(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-21
(45)【発行日】2023-01-04
(54)【発明の名称】加工ステーション及び板状のワークピースを検査又は識別するための方法
(51)【国際特許分類】
G01N 23/083 20180101AFI20221222BHJP
G01N 23/04 20180101ALI20221222BHJP
【FI】
G01N23/083
G01N23/04
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021077336
(22)【出願日】2021-04-30
【審査請求日】2021-07-02
(31)【優先権主張番号】10 2020 113 109.7
(32)【優先日】2020-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】509351579
【氏名又は名称】シュモール マシネン ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】アブドッラー テイムリー
(72)【発明者】
【氏名】マルクス ヴィンターシュラーデン
(72)【発明者】
【氏名】ペーター クニーフ
【審査官】越柴 洋哉
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-516435(JP,A)
【文献】特開2007-201349(JP,A)
【文献】特表2017-510820(JP,A)
【文献】特開2007-134391(JP,A)
【文献】特開2009-112985(JP,A)
【文献】特開2015-195276(JP,A)
【文献】特開2010-161238(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0083124(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 23/00 - G01N 23/2276
B23B 35/00 - B23B 49/06
H05K 3/00
H05K 3/46
H01L 21/68
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの工具を用いて板状のワークピース(1)を加工するための加工ステーショ
ンであって、少なくとも1つのX線源(3)と、少なくとも1つの検出器(4)と、前記X線源(3)と前記検出器(4)との間に配置可能であって、その上に加工されるべき前記ワークピース(1)を固定可能なテーブル(2)と、を備え、前記テーブル(2)はX線(5)に対して透過性の材
料から成る受容プレート(6)を備え、前記受容プレート(6)は、空気を吸引するための少なくとも1つの吸引接続部(11)と、前記少なくとも1つの吸引接続部(11)と
流体連通していると共に、面取りされた及び/又は丸み付けされたエッジ(13)を有し、支持面(9)において一方の側で開放された複数のチャネル(10)から、及び/又は、斜めに延びる貫通開
口から形成された分配グリッドと、を備え
、
前記テーブル(2)は、前記受容プレート(6)上に固定可能なカバープレート(7)を付加的に備え、前記カバープレート(7)には、前記分配グリッドと流体連通した多数の貫通開口(14)が設けられていることを特徴とする加工ステーション。
【請求項2】
前記分配グリッドは、前記チャネル(10)の間に、面取りされた及び/又は丸み付けされたエッジ(13)を有する直方体状の支持要素(12)を画定することを特徴とする、請求項1に記載の加工ステーション。
【請求項3】
前記チャネル(10)は、約3~約10m
mの深さであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の加工ステーション。
【請求項4】
前記受容プレート(6)は、前記分配グリッドが設けられた前記支持面(9)を取り囲む支持フレーム(8)を備えることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の加工ステーション。
【請求項5】
前記貫通開口(14)は、前記カバープレート(7)に対して20°~70°、例えば約45°だけ傾斜して延びていることを特徴とする、
請求項1~4のいずれか1項に記載の加工ステーション。
【請求項6】
前記受容プレート(6)は、少なくとも1つの封止ロープ(15)によって、前記カバープレート(7)に対して封止されていることを特徴とする、
請求項1~5のいずれか1項に記載の加工ステーション。
【請求項7】
前記テーブル(2)は、移動可能なブッシュによって閉鎖可能な開口を備えることを特徴とする、請求項1~
6のいずれか1項に記載の加工ステーション。
【請求項8】
前記検出器(4)に接続されていると共に画
像変換器及び/又は画像処理装置を有す
る評価装置を更に備える、請求項1~
7のいずれか1項に記載の加工ステーション。
【請求項9】
前記検出器(4)によって得られた信号に応じてワークピースを登録するためのデータ処理装置を更に備える、請求項1~
8のいずれか1項に記載の加工ステーション。
【請求項10】
請求項9に記載の加工ステーションにおいて
、板状のワークピース(1)を検査又は識別するための方法であって、
a)X線(5)に対して透過性の材料から成るテーブル(2)の受容プレート(6)又はカバープレート(7)の上にワークピース(1)を載置するステップであって、前記受容プレート(6)は、少なくとも1つの吸引接続部(11)と、前記少なくとも1つの吸引接続部(11)に
流体連通し、支持面(9)において一方の側で開放された複数のチャネル(10)から成る分配グリッドとを備え、前記チャネル(10)を画定するエッジ(13)は面取り及び/又は半径を有するステップ、
b)前記吸引接続部(11)及び前記分配グリッドから空気を吸引することによって前記テーブル(2)の上に前記ワークピース(1)を固定するステップ、
c)前記ワークピース(1)を伴う前記テーブル(2)を、少なくとも1つのX線源(3)と少なくとも1つの検出器(4)との間に位置決めするステップ、
d)前記少なくとも1つのX線源(3)を用いてX線(5)を生成し、前記検出器(4)を用いて前記テーブル(2)及び前記ワークピース(1)によって吸収されないX線を検出するステップ、及び、
e)前記ワークピース(1)を検査又は識別するために、データ処理装置において前記検出器(4)の前記信号を評価するステップ
を含む方法。
【請求項11】
前記ステップd)及びe)は、少なくとも1つの工具を用いた前記ワークピース(1)の加工の前に行われることを特徴とする、請求項
10に記載の方法。
【請求項12】
前記ステップd)及びe)は、前記ワークピース(1)の加工の後に繰り返されることを特徴とする、請求項
10又は
11に記載の方法。
【請求項13】
前記ステップd)及びe)に基づいて、少なくとも1つの工具を用いた前記加工のための前記ワークピース(1)の前記識別に用いられる、前記ワークピース(1)の登録が行われることを特徴とする、請求項
10~
12のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工具を用いて板状のワークピースを加工するための加工ステーション、例えば回路基板を加工するための穿孔又はフライス加工ステーション、及び、板状のワークピースを検査又は識別するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基本的に、X線を用いた材料試験は、多くの用途で知られている。このために、X線がX線管内で生成され、ワークピースを貫いて導かれる。X線検査される材料の密度及び厚さに応じて、この放射線は異なる程度で減衰する。回路基板を製造するために使用されるエポキシ樹脂及びガラス繊維織物から成る複合材料(FR4)のような比較的軟らかい材料は僅かな放射線しか吸収しないが、銅のような比較的硬い材料は多くの放射線を吸収する。したがって、検査される材料の密度及び厚さに応じて、X線画像上で、暗いものから明るいものまで種々の構造を識別することができる。
【0003】
これまで、回路基板を検査するために、回路基板をクランプする機能を有する、アルミニウムから成る機械テーブルの受容プレートが使用されてきた。回路基板は、真空によって受容プレート上に保持され得る。この公知の受容プレートは、実質的に、例えば厚さ約40mmのアルミニウムから成るフレームと、測定領域と、真空領域とから成る。厚いアルミニウムはX線を完全に吸収するため、フレームの領域ではX線画像は生成され得ない。X線画像は、自由空間(フレーム内の開口部)として形成された測定領域内でのみ生成されることができ、その結果、X線は妨害されることなく通過し、X線画像を生成することができる。測定領域は限定されているので、回路基板の完全な分析は不可能である。真空場は、プレート全体にわたって分布するのではなく、フレーム内にのみ存在する。その結果、回路基板は部分的にのみクランプされる。アルミニウムから成るこれらの公知のフレーム状の受容プレートは、通常、穿孔又はフライス加工ステーションでの更なる加工のためには使用されないので、ワークピースは、X線検査の後にクランプし直されなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
それに対して、本発明の課題は、X線穿孔機のような加工ステーションを提供することであり、当該加工ステーションにおいては、回路基板がX線を用いた材料試験のために完全に検査され、迅速かつ確実に固定され得る。本発明の別の課題は、回路基板が迅速かつ確実に検査又は識別され得る方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、本発明に従って、請求項1に記載の加工ステーション及び請求項11に記載の方法によって解決される。有利な構成は、従属請求項で提示されている。
【0006】
少なくとも1つの工具を用いて板状のワークピースを加工するための本発明による加工ステーションは、例えば少なくとも1つの回路基板を加工するための穿孔ステーション、特にX線穿孔機であり、当該穿孔ステーションは、付加的にX線装置を備えている。換言すれば、加工ステーションには、少なくとも1つのX線源と、少なくとも1つの検出器と、X線源と検出器との間に配置することができ、その上に加工されるべきワークピースがクランプされ得るテーブルと、が設けられている。好ましくは、テーブルは、プラスチックのようなX線に対して透過性の材料から成る受容プレートを備えている。それにより、受容プレートがX線を妨害することなく、加工されるべきワークピースがX線を用いて検査されることが可能である。
【0007】
更に、受容プレートには、空気を吸引するための少なくとも1つの吸引接続部が設けられている。その際、吸引接続部は、複数のチャネル及び/又は貫通開口から形成された分配グリッドと流れ接続している。これらのチャネルは、例えば、受容プレートの支持面に、例えばX線源に面する、一方の側が開放された窪みとして形成されている。例えば、真空受容プレートは、側部に真空ポンプのための接続部を備えることができる。真空分配グリッドによって、全表面にわたる真空場を生成することが可能である。代替的に又は付加的に、ワークピースの平面的な吸引を、多数の例えば丸い貫通開口から成るグリッドによって形成することができる。
【0008】
チャネルを画定するエッジは、本発明によれば、鋭いエッジが生じないよう、面取り又は丸み付けを有する。その目的は、評価の際に、エッジに視認可能な移行部を発生させないことである。基本的に、チャネルによって材料の厚さの差異が生じ、これは、チャネル間の領域が画像変換器においてコントラストを発生させるという結果をもたらす。面取り又は丸み付けによって、エッジは鮮明には結像されず、例えばエッジ検出の際に画像処理が妨害されることはない。
【0009】
テーブルにおいてワークピースを受容する支持面に貫通開口が使用される場合、当該貫通開口は、好ましくは支持面に対して斜めに延びる。これはまた、材料の厚さの差異を、したがって画像変換器におけるコントラストを、回避する。
【0010】
したがって、換言すれば、本発明の中心的な態様は、X線検査中にワークピースのための支持体として機能するテーブルが、ワークピースが支持される領域において、鋭いエッジを伴う材料の厚さの差異、及び、画像変換器において鋭いエッジを伴うコントラストを発生させる可能性のある材料の差異を有していないことである。これは、直線状のチャネルにおける面取りされた又は丸み付けされたエッジによって、及び/又は、斜めに延びる孔によって、達成される。
【0011】
公知のアルミニウム・フレームとは対照的に、本発明によるテーブルは、フレーム、測定領域及び真空領域が互いに重なり合っているにもかかわらず、全ての機能が制限なく完全に利用可能であるように設計されている。換言すれば、テーブル全体が、測定領域として使用され得ると同時に、回路基板をクランプするための全表面にわたる真空を有している。
【0012】
これにより更に、ワークピースを別のテーブル上にクランプし直すことなく、直接このテーブル上で更なる加工ステップを実行することが可能となる。このために、X線検査の際に既に、ワークピースとテーブルとの間にいわゆるバックアップ層を設けることが有利であり得る。驚くべきことに、このバックアップ層は、X線検査を妨害せず、テーブル上におけるワークピースの固定を改善することさえできることが判明した。このために、バックアップ層は、好ましくは通気性であり、例えば圧縮木材から成る層の形態である。
【0013】
分配グリッドは、例えばチャネル間に、面取りされた又は丸み付けされたエッジを有する直方体状又は立方体状の支持要素を画定する。ここで、面取りされたエッジは、差し当たり、直角ではない全てのエッジ、すなわち面取りされた又は破断されたエッジ、及び、丸み付けされたエッジ、並びに、これらから成る組み合わせと解釈される。チャネルは、特に一方の開放された側から溝底部に向かって先細りになることができる。好ましい実施形態では、チャネルは、約3mm~約10mm、特に約5mmの深さであることができる。チャネルによって形成された真空分配グリッドは、特に、互いに直角に又は平行に延びるチャネルによって形成され得る。しかしながら、全表面にわたる真空場を発生させるチャネルの他の配向も可能である。
【0014】
いくつかの用途では、受容プレートが、分配グリッドが設けられた支持面を取り囲む支持フレームを備えると、有利であり得る。このように、フレームは、吸引接続部の形成に有利であり得る。更に、フレームの領域に封止手段を設けることができる。好ましくは、支持フレーム及び支持面は一体に形成されている。代替的に、受容プレートは、複数の部品から成ることもできる。
【0015】
有利な実施形態によれば、テーブルは2つのプレートから成っている。設置位置において下側のプレートは(真空)受容プレートであり、上側のプレートはカバープレートである。X線がプレートによって吸収されないよう、プレートは、例えばプラスチック材料から製作されている。本発明による加工ステーションにおいて、テーブルが受容プレート上に固定可能なカバープレートを付加的に備えている場合、カバープレートは、有利には、分配グリッドと流れ接続された多数の貫通開口(真空孔)を備えている。これにより、貫通開口を通じてチャネル内へ、及び、そこから吸引接続部を介して、空気を吸引することが可能である。このようにして、カバープレート上に載置されたワークピースは、カバープレート上に吸引され、かくして固定される。
【0016】
カバープレートは、例えばプラスチックねじによって、真空受容プレート上に取り付けられる。それにより、真空受容プレートが封止される。真空回路が完全に閉鎖され、外気を引き込み得ないように、真空分配グリッドの周りに好ましくはゴム製の封止ロープ(Dichtschnur)が敷設される。
【0017】
カバープレートも、X線画像内に、評価を妨げるような鋭いエッジを伴うコントラストを生成してはならない。したがって好ましくは、カバープレートにおいて真空孔は、垂直には形成されず、約45°で調製される。貫通開口は、カバープレートに対して20°~70°傾斜して延びることができる。
【0018】
垂直な孔により材料の厚さの差異が生じ、これは次いで、画像変換器において円形形状のコントラストを発生させる。これに対して、傾斜して設けられた孔は、材料の厚さの差異を減少させ、画像変換器において生成されるコントラストの形状を変化させる。したがって、生成されるX線画像は、円のような形状ではなく、長孔のような形状を有している。回路基板の分析のために、円形の位置合わせマーク(Passermarke)が非常に頻繁に使用される。真空孔の長孔状のX線画像によって、例えば円検出におけるこの種の画像処理が妨害されることはない。
【0019】
ワークピースがテーブル上で加工、例えば穿孔される場合、テーブルの穿孔のために設けられた部位に、開口を設けることができる。それにより、ワークピースから出る工具がテーブルに損傷を与えることはない。開口は、貫通孔又は止まり孔であることができる。このような開口によるコントラストを回避するために、開口は、可動のブッシュによって閉鎖可能であることができる。
【0020】
加工ステーションは、更に、画像変換器及び/又は画像処理装置を有する、検出器に接続された評価装置を備えることができる。代替的に又は付加的に、加工ステーションは、検出器によって得られた信号に応じてワークピースを登録するためのデータ処理装置を備えることができる。
【0021】
本発明による方法は、特に上述したタイプの加工ステーションにおいて、回路基板のような板状のワークピースを検査又は識別するために用いられる。換言すれば、当該方法は、見出された銅パッド及びドリル孔に基づいて外部からは見えない内部の構造が識別のために使用されることにより、回路基板の登録及び識別のために用いられ得ると共に、以前の加工ステップの検査のために又は今後の加工ステップのための較正に用いられ得る。
【0022】
当該方法は、好ましくは以下のステップを含む:a)X線に対して透過性の材料から成るテーブルの受容プレート上にワークピースを載置するステップであって、受容プレートは、少なくとも1つの吸引接続部と、少なくとも1つの吸引接続部に流れ接続され、面取りされ又は丸み付けされたエッジを有する一方の側において開放された複数のチャネルから成る分配グリッドとを備えるステップ、b)吸引接続部及び分配グリッドから空気を吸引することによってテーブル上にワークピースを固定するステップ、c)ワークピースを伴うテーブルを、少なくとも1つのX線源と少なくとも1つの検出器との間に位置決めするステップ、d)少なくとも1つのX線源を用いてX線を生成し、検出器を用いてテーブル及びワークピースによって吸収されないX線を検出するステップ、e)ワークピースを検査又は識別するために、データ処理装置において検出器の信号を評価するステップ。
【0023】
好ましくは、当該方法のステップは、上述したシーケンスで順に実行される。しかしながら、幾つかのケースにおいては、シーケンスにおける個々のステップ、例えばステップb)とc)を入れ換えること、及び/又は、個々の又は複数のステップを繰り返すことが有効であり得る。したがって、例えばステップd)及びe)に続いて、少なくとも1つの工具を用いたワークピースの加工を行うことができる。ステップd)及びe)は、ワークピースの加工の後に繰り返すことができる。
【0024】
ステップd)及びe)に基づいて、少なくとも1つの工具を用いた加工のためのワークピースの識別に用いられる、ワークピースの登録が行われると有利になる。
【0025】
本発明が、以下において、実施例及び図面を参照してより詳細に説明される。その際、記載された及び/又は図示された特徴の全ては、それらの特許請求の範囲における要約又はその後方参照にかかわらず、個々に又は任意の組み合わせで本発明の主題を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】側面図におけるデジタル・レントゲンの原理的な図示である。
【
図2】本発明の一実施形態による受容プレートの上面図である。
【
図4】本発明の一実施形態によるテーブルの構成要素を斜視図で示している。
【
図5】
図4のテーブルのカバープレートの拡大断面図である。
【
図6】本発明によるテーブルのX線画像の一部である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
デジタル・レントゲンによる非破壊材料試験の基本原理が、
図1に概略的に示されている。このために、ワークピース1がX線源3と検出器4との間のテーブル2の上に配置され、その結果、X線5はワークピース1及びテーブル2を貫通することができる。X線5は、ワークピース1及びテーブル2の両方によって部分的に吸収される。ワークピース1の内部の差異、例えば種々の材料又は空洞は、X線5の異なる吸収をもたらし、したがって、検出器によって、より明るい又はより暗い構造として識別可能である。
【0028】
図1の図示から、ワークピース1の精密な検査のためには、テーブル2が可能な限り均一にX線5を吸収しなければならないことが分かる。したがって、テーブル2の材料の密度及び/又は厚さの大きな差異は、X線画像上に暗いものから明るいものまで種々の構造として現れ、当該構造は、ワークピース1の内部での吸収に起因する、対応するより明るい又はより暗い構造と重ね合わされる。
【0029】
テーブル2は、本発明の一実施形態では、2つの部分で、すなわち受容プレート6とカバープレート7とで構成されており、これらは、
図4に示されるように、互いに気密に接続され得る。
図2は、受容プレート6を上面図で示している。受容プレート6は、ここでは、実質的に閉じた外側のフレーム8と、フレーム8によって取り囲まれた支持面9とを備えている。支持面9は、真空分配グリッド内に互いに平行かつ垂直に配置された多数のチャネル10を備えている。チャネル10は吸引接続部11と流れ接続しており、その結果、空気がチャネル10及び吸引接続部11を通じて吸引され得る。
【0030】
図3の拡大図示に見られるように、チャネル10は、支持面9に向かって一方の側が開放された溝状の窪みとして形成されている。したがって、受容プレート6の材料厚さはチャネル10によって低減されており、図示された実施形態において、チャネル10の間には直方体状の要素12(ダイス)が形成される。しかしながら、これらの直方体状の要素12のエッジ13は、長方形ではなく、面取りされているか、あるいは、丸められているか、破断されている。したがって、直方体状の要素12は、鋭いエッジを有さず面取りを有し、それにより、X線画像において視認可能な移行部がエッジ13に生成されることはない。直方体状の要素12の周りのチャネル10は、例えば約5mmの深さであり、それにより、材料の厚さの差異に起因してコントラストが画像変換器において生成されるものの、それらは、それぞれのエッジ13の面取りによって鮮明には結像されず、画像処理は妨害されない。これにより、ワークピース1のエラーのないエッジ検出が可能である。
【0031】
カバープレート7は、
図5において、部分的に断面で示されている。この図から、カバープレート7は、受容プレート6のチャネル10を周囲(
図5の上部)に接続する多数の貫通開口14を備えることが分かる。その際、貫通開口14の断面はチャネル10の幅よりも明らかに小さく、その結果、貫通開口14は小さなノズル又は真空孔として機能し、それを通じて空気がチャネル10内に吸引される。このために、封止ロープ15が、封止のために受容プレート6とカバープレート7との間に設けられ得る。
【0032】
カバープレート7の特別な点は、図示された実施形態において、真空孔の配向である。カバープレートのこれらの貫通開口14は、垂直にではなく45°に形成されている。垂直な孔により材料の厚さの差異が生じ、これは次いで、画像変換器において円形形状のコントラストを発生させる。例えば、回路基板の分析のためにしばしば円形の位置合わせマークにも基づいて行われる円形検出において、これは問題を引き起こす。これに対して、傾斜して設けられたた孔14は、材料の厚さの差異を減少させ、画像変換器において生成されるコントラストの形状を変化させる。
【0033】
生成されるX線画像は、円のような形状ではなく、
図6においてより明るい長孔16のような形状を有している。真空孔の長孔状のX線画像によって、画像処理は妨害されない。更に、
図6において、面取りされたエッジ13に起因して、チャネル10と直方体状の要素12との間の移行部17が、X線画像において鋭いエッジとして現れないことも認識され得る。
【0034】
したがって、例示的に図示したように本発明に従って形成されたテーブル2により、例えば回路基板のようなワークピース1を、X線5を用いて非破壊的に検査し、銅パッド又は空洞を正確に識別することが可能である。同時に、テーブル2の設計により、ワークピース1が真空によって迅速かつ確実にテーブル2の上に固定され得ることが達成される。この固定は非常に強固なので、ワークピース1は、例えば孔を設けることによって、真空によってもテーブル2の上に固定された状態で加工され得る。
【0035】
X線5を用いたワークピース1の検査は、加工の前及び/又は後におけるワークピース1の検査のために行うことができるだけでなく、ワークピース1の識別及び登録のためにも使用することができる。したがって、例えば空洞の数及び位置又は材料の差異のようなワークピース1の内部の構成に関する既知の情報に基づいて、X線5を用いた検査によってワークピースを識別し、後続の加工ステップのために登録することが可能である。
【0036】
加工されるべきワークピース1が直接的にテーブル2の上に配置されている
図1の図示とは異なり、テーブル2とワークピース1との間にいわゆるバックアップ要素を設けることができ、当該バックアップ要素には、ワークピース1の加工中に、テーブル2を損傷することなくドリルを侵入させることができる。この場合、バックアップ要素が、例えば圧縮木材から成る拡散層として通気性であり、その結果、テーブル2の真空吸引が、バックアップ要素及びワークピースをテーブル上に固定すると、特に有利であることが明らかになった。
【符号の説明】
【0037】
1 ワークピース
2 テーブル
3 X線源
4 検出器
5 X線
6 受容プレート
7 カバープレート
8 フレーム
9 支持面
10 チャネル
11 吸引接続部
12 直方体状の要素
13 エッジ
14 貫通開口
15 封止ロープ
16 長孔
17 移行部