IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダイキン工業株式会社の特許一覧 ▶ ダイキン アメリカ インコーポレイティッドの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-21
(45)【発行日】2023-01-04
(54)【発明の名称】積層体
(51)【国際特許分類】
   B32B 3/08 20060101AFI20221222BHJP
   C03C 27/12 20060101ALI20221222BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20221222BHJP
【FI】
B32B3/08
C03C27/12 K
B32B27/00 103
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021149345
(22)【出願日】2021-09-14
(62)【分割の表示】P 2019550412の分割
【原出願日】2018-10-30
(65)【公開番号】P2022001439
(43)【公開日】2022-01-06
【審査請求日】2021-09-14
(31)【優先権主張番号】P 2017211200
(32)【優先日】2017-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】510222590
【氏名又は名称】ダイキン アメリカ インコーポレイティッド
【氏名又は名称原語表記】DAIKIN AMERICA,INC.
【住所又は居所原語表記】20 Olympic Drive,Orangeburg,New York 10962,U.S.A
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100132252
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 環
(72)【発明者】
【氏名】本多 義昭
(72)【発明者】
【氏名】福田 晃之
(72)【発明者】
【氏名】大家 明子
【審査官】増永 淳司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/026318(WO,A1)
【文献】特開2016-132719(JP,A)
【文献】特表2014-529882(JP,A)
【文献】特開2009-144133(JP,A)
【文献】特開2016-183319(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 3/08
C03C 27/12
B32B 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基材層、接着剤層、および第2基材層が、この順に積層された積層体であって、
前記第1基材層と前記第2基材層の間から露出した前記接着剤層が、パーフルオロポリエーテル基含有化合物を含む硬化性組成物より形成された層により覆われており、
前記パーフルオロポリエーテル基含有化合物が、パーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物である、積層体。
【請求項2】
前記パーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物が、式(A)、(B)、(C)、または(D):
[式中:
PFPEは、各出現においてそれぞれ独立して、式:
-(OC12-(OC10-(OC-(OC10 -(OC-(OCF
(式中、a、b、c、d、eおよびfは、それぞれ独立して0以上200以下の整数であって、a、b、c、d、eおよびfの和は少なくとも1であり、a、b、c、d、eまたはfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意であり、X10は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子または塩素原子である。)
で表される基であり;
13は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表し;
14は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または炭素原子数1~22のアルキル基を表し;
11は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子またはハロゲン原子を表し;
12は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表し;
11”、R12”、R13”、およびR14”は、それぞれ、R11、R12、R13、およびR14と同意義であり;
n1は、(-SiR13 n114 3-n1)単位毎または(-SiR13” n114” 3-n1)単位毎に独立して、0~3の整数であり;
ただし、式(A)、および(B)において、各出現においてそれぞれ独立して、R13およびR13”からなる群より選ばれる基が少なくとも2存在し;
は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合または2~10価の有機基を表し;
は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合または2価の有機基を表し;
tは、各出現においてそれぞれ独立して、1~10の整数であり;
α1は、各出現においてそれぞれ独立して、1~9の整数であり;
は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合または2~10価の有機基を表し;
β1は、各出現においてそれぞれ独立して、1~9の整数であり;
は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合または2~10価の有機基を表し;
γ1は、各出現においてそれぞれ独立して、1~9の整数であり;
は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z-SiR71 p172 q173 r1を表し;
は、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子または2価の有機基を表し;
71は、各出現においてそれぞれ独立して、Ra’を表し;
a’は、Rと同意義であり;
中、Z基を介して直鎖状に連結されるSiは最大で5個であり;
72は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表し;
73は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表し;
p1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
q1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
r1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
a”は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z-SiR71 p172” q173 r1を表し;
72”は、R72と同意義であり;
ただし、(-Z-SiR71 p172 q173 r1)毎、または(-Z-SiR71 p172” q173 r1)毎において、p1、q1およびr1の和は3であり、式(C)において、少なくとも1つのq1が1~3の整数であり;
は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表し;
は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表し;
b”、およびRc”は、それぞれ、R、およびRと同意義であり;
k1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
l1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
m1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
ただし、(SiR k1 l1 m1)毎、または(SiRa” k1b” l1c” m1)毎において、k1、l1およびm1の和は3であり;
(C)において、R、Rb”、R72、およびR72”からなる群より選ばれる基が少なくとも2存在し;
は、それぞれ独立して、単結合または2~10価の有機基を表し;
δ1は、それぞれ独立して、1~9の整数であり;
は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z-CR81 p282 q283 r2を表し;
は、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子または2価の有機基を表し;
81は、各出現においてそれぞれ独立して、Rd’を表し;
d’は、Rと同意義であり;
中、Z基を介して直鎖状に連結されるCは最大で5個であり;
82は、各出現においてそれぞれ独立して、-Y-SiR85 n286 3-n2を表し;
Yは、各出現においてそれぞれ独立して、2価の有機基を表し;
85は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表し;
86は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表し;
83は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、水酸基または低級アルキル基を表し;
p2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
q2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
r2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
d”は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z-CR81 p282” q283 r2を表し;
82”は、-Y-SiR85” n286” 3-n2を表し;
ただし、(-Z-CR81 p282 q283 r2)毎または(-Z-CR81 p282” q283 r2)毎において、p2、q2およびr2の和は3であり;
n2は、(-Y-SiR85 n286 3-n2)単位毎または(-Y-SiR85” n286” 3-n2)単位毎に独立して、0~3の整数を表し;
85”、およびR86”は、それぞれ、R85、およびR86と同意義であり;
は、各出現においてそれぞれ独立して、-Y-SiR85 n286 3-n2を表し;
e”は、各出現においてそれぞれ独立して、-Y-SiR85” n286” 3-n2を表し;
は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、水酸基または低級アルキル基を表し;
f”は、Rと同意義であり;
k2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
l2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
m2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
ただし、(CR k2 l2 m2)毎または(CRd” k2e” l2f” m2)毎において、k2、l2およびm2の和は3であり、式(D)において、n2が1以上である-Y-SiR85 n286 3-n2で表される基およびn2が1以上である-Y-SiR85” n286” 3-n2で表される基からなる群より選ばれる基が2以上存在する。]
で表される少なくとも1種のパーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物である、請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
前記接着剤が、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、イミド樹脂、ポリビニルクロライド樹脂、ポリビニルブチラル樹脂、エチレンビニルアセテート樹脂から選択される樹脂を含む接着剤である、請求項1または2に記載の積層体。
【請求項4】
第1基材層および第2基材層が、それぞれ独立して、樹脂、金属、金属酸化物、セラミックおよびガラスからなる群から選択される材料から構成される基材層である、請求項1~3のいずれか1項に記載の積層体。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の積層体を有して成る物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層体および該積層体を有して成る物品に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイアセンブリ、タッチパネルアセンブリ、太陽電池アセンブリ等は、その構成材料として、種々の基材層が貼り合わされた積層体を有して成る。かかる積層体は、基材層、例えば液晶パネル、タッチパネル、電極ガラス、カバーガラス等が接着剤により貼り合わされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-105069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らは、上記のような積層体は、それを含む物品が長期間使用されると、接着層が膨潤する場合があることに気付いた。本発明者らは、その理由として、基材層が接着剤により貼りあわされた積層体の端面において、接着剤層が露出する露出部分が存在することに原因があると考えた。このような露出部分が存在すると、外部から化学物質などが積層体の端面に付着した場合、接着層の膨張問題が生じ得る。
【0005】
従って、本発明の目的は、化学物質に対する優れた耐性を有する積層体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記の問題を解決すべく鋭意検討した結果、基材層を接着剤で貼り合わせた積層体において、その端面を、パーフルオロポリエーテル基含有化合物で保護することにより、化学物質に対する耐性が向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
本発明の第1の要旨によれば、
第1基材層、接着剤層、および第2基材層が、この順に積層された積層体であって、
前記積層体の端面が、パーフルオロポリエーテル基含有化合物を含む硬化性組成物より形成された層により覆われている、積層体
を提供する。
【0008】
本発明の第2の要旨によれば、上記本発明の積層体を有して成る物品を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、第1基材層、接着剤層、および第2基材層が積層された積層体において、その端面をパーフルオロポリエーテル基含有化合物を含む硬化性組成物により保護することにより、化学物質に対する耐性の高い積層体を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の積層体は、第1基材層、接着剤層、および第2基材層を有して成る。第1基材層、接着剤層、および第2基材層は、この順に積層されている。即ち、第1基材層と第2基材層は、接着剤層により貼り合わされ、積層体を形成する。
【0011】
第1基材層および第2基材層を構成する材料は、特に限定されず、例えば、樹脂、金属、金属酸化物、セラミックおよびガラスからなる群から選択される。
【0012】
上記樹脂としては、特に限定されないが、例えば、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ABS樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系等が挙げられる。
【0013】
上記金属としては、特に限定されないが、例えば、アルミニウム、銅、鉄、ステンレス、これらの合金等が挙げられる。
【0014】
上記金属酸化物としては、特に限定されないが、例えば、ITO(酸化インジウムスズ)、陽極酸化アルミ等が挙げられる。
【0015】
上記セラミックとしては、特に限定されないが、例えば、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、ジルコニウム等が挙げられる。
【0016】
上記ガラスとしては、特に限定されないが、例えば、ソーダライムガラス、アルカリアルミノケイ酸塩ガラス、ホウ珪酸ガラス、無アルカリガラス、クリスタルガラス、石英ガラスが好ましく、化学強化したソーダライムガラス、化学強化したアルカリアルミノケイ酸塩ガラス、化学結合したホウ珪酸ガラス等が挙げられる。
【0017】
上記第1基材層および第2基材層を構成する材料は、同じであってもよく、互いに異なっていてもよい。
【0018】
上記第1基材層および第2基材層の形状は、特に限定されず、例えばそれぞれ、フィルム状、板状であり得る。
【0019】
上記第1基材層および第2基材層の厚さは、特に限定されないが、例えばそれぞれ、0.01mm以上10.0mm以下、0.1mm以上5mm以下、または0.5mm以上2mm以下であり得る。
【0020】
上記第1基材層および第2基材層は、それぞれ一の部材であってもよい。かかる部材としては、タッチパネル、カバーガラス、飛散防止フィルム、液晶パネル、電極フィルム、保護シート等が挙げられる。また、上記部材は、プリント回路基板(PCB:Printed Circuit Board)およびその上に搭載される電子素子、例えば、大規模集積回路(LSI:Large Scale Integration)、筐体およびそこに固定される電子素子、例えばスピーカー、ディスプレイモジュール等であり得る。
【0021】
上記接着剤層を構成する材料は、上記第1基材層および第2基材層を貼り合わせることができるものであれば特に限定されない。上記接着剤層を構成する材料としては、特に限定されないが、例えば、紫外線硬化型等の光硬化型接着剤、反応硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、嫌気型接着剤などの各種硬化型接着剤を用いることができる。これら接着剤としては、特に限定されないが、例えばエポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂、ポリイミド樹脂、イミド樹脂、ポリビニル樹脂、ポリエステル樹脂、PVC(ポリビニルクロライド)樹脂、PVB(ポリビニルブチラル)樹脂、EVA(エチレンビニルアセテート)樹脂等が挙げられる。
【0022】
上記接着剤層の厚さは、特に限定されないが、例えば0.01mm以上1.0mm以下、0.05mm以上0.8mm以下、または0.1mm以上0.6mm以下であり得る。
【0023】
上記接着剤層は、接着シート、粘着シート、シート状もしくはフィルム状の接着剤であり得、例えば、OCA(optical clear adhesive)フィルム、液状の粘着剤を注入した後にUV、熱等で硬化される接着剤(いわゆる、リキッドOCA)を好適に用いることができる。
【0024】
上記積層体は、上記第1基材層と第2基材層とを、上記接着剤層で貼り合わせることにより得ることができる。貼り合わせの方法は、特に限定されず、各分野にて公知の方法にて貼り合わせることができる。
【0025】
上記積層体は、特に限定されないが、例えばタッチパネルとカバーガラスを接着剤層により貼り合わせたもの、液晶パネルとカバーガラスを接着剤層により貼り合わせたもの、タッチパネルと液晶パネルを接着剤層により貼り合わせたもの、電極フィルムとカバーガラスを接着剤層により貼り合わせたもの、ガラスと飛散防止フィルムを接着剤層により貼り合わせたもの等が挙げられる。
【0026】
上記積層体の端面は、パーフルオロポリエーテル基含有化合物(以下、「PFPE含有化合物」ともいう)を含む硬化性組成物より形成された層により覆われている。即ち、上記積層体の端面は、パーフルオロポリエーテル基含有化合物を含む硬化性組成物より形成された層により保護されている。
【0027】
上記保護層は、積層体の端面に露出した接着層の少なくとも一部を覆っている限り、その形状等は限定されない。
【0028】
一の態様において、上記保護層は、積層体の端面に露出した接着層の表面積の50%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは実質的に100%を覆っている。
【0029】
一の態様において、上記保護層は、積層体の端面に露出した接着層領域を越えて、第1基材層および第2基材層の端面をも覆っていてもよい。また、上記保護層は、積層体の端面を超えて、積層体の主面、即ち第1基材層および第2基材層の主面にまで延在してもよい。
【0030】
上記保護層の厚さは、特に限定されないが、例えば10μm以上1.0mm以下、好ましくは20μm以上500μm以下、より好ましくは30μm以上200μm以下であり得る。
【0031】
従来の端面が保護されていない積層体は、接着層が露出しているため、外部からの汚染物質、例えば機械油、オレイン酸などの油、水、雨水、汗、皮脂、あるいは酸、アルカリなどの化学物質により、接着層の膨張、白化、気泡の発生、層の剥離といった不具合が生じ得る。本発明の積層体は、上記の保護層を有することにより、上記汚染物質から接着層が保護され、優れた耐性を有する。
【0032】
以下PFPE含有化合物について説明する。
【0033】
本明細書において用いられる場合、「2~10価の有機基」とは、炭素を含有する2~10価の基を意味する。かかる2~10価の有機基としては、特に限定されないが、炭化水素基からさらに1~9個の水素原子を脱離させた2~10価の基が挙げられる。2価の有機基としては、特に限定されるものではないが、炭化水素基からさらに1個の水素原子を脱離させた2価の基が挙げられる。
【0034】
本明細書において用いられる場合、「炭化水素基」とは、炭素および水素を含む基であって、分子から1個の水素原子を脱離させた基を意味する。かかる炭化水素基としては、特に限定されるものではないが、1つまたはそれ以上の置換基により置換されていてもよい、炭素原子数1~20の炭化水素基、例えば、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基等が挙げられる。上記「脂肪族炭化水素基」は、直鎖状、分枝鎖状または環状のいずれであってもよく、飽和または不飽和のいずれであってもよい。また、炭化水素基は、1つまたはそれ以上の環構造を含んでいてもよい。尚、かかる炭化水素基は、その末端または分子鎖中に、1つまたはそれ以上のN、O、S、Si、アミド、スルホニル、シロキサン、カルボニル、カルボニルオキシ等を有していてもよい。
【0035】
本明細書において用いられる場合、「炭化水素基」の置換基としては、特に限定されないが、例えば、ハロゲン原子;1個またはそれ以上のハロゲン原子により置換されていてもよい、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C3-10シクロアルキル基、C3-10不飽和シクロアルキル基、5~10員のヘテロシクリル基、5~10員の不飽和ヘテロシクリル基、C6-10アリール基および5~10員のヘテロアリール基から選択される1個またはそれ以上の基が挙げられる。
【0036】
本明細書において、アルキル基およびフェニル基は、特記しない限り、非置換であっても、置換されていてもよい。かかる基の置換基としては、特に限定されないが、例えば、ハロゲン原子、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基およびC2-6アルキニル基から選択される1個またはそれ以上の基が挙げられる。
【0037】
上記PFPE含有化合物は、特に限定されないが、典型的には、パーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物(以下、「PFPE含有シラン化合物」ともいう)または分子末端に炭素-炭素二重結合を有するパーフルオロポリエーテル基含有化合物(以下、「PFPE含有不飽和化合物」ともいう)である。PFPE含有化合物は、1種であっても、2種以上であってもよい。
【0038】
PFPE含有シラン化合物は、分子両末端に水酸基および加水分解可能な基からなる群より選ばれる少なくとも1の基と結合したSi原子を有する。
【0039】
一の態様において、上記PFPE含有シラン化合物は、式(A)、(B)、(C)、または(D)で表される少なくとも1種の化合物である。
【化1】
【0040】
式(A):
【化2】
【0041】
上記式中、PFPEは、各出現においてそれぞれ独立して、
-(OC12-(OC10-(OC-(OC10 -(OC-(OCF
で表される基である。式中、a、b、c、d、eおよびfは、それぞれ独立して0以上200以下の整数であって、a、b、c、d、eおよびfの和は少なくとも1である。好ましくは、a、b、c、d、eおよびfの和は5以上であり、より好ましくは10以上である。好ましくは、a、b、c、d、eおよびfの和は200以下であり、より好ましくは200以下であり、例えば10以上200以下であり、より具体的には10以上100以下である。また、a、b、c、d、eまたはfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。X10は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子または塩素原子であり、好ましくは水素原子またはフッ素原子であり、より好ましくはフッ素原子である。
【0042】
上記aおよびbは、それぞれ独立して、0以上30以下であることが好ましく、0であってもよい。
【0043】
一の態様において上記a、b、c、およびdそれぞれ独立して、好ましくは0以上30以下の整数であり、より好ましくは20以下の整数であり、特に好ましくは10以下の整数であり、さらに好ましくは5以下の整数であり、0であってもよい。
【0044】
一の態様において、a、b、cおよびdの和は、好ましくは30以下、より好ましくは20以下、さらに好ましくは10以下、特に好ましくは5以下である。
【0045】
一の態様において、eおよびfの和は、好ましくは30以上、より好ましくは40以上、さらに好ましくは50以上である。
【0046】
これら繰り返し単位は、直鎖状であっても、分枝鎖状であってもよいが、好ましくは直鎖状である。例えば、-(OC12)-は、-(OCFCFCFCFCFCF)-、-(OCF(CF)CFCFCFCF)-、-(OCFCF(CF)CFCFCF)-、-(OCFCFCF(CF)CFCF)-、-(OCFCFCFCF(CF)CF)-、-(OCFCFCFCFCF(CF))-等であってもよいが、好ましくは-(OCFCFCFCFCFCF)-である。-(OC10)-は、-(OCFCFCFCFCF)-、-(OCF(CF)CFCFCF)-、-(OCFCF(CF)CFCF)-、-(OCFCFCF(CF)CF)-、-(OCFCFCFCF(CF))-等であってもよいが、好ましくは-(OCFCFCFCFCF)-である。-(OC)-は、-(OCFCFCFCF)-、-(OCF(CF)CFCF)-、-(OCFCF(CF)CF)-、-(OCFCFCF(CF))-、-(OC(CFCF)-、-(OCFC(CF)-、-(OCF(CF)CF(CF))-、-(OCF(C)CF)-および-(OCFCF(C))-のいずれであってもよいが、好ましくは-(OCFCFCFCF)-である。-(OC)-(即ち、上記式中、X10はフッ素原子である)は、-(OCFCFCF)-、-(OCF(CF)CF)-および-(OCFCF(CF))-のいずれであってもよいが、好ましくは-(OCFCFCF)-である。また、-(OC)-は、-(OCFCF)-および-(OCF(CF))-のいずれであってもよいが、好ましくは-(OCFCF)-である。
【0047】
一の態様において、上記PFPEは、-(OC-(式中、dは1以上200以下、好ましくは5以上200以下、より好ましくは10以上200以下の整数である)である。好ましくは、PFPEは、-(OCFCFCF-(式中、dは1以上200以下、好ましくは5以上200以下、より好ましくは10以上200以下の整数である)または-(OCF(CF)CF-(式中、dは1以上200以下、好ましくは5以上200以下、より好ましくは10以上200以下の整数である)である。より好ましくは、PFPEは、-(OCFCFCF-(式中、dは1以上200以下、好ましくは5以上200以下、より好ましくは10以上200以下の整数である)である。
【0048】
別の態様において、PFPEは、-(OC-(OC-(OC-(OCF-(式中、cおよびdは、それぞれ独立して0以上30以下の整数であり、eおよびfは、それぞれ独立して1以上200以下、好ましくは5以上200以下、より好ましくは10以上200以下の整数であり、c、d、eおよびfの和は少なくとも5以上、好ましくは10以上であり、添字c、d、eまたはfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である)である。好ましくは、PFPEは、-(OCFCFCFCF-(OCFCFCF-(OCFCF-(OCF-である。
【0049】
一の態様において、PFPEは、-(OC-(OCF-(式中、eおよびfは、それぞれ独立して1以上200以下、好ましくは5以上200以下、より好ましくは10以上200以下の整数であり、添字eまたはfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である)であってもよい。このようなPFPE含有シラン化合物を有することにより、本発明で用いられる硬化性組成物は、低温でもゴム特性を維持し得る硬化物の形成に寄与し得る。
【0050】
さらに別の態様において、PFPEは、-(R-R-で表される基である。式中、Rは、OCFまたはOCであり、好ましくはOCである。式中、Rは、OC、OC、OC、OC10およびOC12から選択される基であるか、あるいは、これらの基から独立して選択される2または3つの基の組み合わせである。好ましくは、Rは、OC、OCおよびOCから選択される基であるか、OC、OC、OC10およびOC12から選択される基であるか、あるいは、これらの基から独立して選択される2または3つの基の組み合わせである。OC、OCおよびOCから独立して選択される2または3つの基の組み合わせとしては、特に限定されないが、例えば-OCOC-、-OCOC-、-OCOC-、-OCOC-、-OCOC-、-OCOC-、-OCOC-、-OCOC-、-OCOCOC-、-OCOCOC-、-OCOCOC-、-OCOCOC-、-OCOCOC-、-OCOCOC-、-OCOCOC-、-OCOCOC-、および-OCOCOC-等が挙げられる。上記jは、2以上、好ましくは3以上、より好ましくは5以上であり、100以下、好ましくは50以下の整数である。上記式中、OC、OC、OC、OC10およびOC12は、直鎖または分枝鎖のいずれであってもよく、好ましくは直鎖である。この態様において、PFPEは、好ましくは、-(OC-OC-または-(OC-OC-である。
【0051】
PFPEにおいて、fに対するeの比(以下、「e/f比」という)は、0.1以上10以下であり、好ましくは0.2以上5以下であり、より好ましくは0.2以上2以下であり、さらに好ましくは0.2以上1.5以下である。e/f比を上記範囲にすることにより、この化合物から得られる硬化物の撥水性、撥油性、および耐ケミカル性(例えば、塩水、酸または塩基性水溶液、アセトン、オレイン酸またはヘキサンに対する耐久性)がより向上し得る。e/f比がより小さいほど、上記硬化物の撥水性、撥油性、耐ケミカル性より向上する。一方、e/f比を0.1以上にすることにより、化合物の安定性をより高めることができる。e/f比がより大きいほど、化合物の安定性はより向上する。
【0052】
一の態様において、e/f比は1.0未満である。e/f比は、好ましくは、0.10以上、より好ましくは0.20以上、さらに好ましくは0.40以上である。e/f比は、好ましくは、0.90以下、より好ましくは、0.85以下、さらに好ましくは、0.80以下である。本態様において上記e/f比は、好ましくは0.10以上1.0以下、0.20以上0.90以下、さらに好ましくは0.40以上0.85以下、特に好ましくは0.40以上0.80以下である。
【0053】
一の態様において、e/f比は1.0以上である。e/f比は、好ましくは、1.1以上、より好ましくは1.2以上である。e/f比は、好ましくは、10.0以下、より好ましくは、5.0以下、さらに好ましくは、2.0以下、特に好ましくは1.5以下である。本態様において上記e/f比は、好ましくは1.0以上10.0以下、より好ましくは1.0以上5.0以下、さらに好ましくは1.0以上2.0以下、特に好ましくは1.0以上1.5以下である。
【0054】
上記PFPE含有シラン化合物において、-PFPE-部分の数平均分子量は、特に限定されるものではないが、例えば500~30,000、好ましくは1,500~30,000、より好ましくは2,000~10,000である。上記数平均分子量は、19F-NMRにより測定される値とする。
【0055】
-PFPE-部分の数平均分子量は、2000~20万の範囲にあり得、3000~10万の範囲にあることが好ましい。上記数平均分子量は、19F-NMRにより測定される値とする。
【0056】
一の態様において、-PFPE-部分の数平均分子量は、1,000~3,000の範囲にあり得、2000~3000の範囲にあることが好ましい。上記のような-PFPE-部分の数平均分子量を有することにより、硬化性組成物の粘度が低く、ハンドリング性が良好になり得る。
【0057】
一の態様において、-PFPE-部分の数平均分子量は、5,000~10,000の範囲にあり得、6000~9000の範囲にあることが好ましい。上記のような-PFPE-部分の数平均分子量を有することにより、硬化性組成物の硬化後の伸び特性等の物性が良好になり得る。
【0058】
上記式中、R13は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表す。加水分解可能な基は上記と同意義である。
【0059】
上記式中、R14は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または炭素原子数1~22のアルキル基、好ましくは炭素原子数1~4のアルキル基を表す。
【0060】
上記式中、R11は、各出現において、それぞれ独立して、水素原子またはハロゲン原子を表す。ハロゲン原子は、好ましくはヨウ素原子、塩素原子またはフッ素原子であり、より好ましくはフッ素原子である。
【0061】
上記式中、R12は、各出現において、それぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表す。低級アルキル基は、好ましくは炭素原子数1~20のアルキル基であり、より好ましくは炭素原子数1~6のアルキル基であり、例えばメチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられる。
【0062】
上記式中、R11”、R12”、R13”、およびR14”は、それぞれ、R11、R12、R13、およびR14と同意義である。
【0063】
上記式(A)において、水酸基および加水分解可能な基からなる群より選ばれる少なくとも1の基と結合したSi原子とは、n1が1~3の整数である(-SiR13 n114 3-n1)または(-SiR13” n114” 3-n1)に含まれるSi原子を示す。
【0064】
上記式中、n1は、(-SiR13 n114 3-n1)単位毎、または(-SiR13” n114” 3-n1)単位毎に独立して、0~3の整数であり、好ましくは1~3であり、より好ましくは3である。式中、少なくとも2つのn1が1~3の整数であり、即ち、すべてのn1が同時に0になることはない。式中、R13またはR13”が、少なくともそれぞれ1ずつ存在する。式(A)において、n1が1以上である-SiR13 n114 3-n1構造(即ち、-SiR13部分)およびn1が1以上である-SiR13” n114” 3-n1構造(即ち、-SiR13”部分)がそれぞれ少なくとも1つずつ存在する。
【0065】
好ましくは、式(A)において、水酸基および加水分解可能な基からなる群より選ばれる少なくとも1の基と結合したSi原子は、分子主鎖の両末端に存在する。即ち、式(A)において、少なくとも1の、n1が1以上である-SiR13 n114 3-n1構造(即ち、-SiR13部分)、および、少なくとも1の、n1が1以上である-SiR13” n114” 3-n1構造(即ち、-SiR13”部分)が存在する。
【0066】
上記式中、Xは、それぞれ独立して、単結合または2~10価の有機基を表す。当該Xは、式(A)で表される化合物において、主に撥水性および表面滑り性等を提供するパーフルオロポリエーテル部(即ち、-PFPE-部)と、基材との結合能を提供するシラン部(即ち、α1を付して括弧でくくられた基)とを連結するリンカーと解される。従って、当該Xは、式(A)で表される化合物が安定に存在し得るものであれば、単結合またはいずれの有機基であってもよい。なお、本明細書において、Xとして記載している基は、記載の左側がPFPEで表される基に、右側がα1を付して括弧でくくられた基に、それぞれ結合する。
【0067】
別の態様において、Xは、Xであり得る。Xは、単結合または2~10価の有機基を表し、好ましくは、単結合または-C-(すなわち-フェニレン-。以下、フェニレン基を示す。)、-CO-(カルボニル基)、-NR-および-SO-からなる群より選ばれる少なくとも1つを有する2~10価の有機基を表す。上記Rは、それぞれ独立して、水素原子、フェニル基、またはC1~6アルキル基(好ましくはメチル基)を表し、好ましくは水素原子、またはメチル基である。上記の-C-、-CO-、-NR-または-SO-は、PFPE含有シラン化合物の分子主鎖中に含まれることが好ましい。
【0068】
は、より好ましくは、単結合または-C-、-CONR-、-CONR-C-、-CO-、-CO-C-、-SONR-、-SONR-C-、-SO-、および-SO-C-からなる群より選ばれる少なくとも1つを有する2~10価の有機基を表す。上記の-C-、-CONR-、-CONR-C-、-CO-、-CO-C-、-SONR-、-SONR-C-、-SO-、または-SO-C-は、PFPE含有シラン化合物の分子主鎖中に含まれることが好ましい。
【0069】
上記式中、α1は1~9の整数であり、Xの価数に応じて変化し得る。式(A)において、α1はXの価数から1を引いた値である。Xが単結合であるときには、α1は1である。
【0070】
上記Xは、好ましくは2~7価であり、より好ましくは2~4価であり、さらに好ましくは2価の有機基である。
【0071】
一の態様において、Xは2~4価の有機基であり、α1は1~3である。
【0072】
別の態様において、Xは2価の有機基であり、α1は1である。この場合、式(A)は、下記式(A’)で表される。
【化3】
【0073】
上記Xの例としては、特に限定するものではないが、例えば、下記式:
-(R31p’-(Xq’
[式中:
31は、単結合、-(CHs’-またはo-、m-もしくはp-フェニレン基を表し、好ましくは-(CHs’-であり、
s’は、1~20の整数、好ましくは1~6の整数、より好ましくは1~3の整数、さらにより好ましくは1または2であり、
は、-(Xl’-を表し、
は、各出現においてそれぞれ独立して、-O-、-S-、o-、m-もしくはp-フェニレン基、-C(O)O-、-Si(R33-、-(Si(R33O)m’-Si(R33-、-CONR34-、-O-CONR34-、-NR34-および-(CHn’-からなる群から選択される基を表し、
33は、各出現においてそれぞれ独立して、フェニル基、C1-6アルキル基またはC1-6アルコキシ基を表し、好ましくはフェニル基またはC1-6アルキル基であり、より好ましくはメチル基であり、
34は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フェニル基またはC1-6アルキル基(好ましくはメチル基)を表し、
m’は、各出現において、それぞれ独立して、1~100の整数、好ましくは1~20の整数であり、
n’は、各出現において、それぞれ独立して、1~20の整数、好ましくは1~6の整数、より好ましくは1~3の整数であり、
l’は、1~10の整数、好ましくは1~5の整数、より好ましくは1~3の整数であり、
p’は、0または1であり、
q’は、0または1であり、
ここに、p’およびq’の少なくとも一方は1であり、p’またはq’を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は任意である]
で表される2価の基が挙げられる。ここに、R31およびX(典型的にはR31およびXの水素原子)は、フッ素原子、C1-3アルキル基およびC1-3フルオロアルキル基から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよい。
【0074】
一の態様において、l’は、1である。
【0075】
好ましくは、上記Xは、-(R31p’-(Xq’-R32-である。R32は、単結合、-(CHt’-またはo-、m-もしくはp-フェニレン基を表し、好ましくは-(CHt’-である。t’は、1~20の整数、好ましくは2~6の整数、より好ましくは2~3の整数である。ここに、R32(典型的にはR32中の水素原子)は、フッ素原子、C1-3アルキル基およびC1-3フルオロアルキル基から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよい。
【0076】
好ましくは、上記Xは、
単結合、
1-20アルキレン基、
-R31-X-R32-、または
-X-R32
[式中、R31およびR32は、上記と同意義である。]
であり得る。なお、アルキレン基とは、-(Cδ2δ)-構造を有する基であり、置換または非置換であってよく、直鎖状または分枝鎖状であってもよい。
【0077】
さらに好ましくは、上記Xは、
-X-、
-X-C1-20アルキレン基、
-X-(CHs’-X-、
-X-(CHs’-X-(CHt’
-X-X-、または
-X-X-(CHt’
である。式中、s’およびt’は、上記と同意義である。
上記式中、Xは、炭素原子数1~6、好ましくは炭素原子数1~4、より好ましくは炭素原子数1~2のアルキレン基、例えばメチレン基である。X中の水素原子は、フッ素原子、C1-3アルキル基およびC1-3フルオロアルキル基から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよく、好ましくは置換されている。Xは、直鎖状または分枝鎖状であってもよく、好ましくは直鎖状である。
【0078】
より好ましくは、上記Xは、
単結合、
1-20アルキレン基、
-(CHs’-X-、
-(CHs’-X-(CHt’
-X-、または
-X-(CHt’
[式中、s’およびt’は、上記と同意義である。]
である。
【0079】
上記式中、Xは、
-O-、
-S-、
-C(O)O-、
-CONR34-、
-O-CONR34-、
-Si(R33-、
-(Si(R33O)m’-Si(R33-、
-O-(CHu’-(Si(R33O)m’-Si(R33-、
-O-(CHu’-Si(R33-O-Si(R33-CHCH-Si(R33-O-Si(R33-、
-O-(CHu’-Si(OCHOSi(OCH-、
-CONR34-(CHu’-(Si(R33O)m’-Si(R33-、
-CONR34-(CHu’-N(R34)-、または
-CONR34-(o-、m-またはp-フェニレン)-Si(R33
[式中、R33、R34およびm’は、上記と同意義であり、
u’は1~20の整数、好ましくは2~6の整数、より好ましくは2~3の整数である。]を表す。Xは、好ましくは-O-である。
【0080】
上記式中、Xは、
-S-、
-C(O)O-、
-CONR34-、
-CONR34-(CHu’-(Si(R33O)m’-Si(R33-、
-CONR34-(CHu’-N(R34)-、または
-CONR34-(o-、m-またはp-フェニレン)-Si(R33
[式中、各記号は、上記と同意義である。]
を表す。
【0081】
特に好ましくは、上記Xは、
-X-、
-X-C1-20アルキレン基、
-X-(CHs’-X-、
-X-(CHs’-X-(CHt’
-X-X-、または
-X-X-(CHt’
[式中、X、s’およびt’は、上記と同意義である。]
であり、
が、-O-、または-CONR34-、
が、-CONR34-、
34は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フェニル基またはC1-6アルキル基(好ましくはメチル基)を表す。]
で表される基である。
【0082】
一の態様において、上記Xは、
-X-(CHs’-X-、
-X-(CHs’-X-(CHt’
-X-X-、または
-X-X-(CHt’
[式中、X、s’およびt’は、上記と同意義である。]
であり、
が、-CONR34-、
が、-CONR34-、
34は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フェニル基またはC1-6アルキル基(好ましくはメチル基)を表す。]
で表される基である。
【0083】
一の態様において、上記Xは、
単結合、
1-20アルキレン基、
-(CHs’-X-(CHt’-、または
-X-(CHt’
[式中、各記号は、上記と同意義である。]
であり得る。
【0084】
好ましくは、上記Xは、
単結合、
1-20アルキレン基、
-(CHs’-O-(CHt’-、
-(CHs’-(Si(R33O)m’-Si(R33-(CHt’-、
-(CHs’-O-(CHu’-(Si(R33O)m’-Si(R33-(CHt’-、または
-(CHs’-O-(CHt’-Si(R33 -(CHu’-Si(R33-(Cv2v)-
[式中、R33、m’、s’、t’およびu’は、上記と同意義であり、vは1~20の整数、好ましくは2~6の整数、より好ましくは2~3の整数である。]
である。
【0085】
上記式中、-(Cv2v)-は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、例えば、-CH-、-CHCH-、-CHCHCH-、-CH(CH)-、-CH(CH)CH-であり得る。
【0086】
上記X基は、フッ素原子、C1-3アルキル基およびC1-3フルオロアルキル基(好ましくは、C1-3パーフルオロアルキル基)から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよい。
【0087】
一の態様において、X基は、-O-C1-6アルキレン基以外であり得る。
【0088】
別の態様において、X基としては、例えば下記の基が挙げられる:
【化4】
【化5】
[式中、R41は、それぞれ独立して、水素原子、フェニル基、炭素原子数1~6のアルキル基、またはC1-6アルコキシ基、好ましくはメチル基であり;
Dは、
-CHO(CH-、
-CHO(CH-、
-CFO(CH-、
-(CH-、
-(CH-、
-(CH4-、
-CONH-(CH-、
-CON(CH)-(CH-、
-CON(Ph)-(CH-(式中、Phはフェニルを意味する)、および
【化6】
(式中、R42は、それぞれ独立して、水素原子、C1-6のアルキル基またはC1-6のアルコキシ基、好ましくはメチル基またはメトキシ基、より好ましくはメチル基を表す。)
から選択される基であり、
Eは、-(CHne-(neは2~6の整数)であり、
Dは、分子主鎖のPFPEに結合し、Eは、PFPEと反対の基に結合する。]
【0089】
上記Xの具体的な例としては、例えば:
単結合、
-CHOCH-、
-CHO(CH-、
-CHO(CH-、
-CHO(CH-、
-CF-CH-O-CH-、
-CF-CH-O-(CH-、
-CF-CH-O-(CH-、
-CF-CH-O-(CH-、
-CHO(CHSi(CHOSi(CH(CH-、
-CHO(CHSi(CHOSi(CHOSi(CH(CH-、
-CHO(CHSi(CHO(Si(CHO)Si(CH(CH-、
-CHO(CHSi(CHO(Si(CHO)Si(CH(CH-、
-CHO(CHSi(CHO(Si(CHO)10Si(CH(CH-、
-CHO(CHSi(CHO(Si(CHO)20Si(CH(CH-、
-CHOCFCHFOCF-、
-CHOCFCHFOCFCF-、
-CHOCFCHFOCFCFCF-、
-CHOCHCFCFOCF-、
-CHOCHCFCFOCFCF-、
-CHOCHCFCFOCFCFCF-、
-CHOCHCFCFOCF(CF)CFOCF-、
-CHOCHCFCFOCF(CF)CFOCFCF-、
-CHOCHCFCFOCF(CF)CFOCFCFCF-、
-CHOCHCHFCFOCF-、
-CHOCHCHFCFOCFCF-、
-CHOCHCHFCFOCFCFCF-、
-CHOCHCHFCFOCF(CF)CFOCF-、
-CHOCHCHFCFOCF(CF)CFOCFCF-、
-CHOCHCHFCFOCF(CF)CFOCFCFCF-、
-CHOCFCHFOCFCFCF-C(O)NH-CH-、
-CHOCH(CHCHSi(OCHOSi(OCH(CHSi(OCHOSi(OCH(CH-、
-CHOCHCHCHSi(OCHOSi(OCH(CH-、
-CHOCHCHCHSi(OCHCHOSi(OCHCH(CH-、
-CHOCHCHCHSi(OCHOSi(OCH(CH-、
-CHOCHCHCHSi(OCHCHOSi(OCHCH(CH-、
-(CH-Si(CH-(CH-、
-CH-、
-(CH-、
-(CH-、
-(CH-、
-(CH-、
-(CH-、
-CF-、
-(CF-、
-CF-CH-、
-CF-(CH-、
-CF-(CH-、
-CF-(CH-、
-CF-(CH-、
-CF-(CH-、
-CO-
-CONH-
-CONH-CH-、
-CONH-(CH-、
-CONH-(CH-、
-CONH-(CH-、
-CFCONH-、
-CFCONHCH-、
-CFCONH(CH-、
-CFCONH(CH-、
-CFCONH(CH-、
-CON(CH)-(CH-、
-CON(Ph)-(CH-(式中、Phはフェニルを意味する)、
-CON(CH)-(CH-、
-CON(Ph)-(CH-(式中、Phはフェニルを意味する)、
-CF-CON(CH)-(CH-、
-CF-CON(Ph)-(CH-(式中、Phはフェニルを意味する)、
-CF-CON(CH)-(CH-、
-CF-CON(Ph)-(CH-(式中、Phはフェニルを意味する)、
-CONH-(CHNH(CH-、
-CONH-(CHNH(CH-、
-CHO-CONH-(CH-、
-CHO-CONH-(CH-、
-S-(CH-、
-(CHS(CH-、
-CONH-(CHSi(CHOSi(CH(CH-、
-CONH-(CHSi(CHOSi(CHOSi(CH(CH-、
-CONH-(CHSi(CHO(Si(CHO)Si(CH(CH-、
-CONH-(CHSi(CHO(Si(CHO)Si(CH(CH-、
-CONH-(CHSi(CHO(Si(CHO)10Si(CH(CH-、
-CONH-(CHSi(CHO(Si(CHO)20Si(CH(CH-、
-C(O)O-(CH-、
-C(O)O-(CH-、
-CH-O-(CH-Si(CH-(CH-Si(CH-(CH-、
-CH-O-(CH-Si(CH-(CH-Si(CH-CH(CH)-、
-CH-O-(CH-Si(CH-(CH-Si(CH-(CH-、
-CH-O-(CH-Si(CH-(CH-Si(CH-CH(CH)-CH-、
-OCH-、
-O(CH-、
-OCFHCF-、
【化7】
などが挙げられる。
【0090】
上記の中では、Xは、
-CHOCH-、
-CHO(CH-、
-CHO(CH-、
-CHO(CH-、
-CF-CH-O-CH-、
-CF-CH-O-(CH-、
-CF-CH-O-(CH-、
-CF-CH-O-(CH-、
-CHOCFCHFOCF-、
-CHOCFCHFOCFCF-、
-CHOCFCHFOCFCFCF-、
-CHOCHCFCFOCF-、
-CHOCHCFCFOCFCF-、
-CHOCHCFCFOCFCFCF-、
-CHOCHCFCFOCF(CF)CFOCF-、
-CHOCHCFCFOCF(CF)CFOCFCF-、
-CHOCHCFCFOCF(CF)CFOCFCFCF-、
-CHOCHCHFCFOCF-、
-CHOCHCHFCFOCFCF-、
-CHOCHCHFCFOCFCFCF-、
-CHOCHCHFCFOCF(CF)CFOCF-、
-CHOCHCHFCFOCF(CF)CFOCFCF-、
-CHOCHCHFCFOCF(CF)CFOCFCFCF-、
-CHOCFCHFOCFCFCF-C(O)NH-CH-、
-CH-、
-(CH-、
-(CH-、
-(CH-、
-(CH-、
-(CH-、
-CF-、
-(CF-、
-CF-CH-、
-CF-(CH-、
-CF-(CH-、
-CF-(CH-、
-CF-(CH-、
-CF-(CH-、
-CONH-、
-CONH-CH-、
-CONH-(CH-、
-CONH-(CH-、
-CONH-(CH-、
-CFCONH-、
-CFCONHCH-、
-CFCONH(CH-、
-CFCONH(CH-、
-CFCONH(CH-、
-CON(CH)-(CH-、
-CON(Ph)-(CH-(式中、Phはフェニルを意味する)、
-CON(CH)-(CH-、
-CON(Ph)-(CH-(式中、Phはフェニルを意味する)、
-CF-CON(CH)-(CH-、
-CF-CON(Ph)-(CH-(式中、Phはフェニルを意味する)、
-CF-CON(CH)-(CH-、
-CF-CON(Ph)-(CH-(式中、Phはフェニルを意味する)、
-CONH-(CHNH(CH-、
-CONH-(CHNH(CH-、
-CHO-CONH-(CH-、
-CHO-CONH-(CH-、
-OCH-、
-O(CH-、または
-OCFHCF-、
であることが好ましい。
【0091】
上記の中では、より好ましくは、Xは、
-CHOCFCHFOCFCFCF-C(O)NH-CH-、
-CONH-、
-CONH-CH-、
-CONH-(CH-、
-CONH-(CH-、
-CONH-(CH-、
-CFCONH-、
-CFCONHCH-、
-CFCONH(CH-、
-CFCONH(CH-、
-CFCONH(CH-、
-CON(CH)-(CH-、
-CON(Ph)-(CH-(式中、Phはフェニルを意味する)、
-CON(CH)-(CH-、
-CON(Ph)-(CH-(式中、Phはフェニルを意味する)、
-CF-CON(CH)-(CH-、
-CF-CON(Ph)-(CH-(式中、Phはフェニルを意味する)、
-CF-CON(CH)-(CH-、
-CF-CON(Ph)-(CH-(式中、Phはフェニルを意味する)、
-CONH-(CHNH(CH-、
-CONH-(CHNH(CH-、
である。
【0092】
より好ましい態様において、Xは、Xe’を表す。Xe’は、単結合、炭素原子数1~6のアルキレン基、-R51-C-R52-、-R51-CONR-R52-、-R51-CONR-C-R52-、-R51-CO-R52-、-R51-CO-C-R52-、-R51-SONR-R52-、-R51-SONR-C-R52-、-R51-SO-R52-、または-R51-SO-C-R52-である。R51およびR52は、それぞれ独立して、単結合または炭素原子数1~6のアルキレン基を表し、好ましくは単結合または炭素原子数1~3のアルキレン基である。Rは上記と同意義である。上記アルキレン基は、置換または非置換であり、好ましくは非置換である。上記アルキレン基の置換基としては、例えばハロゲン原子、好ましくはフッ素原子を挙げることができる。上記アルキレン基は、直鎖状または分枝鎖状であり、直鎖状であることが好ましい。
【0093】
さらに好ましい態様において、Xe’は、
単結合、
-X-、
炭素原子数1~6、好ましくは炭素原子数1~3のアルキレン基、
-X-C1-6アルキレン基、好ましくは-X-C1-3アルキレン基、より好ましくは
-X-C1-2アルキレン基、
-C-R52’-、
-CONR4’-R52’-、
-CONR4’-C-R52’-、
-X-CONR4’-R52’-、
-X-CONR4’-C-R52’-、
-CO-R52’-、
-CO-C-R52’-、
-SONR4’-R52’-、
-SONR4’-C-R52’-、
-SO-R52’-、
-SO-C-R52’-、
-R51’-C-、
-R51’-CONR4’-、
-R51’-CONR4’-C-、
-R51’-CO-、
-R51’-CO-C-、
-R51’-SONR4’-、
-R51’-SONR4’-C-、
-R51’-SO-、
-R51’-SO-C-、
-C
-CONR4’-、
-CONR4’-C-、
-X-CONR4’-、
-X-CONR4’-C-、
-CO-、
-CO-C-、
-SONR4’-、
-SONR4’-C
-SO-、または
-SO-C
(式中、R51’およびR52’は、それぞれ独立して、炭素原子数1~6、好ましくは炭素原子数1~3の直鎖のアルキレン基であり、上記したように、上記アルキレン基は、置換または非置換であり、上記アルキレン基の置換基としては、例えばハロゲン原子、好ましくはフッ素原子を挙げることができる。
4’は、水素原子またはメチル基である。)
であり得る。
【0094】
上記の中で、Xe’は、好ましくは、
-X-、
炭素原子数1~6、好ましくは炭素原子数1~3のアルキレン基、
-X-C1-6アルキレン基、好ましくは-X-C1-3アルキレン基、より好ましくは
-X-C1-2アルキレン基、
-CONR4’-R52’-、
-CONR4’-C-R52’-、
-X-CONR4’-R52’-、
-X-CONR4’-C-R52’-、
-R51’-CONR4’-、
-R51’-CONR4’-C-、
-CONR4’-、
-CONR4’-C-、
-X-CONR4’-、
-X-CONR4’-C-、
-R51’-CONR4’-、または
-R51’-CONR4’-C-、
であり得る。式中、X、R4’、R51’およびR52’は、それぞれ上記と同意義である。
【0095】
上記の中で、Xe’は、より好ましくは、
-CONR4’-R52’-、
-CONR4’-C-R52’-、
-X-CONR4’-R52’-、
-X-CONR4’-C-R52’-、
-R51’-CONR4’-、
-R51’-CONR4’-C-、
-CONR4’-、
-CONR4’-C-、
-X-CONR4’-、または
-X-CONR4’-C-、
であり得る。
【0096】
本態様において、Xe’の具体例としては、例えば、
単結合、
炭素原子数1~6のパーフルオロアルキレン基(例えば、-CF-、-(CF-等)、
炭素原子数1~6のアルキレン基、
-CF-C1-6アルキレン基、
-CONH-、
-CONH-CH-、
-CONH-(CH
-CONH-(CH-、
-CF-CONH-、
-CFCONHCH-、
-CFCONH(CH-、
-CFCONH(CH-、
-CON(CH)-、
-CON(CH)-CH-、
-CON(CH)-(CH-、
-CON(CH)-(CH-、
-CF-CON(CH)-、
-CF-CON(CH)CH-、
-CF-CON(CH)-(CH-、
-CF-CON(CH)-(CH-、
-CH-CONH-、
-CH-CONH-CH-、
-CH-CONH-(CH-、
-CH-CONH-(CH-、
-CF-CH-CONH-、
-CF-CH-CONH-CH-、
-CF-CH-CONH-(CH-、
-CF-CH-CONH-(CH-、
-CONH-C-、
-CON(CH)-C-、
-CH-CON(CH)-CH-、
-CH-CON(CH)-(CH-、
-CH-CON(CH)-(CH-、
-CON(CH)-C-、
-CF-CONH-C-、
-CF-CON(CH)-C-、
-CF-CH-CON(CH)-CH-、
-CF-CH-CON(CH)-(CH-、
-CF-CH-CON(CH)-(CH-、
-CF-CON(CH)-C-、
-CO-、
-CO-C-、
-C-、
-SONH-、
-SONH-CH-、
-SONH-(CH-、
-SONH-(CH-、
-SONH-C-、
-SON(CH)-、
-SON(CH)-CH-、
-SON(CH)-(CH-、
-SON(CH)-(CH-、
-SON(CH)-C-、
-SO-、
-SO-CH-、
-SO-(CH-、
-SO-(CH-、または
-SO-C
などが挙げられる。
【0097】
上記列挙の中で、好ましいXe’としては、
炭素原子数1~6のアルキレン基、
炭素原子数1~6のパーフルオロアルキレン基(例えば、-CF-、-(CF-等)、
-CF-C1-6アルキレン基、
-CONH-、
-CONH-CH-、
-CONH-(CH-、
-CONH-(CH-、
-CFCONH-、
-CFCONHCH-、
-CFCONH(CH-、
-CFCONH(CH-、
-CON(CH)-、
-CON(CH)-CH-、
-CON(CH)-(CH-、
-CON(CH)-(CH-、
-CF-CON(CH)-、
-CF-CON(CH)CH-、
-CF-CON(CH)-(CH-、
-CF-CON(CH)-(CH-、
-CH-CONH-、
-CH-CONH-CH-、
-CH-CONH-(CH-、
-CH-CONH-(CH-、
-CF-CH-CONH-、
-CF-CH-CONH-CH-、
-CF-CH-CONH-(CH-、
-CF-CH-CONH-(CH-、
-CONH-C-、
-CON(CH)-C-、
-CH-CON(CH)-CH-、
-CH-CON(CH)-(CH-、
-CH-CON(CH)-(CH-、
-CON(CH)-C
-CF-CONH-C-、
-CF-CON(CH)-C-、
-CF-CH-CON(CH)-CH-、
-CF-CH-CON(CH)-(CH-、
-CF-CH-CON(CH)-(CH-、
-CF-CON(CH)-C-、
などが挙げられる。
【0098】
上記列挙の中で、より好ましいXe’としては、
-CONH-、
-CONH-CH-、
-CONH-(CH-、
-CONH-(CH-、
-CFCONH-、
-CFCONHCH-、
-CFCONH(CH-、
-CFCONH(CH-、
-CON(CH)-、
-CON(CH)-CH-、
-CON(CH)-(CH-、
-CON(CH)-(CH-、
-CF-CON(CH)-、
-CF-CON(CH)CH-、
-CF-CON(CH)-(CH-、
-CF-CON(CH)-(CH-、
-CH-CONH-、
-CH-CONH-CH-、
-CH-CONH-(CH-、
-CH-CONH-(CH-、
-CF-CH-CONH-、
-CF-CH-CONH-CH-、
-CF-CH-CONH-(CH-、
-CF-CH-CONH-(CH-、
-CONH-C-、
-CON(CH)-C-、
-CH-CON(CH)-CH-、
-CH-CON(CH)-(CH-、
-CH-CON(CH)-(CH-、
-CON(CH)-C
-CF-CONH-C-、
-CF-CON(CH)-C-、
-CF-CH-CON(CH)-CH-、
-CF-CH-CON(CH)-(CH-、
-CF-CH-CON(CH)-(CH-、または
-CF-CON(CH)-C-、
などが挙げられる。
【0099】
一の態様において、Xe’は、単結合である。本態様において、PFPEと基材との結合能を有する基(即ち、(A)においては、α1を付して括弧でくくられた基)とが直接結合している。
【0100】
さらに別の態様において、Xは、式:-(R16-(CFR17-(CH-で表される基である。式中、x、yおよびzは、それぞれ独立して、0~10の整数であり、x、yおよびzの和は1以上であり、括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。
【0101】
上記式中、R16は、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子、フェニレン、カルバゾリレン、-NR18-(式中、R18は、水素原子または有機基を表す)または2価の有機基である。好ましくは、R16は、酸素原子または2価の極性基である。
【0102】
上記「2価の極性基」としては、特に限定されないが、-C(O)-、-C(=NR19)-、および-C(O)NR19-(これらの式中、R19は、水素原子または低級アルキル基を表す)が挙げられる。当該「低級アルキル基」は、例えば、炭素原子数1~6のアルキル基、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基であり、これらは、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい。
【0103】
上記式中、R17は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子または低級フルオロアルキル基であり、好ましくはフッ素原子である。当該「低級フルオロアルキル基」は、例えば、炭素原子数1~6、好ましくは炭素原子数1~3のフルオロアルキル基、好ましくは炭素原子数1~3のパーフルオロアルキル基、より好ましくはトリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、さらに好ましくはトリフルオロメチル基である。
【0104】
この態様において、Xは、好ましくは、式:-(O)-(CF-(CH-(式中、x、yおよびzは、上記と同意義であり、括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である)で表される基である。
【0105】
上記式:-(O)-(CF-(CH-で表される基としては、例えば、-(O)x’-(CHz”-O-[(CHz’’’-O-]z””、および-(O)x’-(CFy”-(CHz”-O-[(CHz’’’-O-]z””(式中、x’は0または1であり、y”、z”およびz’’’は、それぞれ独立して、1~10の整数であり、z””は、0または1である)で表される基が挙げられる。なお、これらの基は左端がPFPE側に結合する。
【0106】
別の好ましい態様において、Xは、-O-CFR20-(CFe’-である。
【0107】
上記R20は、それぞれ独立して、フッ素原子または低級フルオロアルキル基を表す。ここで低級フルオロアルキル基は、例えば炭素原子数1~3のフルオロアルキル基、好ましくは炭素原子数1~3のパーフルオロアルキル基、より好ましくはトリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、更に好ましくはトリフルオロメチル基である。
【0108】
上記e’は、それぞれ独立して、0または1である。
【0109】
一の具体例において、R20はフッ素原子であり、e’は1である。
【0110】
さらに別の態様において、X基の例として、下記の基が挙げられる:
【化8】
[式中、
41は、それぞれ独立して、水素原子、フェニル基、炭素原子数1~6のアルキル基、またはC1-6アルコキシ基、好ましくはメチル基であり;
各X基において、Tのうち任意のいくつかは、分子主鎖のPFPEに結合する以下の基:
-CHO(CH-、
-CHO(CH-、
-CFO(CH-、
-CH-、
-(CH-、
-(CH-、
-(CH4-、
-CONH-(CH-、
-CON(CH)-(CH-、
-CON(Ph)-(CH-(式中、Phはフェニルを意味する)、または
【化9】
[式中、R42は、それぞれ独立して、水素原子、C1-6のアルキル基またはC1-6のアルコキシ基、好ましくはメチル基またはメトキシ基、より好ましくはメチル基を表す。]
であり、別のTのいくつかは、分子主鎖のPFPEと反対の基に結合する-(CHn”-(n”は2~6の整数)であり、存在する場合、残りのTは、それぞれ独立して、メチル基、フェニル基、C1-6アルコキシ基またはラジカル捕捉基もしくは紫外線吸収基であり得る。なお、上記態様においても、Xとして記載している基において、左側がPFPEで表される基に、右側がα1を付して括弧でくくられた基に、それぞれ結合する。
【0111】
ラジカル捕捉基は、光照射で生じるラジカルを捕捉できるものであれば特に限定されないが、例えばベンゾフェノン類、ベンゾトリアゾール類、安息香酸エステル類、サリチル酸フェニル類、クロトン酸類、マロン酸エステル類、オルガノアクリレート類、ヒンダードアミン類、ヒンダードフェノール類、またはトリアジン類の残基が挙げられる。
【0112】
紫外線吸収基は、紫外線を吸収できるものであれば特に限定されないが、例えばベンゾトリアゾール類、ヒドロキシベンゾフェノン類、置換および未置換安息香酸もしくはサリチル酸化合物のエステル類、アクリレートまたはアルコキシシンナメート類、オキサミド類、オキサニリド類、ベンゾキサジノン類、ベンゾキサゾール類の残基が挙げられる。
【0113】
好ましい態様において、好ましいラジカル捕捉基または紫外線吸収基としては、
【化10】

が挙げられる。
【0114】
この態様において、X(および、下記するX、XおよびX)は、3~10価の有機基であり得る。
【0115】
上記式中、Xは、各出現においてそれぞれ独立して、単結合または2価の有機基を表す。Xは、好ましくは、炭素原子数1~20のアルキレン基であり、より好ましくは、-(CH-(式中、uは、0~2の整数である)である。
【0116】
上記式中、tは、それぞれ独立して、1~10の整数である。好ましい態様において、tは1~6の整数である。別の好ましい態様において、tは2~10の整数であり、好ましくは2~6の整数である。
【0117】
好ましい式(A)で示される化合物は、下記式(A’):
【化11】
[式中:
PFPEは、各出現においてそれぞれ独立して、式:
-(OC12-(OC10-(OC-(OC-(OC-(OCF
(式中、a、b、c、d、eおよびfは、それぞれ独立して0以上200以下の整数であって、a、b、c、d、eおよびfの和は少なくとも1であり、a、b、c、d、eまたはfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。)
で表される基であり;
13は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表し;
14は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または炭素原子数1~22のアルキル基を表し;
11は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子またはハロゲン原子を表し;
12は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表し;
11”、R12”、R13”、R14”は、それぞれ、R11、R12、R13、R14と同意義であり;
n1は、1~3の整数であり、好ましくは3であり;
は、各出現においてそれぞれ独立して、-O-CFR20-(CFe’-であり;
20は、各出現においてそれぞれ独立して、フッ素原子または低級フルオロアルキル基であり;
e’は、各出現においてそれぞれ独立して、0または1であり;
は、-(CH-であり;
uは、各出現においてそれぞれ独立して、0~2の整数であり;
tは、各出現においてそれぞれ独立して、2~10の整数である。]
で表される化合物である。
【0118】
上記式(A)で表される化合物は、例えば、-PFPE-部分に対応するパーフルオロポリエーテル誘導体を原料として、末端にヨウ素を導入した後、-CHCR12(X-SiR13 n114 3-n1)-に対応するビニルモノマーを反応させることにより得ることができる。
【0119】
式(B):
【化12】
【0120】
上記式(B)中、PFPE、R13、R13”、R14、R14”およびn1は、上記式(A)に関する記載と同意義である。
【0121】
上記式(B)において、水酸基および加水分解可能な基からなる群より選ばれる少なくとも1の基と結合したSi原子とは、n1が1~3の整数である(SiR13 n114 3-n1)または(-SiR13” n114” 3-n1)に含まれるSi原子を示す。
【0122】
上記式中、n1は、(-SiR13 n114 3-n1)単位毎または(-SiR13” n114” 3-n1)単位毎に独立して、0~3の整数であり、好ましくは1~3であり、より好ましくは3である。式中、少なくとも2つのn1が1~3の整数であり、即ち、すべてのn1が同時に0になることはない。即ち、式中、少なくとも2つはR13またはR13”が存在する。即ち、式(B)において、n1が1以上である-SiR13 n114 3-n1構造(即ち、-SiR13部分)およびn1が1以上である-SiR13” n114” 3-n1構造(即ち、-SiR13”部分)からなる群より選ばれる構造が少なくとも2つ存在する。
【0123】
より好ましくは、式(B)においては、水酸基または加水分解可能な基に結合したSiがPFPE含有シラン化合物の分子主鎖の両末端にそれぞれ少なくとも1つ存在する。即ち、SiR13部分が少なくとも1つ存在し、かつSiR13”部分が少なくとも1つ存在する。
【0124】
上記式中、Xは、それぞれ独立して、単結合または2~10価の有機基を表す。当該Xは、式(B)で表される化合物において、主に撥水性および表面滑り性等を提供するパーフルオロポリエーテル部(即ち、-PFPE-部)と、基材との結合能を提供するシラン部(具体的には、-SiR13 n114 3-n1または-SiR13” n114” 3-n1)とを連結するリンカーと解される。従って、当該Xは、式(B)で表される化合物が安定に存在し得るものであれば、単結合であってもよく、いずれの有機基であってもよい。なお、本明細書において、Xとして記載している構造は、左側がPFPEで表される基に、右側がβ1を付して括弧でくくられた基に、それぞれ結合する。
【0125】
別の態様において、Xは、Xを表す。Xは、上記と同意義である。
【0126】
上記式中のβ1は、1~9の整数であり、Xの価数に応じて変化し得る。式(B)において、β1はXの価数の値から1を引いた値である。Xが単結合であるときには、β1は1である。
【0127】
上記Xは、好ましくは2~7価、より好ましくは2~4価、さらに好ましくは2価の有機基である。
【0128】
一の態様において、Xは2~4価の有機基であり、β1は1~3である。
【0129】
別の態様において、Xは2価の有機基であり、β1は1である。この場合、式(B)は、下記式(B’)で表される。
【化13】
【0130】
上記Xの例としては、特に限定するものではないが、例えば、Xに関して記載したものと同様のものが挙げられる。
【0131】
中でも、好ましい具体的なXは、
単結合、
-CHOCH-、
-CHO(CH-、
-CHO(CH-、
-CHO(CH-、
-CF-CH-O-CH-、
-CF-CH-O-(CH-、
-CF-CH-O-(CH-、
-CF-CH-O-(CH-、
-CHO(CHSi(CHOSi(CH(CH-、
-CHO(CHSi(CHOSi(CHOSi(CH(CH-、
-CHO(CHSi(CHO(Si(CHO)Si(CH(CH-、
-CHO(CHSi(CHO(Si(CHO)Si(CH(CH-、
-CHO(CHSi(CHO(Si(CHO)10Si(CH(CH-、
-CHO(CHSi(CHO(Si(CHO)20Si(CH(CH-、
-CHOCFCHFOCF-、
-CHOCFCHFOCFCF-、
-CHOCFCHFOCFCFCF-、
-CHOCHCFCFOCF-、
-CHOCHCFCFOCFCF-、
-CHOCHCFCFOCFCFCF-、
-CHOCHCFCFOCF(CF)CFOCF-、
-CHOCHCFCFOCF(CF)CFOCFCF-、
-CHOCHCFCFOCF(CF)CFOCFCFCF-、
-CHOCHCHFCFOCF-、
-CHOCHCHFCFOCFCF-、
-CHOCHCHFCFOCFCFCF-、
-CHOCHCHFCFOCF(CF)CFOCF-、
-CHOCHCHFCFOCF(CF)CFOCFCF-、
-CHOCHCHFCFOCF(CF)CFOCFCFCF-、
-CHOCFCHFOCFCFCF-C(O)NH-CH-、
-CHOCH(CHCHSi(OCHOSi(OCH(CHSi(OCHOSi(OCH(CH-、
-CHOCHCHCHSi(OCHOSi(OCH(CH-、
-CHOCHCHCHSi(OCHCHOSi(OCHCH(CH-、
-CHOCHCHCHSi(OCHOSi(OCH(CH-、
-CHOCHCHCHSi(OCHCHOSi(OCHCH(CH-、
-(CH-Si(CH-(CH-、
-CH-、
-(CH-、
-(CH-、
-(CH-、
-(CH-、
-(CH-、
-CF-、
-(CF-、
-CF-CH-、
-CF-(CH-、
-CF-(CH-、
-CF-(CH-、
-CF-(CH-、
-CF-(CH-、
-CO-、
-CONH-、
-CONH-CH-、
-CONH-(CH-、
-CONH-(CH-、
-CONH-(CH-、
-CFCONH-、
-CFCONHCH-、
-CFCONH(CH-、
-CFCONH(CH-、
-CFCONH(CH-、
-CON(CH)-(CH-、
-CON(Ph)-(CH-(式中、Phはフェニルを意味する)、
-CON(CH)-(CH-、
-CON(Ph)-(CH-(式中、Phはフェニルを意味する)、
-CF-CON(CH)-(CH-、
-CF-CON(Ph)-(CH-(式中、Phはフェニルを意味する)、
-CF-CON(CH)-(CH-、
-CF-CON(Ph)-(CH-(式中、Phはフェニルを意味する)、
-CONH-(CHNH(CH-、
-CONH-(CHNH(CH-、
-CHO-CONH-(CH-、
-CHO-CONH-(CH-、
-S-(CH-、
-(CHS(CH-、
-CONH-(CHSi(CHOSi(CH(CH-、
-CONH-(CHSi(CHOSi(CHOSi(CH(CH-、
-CONH-(CHSi(CHO(Si(CHO)Si(CH(CH-、
-CONH-(CHSi(CHO(Si(CHO)Si(CH(CH-、
-CONH-(CHSi(CHO(Si(CHO)10Si(CH(CH-、
-CONH-(CHSi(CHO(Si(CHO)20Si(CH(CH-、
-C(O)O-(CH-、
-C(O)O-(CH-、
-CH-O-(CH-Si(CH-(CH-Si(CH-(CH-、
-CH-O-(CH-Si(CH-(CH-Si(CH-CH(CH)-、
-CH-O-(CH-Si(CH-(CH-Si(CH-(CH-、
-CH-O-(CH-Si(CH-(CH-Si(CH-CH(CH)-CH-、
-OCH-、
-O(CH-、
-OCFHCF-、
【化14】
などが挙げられる。
【0132】
上記の中では、Xは、
-CHOCH-、
-CHO(CH-、
-CHO(CH-、
-CHO(CH-、
-CF-CH-O-CH-、
-CF-CH-O-(CH-、
-CF-CH-O-(CH-、
-CF-CH-O-(CH-、
-CHOCFCHFOCF-、
-CHOCFCHFOCFCF-、
-CHOCFCHFOCFCFCF-、
-CHOCHCFCFOCF-、
-CHOCHCFCFOCFCF-、
-CHOCHCFCFOCFCFCF-、
-CHOCHCFCFOCF(CF)CFOCF-、
-CHOCHCFCFOCF(CF)CFOCFCF-、
-CHOCHCFCFOCF(CF)CFOCFCFCF-、
-CHOCHCHFCFOCF-、
-CHOCHCHFCFOCFCF-、
-CHOCHCHFCFOCFCFCF-、
-CHOCHCHFCFOCF(CF)CFOCF-、
-CHOCHCHFCFOCF(CF)CFOCFCF-、
-CHOCHCHFCFOCF(CF)CFOCFCFCF-、
-CHOCFCHFOCFCFCF-C(O)NH-CH-、
-CF-CHOCFCHFOCFCFCF-C(O)NH-CH-、
-CH-、
-(CH-、
-(CH-、
-(CH-、
-(CH-、
-(CH-、
-CF-、
-(CF-、
-CF-CH-、
-CF-(CH-、
-CF-(CH-、
-CF-(CH-、
-CF-(CH-、
-CF-(CH-、
-CONH-、
-CONH-CH-、
-CONH-(CH-、
-CONH-(CH-、
-CONH-(CH-、
-CFCONH-、
-CFCONHCH-、
-CFCONH(CH-、
-CFCONH(CH-、
-CFCONH(CH-、
-CON(CH)-(CH-、
-CON(Ph)-(CH-(式中、Phはフェニルを意味する)、
-CON(CH)-(CH-、
-CON(Ph)-(CH-(式中、Phはフェニルを意味する)、
-CF-CON(CH)-(CH-、
-CF-CON(Ph)-(CH-(式中、Phはフェニルを意味する)、
-CF-CON(CH)-(CH-、
-CF-CON(Ph)-(CH-(式中、Phはフェニルを意味する)、
-CONH-(CHNH(CH-、
-CONH-(CHNH(CH-、
-CHO-CONH-(CH-、
-CHO-CONH-(CH-、
-OCH-、
-O(CH-、
-OCFHCF-、
であることが好ましい。
【0133】
上記の中では、より好ましくは、Xは、
-CHOCFCHFOCFCFCF-C(O)NH-CH-、
-CF-CHOCFCHFOCFCFCF-C(O)NH-CH-、
-CONH-、
-CONH-CH-、
-CONH-(CH-、
-CONH-(CH-、
-CONH-(CH-、
-CFCONH-、
-CFCONHCH-、
-CFCONH(CH-、
-CFCONH(CH-、
-CFCONH(CH-、
-CON(CH)-(CH-、
-CON(Ph)-(CH-(式中、Phはフェニルを意味する)、
-CON(CH)-(CH-、
-CON(Ph)-(CH-(式中、Phはフェニルを意味する)、
-CF-CON(CH)-(CH-、
-CF-CON(Ph)-(CH-(式中、Phはフェニルを意味する)、
-CF-CON(CH)-(CH-、
-CF-CON(Ph)-(CH-(式中、Phはフェニルを意味する)、
-CONH-(CHNH(CH-、
-CONH-(CHNH(CH-、
である。
【0134】
別の好ましい態様において、Xは、Xe’を表す。Xe’は、上記と同意義である。
【0135】
一の態様において、Xe’は、単結合である。本態様において、PFPEと基材との結合能を有する基(即ち、(B)においては、β1を付して括弧でくくられた基)とが直接結合している。
【0136】
一の態様において、式(B)において、水酸基または加水分解可能な基に結合したSiが少なくとも2つ存在する。即ち、式(B)において、SiR13部分が少なくとも2つ存在する。
【0137】
好ましい式(B)で示される化合物は、下記式(B’):
【化15】
[式中:
PFPEは、各出現においてそれぞれ独立して、式:
-(OC12-(OC10-(OC-(OC-(OC-(OCF
(式中、a、b、c、d、eおよびfは、それぞれ独立して0以上200以下の整数であって、a、b、c、d、eおよびfの和は少なくとも1であり、a、b、c、d、eまたはfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。)
で表される基であり;
13は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表し;
14は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または炭素原子数1~22のアルキル基を表し;
13”、およびR14”は、それぞれ、R13、およびR14と同意義であり;
n1は、1~3の整数であり、好ましくは3であり;
は、-CHO(CH-、-CHO(CH-または-CHO(CH-である。]
で表される化合物である。
【0138】
上記式(B)で表される化合物は、公知の方法、例えば特開2013-117012号公報に記載の方法またはその改良方法により製造することができる。
【0139】
式(C):
【化16】
【0140】
上記式(C)中、PFPEは上記と同意義である。
【0141】
上記式中、Xは、それぞれ独立して、単結合または2~10価の有機基を表す。当該Xは、式(C)で表される化合物において、主に撥水性および表面滑り性等を提供するパーフルオロポリエーテル部(即ち、-PFPE-部)と、基材との結合能を提供するシラン部(具体的には、-SiR k1 l1 m1基、または-SiRa” k1b” l1c” m1基)とを連結するリンカーと解される。従って、当該Xは、式(C)で表される化合物が安定に存在し得るものであれば、単結合であってもよく、いずれの有機基であってもよい。なお、本明細書において、Xとして記載している構造は、左側がPFPEで表される基に、右側がγ1を付して括弧でくくられた基に、それぞれ結合する。
【0142】
別の態様において、Xは、Xを表す。Xは、上記と同意義である。
【0143】
上記式中のγ1は、1~9の整数であり、γ1は、Xの価数に応じて変化し得る。式(C)において、γ1はXの価数の値から1を引いた値である。
【0144】
上記Xは、好ましくは2~7価、より好ましくは2~4価、さらに好ましくは2価の有機基である。
【0145】
一の態様において、Xは2~4価の有機基であり、γ1は1~3である。
【0146】
別の態様において、Xは2価の有機基であり、γ1は1である。この場合、式(C)は、下記式(C’)で表される。
【化17】
【0147】
上記Xの例としては、特に限定するものではないが、例えば、Xに関して記載したものと同様のものが挙げられる。
【0148】
中でも、好ましい具体的なXは、
単結合、
-CHOCH-、
-CHO(CH-、
-CHO(CH-、
-CHO(CH-、
-CF-CH-O-CH-、
-CF-CH-O-(CH-、
-CF-CH-O-(CH-、
-CF-CH-O-(CH-、
-CHO(CHSi(CHOSi(CH(CH-、
-CHO(CHSi(CHOSi(CHOSi(CH(CH-、
-CHO(CHSi(CHO(Si(CHO)Si(CH(CH-、
-CHO(CHSi(CHO(Si(CHO)Si(CH(CH-、
-CHO(CHSi(CHO(Si(CHO)10Si(CH(CH-、
-CHO(CHSi(CHO(Si(CHO)20Si(CH(CH-、
-CHOCFCHFOCF-、
-CHOCFCHFOCFCF-、
-CHOCFCHFOCFCFCF-、
-CHOCHCFCFOCF-、
-CHOCHCFCFOCFCF-、
-CHOCHCFCFOCFCFCF-、
-CHOCHCFCFOCF(CF)CFOCF-、
-CHOCHCFCFOCF(CF)CFOCFCF-、
-CHOCHCFCFOCF(CF)CFOCFCFCF-、
-CHOCHCHFCFOCF-、
-CHOCHCHFCFOCFCF-、
-CHOCHCHFCFOCFCFCF-、
-CHOCHCHFCFOCF(CF)CFOCF-、
-CHOCHCHFCFOCF(CF)CFOCFCF-、
-CHOCHCHFCFOCF(CF)CFOCFCFCF-、
-CHOCFCHFOCFCFCF-C(O)NH-CH-、
-CHOCH(CHCHSi(OCHOSi(OCH(CHSi(OCHOSi(OCH(CH-、
-CHOCHCHCHSi(OCHOSi(OCH(CH-、
-CHOCHCHCHSi(OCHCHOSi(OCHCH(CH-、
-CHOCHCHCHSi(OCHOSi(OCH(CH-、
-CHOCHCHCHSi(OCHCHOSi(OCHCH(CH-、
-(CH-Si(CH-(CH-、
-CH-、
-(CH-、
-(CH-、
-(CH-、
-(CH-、
-(CH-、
-CF-、
-(CF-、
-CF-CH-、
-CF-(CH-、
-CF-(CH-、
-CF-(CH-、
-CF-(CH-、
-CF-(CH-、
-CO-、
-CONH-、
-CONH-CH-、
-CONH-(CH-、
-CONH-(CH-、
-CFCONH-、
-CFCONHCH-、
-CFCONH(CH-、
-CFCONH(CH-、
-CFCONH(CH-、
-CONH-(CH-、
-CON(CH)-(CH-、
-CON(Ph)-(CH-(式中、Phはフェニルを意味する)、
-CON(CH)-(CH-、
-CON(Ph)-(CH-(式中、Phはフェニルを意味する)、
-CF-CON(CH)-(CH-、
-CF-CON(Ph)-(CH-(式中、Phはフェニルを意味する)、
-CF-CON(CH)-(CH-、
-CF-CON(Ph)-(CH-(式中、Phはフェニルを意味する)、
-CONH-(CHNH(CH-、
-CONH-(CHNH(CH-、
-CHO-CONH-(CH-、
-CHO-CONH-(CH-、
-S-(CH-、
-(CHS(CH-、
-CONH-(CHSi(CHOSi(CH(CH-、
-CONH-(CHSi(CHOSi(CHOSi(CH(CH-、
-CONH-(CHSi(CHO(Si(CHO)Si(CH(CH-、
-CONH-(CHSi(CHO(Si(CHO)Si(CH(CH-、
-CONH-(CHSi(CHO(Si(CHO)10Si(CH(CH-、
-CONH-(CHSi(CHO(Si(CHO)20Si(CH(CH-、
-C(O)O-(CH-、
-C(O)O-(CH-、
-CH-O-(CH-Si(CH-(CH-Si(CH-(CH-、
-CH-O-(CH-Si(CH-(CH-Si(CH-CH(CH)-、
-CH-O-(CH-Si(CH-(CH-Si(CH-(CH-、
-CH-O-(CH-Si(CH-(CH-Si(CH-CH(CH)-CH-、
-OCH-、
-O(CH-、
-OCFHCF-、
【化18】
などが挙げられる。
【0149】
上記の中では、Xは、好ましくは、
-CHOCH-、
-CHO(CH-、
-CHO(CH-、
-CHO(CH-、
-CF-CH-O-CH-、
-CF-CH-O-(CH-、
-CF-CH-O-(CH-、
-CF-CH-O-(CH-、
-CHOCFCHFOCF-、
-CHOCFCHFOCFCF-、
-CHOCFCHFOCFCFCF-、
-CHOCHCFCFOCF-、
-CHOCHCFCFOCFCF-、
-CHOCHCFCFOCFCFCF-、
-CHOCHCFCFOCF(CF)CFOCF-、
-CHOCHCFCFOCF(CF)CFOCFCF-、
-CHOCHCFCFOCF(CF)CFOCFCFCF-、
-CHOCHCHFCFOCF-、
-CHOCHCHFCFOCFCF-、
-CHOCHCHFCFOCFCFCF-、
-CHOCHCHFCFOCF(CF)CFOCF-、
-CHOCHCHFCFOCF(CF)CFOCFCF-、
-CHOCHCHFCFOCF(CF)CFOCFCFCF-、
-CHOCFCHFOCFCFCF-C(O)NH-CH-、
-CF-CHOCFCHFOCFCFCF-C(O)NH-CH-、
-CH-、
-(CH-、
-(CH-、
-(CH-、
-(CH-、
-(CH-、
-CF-、
-(CF-、
-CF-CH-、
-CF-(CH-、
-CF-(CH-、
-CF-(CH-、
-CF-(CH-、
-CF-(CH-、
-CONH-、
-CONH-CH-、
-CONH-(CH-、
-CONH-(CH-、
-CONH-(CH-、
-CFCONH-、
-CFCONHCH-、
-CFCONH(CH-、
-CFCONH(CH-、
-CFCONH(CH-、
-CON(CH)-(CH-、
-CON(Ph)-(CH-(式中、Phはフェニルを意味する)、
-CON(CH)-(CH-、
-CON(Ph)-(CH-(式中、Phはフェニルを意味する)、
-CF-CON(CH)-(CH-、
-CF-CON(Ph)-(CH-(式中、Phはフェニルを意味する)、
-CF-CON(CH)-(CH-、
-CF-CON(Ph)-(CH-(式中、Phはフェニルを意味する)、
-CONH-(CHNH(CH-、
-CONH-(CHNH(CH-、
-CHO-CONH-(CH-、
-CHO-CONH-(CH-、
-OCH-、
-O(CH-、
-OCFHCF-、
であることが好ましい。
【0150】
上記の中では、より好ましくは、Xは、
-CHOCFCHFOCFCFCF-C(O)NH-CH-、
-CF-CHOCFCHFOCFCFCF-C(O)NH-CH-、
-CONH-、
-CONH-CH-、
-CONH-(CH-、
-CONH-(CH-、
-CONH-(CH-、
-CFCONH-、
-CFCONHCH-、
-CFCONH(CH-、
-CFCONH(CH-、
-CFCONH(CH-、
-CON(CH)-(CH-、
-CON(Ph)-(CH-(式中、Phはフェニルを意味する)、
-CON(CH)-(CH-、
-CON(Ph)-(CH-(式中、Phはフェニルを意味する)、
-CF-CON(CH)-(CH-、
-CF-CON(Ph)-(CH-(式中、Phはフェニルを意味する)、
-CF-CON(CH)-(CH-、
-CF-CON(Ph)-(CH-(式中、Phはフェニルを意味する)、
-CONH-(CHNH(CH-、
-CONH-(CHNH(CH-、
である。
【0151】
別の好ましい態様において、Xは、Xe’を表す。Xe’は、上記と同意義である。
【0152】
一の態様において、Xe’は、単結合である。本態様において、PFPEと基材との結合能を有する基(即ち、式(C)においては、γ1を付して括弧でくくられた基)とが直接結合している。
【0153】
上記式中、Rは、各出現においてそれぞれ独立して、-Z-SiR71 p172 q173 r1を表す。
【0154】
式中、Zは、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子または2価の有機基を表す。
【0155】
上記Zは、好ましくは、2価の有機基であり、式(C)における分子主鎖の末端のSi原子(Rが結合しているSi原子)とシロキサン結合を形成するものを含まない。
【0156】
上記Zは、好ましくは、C1-6アルキレン基、-(CH-O-(CH-(式中、gは、1~6の整数であり、hは、1~6の整数である)または、-フェニレン-(CH-(式中、iは、0~6の整数である)であり、より好ましくはC1-3アルキレン基である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、およびC2-6アルキニル基から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよい。紫外線耐久性が特に良好な観点からは、上記Zは、より好ましくは、直鎖状または分枝鎖状のアルキレン基であり、さらに好ましくは直鎖状のアルキレン基である。上記Zのアルキレン基を構成する炭素原子数は、好ましくは1~6の範囲にあり、より好ましくは1~3の範囲にある。なお、アルキレン基については上記のとおりである。
【0157】
式中、R71は、各出現においてそれぞれ独立して、Ra’を表す。Ra’は、Rと同意義である。
【0158】
中、Z基を介して直鎖状に連結されるSiは最大で5個である。即ち、上記Rにおいて、R71が少なくとも1つ存在する場合、R中にZ基を介して直鎖状に連結されるSi原子が2個以上存在するが、かかるZ基を介して直鎖状に連結されるSi原子の数は最大で5個である。なお、「R中のZ基を介して直鎖状に連結されるSi原子の数」とは、R中において直鎖状に連結される-Z-Si-の繰り返し数と等しくなる。
【0159】
例えば、下記にR中においてZ基を介してSi原子が連結された一例を示す。
【化19】
【0160】
上記式において、*は、主鎖のSiに結合する部位を意味し、…は、ZSi以外の所定の基が結合していること、即ち、Si原子の3本の結合手がすべて…である場合、ZSiの繰り返しの終了箇所を意味する。また、Siの右肩の数字は、*から数えたZ基を介して直鎖状に連結されたSiの出現数を意味する。即ち、SiでZSi繰り返しが終了している鎖は「R中のZ基を介して直鎖状に連結されるSi原子の数」が2個であり、同様に、Si、SiおよびSiでZSi繰り返しが終了している鎖は、それぞれ、「R中のZ基を介して直鎖状に連結されるSi原子の数」が3、4および5個である。なお、上記の式から明らかなように、R中には、ZSi鎖が複数存在するが、これらはすべて同じ長さである必要はなく、それぞれ任意の長さであってもよい。
【0161】
好ましい態様において、下記に示すように、「R中のZ基を介して直鎖状に連結されるSi原子の数」は、すべての鎖において、1個(左式)または2個(右式)である。
【化20】
【0162】
一の態様において、R中のZ基を介して直鎖状に連結されるSi原子の数は1個または2個、好ましくは1個である。
【0163】
式中、R72は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表す。「加水分解可能な基」は、上記と同意義である。
【0164】
好ましくは、R72は、-OR(式中、Rは、置換または非置換のC1-3アルキル基、より好ましくはメチル基を表す)である。
【0165】
式中、R73は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表す。該低級アルキル基は、好ましくは炭素原子数1~20のアルキル基、より好ましくは炭素原子数1~6のアルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
【0166】
式中、p1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;q1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;r1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数である。ただし、(-Z-SiR71 p172 q173 r1)毎において、p1、q1およびr1の和は3である。
【0167】
好ましい態様において、R中の末端のR’(R’が存在しない場合、R)において、上記q1は、好ましくは2以上、例えば2または3であり、より好ましくは3である。
【0168】
好ましい態様において、Rの末端部の少なくとも1つは、-Si(-Z-SiR72 q173 r172 q1’73 r1’(ただし、q1’およびr1’のいずれか一方が1であり、他方は0である)または-Si(-Z-SiR72 q173 r1、好ましくは-Si(-Z-SiR72 q173 r1であり得る(ここで、q1およびr1の合計は3である)。式中、(-Z-SiR72 q173 r1)の単位は、好ましくは(-Z-SiR72 )である。さらに好ましい態様において、Rの末端部は、すべて-Si(-Z-SiR72 q173 r1、好ましくは-Si(-Z-SiR72 であり得る。
【0169】
好ましい態様において、(SiR k1 l1 m1)で表される基の末端は、-Si(-Z-SiR72 q173 r1 l1 m1(ただし、l1およびm1のいずれか一方が1であり、他方は0である)、-Si(-Z-SiR72 q173 r172 q1’73 r1’(ただし、q1’およびr1’のいずれか一方が1であり、他方は0である)、または-Si(-Z-SiR72 q173 r1、好ましくは-Si(-Z-SiR72 q173 r1であり得る(ここで、q1およびr1の合計は3である)。
【0170】
上記式中、Ra”は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z-SiR71 p172” q173 r1を表す。Z、R71、R73、p1、q1、およびr1は、上記と同意義である。R72”は、R72と同意義である。
【0171】
好ましい態様において、Ra”の末端部の少なくとも1つは、-Si(-Z-SiR72” q173 r172” q1’73 r1’(ただし、q1’およびr1’のいずれか一方が1であり、他方は0である)または-Si(-Z-SiR72” q173 r1、好ましくは-Si(-Z-SiR72” q173 r1であり得る(ここで、q1およびr1の合計は3である)。式中、(-Z-SiR72” q173 r1)の単位は、好ましくは(-Z-SiR72” )である。さらに好ましい態様において、Rの末端部は、すべて-Si(-Z-SiR72” q173 r1、好ましくは-Si(-Z-SiR72” であり得る。
【0172】
好ましい態様において、(SiRa” k1b” l1c” m1)で表される基の末端は、-Si(-Z-SiR72” q173 r1b” l1c” m1(ただし、l1およびm1のいずれか一方が1であり、他方は0である)、-Si(-Z-SiR72” q173 r172” q1’73 r1’(ただし、q1’およびr1’のいずれか一方が1であり、他方は0である)、または-Si(-Z-SiR72” q173 r1、好ましくは-Si(-Z-SiR72” q173 r1であり得る(ここで、q1およびr1の合計は3である)。
【0173】
式(C)においては、水酸基または加水分解可能な基に結合したSiが少なくとも2つ存在する。即ち、SiR72、SiR72”、SiR、およびSiRb”からなる群より選ばれる構造が少なくとも2つ存在する。R、およびRb”については後述する。
【0174】
式(C)においては、水酸基または加水分解可能な基に結合したSiが、PFPE含有シラン化合物の分子主鎖の両末端にそれぞれ少なくとも1つ存在する。即ち、SiR72および/またはSiRの構造が少なくとも1つ存在し、かつSiR72”および/またはSiRb”の構造が少なくとも1つ存在する。
【0175】
上記式中、Rは、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表す。
【0176】
上記Rは、好ましくは、水酸基、-OR、-OCOR、-O-N=C(R)、-N(R)、-NHR、ハロゲン(これら式中、Rは、置換または非置換の炭素原子数1~4のアルキル基を示す)であり、より好ましくは-ORである。Rは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基などの非置換アルキル基;クロロメチル基などの置換アルキル基が含まれる。それらの中でも、アルキル基、特に非置換アルキル基が好ましく、メチル基またはエチル基がより好ましい。水酸基は、特に限定されないが、加水分解可能な基が加水分解して生じたものであってよい。より好ましくは、Rは、-OR(式中、Rは、置換または非置換のC1-3アルキル基、より好ましくはメチル基を表す)である。
【0177】
上記式中、Rb”は、Rと同意義である。
【0178】
上記式中、Rは、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表す。該低級アルキル基は、好ましくは炭素原子数1~20のアルキル基、より好ましくは炭素原子数1~6のアルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
【0179】
上記式中、Rc”は、Rと同意義である。
【0180】
式中、k1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;l1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;m1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数である。ただし、(SiR k1 l1 m1)毎または(SiRa” k1b” l1c” m1)毎において、k1、l1およびm1の和は、3である。
【0181】
一の態様において、k1は、1~3であることが好ましく、3であることがより好ましい。
【0182】
上記式(C)で表される化合物は、例えば、国際公開第2014/069592号に記載のように合成することができる。
【0183】
式(D):
【化21】
【0184】
上記式(D)中、PFPEは、上記式(A)に関する記載と同意義である。
【0185】
上記式中、Xは、それぞれ独立して、単結合または2~10価の有機基を表す。当該Xは、式(D)で表される化合物において、主に撥水性および表面滑り性等を提供するパーフルオロポリエーテル部(即ち、-PFPE-部)と、基材との結合能を提供する部(即ち、δ1を付して括弧でくくられた基)とを連結するリンカーと解される。従って、当該Xは、式(D)で表される化合物が安定に存在し得るものであれば、単結合であってもよく、いずれの有機基であってもよい。なお、本明細書において、Xとして記載している構造は、左側がPFPEで表される基に、右側がδ1を付して括弧でくくられた基に、それぞれ結合する。
【0186】
別の態様において、Xは、Xを表す。Xは、上記と同意義である。
【0187】
上記式中、δ1は1~9の整数であり、δ1は、Xの価数に応じて変化し得る。式(D)においては、δ1はXの価数から1を引いた値である。Xが単結合であるときには、δ1は1である。
【0188】
上記Xは、好ましくは2~7価、より好ましくは2~4価、さらに好ましくは2価の有機基である。
【0189】
一の態様において、Xは2~4価の有機基であり、δ1は1~3である。
【0190】
別の態様において、Xは2価の有機基であり、δ1は1である。この場合、式(D)は、下記式(D’)で表される。
【化22】
【0191】
上記Xの例としては、特に限定するものではないが、例えば、Xに関して記載したものと同様のものが挙げられる。
【0192】
中でも、好ましい具体的なXは、
単結合、
-CHOCH-、
-CHO(CH-、
-CHO(CH-、
-CHO(CH-、
-CF-CH-O-CH-、
-CF-CH-O-(CH-、
-CF-CH-O-(CH-、
-CF-CH-O-(CH-、
-CHO(CHSi(CHOSi(CH(CH-、
-CHO(CHSi(CHOSi(CHOSi(CH(CH-、
-CHO(CHSi(CHO(Si(CHO)Si(CH(CH-、
-CHO(CHSi(CHO(Si(CHO)Si(CH(CH-、
-CHO(CHSi(CHO(Si(CHO)10Si(CH(CH-、
-CHO(CHSi(CHO(Si(CHO)20Si(CH(CH-、
-CHOCFCHFOCF-、
-CHOCFCHFOCFCF-、
-CHOCFCHFOCFCFCF-、
-CHOCHCFCFOCF-、
-CHOCHCFCFOCFCF-、
-CHOCHCFCFOCFCFCF-、
-CHOCHCFCFOCF(CF)CFOCF-、
-CHOCHCFCFOCF(CF)CFOCFCF-、
-CHOCHCFCFOCF(CF)CFOCFCFCF-、
-CHOCHCHFCFOCF-、
-CHOCHCHFCFOCFCF-、
-CHOCHCHFCFOCFCFCF-、
-CHOCHCHFCFOCF(CF)CFOCF-、
-CHOCHCHFCFOCF(CF)CFOCFCF-、
-CHOCHCHFCFOCF(CF)CFOCFCFCF-、
-CHOCFCHFOCFCFCF-C(O)NH-CH-、
-CHOCH(CHCHSi(OCHOSi(OCH(CHSi(OCHOSi(OCH(CH-、
-CHOCHCHCHSi(OCHOSi(OCH(CH-、
-CHOCHCHCHSi(OCHCHOSi(OCHCH(CH-、
-CHOCHCHCHSi(OCHOSi(OCH(CH-、
-CHOCHCHCHSi(OCHCHOSi(OCHCH(CH-、
-(CH-Si(CH-(CH-、
-CH-、
-(CH-、
-(CH-、
-(CH-、
-(CH-、
-(CH-、
-CF-、
-(CF-、
-CF-CH-、
-CF-(CH-、
-CF-(CH-、
-CF-(CH-、
-CF-(CH-、
-CF-(CH-、
-CO-、
-CONH-、
-CONH-CH-、
-CONH-(CH-、
-CONH-(CH-、
-CONH-(CH-、
-CFCONH-、
-CFCONHCH-、
-CFCONH(CH-、
-CFCONH(CH-、
-CFCONH(CH-、
-CON(CH)-(CH-、
-CON(Ph)-(CH-(式中、Phはフェニルを意味する)、
-CON(CH)-(CH-、
-CON(Ph)-(CH-(式中、Phはフェニルを意味する)、
-CF-CON(CH)-(CH-、
-CF-CON(Ph)-(CH-(式中、Phはフェニルを意味する)、
-CF-CON(CH)-(CH-、
-CF-CON(Ph)-(CH-(式中、Phはフェニルを意味する)、
-CONH-(CHNH(CH-、
-CONH-(CHNH(CH-、
-CHO-CONH-(CH-、
-CHO-CONH-(CH-、
-S-(CH-、
-(CHS(CH-、
-CONH-(CHSi(CHOSi(CH(CH-、
-CONH-(CHSi(CHOSi(CHOSi(CH(CH-、
-CONH-(CHSi(CHO(Si(CHO)Si(CH(CH-、
-CONH-(CHSi(CHO(Si(CHO)Si(CH(CH-、
-CONH-(CHSi(CHO(Si(CHO)10Si(CH(CH-、
-CONH-(CHSi(CHO(Si(CHO)20Si(CH(CH-、
-C(O)O-(CH-、
-C(O)O-(CH-、
-CH-O-(CH-Si(CH-(CH-Si(CH-(CH-、
-CH-O-(CH-Si(CH-(CH-Si(CH-CH(CH)-、
-CH-O-(CH-Si(CH-(CH-Si(CH-(CH-、
-CH-O-(CH-Si(CH-(CH-Si(CH-CH(CH)-CH-、
-OCH-、
-O(CH-、
-OCFHCF-、
【化23】
などが挙げられる。
【0193】
上記の中で、より好ましい具体的なXは、
-CHOCH-、
-CHO(CH-、
-CHO(CH-、
-CHO(CH-、
-CF-CH-O-CH-、
-CF-CH-O-(CH-、
-CF-CH-O-(CH-、
-CF-CH-O-(CH-、
-CHOCFCHFOCF-、
-CHOCFCHFOCFCF-、
-CHOCFCHFOCFCFCF-、
-CHOCHCFCFOCF-、
-CHOCHCFCFOCFCF-、
-CHOCHCFCFOCFCFCF-、
-CHOCHCFCFOCF(CF)CFOCF-、
-CHOCHCFCFOCF(CF)CFOCFCF-、
-CHOCHCFCFOCF(CF)CFOCFCFCF-、
-CHOCHCHFCFOCF-、
-CHOCHCHFCFOCFCF-、
-CHOCHCHFCFOCFCFCF-、
-CHOCHCHFCFOCF(CF)CFOCF-、
-CHOCHCHFCFOCF(CF)CFOCFCF-、
-CHOCHCHFCFOCF(CF)CFOCFCFCF-、
-CHOCFCHFOCFCFCF-C(O)NH-CH-、
-CF-CHOCFCHFOCFCFCF-C(O)NH-CH-、
-CH-、
-(CH-、
-(CH-、
-(CH-、
-(CH-、
-(CH-、
-CF-、
-(CF-、
-CF-CH-、
-CF-(CH-、
-CF-(CH-、
-CF-(CH-、
-CF-(CH-、
-CF-(CH-、
-CONH-、
-CONH-CH-、
-CONH-(CH-、
-CONH-(CH-、
-CONH-(CH-、
-CFCONH-、
-CFCONHCH-、
-CFCONH(CH-、
-CFCONH(CH-、
-CFCONH(CH-、
-CON(CH)-(CH-、
-CON(Ph)-(CH-(式中、Phはフェニルを意味する)、
-CON(CH)-(CH-、
-CON(Ph)-(CH-(式中、Phはフェニルを意味する)、
-CF-CON(CH)-(CH-、
-CF-CON(Ph)-(CH-(式中、Phはフェニルを意味する)、
-CF-CON(CH)-(CH-、
-CF-CON(Ph)-(CH-(式中、Phはフェニルを意味する)、
-CONH-(CHNH(CH-、
-CONH-(CHNH(CH-、
-CHO-CONH-(CH-、
-CHO-CONH-(CH-、
-OCH-、
-O(CH-、
-OCFHCF-、
であることが好ましい。
【0194】
上記の中では、より好ましくは、Xは、
-CHOCFCHFOCFCFCF-C(O)NH-CH-、
-CF-CHOCFCHFOCFCFCF-C(O)NH-CH-、
-CONH-、
-CONH-CH-、
-CONH-(CH-、
-CONH-(CH-、
-CONH-(CH-、
-CFCONH-、
-CFCONHCH-、
-CFCONH(CH-、
-CFCONH(CH-、
-CFCONH(CH-、
-CON(CH)-(CH-、
-CON(Ph)-(CH-(式中、Phはフェニルを意味する)、
-CON(CH)-(CH-、
-CON(Ph)-(CH-(式中、Phはフェニルを意味する)、
-CF-CON(CH)-(CH-、
-CF-CON(Ph)-(CH-(式中、Phはフェニルを意味する)、
-CF-CON(CH)-(CH-、
-CF-CON(Ph)-(CH-(式中、Phはフェニルを意味する)、
-CONH-(CHNH(CH-、
-CONH-(CHNH(CH-、
である。
【0195】
より好ましい態様において、Xは、Xe’を表す。Xe’は、上記と同意義である。
【0196】
一の態様において、Xe’は、単結合である。本態様において、PFPEと基材との結合能を有する基(即ち、式(D)においては、δ1を付して括弧でくくられた基)とが直接結合している。このような構造を有することによって、PFPEとδ1を付して括弧でくくられた基との結合力がより強くなると考えられる。また、PFPEと直接結合する炭素原子(即ち、δ1を付して括弧でくくられた基においてR およびRと結合する炭素原子、またはRd” e”およびRf”と結合する炭素原子)は電荷の偏りが少なく、その結果、上記炭素原子において求核反応等が生じにくく、当該化合物は基材と安定に結合すると考えられる。このような構造は、PFPEシラン化合物により形成される層の摩擦耐久性をより向上させることができるので、有利である。
【0197】
上記式中、Rは、各出現においてそれぞれ独立して、-Z-CR81 p282 q283 r2を表す。
【0198】
式中、Zは、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子または2価の有機基を表す。
【0199】
上記Zは、好ましくは、C1-6アルキレン基、-(CH-O-(CH-(式中、gは、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、hは、0~6の整数、例えば1~6の整数である)または、-フェニレン-(CH-(式中、iは、0~6の整数である)であり、より好ましくはC1-3アルキレン基である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、およびC2-6アルキニル基から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよい。
【0200】
式中、R81は、各出現においてそれぞれ独立して、Rd’を表す。Rd’は、Rと同意義である。
【0201】
中、Z基を介して直鎖状に連結されるCは最大で5個である。即ち、上記Rにおいて、R81が少なくとも1つ存在する場合、R中にZ基を介して直鎖状に連結されるC原子が2個以上存在するが、かかるZ基を介して直鎖状に連結されるC原子の数は最大で5個である。なお、「R中のZ基を介して直鎖状に連結されるC原子の数」とは、R中において直鎖状に連結される-Z-C-の繰り返し数と等しくなる。
【0202】
好ましい態様において、下記に示すように、「R中のZ基を介して直鎖状に連結されるC原子の数」は、すべての鎖において、1個(左式)または2個(右式)である。
【化24】
【0203】
一の態様において、RのZ基を介して直鎖状に連結されるC原子の数は1個または2個、好ましくは1個である。
【0204】
式中、R82は、各出現においてそれぞれ独立して、-Y-SiR85 n286 3-n2を表す。
【0205】
Yは、各出現においてそれぞれ独立して、2価の有機基を表す。
【0206】
好ましい態様において、Yは、C1-6アルキレン基、-(CHg’-O-(CHh’-(式中、g’は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、h’は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)または、-フェニレン-(CHi’-(式中、i’は、0~6の整数である)である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、およびC2-6アルキニル基から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよい。
【0207】
一の態様において、Yは、C1-6アルキレン基または-フェニレン-(CHi’-であり得る。Yが上記の基である場合、光耐性、特に紫外線耐性がより高くなり得る。
【0208】
上記R85は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表す。
【0209】
上記「加水分解可能な基」とは、式(C)と同様のものが挙げられる。
【0210】
好ましくは、R85は、-OR(式中、Rは、置換または非置換のC1-3アルキル基、より好ましくはエチル基またはメチル基、特にメチル基を表す)である。
【0211】
上記R86は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表す。該低級アルキル基は、好ましくは炭素原子数1~20のアルキル基、より好ましくは炭素原子数1~6のアルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
【0212】
n2は、(-Y-SiR85 n286 3-n2)単位毎または(-Y-SiR85” n286” 3-n2)単位毎に独立して、0~3の整数を表し、好ましくは1~3の整数、より好ましくは2または3、特に好ましくは3である。R85” 86”については後述する。
【0213】
上記R83は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、水酸基または低級アルキル基を表し、好ましくは水素原子または低級アルキル基を表す。該低級アルキル基は、好ましくは炭素原子数1~20のアルキル基、より好ましくは炭素原子数1~6のアルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
【0214】
式中、p2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;q2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;r2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数である。ただし、(-Z-CR81 p282 q283 r2)毎または(-Z-CR81 p282” q283 r2)毎において、p2、q2およびr2の和は3である。R82”については後述する。
【0215】
好ましい態様において、R中の末端のR’(R’が存在しない場合、R)において、上記q2は、好ましくは2以上、例えば2または3であり、より好ましくは3である。
【0216】
好ましい態様において、Rの末端部の少なくとも1つは、-C(-Y-SiR85 n286 3-n2(具体的には、C(-Y-SiR85 n286 3-n283)または-C(-Y-SiR85 n286 3-n2、好ましくは-C(-Y-SiR85 n286 3-n2であり得る。ここで、n2は1~3の整数である。式中、(-Y-SiR85 n286 3-n2)の単位は、好ましくは(-Y-SiR85 )である。さらに好ましい態様において、Rの末端部は、すべて-C(-Y-SiR85 n286 3-n2、好ましくは-C(-Y-SiR85 であり得る。
【0217】
一の態様において、(CR k2 l2 m2)で表される基の末端は、C(-Y-SiR85 n286 3-n2、C(-Y-SiR85 n286 3-n283またはC(-Y-SiR85 n286 3-n2、好ましくはC(-Y-SiR85 n286 3-n2である。ここで、n2は1~3の整数である。式中、(-Y-SiR85 n286 3-n2)の単位は、好ましくは(-Y-SiR85 )である。さらに好ましい態様において、上記基の末端部は、すべて-C(-Y-SiR85 n286 3-n2、好ましくは-C(-Y-SiR85 であり得る。
【0218】
上記式中、Rd”は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z-CR81 p282” q283 r2を表す。Z、R81、R83、p2、q2、およびr2は上記と同意義である。R82”は、各出現においてそれぞれ独立して、-Y-SiR85” n286” 3-n2を表す。ここで、Y、およびn2は、上記と同意義である。R85”、およびR86”は、それぞれ、R85、およびR86と同意義である。
【0219】
好ましい態様において、Rd”中の末端のR’(R’が存在しない場合、Rd”)において、上記q2は、好ましくは2以上、例えば2または3であり、より好ましくは3である。
【0220】
好ましい態様において、Rd”の末端部の少なくとも1つは、-C(-Y-SiR85” n286” 3-n2(具体的には、-C(-Y-SiR85” n286” 3-n283)または-C(-Y-SiR85” n286” 3-n2、好ましくは-C(-Y-SiR85” n286” 3-n2であり得る。ここで、n2は1~3の整数である。式中、(-Y-SiR85” n286” 3-n2)の単位は、好ましくは(-Y-SiR85” )である。さらに好ましい態様において、Rの末端部は、すべて-C(-Y-SiR85” n286” 3-n2、好ましくは-C(-Y-SiR85” であり得る。
【0221】
一の態様において、(CRd” k2e” l2f” m2)で表される基の末端は、C(-Y-SiR85” n286” 3-n2f”、C(-Y-SiR85” n286” 3-n283またはC(-Y-SiR85” n286” 3-n2、好ましくはC(-Y-SiR85” n286” 3-n2である。ここで、n2は1~3の整数である。式中、(-Y-SiR85” n286” 3-n2)の単位は、好ましくは(-Y-SiR85” )である。さらに好ましい態様において、上記基の末端部は、すべて-C(-Y-SiR85” n286” 3-n2、好ましくは-C(-Y-SiR85” であり得る。
【0222】
上記式中、Rは、各出現においてそれぞれ独立して、-Y-SiR85 n286 3-n2を表す。ここに、Y、R85、R86およびn2は、上記R82における記載と同意義である。
【0223】
上記式中、Re”は、各出現においてそれぞれ独立して、-Y-SiR85” n286” 3-n2を表す。ここで、R85”、R86”、Y、およびn2は、上記と同意義である。
【0224】
上記式中、Rは、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、水酸基または低級アルキル基を表す。好ましくは、Rは、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表す。該低級アルキル基は、好ましくは炭素原子数1~20のアルキル基、より好ましくは炭素原子数1~6のアルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
【0225】
上記式中、Rf”は、Rと同意義である。
【0226】
式中、k2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;l2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;m2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数である。ただし、k2、l2およびm2の和は3である。
【0227】
一の態様において、少なくとも1つのk2は2または3であり、好ましくは3である。
【0228】
一の態様において、k2は2または3であり、好ましくは3である。
【0229】
一の態様において、l2は2または3であり、好ましくは3である。
【0230】
上記式(D)において、-Y-SiR85で表される基が1以上、かつ-Y-SiR85”で表される基が1以上存在する。より好ましくは、2以上の-Y-SiR85に結合した炭素原子が1以上存在し、2以上の-Y-SiR85”に結合した炭素原子が1以上存在する。即ち、上記式(D)において、-C-(Y-SiR85 n286 3-n2で表される基が1以上、かつ-C-(Y-SiR85” n286” 3-n2で表される基が1以上存在することが好ましい(式中、n2は1~3の整数である。)。
【0231】
上記式(D)中、n2は1~3の整数であり、および、少なくとも1つのq2は2または3であるか、あるいは、少なくとも1つのl2は2または3である。
【0232】
上記式(D)中、式中、-Y-SiR85 n286 3-n2基または-Y-SiR85” n286” 3-n2基が少なくとも2存在することが好ましい。上記式(D)中、-Y-SiR85 n286 3-n2基が1以上存在し、かつ-Y-SiR85” n286” 3-n2基が1以上存在することがより好ましい。即ち、-SiR85を含む基および-SiR85” を含む基が、PFPE含有シラン化合物の分子主鎖の両末端に存在することが好ましい。
【0233】
上記式(D)で表される化合物は、公知の方法を組み合わせることにより製造することができる。
【0234】
一の態様において、PFPE含有シラン化合物は、式(A)で表される化合物である。
【0235】
一の態様において、PFPE含有シラン化合物は、式(B)で表される化合物である。
【0236】
一の態様において、PFPE含有シラン化合物は、式(C)で表される化合物である。
【0237】
一の態様において、PFPE含有シラン化合物は、式(D)で表される化合物である。
【0238】
一の態様において、PFPE含有シラン化合物は、式(A)、(C)または(D)で表される。
【0239】
一の態様において、PFPE含有シラン化合物は、少なくとも一方の末端に、水酸基または加水分解可能な基を有するSi原子を2個以上、好ましくは3個以上有する。
【0240】
上記したPFPE含有シラン化合物は、特に限定されるものではないが、5×10~1×10の数平均分子量を有し得る。かかる範囲のなかでも、2,000~30,000、より好ましくは2,500~12,000、さらに好ましくは3,000~6,000の数平均分子量を有することが好ましい。なお、本発明において、数平均分子量は、19F-NMRにより測定される値とする。
【0241】
上記PFPE含有不飽和化合物は、分子両末端に炭素-炭素二重結合を有するPFPE基含有化合物である。
【0242】
上記PFPE含有不飽和化合物は、以下の式(I)で表わされる化合物であることが好ましい。
CH=CH-Rk1-PFPE-Rk1-CH=CH (I)
【0243】
上記式(I)中、PFPEは、上記と同意義である。
【0244】
上記式(I)中、Rk1は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、または2価の有機基を表す。
【0245】
上記Rk1は、主に撥水性および表面滑り性等を提供するパーフルオロ(ポリ)エーテル部(即ち、-PFPE-部)と、アルケニル基とを連結するリンカーと解される。従って、当該Rk1は、PFPE含有化合物が安定に存在し得るものであれば、単結合であってもよく、いずれの有機基であってもよい。なお、本明細書において、Rk1は、左側がPFPEで表される基に、右側が式(I)の-CH=CH部分に、それぞれ結合する。
【0246】
一の態様において、Rk1は、上記PFPE含有シラン化合物に関するXと同意義(ただし、2価のものに限る)であり得る。
【0247】
上記Rk1は、主に撥水性および表面滑り性等を提供するパーフルオロ(ポリ)エーテル部(即ち、-PFPE-部)と、アルケニル基とを連結するリンカーと解される。従って、当該Rk1は、PFPE含有化合物が安定に存在し得るものであれば、単結合であってもよく、いずれの有機基であってもよい。
【0248】
別の態様において、Rk1は、Xであり得る。Xは、単結合または2価の有機基を表し、好ましくは、単結合または-C-(すなわち-フェニレン-。以下、フェニレン基を示す。)、-CO-(カルボニル基)、-NR-および-SO-からなる群より選ばれる少なくとも1つを有する2価の有機基を表す。上記Rは、それぞれ独立して、水素原子、フェニル基、またはC1~6アルキル基(好ましくはメチル基)を表し、好ましくは水素原子、またはメチル基である。上記の-C-、-CO-、-NR-または-SO-は、PFPE含有不飽和化合物の分子主鎖中に含まれることが好ましい。ここで、分子主鎖とは、PFPE含有不飽和化合物の分子中で相対的に最も長い結合鎖を表す。
【0249】
は、より好ましくは、単結合または-C-、-CONR-、-CONR-C-、-CO-、-CO-C-、-SONR-、-SONR-C-、-SO-、および-SO-C-からなる群より選ばれる少なくとも1つを有する2価の有機基を表す。上記の-C-、-CONR-、-CONR-C-、-CO-、-CO-C-、-SONR-、-SONR-C-、-SO-、または-SO-C-は、PFPE含有不飽和化合物の分子主鎖中に含まれることが好ましい。
【0250】
上記Rk1の例としては、特に限定するものではないが、例えば、下記式:
-(R31p’-(Xq’
[式中:
31は、単結合、-(CHs’-またはo-、m-もしくはp-フェニレン基を表し、好ましくは-(CHs’-であり、
s’は、1~20の整数、好ましくは1~6の整数、より好ましくは1~3の整数、さらにより好ましくは1または2であり、
は、-(Xl’-を表し、
は、各出現においてそれぞれ独立して、-O-、-S-、o-、m-もしくはp-フェニレン基、-C(O)O-、-Si(R33-、-(Si(R33O)m’-Si(R33-、-CONR34-、-O-CONR34-、-NR34-および-(CHn’-からなる群から選択される基を表し、
33は、各出現においてそれぞれ独立して、フェニル基、C1-6アルキル基またはC1-6アルコキシ基を表し、好ましくはフェニル基またはC1-6アルキル基であり、より好ましくはメチル基であり、
34は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フェニル基またはC1-6アルキル基(好ましくはメチル基)を表し、
m’は、各出現においてそれぞれ独立して、1~100の整数、好ましくは1~20の整数であり、
n’は、各出現においてそれぞれ独立して、1~20の整数、好ましくは1~6の整数、より好ましくは1~3の整数であり、
l’は、1~10の整数、好ましくは1~5の整数、より好ましくは1~3の整数であり、
p’は、0または1であり、
q’は、0または1であり、
ここに、p’およびq’の少なくとも一方は1であり、p’またはq’を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は任意である]
で表される2価の基が挙げられる。ここに、R31およびX(典型的にはR31およびXの水素原子)は、フッ素原子、C1-3アルキル基およびC1-3フルオロアルキル基から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよい。
【0251】
一の態様において、l’は、1である。
【0252】
好ましくは、上記Rk1は、-(R31p’-(Xq’-R32-である。R32は、単結合、-(CHt’-またはo-、m-もしくはp-フェニレン基を表し、好ましくは-(CHt’-である。t’は、1~20の整数、好ましくは2~6の整数、より好ましくは2~3の整数である。一の態様において、t’は、1~6の整数、より好ましくは1~3の整数であり、例えば1または2、より具体的には1である。ここに、R32(典型的にはR32中の水素原子)は、フッ素原子、C1-3アルキル基およびC1-3フルオロアルキル基から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよい。
【0253】
好ましくは、上記Rk1は、
単結合、
1-20アルキレン基、
-R31-X-R32-、または
-X-R32
[式中、R31およびR32は、上記と同意義である。]
であり得る。なお、アルキレン基とは、-(Cδ2δ)-構造を有する基であり、置換または非置換であってよく、直鎖状または分枝鎖状であってもよい。
【0254】
より好ましくは、上記Rk1は、
単結合、
1-20アルキレン基、
-(CHs’-X-、
-(CHs’-X-(CHt’
-X-、または
-X-(CHt’
[式中、s’およびt’は、上記と同意義である。]
である。
【0255】
さらに好ましくは、上記Rk1は、
-X-、
-X-C1-20アルキレン基、
-X-(CHs’-X-、
-X-(CHs’-X-(CHt’
-X-X-、または
-X-X-(CHt’
である。式中、s’およびt’は、上記と同意義である。
上記式中、Xは、炭素原子数1~6、好ましくは炭素原子数1~4、より好ましくは炭素原子数1~2のアルキレン基、例えばメチレン基である。X中の水素原子は、フッ素原子、C1-3アルキル基およびC1-3フルオロアルキル基から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよく、好ましくは置換されている。Xは、直鎖状または分枝鎖状であってもよく、好ましくは直鎖状である。
【0256】
上記式中、Xは、
-O-、
-S-、
-C(O)O-、
-CONR34-、
-O-CONR34-、
-Si(R33-、
-(Si(R33O)m’-Si(R33-、
-O-(CHu’-(Si(R33O)m’-Si(R33-、
-O-(CHu’-Si(R33-O-Si(R33-CHCH-Si(R33-O-Si(R33-、
-O-(CHu’-Si(OCHOSi(OCH-、
-CONR34-(CHu’-(Si(R33O)m’-Si(R33-、
-CONR34-(CHu’-N(R34)-、または
-CONR34-(o-、m-またはp-フェニレン)-Si(R33
[式中、R33、R34およびm’は、上記と同意義であり、
u’は1~20の整数、好ましくは2~6の整数、より好ましくは2~3の整数である。]を表す。Xは、好ましくは-O-である。
【0257】
上記式中、Xは、
-S-、
-C(O)O-、
-CONR34-、
-CONR34-(CHu’-(Si(R33O)m’-Si(R33-、
-CONR34-(CHu’-N(R34)-、または
-CONR34-(o-、m-またはp-フェニレン)-Si(R33
[式中、各記号は、上記と同意義である。]
を表す。
【0258】
特に好ましくは、上記Rk1は、
-X-、
-X-C1-20アルキレン基、
-X-(CHs’-X-、
-X-(CHs’-X-(CHt’
-X-X-、または
-X-X-(CHt’
[式中、X、s’およびt’は、上記と同意義である。]
であり、
が、-O-、または-CONR34-、
が、-CONR34-、
34は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フェニル基またはC1-6アルキル基(好ましくはメチル基)を表す。]
で表される基である。
【0259】
一の態様において、上記Rk1は、
-X-(CHs’-X-、
-X-(CHs’-X-(CHt’
-X-X-、または
-X-X-(CHt’
[式中、X、s’およびt’は、上記と同意義である。]
であり、
が、-O-、または-CONR34-、
が、-CONR34-、
34は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フェニル基またはC1-6アルキル基(好ましくはメチル基)を表す。]
で表される基である。
【0260】
一の態様において、上記Rk1は、
単結合、
1-20アルキレン基、
-(CHs’-X-(CHt’-、または
-X-(CHt’
[式中、各記号は、上記と同意義である。]
であり得る。
【0261】
好ましくは、上記Rk1は、
単結合、
1-20アルキレン基、
-(CHs’-O-(CHt’-、
-(CHs’-(Si(R33O)m’-Si(R33-(CHt’-、
-(CHs’-O-(CHu’-(Si(R33O)m’-Si(R33-(CHt’-、または
-(CHs’-O-(CHt’-Si(R33 -(CHu’-Si(R33-(Cv2v)-
[式中、R33、m’、s’、t’およびu’は、上記と同意義であり、vは1~20の整数、好ましくは2~6の整数、より好ましくは2~3の整数である。]
である。
【0262】
上記式中、-(Cv2v)-は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、例えば、-CH-、-CHCH-、-CHCHCH-、-CH(CH)-、-CH(CH)CH-であり得る。
【0263】
上記Rk1基は、フッ素原子、C1-3アルキル基およびC1-3フルオロアルキル基(好ましくは、C1-3パーフルオロアルキル基)から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよい。
【0264】
一の態様において、Rk1基は、-O-C1-6アルキレン基以外であり得る。
【0265】
別の態様において、Rk1基としては、例えば下記の基が挙げられる:
【化25】
【化26】
[式中、R41は、それぞれ独立して、水素原子、フェニル基、炭素原子数1~6のアルキル基、またはC1-6アルコキシ基、好ましくはメチル基であり;
Dは、
-CHO(CH-、
-CHO(CH-、
-CFO(CH-、
-(CH-、
-(CH-、
-(CH4-、
-CONH-(CH-、
-CON(CH)-(CH-、
-CON(Ph)-(CH-(式中、Phはフェニルを意味する)、および
【化27】
(式中、R42は、それぞれ独立して、水素原子、C1-6のアルキル基またはC1-6のアルコキシ基、好ましくはメチル基またはメトキシ基、より好ましくはメチル基を表す。)
から選択される基であり、
Eは、-(CHne-(neは2~6の整数)であり、
Dは、分子主鎖のPFPEに結合し、Eは、PFPEと反対の基に結合する。]
【0266】
上記Rk1の具体的な例としては、例えば:
単結合、
-CHOCH-、
-CHO(CH-、
-CHO(CH-、
-CHO(CH-、
-CF-CH-O-CH-、
-CF-CH-O-(CH-、
-CF-CH-O-(CH-、
-CF-CH-O-(CH-、
-CHO(CHSi(CHOSi(CH(CH-、
-CHO(CHSi(CHOSi(CHOSi(CH(CH-、
-CHO(CHSi(CHO(Si(CHO)Si(CH(CH-、
-CHO(CHSi(CHO(Si(CHO)Si(CH(CH-、
-CHO(CHSi(CHO(Si(CHO)10Si(CH(CH-、
-CHO(CHSi(CHO(Si(CHO)20Si(CH(CH-、
-CHOCFCHFOCF-、
-CHOCFCHFOCFCF-、
-CHOCFCHFOCFCFCF-、
-CHOCHCFCFOCF-、
-CHOCHCFCFOCFCF-、
-CHOCHCFCFOCFCFCF-、
-CHOCHCFCFOCF(CF)CFOCF-、
-CHOCHCFCFOCF(CF)CFOCFCF-、
-CHOCHCFCFOCF(CF)CFOCFCFCF-、
-CHOCHCHFCFOCF-、
-CHOCHCHFCFOCFCF-、
-CHOCHCHFCFOCFCFCF-、
-CHOCHCHFCFOCF(CF)CFOCF-、
-CHOCHCHFCFOCF(CF)CFOCFCF-、
-CHOCHCHFCFOCF(CF)CFOCFCFCF-、
-CHOCFCHFOCFCFCF-C(O)NH-CH-、
-CHOCH(CHCHSi(OCHOSi(OCH(CHSi(OCHOSi(OCH(CH-、
-CHOCHCHCHSi(OCHOSi(OCH(CH-、
-CHOCHCHCHSi(OCHCHOSi(OCHCH(CH-、
-CHOCHCHCHSi(OCHOSi(OCH(CH-、
-CHOCHCHCHSi(OCHCHOSi(OCHCH(CH-、
-(CH-Si(CH-(CH-、
-CH-、
-(CH-、
-(CH-、
-(CH-、
-(CH-、
-(CH-、
-CF-、
-(CF-、
-CF-CH-、
-CF-(CH-、
-CF-(CH-、
-CF-(CH-、
-CF-(CH-、
-CF-(CH-、
-CO-、
-CONH-、
-CONH-CH-、
-CONH-(CH-、
-CONH-(CH-、
-CONH-(CH-、
-CFCONH-、
-CFCONHCH-、
-CFCONH(CH-、
-CFCONH(CH-、
-CFCONH(CH-、
-CON(CH)-(CH-、
-CON(Ph)-(CH-(式中、Phはフェニルを意味する)、
-CON(CH)-(CH-、
-CON(Ph)-(CH-(式中、Phはフェニルを意味する)、
-CF-CON(CH)-(CH-、
-CF-CON(Ph)-(CH-(式中、Phはフェニルを意味する)、
-CF-CON(CH)-(CH-、
-CF-CON(Ph)-(CH-(式中、Phはフェニルを意味する)、
-CONH-(CHNH(CH-、
-CONH-(CHNH(CH-、
-CHO-CONH-(CH-、
-CHO-CONH-(CH-、
-S-(CH-、
-(CHS(CH-、
-CONH-(CHSi(CHOSi(CH(CH-、
-CONH-(CHSi(CHOSi(CHOSi(CH(CH-、
-CONH-(CHSi(CHO(Si(CHO)Si(CH(CH-、
-CONH-(CHSi(CHO(Si(CHO)Si(CH(CH-、
-CONH-(CHSi(CHO(Si(CHO)10Si(CH(CH-、
-CONH-(CHSi(CHO(Si(CHO)20Si(CH(CH-、
-C(O)O-(CH-、
-C(O)O-(CH-、
-CH-O-(CH-Si(CH-(CH-Si(CH-(CH-、
-CH-O-(CH-Si(CH-(CH-Si(CH-CH(CH)-、
-CH-O-(CH-Si(CH-(CH-Si(CH-(CH-、
-CH-O-(CH-Si(CH-(CH-Si(CH-CH(CH)-CH-、
-OCH-、
-O(CH-、
-OCFHCF-、
【化28】
などが挙げられる。
【0267】
上記の中では、Rk1は、
-CHOCH-、
-CHO(CH-、
-CHO(CH-、
-CHO(CH-、
-CF-CH-O-CH-、
-CF-CH-O-(CH-、
-CF-CH-O-(CH-、
-CF-CH-O-(CH-、
-CHOCFCHFOCF-、
-CHOCFCHFOCFCF-、
-CHOCFCHFOCFCFCF-、
-CHOCHCFCFOCF-、
-CHOCHCFCFOCFCF-、
-CHOCHCFCFOCFCFCF-、
-CHOCHCFCFOCF(CF)CFOCF-、
-CHOCHCFCFOCF(CF)CFOCFCF-、
-CHOCHCFCFOCF(CF)CFOCFCFCF-、
-CHOCHCHFCFOCF-、
-CHOCHCHFCFOCFCF-、
-CHOCHCHFCFOCFCFCF-、
-CHOCHCHFCFOCF(CF)CFOCF-、
-CHOCHCHFCFOCF(CF)CFOCFCF-、
-CHOCHCHFCFOCF(CF)CFOCFCFCF-、
-CHOCFCHFOCFCFCF-C(O)NH-CH-、
-CH-、
-(CH-、
-(CH-、
-(CH-、
-(CH-、
-(CH-、
-CF-、
-(CF-、
-CF-CH-、
-CF-(CH-、
-CF-(CH-、
-CF-(CH-、
-CF-(CH-、
-CF-(CH-、
-CONH-、
-CONH-CH-、
-CONH-(CH-、
-CONH-(CH-、
-CONH-(CH-、
-CFCONH-、
-CFCONHCH-、
-CFCONH(CH-、
-CFCONH(CH-、
-CFCONH(CH-、
-CON(CH)-(CH-、
-CON(Ph)-(CH-(式中、Phはフェニルを意味する)、
-CON(CH)-(CH-、
-CON(Ph)-(CH-(式中、Phはフェニルを意味する)、
-CF-CON(CH)-(CH-、
-CF-CON(Ph)-(CH-(式中、Phはフェニルを意味する)、
-CF-CON(CH)-(CH-、
-CF-CON(Ph)-(CH-(式中、Phはフェニルを意味する)、
-CONH-(CHNH(CH-、
-CONH-(CHNH(CH-、
-CHO-CONH-(CH-、
-CHO-CONH-(CH-、
-OCH-、
-O(CH-、
-OCFHCF-、
であることが好ましい。
【0268】
上記列挙の中で、さらに好ましいRk1としては、
-CHOCH-、
-CHO(CH-、
-CHO(CH-、
-CHO(CH-、
-CF-CH-O-CH-、
-CF-CH-O-(CH-、
-CF-CH-O-(CH-、
-CF-CH-O-(CH-、
-CHOCFCHFOCF-、
-CHOCFCHFOCFCF-、
-CHOCFCHFOCFCFCF-、
-CHOCHCFCFOCF-、
-CHOCHCFCFOCFCF-、
-CHOCHCFCFOCFCFCF-、
-CHOCHCFCFOCF(CF)CFOCF-、
-CHOCHCFCFOCF(CF)CFOCFCF-、
-CHOCHCFCFOCF(CF)CFOCFCFCF-、
-CHOCHCHFCFOCF-、
-CHOCHCHFCFOCFCF-、
-CHOCHCHFCFOCFCFCF-、
-CHOCHCHFCFOCF(CF)CFOCF-、
-CHOCHCHFCFOCF(CF)CFOCFCF-、
-CHOCHCHFCFOCF(CF)CFOCFCFCF-、
-CHOCFCHFOCFCFCF-C(O)NH-CH-、
-CONH-、
-CONH-CH-、
-CONH-(CH-、
-CONH-(CH-、
-CONH-(CH-、
-CFCONH-、
-CFCONHCH-、
-CFCONH(CH-、
-CFCONH(CH-、
-CFCONH(CH-、
-CON(CH)-(CH-、
-CON(Ph)-(CH-(式中、Phはフェニルを意味する)、
-CON(CH)-(CH-、
-CON(Ph)-(CH-(式中、Phはフェニルを意味する)、
-CF-CON(CH)-(CH-、
-CF-CON(Ph)-(CH-(式中、Phはフェニルを意味する)、
-CF-CON(CH)-(CH-、
-CF-CON(Ph)-(CH-(式中、Phはフェニルを意味する)、
-CONH-(CHNH(CH-、
-CONH-(CHNH(CH-、
であることが好ましい。
【0269】
一の態様において、Rk1は、Xe’を表す。Xe’は、単結合、炭素原子数1~6のアルキレン基、-R51-C-R52-、-R51-CONR-R52-、-R51-CONR-C-R52-、-R51-CO-R52-、-R51-CO-C-R52-、-R51-SONR-R52-、-R51-SONR-C-R52-、-R51-SO-R52-、または-R51-SO-C-R52-である。R51およびR52は、それぞれ独立して、単結合または炭素原子数1~6のアルキレン基を表し、好ましくは単結合または炭素原子数1~3のアルキレン基である。Rは上記と同意義である。上記アルキレン基は、置換または非置換であり、好ましくは非置換である。上記アルキレン基の置換基としては、例えばハロゲン原子、好ましくはフッ素原子を挙げることができる。上記アルキレン基は、直鎖状または分枝鎖状であり、直鎖状であることが好ましい。
【0270】
好ましい態様において、Xe’は、
単結合、
-X-、
炭素原子数1~6、好ましくは炭素原子数1~3のアルキレン基
-X-C1-6アルキレン基、好ましくは-X-C1-3アルキレン基、より好ましくは
-X-C1-2アルキレン基、
-C-R52’-、
-CONR4’-R52’-、
-CONR4’-C-R52’-、
-X-CONR4’-R52’-、
-X-CONR4’-C-R52’-、
-CO-R52’-、
-CO-C-R52’-、
-SONR4’-R52’-、
-SONR4’-C-R52’-、
-SO-R52’-、
-SO-C-R52’-、
-R51’-C-、
-R51’-CONR4’-、
-R51’-CONR4’-C-、
-R51’-CO-、
-R51’-CO-C-、
-R51’-SONR4’-、
-R51’-SONR4’-C-、
-R51’-SO-、
-R51’-SO-C-、
-C
-CONR4’-、
-CONR4’-C-、
-X-CONR4’-、
-X-CONR4’-C-、
-CO-、
-CO-C-、
-SONR4’-、
-SONR4’-C-、
-SO-、または
-SO-C
(式中、R51’およびR52’は、それぞれ独立して、炭素原子数1~6、好ましくは炭素原子数1~3の直鎖のアルキレン基である。上記したように、上記アルキレン基は、置換または非置換であり、上記アルキレン基の置換基としては、例えばハロゲン原子、好ましくはフッ素原子を挙げることができる。
4’は、水素原子またはメチル基である。)
であり得る。
【0271】
上記の中で、Xe’は、好ましくは、
-X-、
炭素原子数1~6、好ましくは炭素原子数1~3のアルキレン基、
-X-C1-6アルキレン基、好ましくは-X-C1-3アルキレン基、より好ましくは
-X-C1-2アルキレン基、
-CONR4’-R52’-、
-CONR4’-C-R52’-、
-X-CONR4’-R52’-、
-X-CONR4’-C-R52’-、
-R51’-CONR4’-、
-R51’-CONR4’-C-、
-CONR4’-、
-CONR4’-C-、
-X-CONR4’-、
-X-CONR4’-C-、
-R51’-CONR4’-、または
-R51’-CONR4’-C-、
であり得る。式中、X、R4’、R51’およびR52’は、それぞれ上記と同意義である。
【0272】
上記の中で、Xe’は、より好ましくは、
-CONR4’-R52’-、
-CONR4’-C-R52’-、
-X-CONR4’-R52’-、
-X-CONR4’-C-R52’-、
-R51’-CONR4’-、
-R51’-CONR4’-C-、
-CONR4’-、
-CONR4’-C-、
-X-CONR4’-、または
-X-CONR4’-C-、
であり得る。
【0273】
本態様において、Xe’の具体例としては、例えば、
単結合、
炭素原子数1~6のパーフルオロアルキレン基(例えば、-CF-、-(CF-等)、
炭素原子数1~6のアルキレン基、
-CF-C1-6アルキレン基、
-CONH-、
-CONH-CH-、
-CONH-(CH-、
-CONH-(CH-、
-CF-CONH-、
-CFCONHCH-、
-CFCONH(CH-、
-CFCONH(CH-、
-CON(CH)-、
-CON(CH)-CH-、
-CON(CH)-(CH
-CON(CH)-(CH-、
-CF-CON(CH)-、
-CF-CON(CH)CH-、
-CF-CON(CH)-(CH-、
-CF-CON(CH)-(CH-、
-CH-CONH-、
-CH-CONH-CH-、
-CH-CONH-(CH-、
-CH-CONH-(CH-、
-CF-CH-CONH-、
-CF-CH-CONH-CH-、
-CF-CH-CONH-(CH-、
-CF-CH-CONH-(CH-、
-CONH-C-、
-CON(CH)-C-、
-CH-CON(CH)-CH-、
-CH-CON(CH)-(CH-、
-CH-CON(CH)-(CH-、
-CON(CH)-C-、
-CF-CONH-C-、
-CF-CON(CH)-C-、
-CF-CH-CON(CH)-CH-、
-CF-CH-CON(CH)-(CH-、
-CF-CH-CON(CH)-(CH-、
-CF-CON(CH)-C-、
-CO-、
-CO-C-、
-C-、
-SONH-、
-SONH-CH-、
-SONH-(CH-、
-SONH-(CH-、
-SONH-C-、
-SON(CH)-、
-SON(CH)-CH-、
-SON(CH)-(CH-、
-SON(CH)-(CH-、
-SON(CH)-C-、
-SO-、
-SO-CH-、
-SO-(CH-、
-SO-(CH-、または
-SO-C
などが挙げられる。
【0274】
上記列挙の中で、好ましいXe’としては、
炭素原子数1~6のパーフルオロアルキレン基(例えば、-CF-、-(CF-等)、
炭素原子数1~6のアルキレン基、
-CF-C1-6アルキレン基、
-CONH-、
-CONH-CH-、
-CONH-(CH-、
-CONH-(CH-、
-CFCONH-、
-CFCONHCH-、
-CFCONH(CH-、
-CFCONH(CH-、
-CON(CH)-、
-CON(CH)-CH-、
-CON(CH)-(CH-、
-CON(CH)-(CH-、
-CF-CON(CH)-、
-CF-CON(CH)CH-、
-CF-CON(CH)-(CH-、
-CF-CON(CH)-(CH-、
-CH-CONH-、
-CH-CONH-CH-、
-CH-CONH-(CH-、
-CH-CONH-(CH-、
-CF-CH-CONH-、
-CF-CH-CONH-CH-、
-CF-CH-CONH-(CH-、
-CF-CH-CONH-(CH-、
-CONH-C-、
-CON(CH)-C-、
-CH-CON(CH)-CH-、
-CH-CON(CH)-(CH-、
-CH-CON(CH)-(CH-、
-CON(CH)-C
-CF-CONH-C-、
-CF-CON(CH)-C-、
-CF-CH-CON(CH)-CH-、
-CF-CH-CON(CH)-(CH-、
-CF-CH-CON(CH)-(CH-、
-CF-CON(CH)-C-、
などが挙げられる。
【0275】
上記列挙の中で、より好ましいXe’としては、
-CONH-、
-CONH-CH-、
-CONH-(CH-、
-CONH-(CH-、
-CFCONH-、
-CFCONHCH-、
-CFCONH(CH-、
-CFCONH(CH-、
-CON(CH)-、
-CON(CH)-CH-、
-CON(CH)-(CH-、
-CON(CH)-(CH-、
-CF-CON(CH)-、
-CF-CON(CH)CH-、
-CF-CON(CH)-(CH-、
-CF-CON(CH)-(CH-、
-CH-CONH-、
-CH-CONH-CH-、
-CH-CONH-(CH-、
-CH-CONH-(CH-、
-CF-CH-CONH-、
-CF-CH-CONH-CH-、
-CF-CH-CONH-(CH-、
-CF-CH-CONH-(CH-、
-CONH-C-、
-CON(CH)-C-、
-CH-CON(CH)-CH-、
-CH-CON(CH)-(CH-、
-CH-CON(CH)-(CH-、
-CON(CH)-C
-CF-CONH-C-、
-CF-CON(CH)-C-、
-CF-CH-CON(CH)-CH-、
-CF-CH-CON(CH)-(CH-、
-CF-CH-CON(CH)-(CH-、または
-CF-CON(CH)-C-、
などが挙げられる。
【0276】
一の態様において、Xe’は、単結合である。本態様において、PFPEと基材との結合能を有する基とが直接結合している。
【0277】
さらに別の態様において、Rk1は、式:-(R16-(CFR17-(CH-で表される基である。式中、x、yおよびzは、それぞれ独立して、0~10の整数であり、x、yおよびzの和は1以上であり、括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。
【0278】
上記式中、R16は、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子、フェニレン、カルバゾリレン、-NR18-(式中、R18は、水素原子または有機基を表す)または2価の有機基である。好ましくは、R16は、酸素原子または2価の極性基である。
【0279】
上記「2価の極性基」としては、特に限定されないが、-C(O)-、-C(=NR19)-、および-C(O)NR19-(これらの式中、R19は、水素原子または低級アルキル基を表す)が挙げられる。当該「低級アルキル基」は、例えば、炭素原子数1~6のアルキル基、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基であり、これらは、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい。
【0280】
上記式中、R17は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子または低級フルオロアルキル基であり、好ましくはフッ素原子である。当該「低級フルオロアルキル基」は、例えば、炭素原子数1~6、好ましくは炭素原子数1~3のフルオロアルキル基、好ましくは炭素原子数1~3のパーフルオロアルキル基、より好ましくはトリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、さらに好ましくはトリフルオロメチル基である。
【0281】
この態様において、Rk1は、好ましくは、式:-(O)-(CF-(CH-(式中、x、yおよびzは、上記と同意義であり、括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である)で表される基である。
【0282】
上記式:-(O)-(CF-(CH-で表される基としては、例えば、-(O)x’-(CHz”-O-[(CHz’’’-O-]z””、および-(O)x’-(CFy”-(CHz”-O-[(CHz’’’-O-]z””(式中、x’は0または1であり、y”、z”およびz’’’は、それぞれ独立して、1~10の整数であり、z””は、0または1である)で表される基が挙げられる。なお、これらの基は左端がPFPE側に結合する。
【0283】
別の好ましい態様において、Rk1は、-O-CFR20-(CFe’”-である。
【0284】
上記R20は、それぞれ独立して、フッ素原子または低級フルオロアルキル基を表す。ここで低級フルオロアルキル基は、例えば炭素原子数1~3のフルオロアルキル基、好ましくは炭素原子数1~3のパーフルオロアルキル基、より好ましくはトリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、更に好ましくはトリフルオロメチル基である。
【0285】
上記e’”は、それぞれ独立して、0または1である。
【0286】
一の具体例において、R20はフッ素原子であり、e’”は1である。
【0287】
さらに別の態様において、Rk1基の例として、下記の基が挙げられる:
【化29】
[式中、
41は、それぞれ独立して、水素原子、フェニル基、炭素原子数1~6のアルキル基、またはC1-6アルコキシ基、好ましくはメチル基であり;
各Rk1基において、Tのうち任意のいくつかは、分子主鎖のPFPEに結合する以下の基:
-CHO(CH-、
-CHO(CH-、
-CFO(CH-、
-CH-、
-(CH-、
-(CH-、
-(CH4-、
-CONH-(CH-、
-CON(CH)-(CH-、
-CON(Ph)-(CH-(式中、Phはフェニルを意味する)、または
【化30】
[式中、R42は、それぞれ独立して、水素原子、C1-6のアルキル基またはC1-6のアルコキシ基、好ましくはメチル基またはメトキシ基、より好ましくはメチル基を表す。]
であり、別のTの1が、分子主鎖のPFPEと反対の基に結合する-(CHn”-(n”は2~6の整数)であり、存在する場合、残りのTは、それぞれ独立して、メチル基、フェニル基、C1-6アルコキシ基またはラジカル捕捉基もしくは紫外線吸収基であり得る。
【0288】
ラジカル捕捉基は、光照射で生じるラジカルを捕捉できるものであれば特に限定されないが、例えばベンゾフェノン類、ベンゾトリアゾール類、安息香酸エステル類、サリチル酸フェニル類、クロトン酸類、マロン酸エステル類、オルガノアクリレート類、ヒンダードアミン類、ヒンダードフェノール類、またはトリアジン類の残基が挙げられる。
【0289】
紫外線吸収基は、紫外線を吸収できるものであれば特に限定されないが、例えばベンゾトリアゾール類、ヒドロキシベンゾフェノン類、置換および未置換安息香酸もしくはサリチル酸化合物のエステル類、アクリレートまたはアルコキシシンナメート類、オキサミド類、オキサニリド類、ベンゾキサジノン類、ベンゾキサゾール類の残基が挙げられる。
【0290】
好ましい態様において、好ましいラジカル捕捉基または紫外線吸収基としては、
【化31】

が挙げられる。
【0291】
一の態様において、上記Rk1としては、例えば、-Rk2-CH-、-Rk2-OCH-、-Rk2-CHOCH-、または、-Rk2-CO-NR-Yj2-で表される基を挙げることができる。上記2価の有機基は、上記式の左側(即ち、Rk2側)において、PFPEと結合する。
【0292】
上記態様において、上記Rk2は、単結合、または、炭素原子数1~15の2価の炭化水素基であり、エーテル結合を含んでいてもよい。Rk2における上記炭化水素基としては、例えば、アルキレン基またはエーテル酸素を含んでいてもよいアルキレン基を挙げることができる。なお、アルキレン基は、上記のように置換または非置換であってよい。
【0293】
一の態様において、上記Rk2は、単結合であることが好ましい。別の態様において、上記Rk2は、2価の炭化水素基であり、好ましくは水素原子の少なくとも一部がフッ素原子により置換されたアルキレン基であり、例えば、-CFH-、-CF-、-(CF-、-(CF-等を挙げることができ、具体的には、-CF-である。
【0294】
上記態様において、上記Yj2は、-CH-または、以下の式で表されるo,mまたはp-ジメチルシリルフェニレン基である。以下の式において、フェニレン基がN原子に、Si原子が式(I)における-CH=CH基にそれぞれ結合する。
【化32】
【0295】
上記態様において、上記Rは、水素原子、または、置換もしくは非置換の1価の炭化水素基である。該置換もしくは非置換の1価の炭化水素基は、炭素原子数1~12の1価の炭化水素基であることが好ましく、炭素原子数1~10の1価の炭化水素基であることがより好ましい。このような置換もしくは非置換の1価の炭化水素基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基等のアラルキル基、またはこれらの基の水素原子の一部もしくは全部をフッ素原子等のハロゲン原子で置換した1価の炭化水素基などを挙げられる。上記Rは、好ましくは、水素原子、メチル基またはフェニル基である。
【0296】
上記態様において、具体的なPFPE含有不飽和化合物は、例えば以下のような構造を挙げることができる。以下の構造中、PFPEおよびRk2は、上記と同意義である。
【化33】
【0297】
一の態様において、PFPE含有化合物は、PFPE含有シラン化合物である。
【0298】
一の態様において、PFPE含有化合物は、PFPE含有不飽和化合物である。
【0299】
本発明で用いられる硬化性組成物は、さらに架橋剤を含んでいてもよい。
【0300】
上記架橋剤は、PFPE含有化合物(例えば、PFPE含有シラン化合物、具体的には、PFPE含有シラン化合物のSi原子に結合した水酸基または加水分解可能な基を有するシラン部分、PFPE含有不飽和化合物の炭素-炭素二重結合部分)と架橋反応(縮合反応)または付加反応を行い得る部分を有する化合物であれば特に限定されない。PFPE含有化合物と架橋剤とを含むことにより、本発明の硬化性組成物から得られる硬化物の物性(例えば、引張強度、弾性率)は良好になり得る。
【0301】
上記架橋剤は、Si原子と結合した-O-Rg3を少なくとも2有する有機ケイ素化合物、および、1分子中に、ケイ素原子に結合した水素原子(Si-H)を2以上有する有機ケイ素化合物からなる群より選ばれる少なくとも1であることが好ましい。Rg3については、後述する。
【0302】
一の態様において、上記架橋剤は、Si原子と結合した-O-Rg3を少なくとも2有する有機ケイ素化合物(以下、架橋剤(1)ともいう)である。式中、Rg3は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基である。1価の有機基は、炭素原子を含有する基を意味する。かかる1価の有機基としては、特に限定されないが、炭化水素基からさらに1個の水素原子を脱離させた基が挙げられる。炭化水素基は上記と同意義である。
【0303】
上記架橋剤は、PFPE含有シラン化合物(a)(具体的には、PFPE含有シラン化合物(a))とは異なる構造を有する。
【0304】
上記架橋剤(1)としては、
・Rg3が水素原子である有機化合物、即ち、1分子中にシラノール基を少なくとも2有する有機ケイ素化合物、
・後述する式(E3)~(E5)で表される有機ケイ素化合物
等を挙げることができる。
【0305】
1分子中にシラノール基を少なくとも2有する有機ケイ素化合物:
上記有機ケイ素化合物において、上記シラノール基は、分子主鎖の両末端に存在することが好ましい。ここで、分子主鎖とは、該有機ケイ素化合物の分子中で相対的に最も長い結合鎖を表す。
【0306】
上記分子主鎖の両末端にシラノール基を有する化合物としては、例えば、以下の式(E1)または(E2)で表される化合物を挙げることができる。
【0307】
【化34】
【0308】
上記式(E1)または(E2)中、Rg1は、各出現においてそれぞれ独立して、置換または非置換の炭素原子数1~8の1価炭化水素基である。Rg1としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基;およびこれらの基の水素原子の一部または全部をハロゲン原子で置換した基(例えば、クロロメチル基、ブロモエチル基、クロロプロピル基、トリフルオロプロピル基、ノナフルオロヘキシル基)が挙げられる。
【0309】
上記式(E1)または(E2)中、Rg2は、各出現においてそれぞれ独立して、置換または非置換の炭素原子数1~20であり、好ましくは、炭素原子数2~10の2価炭化水素基である。Rg2としては、具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、メチルエチレン基、ブチレン基、ヘキサメチレン基等のアルキレン基;シクロヘキシレン基等のシクロアルキレン基、フェニレン基、トリレン基、キシリレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基等のアリーレン基;これらの基の水素原子の一部または全部をハロゲン原子等で置換した基;およびこれらの置換または非置換のアルキレン基、アリーレン基の組合せが例示される。この中で、Rg2としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキサメチレン基、シクロヘキシレン基およびフェニレン基が好ましく、特にエチレン基、プロピレン基、ブチレン基およびフェニレン基が好ましい。分子内にシラノール基を有する化合物としては、Rg1 3SiO1/2、Rg1 2SiO、Rg1SiO3/2、およびSiO2単位の1種または2種以上の組合せとシラノール基との結合で構成される樹脂状化合物が挙げられる。上記樹脂状化合物中の構成単位同士は、直接結合していてもよいし、2価以上の炭化水素基を介して結合していてもよい。
【0310】
上記式(E1)または(E2)中、ε1は、各出現においてそれぞれ独立して、1以上の整数である。ε1は、好ましくは、2以上、より好ましくは、5以上であり、好ましくは、50以下、より好ましくは、20以下である。
【0311】
上記1分子中にシラノール基を少なくとも2有する有機ケイ素化合物(具体的には、式(E1)または(E2)で表される化合物)は、分子構造中にPFPE構造を有しないことが好ましい。
【0312】
式(E3)、(E4)、または(E5)で表される有機ケイ素化合物:
【0313】
【化35】
【0314】
上記式(E3)および(E4)中、Rg3は、上記と同意義である。上記Rg3は、上記式(A)、(B)、(C)、または(D)で表されるPFPE含有シラン化合物のSi原子に結合した水酸基または加水分解可能な基を有する部分と反応し得る部分である。
【0315】
上記Rg3は、1価の有機基であることが好ましい。
【0316】
上記Rg3-は、より好ましくは、各出現においてそれぞれ独立して、CH-、C-、C-、CFCH-、CHCO-、CH=C(CH)-、CHCHC(CH)=N-、(CHN-、(CN-、CH=C(OC)-、(CHC=C(OC17)-、または
である。
【0317】
上記式(E3)および(E4)中、Rg4は、各出現においてそれぞれ独立して、1価の有機基である。Rg4は、置換または非置換の1価の炭化水素基であることが好ましく、炭素原子数1~12の置換または非置換の1価の炭化水素基であることがより好ましい。Rg4は、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基等のアルケニル基;および、これらの基の水素原子の一部または全部をフッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子等で置換した基(例えば、クロロメチル基、ブロモエチル基、クロロプロピル基、トリフルオロプロピル基、3,3,4,4,5,5,6,6,6-ノナフルオロヘキシル基等を挙げることができる。
【0318】
一の態様において、Rg4は、下記一般式で表される基であり得る。
Rf-Rg5
上記式中、Rfは1価のフッ素化ポリエーテル基である。上記Rfとしては、上記PFPEのCF末端にCFO-、CFCFO-、CFCFCFO-、(CFCFO-、またはCFCFCFCFO-等が結合された構造のものが例示される。
【0319】
上記Rg5は、2価の有機基である。2価の有機基は上記と同意義である。
【0320】
上記Rg5は、例えば、酸素原子、窒素原子、ケイ素原子およびイオウ原子の1種または2種以上を含有していてもよく、アミド結合またはスルホンアミド結合を含有してもよい、置換または非置換の2価の炭化水素基であり得る。該2価の炭化水素基は、炭素原子数2~20であることが好ましい。ここで、酸素原子、窒素原子、ケイ素原子またはイオウ原子を介在せず、かつアミド結合またはスルホンアミド結合を含有しない、置換または非置換の2価の炭化水素基の具体例としては、エチレン基、プロピレン基、メチルエチレン基、ブチレン基、ヘキサメチレン基等のアルキレン基;シクロヘキシレン基等のシクロアルキレン基;フェニレン基、トリレン基、キシリレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基等のアリーレン基;これらアルキレン基とアリーレン基との組み合わせ;および、これらアルキレン基およびアリーレン基の水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
【0321】
上記2価の炭化水素基において、酸素原子は-O-として、窒素原子は-NRg51-(Rg51は水素原子または炭素原子数1~10のアルキル基またはアリール基)または-N=として、ケイ素原子は-SiRg52g53-(Rg52、Rg53は、各出現においてそれぞれ独立して、炭素原子数1~10のアルキル基またはアリール基)として、イオウ原子は-S-として含まれ得る。また、上記2価の炭化水素基において、アミド結合は-C(=O)NRg51-(Rg51は上記と同じ)として、またスルホンアミド結合は-SONRg51-(Rg51は上記と同じ)として含まれ得る。このような2価の炭化水素基の具体例としては、下記のものが挙げられる。なお、下記式でMeはメチル基、Phはフェニル基を表し、また下記の各式において、左側(各式のJ)にRf基が結合する。
【0322】
【化36】
[式中、Jは結合部位を示す。]
【0323】
上記式(E3)および(E4)中、ε2は、各出現においてそれぞれ独立して、2または3であり、ε3は、各出現においてそれぞれ独立して、2または3である。
【0324】
上記式(E5)中、Rg3、Rg4は上記と同意義である。上記式(E5)中、Rg6-は、各出現においてそれぞれ独立して、Rg8-Rg7-を表す。
【0325】
上記Rg7は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、酸素原子または2価の有機基を表す。2価の有機基は上記のとおりである。
【0326】
上記Rg7は、好ましくは、炭素原子数1~10のアルキレン基、または、炭素原子数1~10であり主鎖中に窒素原子または酸素原子を含む基である。
【0327】
上記Rg7は、より好ましくは、
炭素原子数1~3のアルキレン基、
CHCH-NH-CHCHCH、または
CH-O-CHCHCHである。
【0328】
上記Rg8は、反応性官能基である。上記Rg8は、好ましくは、各出現においてそれぞれ独立して、アミノ基、エポキシ基、メタクリル基、ビニル基、またはメルカプト基であり、より好ましくは、アミノ基である。
【0329】
上記式(E5)中、ε4は2以上の整数、好ましくは2または3、より好ましくは3である。上記式(E5)中、ε5は0以上の整数、好ましくは0または1である。上記式(E5)中、ε6は、1または2、好ましくは1である。但し、ε4、ε5およびε6の和は4である。
【0330】
上記式(E5)中、好ましくは、ε4は、2または3、ε5は、0または1、かつε6は、1または2であり、より好ましくは、ε4は、3、ε5は、0かつ、ε6は、1である。
【0331】
好ましくは、上記架橋剤(1)は、式(E3)、または式(E5)で表される化合物であり、より好ましくは式(E3)で表される化合物である。
【0332】
一の態様において、架橋剤は、分子鎖中にPFPEで表される基を有しない。
【0333】
一の態様において、架橋剤の分子量は、1,000以下であり、好ましくは600以下、より好ましくは250以下である。架橋剤の分子量の下限値は、50以上であってもよく、100以上であってもよい。
【0334】
好ましい態様において、上記架橋剤(1)は、テトラエトキシシラン、テトラトリメトシキシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、トリデカフルオロ-n-オクチルトリエトキシシラン、およびトリデカフルオロ-n-オクチルトリメトキシシランからなる群より選ばれる少なくとも1である。
【0335】
上記架橋剤(1)は、PFPE含有シラン化合物とともに用いることが好ましい。この場合、架橋剤(1)のSi原子と結合した-O-Rg3と、PFPE含有シラン化合物のSi原子に結合した水酸基または加水分解可能な基とが架橋反応(縮合反応)し得る。
【0336】
上記架橋剤(1)は、本態様の硬化性組成物中、PFPE含有シラン化合物100質量部に対して、例えば、0.1質量部以上含み得、具体的には0.3質量部以上含み得、30質量部以下含み得、具体的には10質量部以下含み得る。上記架橋剤(1)は、本態様の硬化性組成物中、PFPE含有シラン化合物100質量部に対して、例えば、0.1~30質量部含むことができ、具体的には、0.3~10質量部含むことができ、より具体的には、0.3~5.0質量部含むことができる。
【0337】
上記架橋剤(1)は、本態様の硬化性組成物中、PFPE含有シラン化合物のSi原子に結合した水酸基または加水分解可能な基1モルに対して、例えば、-O-Rg3を1モル以上含むことができ、具体的には、2モル以上含むことができる。上記架橋剤は、PFPE含有シラン化合物のSi原子に結合した水酸基または加水分解可能な基1モルに対して、-O-Rg3を、例えば30モル以下含むことができ、具体的には、20モル以下含むことができ、より具体的には10モル以下含むことができる。Rg3は上記と同意義である。上記架橋剤(1)は、PFPE含有シラン化合物のSi原子に結合した水酸基または加水分解可能な基1モルに対して、例えば、-O-Rg3を、例えば1~30モルの範囲含むことができ、具体的には、2~20モルの範囲含むことができる。
【0338】
上記架橋剤(1)は、本態様の硬化性組成物100質量部に対して、例えば0.1~30質量部の範囲含むことができ、具体的には、0.3~10質量部の範囲含むことができる。
【0339】
一の態様において、架橋剤は、1分子中に、ケイ素原子に結合した水素原子(Si-H)を2以上有する有機ケイ素化合物である(以下、架橋剤(2)ともいう)。
【0340】
本態様において、上記Si-Hは、上記架橋剤の分子鎖末端に存在することが好ましい。
【0341】
本態様において、上記架橋剤(2)は、分子構造中に、1以上の1価のパーフルオロアルキル基、1価のパーフルオロオキシアルキル基、2価のパーフルオロアルキレン基または2価のパーフルオロオキシアルキレン基等のフッ素含有基を有することが好ましい。このような構造を持つことにより、本態様の硬化性組成物に含まれる上記架橋剤およびPFPE含有化合物の相溶性、分散性が良好になり得、また本態様の硬化性組成物の硬化物の均一性が良好になり得る。
【0342】
上記1価のパーフルオロアルキル基の炭素原子数は、1~20であることが好ましく、2~10であることがより好ましい。パーフルオロアルキル基は、直鎖状であっても、分枝鎖状であってもよいが、好ましくは直鎖状である。
【0343】
上記1価のパーフルオロオキシアルキル基は、Rf”-PFPE-で表される基であることが好ましい。上記PFPEは、式:
-(OC12a”-(OC10b”-(OCc”-(OCd”-(OCe”-(OCFf”
で表される。PFPEは、直鎖状であっても、分枝鎖状であってもよいが、好ましくは直鎖状である。
上記式中、a”、b”、c”およびd”は、それぞれ独立して0以上30以下の整数であり、e”およびf”は、それぞれ独立して1以上200以の整数である。好ましくは、a”、b”、c”、d”、e”およびf”は、それぞれ独立して、0以上30以下の整数である。好ましくは、a”、b”、c”、d”、e”およびf”の和は5以上であり、より好ましくは10以上、例えば10以上100以下である。添字a”、b”、c”、d”、e”またはf”を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。上記f”に対するe”の比は、1.0未満である。
【0344】
上記a”、b”、c”、d”、e”およびf”は、それぞれ、PFPEのa、b、c、d、eおよびfと同意義であり得る。また、PFPEに含まれる繰り返し単位の具体的な構造は、PFPEの繰り返し単位として例示したものを挙げることができる。
【0345】
好ましくは、PFPEは、-(OCc”-(OCd”-(OCe”-(OCFf”-(式中、c”およびd”は、それぞれ独立して0以上30以下の整数であり、e”およびf”は、それぞれ独立して1以上200以下、好ましくは5以上200以下、より好ましくは10以上200以下の整数であり、添字c”、d”、e”またはf”を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である)である。好ましくは、PFPEは、-(OCFCFCFCFc”-(OCFCFCFd”-(OCFCFe”-(OCFf”-である。一の態様において、PFPEは、-(OCe”-(OCFf”-(式中、e”およびf”は、それぞれ独立して1以上200以下、好ましくは5以上200以下、より好ましくは10以上200以下の整数であり、添字e”またはf”を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である)であってもよい。
【0346】
上記式中、Rf”は、各出現において独立して、塩素原子、フッ素原子、または1個またはそれ以上のフッ素原子または塩素原子により置換されていてもよい炭素原子数1~16のアルキル基を表す。
【0347】
上記1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素原子数1~16のアルキル基における「炭素原子数1~16のアルキル基」は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、好ましくは、直鎖または分枝鎖の炭素原子数1~6、特に炭素原子数1~3のアルキル基であり、より好ましくは直鎖の炭素原子数1~3のアルキル基である。
【0348】
上記Rf”は、好ましくは、フッ素原子、または1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されている炭素原子数1~16のアルキル基であり、より好ましくはCFH-C1-15フルオロアルキレン基またはC1-16パーフルオロアルキル基であり、さらに好ましくはC1-16パーフルオロアルキル基である。
【0349】
該炭素原子数1~16のパーフルオロアルキル基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、好ましくは、直鎖または分枝鎖の炭素原子数1~6、特に炭素原子数1~3のパーフルオロアルキル基であり、より好ましくは直鎖の炭素原子数1~3のパーフルオロアルキル基、具体的には-CF、-CFCF、または-CFCFCFである。
【0350】
好ましくは、上記1価のパーフルオロオキシアルキル基は、Rf”-(OCe”-(OCFf”-(式中、e”およびf”は、それぞれ独立して1以上200以下、好ましくは5以上200以下、より好ましくは10以上200以下の整数であり、添字e”またはf”を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である)である。
【0351】
上記1価のパーフルオロオキシアルキル基において、f”に対するe”の比は、好ましくは、0.10以上、より好ましくは0.20以上、さらに好ましくは0.40以上であり、好ましくは、1.00未満、より好ましくは、0.85以下、さらに好ましくは、0.80以下である。
【0352】
上記1価のパーフルオロオキシアルキル基において、f”に対するe”の比は、好ましくは、0.1以上1.0未満、より好ましくは0.20以上0.90以下、さらに好ましくは0.40以上0.85以下、特に好ましくは0.40以上0.80以下である。
【0353】
上記2価のパーフルオロアルキレン基の炭素原子数は、1~20であることが好ましく、2~10であることがより好ましい。パーフルオロアルキレン基は、直鎖状であってもよく、分枝鎖状であってもよいが、好ましくは直鎖状である。
【0354】
上記2価のパーフルオロオキシアルキレン基は、-PFPE-で表されることが好ましく、-(OCc”-(OCd”-(OCe”-(OCFf”-で表される基であることがより好ましい。c”、d”、e”、およびf”については、上記と同意義である。パーフルオロオキシアルキル基は、直鎖状であっても、分枝鎖状であってもよいが、好ましくは直鎖状である。PFPEは上記と同意義である。
【0355】
上記フッ素含有基は、1価のパーフルオロアルキル基、または2価のパーフルオロアルキレン基であることが好ましい。
【0356】
上記フッ素含有基とケイ素原子とは、2価の有機基により連結され得る。2価の有機基は上記と同意義である。
【0357】
上記2価の有機基は、アルキレン基、アリーレン基およびそれらの組み合わせ、あるいはこれらの基にエーテル結合酸素原子、アミド結合、カルボニル結合等を介在させたものであってもよい。このような2価の有機基としては、例えば、
-CHCH-、
-CHCHCH-、
-CHCHCHOCH-、
-CHCHCH-NH-CO-、
-CHCHCH-N(Ph)-CO-(但し、Phはフェニル基である。)、
-CHCHCH-N(CH)-CO-、
-CHCHCH-O-CO-
等の炭素原子数2~12の基が挙げられる。上記2価の有機基は、左側においてSi原子に、右側においてフッ素含有基にそれぞれ結合する。
【0358】
本態様において、上記架橋剤(2)の、ケイ素原子に結合した1価の置換基であって、上記フッ素含有基以外の基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、デシル基等のアルキル基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基等のアラルキル基およびこれらの基の水素原子の少なくとも一部が塩素原子、シアノ基等で置換された、例えば、クロロメチル基、クロロプロピル基、シアノエチル基等の炭素原子数1~20の置換または非置換の炭化水素基を挙げられる。
【0359】
好ましくは、有機ケイ素化合物(B)は、ケイ素原子に結合した置換基として、アルコキシ基およびエポキシ基を有しない。
【0360】
本態様において、上記架橋剤(2)は、環状、鎖状、三次元網状およびそれらの組み合わせのいずれでもよい。
【0361】
本態様において、上記架橋剤(2)に含まれるケイ素原子数は、特に制限されるものではないが、通常2~60、好ましくは3~30程度であり得る。
【0362】
本態様において、上記架橋剤(2)としては、例えば下記の化合物を挙げることができる。これらの化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
【0363】
下記式中:
PFPEは、各出現においてそれぞれ独立して、上記と同意義であり(なお、以下の式において、PFPEで表される基は、末端の酸素原子において、Rfで表される基に結合する。);
Rf”は、各出現においてそれぞれ独立して、上記と同意義であり;
k3は、各出現においてそれぞれ独立して、炭素原子数1~10のアルキル基、またはORk7で表されるアルコキシ基であり、好ましくは、メチル基またはORk7で表されるアルコキシ基であり、より好ましくはメチル基であり;
k4は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1~10のアルキル基、またはORk7で表されるアルコキシ基であり、好ましくは、水素原子、またはORk7で表されるアルコキシ基であり、より好ましくは水素原子であり;
k5は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1~10のアルキル基、またはORk7で表されるアルコキシ基であり、好ましくは、水素原子、またはORk7で表されるアルコキシ基であり、より好ましくは水素原子であり;
k6は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、1以上の水素原子がフッ素原子に置換されたアルキレン基であり、好ましくは、水素原子であり;
k7は、各出現においてそれぞれ独立して、炭素原子数1~10のアルキル基であり、好ましくは、炭素原子数1~6のアルキレン基であり;
上記1以上の水素原子がフッ素原子に置換されたアルキレン基に含まれる炭素原子数は、1~8であることが好ましく、1~6であることがより好ましく;
k8は、-(O-(CHα5α6-で表され(ここで、酸素原子が-(CRk6 α1で表される基に結合する);
α1は、各出現においてそれぞれ独立して、1~10の整数、好ましくは2または3であり;
α2は、各出現においてそれぞれ独立して、1~50の整数、好ましくは10であり;
α3は、各出現においてそれぞれ独立して、1~50の整数、好ましくは3~5の整数であり;
α4は、各出現においてそれぞれ独立して、1~50の整数、好ましくは3~5の整数であり;
α5は、1~6の整数、好ましくは1~3、より好ましくは1であり;
α6は、0または1である。
【化37】
【化38】
【化39】
【0364】
本態様において、上記架橋剤(2)の含有量は、PFPE含有化合物を硬化する有効量であり得る。
【0365】
上記架橋剤(2)は、PFPE含有不飽和化合物とともに用いることが好ましい。この場合、架橋剤(2)のSi-HおよびPFPE含有不飽和化合物の炭素-炭素二重結合によって付加反応が生じ得る。
【0366】
上記架橋剤(2)の含有量は、PFPE含有不飽和化合物中に含まれるアルケニル基1モルに対して、架橋剤に含まれるケイ素原子に結合した水素原子(ヒドロシリル基、即ちSiH基)が0.5~5.0モルの範囲にあることが好ましく、0.8~3.0モルの範囲にあることがより好ましい。上記のような含有量の架橋剤を含むことにより、本態様の硬化性組成物は、適切な架橋度合いを有する硬化物の形成に寄与し得、また硬化時の発泡を低減し得る。
【0367】
一の態様において、上記架橋剤は、Si原子と結合した-O-Rg3を少なくとも2有する有機ケイ素化合物(架橋剤(1))である。Rg3は、上記と同意義である。
【0368】
一の態様において、上記架橋剤は、1分子中に、ケイ素原子に結合した水素原子(Si-H)を2以上有する有機ケイ素化合物(架橋剤(2))である。
【0369】
上記架橋剤は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を同時に用いてもよい。
【0370】
本発明で用いられる硬化性組成物は、さらに触媒を含んでいてもよい。
【0371】
上記触媒により、PFPE含有化合物と架橋剤との縮合反応が促進される。
【0372】
上記触媒としては、金属系触媒、有機酸系触媒、無機酸系触媒、塩基系触媒(例えばアンモニア、トリエチルアミン、ジエチルアミン等)等を用いることができる。
【0373】
上記有機酸系触媒としては、例えば、カルボン酸、スルホン酸、リン酸を有する化合物を挙げることができ、具体的には、酢酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、トルエンゼンスルホン酸、アルキルリン酸等を挙げることができる。
【0374】
上記無機酸系触媒としては、例えば、塩酸、硫酸等を挙げることができる。
【0375】
上記金属系触媒は、遷移金属原子を含むことが好ましい。
【0376】
上記触媒は、金属系触媒であることが好ましい。
【0377】
一の態様において、上記金属系触媒に含まれる金属原子としては、例えば、チタン、ジルコニウム、およびスズ等を挙げることができる。これらの金属原子の中で、チタン、またはジルコニウムを用いることが好ましい。
【0378】
本態様において、上記金属系触媒は、配位子として、アルコキシド(-O-R)を有することが好ましい。このような金属系触媒としては、テトラn-ブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、ノルマルブチルジルコネート、ノルマルプロピルジルコネート、ジブチルスズジメトキシド、およびジラウリン酸ジブチルスズからなる群より選ばれる少なくとも1を用いることが好ましく、テトライソプロピルチタネートおよびノルマルプロピルジルコネートからなる群より選ばれる少なくとも1であることがより好ましい。上記のような金属系触媒を用いると、PFPE含有化合物(例えば、PFPE含有シラン化合物)と架橋剤との縮合反応が促進される。上記のような金属系触媒は、硬化性組成物に溶解または分散しやすく、均一な反応の促進に寄与し得る。上記のような金属系触媒を含む本態様の硬化性組成物は、異物が少なく、透明性の高い硬化性組成物の硬化物の形成に寄与し得る。
【0379】
本態様において、上記Rは、炭素原子数1~4のアルキル基であることが好ましい。上記のようなアルキル基を有する触媒を用いると、縮合反応が特に促進される。
【0380】
本態様において、上記Rは、炭素原子数1~3のアルキル基であることがさらに好ましい。炭素原子数1~3のアルキル基は、即ち、メチル基、エチル基、n-プロピル基、またはi-プロピル基である。上記のようなRを有することによって、触媒は、溶剤に溶解しやすく、均一な反応の促進に寄与し得る。
【0381】
本態様の触媒は、PFPE含有シラン化合物とともに用いることが好ましい。
【0382】
本態様の触媒は、PFPE含有シラン化合物および架橋剤(1)とともに用いることが好ましい。
【0383】
本態様において、上記触媒は、硬化性組成物中、PFPE含有シラン化合物100質量部に対して、0.05質量部以上含まれることが好ましく、0.07質量部以上含まれることがより好ましい。上記触媒は、本態様の硬化性組成物中、PFPE含有シラン化合物100質量部に対して、1.0質量部以下含まれることが好ましく、0.7質量部以下含まれることがより好ましい。触媒を上記の濃度含むことにより、PFPE含有化合物と架橋剤との縮合反応が特に促進される。
【0384】
本態様において、上記触媒は、硬化性組成物中、PFPE含有シラン化合物100質量部に対して、0.05~1.0質量部含まれることが好ましく、0.07~0.7質量部含まれることがより好ましい。
【0385】
一の態様において、触媒は、白金、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、およびパラジウムよりなる群より選ばれる少なくとも1の金属原子を含み得る。
【0386】
本態様において、上記触媒としては、白金または白金化合物を用いることが好ましい。このような触媒は、触媒のコストの低減、入手の容易さの点から有利である。
【0387】
上記白金化合物としては、例えば、塩化白金酸または塩化白金酸とエチレン等のオレフィンとの錯体、アルコールまたはビニルシロキサンとの錯体、シリカ、アルミナ、カーボン等に担持した金属白金等を挙げることができる。
【0388】
ロジウム、ルテニウム、イリジウム、パラジウムを含む触媒としては、例えばRhCl(PPh、RhCl(CO)(PPh、Ru(CO)12、IrCl(CO)(PPh、Pd(PPh等を挙げることができる。なお、上記式中、Phはフェニル基である。
【0389】
本態様において、上記触媒は、該触媒が固体であるときには固体状で使用し得るが、より均一な硬化物を得るためには塩化白金酸や錯体を適切な溶剤に溶解したものをPFPE含有不飽和化合物に相溶させて使用することが好ましい。
【0390】
本態様において、上記触媒は、PFPE含有不飽和化合物とともに用いることが好ましい。
【0391】
本態様において、上記触媒は、PFPE含有不飽和化合物、および架橋剤(2)とともに用いることが好ましい。
【0392】
本態様において、硬化性組成物中、上記触媒は、反応に寄与し得る有効量、例えばヒドロシリル化反応触媒として反応に寄与し得る有効量含まれればよい。上記触媒の含有量は、所望の硬化速度に応じて適宜増減し得る。上記触媒は、通常、PFPE含有化合物(A)100質量部に対して、0.1~500ppm(金属原子換算)含まれることが好ましい。
【0393】
本態様において、上記触媒は、ヒドロシリル化反応触媒として働き得る。ヒドロシリル化反応触媒は、PFPE含有不飽和化合物中のアルケニル基と、架橋剤中のケイ素原子に結合した水素原子(ヒドロシリル基)との付加反応を促進し得る。
【0394】
上記触媒は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を同時に用いてもよい。
【0395】
本発明で用いられる硬化性組成物は、さらに溶剤を含んでいてもよい。溶剤を含むことにより、組成物の取り扱い性が良好になる。このような硬化性組成物を用いて層を形成すると、形成された層は連続した薄膜となり得る。また、このような硬化性組成物は、任意の膜厚の薄膜の形成に寄与し得る。
【0396】
上記溶剤は、含フッ素シラン化合物、有機ケイ素化合物および触媒の合計量100質量部に対して、300質量部以下含まれることが好ましく、200質量部以下含まれることがより好ましく、100質量部以下含まれることがさらに好ましい。上記溶剤は、含フッ素シラン化合物、有機ケイ素化合物および触媒の合計量100質量部に対して、1質量部以上含まれ、20質量部以上含まれることがより好ましく、50質量部以上含まれることがさらに好ましい。
【0397】
上記溶剤は、PFPE含有化合物、架橋剤および触媒の合計量100質量部に対して、1~300質量部の範囲含まれることが好ましく、20~200質量部の範囲含まれることがより好ましく、50~100質量部の範囲含まれることがさらに好ましい。
【0398】
上記溶剤としては、例えば:
パーフルオロヘキサン、CFCFCHCl、CFCHCFCH、CFCHFCHFC、1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6-トリデカフルオロオクタン、1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタン((ゼオローラH(商品名)等)、COCH、COC、CFCHOCFCHF、C13CH=CH、キシレンヘキサフルオリド、パーフルオロベンゼン、メチルペンタデカフルオロヘプチルケトン、トリフルオロエタノール、ペンタフルオロプロパノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、HCFCFCHOH、メチルトリフルオロメタンスルホネート、トリフルオロ酢酸およびCFO(CFCFO)m1(CFO)n1CFCF[式中、m1およびn1は、それぞれ独立して0以上1000以下の整数であり、m1またはn1を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意であり、但しm1およびn1の和は1以上である。]、1,1-ジクロロ-2,3,3,3-テトラフルオロ-1-プロペン、1,2-ジクロロ-1,3,3,3-テトラフルオロ-1-プロペン、1,2-ジクロロ-3,3,3-トリフルオロ-1-プロペン、1,1-ジクロロ-3,3,3-トリフルオロ-1-プロペン、1,1,2-トリクロロ―3,3,3-トリフルオロ-1-プロペン、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン、エチルパーフルオロブチルエーテル、およびメチルパーフルオロブチルエーテルからなる群から選択されるフッ素原子含有溶剤等が挙げられる。これらの溶剤は、単独で、または、2種以上の混合物として用いることができる。
【0399】
上記の中で、好ましい溶剤は、フッ素原子含有溶剤である。フッ素原子含有溶剤としては、エチルパーフルオロブチルエーテル、およびメチルパーフルオロブチルエーテルよりなる群より選ばれる少なくとも1を用いることが好ましい。このような溶剤を用いることにより、本発明の硬化性組成物の保存安定性が向上する。
【0400】
一の態様におて、硬化性組成物は、上記のように、PFPE含有化合物、架橋剤、触媒および溶剤を含むことにより、連続的な膜(本明細書において、このような膜を「均一」と称することがある)の形成が可能となり得る。ここで、連続的な膜とは、ピンホールのような塗布されていない場所がない膜をいう。さらに、本発明の硬化性組成物を用いると、任意の膜厚の薄膜(例えば、0.1~100μm、具体的には1~50μm)を形成し得る。
【0401】
上記硬化性組成物によると、ゲル状の硬化物を形成することができる。このような、上記硬化性組成物は、例えばシール材等としての使用に適し得る。
【0402】
上記溶剤中の水分含有量は、100質量ppm以下であることが好ましく、50質量ppm以下であることがより好ましい。。溶剤中に含まれる水分含有量の下限値は特に限定されないが、例えば1質量ppm以上である。上記水分含有量は、カールフィッシャー法を用いて測定することができる。このような水分含有量であることによって、硬化性組成物の保存安定性が向上し得る。
【0403】
本発明の硬化性組成物中に含まれる水分含有量は、該組成物に対して、20質量ppm以下であることが好ましい。硬化性組成物中に含まれる水分含有量の下限値は特に限定されないが、実質的に水分が含まれていなくてもよい(例えば、0質量ppm)。上記水分含有量は、カールフィッシャー法を用いて測定することができる。このような水分含有量であることによって、硬化性組成物の保存安定性が向上し得る。上記のような水分含有量とすることにより、本発明の硬化性組成物の安定性(例えば保存安定性)が向上し得る。
【0404】
本発明の硬化性組成物の粘度は、5~1000mPa・sの範囲にあることが好ましい。上記硬化性組成物の粘度は、500mPa・s以下であることがより好ましく、300mPa・s以下であることがさらに好ましく、100mPa・s以下であることがより好ましく、60mPa・s以下であることがさらに好ましく、50mPa・s以下であることが特に好ましい。上記硬化性組成物の粘度は、3mPa・s以上であることがより好ましく、5mPa・s以上であることがさらに好ましい。
【0405】
好ましくは上記硬化物形成用組成物の粘度は、3~500mPa・sの範囲にあり、5~300mPa・sの範囲にあることがより好ましい。
【0406】
本発明の硬化性組成物は、上記のような粘度を有することにより、取り扱い性がより向上し得る。
【0407】
上記粘度は、B型粘度計、25℃における粘度であり、JIS K7117-1:1999に準拠して測定することができる。
【0408】
好ましい態様において、PFPE含有化合物は、PFPE含有不飽和化合物であり、架橋剤は、1分子中に、ケイ素原子に結合した水素原子(Si-H)を2以上有する有機ケイ素化合物であり、および、触媒は、白金、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、およびパラジウムよりなる群より選ばれる少なくとも1を含む金属系触媒、好ましくは、白金または白金化合物である。
【0409】
上記態様において、硬化性組成物は、好ましくは、さらに、1分子中にケイ素原子に結合した加水分解性基を1個以上有する有機ケイ素化合物(以下、「有機ケイ素化合物(3)」ともいう)を含み得る。有機ケイ素化合物(3)は、硬化性組成物に自己接着性を与え得る接着付与剤として機能し得る。加水分解可能な基は、上記と同意義である。
【0410】
上記有機ケイ素化合物(3)は、1種類を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0411】
上記有機ケイ素化合物(3)は、1価のパーフルオロアルキル基または1価のパーフルオロオキシアルキル基を1個以上有してもよい。このような構造を有することにより、硬化性組成物に含まれる有機ケイ素化合物(3)とPFPE含有不飽和化合物との相溶性、分散性が特に良好になり得、この硬化性組成物の硬化物の均一性が良好になり得る。
【0412】
上記有機ケイ素化合物(3)は、PFPE含有不飽和化合物との付加反応性の観点から、1分子中にケイ素原子に直結した水素原子を1個以上有してもよい。
【0413】
上記有機ケイ素化合物(3)としては、炭素原子または炭素原子と酸素原子を介してケイ素原子に結合したアルコキシシリル基を1個以上有するオルガノシロキサンまたはトリアルコキシシランが好ましい。
【0414】
上記有機ケイ素化合物(3)における、上記オルガノシロキサンのシロキサン骨格は、環状、鎖状、分岐状およびそれらの組み合わせのいずれでもよい。上記オルガノシロキサンとしては、下記一般式で表されるものを用いることができる。
【0415】
【化40】
【0416】
上記一般式中、j1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~50の整数であることが好ましく、0~20の整数であることがより好ましい。上記一般式中、各出現においてそれぞれ独立して、j2は0~50の整数であることが好ましく、0~20の整数であることがより好ましい。上記一般式中、j3は、各出現においてそれぞれ独立して、1~50の整数であることが好ましく、1~20の整数であることがより好ましい。上記一般式中、j4は、各出現においてそれぞれ独立して、0~50の整数であることが好ましく、0~20の整数であることがより好ましい。上記一般式中、j5は、各出現においてそれぞれ独立して、0~50の整数であることが好ましく、0~20の整数であることがより好ましい。j1、j2、j3、j4およびj5の和は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量500~20,000を満たすような整数である。
【0417】
上記一般式中、Rj1は、各出現においてそれぞれ独立して、ハロゲン置換または非置換の1価の炭化水素基である。上記Rj1のハロゲン置換または非置換の1価の炭化水素基に含まれる炭素原子数は、1~10の範囲にあることが好ましく、1~8の範囲にあることがより好ましい。このような1価の炭化水素基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基等のアラルキル基等、または、これらの基の水素原子の一部または全部をフッ素原子等のハロゲン原子で置換した置換1価の炭化水素基などを挙げることができる。この中では、1価の炭化水素基は、メチル基であることがより好ましい。
【0418】
上記一般式中、Rj2は炭素原子または炭素原子と酸素原子とを介してケイ素原子に結合したアルコキシシリル基を表し、具体的には、
-Rj5-Si(ORj6、または、下記式で表される基を挙げることができる。
【化41】
【0419】
上記式中、Rj5は、炭素原子数1~10、特に1~4の2価の炭化水素基、具体的にはメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、シクロヘキシレン基、またはオクチレン基等のアルキレン基であり、Rj6は、炭素原子数1~8、特に1~4の1価の炭化水素基、具体的にはメチル基、エチル基、n-プロピル基等のアルキル基である。Rj7は、炭素原子数1~8、特に1~4の1価の炭化水素基であり、具体的にはメチル基、エチル基、n-プロピル基等のアルキル基であり、Rj8は、水素原子またはメチル基であり、kは、2~10の整数である。
【0420】
上記一般式中、Rj3は、下記一般式:
-Zj1-Rfj1
で表される基である。なお、Zj1は、右側がRfj1に結合する。
[式中、Zj1は、-(CHj6-、または-(CHj7-Xj1-(式中、Xj1は-OCH-、または-Yj1-NRj9-CO-(式中、Yj1は-CH-または下記構造式:
【化42】
で表されるo,mまたはp-ジメチルシリルフェニレン基(上記式において、フェニレン基がN原子に結合する)であり、Rj9は水素原子、置換もしくは非置換の好ましくは炭素原子数1~12、特に1~10の1価の炭化水素基である。))で表される基であり、j6およびj7は、各出現においてそれぞれ独立して、1~10の整数、好ましくは1~5の整数である。上記式中、Rfj1は、1価のパーフルオロアルキル基または1価のパーフルオロオキシアルキル基を表す。]
【0421】
上記1価のパーフルオロアルキル基または上記1価のパーフルオロオキシアルキル基は上記と同意義である。
【0422】
上記Rj4は、炭素原子または炭素原子と酸素原子とを介してケイ素原子に結合したエポキシ基であり、具体的には下記の基を挙げることができる。
【化43】
(式中、Rj10は、酸素原子が介在してもよい炭素原子数1~10、特に1~5の2価の炭化水素基で、具体的にはメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、シクロヘキシレン基、オクチレン基等のアルキレン基である。)
【0423】
上記有機ケイ素化合物(3)として用いられる上記オルガノシロキサンとしては、具体的には下記構造式で示されるものが例示される。なお、以下において、PFPEで表される基は、末端の酸素原子においてRfで表される基に結合する。
【0424】
【化44】
【化45】
【化46】
【化47】
【化48】
【化49】
【0425】
上記式において、Meはメチル基を表し、p、qおよびrは、各出現においてそれぞれ独立して、0以上の整数である。PFPEおよびRfは、上記と同意義である。
【0426】
上記有機ケイ素化合物(3)として用いられる上記トリアルコキシシランは、特に限定されないが、ビニルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-(メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等アルコキシ基の他に反応性有機基を同一分子内に有するシランや、パーフルオロプロピルトリメトキシシラン等の含フッ素トリアルコキシシランが好ましい。
【0427】
上記有機ケイ素化合物(3)の配合量は、PFPE含有不飽和化合物100質量部に対して0.01~10質量部の範囲にあることが好ましく、0.05~5質量部の範囲にあることがより好ましい。上記の範囲で有機ケイ素化合物(3)を含むことにより、硬化性組成物は、十分な接着性を有し、適切な流動性、硬化性を有し得る。このような硬化性組成物は、物理的硬度が良好であり得る。
【0428】
硬化性組成物が、PFPE含有不飽和化合物、架橋剤(2)、および有機ケイ素化合物(3)を含む場合、硬化性組成物は、さらに、加水分解触媒(以下において、「加水分解触媒(E)」ともいう)を含み得る。加水分解触媒は、有機ケイ素化合物(3)の加水分解性を高めるための触媒機能を有する。
【0429】
上記加水分解触媒は、組成物の付加硬化性を阻害しない限り特に限定されないが、例えば、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラノルマルブトキシド、チタンテトラアセチルアセトネート等の有機チタン化合物;ジルコニウムテトラノルマルプロポキシド、ジルコニウムテトラノルマルブトキシド、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート等の有機ジルコニウム化合物;ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫アセチルアセトナート等の有機錫化合物;アルミニウムトリスアセチルアセトナート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート等の有機アルミニウム化合物;他の酸性触媒、塩基性触媒等が挙げられる。これらの中では、本態様の硬化性組成物の保存安定性の観点から、有機チタン化合物、有機ジルコニウム化合物、有機錫化合物および有機アルミニウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも1を用いることが好ましい。上記加水分解触媒は、1種を使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0430】
上記加水分解触媒の配合量は、PFPE含有不飽和化合物100質量部に対して、0.001~5質量部の範囲にあることが好ましく、0.01~1質量部の範囲にあることがより好ましい。上記加水分解触媒は、本態様の硬化性組成物において上記の範囲含まれることにより、十分な触媒効果を発揮し得る。上記の範囲の加水分解触媒を含むことにより、本態様の硬化性組成物は、適切な流動性を有し得る。また、加水分解触媒が、ゲル状に硬化することを防ぎ得る。
【0431】
本発明で用いられる硬化性組成物は、さらに、以下の式(A1)、(B1)、(C1)または(D1)で表される化合物を含み得る。
【化50】
【0432】
上記式(A1)、(B1)、(C1)、および(D1)において、(A)、(B)、(C)、および(D)に関する記載と重複する部分については、記載を省略する。
【0433】
上記式中、Rfは、各出現において独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素原子数1~16のアルキル基を表す。
【0434】
上記1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素原子数1~16のアルキル基における「炭素原子数1~16のアルキル基」は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、好ましくは、直鎖または分枝鎖の炭素原子数1~6、特に炭素原子数1~3のアルキル基であり、より好ましくは直鎖の炭素原子数1~3のアルキル基である。
【0435】
上記Rfは、好ましくは、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されている炭素原子数1~16のアルキル基であり、より好ましくはCFH-C1-15フルオロアルキレン基またはC1-16パーフルオロアルキル基であり、さらに好ましくはC1-16パーフルオロアルキル基である。
【0436】
該炭素原子数1~16のパーフルオロアルキル基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、好ましくは、直鎖または分枝鎖の炭素原子数1~6、特に炭素原子数1~3のパーフルオロアルキル基であり、より好ましくは直鎖の炭素原子数1~3のパーフルオロアルキル基、具体的には-CF、-CFCF、または-CFCFCFである。
【0437】
上記式(A1)において、α1は、1~9の整数であり、α1’は、1~9の整数である。α1’は、Xの価数に応じて変化し得る。式(A1)においては、α1およびα1’の和は、Xの価数と同じである。例えば、Xが10価の有機基である場合、α1およびα1’の和は10であり、例えばα1が9かつα1’が1、α1が5かつα1’が5、またはα1が1かつα1’が9となり得る。また、Xが2価の有機基である場合、α1およびα1’は1である。
【0438】
上記Xは、好ましくは2~7価であり、より好ましくは2~4価であり、さらに好ましくは2価の有機基である。
【0439】
一の態様において、Xは2~4価の有機基であり、α1は1~3であり、α1’は1である。
【0440】
別の態様において、Xは2価の有機基であり、α1は1であり、α1’は1である。
【0441】
上記式(A1)において、n1’は、(-SiR13 n1’14 3-n1’)単位毎に独立して、0~3の整数であり、好ましくは1~3であり、より好ましくは3である。式中、少なくとも1つのn1’が1~3の整数であり、即ち、すべてのn1’が同時に0になることはない。換言すれば、式(A1)中、少なくとも1つはR13が存在する。
【0442】
上記式(B1)において、β1は、1~9の整数であり、β1’は、1~9の整数である。これらβ1およびβ1’は、Xの価数に応じて変化し得る。式(B1)において、β1およびβ1’の和は、Xの価数と同じである。例えば、Xが10価の有機基である場合、β1およびβ1’の和は10であり、例えばβ1が9かつβ1’が1、β1が5かつβ1’が5、またはβ1が1かつβ1’が9となり得る。また、Xが2価の有機基である場合、β1およびβ1’は1である。Xが単結合である場合、β1およびβ’1は1である。
【0443】
上記Xは、好ましくは2~7価、より好ましくは2~4価、さらに好ましくは2価の有機基である。
【0444】
一の態様において、Xは2~4価の有機基であり、β1は1~3であり、β1’は1である。
【0445】
別の態様において、Xは2価の有機基であり、β1は1であり、β1’は1である。
【0446】
式(B1)において、n1’は、(A1)の記載と同意義である。
【0447】
上記式(C1)において、γ1は、1~9の整数であり、γ1’は、1~9の整数である。これらγ1およびγ1’は、Xの価数に応じて変化し得る。式(C1)において、γ1およびγ1’の和は、Xの価数と同じである。例えば、Xが10価の有機基である場合、γ1およびγ1’の和は10であり、例えばγ1が9かつγ1’が1、γ1が5かつγ1’が5、またはγ1が1かつγ1’が9となり得る。また、Xが2価の有機基である場合、γ1およびγ1’は1である。Xが単結合である場合、γ1およびγ’1は1である。
【0448】
上記Xは、好ましくは2~7価、より好ましくは2~4価、さらに好ましくは2価の有機基である。
【0449】
一の態様において、Xは2~4価の有機基であり、γ1は1~3であり、γ1’は1である。
【0450】
別の態様において、Xは2価の有機基であり、γ1は1であり、γ1’は1である。
【0451】
上記式(D1)において、δ1は1~9の整数であり、δ1’は1~9の整数である。これらδ1およびδ1’は、Xの価数に応じて変化し得る。式(D1)においては、δ1およびδ1’の和は、Xの価数と同じである。例えば、Xが10価の有機基である場合、δ1およびδ1’の和は10であり、例えばδ1が9かつδ1’が1、δ1が5かつδ1’が5、またはδ1が1かつδ1’が9となり得る。また、Xが2価の有機基である場合、δ1およびδ1’は1である。Xが単結合である場合、δ1およびδ’1は1である。
【0452】
上記Xは、好ましくは2~7価、より好ましくは2~4価、さらに好ましくは2価の有機基である。
【0453】
一の態様において、Xは2~4価の有機基であり、δ1は1~3であり、δ1’は1である。
【0454】
別の態様において、Xは2価の有機基であり、δ1は1であり、δ1’は1である。
【0455】
一の態様において、上記式(A1)、(B1)、(C1)または(D1)で表される化合物は、式(A1)、(C1)または(D1)で表される化合物であることが好ましい。このようなシラン化合物を用いることにより、基材への密着性を向上させることができる。
【0456】
一の態様において、本発明の硬化性組成物中、式(A)、(B)、(C)および(D)で表される化合物(以下、「(1)成分」ともいう)と、式(A1)、(B1)、(C1)、および(D1)で表される化合物(以下、「(2)成分」ともいう)との合計に対して、式(A1)、(B1)、(C1)、および(D1)で表される化合物が、0.1モル%以上35モル%以下である。(1)成分および(2)成分の合計に対する式(A1)、(B1)、(C1)、および(D1)で表される化合物の含有量の下限は、好ましくは0.1モル%、より好ましくは0.2モル%、さらに好ましくは0.5モル%、さらにより好ましくは1モル%、特に好ましくは2モル%、特別には5モル%であり得る。(1)成分および(2)成分の合計に対する式(A1)、(B1)、(C1)、および(D1)で表される化合物の含有量の上限は、好ましくは35モル%、より好ましくは30モル%、さらに好ましくは20モル%、さらにより好ましくは15モル%または10モル%であり得る。(1)成分および(2)成分の合計に対する式(A1)、(B1)、(C1)、および(D1)で表される化合物は、好ましくは0.1モル%以上30モル%以下、より好ましくは0.1モル%以上20モル%以下、さらに好ましくは0.2モル%以上10モル%以下、さらにより好ましくは0.5モル%以上10モル%以下、特に好ましくは1モル%以上10モル%以下、例えば2モル%以上10モル%以下または5モル%以上10モル%以下である。(1)成分および(2)成分をかかる範囲とすることにより、本発明の硬化性組成物は、摩擦耐久性の良好な硬化物の形成に寄与し得る。
【0457】
上記硬化性組成物中、(1)成分と(2)成分の組み合わせは、好ましくは式(A)で表される化合物と式(A1)で表される化合物の組み合わせ、式(B)で表される化合物と式(B1)で表される化合物の組み合わせ、式(C)で表される化合物と式(C1)で表される化合物の組み合わせ、式(D)で表される化合物と式(D1)で表される化合物の組み合わせである。
【0458】
式(A)および式(A1)で表される化合物は、好ましくはtが2以上、より好ましくは2~10の整数、さらに好ましくは2~6の整数である。tを2以上とすることにより、R13またはR13”を有するSi原子が複数存在することになり、本発明の硬化性組成物により形成される硬化物において、より高い耐久性(例えば摩擦耐久性)を得ることができる。
【0459】
式(C)および式(C1)で表される化合物は、好ましくはk1が2または3、より好ましくは3である。
【0460】
好ましい態様において、式(C)で表される化合物は、末端に、-Si-(Z-SiR72 、-Si-(Z-SiR72” 、-Si-(Z-SiR72 または、-Si-(Z-SiR72” で表される構造を有し、さらに好ましくは-Si-(Z-SiR72 または-Si-(Z-SiR72” で表される構造を有し;式(C1)で表される化合物は、末端に、-Si-(Z-SiR72 、または、-Si-(Z-SiR72 で表される構造を有し、さらに好ましくは-Si-(Z-SiR72 で表される構造を有する。末端をかかる構造とすることにより、本発明の硬化性組成物により形成される硬化物において、より高い耐久性(例えば摩擦耐久性)を得ることができる。
上記-Si-(Z-SiR72 または-Si-(Z-SiR72” で表される基は、具体的には、
-Si-R l1 m1において、Rが-Z-SiR72 で表される基であり、l1およびm1の合計が1である、
-Si-Ra” b” l1c” m1において、Ra”が-Z-SiR72” で表される基であり、l1およびm1の合計が1である、
-Si-R71 72 q173 r1において、R71が-Z-SiR72 で表される基であり、q1およびr1の合計が1である、または
-Si-R71 72” q173 r1において、R71が-Z-SiR72 で表される基であり、q1およびr1の合計が1である、を挙げることができる。
【0461】
式(D)および式(D1)で表される化合物は、好ましくはl2が2または3、より好ましくは3である。
【0462】
好ましい態様において、式(D)で表される化合物は、末端に、-C-(Y-SiR85 、-C-(Y-SiR85” (具体的には、-C-(Y-SiR85 83、-C-(Y-SiR85 、-C-(Y-SiR85” 83、-C-(Y-SiR85” 83)、-C-(Y-SiR85、または-C-(Y-SiR85”構造を有し、さらに好ましくは-C-(Y-SiR85または-C-(Y-SiR85”構造を有し;式(D1)で表される化合物は、末端に、-C-(Y-SiR85 (具体的には、-C-(Y-SiR85 83)、または-C-(Y-SiR85構造を有し、さらに好ましくは-C-(Y-SiR85構造を有する。末端をかかる構造とすることにより、本発明の硬化性組成物は、より高い耐久性(例えば摩擦耐久性)を有する硬化物の形成に寄与し得る。
【0463】
本発明で用いられる硬化性組成物は、さらに、他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、特に限定されるものではないが、例えば、含フッ素オイルとして理解され得る(非反応性の)フルオロポリエーテル化合物、好ましくはパーフルオロ(ポリ)エーテル化合物(以下、「含フッ素オイル」と言う)安定化材(脱水剤、モレキュラーシーブ、硫酸マグネシウムまたはオルソギ酸メチル)、粘度調節剤、フィラー、蛍光剤、保存安定剤、充填剤、着色剤、耐熱性向上剤、耐寒性向上剤、防錆剤、接着性向上剤、液状補強剤、重合開始剤等を含んでいてもよい。
【0464】
上記含フッ素オイルとしては、特に限定されるものではないが、例えば、以下の一般式(III)で表される化合物(パーフルオロ(ポリ)エーテル化合物)が挙げられる。
Rf-(OCa’-(OCb’-(OCc’-(OCFd’-Rf ・・・(III)
式中、Rfは、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素原子数1~16アルキル基(好ましくは、C1―16のパーフルオロアルキル基)を表し、Rfは、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素原子数1~16アルキル基(好ましくは、C1-16パーフルオロアルキル基)、フッ素原子または水素原子を表し、RfおよびRfは、より好ましくは、それぞれ独立して、C1-3パーフルオロアルキル基である。
a’、b’、c’およびd’は、ポリマーの主骨格を構成するパーフルオロ(ポリ)エーテルの4種の繰り返し単位数をそれぞれ表し、互いに独立して0以上300以下の整数であって、a’、b’、c’およびd’の和は少なくとも1、好ましくは1~300、より好ましくは20~300である。添字a’、b’、c’またはd’を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。これら繰り返し単位のうち、-(OC)-は、-(OCFCFCFCF)-、-(OCF(CF)CFCF)-、-(OCFCF(CF)CF)-、-(OCFCFCF(CF))-、-(OC(CFCF)-、-(OCFC(CF)-、-(OCF(CF)CF(CF))-、-(OCF(C)CF)-および-(OCFCF(C))-のいずれであってもよいが、好ましくは-(OCFCFCFCF)-である。-(OC)-は、-(OCFCFCF)-、-(OCF(CF)CF)-および-(OCFCF(CF))-のいずれであってもよく、好ましくは-(OCFCFCF)-である。-(OC)-は、-(OCFCF)-および-(OCF(CF))-のいずれであってもよいが、好ましくは-(OCFCF)-である。
【0465】
上記一般式(III)で表されるパーフルオロ(ポリ)エーテル化合物の例として、以下の一般式(IIIa)および(IIIb)のいずれかで示される化合物(1種または2種以上の混合物であってよい)が挙げられる。
Rf-(OCFCFCFb’’-Rf ・・・(IIIa)
Rf-(OCFCFCFCFa’’-(OCFCFCFb’’-(OCFCFc’’-(OCFd’’-Rf ・・・(IIIb)
これら式中、RfおよびRfは上記の通りであり;式(IIIa)において、b’’は1以上100以下の整数であり;式(IIIb)において、a’’およびb’’は、それぞれ独立して1以上30以下の整数であり、c’’およびd’’はそれぞれ独立して1以上300以下の整数である。添字a’’、b’’、c’’、d’’を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。
【0466】
上記含フッ素オイルは、1,000~30,000の数平均分子量を有していてよい。特に、式(IIIa)で表される化合物の数平均分子量は、2,000~8,000であることが好ましい。一の態様において、式(IIIb)で表される化合物の数平均分子量は、3,000~8,000である。別の態様において、式(IIIb)で表される化合物の数平均分子量は、8,000~30,000である。
【0467】
上記硬化性組成物中、含フッ素オイルは、上記PFPE含有シラン化合物100質量部に対して、例えば0~500質量部、好ましくは0~100質量部、より好ましくは1~50質量部、さらに好ましくは1~5質量部で含まれ得る。
【0468】
また、別の観点から、含フッ素オイルは、一般式Rf’-F(式中、Rf’はC5-16パーフルオロアルキル基である。)で表される化合物であってよい。また、クロロトリフルオロエチレンオリゴマーであってもよい。Rf’-Fで表される化合物およびクロロトリフルオロエチレンオリゴマーは、RfがC1-16パーフルオロアルキル基である上記パーフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物と高い親和性が得られる点で好ましい。
【0469】
上記保存安定剤としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリプロペノキシシラン、ビニルトリブタノキシムシラン、メチルトリアセトキシシラン等を挙げることができる。
【0470】
上記充填剤としては、アスベスト、ガラス繊維、有機繊維等の繊維質充填剤を挙げることができる。
【0471】
上記着色剤としては、顔料、染料等を挙げることができる。
【0472】
上記耐熱性向上剤としては、ベンガラ、酸化セリウム等を挙げることができる。
【0473】
上記接着性向上剤としては、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-クロロプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-イソシアナートプロピルトリエトキシシラン等を挙げることができる。
【0474】
上記液状補強剤としては、トリオルガノシロキシ単位およびSiO単位よりなる網状ポリシロキサン等を挙げることができる。
【0475】
上記重合開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル、アゾイソ酪酸メチル、アゾビスジメチルバレロニトリル等のアゾ系開始剤;過酸化ベンゾイル、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、ベンゾフェノン誘導体、ホスフィンオキサイド誘導体、ベンゾケトン誘導体、フェニルチオエーテル誘導体、アジド誘導体、ジアゾ誘導体、ジスルフィド誘導体等を用いることができる。これらの重合開始剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0476】
上記の硬化性組成物で、上記積層体の端面を処理することにより、積層体の端面に保護層が形成される。
【0477】
上記処理方法は、特に限定されず、例えば、積層体の端面に硬化性組成物を塗布し、必要に応じて、熱処理または光照射を行うことにより、上記硬化性組成物を硬化させることにより行われる。
【0478】
また、硬化性組成物による処理に先立って、必要に応じて、処理部分に対してプライマー処理を施すことによって、硬化性組成物から形成される保護層の接着性を向上させることができる。
【0479】
以上、本発明の第1基材層、接着剤層、および第2基材層を有して成る積層体について説明したが、本発明の積層体は、さらなる層を有していてもよい。例えば、さらに第2の接着剤層と第3の基材層を有していてもよい。
【0480】
本発明の積層体は、種々の物品に用いられる。従って、本発明は、本発明の積層体を有して成る物品をも提供する。
【0481】
上記の物品としては、例えば、タッチパネル、ディスプレイ、電子基板上に接着された電子素子、スマートホン、タブレットPCの金属ハウジングにテープで固定された電子部品、冷蔵庫、洗濯機等の家電品の表面に接着テープで固定された操作パネル等が挙げられる。
【0482】
以上、本発明の積層体および物品について詳述した。なお、本発明の積層体の用途、使用方法または物品などは、上記で例示したものに限定されない。
【実施例
【0483】
本実施例において、パーフルオロポリエーテルを構成する繰り返し単位(CFO)、および(CFCFO)の存在順序は任意である。また、以下に示される化学式はすべて平均組成を示す。
・PFPE硬化組成物の調製
実施例1
・端面保護剤の調製
PFPE含有化合物A100重量部、架橋剤としてテトラエトキシシラン1重量部、および硬化触媒として、テトライソプロパキシチタン0.5重量部を混合用のガラス容器に秤量し、マグネチックスターラーを用いて撹拌を行い、硬化性組成物を調製した。

PFPE含有化合物A
(C2H5O)3SiCH2CH2CH2NHCOCF2-(OC2F4)e-(OCF2)f-CF2CONHCH2CH2CH2Si(OC2H5)3
(式中、e=45、f=38)
【0484】
・基材の調製
2枚のスライドガラスを厚み100μmの透明接着フィルム(日東電工社製LUCIACS CS9864)で挟みスライドガラス/接着フィルム/スライドガラスの積層体を作製した。該積層体の端面に上記PFPE硬化組成物をシリンジにて塗布し、25℃の温度にて24時間静置し硬化させ、端面が保護された積層体を調製した。
【0485】
・評価
作製したサンプルをオレイン酸中に浸漬させ、70℃の電気炉に入れ1週間加熱した後に積層体の状態を目視にて確認した。また浸漬前後での積層体のスライドガラス間の距離、積層体全体の重量変化率を算出した。重量変化が全くなかった場合を0%とする。
【0486】
実施例2
PFPE含有化合物Bを用いた以外は実施例1と同様の方法でサンプルを調製、評価を行った。

PFPE含有化合物B
H((CH3O)3SiCHCH2)3CF2-(OC2F4)e-(OCF2)f-CF2(CH2CHSi(OCH3)3)3H
(式中、e=40、f=58、e/f=0.7)
【0487】
実施例3
・端面保護剤の調製
PFPE含有化合物Cを100重量部に対して、架橋剤として化合物Dを4重量部、および、硬化触媒として1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンのPt錯体を2%含むキシレン溶液0.4重量部を、混合用のガラス容器に秤量し、撹拌混合を行い、硬化性組成物を調製した。

PFPE含有化合物C
CH2=CHCH2OCH2CF2(OCF2CF(CF3))mOCF2CF2O(CF(CF3)CF2O)n-CF2CH2OCH2CH=CH2
(式中、m+n=54)
化合物D
【化51】
【0488】
得られた硬化組成物を端面保護に用い塗布後の硬化条件を100℃・2時間で行った以外は実施例1と同様の方法でサンプルを調製、評価を行った。
【0489】
比較例1
積層体に保護層無しで評価を実施した。
【0490】
上記試験結果を以下に示す。
【産業上の利用可能性】
【0491】
本発明の積層体は、耐薬品性に優れていることから、種々の用途に用いることができる。