(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-21
(45)【発行日】2023-01-04
(54)【発明の名称】非水系用増粘剤及び増粘組成物
(51)【国際特許分類】
C09K 3/00 20060101AFI20221222BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20221222BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20221222BHJP
A61Q 17/04 20060101ALI20221222BHJP
A61K 8/36 20060101ALI20221222BHJP
A61K 8/58 20060101ALI20221222BHJP
【FI】
C09K3/00 103G
A61K8/81
A61Q19/00
A61Q17/04
A61K8/36
A61K8/58
(21)【出願番号】P 2019539094
(86)(22)【出願日】2018-07-31
(86)【国際出願番号】 JP2018028543
(87)【国際公開番号】W WO2019044327
(87)【国際公開日】2019-03-07
【審査請求日】2021-07-19
(31)【優先権主張番号】P 2017163567
(32)【優先日】2017-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100092901
【氏名又は名称】岩橋 祐司
(72)【発明者】
【氏名】長井 宏一
(72)【発明者】
【氏名】五味 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】直井 香代子
(72)【発明者】
【氏名】永禮 由布子
【審査官】中野 孝一
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-241378(JP,A)
【文献】特表平06-501957(JP,A)
【文献】特開昭62-262735(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K3/00
A61K8/00-8/99
A61Q1/00-90/00
C11B15/00
B01J13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶性ポリマーと、
前記水溶性ポリマーに対してイオン的及び/又は静電的に相互作用するカウンターと、を含み、
前記水溶性ポリマーは、
メタクリル酸2-(ジメチルアミノ)エチル成分である第1の成分と、
ビニルピロリドン成分である第2の成分と、
架橋性の第3の成分と、
アクリル酸アルキル及び/又はアクリルアミドを有する第4の成分と、
の共重合体であり、
前記第1~第4の成分の総量に対して、
前記第1の成分の割合が15質量%~
75質量%であり、
前記第2の成分の割合が20質量%~80質量%であり、
前記第3の成分の割合が0質量%~20質量%であり、
前記第4の成分の割合が0質量%~60質量%であり、
前記カウンターは炭素数3~24のアニオン性有機化合物である、非水系用増粘剤。
【請求項2】
前記水溶性ポリマーは、ビニルピロリドン・メタクリル酸N,N-ジメチルアミノエチル・アクリル酸ステアリル・ジアクリル酸トリプロピレングリコール共重合体である、請求項1に記載の増粘剤。
【請求項3】
前記カウンターは、イソステアリン酸、乳酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、ベヘニン酸、及び3-(10-カルボキシデシル)-1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサンのうちの少なくとも1つである、請求項1又は2に記載の増粘剤。
【請求項4】
水溶性ポリマーと、
前記水溶性ポリマーに対してイオン的及び/又は静電的に相互作用するカウンターと、を含み、
前記水溶性ポリマーは、アクリル酸とアクリル酸アルキルとの共重合体であり、
前記カウンターはカチオン性有機化合物である、非水系用増粘剤。
【請求項5】
前記水溶性ポリマーは、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマーである、請求項4に記載の増粘剤。
【請求項6】
前記カウンターは、ジステアリルジモニウムクロリドである、請求項4又は5に記載の増粘剤。
【請求項7】
前記非水系は極性有機溶媒を主たる溶媒として含有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の増粘剤。
【請求項8】
前記水溶性ポリマーと前記カウンターとはイオン対を形成している、請求項1~7のいずれか一項に記載の増粘剤。
【請求項9】
前記カウンターの含有率は、前記水溶性ポリマー1質量部に対して0.02質量部~10質量部である、請求項1~8のいずれか一項に記載の増粘剤。
【請求項10】
極性溶媒中に存在している、請求項1~9のいずれか一項に記載の増粘剤。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の非水系用増粘剤と、
前記水溶性ポリマー及び前記カウンターを溶解可能な極性溶媒と、
を含む、増粘組成物。
【請求項12】
前記増粘剤の含有率は、前記組成物の質量に対して0.1質量%~15質量%である、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記極性溶媒は有機溶媒である、請求項11又は12に記載の組成物。
【請求項14】
前記極性溶媒はエタノール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、オクチルメトキシシンナメート、オクトクリレン、ホモサレート、及びサリチル酸オクチルのうちの少なくとも1つである、請求項11~13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
前記極性溶媒の含有率は、組成物の質量に対して20質量%以上である、請求項11~14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
前記極性溶媒に対して相互溶解性を有する油性成分をさらに含有する、請求項11~15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
前記油性成分は、炭化水素油、エステル油及びシリコーン油のうちの少なくとも1つである、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
前記油性成分の含有率は、前記組成物の質量に対して85質量%以下である、請求項16又は17に記載の組成物。
【請求項19】
前記組成物が水を含有する場合、前記極性溶媒に対する水の含有率は10質量%以下である、請求項11~18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
紫外線吸収剤をさらに含有する、請求項11~19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
前記紫外線吸収剤は、前記油性成分及び前記極性溶媒のうちの少なくとも1つに可溶である、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
Lab色空間におけるL
*値が90以上である、請求項11~21のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項23】
粘度が300mPa・s~500,000mPa・sである、請求項11~22のいずれか一項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本発明は、日本国特許出願:特願2017-163567号(2017年8月28日出願)の優先権主張に基づくものであり、同出願の全記載内容は引用をもって本書に組み込み記載されているものとする。
【技術分野】
【0002】
本開示は、非水系用増粘剤に関する。また、本開示は、当該増粘剤を含有する組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
非水溶媒を主とする化粧料が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の日焼け止め化粧料は、特定の構造を有する増粘剤用モノマー組成物を重合してなるカチオン性増粘剤を0.05~10.0重量%、紫外線吸収剤を0.01~20.0重量%、およびエタノールを30.0~90.0重量%含有し、さらに粉末を含有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されているような日焼け止め化粧料において、粉末は紫外線散乱剤として作用する。しかしながら、粉末を含有する化粧料は、肌に塗布すると粉末が白く浮き出てしまったり、色ムラが生じてしまったりすることがある。このような現象は使用者に好まれない。また、近年、外観上も透明性の高い化粧料が使用者に望まれる傾向にあるが、粉末を含有する化粧料は、通常、不透明となってしまう。そこで、粉末量を低減した化粧料が求められている。
【0006】
例えば、日焼け止め化粧料において粉末量を低減する場合には、紫外線遮蔽効果を維持するために、粉末の代わりに、有機化合物である紫外線吸収剤が添加されることになる。紫外線吸収剤は基本的に油溶性であるため、紫外線吸収剤を含有する化粧料には主たる溶媒として有機溶媒等の非水溶媒を使用する必要がある。一方で、有機溶媒の粘度では化粧料を肌に塗布するのに不便であるので、化粧料の使用性を高めるためには化粧料の粘度を有機溶媒の粘度よりも高める必要がある。しかしながら、非水系溶媒に適した増粘剤が存在しておらず、非水溶媒を主とする化粧料を増粘するためには、増粘させた水系を非水系に乳化させた油中水型化粧料にする必要があった。しかしながら、油中水型にすると、乳化粒子によって透明性が低下してしまい、高透明性の化粧料を実現することができない。
【0007】
そこで、乳化を利用することなく非水系溶媒を増粘可能な増粘剤が求められている。また、非水系溶媒を主とする組成物であっても、透明性が高く、かつ使用性が高い増粘組成物が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の第1視点によれば、水溶性ポリマーと、水溶性ポリマーに対してイオン的及び/又は静電的に相互作用するカウンターと、を含む非水系用増粘剤が提供される。
【0009】
本開示の第2視点によれば、第1視点に係る非水系用増粘剤と、水溶性ポリマー及びカウンターを溶解可能な極性溶媒と、を含む、増粘組成物が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本開示の増粘剤は、溶媒が主として非水系である組成物を増粘させることができる。本開示の増粘剤によれば、透明性の高い増粘組成物を得ることができる。
【0011】
本開示の組成物によれば、油溶性成分を含有しながらも、使用性のよい粘度及び高い透明性を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】試験例1~6におけるカウンター配合量に対する粘度の関係を示すグラフ。
【
図2】試験例26~29における極性溶媒含有率に対する粘度の関係を示すグラフ。
【
図3】試験例30~35における水配合率に対する粘度の関係を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0013】
上記各視点の好ましい形態を以下に記載する。
【0014】
上記第1視点の好ましい形態によれば、非水系は極性有機溶媒を主たる溶媒として含有する。
【0015】
上記第1視点の好ましい形態によれば、水溶性ポリマーは第1の極性基を有する。カウンターは第2の極性基を有する。第1の極性基及び第2の極性基のうち、一方がアニオン性の官能基であり、他方がカチオン性の官能基である。
【0016】
上記第1視点の好ましい形態によれば、第1の極性基及び第2の極性基は、それぞれ、カルボキシ基又はアミンである。
【0017】
上記第1視点の好ましい形態によれば、水溶性ポリマーは複素環をさらに有する。
【0018】
上記第1視点の好ましい形態によれば、複素環はラクタムである。
【0019】
上記第1視点の好ましい形態によれば、水溶性ポリマーは、第1の極性基を有する第1の成分と、複素環を有する第2の成分と、の共重合体である。
【0020】
上記第1視点の好ましい形態によれば、第1の成分はメタクリル酸2-(ジメチルアミノ)エチル成分である。第2の成分はビニルピロリドン成分である。
【0021】
上記第1視点の好ましい形態によれば、水溶性ポリマーは、架橋性の第3の成分をさらに含む共重合体である。
【0022】
上記第1視点の好ましい形態によれば、水溶性ポリマーは、アクリル酸アルキル及び/又はアクリルアミドを有する第4の成分をさらに含む共重合体である。
【0023】
上記第1視点の好ましい形態によれば、水溶性ポリマーにおいて、第1~第4の成分の総量に対して、第1の成分の割合が15質量%~85質量%である。第2の成分の割合が20質量%~80質量%である。第3の成分の割合が0質量%~20質量%である。第4の成分の割合が0質量%~60質量%である。
【0024】
上記第1視点の好ましい形態によれば、水溶性ポリマーは、ビニルピロリドン・メタクリル酸N,N-ジメチルアミノエチル・アクリル酸ステアリル・ジアクリル酸トリプロピレングリコール共重合体である。
【0025】
上記第1視点の好ましい形態によれば、カウンターはアニオン性有機化合物である。
【0026】
上記第1視点の好ましい形態によれば、カウンターの炭素数が3~24である。
【0027】
上記第1視点の好ましい形態によれば、カウンターは、イソステアリン酸、乳酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、ベヘニン酸、及び3-(10-カルボキシデシル)-1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサンのうちの少なくとも1つである。
【0028】
上記第1視点の好ましい形態によれば、水溶性ポリマーは酸性官能基を有する。
【0029】
上記第1視点の好ましい形態によれば、水溶性ポリマーは、アクリル酸とアクリル酸アルキルとの共重合体である。
【0030】
上記第1視点の好ましい形態によれば、水溶性ポリマーは、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマーである。
【0031】
上記第1視点の好ましい形態によれば、カウンターはカチオン性有機化合物である。
【0032】
上記第1視点の好ましい形態によれば、カウンターは、ジステアリルジモニウムクロリドである。
【0033】
上記第1視点の好ましい形態によれば、水溶性ポリマーとカウンターとはイオン対を形成している。
【0034】
上記第1視点の好ましい形態によれば、カウンターの含有率は、水溶性ポリマー1質量部に対して0.02質量部~10質量部である。
【0035】
上記第1視点の好ましい形態によれば、増粘剤は極性溶媒中に存在している。
【0036】
上記第2視点の好ましい形態によれば、増粘剤の含有率は、前記組成物の質量に対して0.1質量%~15質量%である。
【0037】
上記第2視点の好ましい形態によれば、極性溶媒は有機溶媒である。
【0038】
上記第2視点の好ましい形態によれば、極性溶媒はエタノール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、オクチルメトキシシンナメート、オクトクリレン、ホモサレート、及びサリチル酸オクチルのうちの少なくとも1つである。
【0039】
上記第2視点の好ましい形態によれば、極性溶媒の含有率は、組成物の質量に対して20質量%以上である。
【0040】
上記第2視点の好ましい形態によれば、組成物は、極性溶媒に対して相互溶解性を有する油性成分をさらに含有する。
【0041】
上記第2視点の好ましい形態によれば、油性成分は、炭化水素油、エステル油及びシリコーン油のうちの少なくとも1つである。
【0042】
上記第2視点の好ましい形態によれば、油性成分の含有率は、組成物の質量に対して85質量%以下である。
【0043】
上記第2視点の好ましい形態によれば、組成物が水を含有する場合、極性溶媒に対する水の含有率は10質量%以下である。
【0044】
上記第2視点の好ましい形態によれば、組成物は、紫外線吸収剤をさらに含有する。
【0045】
上記第2視点の好ましい形態によれば、紫外線吸収剤は、油性成分及び極性溶媒のうちの少なくとも1つに可溶である。
【0046】
上記第2視点の好ましい形態によれば、Lab色空間におけるL*値が90以上である。
【0047】
上記第2視点の好ましい形態によれば、粘度が300mPa・s~500,000mPa・sである。
【0048】
以下の説明において、POEはポリオキシエチレン、POPはポリオキシプロピレンの略記である。POE又はPOPの後ろのカッコ内の数字は当該化合物中におけるPOE基又はPOP基の平均付加モル数を表す。
【0049】
以下の説明において、共重合体を構成する成分(モノマー)には、その誘導体も含まれ得る。例えば、アクリル酸成分にはアクリル酸誘導体も含まれ得る。以下の説明において、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を意味する。
【0050】
本開示の第1実施形態に係る増粘剤について説明する。本開示の増粘剤は、非水系及び水系を増粘することができる。本開示において、非水系とは、主たる溶媒が非水溶媒である組成物のことをいう。非水溶媒とは、水以外の溶媒であり、例えば有機溶媒(アルコール含む)である。特に、非水溶媒は、第2実施形態において説明する極性溶媒であると好ましい。非水系は水を含有することができ、水を含有する溶媒を除外することを意味するものではない。
【0051】
本開示の増粘剤は、水溶性ポリマーと、カウンターと、を含有する。
【0052】
[水溶性ポリマー]
【0053】
水溶性ポリマーは、水、アルコール等の極性溶媒に対して溶解可能であると好ましい。水溶性ポリマーは、例えば、イオン性ポリマーとすることもできる。水溶性ポリマーは、酸又は塩基の存在下でイオン化するものであってもよい。イオン性ポリマーとしては、例えば、カチオン性ポリマー、アニオン性ポリマー、及び両性ポリマーのうちの少なくとも1つを選択することができる。
【0054】
水溶性ポリマーは疎水部(疎水基)を有すると好ましい。疎水部があることによって、水溶性ポリマーは非水溶媒及び油性成分に(少なくとも部分的に)溶解可能となって非水溶媒及び油性成分に対して増粘作用を発現することができると考えられる。疎水部は、例えば、後述する第1の成分、第4の成分及び第6の成分のうちの少なくとも1つとすることができる。
【0055】
水溶性ポリマーは、後述するカウンターとイオン的及び静電的のうちの少なくとも1つの態様で相互作用する。例えば、水溶性ポリマーは、カウンターとイオン的及び/又は静電的に結合すると考えられる。水溶性ポリマーは、少なくとも一部に第1の極性基を有すると好ましい。第1の極性基は、カウンターの第2の極性基に対して相互作用を有すると考えられる。また、第1の極性基は、水溶性極性ポリマーを水溶性にすることに寄与する。第1の極性基は、イオン性、すなわちカチオン性官能基又はアニオン性官能基とすることができる。第1の極性基は、塩基性の官能基又は酸性の官能基とすることができる。第1の極性基は、酸又は塩基存在下においてイオン化する官能基であってもよい。
【0056】
第1の極性基としては、例えば、カルボキシ基、アミノ基、第2級アミン、第3級アミン、第4級アミン、ベタイン構造、複素環等を挙げることができる。第1の極性基は、側鎖の末端にあると好ましい。
【0057】
水溶性ポリマーの第1の例について説明する。第1の例に係る水溶性ポリマーは、カチオン性・塩基性ポリマーである。
【0058】
水溶性ポリマーは複素環をさらに有することができる。複素環としては、例えば、ラクタム(環状アミド)を挙げることができる。ラクタムは、例えば、三員環、四員環、五員環(ピロリドン)、六員環(ピペリドン)とすることができる。複素環は側鎖の末端にあると好ましい。
【0059】
水溶性ポリマーは、第1の極性基を有する第1の成分と、複素環を有する第2の成分と、との共重合体とすることができる。
【0060】
第1の成分は、例えば、下記化1に示される構造を有することができる。化1において、R1は水素原子又はメチル基を示す。R2及びR3は、それぞれ独立して、水素原子、メチル基、エチル基又はt-ブチル基を示す。Aは酸素原子又はNH基を示す。Bは直鎖状又は側鎖を有する炭素数1~4のアルキレン基を示す。
【0061】
【0062】
第1の成分は、例えば、アミンを含有する(メタ)アクリル酸誘導体とすることができる。第1の成分としては、例えば、(メタ)アクリル酸2-(ジメチルアミノ)エチル、(メタ)アクリル酸3-(ジメチルアミノ)プロピル、N-[2-(ジメチルアミノ)エチル](メタ)アクリルアミド、N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル](メタ)アクリルアミド等を挙げることができる。第1の成分は、1種類であってもよいし、複数の種類を組み合わせてもよい。
【0063】
第2の成分は、例えば、下記化2又は化3に示される構造を有することができる。化2及び化3において、R4は水素原子又はメチル基を示す。化2において、pは3又は4を示す。
【0064】
【0065】
【0066】
第2の成分における複素環としては、例えば、ラクタム(環状アミド)を挙げることができる。ラクタムは、例えば、三員環、四員環、五員環(ピロリドン)、六員環(ピペリドン)とすることができる。複素環は側鎖の末端にあると好ましい。
【0067】
第2の成分としては、例えば、N-ビニルピロリドン、N-ビニルピペリドン、アクリルアミド成分、メタクリルアミド成分等を挙げることができる。第2の成分は、1種類であってもよいし、複数の種類を組み合わせてもよい。
【0068】
水溶性ポリマーは、架橋性の第3の成分をさらに含む共重合体であると好ましい。第3の成分としては、例えば、1分子中に2以上の炭素-炭素不飽和二重結合を有する化合物を使用することができる。例えば、第3の成分は、両端にビニル基を有するモノマーとすることができる。
【0069】
第3の成分は、例えば、下記化4に示される構造を有することができる。化4において、R5は水素原子又はメチル基を示す。Dは酸素原子又はNH基を示す。R6は直鎖状もしくは側鎖を有する炭素数1~17のアルキレン基又は化5で表される基を示す。R7は水素原子又はメチル基を示す。化5において、nは1~4の整数を示す。qは1~25の整数を示す。
【0070】
【0071】
【0072】
第3の成分は親水部を有すると好ましい。親水部は、重合に寄与する2つの二重結合の間にあると好ましい。親水部は、例えば、ポリオキシエチレン鎖、ポリオキシプロピレ鎖等のポリオキシアルキレン鎖とすることができる。ポリオキシエチレン基及び/又はポリオキシプロピレン基の平均付加モル数は、例えば、1以上、好ましくは2以上とすることができる。また、平均付加モル数は、例えば、10以下、好ましくは5以下とすることができる。
【0073】
第3の成分としては、例えば、ジ(メタ)アクリル酸(ポリ)エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸(ポリ)プロピレングリコール、トリ(メタ)アクリル酸トリメチロールプロパン、トリ(メタ)アクリル酸ペンタエリスリトール、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、1,2-ビス(メタ)アクリルアミドエタン、1,5-ビス(メタ)アクリルアミドペンタン、ジビニルベンゼン等を挙げることができる。第3の成分は、1種類であってもよいし、複数の種類を組み合わせてもよい。
【0074】
水溶性ポリマーは、(メタ)アクリロイル基を有する第4の成分をさらに含む共重合体であると好ましい。
【0075】
第4の成分は、例えば、下記化6に示される構造を有することができる。化6において、R8は水素原子又はメチル基を示す。Eは酸素原子又はNH基を示す。R9は直鎖状もしくは側鎖を有する炭素数1~17のアルキレン基又は化7で表される基を示す。R10は水素原子又はメチル基を示す。化7において、nは1~4の整数を示す。rは1~25の整数を示す。
【0076】
【0077】
【0078】
第4の成分は、(メタ)アクリロイル基を有することができる。第4の成分は、例えば、(メタ)アクリル酸アルキル、アルキル(メタ)アクリルアミド等とすることができる。アルキル基の炭素数は、例えば、1以上、5以上、8以上又は10以上とすることができる。アルキル基の炭素数は、例えば、50以下、40以下、30以下、又は20以下とすることができる。第4の成分としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、N-t-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-t-オクチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル等を挙げることができる。第4の成分は、1種類であってもよいし、複数の種類を組み合わせてもよい。
【0079】
第1の成分の含有率は、第1~第4の成分の総量に対して、15質量%以上であると好ましく、25質量%以上であるとより好ましく、35質量%以上であるとさらに好ましい。含有率が15質量%未満であると、カウンターと対向する部位が少なくなってしまう。第1の成分の含有率は、第1~第4の成分の総量に対して、85質量%以下であると好ましく、75質量%以下であるとより好ましく、65質量%以下であるとより好ましく、55質量%以下であるとさらに好ましい。含有率が85質量%を超えると、油性成分に対する溶解性が低下してしまう。
【0080】
第2の成分の含有率は、第1~第4の成分の総量に対して、20質量%以上であると好ましく、30質量%以上であるとより好ましく、40質量%以上であるとさらに好ましい。含有率が20質量%未満であると、油性成分に対する溶解性が低下してしまう。第2の成分の含有率は、第1~第4の成分の総量に対して、80質量%以下であると好ましく、70質量%以下であるとより好ましく、60質量%以下であるとより好ましく、50質量%以下であるとさらに好ましい。含有率が80質量%を超えると、極性溶媒に対する溶解性が低下してしまう。
【0081】
第3の成分の含有率は、第1~第4の成分の総量に対して、0質量%とすることができ、0.1質量%以上であると好ましく、1質量%以上であるとより好ましく、3質量%以上であるとより好ましく、4質量%以上であるとさらに好ましい。第3の成分の含有率は、第1~第4の成分の総量に対して、20質量%以下であると好ましく、15質量%以下であるとより好ましく、10質量%以下であるとより好ましく、8質量%以下であるとさらに好ましい。含有率が20質量%を超えると、凝集物が生じやすくなり、均一な組成物が得られにくくなる。
【0082】
第4の成分の含有率は、第1~第4の成分の総量に対して、0質量%とすることができ、0.5質量%以上であると好ましく、1質量%以上であるとより好ましく、1.2質量%以上であるとさらに好ましい。第4の成分の含有率は、第1~第4の成分の総量に対して、60質量%以下であると好ましく、30質量%以下であると好ましく、10質量%以下であるとより好ましく、5質量%以下であるとさらに好ましい。含有率が60質量%を超えると、極性溶媒に対する溶解性が低下してしまう。
【0083】
水溶性ポリマーは、第1~第4の成分以外の成分を含んでもよい。
【0084】
第1の例に係る水溶性ポリマーとしては、例えば、ビニルピロリドン・メタクリル酸N,N’-ジメチルアミノエチル・アクリル酸ステアリル・ジアクリル酸トリプロピレングリコール共重合体(CGポリマー又はコスカットGA468;大阪有機化学工業製)を使用することができる。
【0085】
水溶性ポリマーの第2の例について説明する。第2の例に係る水溶性ポリマーは、アニオン性・酸性ポリマーである。
【0086】
水溶性ポリマーは、(メタ)アクリル酸成分を有する第5の成分を含む(共)重合体とすることができる。
【0087】
水溶性ポリマーは、(メタ)アクリル酸誘導体を有する第6の成分をさらに含む共重合体とすることができる。(メタ)アクリル酸誘導体としては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルを挙げることができる。アルキル基の炭素数は、例えば、1以上、5以上、8以上又は10以上とすることができる。アルキル基の炭素数は、例えば、50以下、40以下、30以下、又は20以下とすることができる。
【0088】
第2の例に係る水溶性ポリマーとしては、例えば、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー(PEMULEN(登録商標);ルブリゾル・アドバンスド・マテリアルズ社製)を挙げることができる。
【0089】
水溶性ポリマーの重量平均分子量は、10万以上であると好ましく、50万以上であるとより好ましく、100万以上であるとさらに好ましい。重量平均分子量が10万未満であると、粉末の凝集を抑制しにくくなってしまう。水溶性ポリマーの重量平均分子量は、500万以下であると好ましく、300万以下であるとより好ましく、200万以下であるとさらに好ましい。重量平均分子量が500万を超えると目詰まり及びべたつきが生じることがある。水溶性性ポリマーの重量平均分子量は、光散乱法によるゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC-MALS)を用いて測定することができる。
【0090】
[カウンター]
カウンターは、水溶性ポリマーとイオン的に及び/又は静電的に相互作用を有する化合物である。この相互作用により、水溶性ポリマーとカウンターとは複合体を形成すると考えられる。カウンターは、水、アルコール等の極性溶媒に対して溶解可能であると好ましい。カウンターは、水溶性ポリマーの第1の極性基とイオン的に及び/又は静電的に結合可能であると考えられる。
【0091】
カウンターは、第2の極性基を有すると好ましい。第2の極性基は、第1の極性基とイオン的及び/又は静電的に相互作用を有すると考えられる。第2の極性基は、イオン性官能基、すなわちカチオン性官能基又はアニオン性官能基とすることができる。第2の極性基は、塩基性の官能基又は酸性の官能基とすることができる。第2の極性基は、酸又は塩基存在下においてイオン化する官能基とすることもできる。
【0092】
第2の極性基は、第1の極性基及び第2の極性基が水中でイオン化したときに、第1の極性基の電荷とは反対の電荷を有する官能基であると好ましい。例えば、水溶性ポリマーにおける第1の極性基がアミン等のカチオン性・塩基性官能基である場合、カウンターにおける第2の極性基はカルボキシ基等のアニオン性・酸性官能基であると好ましい。この場合、カウンターは、例えば、有機酸とすることができる。水溶性ポリマーにおける第1の極性基がカルボキシ基等のアニオン性・酸性官能基である場合、カウンターにおける第2の極性基はアミン等のカチオン性・塩基性官能基であると好ましい。この場合、カウンターは、例えば、有機塩基とすることができる。
【0093】
第2の極性基としては、例えば、カルボキシ基、アミノ基、第2級アミン、第3級アミン、第4級アミン、ベタイン構造、複素環等を挙げることができる。
【0094】
カウンターは、増粘する溶媒に応じて適宜選択すると好ましい。カウンターの炭素数に応じて、極性溶媒や油性成分への溶解度を調節することができる。カウンターにおける炭素原子数は、例えば、3以上、5以上、8以上、12以上、又は15以上とすることができる。カウンターにおける炭素原子数は、例えば、24以下、又は20以下とすることができる。カウンターは、炭素数が6以上、8以上、10以上、12以上、14以上、16以上、18以上、又は20以上の炭素鎖(直鎖)を有することができる。
【0095】
第1の極性基がカチオン性・塩基性である場合、カウンターとしては、例えば、乳酸、脂肪酸及びその誘導体等を使用することができる。脂肪酸及びその誘導体としては、例えば、イソステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、ベヘニン酸、及び3-(10-カルボキシデシル)-1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサンのうちの少なくとも1つを使用することができる。
【0096】
第1の極性基がアニオン性・酸性である場合、カウンターとしては、例えば、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン、第4級アミン等を使用することができる。第4級アミンとしては、例えば、ジステアリルジモニウムクロリド等を使用することができる。
【0097】
増粘剤におけるカウンターの含有率は、水溶性ポリマー1質量部に対して0.02質量部以上であると好ましく、0.1質量部以上であるとより好ましく、0.2質量部以上であるとより好ましく、0.5質量部以上であるとより好ましく、1質量部以上であるとさらに好ましい。カウンターの含有率を0.02質量部以上とすると粘度を高めることができる。カウンターの含有率は、水溶性ポリマー1質量部に対して10質量部以下、8質量部以下、6質量部以下、又は4質量部以下とすることができる。カウンターの含有率は、所望の粘度に応じて適宜決定することができる。
【0098】
本開示の増粘剤は、極性溶媒中に形成ないし保存することができる。極性溶媒については第2実施形態において述べる。
【0099】
本開示の増粘剤において、溶媒中で水溶性ポリマーとカウンターとはイオン的及び静電的のうちの少なくともいずれかの態様で相互作用していると考えられる。極性溶媒中に存在する水によって、第1の極性基及び第2の極性基の少なくとも一部がイオン化している可能性がある。これにより、水溶性ポリマーの第1の極性基とカウンターの第2の極性基とは、イオン的及び/又は静電的に結合しているものと考えられる。水溶性ポリマーとカウンターとはイオン対(カップリング)を形成していると考えられる。複数の水溶性ポリマー及びカウンターが二次元的及び/又は三次元的に連結及び/又は架橋している可能性もある。
【0100】
本開示の増粘剤は、アルコール、多価アルコール等の極性溶媒を増粘することができる。特に、有機極性溶媒を増粘することができる。本開示の増粘剤を用いることにより、非水溶性(油溶性)成分を含有する組成物を増粘することができる。例えば、極性溶媒と相互溶解性のある油性溶媒に非水溶性成分を溶解させて、油性溶媒と極性溶媒と混合した混合物を増粘することによって、非水溶性成分が溶解した組成物を増粘することができる。これによって、非水溶媒や油性成分を主として含む組成物であっても粘度を高め、製品の使用性を高めることができる。
【0101】
本開示の増粘剤による増粘作用は乳化作用ではないと考えられる。このため、本開示の増粘剤によって増粘された組成物は、高い透明性を有することができる。本開示の増粘剤は、例えば、紫外線吸収剤等の油溶性の有効成分を溶解させた非水系化粧料を、高い透明性を維持したまま増粘することができる。
【0102】
本開示の増粘剤は、特定の方法に限定されることなく、公知の方法によって製造することができる。例えば、本開示の増粘剤は、上記各成分を極性溶媒中で混合することによって製造することができる。
【0103】
本開示の第2実施形態に係る組成物について説明する。本開示の組成物は、例えば、化粧料(例えば、日焼け止め化粧料)に適用することができる。
【0104】
本開示の組成物は、水溶性ポリマーと、カウンターと、極性溶媒と、を含有する。水溶性ポリマー及びカウンターは、第1実施形態に係る増粘剤とすることができる。すなわち、本開示の組成物は、第1実施形態に係る増粘剤と、極性溶媒と、を含有する。以下において、増粘剤とは基本的に第1実施形態に係る増粘剤のことを指す。
【0105】
[増粘剤]
増粘剤における水溶性ポリマー及びカウンターについては上記説明を援用し、ここでの説明は省略する。
【0106】
増粘剤の含有率は、組成物の質量に対して、0.1質量%以上であると好ましく、0.5質量%以上であるとより好ましく、1質量%以上であるとより好ましく、1.5質量%以上であるとさらに好ましい。増粘剤が0.1質量%未満であると十分な増粘作用を得ることができない。増粘剤の含有率は、組成物の質量に対して、15質量%以下とすることができる。増粘剤の含有率は、所望の粘度に応じて、組成物の質量に対して、10質量%以下、8質量%以下、6質量%以下、又は5質量%以下とすることができる。
【0107】
[極性溶媒]
極性溶媒は、上記水溶性ポリマーを溶解可能な水及び/又は非水系溶媒(有機極性溶媒)であると好ましい。
【0108】
非水系溶媒(非水溶媒)とは、炭化水素油等の非極性(無極性)溶媒以外の有機溶媒をいう。有機極性溶媒は、例えば、分子に極性を生じさせることができる官能基、例えば、ヒドロキシ基(OH基)、ポリオキシアルキレン鎖(例えば、ポリオキシエチレン鎖、ポリオキシプロピレン鎖等)、フェニル基等の官能基、を有したり、非対称な構造を有したりすると好ましい。非水系極性溶媒は、親水性、すなわち水との相互溶解性があると好ましい。
【0109】
非水系極性溶媒としては、以下に挙げるような溶媒を使用することができる。
【0110】
水溶性アルコールとしては、例えば、低級アルコール、多価アルコール、多価アルコール重合体、2価のアルコールアルキルエーテル類、2価アルコールアルキルエーテル類、2価アルコールエーテルエステル、グリセリンモノアルキルエーテル、糖アルコール、単糖、オリゴ糖、多糖およびそれらの誘導体等から選ばれる少なくとも1つを挙げることができる。
【0111】
低級アルコールとしては、例えば、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、イソブチルアルコール、t-ブチルアルコール等が挙げられる。
【0112】
多価アルコールとしては、例えば、2価のアルコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,2-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、テトラメチレングリコール、2,3-ブチレングリコール、ペンタメチレングリコール、2-ブテン-1,4-ジオール、ヘキシレングリコール、オクチレングリコール等);3価のアルコール(例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン等);4価アルコール(例えば、1,2,6-ヘキサントリオール等のペンタエリスリトール等);5価アルコール(例えば、キシリトール等);6価アルコール(例えば、ソルビトール、マンニトール等);多価アルコール重合体(例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、ジグリセリン、ポリエチレングリコール、トリグリセリン、テトラグリセリン、ポリグリセリン等);2価のアルコールアルキルエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ2-メチルヘキシルエーテル、エチレングリコールイソアミルエーテル、エチレングリコールベンジルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル等);2価アルコールアルキルエーテル類(例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコールブチルエーテル等);2価アルコールエーテルエステル(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、エチレングリコールジアジペート、エチレングリコールジサクシネート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノフェニルエーテルアセテート等);グリセリンモノアルキルエーテル(例えば、キミルアルコール、セラキルアルコール、バチルアルコール等);糖アルコール(例えば、ソルビトール、マルチトール、マルトトリオース、マンニトール、ショ糖、エリトリトール、グルコース、フルクトース、デンプン分解糖、マルトース、キシリトール、デンプン分解糖還元アルコール等);グリソリッド;テトラハイドロフルフリルアルコール;POE-テトラハイドロフルフリルアルコール;POP-ブチルエーテル;POP・POE-ブチルエーテル;トリポリオキシプロピレングリセリンエーテル;POP-グリセリンエーテル;POP-グリセリンエーテルリン酸;POP・POE-ペンタンエリスリトールエーテル、ポリグリセリン等が挙げられる。
【0113】
単糖としては、例えば、三炭糖(例えば、D-グリセリルアルデヒド、ジヒドロキシアセトン等)、四炭糖(例えば、D-エリトロ-ス、D-エリトルロ-ス、Dートレオ-ス、エリスリトール等)、五炭糖(例えば、L-アラビノ-ス、D-キシロ-ス、L-リキソ-ス、D-アラビノ-ス、D-リボ-ス、D-リブロ-ス、D-キシルロ-ス、L-キシルロ-ス等)、六炭糖(例えば、D-グルコ-ス、D-タロ-ス、D-プシコ-ス、D-ガラクト-ス、D-フルクト-ス、L-ガラクト-ス、L-マンノ-ス、D-タガト-ス等)、七炭糖(例えば、アルドヘプト-ス、ヘプツロ-ス等)、八炭糖(例えば、オクツロ-ス等)、デオキシ糖(例えば、2-デオキシ-D-リボ-ス、6-デオキシ-L-ガラクト-ス、6-デオキシ-L-マンノ-ス等)、アミノ糖(例えば、D-グルコサミン、D-ガラクトサミン、シアル酸、アミノウロン酸、ムラミン酸等)、ウロン酸(例えば、D-グルクロン酸、D-マンヌロン酸、L-グルロン酸、D-ガラクツロン酸、L-イズロン酸等)等から選ばれる少なくとも1つを挙げることができる。
【0114】
オリゴ糖としては、例えば、ショ糖、グンチアノース、ウンベリフェロース、ラクトース、プランテオース、イソリクノース類、α,α-トレハロース、ラフィノース、リクノース類、ウンビリシン、スタキオース、ベルバスコース類等から選ばれる少なくとも1つを挙げることができる。
【0115】
多糖としては、例えば、セルロース、クインスシード、コンドロイチン硫酸、デンプン、ガラクタン、デルマタン硫酸、グリコーゲン、アラビアガム、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸、トラガントガム、ケラタン硫酸、コンドロイチン、キサンタンガム、ムコイチン硫酸、グアガム、デキストラン、ケラト硫酸、ローカストビーンガム、サクシノグルカン、カロニン酸等から選ばれる少なくとも1つを挙げることができる。
【0116】
その他のポリオールとしては、例えば、ポリオキシエチレンメチルグルコシド(グルカムE-10)、ポリオキシプロピレンメチルグルコシド(グルカムP-10)等から選ばれる少なくとも1つを挙げることができる。
【0117】
その他の有機溶媒としては、酢酸、ギ酸、アセトン、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、N,N-ジメチルホルムアミド等を挙げることができる。
【0118】
上記極性溶媒のうち、例えば、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、オクチルメトキシシンナメート、オクトクリレン、ホモサレート、及びサリチル酸オクチルのうちの少なくとも1つを好適に使用することができる。
【0119】
極性溶媒の含有率は、組成物の質量に対して、20質量%以上であると好ましい。極性溶媒が20質量%未満であると、所望の取扱い性を満たす粘度を確保することができず、また油性溶媒の添加量を多くすることができない。極性溶媒の含有率は、目的とする組成物の粘度に応じて決定することができる。組成物の粘度を高めたい場合には、極性溶媒の含有率は、25質量%以上であるとより好ましく、30質量%以上であるとより好ましく、35質量%以上であるとより好ましく、40質量%以上であるとより好ましく、45質量%以上であるとさらに好ましい。極性溶媒の含有率の上限は、組成物の目的に応じて適宜決定することができる。例えば、極性溶媒の含有率は、組成物の質量に対して、98質量%以下、95質量%以下、90質量%以下、85質量%以下、80質量%以下、75質量%以下、70質量%以下、65質量%以下、60質量%以下、55質量%以下、又は50質量%以下とすることができる。
【0120】
極性溶媒は水を含有することができる。水は、極性溶媒等に元々含まれているものであってもよい。水としては、化粧料、医薬部外品等に使用される水を使用することができ、例えば、精製水、イオン交換水、水道水等を使用することができる。組成物が少量の水を含有することによって増粘作用及び透明性を高めることができる。極性溶媒における水の含有率は、0.5質量%以上であると好ましく、1質量%以上であるとより好ましく、2質量%以上であるとさらに好ましい。
【0121】
極性溶媒の量に対して水の量が多くなりすぎると、乳化現象が起きたりして、透明性が低下してしまったり、水の分離現象が生じてしまう。透明性の観点から、極性溶媒における水の含有率は15質量%以下であると好ましく、12質量%以下であると好ましく、10質量%以下であるとさらに好ましい。極性溶媒における水の含有率は、例えば、8質量%以下、5質量%以下、3質量%以下、2質量%以下、又は1質量%以下とすることができる。また、増粘組成物における水の含有率は、組成物の質量に対して5質量%以下であると好ましい。透明性を維持しつつ、粘度を高めたい場合には、水の含有率は、上記範囲内で高く設定すると好ましい。
【0122】
[油性成分]
本開示の組成物は、油性成分をさらに含有することができる。油性成分は、上記極性溶媒を溶解可能である、及び/又は上記極性溶媒に可溶であると好ましい。
【0123】
油性成分としては、例えば、液体油脂、固体油脂、ロウ、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、合成エステル油、シリコーン油等を使用することができる。
【0124】
液体油脂としては、例えば、アボガド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン等が挙げられる。
【0125】
固体油脂としては、例えば、カカオ脂、ヤシ油、馬脂、硬化ヤシ油、パーム油、牛脂、羊脂、硬化牛脂、パーム核油、豚脂、牛骨脂、モクロウ核油、硬化油、牛脚脂、モクロウ、硬化ヒマシ油等が挙げられる。
【0126】
ロウ類としては、例えば、ミツロウ、カンデリラロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、鯨ロウ、モンタンロウ、ヌカロウ、ラノリン、カポックロウ、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、還元ラノリン、ジョジョバロウ、硬質ラノリン、セラックロウ、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、POEコレステロールエーテル、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル等が挙げられる。
【0127】
炭化水素油としては、例えば、流動パラフィン、オゾケライト、スクワラン、プリスタン、パラフィン、セレシン、スクワレン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス、イソドデカン、イソヘキサデカン等が挙げられる。
【0128】
高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、トール酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)等が挙げられる。
【0129】
高級アルコールとしては、例えば、直鎖アルコール(例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール等);分枝鎖アルコール(例えば、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、2-デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等)等を使用することができる。
【0130】
合成エステル油としては、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12-ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ-2-エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N-アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ-2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ-2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2-エチルヘキサノエート、2-エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オレイル、アセトグリセライド、パルミチン酸2-ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸-2-オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ-2-ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバシン酸ジ-2-エチルヘキシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、セバシン酸ジイソプロピル、コハク酸2-エチルヘキシル、クエン酸トリエチル等が挙げられる。
【0131】
シリコーン油としては、ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ステアロキシメチルポリシロキサン、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン、フルオロアルキル・ポリオキシアルキレン共変性オルガノポリシロキサン、アルキル変性オルガノポリシロキサン、未末端変性オルガノポリシロキサン、フッ素変性オルガノポリシロキサン、アミノ変性オルガノポリシロキサン、シリコーンゲル、アクリルシリコーン、トリメチルシロキシケイ酸、シリコーンRTVゴム等のシリコーン化合物等が挙げられる。
【0132】
上記油性成分のうち、油性成分としては、炭化水素油、エステル油、及びシリコーン油のうちの少なくとも1つであると好ましい。
【0133】
[油溶性有効成分]
本開示の組成物は、油性成分として、紫外線吸収剤等の油溶性有効成分をさらに含有することができる。油溶性有効成分は、油性成分の溶媒に可溶であると好ましい。組成物は、水溶性紫外線吸収剤等の水溶性有効成分を含有してもよい。
【0134】
油溶性の紫外線吸収剤としては、例えば、パラアミノ安息香酸(PABA)、PABAモノグリセリンエステル、N,N-ジプロポキシPABAエチルエステル、N,N-ジエトキシPABAエチルエステル、N,N-ジメチルPABAエチルエステル、N,N-ジメチルPABAブチルエステル等の安息香酸系紫外線吸収剤;ホモメンチル-N-アセチルアントラニレート等のアントラニル酸系紫外線吸収剤;アミルサリシレート、メンチルサリシレート、ホモメンチルサリシレート、オクチルサリシレート、フェニルサリシレート、ベンジルサリシレート、p-イソプロパノールフェニルサリシレート等のサリチル酸系紫外線吸収剤;オクチルシンナメート、エチル-4-イソプロピルシンナメート、メチル-2,5-ジイソプロピルシンナメート、エチル-2,4-ジイソプロピルシンナメート、メチル-2,4-ジイソプロピルシンナメート、プロピル-p-メトキシシンナメート、イソプロピル-p-メトキシシンナメート、イソアミル-p-メトキシシンナメート、オクチル-p-メトキシシンナメート、2-エチルヘキシル-p-メトキシシンナメート、2-エトキシエチル-p-メトキシシンナメート、シクロヘキシル-p-メトキシシンナメート、エチル-α-シアノ-β-フェニルシンナメート、2-エチルヘキシル-α-シアノ-β-フェニルシンナメート、グリセリルモノ-2-エチルヘキサノイル-ジパラメトキシシンナメート、3,4,5-トリメトキシケイ皮酸3-メチル-4-[メチルビス(トリメチルシリキシ)シリル]ブチル等のケイ皮酸系紫外線吸収剤;2-フェニル-5-メチルベンゾキサゾール、2,2’-ヒドロキシ-5-メチルフェニルベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-t-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニルベンゾトリアゾール、ジベンザラジン、ジアニソイルメタン、4-メトキシ-4’-t-ブチルジベンゾイルメタン、5-(3,3-ジメチル-2-ノルボルニリデン)-3-ペンタン-2-オン、オクトクリレン等を挙げることができる。
【0135】
水溶性の紫外線吸収剤としては、例えば2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-4’-メチルベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸塩、4-フェニルベンゾフェノン、2-エチルヘキシル-4’-フェニル-ベンゾフェノン-2-カルボキシレート、2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシベンゾフェノン、4-ヒドロキシ-3-カルボキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、フェニルベンズイミダゾール-5-スルホン酸およびその塩、フェニレン-ビス-ベンゾイミダゾール-テトラスルホン酸およびその塩等のベンゾイミダゾール系紫外線吸収剤、3-(4’-メチルベンジリデン)-d,l-カンファー、3-ベンジリデン-d,l-カンファー、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチルエステル等を挙げることができる。
【0136】
油性成分の含有率は、組成物の質量に対して、85質量%以下であると好ましく、70質量%以下であるとより好ましく、60質量%以下であるとさらに好ましい。油性成分が85質量%を超えると、乳化等によって透明性が低下すると共に、べたつき感が増してしまう。油性成分の含有率の下限は、組成物の目的に応じて適宜決定することができる。油性成分の含有率は、組成物の質量に対して、例えば、10質量%以上、20質量%以上、30質量%以上、又は40質量%以上とすることができる。
【0137】
[その他]
本開示の組成物は、本開示の効果を阻害しない範囲において、他の成分、例えば、別の増粘剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤、粉体、水溶性高分子、皮膜剤、金属イオン封鎖剤、アミノ酸、有機アミン、高分子エマルジョン、pH調整剤、皮膚栄養剤、ビタミン、酸化防止剤、酸化防止助剤、香料等を必要に応じて適宜含有することができる。
【0138】
以下に、配合可能な他の成分の例を列挙する。下記成分は、少なくとも1つを本開示の組成物に添加することができる。
【0139】
別の増粘剤としては、例えば、アラビアガム、カラギーナン、カラヤガム、トラガカントガム、キャロブガム、クインスシード(マルメロ)、カゼイン、デキストリン、ゼラチン、ペクチン酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルメチルエーテル(PVM)、PVP(ポリビニルピロリドン)、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、ローカストビーンガム、グアガム、タマリンドガム、ジアルキルジメチルアンモニウム硫酸セルロース、キサンタンガム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ベントナイト、ヘクトライト、ケイ酸アルミニウムマグネシウム(ビーガム)、ラポナイト、無水ケイ酸等が挙げられる。
【0140】
アニオン性界面活性剤としては、例えば、脂肪酸セッケン(例えば、ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等);高級アルキル硫酸エステル塩(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム等);アルキルエーテル硫酸エステル塩(例えば、POE-ラウリル硫酸トリエタノールアミン、POE-ラウリル硫酸ナトリウム等);N-アシルサルコシン酸(例えば、ラウロイルサルコシンナトリウム等);高級脂肪酸アミドスルホン酸塩(例えば、N‐ステアロイル‐N‐メチルタウリンナトリウム、N-ミリストイル-N-メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリッドナトリウム、ラウリルメチルタウリッドナトリウム等);リン酸エステル塩(POE-オレイルエーテルリン酸ナトリウム、POE-ステアリルエーテルリン酸等);スルホコハク酸塩(例えば、ジ-2-エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、モノラウロイルモノエタノールアミドポリオキシエチレンスルホコハク酸ナトリウム、ラウリルポリプロピレングリコールスルホコハク酸ナトリウム等);アルキルベンゼンスルホン酸塩(例えば、リニアドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、リニアドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、リニアドデシルベンゼンスルホン酸等);高級脂肪酸エステル硫酸エステル塩(例えば、硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウム等);N-アシルグルタミン酸塩(例えば、N-ラウロイルグルタミン酸モノナトリウム、N-ステアロイルグルタミン酸ジナトリウム、N-ミリストイル-L-グルタミン酸モノナトリウム等);硫酸化油(例えば、ロート油等);POE-アルキルエーテルカルボン酸;POE-アルキルアリルエーテルカルボン酸塩;α-オレフィンスルホン酸塩;高級脂肪酸エステルスルホン酸塩;二級アルコール硫酸エステル塩;高級脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩;ラウロイルモノエタノールアミドコハク酸ナトリウム;N-パルミトイルアスパラギン酸ジトリエタノールアミン;カゼインナトリウム等を使用することができる。
【0141】
カチオン界面活性剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩(例えば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム等);アルキルピリジニウム塩(例えば、塩化セチルピリジニウム等);ジアルキルジメチルアンモニウム塩(例えば、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム等);塩化ポリ(N,N’-ジメチル-3,5-メチレンピペリジニウム);アルキル四級アンモニウム塩;アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩;アルキルイソキノリニウム塩;ジアルキルモリホニウム塩;POE-アルキルアミン;アルキルアミン塩;ポリアミン脂肪酸誘導体;アミルアルコール脂肪酸誘導体;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム等が挙げられる。
【0142】
両性界面活性剤としては、例えば、イミダゾリン系両性界面活性剤(例えば、2-ウンデシル-N,N,N-(ヒドロキシエチルカルボキシメチル)-2-イミダゾリンナトリウム、2-ココイル-2-イミダゾリニウムヒドロキサイド-1-カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等);ベタイン系界面活性剤(例えば、2-ヘプタデシル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)等が挙げられる。
【0143】
親油性非イオン界面活性剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル(例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ペンタ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等);グリセリンポリグリセリン脂肪酸(例えば、モノ綿実油脂肪酸グリセリン、モノエルカ酸グリセリン、セスキオレイン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、α,α'-オレイン酸ピログルタミン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリンリンゴ酸等);プロピレングリコール脂肪酸エステル(例えば、モノステアリン酸プロピレングリコール等);硬化ヒマシ油誘導体;グリセリンアルキルエーテル等が挙げられる。
【0144】
親水性非イオン界面活性剤としては、例えば、POE-ソルビタン脂肪酸エステル(例えば、POE-ソルビタンモノオレエート、POE-ソルビタンモノステアレート、POE-ソルビタンモノオレエート、POE-ソルビタンテトラオレエート等);POE-ソルビット脂肪酸エステル(例えば、POE-ソルビットモノラウレート、POE-ソルビットモノオレエート、POE-ソルビットペンタオレエート、POE-ソルビットモノステアレート等);POE-グリセリン脂肪酸エステル(例えば、POE-グリセリンモノステアレート、POE-グリセリンモノイソステアレート、POE-グリセリントリイソステアレート等のPOE-モノオレエート等);POE-脂肪酸エステル(例えば、POE-ジステアレート、POE-モノジオレエート、ジステアリン酸エチレングリコール等);POE-アルキルエーテル(例えば、POE-ラウリルエーテル、POE-オレイルエーテル、POE-ステアリルエーテル、POE-ベヘニルエーテル、POE-2-オクチルドデシルエーテル、POE-コレスタノールエーテル等);プルロニック型(例えば、プルロニック等);POE・POP-アルキルエーテル(例えば、POE・POP-セチルエーテル、POE・POP-2-デシルテトラデシルエーテル、POE・POP-モノブチルエーテル、POE・POP-水添ラノリン、POE・POP-グリセリンエーテル等);テトラPOE・テトラPOP-エチレンジアミン縮合物(例えば、テトロニック等);POE-ヒマシ油硬化ヒマシ油誘導体(例えば、POE-ヒマシ油、POE-硬化ヒマシ油、POE-硬化ヒマシ油モノイソステアレート、POE-硬化ヒマシ油トリイソステアレート、POE-硬化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル、POE-硬化ヒマシ油マレイン酸等);POE-ミツロウ・ラノリン誘導体(例えば、POE-ソルビットミツロウ等);アルカノールアミド(例えば、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、脂肪酸イソプロパノールアミド等);POE-プロピレングリコール脂肪酸エステル;POE-アルキルアミン;POE-脂肪酸アミド;ショ糖脂肪酸エステル;アルキルエトキシジメチルアミンオキシド;トリオレイルリン酸等が挙げられる。
【0145】
粉体としては、例えば、無機粉末(例えば、タルク、カオリン、雲母、絹雲母(セリサイト)、白雲母、金雲母、合成雲母、紅雲母、黒雲母、リチア雲母、焼成雲母、焼成タルク、パーミキュライト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、マグネシウム、シリカ、ゼオライト、ガラス、硫酸バリウム、焼成硫酸カルシウム(焼セッコウ)、リン酸カルシウム、フッ素アパタイト、ヒドロキシアパタイト、セラミックパウダー、金属石鹸(例えば、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム)、窒化ホウ素等);有機粉末(例えば、ポリアミド樹脂粉末(ナイロン粉末)、ポリエチレン粉末、ポリメタクリル酸メチル粉末、ポリスチレン粉末、スチレンとアクリル酸の共重合体樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、ポリ四フッ化エチレン粉末、セルロース粉末、シリコーン樹脂粉末、シルクパウダー、ウールパウダー、ウレタンパウダー等);無機白色顔料(例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛等);無機赤色系顔料(例えば、酸化鉄(ベンガラ)、チタン酸鉄等);無機褐色系顔料(γ-酸化鉄等)、無機黄色系顔料(黄酸化鉄、黄土等)、無機黒色系顔料(黒酸化鉄、カーボンブラック、低次酸化チタン等)、無機紫色系顔料(例えば、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット等);無機緑色系顔料(例えば、酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト等);無機青色系顔料(例えば、群青、紺青等);パール顔料(例えば、酸化チタンコーテッドマイカ、酸化チタンコーテッドオキシ塩化ビスマス、酸化チタンコーテッドタルク、着色酸化チタンコーテッドマイカ、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔等);金属粉末顔料(例えば、アルミニウムパウダー、カッパーパウダー等);ジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機顔料(例えば、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色228号、赤色405号、橙色203号、橙色204号、黄色205号、黄色401号、及び青色404号などの有機顔料、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色227号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、緑色3号及び青色1号等);天然色素(例えば、クロロフィル、β-カロチン等)等を使用することができる。
【0146】
粉体の含有率は、組成物の質量に対して5質量%以下であると好ましく、3質量%以下であるとより好ましい。粉体を5質量%を超えて添加すると、化粧料として肌に塗布した際に肌上に浮いて見えてしまったり、組成物の透明性が低下したりしてしまう。
【0147】
保湿剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,3-ブチレングリコール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ムコイチン硫酸、カロニン酸、アテロコラーゲン、コレステリル-12-ヒドロキシステアレート、乳酸ナトリウム、胆汁酸塩、dl-ピロリドンカルボン酸塩、アルキレンオキシド誘導体、短鎖可溶性コラーゲン、ジグリセリン(EO)PO付加物、イザヨイバラ抽出物、セイヨウノコギリソウ抽出物、メリロート抽出物等が挙げられる。
【0148】
天然の水溶性高分子としては、例えば、植物系高分子(例えば、アラビアガム、トラガカントガム、ガラクタン、グアガム、キャロブガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、カンテン、クインスシード(マルメロ)、アルゲコロイド(カッソウエキス)、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)、グリチルリチン酸);微生物系高分子(例えば、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、プルラン等);動物系高分子(例えば、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等)等が挙げられる。
【0149】
半合成の水溶性高分子としては、例えば、デンプン系高分子(例えば、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等);セルロース系高分子(メチルセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、セルロース末等);アルギン酸系高分子(例えば、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等)等が挙げられる。
【0150】
合成の水溶性高分子としては、例えば、ビニル系高分子(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー等);ポリオキシエチレン系高分子(例えば、ポリエチレングリコール20,000、40,000、60,000のポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体等);アクリル系高分子(例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリルアミド等);ポリエチレンイミン;カチオンポリマー等が挙げられる。
【0151】
皮膜剤としては、例えば、アニオン性皮膜剤(例えば、(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸エステル共重合体、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸高重合体等)、カチオン性皮膜剤(例えば、カチオン化セルロース、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド重合体、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド/アクリルアミド共重合体等)、ノニオン性皮膜剤(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリルアミド、高分子シリコーン、シリコーンレジン、トリメチルシロキシケイ酸等)が挙げられる。
【0152】
金属イオン封鎖剤としては、例えば、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジフォスホン酸、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジフォスホン酸四ナトリウム塩、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、コハク酸、エデト酸、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸3ナトリウム等が挙げられる。
【0153】
アミノ酸としては、例えば、中性アミノ酸(例えば、スレオニン、システイン等);塩基性アミノ酸(例えば、ヒドロキシリジン等)等が挙げられる。また、アミノ酸誘導体として、例えば、アシルサルコシンナトリウム(ラウロイルサルコシンナトリウム)、アシルグルタミン酸塩、アシルβ-アラニンナトリウム、グルタチオン、ピロリドンカルボン酸等が挙げられる。
【0154】
有機アミンとしては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、トリイソプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール等が挙げられる。
【0155】
高分子エマルジョンとしては、例えば、アクリル樹脂エマルジョン、ポリアクリル酸エチルエマルジョン、アクリルレジン液、ポリアクリルアルキルエステルエマルジョン、ポリ酢酸ビニル樹脂エマルジョン、天然ゴムラテックス等が挙げられる。
【0156】
pH調整剤としては、例えば、乳酸-乳酸ナトリウム、クエン酸-クエン酸ナトリウム、コハク酸-コハク酸ナトリウム等の緩衝剤等が挙げられる。
【0157】
ビタミン類としては、例えば、ビタミンA、B1、B2、B6、C、E及びその誘導体、パントテン酸及びその誘導体、ビオチン等が挙げられる。
【0158】
酸化防止剤としては、例えば、トコフェロール類、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸エステル類等が挙げられる。
【0159】
酸化防止助剤としては、例えば、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、ケファリン、ヘキサメタフォスフェイト、フィチン酸、エチレンジアミン四酢酸等が挙げられる。
【0160】
その他の配合可能成分としては、例えば、防腐剤(エチルパラベン、ブチルパラベン、クロルフェネシン、フェノキシエタノール等);消炎剤(例えば、グリチルリチン酸誘導体、グリチルレチン酸誘導体、サリチル酸誘導体、ヒノキチオール、酸化亜鉛、アラントイン等);美白剤(例えば、胎盤抽出物、ユキノシタ抽出物、アルブチン等);各種抽出物(例えば、オウバク、オウレン、シコン、シャクヤク、センブリ、バーチ、セージ、ビワ、ニンジン、アロエ、ゼニアオイ、アイリス、ブドウ、ヨクイニン、ヘチマ、ユリ、サフラン、センキュウ、ショウキュウ、オトギリソウ、オノニス、ニンニク、トウガラシ、チンピ、トウキ、海藻等)、賦活剤(例えば、ローヤルゼリー、感光素、コレステロール誘導体等);血行促進剤(例えば、ノニル酸ワレニルアミド、ニコチン酸ベンジルエステル、ニコチン酸β-ブトキシエチルエステル、カプサイシン、ジンゲロン、カンタリスチンキ、イクタモール、タンニン酸、α-ボルネオール、ニコチン酸トコフェロール、イノシトールヘキサニコチネート、シクランデレート、シンナリジン、トラゾリン、アセチルコリン、ベラパミル、セファランチン、γ-オリザノール等);抗脂漏剤(例えば、硫黄、チアントール等);抗炎症剤(例えば、トラネキサム酸、チオタウリン、ヒポタウリン等)等が挙げられる。
【0161】
さらに、本開示の組成物は、カフェイン、タンニン、ベラパミル、トラネキサム酸及びその誘導体、甘草、カリン、イチヤクソウ等の各種生薬抽出物、酢酸トコフェロール、グリチルレジン酸、グリチルリチン酸及びその誘導体又はその塩等の薬剤、ビタミンC、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、アスコルビン酸グルコシド、アルブチン、コウジ酸等の美白剤、アルギニン、リジン等のアミノ酸及びその誘導体、も適宜含有することができる。
【0162】
本開示の組成物の粘度は、目的に応じて適宜設定することができる。本開示の組成物の粘度は、300mPa・s以上であると好ましく、500mPa・s以上であるとより好ましく、1,000mPa・s以上であるとより好ましく、2,000mPa・s以上であるとより好ましい。粘度が300mPa・s未満であると、垂れ落ちやすく使用性が悪くなってしまう。本開示の組成物の粘度は、500,000mPa・s以下であると好ましく、300,000mPa・s以下であるとより好ましく、100,000mPa・s以下であるとより好ましく、50,000mPa・s以下であるとより好ましく、20,000mPa・s以下であるとより好ましい。粘度が500,000mPa・sを超えると、伸び広げにくくなるからである。粘度は30℃におけるブルックフィールド型粘度計(スピンドル番号7、回転数10rpm)で測定することができる。
【0163】
本開示の組成物の透明性は、Lab色空間におけるL*値が90以上であると好ましく、95以上であるとより好ましい。Lab色空間は色差計(例えば、COLOR-EYE 7000A(Gretag Macbeth社製))で測定することができる。
【0164】
本開示の組成物は、水系のみならず、非水系であっても、高い粘度及び透明性を有することができる。これにより、本開示の組成物は、紫外線吸収剤等の油溶性の有効成分を含有しながらも、使用性が高く、かつ高い透明性を有する化粧品等の製品に適用することができる。
【0165】
本開示の組成物は、特定の方法に限定されることなく、公知の方法によって製造することができる。例えば、本開示の増粘剤は、上記各成分を混合することによって製造することができる。
【0166】
本開示の組成物及び増粘剤について、以下に例を挙げて説明する。しかしながら、本開示の組成物及び増粘剤は、以下の実施例に限定されるものではない。各表に示す含有率の単位は質量%である。
【実施例】
【0167】
[試験例1~8]
本開示の増粘剤組成物による増粘効果を確認した。水溶性ポリマーとしては、複素環としてピロリドン基、第1の極性基としてジメチルアミノ基を有するポリマーを使用した。カウンターとしては、第2の極性基としてカルボキシ基を有するイソステアリン酸と乳酸をそれぞれ用いた。増粘させる非水溶媒は、極性溶媒としてのエタノールと、油性成分としてのセバシン酸ジイソプロピルとの混合溶媒とした。セバシン酸ジイソプロピルは、対称的な構造を有し、非極性溶媒とみなすことができる。各組成物について粘度を測定した。粘度は、粘度は30℃におけるブルックフィールド型粘度計(スピンドル番号7、回転数10rpm)で測定した。表1に、イソステアリン酸を用いた組成及び粘度を示す。表2に、乳酸を用いた組成及び粘度を示す。
図1に、試験例1~6におけるカウンター配合量に対する粘度の関係を示すグラフを示す。以下に、透明性の評価基準を示す。
【0168】
[透明性]
A:濁りや凝集は観察されなかった。
B:わずかに濁りが観察された。
C:濁りが観察された。
D:沈殿又は凝集が観察された。
【0169】
図1に示すように、イソステアリン酸の配合量を高めると、組成物の粘度は対数的に増加していることが分かる。これより、組成物の増粘は、水溶性ポリマーだけではなく、イソステアリン酸も寄与していると考えられる。また、イソステアリン酸の代わりに乳酸を用いた試験例7及び8においても増粘効果が認められた。これより、水溶性ポリマーと有機酸とが相互作用していると考えられる。例えば、極性溶媒中又は極性溶媒に含まれるわずかな水中において、水溶性ポリマーのジメチルアミノ基と、カウンターのカルボキシ基とが中和やイオン対の形成等の相互作用を有していると考えられる。極性溶媒は、極性化合物である水溶性ポリマー及びカウンターを溶解させる機能も有していると考えられる。
【0170】
試験例1~8に係る組成物のいずれも、濁り等なく、透明性を有していた。
【0171】
カウンターが脂肪酸である試験例1~6によれば、カウンターは、水溶性ポリマー1質量部に対して、少なくとも0.1質量部以上、好ましくは0.2質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上であれば増粘作用を高めることができると分かった。また、カウンターが乳酸である試験例7~8によれば、カウンターは、水溶性ポリマー1質量部に対して、少なくとも0.02質量部以上、好ましくは0.05質量部以上であれば増粘作用を高めることができると分かった。
【0172】
【0173】
【0174】
[試験例9~25]
本開示の増粘剤を用いて増粘可能な溶媒を調べた。また、各組成物について、透明性をチェックした。各試験例に係る組成及び評価を表3及び4に示す。「IS酸」はイソステアリン酸の省略表記である。以下に、増粘作用の評価基準を示す。透明性の評価基準は試験例1~8と同じである。
【0175】
[増粘作用]
A:増粘作用が観察された。
B:増粘作用が少し観察された。
C:増粘作用は観察されなかった。
【0176】
本開示の増粘剤は、基本的に、アルコール等の極性溶媒に対して増粘作用を発現させることができた。一方、本開示の増粘剤は、油性溶媒等の非極性溶媒に対しては増粘作用を発現させることができなかった。したがって、本開示の増粘剤は、極性溶媒の増粘に対して有用であると考えられる。
【0177】
しかしながら、試験例25に示すように、極性溶媒であっても、イオン交換水については増粘できなかった。これは、イソステアリン酸のイオン交換水に対する溶解性が低かったためと考えられる。これより、カウンターは溶媒に可能であるものを選択する必要があると考えられる。例えば、カウンターが有機酸である場合、主たる溶媒は極性有機溶媒を好適に増粘できると考えられる。ただし、後述するように、溶媒は水を含んでもよい。
【0178】
透明性については、増粘作用が高かった組成物では透明性も高くすることができた。一方、増粘作用が低かった組成物では濁りや凝集が生じるなど、透明性が低くなった。これより、増粘作用と透明性には相関があると考えられる。透明性が低くなった理由は、イオン性ポリマーやカウンターが溶媒に溶解できなかったためと考えられる。例えば、試験例3と試験例20とを比較すると、極性溶媒を含有する試験例3においては増粘性も透明性も良い結果が得られたが、極性溶媒を含有しない試験例20においては増粘性も透明性も結果は悪くなった。これより、本開示の増粘剤は、水溶性ポリマー及びカウンター(あるいは、これらの複合体)を溶解可能である極性溶媒が存在すると有効に作用すると考えられる。
【0179】
試験例9と試験例11を比較すると、99度エタノールよりは95度エタノールのほうが粘度を高めることができた。これより、95度エタノール中の水分が増粘作用に影響したものと考えられる。したがって、溶媒は少量(溶媒の質量に対して例えば2質量%~10質量%未満)の水を含むと好ましいと考えられる。
【0180】
【0181】
【0182】
[試験例26~29]
本開示の増粘剤を用いて、日焼け止め化粧料を作製し、粘度及び透明性を確認した。透明性の評価基準は上記と同じである。試験例26~29においては、極性溶媒である95度エタノールの含有率を変化させた。表5に、組成及び評価を示す。
図2に、試験例26~29における極性溶媒含有率に対する粘度の関係を示すグラフを示す。
【0183】
図2を見ると、極性溶媒であるアルコール含有率を高めると、粘度を高めることができたことが分かる。試験例3及び20に関して説明したように、試験例26では、極性溶媒の量が少なったために水溶性ポリマー及びカウンターが溶解されず、粘度を高められなかったと考えられる。粘度と極性溶媒の含有率とは比例的な関係にあるので、極性溶媒も増粘作用に関与していると考えられる。
図2によれば、極性溶媒の含有率が20質量%以上であれば、粘度を500mPa・s以上にすることができると考えられる。また、試験例26は粘度も低かったが、試験例27~29よりも透明性もやや低くなった。試験例26においては極性溶媒が少なかったため、水溶性ポリマー及びカウンターが溶解しきれなかったためと考えられる。これより、極性溶媒の含有率は20質量%以上であると好ましく、25質量%以上であるとより好ましく、30質量%以上であるとより好ましく、40質量%以上であるとさらに好ましいと考えられる。
【0184】
【0185】
[試験例30~35]
本開示に増粘剤を用いて、日焼け止め化粧料を作製し、粘度及び透明性を確認した。透明性の評価基準は上記と同じである。試験例30~35においては、極性溶媒として99度エタノールを用いると共に、イオン交換水の配合率を変化させた。表6に、組成及び評価を示す。
図3に、試験例30~35における水配合率に対する粘度の関係を示すグラフを示す。
【0186】
イオン交換水を含有していない試験例30においても増粘作用を観察することができたと共に、十分な透明性を得ることができた。しかしながら、
図3に示すように、水の配合量を多くすると、比例的に粘度を高めることができた。したがって、本開示の増粘剤は、水を含有する場合であっても増粘させることができることが分かった。また、この結果より、水も増粘作用に関与していると考えられる。
【0187】
ただし、試験例34及び35においては、乳化現象が生じて白濁を生じてしまった。また、試験例35においては、試験例34に比べて粘度が大幅に低下した。試験例34及び35においては、水の含有率が高くなることによって、本開示の増粘剤(水溶性ポリマーとカウンターの複合体)の溶解性が低下したか、あるいは、本開示の増粘剤が形成されなくなったと考えられる。これより、増粘性及び透明性を高めるためには、極性溶媒における水の含有率は10質量%以下であると好ましく、8質量%以下であるとより好ましいと考えられる。また、極性溶媒における水の含有率は、1質量%以上であると好ましく、2質量%以上であるとより好ましいと考えられる。
【0188】
【0189】
[試験例36~37]
試験例1~35においては、イオン性ポリマーとしてカチオン性・塩基性ポリマーを使用し、カウンターとしてアニオン性・酸性有機化合物を使用した。試験例36においては、イオン性ポリマーとしてアニオン性・酸性ポリマーを使用し、カウンターとしてカチオン性有機化合物を使用して、増粘作用及び透明性を得られるかを確認した。試験例37においては、イオン性ポリマーとして、水の増粘剤として使用されているカルボキシビニルポリマーを用いた。表7に、組成及び評価を示す。増粘作用及び透明性の評価基準は上記と同じである。
【0190】
試験例36において、アニオン性の水溶性ポリマーとカチオン性のカウンターとの組み合わせでも増粘作用を確認することができた。また、高い透明性を有する組成物を得ることができた。これのより、カチオン性・塩基性の水溶性ポリマーと、アニオン性・酸性のカウンターの組み合わせのみならず、アニオン性・酸性の水溶性ポリマーと、カチオン性のカウンターの組み合わせによっても増粘作用及び透明性を得ることができた。
【0191】
試験例37において使用したカウンターは第4級アミンの塩化物であるので、塩基性ではないと考えられる。したがって、本開示の増粘剤において、水溶性ポリマーとカウンターとは、イオン対を形成している可能性がある。
【0192】
試験例37においては、粘度を高めることができず、また透明性を高めることもできなかった。カルボキシビニルポリマーは、ジステアリルジモニウムクロリドと複合体を形成しなかったか、あるいは、疎水部を有しないために極性溶媒及び油性成分に溶解しなかったためと考えられる。これより、水用の増粘剤として一般的に使用されている親水性の高い増粘剤では非水系溶媒を増粘できないと考えられる。
【0193】
【0194】
[試験例38~43]
試験例38~43においては、本開示の増粘剤におけるカウンターの種類を変えて増粘作用及び透明性を得られるかを確認した。また、油性成分の種類も上記実施例とは変えた。表8に、組成及び評価を示す。
【0195】
表8に挙げたカウンターのいずれにおいても、高い透明性を実現すると共に、増粘作用を得ることができた。したがって、本開示の増粘剤におけるカウンターには、カルボキシ基等の極性官能基を有する化合物を適用することができると考えられる。例えば、カウンターとして、脂肪酸及びその誘導体を適用可能であることが分かった。実施例38~43において使用したカウンターの炭素数は16~22であった。また、各カウンターは炭素数6~20の炭素鎖(直鎖)を有していた。また、シロキサン化合物もカウンターとして適用可能であることが分かった。
【0196】
上述の試験例で用いた油性成分とは異なる油性成分を添加しても増粘することができた。これより、本開示の増粘剤は、極性溶媒と相互溶解性を有する種々の油性成分に適用可能であると考えられる。
【0197】
【0198】
本発明の組成物及び増粘剤、並びにこれらの製造方法は、上記実施形態及び実施例に基づいて説明されているが、上記実施形態及び実施例に限定されることなく、本発明の範囲内において、かつ本発明の基本的技術思想に基づいて、各開示要素(請求の範囲、明細書及び図面に記載の要素を含む)に対し種々の変形、変更及び改良を含むことができる。また、本発明の請求の範囲の範囲内において、各開示要素の多様な組み合わせ・置換ないし選択が可能である。
【0199】
本発明のさらなる課題、目的及び形態(変更形態含む)は、請求の範囲を含む本発明の全開示事項からも明らかにされる。
【0200】
本書に記載した数値範囲については、別段の記載のない場合であっても、当該範囲内に含まれる任意の数値ないし範囲が本書に具体的に記載されているものと解釈されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0201】
本開示の組成物及び増粘剤は、手で直接用いる化粧料・皮膚外用剤に好適に用いることができる。本開示の組成物は、肌や髪に塗布したり、擦り込んだりする化粧料・皮膚外用剤に好適に用いることができる。
【0202】
本開示の組成物及び増粘剤は、水中油型製品、油中水型製品、水以外の溶媒を主とする製品、油溶性成分を有効成分とする製品等に好適に適用することができる。特に、透明性を求められる製品に好適に用いることができる。