IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ダイセルの特許一覧

<>
  • 特許-半導体装置製造方法 図1
  • 特許-半導体装置製造方法 図2
  • 特許-半導体装置製造方法 図3
  • 特許-半導体装置製造方法 図4
  • 特許-半導体装置製造方法 図5
  • 特許-半導体装置製造方法 図6
  • 特許-半導体装置製造方法 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-21
(45)【発行日】2023-01-04
(54)【発明の名称】半導体装置製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/07 20060101AFI20221222BHJP
   H01L 25/065 20230101ALI20221222BHJP
   H01L 25/18 20230101ALI20221222BHJP
   H01L 21/3205 20060101ALI20221222BHJP
   H01L 21/768 20060101ALI20221222BHJP
   H01L 23/522 20060101ALI20221222BHJP
【FI】
H01L25/08 C
H01L21/88 J
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020522189
(86)(22)【出願日】2019-05-27
(86)【国際出願番号】 JP2019020955
(87)【国際公開番号】W WO2019230668
(87)【国際公開日】2019-12-05
【審査請求日】2022-03-14
(31)【優先権主張番号】P 2018101929
(32)【優先日】2018-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002901
【氏名又は名称】株式会社ダイセル
(74)【代理人】
【識別番号】110002239
【氏名又は名称】弁理士法人G-chemical
(72)【発明者】
【氏名】辻 直子
【審査官】正山 旭
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-164160(JP,A)
【文献】特開2012-009473(JP,A)
【文献】特開2014-175542(JP,A)
【文献】特開平10-074891(JP,A)
【文献】特表2015-524172(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0042365(US,A1)
【文献】特開平10-135328(JP,A)
【文献】特開平06-120353(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 25/065
H01L 21/3205
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線パターンを含む回路形成面を有する第1ウエハ、主面とこれとは反対の裏面を有する第2ウエハ、および、SiOC系ポリマーを含有し且つ前記第1ウエハの前記回路形成面と前記第2ウエハの前記裏面との間に介在する接着剤層、を含む積層構造を有するウエハ積層体を用意する、第1工程と、
前記ウエハ積層体において、前記第2ウエハの前記主面側の一部をマスクするマスクパターンを介しての当該第2ウエハ側からのエッチング処理により、当該第2ウエハおよび前記接着剤層を貫通して前記第1ウエハにおける前記配線パターンに至るホールを形成する、第2工程と、
前記ホールの内面に絶縁膜を形成する第3工程と、
前記ホール内の前記絶縁膜における前記配線パターン上の部分をエッチング除去する第4工程と、
前記第4工程を経た前記ウエハ積層体を、酸素プラズマ洗浄処理および/またはアルゴンスパッタリング洗浄処理を含む洗浄処理に付し、前記洗浄処理が硫酸洗浄処理を含む第5工程と、
前記第5工程を経た前記ホール内への導電材料の充填によって導電部を形成する第6工程と、を含む半導体装置製造方法。
【請求項2】
前記洗浄処理は、酸素プラズマ洗浄処理およびそれより後のアルゴンスパッタリング洗浄処理を含む、請求項1に記載の半導体装置製造方法。
【請求項3】
前記酸素プラズマ洗浄処理の処理時間は5~120秒である、請求項1または2に記載の半導体装置製造方法。
【請求項4】
前記アルゴンスパッタリング洗浄処理の処理時間は0.5~5分である、請求項1から3のいずれか一つに記載の半導体装置製造方法。
【請求項5】
前記洗浄処理は、酸素プラズマ洗浄処理およびアルゴンスパッタリング洗浄処理の間の硫酸洗浄処理を含む請求項1から4のいずれか一つに記載の半導体装置製造方法。
【請求項6】
前記接着剤層は、重合性基含有ポリオルガノシルセスキオキサンを含む接着剤組成物の硬化物である、請求項1から5のいずれか一つに記載の半導体装置製造方法。
【請求項7】
前記接着剤層は5μm以下の厚さを有する、請求項1から6のいずれか一つに記載の半導体装置製造方法。
【請求項8】
前記第2ウエハは20μm以下の厚さを有する、請求項1から7のいずれか一つに記載の半導体装置製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の半導体素子を含む積層構造を有する半導体装置の製造方法に関する。本願は、2018年5月28日に日本に出願した特願2018-101929号の優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体デバイスの更なる高密度化を主な目的として、複数の半導体チップないし半導体素子がその厚さ方向に集積された立体的構造を有する半導体デバイスを製造するための技術の開発が進められている。そのような技術の一つとして、いわゆるWOW(Wafer on Wafer)プロセスが知られている。WOWプロセスでは、それぞれに複数の半導体素子が作り込まれた所定数の半導体ウエハが順次に積層されて、半導体素子がその厚さ方向に多段に配される構造が形成され、当該ウエハ積層体がダイシング工程を経て半導体デバイスへと個片化される。このようなWOWプロセスに関する技術については、例えば下記の特許文献1,2に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-4835号
【文献】特開2016-178162号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
WOWプロセスでは、ウエハ積層体において異なるウエハに形成されている半導体素子間を電気的に接続するための、ウエハを貫通するビアすなわち貫通電極が、形成される。貫通電極は、例えば、ウエハ内をその厚さ方向に貫通するホールを反応性イオンエッチングによって形成する工程や、ホール内に導電材料を充填する工程を経て、形成される。
【0005】
一方、多層化されるウエハどうしの接合には接着剤を利用することが考えられる。そして、ウエハ上に接着剤層を介して積層される上段ウエハに、下段ウエハの半導体素子と導通する貫通電極を形成するためは、ホール形成工程において、上段ウエハとその直下に連なる接着剤層とを貫通するように、反応性イオンエッチングによってホールを形成する必要がある。そのようなホールに導電材料が充填される。
【0006】
しかしながら、接着剤層に対する反応性イオンエッチングを経ると、形成されるホール内にエッチング残渣が生じやすい。ウエハ接合に接着剤を利用する場合、従来式のWOWプロセスでは、このエッチング残渣が、貫通電極によって電気的に接続されるべき半導体素子間の配線抵抗の高抵抗化を招く場合がある。
【0007】
本発明は、以上のような事情の下で考え出されたものであって、その目的は、接着剤層を介しての半導体ウエハの積層を経て半導体素子が多層化される半導体装置製造方法において、多層化される半導体素子間にて低い配線抵抗を実現するのに適した手法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明により提供される半導体装置製造方法は、接着剤層を介しての半導体ウエハの積層を経て半導体素子が多層化される方法であって、下記の第1工程から第6工程を少なくとも含む。
【0009】
第1工程では、ウエハ積層体を用意する。このウエハ積層体は、配線パターンを含む回路形成面とこれとは反対の裏面とを有する第1ウエハ、主面とこれとは反対の裏面とを有する第2ウエハ、および、SiOC系ポリマーを含有し且つ第1ウエハの回路形成面と第2ウエハの裏面との間に介在する接着剤層、を含む積層構造を有する。SiOC系ポリマーとは、構成元素にケイ素、酸素、および炭素を少なくとも含む重合体であって、更に水素をも含むSiOCH系ポリマーを含むものとする。SiOC系ポリマーにおける、炭素割合は例えば20~70質量%であり、水素割合は例えば2~20質量%であり、酸素割合は例えば10~40質量%であり、およびケイ素割合は例えば3~40質量%である。回路形成面とは、ウエハにおいて半導体素子が作り込まれ且つ当該素子上にいわゆる再配線層が形成されている側の面をいうものとする。主面とは、ウエハにおいて半導体素子が作り込まれている側の面をいうものとする。
【0010】
第2工程では、ウエハ積層体において、第2ウエハの主面側の一部をマスクするマスクパターンを介しての当該第2ウエハ側からのエッチング処理により、当該第2ウエハおよび接着剤層を貫通して第1ウエハにおける配線パターンに至るホールを形成する。エッチング処理では、好ましくは反応性イオンエッチングが行われる。また、配線パターンにおいてホールに臨む部分は、ホールの底面をなす。
【0011】
第3工程では、ホールの壁面および底面を含む内面に絶縁膜を形成する。第4工程では、ホール内の絶縁膜における配線パターン上の部分(即ち、絶縁膜においてホール底面上にある部分)をエッチング除去する。
【0012】
第5工程では、ホールが形成されたウエハ積層体を洗浄処理に付す。この洗浄処理は、酸素プラズマ洗浄処理および/またはアルゴンスパッタリング洗浄処理を含む。
【0013】
第6工程では、洗浄工程を経たホール内への導電材料の充填によって導電部を形成する。形成される導電部は、第1ウエハの回路形成面の配線パターンに対して構造的かつ電気的に接続されている。この導電部は、製造される半導体装置において、第1ウエハ由来の半導体素子と第2ウエハ由来の半導体素子との間を電気的に接続するための貫通電極をなすこととなる。好ましくは、第6工程の前に、ホール壁面上にバリア層が形成される。また、第6工程における導電材料充填手法は、好ましくは電気めっき法である。
【0014】
本発明の半導体装置製造方法では、上記のように、半導体素子間を電気的に接続するための貫通電極をなすこととなる導電部が、第1ウエハの回路形成面の配線パターンに対して構造的かつ電気的に接続されている。このようなバンプレス構造は、多層化される半導体素子間において短い導電経路を実現するうえで好適である。従来式のWOWプロセスでは、ウエハを貫通する貫通電極に電気的に接続されるバンプ電極が当該ウエハ表面に形成されたうえで、当該バンプ電極を介して、異なるウエハにおける半導体素子間の電気的接続が図られる場合がある。これに対し、本発明の半導体装置製造方法では、貫通電極をなすこととなる導電部が第1ウエハにおける配線パターンに対して直接的に接続されて、異なるウエハにある半導体素子間の電気的接続においてバンプレス構造が形成されるのである。このようなバンプレス構造は、上述のように、多層化される半導体素子間において短い導電経路を実現するうえで好適である。多層化される半導体素子間の導電経路が短いほど、当該素子間の導電経路ないし配線の抵抗は小さくなる傾向にある。
【0015】
加えて、本発明の半導体装置製造方法は、上記のように、接着剤層を介しての半導体ウエハの積層を経て半導体素子が多層化される方法であり、且つウエハ間を接合する接着剤層がSiOC系ポリマーを含有する。これとともに、本方法では、ウエハおよび接着剤層を貫通するホールの形成されたウエハ積層体が、第5工程において、酸素プラズマ洗浄処理および/またはアルゴンスパッタリング洗浄処理を含む洗浄処理に付される。これら構成は、ホール内に形成される導電部ないし貫通電極と第1ウエハ回路形成面の配線パターンとの間において低いコンタクト抵抗を実現するうえで好適であるという知見を、本発明は得ている。例えば、後記の実施例および比較例を以て示すとおりである。ホール内の導電部ないし貫通電極と第1ウエハ回路形成面の配線パターンとの間のコンタクト抵抗が小さいほど、製造される半導体装置において、当該貫通電極を介して電気的に接続される半導体素子間の導電経路全体ないし配線全体の抵抗は小さくなる傾向にある。
【0016】
以上のように、本半導体装置製造方法は、接着剤層を介して接合されて多層化される半導体素子間において低い配線抵抗を実現するのに適する。このような本半導体装置製造方法は、製造される半導体装置において、低消費電力での高速の信号伝送を抑制するうえで好適であり、また、高周波信号の減衰を抑制するうえで好適である。
【0017】
本半導体装置製造方法の第5工程において、酸素プラズマ洗浄処理が行われる場合、その処理時間は、好ましくは5~120秒、より好ましくは10~60秒、より好ましくは15~40秒である。アルゴンスパッタリング洗浄処理が行われる場合、その処理時間は、好ましくは0.5~5分、より好ましくは2~4分である。また、第5工程の洗浄処理は、好ましくは、酸素プラズマ洗浄処理およびそれより後のアルゴンスパッタリング洗浄処理を含む。その場合、当該洗浄処理は、好ましくは、これら処理の間の硫酸洗浄処理を含む。これら構成は、ホール内に形成される導電部ないし貫通電極と第1ウエハ回路形成面の配線パターンとの間において低いコンタクト抵抗を実現するうえで好ましい。
【0018】
接着剤層は、好ましくはシロキサン系有機無機ハイブリッド接着剤を含み、より好ましくは、重合性官能基を含有するポリオルガノシルセスキオキサン(重合性基含有ポリオルガノシルセスキオキサン)を含む接着剤組成物の硬化物である。シロキサン系有機無機ハイブリッド接着剤とは、シロキサン結合を有し且つ当該シロキサン結合をなすケイ素に有機基の結合した構造ユニットを含む接着性高分子材料をいうものとする。このような接着剤層は、高い耐熱性を実現するとともに、接着剤層形成のための硬化温度の低下を図って被着体たるウエハ内の素子へのダメージを抑制するのに適する。
【0019】
接着剤層の厚さは、好ましくは5μm以下である。このような構成は、本方法において形成される導電部ないし貫通電極の短縮化を図るのに適し、従って、当該貫通電極を介して電気的に接続される半導体素子間の導電経路全体ないし配線全体の抵抗を小さくするのに適する。また、シロキサン系有機無機ハイブリッド接着剤を含有する接着剤層は、この程度に薄い場合においても十分なウエハ接合強度を発揮するのに適する。
【0020】
第2ウエハの厚さは、好ましくは20μm以下、より好ましくは15μm以下である。このような構成は、本方法において形成される導電部ないし貫通電極の短縮化を図るのに適し、従って、当該貫通電極を介して電気的に接続される半導体素子間の導電経路全体ないし配線全体の抵抗を小さくするのに適する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一の実施形態に係る半導体装置製造方法における一部の工程を表す。
図2】本発明の一の実施形態に係る半導体装置製造方法における一部の工程を表す。
図3】本発明の一の実施形態に係る半導体装置製造方法における一部の工程を表す。
図4】実施例1および比較例1に係る各チェーン抵抗測定結果を表すグラフである。
図5】実施例2および比較例1に係る各チェーン抵抗測定結果を表すグラフである。
図6】実施例1,3および比較例1に係る各チェーン抵抗測定結果を表すグラフである。
図7】実施例3,4および比較例1に係る各チェーン抵抗測定結果を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1から図3は、本発明の一の実施形態に係る半導体装置製造方法を表す。この製造方法は、半導体素子がその厚さ方向に集積された立体的構造を有する半導体装置を製造するための方法であり、図1から図3は製造過程を部分断面図で表すものである。
【0023】
本半導体装置製造方法においては、まず、図1(a)に示すようなウエハ積層体Wが用意される(用意工程)。このウエハ積層体Wは、ウエハ10と、ウエハ20と、これらの間の接着剤層30とを含む積層構造を有する。
【0024】
ウエハ10は、トランジスタ形成工程および再配線層形成工程を経たウエハであって、本体部11および再配線層12を備え、再配線層12側の回路形成面10aおよびこれとは反対の裏面10bを有する。ウエハ10の本体部11の片面側には複数の半導体素子(図示略)が作り込まれ、当該素子上に再配線層12は形成されている。再配線層12は、絶縁部12aおよび配線パターン12bを有する。回路形成面10aは、ウエハ10においてこのような再配線層12が形成されている側の面である。再配線層12の配線パターン12bは、回路形成面10aにて再配線層12外に臨む部分を有する。すなわち、回路形成面10aには、配線パターン12b露出領域が含まれる。このようなウエハ10の厚さは、例えば300~800μmである。ウエハ10は、後に、裏面10b側からの研削加工によって薄化されてもよい。
【0025】
ウエハ20は、トランジスタ形成工程を経たウエハであって、主面20aおよびこれとは反対の裏面20bを有する。ウエハ20の主面20aは、ウエハ20において複数の半導体素子(図示略)が作り込まれている側の面である。ウエハ20の厚さは、本実施形態では30μm以下であり、好ましくは20μm以下、より好ましくは15μm以下である。
【0026】
これらウエハ10,20の本体部をなすための半導体材料としては、例えば、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、炭化ケイ素(SiC)、ガリウムヒ素(GaAs)、窒化ガリウム(GaN)、およびインジウムリン(InP)が挙げられる。
【0027】
接着剤層30は、SiOC系ポリマーを含有し、且つ、ウエハ10の回路形成面10aとウエハ20の裏面20bとの間に介在する。SiOC系ポリマーとは、構成元素にケイ素、酸素、および炭素を少なくとも含む重合体であって、更に水素をも含むSiOCH系ポリマーを含むものとする。SiOC系ポリマーにおける、炭素割合は例えば20~70質量%であり、水素割合は例えば2~20質量%であり、酸素割合は例えば10~40質量%であり、およびケイ素割合は例えば3~40質量%である。
【0028】
接着剤層30は、好ましくは、シロキサン系有機無機ハイブリッド接着剤を含有し、より好ましくは、重合性基含有シルセスキオキサンを含有する接着剤組成物の硬化物である。シロキサン系有機無機ハイブリッド接着剤とは、シロキサン結合を有し且つ当該シロキサン結合をなすケイ素に有機基の結合した構造ユニットを含む接着性高分子材料をいうものとする。
【0029】
図1(a)に示すウエハ積層体Wは、例えば次のような工程を経て、作製することができる。まず、トランジスタ形成工程および再配線層形成工程を経た上述のウエハ10の回路形成面10a側と、上述のウエハ20をなすこととなるウエハ(追加ウエハ)とを、接着剤層30を介して接合する。次に、追加ウエハにおけるウエハ10接合面とは反対側の面に対し、グラインド装置を使用して研削加工を行い、追加ウエハを所定の厚さに至るまで薄化する。次に、薄化された追加ウエハにおける露出面(ウエハ10接合面とは反対側の面)において、トランジスタ形成工程などを経て半導体素子を形成する。例えば以上のようにして、ウエハ10,20とこれらを接合している接着剤層30とを含む積層構造を有する上述のウエハ積層体Wを作製することができる。
【0030】
上述の接着剤層30を形成するための組成物は、硬化性樹脂として、上記のSiOC系ポリマーをなすこととなるSiOC系材料を含有する。このような構成は、接着剤層30の高い耐熱性を実現するうえで好ましい。当該SiOC系材料は、好ましくは、シロキサン系有機無機ハイブリッド接着剤である。シロキサン系有機無機ハイブリッド接着剤の主剤としては、例えば、重合性基含有ポリオルガノシルセスキオキサンおよびベンゾシクロブテン(BCB)樹脂が挙げられる。重合性基含有ポリオルガノシルセスキオキサンの有する重合性官能基は、好ましくは、エポキシ基または(メタ)アクリロイルオキシ基である。BCB樹脂としては、例えば、1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン-ベンゾシクロブテンが挙げられる。BCB樹脂の市販品としては、Dow Chemical社製の「CYCLOTEN」を用いることができる。
【0031】
本実施形態では、接着剤層30形成用組成物が重合性基含有ポリオルガノシルセスキオキサンを含有する場合、同組成物における重合性基含有ポリオルガノシルセスキオキサンの含有割合は、例えば70質量%以上であり、好ましくは80~99.8質量%、より好ましくは90~99.5質量%である。
【0032】
接着剤層30形成用組成物に重合性基含有ポリオルガノシルセスキオキサンが含有される場合、その重合性基含有ポリオルガノシルセスキオキサンは、本実施形態では、シロキサン構成単位として、下記の式(1)で表される構成単位を少なくとも含む第1構成単位[RSiO3/2]、および、下記の式(2)で表される構成単位を少なくとも含む第2構成単位[RSiO2/2(OR')]を含む(第2構成単位におけるRとR'は同じであってもよいし異なってもよい)。これら構成単位はシロキサン構成単位におけるいわゆるT単位に属し、本実施形態では、構成単位[RSiO3/2]をT3体とし、構成単位[RSiO2/2(OR')]をT2体とする。T3体において、そのケイ素原子は、それぞれが他のシロキサン構成単位中のケイ素原子とも結合する三つの酸素原子と結合している。T2体において、そのケイ素原子は、それぞれが他のシロキサン構成単位中のケイ素原子とも結合する二つの酸素原子と結合し、且つアルコキシ基の酸素と結合している。このようなT3体およびT2体は、いずれも、上述のようにシロキサン構成単位としてのT単位に属し、加水分解性の三つの官能基を有するシラン化合物の加水分解とその後の縮合反応によって形成されうる、重合性基含有ポリオルガノシルセスキオキサンの部分構造である。
【0033】
【化1】
【0034】
式(1)におけるR1および式(2)におけるR1は、それぞれ、エポキシ基または(メタ)アクリロイルオキシ基を含有する基を表す。式(2)におけるR2は、水素原子、または、炭素数1~4のアルキル基を表す。
【0035】
式(1)および式(2)における各R1がエポキシ基含有基である場合のそのR1としては、例えば、下記の式(3)~(6)で表される基が挙げられる。式(3)~(6)におけるR3,R4,R5,R6のそれぞれは、炭素数が例えば1~10の直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基を表す。そのようなアルキレン基としては、例えば、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、およびデカメチレン基が挙げられる。形成される接着剤層30における高い耐熱性の実現や硬化時収縮の抑制の観点からは、式(1)におけるR1および式(2)におけるエポキシ基含有基としてのR1は、それぞれ、好ましくは、式(3)で表されるエポキシ基含有基または式(4)で表されるエポキシ基含有基であり、より好ましくは、式(3)で表される基であってR3がエチレン基である2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチル基である。
【0036】
【化2】
【0037】
上記式(2)におけるR2は、上述のように、水素原子または炭素数1~4のアルキル基を表し、従って、式(2)におけるOR2は、ヒドロキシ基、または、炭素数1~4のアルコキシ基を表す。炭素数1~4のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、およびイソブチルオキシ基が挙げられる。
【0038】
接着剤層30形成用組成物に含まれる重合性基含有ポリオルガノシルセスキオキサンは、上記式(1)で表される構成単位として、一種類を含むものでもよいし、二種類以上を含むものでもよい。当該重合性基含有ポリオルガノシルセスキオキサンは、上記式(2)で表される構成単位として、一種類を含むものでもよいし、二種類以上を含むものでもよい。
【0039】
接着剤層30形成用組成物に含まれる上述の重合性基含有ポリオルガノシルセスキオキサンは、上記のT3体として、式(1)で表される構成単位に加えて、下記の式(7)で表される構成単位を含んでもよい。式(7)におけるR7は、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、または、置換もしくは無置換のアラルキル基を表す。式(7)におけるR7は、好ましくは、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、または置換もしくは無置換のアリール基であり、より好ましくはフェニル基である。
【0040】
【化3】
【0041】
7に関して上記したアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、およびイソペンチル基が挙げられる。R7に関して上記したアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、およびイソプロペニル基が挙げられる。R7に関して上記したシクロアルキル基としては、例えば、シクロブチル基、シクロペンチル基、およびシクロヘキシル基が挙げられる。R7に関して上記したアリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、およびナフチル基が挙げられる。R7に関して上記したアラルキル基としては、例えば、ベンジル基およびフェネチル基が挙げられる。
【0042】
7に関して上記したアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、およびアラルキル基の置換基としては、例えば、エーテル基、エステル基、カルボニル基、シロキサン基、フッ素原子などハロゲン原子、アクリル基、メタクリル基、メルカプト基、アミノ基、および水酸基が挙げられる。
【0043】
接着剤層30形成用組成物に含まれる上述の重合性基含有ポリオルガノシルセスキオキサンは、上記のT2体として、式(2)で表される構成単位に加えて、下記の式(8)で表される構成単位を含んでもよい。式(8)におけるR7は、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、または、置換もしくは無置換のアラルキル基を表し、具体的には上記式(7)におけるR7と同様である。式(8)におけるR2は、水素原子または炭素数1~4のアルキル基を表し、具体的には上記式(2)におけるR2と同様である。
【0044】
【化4】
【0045】
重合性基含有ポリオルガノシルセスキオキサンは、そのシロキサン構成単位中に、T単位である上述の第1および第2構成単位に加えて、いわゆるM単位である構成単位[RSiO1/2]、いわゆるD単位である構成単位[R2SiO2/2]、及びいわゆるQ単位である構成単位[SiO4/2]からなる群より選択される少なくとも一種を含んでもよい。
【0046】
重合性基含有ポリオルガノシルセスキオキサンは、カゴ型、不完全カゴ型、ラダー型、ランダム型のいずれのシルセスキオキサン構造を有していてもよく、これらシルセスキオキサン構造の2以上が組み合わせられた構造を有していてもよい。
【0047】
接着剤層30形成用組成物中の重合性基含有ポリオルガノシルセスキオキサンの全シロキサン構成単位において、T2体に対するT3体のモル比の値(即ち、T3体/T2体)は、例えば5~500であり、下限値は、好ましくは10である。上限値は、好ましくは100、より好ましくは50である。[T3体/T2体]の値をこのような範囲に調整することにより、接着剤層30形成用組成物に含まれる重合性基含有ポリオルガノシルセスキオキサン以外の成分との相溶性が向上し、取扱い性が向上する。重合性基含有ポリオルガノシルセスキオキサンの[T3体/T2体]の値が5~500であることは、T3体に対してT2体の存在量が相対的に少なく、シラノールの加水分解・縮合反応がより進行していることを意味する。
【0048】
重合性基含有ポリオルガノシルセスキオキサンにおける上記モル比の値(T3体/T2体)は、例えば、29Si-NMRスペクトル測定により求めることができる。29Si-NMRスペクトルにおいて、上述の第1構成単位(T3体)におけるケイ素原子と、上述の第2構成単位(T2体)におけるケイ素原子とは、異なるケミカルシフトのピークないしシグナルを示す。これらピークの面積比から、上記モル比の値を求めることができる。重合性基含有ポリオルガノシルセスキオキサンの29Si-NMRスペクトルは、例えば、下記の装置および条件により測定することができる。
【0049】
測定装置:商品名「JNM-ECA500NMR」(日本電子株式会社製)
溶媒:重クロロホルム
積算回数:1800回
測定温度:25℃
【0050】
接着剤層30形成用組成物に含まれる重合性基含有ポリオルガノシルセスキオキサンの数平均分子量(Mn)は、好ましくは1000~50000であり、より好ましくは1500~10000、さらに好ましくは2000~8000、特に好ましくは2000~7000である。数平均分子量を1000以上とすることにより、形成される硬化物の絶縁性、耐熱性、耐クラック性、接着性が向上する。一方、数平均分子量を50000以下とすることにより、同組成物における他の成分との相溶性が向上し、硬化物の絶縁性、耐熱性、耐クラック性が向上する。
【0051】
接着剤層30形成用組成物に含まれる重合性基含有ポリオルガノシルセスキオキサンについての分子量分散度(Mw/Mn)は、好ましくは1.0~4.0であり、より好ましくは1.1~3.0、さらに好ましくは1.2~2.7である。分子量分散度を4.0以下とすることにより、形成される硬化物の耐熱性、耐クラック性や接着性がより高くなる。一方、分子量分散度を1.0以上とすることにより、同組成物が液状となりやすく、その取り扱い性が向上する傾向がある。
【0052】
重合性基含有ポリオルガノシルセスキオキサンの数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により測定してポリスチレン換算により算出される値とする。重合性基含有ポリオルガノシルセスキオキサンの数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)は、例えば、HPLC装置(商品名「LC-20AD」,株式会社島津製作所製)を使用して下記の条件により測定することができる。
【0053】
カラム:2本のShodex KF-801(上流側,昭和電工株式会社製)と、Shodex KF-802(昭和電工株式会社製)と、Shodex KF-803(下流側,昭和電工株式会社製)とを直列に接続
測定温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
試料濃度:0.1~0.2質量%
流量:1mL/分
標準試料:ポリスチレン
検出器:UV-VIS検出器(商品名「SPD-20A」,株式会社島津製作所製)
【0054】
以上のような重合性基含有ポリオルガノシルセスキオキサンは、加水分解性の三つの官能基を有するシラン化合物の加水分解とこれに続く縮合反応によって製造することができる。その製造に用いられる原料は、下記の式(9)で表される化合物を少なくとも含み、下記の式(10)で表される化合物を必要に応じて含む。式(9)で表される化合物は、上記式(1)で表される構成単位と上記式(2)で表される構成単位を形成するためのものである。式(10)で表される化合物は、上記式(7)で表される構成単位と上記式(8)で表される構成単位を形成するためのものである。
【0055】
【化5】
【0056】
式(9)におけるR1は、重合性基を含有する基を表し、具体的には上記式(1)(2)におけるR1と同様である。式(9)におけるX1は、アルコキシ基またはハロゲン原子を表す。そのアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、イソブチルオキシ基など炭素数1~4のアルコキシ基が挙げられる。X1としてのハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、およびヨウ素原子が挙げられる。X1は、好ましくはアルコキシ基であり、より好ましくはメトキシ基またはエトキシ基である。式(9)において、三つのX1は互いに同じであってもよいし異なってもよい。
【0057】
式(10)におけるR7は、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアルキル基、または、置換もしくは無置換のアルケニル基を表し、具体的には上記式(7)(8)におけるR7と同様である。式(10)におけるX2は、アルコキシ基またはハロゲン原子を表し、具体的には上記式(9)におけるX1と同様である。
【0058】
上述の重合性基含有ポリオルガノシルセスキオキサンの製造に用いられる原料は、更に他の加水分解性シラン化合物を含んでもよい。そのような化合物としては、例えば、上記式(9)(10)で表される両化合物以外の加水分解性三官能シラン化合物、M単位を形成することとなる加水分解性単官能シラン化合物、D単位を形成することとなる加水分解性二官能シラン化合物、および、Q単位を形成する加水分解性四官能シラン化合物が挙げられる。
【0059】
上記原料としての加水分解性シラン化合物の使用量や組成は、製造目的物である重合性基含有ポリオルガノシルセスキオキサンの構造に応じて適宜に調整される。例えば、上記式(9)で表される化合物の使用量は、使用する加水分解性シラン化合物全量に対して、例えば55~100モル%、好ましくは65~100モル%である。上記式(10)で表される化合物の使用量は、使用する加水分解性シラン化合物全量に対して、例えば0~70モル%である。使用する加水分解性シラン化合物全量に対する、式(9)で表される化合物と式(10)で表される化合物との総使用量は、例えば60~100モル%、好ましくは70~100モル%、より好ましくは80~100モル%である。
【0060】
上述の重合性基含有ポリオルガノシルセスキオキサンの製造において二種類以上の加水分解性シラン化合物を用いる場合、加水分解性シラン化合物の種類ごとの加水分解および縮合反応は、同時に行うこともできるし、順次に行うこともできる。
【0061】
上述の加水分解および縮合反応は、好ましくは、一種類の又は二種類以上の溶媒の存在下で行われる。好ましい溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル、および、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトンが挙げられる。溶媒の使用量は、加水分解性シラン化合物100質量部あたり、例えば2000質量部以下の範囲内で反応時間等に応じて適宜に調整される。
【0062】
上述の加水分解および縮合反応は、好ましくは、一種類の又は二種類以上の触媒および水の存在下で進行される。触媒は、酸触媒であってもよいし、アルカリ触媒であってもよい。触媒の使用量は、加水分解性シラン化合物1モルあたり例えば0.002~0.2モルの範囲内で適宜に調整される。水の使用量は、加水分解性シラン化合物1モルあたり例えば0.5~20モルの範囲内で適宜に調整される。
【0063】
上記加水分解性シラン化合物の加水分解及び縮合反応は、1段階で行ってもよいし、2段階以上に分けて行ってもよい。上記モル比の値(T3体/T2体)が5以上である重合性基含有ポリオルガノシルセスキオキサンを製造する場合には例えば、第1段目の加水分解および縮合反応の反応温度は、例えば40~100℃、好ましくは45~80℃である。第1段目の加水分解および縮合反応の反応時間は、例えば0.1~10時間、好ましくは1.5~8時間である。第2段目の加水分解および縮合反応の反応温度は、好ましくは5~200℃、より好ましくは30~100℃である。反応温度を上記範囲に制御することにより、上記モル比の値(T3体/T2体)および上記数平均分子量をより効率的に所望の範囲に制御できる傾向がある。また、第2段目の加水分解および縮合反応の反応時間は、特に限定されないが、0.5~1000時間が好ましく、より好ましくは1~500時間である。また、上述の加水分解および縮合反応は、常圧下、加圧下、または減圧下で行うことができる。上述の加水分解および縮合反応は、好ましくは、窒素やアルゴンなど不活性ガスの雰囲気下で行われる。
【0064】
以上のような加水分解性シラン化合物の加水分解および縮合反応により、上述の重合性基含有ポリオルガノシルセスキオキサンが得られる。反応終了後には、好ましくは、重合性基の開環を抑制するための触媒の中和を行う。こうして得られた重合性基含有ポリオルガノシルセスキオキサンは、必要に応じて精製される。
【0065】
接着剤層30形成用組成物は、例えば以上のようにして製造される重合性基含有ポリオルガノシルセスキオキサンに加えて、好ましくは少なくとも一種類の硬化触媒を含む。
【0066】
接着剤層30形成用組成物がエポキシ基含有ポリオルガノシルセスキオキサンを含む場合の硬化触媒としては、例えば熱カチオン重合開始剤が挙げられる。接着剤層30形成用組成物が(メタ)アクリロイルオキシ基含有ポリオルガノシルセスキオキサンを含む場合の硬化触媒としては、例えば熱ラジカル重合開始剤が挙げられる。接着剤層30形成用組成物における硬化触媒の含有量は、重合性基含有ポリオルガノシルセスキオキサン100質量部あたり、好ましくは0.1~3.0質量部である。
【0067】
上述の熱カチオン重合開始剤としては、例えば、アリールスルホニウム塩、アルミニウムキレート、三フッ化ホウ素アミン錯体などのタイプの熱カチオン重合開始剤が挙げられる。アリールスルホニウム塩としては、例えばヘキサフルオロアンチモネート塩が挙げられる。アルミニウムキレートとしては、例えば、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、およびアルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)が挙げられる。三フッ化ホウ素アミン錯体としては、例えば、三フッ化ホウ素モノエチルアミン錯体、三フッ化ホウ素イミダゾール錯体、および三フッ化ホウ素ピペリジン錯体が挙げられる。
【0068】
上述の熱ラジカル重合開始剤としては、例えば、アゾ化合物や過酸化物などのタイプの熱ラジカル重合開始剤が挙げられる。アゾ化合物としては、例えば、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2'-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、ジメチル-2,2'-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、2,2'-アゾビス(イソ酪酸)ジメチル、ジエチル-2,2'-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、およびジブチル-2,2'-アゾビス(2-メチルプロピオネート)が挙げられる。過酸化物としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(2-エチルヘキサノイル)パーオキシヘキサン、t-ブチルパーオキシベンゾエート、t-ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジブチルパーオキシヘキサン、2,4-ジクロロベンゾイルパーオキサイド、1,4-ジ(2-t-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、メチルエチルケトンパーオキサイド、および1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエートが挙げられる。
【0069】
接着剤層30形成用組成物は、上述の重合性基含有ポリオルガノシルセスキオキサンに加えて、一種類の又は二種類以上の他の硬化性化合物を含んでもよい。当該硬化性化合物としては、例えば、上述の重合性基含有ポリオルガノシルセスキオキサン以外のエポキシ化合物、(メタ)アクリロイルオキシ基含有化合物、ビニル基含有化合物、オキセタン化合物、およびビニルエーテル化合物が挙げられる。
【0070】
上述の重合性基含有ポリオルガノシルセスキオキサン以外のエポキシ化合物としては、例えば、脂環式エポキシ化合物(脂環式エポキシ樹脂)、芳香族エポキシ化合物(芳香族エポキシ樹脂)、および脂肪族エポキシ化合物(脂肪族エポキシ樹脂)が挙げられる。脂環式エポキシ化合物としては、例えば、3,4,3',4'-ジエポキシビシクロヘキサン、2,2-ビス(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロパン、1,2-ビス(3,4-エポキシシクロヘキシル)エタン、2,3-ビス(3,4-エポキシシクロヘキシル)オキシラン、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、および、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1-ブタノールの1,2-エポキシ-4-(2-オキシラニル)シクロヘキサン付加物(例えば、株式会社ダイセルの商品名「EHPE3150」)が挙げられる。
【0071】
上記芳香族エポキシ化合物としては、例えば、エピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂やノボラック・アルキルタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂が挙げられる。
【0072】
上記脂肪族エポキシ化合物としては、例えば、環状構造を有しないq価のアルコール(qは自然数である)のグリシジルエーテル、一価カルボン酸または多価カルボン酸のグリシジルエステル、および、二重結合を有する油脂のエポキシ化物が挙げられる。二重結合を有する油脂のエポキシ化物としては、例えば、エポキシ化亜麻仁油、エポキシ化大豆油、およびエポキシ化ひまし油が挙げられる。
【0073】
上述の(メタ)アクリロイルオキシ基含有化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、不飽和ポリエステル、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ビニルアクリレート、シリコーンアクリレート、およびポリスチリルエチルメタクリレートが挙げられる。また、上述の(メタ)アクリロイルオキシ基含有化合物としては、ナガセケムテックス株式会社製の「DA-141」、東亞合成株式会社製の「アロニックスM-211B」および「アロニックスM-208」、並びに、新中村化学株式会社製の「NKエステル」、「ABE-300」、「A-BPE-4」、「A-BPE-10」、「A-BP E-20」、「A-BPE-30」、「BPE-100」、「BPE-200」、「BPE-500」、「BPE-900」、および「BPE-1300N」も挙げられる。
【0074】
上述のビニル基含有化合物としては、例えば、スチレンおよびジビニルベンゼンが挙げられる。
【0075】
上述のオキセタン化合物としては、例えば、3,3-ビス(ビニルオキシメチル)オキセタン、3-エチル-3-(ヒドロキシメチル)オキセタン、3-エチル-3-(2-エチルヘキシルオキシメチル)オキセタン、3-エチル-3-(ヒドロキシメチル)オキセタン、3-エチル-3-[(フェノキシ)メチル]オキセタン、3-エチル-3-(ヘキシルオキシメチル)オキセタン、3-エチル-3-(クロロメチル)オキセタン、および3,3-ビス(クロロメチル)オキセタンが挙げられる。
【0076】
上述のビニルエーテル化合物としては、例えば、2-ヒドロキシエチルビニルエーテル、3-ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2-ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2-ヒドロキシイソプロピルビニルエーテル、4-ヒドロキシブチルビニルエーテル、3-ヒドロキシブチルビニルエーテル、2-ヒドロキシブチルビニルエーテル、3-ヒドロキシイソブチルビニルエーテル、2-ヒドロキシイソブチルビニルエーテル、1-メチル-3-ヒドロキシプロピルビニルエーテル、1-メチル-2-ヒドロキシプロピルビニルエーテル、1-ヒドロキシメチルプロピルビニルエーテル、4-ヒドロキシシクロヘキシルビニルエーテル、1,6-ヘキサンジオールモノビニルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジビニルエーテル、1,8-オクタンジオールジビニルエーテル、p-キシレングリコールモノビニルエーテル、p-キシレングリコールジビニルエーテル、m-キシレングリコールモノビニルエーテル、m-キシレングリコールジビニルエーテル、o-キシレングリコールモノビニルエーテル、o-キシレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールモノビニルエーテル、およびトリエチレングリコールジビニルエーテルが挙げられる。
【0077】
接着剤層30形成用組成物は、その塗工性等を調整するうえでは溶剤を含むのが好ましい。溶剤としては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、3-メトキシブチルアセテート、メトキシプロピルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、1-ブタノール、1-メトキシ-2-プロパノール、3-メトキシブタノール、エトキシエタノール、ジイソプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、およびテトラヒドロフランが挙げられる。
【0078】
接着剤層30形成用組成物は、更に、シランカップリング剤、消泡剤、酸化防止剤、ブロッキング防止剤、レベリング剤、界面活性剤、増量剤、防錆剤、帯電防止剤、可塑剤など、各種の添加剤を含んでもよい。
【0079】
接着剤層30またはシロキサン系有機無機ハイブリッド接着剤において、炭素割合は、好ましくは20~70質量%、より好ましくは30~70質量%、より好ましくは40~60質量%であり、水素割合は、好ましくは2~20質量%、より好ましくは3~15質量%、より好ましくは4~10質量%であり、酸素割合は、好ましくは10~40質量%、より好ましくは15~35質量%、より好ましくは20~30質量%であり、ケイ素割合は、好ましくは3~40質量%、より好ましくは5~30質量%、より好ましくは10~20質量%である。このような構成は、形成される接着剤層30における高い耐熱性の実現および硬化時収縮の抑制に加えて、形成される接着剤層30においてその厚さを例えば5μm以下に設定しつつも十分なウエハ接合強度を発現させるのに適する。上記の各元素割合は、例えばCHN元素分析や、Si定量分析(重量法)、ICP発光分析、X線光電子分光分析などによって同定することが可能である。
【0080】
以上のような接着剤層30形成用組成物を用いての上述のウエハ接合においては、例えば、まず、接合対象面である一方のウエハの表面に接着剤層30形成用組成物をスピンコーティングによって塗布して接着剤組成物層を形成し、加熱によって当該組成物層を乾燥させて固化させる。その際の加熱温度は例えば50~150℃であり、加熱時間は例えば5~120分間である。次に、一方のウエハ上に形成された接着剤組成物層を介して二つのウエハを加圧しつつ貼り合せた後、接着剤組成物層について加熱によって硬化させる。貼り合わせにおいて、加圧力は例えば300~5000g/cm2であり、温度は例えば30~200℃である。硬化のための加熱温度は例えば100~300℃であり、加熱時間は例えば5~120分間である。接着剤層30形成用組成物が硬化性樹脂として重合性基含有ポリオルガノシルセスキオキサンを含有する場合には、当該接着剤組成物は、好ましくは、上記の貼合わせ前に室温以上かつ80℃以下の温度で加熱され、且つ貼合わせ後に100~200℃の温度で硬化される。
【0081】
こうして形成される接着剤層30の厚さは、好ましくは5μm以下、より好ましくは4μm以下、より好ましくは3μm以下である。接着剤層30の厚さは例えば0.5μm以上である。
【0082】
本半導体装置製造方法においては、次に、図1(b)に示すように、ウエハ20の主面20a上に絶縁膜21を形成する。絶縁膜21は、ウエハ20の主面20aを被覆するとともに、所定のパターン形状の凹部を有する。この凹部には、後述のように配線パターンが形成されることとなる。
【0083】
絶縁膜21は、例えば次のようにして形成することができる。まず、熱酸化法やCVD法により、ウエハ20の主面20a上に絶縁材料膜を形成する。絶縁材料膜としては、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜が挙げられる。次に、リソグラフィ技術により、当該絶縁材料膜上に所定のレジストパターンを形成する。次に、当該レジストパターンをエッチングマスクとして利用して行う、当該絶縁材料膜に対するエッチング処理により、当該絶縁材料膜をパターニングする。エッチング処理は例えばウエットエッチングで行われる。その後、レジストパターンを除去する。例えば以上のようにして、所定のパターン形状の凹部を有する絶縁膜21を形成することができる。
【0084】
本半導体装置製造方法においては、次に、図1(c)に示すように、ウエハ積層体WにおいてスルーホールとしてのホールHを形成する(ホール形成工程)。具体的には、まず、絶縁膜21上に、エッチングマスクとしてのレジストパターンを形成する。このレジストパターンは、ウエハ積層体Wにおけるホール形成箇所に対応する箇所にホール形成用の開口部を有するものである。次に、ウエハ積層体Wにおいて、エッチングマスクである当該レジストパターンを介してのウエハ20側からのエッチング処理により、ウエハ20および接着剤層30を貫通してウエハ10における配線パターン12bに至るホールHを形成する。このエッチング処理では、反応性イオンエッチングが行われる。ウエハ20に対するエッチング処理では、好ましくは、ボッシュプロセスによる反応性イオンエッチングが行われ、そのエッチングガスとしては、好ましくは、SiF6とArとを含む混合ガスが採用される。その後の接着剤層30に対するエッチング処理のエッチングガスとしては、好ましくは、CHF3とCF4とO2とArとを含む混合ガスが採用される。また、配線パターン12bにおいてホールHに臨む部分は、ホールHの底面をなす。
【0085】
本半導体装置製造方法においては、次に、図2(a)に示すように、ウエハ積層体WのホールHの内面に絶縁膜41をコンフォーマルに形成する。絶縁膜41は、例えばシリコン酸化膜であり、例えばCVD法によって形成される。
【0086】
次に、図2(b)に示すように、絶縁膜41におけるホールH底面上の部分をエッチング除去する。具体的には、ホールH内の絶縁膜41における配線パターン12b上の部分を例えば反応性イオンエッチングにより除去する。その反応性イオンエッチングにおけるエッチングガスとしては、好ましくは、CHF3とCF4とArとを含む混合ガスが採用される。
【0087】
本半導体装置製造方法においては、次に、ホールHの形成されたウエハ積層体Wを洗浄処理に付す(洗浄工程)。本工程での洗浄処理は、酸素プラズマ洗浄処理および/またはアルゴンスパッタリング洗浄処理を含む。本工程では、好ましくは、酸素プラズマ洗浄処理が行われ、それより後にアルゴンスパッタリング洗浄処理が行われる。また、本工程では、硫酸洗浄処理が行われてもよい。硫酸洗浄処理は、酸素プラズマ洗浄処理とそれより後のアルゴンスパッタリング洗浄処理との間に行われるのが好ましい。
【0088】
洗浄工程において酸素プラズマ洗浄処理が行われる場合、その処理時間は、好ましくは5~120秒、より好ましくは10~60秒、より好ましくは15~40秒である。洗浄工程においてアルゴンスパッタリング洗浄処理が行われる場合、その処理時間は、好ましくは0.5~5分、より好ましくは2~4分である。洗浄工程において硫酸洗浄処理が行われる場合、その処理時間は、好ましくは10~100秒、より好ましくは20~90秒である。硫酸洗浄処理に使用される硫酸の濃度は例えば1~3質量%である。
【0089】
次に、ホールHの壁面にバリア層(図示略)をコンフォーマルに形成した後、図3(a)に示すように、導電材料50の堆積を行う。バリア層形成材料としては例えばTaが挙げられる。導電材料50としては本実施形態ではCuが採用される。導電材料50の堆積手法としては、電気めっき法を採用することができる。電気めっき法を採用する場合、上記バリア層の形成の後、例えばスパッタリング成膜法により、電気めっき用のシード層をホールH内にコンフォーマルに形成する。シード層形成材料としては例えばCuが挙げられる。電気めっき法においては、このシード層上においてCuを成長させる。
【0090】
次に、導電材料50の過剰堆積部分を、図3(b)に示すように除去する。除去手法としては、例えば化学的機械研磨(CMP)が挙げられる。このような除去により、ウエハ積層体WのホールH内に導電部51が形成され、且つ絶縁膜21の凹部内に配線パターン52が形成されることとなる。導電部51の直径は、本実施形態では例えば5~20μmである。配線パターン52は、ウエハ20上に形成される再配線層の要素であり、ウエハ20の主面20a側に作り込まれている所定の半導体素子と電気的に接続されることとなる。導電部51は、ウエハ10の回路形成面10aにおける配線パターン12bに対して構造的かつ電気的に接続されているとともに、配線パターン52に対して構造的かつ電気的に接続されている。このような導電部51は、製造される半導体装置において、ウエハ10由来の半導体素子とウエハ20由来の半導体素子との間を電気的に接続するための貫通電極をなすこととなる。
【0091】
この後、主面20a上に再配線層の形成されたウエハ20の上への接着剤層30を介しての更なるウエハ20の積層から導電部51の形成までを含む一連の過程が、製造目的の半導体装置の半導体素子積層数に応じた所定の回数、行われる。
【0092】
本半導体装置製造方法において、ウエハ10は、その裏面10b側からの研削加工によって薄化されてもよい。その薄化後のウエハ10の厚さは、例えば10~400μmである。また、最も後に積層されたウエハ20の再配線層上には、外部接続用バンプが形成されてもよい。或いは、薄化後のウエハ10を貫通してウエハ10の回路形成面10a側の再配線層内の所定の配線パターンと電気的に接続している貫通電極を形成し、当該貫通電極と電気的に接続している外部接続用バンプをウエハ10の裏面10b側に形成してもよい。
【0093】
以上のようにして、半導体素子がその厚さ方向に集積された立体的構造を有する半導体装置を製造することができる。この半導体装置は、ダイシングによって個片化されてもよい。
【0094】
本半導体装置製造方法では、上述のように、半導体素子間を電気的に接続するための貫通電極をなすこととなる導電部51が、ウエハ10の回路形成面10aの配線パターン12bに対して構造的かつ電気的に接続されている。このようなバンプレス構造は、多層化される半導体素子間において短い導電経路を実現するうえで好適である。従来式のWOWプロセスでは、ウエハを貫通する貫通電極に電気的に接続されるバンプ電極が当該ウエハ表面に形成されたうえで、当該バンプ電極を介して半導体素子間の電気的接続が図られる場合がある。これに対し、本半導体装置製造方法では、貫通電極をなすこととなる導電部51がウエハ10における配線パターン12bに対して直接的に接続されて、半導体素子間の電気的接続においてバンプレス構造が形成されるのである。このようなバンプレス構造は、多層化される半導体素子間において短い導電経路を実現するうえで好適であり、多層化される半導体素子間の導電経路が短いほど、当該素子間の導電経路ないし配線の抵抗は小さくなる傾向にある。
【0095】
加えて、本半導体装置製造方法は、接着剤層30を介しての半導体ウエハの積層を経て半導体素子が多層化される方法であり、且つウエハ間を接合する接着剤層30がSiOC系ポリマーを接着剤として含有する。これとともに、本方法では、ウエハ20および接着剤層30を貫通するホールHの形成されたウエハ積層体Wが、洗浄工程において、酸素プラズマ洗浄処理および/またはアルゴンスパッタリング洗浄処理を含む洗浄処理に付される。これら構成は、ホールH内に形成される導電部51ないし貫通電極とウエハ10における配線パターン12bとの間において低いコンタクト抵抗を実現するうえで好適であるという知見を、本発明は得ている。例えば、後記の実施例および比較例を以て示すとおりである。ホールH内の導電部51ないし貫通電極とウエハ10における配線パターン12bとの間のコンタクト抵抗が小さいほど、製造される半導体装置において、当該貫通電極を介して電気的に接続される半導体素子間の導電経路全体ないし配線全体の抵抗は小さくなる傾向にある。
【0096】
以上のように、本半導体装置製造方法は、製造される半導体装置において、多層化される半導体素子間にて低い配線抵抗を実現するのに適する。このような本半導体装置製造方法は、製造される半導体装置において、低消費電力での高速の信号伝送を抑制するうえで好適であり、また、高周波信号の減衰を抑制するうえで好適である。
【0097】
本方法における接着剤層30は、上述のように、好ましくは、重合性基含有ポリオルガノシルセスキオキサンを含む接着剤組成物の硬化物である。このような接着剤層30は、高い耐熱性を実現するとともに、接着剤層30の形成のための硬化温度の低下を図って被着体たるウエハ内の素子へのダメージを抑制するのに適する。
【0098】
本方法における接着剤層30の厚さは、上述のように、好ましくは5μm以下、より好ましくは4μm以下、より好ましくは3μm以下である。このような構成は、本方法において形成される導電部51ないし貫通電極の短縮化を図るのに適し、従って、当該貫通電極を介して電気的に接続される半導体素子間の導電経路全体ないし配線全体の抵抗を小さくするのに適する。また、シロキサン系有機無機ハイブリッド接着剤を含有する接着剤層30は、この程度に薄い場合においても十分なウエハ接合強度を発揮するのに適する。
【0099】
加えて、接着剤層30が薄いほど、図1(c)を参照して上述したホール形成工程やその後の洗浄工程を経た各段階において、ホールH内でのエッチング残渣を低減しやすい。ホールH内でのエッチング残渣の低減は、上述のコンタクト抵抗の低下を図るのに資する。
【0100】
更に加えて、接着剤層30が薄いほど、図1(c)を参照して上述したホール形成工程において、接着剤層30のホール露出面にアンダーカットやサイドエッチが生ずることを抑制しやすく、適切な形状のホールHしたがって導電部51を形成しやすい。このような構成は、いわゆる導電部51におけるリーク電流の発生を抑制するのに資する。
【0101】
本方法におけるウエハ20の厚さは、上述のように、30μm以下であり、好ましくは20μm以下、より好ましくは15μm以下である。このような構成は、本方法において形成される導電部51ないし貫通電極の短縮化を図るのに適し、従って、当該貫通電極を介して電気的に接続される半導体素子間の導電経路全体ないし配線全体の抵抗を小さくするのに適する。
【0102】
また、ウエハ20や接着剤層30が上述のように薄いことは、本方法により製造される半導体装置の小型化や高密度化に資する。
【実施例
【0103】
〔実施例1〕
以下のようにして、所定のウエハ積層体において総数71の貫通電極を形成した。
【0104】
〈ウエハ積層体の作製〉
まず、表面に再配線層を伴う第1シリコンウエハ(直径300mm)と、第2シリコンウエハ(直径300mm)とを用意した。第1シリコンウエハの再配線層は、再配線層外に露出する領域を有するCu配線パターンを含む。次に、第1シリコンウエハの再配線側と第2シリコンウエハとを、後記の接着剤組成物Cを使用して接合した。具体的には、まず、一方のウエハの表面に所定量の接着剤組成物Cをスピンコーティングによって塗布して接着剤組成物層を形成し、加熱によって当該組成物層を乾燥させて固化させた。その際、まず80℃で4分間の加熱を行い、続いて100℃で2分間の加熱を行った。次に、一方のウエハ上に形成された接着剤組成物層を介して二つのウエハを加圧しつつ貼り合せた後、接着剤組成物層について加熱によって硬化させた。貼り合わせにおいて、加圧力は例えば1000g/cm2であり、温度は50℃である。硬化の際、まず135℃で30分間の加熱を行い、続いて170℃で30分間の加熱を行った。ウエハ間を接合する接着剤層の厚さは2.5μmである。以上のようにして、第1および第2シリコンウエハとこれらを接合している接着剤層(厚さ2.5μm)とを含む積層構造を有するウエハ積層体を作製した。
【0105】
〈ウエハ積層体に対するプロセス〉
次に、ウエハ積層体における第2シリコンウエハに対してグラインド装置(商品名「DGP8761HC」,株式会社ディスコ製)を使用して研削加工を行い、第2シリコンウエハを厚さ10μmまで薄化した。次に、第2シリコンウエハの被研削面上にCVD法によりシリコン酸化膜(絶縁膜)を形成した。次に、当該絶縁膜において所定のパターン形状の凹部を形成した。凹部は、リソグラフィ技術によって絶縁膜上に所定のレジストパターンを形成した後、当該レジストパターンをエッチングマスクとして利用して行う、当該絶縁材料膜に対するエッチング処理により、形成した。
【0106】
次に、絶縁膜上からのレジストパターンの除去の後、ウエハ積層体においてホール(スルーホール)を形成した。具体的には、まず、絶縁膜上に、エッチングマスクとしてのレジストパターンを形成した。このレジストパターンは、ウエハ積層体におけるホール形成箇所に対応する箇所にホール形成用の開口部を有するものである。次に、ウエハ積層体において、エッチングマスクである当該レジストパターンを介しての第2シリコンウエハ側からのエッチング処理により、第2シリコンウエハ(厚さ10μm)および接着剤層(厚さ2.5μm)を貫通して第1シリコンウエハにおける配線パターンに至るホールを形成した。このエッチング処理では、まず、第2シリコンウエハに対する第1エッチング処理を行い、その後、接着剤層に対する第2エッチング処理を行った。第1エッチング処理では、エッチング装置(商品名「Silivia」,アプライドマテリアルズ社製)を使用し、ボッシュプロセスによる反応性イオンエッチングを行い、SiF6とArとの混合ガスをエッチングガスとして使用した。第2エッチング処理では、エッチング装置(商品名「e-MAX」,アプライドマテリアルズ社製)を使用し、反応性イオンエッチングを行い、CHF3とCF4とO2とArとの混合ガスをエッチングガスとして使用した。
【0107】
次に、ウエハ積層体のホールの内面にCVD法によってシリコン酸化膜をコンフォーマルに形成した。次に、このシリコン酸化膜におけるホール底面上の部分をエッチング除去した。そのためのエッチング処理では、エッチング装置(商品名「e-MAX」,アプライドマテリアルズ社製)を使用し、反応性イオンエッチングを行い、CHF3とCF4とArとの混合ガスをエッチングガスとして使用した。
【0108】
次に、ウエハ積層体を洗浄処理に付した。具体的には、ホールの形成されているウエハ積層体について、酸素プラズマ洗浄処理を行い、その後、硫酸洗浄処理を行った。酸素プラズマ洗浄処理では、プラズマ装置(商品名「e-MAX」,アプライドマテリアルズ社製)を使用し、酸素ガスを用い、温度条件を120℃とし、プラズマアッシング(洗浄処理)時間を15秒とした。硫酸洗浄処理では、洗浄装置(商品名「GPTC-1」)を使用し、2質量%硫酸を用い、洗浄処理時間を43秒とした。
【0109】
次に、洗浄処理を経たホールの壁面に、CVD法によってTaバリア層(厚さ80nm)をコンフォーマルに形成し、続いて、スパッタリング成膜法によって電気めっき用のCuシード層(厚さ1μm)をコンフォーマルに形成した。次に、ウエハ積層体におけるホール内と第2シリコンウエハ上の絶縁膜の有する凹部内とにわたり、電気めっき法によってCuを堆積させた。次に、第2シリコンウエハ上のCuの過剰堆積部分をCMP法によって除去した。これにより、ウエハ積層体のホール内に貫通電極が形成され、且つ、ウエハ積層体の第2シリコンウエハ上の絶縁膜の凹部内に配線パターンが形成された。
【0110】
〈接着剤組成物Cの作製〉
後記のようにして得られるエポキシ基含有のポリオルガノシルセスキオキサン100質量部と、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート115質量部と、アンチモン系スルホニウム塩(商品名「SI-150L」,三新化学工業株式会社製)0.45質量部(固形分として)と、(4-ヒドロキシフェニル)ジメチルスルホニウムメチルサルファイト(商品名「サンエイドSI助剤」,三新化学工業株式会社製)0.05質量部とを混合し、接着剤組成物Cを得た。
【0111】
〈ポリオルガノシルセスキオキサンの合成〉
還流冷却器と、窒素ガス導入管と、撹拌装置と、温度計とを備えた300mLのフラスコ内で、窒素ガスを導入しながら、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン161.5mmol(39.79g)と、フェニルトリメトキシシラン9mmol(1.69g)と、溶媒としてのアセトン165.9gとを混合して50℃に昇温した。次に、当該混合物に、5%炭酸カリウム水溶液4.7g(炭酸カリウムとして1.7mmol)を5分かけて滴下し、続いて水1700mmol(30.6g)を20分かけて滴下した。滴下操作の間、混合物に著しい温度上昇は生じなかった。当該滴下操作の後、フラスコ内に窒素ガスを導入しながら、50℃で4時間、重縮合反応を行った。重縮合反応後の反応溶液中の生成物を分析したところ、数平均分子量は1900であり、分子量分散度は1.5であった。そして、静置されて冷却された反応溶液について、相分離によって生じる下層液(水相)が中性になるまで水洗を繰り返した後、上層液を分取し、1mmHgおよび40℃の条件で溶媒量が25質量%になるまで上層液から溶媒を留去し、無色透明の液状の生成物(エポキシ基含有ポリオルガノシルセスキオキサン)を得た。
【0112】
〔実施例2〕
洗浄工程において、酸素プラズマ洗浄処理を行わないこと、および、硫酸洗浄処理の後にアルゴンスパッタリング洗浄処理を行ったこと、以外は実施例1のプロセスと同様にして、上記のウエハ積層体に対して実施例2のプロセスを行った。実施例2におけるアルゴンスパッタリング洗浄処理では、スパッタリング装置(商品名「Producer」,アプライドマテリアルズ社製)を使用し、Arスパッタリング(洗浄処理)時間を3分とした。
【0113】
〔実施例3〕
洗浄工程において、硫酸洗浄処理の後にアルゴンスパッタリング洗浄処理を行ったこと以外は実施例1のプロセスと同様にして、上記のウエハ積層体に対して実施例3のプロセスを行った。実施例3におけるアルゴンスパッタリング洗浄処理では、スパッタリング装置(商品名「Producer」,アプライドマテリアルズ社製)を使用し、Arスパッタリング(洗浄処理)時間を3分とした。
【0114】
〔実施例4〕
洗浄工程において、硫酸洗浄処理の時間を43秒から86秒としたこと、および、硫酸洗浄処理の後にアルゴンスパッタリング洗浄処理を行ったこと、以外は実施例1のプロセスと同様にして、上記のウエハ積層体に対して実施例4のプロセスを行った。実施例4におけるアルゴンスパッタリング洗浄処理では、スパッタリング装置(商品名「Producer」,アプライドマテリアルズ社製)を使用し、Arスパッタリング(洗浄処理)時間を3分とした。
【0115】
〔比較例1〕
洗浄工程において、酸素プラズマ洗浄処理を行わなかったこと以外は実施例1のプロセスと同様にして、上記のウエハ積層体に対して比較例1のプロセスを行った。
【0116】
〈抵抗値測定〉
実施例1~4および比較例1の各ウエハ積層体について、形成された総数71の貫通電極のチェーン抵抗(デイジーチェーン抵抗)の値を測定した。その測定結果を図4から図7に示す。図4は、実施例1および比較例1に係る各チェーン抵抗測定結果を表すグラフである。図5は、実施例2および比較例1に係る各チェーン抵抗測定結果を表すグラフである。図6は、実施例1、実施例3、および比較例1に係る各チェーン抵抗測定結果を表すグラフである。図7は、実施例3、実施例4、および比較例1に係る各チェーン抵抗測定結果を表すグラフである。各グラフにおいて、横軸は抵抗の値(Ω)を表し、縦軸は累積確率(%)を表す。また、グラフ中の各プロットは、所定の一の貫通電極のコンタクト抵抗(第1シリコンウエハの配線パターンとその上の貫通電極とのコンタクト抵抗)を示すものである。
【0117】
[評価]
上述の抵抗値測定において、実施例1~4の方法により形成された貫通電極の99%の測定点のコンタクト抵抗は、700Ω以下(実施例1)、450Ω以下(実施例2)、150Ω以下(実施例3)、および250Ω以下(実施例4)であった。図4から図7に示すグラフから、実施例1~4の方法において形成された貫通電極のコンタクト抵抗値は、比較例1の方法において形成された貫通電極のコンタクト抵抗値よりも、大きく低減されていることや、ばらつきが大きく抑制されていることが、判る。
【0118】
以上のまとめとして、本発明の構成及びそのバリエーションを以下に付記しておく。
[1]配線パターンを含む回路形成面を有する第1ウエハ、主面とこれとは反対の裏面を有する第2ウエハ、および、SiOC系ポリマーを含有し且つ前記第1ウエハの前記回路形成面と前記第2ウエハの前記裏面との間に介在する接着剤層、を含む積層構造を有するウエハ積層体を用意する、第1工程と、
前記ウエハ積層体において、前記第2ウエハの前記主面側の一部をマスクするマスクパターンを介しての当該第2ウエハ側からのエッチング処理により、当該第2ウエハおよび前記接着剤層を貫通して前記第1ウエハにおける前記配線パターンに至るホールを形成する、第2工程と、
前記ホールの内面に絶縁膜を形成する第3工程と、
前記ホール内の前記絶縁膜における前記配線パターン上の部分をエッチング除去する第4工程と、
前記第4工程を経た前記ウエハ積層体を、酸素プラズマ洗浄処理および/またはアルゴンスパッタリング洗浄処理を含む洗浄処理に付す、第5工程と、
前記洗浄工程を経た前記ホール内への導電材料の充填によって導電部を形成する第6工程と、を含む半導体装置製造方法。
[2]前記SiOC系ポリマーにおける、炭素割合は、20~70質量%、30~70質量%、又は40~60質量%であり、水素割合は、2~20質量%、3~15質量%、又は4~10質量%であり、酸素割合は、10~40質量%、15~35質量%、又は20~30質量%であり、ケイ素割合は、3~40質量%、5~30質量%、又は10~20質量%である、[1]に記載の半導体装置製造方法。
[3]エッチング処理は、反応性イオンエッチングである、[1]又は[2]に記載の半導体装置製造方法。
[4]前記洗浄処理は、酸素プラズマ洗浄処理およびそれより後のアルゴンスパッタリング洗浄処理を含む、[1]から[3]のいずれか一つに記載の半導体装置製造方法。
[5]前記酸素プラズマ洗浄処理の処理時間は、5~120秒、10~60秒、又は15~40秒である、[1]から[4]のいずれか一つに記載の半導体装置製造方法。
[6]前記アルゴンスパッタリング洗浄処理の処理時間は0.5~5分、又は2~4分である、[1]から[5]のいずれか一つに記載の半導体装置製造方法。
[7]前記洗浄処理は、酸素プラズマ洗浄処理およびアルゴンスパッタリング洗浄処理の間の硫酸洗浄処理を含む、[1]から[6]のいずれか一つに記載の半導体装置製造方法。
[8]前記硫酸洗浄処理の処理時間は、10~100秒、又は20~90秒である、[7]に記載の半導体装置製造方法。
[9]第6工程における導電材料の充填手法は、電気めっき法である、[1]から[8]のいずれか一つに記載の半導体装置製造方法。
[10]前記接着剤層は、シロキサン系有機無機ハイブリッド接着剤を含む接着剤組成物の硬化物である、[1]から[9]のいずれか一つに記載の半導体装置製造方法。
[11]前記接着剤層は、重合性基含有ポリオルガノシルセスキオキサンを含む接着剤組成物の硬化物である、[1]から[10]のいずれか一つに記載の半導体装置製造方法。
[12]前記接着剤組成物における前記重合性基含有ポリオルガノシルセスキオキサンの含有割合は、70質量%以上、80~99.8質量%、又は90~99.5質量%である、[11]に記載の半導体装置製造方法。
[13]前記重合性基含有ポリオルガノシルセスキオキサンは、シロキサン構成単位として、下記の式(1)で表される構成単位を少なくとも含む第1構成単位[RSiO3/2]、および、下記の式(2)で表される構成単位を少なくとも含む第2構成単位[RSiO2/2(OR')]を含む(第2構成単位におけるRとR'は同じであってもよいし異なってもよい)、[11]又は[12]に記載の半導体装置製造方法。
【化6】

(式(1)におけるR1および式(2)におけるR1は、それぞれ、エポキシ基または(メタ)アクリロイルオキシ基を含有する基を表す。式(2)におけるR2は、水素原子、または、炭素数1~4のアルキル基を表す。)
[14]前記重合性基含有ポリオルガノシルセスキオキサンの数平均分子量(Mn)は、1000~50000、1500~10000、2000~8000、又は2000~7000である、[11]から[13]のいずれか一つに記載の半導体装置製造方法。
[15]前記重合性基含有ポリオルガノシルセスキオキサンについての分子量分散度(Mw/Mn)は、1.0~4.0、1.1~3.0、又は1.2~2.7である、[11]から[14]のいずれか一つに記載の半導体装置製造方法。
[16]前記接着剤層の厚さは、5μm以下、4μm以下、又は3μm以下であり、0.5m以上である、[1]から[15]のいずれか一つに記載の半導体装置製造方法。
[17]前記第2ウエハは20μm以下、又は15μm以下の厚さを有する、[1]から[16]のいずれか一つに記載の半導体装置製造方法。
【産業上の利用可能性】
【0119】
本発明の方法によれば、接着剤層を介して接合されて多層化される半導体素子間にて低い配線抵抗を実現することができる。
【符号の説明】
【0120】
W ウエハ積層体
10,20 ウエハ
10a 回路形成面
10b 裏面
12 再配線層
12a 絶縁部
12b 配線パターン
20a 主面
20b 裏面
21 絶縁膜
30 接着剤層
H ホール
50 導電材料
51 導電部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7