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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-21
(45)【発行日】2023-01-04
(54)【発明の名称】回遊魚通路装置
(51)【国際特許分類】
   E02B 8/08 20060101AFI20221222BHJP
【FI】
E02B8/08
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2021039583
(22)【出願日】2021-03-11
(62)【分割の表示】P 2019508299の分割
【原出願日】2017-04-28
(65)【公開番号】P2021099027
(43)【公開日】2021-07-01
【審査請求日】2021-04-05
(31)【優先権主張番号】20165371
(32)【優先日】2016-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(31)【優先権主張番号】16207458.7
(32)【優先日】2016-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】518380838
【氏名又は名称】カラシダン オーワイ
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】アイッタニエミ,タルモ
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-040645(JP,A)
【文献】特開2016-027224(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第10003761(DE,A1)
【文献】韓国登録特許第10-0321942(KR,B1)
【文献】米国特許第08262317(US,B1)
【文献】特開2011-052504(JP,A)
【文献】特開2006-233468(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02B 8/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回遊通路システムを実行するための回遊魚通路装置(以下、「MFPU」と称する)であって、前記MFPUは、水圧流装置を備え、
前記水圧流装置は水流中を魚が移動するように構成され、かつ前記水圧流装置は:上昇管;取水管;および分岐部品を備え、
管の接続は前記分岐部品に存在して、前記上昇管および前記取水管を前記分岐部品に接続するように構成され、それによって、前記取水管はダムに対する上流位置から前記分岐部品に水を取込み、前記ダムに対する下流位置に向かう取水点から供給点に向うように構成され、前記供給点から前記上昇管への前記魚のアクセスを提供するために前記供給点には魚ゲートが配置されており、前記魚ゲートは、前記河川上流の前記上昇管にいる前記魚を出口点の位置まで移動できるように構成され、前記取水点は前記出口点よりも高い水位に配置されるように構成され、
前記分岐部品の前記供給点において吸引流を構築するように構成され、かつ前記魚が前記上昇管に進入して前記上昇管中を前記吸引流で輸送され、かつ前記出口点において前記吸引流を放出するようなアクセスを提供するように構成され
前記供給点の魚ゲートは付近の魚の存在の検知を作動開始の応答として、前記魚ゲートが開放されるように構成される、
MFPU。
【請求項2】
誘引水の流れを前記供給点に供給するように構成された誘引水供給システムをさらに備える、請求項に記載のMFPU。
【請求項3】
前記供給点の位置に放出器形成体をさらに備え、前記放出器形成体は、前記上昇管へ向かう吸引流を生成して、前記供給点から前記出口点に向かって水を供給するように構成される、請求項に記載のMFPU。
【請求項4】
前記取水管は、前記取水管の管の流れの圧力損失を少なくとも相殺するためのポンプをさらに備える、請求項に記載のMFPU。
【請求項5】
前記ポンプは取水点または取水点付近に配置されて、前記取水管の圧力を増強するように構成される、請求項に記載のMFPU。
【請求項6】
ダムを通過する回遊魚をガイドするためのシステムであって、前記システムは請求項1に記載のMFPUおよびサイフォン管を備え、
前記サイフォン管は前記ダムに対する上流位置から前記ダムに対する下流位置にサイフォンするように構成されて、回遊魚の戻り通路を形成するように構成され、
前記上昇管、前記取水管、および前記サイフォン管のうちの少なくとも1つは、河系において周知の魚のサイズに基づいて寸法決めされ、前記水圧流装置が前記魚を上流または下流に輸送するように配置される、
システム。
【請求項7】
魚を通過させる魚ゲートをさらに備える、システムであって、
前記システムは、センサに基づいて、以下の場合(1)~(5)のうち少なくとも1つが生じた場合に、前記魚ゲートを開放することによって管内の流れを開放するように構成される:
(1)魚が前記サイフォン管の上流位置の前記魚ゲートにいて、下流に向かおうとしている;
(2)魚が前記サイフォン管の下流位置の前記魚ゲートにいて、前記サイフォン管の外の上流に向かおうとしている;
(3)魚が前記上昇管の下流位置の前記魚ゲートにいて、前記上昇管に進入しようとしている;
(4)魚が前記上昇管の上流位置の前記魚ゲートにいて、前記上昇管を出ようとしている;
(5)前記上昇管および前記サイフォン管のうち少なくとも1つの管の中間位置、すなわち前記管の上流位置と前記管の下流位置の間にある前記ゲートに魚がいる場合、
ことを特徴とする、請求項に記載のシステム。
【請求項8】
前記システムは、前記魚ゲートにセンサをさらに備え、前記管において前記魚ゲートを開放するように作動する閾値に基づいて、前記ゲートの開放を開始する距離で魚の存在を検知するように構成される、請求項に記載のシステム。
【請求項9】
前記システムは、前記上昇管、前記取水管、および前記サイフォン管のうち1つの端部に魚ガイド形成体をさらに備えることにより、前記上昇管、前記取水管、および前記サイフォン管へ前記魚をガイドし、前記上昇管、前記取水管、および前記サイフォン管のうち少なくとも1つから前記魚を放出するようにガイドし、また前記魚がタービントンネルへ進入するのを防ぐように構成される、請求項に記載のシステム。
【請求項10】
前記システムは、河床底に河床底形成体をさらに備えることにより、沈み木がタービントンネルに進入するのを防ぎ、または前記沈み木が前記システムを損傷させるのを防ぐように構成される、請求項に記載のシステム。
【請求項11】
ダム、発電機、別の流れ障壁、魚梯、河川水路、河川水、河床、前記システムから捕獲された魚、ネット、ガイド、捕獲ネット、水および/または魚のための試料採取インターフェイス、そのような試料採取インターフェイスの一部、魚計数装置もしくはその一部、魚の撮像装置のうちの少なくとも1つをさらに備え、静止画像を撮るための前記撮像装置および/またはビデオを撮影するための装置に、水力発電所、水車場、水流エネルギーを利用するための装置、前記水流エネルギーを利用するためのユーティリティプラント、ポンプ、機械式流れエネルギー生成装置などの前記ポンプへのエネルギーを生成するための生成装置、発電装置、タービン、タービントンネル、骨材、逆方向の回遊魚通路装置(UPFM)および/または燃焼ユーティリティ、燃焼機関、ゲート位置における魚の近接を検知するための魚センサ、ゲート位置における魚の近接を検知するための前記魚センサの開始に従って応答可能に開放および/または閉鎖するように構成されている自動ゲートをさらに備えることを特徴とする、請求項に記載のシステム。
【請求項12】
前記システムは、前記システムの管内の魚用の酸素を確保するための通気装置または酸素発生装置を備える、請求項に記載のシステム。
【請求項13】
前記河川のダムが流れ障壁である、請求項に記載のMFPU。
【請求項14】
前記MFPUが、前記供給点に誘引水を供給するように構成される誘引水供給システムをさらに備える、請求項に記載のMFPU。
【請求項15】
前記MFPUが、少なくとも1つのポンツーンまたはブイを備える、請求項1に記載のMFPU。
【請求項16】
前記MFPUが、接続-係留部品を備えることにより、前記MFPUを河川の河床または河川プールに係留させるように構成される、請求項1に記載のMFPU。
【請求項17】
前記MFPUが以下の構成要素のうち少なくとも1つを備える、請求項に記載のMFPU:
前記出口点の手前の前記上昇管内に配置される試料採取点であって、前記試料採取点は、前記上昇管内を通過する魚を写真または動画で撮影できるように光学機器用の透明部分を備えたウィンドウを有する、試料採取点;
前記上昇管内で魚の数を計測するためのカウンタ;
レーザ光の光源;
白色光の光源;
カット・ライト・ビームカウンタであって、通過する魚を原因とするパルスを計測し、かつ前記パルスの持続時間に戻づいて魚のサイズを推定するように構成された、カット・ライト・ビームカウンタ;
魚のサイズを推定するためのバックグラウンドスケール;
インターネットに接続し、情報ネットワークを介して遠隔地から測定を行う、遠隔測定システム;
魚が存在する場合の水とその成分に基づく吸光を用いる吸光度測定器;
前記採取点の水門であって、魚を捕まえて個別計測したり、魚を戻したりできる、水門;
光学機器用の光学採取点であって、前記上昇管のウィンドウを通過する魚の種類やサイズを推定できるように構成された光学採取点;
情報ネットワークに接続された情報ネットワークサンプリングポイント;
前記情報ネットワークに接続されたデータベース。
【請求項18】
前記MFPUが以下の構成要素のうち少なくとも1つを備える、請求項1に記載のMFPU:
ガイド;
複数の分類ネットから構成される分類ネットであって、前記分類ネットの網目の大きさに基づき魚を分類するように構成され、前記分類ネットの段階的なシリーズにおいて、魚がネットを通過した大きさの画分により、魚を分類するように構成された分類ネット;
ガイド用のネット;
魚捕獲用のネット;
光を透過させる透明なガイド;
光を透過させる不透明なガイド;
水、魚、またはそれらの一部を採取するための採取点;
魚計測機器、またはその部品
制御装置;
タービン;
発電機;
魚のサイズに応じて分類するポート。
【請求項19】
前記ネットまたは前記ガイドは、前記上昇管または前記取水管のどちらかの端部に配置される、請求項18に記載のMFPU。
【請求項20】
前記ネットまたは前記ガイドは、分類された各々のサイズに応じて、特定のサイズのサイフォン管または上昇管、対応する分岐を備えることにより、サイズ分類された魚の分類研究を可能にするように構成される、請求項19に記載のMFPU。
【請求項21】
以下の構成要素のうちの少なくとも1つをさらに備える、請求項1に記載のMFPU:
誘引水用の弁を含む一連の弁を備える弁システム;
弁の開放・閉鎖の制御を行う弁システム;
前記MFPUを用いて魚のアクセスを制御する魚ゲート;
ポンツーンまたはブイ;
前記MFPUを河床のプールと係留するための係留用インターフェース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
非常に一般的なレベルでは、本発明の実施形態は河系構築物に関するが、より具体的には、建設された水域であっても回遊魚が上流で放卵するのを可能にするために河系を妨害しないような水路を作ることに関する。但しさらにより具体的には、本発明の実施形態は、水圧流装置に関する独立請求項のプリアンブルに係る水圧流装置に関する。本発明の実施形態は、当該装置を用いたシステムの実装のための回遊魚通路装置にも関する。
【背景技術】
【0002】
人間は再生可能なエネルギー源の利用のためにエネルギー生成において発電所の建設を必要とし、その結果、自然そのものに対する直接的な損傷だけでなく、さらには自然にとって有益な暮らしの源に対する損傷までもが生じる。
【0003】
自身の出生河川に戻って放卵するために上流に移動する回遊魚、特にサケ目、ウナギ目および/または同様の魚は、河床に発電産業または他の発電所で利用されるダムが建設されているような河川において障壁に遭遇する。
【0004】
発電所を横切る通路は、通り抜ける水路が建設されていなければ遮断される。たとえ水路が存在したとしても、特に魚がタービントンネルを通り抜けなければならない場合には下流に戻る若い回遊魚の通行は困難になり得る。魚は負傷して、このようにして疾患に曝されることがある。他方、魚が通行する通路は魚梯と同様にタービントンネルの廃水を通り、その魚梯は建設するのが非常に高価であるだけでなく景観に痕跡も残す。さらに、魚は1つの場所から別の場所へと飛び跳ねる際に浅いプールで損傷して高い疾患リスクに繋がることがある。
【0005】
さらに他方では、サケ類は例えば深い水域に行くことには引き寄せられず、そのような部分により稚魚はタービントンネルの中に戻ったりトンネルを通ったりするのが難しくなる。
【0006】
図1は、回遊魚114をその流れの上流に移動させ、このようにして水路117A、117Bを横切っているダム116を横切るためのアクセスそれ自体を容易にする公知の技術に係る魚梯の例を開示している。図1が示すように、魚梯は非常に頑丈に建設されており、景観に相応しくないだけでなく、強化および基礎工事でコンクリートを流し込んで構築するのが高価でもあり、そのような大型の構築物には大量の材料が必要とされる。またその組み立ては、景観115および魚梯の近くの水域下流をも台無しにする可能性のある土地掘削により長く続く。
【0007】
図1の例では、魚梯100は水路117A、117Bを通るための構造によって構成されている(バイパス通路100を設けずに水路の経路を全体的に迂回させた場合は、より高額な工事費がかかる。恐らく、工事中に水流109から受けるエネルギーは、利用できないか、あるいは利用可能であっても非常に乏しい)。
【0008】
地形115の河床において流れる水(河床の下流117A、上流117B)は、スロット101Aを有する区画を部分的に介して流れ(109)、その区画は流れ109と互いに連通している深さ103を有するチャネル102を形成する。安全ネット104は2つのそのような区画を覆い、例えばネットの下では中間部分も覆われている。魚通路100は仰角が1:18~1:30になるように緩やかに上昇するように構成されており、これは溢流111位置または河床にあるダム116の中間部分におけるダム116の垂直上昇部分よりも緩やかである。同時に、魚114がチャネル102の上流117Bに泳ぐために魚通路100の入口106を見つけるように、河床117Bの上流位置からの誘引水107が魚通路100を介して流れている。スロット101Aを有する区画には小さい通過ゲートが設けられており、各区画101Aは魚114が上昇段階の間に休憩することができるプールまたはその一部を有することができるが、図1は魚梯100の一部としての休憩プール105として中間点で機能する区画も示す。
【0009】
ここに開示されている例は、ゴミの移動が下流では拡散ネット110によって、上流では魚通路102の出口113にあるゴミ篩112によって制限されていることも示す。溢流は、ダム116を横切る誘引水107を生成するための溢流形成体108、111それ自体によってある程度構成することができる。
【0010】
図1の挿入図として左側の角に魚梯構造の図があり、通路100のチャネル102構造を形成するための魚梯100の一部としてのスロット101Aを有する区画の一例が示されている。区画およびスロット101Aの深さ103も図1に示されている。チャネル102のスロットとしてのゲート形成体10pもその挿入図によって示されている。
【0011】
公知の技術に係る魚梯は、下流位置から上流位置に付勢された上昇角度の中に装着されているまっすぐな水路からなるものであってもよい。
【0012】
従って、水力発電所の解決法の本設計は、魚の繁殖、スポーツ釣り活動およびそれらの派生物、発電所での発電ならびに修景の態様を混在させているが、大金およびなされる努力により上記問題に対する限界までの軽減または妥協された解決法をある程度提供することができる。さらに多くの場合、エネルギー生成以外の他の態様により二次的重要性が得られ、その結果、それらはエネルギー生成の態様によってのみ規定される一方的な用語に苦しめらせる。
【発明の概要】
【0013】
本発明の目的は上記問題を軽減することにある。本発明に係る解決法(回遊魚通路ともいう)は、上記問題を解決することができるか、少なくともそれらの影響が著しく軽減され、それにより現在の方法での河系またはその河川の一部の利用の結果である言及されている目的の問題を解決することができる水圧装置である。また、ここに提案されている回遊魚通路は極めて経済的であり、実際にその機能または発電を本質的に損なうことなく視界に入らないように修景することができる。
【0014】
本発明の実施形態に係る回遊魚通路は、それに関する独立請求項の特徴部分において特徴づけられている。本発明の一実施形態に係る回遊魚通路は水圧流装置を有し、この水圧流装置は、その独立請求項の特徴部分において特徴づけられている水圧流装置に関する独立請求項において特徴づけられている。本発明の一実施形態に係る回遊魚通路装置は回遊魚通路装置に関する独立請求項において特徴づけられている。
【0015】
本発明の一実施形態によれば、本回遊魚通路は上昇管、取水管およびそれらを互いに接続するための分岐部品を有し、前記分岐部品は上昇管の中に方向づけられる魚を進入させるための供給点をさらに含む。
【0016】
回遊魚通路装置は、本水圧流装置の管類を小型に実装するための手段として具体化されている。
【0017】
本発明の一実施形態によれば、本水圧流装置は本発明の一実施形態に係る回遊魚通路を有し、ここでは、河床における水流を河床にある流れ障壁すなわち河床における前記流れの上流にあるダムを越えるまで流すように構成するために、本水圧流装置は、ダムに対して上流の場所すなわち取水位置からダムに対して下流の位置すなわち供給点までの第1の取水管を備え、その供給点には、前記供給点から前記ダムの上流にある解放点までの第2の管すなわち上昇管の中に魚を放出するように構成されている魚ゲートが存在し、魚を上昇管においてその中の水流の中をダムの上流にある解放点まで上昇させ、前記取水点は前記解放点よりも高いレベルにある。
【0018】
より高いレベルとは任意のレベル基準に対する高さを指し、下流では例えば海面または、建設において建物の高さを定めるために建設工学において同様に使用される別の好適なレベル基準などである。従って、より高いレベルは、下降している河床による高低差を提供して実施形態においてみられるような圧力差を提供するための一実施形態ではダムからさらに遠く離れている上流位置も意味することができる。
【0019】
流れ障壁は河床における水の自然な流れに対する障害物とみなされ、流水は排水トンネルまたは同様の河床形成体を横切って配置されている通行チャネルとしての別個の通路が存在しなければ流れ障壁それ自体を通過することはできない。従って、発電用ダムは上流で放卵するための魚の移動に対しても特に障壁となる流れ障壁の例である。通行チャネルとしての魚梯それ自体は、上流で放卵するための魚の移動のために必須の河床に加えてその中を通るかその上もしくは下を通るように構成されているため、通過する水はその中に流れ込み、通過する水は自然な河床の中には流れ込まないが、河川および/または河岸の風景を台無しにし得る大型の構築物には流れ込む。
【0020】
そのように解釈される魚梯それ自体は実際には水流を連続的に妨げないが、その代わりに特に蛇行する実装(連続的に流れる水を保存するため)は水が流れなければならない距離を長くするだけでなく、上流位置から下流位置への方向のダムに対して上流の位置と下流の位置との間の水流もある意味で減速させる。
【0021】
但し、魚梯それ自体は通過する水流に対する障害物または深刻な妨害としてはみなされないが、魚梯における流れは自然な流れの河床とは異なる通路に沿って、または魚梯の河床とは異なる通路に沿って生じる。
【0022】
自然な水の流れにより河川の上流の解放点よりも高いレベルに取水点を設けることが容易になるという条件の範囲内で(例えば、平均基準で河床の急な上昇による)、必要であれば管内流損失を補償するために取水点と解放点との高度差を利用することができ、すなわち一実施形態によれば、利用可能なそのような代わりの実装が存在しない場合、あるいは本発明の適当な実施形態の変形に従って管内流損失(すなわち流れ抵抗による圧力損失)を補償するために使用されるポンプ動力の代わりとしてそのような実装を作製することが望まれる場合に、管内流損失の補償に一致するように高度差を選択することができる。
【0023】
本発明の一実施形態によれば、本水圧流装置は供給点に魚ゲートを有する。そのような魚ゲートは、好適なセンサによって検出される魚ゲート近くの魚の存在などの開始の観察への応答として開放されるように構成されている。魚ゲートそれ自体は公知の魚ゲートであってもよいが、本発明の一実施形態に係る使用において使用される。一実施形態によれば、十分に大きな魚がゲートを開放する開始閾値を超えることが検出されるように、魚の観察は魚のサイズに応じて指定される。その閾値は制御装置によって設定することができる。
【0024】
本発明の一実施形態によれば、誘引水流コースを用いてダムの上流からダムの下流に誘引水を供給する手段が存在する。
【0025】
本発明の一実施形態によれば、誘引水はサイフォンそれ自体によってダムの上流位置からダムの下流位置すなわち供給点またはその近くまで流れるように構成することができる。一実施形態の変形によれば、誘引水は例えば圧力降下によって引き起こされる管内流量損失を補償するためにポンプによって支援される誘引水ラインによって供給点まで運ぶことができる。一実施形態によれば、誘引水ラインは供給ラインにおけるいくつかの位置または複数の位置にも誘引水を供給することができる。
【0026】
本発明の一実施形態によれば、本水圧流装置は、供給点から出口点に向かう上昇管に供給するための吸引流を構成するための放出器形成体を供給点に有する。本発明の一実施形態によれば、放出器動作は、供給点またはその近くの位置からの吸引によって、およびさらには上昇管を通してダムの上流にある出口点まで上昇させるためにその中に魚が案内される(流れ内の形成体によって)放出器の吸引流を促進するために水を放出器形成体まで運び、かつ/または放出器の作動圧力を上昇させるように構成されているポンプによって後押しされている。一実施形態によれば、放出器は吸引のために水速を上げるための閉塞領域を含む放出器形成体を有することができる。
【0027】
本発明の一実施形態によれば、本水圧流装置は、取水位置とダムとの間、または任意にダムの後であるが供給点の前のその前記第1の管内に、取水管および/または上昇管のうちの少なくとも1つの管内流損失を補償するように構成されたポンプを有する。本発明の一実施形態によれば、流れおよび/または圧力に対するポンプ能力は調整可能であるように構成されている。別の実施形態によれば、調節特徴部は、ダムから上流および/または下流の位置における水位とは独立するように構成されているが、さらなる変形によれば前記位置の少なくとも1つに依存する方法で構成されている。氾濫または干ばつの一般的な条件下で少なくともある程度その方法で、本回遊魚通路の管内部の水圧に対する水深の影響を補償することができる。一実施形態によれば、設定値の維持のために必要であれば制御装置を使用して水位を監視し、かつそれに応じてポンプを調節することができる。
【0028】
本発明の一実施形態に係るシステムによれば、回遊魚をダムを通るように案内するために本システムは水圧流装置を備え、かつ追加で回遊魚のための戻り通路を構成するためにダムの上流の位置からダムの下流の位置までサイフォン管も備える。
【0029】
一実施形態によれば、回遊魚通路装置は、本システムにおいてサイフォンおよび/または本水圧流装置の実装に使用されている。
【0030】
本発明の一実施形態に係るシステムは、誘引水管とは別個のサイフォン管を有するが、本発明の一実施形態の変形によれば、前記サイフォン管よりも非常に短い誘引水管による前記サイフォン管からの誘引水の取り入れを容易にするために、誘引水管は少なくとも前記サイフォン管と接触しているかそれと組み合わせられている。
【0031】
本発明の一実施形態によれば、本システムは、魚が管に位置する魚ゲートの上流位置においてサイフォン管にいる場合に流れを開放するための魚ゲートを備える。
【0032】
本発明の一実施形態によれば、本システムはゲート位置において魚の存在を検知するためのセンサも備える。このセンサは公知の技術それ自体に従って実装することができるが、実施形態における使用のためのものである。
【0033】
本発明の一実施形態によれば、本システムは、ダムまたは別の対応する流れ障壁、水力発電所、水車場もしくは別のユーティリティまたは電気機械式装置、河床内の水および/または河床をさらに備えることができる。さらなる実施形態によれば、本システムはポンプおよび/またはポンプエネルギー生成装置、例えばその場での機械式流れエネルギー利用装置、発電装置、骨材および/または燃焼ボイラまたは燃焼機関も備えることができる。
【0034】
本発明の一実施形態によれば、本システムにおいてサイフォン管は、魚をサイフォン管に案内し、かつ/または魚のタービントンネルへの進入を防止するためのネット形成体を近くの位置に有する。一実施形態の変形によれば、ネット形成体は、魚が別の経路によってダムの下流に進むためにサイフォン管の開口部を通過することができないように構成されている。
【0035】
本発明の一実施形態によれば、本システムは、立木または沈み木がサイフォン管および/またはタービントンネルに進入するのを防止するために作られた河床形成体をサイフォン管位置に備える。本発明の一実施形態によれば、本システムは、河系に特有な種類の汚物がサイフォンに進入してそれらを詰まらせるのを防止するためのネット装置を有する。例えば、汚物篩がなければ木からの大量の葉がサイフォンを詰まらせることがある。迷路構造が沈み木および汚物の遊泳高さに対応する底からの高さに到達した場合に、表面と底との間の河床水域において動いている汚物および/または沈み木を捕獲することができるようなネットから迷路構造を具体化することもできる。メッシュサイズは、河系にいる魚のサイズおよび/または河系に特有な汚物に従って適合させることができる。
【0036】
一実施形態によれば、ネットは魚を案内するための好適なガイドで置き換えることができる。必要に応じて、そのようなガイドは透過性材料で作られていてもよく、かつ/またはガイドは、ガイド側面間に水路を提供するのに好適な部分に穴が開けられていてもよい。その穴あけは、そのような進入の防止が所望される場所に、案内される魚がその穴に嵌らないような穴を用いて行うことができる。
【0037】
他の実施形態は従属請求項および図示されているさらなる例に示されている。
【0038】
本発明の一実施形態に係る水圧流システムではそれ自体の内圧を利用することができ、ここでは、水は実際に少なくとも2回ダムを通って進み、1回目は取水管において作動流すなわち供給点で使用される流れを構成する際であり、2回目は上昇管において上昇流を構成する際である。作動流は一実施形態ではポンプによって支援することができる。
【0039】
本発明の最も単純な実施形態では、取水管はサイフォン管の実装としてのものであるが、本発明の一実施形態の変形によれば、取水管流の損失はそこに取り付けられているポンプによって補償することができる。本発明の一実施形態によれば、そのポンプは、ある程度は放出器位置における圧力増加により、および一実施形態の変形によればダムから上流および/または下流の位置における水位による好適な部分内の前記位置の少なくとも1つにおける圧力差のばらつきに応じて、上昇管の圧力降下を補償するように大きさを変えることができる。
【0040】
本発明の一実施形態によれば、頑丈に装着されている実施形態に関しては、それに対する第1の参照高さから測定される水の第1の水位または第1の高さにおいてダムに対して河川の上流位置から水が取り出され、水はかなり幅広の管である第1の管においてダムに対して下流位置に導かれ、そこには下流位置に第2の管すなわち上昇管が存在し、それは水をダムに対して下流の位置からダムに対して上流位置、すなわち前記参照レベルに対する第1の水位よりも浅いレベルである第2の水位に導き、そこでは、ダムの下流位置において魚のために開放するように構成された魚ゲートが存在し、魚ゲートは上昇管への魚の進入を可能にして、魚をダムの下流位置からダムの上流位置に上昇管内の水圧流において上昇させる。このようにして通過する流れは、魚ゲートが閉鎖されている場合には本質的に効率的に誘引水に制限される。誘引水は、制御装置の制御において専用の弁またはそれらの群によって調整することができる。さらなる実施形態によれば、そのような弁は電気信号および/または季節タイマー(season timer)によって遠隔で制御される。誘引水を使用して近くにいる魚を引き寄せて引き寄せられた魚を上昇させる。発電効率に対する通過する水の影響は最大でもほんの僅かであるとみなされる。
【0041】
次いで、進入する魚は、放出器を用いて構成された流れの結果として、具体化されている放出器形成体を介し、かつ上昇管を介して上昇管の中に吸引されて上昇管の端部の上流で放出されて、放卵場所への航海を続ける。一実施形態の変形によれば、取水管の流れは、上昇管の流れを参照高さに対して特定の水位まで確実に運ぶのに十分な圧力を保証するためにポンプによって後押しされる。最も生命力を有する魚の個体らが放卵して魚種資源を保存するのを確実にするために、上昇管の直径は河系において遭遇する最も大きい魚のサイズに従って大きさが変更される。一実施形態によれば、上昇管は、その直径が河系において遭遇する魚のうち最も大きい魚の寸法よりも少なくとも1.5倍大きくなるようにサイズ決めされており、そのような寸法は魚の遊泳方向の幅方向における魚の最も大きい尺度である。一実施形態の変形によれば、それぞれが異なる魚サイズに特有の寸法を有する上昇管の組み合わせが存在する。そのような実施形態では、より大きい魚のあまりに小さい管への進入は、例えば好適な上昇管のサイズに従って魚を分類するためのガイド形成体によって制限される。
【0042】
実際には、経済的および維持目的で考慮される修景が妥当かつ経済的であるが、本質的には視界に入らず、かつ/または景観の中に好適に溶け込んでいるように、管の好適な部分は河岸または河床底の中に埋めることができる。いくつかの実施形態では、産業施設は、それらが審美的に環境に適合することが推定されるという条件の範囲内であれば、管を故意に視界にあるように目に見えたままにすることができるようなものであってもよい。一実施形態によれば、魚が使用する管は透過性材料で作られている。但し一実施形態によれば、埋め込まれた管またはそのような管の一部には、そのような管が土壌または大きな暗い建物の中に隠れている場合に魚の進入をより容易にするための導管が設けられている。一実施形態によれば、そのような管における水域には魚のために適当な照明によって構成されるそれらのより自然に近い移動のための光を設けることができる。制御装置は光を制御することができる。
【0043】
具体化されている動作スキームは魚に対しても経済的に有効かつ安全なものであるため、本通路装置において魚梯通路および/または離昇を利用する技術に適用される従来の技術と比較して考慮した場合、外傷の結果として魚が病気になるリスクが著しく低下する。
【0044】
また、魚は上昇流の中で上昇している際にそのエネルギー資源を取って置くことができるため、元気な魚はその最大限界で奮闘している魚と比較して調子が良く、かつ放卵場所まで生き残る確率がより高い。より良好な形状の強い魚がより健康であるより多くの子孫を得ることはほぼ確実である。但し対照的に、より弱い魚も乗り切ることはできるが、それは全く簡単な問題ではない。いずれにしても、魚種資源の必然的急増が見込まれ、地域事業としての釣り観光をベースとする生計のためにもそれらが提供されることが推定される。
【0045】
具体化される回遊魚通路のさらなる利点としては、例えば、
-本回遊魚通路は必要に応じて視界に入らないように装着および修景することができること、
-当該管はコンクリートが流し込まれた構造と比較した場合に非常に経済的であること、
-点検が不要であること、
-タービンを通るトンネルは魚がそれらを通るために必要でないこと、
-実際にダムを通る流れはごく僅かであること、
-購入および建設するのに非常に経済的であり、その装着が容易かつ経済的であること、
-魚の上流への移動も安全であること、
-魚種資源の急増が見込まれること、
-魚は上流への移動後に調子が良く、かつ健康であること
が挙げられる。
【0046】
本回遊魚通路により、
-現在のダムに適用可能であるためタービンを通過するための高価で特殊な解決法を有することは必要でなく、
-当該管の装着それ自体は単純であり、
-経済的に効率的であり、
-魚は放卵場所においてもより健康でより元気であるため、本回遊魚通路を介してなされる上流への移動の場合に特に長期的に見込まれるように、その子孫もより元気になり、
-サケ河川および/または他の回遊魚河川において趣味釣りのために魚種資源がより豊富になり、
-釣り観光をベースとする地域事業が活発になる
というような付加価値も得ることができるが、挙げられている態様のみに限定されない。
【0047】
「数」という用語は、本出願では1から始まるあらゆる正の整数、例えば1、2または3を意味する。
【0048】
「組み合わせ」という用語は2から始まる整数を指す。
【0049】
「備える(含む)」という用語は、逸脱される形態においても非限定的表現として使用されている。
【0050】
「点」または「位置」、例えば供給点または位置という用語は、特に供給点、取水点、出口点または位置という用語に関連して文脈によって定められる点または位置、管端部および/または分岐部品端部を意味する。「第1の」および/または「第2の」などの用語は、1つの種の対象を前記同じ種の別の対象と区別するために使用されているため、対象の数をその表現において挙げられている対象の数のみに限定するものではない。
【0051】
以下の図では、実施形態の例が以下の図を参照しながらさらに詳細に図示および説明されている。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図1】公知の技術それ自体に係る魚梯の例を示す。
図2】本水圧流装置の動作についての本発明の例示的な実施形態の例を示す。
図3】具体化されている回遊魚通路の動作スキームの例を示す。
図4】本発明の具体化されている装置に係る管形態の3D図としての動作スキームの例を示す。
図5】出口位置における自由流のための移動式回遊魚通路すなわち移動式MFPUの例を示す。
図5A】具体化されているシステムのシステム要素の具体化されている例を示す。
図5B】具体化されているシステムのシステム要素の具体化されている例を示す。
図5C】具体化されているシステムのシステム要素の具体化されている例を示す。
図6】細部と共にシステム要素として具体化されている回遊魚通路装置すなわちMFPUの例を示す。
図6A】具体化されている回遊魚通路装置の細部の例を示す。
図6B】出口点および取水点を設けるための上流位置におけるシステム要素として使用するためのUPFMとして具体化されている回遊魚通路装置の例を示す。
図6C】システム要素としてのMFPUおよびUPFMなどの回遊魚通路装置を用いることによって具体化されているシステムの例を示す。
図6D】具体化されている回遊魚通路システムの例を示す。
図6E】一実施形態に係る制御装置の例を示す。
図6F】弁組立体動作の例およびそれぞれのタイミング例を示す。
図7】システム要素としての係留要素を用いたMFPU(および/またはUPFM)の河床底またはプール底への具体化されている係留についての例を示す。
図8】それぞれが弁の組み合わせを有するいくつかの供給点および回収点を有する回遊魚通路の一実施形態に係るスキームの例を示す。
図9図8の装置の例に係る本発明の一実施形態に関する3D図としての動作スキームの例を示す。
図10】ダムの近くの出口点における上流で魚を排出するための一例として本回遊魚通路からの魚の具体化されている出口を示す。
図11】遠隔の上流出口においてダムからさらに離れた上流で魚を排出させるための本回遊魚通路から魚を排出させるための本発明の例示的な実施形態を示す。
図12】ダムの近くの位置において河床の上流位置から下流位置へのタービントンネルを回避するためのタービンを超える戻り通路を構成するために使用するための具体化されているシステム部分を示す。
図13】ダムのさらなる遠隔位置において河床の上流位置から下流位置へのタービントンネルを回避するためのタービンを超える戻り通路を構成するために使用するための具体化されているシステム部分を示す。
図14】魚の存在を検知するための上流位置に位置するセンサによって具体化されるようなタービンを超える魚通路に沿って魚のために具体化されている戻り通路を形成する具体化されているシステム部分の動作スキームの例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0053】
特に他に指示がなければ、異なる図の適した部分には同じ参照符号が使用されている。同じ参照符号の中で、本発明の一実施形態の言及されている物体は同じ符号で言及されている別の同様の物体と必ずしも正確に同一である必要はない。代わりに、当業者はもし何か存在すれば、そのような実施形態間で使用されている文脈から潜在的な違いを観察することができる。本発明の実施形態は好適な部分において組み合わせ可能である。
【0054】
図2は、本発明の実施形態に係る装置を示すための具体化されている例示的物体200を示し、前記物体200は回遊魚通路装置(MFPU:Migratory Fish Passage Unit)のデモ版装置200としての受動的な例示的物体である。デモ装置200は、以下のような実寸大の装置に対応し、かつそれを表す部分、すなわち取水管1、上昇管3を介したそれらの上流への移動において供給される魚を回収するための供給点2、上昇管3、ダム4および出口点5を備える。「点」という用語それ自体は、供給点2および出口点5に関連づけて具体化されている装置の管端部を指し、本実施形態によれば、少なくとも管直径の距離がそれらの点における管端部の近くにあるものとみなされる面積または体積を定める。図示されている取水管1および上昇管3は、河床の下流の場所217Aと上流の場所217Bとの間のダム4を通って流れる本回遊魚通路を示す。
【0055】
例示的物体200は、例えば商談における例示目的のために、図示されている管およびその中を流れる方向に加えて小規模の物体200による特定のレベルでの動作原理を含む実施形態の例示を含む。
【0056】
図3は、本発明の一実施形態に係るMFPUにより具体化されている回遊魚通路の実装に関する動作スキームの例を示す。本装置の図示されている例によれば、本実施形態は当該管における流量損失の補償の保証のためにポンプ7を使用している。
【0057】
一実施形態によれば、当該ポンプは極めて長い管を有するような実施形態において、特定の動作冗長を提供し、かつ/または非常に長いラインへのポンプ能力を得るために、ダム4に対応する実施形態に従って、ダム4の上流または下流あるいは両位置に位置づけることができる(そこでは、単一のポンプは2つのより小さいポンプよりも装着するのがより高価になり得る)。本実施形態の例では、ポンプ7は上流位置に装着されているが、誘引水供給部10に供給するための分岐位置により近い位置に位置づけることができ、さらに一実施形態では下流位置における取水管の端部の近くに位置づけることができる。本実施形態に係る一態様は、ポンプ7がむしろ吸引型または圧力上昇発生型であるかという点にある。一実施形態によれば、故障および/または誤作動に対して動作を保証するために動作における冗長および多様性のために両方の型を設けることができる。
【0058】
具体化されている弁の組み合わせ99は、魚の進入および/または水流にとって好適な部分において上昇管および取水管内での流れを制御するのを容易にする。弁99については後でさらに考察し、弁組立体99の動作例は図6Dで検討する。上昇管の近くの位置では、上昇管3および/または取水管1および/または前記管(1、3)の分岐部において流れを制御するために、描かれている弁を開放するか、閉鎖するか、あるいは完全に開放した状態と完全に閉鎖した状態との間の状態に設定することができる。
【0059】
図3は、特に上昇管3の流れからサンプルのための魚捕獲だけでなく、水および/または水組成サンプルのためにも制御を行う制御装置301または流量測定装置を有するような一実施形態を示している。
【0060】
一実施形態によれば、装置301は流量制御のために流量を測定するために使用することができるものであり、すなわち好適なポンプである。装置301は試料採取ポート11での水試料採取における装置も示す(図5Cを参照)。このポートの好適に選択された構造を用いた場合、物体301の上流に位置している実施形態の変形において図示されているように魚サンプルを得ることも可能である。
【0061】
図3に関連づけて、図示されている例に係るチャネルおよびその管厚の例の図も存在するが、その厚さは図示されている例示寸法のみに限定されない。
【0062】
例えば、上昇管3は当該例において50mmの管によって縮尺されているが、取水管1は200mmの管(直径の寸法)によって縮尺されている。いずれの管もそれ自体は供給点2と出口5との間で一定の直径厚さにより描かれているが、本実施形態を本装置および/またはMFPUにおいて言及されている例示値のみ、または具体化されている一定の直径厚さのみに限定されるものではない。一実施形態によれば、誘引水供給部10は当該例において50mmの管直径によって構成されているが、この例は本実施形態を所与の例示的な実施形態のみに限定するものではない。
【0063】
ダム4に対して下流の位置217Aならびに上流の位置217Bも図3に図示されている。河床方向における自然な水の流れは矢印線の傾きによって示されており、その矢印の頭はダム4からの上流または下流へのそれぞれの方向を示している。
【0064】
図4は下流位置において具体化されている回遊魚通路装置の例示的な動作例を示す。図4の実施形態の例では、当該ポンプが具体化されている位置にあるような実施形態で使用される場合、図4に図示されていないポンプ7はダムの上流に位置している(例えば図3のポンプ7およびダム4を参照)。但し、ポンプを使用することを目的とするような実施形態では、当該ポンプは図示されていないが、実施形態の組み合わせによれば、当該ポンプをダム4の中、その近傍または隣接する位置あるいは下流に位置づけることができる。図3によれば、ポンプ7は、当該ポンプの吸引側が上流位置にあり、かつ加圧側が取水管1の下流位置にあるように具体化することができる。水採取点12、すなわち取水点12は、当該ポンプの前すなわち取水管1から上流方向にある。当該管および当該管形態を制御するための図4に関連する実施形態では、図3に例示されている装置も使用することができる。弁および流れの制御において制御装置を使用することができる。
【0065】
図4は、供給点が2つの分岐部を含む管から形成されている本発明の一実施形態に係る装置の例証的な3D図としての動作スキームの例を示す。本発明の一実施形態によれば、供給点は2つの部分を含むが、そのような実施形態のさらなる組み合わせによれば、分岐部の数はさらにより大きくすることができる。一実施形態のさらなる変形によれば、分岐部はそれぞれ互いに離れているが上昇管に結合するそれらの自身の端部を有する。その例は他の実施形態を言及されている実施形態のみに限定しないが、3つ以上のより大きな数の当該管の分岐部が存在していてもよい。一実施形態によれば、冗長な上昇管も使用することができる。本発明の一実施形態によれば、供給点をそれらの回転によって連続的に動作するように設定して、2つ以上の閉鎖状態と開放状態との間で変えて対応する上昇管またはその分岐部への魚のためのアクセスを提供することができる。
【0066】
図4の破線を有する楕円は下流位置におけるMFPUの一実施形態を示すために使用されている。
【0067】
本発明の一実施形態によれば、出口5をそれらの間に水圧差を構成するために表面からより深い深さのより低い位置に置くのをより容易にするように、図3の取水点12は表面の近くに設定されている。
【0068】
図5は、水が出口から出て上昇管3の端部から自由に流れ出すのを示すための本発明の一実施形態に係る機器による実証を示す。
【0069】
図5の機器は、図5に示すように車両またはトレーラにおいて移動可能であるように図5では縮小されていること以外は、回遊魚通路として発電用ダムに頑丈に装着するのに使用することができる大規模なものと同様の装置として具体化されている。この実施形態により、移動式回遊魚通路を小さい魚プランテーションで使用したり必要性および緊急の状況に従って局所的に輸送したりするのが容易になる。移動式回遊魚通路は好適な部分において図3に示すとおりに具体化することができるが、当該管は必要に応じて曲げることができる弾性材料で作られていてもよい。供給点、取水点および出口点の互いに対する相互位置は、移動式装置が上流位置にあるか下流位置にあるかに応じて決まる。必要であれば、図3のスキームに従って流れおよび/または後押し流を提供するためにポンプを使用することができる。図5は好適な部分において通路の本システム部分の移動式実施形態版が魚プランテーションにおいて使用されるタービンを通ることも実証している。
【0070】
図5Aおよび図5Bを参照すると、本発明の一実施形態によれば、水位が低下した際に取水位置12において取水管1の端部が水面の上のままにあるという危険を伴わずに、対応する位置における水位に厳密に従うために取水点12および/または出口5のうちの少なくとも1つが浮遊ブイまたはポンツーンに結合して配置されている。対応する方法で、それを供給点2において下流位置におけるブイまたはポンツーン501によって浮遊するように配置することもできる。実施形態のそのような例は図5Aおよび/または図5Bに図示されている。
【0071】
図5Aの例では、管端部において具体化されている取水点12は、取水点12をポンツーン502に取り付けることによって浮遊するように配置されているが、管端部は水位面下にある。別の実施形態によれば、出口5の管端部は、それをそのような深さまで水面下にあるようにポンツーンに取り付けることによって浮遊するように配置されている。本発明の一実施形態によれば、取水点12の管端部は、出口5の管端部と同じポンツーンに取り付けられているが、それらの間の圧力差を保証するために互いから一定の相互垂直距離hだけ離して取り付けられた状態で配置されている。またその垂直距離は、管端部5および12を河床において水の中を浮遊しているものとして互いから離すように位置づけることによって実装されていてもよく、管端部12はさらに上流に位置しており、その位置は垂直距離hを効率的に得るための河床上昇によって決まる。
【0072】
MFPUはダム4から下流の位置に一実施形態の変形として示されているが、本発明のさらなる実施形態によれば、別のMFPUを上流に使用して、管端部5および/または管端部12をその位置に保持する装置を提供することができる。そのような実施形態では、水流が好適な部分において逆になるように、上流位置における管の接続を下流位置において管の接続に関して変更してもよい。当業者は、本発明の実施形態を読んで理解すれば、その実施形態のための接続を行うことができる。図5Aおよび/または図5Bにおいて「5へ」および「2から」は、例えば図3の例に従って下流位置から上流位置への上昇管3を示す。
【0073】
本発明の一実施形態に係る図5Bの例では、ポンツーン502および/またはポンツーン501はそれぞれ、管端部5、12および/または管2の端部(503に関連づけられた位置)を水面下に維持するために特定のポンツーンプール504、503に係留されるように配置されている。一実施形態によれば、たとえ河川が平均的な河系回遊魚がなお遊泳することができる深さまでほぼ完全に排水されたとしても、ポンツーン501および/または502は、添付のようなポンツーン特有のポンツーンプールにおいて河川の非常に浅い水域にも関わらず浮遊し、かつ魚回遊動作を維持することができるように、ポンツーンプール503および/または504は河床RBBの中に沈んでいる。一実施形態によればポンツーンプールは、ポンツーンまたはブイが流れまたは風に沿って漂流するのを防止することもできる。
【0074】
任意の実施形態によれば、MFPUの取り付けは、図7の例に図示されているようにポンツーンに取り付けられた係留部品によって具体化することもでき、この係留部品は、大量に排水するような河系においてプールの中に装着されているが、任意にそんなに大量に排水しないような河系においてプールのない河床底には、回遊魚が移動して放卵する季節の間にプールは必要ではない。図7の概略図は、取り付けインターフェイスのサイズもかなり大きくすることもできるが、図示されている寸法比のみに限定せず、それどころか係留それ自体はワイヤによって具体化されるようなものなど、ポンツーンを所望の位置に維持するための多くの方法で行うことができることを示す。
【0075】
ポンツーンプールには浮遊している汚物の進入を防止するための好適な浅いネットおよび/または迷路が装備されていてもよいが、そのようなプールはプールの中に沈んでいるゴミおよび泥土を片付けることが必要になり得ることは明らかであろう。
【0076】
対応する方法で、ポンツーン501をポンツーンプール503によって下流位置に取り付けることができる。ポンツーン501はMFPUのポンツーンであってもよい。記号UPFMはMFPUのそのような一実施形態の変形を示すように使用されており、そこではMFPUは流れ方向の点で逆になっており(逆方向の略語UPFMによって図示されている)、ここでは、当該管は本装置の動作を提供するために上流位置においてそれに応じて接続されている。従って、ポンツーン502は逆に接続されているMFPU、UPFMのポンツーンであってもよい。次いで、供給点2の管端部を表面下の妥当な水位に固定することができ、回遊魚はたとえ水位のばらつきが大きいとしても乾燥条件下では本回遊魚通路の中に進入することができる。本発明の一実施形態によれば、ポンツーン502はUPFMのポンツーンであってもよいが、図5Aではそのように印は付されていない。
【0077】
一体化は、本回遊魚通路の配管からの好適な部分におけるライン内部の適用可能な部分を示すための破線によって、任意の実施形態それ自体として図5Aに図示されている。
【0078】
本発明の一実施形態によれば、以下のうちの少なくとも1つが一体化されている。供給点2における管端部、出口5における管端部および取水点12における管端部は、下流の供給点2およびポンツーン501が上流のポンツーン502それ自体とは別個であるが、一実施形態の変形によれば管および弁によって上流ポンツーンまたは言及されているような同様のものに接続されている/接続可能であるように、ポンツーンの一部に一体化されている。符号4はダムを示す。
【0079】
図5Aおよび図5Bでは、言及されている部分501、502、503および504は、本発明の一実施形態に係る水圧流装置を用いて形成されたシステムの本発明の一実施形態に係るシステム要素である。具体化されている装置の一部であり、かつ/またはシステム要素として使用される具体化されているMFPUおよび/またはUPFMそれ自体について図6図6Fも参照する。
【0080】
本発明の一実施形態の変形によれば、管端部における取水点12は、例えば好適な部分における河床底RBBおよび/またはプール(503、504)の底に係留されているそれ自身のブイまたはポンツーンに取り付けられている。
【0081】
当業者は本実施形態から、そのようなポンツーンを上の表面部分の好適な部分から好適な構築物にまで及ぶ様々な位置にも係留することができることが分かる。動作態様のためのブイまたはポンツーンへの取り付けの実装のために、具体化されているシステム要素の水輸送管も弾性部分を有する一実施形態において好適な部分に設けることができるため、好適な部分における弾性部分および/または曲げ材料により取水点はダム4の上流および/または下流の場所において水面レベルを辿ることができる。同様の方法で、水位のばらつきにも関わらず、水圧差を維持するために魚出口点5すなわち出口5には取水点12よりも下側の位置にブイまたはポンツーンを装備することができる。一実施形態によれば、取水点12および出口5は同じブイまたはポンツーンに配置されているが、取水点12が出口5よりも近い表面にあるように(図5A同様に距離hだけ)異なるレベルに配置されている。ポンツーンまたはブイはMFPUおよび/またはUPFMのポンツーンによって本発明に従って具体化することができる。
【0082】
例えば、取水管1によって水は供給点2の位置まで運ばれ、一実施形態では管610を介して部分602まで運ばれ、そこから魚は供給点にある放出器形成体吸引部を介して管603に通じる上昇管3の中に供給され、魚は上昇管3の流れの中で下流水域からダムを通って上流水域まで輸送されて出口5において上昇管3から出る。本発明の一実施形態によれば、特に魚が上流に移動するはずであるような移動の季節が続いている場合、取水点は魚にとって安全でない場合に魚がそこにアクセスできないように保護されている。当該管がタービンを超える魚通路として魚を戻すための戻り通路として使用されることが意図されている場合に、その保護は取外し可能であってもよい。
【0083】
一実施形態によれば、取水管は魚が戻る季節の間に利用することができ、放卵場所から戻る際にその管はタービントンネルを超える通路として使用することができる。そのような実施形態では、弁の組み合わせ99における好適な弁によって魚を上流位置から下流位置に通じる管の外に案内することができる。水損失を最小限に抑えるために弁を使用してダムを通る水量を制御することができる。これは魚が適当な弁99を通るのを可能にするためにそれらのタイミングに従って弁の組み合わせ99を制御することにより達成することができる。
【0084】
当該管の中に嵌まってほぼ間違いなく詰まりを引き起こし得る汚物または他の異物は取水点12から本装置にアクセスする水域から濾過することができる。弁の組み合わせ99は動作中にどの可能な分岐部を稼働させるかを制御することができ、そのような実施形態では、本回遊魚通路の部分と並行して動作される取水管1および/または上昇管3に対する組み合わせ実装が存在する。魚の本能により魚を所望の上流通路に案内することができるように回遊魚を供給点2に引き寄せるように、取水管1からの誘引水供給部10を配置することもできる。
【0085】
一実施形態の変形によれば、上流位置に例示されている位置としての試料採取ポート11(試料採取ポートを当該例に図示されている位置にのみ制限するという意図はない)は、上昇管の中を移動している魚の数を数えるための計数器を有する。試料採取または魚の計数は図5Cにおいて具体化されている例においても検討される。一実施形態の変形によれば、魚の計数は例えば光源からの光線に対する光信号に基づき、通過する魚は光線を切断し、そのように形成されたパルスは決定されるその長さを表し、その結果、魚のサイズおよび数の推定を表し、流れおよび魚の速度は光信号に基づいて十分に正確に推定することができる場合、変換インターフェイスにおいて好適な位置において電気信号に変換されて電気の形態にさらに処理される。魚の数および/またはサイズおよび/または種は、ローカルおよび/またはインターネットもしくは別の通信ネットワークを介してデータベースに保存することができる。計数器、カメラおよび/または撮像装置および/またはそれらの一部からの信号を使用して例えば制御信号を生成することができる。計数は任意に好適な部分において魚またはその一部の音響エコーに基づいていてもよい。
【0086】
一実施形態によれば、カメラも使用することができるため、上昇管3の魚通路にいる魚のサイズを確実に推定するために、背景に設定された規模および/または仮想規模の画像処理装置が使用される。魚の計数中に魚を検出するために使用される検出器は、その計数のための試料採取ポートにおいて陰になる魚(すなわち、管3の中で潜在的に同時に存在する他の魚の像を覆ってしまう程大きな魚)の存在により、他の魚それ自体を検出することができないが、存在し得る他の魚を検出することができる場合、パルス計数アプリケーションに基づく本発明の一実施形態によれば、密集した魚群が検出位置で生じて検出器装置を通過する場合に不感時間補正が必要になる場合がある。
【0087】
一実施形態の変形によれば、このカメラは、公知の種類の通常の計数自動化それ自体を介して変形実施形態によればインターネットとも組み合わせることができるため、現場でのその地域における魚の研究だけでなく、試料採取ポートを介して得られたデータを使用することができる遠隔にいる研究者による魚の研究も容易になる。その装着を行って、交換可能/開放可能な好適なフランジおよび使用することができる水での囲い込み(water-lock)を使用して、そのように捕獲され、かつ/または元の場所に戻る個々の魚を測定するための魚の捕獲も容易してもよい。
【0088】
好適な方法で光学式計数装置に対するシステム要素としての光源、例えばレーザ光または任意に白色光源を選択することによって、光信号の形態および/または成分のための分光計装置が魚および/または水および/またはその組成研究のために使用される場合、非侵襲的光学的方法により分光分析それ自体の吸収測定を行うことができる。
【0089】
本発明の一実施形態によれば、弁99それ自体はさらに機械的部品であってもよい閉鎖弁を含む弁の組み合わせを含むが、一実施形態の変形によれば、それは電気制御信号に従って制御可能な電子部品を有し、弁組立体99の少なくとも1つの弁の流れの機械的作用を前記弁が動作している場合にそこを通る流れに与える。一実施形態によれば、制御信号はデジタル信号であり、他の実施形態によれば制御信号はアナログ信号である。一実施形態によれば、信号はその信号を電気の形態に変換するためのインターフェイスに送られる光学的形態であってもよい。光学的形態の立ち上がり信号は、例えば強い磁場の存在が存在する位置では電気信号であることが好ましい場合がある。本発明の一実施形態によれば、制御信号伝送装置すなわち送信機および制御信号装置の受信機部分はデジタルまたはアナログである信号型に対して互換的に動作可能である。一実施形態によれば、光信号が水域において十分に長い距離まで伝搬することができない場合、水中での電波伝搬特性により有線信号通信が長距離の水中条件において好ましい。
【0090】
図3および/または図5Cも参照すると、出口5の前の上昇管3において具体化することができる試料採取点11を発電所の研究室さえも通って経路指定することができるため、そのための光学的施設のために管の中に透過性部分すなわちウィンドウが存在するという条件で、上昇管3内の魚の写真を撮影および/またはフィルム化するだけでなくサイズおよび種を非侵襲的方法によって推定することができる。そのような試料採取点11には魚を計数するための計数器が装備されていてもよい。本回遊魚通路システムの管状構造は、高い正確性で分析が行われる本実施形態のためにこの施設を提供する。当業者は本発明の実施形態から、そのように得られた測定データを電子信号としてインターネットまたはローカルネットを介して、必要な程度まで好適な部分において分析および格納される魚データに関心のある他の関係者に送ることができることが分かる。
【0091】
一実施形態によれば、この検出は、管内の魚の量によって決まる制御信号だけでなく、魚の位置に従うポート制御のための遅延信号も構成するために使用することができる。従って、魚を撮影するだけでなく、魚が個々のトレーサーを有する場合にはトレーサーを認識することができるようにそれらを好適な条件下で可視化することもできるが、トレーサーが能動的に情報を収集する場合には、そのような情報を試料採取場所11においてダウンロードすることができる。魚をビデオテープに収めることもできる。一実施形態の変形によれば、魚をそれらのサイズに従って好適にサイズ決めされた管に分類することもできるため、パターン認識において好適な部分に基づくように特定のサイズの魚の計数統計をそれにより、より確実に行うことができる。魚の数の推定において潜時補正を行うこともでき、魚がその計数場所に数多くいる場合、その計数はパルス計数および/またはパルス期間に基づく。
【0092】
試料採取点11を使用して、水試料採取を行うのに好適な弁が存在する好適な実施形態では水試料採取によって水組成を監視することもできる。そのような場合、例えば水の酸素含有量および/または他の気体、水由来の物質すなわち可溶性化学種、さらには微量レベルの物質、生物種および/または細菌あるいはサンプルからの他の微生物を研究することができる。酸素含有量は管内に同時に存在する管内の魚の数の指標として使用することができ、あるいは、そのように形成された指標は制御装置への入力として、および/または魚の数に従って酸素含有量を増加させるための制御信号を構成するために使用することができる。これは、ポンプ7によって流量を増加させ、そのようにして魚のために管における平均遅延を減らすことによってだけでなく、管内の魚のために空気または直接酸素を水域の中にポンプで供給することによっても効率的に得ることができる。それぞれに具体化されている試料採取ポートが設けられている上昇管の組み合わせでは、上昇管特有の方法で魚に従って動作パラメータを測定および/または調節することができる。
【0093】
本発明の一実施形態によれば、上昇管における流量を制御するために、得られる酸素濃度およびそれに依存するセンサ信号を使用してポンプ7を制御し、かつ/または供給点の近くの弁を開閉することができる。また制御信号は任意にあるいはそれに追加して二酸化炭素濃度に基づいていてもよい。当該センサは好適な部分に吸収および/または排出スペクトルを測定するための分光法を適用する光センサであってもよい。
【0094】
不透明度測定器を用いることによって、水の不透明度を監視して水由来の粒子状物質を推定することもできる。従って、魚のために綺麗な水を本システムに好適な部分において添加するために、不透明度測定器信号を使用して制御信号を構成することができる。具体化されているシステムの変形に従って、酸素濃度、粒子状物質および/または二酸化炭素濃度を示す測定信号を開始信号として使用して、閾値未満への信号の減少が観察された場合に応答として装置を起動させて水の中への空気または酸素生成を増加させることができる。試料採取場所における光学ウィンドウにより、水由来物質に関するデータを得るための分光学的測定も、水の組成およびその中の成分を監視するための発光および/または吸収分光法それ自体により容易になる。従って、その測定は媒体の弾性もしくは非弾性散乱および/または透過分析に基づいていてもよい。光は水を透過し、かつ/または肉眼的に決定可能な距離に変換されるような光領域電磁放射線であり、この距離は考察されている本出願の性質であり、試料採取点水域から検出装置の検出器まで少なくとも数センチメートルである。
【0095】
図6は、回遊魚通路装置MFPUを対象とする本発明の一実施形態の例を示す。
【0096】
本発明の一実施形態によれば、本回遊魚通路装置は、図6に具体化されている例として図示されている回遊魚通路装置MFPUによって実装することができる。図6はMFPUすなわち「魚シャトル」を示し、それは少なくとも1つのポンツーン501(但し例には2つ描かれている)を備える。その装置が、ポンツーンおよび魚がその中に遊泳することができるように角錐体601を提供する供給点(一実施形態では管603に位置するフラップを有する弁)が少なくとも部分的に表面下にある状態で水面に浮遊することができる限り、ポンツーン501の数、サイズ、形状または寸法は図示されている例に限定されない。角錐体の寸法は高さはd、幅はwの文字で示されている。これらの寸法は当該例において縮尺どおりにすることができるが、上昇管3に通じる管603に対して異なる寸法、アスペクト比および/または数を使用するような実施形態では必要でない。右下における細部には、矢印によって示されているアクセス流方向に対して壁角度βを有する角錐体が示されており、右角の出口側細部にはラベル「3へ」によって上昇管3に方向づけられている流れの進入も示されている。図6は2つの管603も具体化しており、どちらもMFPUから上昇管3への流れの排出のために角錐体601からの水をMFPUの「3への」出口点の出口に導き、図5Aおよび図5Bにおける概略図例が本システムを示すように、その中の流れを出口5に導く(図5A図5Bおよび図3を参照)。管603は、それらのフラップ608によりインターフェイス部分602に位置づけられている弁に従って水を角錐体から取り入れるように配置されており、それは取水管(図示せず)から、例えば水を取水管1の流れから当該管に導くための誘引水も提供し、当該管は、当該管の分岐部および対応する弁に従って流れをさらに分岐させて分岐された流れを制御するだけでなく、水の角錐体601から管603への放出のため、およびさらに流水において上昇管3の流れの中にいる魚を上流に位置する出口5に導くために作動流も提供するように構成されている(図3)。弁の組み合わせ99の弁は図6Fに関連づけてより詳細に説明されている。
【0097】
誘引水は誘引水の量を分与する弁の組み合わせによって送ることができる。これは、管610の垂直管分岐部の突起部を分割するためのフラップ位置によって、右にある細部と共に図6Fの細部によって示されている。左の610Bにおける破線はインターフェイス602の下の平らなチャネル天井を示しているため、チャネル610Bは誘引水を角錐体601に送るように構成されており、そのようにして角錐体601へのその進入のために魚に対する誘引水効果を増大させる。インターフェイス602は本実施形態例では内部に、魚の存在および/または図6Fに具体化されているスキームに従ってそれ自身の管603のためにそれぞれ動作される2つの弁を備えることができる。
【0098】
当該例の一実施形態によれば、弁は結合される魚ゲートセンサ制御信号によって、かつ/またはタイミングスキームに従って動作させることができる。一実施形態によれば、これらの弁は、例えば弁V2およびV6のために図6Fにあるようなタイミングスキームに従って動作させることができる。誘引水は、MFPUの誘引水分配を制御するための特殊な弁の組み合わせによって分与することができる。これらの弁の使用により水を取って置くため、ダムを通る水を連続的に溢流させる必要はない。MFPUの他の端部には、インターフェイス602としてのインターフェイスと同様の方法で動作する弁シャーシ607が存在する。図6Fに例示的に具体化されているように縮流部領域(VCR:Vena Contracta Regime)への魚のアクセスを制御するための弁も存在し、そこでは管603を介した取水管の流れはインターフェイス607を介して続く。一実施形態によれば、管603内の水(および対応する魚ゲート弁における魚)がそこへの流れの中においてVCおよびそれを介して上昇管3にアクセスすることができるように、管610を介したさらなる水による放出効果を提供することによって流れを部材607の位置まで後押しすることも可能である。縮流部領域は、MFPUから上昇管3の管幾何学形状への流れ形成体を形成する縮流部(VC)部品によって流れが塞がれている領域の例示的な参照である。
【0099】
加速度角度αとしてもみなされる収縮角度が右上の角の細部に図示されている。部品606は管603からの流れを部分606からVC部品に接続するための接続インターフェイスである。好適な実施形態における放出器動作は部分607における好適な部分において具体化することができるが、部分606は放出器出口の形成体を使用して流れをVC領域に導くことができ、この流れは上昇管3への流れの進入のためにVCにおいて加速される。
【0100】
部分605は、ポンツーン501への支持体および管603への支持体604を有するMFPUのシャーシを表している。これらの支持体のために具体化されている例は、実施形態の範囲を図示されている構造例または支持体の数のみに限定しない。
【0101】
破線610Bは、インターフェイス602から分離されたチャネル内の二次誘引水ラインのための浅いチャネルおよび/またはその中の弁を示す。
【0102】
本発明の一実施形態によれば、取水管1は好適な部分において管610に供給することができる。但し一実施形態の変形によれば、チャネル610Bへの誘引水はダムに対して上流の位置からの別個のラインにより供給することができる。さらなる変形によれば、そのような別個の誘引水ラインはポンプで、さらにさらなる変形によれば圧力ポンプによって供給することができるため、その供給は合理的に可能な程に真正な誘引水を提供するような速さである。一実施形態によれば、VC領域(VCR)は対称的であるため、角度αは垂直方向収縮の場合と同様に水平方向収縮の場合も同じである(図示されている図6の例では水平方向)。
【0103】
図6の部分のいくつかは具体化されている長方形の幾何学形状として図示されているが、当業者は本実施形態から、図示されている実施形態の範囲から外れることなくMFPUの長方形の幾何学形状の具体化されている部分を他の幾何学形状で実装することができることも分かっている。供給点2は一実施形態の一例としてフラップ弁608において具体化することができる。
【0104】
図6Aは、ページの上側にある一側面からの異なる視点から具体化されているMFPUを示し、これは側面からのMFPUの単一管装置の実施形態の例示でもある。フラップ弁608は右、下縁、上方に回動するために流れ方向に開放している。この例は、印が付されている高さHおよび長さLを有し、一例によれば、これらのそれぞれの寸法は約3mおよび12mである。これらの寸法は縮尺どおりである必要はなく、本実施形態の範囲を限定するものではない。左下には、その像は、ダムから下流の位置に進入する魚の位置から見ているかのような図であり、魚は角錐体601に進入しようとしているところである。
【0105】
図6Bは、魚のために浮遊している出口位置を提供するものとして使用されるような上流位置に位置するUPFM装置を示す。予備管類(UPFM装置に関して)が取水点のために図に示されている。図5Aおよび図5Bに示されている実施形態も一緒に参照する。フラップ弁は本実施形態で使用される場合、フラップの上縁においてヒンジの周りを回動することによって流れ方向に開放する。
【0106】
図6Cはタービンを超える魚通路の例示であり、そこにはダムに対して上流の位置において魚のアクセス端部を提供するために利用されるMFPU、およびダムに対して下流の位置において魚の出口端部を提供するための別のMFPUが存在する。アクセス位置と出口位置との間には、図12および図13に概略的に示されているようにそれらを接続するサイフォン管がある。これらの弁は、好適な部分において図12および/または図13に関連づけて具体化されているセンサだけではなく、魚の進入のために適用可能な部分において図6Fにも図示されているセンサにも従って動作させることができる。それらを備えたMFPU(またはUPFM)が下流に通じる管であるサイフォン管として誘引水に関して望ましくない流れを使用することが意図される場合、好適な弁を閉鎖することもできる。
【0107】
一実施形態によれば、MFPUはそれらの間のサイフォン管によって下流位置および上流位置にも接続することができ、そのようにして本装置によりタービン装置を超える魚通路が得られる。MFPUは下流位置においてそれ自体を具体化することもできるが、フラップ弁608は目的の管の流れの下流にある魚通路のために流れ方向に開放するように設定されているため、さらには内部管によって定められる下流方向は、特に流れを供給または使用する上昇管として使用されている上昇管のために河床によって定められる下流とは反対にすることができる。そのようなMFPUはUPFMとして表されており、そこでは、魚通路はMFPUシステム要素に対して逆であることを実証するために流れ方向はMFPUに対して逆である。
【0108】
サイフォン管の流れとして使用される取水管の流れを採取するような弁が設けられている一実施形態によれば、両方法に対する本システム動作のために1つのMFPUおよび1つのUPFMに対応することができる。但し、システムは両方向の魚移動のために専用のMFPUおよびUPFMにより具体化することもできる。好適な位置の好適な部分にMFPUおよび/またはUPFMを使用することにより水面レベルを辿るための単純な方法が得られる。
【0109】
図6Cには、UPFM装置のフラップ弁608が、上流位置に位置するMFPU装置のフラップ弁の方向に対して下流位置において反対方向に回動することができる一実施形態が図示されている。但し、これは当該管における流れ方向である。この動作は魚の進入を検知するための人感センサに従って制御することができる。取水管はサイフォン管として使用することができるが、下流位置から上流位置への魚のための通路が具体化されている場合には図6Cに図示されていない上昇管が必要とされることがある。またフラップ弁動作は、それらの上流への移動のために魚の下流への進入のために図6Aに図示されているように行われなければならない。
【0110】
一実施形態の変形によれば、角度αはMFPUおよびUPFMと正確に同じである必要はないが、後の例で考察されるように選択することができる。これは第1の角度α、α1および第2の角度α、α2としてのαの具体化されている例によって図示されており、これらは、一実施形態の変形ではそれぞれの専用の場所において最も少ない損失の点で最適化された流れのために異なっていてもよい。
【0111】
一実施形態の変形によれば、角度βはMFPUおよびUPFMのために正確に同じである必要はないが、後の例で考察されるように選択することができる。これは、第1の角度β、β1および第2の角度β、β2としてのβの具体化されている例によって図示されており、これらは、一実施形態の変形では専用の場所において最も少ない損失の点で最適化された流れのために異なっていてもよい。
【0112】
図示されている実施形態の例のために図6Dにも図示されているように、取水管1による下流での水生成のためにポンプ7を使用するような実施形態では、特に上流への移動のために1つの季節のみしか存在しない場合、または異なる上流移動季節を有する多くの種が存在しない場合、両方向にサイフォン管を使用することができ、従って上昇管3として示されている。ポンプ7は、取水管1を通して取水を送るための位置において選択性を示す破線によって示されている。
【0113】
一実施形態の変形によれば、サイフォン管を上昇管3として使用するために、取水管1の取水位置12を水面下であるレベルに好適に選択することができる。角錐体601は必ずしも上流位置において完全に水面下にある必要はない。一実施形態でポンプを使用して例えばポンプ負荷を軽減して、放卵の前後での魚の移動方向に従ってサイフォン管の流れ方向を逆にする場合、取水点12のための水位hをそれに応じて選択することができる。取水位置12の表面下レベルは、管1を図6Dの上流位置においてポンツーン502の下に描くための描画方法によって示されている。ポンツーン501および502は、対応するシステム要素を浮遊させるための下流および上流位置の一般的な条件にとって好適な部分において選択することができ、多くの場合、ポンツーン501と502との間のそれらの差は位置に関するものであり、目的のシステム要素MFPUおよびUPFMの残りが浮遊に対して十分に同様であるという条件であれば、それらの構造はほとんどの場合同じである。一実施形態の変形によれば、本システムの少なくとも1つのポンツーンにはポンツーンの浮遊深さを調節することができるシステムが装備されている。これは例えば、水の進入を可能するだけでなく、水をポンツーンから吹き飛ばすための圧搾空気システムにより上昇動作も有するような弁をポンツーンに設けることによって達成することができる。
【0114】
図6Eは、そのような制御装置または本システム要素の動作を制御するように構成されているセンターによって好適な部分において本回遊魚通路システムを制御する方法の実施形態の組み合わせを示す。図6Eの制御装置は、魚の存在を検出するためなどのセンサ信号630を読み取る手段を備える。制御装置は、上流および/または下流位置における温度、当該管内の水の組成、特に酸素および/または二酸化炭素含有量などの水の物理的特性を測定するための手段631を備えることもできる。分光計が使用される場合、好適な部分に組み込んだり外部構造と共に具体化したりすることができる。制御装置は、例えば弁の閉鎖および開放のために遅延を測定および/または設定するためのタイマー632も備えることができる。また弁の組み合わせ99としての弁の組み合わせをそれに応じて好適な部分において制御することができる。一実施形態によれば、制御装置は、ポンプ動作、流れ、水圧ポンピング633を介した管内の圧力などを調整するための手段も備えることができる。一実施形態によれば、制御装置は、マイクロプロセッサ634μP、メモリ635、特に測定データ収集に関して信号をデジタルおよび/またはアナログ形態間で変換するだけでなくそれらの種類および正常動作のための形態の必要性に従ってポンプおよび/または弁に対する制御信号も生成するためのADCインターフェイス接続手段636(適用可能な場合にはDACの動作も行う)を備えることができる。制御装置は、一実施形態において使用される場合には、試料採取点の弁および/または水での囲い込みを動作させるための手段637も備えることができる。
【0115】
一実施形態によれば、制御装置は、システムセンサが誤動作を示す場合(例えば、沈み木が管を壊して圧力損失などを引き起こす場合)に自己検査し、かつ警報を発するための手段638を備えることができる。この制御は、データ分析および/または信号処理におけるマイクロプロセッサの動作のためだけでなく、例えばインターネットを介した外部関係者への通信のためにデータを収集するためのデータベース639およびメモリ640も備える。通信手段641は、通信ネットワークの好適な通信プロトコルそれ自体に準拠するのに好適な部分では、有線、無線または光学式であってもよい。制御装置は、特に試料採取点に光を制御するための手段642も備えることができるだけでなく、管に照明が設けられている場合には同様の位置に魚を計数および/または測定するための計数器643も備えることができる。一実施形態によれば、制御装置は静止画像および/またはビデオを制御するためのカメラドライバ644も備えることができる。箱645は、本システム要素の動作のために電気および/または圧力を提供するのを制御するためのインフラ構造手段だけでなく、インフラを支持するために動作される異なるリレーおよび弁も示す。一実施形態によれば、制御それ自体は好適なマイクロプロセッサにおいて実行されるコンピュータプログラムによって実装することができるが、本システムは、所望の標的化システム要素またはその一部に制御を繋ぐための電気機械的インターフェイス接続装置も備えることができる。一実施形態によれば、制御装置は自立運転システム装置から発電所コンピュータシステムが組み込まれたシステム装置にまで及ぶ多くの方法で実装することができ、その実装それ自体は本実施形態を読んで理解すれば当業者には明らかである。一実施形態によれば、制御装置はセンサ動作および/または本システム要素またはその部分への制御信号の送信において使用されるインターネットを支持するための手段も備えることができる。
【0116】
図6Fは、図6図6Eに係るMFPUの例示されている実施形態における弁動作を示す。V1、V2、V3、V4、V5、V6、V7、V8およびV9は図6Fに弁として示されており、その開閉は水を取って置くための動作のために段階的に行われる。図6Fの例における弁は好適な部分における弁の組み合わせ99に属している。明るいシェルは開放している弁を示し、暗いシェルは閉鎖されていることを示す。弁V2およびV6は水を管603に供給するものとして動作する(図6)。開放位置では、V4およびV8が開放位置にあり、すなわちVCにおける先導体積を介して魚が上昇管3に進入するために開放されている限り、これらの弁により上流に戻る水の循環が容易になる。V4およびV8は、一実施形態では魚の安全のためのフラップ弁である。弁V3およびV7は、誘引水を対応する誘引水管610(破線によって図示されている誘引水ライン)を介して弁位置V4およびV8に供給するための閉鎖している弁であるため、魚はそれらの本能に従って上流の先端通路に進入して上昇管3まで移動することができる。本実施形態では、角錐体601における供給点における放出器動作のために、動作水に加えて誘引水をMFPUに供給するような分岐部にある取水管1から誘引水が取り出される。弁V1およびV5は魚にMFPUへのアクセスを提供するためのフラップ弁であり、それらの実装により上縁ヒンジが回動されるため、魚は損傷されることもその危険に曝されることもない。誘引水弁V9は誘引水が必要とされる場合には常に開放されているものとみなされ、二次誘引水を浅いチャネル610Bからインターフェイス部品602の下にも供給して、MFPUが動作中の場合に、対応するフラップ弁V1またはV5を介して角錐体601およびいずれかの管603に進入する魚の本能を増強させる。一実施形態によれば、弁V3、V7、V9のうちの少なくとも1つは制御可能な弁であり、弁V2およびV6も閉鎖状態と開放状態との間で制御可能であってもよい。一実施形態によれば、それらのうちの少なくとも1つはポンプを介して誘引水を供給するラインから供給される。一実施形態によれば、弁V3、V7およびV9のうちの少なくとも1つは、完全に開放された状態と閉鎖された状態との間で流れを設定するように電気制御信号によって制御可能である。V2およびV6はそれ自体が放出器動作を提供するものとして誘引水も供給するように動作可能である。但し、V1およびV5が閉鎖されている場合、魚が河川の上流に通じる正しいフラップを見つけることができるように、誘引水を弁V9および浅いチャネル610Bを介して角錐体まで下流に送ることができる。管603ならびにポンツーン501は、弁に関連する詳細の明確性のために図6Fには描かれていない。
【表1】
【0117】
表1には、示されている8つの段階例によって具体化されている弁V1~V9の段階的実行が示されている。V1、V4、V5およびV8はMFPUおよび上昇管3への魚の進入のために使用されるフラップ弁608として具体化されている。弁V2およびV6は例えば300mmの閉鎖している弁として具体化されている。弁V3およびV7は、例えば150mmの閉鎖している弁として具体化されている。弁V9は誘引水のための制御弁として具体化されている。
【0118】
図7は、システム要素によるMFPUまたはUPFMの河床底への具体化されている係留についての例の説明図を示す。係留700のための本システム要素、およびMFPUを河床底および/またはプール底に係留するために使用されるインターフェイス接続701すなわちMFPUの係留についての本発明の実施形態の例では、破線はインターフェイスを使用するための選択性を示すために使用されており、ここではインターフェイスは例えば河床底形成体のおかげで有利である。システム要素としてのそのような係留要素700は別々に、あるいはMFPU、UPFMおよび/または当該管を装着するための装着シャーシ、案内ネットおよび/または好適な部分において適用可能であれば弁と共に河床から離昇させることができる。例えば、河川に氷が存在するかを問わず、本システムまたはその要素への解氷に関連する損傷をこのようにして回避することができる。このインターフェイスはその取り付けにおいてコンクリート、ワイヤ、ビーム、ボルトおよび/または棒を使用することができる。特にインターフェイス接続が季節的および/またはさらには一時的であることが意図されているような実施形態では、好適な部分に迅速固定も使用することができる。
【0119】
図8はスキーム図としての本発明の一実施形態に係る回遊魚通路を示す。図8は、多回収実施形態の供給点を含む回遊魚通路装置の動作スキームを示す。それは、並列動作で構成された装置部分として図3に係る回収点の組み合わせを有する。この図では、魚Fは供給点2の近くのガイドGによって、そこから上昇管3にその分岐部に沿って出口5まで案内される。図8の例における上昇管は、1つの上昇管がそれぞれ供給点から供給ラインの組み合わせによって供給されるように、並行供給される実施形態として実装されている。この例は、同じ取水管1が4つの例示されている供給点の全てに供給することも示しているが、本発明は供給点の数、上昇管の数、分岐部の数の図示されている例あるいは例示的に具体化されているような当該管形態の例のみに限定されない。当業者は、ポンピング能力および所要の圧力差値が与えられる場合に、上昇管内の特定の流れのために多くの供給点を有する水圧流装置を提供するための本発明の実施形態に基づいて管状構造および分岐を変えることができる。管603および上昇管3の分岐部において弁が具体化されている。適用可能な場合には、VCは上昇管3に向かう603の延長部としてみなされる。
【0120】
図9は、本発明の一実施形態に係る図8の装置についての3D図として例示的な動作スキームを示すが、当該例において、本回遊魚通路装置を構成する本水圧流装置内に3つのみの分岐部が存在するような一実施形態のみが例示されている。MFPUと共に1つの分岐部も示されているが、MFPUの数を図示されている例のみに限定することを意図するものではない。但し、そこからの流れを回収するための供給点2からの分岐部または供給点への取水管1の分岐部の数は前記例のみに限定されず、実際には河床形成体および/または適用される河系に従う好適な任意の数であってもよい。一実施形態によれば、河川は自然な河川、建設された河川および/または好適な部分にその河床が人工的に建設されている河川の河川型であってもよく、また言及されている河川型の組み合わせであってもよい。誘引水10の供給は一例として示されている。
【0121】
図10は一例として回遊魚通路装置を示し、ここでは河床における魚出口5が上流であるがダムの近く、この文脈ではダムにあるプールまたはプール入口に位置している。例示的な実施形態では、魚は出口5から出てダム4の近くの本回遊魚通路からダムの上流の位置まで移動する。その例は出口5の位置の近くの底を示しているが、特に圧力差および/または流れから生じる圧力損失を補償するために本システム中に存在するポンプ7がある場合、出口5は表面のより近くにあってもよい。本実施形態の例では、供給点2は出口5以外の河床に沿ったさらに遠い距離まで位置しているが、本実施形態を図示されている例の形態および/または相対距離のみに限定することは意図されていない。
【0122】
本実施形態の例に図示されているが、ガイドGは河床底においてMFPUを介した上流への移動のための進入のために、魚を底すなわち底の近くの供給点2に案内する。一実施形態の変形によれば、供給点2を下流位置における表面の近くに配置づけることができる。一実施形態によれば、異なる水位に配置されている供給点の組み合わせを使用することができるため、魚はそれらの本能に従ってどの供給点にアクセスするかを選択することができる。一実施形態によれば、魚を底から供給点に向かって案内するためのガイドGを形成することができる。ガイドGは魚がそれにぶつからないために注視および認識することができるようなネット材料で作られていてもよい。ポンプ7はUPFMの例のためのポンプのように上流位置まで具体化されているが、例えばポンプ7は適用可能な場合には下流のMFPUまで具体化することもできる。
【0123】
ガイドGを示す素材はネット状のものとして描かれているが、ネットに加えて、あるいはネットの代わりに、パープレックス(perplex)または他の透過性材料も魚を案内するための本実施形態における好適な部分に使用することができる。魚が見ることができる同様の印を含む透過性材料からガイドを作製することもできる。一実施形態によれば、ガイドの両側の間での水交換を容易にするために、ガイドは穴の開いた透過性材料で作られている。この例示的な実施形態では、取水点12が水を本装置まで運んでMFPUおよび供給点2まで送り、このようにして水および魚を上昇管3に伝播されるまでその中に吸引して出口5から放出することができるように、ポンプ7を使用して圧力差を提供する。
【0124】
本発明に係る実施形態に関する例が図11に図示されている。本回遊魚通路の具体化されている装置では、ダム4の上流にある河床における魚出口5は図10の例示的な実施形態におけるものよりもダムからさらに遠くに配置されている。いずれにせよ、具体化されているように魚は出口5を出て、本回遊魚通路装置からダムからさらに遠い上流位置まで移動するように計画されている。さらに遠い上流位置は河床、ダムまたはその入口にあるプールの上流、さらには河床にある入り江であってもよい。当該例において、供給点は河床底の近くに具体化されているが、位置の選択は図示されている実施形態のみに限定されない。水位における位置を河川にいる魚の種に従って、すなわち魚の種の特定の行動に従って選択することができる。
【0125】
図12および図13は、河床の上流位置すなわちダムに近い位置(図12)およびダムからさらに遠い位置(図13)からタービンを超えて河床の下流位置までの魚通路のためのシステム部分を例示する動作スキームによって、好適な部分にMFPUおよび/またはUPFMを用いる本回遊魚通路に基づくシステムの実施形態を示す。両例では、「タービンを通る魚通路」が具体化されている。具体化されているシステムでは、それを用いて魚がダムの上流の放卵場所にアクセスする本発明の一実施形態に係る回遊魚通路に加えて、タービンを超える魚通路によって容易になる戻り経路も下流に存在する。タービンを超える魚通路は、本システム部分の一実施形態の変形によればサイフォンに基づいており、サイフォンは、さらなる実施形態の変形によれば河床に装着されている場合に連続的に動作する。
【0126】
但し任意の実施形態によれば、魚ゲート133に魚が全く存在しない場合にはセンサ132によって示されているようにサイフォン管内の流水は発電のために使用される発電機139に案内されるが、魚が存在する場合には魚が発電機において自身を傷つけることができないように魚を含む水の一部が魚ゲートに案内されるように、任意の発電機139をサイフォン管134の端部の下流位置に位置づけることができる。これは、センサの制御および流れにおける好適なタイミングに従って選択される2つの位置を有する弁によって達成することができる。
【0127】
一実施形態の変形によれば、サイフォン管134の中に供給される上流の供給点としてもみなされる所望の集合場所に魚を案内するためのガイド131によって魚を案内するためのネット形成体を用いて、魚をダムまたはその近く、あるいはダムからさらに遠い河床の上流の位置に集合させることができ、次いでそこから魚が下流の魚ゲート133にダムを越えて当該管から形成された通路に沿って案内されるため、上流に位置するセンサ132は魚ゲートを始動させて上流の魚をサイフォン管に沿った下流への航海に向かわせる。このセンサは魚の進入を検出して、必要であれば水を取って置くのに好適な応答時間による応答として魚ゲートの開放を開始するために、当該管内またはいくつかの他の近くの位置にあるサイフォン管の一方の端部において具体化することができる。そのような実施形態では、同時にサイフォン管の中に嵌まる魚よりも多くの魚がサイフォン管への途中に存在する場合に、魚ゲートはより最適に開放した状態を維持することができる。サイフォン管における水の酸素および/または二酸化炭素含有量は、上昇管における試料採取点構成に関連づけて説明されるような同様の試料採取により監視および測定することができる。このようにして魚の数を数えることができ、かつ/またはサイフォン管内の数を魚ゲートによって制御することができる。
【0128】
図12および/または図13における例に関する一実施形態の変形によれば、MFPUおよび/またはUPFMは、上流位置にあるサイフォン管の中に案内され、かつ/または下流位置において好適な部分においてサイフォン管の外に出るように魚のアクセスを提供するのに好適な部分において使用することができる。
【0129】
タービンを通る通路の例は動作スキームとして図14に図示されている。
【0130】
本発明の一実施形態によれば、ダム4は、システム要素としてのタービンを超える通路および/または回遊魚通路を有する。一実施形態によれば、ダム4は本回遊魚通路システムを備える。サイフォン管134は、発電所内およびさらにはダム4を通るその経路を有するものとして描かれているが、その例はサイフォン管経路指定の実施形態を図示されているレイアウトのみに限定するものではないが、サイフォン管の詳細な経路指定は、経済的、技術的および/または審美的に言ってそのように選択可能である場合に他の経路指定オプションも選択するために、発電所場所における局地的条件および景観によって決まる。
【0131】
ガイド131は魚がタービンに進入するのを防止する。本実施形態では水により魚が底に押しやられる。センサ132は制御コマンドをサイフォン管134の下流端部に送信する。魚ゲートとして機能する弁133は開放し、水は魚をネットの底からタービンを通るように案内する。魚が存在しない場合、弁133は閉鎖され、水は発電機139を介してタービンおよび/または総流の辺縁部の中に進入する。
【0132】
本発明の一実施形態によれば、システム要素としての発電所は、対応する具体化されているシステム変形に係る前記システム部分を含む本システムを構成する回遊魚通路および/またはタービン装置を超える通路を備える。本発明の一実施形態に係る水力発電所は本発明の一実施形態に係るダムを有する。
【0133】
本発明の一実施形態に係るシステムは、ガイド、ネット、案内ネット、捕獲ネット、透過性ガイド、水および/または魚もしくはその一部のための試料採取点、魚計数装置および/またはその一部、制御装置、タービン、発電機のうちの少なくとも1つを備える。本発明の一実施形態の変形によれば、当該ネットは、ネット開口部よりも小さい魚がネット開口部を通り抜けるのを可能にするように、ネット開口部のサイズによって魚をそれらのサイズに従って分類するように構成されているネット装置からのネットである。開口部すなわちメッシュサイズがより小さくなると、通り抜ける魚のサイズもより小さくなる。当該ネットが硬い材料で作られている場合、魚はネットを乱して積み重なることはなく、通り抜けることができるため、ネットが囲っている体積内の魚である囲まれた体積内の魚は好適なポートシステムによって計数可能であり、かつ/または粗野な魚としてその体積から除去して例えば家庭用動物への餌としてさらに利用される。
【0134】
そのようなネット/ガイド装置は、回遊魚システム要素である管の少なくとも一端に位置づけることができる。一実施形態によれば、各魚のサイズは、各クラスの魚の分別研究を容易にするために、サイフォン管および/または上昇管または対応する分岐部に特有のサイズを有することができる。
【0135】
当該ネットは、透過性もしくは不透過性ガイドの好適なガイドまたは光を通す他の好適な構造によって好適な部分において置き換えたり追加したりすることができる。
【0136】
本発明の一実施形態に係るシステムは、能動的魚近接センサの開始に応答して動作してゲートを開放し、かつ/またはゲートを閉鎖するように構成されている自動化ゲートのような魚近接センサおよび/またはその一部のうちの少なくとも1つも備えることができる。一実施形態の変形によれば、ゲートの開放は、直ちにあるいは特に本システム部分の位置および機能に従って予め設定した時間遅延のいずれかにより、動作準備状態まで別のシステム部分を起動させるための開始としてさらに使用することができる。従って、ゲートの開放を始動させた魚は、そこに取り付けられカメラシステムによって試料採取ポートにおいて、あるいはその目的のためのカメラシステムを備えた本システム内の別の好適な位置において撮影することができる。
【0137】
上流位置と下流位置との間の水を導く管内に多くの魚が存在する場合、本回遊魚通路システムは、水中の酸素および/または二酸化炭素濃度の監視信号に従って水およびその結果として当該管内の魚のための酸素を生成するための酸素発生器および通気装置のうちの少なくとも1つを備えることができる。
【実施例
【0138】
実施例1
装置としての本回遊魚通路は、本発明の一実施形態によれば、放出器部品において放出器動作を提供するための流れ形成体(図6、606、607)を備えるMFPUによって実装されている水圧流装置として具体化されており、これは取水管からの流れを少なくとも供給点に接続して魚の上昇管およびさらには上昇管内の通路を介して互いに出口へのアクセスを提供するために本装置内に配置されているため、取水管からの水は水が管603内に吸引されて(図6)上昇管の中まで移動するような放出器動作を行う。本発明の一実施形態によれば、本回遊魚通路装置は少なくとも1つのMFPUおよび/または少なくとも1つのUPFMを使用している。
【0139】
一実施形態によれば、上昇管は、流れ方向に対する上昇管の壁材料の角錐体の角度が上昇管の開始部において上昇管の開始部の近くの縮流部領域に縮流部を形成するように形成された、ある種の縮流部VCまたは出口角度α(MFPUに対して、図6を参照)を有するような縮流部の半分の形状を有する形成体をMFPUのその出口側にある当該管の開始点またはMFPUへの結合部のちょうど前に有する。一実施形態によれば、その角度は、上昇管に対する取入れ角度αとしても言及されている加速度角度である。本発明の一実施形態によれば、縮流部は、角錐形に成形された体積が図6に関連づけて具体化されているように画定されるような角錐体VCを形成するような形成体をその入力側に有し、その角度を、MFPUからその中への流れがその流れが上昇管に進入する場合に出るという理由から出口角度と呼ぶ。一実施形態によれば、図6の例における角度αは閉塞に従って概略的に図示されているが、管603のために概略的に示されているものよりもさらに遠い距離を異なる角度で具体化することができる。
【0140】
供給点は、図6および図6Aにおいて角錐部分として具体化されている水進入部分を有し、水進入部品601は流れ方向に関して角錐形態を有し、供給点の角錐体βは、水をMFPUの供給点においてMFPUの中に移動させるための噴出の自由角度として具体化されている。その形状は、流れラインからの水流の偏向を最小限に抑えるために、乱流および/または逆流損失による生じる流れ制限作用を最小限に抑えるように選択されている。
【0141】
本発明の一実施形態によれば、取入れ角度αの低レベル推定値は7°超であってもよい。本発明の別の実施形態によれば、取入れ角度αの低レベル推定値は10°超であってもよい。本発明のさらなる実施形態によれば、取入れ角度αの低レベル推定値は15°超であってもよい。本発明のなおさらなる実施形態によれば、取入れ角度αの高レベル推定値は40°未満である。本発明の別の実施形態によれば、取入れ角度αの高レベル推定値は30°未満である。本発明の別の実施形態によれば、取入れ角度αの高レベル推定値は20°未満である。本発明の一実施形態によれば、取入れ角度αは、挙げられている低レベル推定値(例えば7°)と挙げられている高レベル推定値(例えば40°)との間、例えば18°~28°である。
【0142】
本発明の一実施形態によれば、供給点の角錐体角度βの低レベル推定値は10°超であってもよい。本発明の別の実施形態によれば、角度βの低レベル推定値は15°超であってもよい。本発明の別の実施形態によれば、角度βの低レベル推定値は25°超であってもよい。本発明の別の実施形態によれば、角度βの高レベル推定値は55°未満である。本発明の別の実施形態によれば、角度βの高レベル推定値は40°未満である。本発明の別の実施形態によれば、角度βの高レベル推定値は35°未満である。本発明の一実施形態によれば、角度βは挙げられている低レベル推定値(例えば10°)と挙げられている高レベル推定値(例えば55°)との間、例えば30°~45°である。
【0143】
本発明の一実施形態によれば、流れ方向角度、特に取入れ角度αおよび/または供給点角度βに対する管壁はそれぞれ、MFPUの形態変化部分の各側において一定である。一実施形態によれば、前記一定は平均であるため、例えば旋盤よる製造または他の作業法の痕跡が原因でいつくかの段差、隆起部または他の一様でない表面が存在することがあるが、変形実施形態によれば、粘液を当該管壁に付着させて留まらせるために、円筒体の表面形成体が潤滑のためのモータオイルを維持する車のモータと同様の方法でその表面を故意に粗くすることができ、このようにして魚が縮流部または上昇管内部の周囲面において管壁にぶつかった場合にその粘液が魚を損傷から保護する。
【0144】
本発明の一実施形態によれば、縮流部領域における閉塞体積すなわちその流れ形態変化部分では、角度、取入れ角度αおよび/または供給点角度βのうちの少なくとも1つは数学関数に従う。一実施形態によれば、数学関数の形態は角錐体断面の関数の線である。一実施形態によれば、数学関数は指数関数であり、さらなるそのような実施形態の変形によれば一連の指数関数である。本発明の一実施形態によれば、数学関数はトランペット管の縦断面線である。
【0145】
本発明の一実施形態によれば、VC領域、特に閉塞部分における放出器部品すなわちVC形態の後のαは(および/または供給点角度βも)二重壁構造によって調整することができるため、当該管における閉塞体積に面している二重壁の前記壁のうちの少なくとも1つを弾性材料で作製し、このようにして壁の距離を二重壁で囲まれた中間体積にある媒体の圧力に従って調整可能にする。従って、壁の弾性部分の弾性は特に閉塞部における形態変化に影響を与えることができる。閉塞部分の近くまたはその部分の壁材料の厚さは、具体化されている二重壁で囲まれた構造の内側においてさらに遠く離れた位置における厚さよりも薄くして、角度αの少なくとも1つの調整を可能にして壁間の圧力に依存して変化させることができ、かつ取入れ角錐体の形態の可変性を流れ管の内壁に集中させることができる。
【0146】
一実施形態によれば、少なくとも1つの取入れ角錐体を含む角錐体部品を含む閉塞部分VCは、放出器によって作動される部品から上昇管への流れを設定するように構成されている。一実施形態によれば、放出器部品および閉塞部分はモジュール式に作られており、互いに分離して個々に維持することができる。その媒体は、特に最適な取入れおよび出口角度にとって好適な圧力を例えば好適に選択されたポンプまたはその側流弁または垂直位置にある水切り板によって維持することができる場合、利用能に従って水および/または圧搾空気またはそれらの任意の組み合わせであってもよい。
【0147】
本発明の一実施形態によれば、管610は、取水管の流れおよび/または圧力によって流れを維持し、かつ/または流れを特定の値に設定するために添付のように異なって形成された放出器形成体を有することができ、この流れは上昇管内への流れのために取水管の流れによって設定される。
【0148】
本発明の一実施形態によれば、VCの中および/または上昇管への流れを設定するための放出器形成体それ自体の具体化されている使用は、注入器吸引側形成体の蒸気推進式部分から始まる。
【0149】
好適な部分において具体化されている流れは、弁制御される放出器の組み合わせまたはそれを介した流れが完全に開放された状態と完全に閉鎖された状態との間で開放および閉鎖されるように制御されている弁の組み合わせにおける特定の弁によって制御される好適な流れ形成部品によっても設定することができる。弁の組み合わせは図6Fに従って具体化することができ、制御される動作は図示されている動作スキームに従って、あるいは必要に応じて好適な部分に適用可能な場合には魚ゲートセンサ制御信号によってタイミングが計られ、かつ/または段階的に実行される。
【0150】
実施例2
ポンプを利用して流れおよび/または他の圧力損失を補償する本発明の実施形態によれば、本システムへの冗長特徴を達成するための予備部品として冗長ポンプを並行して使用することができる。従って、冗長特徴を有するポンプのいくつかは交互に動作するが、1つのポンプを修理している間に、別のポンプを稼働させたり、冗長ポンプの組み合わせにおける追加のさらなるポンプとして予備に取って置いたりすることができる。
【0151】
本発明の一実施形態によれば、当該ポンプの組み合わせは、ポンプの組み合わせに多様性特徴を提供するための異なる構造および/または動作原理を有する異なって動作可能なポンプも備えることができる。この多様性特徴は、ポンプ型特有の方法で誤動作および/または故障の可能性に対抗することを目的とし、そのようにして当該ポンプの組み合わせによるポンピングを保護する。
【0152】
本発明の一実施形態によれば、この多様性特徴および/または冗長特徴は、当該管における流れおよび/または上昇管および/または輸送されるサイフォン管内への魚のアクセスの制御において使用される弁の組み合わせに対して構成されている。
【0153】
一実施形態によれば、この多様性特徴および/または冗長特徴は、本発明の一実施形態に係るシステム要素と同じように機能動作しているシステム要素の組み合わせに対して構成されている。
【0154】
実施例3
本発明の一実施形態によれば、具体化されている管、上昇管、取水管、供給管および/または他のシステム部分への結合部、本システム部分の一部は、好適な部分においてシャーシ上に装着されるように構成されている。本発明の一実施形態によれば、このシャーシ(図6、605)は機械的に硬く作られているため、具体化されている管はシャーシ領域にそのようなシャーシが実装されている装置が存在しない場合と同じくらい硬くする必要はなく、すなわち自己支持型である必要はない。従って本装置は、解氷が生じる/終わることが期待される場合に河床から離して/に戻すようにMFPUまたはUPFMを形成する好適な部分において離昇させることができる。一実施形態によれば、シャーシは本システムおよびその組立を支援するように構成されているシステム要素である。一実施形態によれば、季節に従って移動される移動可能な部分を備えるが、離昇特徴を有する実施形態はしっかりと装着されている実施形態とみなされる。
【0155】
実施例4
本発明の一実施形態によれば、具体化されているシャーシは、河床底それ自体(図7)に直接に、あるいはプールの中(図5B、部材503、504を参照)、あるいは特定の係留部品(図7に部材700として具体化されている)に係留されている。システム要素としての係留部品は本装置の取り付けおよび/または接続されている部分を河床の特定の位置に維持するように構成されているため、特に本装置の管類または本回遊魚通路システムのシステム要素のために同時に動作可能にブイまたはポンツーンを使用するそれらの実施形態では、MFPUおよび/またはUPFMは水により意図されている平均的な位置から遠くに移動すること、および/または河床の岩にぶつかることから防止される。本発明の一実施形態によれば、係留部品は、離昇(off-lifting)および設定を助けるために、好適な程度まで河床底に一致する形態に従って形成されている好適な一部および/または部分においてコンクリート、石および/または鋼または金属で作られている。係留部品は、それ自身の離昇回転によって同じ離昇内または直列の他のシステム要素によってそれを操作することができるように形成することができる。一実施形態によれば、季節に従って移動可能な部分を備えているが、離昇特徴を有する実施形態はしっかりと装着されている実施形態とみなされる。
【0156】
実施例5
本発明の一実施形態によれば、供給点は、上流に輸送されるために本回遊魚通路装置内に魚が進入するためのアクセスまたは上流の供給点位置では下流に輸送されるためにタービンを超える通路までのアクセスを提供するための弁99の組み合わせにおけるそのうちの1つである弁を含む。具体化されている弁については図6Fに関連づけてさらに詳細に考察する。本発明の一実施形態によれば、この弁は回動のためのフラップの上縁にヒンジを有するように構成されている。魚とフラップとの衝突が魚への損傷を引き起こさない、あるいはそれらは完全に回避されないとしても、そのようにしてフラップの具体化されている回動方向によって最小限に抑えられると思われる。
【0157】
本発明の一実施形態によれば、フラップはアクセス開口部に従って形成されている。一実施形態の変形によれば、フラップは長方形であり、さらなる変形によれば正方形に形成されている。一実施形態によれば、正方形の管の縁部と同じ直径を有する丸い断面の管と比較した場合に同じ流速でより大きい質量流を達成することができるように、供給点にある管は正方形に形成された管で作られている。
【0158】
実施例6
本発明の一実施形態によれば、取水管および上昇管は同軸方向に配置されている。本発明の一実施形態によれば、上昇管は取水管内部に配置されている。実施形態の変形によれば、上昇管の組み合わせが存在していてもよい。そのような組み合わせでは、全ての管は必ずしも同じ直径である必要はないが、上昇管のいくつかは河系内の魚に従って特定の直径のために魚のサイズ特有にサイズ決めされていてもよい。
【0159】
本発明の一実施形態によれば、上流位置から下流位置へのタービンを超える魚通路も適用可能であれば取水管またはその好適な部分によって具体化されている。一実施形態の変形によれば、サイフォン管は上昇管と同じ取水管の形態であってもよいが、実施形態のさらなる変形によれば好適な部分において分離されていてもよい。
【0160】
例示されているように当該管の入れ子状態は、その装着が困難または高価であるか、あるいはかなりの空間節約が必要とされる急勾配の山または同様の条件において有利であり得る。ダムの下流および/または上流の位置にあるMFPUおよび/またはUPFMを使用するようなシステムでは、当該管の挿入および/または貫通配置は、意図されている位置において当該装置の具体化されている目的に従ってMFPUおよび/またはUPFMを接続するための通常の接続に従って行うことができる。
【0161】
実施例7
一実施形態によれば、本システム要素またはその部分は機械的摩耗に対するコーティングで被覆することができる。本発明の一実施形態によれば、適用可能な場合には被覆は堆積防止のために行うこともできる。従って当業者は、本発明の実施形態を読んで理解すれば、例えば、DLCコーティングまたは摩耗に対する他の好適なコーティングによる管、結合部または弁それ自体の被覆方法が分かる。本発明の一実施形態によれば、管は河系条件下で機械的および/または化学的摩耗に耐えるのに適した材料で作られていてもよい。特に、例えば水系のpHは異なる部分の材料選択に影響を与えることがある。
【0162】
各特許請求項のための実施形態の範囲は以下の特許請求の範囲において定義されている。但し、本実施形態の個々の特徴は、目的の実施形態に係る本発明の概念の範囲内で変わってもよいことは当業者には明らかである。
図1
図2
図3
図4
図5
図5A
図5B
図5C
図6
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図8
図9
図10
図11
図7
図12
図13
図14