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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-21
(45)【発行日】2023-01-04
(54)【発明の名称】流体または粉体製品の吐出装置
(51)【国際特許分類】
   B05B 11/06 20060101AFI20221222BHJP
   A61M 15/00 20060101ALI20221222BHJP
   A61M 11/02 20060101ALI20221222BHJP
【FI】
B05B11/06
A61M15/00
A61M11/02
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019567241
(86)(22)【出願日】2018-06-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-07-30
(86)【国際出願番号】 FR2018051281
(87)【国際公開番号】W WO2018224762
(87)【国際公開日】2018-12-13
【審査請求日】2021-05-10
(31)【優先権主張番号】1754977
(32)【優先日】2017-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】502343252
【氏名又は名称】アプター フランス エスアーエス
【氏名又は名称原語表記】APTAR FRANCE SAS
【住所又は居所原語表記】Lieu-dit Le Prieure,27110 Le Neubourg,France
(74)【代理人】
【識別番号】110001900
【氏名又は名称】弁理士法人 ナカジマ知的財産綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】プチ リュドビック
【審査官】磯部 洋一郎
(56)【参考文献】
【文献】特表平07-501728(JP,A)
【文献】特表2016-524950(JP,A)
【文献】特表2002-500073(JP,A)
【文献】特表2002-505981(JP,A)
【文献】特表2004-532717(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 11/06
A61M 11/02
A61M 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体または粉体製品を吐出するための吐出装置であって、
吐出口(10)を有する吐出ヘッド(1)と、
前記吐出装置の作動中に空気流を生成するための送気装置(20)と、
1回分の製品が収容された1つ以上の容器(30)と
を備え、
前記容器(30)は、
前記送気装置(20)と接続する空気入口(31)および前記吐出口(10)と接続する製品出口(32)を有し、
前記送気装置(20)の上に着脱可能に装着されることにより、前記吐出装置の作動後に前記送気装置から空の容器を取り外して新たな満杯の容器への交換が可能であり、
前記送気装置(20)がその待機位置に戻るよう構成されることにより、前記新たな満杯の容器を用いた前記吐出装置の新たな作動が可能であり、
前記空気入口(31)は、第1閉鎖要素(40)により閉鎖され、
前記製品出口(32)は、第2閉鎖要素(50)により閉鎖され、
前記吐出装置は、さらに
前記作動中に、前記第1および第2閉鎖要素(40,50)をそれぞれの閉鎖位置から機械的に押し出す機械的開放システム(61,62)を備え、
前記機械的開放システムは、
前記送気装置(20)に固定された第1ロッド(61)と、
前記吐出ヘッド(1)に固定された第2ロッド(62)と
を含み、
前記作動中に、前記第1および第2ロッド(61,62)は、対応する前記第1および第2閉鎖要素(40,50)をそれぞれの閉鎖位置から機械的に押し出し、
前記容器(30)は、円筒状本体(33)を含み、
前記本体(33)は、その軸方向両端に前記空気入口(31)および前記製品出口(32)を有し、
前記空気入口(31)および前記製品出口(32)はそれぞれ、前記本体(33)より直径が小さい円筒部分からなることにより、それぞれの内部に圧入した前記2つの閉鎖要素(40,50)により密封される
ことを特徴とする吐出装置。
【請求項2】
流体または粉体製品を吐出するための吐出装置であって、
吐出口(10)を有する吐出ヘッド(1)と、
前記吐出装置の作動中に空気流を生成するための送気装置(20)と、
1回分の製品が収容された1つ以上の容器(30)と
を備え、
前記容器(30)は、
前記送気装置(20)と接続する空気入口(31)および前記吐出口(10)と接続する製品出口(32)を有し、
前記送気装置(20)の上に着脱可能に装着されることにより、前記吐出装置の作動後に前記送気装置から空の容器を取り外して新たな満杯の容器への交換が可能であり、
前記送気装置(20)がその待機位置に戻るよう構成されることにより、前記新たな満杯の容器を用いた前記吐出装置の新たな作動が可能であり、
前記空気入口(31)は、第1閉鎖要素(40)により閉鎖され、
前記製品出口(32)は、第2閉鎖要素(50)により閉鎖され、
前記吐出装置は、さらに
前記作動中に、前記第1および第2閉鎖要素(40,50)をそれぞれの閉鎖位置から機械的に押し出す機械的開放システム(61,62)を備え、
前記機械的開放システムは、
前記送気装置(20)に固定された第1ロッド(61)と、
前記吐出ヘッド(1)に固定された第2ロッド(62)と
を含み、
前記作動中に、前記第1および第2ロッド(61,62)は、対応する前記第1および第2閉鎖要素(40,50)をそれぞれの閉鎖位置から機械的に押し出し、
前記作動後は、前記2つの閉鎖要素(40,50)は、前記容器(30)の内部に配置される
ことを特徴とする吐出装置。
【請求項3】
前記容器は対称であり、前記2つの閉鎖要素(40,50)は同一である
ことを特徴とする請求項1または2に記載の吐出装置。
【請求項4】
前記容器(30)は、特に成形することによって、単一部品として形成される
ことを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載の吐出装置。
【請求項5】
前記容器(30)は、2つの部品、有利には同一であるものを特に成形し、特に接合または接着して互いに固定させることによって形成される
ことを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載の吐出装置。
【請求項6】
前記容器(30)は、その外側に、半径方向フランジ(34)を有し、
前記半径方向フランジ(34)が、半径方向外側に延在することにより、好ましくは前記容器(30)の略中央から半径方向外側に延在することにより、前記容器(30)は前記送気装置(20)の上に固定される
ことを特徴とする請求項1からまでのいずれか1項に記載の吐出装置。
【請求項7】
前記半径方向フランジ(34)は、円形ではなく略長方形であり、その半径方向延在部は、第1方向のほうがこれに垂直な第2方向より大きい
ことを特徴とする請求項に記載の吐出装置。
【請求項8】
前記第1および第2閉鎖要素(40,50)の少なくとも一方は、ボールである
ことを特徴とする請求項1からまでのいずれか1項に記載の吐出装置。
【請求項9】
前記送気装置は、空気室(22)の内部を待機位置および吐出位置の間で摺動するピストン(21)を含み、
前記ピストン(21)が前記待機位置において前記空気室(22)と非気密状態で協働することにより、前記空気室(22)は大気に連通する
ことを特徴とする請求項1からまでのいずれか1項に記載の吐出装置。
【請求項10】
前記空気室(22)は、円筒状本体を含み、
前記円筒状本体は、その軸方向上端に、半径方向フランジ(225)を有する
ことを特徴とする請求項に記載の吐出装置。
【請求項11】
前記半径方向フランジ(225)は、その上面に、前記容器(30)を固定するための固定手段(229)を有する
ことを特徴とする請求項10に記載の吐出装置。
【請求項12】
前記固定手段(229)は、前記容器(30)の前記半径方向フランジ(34)を受け止めて軸方向に定位置に保持するよう構成された、直径方向に対向する肩部を形成する突出部を有する
ことを特徴とする請求項11に記載の吐出装置。
【請求項13】
空の容器から満杯の容器への交換の間、前記送気装置はその待機位置に手動により戻る
ことを特徴とする請求項1から12までのいずれか1項に記載の吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体または粉体製品を吐出するための吐出装置に関する。より詳細には本発明は、容器に収容された1回分の特に粉体製品を加圧空気流によって吐出するための吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1が開示する吐出装置によれば、容器の出口を閉鎖する球状の閉鎖要素は、送気装置が生成する空気流によって押し出される。吐出装置を用いて特に粉体を吐出するには、装置の作動に必要な空気圧が十分に高くなければ、1回分の粉体を1回で完全に吐出したり必要に応じて複数回に分けて吐出したりすることは保証できない。この装置の作動に必要な空気圧は、押し出されるボールからの抵抗によって決まる。抵抗は、容器を密封するためにボールとこれが嵌め込まれる円筒状シートとの間の摩擦に依存するので、抵抗の制御や規定は比較的困難である。したがって、球体と円筒状シートとの干渉を最小限に抑えなければならない場合がある。そのような場合に、容器の閉鎖効果が損なわれるおそれがあるのは明らかである。また、球体を押し出しやすくするために、その円筒状シート内での球体の深さおよび位置調節を最小限に抑えなければならない場合もある。さらに、比較的高い空気圧を提供しなければならない場合もある。しかしながら、患者が送気装置を手動で作動させるときは特に、ポンプシステムやベローズシステムを用いて比較的高い空気圧を生成することは必ずしも容易ではない。その上、製品の吐出、すなわち、円筒状シートからのボールの押し出しは、送気装置のポンプまたはベローズのストロークに沿って異なる位置で行われる場合があるので、吐出の正確なタイミングを必ずしも予め厳密に決定できるわけではない。最後に、球体および円筒状シートとして選択できる材料には限りがある。
【0003】
特許文献2が開示する吐出装置によれば、閉鎖要素であるボールは、送気装置に固定されたロッドにより機械的に押し出される。この装置は再使用できないので、使用後は丸ごと廃棄処分されなければならない。特に環境保護や経済的な理由から、作動ごとに容器は交換されても送気装置は交換されない再使用可能な吐出装置が望ましいことがある。
【0004】
特許文献3および4は、特許文献2の吐出装置と同様の吐出装置を開示する。これら吐出装置によれば、粉体が収容された容器を複数回交換して送気装置を再使用できる。しかしながら、これら吐出装置にも問題がある。送気装置は再使用できても、容器とともに使い捨てされる吐出ヘッドは再使用できない。さらに、これら吐出装置には、解除可能ブリッジを介して容器に接続する可動部品が必要であるので、装置の製造が複雑になる。その上、作動中に解除可能ブリッジが解除されると音が鳴るので、ユーザが誤解する可能性がある。また、特許文献2~4の吐出装置によれば、容器を通過するロッドが含まれるので、容器の有効容積が制限されてしまう。よって、充填が一層困難になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第WO99/46055号
【文献】国際公開第WO02/45866号
【文献】国際公開第WO2015/001269号
【文献】国際公開第WO2015/001281号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、上述の問題がない流体または粉体吐出装置を提供することである。
【0007】
具体的に本発明の目的は、異なる容器を用いて複数回の再使用が可能な流体または粉体吐出装置を提供することである。
【0008】
また本発明の目的は、製造、組立、充填および使用が容易で安価な流体または粉体吐出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
したがって本発明は、流体または粉体製品を吐出するための吐出装置であって、吐出口を有する吐出ヘッドと、吐出装置の作動中に空気流を生成するための送気装置と、1回分の製品が収容された1つ以上の容器とを備える吐出装置を提供する。容器は、送気装置と接続する空気入口および吐出口と接続する製品出口を有する。容器が送気装置の上に着脱可能に装着されることにより、吐出装置の作動後に送気装置から空の容器を取り外して新たな満杯の容器への交換が可能である。送気装置がその待機位置に戻るよう構成されることにより、新たな満杯の容器を用いた吐出装置の新たな作動が可能である。空気入口は、第1閉鎖要素により閉鎖される。製品出口は、第2閉鎖要素により閉鎖される。吐出装置はさらに、作動中に第1および第2閉鎖要素をそれぞれの閉鎖位置から機械的に押し出す機械的開放システムを備える。機械的開放システムは、送気装置に固定された第1ロッドと、吐出ヘッドに固定された第2ロッドとを含む。作動中に、第1および第2ロッドは、対応する第1および第2閉鎖要素をそれぞれの閉鎖位置から機械的に押し出す。
【0010】
有利には、容器は対称であり、2つの閉鎖要素は同一である。
【0011】
有利には、容器は、特に成形することによって、単一部品として形成される。
【0012】
変形例として、容器は、2つの部品、有利には同一であるものを特に成形し、特に接合または接着して互いに固定させることによって形成される。
【0013】
有利には、容器は、円筒状本体を含み、本体は、その軸方向両端に空気入口および製品出口を有する。
【0014】
有利には、空気入口および製品出口はそれぞれ、本体より直径が小さい円筒部分からなることにより、それぞれの内部に圧入した2つの閉鎖要素により密封される。
【0015】
有利には、作動後は、2つの閉鎖要素は、容器の内部に配置される。
【0016】
有利には、容器は、その外側に、半径方向フランジを有し、半径方向フランジが、半径方向外側に延在することにより、好ましくは容器の略中央から半径方向外側に延在することにより、容器は送気装置の上に固定される。
【0017】
有利には、半径方向フランジは、円形ではなく略長方形であり、その半径方向延在部は、第1方向のほうがこれに垂直な第2方向より大きい。
【0018】
有利には、第1および第2閉鎖要素の少なくとも一方は、ボールである。
【0019】
有利には、送気装置は、空気室の内部を待機位置および吐出位置の間で摺動するピストンを含み、ピストンが待機位置において空気室と非気密状態で協働することにより、空気室は大気に連通する。
【0020】
有利には、空気室は、円筒状本体を含み、円筒状本体は、その軸方向上端に、半径方向フランジを有する。
【0021】
有利には、半径方向フランジは、その上面に、容器を固定するための固定手段を有する。
【0022】
有利には、固定手段は、容器の半径方向フランジを受け止めて軸方向に定位置に保持するよう構成された、直径方向に対向する肩部を形成する突出部を有する。
【0023】
有利には、空の容器から満杯の容器への交換の間、送気装置はその待機位置に手動により戻る。
【図面の簡単な説明】
【0024】
以下に示す詳細な説明および添付図面は、非限定的な例に基づいて本発明の特徴や利点を明確にするものである。
図1】有利な実施形態に係る流体または粉体吐出装置の待機状態を示す模式断面図である。
図2】吐出装置の作動段階を示す、図1に類似する図である。
図3】吐出装置の作動段階を示す、図1に類似する図である。
図4】吐出装置の作動段階を示す、図1に類似する図である。
図5】吐出装置の作動段階を示す、図1に類似する図である。
図6】作動前の吐出装置の容器を詳細に示す図である。
図7】作動中の吐出装置の容器を詳細に示す図である。
図8】別の製造方法に係る容器を詳細に示す図である。
図9】さらに別の製造方法に係る容器を詳細に示す図である。
図10】吐出装置に新たな容器を組み立てる第1組立変形例を詳細に示す断面図である。
図11図10の第1組立変形例の斜視図である。
図12】第2組立変形例を示す、図10に類似する図である。
図13図12の第2組立変形例の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本明細書では、用語「上」、「下」、「上方」および「下方」は、特に図1に示す吐出装置が起立した姿勢をとるときの位置を表す。また、用語「軸方向」および「半径方向」は、特に図1に示す吐出装置の縦中心軸Aに対する方向を表す。
【0026】
吐出装置は、1回分の吐出用流体製品が収容された容器30を含む。容器30は空気入口31および製品出口32を有する。空気入口31は送気装置20に接続し、製品出口32は装置の吐出口10に接続する。空気入口31は、その内部に第1閉鎖要素40が圧入することにより閉鎖される。第1閉鎖要素40は具体的にはボールである。また製品出口32は、その内部に第2閉鎖要素50が圧入することにより閉鎖される。第2閉鎖要素50も具体的にはボールである。吐出装置が作動するまでは、吐出用流体は、容器30において2つの閉鎖要素40,50の間に保持される。2つの閉鎖要素40,50は、容器30に収容された製品を確実に密封することが好ましい。
【0027】
有利には、図6図9から分かるように、容器30は対称であり、2つの閉鎖要素40,50は同一である。よって、軸方向のいずれの向きにも容器を用いることができる。
【0028】
図8に示すように容器30は、特に成形によって、単一部品として形成できる。変形例としては、有利には同一である2つの部品を、例えば超音波やレーザーを用いた接合や接着により、互いに固定させることによって形成してもよい。
【0029】
有利には、容器30は円筒状本体33を含む。本体33はその軸方向両端に、容器30の空気入口31および製品出口32を有する。好ましくは、空気入口31および製品出口32はそれぞれ、本体33より直径が小さい円筒部分からなる。この構成により、図6に示すように、空気入口31および製品出口32を、それぞれの内部に圧入した2つの閉鎖要素40,50により密封することができる。作動中は図7に示すように、2つの閉鎖要素40,50は容器30の内部で内側に向かって移動する。本体33は2つの閉鎖要素40,50より直径が大きい。よって、これら2つの閉鎖要素40,50があっても、空気流は容器30の中に流入して製品を押し出すことができる。本実施形態では、特に有利なことに2つの閉鎖要素40,50がボールであるので、押し出される製品が不所望に容器に残留するのを防止できる。
【0030】
容器30は、その外側に半径方向フランジ34を有する。半径方向フランジ34は、好ましくは容器30の略中央から半径方向外側に延在するので、後述のように容器30を送気装置20の上に固定できる。特に図11および図13に示すように、半径方向フランジ34は、円形ではなく略長方形であり、その半径方向延在部は、第1方向のほうがこれに垂直な第2方向より大きい。有利には、第1方向の半径方向端縁341,342は丸みを帯びている。以下に詳述するとおり、半径方向フランジ34は、送気装置に容器30を着脱可能に固定する役割を果たす。
【0031】
吐出装置は、ユーザによって手動で作動され、空気流を生成するよう構成された送気装置20を含む。生成される空気流は、製品が収容された容器30を通過することにより、製品を吐出口10に向けて運ぶ。
【0032】
容器30は、吐出口10を有する吐出ヘッド1に、具体的には圧入して固定される。
【0033】
吐出装置は機械的開放システム61,62を含む。機械的開放システム61,62は、作動中にそれぞれが対応する第1閉鎖要素40および第2閉鎖要素50を機械的に閉鎖位置から押し出すよう構成される。本発明では、機械的開放システムは、送気装置20に固定された第1ロッド61および吐出ヘッド1に固定された第2ロッド62を有する。ロッド61,62は、作動中にそれぞれが対応する閉鎖要素40および50を機械的に閉鎖位置から押し出す。
【0034】
第1閉鎖要素40および第2閉鎖要素50は、好ましくは、上述したとおりボールのような球状であるが、卵状のような球状以外の形状でもよい。
【0035】
図1の送気装置は、空気室22の内部を摺動するピストン21を含む。ピストン21は、ユーザによって手動で、有利にはこの上に組み立てられた押下要素25を用いて、作動される。
【0036】
ピストン21は、第1ロッド61に、有利には一体形成により固定される。
【0037】
有利には、空気室22は円筒状本体を含み、本体はその軸方向上端に半径方向フランジ225を有する。半径方向フランジ225は、円筒状本体から半径方向内側に延在した先に、軸方向下方に延在する軸方向延在部226を有する。軸方向延在部226は、吐出装置の組み立て時に容器30の外表面と有利には気密状態で協働するために設けられる。また半径方向フランジ225は、本体から半径方向外側に延在した先に、固定手段228を有する。固定手段228は、空気室22をその周囲に組み立てられた筐体26に固定するために設けられる。
【0038】
半径方向フランジ225は、その上面に、容器30を固定するための固定手段229を有する。有利には、固定手段229は、容器30の半径方向フランジ34を受け止めて軸方向に定位置に保持するよう構成された、直径方向に対向する肩部を形成する突出部を有する。よって、容器30は送気装置20の上に差し込まれて固定される。すなわち、容器30の半径方向フランジ34を空気室22の半径方向フランジ225の上に載せてから、容器を一般的には約90度回転させると、半径方向フランジ34が突出部229の下方に引っ掛かって固定される。
【0039】
ピストン21が待機位置にあるときは、図1から分かるように、送気装置20は有利には大気に開放されている。
【0040】
図2図5に吐出装置の作動例を示す。ユーザが吐出装置を作動させるには、親指を吐出ヘッド1の押下要素25に、他の指を指当て2にそれぞれ当てて、作動力を加える。そうすると、第1ロッド61およびピストン21が吐出位置に向かって移動する。作動開始時は図2から分かるように、送気装置20のピストン21が空気室22と気密状態で協働するので、空気室22中の空気は作動中に次第に圧縮されていく。
【0041】
図2の状態では、第1ロッド61の軸方向上端610は第1閉鎖要素40と接触し、第2ロッド62の軸方向下端620は第2閉鎖要素50と接触する。
【0042】
作動が継続していくと、図2および図3から分かるように、まず第2閉鎖要素50が下方に移動する。実際、第1ロッド61は、送気装置20のピストン21に固定されているので、第2ロッド62より大きな抵抗を受ける。
【0043】
このように作動により空気室22中の空気が圧縮されて、第2閉鎖要素50がその閉鎖位置から押し出されることで製品出口32が開放し、また、第1閉鎖要素40がその閉鎖位置から押し出されることで空気入口31が開放する。
【0044】
図3および図4から分かるように、第1閉鎖要素40は軸方向上方に押されて、空気入口31を密封していた閉鎖位置から遠ざかる。よって、空気室22で圧縮された空気は、この時点で容器30の中に流入できる。
【0045】
したがって作動ストロークが完了すると、図5から分かるように、送気装置20で生成された圧縮空気流によって、容器30に収容された製品の全量が押し出される。
【0046】
本発明は、詰め替え式の吐出装置に関する。
【0047】
よって、ユーザは、作動が終了すると空の容器30から吐出ヘッド1を取り外して、容器を4分の1回転させて送気装置20から分離する。空の容器を取り外したら、図10に示すように新たな満杯の容器30を送気装置20の上に組み立てることができる。
【0048】
図10および図11は第1変形例を示す。第1変形例では、最初に、満杯の容器30は、軸方向下方に平行移動させてから、上述のように4分の1回転させることで、送気装置20の上に組み立てられる。次に、送気装置20および容器30からなる組立体の周囲にヘッド1が組み立てられる。ユーザが送気装置20の中に容器30を差し込むと、第1ロッド61が下方に押されることにより、ピストン21は摺動してその待機位置に戻る。このために、ピストン21の戻りに対する抵抗は、第1閉鎖要素40をその閉鎖位置から移動させるのに必要な抵抗より小さい。容器30は、送気装置20の中に軸方向に差し込まれたら、4分の1回転することで、容器30の半径方向フランジ34が固定手段と協働するようになる。このようにして、吐出装置の新たな作動サイクルへの準備が完了する。
【0049】
図12および図13は第2変形例を示す。第2変形例では、最初に、吐出ヘッド1が満杯の容器30の周囲に組み立てられる。次に、吐出ヘッド1および満杯の容器30からなる組立体を軸方向下方に平行移動させて、上述のように4分の1回転させることで、送気装置20の上に組み立てられる。
【0050】
本発明は、主に粉体製品を吐出するためのものであるが、液体製品の吐出にも適用される。
【0051】
本発明について、実施形態に基づいて説明したが、当然ながら当業者は、添付の特許請求の範囲により定義した本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、任意の変形を適用可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13