(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-21
(45)【発行日】2023-01-04
(54)【発明の名称】画像比較装置、画像比較プログラムおよび画像比較方法
(51)【国際特許分類】
G06T 7/00 20170101AFI20221222BHJP
【FI】
G06T7/00 640
(21)【出願番号】P 2021167087
(22)【出願日】2021-10-12
(62)【分割の表示】P 2017128602の分割
【原出願日】2017-06-30
【審査請求日】2021-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】591102095
【氏名又は名称】三菱電機ソフトウエア株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002491
【氏名又は名称】弁理士法人クロスボーダー特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】有井 基文
【審査官】佐田 宏史
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-328378(JP,A)
【文献】特表平08-510580(JP,A)
【文献】特開2013-070241(JP,A)
【文献】特表平11-514174(JP,A)
【文献】特開2010-269027(JP,A)
【文献】特開2013-206431(JP,A)
【文献】特開2008-310391(JP,A)
【文献】特開2001-184510(JP,A)
【文献】特開2007-114073(JP,A)
【文献】特開平07-167649(JP,A)
【文献】特開2006-138708(JP,A)
【文献】国際公開第2013/105381(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/099150(WO,A1)
【文献】Motofumi Arii et al.,"Sensitivity analysis of L-band SAR to inundated area",2016 IEEE International Geoscience and Remote Sensing Symposium (IGARSS),米国,IEEE,2016年07月10日,pp.3867-3870
【文献】福田 盛介、中村 聖平,“航空機搭載ポーラリメトリックSAR画像におけるテクスチャの偏波依存性の解析”,電子情報通信学会論文誌,日本,社団法人電子情報通信学会,2006年07月01日,Vol.J89-B, No.7,pp.1046-1053
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 1/00,7/00-7/90
G06V 10/00-10/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1画像の中の領域である第1領域に含まれる各画素の信号強度に基づいて前記第1領域における各信号強度の確率を信号強度の昇順に累積して得られる累積分布である前記第1領域の順累積分布を算出し、第2画像の中の領域である第2領域に含まれる各画素の信号強度に基づいて前記第2領域における各信号強度の確率を信号強度の昇順に累積して得られる累積分布である前記第2領域の順累積分布を算出する順累積分布算出部と、
前記第1領域に含まれる各画素の信号強度に基づいて前記第1領域における各信号強度の確率を信号強度の降順に累積して得られる累積分布である前記第1領域の逆累積分布を算出し、前記第2領域に含まれる各画素の信号強度に基づいて前記第2領域における各信号強度の確率を信号強度の降順に累積して得られる累積分布である前記第2領域の逆累積分布を算出する逆累積分布算出部と、
信号強度のレベルである第1レベルと前記第1レベルより高い第2レベルとの一方を選択するレベル選択部と、
前記第1レベルが選択された場合に前記第1領域の順累積分布において基準の累積確率に対応する信号強度
と前記第2領域の順累積分布において前記基準の累積確率に対応する信号強度
の差を前記第1領域と前記第2領域との差分
として算出
し、前記第2レベルが選択された場合に前記第1領域の逆累積分布において前記基準の累積確率に対応する信号強度と前記第2領域の逆累積分布において前記基準の累積確率に対応する信号強度の差を前記第1領域と前記第2領域との差分として算出する差分算出部と、
を備え、
前記第1画像と前記第2画像は、互いに異なる時刻の同じ場所が映っている画像であり、
前記第1領域は、前記第1画像においてウインドウに囲われた領域であり、
前記第2領域は、前記第2画像において前記第1画像における位置と同じ位置のウインドウに囲われた領域である
画像比較装置。
【請求項2】
前記画像比較装置は、
前記第1領域に含まれる各画素の信号強度に基づいて前記第1領域における各信号強度の確率を示す前記第1領域の確率分布を算出し、前記第2領域に含まれる各画素の信号強度に基づいて前記第2領域における各信号強度の確率を示す前記第2領域の確率分布を算出する確率分布算出部を備え、
前記レベル選択部は、前記第1レベルと、前記第2レベルと、前記第1レベルより高く前記第2レベルより低い第3レベルとのいずれかを選択し、
前記差分算出部は、前記第3レベルが選択された場合に前記第1領域の確率分布と前記第2領域の確率分布とに基づいて前記第1領域と前記第2領域との差分を算出する
請求項
1に記載の画像比較装置。
【請求項3】
前記画像比較装置は、
異なるウインドウサイズ毎に第1参照画像の中の領域であってウインドウサイズを有する領域である第1参照領域と第2参照画像の中の領域であってウインドウサイズを有する領域である第2参照領域との差分を算出し、各差分を差分閾値と比較し、前記第1領域と前記第2領域との共通の大きさとして用いるウインドウサイズを比較結果に基づいて決定するウインドウサイズ決定部を備える
請求項
2に記載の画像比較装置。
【請求項4】
前記ウインドウサイズ決定部は、
前記第1レベルが選択された場合、前記第1参照領域の順累積分布と前記第2参照領域の順累積分布とを算出し、前記第1参照領域の順累積分布と前記第2参照領域の順累積分布とに基づいて前記第1参照領域と前記第2参照領域との差分を算出し、
前記第2レベルが選択された場合、前記第1参照領域の逆累積分布と前記第2参照領域の逆累積分布とを算出し、前記第1参照領域の逆累積分布と前記第2参照領域の逆累積分布とに基づいて前記第1参照領域と前記第2参照領域との差分を算出し、
前記第3レベルが選択された場合、前記第1参照領域の確率分布と前記第2参照領域の確率分布とを算出し、前記第1参照領域の確率分布と前記第2参照領域の確率分布とに基づいて前記第1領域と前記第2領域との差分を算出する
請求項
3に記載の画像比較装置。
【請求項5】
第1画像の中の領域である第1領域に含まれる各画素の信号強度に基づいて前記第1領域における各信号強度の確率を信号強度の昇順に累積して得られる累積分布である前記第1領域の順累積分布を算出し、第2画像の中の領域である第2領域に含まれる各画素の信号強度に基づいて前記第2領域における各信号強度の確率を信号強度の昇順に累積して得られる累積分布である前記第2領域の順累積分布を算出する順累積分布算出部と、
前記第1領域に含まれる各画素の信号強度に基づいて前記第1領域における各信号強度の確率を信号強度の降順に累積して得られる累積分布である前記第1領域の逆累積分布を算出し、前記第2領域に含まれる各画素の信号強度に基づいて前記第2領域における各信号強度の確率を信号強度の降順に累積して得られる累積分布である前記第2領域の逆累積分布を算出する逆累積分布算出部と、
信号強度のレベルである第1レベルと前記第1レベルより高い第2レベルとの一方を選択するレベル選択部と、
前記第1レベルが選択された場合に前記第1領域の順累積分布において基準の累積確率に対応する信号強度
と前記第2領域の順累積分布において前記基準の累積確率に対応する信号強度
の差を前記第1領域と前記第2領域との差分
として算出
し、前記第2レベルが選択された場合に前記第1領域の逆累積分布において前記基準の累積確率に対応する信号強度と前記第2領域の逆累積分布において前記基準の累積確率に対応する信号強度の差を前記第1領域と前記第2領域との差分として算出する差分算出部として
コンピュータを機能させるための画像比較プログラムであって、
前記第1画像と前記第2画像は、互いに異なる時刻の同じ場所が映っている画像であり、
前記第1領域は、前記第1画像においてウインドウに囲われた領域であり、
前記第2領域は、前記第2画像において前記第1画像における位置と同じ位置のウインドウに囲われた領域である
画像比較プログラム。
【請求項6】
前記画像比較プログラムは、
前記第1領域に含まれる各画素の信号強度に基づいて前記第1領域における各信号強度の確率を示す前記第1領域の確率分布を算出し、前記第2領域に含まれる各画素の信号強度に基づいて前記第2領域における各信号強度の確率を示す前記第2領域の確率分布を算出する確率分布算出部としてコンピュータを機能させ、
前記レベル選択部は、前記第1レベルと、前記第2レベルと、前記第1レベルより高く前記第2レベルより低い第3レベルとのいずれかを選択し、
前記差分算出部は、前記第3レベルが選択された場合に前記第1領域の確率分布と前記第2領域の確率分布とに基づいて前記第1領域と前記第2領域との差分を算出する
請求項
5に記載の画像比較プログラム。
【請求項7】
前記画像比較プログラムは、
異なるウインドウサイズ毎に第1参照画像の中の領域であってウインドウサイズを有する領域である第1参照領域と第2参照画像の中の領域であってウインドウサイズを有する領域である第2参照領域との差分を算出し、各差分を差分閾値と比較し、前記第1領域と前記第2領域との共通の大きさとして用いるウインドウサイズを比較結果に基づいて決定するウインドウサイズ決定部としてコンピュータを機能させる
請求項
6に記載の画像比較プログラム。
【請求項8】
前記ウインドウサイズ決定部は、
前記第1レベルが選択された場合、前記第1参照領域の順累積分布と前記第2参照領域の順累積分布とを算出し、前記第1参照領域の順累積分布と前記第2参照領域の順累積分布とに基づいて前記第1参照領域と前記第2参照領域との差分を算出し、
前記第2レベルが選択された場合、前記第1参照領域の逆累積分布と前記第2参照領域の逆累積分布とを算出し、前記第1参照領域の逆累積分布と前記第2参照領域の逆累積分布とに基づいて前記第1参照領域と前記第2参照領域との差分を算出し、
前記第3レベルが選択された場合、前記第1参照領域の確率分布と前記第2参照領域の確率分布とを算出し、前記第1参照領域の確率分布と前記第2参照領域の確率分布とに基づいて前記第1領域と前記第2領域との差分を算出する
請求項
7に記載の画像比較プログラム。
【請求項9】
順累積分布算出部と逆累積分布算出部とレベル選択部と差分算出部を備える画像比較装置による画像比較方法であり、
前記順累積分布算出部が、第1画像の中の領域である第1領域に含まれる各画素の信号強度に基づいて前記第1領域における各信号強度の確率を信号強度の昇順に累積して得られる累積分布である前記第1領域の順累積分布を算出し、第2画像の中の領域である第2領域に含まれる各画素の信号強度に基づいて前記第2領域における各信号強度の確率を信号強度の昇順に累積して得られる累積分布である前記第2領域の順累積分布を算出し、
前記逆累積分布算出部が、前記第1領域に含まれる各画素の信号強度に基づいて前記第1領域における各信号強度の確率を信号強度の降順に累積して得られる累積分布である前記第1領域の逆累積分布を算出し、前記第2領域に含まれる各画素の信号強度に基づいて前記第2領域における各信号強度の確率を信号強度の降順に累積して得られる累積分布である前記第2領域の逆累積分布を算出し、
前記レベル選択部が、信号強度のレベルである第1レベルと前記第1レベルより高い第2レベルとの一方を選択し、
前記差分算出部が、
前記第1レベルが選択された場合に前記第1領域の順累積分布において基準の累積確率に対応する信号強度
と前記第2領域の順累積分布において前記基準の累積確率に対応する信号強度
の差を前記第1領域と前記第2領域との差分
として算出
し、前記第2レベルが選択された場合に前記第1領域の逆累積分布において前記基準の累積確率に対応する信号強度と前記第2領域の逆累積分布において前記基準の累積確率に対応する信号強度の差を前記第1領域と前記第2領域との差分として算出する画像比較方法であって、
前記第1画像と前記第2画像は、互いに異なる時刻の同じ場所が映っている画像であり、
前記第1領域は、前記第1画像においてウインドウに囲われた領域であり、
前記第2領域は、前記第2画像において前記第1画像における位置と同じ位置のウインドウに囲われた領域である
画像比較方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2枚の画像を比較する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
リモートセンシングを目的として、人工衛星によって地表面の観測が行われている。地表面の観測には、主に、光学カメラおよび合成開口レーダが使われる。合成開口レーダはSARと呼ばれる。
光学カメラは可視光域を利用する。そのため、光学カメラによって得られる画像は直観的に理解し易い。しかし、光学カメラを使う観測には太陽光が必要である。そのため、日中しか地表面を観測することができない。また、日中であっても、地表面が雲に覆われると地表面を観測することができない。
一方、SARによって得られる画像は直観的には理解し難い反面、自ら電波を発するアクティブセンサであるため太陽光等外部の光源を必要とせず、昼夜問わず観測可能である。また、一般に利用される数センチメートル~数十センチメートル程度の波長域において、水蒸気への電波の透過性が高い。そのため、全天候で、地表面を観測することが可能である。このような特性をSARが有するため、防災分野(減災、縮災および防災)等常時観測が必要な分野へのSARの応用が期待される。
【0003】
非特許文献1は、被災前後のデータから差分を検出して被災状況を推定する手法を開示している。昨今の観測機器の進化において分解能の向上および観測幅の拡大が進んだことにより、非特許文献1の手法が実現可能となった。
【0004】
SAR画像には、熱雑音等の影響によって被写体とは無関係にスペックルノイズが発生する。スペックルノイズは、斑点状のランダムノイズである。
被災前後の2枚のSAR画像には異なるスペックルノイズが発生する。そのため、スペックルノイズを考慮せずに被災前後の2枚のSAR画像から差分を算出すると、算出された差分にはスペックルノイズの差分が含まれることとなる。つまり、スペックルノイズを考慮しないと正しい差分を得ることができない。
【0005】
スペックルノイズの影響は統計処理によって低減されることが知られている。
具体的には、2枚の画像のそれぞれにおいてウインドウをずらしながら、ウインドウ内の複数の画素について平均値またはモードが算出され、平均値またはモードの差分が算出される。これにより、スペックルノイズの影響が低減される。モードは最頻値とも呼ばれる。
【0006】
ウインドウが大きいほど、つまり、ウインドウ内の領域を構成する画素の数が多いほど、スペックルノイズに対する平滑効果が高まりスペックルノイズの影響が低減される。
【0007】
また、ウインドウが大きいと、ウインドウ内の各画素に対応する信号強度について滑らかなヒストグラムが得られる。そして、各画像のヒストグラムが滑らかなグラフであれば、ヒストグラムの差分、すなわち、画像の差分を容易に算出することができる。例えば、各ヒストグラムから頂点に対応する信号強度を抽出して信号強度の差分を算出することが容易である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開平11-328378号公報
【文献】特表平08-510580号公報
【文献】特開2013-070241号公報
【文献】特表平11-514174号公報
【文献】特開2010-269027号公報
【非特許文献】
【0009】
【文献】Motofumi Arii and Takeshi Nishimura、“SENSITIVITY ANALYSIS OF L-BAND SAR TO INUNDATED AREA”、IGARASS、2016 IEEE International
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
スペックルノイズの影響を低減するためにウインドウを大きくすると、空間分解能は低下する。
例えば、縦が10画素で横が10画素の領域に相当するウインドウが用いられる場合、空間分解能は100分の1に低下する。
【0011】
しかし、空間分解能を高めるためにウインドウを小さくすると、ヒストグラムの揺らぎが大きくなり、滑らかなヒストグラムが得られない。そのため、ヒストグラムの差分を容易に算出することができない。
例えば、各ヒストグラムに多数の頂点が存在してしまい、各ヒストグラムから他方のヒストグラムの頂点に対応する頂点を選択することは難しい。そして、各ヒストグラムから適切な頂点を選択することができなければ、正しい差分を算出することができない。
【0012】
本発明は、ウインドウが小さくても2枚の画像の差分を算出することができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の画像比較装置は、
第1画像の中の領域である第1領域に含まれる各画素の信号強度に基づいて前記第1領域における各信号強度の確率を信号強度の昇順に累積して得られる累積分布である前記第1領域の順累積分布を算出し、第2画像の中の領域である第2領域に含まれる各画素の信号強度に基づいて前記第2領域における各信号強度の確率を信号強度の昇順に累積して得られる累積分布である前記第2領域の順累積分布を算出する順累積分布算出部と、
前記第1領域の順累積分布において基準の累積確率に対応する信号強度と、前記第2領域の順累積分布において前記基準の累積確率に対応する信号強度と、に基づいて前記第1領域と前記第2領域との差分を算出する差分算出部とを備える。
前記第1画像と前記第2画像は、互いに異なる時刻の同じ場所が映っている画像であり、
前記第1領域は、前記第1画像においてウインドウに囲われた領域であり、
前記第2領域は、前記第2画像において前記第1画像における位置と同じ位置のウインドウに囲われた領域である。
【0014】
前記画像比較装置は、
前記第1領域に含まれる各画素の信号強度に基づいて前記第1領域における各信号強度の確率を信号強度の降順に累積して得られる累積分布である前記第1領域の逆累積分布を算出し、前記第2領域に含まれる各画素の信号強度に基づいて前記第2領域における各信号強度の確率を信号強度の降順に累積して得られる累積分布である前記第2領域の逆累積分布を算出する逆累積分布算出部と、
信号強度のレベルである第1レベルと前記第1レベルより高い第2レベルとの一方を選択するレベル選択部とを備える。
前記差分算出部は、前記第1レベルが選択された場合に前記第1領域の順累積分布において前記基準の累積確率に対応する信号強度と前記第2領域の順累積分布において前記基準の累積確率に対応する信号強度の差を前記第1領域と前記第2領域との差分として算出し、前記第2レベルが選択された場合に前記第1領域の逆累積分布において前記基準の累積確率に対応する信号強度と前記第2領域の逆累積分布において前記基準の累積確率に対応する信号強度の差を前記第1領域と前記第2領域との差分として算出する。
【0015】
前記画像比較装置は、
前記第1領域に含まれる各画素の信号強度に基づいて前記第1領域における各信号強度の確率を示す前記第1領域の確率分布を算出し、前記第2領域に含まれる各画素の信号強度に基づいて前記第2領域における各信号強度の確率を示す前記第2領域の確率分布を算出する確率分布算出部を備える。
前記レベル選択部は、前記第1レベルと、前記第2レベルと、前記第1レベルより高く前記第2レベルより低い第3レベルとのいずれかを選択する。
前記差分算出部は、前記第3レベルが選択された場合に前記第1領域の確率分布と前記第2領域の確率分布とに基づいて前記第1領域と前記第2領域との差分を算出する。
【0016】
前記画像比較装置は、
異なるウインドウサイズ毎に第1参照画像の中の領域であってウインドウサイズを有する領域である第1参照領域と第2参照画像の中の領域であってウインドウサイズを有する領域である第2参照領域との差分を算出し、各差分を差分閾値と比較し、前記第1領域と前記第2領域との共通の大きさとして用いるウインドウサイズを比較結果に基づいて決定するウインドウサイズ決定部を備える。
【0017】
前記ウインドウサイズ決定部は、
前記第1レベルが選択された場合、前記第1参照領域の順累積分布と前記第2参照領域の順累積分布とを算出し、前記第1参照領域の順累積分布と前記第2参照領域の順累積分布とに基づいて前記第1参照領域と前記第2参照領域との差分を算出する。
前記ウインドウサイズ決定部は、
前記第2レベルが選択された場合、前記第1参照領域の逆累積分布と前記第2参照領域の逆累積分布とを算出し、前記第1参照領域の逆累積分布と前記第2参照領域の逆累積分布とに基づいて前記第1参照領域と前記第2参照領域との差分を算出する。
前記ウインドウサイズ決定部は、
前記第3レベルが選択された場合、前記第1参照領域の確率分布と前記第2参照領域の確率分布とを算出し、前記第1参照領域の確率分布と前記第2参照領域の確率分布とに基づいて前記第1領域と前記第2領域との差分を算出する。
【0018】
前記画像比較装置は、
異なるウインドウサイズ毎に第1参照画像の中の領域であってウインドウサイズを有する領域である第1参照領域と第2参照画像の中の領域であってウインドウサイズを有する領域である第2参照領域との差分を算出し、各差分を差分閾値と比較し、前記第1領域と前記第2領域との共通の大きさとして用いるウインドウサイズを比較結果に基づいて決定するウインドウサイズ決定部を備える。
前記ウインドウサイズ決定部は、前記第1参照領域の順累積分布と前記第2参照領域の順累積分布とを算出し、前記第1参照領域の順累積分布と前記第2参照領域の順累積分布とに基づいて前記第1参照領域と前記第2参照領域との差分を算出する。
【0019】
本発明の画像比較装置は、
第1画像の中の領域である第1領域に含まれる各画素の信号強度に基づいて前記第1領域における各信号強度の確率を信号強度の降順に累積して得られる累積分布である前記第1領域の逆累積分布を算出し、第2画像の中の領域である第2領域に含まれる各画素の信号強度に基づいて前記第2領域における各信号強度の確率を信号強度の降順に累積して得られる累積分布である前記第2領域の逆累積分布を算出する逆累積分布算出部と、
前記第1領域の逆累積分布において基準の累積確率に対応する信号強度と、前記第2領域の逆累積分布において前記基準の累積確率に対応する信号強度と、に基づいて前記第1領域と前記第2領域との差分を算出する差分算出部と、を備える。
前記第1画像と前記第2画像は、互いに異なる時刻の同じ場所が映っている画像であり、
前記第1領域は、前記第1画像においてウインドウに囲われた領域であり、
前記第2領域は、前記第2画像において前記第1画像における位置と同じ位置のウインドウに囲われた領域である。
【0020】
前記画像比較装置は、
異なるウインドウサイズ毎に第1参照画像の中の領域であってウインドウサイズを有する領域である第1参照領域と第2参照画像の中の領域であってウインドウサイズを有する領域である第2参照領域との差分を算出し、各差分を差分閾値と比較し、前記第1領域と前記第2領域との共通の大きさとして用いるウインドウサイズを比較結果に基づいて決定するウインドウサイズ決定部を備える。
前記ウインドウサイズ決定部は、前記第1参照領域の逆累積分布と前記第2参照領域の逆累積分布とを算出し、前記第1参照領域の逆累積分布と前記第2参照領域の逆累積分布とに基づいて前記第1参照領域と前記第2参照領域との差分を算出する。
【0021】
本発明の画像比較プログラムは、
第1画像の中の領域である第1領域に含まれる各画素の信号強度に基づいて前記第1領域における各信号強度の確率を信号強度の昇順に累積して得られる累積分布である前記第1領域の順累積分布を算出し、第2画像の中の領域である第2領域に含まれる各画素の信号強度に基づいて前記第2領域における各信号強度の確率を信号強度の昇順に累積して得られる累積分布である前記第2領域の順累積分布を算出する順累積分布算出部と、
前記第1領域の順累積分布において基準の累積確率に対応する信号強度と、前記第2領域の順累積分布において前記基準の累積確率に対応する信号強度と、に基づいて前記第1領域と前記第2領域との差分を算出する差分算出部としてコンピュータを機能させる。
前記第1画像と前記第2画像は、互いに異なる時刻の同じ場所が映っている画像であり、
前記第1領域は、前記第1画像においてウインドウに囲われた領域であり、
前記第2領域は、前記第2画像において前記第1画像における位置と同じ位置のウインドウに囲われた領域である。
【0022】
前記画像比較プログラムは、
前記第1領域に含まれる各画素の信号強度に基づいて前記第1領域における各信号強度の確率を信号強度の降順に累積して得られる累積分布である前記第1領域の逆累積分布を算出し、前記第2領域に含まれる各画素の信号強度に基づいて前記第2領域における各信号強度の確率を信号強度の降順に累積して得られる累積分布である前記第2領域の逆累積分布を算出する逆累積分布算出部と、
信号強度のレベルである第1レベルと前記第1レベルより高い第2レベルとの一方を選択するレベル選択部としてコンピュータを機能させる。
前記差分算出部は、前記第1レベルが選択された場合に前記第1領域の順累積分布において前記基準の累積確率に対応する信号強度と前記第2領域の順累積分布において前記基準の累積確率に対応する信号強度の差を前記第1領域と前記第2領域との差分として算出し、前記第2レベルが選択された場合に前記第1領域の逆累積分布において前記基準の累積確率に対応する信号強度と前記第2領域の逆累積分布において前記基準の累積確率に対応する信号強度の差を前記第1領域と前記第2領域との差分として算出する。
【0023】
前記画像比較プログラムは、
前記第1領域に含まれる各画素の信号強度に基づいて前記第1領域における各信号強度の確率を示す前記第1領域の確率分布を算出し、前記第2領域に含まれる各画素の信号強度に基づいて前記第2領域における各信号強度の確率を示す前記第2領域の確率分布を算出する確率分布算出部としてコンピュータを機能させる。
前記レベル選択部は、前記第1レベルと、前記第2レベルと、前記第1レベルより高く前記第2レベルより低い第3レベルとのいずれかを選択する。
前記差分算出部は、前記第3レベルが選択された場合に前記第1領域の確率分布と前記第2領域の確率分布とに基づいて前記第1領域と前記第2領域との差分を算出する。
【0024】
前記画像比較プログラムは、
異なるウインドウサイズ毎に第1参照画像の中の領域であってウインドウサイズを有する領域である第1参照領域と第2参照画像の中の領域であってウインドウサイズを有する領域である第2参照領域との差分を算出し、各差分を差分閾値と比較し、前記第1領域と前記第2領域との共通の大きさとして用いるウインドウサイズを比較結果に基づいて決定するウインドウサイズ決定部としてコンピュータを機能させる。
【0025】
前記ウインドウサイズ決定部は、
前記第1レベルが選択された場合、前記第1参照領域の順累積分布と前記第2参照領域の順累積分布とを算出し、前記第1参照領域の順累積分布と前記第2参照領域の順累積分布とに基づいて前記第1参照領域と前記第2参照領域との差分を算出する。
前記ウインドウサイズ決定部は、
前記第2レベルが選択された場合、前記第1参照領域の逆累積分布と前記第2参照領域の逆累積分布とを算出し、前記第1参照領域の逆累積分布と前記第2参照領域の逆累積分布とに基づいて前記第1参照領域と前記第2参照領域との差分を算出する。
前記ウインドウサイズ決定部は、
前記第3レベルが選択された場合、前記第1参照領域の確率分布と前記第2参照領域の確率分布とを算出し、前記第1参照領域の確率分布と前記第2参照領域の確率分布とに基づいて前記第1領域と前記第2領域との差分を算出する。
【0026】
前記画像比較プログラムは、
異なるウインドウサイズ毎に第1参照画像の中の領域であってウインドウサイズを有する領域である第1参照領域と第2参照画像の中の領域であってウインドウサイズを有する領域である第2参照領域との差分を算出し、各差分を差分閾値と比較し、前記第1領域と前記第2領域との共通の大きさとして用いるウインドウサイズを比較結果に基づいて決定するウインドウサイズ決定部としてコンピュータを機能させる。
前記ウインドウサイズ決定部は、前記第1参照領域の順累積分布と前記第2参照領域の順累積分布とを算出し、前記第1参照領域の順累積分布と前記第2参照領域の順累積分布とに基づいて前記第1参照領域と前記第2参照領域との差分を算出する。
【0027】
本発明の画像比較プログラムは、
第1画像の中の領域である第1領域に含まれる各画素の信号強度に基づいて前記第1領域における各信号強度の確率を信号強度の降順に累積して得られる累積分布である前記第1領域の逆累積分布を算出し、第2画像の中の領域である第2領域に含まれる各画素の信号強度に基づいて前記第2領域における各信号強度の確率を信号強度の降順に累積して得られる累積分布である前記第2領域の逆累積分布を算出する逆累積分布算出部と、
前記第1領域の逆累積分布において基準の累積確率に対応する信号強度と、前記第2領域の逆累積分布において前記基準の累積確率に対応する信号強度と、に基づいて前記第1領域と前記第2領域との差分を算出する差分算出部としてコンピュータを機能させる。
前記第1画像と前記第2画像は、互いに異なる時刻の同じ場所が映っている画像であり、
前記第1領域は、前記第1画像においてウインドウに囲われた領域であり、
前記第2領域は、前記第2画像において前記第1画像における位置と同じ位置のウインドウに囲われた領域である。
【0028】
前記画像比較プログラムは、
異なるウインドウサイズ毎に第1参照画像の中の領域であってウインドウサイズを有する領域である第1参照領域と第2参照画像の中の領域であってウインドウサイズを有する領域である第2参照領域との差分を算出し、各差分を差分閾値と比較し、前記第1領域と前記第2領域との共通の大きさとして用いるウインドウサイズを比較結果に基づいて決定するウインドウサイズ決定部としてコンピュータを機能させる。
前記ウインドウサイズ決定部は、前記第1参照領域の逆累積分布と前記第2参照領域の逆累積分布とを算出し、前記第1参照領域の逆累積分布と前記第2参照領域の逆累積分布とに基づいて前記第1参照領域と前記第2参照領域との差分を算出する。
【0029】
本発明の画像比較方法において、
順累積分布算出部が、第1画像の中の領域である第1領域に含まれる各画素の信号強度に基づいて前記第1領域における各信号強度の確率を信号強度の昇順に累積して得られる累積分布である前記第1領域の順累積分布を算出し、第2画像の中の領域である第2領域に含まれる各画素の信号強度に基づいて前記第2領域における各信号強度の確率を信号強度の昇順に累積して得られる累積分布である前記第2領域の順累積分布を算出し、
差分算出部が、前記第1領域の順累積分布において基準の累積確率に対応する信号強度と、前記第2領域の順累積分布において前記基準の累積確率に対応する信号強度と、に基づいて前記第1領域と前記第2領域との差分を算出する。
前記第1画像と前記第2画像は、互いに異なる時刻の同じ場所が映っている画像であり、
前記第1領域は、前記第1画像においてウインドウに囲われた領域であり、
前記第2領域は、前記第2画像において前記第1画像における位置と同じ位置のウインドウに囲われた領域である。
【0030】
本発明の画像比較方法において、
逆累積分布算出部が、第1画像の中の領域である第1領域に含まれる各画素の信号強度に基づいて前記第1領域における各信号強度の確率を信号強度の降順に累積して得られる累積分布である前記第1領域の逆累積分布を算出し、第2画像の中の領域である第2領域に含まれる各画素の信号強度に基づいて前記第2領域における各信号強度の確率を信号強度の降順に累積して得られる累積分布である前記第2領域の逆累積分布を算出し、
差分算出部が、前記第1領域の逆累積分布において基準の累積確率に対応する信号強度と、前記第2領域の逆累積分布において前記基準の累積確率に対応する信号強度と、に基づいて前記第1領域と前記第2領域との差分を算出する。
前記第1画像と前記第2画像は、互いに異なる時刻の同じ場所が映っている画像であり、
前記第1領域は、前記第1画像においてウインドウに囲われた領域であり、
前記第2領域は、前記第2画像において前記第1画像における位置と同じ位置のウインドウに囲われた領域である。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、累積分布が利用されるため、ヒストグラム(各信号強度の確率)の揺らぎが低減される。その結果、ウインドウ(第1領域および第2領域)が小さくても2枚の画像の差分(第1領域と第2領域との差分)を算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】実施の形態1における画像比較装置100の構成図。
【
図2】実施の形態1における画像比較方法のフローチャート。
【
図3】実施の形態1におけるステップS120を説明するための図。
【
図4】実施の形態1におけるステップS130を説明するための図。
【
図5】実施の形態1におけるステップS141を説明するための図。
【
図6】実施の形態1におけるステップS142を説明するための図。
【
図7】実施の形態1におけるステップS143を説明するための図。
【
図8】実施の形態1におけるステップS144を説明するための図。
【
図9】実施の形態1におけるステップS145を説明するための図。
【
図13】実施の形態2における画像比較装置100の構成図。
【
図14】実施の形態2における画像比較方法のフローチャート。
【
図15】実施の形態2におけるウインドウサイズ決定処理(S200)のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0033】
実施の形態および図面において、同じ要素および対応する要素には同じ符号を付している。同じ符号が付された要素の説明は適宜に省略または簡略化する。図中の矢印はデータの流れ又は処理の流れを主に示している。
【0034】
実施の形態1.
2枚の画像の差分を算出する形態について、
図1から
図9に基づいて説明する。
【0035】
***構成の説明***
図1に基づいて、画像比較装置100の構成を説明する。
画像比較装置100は、プロセッサ901とメモリ902と補助記憶装置903と入出力インタフェース904といったハードウェアを備えるコンピュータである。これらのハードウェアは、信号線を介して互いに接続されている。
【0036】
プロセッサ901は、演算処理を行うIC(Integrated Circuit)であり、他のハードウェアを制御する。例えば、プロセッサ901は、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、またはGPU(Graphics Processing Unit)である。
メモリ902は揮発性の記憶装置である。メモリ902は、主記憶装置またはメインメモリとも呼ばれる。例えば、メモリ902はRAM(Random Access Memory)である。メモリ902に記憶されたデータは必要に応じて補助記憶装置903に保存される。
補助記憶装置903は不揮発性の記憶装置である。例えば、補助記憶装置903は、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、またはフラッシュメモリである。補助記憶装置903に記憶されたデータは必要に応じてメモリ902にロードされる。
入出力インタフェース904は入力装置および出力装置が接続されるポートである。例えば、入出力インタフェース904はUSB端子であり、入力装置はキーボードおよびマウスであり、出力装置はディスプレイである。USBはUniversal Serial Busの略称である。
【0037】
画像比較装置100は、制御部110とレベル選択部120と確率分布算出部130と順累積分布算出部131と逆累積分布算出部132と差分算出部140といった要素を備える。これらの要素はソフトウェアで実現される。但し、これらの要素が専用回路のようなハードウェアで実現されてもよい。
【0038】
補助記憶装置903には、制御部110とレベル選択部120と確率分布算出部130と順累積分布算出部131と逆累積分布算出部132と差分算出部140としてコンピュータを機能させるための画像比較プログラムが記憶されている。画像比較プログラムは、メモリ902にロードされて、プロセッサ901によって実行される。
さらに、補助記憶装置903にはOS(Operating System)が記憶されている。OSの少なくとも一部は、メモリ902にロードされて、プロセッサ901によって実行される。
つまり、プロセッサ901は、OSを実行しながら、画像比較プログラムを実行する。
画像比較プログラムを実行して得られるデータは、メモリ902、補助記憶装置903、プロセッサ901内のレジスタまたはプロセッサ901内のキャッシュメモリといった記憶装置に記憶される。
【0039】
メモリ902はデータを記憶する記憶部191として機能する。但し、他の記憶装置が、メモリ902の代わりに、又は、メモリ902と共に、記憶部191として機能してもよい。
入出力インタフェース904は、入力を受け付ける受付部192として機能する。
【0040】
画像比較装置100は、プロセッサ901を代替する複数のプロセッサを備えてもよい。複数のプロセッサは、プロセッサ901の役割を分担する。
【0041】
画像比較プログラムは、光ディスクまたはフラッシュメモリ等の不揮発性の記録媒体にコンピュータ読み取り可能に記録することができる。
【0042】
***動作の説明***
画像比較装置100の動作は画像比較方法に相当する。また、画像比較方法の手順は画像比較プログラムの手順に相当する。
【0043】
図2に基づいて、画像比較方法を説明する。
記憶部191には、第1画像と第2画像との組が予め記憶されているものとする。
第1画像と第2画像との組は、比較の対象となる2枚の画像である。
具体的には、第1画像と第2画像とのそれぞれには同じ場所が映っている。第1画像には第1時刻における場所が映っており、第2画像には第2時刻における場所が映っている。第1時刻は第2時刻の前の時刻であり、第2時刻は第1時刻の後の時刻である。
例えば、第1画像には被災前の地域が映っていて、第2画像には被災後の地域が映っている。
【0044】
第1画像および第2画像は同じ撮影手段によって得られる。
合成開口レーダ(SAR)、光学カメラおよび赤外線カメラは撮影手段の一例である。 合成開口レーダによって得られた画像をSAR画像といい、光学カメラによって得られた画像を光学画像といい、赤外線カメラによって得られた画像を赤外線画像という。
【0045】
ステップS110において、受付部192は、レベル指定命令を受け付ける。
レベル指定命令は、信号強度レベルを指定する命令である。
【0046】
具体的には、レベル指定命令は以下のように受け付けられる。
まず、利用者は、第1レベルと第2レベルと第3レベルとのいずれかを選択する。
第1レベルは第3レベルより低く、第2レベルは第3レベルより高い。第3レベルは、第1レベルより高く第2レベルより低い。
つまり、第1レベルは信号強度「弱」を意味し、第2レベルは信号強度「強」を意味し、第3レベルは信号強度「中」を意味する。
画像において各画素の信号強度は被写体に応じて異なる。信号強度は画素値に相当する。例えば、SAR画像において、水面が映った画素は地面が映った画素より暗い。つまり、水面が映った画素の信号強度は地面が映った画素の信号強度より弱い。また、建物が映った画素は地面が映った画素より明るい。つまり、建物が映った画素の信号強度は地面が映った画素の信号強度より強い。
そこで、利用者は、状態の変化を確認したい被写体に応じて第1レベル、第2レベルまたは第3レベルを選択する。例えば、被災前後のSAR画像を比較して水害の状況を確認したい場合、利用者は、信号強度「弱」、すなわち、第1レベルを選択する。建物の損壊状況を確認したい場合、利用者は、信号強度「強」、すなわち、第2レベルを選択する。また、地面の状態変化を確認したい場合、利用者は、信号強度「弱」、すなわち、第1レベルを選択する。
【0047】
次に、利用者は、入力装置を用いて、選択した信号強度レベルを指定するレベル指定命令を画像比較装置100に入力する。
そして、受付部192は、入力されたレベル指定命令を受け付ける。
【0048】
ステップS120において、制御部110は、第1画像および第2画像におけるウインドウの位置を決定する。ウインドウの位置は、第1画像と第2画像とにおいて同じである。
ウインドウは、各画像の中の領域を囲う枠である。
ウインドウの大きさは、予め決められている。
【0049】
図3に基づいて、ウインドウ203の位置を決定する方法を説明する。
1回目のステップS120において、制御部110は、第1画像201と第2画像202とのそれぞれの左上をウインドウ203の位置に決定する。
2回目以降の各ステップS120において、制御部110は、ウインドウ203を決められた方向にずらすことによって、ウインドウ203の位置を決定する。
【0050】
図2に戻り、ステップS130を説明する。
第1画像の中の領域であってウインドウに囲われた領域を第1領域という。
第2画像の中の領域であってウインドウに囲われた領域を第2領域という。
【0051】
ステップS130において、確率分布算出部130は、第1領域に含まれる各画素の信号強度に基づいて、第1領域の確率分布を算出する。
第1領域の確率分布は、第1領域における各信号強度の確率を示す。
【0052】
具体的には、確率分布算出部130は、第1領域に含まれる各画素の信号強度を入力にして確率密度関数を計算する。これにより、第1領域の確率分布が算出される。
【0053】
さらに、確率分布算出部130は、第2領域に含まれる各画素の信号強度に基づいて、第2領域の確率分布を算出する。
第2領域の確率分布は、第2領域における各信号強度の確率を示す。
【0054】
具体的には、確率分布算出部130は、第2領域に含まれる各画素の信号強度を入力にして確率密度関数を計算する。これにより、第2領域の確率分布が算出される。
【0055】
図4に、ヒストグラム211とヒストグラム212とを示す。
ヒストグラム211は、第1領域の確率分布を示すグラフである。
ヒストグラム212は、第2領域の確率分布を示すグラフである。
ヒストグラム211およびヒストグラム212において、横軸は信号強度を示し、縦軸は確率を示す。確率は頻度ともいう。
【0056】
図2に戻り、ステップS140から説明を続ける。
ステップS140において、レベル選択部120は、第1レベルと第2レベルと第3レベルとのいずれかを選択する。
具体的には、レベル選択部120は、レベル信号命令によって指定された信号強度レベルを選択する。
第1レベルが選択された場合、処理はステップS141に進む。
第2レベルが選択された場合、処理はステップS143に進む。
第3レベルが選択された場合、処理はステップS145に進む。
【0057】
ステップS141において、順累積分布算出部131は、第1領域に含まれる各画素の信号強度に基づいて、第1領域の順累積分布を算出する。
第1領域の順累積分布は、第1領域における各信号強度の確率を信号強度の昇順に累積して得られる累積分布である。
【0058】
具体的には、順累積分布算出部131は、第1領域の確率分布を入力にして累積密度関数を計算する。これにより、第1領域の順累積分布が算出される。
累積密度関数は、累積分布関数ともいう。
【0059】
さらに、順累積分布算出部131は、第2領域に含まれる各画素の信号強度に基づいて、第2領域の順累積分布を算出する。
第2領域の順累積分布は、第2領域における各信号強度の確率を信号強度の昇順に累積して得られる累積分布である。
【0060】
具体的には、順累積分布算出部131は、第2領域の確率分布を入力にして累積密度関数を計算する。これにより、第2領域の順累積分布が算出される。
【0061】
図5に、累積確率グラフ221と累積確率グラフ222とを示す。
累積確率グラフ221は、第1領域の順累積分布を示すグラフである。
累積確率グラフ222は、第2領域の順累積分布を示すグラフである。
累積確率グラフ221および累積確率グラフ222において、横軸は信号強度を示し、縦軸は累積確率を示す。
累積確率は、各信号強度の確率を累積して得られる値である。
【0062】
図2に戻り、ステップS142を説明する。
ステップS142において、差分算出部140は、第1領域の順累積分布と第2領域の順累積分布とに基づいて、第1領域と第2領域との差分を算出する。
記憶部191は、算出された差分を記憶する。
【0063】
具体的には、差分算出部140は、第1領域と第2領域との差分を以下のように算出する。以下の説明において、基準の累積確率は予め決められている。
まず、差分算出部140は、第1領域の順累積分布から基準の累積確率に対応する信号強度を取得する。取得される信号強度を第1比較強度という。
次に、差分算出部140は、第2領域の順累積分布から基準の累積確率に対応する信号強度を取得する。取得される信号強度を第2比較強度という。
そして、差分算出部140は、第1比較強度と第2比較強度との差を算出する。算出される差が第1領域と第2領域との差分である。
【0064】
図6に基づいて、第1領域と第2領域との差分223を説明する。
基準の累積確率が0.3である場合、信号強度Xと信号強度Yとの差が差分223である。信号強度Xは累積確率グラフ221において0.3に対応し、信号強度Yは累積確率グラフ222において0.3に対応する。
【0065】
図2に戻り、ステップS143を説明する。
ステップS143において、逆累積分布算出部132は、第1領域に含まれる各画素の信号強度に基づいて、第1領域の逆累積分布を算出する。
第1領域の逆累積分布は、第1領域における各信号強度の確率を信号強度の降順に累積して得られる累積分布である。
【0066】
具体的には、逆累積分布算出部132は、第1領域の確率分布を入力にして逆累積密度関数を計算する。これにより、第1領域の逆累積分布が算出される。
逆累積密度関数は、逆累積分布関数ともいう。
【0067】
さらに、逆累積分布算出部132は、第2領域に含まれる各画素の信号強度に基づいて、第2領域の逆累積分布を算出する。
第2領域の逆累積分布は、第2領域における各信号強度の確率を信号強度の降順に累積して得られる累積分布である。
【0068】
具体的には、逆累積分布算出部132は、第2領域の確率分布を入力にして逆累積密度関数を計算する。これにより、第2領域の逆累積分布が算出される。
【0069】
図7に、逆累積確率グラフ231と逆累積確率グラフ232とを示す。
逆累積確率グラフ231は、第1領域の逆累積分布を示すグラフである。
逆累積確率グラフ232は、第2領域の逆累積分布を示すグラフである。
逆累積確率グラフ231および逆累積確率グラフ232において、横軸は信号強度を示し、縦軸は累積確率を示す。
【0070】
図2に戻り、ステップS144を説明する。
ステップS144において、差分算出部140は、第1領域の逆累積分布と第2領域の逆累積分布とに基づいて、第1領域と第2領域との差分を算出する。
記憶部191は、算出された差分を記憶する。
【0071】
具体的には、差分算出部140は、第1領域と第2領域との差分を以下のように算出する。以下の説明において、基準の累積確率は予め決められている。
まず、差分算出部140は、第1領域の逆累積分布から基準の累積確率に対応する信号強度を取得する。取得される信号強度を第1比較強度という。
次に、差分算出部140は、第2領域の逆累積分布から基準の累積確率に対応する信号強度を取得する。取得される信号強度を第2比較強度という。
そして、差分算出部140は、第1比較強度と第2比較強度との差を算出する。算出される差が第1領域と第2領域との差分である。
【0072】
図8に基づいて、第1領域と第2領域との差分233を説明する。
基準の累積確率が0.3である場合、信号強度Xと信号強度Yとの差が差分233である。信号強度Xは逆累積確率グラフ231において0.3に対応し、信号強度Yは逆累積確率グラフ232において0.3に対応する。
【0073】
図2に戻り、ステップS145を説明する。
ステップS145において、差分算出部140は、第1領域の確率分布と第2領域の確率分布とに基づいて、第1領域と第2領域との差分を算出する。
【0074】
具体的には、差分算出部140は、第1領域と第2領域との差分を以下のように算出する。
まず、差分算出部140は、第1領域の確率分布における確率の平均値またはモード(最頻値)を算出する。算出される平均値またはモードを第1統計値という。
次に、差分算出部140は、第2領域の確率分布における確率の平均値またはモードを算出する。算出される平均値またはモードを第2統計値という。
そして、差分算出部140は、第1統計値と第2統計値との差を算出する。算出される差が第1領域と第2領域との差分である。
【0075】
図9に基づいて、第1領域と第2領域との差分213を説明する。
差分213は、信号強度Xと信号強度Yとの差である。
信号強度Xは、ヒストグラム211(第1領域の確率分布)におけるモードである。
信号強度Yは、ヒストグラム212(第2領域の確率分布)におけるモードである。
【0076】
図2に戻り、ステップS150を説明する。
ステップS150において、制御部110は、第1画像および第2画像におけるウインドウの位置が各画像における最終位置であるか判定する。
具体的には、制御部110は、ウインドウ203(
図3参照)の位置が第1画像201と第2画像202とのそれぞれの右下であるか判定する。
ウインドウの位置が各画像における最終位置である場合、処理は終了する。
ウインドウの位置が各画像における最終位置でない場合、処理はステップS120に進む。
【0077】
図2に基づいて説明した画像比較方法により、第1画像と第2画像との差分が領域毎に得られる。
【0078】
***実施の形態1の効果***
ウインドウが小さい場合、
図10に示すように、ヒストグラム211とヒストグラム212とのそれぞれの揺らぎが大きい。そのため、ヒストグラム211とヒストグラム212との差を算出することは困難である。つまり、2枚の画像の差分を算出することは困難である。
画像比較装置100は、累積分布を利用することによって、ヒストグラム211とヒストグラム212とのそれぞれの揺らぎを低減する(
図5および
図7参照)。
そのため、画像比較装置100は、ウインドウが小さくても2枚の画像の差分を算出することができる(
図6および
図8参照)。
【0079】
被災前後の各画像においてウインドウ内に性質の異なる複数の被写体が存在しない場合、被災前後においてウインドウ内の各画素が一様に明るく又は暗くなる。つまり、被災前後において信号強度が一様に高く又は低くなる。その場合、被災前後の各画像がスペックルノイズの影響を受けていても、信号強度の平均値または信号強度のモードを用いて被災前後の変化を検出することが可能である(
図9参照)。
【0080】
しかし、被災前後の各画像においてウインドウ内に性質の異なる複数の被写体が存在する場合、特定の信号強度レベルだけでヒストグラムが変化する。または、信号強度レベルによってヒストグラムの変化が異なる。
例えば、
図11に示すように弱レベルだけ、または、
図12に示すように強レベルだけ、ヒストグラム211とヒストグラム212とに差が生じる。
特定の信号強度レベルだけでヒストグラムが変化する場合、被災前後の変化を高い感度で検出することができない。また、信号強度レベルによってヒストグラムの変化が異なる場合、平均値またはモードを用いて被災前後の変化を検出することができない。
【0081】
そこで、画像比較装置100は、累積密度関数および逆累積密度関数を利用して被災前後の変化を検出する。
累積密度関数は、ヒストグラムの左から、つまり、弱い信号強度から確率を積分する。そのため、累積密度関数によって得られるグラフは単調増加するスムーズな曲線となる。そして、累積密度関数を利用することにより、弱い信号強度(第1レベル)の差分を高い精度で得ることができる。累積密度関数は、高周波成分を欠損するローパスフィルタと異なり、全ての信号を活用する。そのため、得られる差分の精度は高い。
逆累積密度関数は、ヒストグラムの右から、つまり、強い信号強度から確率を積分する。そのため、逆累積密度関数によって得られるグラフは単調減少するスムーズな曲線となる。そして、逆累積密度関数を利用することにより、強い信号強度(第2レベル)の差分を高い精度で抽出することができる。逆累積密度関数は、低周波成分を欠損するハイパスフィルタと異なり、全ての信号を活用する。そのため、得られる差分の精度は高い。
【0082】
***他の構成***
利用者は、複数の信号強度レベルを指定してもよい。複数の信号強度レベルが指定された場合、画像比較装置100は、各信号強度レベルについて差分を算出する。
また、1つまたは複数の信号強度レベルが予め決められていてもよい。その場合、画像比較装置100は、予め決められた各信号強度レベルについて差分を算出する。
【0083】
実施の形態2.
適切なウインドウサイズを決定する形態について、主に実施の形態1と異なる点を
図13から
図15に基づいて説明する。
【0084】
***構成の説明***
図13に基づいて、画像比較装置100の構成を説明する。
画像比較装置100は、さらに、ウインドウサイズ決定部150を備える。
画像比較プログラムは、さらに、ウインドウサイズ決定部150としてコンピュータを機能させるためのプログラムである。
但し、ウインドウサイズ決定部150は、専用回路のようなハードウェアで実現されてもよい。
【0085】
***動作の説明***
図14に基づいて、画像比較方法を説明する。
ステップS110は実施の形態1(
図2参照)で説明した通りである。
ステップS110の後、ステップS200が実行される。
【0086】
ステップS200において、ウインドウサイズ決定部150は、基準のウインドウサイズを決定する。
基準のウインドウサイズは、第1領域と第2領域との共通の大きさとして用いるウインドウサイズである。
【0087】
具体的には、ウインドウサイズ決定部150は、基準のウインドウサイズを以下のように決定する。
ウインドウサイズ決定部150は、異なるウインドウサイズ毎に第1参照画像の中の第1参照領域と第2参照画像の中の第2参照領域との差分を算出し、各差分を差分閾値と比較し、比較結果に基づいて基準のウインドウサイズを決定する。
第1参照領域は、第1参照画像の中の領域であって、あるウインドウサイズを有する領域である。
第2参照領域は、第2参照画像の中の領域であって、あるウインドウサイズを有する領域である。
【0088】
第1参照画像および第2参照画像は、記憶部191に予め記憶される。
第1参照画像は、第1画像または第1画像に対応するサンプル画像である。例えば、第1画像に対応するサンプル画像は、被災前の地域の状態を表すシミュレーション画像である。
第2参照画像は、第2画像または第2画像に対応するサンプル画像である。例えば、第2画像に対応するサンプル画像は、被災後の地域の状態を表すシミュレーション画像である。
【0089】
ウインドウサイズ決定処理(S200)の詳細については後述する。
【0090】
ステップS200の後、ステップS120以降の処理が実行される。
ステップS120以降の処理は、実施の形態1(
図2参照)で説明した通りである。
ステップS200で決定された基準のウインドウサイズは、ステップS120でウインドウのサイズとして使用される。
【0091】
図15に基づいて、ウインドウサイズ決定処理(S200)を説明する。
ステップS210において、ウインドウサイズ決定部150は、ウインドウサイズを初期化する。
具体的には、ウインドウサイズ決定部150は、ウインドウサイズに最大値を設定する。例えば、ウインドウサイズ決定部150は、第1参照画像および第2参照画像のサイズをウインドウサイズに設定する。
【0092】
ステップS220において、ウインドウサイズ決定部150は、第1参照画像および第2参照画像におけるウインドウの位置を決定する。
ウインドウの大きさは、ウインドウサイズによって定まる。
【0093】
具体的には、利用者が画像比較装置100に対してウインドウの位置を指定し、ウインドウサイズ決定部150は指定された位置をウインドウの位置に決定する。
ウインドウサイズ決定部150は、ウインドウの位置を任意に決定してもよい。例えば、ウインドウサイズ決定部150は、ウインドウの位置をランダムに決定してもよい。
【0094】
第1参照画像の中の領域であってウインドウに囲われた領域が第1参照領域である。
第2参照画像の中の領域であってウインドウに囲われた領域が第2参照領域である。
【0095】
ステップS230において、ウインドウサイズ決定部150は、第1参照画像に含まれる各画素の信号強度に基づいて、第1参照領域の確率分布を算出する。
第1参照領域の確率分布は、第1参照領域における各信号強度の確率を示す。
【0096】
さらに、ウインドウサイズ決定部150は、第2参照画像に含まれる各画素の信号強度に基づいて、第2参照領域の確率分布を算出する。
第2参照領域の確率分布は、第2参照領域における各信号強度の確率を示す。
【0097】
第1参照領域と第2参照領域とのそれぞれの確率分布を算出する方法は、ステップS130(
図2参照)において第1領域と第2領域とのそれぞれの確率分布を算出する方法と同様である。
【0098】
ステップS240において、ウインドウサイズ決定部150は、第1レベルと第2レベルと第3レベルとのいずれかを選択する。
具体的には、ウインドウサイズ決定部150は、ステップS110(
図14参照)で受け付けられたレベル信号命令によって指定された信号強度レベルを選択する。
第1レベルが選択された場合、処理はステップS241に進む。
第2レベルが選択された場合、処理はステップS243に進む。
第3レベルが選択された場合、処理はステップS245に進む。
【0099】
ステップS241において、ウインドウサイズ決定部150は、第1参照領域に含まれる各画素の信号強度に基づいて、第1参照領域の順累積分布を算出する。
第1参照領域の順累積分布は、第1参照領域における各信号強度の確率を信号強度の昇順に累積して得られる累積分布である。
具体的には、ウインドウサイズ決定部150は、第1参照領域の確率分布を入力にして累積密度関数を計算する。これにより、第1参照領域の順累積分布が算出される。
【0100】
さらに、ウインドウサイズ決定部150は、第2参照領域に含まれる各画素の信号強度に基づいて、第2参照領域の順累積分布を算出する。
第2参照領域の順累積分布は、第2参照領域における各信号強度の確率を信号強度の昇順に累積して得られる累積分布である。
具体的には、ウインドウサイズ決定部150は、第2参照領域の確率分布を入力にして累積密度関数を計算する。これにより、第2参照領域の順累積分布が算出される。
【0101】
ステップS242において、ウインドウサイズ決定部150は、第1参照領域の順累積分布と第2参照領域の順累積分布とに基づいて、第1参照領域と第2参照領域との差分を算出する。
【0102】
具体的には、ウインドウサイズ決定部150は、第1参照領域と第2参照領域との差分を以下のように算出する。以下の説明において、基準の累積確率は予め決められている。
まず、ウインドウサイズ決定部150は、第1参照領域の順累積分布から基準の累積確率に対応する信号強度を取得する。取得される信号強度を第1比較強度という。
次に、ウインドウサイズ決定部150は、第2参照領域の順累積分布から基準の累積確率に対応する信号強度を取得する。取得される信号強度を第2比較強度という。
そして、ウインドウサイズ決定部150は、第1比較強度と第2比較強度との差を算出する。算出される差が第1参照領域と第2参照領域との差分である。
【0103】
ステップS243において、ウインドウサイズ決定部150は、第1参照領域に含まれる各画素の信号強度に基づいて、第1参照領域の逆累積分布を算出する。
第1参照領域の逆累積分布は、第1参照領域における各信号強度の確率を信号強度の降順に累積して得られる累積分布である。
具体的には、ウインドウサイズ決定部150は、第1参照領域の確率分布を入力にして逆累積密度関数を計算する。これにより、第1参照領域の逆累積分布が算出される。
【0104】
さらに、ウインドウサイズ決定部150は、第2参照領域に含まれる各画素の信号強度に基づいて、第2参照領域の逆累積分布を算出する。
第2参照領域の逆累積分布は、第2参照領域における各信号強度の確率を信号強度の降順に累積して得られる累積分布である。
具体的には、ウインドウサイズ決定部150は、第2参照領域の確率分布を入力にして逆累積密度関数を計算する。これにより、第2参照領域の逆累積分布が算出される。
【0105】
ステップS244において、ウインドウサイズ決定部150は、第1参照領域の逆累積分布と第2参照領域の逆累積分布とに基づいて、第1参照領域と第2参照領域との差分を算出する。
【0106】
具体的には、ウインドウサイズ決定部150は、第1参照領域と第2参照領域との差分を以下のように算出する。以下の説明において、基準の累積確率は予め決められている。
まず、ウインドウサイズ決定部150は、第1参照領域の逆累積分布から基準の累積確率に対応する信号強度を取得する。取得される信号強度を第1比較強度という。
次に、ウインドウサイズ決定部150は、第2参照領域の逆累積分布から基準の累積確率に対応する信号強度を取得する。取得される信号強度を第2比較強度という。
そして、ウインドウサイズ決定部150は、第1比較強度と第2比較強度との差を算出する。算出される差が第1参照領域と第2参照領域との差分である。
【0107】
ステップS245において、ウインドウサイズ決定部150は、第1参照領域の確率分布と第2参照領域の確率分布とに基づいて、第1参照領域と第2参照領域との差分を算出する。
【0108】
具体的には、ウインドウサイズ決定部150は、第1参照領域と第2参照領域との差分を以下のように算出する。
まず、ウインドウサイズ決定部150は、第1参照領域の確率分布における確率の平均値またはモード(最頻値)を算出する。算出される平均値またはモードを第1統計値という。
次に、ウインドウサイズ決定部150は、第2参照領域の確率分布における確率の平均値またはモードを算出する。算出される平均値またはモードを第2統計値という。
そして、ウインドウサイズ決定部150は、第1統計値と第2統計値との差を算出する。算出される差が第1参照領域と第2参照領域との差分である。
【0109】
ステップS250において、ウインドウサイズ決定部150は、算出された差分を差分閾値と比較する。差分閾値は予め決められた値である。
算出された差分が差分閾値以下である場合、処理は終了する。
算出された差分が差分閾値より大きい場合、処理はステップS251に進む。
【0110】
ステップS251において、ウインドウサイズ決定部150は、ウインドウサイズを予め決められた大きさだけ縮小する。
ステップS251の後、処理はステップS220に進む。
【0111】
ウインドウサイズ決定処理(S200)の終了時におけるウインドウサイズが基準のウインドウサイズである。
【0112】
***実施の形態2の効果***
画像比較装置100は、適切なウインドウサイズを決定することができる。つまり、画像比較装置100は、2枚の画像の差分を算出することが可能な程度に小さいウインドウサイズを決定することができる。
その結果、画像比較装置100は、2枚の画像の差分を正しく算出することができる。
【0113】
***実施の形態の補足***
実施の形態は、好ましい形態の例示であり、本発明の技術的範囲を制限することを意図するものではない。実施の形態は、部分的に実施してもよいし、他の形態と組み合わせて実施してもよい。フローチャート等を用いて説明した手順は、適宜に変更してもよい。
【符号の説明】
【0114】
100 画像比較装置、110 制御部、120 レベル選択部、130 確率分布算出部、131 順累積分布算出部、132 逆累積分布算出部、140 差分算出部、150 ウインドウサイズ決定部、191 記憶部、192 受付部、201 第1画像、202 第2画像、203 ウインドウ、211 ヒストグラム、212 ヒストグラム、213 差分、221 累積確率グラフ、222 累積確率グラフ、223 差分、231 逆累積確率グラフ、232 逆累積確率グラフ、233 差分、901 プロセッサ、902 メモリ、903 補助記憶装置、904 入出力インタフェース。