(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-21
(45)【発行日】2023-01-04
(54)【発明の名称】有機溶媒も酸塩化物も使用することなくN-アシル化合物を合成するための方法
(51)【国際特許分類】
C07D 207/16 20060101AFI20221222BHJP
A61K 8/49 20060101ALI20221222BHJP
【FI】
C07D207/16
A61K8/49
(21)【出願番号】P 2019561896
(86)(22)【出願日】2018-04-27
(86)【国際出願番号】 FR2018051072
(87)【国際公開番号】W WO2018206878
(87)【国際公開日】2018-11-15
【審査請求日】2021-01-15
(32)【優先日】2017-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】398057293
【氏名又は名称】ソシエテ・デクスプロワタシオン・デ・プロデュイ・プール・レ・アンデュストリー・シミック・セピック
【氏名又は名称原語表記】SOCIETE D’EXPLOITATION DE PRODUITS POUR LES INDUSTRIES CHIMIQUES SEPPIC
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【氏名又は名称】布施 行夫
(72)【発明者】
【氏名】ジョルジュ・ダコスタ
(72)【発明者】
【氏名】ジェローム・ギルボット
(72)【発明者】
【氏名】エリック・プジョル
(72)【発明者】
【氏名】ヴィルジニ・ポメリー
(72)【発明者】
【氏名】ファブリス・サウナル
【審査官】柳本 航佑
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/030746(WO,A1)
【文献】仏国特許出願公開第03029411(FR,A1)
【文献】国際公開第2014/007290(WO,A1)
【文献】米国特許第03836551(US,A)
【文献】特表平11-506743(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 207/00-207/50
A61K 8/00- 8/99
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物又は式(I)の化合物の混合物:
【化1】
(式(I)中、R
1-C(=O)-基は、6~8個の炭素原子を含む飽和又は不飽和の直鎖又は分岐の脂肪族基を表し、R
4は、水素原子又はヒドロキシル基を表す)を調製するための方法であって、前記方法は:
- 段階a):式(II)の脂肪酸:
R
1COOH (II)
(式(II)中、R
1は式(I)と同義である)又は式(II)の脂肪酸の混合物の温度を少なくとも100℃にする、段階と;
- 段階b):式(II)の脂肪酸又は式(II)の脂肪酸の混合物対プロリン又は3-ヒドロキシプロリンのモル比が0.4/1以上0.8/1以下である混合物(M
1)を得るために、その重量100%当たり、プロリン又は3-ヒドロキシプロリンを30重量%~60重量%と、水を40重量%~70重量%と、を含むプロリン又は3-ヒドロキシプロリンの水溶液を、段階a)の結果として得られた、加熱された前記脂肪酸又は加熱された前記脂肪酸の混合物上に注ぐ、段階と;
- 段階c):上に定義した式(I)の化合物と式(III):
【化2】
(式(III)中、R
4は、水素原子又はヒドロキシル基を表す)
の化合物との水性混合物(M
2)を得るために、段階b)の結果として得られた前記混合物(M
1)を機械的攪拌下に少なくとも100℃の温度で少なくとも30分間維持する、段階と、
- 段階d):前記式(I)の化合物又は式(I)の化合物の前記混合物を前記混合物(M
2)から単離する、段階と、
を含む、方法。
【請求項2】
式(I)中、R
1-C(=O)-基は、n-ヘプタノイル基又はn-オクタノイル基を表すことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
段階b)において、プロリン溶液が使用されることを特徴とする、請求項1及び2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
前記式(II)の脂肪酸又は式(II)の脂肪酸の前記混合物対プロリンのモル比は、0.6/1以上0.8/1以下であることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロリンのN-アシル化誘導体を調製するための方法であって、溶媒の使用も酸塩化物の使用も伴わず、使用される出発物質を高転化率で転化する、新規な方法に関する。本発明はまた、局所用(for topical use)の化粧用組成物若しくは医薬組成物又は工業用洗浄剤組成物を調製するための、得られたアシル化物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
リポアミノ酸(LAA)としても知られるアミノ酸のN-アシル誘導体は、少なくとも1種のアミノ酸の残基又は(オリゴ)ペプチドの残基又はタンパク質の部分若しくは完全加水分解物の残基に由来する、極性を有するヘッド部と、親油性を有する酸塩化物又はメチルエステルに由来する炭化水素系鎖とから構成される、アニオン性界面活性剤であり、それ自体は油脂化学により得られる。
【0003】
このようなアミノ酸、(オリゴ)ペプチド、又はタンパク質部分若しくは完全加水分解物のN-アシル化誘導体の一般的な用途は、まず第1に、化粧用組成物を調製するための、例えば、シャワージェル又はシャンプーの起泡性及び清浄化性に寄与する成分としての使用、或いは、見た目を損なう皮膚作用を防止又は矯正することを意図した化粧用組成物を調製するための、生物学的性質に寄与する成分としての使用である。前記生物学的性質は、例えば、抗老化性、痩身性、引き締め性、脱色素性、又は着色促進性である。
【0004】
この種のアミノ酸、(オリゴ)ペプチド、又はタンパク質部分若しくは完全加水分解物のN-アシル化誘導体を調製するために一般に使用される調製方法はショッテン・バウマン(Schotten-Baumann)反応の名称で当業者に知られている。
【0005】
この種の方法は、例えば、米国特許第2,463,779号明細書及び米国特許第6,703,517号明細書、刊行物J.Am.Oil Chem.Soc.78(1956)172、並びに国際公開第92/21318号パンフレット及び国際公開第94/26694号パンフレットとして公開されている国際特許出願に開示されている。
【0006】
このアシル化方法は、アミノ酸を塩にする予備段階と、それに続く、アミノ酸塩を酸塩化物によりアシル化する段階と、次いで得られたN-アシル塩を酸性化する段階と、を含む。
【0007】
第1の段階(スキーム1参照)は、予め水又は水及び有機共溶媒の混合物中に溶解しておいたアミノ酸を、無機塩基(通常、水酸化ナトリウム水溶液又は水酸化カリウム水溶液)で中和することから構成される。こうすることによりカルボキシル基はイオン化形態となるため、水中のアミノ酸の溶解度を向上させることが可能になる。この水溶液のpHは9.0~12.0の間にあり、アミノ酸のアミン官能基を確実にプロトン化させないようにすることが可能である。
【0008】
【0009】
第2の段階(スキーム2参照)が正確なアシル化段階である。この段階においては、中和されたアミノ酸溶液に酸塩化物を周囲温度でゆっくりと添加する。求核性を有するアミン官能基はカルボニル官能基の求電子性炭素を攻撃する。その結果として、2種の出発基質間にアミド結合が形成されると共に、塩酸も生成する。この酸は、無機塩基をゆっくりと添加することにより、その場で直接中和される(pHを10.0付近に調整)。
【0010】
【0011】
この段階においては、酸塩化物が加水分解して石鹸となる副反応(スキーム3参照)も起こり得る。しかしこれは、アミノ酸をそのN-アシル誘導体へ十分な転化率で転化するため、及びそれを効率的に単離するために、最小限に抑える必要がある。その理由は、石鹸含有量が過度に高くなると、反応媒体の相分離及び/又は臭気若しくは毒性の問題が生じる(例えば、C8及びC11’鎖)可能性があるためである。
【0012】
石鹸の生成を制御することができる2つの主要な反応パラメータは:
i)反応段階の撹拌速度(これを最適化することにより、塩化物が媒体と接触する面積を改善することができる)、及び
ii)アミノ酸を溶解する段階の最中の、アシル化共溶媒、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、イソプロパノール、又はグリコール等の任意的な添加、
である。
【0013】
こうして共溶媒を添加することにより、酸塩化物の反応媒体に対する親和性を向上させることが可能になる。その場合、この共溶媒と酸塩化物との反応に由来する新たな副反応物、例えば、副反応であるエステル化に由来する副生成物等の生成を回避するか又は最小限に抑えるように、アシル化共溶媒をよく考えて選択しなければならない。
【0014】
【0015】
最終段階は、生成したN-アシル誘導体に最終形態にする(placing in form)仕上げ段階から構成され、2種類の代替法が可能である:
i)第1の方法は、得られた反応媒体のpH値を7付近に調整することから構成される。N-アシル化誘導体は、追加の精製を行うことなくそのまま溶液で単離され、これは、アシル化物の塩、未反応のアミノ酸、及び任意選択の共溶媒を含む。したがってこれは、水溶液中で塩を形成した形態、より正確にはカルボン酸塩の形態にあり、純度は一般に50%未満である。
ii)第2の方法は、反応混合物を2付近のpH値に酸性化することによりN-アシル化誘導体を析出させることと、次いで、数回の濾過及び洗浄操作を行うことから構成され、得られた媒体を最終乾燥させることにより完了する。したがってこの手順により、アシル化反応の最中に生成したあらゆる塩、任意選択のアシル化共溶媒、及びあらゆる未反応のアミノ酸を除去することが可能になる。この場合、N-アシル化誘導体は、塩を形成しておらず、カルボン酸官能基を有し、固体形態、より具体的には微粉形態にあり、純度は80%を超える。
【0016】
前述のショッテン・バウマン法は、酸塩化物が求核性を有する化合物及び官能基(例えば、アミン官能基)に対する反応性が非常に高いことに起因する高い反応速度で、エネルギー、例えば熱エネルギーの供給を実質的に行わずに、主として水から構成される溶媒媒体中でN-アシル化反応を生じさせ、収率も高いという利点がある。
【0017】
それと引き替えに、この方法には、希釈された媒体中で反応を実施することによりその生産性が低下すること;出発物質として使用される酸塩化物は、その有害性が知られている塩化チオニル又は三塩化リンが試薬として関与する反応により得られること;再利用が困難な有機共溶媒を使用すること;並びに多量の無機塩が生成し、したがって水性洗浄液の処理が必要となること;という欠点が含まれる。
【0018】
したがって、ショッテン・バウマン反応を利用する方法に替わる、アミノ酸のN-アシル化誘導体を調製するためのより環境に優しい方法を探索することが、当該技術分野において当面の技術的課題となっている。
【0019】
技術的解決策の中でも、アミノ酸を脂肪酸と反応させることによる直接アミド化反応を実施することから構成されるか、又はアミノ酸を脂肪酸エステル、例えば、メチルエステル又はエチルエステルと反応させることによるアミド交換反応を実施することから構成される、アミノ酸のN-アシル化誘導体を調製するための方法が知られている。
【0020】
米国特許第3,836,551号明細書として公開されている米国特許には、カルボン酸官能基を有する化合物又はそのエステルと、少なくとも3個の炭素原子を有するアミノ酸とを、等モル量の塩基の存在下に、100℃~250℃の温度で反応させることによる、アミノ酸のN-アシル誘導体を調製するための方法が記載されている。
【0021】
刊行物“High temperature reactions of fats with amino acids”(J.Am.Oil Chem.Soc.,1975,52(5),pages 144-147)には、メチルエステル(例えば、ミリスチン酸メチル又はステアリン酸メチル等)と様々なアミノ酸との反応を高温(150℃~200℃)下に実施することが記載されている。しかしながら、これらの反応には、脱カルボキシル化反応及びそれに続くアミド化反応が伴い、その結果として側鎖にアミノ酸を持つ脂肪族アミドが形成され、したがって望ましくない構造になる。
【0022】
独国特許出願公開第4408957A1号明細書には、触媒、より具体的にはナトリウムメトキシドと、溶媒、より具体的にはメタノールとの混合物中に、サルコシン酸ナトリウムを分散剤と一緒に懸濁させる中間段階を導入することによる、メチルエステルからのN-アシルサルコシン塩の調製が記載されている。
【0023】
米国特許第5,710,295号明細書として公開されている米国特許には、カルボキシル官能基を有する脂肪酸とアミノ酸とを、100℃~200℃の温度で、水及び溶媒の混合物、より具体的には水及びイソプロパノールの混合物の存在下に反応させることによる、N-アシルアミノ酸を調製するための方法が記載されている。しかしながら、アルコール官能基を含む溶媒を使用すると、望ましくない副生成物としてエステルを生成させる可能性が生じる。
【0024】
国際公開第2013/014238号パンフレット及び国際公開第2014/008103号パンフレットとして公開されている国際特許出願には、アミノ酸と、8~22個の炭素原子を有する脂肪酸のメチルエステル等のアルキルエステルとを、グリセロール又はプロピレングリコール等のポリオールの存在下に、特に、酸化カルシウム等の金属酸化物の存在下又はナトリウムメトキシドの存在下に反応させることによる、N-アシルアミノ酸を調製するための方法が開示されている。このような方法により、ほとんど着色していない反応生成物を得ることが可能になるが、これは、後に除去しなければならない溶媒及び金属種の存在下に実施される。更に、溶媒媒体中にポリオールが存在すると、望ましくないエステルが形成される可能性がある。
【0025】
米国特許出願公開第2006/0239952号明細書として公開されている米国特許出願には、アミノ酸、例えば、グリシン、アラニン、又はトレオニン等と、過剰量、特に1.5モル当量を超えるラウリン酸とを、アルカリ性物質の存在下に反応させ、多量の塩物質を生成することによる、ラウロイルアミノ酸等のN-アシルアミノ酸を調製するための方法が記載されている。この方法により、アミノ酸のN-アシル化誘導体、特に、N-ラウロイルグルコン酸ナトリウム、N-ラウロイル(グリシルグリシン)ナトリウム、及びN-ラウロイル(グリシルグリシルグリシン)ナトリウム等のペプチド化学種の混合物を得ることができる。こうして生成した混合物は、ヒトの皮膚を清浄化するための組成物の調製に使用される。
【0026】
プロリンは、N-アシル化誘導体の調製に非常によく使用されるアミノ酸である。その理由は、プロリンの前記N-アシル化誘導体は、特に、化粧品、皮膚化粧品、及びヒト又は動物用医薬品産業において幾つかの可能な用途、例えば、精油等の疎水性分子を水に溶解させるための剤としての用途があるためである。
【0027】
こうした先行技術は、天然由来の脂肪酸又は脂肪酸エステルを使用する、ショッテン・バウマン反応を用いる方法に替わる、アミノ酸のN-アシル化誘導体、特にプロリンのN-アシル化誘導体を調製するための方法の代替的解決策が不十分であることを示している。その理由は、それらには必ず、触媒、特に、金属由来の触媒及び/若しくは有機溶媒が関与し、その結果として、それらを除去及び/若しくは再利用する段階が伴うこと、並びに/又は後処理段階が必要となるような量の塩化学種を生成するアルカリ性物質の使用が関与することにある。
【0028】
このような先行技術では、特に、天然の脂肪酸又は脂肪酸エステルを使用し、出発物質の高い転化率、特に、脂肪酸若しくは脂肪族エステル及び/又はプロリンの残留物の重量による含有量が低いことを特徴とする方法によりプロリンのN-アシル化誘導体を得ることはできない。
【0029】
したがって本発明者らは、既存の方法を、危険な有機溶媒を使用せず、皮膚を刺激する脂肪酸を高い転化率で転化させる、植物由来の出発物質を用いる方法に変えることを目的とする研究を背景として、本発明の主題である方法を発展させるに至った。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0030】
第1の態様によれば、本発明の主題は、式(I)の化合物又は式(I)の化合物の混合物:
【0031】
【0032】
(式中、R1-C(=O)-基は、6~8個の炭素原子を含む飽和又は不飽和の直鎖又は分岐の脂肪族基を表し、R4は、水素原子又はヒドロキシル基を表す)を調製するための方法であって、前記方法は:
- 段階a)式(II)の脂肪酸:
R1COOH (II)
(式中、R1は式(I)と同義である)又は式(II)の脂肪酸の混合物の温度を少なくとも100℃にする段階と;
- 段階b)式(II)の脂肪酸又は式(II)の脂肪酸の混合物対プロリン又は3-ヒドロキシプロリンのモル比が0.4/1以上0.8/1以下、より詳細には0.5/1以上0.8/1以下、非常に詳細には0.6/1以上0.8/1以下である混合物(M1)を得るために、その重量100%当たり、プロリンを30重量%~60重量%、より詳細には40重量%~60重量%と、水を40重量%~70重量%、より詳細には40重量%~60重量%と、を含むプロリン又は3-ヒドロキシプロリンの水溶液を、段階a)により得られた、加熱された脂肪酸又は加熱された脂肪酸の混合物上に注ぐ、段階と;
- 段階c)上に定義した式(I)の化合物と式(III):
【0033】
【0034】
化合物との水性混合物(M2)を得るために、段階b)の結果として得られた前記混合物(M1)を機械的攪拌下に少なくとも100℃の温度で少なくとも30分間維持する、段階と、
- 段階d)前記式(I)の化合物又は式(I)の化合物の前記混合物を前記混合物(M2)から単離する段階と、
を含む、方法にある。
【発明を実施するための形態】
【0035】
上に定義した方法の段階a)及びc)における「少なくとも100℃」という語は、温度が220℃に達し得ることを意味する。
【0036】
上に定義した方法の特定の実施形態による「少なくとも100℃」という語は、段階a)及びc)においては、130℃~220℃の間の温度、より詳細には140℃~200℃の間の温度、例えば、140℃~180℃の間の温度を指す。
【0037】
上に定義した方法の段階c)における「少なくとも30分間」という語は、30時間に達し得る期間を指す。
【0038】
上に定義した方法の段階d)は、一般に、分離目的の液体クロマトグラフィー、反復再結晶、液固抽出、液抽出、超臨界形態の抽出液を用いる抽出、又は超臨界状態の二酸化炭素を用いる抽出により実施される。
【0039】
上に定義した方法の特定の実施形態による「少なくとも30分間」という語は、段階c)において、6時間~20時間の間、より詳細には8時間~20時間の間の期間を指す。
【0040】
上に定義した方法の他の特定の実施形態によれば、式(II)中、R1-C(=O)-基は、7又は8個の炭素原子を含む飽和又は不飽和の直鎖又は分岐の基、非常に詳細には、7又は8個の炭素原子を含む飽和直鎖脂肪族基を表す。
【0041】
上に定義した方法の他の特定の実施形態によれば、段階b)においてプロリン溶液が使用される。
【0042】
上に定義した方法の他の特定の実施形態によれば、式(II)の脂肪酸又は式(II)の脂肪酸の混合物対プロリンのモル比は、0.6/1以上0.8/1以下である。
【0043】
上に定義した方法の他の特定の実施形態によれば、この方法は、中和及び/又は濾過及び/又は脱色である段階e)を含む。
【0044】
本発明の他の主題は、上に定義した方法の中間体である混合物(M2)にある。
【0045】
本発明の主題はまた、その重量100%当たり:
- 上に定義した混合物(M2)を、0.1重量%~40重量%、より詳細には0.1重量%~20重量%、一層詳細には0.1重量%~5重量%と、
- 化粧的に許容される媒体を、60重量%~99.9重量%、より詳細には80重量%~99.9重量%、一層詳細には95重量%~99.9重量%と、
を含む局所用組成物(C)にもある。
【0046】
上に定義した局所用の化粧用組成物、皮膚化粧用組成物、皮膚用医薬組成物、又は医薬組成物(C)の定義において用いられる「局所用」という表現は、前記組成物が、直接適用される(化粧用組成物、皮膚化粧用組成物、皮膚用医薬組成物、若しくは医薬組成物の場合)か、又は、間接的に適用される(例えば、布帛製若しくは紙製ワイプシート形態の身体を清潔にするための用品又は皮膚若しくは粘膜に接触させることを意図した衛生用品の場合)かに関わらず、皮膚、毛髪、頭皮、又は粘膜に適用することにより使用されることを意味する。
【0047】
局所用の化粧用組成物、皮膚化粧用組成物、皮膚用医薬組成物、又は医薬組成物(C)の定義に用いられる「化粧的に許容される」という表現は、欧州経済共同体理事会指令(Council of the European Economic Community Directive)76/768/EEC(1976年7月27日付)(指令93/35/EEC(1993年6月14日付)により改正)に準拠し、人体の様々な部位(表皮、体毛及び頭髪系、爪、唇、並びに生殖器)又は歯及び口腔粘膜に対し、清浄化、芳香付け、外観の修正、及び/若しくは体臭の修正を行うか、並びに/又はこれらを保護するか、若しくはこれらを良好な状態に保つことを専らの又は主な目的として、これらと接触させることが意図されている任意の物質又は調製物を意味する。本発明の主題であるこれらの組成物の化粧的に許容される媒体は、従来、水、1種若しくは複数種の化粧的に許容される有機溶媒、又は水の及び1種若しくは複数種の有機溶媒の混合物を含むことができる。化粧的に許容される溶媒は、より詳細には、多価アルコール、例えば、グリセロール、ジグリセロール、グリセロールオリゴマー、エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、キシリトール、エリスリトール、ソルビトール、又は水溶性アルコール等から選択することができる。
【0048】
本発明の主題である局所用の化粧用組成物、皮膚化粧用組成物、皮膚用医薬組成物、又は医薬組成物(C)は、エアゾール器具に加圧された形態で包装することも、又は「ポンプ式スプレー」型の器具、穴の空いた隔壁(perforated wall)、例えば、格子を備えた器具、若しくは球状塗布体を備えた器具(「ロールオン」として知られる)に包装することもできる。小型のボトルに包装する場合、上に定義した本発明による組成物(C)は、機械的加圧装置又は噴射ガスを使用する器具により微細小滴形態で適用することができる。本発明による組成物(C)と組み合わせることができる噴射剤は、フッ化水素化された化合物、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジフルオロエタン、イソブタン、ブタン、及びプロパンである。
【0049】
上に定義した局所用の化粧用組成物、皮膚化粧用組成物、皮膚用医薬組成物、又は医薬組成物(C)は、局所用製剤、特に、化粧用、皮膚化粧用、医薬、又は皮膚用医薬製剤の分野に慣用されている賦形剤及び/又は有効成分も含むことができる。
【0050】
本発明の主題である局所用の化粧用組成物、皮膚化粧用組成物、皮膚用医薬組成物、又は医薬組成物(C)は、上に定義したように、起泡性及び/又は洗浄性界面活性剤、増粘性及び/又はゲル化性界面活性剤、増粘剤及び/又はゲル化剤、安定剤、皮膜形成化合物、溶媒及び共溶媒、ヒドロトロープ剤、可塑剤、不透明化剤、真珠光沢剤、金属イオン封鎖剤、キレート剤、酸化防止剤、香料、精油、防腐剤、コンディショニング剤、防臭剤、体毛及び皮膚を脱色することを意図とした脱色剤、皮膚又は毛髪に治療及び/又は保護作用をもたらすことを意図した活性剤、サンスクリーン剤、無機フィラー又は顔料、視覚効果を付与するか又は活性剤をカプセル化することを意図した粒子、角質除去粒子、質感付与剤(texturing agent)、蛍光増白剤、並びに昆虫忌避剤から選択される1種又は複数種の補助化合物も含むことができる。
【0051】
本発明による局所用の化粧用組成物、皮膚化粧用組成物、皮膚用医薬組成物、又は医薬組成物(C)と組み合わせることができる水溶性酸化防止剤として、アスコルビン酸、グルタチオン、酒石酸、シュウ酸、及びグルタミン酸二酢酸四ナトリウムが挙げられる。
【0052】
本発明による局所用の化粧用組成物、皮膚化粧用組成物、皮膚用医薬組成物、又は医薬組成物(C)と組み合わせることができる水溶性金属イオン封鎖剤として、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)塩、例えば、EDTAのナトリウム塩、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)塩、例えば、DTPAのナトリウム塩、及びアセチルグルタミン酸(一連のDissolvine製品)が挙げられる。
【0053】
本発明による局所用の化粧用組成物、皮膚化粧用組成物、皮膚用医薬組成物、又は医薬組成物(C)と組み合わせることができる水溶性色素として、カラメル、Yellow 5、Acid Blue 9/Blue 1、Green 5、Green 3/ファストグリーンFCF 3、Orange 4、Red 4/Food Red 1、Yellow 6、Acid Red 33/Food Red 12、Red 40、コチニールカーマイン(CI 15850、CI 75470)、Ext.Violet 2、Red 6-7、フェロシアン化鉄、ウルトラマリン、Acid Yellow 3/Yellow 10、Acid Blue 3、及びYellow 10が挙げられる。
【0054】
本発明による局所用の化粧用組成物、皮膚化粧用組成物、皮膚用医薬組成物、又は医薬組成物(C)と組み合わせることができる水溶性褪色防止剤(color-stabilizing water-soluble agent)の中でも、クエン酸トリス(テトラメチルヒドロキシピペリジノール)、ベンゾトリアゾリルブチルフェノールスルホン酸ナトリウム、及びベンゾトリアゾリルドデシルp-クレゾールが挙げられる。
【0055】
本発明の主題である局所用の化粧用組成物、皮膚化粧用組成物、皮膚用医薬組成物、又は医薬組成物(C)中に任意選択で存在する起泡性及び/又は洗浄性界面活性剤の例として、この事業分野に一般に使用されている、局所用として許容される、アニオン性、カチオン性、両性、又は非イオン性の起泡性及び/又は洗浄性界面活性剤を挙げることができる。本発明の主題である局所用の化粧用組成物、皮膚化粧用組成物、皮膚用医薬組成物、又は医薬組成物(C)と組み合わせることができる起泡性及び/又は洗浄性アニオン性界面活性剤の中でも、アルキルエーテル硫酸エステルの、アルキル硫酸エステルの、アルキルアミドエーテル硫酸エステルの、アルキルアリールポリエーテル硫酸エステルの、モノグリセリド硫酸エステルの、α-オレフィンスルホン酸の、パラフィンスルホン酸の、アルキルリン酸エステルの、アルキルエーテルリン酸エステルの、アルキルスルホン酸の、アルキルアミドスルホン酸の、アルキルアリールスルホン酸の、アルキルカルボン酸の、アルキルスルホコハク酸の、アルキルエーテルスルホコハク酸の、アルキルアミドスルホコハク酸の、アルキルスルホ酢酸の、アルキルサルコシンの、アシルイセチオン酸の、N-アシルタウリンの、アシル乳酸の、アミノ酸のN-アシル化誘導体の、ペプチドのN-アシル化誘導体の、タンパク質のN-アシル化誘導体の、又は脂肪酸の、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アミン塩、アミノアルコール塩を挙げることができる。本発明の主題である局所用の化粧用組成物、皮膚化粧用組成物、皮膚用医薬組成物、又は医薬組成物(C)中に任意選択で存在する起泡性及び/又は洗浄性両性界面活性剤の中でも、アルキルベタイン、アルキルアミドベタイン、スルタイン、アルキルアミドアルキルスルホベタイン、イミダゾリン誘導体、ホスホベタイン、アンホポリ酢酸塩(amphopolyacetate)、及びアンホプロピオン酸塩を挙げることができる。本発明の主題である局所用の化粧用組成物、皮膚化粧用組成物、皮膚用医薬組成物、又は医薬組成物(C)中に任意選択で存在する起泡性及び/又は洗浄性カチオン性界面活性剤の中でも、特に、第4級アンモニウム誘導体を挙げることができる。
【0056】
本発明の主題である局所用の化粧用組成物、皮膚化粧用組成物、皮膚用医薬組成物、又は医薬組成物(C)中に任意選択で存在する起泡性及び/又は洗浄性非イオン性界面活性剤の中でも、より具体的には、8~12個の炭素原子を含む飽和又は不飽和の直鎖又は分岐の脂肪族基を含むアルキルポリグリコシド;ヒマシ油誘導体、ポリソルベート、ヤシ油脂肪酸アミド、及びN-アルキルアミンを挙げることができる。本発明の主題である局所用の化粧用組成物、皮膚化粧用組成物、皮膚用医薬組成物、又は医薬組成物(C)中に任意選択で存在する質感付与剤の例として、アミノ酸のN-アシル化誘導体、例えば、Aminohope(登録商標)LLの名称で販売されているラウロイルリシン、Dryfloの名称で販売されているオクテニルコハク酸デンプン塩、Montanov(登録商標)14の名称で販売されているミリスチルポリグルコシド、セルロース繊維、綿繊維、キトサン繊維、タルク、絹雲母、雲母、及びパーライトを挙げることができる。
【0057】
本発明の主題である局所用の化粧用組成物、皮膚化粧用組成物、皮膚用医薬組成物、又は医薬組成物(C)中に任意選択で存在する有効成分の例として、次に示すものが挙げられる:
- ビタミン類及びその誘導体、例えば、レチノール(ビタミンA)及びそのエステル(例えば、パルミチン酸レチニル)、アスコルビン酸(ビタミンC)の塩形態及びそのエステル、アスコルビン酸の糖誘導体(例えば、アスコルビルグルコシド)、トコフェロール(ビタミンE)及びそのエステル(例えば、酢酸トコフェロール)、ビタミンB3又はB10(ナイアシンアミド及びその誘導体);
- 皮膚の明色化又は脱色素作用を有する化合物、例えば、Sepiwhite(登録商標)MSH、アルブチン、麹酸、ヒドロキノン、Vegewhite(登録商標)、Gatuline(登録商標)、Synerlight(登録商標)、Biowhite(登録商標)、Phytolight(登録商標)、Dermalight(登録商標)、Clariskin(登録商標)、Melaslow(登録商標)、Dermawhite(登録商標)、Ethioline、Melarest(登録商標)、Gigawhite(登録商標)、Albatine(登録商標)、及びLumiskin(登録商標);
- 鎮静作用を有する化合物、例えば、Sepicalm(登録商標)S、アラントイン、及びビサボロール;
- 抗炎症剤;
- 保湿作用を有する化合物、例えば、ジグリセロール、トリグリセロール、尿素、ヒドロキシ尿素、グリセリルグルコシド、ジグリセリルグルコシド、ポリグリセリルグルコシド、エリスリルグルコシド(erythrityl glucoside)、ソルビチルグルコシド、キシリチルグルコシド、Aquaxyl(登録商標)のブランド名で販売されているキシリチルグルコシドを含む組成物、アンヒドロキシリトール、及びキシリトール;
- 痩身及び脂肪分解作用を有する化合物、例えば、カフェイン又はその誘導体、Adiposlim(登録商標)、及びAdipoless(登録商標);
- タンニン、ポリフェノール、及び/又はイソフラボンに富む植物抽出物、例えば、ブドウエキス、マツエキス、ワインエキス、オリーブ果実エキス;大豆種子エキス、例えば、Raffermine(登録商標);コムギ種子エキス、例えば、Tensine(登録商標)又はGliadine(登録商標);テルペンに富む植物抽出物;淡水又は海水藻類エキス;一般的な海洋抽出物(marine extracts in general)、例えば、サンゴ;
- 抗菌作用又は浄化作用を有する化合物、例えば、Lipacide(登録商標)C8G、Lipacide(登録商標)UG、Sepicontrol(登録商標)A5、Octopirox(登録商標)、又はSensiva(登録商標)SC50;
- 賦活性又は刺激性を有する化合物、例えば、Physiogenyl(登録商標)、パンテノール及びその誘導体、例えば、Sepicap(登録商標)MP;
- 抗老化活性成分、例えば、Sepilift(登録商標)DPHP、Lipacide(登録商標)PVB、Sepivinol(登録商標)、Sepivital(登録商標)、Manoliva(登録商標)、Phyto-Age(登録商標)、Timecode(登録商標)、又はSurvicode(登録商標);
- 抗光老化活性成分;
- 細胞外基質成分の合成を促す活性成分、例えば、コラーゲン、エラスチン、及びグリコサミノグリカン;
- 化学的細胞間コミュニケーション(chemical cell communication)に有利に作用する活性成分、例えば、サイトカイン、又は物理的細胞間コミュニケーション(physical cell communication)に有利に作用する活性成分、例えば、インテグリン;
- 皮膚に「熱」感を生じさせる活性成分、例えば、皮膚毛細管循環賦活剤(例えば、ニコチン酸誘導体)又は皮膚に「冷」感を生じさせる製品(例えば、メントール及びその誘導体);
- 皮膚毛細管の循環を促す賦活剤、例えば、静脈圧亢進剤(venotonic);排出活性成分(draining active principle);うっ血除去を目的とする活性成分、例えば、イチョウ(Ginkgo biloba)、セイヨウキヅタ、セイヨウトチノキ、タケ、ナギイカダ属植物(ruscus)、ナギイカダ、ツボクサ(Centella asiatica)、ヒバマタ属植物(fucus)、ローズマリー、又はヤナギの抽出物;
- 皮膚引き締め剤として作用する活性成分、例えば、植物タンパク質加水分解物、海産物の加水分解物、例えば、コンブ属植物抽出物の加水分解物、魚類の軟骨の加水分解物、海洋性エラスチン(marine elastin)、SEPPIC社からSesaflash(登録商標)のブランド名で販売されている製品、及び液体コラーゲン;
- 皮膚のタンニング剤又は褐色化剤、例えば、ジヒドロキシアセトン、イサチン、アロキサン、ニンヒドリン、グリセルアルデヒド、メソ酒石酸アルデヒド、グルタルアルデヒド、又はエリトルロース。
【0058】
本発明の主題である局所用の化粧用組成物、皮膚化粧用組成物、皮膚用医薬組成物、又は医薬組成物(C)中に任意選択で存在する防臭剤の例として、アルカリ金属ケイ酸塩、亜鉛塩、例えば、硫酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、塩化亜鉛、又は乳酸亜鉛;第4級アンモニウム塩、例えば、セチルトリメチルアンモニウム塩又はセチルピリジニウム塩;グリセロール誘導体、例えば、カプリン酸グリセリル、カプリル酸グリセリル、又はカプリン酸ポリグリセリル;1,2-デカンジオール、1,3-プロパンジオール、サリチル酸、炭酸水素ナトリウム、シクロデキストリン、金属ゼオライト、Triclosan(登録商標)、水素化ホウ素アルミニウム、クロルヒドロキシアルミニウム、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、アルミニウムジルコニウムクロロハイドレート、アルミニウムジルコニウムトリクロロハイドレート、アルミニウムジルコニウムテトラクロロハイドレート、アルミニウムジルコニウムペンタクロロハイドレート、アルミニウムジルコニウムオクタクロロハイドレート、硫酸アルミニウム、乳酸アルミニウムナトリウム、又はアルミニウムクロロハイドレートとグリコールとの錯体、例えば、アルミニウムクロロハイドレートとプロピレングリコール錯体、アルミニウムジクロロハイドレートとプロピレングリコール錯体、アルミニウムセスキクロロハイドレートとプロピレングリコール錯体、アルミニウムクロロハイドレートとポリエチレングリコール錯体、アルミニウムジクロロハイドレートとポリエチレングリコール錯体、又はアルミニウムセスキクロロハイドレートとポリエチレングリコール錯体を挙げることができる。
【0059】
本発明の主題である局所用の化粧用組成物、皮膚化粧用組成物、皮膚用医薬組成物、又は医薬組成物(C)中に任意選択で存在する増粘剤又はゲル化剤の例として、高分子電解質型の直鎖又は分岐又は架橋ポリマー、例えば、一部又は全部が塩形態にあるアクリル酸ホモポリマー、一部又は全部が塩形態にあるメタクリル酸ホモポリマー、一部又は全部が塩形態にある2-メチル-[(1-オキソ-2-プロペニル)アミノ]-1-プロパンスルホン酸(AMPS)ホモポリマー、アクリル酸とAMPSとのコポリマー、アクリルアミドとAMPSとのコポリマー、ビニルピロリドンとAMPSとのコポリマー、AMPSとアクリル酸(2-ヒドロキシエチル)とのコポリマー、AMPSとメタクリル酸(2-ヒドロキシエチル)とのコポリマー、AMPSとヒドロキシエチルアクリルアミドとのコポリマー、AMPSとN,N-ジメチルアクリルアミドとのコポリマー、AMPSとトリス(ヒドロキシメチル)アクリルアミドメタン(THAM)とのコポリマー、アクリル酸又はメタクリル酸とアクリル酸(2-ヒドロキシエチル)とのコポリマー、アクリル酸又はメタクリル酸とメタクリル酸(2-ヒドロキシエチル)とのコポリマー、アクリル酸又はメタクリル酸とヒドロキシエチルアクリルアミドとのコポリマー、アクリル酸又はメタクリル酸とTHAMとのコポリマー、アクリル酸又はメタクリル酸とN,N-ジメチルアクリルアミドとのコポリマー、アクリル酸又はメタクリル酸とAMPSとアクリル酸(2-ヒドロキシエチル)とのターポリマー、アクリル酸又はメタクリル酸とAMPSとメタクリル酸(2-ヒドロキシエチル)とのターポリマー、アクリル酸又はメタクリル酸とAMPSとTHAMとのターポリマー、アクリル酸又はメタクリル酸とAMPSとN,Nジメチルアクリルアミドとのターポリマー、アクリル酸又はメタクリル酸とAMPSとアクリルアミドのターポリマー、アクリル酸又はメタクリル酸とアクリル酸アルキルとのコポリマー、4~30個の炭素原子、より詳細には10~30個の炭素原子を含む炭素鎖、AMPSとアクリル酸アルキルとのコポリマー、4~30個の炭素原子、より詳細には10~30個の炭素原子を含む炭素鎖、遊離の、一部が塩形態の、又は全部が塩形態の強酸基を有する少なくとも1種のモノマーと、少なくとも1種の中性モノマーと、少なくとも1種の式(VIII)のモノマー:
CH2=C(R’3)-C(=O)-[CH2-CH2-O]n-R’4(VIII)
(式中、R’3は、水素原子又はメチル基を表し、R’4は、8~30個の炭素原子を含む直鎖又は分岐アルキル基を表し、nは、1以上50以下の数を表す)との直鎖、分岐、又は架橋ターポリマーを挙げることができる。
【0060】
本発明の主題である局所用の化粧用組成物、皮膚化粧用組成物、皮膚用医薬組成物、又は医薬組成物(C)と組み合わせることができる高分子電解質型の直鎖又は分岐又は架橋ポリマーは、溶液、水性懸濁液、油中水型エマルジョン、水中油型エマルジョン、粉末の形態で提供することができ、例えば、Simulgel(登録商標)EG、Simulgel(登録商標)EPG、Sepigel(登録商標)305、Simulgel(登録商標)600、Simulgel(登録商標)NS、Simulgel(登録商標)INS 100、Simulgel(登録商標)FL、Simulgel(登録商標)A、Simulgel(登録商標)SMS 88、Sepinov(登録商標)EMT 10、Sepiplus(登録商標)400、Sepiplus(登録商標)265、Sepiplus(登録商標)S、Sepimax(登録商標)Zen、Aristoflex(登録商標)AVC、Aristoflex(登録商標)AVS、Novemer(登録商標)EC-1、Novemer(登録商標)EC 2、Aristoflex(登録商標)HMB、Cosmedia(登録商標)SP、Flocare(登録商標)ET 25、Flocare(登録商標)ET 75、Flocare(登録商標)ET 26、Flocare(登録商標)ET 30、Flocare(登録商標)ET 58、Flocare(登録商標)PSD 30、Viscolam(登録商標)AT 64、及びViscolam(登録商標)AT 100の名称で販売されている製品;単糖のみから構成される多糖、例えば、グルカン又はグルコースホモポリマー、グルコマンノグルカン(glucomannoglucan)、キシログルカン、D-マンノース主鎖上のD-ガラクトース単位の置換度(DS)が0~1の間、より詳細には1~0.25の間にあるガラクトマンナン、例えば、カシアガム(DS=1/5)由来、ローカストビーンガム(DS=1/4)由来、タラガム(DS=1/3)由来、グアーガム(DS=1/2)由来、又はフェヌグリークガム(DS=1)由来のガラクトマンナン;単糖誘導体から構成される多糖、例えば、硫酸化ガラクタン、より具体的には、カラギーナン及び寒天、ウロナン(uronan)、より具体的には、アルギン、アルギン酸塩、及びペクチン、単糖及びウロン酸のヘテロポリマー、より具体的には、キサンタンガム、ゲランガム、アラビアゴムの滲出液、カラヤゴムの滲出液、又はグルコサミノグリカン;セルロース、セルロース誘導体、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、又はヒドロキシプロピルセルロース、ケイ酸塩、デンプン、親水性デンプン誘導体、又はポリウレタンが挙げられる。
【0061】
本発明の主題である局所用の化粧用組成物、皮膚化粧用組成物、皮膚用医薬組成物、又は医薬組成物(C)中に任意選択で存在する油の例として、鉱油(例えば、流動パラフィン(liquid paraffin)、流動ワセリン、イソパラフィン、又は流動パラフィン(white mineral oil));動物性油(例えば、スクワレン又はスクワラン);植物性油(例えば、植物性スクワラン、アーモンド油、ヤシ油、ヒマシ油、ホホバ油、オリーブ油、菜種油、落花生油、ヒマワリ油、コムギ胚芽油、トウモロコシ胚芽油、大豆油、綿実油、アルファルファ油、ケシ油、カボチャ油、月見草油、キビ油、オオムギ油、ライムギ油、紅花油、ククイ油、トケイソウ油、ヘーゼルナッツ油、パーム油、シヤ脂、杏仁油、コリアンダー種子油、ブナの実油、テリハボク油(calophyllum oil)、シシンブリウム油(sisymbrium oil)、アボカド油、トウキンセンカ花油、花由来若しくは可食部由来の油、又は植物油のエトキシル化物);合成油、例えば、脂肪酸エステル(例えば、ミリスチン酸ブチル、ミリスチン酸プロピル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸セチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸オクチル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸ヘキシルデシル、ステアリン酸イソプロピル、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸イソセチル、オレイン酸ドデシル、ラウリン酸ヘキシル、ジカプリル酸プロピレングリコール、ラノリン脂肪酸由来エステル(例えば、ラノリン脂肪酸イソプロピル、又はラノリン脂肪酸イソセチル)、脂肪酸モノグリセリド、ジグリセリド、及びトリグリセリド(例えば、トリヘプタン酸グリセロール)、安息香酸アルキル、硬化油、ポリ(α-オレフィン)、ポリオレフィン(例えば、ポリイソブテン)、合成イソアルカン(例えば、イソヘキサドデカン又はイソドデカン)、過フッ素化油、シリコーン油(例えば、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、アミン変性シリコーン、脂肪酸変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、アルコール及び脂肪酸で変性されたシリコーン、ポリエーテル基変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、フッ素化基変性シリコーン、環状シリコーン、並びにアルキル基変性シリコーン)を挙げることができる。本特許出願における「油」という語は、水に不溶であり、25℃の温度で液体の外観を呈する化合物及び/又は化合物の混合物を意味するものと理解される。
【0062】
本発明の主題である局所用の化粧用組成物、皮膚化粧用組成物、皮膚用医薬組成物、又は医薬組成物(C)中に任意選択で存在するロウの例としては、ミツロウ、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、オウリキュリーロウ(ouricury wax)、木ロウ、コルク繊維ロウ(cork fiber wax)、サトウキビロウ、パラフィンロウ、リグナイトワックス、マイクロクリスタリンワックス、羊毛ロウ、オゾケライト、ポリエチレンワックス、シリコーンワックス、植物性ロウ、周囲温度で固体の脂肪族アルコール及び脂肪酸、又は周囲温度で固体のグリセリドを挙げることができる。本特許出願における「ロウ/ワックス」という語は、45℃以上の温度で固体の外観を呈する水に不溶な化合物及び/又は化合物の混合物を意味するものと理解される。
【0063】
本発明の主題である局所用の化粧用組成物、皮膚化粧用組成物、皮膚用医薬組成物、又は医薬組成物(C)と組み合わせることができる乳化性非イオン性界面活性剤の例として、脂肪酸及びソルビトールのエステル(例えば、Montane(登録商標)40、Montane(登録商標)60、Montane(登録商標)70、Montane(登録商標)80、及びMontane(登録商標)85の名称で販売されている製品);ステアリン酸グリセリルと5mol~150molのエチレンオキシドを有するエトキシル化ステアリン酸とを含む組成物(例えば、Simulsol(登録商標)165の名称で販売されている、135molのエチレンオキシドを有するエトキシル化ステアリン酸及びステアリン酸グリセリルを含む組成物);マンニタンエステル;エトキシル化マンニタンエステル;ショ糖エステル;メチルグルコシドエステル;14~36個の炭素原子を含む飽和又は不飽和の直鎖又は分岐の脂肪族基を含むアルキルポリグリコシド(例えば、テトラデシルポリグルコシド、ヘキサデシルポリグルコシド、オクタデシルポリグルコシド、ヘキサデシルポリキシロシド、オクタデシルポリキシロシド、エイコシルポリグルコシド、ドデコシルポリグルコシド、2-オクチルドデシルポリキシロシド、又は12-ヒドロキシステアリルポリグルコシド);又は14~36個の炭素原子を含む飽和又は不飽和の直鎖又は分岐の脂肪族アルコール及び上述のアルキルポリグリコシドの組成物(例えば、Montanov(登録商標)68、Montanov(登録商標)14、Montanov(登録商標)82、Montanov(登録商標)202、Montanov(登録商標)S、Montanov(登録商標)WO18、Montanov(登録商標)L、Fluidanov(登録商標)20X、及びEasynov(登録商標)のブランド名で販売されている組成物)を挙げることができる。
【0064】
本発明の主題である局所用の化粧用組成物、皮膚化粧用組成物、皮膚用医薬組成物、又は医薬組成物(C)中に任意選択で存在する、日光の紫外線から保護するための剤の例としては、顔料、有機サンスクリーン剤、及び無機サンスクリーン剤が挙げられる。
【0065】
本発明の主題である局所用の化粧用組成物、皮膚化粧用組成物、皮膚用医薬組成物、又は医薬組成物(C)中に任意選択で存在する、日光の紫外線から保護するための剤として使用される顔料の例としては、例えば、二酸化チタン、褐色酸化鉄、黄色酸化鉄、黒色酸化鉄、若しくは赤色酸化鉄、又は白色若しくは有色のチタン雲母等の真珠光沢顔料が挙げられる。
【0066】
本発明の主題である局所用の化粧用組成物、皮膚化粧用組成物、皮膚用医薬組成物、又は医薬組成物(C)中に任意選択で存在する、日光の紫外線から保護するための剤として使用される有機サンスクリーン剤の例として、例えば:
- 安息香酸誘導体の群、例えば、パラアミノ安息香酸(PABA)、特に、PABAのモノグリセリルエステル、N,N-ジプロポキシPABAのエチルエステル、N,N-ジエトキシPABAのエチルエステル、N,N-ジメチル-PABAのエチルエステル、N,N-ジメチル-PABAのメチルエステル、又はN,N-ジメチルPABAのブチルエステル;
- アントラニル酸誘導体の群、例えば、N-アセチルアントラニル酸ホモメンチル;
- サリチル酸誘導体の群、例えば、サリチル酸アミル、サリチル酸ホモメンチル、サリチル酸エチルヘキシル、サリチル酸フェニル、サリチル酸ベンジル、又はサリチル酸p-イソプロピルフェニル;
- ケイヒ酸誘導体の群、例えば、ケイヒ酸エチルヘキシル、4-イソプロピルケイヒ酸エチル、2,5-ジイソプロピルケイヒ酸メチル、p-メトキシケイヒ酸プロピル、p-メトキシケイヒ酸イソプロピル、p-メトキシケイヒ酸イソアミル、p-メトキシケイヒ酸オクチル(p-メトキシケイヒ酸2-エチルヘキシル)、p-メトキシケイヒ酸2-エトキシエチル、p-メトキシケイヒ酸シクロヘキシル、α-シアノ-β-フェニルケイヒ酸エチル、α-シアノ-β-フェニルケイヒ酸2-エチルヘキシル、又はジ(パラ-メトキシケイヒ酸)モノ(2-エチルヘキサノイル)グリセリル;
- ベンゾフェノン誘導体の群、例えば、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-4’-メチルベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸塩、4-フェニルベンゾフェノン、2-エチルヘキシル-4’-フェニルベンゾフェノン-2-カルボン酸塩、2-ヒドロキシ-4-n-オクチルオキシベンゾフェノン、4-ヒドロキシ-3-カルボキシベンゾフェノン、3-(4’-メチルベンジリデン)-D,L-カンファー、3-(ベンジリデン)-D,L-カンファー、カンファーメト硫酸ベンザルコニウム、ウロカニン酸、又はウロカニン酸エチル;
- スルホン酸誘導体の群、例えば、2-フェニルベンズイミダゾール-5スルホン酸及びその塩;トリアジン誘導体の群、例えば、ヒドロキシフェニルトリアジン、エチルヘキシルオキシヒドロキシフェニル-4-メトキシフェニルトリアジン、2,4,6-トリアニリノ-(p-カルボ-2’-エチルヘキシル-1’-オキシ)-1,3,5-トリアジン、安息香酸の4,4-((6-(((1,1-ジメチルエチル)アミノ)カルボニル)フェニル)アミノ)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイルジイミノ)ビス(2-エチルヘキシル)エステル、2-フェニル-5-メチルベンゾオキサゾール、2,2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニルベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-(t-オクチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール;ジベンザジン(dibenzazine);ジアニソイルメタン、4-メトキシ-4”-t-ブチルベンゾイルメタン;5-(3,3-ジメチル-2-ノルボルニリデン)-3-ペンタン-2-オン;2-(4-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸ヘキシルエステル、2,4-ビス{[4-(2-エチルヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシ]フェニル}-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス[4-(2-エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ]-1,3,5-トリアジン、ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸2-エチルヘキシル、アクリル酸ジフェニル誘導体の群、例えば、2-シアノ-3,3-ジフェニル-2-プロペン酸2-エチルヘキシル又は2-シアノ-3,3-ジフェニル-2-プロペン酸エチル;
- ポリシロキサンの群、例えば、ベンジリデンシロキサンマロネート(benzylidene siloxane malonate)
が挙げられる。
【0067】
本発明の主題である局所用の化粧用組成物、皮膚化粧用組成物、皮膚用医薬組成物、又は医薬組成物(C)中に任意選択で存在する、日光の紫外線から保護するための剤として使用される無機サンスクリーン剤の例は、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、黄色、赤色、又は黒色酸化鉄、及び酸化クロムである。これらの無機スクリーン剤は、微粉化されていてもいなくてもよく、表面処理されていてもいなくてもよく、任意選択で水性又は油性予備分散液の形態をとることができる。
【0068】
以下に示す実施例は本発明を説明するものであって、本発明を制限するものではない。
【実施例】
【0069】
実施例1:本発明組成物(C1A)の調製
n-ヘプタン酸62.6グラム(即ち、0.8モル当量)を、熱交換流体を含むジャケット、プロペラ型又はアンカー型の攪拌機を備えた機械的攪拌機構、及び排水機構を備えた反応器に導入する。温度を150℃にし、ヘプタン酸を均質化するために10分間の攪拌を開始する。
【0070】
次いでプロリン50重量%(即ち、プロリンを1モル当量)を含むプロリン水溶液69.54グラムをゆっくりと添加し、この混合を4×104Pa~7×104Pa(400~700mbar)の部分真空中155℃の温度で12時間30分維持する。得られた反応媒体を90℃の温度に冷却した後、組成物(C1A)を得るために排出し、次いでこれを分析により特性評価する。
【0071】
実施例2:本発明組成物(C1B)の調製
n-ヘプタン酸0.8モル当量に替えてn-オクタン酸を0.8モル当量として、実施例1に記載した方法の手順を実施する。
【0072】
この混合を、2×104Pa~4×104Pa(200~400mbar)の部分真空中155℃の温度で11時間維持する。得られた反応媒体を90℃の温度に冷却した後、組成物(C1B)を得るために排出し、次いでこれを分析により特性評価する。
【0073】
比較例1:比較組成物(C’1)の調製
n-ヘプタン酸0.8モル当量に替えてn-ラウリン酸を0.8モル当量として、実施例1に記載した方法の手順を実施する。
【0074】
この混合を3×104Pa(300mbar)の部分真空中155℃の温度で6時間30分維持する。得られた反応媒体を90℃の温度に冷却した後、比較組成物(C’1)を得るために排出し、次いでこれを分析により特性評価する。
【0075】
比較例2:比較組成物(C’2)の調製
n-ヘプタン酸0.8モル当量に替えてn-パルミチン酸を0.8モル当量として、実施例1に記載した方法の手順を実施する。
【0076】
次いでこの混合を2×104Pa~6×104Pa(200~600mbar)の部分真空中155℃の温度で6時間30分維持する。得られた反応媒体を90℃の温度に冷却した後、比較組成物(C’2)を得るために排出し、次いでこれを分析により特性評価する。
【0077】
比較例3:比較組成物(C’3)の調製
n-ヘプタン酸0.8モル当量に替えてn-オクタン酸を0.8モル当量とし、プロリン1モル当量に替えてグリシンを1モル当量として、実施例1に記載した方法の手順を実施する。
【0078】
反応は認められず、媒体は固化する。したがって比較組成物(C’3)はオクタン酸及びグリシンの混合物から構成される。
【0079】
本発明組成物(C1A)及び(C1B)並びに比較組成物(C’1)、(C’2)、及び(C’3)の特性評価
得られた本発明組成物(C1A)及び(C1B)並びに比較組成物(C’1)、(C’2)、及び(C’3)について、外観の目視評価、酸価の測定に加えて、残留脂肪酸、残留プロリン、ジプロリン、プロリンのN-アシル化誘導体、及びプロリンのN-アシル化ジペプチド誘導体の重量による含有量を、注入機構、データ取得システムを備えた水素炎イオン化検出器、及びCP Simdist Ultimetalカラム(100%メチルシロキサン 10m×内径0.53mm、膜厚0.53μm)を取り付けたクロマトグラフにて、キャリアガスとしてヘリウムを使用し、ガスクロマトグラフィーを行うことにより測定することによって特性評価を行う。
【0080】
プロリンのN-アシル化誘導体を得るための方法により得られた組成物中の脂肪酸の重量による含有量が、得られた組成物100重量%当たり10%以上であれば、出発物質の転化率が不十分であると判定する。その理由は、含有量がこの重量を超えると、脂肪酸に起因する皮膚の炎症反応が発生し易くなり、このような組成物は化粧用途に適さないことにある。
【0081】
得られた本発明組成物(C1A)及び(C1B)並びに比較組成物(C’1)、(C’2)、及び(C’3)の分析による特性評価を次の表1及び表2に記載する。
【0082】
【0083】
【0084】
これらの特性評価は、本発明による方法を実施することにより得られる組成物(C1A)及び(C1B)中の残留脂肪酸及び式(II)の化合物の重量による含有量は、10重量%よりも大幅に低く、一方、比較組成物(C’1)及び(C’2)中の脂肪酸の重量による含有量は、それとは対照的に、10重量%を大幅に超えることを示している。