(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-21
(45)【発行日】2023-01-04
(54)【発明の名称】ペプチドの抗炎症的使用
(51)【国際特許分類】
A61K 38/08 20190101AFI20221222BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20221222BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20221222BHJP
A61P 17/02 20060101ALI20221222BHJP
A61P 17/06 20060101ALI20221222BHJP
A61P 17/10 20060101ALI20221222BHJP
C07K 7/06 20060101ALN20221222BHJP
【FI】
A61K38/08
A61P29/00
A61P17/00
A61P17/02
A61P17/06
A61P17/10
C07K7/06 ZNA
(21)【出願番号】P 2019572804
(86)(22)【出願日】2018-07-04
(86)【国際出願番号】 CN2018094440
(87)【国際公開番号】W WO2019007355
(87)【国際公開日】2019-01-10
【審査請求日】2021-07-02
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2017/091818
(32)【優先日】2017-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519463558
【氏名又は名称】ジャンイン ユスン ファーマシューティカル カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】サミュエルソン,ベンクト インゲマル
(72)【発明者】
【氏名】ガオ,ミン
【審査官】大島 彰公
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/011982(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/028777(WO,A1)
【文献】Trends in Biotechnology, 15(4):129-31,1997年
【文献】BIOTECHNOLOGY PROGRESS, 6(3):171-7,1990年
【文献】J Biol Chem, 258(5):2911-5,1983年
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K、A61P、C07K
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炎症、炎症性障害、および/または炎症を特徴とする障害もしくは状態の治療のための薬剤を製造するための化合物Ala-Lys-Pro-Ser-Tyr-Hyp-Hyp-Thr-DOPA-Lysまたはその塩の使用。
【請求項2】
前記炎症性障害が、乾癬、にきび、湿疹、および皮膚炎から選択される、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記皮膚炎がアトピー性皮膚炎である、請求項2に記載の使用。
【請求項4】
前記炎症を特徴とする状態または障害が創傷または熱傷である、請求項1に記載の使用。
【請求項5】
前記創傷が、擦り傷、引っ掻き傷、切開、裂傷、皮膚穿刺、剥離、打撲、瘢痕または水疱である、請求項4に記載の使用。
【請求項6】
創傷が痔疾である、請求項4に記載の使用。
【請求項7】
Ala-Lys-Pro-Ser-Tyr-Hyp-Hyp-Thr-DOPA-Lysまたはその塩が局所製剤の形態で局所的に投与される、請求項1~6のいずれか一項に記載の使用。
【請求項8】
前記炎症、炎症性障害、および/または炎症を特徴とする状態が、皮膚への直接局所投与により治療される、請求項1~7のいずれか一項に記載の使用。
【請求項9】
前記炎症、炎症性障害、および/または炎症を特徴とする状態が、粘膜表面への直接局所投与により治療される、請求項1~7のいずれか一項に記載の使用。
【請求項10】
Ala-Lys-Pro-Ser-Tyr-Hyp-Hyp-Thr-DOPA-Lysまたはその塩を、医薬的または化粧品として許容されるアジュバント、希釈剤または担体と混合して含む
、炎症、炎症性障害、および/または炎症を特徴とする障害もしくは状態の治療のための組成物。
【請求項11】
炎症部位への局所投与
用である請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記炎症部位が皮膚または粘膜表面である、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
炎症、炎症性障害、および/または炎症を特徴とする障害もしくは状態の治療のための薬剤の製造のための、請求項10~12のいずれか一項に定義される組成物の使用。
【請求項14】
前記炎症性障害、または炎症を特徴とする状態もしくは障害が、請求項2~6のいずれか一項で定義される、請求項13に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既知の化合物の新規使用に関する。
【背景技術】
【0002】
炎症は、典型的には、例えば、微生物の侵入、特定の抗原、損傷細胞、または物理的および/もしくは化学的因子に対する局所的な組織応答として特徴付けられる。炎症反応は通常、有害物質および損傷した組織の両方を破壊、希釈、または隔離し、ならびに組織の治癒を開始する働きをする保護機構である。
【0003】
炎症は、物理的な外傷、感染、何らかの慢性疾患(例えば、乾癬および関節リウマチなどの自己免疫疾患)、ならびに/または外部刺激に対する化学的および/もしくは生理学的反応(例えば、アレルギー反応の一部として)に起因する場合がある。炎症性メディエータが血流と局所血管の拡張を増加させ、発赤と熱、体液の滲出を引き起こし、しばしば局所的な腫脹、炎症領域への白血球遊走、および疼痛をもたらす、一連の複雑な事象が関与する場合がある。
【0004】
多くの状態/障害は、異常な組織損傷炎症によって特徴付けられ、および/またはそれによって引き起こされる。そのような状態は典型的に、免疫防御機構の活性化によって特徴付けられ、宿主にとって有益というよりもより有害である効果をもたらし、一般に、種々の程度の、組織の発赤もしくは充血、腫脹、高体温、疼痛、かゆみ、細胞死、組織破壊、細胞増殖、および/または機能喪失に関連している。例には、炎症性腸疾患、関節リウマチ、多発性硬化症、乾癬、糸球体腎炎、および移植拒絶が含まれる。
【0005】
典型的には、一連の複雑な事象が、発赤および熱をもたらす局所血管の拡張による血流の増加、、しばしば局所的な腫脹をもたらす白血球および血漿の血管外遊出、、感覚神経の活性化(一部の組織で疼痛をもたらす)、および機能の喪失などの炎症性変化をもたらす。これらの炎症性変化は、好中球、単球、マクロファージ、およびリンパ球などの細胞を、血管作用性アミン、サイトカイン、補体因子、および活性酸素種などの炎症性メディエータと共に含む細胞および生化学的事象のカスケードによって引き起こされる。
【0006】
とりわけ、炎症は、創傷治癒プロセスにおいて重要な役割を果たす。したがって、創傷および熱傷は、炎症が関連する状態として分類することができる。当該技術分野における従来的な考え方は、創傷治癒の進行に有害であるため、開放創に抗炎症薬を直接適用すべきではないというものである。
【0007】
Mytilus edulisの足のタンパク質(mefp)としても知られるイガイ接着タンパク質(MAP)は、Mytilus edulis、Mytilus coruscus、およびPerna viridisなどの海洋貝類によって分泌されるタンパク質である。接着タンパク質は、それが産生および保管されている足糸腺からイガイによって分泌される。岩などの固体の表面だけでなく、金属、木材、ガラスなどの他の固体物体の表面に分泌されると、イガイを固体物体に固定する防水結合が形成される。イガイは、典型的には、群で、沿岸のサンゴ礁または船の底に接着する。結合は信じられないほど強力であり、沿岸水域の波の影響に抵抗する能力を有している。
【0008】
Mytilus edulis、Mytilus galloprovincialis、Mytilus californias、およびPerna viridisの研究により、これまでのところ、イガイに由来する11種類の別個の接着タンパク質サブタイプが同定されている:mfp-1(「mefp-1」と称されることもあり、以下では同義的に使用される)、mfp-2/mefp-2、mfp-3/mefp-3、mfp-4/mefp-4、mfp-5/mefp-5、mfp-6/mefp-6;コラーゲンpre-COL-P、pre-COL-D、pre-COL-NG、および、イガイの足のマトリックスタンパク質PTMP(近位糸状部マトリックスタンパク質)とDTMP(遠位近位糸状部マトリックスタンパク質)。例えば、Zhu et al,Advances in Marine Science,32,560(2014)、およびGao et al,Journal of Anhui Agr.Sci.,39,19860(2011))を参照されたい。
【0009】
そのサブタイプを含むすべてのイガイ接着タンパク質は、以下を含むという点で2つの構造特徴を有している:(1)リジンは、タンパク質が(NH2末端により)高い正電荷負荷を運ぶようにする、(2)3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン(DOPA、ドーパミン)、そのカテコール部分は、強力な共有結合の形成をもたらし、その結果、イガイ接着タンパク質が固体表面に結合する能力を担う。
【0010】
イガイの接着タンパク質生成物に基づく製品は、現在、限られた分野で使用されている(組織接着剤としての微小細胞接着、ならびに創傷および熱傷の治療を含む)。市販の製品は、イガイ接着タンパク質の溶液として直接使用されるか、または使用前に溶解するための凍結乾燥粉末として保存される。
【0011】
配列:Ala-Lys-Pro-Ser-Tyr-Hyp-Hyp-Thr-DOPA-Lysのデカペプチド(以下「MAPペプチド」とも呼ぶ)は、MAPの医薬的に許容される低分子量誘導体であり、WaiteによりInt.J.Adhesion and Adhesives,7,9(1987)に、最初に開示された。例えば、YamamotoによりJ.Chem.Soc.,Perkin Trans.1,613(1987)に記載されるように、MAPペプチドは、天然に存在するMAPの低分子量誘導体として誘導および/もしくは単離され得るか、または合成され得る。1,613(1987).Dalsin et al,J.Am.Chem.Soc.,125,4253(2003)も参照されたい。
【0012】
出願人の知る限り、炎症または炎症性障害の治療におけるMAPペプチドの使用は、先行技術には開示されていない。
【発明の概要】
【0013】
本発明によれば、炎症の治療に使用するための、配列Ala-Lys-Pro-Ser-Tyr-Hyp-Hyp-Thr-DOPA-Lys(MAPペプチド)の(単離された)ペプチド化合物、またはその塩が提供される。
【0014】
言及され得るMAPペプチドの塩には、医薬的に許容される塩、ならびに化粧品として許容される塩、例えば医薬的にまたは化粧品として許容される酸付加塩および塩基付加塩などが含まれる。このような塩は、従来の手段によって、例えば、遊離ペプチドと、1当量以上の適切な酸または塩基とを、任意選択的に、塩が不溶である溶媒中または媒体中で反応させ、次いで、標準的な技法を使用して(例えば、真空下で、凍結乾燥によって、またはろ過によって)、該溶媒または該媒体を除去することによって形成されてもよい。塩はまた、例えば適切なイオン交換樹脂を使用して、塩の形態の有効成分の対イオンを別の対イオンと交換することによって、調製されてもよい。
【0015】
好ましい塩には、例えば、塩酸塩、重硫酸塩、マレイン酸塩、メシレート、トシレート、カルシウムおよびマグネシウムなどのアルカリ土類金属塩、またはナトリウムおよびカリウム塩などのアルカリ金属塩が含まれる。
【0016】
MAPペプチドおよびその塩は、生物学的(例えば薬理学的)活性を有するため有用である。したがって、MAPペプチド/塩は、ヒトおよび動物の医療薬として有用である。したがって、それらは医薬として(および/または獣医学で)示されるが、化粧品および/または医療機器の一部としても使用できる。
【0017】
MAPペプチド/塩はそれ自体で薬理活性を有する場合があるが、そのような活性を持ち得ないが、投与され、かつその後代謝されまたは化学的に変換されてMAPペプチドを形成し得る、それらの特定の医薬的に許容される(例えば「保護された」)誘導体が存在できまたは調製できる。したがって、そのような化合物(該化合物はいくらかの薬理学的活性を有し得るが、但し、そのような活性は該化合物が代謝/変換される活性化合物の活性よりもかなり低い)は、MAPペプチドの「プロドラッグ」として記載され得る。
【0018】
本明細書で使用する場合、プロドラッグへの言及には、投与後の所定の時間内に、実験的に検出可能な量でMAPペプチドを形成する化合物が含まれる。MAPペプチドのすべてのプロドラッグは、本発明の範囲内に含まれる。
【0019】
「炎症の治療」は、原因にかかわらず身体の任意の器官(軟部組織、関節、神経、血管系、内臓器官、特に粘膜表面、および特に皮膚を含む)における炎症の治療を含み、そしてまた、そのようなすべての炎症性障害もしくは状態、および/または炎症を特徴とする(例えば、症状として)障害もしくは状態を含む。
【0020】
炎症状態は、免疫防御機構の活性化を特徴とする場合があり(および典型的にそうであり)、宿主にとって有益というよりも有害な効果をもたらす。そのような状態は一般に、種々の程度の、組織の発赤もしくは充血、腫脹、高体温、疼痛(うずきを含む)、体液の滲出、かゆみ(掻痒症)、細胞死および組織破壊、細胞増殖、ならびに/または機能喪失に関連している。
【0021】
言及され得る炎症状態には、動脈炎、糖尿病、メタボリックシンドローム、酒さ、喘息およびアレルギー、強直性脊椎炎、慢性閉塞性肺疾患、痛風性関節炎、炎症性腸疾患(クローン病および潰瘍性大腸炎など)、多発性硬化症、変形性関節症、膵炎、前立腺炎、乾癬性関節炎、関節リウマチ、腱炎、滑液包炎、シェーグレン症候群、全身性エリテマトーデス、ブドウ膜炎、じんましん、血管炎、肥満細胞症、糖尿病性血管合併症、片頭痛、アテローム性動脈硬化症、および関連する心血管障害が含まれる。具体的に言及され得る疾患状態は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)である。
【0022】
さらに特に言及され得る炎症状態には、感染(ウイルス感染および/もしくは細菌感染など)に起因する炎症など、皮膚または粘膜(口腔、鼻、眼、膣、子宮頸部、および/もしくは肛門直腸の粘膜、特に口腔または鼻の粘膜を含む)の炎症、またはアレルギー/アトピー性状態(鼻炎、咽頭炎、歯周炎、歯肉炎、眼球乾燥症、結膜炎、皮膚炎、じんましん(urticaria)(じんましん(hives))、および食物アレルギーなど)、ならびにヘルペス、薬疹、多形性光疹、日焼け、皮膚がんの初期症状(紅斑のような皮膚病変)、病的脱毛(皮膚移植後を含む)、化学発疹、乾癬、多形性紅斑、毛包炎、湿疹、および外耳炎などの他の炎症状態が含まれる。具体的に言及される疾患状態は、多形性光疹である。
【0023】
より具体的には、MAPペプチドおよびその塩は、炎症を特徴とする特定の状態、および/または炎症が関連している特定の状態を治療するために使用され得る。そのような状態には、創傷(擦り傷(引っ掻き傷)、(手術の切開を含む)切開、裂傷、刺し傷、剥離、打撲、および瘢痕化を含む)、火傷(皮膚移植などの、熱傷後の手術に起因する炎症を含む)、ならびに痔疾などの他の状態が含まれ得る。
【0024】
皮膚または粘膜の創傷は、膜表面の内部または外部の身体的損傷から生じるか、またはそれによって引き起こされる可能性がある(すなわち、根本的な生理学的障害の症状である)。
【0025】
身体的(例えば、「開放」)創傷は、鋭器(切り傷、切開、刺し傷)または鈍器/機械的力(裂傷、擦り傷、剥離)、身体的打撃(打撲)、熱または化学物質(熱傷および水疱)、紫外線(日焼け)、寒さ(しもやけまたは凍傷)によって引き起こされ得る。創傷は表在性(表皮および/もしくは真皮のみの損傷)、または全層創傷(表皮および/または真皮の下の損傷)であり得る。深刻な場合には、筋肉、骨、関節、さらには内臓器官などの皮下および/または粘膜下組織が損傷を受ける場合がある。
【0026】
MAPペプチドおよびその塩は、創傷自体および治癒プロセスに関連する炎症、疼痛(うずきを含む)、および/または掻痒症(かゆみ)を治療するだけでなく、創傷からの体液の滲出、感染のリスクの予防にも使用することができ、瘢痕およびメラニン色素沈着などの炎症および/または創傷治癒プロセスに起因する生理学的反応の予防にも使用することができる。
【0027】
瘢痕は、炎症および/または創傷治癒の結果であり、そのような炎症/治癒の結果である線維性組織の形成の一般的な用語である。
【0028】
MAPペプチドおよびその塩はまた、炎症および/または創傷治癒に起因するメラニン色素沈着の産生の抑制に有用であり得る。MAPペプチドおよびその塩はまた、メラニン色素沈着に関連する障害、例えば、肝斑、そばかす、メラノーシス、頬部発疹、および他の色素沈着症、メラノーマを伴う皮膚がん、ならびに日光への曝露によって引き起こされる色素沈着症、またはにきびのような皮膚疾患などの抑制に有用であり得る。
【0029】
創傷は、疾患または障害の結果として生じる場合もある。そのようなものには、水疱、ならびに/または皮膚および粘膜の潰瘍が含まれ得る。これらは、しばしば長続きし、治療が困難である一般的な症状である。皮膚組織は、しばしば損傷、除去、液化、感染、および/または壊死することがあり得る。潰瘍は、特に感染した場合、治癒するのが困難であり、費用がかかり、健康に二次的な結果をもたらす可能性がある。また、患者に大きな心理的ストレスと経済的損失をもたらし、全般的な幸福と生活の質の両方に影響を与える可能性がある。
【0030】
代替的に、MAPペプチドおよびその塩が特に有用である炎症性皮膚状態または疾患には、乾癬、にきび、湿疹、および皮膚炎、特にアレルギー性/アトピー性皮膚炎が含まれる。
【0031】
乾癬は、慢性の炎症性皮膚疾患であり、再発する傾向がある(一部の患者は生涯治癒しない)。乾癬の臨床症状には、主に紅斑および鱗屑が含まれる。これは、全身に発生する可能性があるが、頭皮および手足でより一般的に観察される。
【0032】
にきびは、濾胞性(毛包脂腺ユニット)慢性の炎症性皮膚疾患であり、その発生は、皮脂過多、毛包脂腺管の閉塞(閉鎖面皰と開放面皰を含む)、細菌感染および炎症反応などの主な要因と密接に関連し、若年期に発生する傾向があり、顔面の多形性の皮膚病変を特徴とする。したがって、にきびという用語には、通常のにきびおよびにきび酒さ(すなわち、赤鼻)が含まれる。
【0033】
湿疹は、様々な内的および外的要因によって引き起こされる強いかゆみを伴う皮膚の炎症反応である。急性、亜急性、および慢性の3つの段階がある。急性期には滲出液が生成される傾向があるが、慢性期には浸潤および肥大が含まれる。皮膚病変は、しばしばかゆみを伴い、容易に再発する。
【0034】
皮膚炎は、粗さ、発赤、かゆみ、湿疹、および乾燥を特徴とする、一般的な皮膚疾患である。皮膚炎によって引き起こされる小さなしこり、難治性潰瘍、および色素斑は、すぐに治療しないと、基底細胞がん、扁平上皮がん、および悪性黒色腫に発展する場合がある。皮膚炎は、物質(接触性皮膚炎)またはアレルギー(アレルギー性/アトピー性皮膚炎)を含む、様々な内部および外部の感染性または非感染性の要因によって引き起こされる場合がある。また、脂漏性皮膚炎(脂漏性湿疹)およびすべての形態のステロイド依存性皮膚炎(光線過敏性脂漏、口周囲皮膚炎、酒さ様皮膚炎、ステロイド酒さ、ステロイド誘発酒さ、医原性酒さ(iatrosacea)、ステロイド皮膚炎様酒さ、局所コルチコステロイド誘発性酒さ様皮膚炎、より具体的には、局所コルチコステロイドの(非制御使用、乱用または誤用を含む)長期治療後の顔面野における、紅潮、紅斑、毛細血管拡張、萎縮、丘疹および/または膿疱を特徴とする、顔面コルチコステロイド依存性皮膚炎(FCAD)または顔面コルチコステロイド依存性皮膚炎(FCDD)を含み、例えば、Xiao et al,J.Dermatol.,42,697(2015)、およびLu et al,Clin.Exp.Dermatol.,35,618(2009)を参照されたい)も含まれる。
【0035】
MAPペプチドおよびその塩は、本明細書で一般的および具体的に言及したものを含む様々な状態によって引き起こされる紅斑、発赤および腫脹、浮腫、水疱、ならびに水疱性類天疱瘡の緩和に肯定的な効果を有し、皮下組織液の滲出を阻害し、かつそのような炎症状態によって引き起こされるかゆみおよび疼痛を抑制し得ることが見出された。
【0036】
言及され得る他の炎症状態には以下が含まれる:
(a)口腔粘膜炎、アフタ性潰瘍、中耳炎、喉頭炎、気管炎、食道炎、胃炎、腸炎、および全腸炎(細菌性赤痢、慢性アメーバ性赤痢、住血吸虫症、非特異的潰瘍性大腸炎、および局所腸炎を含む)、子宮頸管炎および子宮頸管内膜炎、子宮内膜炎、吸入傷害などによって引き起こされる炎症などの粘膜炎症、ならびにがんに関連する粘膜炎症、および口腔、鼻咽頭、耳、喉、気管、胃腸管、子宮頸部などの粘膜表面に影響を及ぼす感染(例えば、風邪もしくはインフルエンザなどのウイルス感染)。
【0037】
(b)例えば、骨折、骨および関節の化膿性感染症、リウマチ性骨疾患による炎症、ならびに化膿性骨髄炎(急性、慢性、限局性、硬化性、外傷後)、化膿性関節炎、骨腫瘍(骨腫、類骨骨腫、軟骨腫)、骨嚢胞、破骨細胞腫、原発性骨肉腫(骨肉腫、軟骨肉腫、骨線維肉腫、ユーイング肉腫、非ホジキンリンパ腫、骨髄腫、脊索腫)、転移性骨腫瘍、骨の腫瘍様病変(骨嚢胞、動脈瘤骨嚢胞、好酸球性肉芽腫、線維性形成異常)、ならびにリウマチ性関節炎に関連する整形外科の炎症。
【0038】
(c)末梢多発神経炎、顔面神経炎、末梢神経炎、皮下神経炎、尺骨神経炎、肋間神経炎などの神経炎症。
【0039】
(d)筋炎、靭帯炎、腱炎、嚢胞炎、リンパ節炎、腺窩炎、扁桃炎、滑膜炎、筋膜炎などの、皮下および粘膜下の軟部組織の炎症、ならびに筋肉、靭帯、筋膜、腱、滑膜、脂肪、関節嚢、およびリンパ組織の損傷、挫傷、または裂傷によって引き起こされる軟部組織の炎症。
【0040】
(e)アレルギー性白血球破砕性血管炎、アレルギー性皮膚血管炎、結節性多発動脈炎、血栓性血管炎、肉芽腫性血管炎、リンパ球性血管炎、血液組成の異常を伴う血管炎、およびリウマチ性血管炎などの血管炎症、ならびにアレルギー性白血球破砕性血管炎、結節性多発動脈炎、血栓性血管炎、肉芽腫性血管炎、リンパ球性血管炎、血液組成の異常を伴う血管炎、およびリウマチ性血管炎によって引き起こされる血管がんに関連する血管炎症。
【0041】
(f)心膜炎、心筋炎、心内膜炎、肺炎、肝炎、脾炎、腎炎 膵炎、膀胱炎、卵巣炎、前立腺炎および胃潰瘍の治療を含むが、これらに限定されない、心臓、胃、腸、肺、肝臓、脾臓、腎臓、膵臓、膀胱、卵巣、および前立腺などの内臓器官の炎症。
【0042】
本発明のさらなる態様によれば、炎症、炎症性障害、および/または炎症を特徴とする障害/状態(例えば、症状として)の治療方法が提供され、この方法は、そのような治療を必要とする患者へのMAPペプチドまたはその塩の投与を含む。
【0043】
誤解を避けるために、本発明の文脈において、「治療」、「療法」、および「治療法」という用語は、治療を必要とする患者の療法的または緩和的治療、ならびに炎症および/または炎症性疾患にかかりやすい患者の、予防的治療および/または診断を含む。
【0044】
「患者」には、爬虫類、および好ましくは哺乳類(特にヒト)の患者が含まれる。
【0045】
本発明によれば、MAPペプチド/塩は、医薬的に許容される剤形(複数可)の化合物(複数可)を含む医薬調製物の形態で、好ましくは、局所的または全身的に、例えば、経口的、静脈内または動脈内(血管内および他の血管周囲装置/剤形(例えば、ステント)を含む)、筋肉内、皮膚、皮下、経粘膜的(例えば、舌下もしくは頬側)、直腸、膣内、経皮的、経鼻的、肺(例えば、気管もしくは気管支)、局所的に、または任意の他の非経口経路で、投与される。吸入(例えば、経鼻的)による投与は、治療される症状が鼻炎または気道のウイルス感染(風邪、インフルエンザ)に起因する炎症である場合に特に有用である。肺投与は、治療される症状がCOPDの場合に特に有用である。局所投与形態は、例えば、粉末エアロゾルを使用することにより、またはネブライザーなどの適切な霧化技術または装置を使用する水性ミストにより、有効成分を含むスプレーを作成することにより強化され得る。
【0046】
MAPペプチド/その塩の好ましい送達形態には、適切な(例えば、医薬的に許容される)媒体および/または市販の製剤での炎症部位への局所的送達が含まれるが、経口、静脈内、皮膚もしくは皮下、鼻腔、筋肉内、または腹腔内送達も含み得る。
【0047】
MAPペプチドおよびその塩は、一般に、意図する投与経路および標準的な医薬または他の実施(例えば、化粧品)を考慮して選択することができる(例えば、医薬的に許容される)アジュバント、希釈剤、または担体と混合した1つ以上の(例えば、医薬)製剤の形態で投与される。そのような医薬的に許容される担体は、活性化合物に対して化学的に不活性であり得、使用条件下で有害な副作用または毒性を有しないものであり得る。そのような医薬的に許容される担体はまた、有効成分の即時放出または放出調節を付与し得る。
【0048】
適切な医薬製剤は、市販されているか、または文献、例えば、Remington The Science and Practice of Pharmacy,22nd edition,Pharmaceutical Press(2012)、およびMartindale-The Complete Drug Reference,38th Edition,Pharmaceutical Press(2014)、ならびにそこで参照されている文書に記載されている技術に従って調製でき、すべての文書の関連する開示は、参照により本明細書に組み込まれる。そうでなければ、MAPペプチドおよびその塩を含む適切な製剤の調製は、常用技術を使用して当業者によって非発明的方法で達成され得る。
【0049】
MAPペプチド/塩は、エマルジョン、懸濁液および/もしくは溶液などの水性製剤(例えば、生理食塩水含有製剤(例えば、溶液)、リン酸塩含有製剤(例えば、溶液)、酢酸塩含有製剤(例えば、溶液)またはホウ酸塩含有製剤(例えば、溶液)などの(任意選択的)緩衝水性製剤(例えば、溶液))、または凍結乾燥粉末の形態であってもよい。
【0050】
代替的に、有効成分を適切な賦形剤と組み合わせて以下を調製することもできる:
・ゲル製剤(これに関する適切なゲルマトリックス材料には、セルロース誘導体、カルボマーおよびアルギン酸塩、トラミカンガム、ゼラチン、ペクチン、カラギーナン、ジェランガム、デンプン、キサンタンガム、カチオン性グアーガム、寒天、非セルロース多糖類、ビニルポリマー、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール、カルボキシポリマー、特に、ヒアルロン酸が含まれる)、
・ローション(凝縮物、これに関する適切なマトリックス材料には、セルロース誘導体、グリセリン、非セルロース多糖類、種々の分子量のポリエチレングリコール、およびプロパンジオールが含まれる)、
・ペーストまたは軟膏(これに関する適切なペーストマトリックス材料には、グリセリン、ワセリン、パラフィン、種々の分子量のポリエチレングリコールなどが含まれる)、
・クリームまたはフォーム(これに関する適切な賦形剤(例えば、発泡剤)には、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ゼラチン、種々の分子量のポリエチレングリコール、ドデシル硫酸ナトリウム、脂肪アルコールポリオキシエチレンエーテルスルホン酸ナトリウム、コーングルテン粉末、およびアクリルアミドが含まれる)、
・粉末エアロゾル(これに関する適切な賦形剤には、マンニトール、グリシン、デキストリン、デキストロース、スクロース、ラクトース、ソルビトール、およびポリソルベートが含まれる)、ならびに/または
・経口用または吸入用の液体(エアロゾル)スプレー(これに関する適切な賦形剤には、ヒアルロン酸などの粘度調整剤、乳化剤、緩衝剤、アルコール、水、保存剤、甘味料、香料などが含まれる)。
【0051】
グリセロール、グリセリン、ポリエチレングリコール、トレハロース、グリセロール、ワセリン、パラフィン油、ヒアルロン酸、およびその塩(例えば、ナトリウムおよびカリウム塩)、オクタン酸/カプリン酸トリグリセリドなどの保湿剤、ならびに/またはビタミンおよびグルタチオンなどの酸化防止剤、ならびに/または酸、塩基、およびpH緩衝液などのpH調整剤も、必要に応じてそのような製剤に含まれてもよい。さらに、ヘキサデカノール(セチルアルコール)、脂肪酸(例えば、ステアリン酸)、ドデシル硫酸ナトリウム(ラウリル硫酸ナトリウム)、ソルビタンエステル(例えば、ステアリン酸ソルビタン、オレイン酸ソルビタンなど)、モノアシルグリセリド(モノステアリン酸グリセリンなど)ポリエトキシ化アルコール、ポリビニルアルコール、ポリオールエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、エトキシ化脂肪酸エステル、ポリオキシルグリセリド、ラウリルジメチルアミンオキシド、胆汁酸塩(例えば、デオキシコール酸ナトリウム、コール酸ナトリウム)、リン脂質、N,N-ジメチルドデシルアミン-N-オキシド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ポロキサマー、レシチン、ステロール(例えばコレステロール)、糖エステル、ポリソルベートなどの界面活性剤/乳化剤、フェノキシエタノール、エチルヘキシグリセリンなどの保存剤、ならびに、アクリロイルジメチルタウレート/VPコポリマーなどの増粘剤が含まれてもよい。特に、ステアリン酸、モノステアリン酸グリセリル、ヘキサデカノール、ステアリン酸ソルビタン、セチルアルコール、オクタン酸/カプリン酸グリセリドなどが、特にクリーム製剤に含まれてもよい。
【0052】
MAPペプチド/塩、ならびにそれらを含む(例えば、医薬)製剤(例えば、上述のような、水溶液、ゲル、クリーム、軟膏、ローション/凝縮物、フォームおよび/またはペースト)は、適切なマトリックス材料とさらに組み合わせて、皮膚または粘膜表面などの生物学的表面に適用するための包帯または治療パッチを調製することもできる。したがって、そのような製剤は、ガーゼ、不織布、または絹紙などのマトリックス材料に含浸するために使用されてもよい。代替的に、治療パッチは、例えば、バンドエイド、顔面マスク、アイマスク、ハンドマスク、フットマスクなどであってもよい。
【0053】
そのような包帯を創傷に適用する際に使用するためにワセリンを使用してもよいが、ワセリンを使用する必要なく、PEG(例えば、PEG400)ベースの軟膏をマトリックス材料と組み合わせて包帯を調製できることもわかった。
【0054】
MAPペプチドおよびその塩はまた、血小板型増殖因子(血小板由来増殖因子、PDGFを含む)、骨肉腫由来増殖因子(ODGF)、上皮増殖因子(EGF)、形質転換増殖因子(TGFαおよびTGFβ)、線維芽細胞増殖因子(αFGF、βFGF)、インスリン様増殖因子(IGF-I、IGF-II)、神経増殖因子(NGF)、インターロイキン型増殖因子(IL-1、IL-1、IL-3)、エリスロポエチン(EPO)、およびコロニー刺激因子(CSF)から選択される1つ以上の増殖因子による治療と組み合わせることもできる。
【0055】
本発明のさらなる態様によれば、MAPペプチドのその塩と、アジュバント、希釈剤または担体などの1つ以上の医薬的に許容される賦形剤とを含む(例えば医薬)組成物が提供される。好ましい組成物は、皮膚または粘膜表面への局所投与用である。
【0056】
有効成分の投与は、連続的または断続的であり得る。投与形態は、投与のタイミングおよび頻度によっても決定され得るが、炎症の療法的治療の場合、状態の重症度によっても決まる。
【0057】
障害、および治療される患者、ならびに投与経路に応じて、MAPペプチドおよびその塩は、様々な治療有効用量で治療を必要とする患者へ投与され得る。
【0058】
同様に、製剤中の有効成分の量は、治療される状態の重症度および患者によって決まるが、当業者によって決定され得る。
【0059】
いずれにせよ、開業医または他の当業者は、状態の重症度および投与経路に応じて、個々の患者に最も好適な実際の投与量を日常的に決定することができるだろう。上述の投与量は、平均の場合の例であり、当然のことながら、より高いまたはより低い投与量範囲が妥当である個々の事例があり得、それらも本発明の範囲内である。
【0060】
投与は、1日1回~4回投与することができる。
【0061】
水溶液生成物におけるMAPペプチドまたはその塩の適切な濃度は、すべての場合において、遊離(非塩)ペプチドとして計算されて、約0.01(例えば、約0.1)mg/ml~約15.0(例えば、約1.5)mg/mlであってもよく、適切なpH値は、約1.0~約7.0の範囲(例えば、約3.0から約6.5)である。
【0062】
MAPペプチド/塩の適切な局所用量は、すべての場合において、遊離(非塩)ペプチドとして計算されて、約0.1~約50μg/cm2の治療部位、例えば、約1~約20μg/cm2の治療部位の範囲であり、約2~約10μg/cm2)の治療部位、例えば、約5μg/cm2の治療部位の範囲である。
【0063】
いずれにせよ、哺乳動物、特にヒトに投与される用量は、本発明の文脈において、妥当な時間枠(上述のように)にわたって哺乳動物の治療反応をもたらすのに十分でなければならない。当業者は、正確な用量および組成ならびに最も適切な送達レジメンの選択が、とりわけ製剤の薬理学的特性、治療される状態の性質および重症度、レシピエントの体調および精神状態、ならびに治療を受ける患者の年齢、状態、体重、性別および反応、疾患の病期/重症度、ならびに患者間の遺伝的差異によっても影響されることを認識するであろう。
【0064】
本明細書に記載の使用および方法において、MAPペプチドおよびその塩は、炎症および/または炎症性障害の治療に有用な1つ以上の有効成分(他の抗炎症剤)と組み合わせてもよい。したがって、そのような患者は、(および/またはすでに)そのような他の有効成分の1つ以上の投与に基づく治療を受けている場合もあり、それにより、MAPペプチド/塩による治療の前、それに加えて、および/またはその後に、本明細書に記載されている有効成分の1つ以上の処方用量を受け取ることを意味する。
【0065】
炎症の治療においてMAPペプチド/その塩と組み合わせて使用され得るそのような抗炎症剤には、炎症および/またはその症状の1つとして炎症を特徴とする疾患の治療に有用な治療剤が含まれる。治療される状態に応じて、そのような抗炎症剤には、NSAID、ロイコトリエン受容体拮抗薬(例えば、モンテルカスト)、コルチコステロイド、鎮痛薬、および例えば以下に記載のトリプシンなどの特定の酵素も含まれ得る。MAPペプチド/塩は、ロイコトリエンB4(LTB4)と組み合わせることもできる。
【0066】
これに関連して、MAPペプチド/塩はまた、Mytilus edulis(ムラサキイガイ)などのイガイ種に由来し得る任意の接着タンパク質であって、、例えばコラーゲンpre-COL-P、pre-COL-Dおよびpre-COL-NG、イガイの足のマトリックスタンパク質PTMPおよびDTMP、さらに好ましくは、mfpまたはmefp 、例えばmefp-2、mefp-3、mefp-4、mefp-5、mefp-6、特にmefp-1などイガイに由来するかまたは由来し得るすべてのサブタイプを含む全長タンパク質を含む接着タンパク質を含み、かつmefpなどのこれらのタンパク質のいずれかの混合物または組み合わせを含む、1つ以上のイガイMAPによる炎症の治療に使用するために、組み合わせることもできる。上述のMAPサブタイプの混合物/組み合わせは、MAP「構成要素」として提供され得るが、主要なMAPサブタイプ(例えば、mefp-1)の純度は、任意のそのような混合物の全量の少なくとも25重量%であることが好ましい。
【0067】
天然に存在するMAPは、例えば、混合吸着クロマトグラフィー(中国特許第ZL200710179491.0号を参照)、カルボキシメチルイオン交換クロマトグラフィー(中国特許第ZL200710179492.5号を参照)、および/または塩析および透析(中国特許第ZL200910087567.6号)によって調製され得る。MAPの商業的供給源には、USUN Bio Co.(中国、MAP Medical Device(登録商標)として販売)、BD Biosciences(米国)、Kollodis(韓国)、およびBiopolymer(スウェーデン)が含まれる。代替的に、MAPは、既知の組換えDNA法を使用して生成されてもよい。
【0068】
MAPの他の(例えば、医薬的に許容される)誘導体は、MAPペプチド/その塩と組み合わされてもよく、例えば、約500Da~約2,000Da(例えば、約800Daなどの約1,200Da)の範囲の分子量を有する化合物を含む。そのような誘導体には、天然に存在するMAPで同定された配列と同じ、または(例えばマイナーな)変異体であるアミノ酸配列を含む他の化合物も含まれる場合があり、化学的および/または生物学的プロセス(例えば、天然に存在するMAPの化学修飾、または直接合成)によって合成できる。「天然に存在するMAPで同定されたアミノ酸配列の(例えばマイナーな)変異体」とは、関連する天然に存在するMAPの必要な特性に測定可能な程度の悪影響を与えない配列の変異を意味する。
【0069】
MAPペプチド/塩を組み合わせることができる他の好ましい薬剤には、LTB4(例えば、創傷や火傷を治療するため)、モンテルカスト(例えば、炎症全般を治療するため)、およびトリプシン(例として、例えばウイルス感染に関連する粘膜の炎症を治療するため)が含まれる。
【0070】
MAPペプチド/塩は、投与すると副作用として炎症を引き起こすことが知られている他の治療薬と組み合わせることもできる。
【0071】
MAPペプチド/塩がこのように他の治療薬と「組み合わされる」場合、有効成分は同じ製剤で一緒に投与されるか、異なる製剤で別々に(同時または順次)投与され得る。
【0072】
そのような組み合わせ製品は、他の治療薬と併用したMAPペプチドおよびその塩の投与を提供し、したがって、これらの製剤の少なくとも1つがMAPペプチド/塩を含み、少なくとも1つが他の治療薬を含む別個の製剤として提示されてもよく、または組み合わせ調製物(すなわち、MAPペプチドおよび他の治療薬を含む単一製剤として提示)として提示(すなわち製剤化)されてもよい。
【0073】
したがって、
【0074】
(1)MAPペプチドもしくはその塩と、別の抗炎症剤、または副作用として炎症を引き起こすことが知られている薬剤と、医薬的に許容されるアジュバント、希釈剤もしくは担体と、を含む医薬製剤(この製剤は以下「組み合わせ調製物」という)、および
【0075】
(2)以下の構成要素を含むパーツキットであって、
(A)医薬的に許容されるアジュバント、希釈剤もしくは担体と混合したMAPペプチドまたはその塩を含む医薬製剤と、
(B)医薬的に許容されるアジュバント、希釈剤もしくは担体と混合した別の抗炎症剤、または副作用として炎症を引き起こすことが知られている薬剤を含む医薬製剤と、を含む部分キットがさらに提供され、
この構成要素(A)および(B)は、それぞれ、他方と一緒に投与するのに適した形態で提供される。
【0076】
「約」という語が本明細書中で使用される場合、例えば、有効成分の濃度および/または用量、分子量、もしくはpHなどの量という文脈で使用される場合はいずれも、そのような変数は近似値であり、したがって本明細書で指定された数値から±10%、例えば±5%、好ましくは±2%(例えば、±1%)変動し得ることが理解されるであろう。この点で、「約10%」という用語は、例えば数10について±約10%、すなわち9%~11%の間を意味する。
【0077】
MAPペプチド/その塩は、その状態自体が、器質性炎症性疾患であるか、炎症に関連するか、もしくは炎症を特徴とするかどうか(例えば、創傷、火傷またはウイルス感染)にかかわらず、炎症を特徴とする様々な状態に使用できるという利点を有する。
【0078】
本明細書に記載された用途と方法は、上述の状態の治療において、炎症性障害または他の治療に使用するための先行技術で公知である類似の方法(治療)と比較して、医師および/もしくは患者にとって便利であり、効果的であり、毒性が低く、広範囲の活性を有し、強力であり、副作用が少ないか、または類似の方法(治療)を上回る他の有用な薬理学的特性を有し得るという利点も有し得る。
【0079】
本発明を以下の実施例により説明するが、
図1および
図2は、それぞれ実施例1および2に従ってマウスに誘発された空気嚢からの滲出物から得られた様々な炎症マーカーのELISA試験結果を示し、
図3は急性創傷マウスモデルにおける様々な製剤についての創傷治癒を示す。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【
図1】実施例1に従ってマウスに誘発された空気嚢からの滲出物から得られた様々な炎症マーカーのELISA試験結果を示す。
【
図2】実施例2に従ってマウスに誘発された空気嚢からの滲出物から得られた様々な炎症マーカーのELISA試験結果を示す。
【
図3】急性創傷マウスモデルにおける様々な製剤についての創傷治癒を示す図である。
【実施例】
【0081】
実施例1
空気嚢モデル
20~30gの重さの健康な成体の雄のC57BL/6マウスは、中国の南京大学のNanjing Biomedical Research Institute(NBRI)から供給された。実験を行う前に、マウスを標準化された条件下(一定温度または22±2℃で、12時間の明暗を交互に繰り返す)で飼育し、約1週間、水を含む標準的なマウス飼料を与えた。
【0082】
全身麻酔は、腹腔内3%抱水クロラール(Sinopharm Chemical Reagent Co.,Ltd.、Shanghai,China)、1mL/体重10g)を使用して実施された。滅菌空気注射の1日前に、背部全体の毛を剃り、脱毛した。
【0083】
空気嚢は、マウスの肩甲骨内領域に滅菌空気(5mL)を皮下注射することによって生成された。3日後、嚢を維持するために、別の空気(3mL)の注射が行われた。急性炎症を誘発するために、この最終注射の3日後に、動物は滅菌カラギーナン溶液(CP Kelco,Taixing,Jiangsu Province,China; 1%、0.5mL、0.9%の生理食塩水を10mL含む攪拌中のビーカーに0.1gのカラギーナン粉末を添加することにより作製)の注射を受けた。マウスは、皮下空気嚢へのカラギーナン注射の1時間前および23時間後に試験試料または媒体で前処理された。動物はカラギーナン注射の24時間後に屠殺された。
【0084】
皮膚生検は空気嚢から採取された。生検の一部は、ホルマリン(50mLの40%ホルムアルデヒド溶液(Nanchang Rain Dew Experimental Equipment Co.,Ltd.、Nanchang,Hubei Provence,China)に超純水を総体積500mLまで添加することにより作製)で固定され、パラフィンワックスへの組織学的包埋、薄切、染色により分析した。
【0085】
空洞を4mLの滅菌リン酸緩衝溶液(pH7.4、4gのNaCl、0.1gのKCl、1.749gのNa2HPO4・12H2O、および0.1gのKH2PO4を超純水で溶解し、HClでpHを7.4に調整し、水で総体積500mLまで希釈して調製された)で洗浄した。
【0086】
滲出液を採取し、体積を定量化した。細胞の総数は、血球計算盤(ADVIA 2120 Hematology System,Siemens Healthineers)で決定した。浸出液を3000rpmで10分間、4℃で遠心分離し、上清を収集し、組織壊死因子アルファ(TNF-α)、インターロイキン1ベータ(IL-1β)、インターロイキン6(IL-6)、インターロイキン10(IL-10)、プロスタグランジンE2(PGE2)、インターフェロンガンマ(IFN-γ)、および5-ヒドロキシトリプタミン(5-HT、セロトニン)について、標準ELISA試験キット(Dakewe Biotech Co.,Beijing,ChinaからのBiolegend(商標)またはAbcam(Shanghai)Trading Co.Ltd,ChinaからのAbcam(商標))およびELISAリーダー(SH-1000 Hitachi,Japan)を使用するELISA分析のために-20℃で保存した。
【0087】
モデルを検証するためにいくつかの予備実験を行った後、以下の表1に従って試験試料または媒体を投与することによりマウスを処理する実験を実施した。
【0088】
表1では、M1-B、M2-B、M1-A、およびM2-A試料は、表に指定されているように、カラギーナン注射とは異なる時間に投与される指定濃度のMAP(Mefp-1)溶液である。溶液は次のように調製された。ムラサキイガイは、Shandong Province,Chinaの沿岸地域で採取された。イガイの足を収集し、小片に切断し、4mol/Lの尿素水溶液に5%の酢酸を含む抽出緩衝液中でホモジナイズした。粗抽出物を遠心分離後に収集し、液体クロマトグラフィーで精製した。精製タンパク質(半製品、濃度8mg/mL、HPLCで測定した純度91.72%、pH4.2)は0℃で保存した。以下で使用した溶液は、この半製品に生理食塩水を加えることにより調製し、表1に記載されている濃度を得た。
【0089】
また、表1の「テスト」は、スウェーデンのInnovagen ABから入手したMAPペプチドである。ペプチドは、関連するMefp-1アミノ酸配列に従って合成された。ペプチド粉末は-20℃で保存し、3.0mg/mL、pH5.5の濃度で食塩水に溶解した。
【0090】
デキサメタゾン(MedChemExpress,Shanghai,China)は粉末の形で得られ、超純水に溶解され、表1に記載されている濃度の溶液を得た。
【0091】
表1に記載されているすべての物質は、空気嚢に直接注射することにより局所投与された。
【0092】
【0093】
各群の滲出液の体積と空気嚢壁の重量(平均±SD)を以下の表2に示す。
【0094】
【0095】
総細胞数と分類(×106/mL)を以下の表3に示す。
【0096】
【0097】
組織学的標本を分析し、炎症スコア、運動性スコア、浮腫スコアおよび運動性スコアを以下のように推定した。
【0098】
HE染色切片を光学顕微鏡で観察し、知覚炎症レベルに応じて採点(1、2、または3ポイント)した(領域に散在する炎症細胞が少量のみの場合-1ポイント(軽度)、多くの炎症細胞が観察された場合-2ポイント(中程度)、そして、びまん性浸潤の場合-3ポイント(重度))。全体的な観察後、同様の採点システムが浮腫レベル(最も重度が3ポイント、軽度が1ポイント)に使用された。運動性スコアは、好中球の密度を表しており、炎症細胞に採用されているものと同じ方法論を採用している。
【0099】
【0100】
対照群では、嚢壁に少量の散在性炎症性細胞浸潤、軽度の浮腫が見られ、明らかな好中球浸潤は見られなかった。
【0101】
モデル群では、嚢壁は、全層に中程度から重度の慢性炎症性細胞浸潤、中程度から重度の浮腫、および散在性好中球浸潤を示した。
【0102】
陽性対照群では、嚢壁は中程度の慢性炎症性細胞浸潤、中程度の間質性浮腫、および少量の好中球浸潤を示した。
【0103】
M1-B群では、嚢壁は、全層に中程度から重度の慢性炎症性細胞浸潤、中程度から重度の浮腫、および少量の好中球浸潤を示した。
【0104】
M2-B群では、嚢壁は、全層に中程度の慢性炎症性細胞浸潤、中程度の浮腫、および少量の好中球浸潤を示した。
【0105】
テスト(MAPペプチド)群では、嚢壁は軽度から中程度の慢性炎症性細胞浸潤、間質性浮腫、少量の好中球浸潤を示した。
【0106】
M1-A群では、嚢壁は軽度の慢性炎症性細胞浸潤、軽度の浮腫、およびいくつかの好中球浸潤を示した。
【0107】
M2-A群では、嚢壁は中程度の慢性炎症性細胞浸潤、中程度の間質性浮腫、および少量の好中球浸潤を示した。
【0108】
TNF-α、IL-6、IL-10、およびIFN-γの滲出液のELISA試験結果は、常に安定した高い応答を示し、同様の変動傾向を示した。TNF-α、IL-6、およびIFN-γの結果(±SD)を以下の表5に示し、
図1にグラフで示す。
【0109】
【0110】
実施例2
空気嚢モデルII
本質的に上記実施例1に記載された手順と同じ手順に従い、以下の表6に従って試験試料または媒体を投与することによりマウスを治療した。
【0111】
この例では、MAPペプチドパウダーをpH5.5で0.6mg/mLの濃度で食塩水に溶解した。次に、0.5mLの溶液を各群の空気嚢に注射した。
【0112】
【0113】
表7に示すように、上記の実施例1で概説したのと同様に、組織学的標本を分析し、採点した。
【0114】
【0115】
この例では、TNF-α、IL-1β、およびIL-6についてELISA分析を実施し、これらは
図2にグラフで示す。結果は、MAPペプチドが非常に強い抗炎症作用を有することを示した。
【0116】
実施例3
急性創傷モデル
6~8週齢の雄のC57BL/6マウスは、Changzhou Cvens Experimental Animal Co.Ltd(Changzhou,Jiangsu Province,China)から供給された。実験を行う前に、マウスを標準化された条件下(22±2℃の一定温度で、12時間の明暗を交互に繰り返す)で飼育し、約1週間、水を含む標準的なマウス飼料を与えた。
【0117】
全身麻酔は、腹腔内3%抱水クロラール(1mL/体重10g)を使用して実施された。背中の毛を乳児用毛剃り機で剃り、クリームで脱毛した。皮膚領域を拭き取り、75%アルコールで2回滅菌した。
【0118】
直径8mmのEMS皮膚生検パンチ(Electron Microscopy Sciences,P.O.Box 550,1560 Industry Road,Hatfield,PA ,USA)を使用して、背中の正中線の各側に1つの丸い創傷を作製した。皮膚の全層が除去され、創傷の深さが筋膜に達した。創傷を縫合せずに開いたままにした。
【0119】
以下の表8に示すように、0日目~12日目まで1日1回、50μL/創傷で異なる薬物を局所投与した。対照群には創傷は与えなかった。モデル群には同量の生理食塩水が与えられた。各群には12匹のマウスがいた。
【0120】
この実験では、MAPペプチドはGL Biochem(Shanghai)Ltdから入手した。ペプチド粉末は-20℃で保存し、33μg/mLの濃度で生理食塩水に溶解した。
【0121】
関連する群の各創傷表面に20μLのそれぞれの溶液を適用した。
【0122】
【0123】
創傷を、薬物投与後にガーゼと透明なドレッサーで包んだ。0日目から1日おきに創傷ごとに写真を撮影した。写真をコンピューターにスキャンし、ImageJ画像分析ソフトウェア(National Institutes of Health,China)を使用して創傷領域を計算した。
【0124】
0日目から1日おきに創傷ごとに写真を撮影した。創傷治癒は、創面収縮率(WCR)によって計算し、
WCR=(A0-At)/A0×100%
式中、A0とAtはそれぞれ、0日目の初期領域と測定日(時間t)の創傷領域を指す。
【0125】
創傷治癒に対するMAPペプチドの効果を表9および
図3に示し、これらは、異なる群のWCRを示している(表9の場合は±SD)。
【0126】
【0127】
上記のデータは、MAPペプチドがMAPよりも創傷治癒に強い効果を持つことを示している。MAPペプチドの改善率は、
(WCR MAPペプチド群-WCR MAP群)/WCR MAP群x 100%で定義された。
6日目は、MAP群より52.96%大きくなっている。
【0128】
3匹のマウスを、各群の創傷後4日目および7日目に、それぞれ頸椎脱臼により屠殺した。創傷の治癒を観察するために、2匹のマウスを14日間飼育した。創傷組織を、創傷を作成するために使用されたのと同じ生検パンチによって採取した。次いで、5 mmの組織を試料の中心から切除し、10%中性緩衝ホルマリン(Nanchang Rain Dew Experimental Equipment Co.,Ltd.、Nanchang,Hubei Provence,China)で保存し、パラフィンワックスへの組織学的包埋(HE)、薄切、染色により分析した。
【0129】
HEおよびマッソン染色パラフィン切片を光学顕微鏡下で観察した。皮膚再生、線維芽細胞増殖、コラーゲン再生スコア、および炎症スコアが推定された。
【0130】
残余の試料は、他の指標検出のために-80℃で保存した。組織を小片に切断し、液体窒素を加えて脆性を高めた。9mLの生理食塩水を1gの組織に添加し、Tissuelyser(Shanghai Jingxin Industrial Development Co.,Ltd.、Shanghai,China)を使用して55Hzで60秒間粉砕した後、8000rpmで10分間、4℃で遠心分離した。
【0131】
上清を回収し、抽出したタンパク質を、血管内皮増殖因子(VEGF)およびヒドロキシプロリン(Hyp)アッセイのための標準ELISA試験キットとELISAリーダー(SH-1000 Hitachi,Japan)を使用することによってELISA分析に使用した。ELISAキットは、Beijing 4A Biotech Co.,Ltd.(Beijing,China)から購入した。(Beijing,China).
【0132】
実施例4
多形性光線疹を治療するためのMAPペプチド液体スプレー。
MAPペプチドを注射用水(WFI、TC-RO-0.25T / h-2水処理システム、Yangzhou Tiancheng Water Treatment Devices & Engineering Co.,Ltd.、Yangzhou,Chinaから調製)に溶解した。溶液の濃度は1.5mg/mLであった。溶液をスプレー装置に入れた。
【0133】
この研究に登録された被験者は、多形性光線疹(日光に敏感になった人の日光暴露によって引き起こされる発疹を特徴とする炎症状態)と診断された。治療前に、患者は皮膚の発赤、丘疹、かゆみ、腫れを含む症状を示した。
【0134】
被験者は、洗顔後、朝と夕方に液体スプレーを使用するよう義務付けられた。
【0135】
MAPペプチドスプレーを使用すると、1分以内にかゆみが軽減され、不快感が抑制された。観察された紅斑のほとんどは1分以内に緩和された。かゆみは、試験被験者の50%で1分以内に完全に軽減された。50%の被験者の紅斑は数時間で完全に消失した。
【0136】
MAPを含む同様の溶液(WFIで同じ濃度のスプレー)での治療と比較して、MAPペプチドはこの状態ではるかに迅速な紅斑緩和効率を示すことが観察された。
【0137】
実施例5
MAPペプチドスプレー(風邪の治療)
MAPペプチド(30mg)を10mLの水に溶解した。トリプシン(30mg、Sichuan Deebio Pharmacutical Co.Ltd.、Guanhan,China)を別の10mLの水に溶解した。
【0138】
塩化カルシウム(0.1g)、エタノール(0.5g)、水溶性メントール(0.01g)、乳酸0.01gおよびグリセロール(30g)(すべてSinopharm Chemical Reagent Co.Ltd)を49.32mLの水に一緒に混合した。
MAPペプチドおよびトリプシンを含む溶液をこの混合物に撹拌しながら加えて、噴霧用の液体を提供した。
【0139】
実施例6
吸入用MAPペプチド/トリプシンエアロゾル
エアロゾル製剤を、本質的に上記実施例5に記載されているように、20mgのMAPペプチドと30mgのトリプシンから、今回はグリセロールなしで、合計99.32mLの水で調製した。