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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-21
(45)【発行日】2023-01-04
(54)【発明の名称】吐出システム
(51)【国際特許分類】
   B05C 5/00 20060101AFI20221222BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20221222BHJP
【FI】
B05C5/00 101
B05C11/10
【請求項の数】 31
(21)【出願番号】P 2019557404
(86)(22)【出願日】2018-04-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-06-18
(86)【国際出願番号】 US2018027541
(87)【国際公開番号】W WO2018194926
(87)【国際公開日】2018-10-25
【審査請求日】2021-04-13
(31)【優先権主張番号】62/488,638
(32)【優先日】2017-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391019120
【氏名又は名称】ノードソン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】NORDSON CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【弁理士】
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107401
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 誠一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100120064
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 孝夫
(74)【代理人】
【識別番号】100182257
【弁理士】
【氏名又は名称】川内 英主
(74)【代理人】
【識別番号】100202119
【弁理士】
【氏名又は名称】岩附 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】ゴールド,マーク,エー.
【審査官】磯部 洋一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-313485(JP,A)
【文献】特開2010-201675(JP,A)
【文献】特開平09-271709(JP,A)
【文献】特開平09-299860(JP,A)
【文献】特開2012-187577(JP,A)
【文献】特表2008-540087(JP,A)
【文献】中国実用新案第205463039(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C 5/00
B05C 11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上に材料を噴射する吐出システムであって、該吐出システムは、
第1の面と、第1の方向において前記第1の面の反対側にある第2の面と、少なくとも1つのスロットと、を画定するプレートであって、前記少なくとも1つのスロットは前記第1の面から前記第2の面まで前記プレートを貫通する、プレートと、
ニードルに作動的に結合され、圧電素子を含むアクチュエーターアセンブリと、
前記アクチュエーターアセンブリ及び前記少なくとも1つのスロットを通って延在する少なくとも1つの締結具と、
を備え、
前記少なくとも1つの締結具は、前記プレートに選択的に係合し、1)係脱形態では、前記少なくとも1つの締結具が前記スロット内で可動であり、かつ前記アクチュエーターアセンブリが前記プレートに対して可動である、及び、2)係合形態では、前記少なくとも1つの締結具が前記少なくとも1つのスロット内で可動でなく、かつ前記アクチュエーターアセンブリが前記プレートに対して可動でないように構成され、
前記圧電素子は、電荷を受けると、前記締結具が前記係脱形態にある場合には前記アクチュエーターアセンブリを前記ニードルに対して動かし、前記ニードルのストローク長を調整するように構成される、吐出システム。
【請求項2】
前記ニードルを付勢するように構成されたばねを更に備え、前記圧電素子が前記電荷を受け、前記締結具が前記係脱形態にあるときに、前記ニードルは静止状態を保つ、請求項1に記載の吐出システム。
【請求項3】
前記圧電素子は、前記締結具が前記係脱形態にあるときに負電荷を受けると、前記アクチュエーターアセンブリを前記ニードルから離れる方に動かすように構成される、請求項1に記載の吐出システム。
【請求項4】
前記圧電素子は、前記締結具が前記係脱形態にあるときに正電荷を受けると、前記アクチュエーターアセンブリを前記ニードルに向かって動かすように構成される、請求項1に記載の吐出システム。
【請求項5】
前記アクチュエーターアセンブリの上方に位置するとともに、前記アクチュエーターアセンブリに接続される第1のブロックと、
前記第1のブロックの上方に位置するとともに、前記第1のブロックに接続される第2のブロックと、
前記第1のブロックと前記第2のブロックとの間に画定される空隙と、
を更に備える、請求項1に記載の吐出システム。
【請求項6】
前記空隙に加圧空気を導くチューブを更に備え、前記第1のブロックは、前記加圧空気を前記空隙から外に導く少なくとも1つの排気通路を画定する、請求項5に記載の吐出システム。
【請求項7】
前記少なくとも1つの排気通路のそれぞれは、マフラーを収納するように構成される、請求項6に記載の吐出システム。
【請求項8】
前記材料を加熱するヒーターを更に備え、該ヒーターは、
第1の端部と、該第1の端部の反対側にある第2の端部と、前記第1の端部から前記第2の端部まで延在するキャビティとを画定するハウジングであって、前記キャビティは、供給される材料を収納するように構成され、該ハウジングは、第1の螺旋溝及び第2の螺旋溝を有する外面を更に画定し、前記第1の螺旋溝及び前記第2の螺旋溝は、前記第1の端部から前記第2の端部まで延在する、ハウジングと、
前記第1の螺旋溝に配置される温度センサーと、
前記第2の螺旋溝に配置されるヒーター線と、
前記ハウジングの周りに配置される絶縁層と、
前記絶縁層の周りに配置されるスリーブと、
を備える、請求項1に記載の吐出システム。
【請求項9】
前記絶縁層は、ポリイミドテープを含み、前記絶縁層は、前記ハウジングを電気的及び熱的に絶縁するように構成される、請求項8に記載の吐出システム。
【請求項10】
前記スリーブは、熱収縮編組スリーブである、請求項8に記載の吐出システム。
【請求項11】
前記第1の螺旋溝は、第1の直径を規定し、前記第2の螺旋溝は、第2の直径を規定し、前記第1の直径と前記第2の直径とは異なる、請求項8に記載の吐出システム。
【請求項12】
前記ハウジングの前記キャビティは、前記供給される材料を収容するシリンジを収納するように構成される、請求項8に記載の吐出システム。
【請求項13】
前記材料を収容するシリンジを収納するように構成されたヒーターと、
前記ヒーターに取り付けられるキャップ座部であって、該キャップ座部は、頂面と、該キャップ座部の前記頂面から延在するキャップ締結具とを画定し、該キャップ締結具は、頭部と、該頭部から該キャップ座部の前記頂面まで延在する中央部とを画定し、該キャップ締結具の前記中央部は、第1の最大直径を規定し、該キャップ締結具の前記頭部は、第2の最大直径を規定し、該第2の最大直径は、前記第1の最大直径よりも大きい、キャップ座部と、
前記キャップ座部に取外し可能に結合されるように構成されたキャップであって、該キャップは、本体と、頂面と、該頂面の反対側にある底面と、前記キャップ締結具の前記頭部を収納するように構成されたチャネルとを画定する、キャップと、
を更に備え、
前記キャップは、前記チャネルが前記キャップ締結具の前記頭部を収納する場合、前記ヒーター内の前記シリンジをシールするように構成される、請求項1に記載の吐出システム。
【請求項14】
前記キャップの前記チャネルは、
前記キャップの前記底面から頂面まで第1の方向に延在する第1の部分と、
前記第1の部分から円周方向に延在し、実質的に曲線状である第2の部分と、
前記第2の部分から前記頂面に向かって、前記第1の方向とは実質的に反対の第2の方向に延在する第3の部分と、
を画定し、
前記チャネルの前記第1の部分、前記第2の部分、及び前記第3の部分のそれぞれは、前記キャップ締結具の前記頭部を収納するように構成される、請求項13に記載の吐出システム。
【請求項15】
前記キャップは、前記キャップ締結具の前記頭部が前記チャネルの前記第3の部分に配置されている場合、前記キャップ座部に対して回転可能でない、請求項14に記載の吐出システム。
【請求項16】
前記キャップは、前記頂面から前記底面まで延在する外側側面と、該外側側面から径方向に離隔するとともに、前記底面から、垂直方向に前記頂面と前記底面との間に位置する内側頂面まで延在する内側側面と、を画定し、前記チャネルは、前記内側側面に部分的に画定される、請求項13に記載の吐出システム。
【請求項17】
前記キャップ締結具は、第1のキャップ締結具であり、前記チャネルは、第1のチャネルであり、
前記キャップ座部は、該キャップ座部の前記頂面から延在する第2のキャップ締結具、第3のキャップ締結具、及び第4のキャップ締結具を備え、
前記キャップは、2のチャネル、3のチャネル、及び4のチャネルのそれぞれの頭部を収納するようにそれぞれ構成された前記第2のキャップ締結具前記第3のキャップ締結具、及び前記第4のキャップ締結具を有する、請求項13に記載の吐出システム。
【請求項18】
前記材料を収容するシリンジを収納するように構成されたヒーターと、
前記ニードルを備え、前記基材上に前記材料を噴射するように構成された噴射式ディスペンサーと、
前記ヒーターの出力部から前記噴射式ディスペンサーの入力部まで延在するチャネルを画定するプレートアセンブリであって、該プレートアセンブリは、第1のプレートと、該第1のプレートに取外し可能に結合される第2のプレートとを含み、前記第1のプレート及び前記第2のプレートのそれぞれは、前記チャネルを部分的に画定するようになっている、プレートアセンブリと、
を更に備える、請求項1に記載の吐出システム。
【請求項19】
前記第2のプレートは、底面と、第1の方向に沿って前記底面の反対側にある頂面と、前記第1の方向に沿って前記頂面内に延在し、前記チャネルを部分的に画定する凹部とを画定し、
前記第1のプレートは、底面と、前記第1の方向に沿って前記底面の反対側にある頂面と、前記第1のプレートが前記第2のプレートに結合されている場合に前記チャネルを部分的に画定している前記第1のプレートの前記底面の一部と、を画定する、請求項18に記載の吐出システム。
【請求項20】
前記第1のプレートと前記第2のプレートとの間に配置されるシールを更に備え、該シールは、前記チャネルの周りに延在するように構成される、請求項19に記載の吐出システム。
【請求項21】
前記第2のプレートは、前記第1の方向に沿って前記頂面内に延在するとともに、前記凹部を実質的に囲むシール凹部を画定し、該シール凹部は、前記シールを収納するように構成される、請求項20に記載の吐出システム。
【請求項22】
アクチュエーターアセンブリに接続されるニードルのストローク長を調整する方法であって、前記アクチュエーターアセンブリは、少なくとも1つのプレートに結合され、該方法は、
前記アクチュエーターアセンブリを前記少なくとも1つのプレートに対して動かすことができるように、前記アクチュエーターアセンブリを前記少なくとも1つのプレートから係脱させることと、
前記アクチュエーターアセンブリの圧電素子に電荷を与えることと、
前記アクチュエーターアセンブリを前記ニードル及び前記少なくとも1つのプレートに対して動かすことと、
前記アクチュエーターアセンブリを前記少なくとも1つのプレートに係合させることと、
を含む、方法。
【請求項23】
前記電荷を与えるステップは、前記圧電素子に負電荷を与えることを含み、前記アクチュエーターアセンブリを動かすステップは、前記アクチュエーターアセンブリを前記ニードルから離れる方に動かすことを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記電荷を与えるステップは、前記圧電素子に正電荷を与えることを含み、前記アクチュエーターアセンブリを動かすステップは、前記アクチュエーターアセンブリを前記ニードルに向かって動かすことを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記アクチュエーターアセンブリを係脱させるステップは、前記アクチュエーターアセンブリと、前記少なくとも1つのプレートに画定されるスロットとを通って延在する締結具が、前記スロット内で可動になるように、前記締結具からナットを緩めることを含み、前記アクチュエーターアセンブリを係合させるステップは、前記締結具が前記少なくとも1つのプレートに係合し、前記スロット内で可動にならないように、前記ナットを前記締結具に対して締めることを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記少なくとも1つのプレートは、第1のプレート及び第2のプレートを含み、前記アクチュエーターアセンブリを係合させるステップにおいて、前記締結具は、前記第1のプレートに係合し、前記ナットは、前記第2のプレートに係合するようになっている、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
吐出システム内の材料を加熱するヒーターであって、
第1の端部と、該第1の端部の反対側にある第2の端部と、前記第1の端部から前記第2の端部まで延在するキャビティとを画定するハウジングであって、前記キャビティは、供給される材料を収納するように構成され、該ハウジングは、第1の螺旋溝及び第2の螺旋溝を有する外面を更に画定し、前記第1の螺旋溝及び前記第2の螺旋溝は、前記第1の端部から前記第2の端部に延在する、ハウジングと、
前記第1の螺旋溝に配置される温度センサーと、
前記第2の螺旋溝に配置されるヒーター線と、
前記ハウジングの周りに配置される絶縁層と、
前記絶縁層の周りに配置されるスリーブと、
を備える、ヒーター。
【請求項28】
前記絶縁層は、ポリイミドテープを含み、前記絶縁層は、前記ハウジングを電気的及び熱的に絶縁するように構成される、請求項27に記載のヒーター。
【請求項29】
前記スリーブは、熱収縮編組スリーブである、請求項27に記載のヒーター。
【請求項30】
前記第1の螺旋溝は、第1の直径を規定し、前記第2の螺旋溝は、第2の直径を規定し、前記第1の直径と前記第2の直径とは異なる、請求項27に記載のヒーター。
【請求項31】
前記キャビティは、前記供給される材料を収容するシリンジを収納するように構成される、請求項27に記載のヒーター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2017年4月21日に出願された米国仮特許出願第62/488,638号明細書の利益を主張し、この米国仮特許出願の開示は、引用することによりその全体が本明細書の一部をなす。
【0002】
本開示は、包括的には、吐出システムに関し、より詳細には、材料を加熱して、加熱された材料を基材上に吐出する吐出システムに関する。
【背景技術】
【0003】
はんだペースト、コンフォーマルコーティング、封止材、アンダーフィル材、及び表面実装用接着剤等の流体材料を噴射する既知の吐出システムは、弁座部にニードルを高速で接触させることで、ディスペンサーから少量の流体材料を噴出する離散的な高圧パルスを発生させることにより、少量の流体材料を基材に吐出するように動作することが一般的である。しかしながら、こうした吐出システムの動作には、流路を通る流体の加熱が不十分となる、濡れた部分に余剰の材料を取り除くためのアクセスができない、アプリケーターの意図しない部分に熱が伝達される、個々の噴射動作に対応するようにニードルのストローク長を正確に調整するのが難しい等の多くの問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、これらの問題及び他の問題に対処する吐出システム、及びそのようなアプリケーターを動作させる方法が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の1つの実施形態は、基材上に材料を噴射する吐出システムである。吐出システムは、第1の面と、第1の方向において第1の面の反対側にある第2の面と、少なくとも1つのスロットと、を画定するプレートであって、少なくとも1つのスロットは第1の面から第2の面までプレートを貫通する、プレートと、圧電素子を含むアクチュエーターアセンブリとを備え、アクチュエーターアセンブリは、ニードルに作動的に結合される。吐出システムはまた、アクチュエーターアセンブリ及び少なくとも1つのスロットを通って延在する少なくとも1つの締結具を備え、少なくとも1つの締結具は、プレートに選択的に係合し、1)係脱形態では、少なくとも1つの締結具がスロット内で可動であり、かつアクチュエーターアセンブリがプレートに対して可動である、及び、2)係合形態では、少なくとも1つの締結具がスロット内で可動でなく、かつアクチュエーターアセンブリがプレートに対して可動でないように構成される。圧電素子は、電荷を受けると、締結具が係脱形態にある場合にはアクチュエーターアセンブリをニードルに対して動かし、それにより、ニードルのストローク長を調整するように構成される。
【0006】
本開示の別の更なる実施形態は、アクチュエーターアセンブリに接続されるニードルのストローク長を調整する方法である。ここで、アクチュエーターアセンブリは、少なくとも1つのプレートに結合される。本方法は、アクチュエーターアセンブリを少なくとも1つのプレートに対して動かすことができるように、アクチュエーターアセンブリを少なくとも1つのプレートから係脱させることと、アクチュエーターアセンブリの圧電素子に電荷を与えることとを含む。本方法はまた、アクチュエーターアセンブリをニードル及び少なくとも1つのプレートに対して動かすことと、アクチュエーターアセンブリを少なくとも1つのプレートに係合させることとを含む。
【0007】
本開示の更なる一実施形態は、材料アプリケーター内の材料を加熱するヒーターである。ヒーターは、第1の端部と、第1の端部の反対側にある第2の端部と、第1の端部から第2の端部まで延在するキャビティとを画定するハウジングを備え、キャビティは、供給される材料を収納するように構成され、ハウジングは、第1の螺旋溝及び第2の螺旋溝を有する外面を更に画定し、第1の螺旋溝及び第2の螺旋溝は、第1の端部から第2の端部まで延在する。ヒーターはまた、第1の螺旋溝に配置される温度センサーと、第2の螺旋溝に配置されるヒーター線と、ハウジングの周りに配置される絶縁層と、絶縁層の周りに配置されるスリーブとを備える。
【0008】
上記の概要及び下記の詳細な説明は、添付の図面と併せて読まれる場合によりよく理解される。図面は、本開示の例示的な実施形態を示している。しかしながら、本願は、図示の正確な構成及び手段に限定されないことが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の一実施形態に係る吐出システムの斜視図である。
図2図1に示されている吐出システムの代替的な斜視図である。
図3】カバーが図示されていない、図1に示されている吐出システムの側面図である。
図4図1に示す線4-4に沿う、図1に示されている吐出システムの断面図である。
図5図1に示されている吐出システムのキャップの斜視図である。
図6図1に示されている吐出システムのキャップ座部の斜視図である。
図7図1に示されている吐出システムのシリンジヒーターの分解図である。
図8図7に示されているシリンジヒーターの或る特定の部品の側面図である。
図9】カバー及び底部プレートが図示されていない、図1に示されている吐出システムの底面図である。
図10図1に示されている吐出システムの底部プレート及びシールの斜視図である。
図11図3に示す線11-11に沿う、図1に示されている吐出システムの断面図である。
図12図11に示されている吐出システムの丸で囲んだ領域の拡大図である。
図13図3に示す線11-11に沿う、図1に示されている吐出システムの代替的な断面図である。
図14A】カバーが取り外された状態の、図1に示されている吐出システムの斜視図である。
図14B】カバーが取り外された状態の、図1に示されている吐出システムの代替的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
吐出システム10は、シリンジヒーター40と、噴射式ディスペンサーアセンブリ300と、プレートアセンブリ47とを備える。プレートアセンブリ47は、頂部プレート48及び底部プレート52を備え、頂部プレート48及び底部プレート52は、シリンジヒーター40及び噴射式ディスペンサーアセンブリ300と流体連通するプレートチャネル252をそれぞれ部分的に画定する。吐出システム10は、シリンジヒーター40内のシリンジ(図示せず)をシールするように構成されたキャップ18も備える。更に、吐出システム10は、圧電素子を含むアクチュエーター60を備え、アクチュエーター60は、噴射式ディスペンサーアセンブリ300のニードル304を選択的に動かすように構成される。以下の記載において吐出システム10を説明するのに用いられる或る特定の用語は、単に便宜的なものであり、限定するものではない。「右」、「左」、「下側」及び「上側」という語は、参照される図面における方向を指している。「内側」及び「外側」という語は、吐出システム10及びその関連する部品を表す描写の幾何科学的中心に向かう方向及びこの幾何科学的中心から離れる方向をそれぞれ指している。「前方」及び「後方」という語は、吐出システム10及びその関連する部品に沿った、長手方向2における方向及び長手方向2の反対方向における方向を指している。用語は、上記で列挙された語、その派生語及び類義語を含む。
【0011】
本明細書において別途規定されていない限り、「長手」、「横」及び「垂直」の語は、長手方向2、横方向4及び垂直方向6によって示される、吐出システム10の種々の構成要素の直交する方向成分を述べるために使用されている。長手方向2及び横方向4は、水平面に沿って延在するように示され、垂直方向6は、垂直面に沿って延在するように示されているが、様々な方向を包含するこれらの平面は、使用時には異なる場合があることを理解されたい。
【0012】
本発明の実施形態は、製品の製造中に、ホットメルト接着剤等の材料を基材に塗布する吐出システム10を含む。特に、材料は、ポリウレタン反応性(PUR)ホットメルトとすることができる。図1及び図2を参照すると、吐出システム10は、吐出システム10の外装の実体的な部分を画定するカバー14を備える。吐出システム10は、第1のコネクタ26及び第2のコネクタ28も備える。第1のコネクタ26は、複数のタイン(tines)を有する雄接続部を画定することができ、第1のコネクタ26を電源に接続する配線(図示せず)に接続し、吐出システム10が第1のコネクタ26を通して電源入力を受け取るように構成される。第2のコネクタ28は、複数の凹部を有する雌接続部を画定することができ、第2のコネクタ28をコントローラー(図示せず)に接続する配線(図示せず)に接続し、第2のコネクタ28を通して吐出システム10との間で情報を送信するように構成される。コントローラーは、汎用コンピューター、タブレット、ラップトップ、スマートフォン等とすることができる。しかし、第1のコネクタ26及び第2のコネクタ28は、所望に応じて他のタイプのコネクタとして構成してもよい。他の実施形態において、吐出システム10は、情報をコントローラーに、Bluetooth(登録商標)又はWi-Fi(登録商標)によって無線で送信することができる。第1のコネクタ及び第2のコネクタは、回路基板36を収容する回路ハウジング32に取り付けられるように構成される。
【0013】
吐出システム10は、材料を保持するシリンジ(図示せず)を挿入することができる開口に蓋をするように構成されたキャップ18を備える。入力コネクタ22は、キャップ18を貫通し、シリンジが吐出システム10内に配置されている場合にシリンジと流体連通する空気通路23を画定する。入力コネクタ22は、加圧空気源に接続することができ、加圧空気が入力コネクタ22を通過し、吐出システム10を通して材料を圧送するようになっている。
【0014】
図5を参照すると、キャップ18は、頂面18aと、頂面18aの反対側にある底面18bと、頂面18aから底面18bまで延在する外側側面18cとを画定する。キャップ18はまた、垂直方向6に沿って底面18bから頂面18aに向かってキャップ18内に延在する凹部150を画定することができる。凹部150は、キャップ18の内側側面18d及びキャップの内側頂面18eによって部分的に画定することができる。キャップの内側頂面18eは、頂面18a及び/又は底面18bに対して平行とすることができ、垂直方向6に沿って頂面18aと底面18bとの間に配置されている。キャップ18は、垂直方向6に沿って、キャップ18の内側頂面18eから延出し、底面162aにおいて終端する円形突出部162を画定することができる。突出部162は、底面162aが垂直方向に沿ってキャップの底面18bの位置に並ぶように構成することができる。しかし、突出部162の底面162aは、垂直方向6に沿ってキャップの底面18bからオフセットされてもよい。突出部162は、Oリング(図4を参照)等のシール20を収納するように構成されたシール溝164と、通路168とを画定することができる。入力コネクタ22を収納するように構成された通路168は、底面162aから突出部162を通ってキャップ18の頂面18aまで延在する。通路168は、突出部162の中心に配置され得る中心軸Aを規定する。
【0015】
キャップ18は、底面18bと、内側側面18dと、内側頂面18eとによって部分的に画定される少なくとも1つのチャネル154を更に画定する。キャップ18は、図示の実施形態では、4つのチャネル154を画定するが、キャップ18は、所望に応じて他の任意の数のチャネル154を画定することができる。チャネル154は、凹部150の周りに等間隔で配置されてもよく、又は一貫性なくオフセットされてもよい。キャップ18は2つ以上のチャネル154を有することができるが、例示的なチャネル154を以下に記載する。更なるチャネルのそれぞれは、記載のチャネル154と同様の構成とすることができる。
【0016】
チャネル154は、2つ以上の部分を含むことができる。例えば、チャネル154は、垂直方向6に沿って底面18bから内側頂面18eまで延在する第1の部分158aを有することができる。第1の部分158aは、半円形状を画定するように図示されているが、第1の部分158aは、所望に応じて代替的な形状を画定することができる。チャネル154はまた、内側側面18dと、内側頂面18eと、内側頂面18eに面する第1のレッジ160aとによって画定される第2の部分158bを有することができる。第2の部分158bは、中心軸Aから径方向にオフセットされた曲線的な円周方向Cに沿って、第1の部分158aから延在することができ、垂直方向6に沿ってキャップ18の底面18bから完全にオフセットされたものであり得る。チャネル154は、垂直方向6に沿って第2の部分158bからキャップ18の底面18bに向かって延在する第3の部分158cを更に画定することができる。したがって、チャネル154の第3の部分158cは、円周方向Cに沿って第1の部分158aから径方向にオフセットされたものであり得る。第3の部分158cは、垂直方向6に沿って第1のレッジ160aからオフセットされた第2のレッジ160bによって画定することができる。特に、第2のレッジ160bは、垂直方向6に沿って底面18bと第1のレッジ160aとの間に間隔を置いて配置することができる。チャネル154の第1の部分、第2の部分、及び第3の部分158a~158cは、後述するように、キャップ締結具110の頭部111を収納するための経路を画定する。
【0017】
図3図4、及び図6を参照すると、吐出システム10は、キャップ18とシリンジヒーター40との間に配置されるキャップ座部19を更に備える。キャップ座部19は、吐出システム10に取外し可能に結合することができ、キャップ座部19は、キャップ座部19が吐出システム10に取り付けられている場合には、吐出システム10内にシリンジヒーター40を固定し、キャップ座部19が吐出システム10から取り外されている場合には、吐出システム10からシリンジヒーター40を取り外すための開口を提供するようになっている。キャップ座部19は、キャップ18に面するように構成された頂面19aと、頂面19aからキャップ座部19を通って延在するシリンジ本体チャネル114とを画定する。シリンジ本体チャネル114は、シリンジを、シリンジ本体チャネル114に通してシリンジヒーター40内に挿入することができるようなサイズになっている。キャップ座部19は、垂直方向6に沿って頂面19aから延在する少なくとも1つのレッジを画定することもできる。図示の実施形態では、キャップ座部19は、第1のレッジ102と、第1のレッジ102から横方向4に沿って離隔した第2のレッジ104とを画定する。第1のレッジ102は、内面102aと、内面102aから横方向4に沿って離隔した外面102bとを画定し、第2のレッジは、内面104aと、内面104aから横方向に沿って離隔した外面104bとを画定する。第1のレッジ102の内面102aは、第2のレッジ104の内面104aに面することができる。第1のレッジ102の内面102a及び第2のレッジ104の内面104aは、長手方向2に沿って第1のレッジ102と第2のレッジ104との間に延在する上側シリンジチャネル108を画定するようなサイズとすることができる。上側シリンジチャネルは、シリンジ(図示せず)の上側フランジを収納するようなサイズとすることができ、上側フランジが上側シリンジチャネル108内に収納されると、シリンジが回転しないようにシリンジ本体チャネル114内に固定されるようになっている。
【0018】
キャップ座部19は、頂面19aから垂直方向6に沿って延在する少なくとも1つのキャップ締結具110も備えることができる。図示の実施形態は、第1のレッジ102及び第2のレッジ104のそれぞれの端部にそれぞれ配置される4つの細長部材110を備える。ただし、所望に応じてより多数又はより少数の細長部材を備えていてもよい。各キャップ締結具110は、頭部111と、頭部111からキャップ座部19の頂面19aまで延在する中央部112とを画定することができる。中央部112は、最大直径dを規定し、頭部111は、最大直径Dを規定する。キャップ締結具110は、頭部111の最大直径Dが中央部112の最大直径dよりも大きくなるように画定することができる。
【0019】
この実施形態において、キャップ締結具110の中央部112は、キャップ座部19の頂面19aを貫通し、吐出システム10の一部に取外し可能に係合することで、キャップ締結具110がキャップ座部19を適所に固定するように構成することができる。更に、キャップ締結具110の回転により、キャップ締結具110の頭部111の、キャップ座部19の頂面19aからの垂直方向6に沿った変位を調整することができる。4つのキャップ締結具110が図示されているが、吐出システム10は、所望に応じてより多数又はより少数のキャップ締結具110を備えていてもよい。例えば、アプリケーターは、2つのキャップ締結具、3つのキャップ締結具、又は5つ以上のキャップ締結具を備えることができる。図示の実施形態では、キャップ締結具は、ねじ締結具として構成されるが、他のタイプのキャップ締結具も想定される。
【0020】
動作時、吐出システム10の操作者は、まず、シリンジ本体をシリンジ本体チャネル114に挿通し、シリンジフランジが上側シリンジチャネル108内に配置されるようにすることができる。この時点で、シリンジは、シリンジフランジと第1のレッジ102及び第2のレッジ104との間の相互作用によって、シリンジヒーター40及びキャップ座部19に対して回転しないように固定されるが、シリンジヒーター40から垂直方向6に沿って引き抜くことは依然として可能である。その後、キャップ18を、キャップ座部19に係合させる。吐出システム10の操作者は、まず、細長部材110のそれぞれの頭部111を、チャネル154(特に、チャネル154の第1の部分158a)のそれぞれの位置に揃えなければならない。細長部材110をチャネル154の第1の部分158aと揃えなければ、キャップ18をキャップ座部19に係合させることができないため、キャップ18は、決まった数の回転配向でのみキャップ座部19に係合することができる。細長部材110をチャネル154の第1の部分158aと揃えた後、キャップを垂直方向6に下降させ、細長部材110の頭部111がチャネル154の第1の部分158aに沿って摺動するようにする。
【0021】
キャップ18が或る特定の距離を下降すると、細長部材又はキャップ締結具110の頭部111は、キャップ18の内側頂面18eに接触し、それにより、キャップ18とキャップ座部19との間の更なる相対的な垂直移動を防ぐ。この時点で、操作者は、細長部材110の頭部111が円周方向Cに沿って、チャネル154の第2の部分158bに沿って摺動するように、キャップ18を回転させる。チャネル154の第2の部分158bが、第1の部分158aから単一の曲線的な円周方向Cに延在することにより、細長部材110の頭部111が内側頂面18eに接触したときに、キャップ18は、一方向のみに回転することができる。細長部材110の頭部111がチャネル154の第2の部分158bに収納されると、細長部材110の頭部111が第1のレッジ160aによって阻まれるため、キャップ18は、キャップ座部19から離れるように垂直に動かすことができなくなる。その後、吐出システム10の操作者は、細長部材110の頭部111がチャネル154の第2の部分158bの終端に達するまで、キャップ18を引き続き回転させる。この時点で、操作者は、キャップ18を解放することができる。
【0022】
この段階において、非動作状態では、キャップ18は、チャネル154の第2の部分158bに沿って依然として回転可能である。しかし、動作状態では、材料を収容したシリンジがシリンジヒーター40内に収容されているとき、入力コネクタ22を介して加圧空気がキャップ18を通して圧送される。そうして、シリンジ本体チャネル114内の圧力が、吐出システム10の外部の周囲環境の空気圧よりも大きくなる。これにより、細長部材110の頭部111がチャネル154の第2の部分158bの終端に達した場合、シリンジ本体チャネル114内の圧力により、キャップ18を押し上げ、細長部材110の頭部111がチャネル154の第3の部分158cに押し込まれる。この結果、細長部材の頭部111が第2のレッジ160bに接触する。第2のレッジ160bは、垂直方向6に沿って第1のレッジ160aとキャップ18の底面18bとの間に位置するので、キャップ18は、キャップ座部19に対して回転しないように固定される。この位置では、突出部162は、シリンジ本体チャネル114をシールする機能を果たすことができ、それにより、材料がシリンジヒーター40の頂部から出ることを阻止する。突出部162のシール溝164に配置されるシール20は、キャップ座部19に対して付勢され、材料の漏れを防ぐのに更に役立つことができる。
【0023】
キャップ18をキャップ座部19から取り外すために、操作者は、まず、シリンジ本体チャネル114内からの圧力を解放しなければならない。それにより、細長部材110の頭部111を第2のレッジ160bから係脱させる。これが済むと、細長部材110の頭部111は、キャップ18の内側頂面18eに接触することができる。この接触は、操作者に対し、細長部材110の頭部111をチャネルの第2の部分158bを通して回転させることができるという物理的な指標を与える。その後、キャップ18は、キャップ座部19から垂直に持ち上げることができる。
【0024】
ここで、図3図4、及び図6図8を参照して、シリンジヒーター40についてより詳細に記載する。シリンジヒーター40は、シリンジ内の材料を加熱する機能を果たし、材料がアプリケーターから噴射されて流れ出るのに望ましい温度に維持するとともに、材料の温度における意図しない温度ピーク又は急降下を回避するために、シリンジ内の材料の温度を監視する。シリンジヒーター40は、ハウジング200を備え、ハウジング200は、第1の端部200a及び第2の端部200bを画定する。ハウジング200は、中空であり、ハウジング200は、シリンジがシリンジヒーター40内に配置されるとシリンジの大部分を収納するように構成されたシリンジキャビティ202を画定するようになっている。したがって、シリンジキャビティ202は、キャップ座部19のシリンジ本体チャネル114に開口する。ハウジング200は、アルミニウム等の金属で形成することができる。しかし、ハウジング200は、熱を通し、シリンジ内の材料を加熱するのに十分な伝導率を有する任意の材料で形成することができる。
【0025】
シリンジヒーター40は、シリンジヒーター40の第1の端部200aから第2の端部200bまで延在する外面201を更に画定する。外面201は、外面に沿って第1の端部200aから第2の端部200bまで延在する複数の螺旋溝を画定することができる。図示の実施形態では、ハウジング200は、第1の螺旋溝224及び第2の螺旋溝228を画定する。しかし、他の実施形態において、ハウジング200は、3つ以上の螺旋溝を画定することができる。第1の螺旋溝224は、垂直方向6に沿った寸法である第1の直径dを規定し、第2の螺旋溝228は、垂直方向6に沿った寸法である第2の直径dを規定する。第1の直径dは、第2の直径dよりも小さくすることができる。代替的には、第1の直径d及び第2の直径dは、等しい大きさであってもよく、又は第2の直径dが第1の直径dよりも大きくてもよい。第1の螺旋溝224及び第2の螺旋溝228は、ハウジング200の第1の端部200aから第2の端部200bまで交わることなく延在するように構成することができる。
【0026】
また、シリンジヒーター40は、第1の端部204a及び第2の端部204bを画定する温度センサー204と、第1の端部208a及び第2の端部208bを画定する加熱素子208とを備える。加熱素子208は、第1の螺旋溝224内に、加熱素子208が第1の端部200aから第2の端部200bまでハウジング200の周りに螺旋状に延在するように配置することができる。同様に、温度センサー204は、第2の螺旋溝228内に、温度センサー204が第1の端部200aから第2の端部200bまでハウジング200の周りに螺旋状に延在するように配置することができる。温度センサー204は、第2の螺旋溝228の全長にわたって延在することができ、温度センサー204の第1の端部204aが、ハウジング200の第1の端部200aにおいて第2の螺旋溝228の外側に配置されるとともに、温度センサー204の第2の端部204bが、第2の端部200bにおいて第2の螺旋溝228の外側に配置されるように、続けて延在することができる。同様に、加熱素子208は、第1の螺旋溝224の全長にわたって延在することができ、加熱素子208の第1の端部208aがハウジング200の第1の端部200aにおいて第1の螺旋溝224の外側に配置されるとともに、加熱素子208の第2の端部208bが第2の端部200bにおいて第1の螺旋溝224の外側に配置されるように、続けて延在することができる。1つの実施形態において、温度センサー204は、コアレス温度センサーであり、加熱素子208は、電熱線である。第1の溝224が第2の直径dよりも小さな直径dを有する場合、ハウジング200の外面201は、最大表面積を以って加熱素子208に接触し、最大の加熱制御及び均一のエネルギー分布を可能にする。
【0027】
図7及び図8を引き続き参照すると、シリンジヒーター40は、ハウジング200と、温度センサー204と、加熱素子208との周囲を覆う絶縁部材212を備えることができる。絶縁部材212は、ハウジング200の周りに配置されるように構成された一体型スリーブを含むことができ、又はハウジング200の周りを覆う材料長さを有することができる。ただし、絶縁部材212がハウジングの周りに配置されているとき、温度センサー204の第1の端部204a及び第2の端部204b並びに加熱素子208の第1の端部208a及び第2の端部208bの少なくとも一部が、絶縁部材212から突出する。1つの実施形態において、絶縁部材212は、ポリイミドテープである。絶縁部材212がポリイミドテープである実施形態において、絶縁部材212は、ハウジング200の周りに1周よりも多く巻かれる場合がある。例えば、絶縁部材212は、ハウジングの周りに2周、3周、又はそれ以上巻くことができる。シリンジヒーター40は、温度センサー204及び加熱素子208を第2の溝228及び第1の溝224内にそれぞれ固定するように構成された固定部材216も備えることができる。図示の実施形態では、シリンジヒーター40は、2つの固定部材216を備える。しかし、より多数又はより少数の固定部材216を備えることも想定される。図示の実施形態は、2つの固定部材216を備え、第1の固定部材216がハウジングの第1の端部200aの周りに配置され、第2の固定部材216がハウジング200の第2の端部200bの周りに配置される。固定部材216は、ポリイミドテープを含むことができ、温度センサー204及び加熱素子208の一部を第2の螺旋溝228及び第1の螺旋溝224のそれぞれの端部に固定する機能を果たすことができる。固定部材216及び絶縁部材212の双方がポリイミドテープを含む場合、固定部材216は、絶縁部材212を構成するポリイミドテープよりも幅の小さいポリイミドテープを含むことができる。絶縁部材212及び/又は固定部材216は、ハウジング200、温度センサー204、及び加熱素子208に対して熱的及び電気的な絶縁をもたらす機能を果たすことができる。
【0028】
シリンジヒーター40は、スリーブ220を更に備えることができる。スリーブ220は、シリンジヒーター40の他の部材の周りに配置することができ、すなわち、スリーブ220は、ハウジング200、温度センサー204、加熱素子208、絶縁部材212、及び固定部材216の周りに配置することができる。スリーブ220は、温度センサー204の第1の端部204a及び第2の端部204bと、加熱素子208の第1の端部208a及び第2の端部208bとが貫通することができるスロット又はノッチ(図示せず)を画定することができ、それにより、温度センサー204の第1の端部204a及び第2の端部と、加熱素子208の第1の端部208a及び第2の端部208bとを、吐出システム10の電気的要素に接続することが可能である。これにより、温度センサー204及び加熱素子208には、給電を受けるとともに吐出システム10の外部要素に情報を送信する手段が設けられる。1つの実施形態において、スリーブ220は、熱収縮スリーブである。
【0029】
以下、シリンジヒーター40を製造及び/又は組み立てる方法を記載する。まず、ハウジング200は、ハウジング200が、材料を収容するシリンジ(図示せず)を収納するようなサイズのシリンジキャビティ202を画定するように製造することができる。例えば、ハウジング200は、アルミニウムからダイカスト成形することができる。次に、第1の溝224及び第2の溝228をハウジング200の外面201に機械加工することができる。代替的には、ハウジング200は、最初から第1の溝224及び第2の溝228を有するように製造することができる。ハウジング200の製造が完了した後、温度センサー204を、ハウジング200の周りに巻き付けることができる。温度センサー204をハウジングの周りに巻き付けるために、温度センサー204の一部を、ハウジング200の第2の端部200bの近くの第2の螺旋溝228内に配置することができる。その後、温度センサー204は、ハウジング200の周りに、第2の螺旋溝228において、ハウジング200の第2の端部200bから第1の端部200aまで巻き付けて、巻付けが完了すると、第1の端部204a及び第2の端部204bが第2の螺旋溝228から延出するようにすることができる。加熱素子208も同様にして、第1の螺旋溝224に巻き付けて、巻付けが完了すると、第1の端部208a及び第2の端部208bが第1の螺旋溝224から延出するようにすることができる。
【0030】
温度センサー204及び加熱素子208が、第2の螺旋溝228及び第1の螺旋溝224のそれぞれに完全に巻き付けられた後、温度センサー204及び加熱素子208は、固定部材216を用いて、ハウジング200の第2の螺旋溝228及び第1の螺旋溝224内に固定することができる。温度センサー204及び加熱素子208が第2の螺旋溝228及び第1の螺旋溝224内に維持されている間に、固定部材216を、ハウジング200の第1の端部200aにおいて、温度センサー204及び加熱素子208の一部の周りに巻き付けるか又はその部分を覆って配置することができ、また、固定部材216を、ハウジング200の第2の端部200bにおいて、温度センサー204及び加熱素子208の一部の周りに巻き付けるか又はその部分を覆って配置することができる。
【0031】
代替的には、温度センサー204及び加熱素子208は、固定部材216によってハウジング200に別個に固定することができる。この方法によれば、温度センサー204は、上述したように固定部材216によってハウジングに固定されるが、ただし、加熱素子208が第1の螺旋溝224に配置される前に固定される。2つの固定部材216を用いて温度センサー204を固定した後、加熱素子208が、上述したように、第1の螺旋溝224に配置され、ハウジング200の周りに巻き付けられ、2つの更なる固定部材216を用いてハウジングに固定される。
【0032】
温度センサー204及び加熱素子208が第2の螺旋溝228及び第1の螺旋溝224内にそれぞれ固定された後、ハウジング200、温度センサー204、及び加熱素子208の上に絶縁部材212を配置することができる。例えば、絶縁部材212は、ハウジング200が絶縁部材212によって実質的に覆われるまで、ハウジングの周りに巻き付けることができる。一方、温度センサー204の第1の端部204a及び第2の端部204b並びに加熱素子208の第1の端部208a及び第2の端部208bの一部は、露出したまま、絶縁部材212によって覆われないようにすることができる。次いで、スリーブ220を絶縁部材212の上に配置し、スリーブ220がハウジング200を実質的に覆うようにする。スリーブ220は、温度センサー204の第1の端部204a及び第2の端部204b並びに加熱素子208の第1の端部208a及び第2の端部208bを、スリーブ220を通して引っ張ることができるスロット又はノッチを有することができる。代替的には、スリーブ220をハウジング200上に摺動させる際、スリーブ220が切り開かれてそのようなスロットを形成することができる。スリーブ220が熱収縮スリーブを含む一実施形態において、スリーブ220がハウジング200の周りに配置され、温度センサー204の第1の端部204a及び第2の端部204b並びに加熱素子208の第1の端部208a及び第2の端部208bがスリーブ220のスロットを通して引っ張られた後、スリーブ220は、ヒートガン(図示せず)を用いてハウジング200上に収縮させることができる。スリーブ220を収縮させた後、スリーブ220がハウジング200のいずれかの端部において余剰の材料を有する場合、スリーブ220は、ハウジング200の長さに実質的に合致するように手動で切り取ることができる。
【0033】
上述したシリンジヒーター40は、いくつかの利点を提供する。ハウジング200の周りで第1の溝224に螺旋状に配置された加熱素子208を使用することで、材料に対する均一な熱分布が確実になり、シリンジ内の材料を加熱する時間も削減される。また、加熱素子208の質量が小さいため、結果として、シリンジヒーター40は、従来のシリンジヒーターに対して比較的軽量になる。更に、絶縁部材212及びスリーブ220は、シリンジヒーター40と吐出システム10の残りの部分との間に熱絶縁をもたらす。
【0034】
ここで再び図3及び図4を参照すると、シリンジヒーター40は、キャップ座部19によって吐出システム10内に固定することができる。吐出システム10の操作者がシリンジをシリンジヒーター40のシリンジキャビティ202内に挿入した後、キャップ18は、上述したようにキャップ座部19に固定される。キャップ18をキャップ座部19に固定すると、操作者は、吐出システム10の動作を開始することができる。この動作は、加圧空気を、キャップ18の通路168(図5)を通って延在する入力コネクタ22を貫通する空気通路23に通して圧送することから始まる。そして、加圧空気は、シリンジ(図示せず)に入り、シリンジ内の材料を、シリンジヒーター40のハウジング200の第2の端部200b(図7及び図8)から、シリンジコネクタ44によって画定されるコネクタチャネル45内に圧送する。シリンジヒーター40が吐出システム10内に完全に挿入されると、シリンジコネクタ44は、ハウジング200の第2の端部200bを通って延在し、シリンジに係合し、それにより、シリンジから材料が流れるための経路を提供するように構成される。
【0035】
図3及び図4並びに図9及び図10を引き続き参照すると、シリンジコネクタ44は、吐出システム10内の、シリンジヒーター40とプレートアセンブリ47との間に配置される。吐出システム10の下端部に位置するプレートアセンブリ47は、後述するように、材料がシリンジヒーター40から噴射式ディスペンサーアセンブリ300に流れるための経路を提供する。プレートアセンブリ47は、プレートアセンブリ47を形成するように互いに取外し可能に結合される、頂部プレート48及び底部プレート52等の複数のプレートを含むことができる。しかし、プレートアセンブリ47は、3つ以上のプレートを含んでもよい。例えば、プレートアセンブリ47は、所望に応じて3つ、4つ、又はそれ以上のプレートを含むことができる。図示の実施形態では、頂部プレート48は、頂面48aと、垂直方向6に沿って頂面48aの反対側にある底面48bとを画定し、底部プレート52は、頂面52aと、垂直方向6に沿って頂面52aの反対側にある底面52bとを画定する。プレートアセンブリ47が完全に組み立てられると、頂部プレート48の底面48bは、頂部プレート48が垂直方向6に沿って底部プレート52の上に配置されるように、底部プレート52の頂面52aに接触することができる。頂部プレート48及び底部プレート52は、底部プレート52を貫通して頂部プレート48に係合する複数のねじ締結具57を介して取外し可能に結合することができ、同時に、頂部プレート48は、頂部プレート48を貫通してハウジング58に係合する複数のねじ締結具57を通してハウジング58に取外し可能に結合することができる。しかし、頂部プレート48及び底部プレート52を取外し可能に結合する他の方法も想定される。例えば、頂部プレート48及び底部プレート52は、スナップ留め係合、ダブテールスロット構造等によって結合することができる。プレートアセンブリ47は、頂部プレート48及び底部プレート52がプレートアセンブリ47を通過する材料を加熱するように構成されている加熱ブロックを備えることができ、それにより、材料が流れる及び吐出されるのに最適な質を維持することを確実にする。
【0036】
頂部プレート48は、頂部プレート48の頂面48aから底面48bまで延在する第1のチャネル250を画定する。第1のチャネル250は、シリンジコネクタ44の一部を収納し、したがって、シリンジヒーター40内に収容されたシリンジからの材料の流れを受け取るように構成される。第1のチャネル250は、凹部266の第1の部分266aに開口する。図10を参照すると、底部プレート52は、垂直方向6に沿って底部プレート52の頂面52aから底面52bに向かって延在する凹部266を画定する。凹部266は、プレートチャネル252の一部を画定し、プレートチャネル252は、頂部プレート48の第1のチャネル250からの材料の流れを受け取り、プレートアセンブリ47を通るように材料を導く。プレートアセンブリ47が完全に組み立てられると、プレートチャネル252は、底部プレート52の凹部266及び頂部プレート48の底面48bによって完全に画定され、それにより、プレートチャネル252は完全に包囲される。凹部266は、第1の部分266a、第2の部分266b、及び第3の部分266cを画定し、プレートチャネル252を通る材料の流路を直接示す。凹部266の第1の部分266aが第1のチャネル250と直接流体連通し、シリンジコネクタ44からの材料の流れを受け取る。凹部の第3の部分266cは、頂部プレート48に画定される第2のチャネル262とともに、以下で更に記載される噴射式ディスペンサーアセンブリ300の一部を収納するように構成される。凹部の第2の部分266bは、プレートアセンブリ47を通して第1の部分266aから第2の部分266bまで材料の流れを導く。
【0037】
底部プレート52は、垂直方向6に沿って底部プレート52の頂面52aから底面52bに向かって延在するシール凹部258も画定することができる。シール凹部258は、凹部266に交わることなく、凹部266を実質的に囲むように構成することができる。シール凹部258は、シール凹部258の全体を通して延在し、したがって同じく凹部266を実質的に囲むシール254を収納することができる。プレートアセンブリ47が完全に組み立てられると、シール254は、頂部プレート48と底部プレート52との間に配置され、シール254が頂部プレート48と底部プレート52との双方に接触するようになっている。この構成は、材料がプレートアセンブリ47を通って流れるときにプレートチャネル252から材料が漏れることを防止するのに役立つ。頂部プレート48の底面48bは、シール254の一部を受けるように構成された対応するシール凹部を画定することができる。代替的には、頂部プレート48の底面48bは、実質的に平坦とすることができ、底面48bが、シール254を底部プレート52のシール凹部258内に付勢し、それにより、シール254と頂部プレート48及び底部プレート52との間のシールの質を高めるようになっている。
【0038】
シリンジコネクタ44から流体を導くのにプレートアセンブリ47を使用することは、いくつかの利点を提供する。プレートチャネル252は、吐出システム10を通る際の材料の総流量を低減するのに役立つことができる。流量の低減は、アプリケーター内に閉じ込められる材料を最小限に抑えるのに役立ち、それにより、吐出システム10を清掃するために停止させなければならない頻度を低減するのに役立つ。流量の低減は、吐出システム10内に一貫した材料圧力を確保するのにも役立ち、それにより、噴射式ディスペンサーアセンブリ300の正確性を高める。1つの実施形態において、吐出システム10の総流量は、シリンジヒーター40のシリンジキャビティ202と、シリンジコネクタ44のコネクタチャネル45と、頂部プレート48の第1のチャネル250と、プレートアセンブリ47のプレートチャネル252と、頂部プレート48の第2のチャネル262との組合せによって規定される。総流量は、約0.232立方センチメートルとすることができる。
【0039】
シリンジコネクタ44から流体を導くのにプレートアセンブリ47を使用することにより、吐出システム10の操作者がプレートチャネル252から材料を完全に流し出すことを容易にすることもできる。従来、多くの材料ディスペンサーは、完全に包囲されたチャネルを有し、したがって、操作者が、チャネルに含まれる流路に完全にアクセスすることができない。プレートチャネル252が底部プレート52の凹部266及び頂部プレート48の底面48bによって画定されるものとすると、プレートアセンブリ47を分解すればプレートチャネル252の全体にアクセスすることができる。これにより、吐出システム10の操作者は、閉じ込められた材料をプレートチャネル252から単純かつ効果的に流し出すことが可能になり、それにより、清掃サイクルの合間の吐出システム10が動作することのできる時間が長くなる。
【0040】
図9並びに図11及び図12を引き続き参照すると、頂部プレート48の第2のチャネル262と、底部プレート52に画定される凹部266の第3の部分266cと、ハウジング58とが、吐出チャンバー308を画定する。ハウジング58は、頂部プレート48に対し、垂直方向6に沿って離隔して、ただし直接隣り合うことができる。ハウジング58と頂部プレート48との間の空間は、これらの部品間の熱伝達を制限する熱バリアを形成する。噴射式ディスペンサーアセンブリ300は、吐出チャンバー308内に配置されるように構成される。噴射式ディスペンサーアセンブリ300は、凹部266の第3の部分266cに収納されるように構成されたノズル56を備える。ノズル56は、弁座部330と、凹部266の第3の部分266cから吐出システム10の外部まで延在する放出通路332とを画定する。放出通路332は、材料が吐出システム10を出て基材に塗布されるための導管である。
【0041】
噴射式ディスペンサーアセンブリ300は、吐出チャンバー308を通って延在し、吐出チャンバー308内で可動であるニードル304を更に備える。ニードル304は、ニードルチップ304aと、垂直方向6に沿ってニードルチップ304aから遠ざかるように延在するニードルステム304bとを画定する。ニードルチップ304aは、弁座部330に係合してシールを形成するように構成することができ、ニードルチップ304aが弁座部330に係合すると、材料が放出通路332を通って流れるのを阻止するようになっている。したがって、ニードル304は、吐出チャンバー308内で、垂直方向6に沿って第1の位置と第2の位置との間で可動である。第1の位置において、ニードルチップ304aは、垂直方向に沿って弁座部330から離隔し、それにより、材料が放出通路332にアクセスすることを可能にする。第2の位置において、ニードルチップ304aは、弁座部330に係合し、したがって、材料が放出通路332に入ることを阻止する。図示のような噴射式ディスペンサーアセンブリ300において、第1の位置から第2の位置にニードルを駆動すると、ニードルチップ304aにより、材料が放出通路332を通して噴射動作で押し出される。この噴射動作は、高速で繰り返すことができ、それにより、離散量の材料を基材に塗布することが可能である。ニードルチップ304a及び弁座部330は、材料の漏れを防止するために相補的な形状を有するように構成することができる。1つの実施形態において、ニードルチップ304a及び弁座部330は、相補的な半球形状を有することができる。代替的には、ニードルチップ304a及び弁座部330は、相補的な平坦形状を有することができる。ニードル304を第1の位置と第2の位置との間で駆動するのに用いる機構は、以下で更に記載する。
【0042】
噴射式ディスペンサーアセンブリ300は、吐出チャンバー308内に収納されるように構成されたシールパッキン320を更に備える。具体的には、シールパッキン320は、吐出チャンバーを、2つのセクション、すなわち、垂直方向6に沿ってシールパッキン320の下にある第1のセクション308aと、垂直方向6に沿ってシールパッキン320の上にある第2のセクション308bとに分ける。シールパッキン320は、底部プレート52の頂面52aに係合するように構成されたレッジ321を画定し、レッジ321により、シールパッキン320が吐出チャンバー308内で垂直に位置決めされる。シールパッキンはまた、垂直方向6に沿ってシールパッキン320を貫通するシールパッキン通路322を画定する。シールパッキン通路322は、ニードルステム304bを収納するように構成され、ニードルは、吐出チャンバー308の第2のセクション308bを通り、シールパッキン320を通って、吐出チャンバー308の第1のセクション308a内に延在するようになっている。シールパッキン320は、ニードルステム304bを実質的に囲むシールパッキン通路322内のシール328を収容することができる。シール328は、材料が吐出チャンバー308の第1のセクション308aからシールパッキン通路322を通って第2のセクション308bに流れることを防止する機能を果たすことができる。更に、噴射式ディスペンサーアセンブリ300は、シールパッキン320の周りでシールパッキン320と頂部プレート48との間に配置されるシール324も備えることができる。シール324は、材料がシールパッキン320と頂部プレート48及び底部プレート52との間を流れて吐出チャンバー308の第1のセクション308aから第2のセクション266bに入ることを防止することができる。代替的には、シール324は、シールパッキン320と底部プレート52との間でシールパッキンの周りに配置することができる。したがって、シール324及び328は、材料が第1のチャネル250を出た後かつ材料が放出通路332を出る前に、吐出チャンバー308の第1のセクション308a内に材料を維持するのに役立つ。
【0043】
更に、噴射式ディスペンサーアセンブリ300は、吐出チャンバー308の第2のセクション308b内に配置されるばね316を備える。ばね316は、吐出チャンバー308の第2のセクション308bの上端部を画定するハウジング58の一部と、ニードル304に画定されるレッジ312との間に配置される。ばね316は、噴射式ディスペンサーアセンブリ300内に自然に圧縮された状態で配置することができ、したがって、ばね316は、レッジ312に下向きの力を常に加えている。ニードル304のレッジ312に対するこの下向きの力は、ニードル304を垂直方向6に沿って下方に付勢する。したがって、ばね316は、ニードル304を自然に第2の位置に付勢しているため、弁座部330からニードルチップ304aを変位させ、したがってニードルを第2の位置から第1の位置に移行させるには、ニードル304に対する上向きの力が必要である。
【0044】
ここで、図3及び図4並びに図11図14Bを参照すると、噴射式ディスペンサーアセンブリ300は、ニードル304に動作可能に結合されるアクチュエーター60も備える。アクチュエーター60は、圧電デバイスと、一対の可動なアクチュエーターアーム340及び344とを収容するように構成された外殻61を備える。外殻61は、圧電素子を保護するとともに放熱をもたらすように、吐出システム10内の隣接する構成要素とは異種の金属又は金属合金から構成することができる。アクチュエーターアーム340及び344は、圧電デバイスの各角部から互いにかつニードルステム304bの頂端部に向かう方向に、対角線状に延在することができる。コネクタ348は、アクチュエーターアーム340及び344の対を互いに接続し、アクチュエーターアーム340及び344をニードルステム304bの上端部に固定するように構成される。コネクタ348は、互いに向かって径方向内方に突出する一対の係止タブ352を有することができる。係止タブ352は、ニードルステム304bの上端部に画定される係止ノッチ353に、解除可能に係合するように構成することができる。しかし、ニードル304は、他の手段によってコネクタ348に係合してもよい。例えば、コネクタ348とニードルステム304bとは、ねじ係合によって解除可能に取り付けることができる。
【0045】
アクチュエーター60内の圧電デバイスは、ニードル304を第1の位置と第2の位置との間で並進させるように構成される。アクチュエーター60は、アクチュエーター60の動作を制御する、吐出システム10の外部のコントローラー(図示せず)に結合することができる。アクチュエーター60は、圧電デバイスに給電する電源(図示せず)にも結合される。上述したように、ニードル304は、第2の位置において、ニードルチップ304aが弁座部330に係合するような中立状態にある。ニードル304を第1の位置に移行させるために、コントローラーは、圧電デバイスに正電荷を与えるように、電源に指示を出す。この正電荷により、圧電スタックとすることができる圧電デバイスが伸張し、アクチュエーターアーム340及び344を外殻61に向かって引っ張る。したがって、アクチュエーターアーム340及び344並びにニードル304は、外殻に向かって引っ張られ、それにより、ニードルチップ304aが弁座部330から引き離される。コントローラーが、圧電デバイスに正電荷を与えるのを止めるように電源に指示すると、圧電デバイスは収縮し、アクチュエーターアーム340及び344を外殻61から離れる方に押す。圧電デバイスのこの収縮は、ばね316によってニードル304のレッジ312に加わる力と併せて、ニードル304を下方に押し、それにより、ニードルチップ304aが弁座部330に当たる。ニードルチップ304aが弁座部330に当たると、材料がノズル56の放出通路332を通って噴射される。
【0046】
アクチュエーター60は、締結具336を介して下側ブロック64に接続することができる。アクチュエーター60及び下側ブロック64は、組み合わさるとアクチュエーターアセンブリ59を画定する。下側ブロック64は、横方向4に沿って離隔している第1のプレート70aと第2のプレート70bとの間に配置することができる。第1のプレート70a及び第2のプレート70bは、締結具が延出することができるように構成された少なくとも1つのスロットをそれぞれ画定することができる。図示の実施形態では、第1のプレート70aは、第1のスロット362a及び第2のスロット362bを画定し、第2のプレート70bは、第1のスロット368a及び第2のスロット368bを画定し、これらのスロットは、それぞれ、垂直方向6に沿って細長くすることができる。スロット362a、362b、368a、368bは、締結具74等の締結具が、スロット362a、362bを通り、下側ブロック64を通り、スロット368a、368bを通って延在し、第2のプレート70bに隣接して配置されるナット75等のナットに係合するような位置にある。締結具74は、ナット75に係合するようにねじ山を有することができ、締結具74を第1のプレート70a及び第2のプレート70bに対して緩めたり締めたりすることができるようになっている。締結具74及びナット75が係合形態で完全に締められた場合、締結具74及びナット75は、第1のプレート70a及び第2のプレート70bに対して押し付けられ、締結具74は、第1のスロット362a及び第2のスロット362b内で動くことができない。締結具74及びナット75がプレートに押し付けられることで、第1のプレート70a及び第2のプレート70bに対するアクチュエーターアセンブリ59の位置が固定される。この締結具74及びナット75を完全に締める操作は、アクチュエーターアセンブリ59を第1のプレート70a及び第2のプレート70bに係合させることと呼ぶことができる。一方、締結具74及びナット75が緩められると、締結具74は、垂直方向6に沿って第1のスロット362a及び第2のスロット362b内で並進することができる。これにより、アクチュエーターアセンブリ59も、垂直方向6に沿って同様に並進することができる。また、締結具74及びナット75を緩めることは、アクチュエーターアセンブリ59を第1のプレート70a及び第2のプレート70bから係脱させることと呼ぶことができる。別の実施形態において、第1のスロット362a、368a及び第2のスロット362b、368b並びに締結具74は、アクチュエーターアセンブリ59の位置を第1のプレート70a及び第2のプレート70bに対して、手動の作動機構を用いずに電子的に固定及び固定解除することができる、ソレノイド又は他の自動クランプ機構に置き換えられる。
【0047】
アクチュエーター60は、ニードル304のストローク長を変更するように、垂直方向6に沿って移動することができる。ストローク長は、ニードルチップ304aが弁座部330に係合する第2の位置と、ニードルチップ304aが弁座部330から最大距離だけ離隔する第1の位置との間の距離として規定される。ストローク長は、吐出システム10の操作者又はコントローラー(図示せず)によって決定されたとおりに、様々な吐出動作に対応するように変更することができる。ストローク長を増大させるには、締結具74及びナット75を第1のプレート70a及び第2のプレート70bから緩め、それにより、アクチュエーターアセンブリ59を垂直方向6に沿って上方に動かせるようにする。次いで、コントローラーが、圧電デバイスに負電荷を与えるように、電源に指示を出す。この負電荷により、圧電デバイスが中立位置から収縮し、アクチュエーターアーム340、344が外殻61を上方に押す。アクチュエーターアセンブリ59がもはや第1のプレート70a及び第2のプレート70bに対して制止されていないので、アクチュエーターアセンブリ59は、第1のプレート70aと第2のプレート70bとの間で垂直方向6に沿って上方に移動する。アクチュエーターアセンブリ59が移動を止めて所望の位置につくと、操作者は、締結具74及びナット75を締めることができ、それにより、第1のプレート70a及び第2のプレート70bに対するアクチュエーター60の位置を再度固定する。その後、コントローラーは、圧電デバイスに負電荷を与えるのを止めるように電源に指示し、圧電デバイスは中立状態に伸張する。
【0048】
反対に、ストローク長を減少させるには、締結具74及びナット75が第1のプレート70a及び第2のプレート70bから緩められているときに、コントローラーによって、圧電デバイスに正電荷を与えるように電源に指示を出す。正電荷によって、圧電デバイスが中立位置から伸張し、アクチュエーターアーム340、344が外殻61を下方に引っ張る。アクチュエーターアセンブリ59が第1のプレート70a及び第2のプレート70bに対してもはや制止されていないので、アクチュエーターアセンブリ59は、第1のプレート70aと第2のプレート70bとの間で垂直方向6に沿って下方に移動する。アクチュエーターアセンブリ59が移動を止めると、操作者は、締結具74及びナット75を締めることができ、それにより、第1のプレート70a及び第2のプレート70bに対するアクチュエーター60の位置を再度固定する。
【0049】
アクチュエーター60の位置を圧電デバイスの伸張及び収縮によって変更することは、いくつかの目的を果たす。従来の設計では、ストローク設定は、アクチュエーター60を手動で動かすことによって変更され得る。しかしながら、この設定は、個人の操作者が提供できるレベルの正確性でしか行うことができない。変更が手動で行われるため、或るレベルの不正確さが内在する。圧電デバイスを伸張及び収縮させることでストローク長を変更することにより、ストローク長は、より高い正確性で設定することができる。コントローラーは、様々なストローク長と、これらのストローク長を得るために圧電デバイスに印加しなければならない対応する電圧とを含むようにプログラムすることができる。操作者は、所望のストローク長を選択するだけでよく、コントローラーが、所望のストローク長をもたらすのに必要な対応する電圧を圧電デバイスに与えるように、電源に指示する。これにより、結果として生じるストローク長の、所望のストローク長と比較した場合の正確性を増すことができ、結果として行われる材料噴射プロセスの正確性及び一貫性を増す。更に、圧電デバイスを用いてのストローク長の変更は、シム、係止ねじ等の物理的な物体によってアクチュエーター60の位置を手動で設定することを必要としなくなるため、アクチュエーター60を移動させるのに要する時間を短縮することができる。
【0050】
図13図14Bを引き続き参照すると、吐出システム10は、締結具338によって下側ブロック64に取り付けられる上側ブロック65を更に備える。互いに接続されると密に接触することができる下側ブロック64及び外殻61とは異なり、上側ブロック65は、第1の外縁部65a及び第2の外縁部65bを含み得る外縁部においてのみ下側ブロックに接触することができる。ここで、第1の外縁部65aと第2の外縁部65bとは、長手方向2に沿って離隔している。したがって、空隙342を、上側ブロック65と下側ブロック64との間において、第1の外縁部65aと第2の外縁部65bとの間に画定することができる。空隙342の機能は、以下に更に記載する。
【0051】
図13を参照すると、吐出システム10は、垂直方向6に沿って上側ブロック65の上方に配置された停止部78を更に備える。第1のプレート70aと第2のプレート70bとの間に位置する停止部78は、締結具84によって、プレート82並びに第1のプレート70a及び第2のプレート70bに取り付けられる。停止部78は、垂直方向6に沿って停止部78を貫通する中央チャネル354を画定する。中央チャネル354は、チューブ346及びコネクタ345を通すように構成される。コネクタ345は、上側ブロック65を貫通する中央チャネル354内に収納され、コネクタ345が上側ブロック65に固定的に取り付けられるようになっている。チューブ346は、ポリマー等の可撓性材料で構成することができ、それにより、チューブ346が締まり嵌めによってコネクタ345に取り付けられることを可能にする。しかし、チューブ346をコネクタ345に取り付ける他の方法も想定される。チューブ346は、コネクタ345から、吐出システム10の外側に延在し、吐出システム10の外部の加圧空気源(図示せず)まで延在する。動作時、下側ブロック64から発する熱は、上側ブロック65ではなく、空隙342内に置かれた空気に伝達される。そうでなければ、空隙342が存在しなかった場合には、熱は上側ブロック65に伝達されることになる。チューブ346は、空気源から加圧空気を受け取り、加圧空気がチューブ346を通り、コネクタ345を通って、空隙342内に入るように導く。その後、空気は、空隙342内で加熱され、上側ブロック65を貫通する排気通路(escape passages)350のうちの1つを通って空隙342から逃がされる。2つの排気通路350が示されているが、吐出システム10は、所望に応じてより多数又はより少数の排気通路350を有してもよい。排気通路350のそれぞれは、マフラー355を収納するように構成することができる。マフラー355は、空隙342から逃げる加熱空気の流量を制限するとともに、この空気が解放されることに関連して起こる騒音を抑えるように構成することができる。マフラー355は、外部の汚染物が空隙342に入ることを防止する機能も果たすことができる。
【0052】
本発明の様々な発明に関する態様、概念及び特徴を、本明細書では、例示的な実施形態と組み合わせて具体化されるように記載し例示する場合があるが、これらの様々な態様、概念及び特徴を、個々に、又は様々な組合せ若しくはその部分的な組合せで、多くの代替実施形態で使用することができる。本明細書において明示的に排除しないかぎり、こうした組合せ及び部分的な組合せの全ては、本発明の範囲内にあるように意図されている。更に、本明細書には、本発明の様々な態様、概念及び特徴に関する様々な代替実施形態(代替的な材料、構造、構成、方法、回路、装置及び構成要素、ソフトウェア、ハードウェア、制御論理、形状、適合性及び機能に関する代替形態等)が記載されている場合があるが、こうした記載は、現時点で既知であるか又は後に開発されるかに関らず、利用可能な代替実施形態の完全な又は網羅的なリストであるようには意図されていない。当業者は、こうした実施形態が本明細書において明示的に開示されていない場合であっても、本発明に関する態様、概念又は特徴のうちの1つ以上を本発明の範囲内で更なる実施形態及び使用に容易に採用することができる。更に、本発明の幾つかの特徴、概念又は態様を、好ましい構成又は方法であるものとして本明細書に記載している場合があるが、こうした記載は、明示的に述べられていない限り、こうした特徴が要求されるか又は必要であることを示唆するようには意図されていない。更に、例示的な又は代表的な値及び範囲が、本開示の理解に役立つように含まれている場合があるが、こうした値及び範囲は、限定する意味で解釈されるべきではなく、明示的に述べられている場合にのみ、不可欠な値又は範囲であるように意図されている。更に、様々な態様、特徴及び概念は、本明細書では、本発明の発明に関する又は本発明の一部分を形成するものであるとして明示的に識別されている場合があるが、こうした識別は排他的であるようには意図されておらず、むしろ、そのようなものとして又は具体的な発明の一部であるものとして明示的に識別されることなく本明細書に完全に記載されている発明に関する態様、概念及び特徴が存在する場合があり、代わりに、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲又は関連若しくは継続出願の特許請求の範囲に示されている。例示的な方法又はプロセスの記載は、全てのステップがすべての場合において要求されているものとして含まれるように限定されず、ステップが提示される順序は、明示的に述べられていない限り、要求されるか又は必要であるものとして解釈されるべきではない。
【0053】
本発明は、限定された数の実施形態を用いて本明細書において記載したが、これらの特定の実施形態は、本願において別途記載されるとともに特許請求されるように本発明の範囲を限定することを意図されたものではない。本明細書に記載されている物品及び方法の様々な要素の正確な構成及びステップの順序は、限定的であるとみなされるべきではない。例えば、方法のステップが、図における順番に連続する参照符号及びブロックの進行を参照しながら記載されていても、その方法は、所望のような特定の順序で実施することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B