の全長に亘って形成されている。サブ層21の肉厚は一定である。サブ層21は、螺旋状の層である。サブ層21は、螺旋状に巻回された長尺体22により構成されている。長尺体22は、所定幅のテープ状のプリプレグからなる。サブ層21は、テープ状のプリプレグを一定のピッチで螺旋状に巻回することによって形成されている。このピッチは、テープ状のプリプレグの幅の例えば半分である。テープ状のプリプレグが隣のテープ状のプリプレグの外側に重なり合うようにしながら螺旋状に巻回される。テープ状のプリプレグはその長手方向に沿ってカーボン繊維等の強化繊維が途切れることなく連続したものである。サブ層21は、周方向に沿った強化繊維を備えている。
【0030】
サブ層21は、テープ状のプリプレグがメイン層20の外側に螺旋状に巻回されることにより形成される。サブ層21は、メイン層20の全長に亘って形成される。メイン層20の外側にテープ状のプリプレグが全長に亘って巻回されることで、一定厚のサブ層21が形成される。そして、図示しない成形テープを巻回して加熱焼成した後、成形テープを除去し、マンドレル100を脱芯し、端部を必要に応じてカット除去して後側竿体4を形成する。以上のようにして形成された後側竿体4と前側竿体3とが接合一体化されて竿本体1が形成される。竿本体1にリールシート2が装着されて釣竿が完成する。
【0031】
尚、後方幅狭部35や前方幅狭部36の形状は種々であってよい。例えば、二等辺三角形以外の三角形や台形、半円形、半楕円形等であってもよい。また、前片31の中心線と後片32の中心線が同一線上に位置しなくてもよい。更には、前片31が左右非対称形状であったり、後片32が左右非対称形状であったりしてもよい。
【0032】
尚、本実施形態では、後側竿体4が急拡径部12を有していたが、
図8のように竿体50が縮径部52を有していてもよい。この竿体50は、大径部51と、大径部51の後側に連続する縮径部52と、縮径部52の後側に連続する小径部53とを有している。大径部51は、内径一定のストレート形状であってよい。小径部53は、内径一定のストレート形状であってよい。但し、大径部51と小径部53は、何れも所定の勾配を有して後側に向けて拡径していてもよい。このような竿体50のメイン層20の帯状体30は、上述したものと前後逆の構成とすることができる。帯状体30は、例えば
図9のような前片31と後片32とから構成される。前片31は、後端部31bを頂部とする二等辺三角形であってその全体が後方幅狭部54(竿元側幅狭部)である。後片32は、前端部32aを頂部とする二等辺三角形の前方幅狭部55(竿先側幅狭部)と、長方形状の主部56とを有する。前片31と後片32の少なくとも前方幅狭部55とが部分的に重なっている。縦重なり部38は少なくとも縮径部52に位置している。縦重なり部38が縮径部52に位置することにより、シワが生じにくい。
【0033】
また、竿体60は、
図10のように、前方大径部61と、前方大径部61の後側に連続する縮径部62と、縮径部62の後側に連続する小径部63と、小径部63の後側に連続する急拡径部64(拡径部)と、急拡径部64の後側に連続する後方大径部65とを有するものであってもよい。前方大径部61と小径部63と後方大径部65は、それぞれストレート形状とすることができる。また、前方大径部61と小径部63と後方大径部65は、所定の勾配を有して後側に向けて拡径する形状であってもよい。このような竿体60のメイン層20の帯状体30は、例えば
図11のような前片31と後片32とから構成できる。即ち、前片31は、後端部31bを頂部とする二等辺三角形であってその全体が後方幅狭部66(竿元側幅狭部)である。後片32は、前片31とは前後対称形状とすることができる。後片32は、前端部32aを頂部とする二等辺三角形であってその全体が前方幅狭部67(竿先側幅狭部)である。前片31と後片32とが部分的に重なっている。縦重なり部38は、少なくとも、縮径部62から小径部63を経て急拡径部64に至る領域に位置する。また、帯状体30を
図12のように構成することもできる。即ち、前片31は、長方形あるいは正方形の主部68と、後端部を頂部とする二等辺三角形の後方幅狭部69(竿元側幅狭部)とを有する。後片32は、前片31とは前後対称形状とすることができる。後片32は、前端部を頂部とする二等辺三角形の前方幅狭部70(竿先側幅狭部)と、長方形あるいは正方形の主部71とを有する。この場合、例えば前片31の後方幅狭部69と後片32の前方幅狭部70とが部分的に重なっている。縦重なり部38は、少なくとも、縮径部62から小径部63を経て急拡径部64に至る領域に位置する。縦重なり部38が縮径部62から小径部63を経て急拡径部64に至る領域に位置することにより、シワが生じにくい。
【符号の説明】
【0034】
1 竿本体
2 リールシート
3 前側竿体
4 後側竿体
5 重ね合わせ部
6 尻栓
10 リアグリップ部
11 小径部
12 急拡径部(拡径部)
12a 前側の面部
12b 後側の面部
13 大径部
20 メイン層
21 サブ層
22 長尺体
30 帯状体
31 前片(竿先帯状体部)
31a 前端部
31b 後端部
32 後片(竿元帯状体部)
32a 前端部
32b 後端部
33 前片の中心線
34 後片の中心線
35 後方幅狭部(竿元側幅狭部)
36 前方幅狭部(竿先側幅狭部)
37 主部
38 縦重なり部
50 竿体
51 大径部
52 縮径部
53 小径部
54 後方幅狭部(竿元側幅狭部)
55 前方幅狭部(竿先側幅狭部)
56 主部
60 竿体
61 前方大径部
62 縮径部
63 小径部
64 急拡径部(拡径部)
65 後方大径部
66 後方幅狭部(竿元側幅狭部)
67 前方幅狭部(竿先側幅狭部)
68 主部
69 後方幅狭部(竿元側幅狭部)
70 前方幅狭部(竿先側幅狭部)
71 主部
100 マンドレル
101 第一領域
102 第二領域
103 第三領域