(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-21
(45)【発行日】2023-01-04
(54)【発明の名称】ワークピースを加工するための搬送装置及びシステム
(51)【国際特許分類】
B23Q 41/02 20060101AFI20221222BHJP
B23Q 41/00 20060101ALI20221222BHJP
H05K 3/00 20060101ALI20221222BHJP
【FI】
B23Q41/02 A
B23Q41/00 F
H05K3/00 J
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021077331
(22)【出願日】2021-04-30
【審査請求日】2021-06-25
(31)【優先権主張番号】20 2020 102 489.2
(32)【優先日】2020-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】521190004
【氏名又は名称】スカイブレイン フェアメーゲンスフェアヴァルトゥング ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Skybrain Vermogensverwaltungs GmbH
【住所又は居所原語表記】Odenwaldstrasse 67 63322 Rodermark Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】フロリアン クノース
(72)【発明者】
【氏名】ビョルン シュナイダー
【審査官】山本 忠博
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-102857(JP,A)
【文献】特開平05-192851(JP,A)
【文献】特開平04-354643(JP,A)
【文献】特表平05-508746(JP,A)
【文献】特開2003-292159(JP,A)
【文献】特開平05-146959(JP,A)
【文献】実開平02-134039(JP,U)
【文献】実開平04-046001(JP,U)
【文献】特開2011-223008(JP,A)
【文献】特開2000-126995(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 3/155-3/157,
7/00-7/18,
13/00,
37/00-41/08;
H05K 3/00;
B25H 3/02;
B62B 3/00-3/04;
B65G 49/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの工具(11)及び少なくとも1つのワークピース(6)を共に搬送するための少なくとも1つの搬送システム(2)を有する搬送装置であって、前記搬送システム(2)は、天井壁(3)と、前記天井壁(3)から隔てられた底壁(4)と、少なくとも1つの側壁(5)と、前記天井壁(3)と前記底壁(4)との間の少なくとも1つのスペース(7)とを備え、前記スペース(7)は少なくとも1つの開口(8)を備え、
前記天井壁(3)又は
前記搬送装置(1)の前記搬送システム(2)のうちの1つの前記天井壁(3)に
形状接続されたカバープレート(18)と、前記少なくとも1つのスペース(7)との両方が、それぞれ少なくとも1つの受容部を備え、これら少なくとも2つの受容部が、前記少なくとも1つのワークピース(6)及び前記少なくとも1つの工具(11)を受容するように適合されて
おり、
前記少なくとも1つの搬送システム(2)及び前記カバープレート(18)は、少なくとも2つの横方向に配置されたグリップタブ(19)を備え、
前記少なくとも1つの搬送システム(2)の前記グリップタブ(19)は、前記カバープレート(18)の前記グリップタブ(19)に嵌り込む、搬送装置。
【請求項2】
前記天井壁又は前記カバープレート(18)の前記少なくとも1つの受容部は、前記少なくとも1つのワークピース(6)を受容するように適合されていることを特徴とする、
請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つの開口(8)は前記搬送システム(2)の側壁(5)に配置されており、前記開口(8)は前記少なくとも1つのスペース(7)の断面積に少なくとも等しいことを特徴とする、
請求項1又は2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つのスペース(7)の前記少なくとも1つの受容部は搬送ボックス(9)を備えることを特徴とする、請求項1~
3のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの搬送ボックス(9)は、しまい込まれた位置から引き出された位置へ移行可能であることを特徴とする、請求項
4に記載の搬送装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つの搬送ボックス(9)は、少なくとも1つのガイドレール(14)によって案内され、前記搬送ボックス(9)は、前記しまい込まれた位置又は前記引き出された位置のうちの少なくとも1つにおいて、ラッチ手段によって固定されていることを特徴とする、請求項
5に記載の搬送装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つの搬送ボックス(9)は、前記しまい込まれた位置において、少なくとも1つの磁石によって固定されていることを特徴とする、請求項
5又は
6に記載の搬送装置。
【請求項8】
前記搬送装置(1)は、前記搬送ボックス(9)の位置を確定するセンサ装置を備えることを特徴とする、請求項
5~
7のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項9】
前記搬送ボックス(9)は、前記少なくとも1つの工具(11)を受容するための少なくとも1つのカセット(10)を備えることを特徴とする、請求項
4~
8のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項10】
前記工具(11)、及び/又は、前記少なくとも1つのワークピース(6)及び/又は前記少なくとも1つの工具(11)の受容部、及び/又は、前記搬送ボックス(9)、及び/又は、前記カセット(10)、及び/又は、前記カバープレート(18)は、少なくとも1つのマーキング、特に着色マーキングを備えることを特徴とする、
請求項9に記載の搬送装置。
【請求項11】
前記搬送装置(1)が少なくとも2つの互いに接続された搬送システム(2)を備え、一方の搬送システム(2)の前記底壁(4)が他方の搬送システム(2)の前記天井壁(3)に接続され、及び/又は、一方の搬送システム(2)のグリップタブ(19)が他方の搬送システム(2)のグリップタブ(19)に接続されており、前記少なくとも2つの搬送システム(2)が好ましくは形状接続を有することを特徴とする、請求項1~
10のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項12】
前記搬送装置(1)は個別のラベル(17)を備えることを特徴とする、請求項1~
11のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項13】
前記天井壁(3)又は前記カバープレート(18)の前記少なくとも1つの受容部は、窪みを有することを特徴とする、請求項1~
12のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項14】
ワークピース、好ましくは回路基板の加工のためのシステムであって、請求項1~
13のいずれか1項に記載の搬送装置(1)を少なくとも1つ備えると共に、少なくとも1つの加工機を備え、前記少なくとも1つの搬送装置(1)は、前記ワークピース(6)のうちの少なくとも1つ及び前記工具(11)のうちの少なくとも1つを、前記少なくとも1つの加工機に搬送するように適合されており、前記少なくとも1つの加工機は、前記少なくとも1つのワークピース(6)を少なくとも1つの前記工具(11)によって少なくとも1つの加工ステップにおいて加工するように調整されており、搬送装置(1)は、加工機の前記少なくとも1つの加工ステップに必要な全ての工具(11)を備えることを特徴とするシステム。
【請求項15】
前記少なくとも1つの搬送装置(1)は、搬送台車、特に自律的に走行する搬送台車によって、前記少なくとも1つの加工機に搬送されるように適合されていることを特徴とする、請求項
14に記載のワークピースを加工するためのシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの工具及び少なくとも1つのワークピースを共に搬送するための少なくとも1つの搬送システムを有する搬送装置に関し、搬送システムは、天井壁と、天井壁から隔てられた底壁と、少なくとも1つの側壁と、天井壁と底壁との間の少なくとも1つのスペースとを備え、スペースは少なくとも1つの開口を備える。
【0002】
また、本発明は、ワークピース、好ましくは回路基板を加工するためのシステムに関し、ワークピースを加工するためのシステムは、少なくとも1つの搬送装置及び少なくとも1つの加工機を備え、少なくとも1つの搬送装置は、ワークピースのうちの少なくとも1つ及び工具のうちの少なくとも1つを少なくとも1つの加工機に搬送するよう適合されている。
【背景技術】
【0003】
先行技術から、工具及びワークピースの搬送のための、並びに、工作機械の工具交換のための、種々の搬送装置が知られている。
【0004】
自動化された生産及び製造設備において、ワークピースは、生産及び製造プロセスを完全に自動化された態様で通過する。このために、ワークピースは、対応する加工機に搬送され、この加工機によって加工される。加工機が複数の加工ステップを実行し、このために異なる工具、例えば異なる直径を有するドリルを必要とする場合、加工機は、しばしば工具交換のためのいわゆるマガジンを備える。一部では、例えばマガジン内に受容され得る工具の数は、非常に限られている。
【0005】
しかしながら、全ての生産及び製造プロセスが完全な自動化に適しているわけではないので、多くの生産及び製造プロセスは、しばしば、少なくとも部分的に機械化されている。この場合、人間又は作業者は、とりわけ、プロセスの監視、工具交換、ワークピース送給、個々の加工ステップ及び/又は品質管理を担当している。
【0006】
回路基板を加工するために、回路基板が搬送台車上に積み重ねられ、作業者によって加工機に搬送されることが知られている。回路基板は、次に、常に十分な補充を保証するために、加工機の前にバッファされる。加工が行われた後、回路基板は、最終的に全ての加工ステップを通過してしまうまで、次の加工機に搬送される。
【0007】
生産及び製造プロセスを時間及びコストに関して最適化された態様で構成するために、種々の、しばしば組み合わせ可能なアプローチ及び措置が存在する。組織的な措置及び生産計画の措置によって、加工機、及び/又は、工具及び/又はワークピース保管庫は、例えばルートの観点で最適化された態様で配置されることができ、それによって、装置の移動経路及び/又は作業者の道程を最小化することができる。
【0008】
種々のワークピース又はモデルタイプのための生産及び製造プロセスは、この場合、加工機を担当する作業者が、現在のワークピース又はモデルタイプに基づいて、どの工具が加工のために必要であるかを決定しなければならないことを要求し得る。続いて、作業者は、必要な工具を例えば保管庫から持って来て、加工機の準備をする。特に実際の装備変更及び工具の調達によって構成される、加工機を装備変更するために必要な時間は、加工機の停止をもたらす。
【0009】
加工機の停止時間の増大は、これによって、特に製造される個数が減少し、したがって、間接的に単価が高くなるので、不利であることが判明している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明の課題は、製造プロセス内において、1つ又は複数のワークピースを加工に必要な工具と共に同時にかつ安全に搬送することを可能とし、それによって、特に加工機の停止時間を低減しコストを節約することができる搬送装置を提供することである。更に、本発明の課題は、ワークピースを加工するためのシステムを提供することにあり、ワークピースを加工するためのシステムは、搬送装置を使用することによって、時間及びコストの点で最適化された製造を可能とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の課題は、請求項1に記載の搬送装置、及び、請求項17に記載のワークピースを加工するためのシステムによって解決される。
【0012】
そのために、搬送システムの天井壁又は天井壁に接続されたカバープレートと、搬送システムの少なくとも1つのスペースとの両方が、それぞれ少なくとも1つの受容部を備え、これら少なくとも2つの受容部が、少なくとも1つのワークピース及び少なくとも1つの工具を受容するように適合されていることが意図されている。その際、少なくとも1つのスペースの少なくとも1つの受容部は、好ましくは、少なくとも1つの工具を受容し、天井壁の少なくとも1つの受容部又は天井壁に接続されたカバープレートの少なくとも1つの受容部は、好ましくは、少なくとも1つのワークピースを受容する。したがって、通常、好ましくは1つの受容部が、少なくとも1つの工具又は少なくとも1つのワークピースのいずれかのために使用される。
【0013】
好ましくは、少なくとも1つの工具は、少なくとも1つの加工機における少なくとも1つのワークピースの完全な加工のために使用される。しばしば、ワークピースの完全な加工のために、特に回路基板の完全な加工に、特に種々の直径又は幾何学的形状を有する複数の工具が必要とされる。天井壁と底壁との間に配置された搬送システムのスペースは、中間壁又は他の部材によって細区分され得る。その際、それぞれのスペース、及び、天井壁又は天井壁に接続されたカバープレートは、有利には、少なくとも1つの受容部を備える。ここで、受容部は、特に、少なくとも1つのワークピース及び/又は少なくとも1つの工具の固定を意図する。その際、固定は、有利には、少なくとも1つのワークピース及び/又は工具が、1つの移動方向にのみ取り外され得ることを可能とする。ここで、ワークピース及び/又は工具の取り外しが、力の消費の下でのみ行われ得ると、有利であり得る。このために、移動方向においてワークピース及び/又は工具と部分的にオーバーラップする付加的な固定手段、例えばラバーリップを設けることができる。有利には、ワークピースは回路基板であり、少なくとも1つの工具は、例えばドリル又はフライス工具のような切削工具である。
【0014】
搬送システムの天井壁と底壁との間のスペースは、好ましくは、少なくとも1つの側壁を備える。しかしながら、搬送ステムの十分な安定性を保証すると共に、スペースの望ましくない汚染を防止するために、搬送システムは、有利には少なくとも2つの側壁を備える。スペースの少なくとも1つの開口は、有利には、側壁のうちの1つに配置されている。しかしながら、代替的に、開口は、別の部位、特に天井壁及び/又は天井壁に接続されたカバープレートに配置することもできる。開口は、スペースへのアクセスを可能とし、したがって、スペースからのワークピース又は工具の取り外しのために使用され得る。スペースの少なくとも1つの開口が側壁のうちの1つに配置されている有利な実施形態において、天井壁は、更に、穿孔、有利にはスリット状の穿孔を備える。
【0015】
スペース、特に2つの対向する側壁を有するスペースは、代替的に又は補完的に、受容部が横方向の対向する支持要素又はレールの形態でのみ形成されるように、少なくとも部分的に設計され得る。これによって、例えば、(加工が完了した又はまだ加工されるべき)回路基板が、そのように構成されたスペース内に挿入されることができ、横方向の支持要素の上に載置されるに至ることを可能とする。好ましくは、支持要素が固定されているスペースの側壁は、支持要素がそれらの位置でオフセットして取り付けられ得るように構成されている。
【0016】
いくつかの用途に対しては、搬送システムの少なくとも1つの側壁が分割されていると有利であり得る。このために、少なくとも1つの側壁の一方の部分を天井壁に、少なくとも1つの側壁の他の部分を底壁に、それぞれ接続することができる。搬送システムの組み立ての際、側壁の両方の部分は、慣用された接続方法及び接続手段によって互いに接続され得る。
【0017】
搬送装置、したがって搬送システム及びカバープレート(存在する場合)は、好ましくは、モジュール式に構成されている。すなわち、少なくとも1つの搬送システム及びカバープレートは、それらが上下に重なり合って接触しているそれぞれ1つの第1の状態と、それらが互いに分離されているそれぞれ1つの第2の状態と、を備える。したがって、第1の状態では、少なくとも1つの搬送システムは、カバープレート及び/又は別の搬送システムと接触している。搬送システム及びカバープレートが第1の(組み立てられた)状態にあるとき、これによって搬送装置が形成される。第2の状態では、搬送装置は、個々の搬送システム及びカバープレート(存在する場合)に分解されている。好ましくは、カバープレート及び搬送システムの全体が、任意に組み合わせられ得るように構成されており、それによって搬送装置のモジュール性が達成され得る。
【0018】
代替的に、特にカバープレートは非モジュール式にも構成することができる。すなわち、カバープレートは、搬送システムに強固に接続されている。しかしながら、マシニングセンタにおいて搬送装置を使用する場合、モジュール式に構成されたカバープレートは利点を提供する。なぜなら、カバープレートは搬送システムから分離可能であり、取り外すことができるからである。これにより、ワークピースの加工に適した位置にカバープレートを降下させること、又は、カバープレートを加工機内へ直接的に挿入することが可能である。また、モジュール式の構造は、カバープレート及び搬送システムのより容易な清掃を可能とする。同時に、カバープレートのモジュール性は、カバープレートの下に配置された搬送装置の搬送システムが任意に交換され得ることを保証し、それにより、搬送装置の構造が自由に構成され得る。したがって、搬送装置の構造は、製造されるべきワークピース、使用される加工機、作業環境などに適合させることができる。
【0019】
第1の状態では、搬送装置が複数の搬送システムを備える場合、搬送システム間に少なくとも部分的に接触が存在し、搬送装置がカバープレートを備える場合、搬送システムの天井壁とカバープレートとの間に少なくとも部分的に接触が存在する。好ましくは、搬送システムの天井壁は、カバープレート又はその上に配置された搬送システムの対応する相手部品と相互作用するように適合された、スリット又は入口の形態の穿孔を備える。穿孔によって、組み立てられた状態において、載置されたカバープレート又は載置された搬送システム、すなわち搬送システムの上方に配置されたカバープレート又は搬送システムの上方に配置された搬送システムの、横方向の移動が防止され得る。
【0020】
好ましくは、カバープレートは、特に形状接続によって、搬送装置の搬送システムのうちの1つの天井壁に接続されている。他の慣用された公知の接続技術も同様に適用することができ、取り外し可能な接続技術は、これにより達成されるモジュール性の故に、優先され得る。しかしながら、加工条件は、カバープレートの搬送システム、特に天井壁との固定的な接続、又は、搬送システム相互間の固定的な接続を必要とすることもある。
【0021】
有利な実施形態において、少なくとも1つの搬送システム及びカバープレートは、少なくとも2つの横方向に配置されたグリップタブを備える。その際、グリップタブは、底及び場合によっては側壁から独立してカバープレートに配置され、作業者又は機械、例えばロボットによって把持されるのに適した、あらゆる種類の部材を象徴している。最終的に、少なくとも1つの搬送システム及びカバープレートのグリップタブは、特に、移動、持ち上げ及び把持のために、搬送システムとカバープレート又は搬送システムと搬送システムとを分離するために使用される。加えて、グリップタブは、搬送システム及びカバープレートを、例えば望ましくない横方向の変位又は望ましくない分離から、保護する。
【0022】
好ましくは、少なくとも1つの搬送システムのグリップタブは、カバープレートのグリップタブに嵌り込む。その際、グリップタブは、有利には、搬送システムのグリップタブが、(組み立てられた)第1の状態において、カバープレートのグリップタブに嵌り込むように構成されている。その際、搬送システムのグリップタブのカバープレートのグリップタブ内への嵌り込みは、カバープレートを搬送システム上に固定し、その結果、カバープレートと搬送システムは、搬送装置の搬送の際に、意図せず分離することがない。また、下部の搬送システムのグリップタブは、その上に配置されるべき搬送システム又はその上に配置されるべきカバープレートを位置付ける機能も果たす。その際、グリップタブは、その下に位置する搬送システムの上に配置された上部の搬送システム又は上部のカバープレートが、横方向の位置ずれから保護されるように構成されている。その際、グリップタブは、その上に位置する搬送システム又はその上に位置するカバープレートの横方向の移動を制限し、同時に、嵌り込みによって、横方向に垂直な変位が同様に阻止されていることを保証する。したがって、搬送装置の分解、すなわち、搬送装置の第1の状態から第2の状態への移行は、有利には、最上部の要素、すなわち、カバープレート又は最上部の搬送システムが、上方へ取り外されることにより行われる。
【0023】
一実施形態によれば、天井壁又はカバープレートの少なくとも1つの受容部は、少なくとも1つのワークピースを受容するように適合されている。例えば回路基板の場合のように、ワークピースがその高さに比して大きな底面積を有している場合、少なくとも1つのワークピースを、天井壁又はカバープレートの受容部に受容することが、特に有利である。また、ワークピースが脆弱である、すなわち壊れやすい部材を備えており、他のワークピース及び/又は搬送装置との僅かな接触によってさえも損傷を受ける可能性がある場合、ワークピースを天井壁又はカバープレートの少なくとも1つの受容部内に受容することが優先されるべきである。受容部の凹部は、ワークピース及び/又は工具を受容する際に、これが凹部内に完全に埋没するように構成することができる。更に、スペースの受容部も凹部を備えると、有利であり得る。
【0024】
更に、スペースの少なくとも1つの開口が搬送システムの側壁に配置され、当該開口が少なくとも1つのスペースの断面積に少なくとも等しいと、有利である。しかしながら、開口が他の壁、例えば天井壁に配置されている場合、開口は他の寸法を有することもできる。開口が天井壁に配置されている場合、同時に、カバープレート(存在する場合)が開口を備え、その結果、天井壁及びカバープレートの開口が協働してスペースへのアクセスを許容するように機能すると、有利である。開口は、好ましくは、少なくとも1つのワークピース及び/又は工具を取り外すために使用されることが意図されるので、開口の寸法の選択のために、ワークピース及び/又は工具の寸法が考慮されるべきである。開口のうちの1つが搬送システムの側壁に配置され、当該開口が好ましくは少なくとも1つのスペースの断面積に少なくとも等しい場合、別の開口が対向する側壁に配置されていると、有利であり得る。これにより、ワークピース及び/又は工具の両側での取り外しが可能となり得る。
【0025】
有利な実施形態において、少なくとも1つのスペースの少なくとも1つの受容部は、搬送ボックスを備える。搬送ボックスは、ワークピース及び/又は工具を固定するための別の要素を備えることができる。また、搬送ボックスは、特に隔壁によって、種々に細区分されていることができる。ここで、それぞれの細区分が1つの加工ステップのための1つの工具を備える可能性が存在する。しかしながら、異なる搬送ボックスが、個々の加工ステップのための工具を備えることもできる。搬送システムが複数のスペースを備える限り、それぞれのスペース内に複数の搬送ボックスを配置することができる。
【0026】
好ましくは、少なくとも1つの搬送ボックスは、しまい込まれた位置から引き出された位置へ移行可能である。これは、スペースが天井壁と底壁との間に配置されており、天井壁がスペースを覆っている場合に、特に有利である。少なくとも1つの搬送ボックスのしまい込まれた位置から引き出された位置への移行のために、少なくとも1つの搬送ボックスは、少なくとも1つのガイドレールを備えることができる。少なくとも1つのガイドレールは、有利には、スペース内に配置された相手部品を備えている。更に、少なくとも1つのガイドレール及び/又は相手部品が、少なくとも1つのガイドレールが相手部品から完全に滑り出し得ないよう、ストッパーを備えていると、有利である。少なくとも1つの搬送ボックスをしまい込まれた位置から引き出された位置へ移行させるための代替的なシステムは、搬送ボックスに例えばローラを備える。少なくとも1つの搬送ボックスをしまい込まれた位置から引き出された位置へ移行させるための更なる慣用された選択肢も考えられ、組み合わせることができる。また、搬送ボックスが両側でスペースから引き出され得るよう、搬送装置の搬送システムが2つの対向する開口を備えると、有利であり得る。しかしながら、搬送システムが搬送ボックスの引き出しを片側でのみ可能とする場合、開口の反対側が搬送ボックスのしまい込みを制限すると有利であり得る。横方向の支持要素又はレールは、同様に、しまい込まれた位置から引き出された位置へ移行可能であるように構成され得る。
【0027】
少なくとも1つの搬送ボックスが少なくとも1つのガイドレールを備える場合、少なくとも1つの搬送ボックスが少なくとも1つのガイドレールによって案内され、搬送ボックスが、しまい込まれた位置又は引き出された位置のうちの少なくとも1つにおいてラッチ手段によって固定されていると、有利である。その際、搬送ボックスが、しまい込まれた位置における望ましくない引き出しから、又は、引き出された位置における望ましくないしまい込みから、保護されるよう、ラッチ手段がガイドレール内に配置されていると有利である。
【0028】
代替的に又は補完的に、少なくとも1つの搬送ボックスが、しまい込まれた位置において、少なくとも1つの磁石によって固定されていると有利であり得る。ここで、少なくとも1つの磁石は、特に、開口の反対側の壁又はスペースの他の側壁に配置することができる。また、搬送ボックスも少なくとも1つの磁石を備えると有利であり得る。代替的に、搬送ボックス及び/又は開口の反対側の壁は、磁性材料を含むことができ、その結果、少なくとも1つの磁石の配置は、搬送ボックス又はスペースの側壁においてのみ行われる。
【0029】
有利な実施形態において、搬送装置は、搬送ボックスの位置を確定するセンサ装置を備える。そのようなセンサ装置は、例えば、光学センサ又はタッチセンサを備えることができ、有利には、搬送システムの底壁に配置されている。代替的なセンサタイプ及び位置付けも使用することができ及び/又は組み合わせることができる。センサ装置が、それに加えて、例えば少なくとも1つのワークピース及び/又は少なくとも1つの工具の取り外しに関する更なる情報を検出すると、有利であり得る。また、センサ装置によって検出された情報が、別のシステム、例えば加工機、及び/又は、作業者、及び/又は、搬送台車に送給又は伝達されると、有利であり得る。情報が搬送台車に伝達される場合、この搬送台車は、例えば加工の終了を認識し、次の加工機への搬送装置の搬送を行うことができる。
【0030】
更に、搬送ボックスは、少なくとも1つの工具を受容するための少なくとも1つのカセットを備えることができる。ここで、1つの加工ステップ及び/又は1つのワークピースに対して、それぞれ1つのカセットが設けられ得る。更に、少なくとも1つのカセットが搬送ボックスに取り外し可能に接続されていると有利であり得る。これにより、少なくとも1つのカセットの取り外しが可能となり得る。
【0031】
有利には、工具、及び/又は、少なくとも1つのワークピース及び/又は少なくとも1つの工具の受容部、及び/又は、搬送ボックス、及び/又は、カセット、及び/又は、カバープレートは、少なくとも1つのマーキング、特に着色マーキングを備える。マーキングを手掛かりとして、例えば少なくとも1つの工具の使用順序、及び/又は、工具が使用されるべき加工機、及び/又は、少なくとも1つのワークピースの加工順序を、決定することができる。同様に、カバープレートの搬送システムへの帰属が、このようなマーキングを通じて決定され得る。マーキングの種類は、有利には、マーキングの用途に応じて、及び/又は、マーキングの位置に応じて、決定されるべきである。
【0032】
搬送装置が少なくとも2つの互いに接続された搬送システムを備え、一方の搬送システムの底壁が他方の搬送システムの天井壁に接続され、及び/又は、一方の搬送システムのグリップタブが他方の搬送システムのグリップタブに接続され、少なくとも2つの搬送システムが好ましくは形状接続を有すると、有利であり得る。ここで、少なくとも1つのワークピースは、カバープレートの受容部内に配置されることができ、工具は、搬送システムのスペース内において、加工機及び/又は加工ステップに応じてグループ化されて配置されることができる。また、代替的に、少なくとも1つの工具が天井壁又はカバープレートの受容部内に配置されており、ワークピースが少なくとも1つのスペース内に、例えばモデルタイプに応じてグループ化されて配置されていると、有利であり得る。それに加えて、互いに接続された搬送システムが上下に重なり合って配置され、上部の搬送システムの底壁がその下に位置する搬送システムの天井壁に接触していると、有利であり得る。カバープレートは、次いで、最上部の搬送システムの天井壁の上に載置され得る。好ましくは、搬送システムは互いに接続され、かつ、カバープレートに形状接続されている。搬送システム及び/又はカバープレートが、(組み立てられた)第1の状態において特に横方向の位置ずれを防止する、対応する穿孔を接触面に備えると、特に有利である。また、それぞれの搬送システムのグリップタブは、搬送システムとカバープレートとの相互の接続を支援することができる。代替的に、搬送システムは、互いに隣接して配置することもできる。
【0033】
好ましくは、少なくとも2つの搬送システムは、例えばグリップタブの助けを借りた形状接続を有している。
【0034】
一実施形態において、搬送装置は、個々のラベルを備える。ラベルの種類は、有利には、それぞれラベルの用途に応じて、及び/又は、ラベルの位置に応じて、決定されるべきである。好ましくは、搬送装置のラベルは、システム及び/又は作業者によって検出されることができ、その結果、搬送装置は、製造及び生産プロセスにおいて追跡されることができる。
【0035】
天井壁又はカバープレートの少なくとも1つの受容部が凹部を備えると、有利であり得る。凹部は、ワークピース及び/又は工具の形状に適合されていることができる。一実施例において、凹部は、特にワークピース及び/又は工具の外形に適合されていることができる。受容部がワークピース及び/又は工具を有する凹部を備える場合、ワークピース及び/又は工具を天井壁又はカバープレートの受容部から取り外すための移動方向は、好ましくは後者に対して垂直に延びる。また、天井壁又はカバープレートの凹部は、ワークピースがエッジ領域及び/又はコーナー領域においてのみ天井壁又はカバープレートの上に載置され、ワークピースの一部が凹部内に突出するように構成することもできる。これにより、凹部内に突出するワークピースの構成要素は、環境の影響から保護され得る。
【0036】
更に、天井壁又はカバープレートが、傾斜カセットが天井壁又はカバープレートの上に配置され得るように構成されていると、有利であり得る。その際、傾斜カセットは、特に完全に自動化されたプロセスにおいて、例えば回路基板ブランクが傾斜カセットから狙いを定めて個別に取り出され得るよう、製品キャリヤ又はワークピースキャリヤとして機能することができる。
【0037】
更に、ワークピースを加工するためのシステムにおいて少なくとも1つの搬送装置を使用することが有利である。その際、ワークピース、好ましくは回路基板を加工するためのシステムは、有利には、先行する請求項のうちの1つに記載の少なくとも1つの搬送装置及び少なくとも1つの加工機を備え、少なくとも1つの搬送装置は、ワークピースのうちの少なくとも1つ及び工具のうちの少なくとも1つを少なくとも1つの加工機に搬送するように適合されている。好ましくは、少なくとも1つの加工機は、少なくとも1つのワークピースを、工具のうちの少なくとも1つを用いて、少なくとも1つの加工ステップにおいて加工するように適合されており、搬送装置は、加工機の少なくとも1つの加工ステップのために必要な全ての工具を備える。
【0038】
加工機は、特に機械加工のための機械であり得る。少なくとも1つのワークピースが複数の加工機で加工される必要がある場合、搬送装置は、少なくとも1つのワークピースを、1つの加工機から次の加工機へ搬送することができる。この場合、搬送装置は、好ましくは、少なくとも1つのワークピースを加工機において完全に加工するために必要とされる全ての工具を備える。加工ステップは、例えば穴開けを含むことができる。
【0039】
更に、少なくとも1つの搬送装置が、搬送台車、特に自律的に走行する搬送台車によって、ワークピースを加工するためのシステムの少なくとも1つの加工機に搬送されるように適合されていると、有利である。少なくとも1つの搬送装置が、搬送台車に取り外し可能に接続され得ると、有利である。また、搬送装置が、搬送台車の代わりに、ロボット、例えば直交ロボット、又は先行技術から公知の他のコンベヤシステムによって搬送されると、有利であり得る。搬送装置が搬送台車によって搬送される場合、搬送台車、例えば昇降搬送台車が搬送装置の下へ走行し、これを持ち上げ、搬送することができるよう、搬送装置の最下部の底面又は最下部の搬送システムの底壁が、(その上を搬送台車が走行する)床から隔てられて配置されていると、有利である。床からの距離は、例えば、フレームを介して達成することができ、フレームは、搬送装置、例えば、最下部の搬送システムに直接的に接続されているか、又は、搬送装置は、搬送台車によって搬送される前に、そのようなフレームの上に載置される。
【0040】
本発明が、以下において、実施例及び図面に基づいてより詳細に説明される。その際、記載された特徴及び/又は図示された特徴の全ては、それらが特許請求の範囲又はそれらの参照においてどのように要約されるかにかかわらず、個々に又は任意の組み合わせで、本発明の主題を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】搬送システムを有する本発明による搬送装置の第1の実施形態の斜視図である。
【
図5】搬送ボックスが引き出された状態の第1の実施形態の搬送装置の斜視図である。
【
図8】本発明による搬送装置の第2の実施形態の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1~7は、搬送装置1の本発明による第1の実施形態を示しており、ワークピース6は、搬送システム2の天井壁3の上に直に配置されている。搬送装置1の本発明による別の第2の実施形態、したがって少なくとも1つの搬送システム2及びカバープレート18から成る組み合わせは、
図8~10に示される。
【0043】
図1は、搬送システム2を有する搬送装置1を示している。搬送システム2は、天井壁3、底壁4及び2つの対向する側壁5を備えている。搬送システム2の側壁5は、
図1においては2分割された態様で示されている。その際、側壁5の一部は天井壁3に、側壁5の一部は底壁4に、それぞれ接続されている。
【0044】
また、搬送システム2の天井壁3は、ワークピース6、ここでは回路基板を備えている。更に、天井壁3と底壁4は隔てられて配置されており、その結果、搬送システム2は、天井壁3と底壁4との間に、開口8を有するスペース7を備えている。スペース7内には、搬送ボックス9が配置されている。搬送ボックス9は、工具11を有する複数のカセット10を備えている。また、搬送ボックス9は、2つのマーキング12を示している。
【0045】
図2に示された搬送装置1の上面図は、ワークピース6が天井壁3上の中央に配置されていることも示している。搬送装置1は、固定手段(ここでは図示せず)を備えることもできる。固定手段は、上述したように、ラバーリップの形態で具現することができる。更に、搬送装置1、より正確には天井壁3は、スリット又は入口の形態の穿孔13を備えている。
【0046】
図3は、本発明による搬送装置1の正面図を示している。
図3の図示では、搬送装置1の上に、複数のワークピース、ここでは複数の回路基板を有するスタックが載置されている。原理的には、
図3の図示とは異なって、1つ又は複数のワークピースを、位置がずれないように固定すべく、窪みの内部に配置することも可能である。しかしながら、好ましくは、搬送装置1の搬送システム2の天井壁3の穿孔13は、有利にはワークピース6を受容するカバープレート18を受容するために、又は、別の搬送システム2を受容するために、使用される。ワークピース6又は工具11を受容するために、例えば傾斜カセットをカバープレート18(ここでは図示せず)の上に配置することができる。
【0047】
また、
図3の搬送ボックス9は、ガイドレール14を介して側壁5に接続されている。また、搬送ボックス9は、ローラ15の上に支持され得る。更に、搬送ボックス9は、ハンドル16を備えている。
【0048】
図4の側面図は、2分割された側壁5と、窪み(図示せず)の内部に部分的に埋没したワークピース6と、を示している。また、搬送装置1は、前面に開口8を備えている。
【0049】
搬送システム及び引き出された搬送ボックス9を有する搬送装置1が、
図5に示されている。搬送ボックス9は、ここでは、ガイドレール14の領域に横方向に配置された2つのハンドル16を備えている。実施形態に応じて、少なくとも1つのハンドル16を、ガイドレール14に対して横方向に配置された側壁(図示せず)にも配置すると共に、搬送ボックス9をスペース7から引き出すように適合させることができる。ハンドルのこのような配置は、
図8~10による第2の実施形態に示されている。また、搬送ボックス9は、合計36個のカセット10を示している。その際、各カセット10は、複数の工具11を備えている。カセット10は、それぞれ6個のカセット10の6つのグループで配置されており、各グループはそれぞれマーキング12を備えている。加えて、ここでは図示されていないセンサ装置が、底壁4に配置されている。
【0050】
図6は、
図5に斜視図で示された搬送装置1を、上面図で示している。既に他の図で示された特徴に加えて、
図6においては、各カセット10がそれぞれ50個の工具11を備えていることが認識され得る。もちろん、カセット10は、必ずしも完全に装備されている必要はなく、その幾何学的形状及び/又は収容容量において多様であり得る。特に、比較的大きな収容容量、例えば200個までの工具の収容容量を有するカセットの使用が有利となり得る。
【0051】
更に、
図7の側面図によって、工具11が搬送ボックス9の縁部又はガイドレール14の縁部を越えて突出していることが認識され得る。また、搬送装置1は、側面にラベル17を備えている。
【0052】
搬送装置1の本発明による第2の実施形態が、
図8、9及び10において、側面図で、正面図で及び斜視図で示されている。ここで、搬送装置1は、3つの搬送システム2及び1つのカバープレート18を備えている。搬送装置1は、ネジ脚22を有するフレーム20の上に配置されている。ネジ脚22は、平らでない床の補償のために用いることができる。搬送装置1を形成するために互いに接続される搬送システム2の数は、任意に変更することができる。
【0053】
その天井壁3がカバープレート18に接続されるように適合された最上部の搬送システム2は、2つの搬送ボックス9を有するスペース7を含んでいる。その際、天井壁3は、入口又はスリットの形態の穿孔13を備え、当該穿孔は、カバープレート18の底部に配置された対応する相手部品と相互作用することができる。
【0054】
その下に位置する中間の搬送システム2は、同様に、対向して配置された支持要素21の形態の複数の収容部を有するスペース7を含んでいる。その際、対向して配置された2つの支持要素21は、それぞれ1つのワークピース6、例えば回路基板ブランクを受容する。
図8では、ここに合計18個のワークピース6が受容されている。
【0055】
最下部の搬送システム2は、3つの搬送ボックス9を含み、最下部の搬送システム2、したがって搬送装置1は、フレーム20の上に配置されている。
図8に示された搬送ボックス9のそれぞれは、ハンドル16を備えている。また、それぞれの搬送システム2及びカバープレート18は、互いに嵌り込むグリップタブ19を備えている。グリップタブ19は、
図9により良好に示されている。
【0056】
その際、下側の搬送システム2のグリップタブ19は、それぞれ、その上に配置された搬送システム2のグリップタブ19に嵌り込む。
図9のカバープレート18が最上部の搬送システム2の上に載置されると、その下に位置する搬送システム2のグリップタブ19も、カバープレート18のグリップタブ19に嵌り込む。また、最上部の搬送システム2の2つの搬送ボックス9は、
図9では引き出された位置において示されている。この位置においては、ガイドレール14が視認可能であり、当該ガイドレールの助けを借りて、搬送ボックス9は、搬送システム2のスペース7内で移動され得る。
【0057】
図10は、
図8及び9の搬送装置1を斜視図で示している。ここでは、特に、中間の搬送システム2のスペース7内に配置されたワークピース6が、明瞭に視認可能である。加えて、とりわけ
図6に示された、工具11を受容するためのカセット10が、最上部の搬送システム2の最上部の搬送ボックス9内に示されている。更に、最上部の搬送システム2の天井壁3の、入口又はスリットの形態の穿孔13が示されている。それぞれの穿孔13は、図示された実施形態において、当該穿孔13が例えばカバープレート18の対応する相手部品と相互作用するとき、少なくとも3つの移動方向の移動を阻止する。搬送システム2及びカバープレート18は、特に穿孔13を介して、横方向に位置がずれないよう上下に重なり合って固定され得る。
【0058】
製造及び生産プロセスにおいて、
図1~7に示されるような少なくとも1つの搬送システム2を有する搬送装置1、又は、
図8~10に示されるような複数の搬送システム2を有する搬送装置1は、ワークピース6を、加工機(図示せず)の少なくとも1つの加工ステップのために必要な工具11と共に搬送することができる。搬送装置1の搬送は、搬送台車(図示せず)を介して行うことができる。工具11は、36個のカセット10内に配置されている。図示されたカセット10(特に
図6参照)のそれぞれは、50個までの工具11を受容することができる。更に、200個までの工具を受容するためのカセット(ここでは図示せず)を使用することができる。カセット10は、スペース7から引き出すことが可能な搬送ボックス9の上に固定されている。搬送ボックス9は、特に力の消費によってスペース7から引き出され得る。搬送ボックス9がしまい込まれた時、当該搬送ボックスは、図示されていない磁石によって固定され得る。センサ装置18が、搬送ボックス9の位置を検出する。ハンドル16は、搬送ボックス9を搬送システム2から取り外すことを可能とする。取り外すことによって、搬送ボックス9は、特に、簡略化された態様で洗浄されるか又は新たに装備され得る。
【0059】
モジュラー式の搬送装置1は、個々の搬送システム2及びカバープレート18に容易に分解することができるので、迅速かつ容易に新たに適合されることができ、その結果、搬送システム2及びカバープレート18の数及び/又は種類を、必要とされる条件に基づいて、例えば加工されるべきワークピース6に適合させることができる。
【0060】
少なくとも部分的に機械化された生産及び製造プロセスにおいて、搬送装置1は、加工機を有する加工スペースへ搬送され得る。作業者は、搬送システム2からワークピース6を取り出し、加工機に送給することができる。ラベル17に基づいて、作業者は、ワークピース6が何れのモデルタイプであるかを認識することができる。続いて、作業者は、カセット10を有する搬送ボックス9をスペース7から引き出すことができる。作業者は、次に、200個までの工具を有するカセット10を、加工機に送給する。ここで、作業者は、例えばマーキング12に基づいて、対応する加工機のためのカセット10を認識することができる。カセット10は、左から右への加工ステップを記号化することができ、左側のカセット10は第1の加工ステップを記号化し、右側のカセット10は第6の加工ステップを記号化する。作業者が第3の加工ステップを実行したい場合、作業者は、加工機に設けられたカセット群のうち左から3番目のカセット10から工具11を取り出す。加工機における全ての加工ステップの加工の後、作業者は、搬送ボックス9をスペース77内に押し戻すことにより、搬送システム2又は搬送装置1を閉じる。搬送ボックス9は、スペース7内で磁石を介して固定され得るので、搬送ボックス9が意図せず外に出ることはない。また、センサ装置18は、搬送ボックス9の位置を検出する。搬送装置1が搬送台車によって搬送される場合、搬送台車は、センサ装置18の対応する信号によって、作業者が加工機におけるワークピースの加工を終了したことを、認識することができる。搬送台車は、続いて、ワークピース6を工具11と共に次の加工機に搬送する。
【符号の説明】
【0061】
1 搬送装置
2 搬送システム
3 天井壁
4 底壁
5 側壁
6 ワークピース
7 スペース
8 開口
9 搬送ボックス(スペースの受容部)
10 カセット
11 工具
12 マーキング
13 穿孔
14 ガイドレール
15 ローラ
16 ハンドル
17 ラベル
18 カバープレート
19 グリップタブ
20 フレーム
21 支持要素
22 ネジ脚