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特許7198774放射線治療前臨床試験のためのユニット及び機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-21
(45)【発行日】2023-01-04
(54)【発明の名称】放射線治療前臨床試験のためのユニット及び機器
(51)【国際特許分類】
   A61D 3/00 20060101AFI20221222BHJP
   A61D 1/00 20060101ALI20221222BHJP
   A61B 6/03 20060101ALI20221222BHJP
【FI】
A61D3/00 Z
A61D1/00 Z
A61B6/03 377
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019560454
(86)(22)【出願日】2018-01-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-02-20
(86)【国際出願番号】 CZ2018050002
(87)【国際公開番号】W WO2018137727
(87)【国際公開日】2018-08-02
【審査請求日】2021-01-12
(31)【優先権主張番号】PV2017-39
(32)【優先日】2017-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CZ
(73)【特許権者】
【識別番号】519269190
【氏名又は名称】ラダライティカ エス.アール.オー.
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】ウハー、ジョーセフ
(72)【発明者】
【氏名】フェルヘーゲン、フランク ジェイ ダブル
【審査官】山口 賢一
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102014207568(DE,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0222667(US,A1)
【文献】欧州特許第03106093(EP,B1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0338656(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61D 3/00
A61D 1/00
A61B 6/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に動物に対する放射線治療前臨床試験のための、外部線源(3)からの治療用粒子ビーム(2)による動物への照射と、スキャン電離放射線の線源(4)及び向かい合う側に配置されたスキャン電離放射線のイメージング検出器(5)からなる少なくとも1つのスキャンペアを備えた動物へのCTスキャンと、のためのユニット(1)において、前記ユニットは、照射される動物を支持するための調整可能テーブル(7)を備え、前記調整可能テーブル(7)に対して移動可能に設置された少なくとも1つのスキャンペアを支持する少なくとも1つの荷重支持手段を備える、移動式プラットフォーム(6)からなり、前記荷重支持手段、前記スキャンペア、及び前記調整可能テーブル(7)は、前記ユニット(1)を通る前記治療用粒子ビーム(2)の遮蔽されない移動のための自由作業空間(8)の範囲を定め、
前記移動式プラットフォーム(6)は、位置調整可能な少なくとも1つの治療用電離放射線の線源(14)を備えることを特徴とする、ユニット(1)。
【請求項2】
前記荷重支持手段は、前記移動式プラットフォーム(6)から突出している2つの支柱(10)の間に軸方向軸受を使用して固定された回転支持フレーム(9)からなり、前記回転支持フレーム(9)は前記スキャンペアを支持する少なくとも2つのアーム(11)を有し、前記支柱(10)、及び前記回転支持フレーム(9)の前記アーム(11)は、前記自由作業空間(8)の範囲を定め、前記荷重支持手段を通る前記治療用粒子ビーム(2)の遮蔽されない移動のために、前記軸方向軸受の内輪(12)が、範囲が定められた前記自由作業空間(8)への前記治療用粒子ビーム(2)の入口と、前記自由作業空間(8)からの前記治療用粒子ビーム(2)の出口とに配置されていることを特徴とする、請求項1に記載のユニット。
【請求項3】
前記回転支持フレーム(9)の前記アーム(11)上の前記スキャンペアはそれぞれが配置されたアーム(11)上で位置調整可能であることを特徴とする、請求項2に記載のユニット。
【請求項4】
前記荷重支持手段は、少なくとも1つのロボットアーム(13)からなることを特徴とする、請求項1に記載のユニット。
【請求項5】
前記治療用電離放射線の線源(14)は、前記ロボットアーム(13)自体に配置されていることを特徴とする、請求項4に記載のユニット。
【請求項6】
前記治療用粒子ビーム(2)の少なくとも1つのイメージング検出器(15)を備えることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のユニット。
【請求項7】
前記治療用粒子ビーム(2)の2つのイメージング検出器(15)を備えることを特徴とする、請求項6に記載のユニットであって、第1のイメージング検出器(15)は、前記治療用粒子ビーム(2)が範囲の定められた前記自由作業空間(8)の中に入る前記入口に配置され、他方のイメージング検出器(15)は、前記治療用粒子ビーム(2)が前記自由作業空間(8)から出る前記出口に配置されている、ユニット。
【請求項8】
前記イメージング検出器(15)は、前記回転支持フレーム(9)、又は前記支柱(10)、又はロボットアーム(13)に配置されていることを特徴とする、請求項2及び請求項6、又は請求項4及び請求項6のいずれかに記載の発明を含むユニット。
【請求項9】
放射線治療室(16)の内部で、動物に対して前臨床試験を実施するための機器であって、前記治療用粒子ビーム(2)の前記外部線源(3)の出口が前記室の内部空間内に設置されている、機器において、前記機器は、請求項1~8のいずれか一項に従って設計され、前記放射線治療室(16)の前記内部空間内に配置された前記ユニット(1)を備え、前記ユニット(1)によって範囲を定められた前記自由作業空間(8)を通る前記治療用粒子ビーム(2)の遮蔽されない移動のために、前記ユニットは前記外部線源(3)の前記出口に対して配置されていることを特徴とする、機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、治療用粒子ビームによる照射と、CTイメージングと組み合わせた他の電離放射線(例えば光子)による同時照射とによる、組み合わせ照射のためのユニット及び機器に関する。目的は、電離放射線ビームを用いた動物に対する前臨床試験である。このユニットは、治療用粒子ビームによる人間の臨床放射線治療のための既存の放射線治療室の中に置かれる。
【背景技術】
【0002】
いわゆる放射線治療は最近、特に腫瘍性疾患の治療に使用されている。電離放射線の治療用ビームによる標的照射により、癌組織が破壊される処置方法が関係している。治療用電離放射線の入射ビームは、照射された組織の中にエネルギーを放出し、それが組織細胞に不可逆的な損傷をもたらし、その結果、それら細胞が破壊される。既知の種類の治療用電離放射線には、特に、光子放射線、例えばX線放射、及び治療用粒子ビーム、例えば陽子線又は中性子線がある。
【0003】
電離放射線の別の用途は、照射される対象物の内部構造のコンピュータ断層撮影法による三次元モデルの取得である。照射される対象物を様々な方向に通過する電離放射線の治療用ビームの検出によって、及び対象物を透過することに起因するこのビームの変化の分析によって、更には、例えば、例として蛍光電離放射線又は散乱電離放射線若しくは後方散乱電離放射線の検出によって、照射される対象物の内部構造の三次元モデル、又はその少なくとも一部を取得することが可能である。コンピュータ断層撮影法を利用する上述の方法は、CTスキャンプロセスと称することができる。
【0004】
放射線治療の枠組みの中で、上述の両方の方法が慣習的に使用されている。治療用電離放射線の適用を意図した組織は場所が特定され、続いて放射線治療によって治療される。両方のステップを同時に実施することが有益である。
【0005】
そのような解決策の一例は、国際公開第2007060242A1号(特許文献1)に開示されている発明である。この発明は、治療用粒子ビームを使用する放射線治療、及びX線並びにコンピュータ断層撮影法に基づく並列イメージング、を適用するための機器を扱っている。別の同様の解決策は、例えば、独国特許出願公開第102006000837A1号明細書(特許文献2)に開示されている発明である。上述の両方の発明は、治療目的及びコンピュータ断層撮影法のための組み合わせ照射を提示している。
【0006】
光子放射線の欠点は、その伝播経路に沿って遭遇する健康な組織にも光子放射線が影響を及ぼすことである。この欠点は、いわゆるブラッグピークと称される粒子の伝播経路の終わりに、粒子のエネルギーの大部分を放出することができる治療用粒子ビームによって部分的に補償される。他方、治療用粒子ビームの不利な点は、特定の種類の腫瘍組織に対して、特定の種類の治療用粒子ビームの有効性に関する臨床的に確認された情報が現在十分にないという事実にある。徹底的な研究が行われてきたが、その進歩は、放射線治療前臨床試験を動物に実施することが可能な実験室及び他の施設の数によって制限されている。
【0007】
現在、治療用粒子ビームを使用する放射線治療前臨床試験が可能な施設の数は非常に限られており、その理由は、すなわち、治療用粒子ビームの取得のために粒子加速器が必要であり、その購入及び運用費用が非常に高いという事実にある。大部分の場合、建設された臨床施設には、臨床放射線治療用の放射線治療室が装備されており、それで患者を治療することにより、運用及び購入費用の支払いに必要なお金を稼いでいる。従って、そのような臨床施設は当然のことながら、そのような放射線治療室のほとんどの運用時間を臨床治療用に予約することに関心を持っており、よって放射線治療前臨床試験のためには最小限の時間しか残らない。
【0008】
前臨床試験は通常、実験動物、例えばラットやマウスなどで行われ、小さな照射される対象物での試験に特有な実験に好適な機器が必要である。しかし、臨床施設の放射線治療室のための既存のスペース及び機器は、大きな照射される対象物の治療のために適合されており、従って、前臨床試験のためには、臨床施設の放射線治療室の既存の機器及びスペースを適合させる必要がある。しかし、そのような適合により、臨床治療用に利用可能な設備能力が減少し望ましくないであろうし、それにより、放射線治療前臨床試験の実施のためのスペースが不十分であるという差し迫った問題に再び戻る。
【0009】
本発明の課題は、臨床施設の放射線治療室の根本的な適合、又は現在の臨床用機器の根本的な変更を何ら必要とせずに、既存の臨床施設の放射線治療室の枠組み内で利用可能となるであろう、前臨床試験のための組み合わせ照射用のユニット及び機器の開発である。更に、このシステムは、全ての測定及び照射を、動物を移動させる必要なしに行うことを可能にする。これにより、測定及び照射の精度が大幅に向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】国際公開第2007060242A1号
【文献】独国特許出願公開第102006000837A1号明細書
【発明の概要】
【0011】
設定された目的は、以下の発明に基づく動物に対する放射線治療前臨床試験の実施のためのユニットの開発によって達成された。
【0012】
このユニットは、特に動物に対する放射線治療前臨床試験のために、外部線源からの治療用粒子ビームによる対象物の照射、及び少なくとも1つのスキャンペアを用いた対象物の並列CTスキャンを意図している。スキャンペアは、電離放射線源と、向かい合う側に配置された電離放射線のイメージング検出器とからなる。
【0013】
本発明の本質は、ユニットが、照射される対象物を支持する調整可能テーブルを装備した移動式プラットフォームを備えるという事実にある。加えて、移動式プラットフォームは、調整可能テーブルに対して移動可能に配置された少なくとも1つのスキャンペアを支持する、少なくとも1つの荷重支持手段を備える。加えて、荷重支持手段、スキャンペア、及び調整可能テーブルは、ユニットを通る治療用粒子ビームの遮蔽されない移動のための自由作業空間の範囲を定める。
【0014】
移動式プラットフォームにより、目的地へのユニットの容易な搬送、及び更に目的地の回復のためのユニットの容易なクリーニングが可能になる。移動式プラットフォームは、照射される対象物を治療用粒子ビームの経路の中に配置するための調整可能テーブル、及び調整可能テーブルに対して移動可能なスキャンペアを支持するための荷重支持手段など、動物に対する放射線治療前臨床試験の実施に必要な器具を備えて、CTスキャンプロセスの枠組み内で様々な方向から照射される対象物のスキャンを実施する。同時に、治療用粒子ビームが遮蔽されずに治療用粒子ビームの外部線源の出口から移動する自由作業空間の範囲が定められる。治療用粒子ビームは調整可能テーブル上に置かれた照射される対象物を通過する。そのような配置では、外部線源を根本的な方法で調整する必要は何らないので有利である。放射線治療前臨床試験に必要な他の全ての機器は、外部線源の機能を制限することなく、ユニットの枠組み内でその部位に提供されるか、又はその部位から片付けられる。
【0015】
本発明によるユニットの好ましい実施形態では、荷重支持手段は、移動式プラットフォームから突出している2つの支柱の間に軸方向軸受を使用して固定された回転支持フレームからなる。回転支持支柱は調整可能テーブルに関して可動性を保証し、回転支持フレームはスキャンペアを支持する少なくとも2つのアームを有し、スキャンペア要素を向かい合う側に配置することを可能にしている。回転支持フレームの支柱及びアームもまた、自由作業空間の範囲を定め、軸方向軸受の内輪は、治療用粒子ビームが自由作業空間の中に入る入口と、治療用粒子ビームが自由作業空間から出る出口とに配置され、ユニットの荷重支持手段を通過する治療用粒子ビームを遮蔽しない。
【0016】
本発明によるユニットの好ましい実施形態では、回転支持フレームのアーム上のスキャンペアは位置調整可能である。調整のおかげで、スキャンペアは調整可能テーブル上に置かれた様々な種類の照射される対象物に適合させることができる。
【0017】
本発明によるユニットの別の好ましい実施形態では、荷重支持手段は少なくとも1つのロボットアームからなる。ロボットアームは非常に良好に制御可能であり、またプログラムされた通りに移動する場合も非常に正確である。ロボットアームは、電離放射線にさらされる環境で動作することができる。
【0018】
本発明によるユニットの好ましい実施形態では、移動式プラットフォームは少なくとも1つの調整可能な電離放射線源を備える。電離放射線源を追加することにより、2種類の治療用照射と1種類のスキャン照射とを含む組み合わせ照射を同時に実施することが可能である。好ましくは、治療用電離放射線源はロボットアーム自体に取り付けられて、照射された組織に対するその位置を検出することが可能である。
【0019】
本発明によるユニットの好ましい実施形態では、ユニットは、治療用粒子ビームの少なくとも1つのイメージング検出器を備え、好ましくは治療用粒子ビームの2つのイメージング検出器を備え、第1のイメージング検出器は、治療用粒子ビームが、範囲が定められた自由作業空間の中に入る入口に配置され、他のイメージング検出器は、治療用粒子ビームが自由作業空間から出る出口に配置されている。照射された組織に入る前に治療用粒子ビームの形状及び特性をモニタすることにより、及び照射された組織の照射後の変化並びに結果を引き続きモニタすることにより、治療用粒子ビームの照射された組織に対する効果をよりよく理解するためのデータを取得することができる。好ましくは、イメージング検出器は回転支持フレーム又は支柱又はロボットアーム自体に配置される。
【0020】
本発明はまた、臨床放射線治療用照射のための放射線治療室の内部で、動物に対する放射線治療前臨床試験を実施するための機器を含む。
【0021】
機器は放射線治療室を含み、治療用粒子ビームの外部線源の出口が室の内部空間内に設置されている。
【0022】
本発明の本質は、機器が特許請求の範囲のいずれかに従って設計されたユニットを含むという事実にある。ユニットは放射線治療室の内部空間内に配置され、機器内では、外部線源の治療用粒子ビームの出口から、ユニットによって範囲が定められた自由作業空間を通る、治療用粒子ビームの遮蔽されない経路に向けられている。
【0023】
この機器は、患者の臨床放射線治療のための既存の放射線治療室を使用して、放射線治療前臨床試験を動物に実施することを可能にする。この機器のおかげで、治療が行われていない時に、放射線治療室の機器に介入することなく前臨床試験を実施することが可能であり、非常に短時間で放射線治療室の運用を回復させ、患者の治療を再開することが可能である。
【0024】
本発明の利点の中には、かなりの費用を必要とする前臨床試験のために新たな放射線治療室を構築する必要なしに、前臨床試験をかなりの程度まで実施する可能性、がある。患者治療用の既存の放射線治療室の使用は一時的なものであり、患者の治療のための機能性と干渉することはない。本発明の購入費用は、放射線治療前臨床試験用の特注の放射線治療室を備える実験室の建設に関連する費用と比較して何分の一と低い。
【0025】
本発明を、以下の図面を用いて詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】回転支持フレームからなる荷重支持手段を有するユニットを示す。
図2】ロボットアームからなる荷重支持手段を有するユニットを示す。
図3】放射線治療前臨床試験のための機器の簡略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に記載し示す本発明の実施形態の特定の事例は、例示のためにのみ提供されており、本明細書で提供される例に本発明を限定しないことを理解すべきである。当業者は、定常的な実験に基づいて、本明細書に記載されている、本発明の特定の実施形態に対する、より多くの又はより少ない数の等価物を見出すであろうし、又は提供することができるであろう。また、そのような均等物は「特許請求の範囲」の範囲内に含まれることになる。
【0028】
図1は、図には含まれていない外部線源3からの治療用粒子ビーム2による対象物の照射のためのユニット1を、対象物の同時CTスキャンと共に示す図を提供し、CTスキャンは、スキャン電離放射線の線源4と、向かい合う側に配置された電離放射線のイメージング検出器5とからなる、少なくとも1つのスキャンペアを使用している。治療用粒子ビーム2は、例えば、図には示されていない外部線源3を形成する粒子加速器内で加速された陽子のビームであり得る。放射線治療用照射の分野の当業者は、ビームを作り出すための一群の外部線源3を含む一群の治療用ビーム2の全体を説明することができるであろう。スキャン電離放射線源4は、スキャンX線を放射するための給電されたX線管を備える。イメージング検出器5は、例えば、半導体ハイブリッド検出器とすることができる。治療用粒子ビーム2の場合のように、CTスキャンプロセスの分野の当業者は、特許出願に提供された開示と機能的に同等なスキャンペアの追加の変形形態を、定常作業により作り出すことができるであろう。照射を目的とする対象物は特に実験動物である。
【0029】
ユニット1は、放射線治療室16との間の容易な輸送のために移動式プラットフォーム6を備える。移動式プラットフォーム6は、走行車輪と、ユニット1をその場で固定するためのブレーキとを備える荷重支持構造からなる。移動式プラットフォーム6は調整可能テーブル7を支持し、対象物が6つの自由度で位置決めされることを可能にしている。更に、移動式プラットフォーム6は、図1に示す回転支持フレーム9によって形成された荷重支持手段を含む。回転フレーム9の駆動は、図示されていない電気モータの形態で提供される。荷重支持手段、スキャンペア、及び調整可能テーブル7は、ユニットを通る治療用粒子ビーム2の遮蔽されない移動のための自由作業空間8を制限する。回転支持フレーム9は、移動式プラットフォーム6から突出している2つの支柱10の間に軸方向軸受を使用して固定されている。軸方向軸受は、治療用粒子ビーム2が、作業空間8の中に対象物に向かってかつ対象物を越えて、遮蔽されずに移動するための広い内輪12を有する。実施形態の図示した例では、回転支持フレーム9は2つのアーム11を有し、アーム11の一方は当該アーム11上で位置調整可能に設置されたスキャン電離放射線源4を含み、他方のアーム11は当該アーム11上で位置調整可能に設置されたイメージング検出器5を含む。回転支持フレーム9は、CTスキャンプロセスが、スキャンペアによって実行されることを可能にする。加えて、図1は治療用電離放射線の線源14を備えたロボットアーム13を示す。ロボットアーム13は、治療用放射線の2つの線源3、14からの対象物の治療用照射が、CTスキャンを含めて、同時に実行されることを可能にするように調整することができ、その間、回転支持フレーム9はその軌跡の一部のみに沿って移動する。図1は簡略化された方式の図を示すが、ロボットアーム13もまた移動式プラットフォーム6によって支持されている。加えて、移動式プラットフォーム6は、治療用ビーム2の自由作業空間8への入口に、及び自由作業空間8からの出口に、治療用粒子ビーム2の軌道に沿って配置されたイメージング検出器15を支持している。
【0030】
図2は、ロボットアーム13のみによって実装された荷重支持手段を装備した移動式プラットフォーム6を有するユニット1の実施形態の図を示す。図示したロボットアーム13は、スキャンペアを支持している。本発明の実施形態における図示していないユニット1は、治療用電離放射線の線源14、調整可能テーブル7、及び更に、例えば検出器15を備えたロボットアーム13を有することができる。検出器15はまた、ロボットアーム13によって保持されて、回転式ガントリーによって様々な方向から供給される粒子ビーム2に対して、検出器15の位置を変更することが可能になり得る。ロボットアーム13は空間内の正確な位置決めを可能にする。
【0031】
図3は、放射線治療室16、及び放射線治療室16内のユニット1の位置の図を示す。外部線源3からの治療用粒子ビーム2は放射線治療室16に供給される。患者用テーブル17などの、放射線治療室16の内部設備を、放射線治療室16から取り除く必要はない。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明による放射線治療前臨床試験のためのユニット及び機器は、動物についての放射線生物学前臨床試験を実施する際の科学的研究及び医学において使用されるであろう。
【符号の説明】
【0033】
1 照射ユニット
2 治療用粒子ビーム
3 外部線源
4 スキャン電離放射線源
5 イメージング検出器
6 移動式プラットフォーム
7 調整可能テーブル
8 自由作業空間
9 回転支持フレーム
10 垂直支柱
11 回転支持フレームアーム
12 軸方向軸受の内輪
13 ロボットアーム
14 治療用電離放射線源
15 イメージング検出器
16 放射線治療室
17 患者用テーブル
図1
図2
図3