(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-21
(45)【発行日】2023-01-04
(54)【発明の名称】電気自動車(EV)高速充電ステーションおよびシステム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/34 20060101AFI20221222BHJP
H02J 15/00 20060101ALI20221222BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20221222BHJP
B60L 53/14 20190101ALI20221222BHJP
B60L 53/30 20190101ALI20221222BHJP
B60L 53/53 20190101ALI20221222BHJP
B60L 53/67 20190101ALI20221222BHJP
【FI】
H02J7/34 A
H02J15/00 D
H02J7/00 P
H02J7/00 303C
B60L53/14
B60L53/30
B60L53/53
B60L53/67
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021123444
(22)【出願日】2021-07-28
(62)【分割の表示】P 2019552118の分割
【原出願日】2018-03-23
【審査請求日】2021-08-26
(32)【優先日】2017-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517284935
【氏名又は名称】ザ・ノコ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Noco Company
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ・リチャード・スタンフィールド
【審査官】高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-034554(JP,A)
【文献】特開2011-193716(JP,A)
【文献】特開2013-027177(JP,A)
【文献】特開2004-236469(JP,A)
【文献】特開2013-192310(JP,A)
【文献】特開2012-172500(JP,A)
【文献】特開2008-308030(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 1/00-3/12
B60L 7/00-13/00
B60L 15/00-58/40
H02J 7/00-7/12
H02J 7/34-7/36
H02J 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気自動車(EV)を充電するための電気自動車(EV)充電ステーションであって、
電源と、
前記電源から電力を受けて貯蔵する第1電力リザーバと、
前記電源及び前記第1電力リザーバのうちの少なくとも一方から電力を受けて貯蔵する第2電力リザーバと、
前記第1電力リザーバ及び/又は前記第2電力リザーバから電力を受けるEV充電器と
を備え
、
EVポンプは、前記EV充電器と前記第2電力リザーバとを備え、
それぞれが少なくとも1つの前記第2電力リザーバを格納する複数の前記EVポンプに電力を供給する1つ又は複数の前記第1電力リザーバをさらに備える、ステーション。
【請求項2】
前記EV充電器は、前記第1電力リザーバ及び前記第2電力リザーバのうちの一方からDC電力を受け取る、請求項1に記載のステーション。
【請求項3】
前記EV充電器は、前記第1電力リザーバ及び前記第2電力リザーバからDC電力を受け取る、請求項1に記載のステーション。
【請求項4】
前記EV充電器は、前記第1電力リザーバ又は前記第2電力リザーバからDC電力を受け取る、請求項1に記載のステーション。
【請求項5】
前記EV充電器は、前記第1電力リザーバ又は前記第2電力リザーバの少なくとも一方からDC電力を受け取る、請求項1に記載のステーション。
【請求項6】
前記第1電力リザーバは、フロー電池を備える、請求項1に記載のステーション。
【請求項7】
前記第1電力リザーバは、リチウムイオン電池を備える、請求項1に記載のステーション。
【請求項8】
前記第2電力リザーバは、リチウムイオン電池を備える、請求項4に記載のステーション。
【請求項9】
1つ又は複数の燃料ポンプを更に備える、請求項1に記載のステーション。
【請求項10】
前記EV充電器が前記第1電力リザーバ又は前記第2電力リザーバから前記電気自動車を充電するための電力を選択的に受け取るように構成されている、請求項1に記載のステーション。
【請求項11】
前記EV充電器が前記第1電力リザーバ及び前記第2電力リザーバの両方から前記電気自動車を充電するための電力を同時に受け取るように構成されている、請求項1に記載のステーション。
【請求項12】
前記第1電力リザーバと前記EV充電器との間に位置する第1DC-DCコンバータを備える、請求項1に記載のステーション。
【請求項13】
前記第1電力リザーバ及び前記電源から前記第1DC-DCコンバータに同時に電力を供給するように構成されている、請求項12に記載のステーション。
【請求項14】
前記第1電力リザーバの充電を制御するために、前記電源と前記第1電力リザーバとの間に配置された電子制御装置をさらに備える、請求項1に記載のステーション。
【請求項15】
間隔を空けて列をなして配置された複数の前記EVポンプを備える、請求項
1に記載のステーション。
【請求項16】
前記EVポンプは、前記EV充電器と燃料ポンプとを備える、請求項
1に記載のステーション。
【請求項17】
前記EVポンプは、前記EV充電器と前記第2電力リザーバを格納している、請求項
1に記載のステーション。
【請求項18】
1つ又は複数の電気自動車(EVs)を充電するときに、前記列の一方側又は両側に複数の電気自動車(EVs)が位置できるように、構成されている、請求項
15に記載のステーション。
【請求項19】
前記電源は、A/C電源である、請求項1に記載のステーション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば電気自動車(EV)の高速充電のための急速または高速電気自動車充電ステーションおよびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車(EV)は、クリーンエミッション、静かな運転、低メンテナンスに強い関心が寄せられて、世界中で使用されるようになっている。バッテリー技術の進歩により、自動車の速度ならびに走行距離が向上している。この発展を支援するためバッテリーの充電が改善され、大型のEV電池を完全に充電するのに2時間という短い充電時間が実現された(例えばシボレー「ボルト」やテスラ「モデルS」)。充電時間の改善という期待を受け、バッテリーのメーカーは、バッテリーの「高速充電」が可能になるように技術改良に取り組むこととなった。目標は、ガソリン車に燃料を補給するのとほぼ同じ時間(例えば10-15分)でEV車を充電できるようにすることである。
【0003】
大型車両のバッテリーの高速充電では、充電中に電力網から各(または複数の)車両用に大量のAC電力が必要になるため、問題が発生する。例えば、シボレー「ボルト」などの通常サイズのセダンは、目標の充電時間を達成するために、充電プロセス中に350kWもの高出力を必要とする可能性がある。この電力要件は、複数の車両を同時に充電する場合、燃料補給サイトで巨大なAC電源(AC-DC変換を伴う、大規模な産業負荷をサポートするための電力網インフラストラクチャなど)を必要とすることになる。このタイプのAC電源は、ほとんどの場所では利用できない。燃料補給中の電力サージはまた、特定の場所での電力要件を予測する電力会社の能力に問題を引き起こす。この特定の問題に加えて、充電ステーションが少ないことが問題である。EV市場を成長させるには、通常のガソリンスタンドでEV充電ポンプを利用できるようにする必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
ほとんどの場所で、十分な電力を提供するには、大型の「電気リザーバ」または「バッテリーリザーバ」または「エネルギーリザーバ」を使用して、制御された同等の方法で電力を貯蔵する必要がある。この電気またはバッテリーまたはエネルギーリザーバは、車両への燃料補給のための主要な充電エネルギー源として使用できる。「リザーバ」要件を支援するための電池技術が既に存在している。フロー電池やリチウム電池など、いくつかの異なる電池技術を使用できる。フライホイールエネルギー貯蔵などの他の電気機械技術も使用可能である。バッテリーまたはエネルギーリザーバは、ガソリンスタンドでガソリンを貯蔵するために現在使用されているのと同様の方法で地下に配置するか、または地上に配置することができる。
【0005】
バッテリーリザーバは、通常のガソリンスタンドに既に存在する電力を使用して、同等の方法で常時充電可能である。この方法を使用して、電力会社は電力使用量を予測し、電力サージを回避できる。例えば、バッテリーリザーバは、電源(例えば、既存の電源、新しい電源、送電網、送電線、配電システム、発電機、燃料タイプの発電機)から、連続的に、断続的に、またはプログラムされた方法で充電可能である。
【0006】
リザーバに貯蔵されたエネルギーは、電気自動車の充電源として使用できるようになる。EVの充電に必要な電力を適切に変換するために、通常のガソリンポンプと(物理的なサイズと形式が)非常に類似した充電ポンプを使用できる。EVの電源はDCバッテリーであり、バッテリーリザーバはDCバッテリーであるため、必要な電力変換は、直接変換またはDC-DC変換のみであり、今日のほとんどのバッテリー充電器で使用されているAC-DC変換による電力損失を回避できる。
【0007】
ガソリンスタンドでは、ガソリンを補給する顧客と同様の方法で、顧客はEVの充電を行うことができる。ガソリンスタンドは、バッテリーリザーバの充電を維持するためのコストについて電力会社と協力し、バッテリーリザーバとEV充電器またはEVポンプ(例えば電気充電器やコンセント)を追加/サポートするためのコストを償却する。その後、必要な利益を組み込み、それに応じてEVの顧客に請求することができる。これにより、追加の電力塔、送電線、変電所など、ほとんどの場所では実用的ではない産業規模の送電網インフラストラクチャ、または必要なパワーエレクトロニクスを含む送電網と車両の接続を提供する必要がなくなり、電力会社の負担がなくなる。
【0008】
バッテリーリザーバによる方法を使用すると、通常のガソリンスタンドで、EVポンプ(例えば燃料補給EVポンプ)または複数のポンプを変換または単純に追加して、EVの高速充電を提供できる。この高速充電により、今日のガソリン車のように、EVが全国で簡単に移動できるようになり、EVをより主流にすることが可能になる。
【0009】
本明細書に記載の主題は、電気充電ステーションに関する。
【0010】
本明細書に記載の主題は、電気/ガソリンステーションに関する。
【0011】
本明細書に記載の主題は、ガソリンポンプおよび電気ポンプの両方を備える、またはそれらからなる改良されたガソリンステーションに関する。
【0012】
本明細書に記載の主題は、少なくとも1つのガソリンポンプと少なくとも1つの電気ポンプとを備える、またはそれらからなる電気充電/ガソリンステーションに関する。
【0013】
本明細書に記載の主題は、少なくとも1つのガソリンポンプと少なくとも1つの電気ポンプとを備える、またはそれらからなる電気充電/ガソリンステーションに関する。
【0014】
本明細書に記載の主題は、少なくとも1つのガソリンポンプと少なくとも1つの電気ポンプとを備える、またはそれらからなる電気充電/ガソリンステーションに関し、少なくとも1つのガソリンポンプは、少なくとも1つの電気ポンプから所定の距離だけ離れている。
【0015】
本明細書に記載の主題は、少なくとも1つのガソリンポンプと少なくとも1つの電気ポンプとを備える、またはそれからなる電気充電/ガソリンステーションに関し、少なくとも1つのガソリンポンプおよび少なくとも1つの電気ポンプは単一のポンプユニットである。
【0016】
本明細書に記載の主題は、少なくとも1つのガソリンポンプと少なくとも1つの電気ポンプとを備える、またはそれらからなる電気充電/ガソリンステーションに関し、少なくとも1つのガソリンポンプおよび少なくとも1つの電気ポンプは別個のポンプユニットである。
【0017】
本明細書に記載の主題は、複数のガソリンポンプ位置と複数の電気ポンプとを備える、またはそれらからなる電気充電/ガソリンステーションに関する。
【0018】
本明細書に記載の主題は、複数のガソリンポンプ位置と複数の電気ポンプとを備える、またはそれらからなる電気充電/ガソリンステーションに関し、ガソリンポンプは少なくとも1列に配置され、電気ポンプは別の少なくとも1列に配置される。
【0019】
本明細書に記載の主題は、少なくとも1つの電気リザーバを備える、またはそれからなる電気充電ステーションに関する。
【0020】
本明細書に記載の主題は、少なくとも1つのオンサイト電気リザーバを備える、またはそれからなる電気充電ステーションに関する。
【0021】
本明細書に記載の主題は、地下に位置する少なくとも1つの電気リザーバを備える、またはそれからなる電気充電ステーションに関する。
【0022】
本明細書に記載の主題は、地上に位置する少なくとも1つの電気リザーバを備える、またはそれからなる電気充電ステーションに関する。
【0023】
本明細書に記載の主題は、少なくとも1つの電気リザーバを備える、またはそれからなるガソリン/電気充電ステーションに関する。
【0024】
本明細書に記載の主題は、少なくとも1つのオンサイト電気リザーバを備える、またはそれからなるガソリン/電気充電ステーションに関する。
【0025】
本明細書に記載の主題は、地下に位置する少なくとも1つの電気リザーバを備える、またはそれからなるガソリン/電気充電ステーションに関する。
【0026】
本明細書に記載の主題は、地上に位置する少なくとも1つの電気リザーバを備える、またはそれからなるガソリン/電気充電ステーションに関する。
【0027】
本明細書に記載の主題は、少なくとも1つのガソリンタンクと、地下に配置された少なくとも1つの電気リザーバとを備える、またはそれらからなるガソリン/電気充電ステーションに関する。
【0028】
本明細書に記載の主題は、少なくとも1つのガソリンタンクと、地下に配置された少なくとも1つの電気リザーバと備える、またはそれらからなるガソリン/電気充電ステーションに関し、少なくとも1つのガソリンタンクと少なくとも1つの電気リザーバは、少なくとも所定の距離だけ離間している。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明によるガソリン/電気ステーションの概略図である。
【
図2】
図1に示すガソリン/電気ステーションの別の概略図である。
【
図3】
図1に示すガソリン/電気ステーションの構造および配置の概略図である。
【
図4】ガソリン/電気ステーション、例えば、
図1に示されるガソリン/電気ステーションと共に使用するための、または例えば遠隔地のある場所で使用するためのポータブル式ガソリン/電気ステーションの構造および配置の概略図である。
【
図5】
図1から
図3に示すステーションで使用されるフロー電池の概略図である。
【
図6】電気リザーバ(例えば、バッテリーリザーバ)から電気ポンプ(例えば、EVポンプ、EV充電器)への電力の流れを示すフローチャートである。
【
図7】本発明によるガソリン/電気ポンプの側面図である。
【
図8】電源および電気リザーバからのEVの充電の電力共有の概略図である。
【
図9】ガソリン/電気ポンプの電気リザーバおよびリチウムイオン電池からのEVの充電の電力共有の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明によるガソリン/電気ステーション10が、
図1および2に示されている。ガソリン/電気ステーション10は、燃料(例えば、ガソリン、ディーゼル、プロパン)を分配し、EVを充電するように構築、配置、設計されている。
【0031】
ガソリン/電気ステーション10は、複数のガソリン/電気ポンプ12を備えている。ガソリン/電気ポンプ12はそれぞれ、電気車両充電器またはEV充電器と、燃料(例えば、ガソリン、ディーゼル、ガス、プロパン)を車両に補給するための燃料ポンプとを含む。ガソリン/電気ポンプ12はそれぞれ、例えばガソリン/電気ポンプ12のハウジングまたは区画内に、EVを充電するための電気部品(例えばDC-DCコンバータ、(複数の)バッテリー、(複数の)リチウムイオン電池)と、従来の内燃機関に燃料を補給するための電気部品(例えば燃料ポンプ、燃料計、燃料フィルタ、電気制御装置)を備えることができる。
【0032】
ガソリン/電気ポンプ12は、
図1では、各列に3つのガソリン/電気ポンプ12がある2つの列にあるものとして示されている。しかしながら、より多くの、またはより少ないガソリン/電気ポンプ12を列に設けることができ、またはより多くの、またはより少ない数の列が存在することができる。
【0033】
図7に示すように、ガソリン/電気ポンプ12はそれぞれ、ディスプレイ14と、EVフックアップおよび充電用に構成された電気コネクタ16Bを備えた充電ケーブル16Aと、ガスノズル18Bが取り付けられたガスホース18Aと、DC-DCコンバータ60と、および内部リチウムイオン電池アレイ19とを有する。あるいは、ガソリン/電気ポンプ12は、「電気専用」もしくは「ガソリン専用」ポンプ、充電器、またはガソリン/電気ステーション10の敷地において様々な配置および/または位置でEV充電器から離間したガスポンプを提供する装置であり得る。
【0034】
この場合も、図示のガソリン/電気ポンプ12は、ガソリンのポンピングとEV充電の両方のための構成部品または部品を備えている。例えば、ガソリン/電気ポンプ12は、(複数の)リチウムイオン電池または(複数の)リチウムイオン電池アレイ19、リチウムイオン電池アレイまたはアセンブリ19によって電気自動車(EV)へ供給される電圧および電流を制御するように構成された電子制御装置、燃料ポンプ構成部品および/または安全電子機器(例えば、すべての補給の停止、EV充電の停止、燃料ポンプの停止、ハロン消防システムの始動、電気火花抑制、操作ロックアウト検出および「ガソリン専用」の充填モードまたは「充電専用」充電モードの制御)を含むことができる。
【0035】
再び、
図1および
図2に示される配置は、図示されたガソリン/電気ポンプ12の列を物理的に間隔を空けた1列または複数の列の「ガソリン専用」ポンプおよび1列または複数の列の「充電専用」ポンプで置き換えることにより修正できる。これは安全上の理由(例えば、電気機器や電気火花が生じる可能性がある近くでの燃料蒸気の防止のため)のために、これらを離間させるものである。しかし、ガソリン/電気ポンプ12は、電気火花抑制、高レベルの電気接地、冗長電気接地、ガソリンおよび電気操作を分離するための個別の区画または個別の格納構造、空気抜き、または同じガソリン/電気ポンプ12内でガソリンと電気の両方の操作を可能にするための空気またはガス(例えば窒素)循環ポンプを提供するように構成または設計されることができる。
【0036】
また、ガソリン/電気ポンプ12は、一度に1つの動作モードのみを許可するように構成または設計することができる。例えば、空気抜きをする、または循環ポンプがガソリン操作モード後の残りの燃料または燃料蒸気を大気中へ除去できるようにするように、動作中に一時停止してもよい。
【0037】
ガソリン/電気ステーション10は、個々のガソリンライン24(すなわち、ガソリン分配装置およびシステム)に接続されてこれに供給するメインガソリン供給ライン22を介して、個々のガソリン/電気ポンプ12に接続される地下ガソリン貯蔵タンク20を備える。ガソリン/電気ステーション10は、個々の電気ライン30(すなわち、配電装置およびシステム)に接続されてこれに供給するメイン電力ライン28を介して、個々のガソリン/電気ポンプ12に接続される地下電力リザーバ26をさらに備える。ガソリン/電気ステーション10は、車両にガソリンを充填するのと同様の時間枠で電気車両(EV)の高速充電(例えば5~15分で電気車両を充電するように構成される)を提供すると予想される。
【0038】
図1および2に示されるガソリン/電気ステーション10の代替として、より大きな需要、および/またはピーク需要を満たすために、複数のガソリンタンク20および/または複数の電力リザーバ26がガソリン/電気ステーション10に設けられ得る。
【0039】
電力リザーバ26は、大量の電力を貯蔵するように構成された装置またはデバイスであり得る。例えば、電力リザーバ26は、フロー電池および/またはリチウムイオン電池(例えば電池群)であり得る。例えば、電力リザーバは、EVを高速充電するように構成された一連のリチウムイオン電池に接続された大型フロー電池であり得る。電力リザーバ26は、毎日、毎週、毎月、および毎年のスケジュールで充電されるEVの予測数に基づいてモデル化された需要に対応するように設計、構築、およびサイズ設定することができる。
【0040】
電力リザーバ26は、例えば店舗36に配置された電気パネル34に接続された地下電力ライン32を介して電力を供給される。高電力サービスライン38は、電源40(例えば、送電網、送電線、送電局、発電機)から電力を供給する。電力計35(例えば、店舗36の側面に位置する)が設けられて、電源40からの入電力を測定することができる。
【0041】
さらに、電力ライン32を介した電力リザーバ26の充電を制御するために、電力ライン32に電子制御装置41を設けることができる。例えば、電子制御装置41は、電力リザーバ26の構成要素または部品であってもよく、または別個の構成要素または部品であってもよい(例えば、ガソリン/電気ステーション10の敷地内に位置する)。電子制御装置41は、例えば、プログラム可能な電子制御装置41であることができる。
【0042】
さらに、
図1および
図3に示すように、電力ライン32を介して電力リザーバ26を充電するために、入ってくるAC電力をDC電力に変換するAC-DCコンバータ43を電力ライン32に設けることができる。例えば、AC-DCコンバータ43は、電力リザーバ26の構成要素または一部、または別個の構成要素または一部であり得る(例えば、ガソリン/電気ステーション10の敷地内に位置する)。
【0043】
電力リザーバ26は、様々な方法で充電されることができる。例えば、電力リザーバ26は、連続的に充電、要求に応じて充電、および/またはプログラムまたはアルゴリズムに従って充電される。例えば、充電戦略は、毎日のスケジュールを通して予測された数の車両を充電するための需要を満たす一方で、需要を減少または最小化する(例えば、電源40のピーク需要を回避する)方法で電力リザーバ26を充電することであり得る。プログラムまたはアルゴリズムは、将来の需要の予測を更新および改善するために、年間、季節(例えば、夏、秋、冬、春)、および休日中の特定の日の所定の時間における需要量に関するデータを学習および保存するように構成できる。
【0044】
電力リザーバ26の充電は、電力リザーバ26を均一なまたは変化する速度で連続的に充電することを含むことができる。あるいは、電力リザーバ26は、固定速度で断続的に充電、および/または異なる期間で異なる速度で充電されることができる。いずれの場合にも、その意図は、ガソリン/電気ステーション10を、電源40のピーク電力需要を最小限に抑えながら、ガソリン/電気ステーション10でEVを充電するためのピーク需要を常に満たすのに十分な電力の使用可能性を提供するよう、構築および配置することである。
【0045】
ガソリン/電気ステーション10は
図1~
図3に示され、および/または別の操作(例えば、異なる場所、例えば遠隔地に位置するロット)には、
図4に示すように電気ユニット126、226を取り付けることができる。図示されているユニット126、226は、充電のみを提供するように構成および配置されている。しかしながら、ユニット126、226は、従来の車両のガソリン燃料補給またはEVの電気充電の両方を提供するように修正することができる。電気ユニット126、226は、例えば、ガソリン/電気ステーション10の電気パネル34に接続され、電力を供給されることができる。
【0046】
電気ユニット126、226のポータブルな形式は、ポータブル電気ユニットであり得る。例えば、20フィートの可動式貯蔵容器には1つの電気ポンプ12を取り付けることができ、40フィートの可動式貯蔵容器には2つの電気ポンプ12を取り付けることができる。ポータブルユニット126、226は、サイト(例えば、新しいステーションサイト、ローカルステーションサイト、リモートステーションサイト)に輸送され、接続されて動作を開始することができる。電気ユニット126、226のポータブルの形式は、一時的な動作、遠隔動作を提供するのに特に有用であり、安価で、再利用可能な、または再配置可能な動作を提供する。
【0047】
例えば、
図1~3に示される電力リザーバ26は、
図5に示されるフロー電池50であり得る。具体的には、フロー電池50は、
図1~3に示すガソリン/電気ステーション10の電力リザーバ26、または
図3に示す電気ユニット126および226のポータブル形式として使用するように構造化、構成および/または設計されることができる。
【0048】
フロー電池50は、循環ポンプを有するAQDS/AQDSH電解質貯蔵タンクと、プロトン交換膜により隔てられた一対の離間した多孔質炭素電極と共に別の循環ポンプを有するHBr/Br2電解質貯蔵タンクとを含む。フロー電池50は、電気供給ケーブル32(電源)およびガソリン/電気ポンプ12に通じるメイン電源ケーブル22に接続されており、これらに供給している。
【0049】
図6に示されるように、少なくとも1つのDC-DCコンバータ60は、電気リザーバ26から電力を受け取り、次いでガソリン/電気ポンプ12に電力を供給することができる。コンバータ60は、電力リザーバ26の構成要素または一部、および/またはガソリン/電気ポンプ12の構成要素または一部であることができる。
【0050】
フロー電池
再び、電気リザーバ26は、1つまたは複数のフロー電池50であり得る。レドックスフロー電池セルスタックの開回路電圧は、他の電池と同様に、直列のスタックの数に正比例する。
【0051】
EV電池を充電するために、フロー電池50によって提供される電圧は、EV電池を充電する必要があるレベルに調整可能でなければならない(例えば、充電プロセス中にいくつかの異なる中間レベルを想定し得る)。適切に設計されたDC-DCコンバータ60(例えば、
図7に示されるようにガソリン/電気ポンプ12に収容される)は、フロー電池に続く適切な検知およびフィードバック機構により、EV電池を充電するための所望の電圧を提供する。例えば、テスラ「モデルS」のバッテリー電圧は約350Vdcである。
【0052】
電気リザーバ26(例えば、フロー電池50)自体から利用可能な電圧は、その構成(すなわち、スタック内のセルの数、直列のスタックの数)に依存する。例えば、2009年に設置されたバナジウムフロー電池では、各スタックに40個のセルがある3つのセルスタックを含み、次のことが実証された。スタックは電気的に直列に接続されており、これにより約165Vの電位が得られる(持続可能なエネルギーに関するRiso国立研究所レポート、Riso-R-1753(EN)、2011年2月、デンマーク工科大学)。
【0053】
この電圧は、セルスタックを直列に追加することにより増加されることができる。電圧を所望の充電レベルに上げる別の方法は、ガソリン/電気ポンプ12にあるDC-DCコンバータ60内のパワーエレクトロニクス・ブーストコンバータを使用することである。所望の充電電圧を得るためのトポロジーの選択は、各オプションの経済性と各オプションに必要な物理的スペース(不動産)に依存する。
【0054】
DC-DCコンバータ60の出力電圧は、充電されるEVモデルに依存し、EVモデルは、非常に様々なバッテリー電圧または充電ポートのフォームファクタを有し得る。DC-DCコンバータのパワーエレクトロニクスは、特定の範囲のバッテリー電圧に対して必要な電圧レベルを提供できると考えられる。EV電池の電圧要件が、単一のDC-DCコンバータ60の設計で提供できる範囲を超えている場合、または完全に異なる充電ポートのフォームファクタである場合、同じ電気リザーバ26(例えばフロー電池50)とインタフェースする異なるポンプタイプ212が設けられる必要がある。
【0055】
EV電池は、メーカーが推奨する電流レベルで充電される必要があり、EV電池を保護し、EVの充電インレットポートに接続するケーブルの電圧降下を制限するには、最大電流レベルを超えてはならない。DC-DCコンバータ60の電流制限機能は、その保護を提供する。電気リザーバ26(例えばフロー電池50)の出力電圧がEV電池電圧よりも高い場合、DC-DCコンバータ60は、MOSFETまたはIGBTタイプのパワーエレクトロニクススイッチからなる「バック(buck)」タイプになる。高速充電中に大電流が発生するため、「ゼロ電圧スイッチング」や同期整流などの低損失スイッチング手法でスイッチを動作させることが推奨される。次いで、DC-DCコンバータ60は、「ハーフブリッジ」に配置されたパワーエレクトロニクススイッチと、それに続く電流リミッタ61(例えばLCフィルタ)とからなり、パワーエレクトロニクススイッチング機構によって引き起こされる電圧リップルを低減する。
【0056】
電気リザーバ26(例えばフロー電池50)の出力電圧がEV電池電圧よりも低いかまたはそれに近い場合、DC-DCコンバータ60は、第1の「ブースト」ステージを有し、その後に「DCリンク」コンデンサが続き、その後に「バック」ステージとLCフィルタが続く。「ブースト」ステージは、フロー電池から利用可能な電圧をより高い電圧に昇圧し、充電プロセス中に必要に応じてEV電池電圧にダウンコンバートする。コンバータでの損失を最小限に抑えながら、昇圧と降圧ステージの両方の動作が再び行われる。
【0057】
電気パネル40またはケーブル32に供給するAC電源40の後に配置されるAC-DCパワーコンバータ43は、整流器62ステージとそれに続くDC-DCコンバータ64ステージを組み込むことができる。整流器62ステージは、AC電圧をDC電圧に変換するために必要である。DC-DCコンバータ64またはコンバータステージ64は、充電プロセス中に必要とされるように、整流(DC)電圧をフロー電池26の電圧に変換するために必要とされる。整流器ステージは通常、MOSFETまたはIGBTタイプのスイッチを使用して実装されるフルブリッジ「制御整流器」タイプである。電力会社が設定した電力品質要件を満たすため、AC側で「力率補正」を達成するように整流器ステージが制御される。DC-DCコンバータ64ステージは、整流電圧よりもフロー電池電圧がそれぞれ低いか高いかに応じて、「バック」タイプ、または「ブースト」タイプとそれに続く「バック」タイプとすることができる。DC-DCコンバータ64ステージは、パワーエレクトロニクススイッチング機構によって引き起こされる電圧リップルを除去するためにLCフィルタ66を含むことができる。ここでも、損失を最小限に抑えるため、パワーエレクトロニクススイッチが操作される必要がある。
【0058】
EVパワーポンプ高エネルギーケーブル
高エネルギーケーブルは、車両を充電するために350kWの電力を安全に供給できる。これだけの電力を管理するには、太い銅ケーブルを使用する必要がある。電力は、電圧と電流の組み合わせになる。今日の電気自動車は、350~400VDCのバッテリーを使用して製造されている。将来的には、より長い走行距離とより高い速度をサポートするために、この電圧はより高くなるであろう。高速充電を成功させるには、充電電流が400~500アンペアであることが期待される。
【0059】
充電ケーブルは、必要な充電電流を扱うために、0000AWG(直径約0.5インチ)以上の直径を使用して製造される必要がある。車両へのインタフェースもまた大きな導体でなければならない。1本の大きなケーブルまたは2本の小さなケーブルを使用して、必要な電力を供給することができる。2本のケーブルの利点は、EVパワーポンプとEVとの間の取り扱いが容易になる点である。2本のケーブル接続は、充電プロセスの安全キーとしても使用できる。より具体的には、充電プロセスを開始できるようにするために、EVパワーポンプは両方の導体の堅固な接続を検出する必要がある。「電子安全キー/ロック」も使用して、ポンプへの接続が、充電の準備ができた有効なEVであることを保証する。この安全キーは、ポンプ安全ソフトウェアの一部であることができ、ポンプを有効にするには、EVが有効な応答を提供する必要がある。この方法では、有効なEVが接続されて充電の準備ができていると安全かつ明確に判断されない限り、ポンプは、決してケーブルに高電力を供給しない。
【0060】
EVパワーポンプとEVとの間の導体は、銅や銀などの高導電性のゲージ重金属でできていなければならず、低腐食タイプでなくてはならない。安全性のため、ポンプケーブル端のコネクタには、露出した金属部分があってはならず、2本のケーブルを使用する場合、ケーブルは交換可能か、不適切に挿入できないようにキーイングする必要がある。
【0061】
高導電性ケーブルと接点を使用すると、重要な充電プロセス中のエネルギー損失を最小限に抑えることができる。充電プロセス中に最大エネルギー(電力x時間)が供給されることが非常に重要である。
【0062】
充電中断の安全性も提供され、充電プロセス中に車を運転しようとする人などの事故や、地震などの環境事故からも保護される。充電プロセス中にEVの駆動を無効にするためにEV製造業者が使用できるポンプからの禁止信号が提供される。しかし、充電プロセス中にケーブルが誤ってポンプから引き抜かれた場合に備えて、ポンプはこの状態を検出し、電源をオフにして、外部から利用できないようにする。
【0063】
安全性のため、バッテリーリザーバから電源をオフにするマスターシャットオフレバーも提供される。
【0064】
最大電力共有
電気自動車の高速充電ステーションとシステムは、
図8に示すように、エネルギーリザーバの充電とEVの充電の間に最大電力共有機能を含むことができる。
【0065】
使用されるエネルギーリザーバ26がレドックスフロー電池50である場合、出力部に電力を供給している間は充電できない。これは、ポンプの流れが適宜方向を変えるためである。この制限のため、通常はレドックスフロー電池の充電に使用される追加の電力を、実際のEVの充電を支援するために利用することが可能である。
【0066】
この機能により、充電ターゲットを選択するためのリレー切り替えが可能になる。ポンプにEVがない間は、レドックス電池が選択されて継続的に充電されることができる。EVの充電準備が整うとすぐに、システムは選択を切り替えて、エネルギーリザーバに送られていた電力をEVに供給することにより、EVに最大充電を提供できる。
【0067】
充電器43’(
図8)は、電気リザーバ26を充電するための充電器43’を構成する他の電気部品または部品とともに、
図1に示すAC-DCパワーコンバータ43を含むことができることに留意されたい。あるいは、充電器43’は、ACからのパワーコンバータ43と比較して異なるタイプの充電器であり得る。
【0068】
このタイプの特徴は、
図9に示すように、ガソリン/電気ポンプ12に同様に適用できる。電気リザーバ26からのDC電力は、DC-DCコンバータ60に向けられる。DC-DCコンバータ60からのDC-DC電力は、リチウムイオン電池19を充電するために選択的に使用することができ、またはガソリン/電気ポンプ12によって充電されているEVを充電するために使用することができる。あるいは、DC-DCコンバータ60およびリチウムイオン電池19からの電力を同時に使用して、
図9に示されるスイッチング構成によりEVを充電することができる。
【0069】
図8および9の特徴は、別個であるか、またはガソリン/電気ステーション10に一緒に組み合わされることができる。