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▶ サートプラスト・テヒニシェ・クレーベベンダー・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツングの特許一覧

<図1>
  • 特許-接着テープの製造方法 図1
  • 特許-接着テープの製造方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-21
(45)【発行日】2023-01-04
(54)【発明の名称】接着テープの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/38 20180101AFI20221222BHJP
   C09J 133/08 20060101ALI20221222BHJP
   C09J 201/02 20060101ALI20221222BHJP
   C09J 11/08 20060101ALI20221222BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20221222BHJP
   C08F 20/00 20060101ALI20221222BHJP
【FI】
C09J7/38
C09J133/08
C09J201/02
C09J11/08
C09J11/06
C08F20/00 510
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019571937
(86)(22)【出願日】2018-06-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-27
(86)【国際出願番号】 EP2018067144
(87)【国際公開番号】W WO2019002312
(87)【国際公開日】2019-01-03
【審査請求日】2021-02-09
(31)【優先権主張番号】102017114256.8
(32)【優先日】2017-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】517007312
【氏名又は名称】サートプラスト・テヒニシェ・クレーベベンダー・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】certoplast Technische Klebebaender GmbH
【住所又は居所原語表記】Muengstener Strasse 10, 42285 Wuppertal, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 一郎
(72)【発明者】
【氏名】マイアー・トールステン
【審査官】本多 仁
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-512860(JP,A)
【文献】特表2007-523979(JP,A)
【文献】特開2003-292910(JP,A)
【文献】特開2015-110723(JP,A)
【文献】特開2015-218305(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00-201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着テープ(1)の製造方法であって、
- 帯状支持体(2)にUV架橋性接着コーティング(5)を15g/m~250g/mの塗布重量で設け、更に
- 前記接着コーティング(5)が、光開始剤を組み込んだアクリレート系感圧接着剤の他に少なくとも1種の添加剤を有し、
- 前記光開始剤が0.05重量%~5重量%の割合で、かつ樹脂混合物として構成される前記添加剤が40重量%までの割合で、それぞれ前記接着コーティング(5)中に存在し、更に
- 前記光開始剤を、250nmから320nmの間のその活性化波長の領域内で発光するUV光源(6)で照射することにより、活性化して架橋し、かつ
- 前記添加剤が、少なくとも光開始剤の活性化波長の領域内で0.1~0.7の吸光度(E)を有し
- 樹脂混合物として構成される前記添加剤を、部分的にのみ水素化されたアビエチン酸エステルをベースとして製造し、
- UV光源(6)として、LEDベースのUV光源を使用する、
製造方法。
【請求項2】
接着テープ(1)の製造方法であって、
- 帯状支持体(2)にUV架橋性接着コーティング(5)を15g/m ~250g/m の塗布重量で設け、更に
- 前記接着コーティング(5)が、光開始剤を組み込んだアクリレート系感圧接着剤の他に少なくとも1種の添加剤を有し、
- 前記光開始剤が0.05重量%~5重量%の割合で、かつ樹脂混合物として構成される前記添加剤が40重量%までの割合で、それぞれ前記接着コーティング(5)中に存在し、更に
- 前記光開始剤を、250nmから320nmの間のその活性化波長の領域内で発光するUV光源(6)で照射することにより、活性化して架橋し、かつ
- 前記添加剤が、部分的に水素化されたアビエチン酸エステルをベースとした樹脂混合物であり、
- UV光源(6)として、LEDベースのUV光源を使用する、
製造方法。
【請求項3】
前記添加剤が、前記光開始剤の活性化波長の領域内で0.2から0.6の間の吸光度Eを有することを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記UV光源(6)が、前記接着コーティング(5)を15mJ/cm~400mJ/cmの線量で照射することを特徴とする、請求項1~3のいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
前記添加剤を、支持体(2)上での付着性を高めるために使用することを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記支持体(2)が、15g/mから250g/m間の目付け量を有するテクスタイル製平坦形成物として設計されていることを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記光開始剤を、0.2重量%~5重量%の割合で前記接着コーティング(5)中に供することを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記添加剤が、少なくとも5重量%から40重量%までの割合で前記接着コーティング(5)中に存在することを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記光開始剤を、250nmから260nmの間のその活性化波長の領域内で発光するUV光源(6)で照射することにより、活性化して架橋する、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
自動車のケーブルを被覆するための巻付テープの接着テープ(1)を製造するための、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記支持体(2)が、50g/m から200g/m の間の目付け量を有するテクスタイル製平坦形成物として設計されていることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着テープ、特に自動車のケーブルを被覆するための巻付テープの製造方法であって、帯状支持体にUV架橋性接着コーティングを設け、更に上記接着コーティングが、光開始剤を組み込んだアクリレート系感圧接着剤の他に少なくとも1種の添加剤を有し、上記光開始剤を、その活性化波長の領域内で発光するUV光源による照射によって、活性化して架橋する、製造方法に関する。接着コーティング中に組み込んだ光開始剤は、接着コーティング中に重合導入されるか、混ぜ込まれる、またはそれ以外の方法で導入し得る。
【背景技術】
【0002】
冒頭に記載された作製方法は、例えば欧州登録特許第1548080号(特許文献1)に記載されている。ここでは全体として、土木建築で使用するのに適しているとされる技術的な接着テープを取り扱っている。このために、接着コーティングは少なくとも100g/mの高い単位面積重量で行われる。パラメーターの調整によって、粗い下地にも特に良好な付着性を与えるべきである。
【0003】
米国出願公開特許第2017/0081566号(特許文献2)の範囲内では、感圧接着剤の他に更に、組み込んだ光開始剤と樹脂混合物として構成される添加剤とを有するUV架橋性アクリレートを取り扱っている。更に、相応のように設けられた感圧接着テープまたはPSA(感圧接着剤)接着テープが記載されている。
【0004】
UV架橋性接着コーティングは、典型的に、光開始剤を組み込んだアクリレート系感圧接着剤の他に、更に一般的に支持体上での付着性を高めるべきである添加剤をなおも有する。それは特に非極性の支持体表面について当てはまる。しかしながら、そのような添加剤は、状況によっては後続の架橋を妨げる場合がある。事実、帯状支持体には、典型的にまず接着コーティングが設けられ、引き続き帯状支持体がUV光源で照射される。
【0005】
この場合に、主としてUV光源により、光開始剤はその活性化波長の領域内で必要なUV線量で照射され、したがってその結果として接着コーティングの所望の架橋が起こる。事実、アクリレート系感圧接着剤中に組み込んだ光開始剤により、アクリレートポリマー全体は、結合されて比較的幅広い網目構造となる。
【0006】
架橋、したがって光開始剤の活性化を脅かさないために、従来技術において刊行日2001年5月22日の表題「PSA用のUV硬化性アクリル系ホットメルト(UV-Curable acrylic hotmelts for PSAs)」に関するBASF社の刊行物(非特許文献1)の範囲内で、上記理由から感圧接着剤への添加剤が、光開始剤の関連の活性化波長の領域内で吸収を示してはならない、または実質的に吸収を示してはならないことが強調されている。そうでなければ、実例では十分なUV-C光が接着コーティングにまで浸透することができず、上記の架橋が全面にわたって保証されないこととなる。本発明の場合に、UVC光とは、200nm~280nmの波長領域に位置する遠紫外線を意味する。それに対して、中紫外線またはUVB光線は280nm~315nmの波長領域に広がる。それに対して、近紫外線またはブラックライト(UVA)は、315nm~380nmの波長領域に割り当てられる。上記の基準値の結果として、実際に光開始剤を組み込んだアクリレート系感圧接着剤の他には、その活性化波長の領域内で実際に吸収を示さない添加剤のみが認められている。
【0007】
この関連での市場の製品は、Foral 85またはForal 105という商品名で販売されている。どちらの場合も、アビエチン酸エステルベースの樹脂混合物であるが、但し、これらは水素化されているため、活性化波長の領域内で必要な透過性を示す。上記の樹脂混合物の欠点は、光開始剤を組み込んだ本来のアクリレート系感圧接着剤の価格を一部では超えることさえあるその価格である。ここで、本発明は全体として対応策を提供するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】欧州登録特許第1548080号
【文献】米国出願公開特許第2017/0081566号
【文献】国際公開第2016/186877号パンフレット
【文献】独国特許第69515310号
【非特許文献】
【0009】
【文献】刊行日2001年5月22日の表題「PSA用のUV硬化性アクリル系ホットメルト(UV-Curable acrylic hotmelts for PSAs)」に関するBASF社の刊行物
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、接着テープのそのような製造方法を、製造費用が大幅に削減されるように更に発展させるという技術的問題に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この技術的問題を解決するために、請求項1に記載の方法が提供される。
【0012】
本発明の範囲においては、まずUV領域における規定の透過性を特徴とする特定の種類の添加剤が取り扱われ、特許請求の範囲に記載されている。事実、記号Eで示される吸光度は、添加剤の対応する試料を通過する場合の、例えば光度計で測定される光の強度の減少であり、これは試料透過性とも呼ばれる。従来技術とは対照的に、例えば上記で既に取り扱われた論文「PSA用のUV硬化性アクリル系ホットメルト」の範囲において、感圧接着剤中の光開始剤の活性化波長の領域内で特定の吸収を有する添加剤または樹脂混合物が、本発明によれば明確に許容される。これは0.1から0.7の間の範囲内の吸光度の記載を表す。
【0013】
それに対して、例えばForal 85の吸光度は、250nmから260nmの間の光開始剤の典型的な活性化波長の領域内でほぼゼロである。しかしながら本発明は、UV光源が15mJ/cm超のUV線量、特に20mJ/cm超のUV線量で接着コーティングを照射するという認識に根ざしている。概して、UV線量は50mJ/cm、特に150mJ/cmから500mJ/cmまでの範囲内に位置する。とりわけ、UV光源を用いて200mJ/cm~400mJ/cmの範囲内の照射線量を実現することができる。
【0014】
このことは全て、UV光源としてLEDベースのUV光源を使用する場合に特に好ましく成功する。UV領域における先鋭なスペクトル線で実際に典型的に使用される水銀蒸気ランプとは対照的に、UV-LEDの発光スペクトルは、スペクトル分布がはるかに広い点で優れている。それにより一定のUV線量の場合でさえも、全体として効果的な架橋を達成し得る。このことは、例えば「AcResin」という商品名を有するようなアクリレート接着剤を使用する場合に、少なくとも、架橋に特に関連する例えば250nm~260nmの範囲において当てはまる。
【0015】
逆に、特にLEDベースのUV源を用いると、UV光線の一部が添加剤によって吸収される場合に、アクリレート系感圧接着剤中に組み込んだ光開始剤がなおも完全に活性化されることに成功する。すなわち、特にLEDベースのUV光源に立ち戻ることによって、この状況において支持体上での付着性を高めるための添加剤を、活性化波長の領域で無視できない吸収を有する光開始剤を組み込んだアクリレート系感圧接着剤に混加することもできる。支持体上での付着性を高めるためのそのような添加剤または樹脂混合物は、例えば前述の参照製品Foral 85またはForal 105よりも明らかに費用的に好ましく製造することができるので、そのようにして製造された接着テープは、従来技術に対して大きな費用優位に実現することができる。そこに根本的な利点を認識することができる。
【0016】
有利な実施形態によれば、部分的にのみ水素化されたアビエチン酸エステルベースの樹脂混合物が製造される。部分的な水素化、つまり水素の部分的にすぎない付加によって、そのような樹脂混合物は、Foral 85またはForal 105等の完全水素化された製品と比較して、明らかな費用優位に製造し得る。そのうえ、部分的にのみ水素化されたアビエチン酸エステルベースのそのような樹脂混合物は、アクリレートポリマーとのその完全な適合性の点で優れている。同様にそれらは、高い耐熱性を有するので、その際にしばしば観察される60℃、80℃またはそれ超の高められた温度を有する自動車のケーブルを被覆するための巻付テープの製造のために、それらの使用が実際に予定されている。事実、この関連において150℃までの使用温度が必要とされる。試験されるべき過負荷温度は(6時間にわたる)それどころか200℃にも達する。同時にそれらの凝集性により、対応する添加剤を備えた接着コーティングは、非極性の支持体上にも欠陥なく付着し、したがってコーティングは簡単かつ素早く成功する。このために、添加剤は一般的に、少なくとも5重量%または少なくとも10重量%の割合(Grammatur)で接着コーティング中に存在する。更に、通常は接着コーティングにおける30重量%、特に40重量%までの添加剤の上限が実現される。
【0017】
本発明によれば、この関連においては250nmから260nmの間の活性化波長で行われる。しかし、特に使用される光開始剤に応じて、320nmまでの活性化波長でも行い得る。すなわち、この状況において活性化波長の領域は、各光開始剤に依存して考えることができ、この領域は250nmから320nmまで、とりわけ250nmから300nmまで、更に特に好ましくは250nmから260nmまでに至る。この活性化波長の示される領域が推奨されるのは、それぞれ光開始剤を組み込んだUV反応性の溶剤不含のアクリル酸エステルコポリマーが、通常感圧接着剤として使用されるからである。事実、そのような感圧接着剤は、例えばacResinという商品名で入手可能であり、BASF社によって提供される。当然ながらこれは例としてのみ適用される。
【0018】
接着コーティングは、15g/cm超、特に20g/cm超、とりわけ50g/cm超の塗布重量で支持体上に塗布される。最大で塗布重量は200g/mであり、特に好ましくは90g/mまでである。塗布は一般的に約120℃から140℃の間の温度で、とりわけ150℃までの温度で溶融接着コーティングによって行われる。塗布に引き続き、接着コーティングはUV光源を用いて架橋される。この場合に架橋のために重要なのは、約340nm未満の波長領域、特に220nmから280nmの間の波長領域である。ホットメルト接着剤のAcResinの記載されている実例においては、主として250nmから260nmの間のUV光源の発光波長が必要とされる。
【0019】
この場合にUV光源の出力は100W/cm~200W/cmの範囲内である。UV光源の下方での接着コーティングが設けられる支持体の走行速度は、例えば10m/分から100m/分の間またはそれ以上に調整することができる。
【0020】
光開始剤は、本発明によれば少なくとも0.05重量%の割合で接着コーティング中に存在する。とりわけ、0.2重量%~5重量%の、特に0.2重量%から2重量%の間の割合が遵守される。接着コーティング中の添加剤または樹脂混合物について、本発明では、接着コーティング中で30重量%までまたは40重量%までの割合が規定される。添加剤は、接着コーティング中で最低でも5重量%である。更に、この関連において光開始剤は、基本的に国際公開第2016/186877号パンフレット(特許文献3)および特に独国特許第69515310号(特許文献4)に記載されているように使用し得る。
【0021】
支持体は、基本的に考えられるあらゆる支持体であってもよく、紙またはフィルムベースの支持体であってもよい。特に好ましくは、この状況において50g/mから250g/mの間の目付け量を有する平坦形成物が使用される。とりわけ、目付け量は、15g/m、特に20g/mから250g/mまでの間の範囲内に位置する。特に有利には、目付け量は、70g/mから200g/mの間の範囲内である。考えられる平坦形成物としては、不織布、特にポリエステル不織布、しかしまた織物、特にポリエステル織物、ポリアミド織物および混合形も特に好ましいことが判明した。
【0022】
結果として、以前の従来技術に対して特に費用優位性が優れた接着テープの製造方法が提供される。これらの費用優位性は主として、光開始剤のための活性化波長の関連領域で無視できない吸収を有する樹脂混合物が、支持体上での付着性を高めるための接着コーティングの成分として、明確に使用されるという事実に基づいて認められる。事実、該添加剤では、光開始剤の活性化波長の領域内で0.1~0.7の吸光度が観察されるが、これは、例えばForal 85等の今までに使用された樹脂混合物の比較値を大幅に上回る位置にある。その結果として、典型的には部分的にのみ水素化されたアビエチン酸エステルをベースとして製造される、費用的に有利な添加剤を使用し得る。これにより、生産費用を大幅に削減することができる。そこに根本的な利点を認識することができる。
【0023】
以下で、本発明を図面に基づきより詳細に説明するが、図面は1つの実用例を表しているにすぎない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明による方法を実施するための装置を図示している。
図2】実際にしばしば使用される樹脂混合物(Foral 85)に関する、波長に対する吸収スペクトルまたは測定された吸光度Eを示す。
図3】本発明の範囲において使用される代替的な添加剤1および波長に対するその吸収スペクトルまたは吸光度Eを示す。
図4】添加剤2に関する図3と同等のグラフを示す。
図5】樹脂混合物なし(実線)および樹脂混合物あり(破線)の光開始剤を組み込んだアクリレート系感圧接着剤を考慮に入れた、波長に対する吸収スペクトルまたは改めて吸光度を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1には、接着テープ1を製造し得る装置が表されている。このために、支持体2はホットメルト接着剤用のコーティング装置3に供給される。ホットメルト接着剤用のコーティング装置3において、ホットメルト接着剤は、約100℃~150℃の温度にあり、コーティング装置3の出口側ノズル4を介してノズル4の側を移動する支持体2上に塗布され、支持体2をコーティングし得る。
【0026】
支持体2は平坦形成物として構成され、50g/mから250g/mの間の目付け量を有する帯状支持体2である。このようにして実現された接着コーティング5で帯状支持体2をコーティングした後に、その接着コーティング5を、連続的にコーティングされた支持体2の上方に配置されたUV光源6を用いて架橋する。この場合に、接着コーティング5が、支持体2のUV光源6と向かい合った側に設けられていることは当然である。光源6は、LEDをベースとして設計されている光源である。事実、この状況において多数のLEDまたはUV-LEDが実現されている。しかしながら、基本的にUV光源6には、例えば水銀蒸気ランプを用いることもできる。しかしながら、それは示されていない。
【0027】
接着コーティング5が設けられた支持体2は、UV光源6の下方を10m/分~100m/分以上の速度で移動する。この場合に接着コーティング5は、UV光源6により150mJ/cm~500mJ/cmの範囲内のUV線量で照射される。この場合にUV光源6は、とりわけまたは大抵は、接着コーティング5中に組み込んだ光開始剤の活性化波長の領域内で発光する。活性化波長は、主として250nmから260nmの間の領域内であるが、使用される光開始剤に応じて320nmまでに達し得る。
【0028】
接着コーティング5は、光開始剤を組み込んだアクリレート系感圧接着剤の他に少なくとも1種の添加剤を有する接着コーティングである。添加剤として、本発明には、部分的にのみ水素化されたアビエチン酸エステルベースの樹脂混合物が用いられる。支持体2に接着コーティング5を設けた後に、そのように製造された接着テープ1は、この状況において支持体2としての織物ウェブをコーティング装置3に供給したときに巻取り得る、または例えば長手方向に切断し得る。それは詳細に知られている。
【0029】
図2においては、実際に従来技術に従って使用される添加剤または樹脂混合物の吸収スペクトルが示されている。これはForal 85という商品名で販売されている水素化されたアビエチン酸エステルベースの樹脂である。接着コーティング5内の光開始剤の活性化に関連する活性化波長の領域であって、対応する限界線で示された250nmから260nmの間の領域では、吸光度Eはほぼゼロであり、したがって従来技術による既知の樹脂混合物Foral 85は、実用上この領域において完全に透過性または透明に設計されており、吸収を示さないことが分かる。
【0030】
それに対して、図3および図4に示される部分的にのみ水素化されたアビエチン酸エステルベースの本発明の樹脂混合物は、250nmから260nmの間の活性化波長の関連領域内で、250nmで約0.6、および260nmで約0.2の吸光度Eの値を示す。図3においては、添加剤1または波長に対するその吸光度Eが示されている。図4は、添加剤2に関する図3と同等のグラフを示す。すなわち、本発明による当該添加剤1または当該添加剤2は、接着コーティング5の光開始剤の250nmから260nmの間の活性化波長の領域内で、0.1~0.7または0.2~0.6の吸光度Eを有する。
【0031】
最後に図5は、樹脂混合物を有しない光開始剤を組み込んだアクリレート系UV架橋性感圧接着剤(実線)と、添加剤1による本発明による樹脂混合物を考慮に入れた同じ感圧接着剤(破線)との比較を示す。250nmから260nmの間の活性化波長の関連領域において、部分的にのみ水素化されたアビエチン酸エステルベースの添加剤または樹脂混合物によって、樹脂混合物を有しない状況に比して吸光度が、したがって吸収が、やはり増加していることが分かる。それにもかかわらず、本発明の範囲内では、依然として不変であり、感圧接着剤5中に組み込んだ光開始剤の完全な架橋が観察され、実現される。これは本質的に主として、一方で、例えば水銀蒸気ランプと比較して使用されるUV-LEDの均一な発光スペクトルに起因し、他方で、欧州登録特許第1548080号(特許文献1)による従来技術と比較して僅かに増加したUV線量に起因し得る。
【0032】
添加剤1および添加剤2は、それぞれ部分水素化されたアビエチン酸エステルベースの樹脂混合物を表す。添加剤1は、Yser社の製品YT311に相当し、一方、添加剤2は、上述の企業の製品YT321を表す。
本願は特許請求の範囲に記載の発明に係るものであるが、本願の開示は以下も包含する:
1. 接着テープ(1)、特に自動車のケーブルを被覆するための巻付テープの製造方法であって、
- 帯状支持体(2)にUV架橋性接着コーティング(5)を15g/m ~250g/m の塗布重量で設け、更に
- 前記接着コーティング(5)が、光開始剤を組み込んだアクリレート系感圧接着剤の他に少なくとも1種の添加剤を有し、
- 前記光開始剤が0.05重量%~5重量%の割合で、かつ樹脂混合物として構成される前記添加剤が40重量%までの割合で、それぞれ前記接着コーティング(5)中に存在し、更に
- 前記光開始剤を、250nmから320nmの間、とりわけ250nmから260nmの間のその活性化波長の領域内で発光するUV光源(6)で照射することにより、活性化して架橋し、かつ
- 前記添加剤が、少なくとも光開始剤の活性化波長の領域内で0.1~0.7の吸光度(E)を有する、製造方法。
2. 前記添加剤が、前記光開始剤の活性化波長の領域内で0.2から0.6の間の吸光度Eを有することを特徴とする、前記1.に記載の方法。
3. 前記UV光源(6)が、前記接着コーティング(5)を15mJ/cm ~400mJ/cm の線量で照射することを特徴とする、前記1.または2.に記載の方法。
4. UV光源(6)として、LEDベースのUV光源を使用することを特徴とする、前記1.から3.のいずれか一項に記載の方法。
5. 前記添加剤を、支持体(2)上での付着性を高めるために使用することを特徴とする、前記1.から4.のいずれか一項に記載の方法。
6. 前記樹脂混合物として構成される添加剤を、部分的にのみ水素化されたアビエチン酸エステルをベースとして製造することを特徴とする、前記1.から5.のいずれか一項に記載の方法。
7. 前記支持体(2)が、15g/m から250g/m の間、とりわけ50g/m から200g/m の間の目付け量を有するテクスタイル製平坦形成物として設計されていることを特徴とする、前記1.から6.のいずれか一項に記載の方法。
8. 前記光開始剤を、0.2重量%~5重量%の割合で前記接着コーティング(5)中に供することを特徴とする、前記1.から7.のいずれか一項に記載の方法。
9. 前記添加剤が、少なくとも5重量%から40重量%までの割合で前記接着コーティング(5)中に存在することを特徴とする、前記1.から8.のいずれか一項に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5