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特許7198903抗原チップを使用して液体生体試料中の抗体を自動検出するための方法およびそのための抗原チップ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-21
(45)【発行日】2023-01-04
(54)【発明の名称】抗原チップを使用して液体生体試料中の抗体を自動検出するための方法およびそのための抗原チップ
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/543 20060101AFI20221222BHJP
   G01N 37/00 20060101ALI20221222BHJP
【FI】
G01N33/543 521
G01N37/00 102
G01N33/543 531
【請求項の数】 27
(21)【出願番号】P 2021500209
(86)(22)【出願日】2019-06-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-11
(86)【国際出願番号】 EP2019065874
(87)【国際公開番号】W WO2020007597
(87)【国際公開日】2020-01-09
【審査請求日】2021-08-04
(31)【優先権主張番号】18182266.9
(32)【優先日】2018-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516125624
【氏名又は名称】ユーロイミューン・メディツィニシェ・ラボルディアグノシュティカ・アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【弁理士】
【氏名又は名称】徳本 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100180231
【弁理士】
【氏名又は名称】水島 亜希子
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】モルゲンロート,カーチャ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィアテル,ヴァネッサ
(72)【発明者】
【氏名】シュテラー,ウルフ
(72)【発明者】
【氏名】ゲルラッハ,シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】マルツァール,クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】フォークト,ヨルン
(72)【発明者】
【氏名】シュテッカー,ヴィンフリート
【審査官】小澤 理
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/142397(WO,A2)
【文献】特表2013-508719(JP,A)
【文献】特表2016-527918(JP,A)
【文献】特開2003-322651(JP,A)
【文献】特表2013-508732(JP,A)
【文献】米国特許第09566560(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/543
G01N 37/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平基板表面(SU)上に適用され、間隔をあけており、同一かつ共通の色素を含む抗原スポット(AS)を有する水平基板表面を有する抗原チップ(A2、A11、A12、A21、A22)であって、
前記抗原スポット(AS)が、対応するそれぞれの規則的な抗原スポットパターン(AM、AM1、AM2)を形成するそれぞれの抗原スポットセット(AG)を形成し、
一の抗原スポットセット(A1)における抗原スポット(AS)が同一かつ共通の種類の抗原を含み、前記一の抗原スポットセット(A1)とは異なる他の抗原スポットセット(A2)における抗原スポット(AS)が前記同一かつ共通の種類の抗原とは異なる種類の抗原を含み、
参照スポット(RS)が前記水平基板表面(SU)上にさらに適用され、前記参照スポットが、規則的な参照パターン(RM)を形成する参照スポットセットを形成し、
さらに前記規則的な参照パターン(RM)が、前記規則的な抗原スポットパターン(AM、AM1、AM2)とは異なるグリッドに沿っており、かつ、その規則性が異なり、
前記参照スポット(RS)が前記同一かつ共通の色素を同様に含む、抗原チップ(A2、A11、A12、A21、A22)。
【請求項2】
前記規則的な参照パターン(RM)が、以下の基準:
- 前記規則的な参照パターン(RM)内および前記規則的な抗原スポットパターン(AM、AM1、AM2)内で、それぞれに関するスポットがそれぞれの規則的な距離(SD1、SD2)で互いに続き、前記規則的な参照パターン(RM)の前記参照スポット(RS)の前記規則的な距離(SD1)が、前記規則的な抗原スポットパターン(AM、AM1、AM2)の前記抗原スポット(AS)の前記規則的な距離(SD2)と異なること、
- 前記規則的な参照パターン(RM)が、直近に隣接するパターンに対して、前記規則的な抗原スポットパターン(AM、AM1、AM2)の他の近接距離と異なるような近接距離を有すること、
- 前記規則的な参照パターン(RM)内および前記規則的な抗原スポットパターン(AM、AM1、AM2)内で、前記それぞれに関するスポットが、前記規則的な参照パターン(RM)の前記参照スポット(RS)のサイズと前記規則的な抗原スポットパターン(AM、AM1、AM2)の前記抗原スポット(AS)のサイズとが異なるように、それぞれの同一のサイズを有すること
のうちの1つまたは複数によって前記規則的な抗原スポットパターン(AM、AM1、AM2)とはその規則性が異なる、請求項1に記載の抗原チップ(A2、A11、12、A21、A22)。
【請求項3】
前記規則的な参照パターン(RM)および前記規則的な抗原スポットパターン(AM、AM1、AM2)が、前記規則的な参照パターン(RM)および前記規則的な抗原スポットパターン(AM、AM1、AM2)を含むパターン(RM、AM、AM1、AM2)の配置方向(ANR)に沿って配置され、
前記規則的な参照パターン(RM)および前記規則的な抗原スポットパターン(AM、AM1、AM2)が、前記規則的な参照パターンおよび前記規則的な抗原スポットパターン(AM、AM1、AM2)を含むパターン(RM、AM、AM1、AM2)の前記配置方向(ANR)に対して直交するそれぞれの展開方向(ABR)を有する、請求項1または2に記載の抗原チップ(A2、A11、A12、A21、A22)。
【請求項4】
前記参照スポットセットの前記参照スポット(RS)が規則的な参照パターン(RM)を形成し、さらに前記それぞれの抗原スポットセットの前記それぞれの抗原スポット(AS)が、それぞれの規則的な抗原スポットパターン(AM、AM1、AM2)を形成し、
前記規則的な参照パターン(RM)および前記規則的な抗原スポットパターン(AM、AM1、AM2)が相互に平行である、請求項1または2に記載の抗原チップ(A2、A11、A12、A21、A22)。
【請求項5】
前記同一かつ共通の色素が蛍光色素である、請求項1に記載の抗原チップ(A2、A11、A12、A21、A22)。
【請求項6】
第2の色素が蛍光色素である、請求項1に記載の抗原チップ(A2、A11、A12、A21、A22)。
【請求項7】
前記参照スポットセットの前記参照スポット(RS)が、前記規則的な抗原スポットパターン(AM、AM1、AM2)の前記抗原スポットに含まれる色素濃度より高い色素濃度で色素を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の抗原チップ(A2、A11、A12、A21、A22)。
【請求項8】
前記参照スポット(RS)が、第1の参照スポットセットを形成する第1の参照スポットであり、これにより第1の規則的な参照パターン(RM)が形成され、
第2の参照スポットが第2の参照スポットセットを形成し、これにより第2の規則的な参照パターン(RM2)が形成され、ここで、前記第2の参照スポットが前記同一かつ共通の色素を同様に含み、
さらに、前記第2の規則的な参照パターン(RM2)が、前記規則的な抗原スポットセットの前記規則的な抗原スポットパターン(AM、AM1、AM2)とはその規則性が異なり、さらに、前記第1の参照スポットの前記第1の規則的な参照パターン(RM)ともその規則性が異なる、請求項1~5のいずれか1項に記載の抗原チップ(A2、A11、A12)。
【請求項9】
前記参照スポット(RS)が抗原をさらに含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の抗原チップ。
【請求項10】
前記参照スポット(RS)が、抗体をさらに含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の抗原チップ。
【請求項11】
抗原チップ(A2、A11、A12、A21、A22)の使用によって液体生体試料中の抗体を自動検出するための方法であって、
請求項1~10のいずれか1項に記載の抗原チップ(A2、A11、A12、A21、A22)を準備するステップ(S1)と、
前記抗原チップ(A2、A11、A12、A21、A22)のスポットを前記液体生体試料とともにインキュベートするステップ(S2)と、
前記スポットを、第2の色素で標識した二次抗体を含むコンジュゲートとともにインキュベートするステップ(S3)と、
第1の色素による前記参照スポット(RS)および前記抗原スポット(AS)の染色を表す少なくとも1つの第1の画像情報項目(BI1、BI11)を収集または提供するステップ(S4)と、
前記少なくとも1つの第1の画像情報項目(BI1、BI11)に基づいて前記規則的な参照パターン(RM)および関連する参照位置を検出するステップ(S5)と、
前記少なくとも1つの第1の画像情報項目(BI1、BI11)に基づいてそれぞれの規則的な抗原スポットパターン(AM、AM1、AM2)およびそれぞれの関連するさらなる位置を検出するステップ(S6)と、
前記検出された参照位置および前記検出されたさらなる位置に基づいて、それぞれの種類の抗原に対する前記それぞれの規則的な抗原スポットパターン(AM、AM1、AM2)の割当を示す、割当情報項目(ZI)を生成するステップ(S7)と、
前記第2の色素による前記抗原スポットの潜在的な染色を表す第2の画像情報項目(BI2、BI12)を収集または提供するステップ(S8)と、
前記第2の画像情報項目(BI2、BI12)および前記割当情報項目(ZI)に基づいて、それぞれの種類の抗原に対する前記液体生体試料の抗体のそれぞれの結合を示す、それぞれの結合の測定値を決定するステップ(S9)と
を含む、方法。
【請求項12】
液体生体試料中の抗体を検出するための自動画像処理のための方法であって、
第1の色素による請求項1~10のいずれか1項に記載の抗原チップ(A2、A11、A12、A21、A22)の参照スポット(RS)および抗原スポット(AS)の染色を表す少なくとも1つの第1の画像情報項目(BI1、BI11)を提供または収集するステップ(S4)と、
前記規則的な参照パターン(RM)および関連する参照位置を検出するステップ(S5)と、
前記少なくとも1つの第1の画像情報項目(BI1、BI11)に基づいて、前記それぞれの規則的な抗原スポットパターン(AM、AM1、AM2)およびそれに関連するそれぞれのさらなる位置を検出するステップ(S6)と、
前記検出された参照位置および前記検出されたさらなる位置に基づいて、それぞれの種類の抗原に対する前記それぞれの規則的な抗原スポットパターン(AM、AM1、AM2)の割当を示す、割当情報項目(ZI)を生成するステップ(S7)と、
前記抗原チップの前記参照スポット(RS)および前記抗原スポット(AS)を含むスポットを、前記液体生体試料と、第2の色素で標識された二次抗体を含むコンジュゲートとともにインキュベートした後、前記第2の色素による前記抗原チップ(A2、A11、A12、A21、A22)の前記抗原スポットの潜在的な染色を表す第2の画像情報項目(BI2、BI12)を提供または収集するステップ(S8)と、
前記第2の画像情報項目(BI2、BI12)に基づいて、それぞれの種類の抗原に対する前記液体生体試料の抗体のそれぞれの結合を示すそれぞれの結合の測定値を決定するステップ(S9)と
を含む、方法。
【請求項13】
前記抗原チップが請求項8に記載の抗原チップであり、
前記参照位置が第1の参照位置であり、
前記第1の画像情報項目(BI1、BI11)に基づいて、前記第2の規則的な参照パターン(RM2)および関連する第2の参照位置を検出するステップと、
前記検出された第1の参照位置、前記検出された第2の参照位置および前記検出されたさらなる位置に基づいて、前記それぞれの種類の抗原に対する前記それぞれの規則的な抗原スポットパターン(AM、AM1、AM2)の割当を示す、前記割当情報項目(ZI)を生成するステップと
をさらに含む、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
それぞれの種類の抗原に対する前記それぞれの規則的な抗原スポットパターン(AM、AM1、AM2)の割当が、
前記参照位置および前記さらなる位置の空間配列を決定するステップと、
種類の抗原の配列を示す配列データセット(ADS)を提供するステップと、
前記検出された参照位置、前記検出されたさらなる位置および前記配列データセット(ADS)に基づいて、前記それぞれの種類の抗原に対する前記それぞれの規則的な抗原スポットパターン(AM、AM1、AM2)の割当を示す、前記割当情報項目(ZI)を生成するステップと
によって達成される、請求項11または12に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の画像情報項目(BI1、BI11)が、少なくとも1つのデータインターフェース(DS)を介して受信され、少なくとも1つの記憶装置(MEM)によって提供され、
前記第2の画像情報項目(BI2、BI12)が、前記データインターフェース(DS)を介して受信され、前記記憶装置(MEM)によって提供される、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
免疫診断のための抗原チップ(A2、A11、A12、A21、A22)を製造するための方法であって、
水平基板表面(SU)を有する基板を準備するステップと、
前記水平基板表面(SU)に参照スポット(RS)を適用するステップと、
前記水平基板表面(SU)に抗原スポット(AS)を適用するステップと
を含み、
前記抗原チップ(A2、A11、A12、A21、A22)の前記参照スポット(RS)および前記抗原スポット(AS)が、請求項1~10のいずれか1項に記載の抗原チップに従って実現されるように前記参照スポットおよび前記抗原スポット(AS)の適用が実施される、方法。
【請求項17】
複数の抗原チップ(A11、A12)を得るために前記水平基板表面(SU)を細分化するステップをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記水平基板表面(SU)が、ガラス基板または膜および/もしくはフィルムでコーティングされたガラス基板の表面である、請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
液体生体試料中の抗体を検出するための自動画像処理のためのデバイス(V1)であって、
- 第1の色素による請求項1~10のいずれか1項に記載の抗原チップ(A2、A11、A12、A21、A22)の参照スポット(RS)および抗原スポット(AS)の染色を表す第1の画像情報項目(BI1、BI11)を収集するための、および
- さらに、前記抗原チップの前記参照スポット(RS)および前記抗原スポット(AS)を含むスポットを、前記液体生体試料と、第2の色素で標識された二次抗体を含むコンジュゲートとともにインキュベートした後、前記第2の色素による請求項1~10のいずれか1項に記載の抗原チップ(A2、A11、A12、A21、A22)の前記抗原スポット(AS)の潜在的な染色を表す第2の画像情報項目(BI2、BI12)を収集するための、
少なくとも1つの画像収集装置(K1、K2)と、さらに
- 前記第1の画像情報項目(BI1、BI11)の少なくとも1つに基づいて前記規則的な参照パターン(RM)および関連する参照位置を検出し、
- 前記第1の画像情報項目(BI1、BI11)の少なくとも1つに基づいて前記それぞれの規則的な抗原スポットパターン(AM、AM1、AM2)およびそれぞれの関連するさらなる位置を検出し、
- 前記検出された参照位置および前記検出されたさらなる位置に基づいて、それぞれの種類の抗原に対する前記それぞれの規則的な抗原スポットパターン(AM、AM1、AM2)の割当を示す、割当情報項目(ZI)を生成し、
- ならびに、前記第2の画像情報項目(BI2、BI12)に基づいてそれぞれの種類の抗原に対する前記液体生体試料の抗体のそれぞれの結合を示すそれぞれの結合の測定値を決定する
ように設計されている、少なくとも1つの演算装置(R)と
を備える、デバイス(V1)。
【請求項20】
前記第1の色素による第1の波長範囲の第1の蛍光の放出を励起するための励起光(AL)を発するための少なくとも1つの照明装置(FL)
をさらに備える、請求項19に記載のデバイス。
【請求項21】
前記第2の色素による第2の波長範囲の第2の蛍光の放出を励起するための励起光(AL)を発するための少なくとも1つの照明装置(FL)
をさらに備える、請求項19に記載のデバイス。
【請求項22】
液体生体試料中の抗体を検出するための自動画像処理のためのデータネットワークデバイス(V2)であって、
- 第1の色素による請求項1~10のいずれか1項に記載の抗原チップ(A2、A11、A12、A21、A22)の参照スポット(RS)および抗原スポット(AS)の染色を表す第1の画像情報項目(BI1、BI11)を受信するための、および
- さらに、前記抗原チップの前記参照スポット(RS)および前記抗原スポット(AS)を含むスポットを、前記液体生体試料と、および第2の色素で標識された二次抗体を含むコンジュゲートとともにインキュベートした後、第2の色素による請求項1~10のいずれか1項に記載の抗原チップ(A2、A11、A12、A21、A22)の前記抗原スポット(AS)の潜在的な染色を表す第2の画像情報項目(BI2、BI12)を受信するための、
少なくとも1つのデータインターフェース(DS)と、さらに、
- 前記第1の画像情報項目(BI1、BI11)の少なくとも1つに基づいて前記規則的な参照パターン(RM)および関連する参照位置を検出し、
- 前記第1の画像情報項目(BI1、BI11)の少なくとも1つに基づいて前記それぞれの規則的な抗原スポットパターン(AM、AM1、AM2)およびそれぞれの関連するさらなる位置を検出し、
- 前記検出された参照位置および前記検出されたさらなる位置に基づいて、それぞれの種類の抗原に対する前記それぞれの規則的な抗原スポットパターン(AM、AM1、AM2)の割当を示す、割当情報項目(ZI)を生成し、
- ならびに前記第2の画像情報項目(BI2、BI12)に基づいてそれぞれの種類の抗原に対する前記液体生体試料の抗体のそれぞれの結合を示すそれぞれの結合の測定値を決定する
ように設計されている、少なくとも1つの演算装置(R2)と
を備える、データネットワークデバイス(V2)。
【請求項23】
コンピュータによるプログラムの実行時に、請求項12~15のいずれか1項に記載の方法を実施するように前記コンピュータに指示するコマンドを備える、コンピュータプログラム。
【請求項24】
請求項23に記載のコンピュータプログラムを送信するデータキャリア信号であって、前記データキャリア信号が、前記コンピュータプログラムを送信するためのダウンロードデータ信号である、データキャリア信号。
【請求項25】
請求項1~10のいずれか1項に記載の抗原チップ(A)を複数備えるスライド(OT)。
【請求項26】
請求項1~10のいずれか1項に記載の少なくとも1つの抗原チップ(A2、A11、A12、A21、A22)と、
さらに第2の色素で標識された二次抗体を含むコンジュゲートと
を備える、試料中の抗体を検出するための方法に使用するためのキット。
【請求項27】
前記第2の色素が、蛍光色素、発色基質、酵素または化学発光反応のための基質である、請求項26に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗原チップの使用によって液体生体試料中の抗体を自動検出するための方法およびそのための対応する抗原チップに関する。
【0002】
本発明はさらに、液体生体試料中の抗体を検出するための自動画像処理するための方法に関する。
【0003】
本発明はさらに、液体生体試料中の抗体を検出するための自動画像処理するためのデバイスに関する。
【0004】
本発明はさらに、液体生体試料中の抗体を検出するための自動画像処理するためのデータネットワークデバイスに関する。
【0005】
本発明はさらに、コンピュータによるプログラムの実行時に、液体生体試料中の抗体を検出するための自動画像処理するための方法を実施するように前記コンピュータに指示するコマンドを含むコンピュータプログラム製品に関する。
【0006】
本発明はさらに、コンピュータプログラム製品を送信するデータキャリア信号に関する。
【0007】
本発明はさらに、抗原チップを製造するための方法に関する。
【0008】
本発明はさらに、複数の抗原チップを含むスライドに関する。
【0009】
本発明はさらに、少なくとも1つの抗原チップを含む、試料中の抗体を検出するための方法に使用するためのキットに関する。
【0010】
本出願の文脈において、液体の生体試料はまた、患者からの液体患者試料と称されることがある。液体患者試料の例は、血液成分を含む液体患者試料である。特に、液体患者試料は血清であり得る。
【背景技術】
【0011】
例えば血清などの液体生体試料中の抗体の存在が抗原によって検出される診断方法が知られている。この目的のために、チップとも呼ばれる基板が使用され、その表面上に抗原がゲル滴またはスポットの形態で適用される。適用後、液滴またはスポットは基板の表面上で乾燥する。特定のタイプの抗体が液体生体患者試料中に存在するかどうかを検出するために、スポットが最初に試料とともにインキュベートされ、次いで抗体が抗原のタイプおよび抗体のタイプに応じて抗原に結合することが可能になる。試料の抗体は時折、このような方法において第1の抗体とも称される。次いでこの後に行われることは、スポットの、次に色素で標識される第2の抗体を含むコンジュゲートとのインキュベーションである。次いで第2の抗体は第1の抗体に結合し、その結果、次いで色素によるスポットの色の検出によって、特定のタイプの第1の抗体が試料中に存在するかまたは存在したかどうかについての情報を得るために抗原に対する第1の抗体の結合を間接的に検出することが可能になる。ここで、色素は、例えば、蛍光色素であってもよい。
【0012】
WO2012/094427A1は、蛍光検出による抗体の蛍光検出のための方法を開示している。米国特許出願公開第2005/0124017号は、画像のスキャニングを含む、試料中のタンパク質、抗体、薬物または他のリガンドの検出のための蛍光イメージングを開示している。米国特許出願公開第2004/0253640号は、免疫蛍光による標的タンパク質の検出のための、タンパク質がプリントされたマイクロアレイを開示している。WO2017/025954A1は免疫蛍光検出のための抗原チップを開示しており、この抗原チップは検出の目的のために走査されるものである。WO2012/052994A2は免疫応答のハイスループット特性付けのためのマイクロアレイを開示している。WO2012/037369Aは蛍光検出による抗体検出を開示している。WO2004/027379Aは、抗原マイクロアレイに結合している一次抗体の検出のためのローリングビーズ技術を開示している。WO2000/063701A2は、例えば、抗体の検出のためのポリペプチドのマイクロアレイ、使用される蛍光検出および走査されるマイクロアレイを開示している。WO2011/101487A1は、合成基質および細胞基質に結合している抗体の同時検出による疾患診断のための方法を開示しており、抗体は間接免疫蛍光によって検出される。合成基質は、精製された天然抗原または組換え抗原でコーティングされた微粒子またはビーズであり、蛍光顕微鏡はカメラおよび走査システムを備える。EP2362222は、細胞基質もしくは組織基質に結合しているか、または例えば、特定の抗原でコーティングされた微粒子もしくはビーズなどの合成基質に結合している抗体の同時検出を含む、疾患診断のための方法を開示している。これは、結合抗体、基質、および異なる蛍光色を有する結合抗体の検出のために多色蛍光顕微鏡法を使用することを含む。
【0013】
例えば、米国特許出願公開第20170016052号などの先行技術によれば、抗原スポットは、第1の色チャネルで見えるようになる、いわゆる第1の色素を含むことができることが公知である。次いで第2の抗体を標識するために使用される色素は、いわゆる第2の色素と称され、これは次に第2の色チャネルにおいて見えるようになる。ここで、位置の識別は、先行技術において、異なる抗原を含む異なるスポットを有する、市松模様パターンに対応する規則的なグリッドの形態で全てのスポットを配置することによって達成される。第1の色素に基づいて、次いでスポットは第1の色チャネルの第1の画像における基板上の位置またはそれらの場所に関して識別され得る。なぜなら第1の色素はスポットの抗原と試料の抗体との結合に関係なく存在するか、または目に見えるからである。したがって第1の色チャネルの第1の画像において、それらの位置に関して、または場所に関して第1の色素を含む全てのスポットを識別することが可能になる。次いで第1の画像に基づいて、グリッドは、グリッドの個々のフィールドが各々正確に1つのスポットを包囲するように画像に対してまたは全てのスポットに対して位置合わせされる。したがって、この固定されたグリッドは、全てのフィールドにおいて、1つの固定されたパターンのスポットに対して正確なアラインメントを必要とする。グリッドが第1の画像に一致すると、次いでグリッド内の個々のグリッド位置または個々のフィールド位置を使用して、どの特定のフィールドからのどの特定の識別されたスポットがどの正確な抗原を有するかを、関連するデータ情報項目に基づいて、それぞれ規定または特定することができる。したがって、特定の抗原を含む特定の抗原スポットは、誤りなくこのような抗原割当を実施することができるように、グリッドの特定のフィールドにおいて常に正確に識別されなければならない。次いで第1の色チャネルの画像において得られるような、スポットについての位置情報項目を使用して、正確にその位置にある第2の色素による色が、特定の種類の抗原に対する第1の抗体の結合を示すかどうかを、第2の色チャネルの画像に基づいて規定することができる。
【0014】
図1は、一例として、第1の色チャネルまたは第1の色素についての記録された画像領域Bについての抗原スポットASを有する、先行技術から公知の抗原チップACを示す。同様に、生成または識別されるグリッドRが示されている。チップACはスポットパターンSMを有する。抗原スポットASXは抗原スポットASYとは異なる抗原を有すると想定される。したがって、左上の抗原スポットASXは、特定の抗原に対する割当が正しく行われ得るように、グリッドの左上のフィールドFXに位置しなければならない。
【0015】
図2は、スポットASの正確または精密な局所的配置がチップACの基板上になされなかった構成を示す。したがって、スポットASXはチップAC上および画像領域B内に部分的にしか存在せず、このことは、グリッドR自体は検出され得るが、スポットASX、ASYに対するフィールドFX、FYの不整合が生じる場合があることを意味する。したがって、スポットASYに割当てられたグリッドフィールドFXに基づくスポットASYに対する種類の抗原の割当は不正確になるので、特定の抗原に対する生体試料の抗体の結合に関する結合の検出も不正確になる。この誤検出は特に、スポットパターンSM全体が製造プロセスの一部として反復的な様式で方向RIに反復される場合に生じ、このことは、スポットASXと同じ抗原を有する抗原スポットASX2が存在することを意味する。したがって、抗原スポットASX、ASY、ASZに対する種類の抗原の誤割当を回避するために、スポットパターンSM全体は製造プロセスの間にチップAC上にまさしく正確に位置決めされなければならない。したがって、先行技術は、異なる種類の抗原を含む異なる抗原スポットを有する基板または抗原チップの製造に関して高い精度を必要とする。先行技術から公知の抗原チップはさらに、例えば、パターンSMのスポットASZ、ASWなどの抗原スポットの位置偏差に敏感である。
【発明の概要】
【0016】
したがって、提案されるものは、抗原チップの使用による、液体生体試料中の抗体を自動検出するための本発明による方法、および対応する本発明による抗原チップである。
【0017】
本発明による抗原チップは、水平基板表面上に適用され、間隔をあけており、同一かつ共通の色素を含む抗原スポットを有する水平基板表面を有する。前記色素はまた、第1の色素とも称されることがある。ここで、抗原スポットはそれぞれの規則的な抗原スポットパターンを形成するそれぞれの抗原スポットセットを形成し、同じ抗原スポットセットの抗原スポットは同一かつ共通の種類の抗原を含む。ここで、抗原スポットセットの2つ以上は異なる種類の抗原を含む。本発明による抗原チップは、同一かつ共通の色素を同様に含む参照スポットが基板表面上にさらに適用されることを特徴とする。参照スポットは参照スポットセットを形成し、次にその参照スポットセットは、特にパターンが互いに続く配置方向に沿って規則的な参照パターンを形成する。参照パターンは、その規則性が、抗原スポットパターンまたは抗原スポットパターンの規則性とは異なる。
【0018】
次いで、本発明による抗原チップは、液体生体試料中の抗体を自動検出するための本発明による方法に使用される。ここで、同一かつ共通の色素は単に第1の色素とも称される。この方法はまず、抗原チップのスポットを生体試料とともにインキュベートするステップを含む。さらに、スポットは第2の色素で標識された二次抗体を含むコンジュゲートとともにインキュベートされる。これにより、特定の抗原スポット上で、抗原スポットの抗原のタイプに応じて、および試料中に存在する一次抗体に応じて、二次抗体、およびしたがって第2の色素の上記の結合が生じ得る。次いでこの方法は、第1の色素による参照スポットおよび抗原スポットの染色を表す第1の画像情報項目を収集または提供するステップを含む。次いで行われることは、少なくとも1つの第1の画像情報項目に基づく参照パターンおよび参照パターンに関連する参照位置の検出である。次いでさらに行われることは、少なくとも1つの第1の画像情報項目に基づくそれぞれの抗原スポットパターンおよびそれぞれの関連するさらなる位置の検出である。さらに行われることは、検出された参照位置および検出されたさらなる位置に基づく、それぞれの種類の抗原に対するそれぞれの抗原スポットパターンの割当を示す割当情報項目の生成である。最後に行われることは、第2の色素による抗原スポットの潜在的な染色を表す第2の画像情報項目の収集または提供である。最終的に行われることは、第2の画像情報項目および割当情報項目に基づく、それぞれの種類の抗原に対する生体試料の抗体のそれぞれの結合を示すそれぞれの結合の測定値の決定である。
【0019】
特に、参照パターンおよび抗原パターンは、パターンの配置方向に沿って配置され、さらに、特に、参照パターンおよび抗原パターンは、パターンの配置方向に対して実質的に直交するそれぞれの展開方向を有する。
【0020】
参照パターンおよび抗原スポットパターンは、好ましくは、パターンの配置方向に対して垂直なそれぞれの展開方向を有する。パターンの展開方向は好ましくは互いに対して実質的に平行である。
【0021】
本発明による抗原チップ上で、抗原スポットおよび参照スポットは、好ましくはいわゆる赤色チャネルである、第1の色チャネルにおいて見ることができる同一かつ共通の色素を含む。
【0022】
本発明による抗原チップおよび本発明による方法は、本明細書以下に詳細に説明している、以下にこれから述べる利点のうちの1つまたは複数を達成する。
【0023】
抗原チップは、抗原スポットの抗原スポットパターンとはその規則性が異なる別個の規則的な参照パターンを形成する参照スポットを含むので、第1の色チャネルまたは第1の画像情報項目における参照パターンの位置または場所を検出することが可能となる。抗原スポットパターンは、パターンの種類または規則性が参照パターンのそれらと異なるので、抗原スポットパターンは基板表面上の位置または場所について別々に検出することができる。次いで抗原スポットパターンのどれがどの種類の抗原を含むかを簡単に規定することが可能になる。なぜなら、さらなる抗原スポットパターンのさらなる位置に関連する参照パターンの参照位置が、抗原スポットパターンの配列がパターンの配置方向において基板表面上にどこからまたはどの位置から続くかを示すからである。したがって、特定の種類の抗原を有する特定の抗原スポットパターンは、画像または基板表面のまさしく特定の部位に配置される必要はない。逆に、抗原スポットパターンは、パターンの配置方向に沿って参照パターンの参照位置に対して特定の位置に配置されていれば十分である。次いでそれぞれの種類の抗原に対するそれぞれの抗原スポットパターンの割当を示す割当情報項目の生成は、例えば、参照パターンの位置に関連する抗原スポットパターンの位置に応じて、そのような割当を示すデータセットを提供することによって達成することができる。結果として本発明による方法は特にロバストになる。なぜなら対応するパターンが、例えば、その位置に関して他のパターンに対して十分に目立つように、抗原スポットパターンとして特定の抗原スポットセットの抗原スポットを配置することを必要とするだけであるからである。先行技術による解決策の場合、抗原スポットは別個の規則的なパターンを形成しないが、代わりに市松模様のようにまさしく異なる位置に配置されるため、スポットに対する特定の種類の抗原の割当については、基板表面上または画像上のスポットの個々のアラインメントに対して非常に高精度になる。
【0024】
本発明による抗原チップは特にさらに有利である。なぜなら、上記したように、重要なことは、基板表面上のパターンの配置方向におけるまたは配置方向に沿った参照パターンおよび抗原スポットパターンの配列だけであり、このことは参照パターンおよびさらなる抗原スポットパターンが、規則的な配列で配置方向に沿って互いの後に現れなければならないことのみを意味するからである。これは製造プロセスに関して特に有利である。なぜなら、周期的、反復的または繰り返し的な様式でパターン全体を適用する場合、それによりパターン全体が周期的に互いの後に反復され、その後、各々、パターン全体を有する複数の抗原チップを製造するためにパターン全体がそれ自体で反復するその部位において、基板支持体を正確に分離または細分化する必要がないからである。唯一必要なことは、全ての所望される抗原スポットセットまたは抗原スポットパターンおよび参照パターンまたは参照スポットセットの各々が、製造される抗原チップ上で少なくとも1回発生することである。このようなパターン全体またはこのような前記抗原スポットパターンおよび参照パターンの配列は、通常、基板支持体上のパターンの配置方向に沿った所定の距離を介して生じる。本発明による抗原チップにおける前記距離を正確に観察する必要はなく、代わりに、パターンの配置方向に沿ったパターン全体の繰り返し距離が抗原チップの製造において不足しないようにするだけで十分である。例えば、基板表面は、単に、全ての異なるパターンが少なくとも1回その中に含まれる配置方向におけるパターン全体の繰り返し距離より長い、配置方向に沿ったそのような距離の後に、分離または細分化されてもよい。2つの細分化部位の間の距離は、パターン全体の繰り返し距離より長く、さらにまた、パターン全体の繰り返し距離の2倍より短くても足りる。ここで、特にパターンの配置方向に対して垂直な方向において分離または細分化が実施される。
【0025】
本明による抗原チップおよび本発明による方法はさらに有利である。なぜなら、先行技術の解決策においては、全てのスポットは、全ての隣接するスポットの間に同一の距離を有する明確に規定され、固定されたパターンに適合しなければならないが、本発明による方法では、特定のパターン内の個々のスポットのわずかなミスアラインメントが先行技術の解決策よりも低い感度で反応する効果があるからである。本発明による抗原チップの場合、基板表面上の互いに続く配置方向に沿ったパターンの配置において、互いに関連するパターンの間隔もまた、異なるパターンの間で異なってもよいことが簡単に可能になる。例えば、パターンが、パターンの規則性によって本発明による方法において識別または検出される場合、対応するスポットセットのスポットまたは関連するスポットパターンは、平均して互いから特定の距離を有し、次の隣接するパターンが、先行するパターンに関して、他のパターンの間の別の近接距離と比較して異なり得る近接距離を有することが可能になる。それにもかかわらず、本発明による抗原チップの画像分析によって、本発明による方法は依然としてパターンの対応する位置をロバストに識別し、それぞれのスポットをそれぞれの種類の抗原に割当てることができる。
【0026】
参照パターンおよび抗原パターンに関して、参照パターンの規則性は、パターン、すなわち参照パターンおよび抗原スポットパターンが共通の規則的なパラメーターを有し、その値が、参照パターンにおいては、抗原スポットパターンの前記規則的なパラメーターの値と異なるという点で、抗原スポットパターンの規則性と異なることをさらに述べることができる。
【0027】
好ましくは、同一かつ共通の色素は、第1の蛍光色素とも称されることがある蛍光色素である。あるいは、同一かつ共通の色素は、発色性色変化の目的のために、次にコンジュゲートに存在する酵素との結合を形成することができる発色基質であり、それによって抗原チップのスポットがインキュベートされ得る。
【0028】
好ましくは、第2の色素は、第2の蛍光色素と称されることがある蛍光色素である。
【0029】
1つの方法ステップにおいて、それぞれの蛍光色素は、それぞれの異なる蛍光波長のそれぞれの蛍光を放出するためのそれぞれの異なる励起波長または同一の励起波長の励起光を放射することによって励起され得る。ここで、2つの蛍光色素についての励起光波長は、重複してもよいか、またはそうでなければ同一であってもよい。
【0030】
好ましくは、抗原チップは、同一かつ共通の色素が蛍光色素であることを特徴とする。
【0031】
好ましくは、抗原チップは、第2の色素が蛍光色素であることを特徴とする。
【0032】
一実施形態によれば、抗原チップは、参照パターンが、以下の基準:
a)参照パターン内および抗原スポットパターン内で、それぞれに関連するスポットがそれぞれの規則的な距離で互いに続き、参照パターンの参照スポットの規則的な距離が、抗原スポットパターンの抗原スポットの規則的な距離と異なり;そのため、規則的な距離が、パターンの規則性パラメーターであること、
b)参照パターンが、直近に隣接するパターンに対して、抗原スポットパターンの他の近接距離と異なるような近接距離を有し;そのため、パターンの配置方向における隣接するパターンに関連する近接距離が、パターンの規則性パラメーターであること、
c)参照パターン内および抗原スポットパターン内で、それぞれに関連するスポットが、参照パターンの参照スポットのサイズが抗原スポットパターンの抗原スポットのサイズと異なるように、それぞれの同一のサイズを有し;そのため、パターンのスポットの同一のサイズが、パターンの規則性パラメーターであること
のうちの1つまたは複数によって抗原スポットパターンとその規則性が異なることを特徴とする。
【0033】
一実施形態によれば、抗原チップは、参照スポットセットの参照スポットが参照ラインパターンを形成すること、およびさらにそれぞれの抗原スポットセットのそれぞれの抗原スポットがそれぞれの抗原ラインパターンを形成することを特徴とする。
【0034】
一実施形態によれば、抗原チップは、参照ラインパターンが、以下の基準:
a)参照ラインパターン内および抗原ラインパターン内で、それぞれに関連するスポットがそれぞれの規則的な距離で互いに続き、参照ラインパターンの参照スポットの規則的な距離が、抗原ラインパターンの抗原スポットの規則的な距離と異なること、
b)参照ラインパターンが、直近に隣接するラインパターンに関して、抗原ラインパターンの他の近接距離と異なる近接距離を有すること、
c)参照ラインパターン内および抗原ラインパターン内で、それぞれに関連するスポットが、参照ラインパターンの参照スポットのサイズが抗原ラインパターンの抗原スポットのサイズと異なるように、それぞれの同一のサイズを有すること
のうちの1つまたは複数によって抗原ラインパターンとはその規則性が異なることを特徴とする。
【0035】
好ましくは、パターンの少なくとも1つについてのパターン内での抗原スポットの相互間の距離は、パターンの配置方向において、隣接するパターンに関するパターンの間隔距離または近接距離と異なる。
【0036】
好ましくは、抗原チップは、参照スポットがさらに抗原を含むことを特徴とする。
【0037】
好ましくは、抗原チップは、参照スポットがさらに抗体、特にIgGを含むことを特徴とする。
【0038】
液体生体試料中の抗体を自動検出するための本発明による方法に関して、好ましくは行われることは、特にデータインターフェースを介して出力されるデータ要素の形態での、結合の測定値の出力である。
【0039】
さらに提案されることは、液体生体試料中の抗体を検出するための自動画像処理するための方法であって、
- 本明細書で提案されている実施形態のいずれかに従う本発明による抗原チップの参照スポットおよび抗原スポットの染色を表す第1の画像情報項目を、第1の色素により提供または収集するステップと、
- 少なくとも1つの第1の画像情報項目に基づいて、参照パターンおよび関連する参照位置を検出するステップと、
- 少なくとも1つの第1の画像情報項目に基づいて、それぞれの抗原スポットパターンおよびそれぞれの関連するさらなる位置を検出するステップと、
- 検出された参照位置および検出されたさらなる位置に基づいて、それぞれの種類の抗原に対するそれぞれの抗原スポットパターンの割当を示す割当情報項目を生成するステップと、
- 抗原チップを、生体試料と、および第2の色素で標識された二次抗体を含むコンジュゲートとともにインキュベートした後、本明細書に提案されている実施形態のいずれかに従う本発明による抗原チップの抗原スポットの潜在的な染色を表す第2の画像情報項目を、第2の色素により提供または収集するステップと、
- 第2の画像情報項目に基づいて、それぞれの種類の抗原に対する生体試料の抗体のそれぞれの結合または結合の程度を示すそれぞれの結合の測定値を決定するステップと、
を含む、方法である。
【0040】
液体生体試料の抗体を検出するための自動画像処理するための方法において、第1の画像情報項目は、少なくとも1つのデータインターフェースを介して受信され、少なくとも1つの記憶装置によって提供されることが好ましく、第2の画像情報項目は、データインターフェースを介して受信され、記憶装置によって提供されることがさらに好ましい。
【0041】
抗原チップが、第1の規則的な参照パターンおよび第2の規則的な参照パターンを形成するための上述の第1および第2の参照スポットを有する場合、さらなるステップが、液体生体試料中の抗体を自動検出するための方法において、および液体生体試料中の抗体を検出するための自動画像処理するための方法において、好ましくは実施される。好ましくは実施される前記さらなるステップは、
- 第1の画像情報項目に基づいて、第2の参照パターンおよび第2の関連する参照位置を検出するステップ、
- 検出された第1の参照位置、検出された第2の参照位置および検出されたさらなる位置に基づいて、それぞれの種類の抗原に対するそれぞれの抗原スポットパターンの割当を示す、割当情報項目を生成するステップ
である。
【0042】
抗体を自動検出するための方法および自動画像処理するための方法において、それぞれの種類の抗原に対するそれぞれの検出された抗原スポットパターンの割当は、好ましくは実施されるさらなるステップである、
- 参照位置およびさらなる位置の空間配列を決定するステップ、
- 種類の抗原の配列を示す配列データセットを提供するステップ、
- 検出された参照位置、検出されたさらなる位置および配列データセットに基づいて、それぞれの種類の抗原に対するそれぞれの抗原スポットパターンの割当を示す、割当情報項目を生成するステップ
によって達成される。
【0043】
好ましくは、
- 少なくとも1つの第1の画像情報項目に基づいて複数の潜在的パターンを識別するステップ、
- それぞれの識別された潜在的パターン内の、またはそれぞれの識別された潜在的パターンについての、スポットのそれぞれのスポット距離を検出するステップ、
- 検出されたスポット距離に基づいて、好ましくは最長または最短のスポット距離に基づいて、参照パターンとして識別されたパターンの1つを選択するステップ
である、さらなるステップが上述の方法の1つまたは両方で実施される。
【0044】
好ましくは、抗原チップ上のスポットのパターンは、直近に隣接するパターンに対して、特にパターンの配置方向に沿って、抗原スポットパターンの他の近接距離またはパターン距離と異なる、パターン距離とも称されることがある、このような近接距離を有する参照パターンの結果として参照パターンが抗原スポットパターンと異なるように構成される。次いで上述の方法の1つまたは両方に関して好ましくは行われることは、好ましくは実施される、
- 少なくとも1つの第1の画像情報項目に基づいて複数のパターンを識別するステップ、
- それらの(特に直接または直近に)隣接するパターンについて、特にパターンの配置方向に沿って、識別されたパターンのそれぞれの近接距離を検出するステップ、
- 検出された近接距離に基づいて、参照パターンとして識別されたパターンの1つを選択するステップ
である、さらなるステップである。
【0045】
参照パターン内および抗原スポットパターン内のスポットが、それぞれの規則的な(好ましくは等距離の)距離で、互いに続くように抗原チップが設計されている場合、参照パターンの参照スポットの規則的な距離は、抗原スポットパターンの抗原スポットの規則的な距離と異なり、上述の方法の1つまたは両方に関して、
- 少なくとも1つの第1の画像情報項目に基づいて複数のパターンを識別するステップ、
- それぞれの識別されたパターンについてのそれぞれのスポットサイズを検出するステップ、
- 検出されたスポットサイズに基づいて参照パターンとして識別されたパターンの1つを選択するステップ
である、さらなるステップが好ましくは実施され得る。
【0046】
第1の色素が蛍光色素である場合、上述の方法の1つまたは両方において、
- 第1の色素による第1の蛍光放出を励起するための第1の波長範囲の第1の励起光で抗原チップを照射するステップ
である、さらなるステップが好ましくは実施され得る。
【0047】
ここで、第1の画像情報項目は好ましくは、第1の蛍光による抗原チップの参照スポットおよび抗原スポットの染色を表す。
【0048】
第2の色素が蛍光色素である場合、上述の方法の1つまたは両方において、
- 第2の色素による第2の蛍光放出を励起するための第2の波長範囲の第2の励起光で抗原チップを照射するステップ
である、さらなるステップが好ましくは実施され得る。
【0049】
ここで、第2の画像情報項目は好ましくは、第2の蛍光による抗原チップの抗原スポットの潜在的な染色を表す。
【0050】
好ましくは、第1の励起光および第2の励起光は同一の励起波長を有する。
【0051】
さらに提案されることは、少なくとも1つの画像収集装置を備える、試料中の抗体を自動検出するためのデバイスである。画像収集装置は、第1の色素による、本明細書に記載されている実施形態のいずれかに従う本発明による抗原チップの参照スポットおよび抗原スポットの染色を表す第1の画像情報項目を収集するように設計される。さらに画像収集装置は、抗原チップを、生体試料と、および第2の色素で標識された二次抗体を含むコンジュゲートとともにインキュベートした後、第2の色素による、本明細書に記載されている実施形態のいずれかに従う本発明による抗原チップの抗原スポットの潜在的な染色を表す第2の画像情報項目を取得するように設計される。さらにデバイスは:
少なくとも1つの第1の画像情報項目に基づいて参照パターンおよび関連する参照位置を検出し、
少なくとも1つの第1の画像情報項目に基づいてそれぞれの抗原スポットパターンおよびそれぞれの関連するさらなる位置を検出し、
検出された参照位置および検出されたさらなる位置に基づいて、それぞれの種類の抗原に対するそれぞれの抗原スポットパターンの割当を示す、割当情報項目を生成し、
かつ、第2の画像情報項目に基づいてそれぞれの種類の抗原に対する生体試料の抗体のそれぞれの結合または結合の程度を示すそれぞれの結合の測定値を決定するように、
設計されている少なくとも1つの演算装置を備える。
【0052】
デバイスは、第1の色素による第1の波長範囲の第1の蛍光の放出を励起するための励起光を発するための少なくとも1つの照明装置をさらに備える。
【0053】
デバイスは、第2の色素による第2の波長範囲の第2の蛍光の放出を励起するための励起光を発するための少なくとも1つの照明装置をさらに備える。
【0054】
試料の抗体を自動検出するための提案されたデバイスは、抗体を自動検出するための方法および/または自動画像処理するための方法に関連して、上記に開示されていたまたは記載されていたさらなるステップを好ましくは実施するようにさらに設計されている少なくとも1つの演算装置を好ましくは備える。
【0055】
好ましくは、自動検出するためのデバイスはデータインターフェースを備え、そのデータインターフェースを介して情報項目または異なる情報項目がデータ要素または複数のデータ要素によって提供され得る。これは、
- 上述のそれぞれの結合の測定値に基づく情報項目、
- 検出されたパターンの位置に基づく情報項目、
- 個々のスポットの位置に基づく情報項目、
- 抗原スポットセットまたは抗原スポットパターンに対する種類の抗原の割当に基づく情報項目
である、情報項目のうちの1つまたは複数であり得る。
【0056】
さらに提案されることは、試料中の抗体を検出するための自動画像評価のためのデータネットワークデバイスである。データネットワークデバイスは好ましくはいわゆるクラウドシステムである。データネットワークデバイスは、第1の色素による、本明細書に提案されている実施形態のいずれかに従う本発明による抗原チップの、参照スポットおよび抗原スポットの染色を表す第1の画像情報項目を受信するように設計されている少なくとも1つのデータインターフェースを備える。データインターフェースはさらに、抗原チップを、生体試料と、および第2の色素で標識された二次抗体を含むコンジュゲートとともにインキュベートした後、第2の色素による、本明細書に提案されている実施形態のいずれかに従う本発明による抗原チップの、抗原スポットの潜在的な染色を表す第2の画像情報項目を受信するように設計されている。
【0057】
データネットワークデバイスは、
- 少なくとも1つの第1の画像情報項目に基づいて参照パターンおよび関連する参照位置を検出し、
- 少なくとも1つの第1の画像情報項目に基づいてそれぞれの抗原スポットパターンおよびそれぞれの関連するさらなる位置を検出し、
- 検出された参照位置および検出されたさらなる位置に基づいて、それぞれの種類の抗原に対するそれぞれの抗原スポットパターンの割当を示す、割当情報項目を生成し、
- かつ、第2の画像情報項目に基づいてそれぞれの種類の抗原に対する生体試料の抗体のそれぞれの結合または結合の程度を示すそれぞれの結合の測定値を決定するように
設計されている少なくとも1つの演算装置をさらに備える。
【0058】
さらに提案されることは、コンピュータによるプログラムの実行時に、本明細書に提案されている実施形態のいずれかによる自動画像処理のための方法を実施するように前記コンピュータに指示するコマンドを備えるコンピュータプログラム製品である。
【0059】
さらに提案されることは、コンピュータプログラム製品を送信するデータキャリア信号である。データキャリア信号は、例えば、データパケット、特にIPパケットの形態で提供され得る。特に、データ信号は、ソフトウェア、特にソフトウェアアプリケーションを送信するためのダウンロードデータ信号である。
【0060】
さらに提案されることは、本明細書に記載されている実施形態のいずれかに従う、本発明による複数の抗原チップを含むスライドである。
【0061】
さらに提案されることは、
- 水平基板表面を有する基板を準備するステップと、
- 参照スポットを水平基板表面に適用するステップと、
- 抗原スポットを水平基板表面に適用するステップと
を含む、免疫診断のための抗原チップを製造するための方法であり、
抗原チップの参照スポットおよび抗原スポットが、本明細書に記載されている実施形態のいずれかにおける本発明による抗原チップに従って実現されるように、参照スポットおよび抗原スポットの適用が実施される。
【0062】
製造方法は好ましくは、特に2つの細分化部位において複数の抗原チップを得るために基板を細分化するステップをさらに含み、その相互間の距離は、基板の幅より長く、その範囲内に参照パターンおよび抗原パターンの全体が存在する。
【0063】
好ましくは、基板表面は、ガラス基板または膜および/もしくはフィルムでコーティングされたガラス基板の表面である。
【0064】
抗原スポットの適用は圧電マイクロディスペンサーによって実施することができ、基板表面は特に、ガラス基板、または膜および/もしくはフィルムでコーティングされたガラス基板の表面であってもよい。したがって、従来の基本材料および製造機器を使用して製造を実施することが可能になる。
【0065】
さらに提案されることは、液体、生体試料中の抗体を検出するための方法に使用するためのキットであって、本明細書に記載されている実施形態のいずれかに従う本発明による抗原チップおよびさらに第2の色素で標識された二次抗体を含むコンジュゲートを含む、キットである。好ましくは、第2の色素は、蛍光色素、発色基質、酵素または化学発光反応のための基質である。
【0066】
チップは、固体基板、例えば、ガラス板、または、例えば、シリコン板であると理解することができる。チップはまた、プラスチックか、そうでなければ金属から作製することができる。チップは、透過光または反射光照射/検出を補助するために光透過性または非光透過性であってもよい。抗原チップは、試料を検査するために、走査システムまたはカメラシステム、特に蛍光顕微鏡において使用することができ、そこで照射光または励起光により照射されることができる。
【0067】
本発明の一実施形態によれば、基板表面は、集束の目的のために微細構造化される。微細構造化は、表面処理(例えば、粗面化(roughening))によって実現することができ、基板表面上への集束を容易にすることができる。例えば、射出成形、ホットスタンピングまたはインプリント法などの微細構造化のための種々の方法が先行技術において公知である。表面上に適用することができるものは、抗原チップの識別、試料の識別などのためにも使用することもできる種々の微細構造マーカーである。抗原基板(チップ)は特に1mm×1mmから2mm×4mmの間のサイズの表面積を含む。
【0068】
本明細書で使用される場合、「化学発光」という表現は、エネルギーが分子に特異的に伝導され、これにより分子の電子励起およびその後の光子の放出がもたらされ、結果として可視光の発光を伴う化学反応を指す。熱エネルギーは前記反応に必要とされない。したがって、化学発光は、化学エネルギーの光エネルギーへの直接変換を含む。好ましくは、化学発光は発光団と他の化合物との反応の結果として生じる。これらの反応は、酵素によって触媒され得る。さらに好ましい本発明の実施形態では、発光団は、ルミノールおよびその誘導体、アクリジンおよびその誘導体、ならびにルシフェリンからなる群から選択される。これらの化合物は種々の酵素反応による化学発光のために励起され得る。関連する化合物および反応は先行技術において公知である。さらに好ましい本発明の実施形態では、発光団はルミノールまたはその誘導体であり、ペルオキシダーゼ、特に西洋ワサビペルオキシダーゼによって触媒される反応の結果として発光される(化学発光)。本発明の代替の実施形態では、発光団はアクリジンまたはその誘導体、特にアクリジニウムエステルまたはアクリジニウムスルホンアミドであり、ホスファターゼ、特にアルカリホスファターゼ(AP)によって触媒される反応の結果として発光される(化学発光)。本発明のさらなる代替の実施形態では、発光団は、ルシフェリン、特にD-ルシフェリンであり、ルシフェラーゼによって触媒される反応の結果として発光される(化学発光)。
【0069】
本発明の文脈における「発色基質」は、酵素活性を測定するために使用することができる試薬である。発色基質は、酵素反応の直接的または間接的産生物が(測光的に)定量され得るように酵素活性によって変化する。発色基質は、例えば、アゾ色素、例えばパラニトロアニリンがカップリングされたオリゴペプチドからなる。ペプチドは切断部位を模倣し、その部位において調査中の酵素がその生理学的基質を切断する。色素は酵素作用の結果として放出される。発色現像は測光的に定量され得、酵素活性は較正曲線を介して確認され得る。しかしながら、発色基質はまた、5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリルホスフェート(BCIP)および/またはニトロブルーテトラゾリウムクロリド(NBT)であってもよい。発色基質は、例えば、比色測定によって検出することができる。
【0070】
種々の抗原スポットに存在する抗原は、自己免疫疾患、アレルギーおよび感染性疾患の結果として形成される抗体に結合するように選択され、設計され得る。本発明の試験システムにおいて、これは特に、結合組織疾患の領域からの抗核および/または抽出可能な抗核抗体に関係する。特に、例えば、RNP/Sm、Sm、Scl-70、Rib.P0、Jo-1、SS-A、SS-B、dsDNA、ヌクレオソーム/クロマチン、Cenp-B、RNP A、C、68kDa、Ro-52、Ku、ヒストン、DFS70の抗原(単独または任意の組合せで)が抗原スポットに存在することができる。診断可能な結合組織疾患は、SLE(全身性エリテマトーデス)、PM、DM(筋炎)、SS(シェーグレン症候群)、CREST症候群(全身性硬化症の限局皮膚型(limited cutaneous form of systemic sclerosis)、IcSSc)、PSS(進行性全身性硬化症)、MCTD(混合性結合組織疾患、シャープ症候群)、AID(自己免疫誘発疾患)の形態のうちの少なくとも1つを含むことができる。このように種々の疾患を診断することができる。
【0071】
本発明の有利な実施形態は従属請求項の主題であり、より詳細には、図面をいくらか参照して以下の説明において明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
図1】先行技術からの抗原チップを示す図である。
図2】先行技術からの抗原チップを示す図である。
図3a図3aは、本発明による抗原チップの例示的な実施形態を示す図である。
図3b図3bは、本発明による抗原チップの例示的な実施形態を示す図である。
図4a図4aは、本発明による抗原チップを製造するためのスポットを備えた基板表面およびさらに本発明による例示的な抗原チップを示す図である。
図4b図4bは、本発明による抗原チップを製造するためのスポットを備えた基板表面およびさらに本発明による例示的な抗原チップを示す図である。
図5a図5aは、それぞれの色素によるそれぞれの色に基づく、それぞれの色チャネルにおける例示的な抗原チップのそれぞれの画像を示す図である。
図5b図5bは、それぞれの色素によるそれぞれの色に基づく、それぞれの色チャネルにおける例示的な抗原チップのそれぞれの画像を示す図である。
図6】励起光および蛍光の例示的なスペクトルを示す図である。
図7】励起光のスペクトルおよびそれぞれの蛍光色素のそれぞれの蛍光スペクトルのさらなる例を示す図である。
図8】試料中の抗体を自動検出するための本発明によるデバイスの好ましい実施形態を示す図である。
図9】本発明によるデータネットワークデバイスの好ましい実施形態を示す図である。
図10】好ましい実施形態に従う、液体生体試料の抗体を自動検出するための本発明による方法を実施するための好ましいステップを示す図である。
図11a】第2の参照パターンを検出することに関する好ましいステップを示す図である。
図11b】割当情報項目を生成することに関する好ましいステップを示す図である。
図11c】配列データセットの例示的な実施形態を示す図である。
図12】結合の測定値を示すためのデータセットの一実施形態を示す図である。
図13】抗原チップを製造するための方法に関して実施される好ましいステップを示す図である。
図14】参照パターンおよびそれぞれの抗原スポットパターンを検出するために実施される好ましいステップを示す図である。
図15】第1の画像情報項目に基づいて複数の潜在的なパターンを識別すること、およびパターンのスポットのそれぞれのスポット距離を検出することに関して実施される好ましいステップを示す図である。
図16】第2の画像情報項目に基づいて結合の測定値を決定することに関する位置情報の使用を示す図である。
図17】抗体を自動検出するための方法または抗体を検出するための自動画像処理するための方法に関して実施される好ましいステップを示す図である。
図18】複数の抗原チップを含む本発明によるスライドの好ましい実施形態を示す図である。
図19】複数の抗原チップを含むフィールドの詳細な描写を示す図である。
図20a】第1の色チャネルにおける参照スポットおよび抗原スポットの染色を表す第1の画像情報項目または第1の画像を示す図である。
図20b】示したスポットの位置情報と共に、図20aに示されるような第1の画像情報項目または第1の画像を示す図である。
図21a】第2の色チャネルにおける参照スポットおよび抗原スポットの色を示す第2の画像情報項目または第2の画像を示す図である。
図21b】第1の色チャネルまたは第1の画像情報項目から得られるような、示したスポットの位置と共に、図21aに示されるような第2の画像情報項目または第2の画像を示す図である。
図22a】参照パターンが、抗原スポットパターンと比較して次の近接パターンに関して異なる近接距離を有する抗原チップの例示的な実施形態を示す図である。
図22b】参照パターンが、抗原スポットパターンの抗原スポットのサイズと異なるような同一のサイズの参照スポットを有する抗原チップの例示的な実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0073】
既に上で説明したように、異なる種類の抗原のスポットを有する抗原チップをある種の市松模様パターンに配置することは先行技術から公知である。上で明らかにしたように、抗原チップを製造することに関してここで行われ得ることは、図2に示されるように、抗原チップACが、後で利用されるグリッドと一致しない抗原スポットASのアラインメントを有することであり、このグリッドは、それらの正確な位置に基づいて対応する種類の抗原にスポットASを割当てるために使用され、その結果、いわゆる第2の色チャネルにおける評価によって特定の種類の抗原に対する液体試料の抗体の結合の検出を実施することが可能になる。
【0074】
図3aは、抗原スポットASが間隔をあけて抗原スポットパターンAMにより基板表面SO上に配置され、抗原スポットASが同一かつ共通の色素または第1の色素を含む、抗原チップAの例示的な実施形態を示す。
【0075】
抗原スポットは、それぞれの抗原スポットセットAGを形成し、次いで、それぞれの規則的な抗原スポットパターンAMを形成する。この例示的な実施形態では、これらは、抗原スポットがラインに沿って上から下まで延びて配置されているパターンAMである。
【0076】
抗原チップAはさらに、互いからのスポット距離SD1を有する参照スポットを有する参照パターンRMを有する。
【0077】
抗原スポットパターンAMの抗原スポットのスポット距離SD2は、参照パターンRMのスポット距離SD1とは異なる。
【0078】
ここで、パターンRM、AMの規則性パラメーターは、それぞれのパターンRMまたはAM内のそれぞれのスポット距離SD1、SD2である。したがって、参照パターンRMは、この規則性パラメーターの値に関して、またはその規則性に関して抗原スポットパターンAMとは異なる。パターンRM、AMは、配置方向ANRに沿って配置される。パターンRM、AMの各々は、パターンAM、RMの配置方向ANRに対して直行する展開方向ABRを有している。
【0079】
パターンRM、AMのスポットは、同一かつ共通の色素を含む。
【0080】
抗原スポットパターンAM1の抗原スポットは、パターンAM2の種類の抗原または抗原とは異なる、同一かつ共通の抗原または同一かつ共通の種類の抗原を含むと想定される。
【0081】
パターンRM、AMの全てのスポットを有するこのような抗原チップAが、例えば、血清などの生体試料とともにインキュベートされた場合、パターンAM1、AM2の異なる種類の抗原のために、異なる抗原スポットパターンAM1、AM2のスポットに対し、生体液体試料からそれぞれの抗原に対する異なる強度での抗体の結合が生じ得る。
【0082】
このような結合は、生体液体試料からのいわゆる第1の抗体であり、次いでその後に検出される。
【0083】
好ましくは、抗原チップAは、第1の参照パターンRMおよび抗原スポットパターンAMの両方と、その規則性または規則性パラメーターの値に関して異なる参照スポットによる、さらなる第2の参照パターンRM2を有する。これは、参照パターンRM2が、スポット距離SD1、SD2とは明らかに異なるスポット距離SD3を有するためである。
【0084】
パターンRM、RM2、AMのスポットの共通で同一の色素は、好ましくは赤色チャネルとして第1の色チャネルにおいて見ることができる。
【0085】
パターンRM、AM、および好ましくはRM2の共通の規則性パラメーターの変動によって、参照パターンRMの規則性は、抗原スポットパターンAMと異なり、好ましくは第2の参照パターンRM2とも異なる。本出願の文脈では、規則性はまた、パターンの周期性とも称されることがあり、規則性パラメーターは周期性パラメーターである。次いで、異なるスポットパターンはスポットパターンの同じ規則性パラメーターについて異なる値を有する。
【0086】
図5aおよび図5bはそれぞれ、それぞれの色素に起因して異なる色チャネルにおいてそれぞれの色を有する第1の画像情報項目BI2および第2の情報項目BI2を示す。
【0087】
第1の画像情報項目BI1は、第1の色素の色に起因する第1の色チャネルにおける例示的な参照パターンRM、および好ましくは存在する第2の参照パターンRM2を示す。さらに、抗原スポットパターンAMは、第1の色チャネルにおける第1の色素による色によって、第1の画像情報項目BI1において見ることができる。
【0088】
提案された第2の参照パターンRM2を提供または使用することによって可能になることは、自動画像評価に関して、個々の抗原スポットパターンAMに基づく配置方向ANRにおける種類の抗原の想定可能な配列が、図3aに示される抗原チップAが180°回転するときに補正され得ることである。互いに関連する第1の参照パターンRMおよび第2の参照パターンRM2の場所のために、次いで、第1の色チャネルの画像情報項目における抗原チップAのこのような望ましくない回転を検出すること、およびそれによって抗原チップの望ましくない180℃の回転の場合でさえ、想定された配置方向ANRに沿った抗原スポットパターンの場所または位置を補正することが可能になる。
【0089】
第1の色素は好ましくは蛍光色素である。あるいは、第1の色素は発色基質であり、これは、発色性の色の目的のために、抗原チップをさらにインキュベートすることによってさらなるコンジュゲートにより加えられ得る酵素との結合を形成することができる。酵素との発色基質の結合に起因する色変化は、測光的に捕捉可能な変色生成物であると考えることができる。
【0090】
図5bからの第2の画像情報項目BI2は、第2の色素による第2の色変化における色が全ての抗原スポットパターンAMについて有意に存在しないことを示す。これはおそらく、対応する抗原スポットパターンの対応する種類の抗原に対する液体生体試料の抗体の実質的または有意な結合がなかったためであり、抗原チップを、第2の色素による標識を有する第2の抗体を含有する第2のコンジュゲートとともにインキュベートする場合、その後に第2の抗体が液体生体試料からの第1の抗体と結合しなかったことを意味する。
【0091】
第2の色素は好ましくは蛍光色素である。
【0092】
好ましくは、第2の蛍光色素は、酵素と結合することができる発色基質であり、さらなる処理ステップにおいてスポットをインキュベートするために使用され得るコンジュゲート中に酵素が含まれてよい。次いで、酵素は発色基質と共に、測光的に検出可能な変色生成物を形成する。
【0093】
好ましくは、第2の色素は酵素であり、その結果、発色基質を含むコンジュゲートとともにスポットがインキュベートされると、酵素が発色基質との結合を形成し、測光的に捕捉可能な変色生成物が生成される。
【0094】
好ましくは、第2の色素は酵素であり、これは、さらなる処理ステップにおいて、さらなる基質を含むコンジュゲートとともにスポットがインキュベートされると、結合または相互作用を形成することができ、その結果、化学発光反応のために発光する。
【0095】
好ましくは、第2の色素は化学発光反応のための基質であり、その結果、次に基質と反応することができる酵素を含むコンジュゲートとともにスポットがインキュベートされると、化学発光反応が誘発され、その結果、化学発光が起こる。
【0096】
色素が蛍光色素である場合、例えば、図6に示されるように、励起光AL1またはAL2によって蛍光FLを励起することが可能になる。蛍光FLは好ましくは第1の蛍光色素から発せられた光である。図6の例示における軸は、横座標上の波長WLおよび縦座標上の強度INを示す。
【0097】
図7の例示における軸は、横座標上の波長WLおよび縦座標上の強度INを示す。横座標上に波長WLおよび縦座標上に強度INを有するグラフにおいて、図7は、励起光ALのスペクトル、第1の蛍光色素による第1の蛍光のスペクトルFL1および第2の蛍光色素による第2の蛍光のスペクトルFL2を示す。
【0098】
第1の蛍光FL1は第1の波長範囲における光の放出を包含することができ、第2の蛍光FL2は第2の波長範囲における光の放出を包含することができ、第1の波長範囲および第2の波長範囲は、ほんのわずかな重複範囲を有するか、または重複範囲が本質的になく、例えば、波長にわたる第1の蛍光の発光の全体のうちの、例えば、10%未満、特に5%未満に対応する重複範囲または重複を有する。
【0099】
第1の蛍光色素は、例えば、赤色波長範囲、例えば、600nmから660nmの間の最大で550nmから約800nmの間の範囲における蛍光を発することができる。この目的のために、第1の蛍光色素は、例えば色素DY521XLであってもよい。第1の蛍光色素の励起は、例えば、550nmから580nmの間の波長範囲で生じ得、最大の蛍光は、例えば、450nmから500nmの間の波長範囲で生じ得る。第2の蛍光色素の励起は、第1の蛍光色素の励起と実質的に同じ波長で生じ得る。第2の蛍光色素は、例えば、緑色波長範囲、例えば、510nmから530nmの間の波長範囲であり得、例えば、500nmから約600nmの間の範囲の最大の蛍光を発することができる。この目的のために、第2の蛍光色素は、例えば色素FITCであってもよい。
【0100】
したがって試料中の抗体を自動検出するためのデバイスにおいて必要とされることは、例えば、比較的狭い波長域として実現され得る励起光を生成するための単一の照明光源のみである。したがって、励起光は、有利には、干渉励起光を実質的に検出せずに、第1のカメラによる第1の蛍光および第2のカメラによる第2の蛍光または第1もしくは第2のカメラによる両方の蛍光信号の検出前(例えば、フィルター交換の後)にフィルターにより取り除くことができる。
【0101】
図5aに戻ると、好ましくは、参照スポットセットRMの参照スポットは、抗原スポットまたは抗原スポットセットまたは抗原スポットパターンAM、および好ましくは参照パターンRM2が、第1の色素または同一かつ共通の色素を含む色素濃度より高い色素濃度で色素を含むことができることが留意され得る。好ましくは、第2の参照パターンRM2もまた、抗原スポットセットAMの抗原スポットが同一かつ共通の色素を含む色素濃度より高い色素濃度で前記同一かつ共通の色素を含むことができる。
【0102】
参照スポットセットRMおよび好ましくはさらに第2の参照スポットセットRM2のスポットが、より高い色素濃度で同一かつ共通の色素を含む場合、これは、自動画像処理に関して、参照パターンRMおよび好ましくはさらにさらなる参照パターンRM2の検出を容易にすることができる。なぜなら、画像情報項目における前記スポットの色強度は抗原スポットセットの抗原スポットの色強度より大きいからである。
【0103】
図3aに戻ると、参照パターンRMが参照ラインパターンを形成すること、およびさらに抗原スポットパターンAMが参照ラインパターンを同様に形成し、パターンRMおよびAMのラインが同一の展開方向を有することがさらに留意され得る。参照パターンRM2は参照ラインパターンを同様に形成する。これはまた、さらなるまたは第2の参照ラインパターンと称される。
【0104】
ラインパターンRM、RM2、AM内で、これらのパターンのそれぞれ関連するスポットは、それぞれ規則的な距離、好ましくは実質的に等間隔の距離で互いに続き、参照ラインパターンRMの参照スポットの規則的な距離、好ましくは実質的に等間隔の距離は、抗原ラインパターンAMの抗原スポットの規則的な距離、好ましくは実質的に等間隔の距離とは異なる。さらに、第2の参照パターンRM2が参照パターンRM以外のラインパターンとして存在する場合、パターンRM2の関連するスポットが、それらの規則的な距離、好ましくは実質的に等間隔の距離に関して、抗原ラインパターンAMの抗原スポットおよび第1の参照パターンRMのスポットの規則的な距離、好ましくは実質的に等間隔の距離と異なるという点で、前記パターンRM2は第1の参照パターンRMおよび抗原ラインパターンAMの両方とは異なる。
【0105】
図3bは、3つのみの抗原スポットパターンAM1、AM2、AM3が抗原チップA2上に存在する、本発明による抗原チップA2の好ましい変形A2を示す。これは、図3aからの抗原チップA上にこの配置において既に存在するパターンのサブセットである。ここでも、パターンRM、RM2、AMは、配置方向ANRにおいて配置される。本発明による方法および本発明による抗原チップの利点のうちの1つを例示するために、図3bに示されるような抗原チップを製造することが試みられていると仮定する。
【0106】
図4aは基板または基板表面SUを示す。基板表面SUは好ましくは、ガラス基板または膜および/もしくはフィルムでコーティングされたガラス基板の表面である。基板SU上に、異なるパターンRM、RM2、AMが、配置方向ANRに沿って基板に適用される。この目的のために、それぞれのパターンRM、RM2、AMのスポットが、それぞれのピペットPによって基板SUに適用される。ここで、ピペットPを固定することができるので、ピペットPは、それぞれのスポットセットについてのそれぞれのスポットを、それぞれの液滴Tによって好ましくはラインパターンとして基板表面SUに適用し、基板SUが、上述の規則的なパターンが形成されるように供給方向VR1においてピペットPに対して移動することを可能にする。したがって、参照スポットセットRMの参照スポットは参照ラインパターンを形成し、それぞれの抗原スポットセットAMの抗原スポットはそれぞれの抗原ラインパターンを形成する。同様のことが好ましくは存在する第2の参照パターンRM2に適用される。
【0107】
対応するラインパターンRM、RM2、AMが形成されるように基板表面SUが供給方向VR1においてピペットPに対して移動する場合、この結果は、パターンの配置方向ANRにおいて、製造される抗原チップの最小幅を特定する距離DI1である。次いで基板支持体SUが図4aに示される元の位置に供給方向VR1に対して駆動されて戻される場合、次いで距離DI1による供給方向VR2における基板支持体SUの移動または供給によって、次に対応する参照パターンRM、RM2および抗原スポットパターンAMの新たなセットを形成することが可能になり、次いで基板支持体SUは、ピペットPに対して基板支持体SUの相対移動をもたらすように同様に供給方向VR1に次に単に供給されるだけである。それらのそれぞれのスポットの異なる規則的な距離を有する対応するラインパターンRM、RM2、AMを形成するために、対応するピペットPはしたがって、液滴Tが供給方向VR1に沿って異なる頻度または異なる距離で形成されるようにのみ制御されなければならない。ラインパターンとしてのパターンRM、RM2、AMの形成により、本発明による抗原チップの特に効果的な製造が可能になる。したがって、基板支持体SU上に、次いで連続処理において複数の抗原チップについてのパターンを生成することが可能になり、各抗原チップについて別個の基板支持体SUを使用する必要はない。ピペットヘッドによる適用は、特に、ピペットPの特定の実施形態として圧電マイクロディスペンサーによるいわゆる圧電圧力によって達成される。したがって、水平基板表面SUへの参照スポットおよび抗原スポットの適用は、上記の実施形態による抗原チップが得られるように実現されると述べることができる。
【0108】
図4bはここで本発明による抗原チップの特定の利点を例示する。基板SUが、パターンの展開方向に平行して、すなわちパターンの配置方向ANRに対して直交して距離DI1に従って常に正確に細分化されるように、図4aからの基板表面を正確に細分化することが可能になる。次いでこの結果により、対応する抗原チップ上の常に同じ反復する部位または位置においてこのように製造されるように、種々の抗原チップ上に参照パターンRMおよび抗原スポットパターンAMが位置するようになる。しかしながら、抗原スポットパターンAMおよび参照パターンRMおよび好ましくは本発明による第2の参照パターンRM2の形成のために、図4bに例示されるように、ほぼ1つのみで選択される距離DI2で基板SUの少なくとも1つ、好ましくは2つの部位においてこのような細分化を実施することが可能になり、その結果、図4bからの対応する抗原チップA11およびA12が生じ得る。基板支持体SUが細分化された後の距離DI2は、距離DI1と少なくとも同程度であるか、またはそうでなければ前記距離DI1より長いことが不可欠である。さらに、選択される距離DI2は、全てのパターンAM、RM、RM2全体の完全な反復を回避するために距離DI1の2倍より短くなければならない。次いで右側領域において結果として得られる抗原チップA11上で抗原スポットパターンAM1の反復が生じるが、抗原スポットパターンAM1、AM2、AM3の対応する種類の抗原の配列は、参照パターンRMおよび好ましくは参照パターンRM2に対する前記パターンの識別性のために、少なくとも各種類の抗原または抗原スポットパターンAM1、AM2、AM3の各々について抗体の結合を検出するための自動画像評価において使用され得る。製造された後続の抗原チップA12は、抗原スポットパターンおよび参照パターンおよび好ましくは第2の参照パターンの反復距離DI1にわたる細分化距離DI2の選択のために、次いで抗原スポットパターンAM1、AM2、AM3および参照パターンRMおよび好ましくはさらに第2の参照パターンRM2の少なくとも各種類を少なくとも1回有する。抗原スポットパターンおよびさらに本発明による少なくとも1つの参照パターンRMの形成によってのみ、距離DI1によって特定される基板SUの細分化が実施されるため、固定位置において基板SUの細分化を実施する必要がなくなり、代わりに、細分化部位のこの距離は、より自由にまたは不正確に選択されることが可能となる。先行技術による解決策では、図2および1を参照して上記で明らかにしたように、それぞれの抗原スポットASXが、特定の種類の抗原に対するスポットASXの割当を正確に実施することができるようにするために、まさしく正確な対応する位置において、対応する基板上でまたは対応するパターン内で生じることが必要である。この要件は、本発明による抗原チップおよび抗体を自動検出するための提案された方法および自動画像処理するための提案された方法によって特に巧妙な様式で回避され、抗原チップA11、A12を製造する特に単純な手段を導く。
【0109】
さらに、参照パターンの参照スポットRMは同様に、さらに好ましくは抗原を含むことができ、その結果として、次いで第2の色素で標識したコンジュゲートの第2の抗体が次に結合することができる、生体試料の抗体の結合を検出することが可能になり、それによって、生体試料中の抗体の検出に関して、さらなる追加の種類の抗原を使用することが可能になる。
【0110】
参照パターンRMおよび好ましくは参照パターンRM2の参照スポットは、好ましくは抗体、特に好ましくは抗ヒトIgGの形態の抗体を含む。次いでこのような抗体は、液体患者試料、例えば、血清の抗体と結合を形成することができるので、次に参照スポットを第2の色素で標識された二次抗体を含むことができるコンジュゲートとさらにインキュベートした後、参照スポットに対する第2の色素の結合が起こる。結果として、次いで、自動画像処理および抗体を検出するための方法に関して、抗原チップが試料および/またはコンジュゲートと正確にインキュベートされたかどうかを後でチェックすることが可能になる。したがって参照スポットRM、RM2はインキュベート対照として使用することができる。
【0111】
図13は提案された製造方法のステップを再び示す。ステップS100において、水平基板表面を有する基板が準備される。ステップS101において、水平基板表面へ参照スポットが適用される。ステップS102において、水平基板表面へ抗原スポットが適用される。ここで、上記の様式における一実施形態に従って抗原チップを得るための抗原スポットおよび参照スポットの適用が実施される。好ましくは、実施可能なステップS103において、複数の抗原チップを得るための基板の細分化が行われる。細分化は、抗原スポットパターンおよび参照スポットパターンの反復配列の場合、パターンの配置方向において前記反復配列を記載している距離と少なくとも同程度の、2つの細分化部位間の距離を順守することにより行われる。
【0112】
複数の抗原チップが上記の様式で製造される場合、複数の抗原チップが1つのスライド上で組み合わされて提供され得る。これに関連して、図18は、異なるフィールドFE上に、各場合、複数の抗原チップAを含む、スライドOTを示す。
【0113】
これに関連して、図19は、複数の抗原チップAを含む個々のフィールドFEの詳細な描写を示す。
【0114】
図3a、3b、4aおよび4bに示されるように、抗原スポットパターンAMおよび参照パターンRMは、それらが互いに関連して抗原スポットのそれぞれの異なる周期性または異なる規則的な距離を有するという点において異なり得る。抗原スポットパターンAMおよび参照パターンRMのこの設計は、ここでは一例としてのみこのように例示されている。好ましくは、参照パターンRM、また好ましくは、第2の参照パターンRM2は、配置方向ANRに沿って、参照パターンRMが、次の直近に隣接するパターンに対して、抗原スポットパターンAMの他の近接距離とは異なる、すぐ近接する距離を有するという点において、抗原スポットパターンAMと異なる。ここで、したがってパターンRM、AMは、パターンRM、AM内にそれらのそれぞれのスポットの異なる規則的な距離を有する必要はないが、配置方向ANRにおける、または配置方向ANR沿った次のパターンに対する距離または近接距離において異なり得る。
【0115】
さらに、参照パターンRMおよび好ましくはさらに第2の参照パターンRM2は、同一のサイズを有するこのようなスポットを含むことが可能であり、参照パターンRMのスポットのサイズは抗原スポットパターンAMの抗原スポットのサイズと異なる。ここで、したがって参照パターンRMおよび抗原スポットパターンAMは、異なるサイズのスポットが、図4aに例示される製造方法に関して、例えば、スポットの異なるサイズまたはスポットを形成するための液滴の異なるサイズを生成するための異なるピペットサイズによって使用することができる、異なるそれぞれのパターンRM、AMについてそれぞれ形成されるという点で、異なり得る。
【0116】
図10は、液体生体試料中の抗体を自動検出するための本発明による方法の好ましいステップを示す。
【0117】
ステップS1において、上記の実施形態のいずれかに従う抗原チップが準備される。ステップS2において、抗原チップのスポットを生体試料とともにインキュベートする。ステップS3において、スポットを、第2の色素で標識された二次抗体を含むコンジュゲートとともにインキュベートする。ステップS4において、第1の色素による抗原チップの参照スポットおよび抗原スポットの染色を表す、第1の画像情報項目BI1、BI11を提供または収集する。
【0118】
第1の色素が蛍光色素である場合、好ましくはステップS4において行われることは、第1の色素による第1の蛍光を励起するための第1の波長の第1の励起光による抗原チップの照射である。次いで第1の画像情報項目は、第1の蛍光による抗原チップの参照スポットおよび抗原スポットの染色を表す。これは好ましくはいわゆる赤色チャネルにおいて行われる。
【0119】
ステップS5において、少なくとも1つの第1の画像情報項目に基づく基板表面上のパターンの配置方向が想定される、基板表面上の参照パターンおよび関連する参照位置が検出される。参照位置は参照位置情報項目RPIとして提供され得る。
【0120】
ステップS6において、少なくとも1つの第1の画像情報項目に基づいて基板表面上のパターンの配置方向が想定される、基板表面上のそれぞれの抗原スポットパターンおよびそれぞれの関連するさらなる位置が検出される。これは、抗原スポットパターンのさらなる位置に基づく、いわゆるさらなる全体の位置情報項目AGMPIとして提供され得る。
【0121】
次いで、ステップS7において、検出された参照位置および検出されたさらなる位置に基づいて、それぞれの種類の抗原に対するそれぞれの抗原スポットパターンの割当を示す、割当情報項目ZIが生成される。
【0122】
次いで、ステップS8において、第2の色素による抗原スポットおよび好ましくはさらに参照スポットの潜在的な染色を表す、第2の画像情報項目BI2、BI12が収集または提供される。前記ステップS8に関して、好ましくは行われることは、第2の色素が蛍光色素である場合、第2の蛍光を励起するための第2の波長の第2の励起光による抗原チップの照射である。好ましくは、第2の波長の第2の励起光は、その波長範囲に関して、第1の蛍光色素の第1の蛍光を励起するための第1の励起光の波長範囲と同一である。次いで第2の画像情報項目は好ましくは、第2の蛍光による抗原チップの抗原スポットの潜在的な染色を表す。
【0123】
次いで、ステップS9において、好ましくは参照位置情報項目RPIおよびさらなる位置情報項目AGMPIを使用して、第2の画像情報項目BI2、BI12および割当情報項目ZIに基づいて、それぞれの種類の抗原に対する生体試料の抗体のそれぞれの結合または結合の程度を示すそれぞれの結合の測定値が決定され得る。
【0124】
前記結合の測定値は、好ましくはデータインターフェースを介するデータ要素BDの形態で、好ましくは方法ステップS10における出力であってもよい。
【0125】
ステップS4~S9は、好ましくは、一実施形態に従って液体生体試料中の抗体を検出するための自動画像処理するための本発明による方法において実施され得る。同様のことが、好ましくは実施されるステップ10に適用される。
【0126】
したがって、ステップS10において、好ましくは行われることは、パターンの位置ならびに好ましくはまた、抗原チップ上の個々の抗原スポットおよび個々の参照スポットの位置を示す情報項目の、データインターフェースを介する提供である。
【0127】
ステップS7において実施されるそれぞれの種類の抗原に対する抗原スポットパターンの割当は、好ましくは図11bに例示されるように実施される。この場合、参照パターンの参照位置およびそれぞれのさらなる抗原スポットパターンのそれぞれのさらなる位置の空間配列はステップS71において決定される。この位置はまた、基板表面上のパターンの配置方向、特に想定される配置方向に沿った位置と称されることがある。
【0128】
ステップS72において、種類の抗原の配列を示す配列データセットADSが提供される。これは特に、パターンの配置方向に沿った種類の抗原の空間配列である。
【0129】
図11cは、対応するフィールドPNにおける連続位置について、対応するフィールドATにおけるそれぞれの対応する種類の抗原AT1、AT2、AT3が存在することを示す、配置方向ANRに沿ったパターンの配列についての例示的な配列データセットADSを例示する。したがって、配列データセットADSは、スポットパターンの配置方向ANRに沿ったそれぞれの位置についてのそれぞれの種類の抗原の空間配列を示す。
【0130】
さらに、特定の位置について、対応するフィールドRTにおける対応する参照パターンタイプR1、R2もまた特定される。この好ましい例示的な実施形態では、第1および第2の参照パターンが存在する。当業者は、1つの参照パターンのみの場合、1つの参照パターンタイプR1のみが存在することを理解する。
【0131】
次いで、図11bからのサブステップS73において、それぞれの種類の抗原に対するそれぞれの抗原スポットパターンの割当を示す割当情報項目ZIが生成される。これは、検出された参照位置、それぞれの抗原スポットパターンの検出されたそれぞれのさらなる位置、および配列データセットADSに基づいて行われる。
【0132】
好ましくは、第2の参照パターンのさらなる参照位置もまた、方法に関して検出され、それぞれの種類の抗原に対するそれぞれの抗原スポットパターンの割当に関して考慮される。これにより、抗原チップの望ましくない180°の回転を補うかまたは考慮することが可能になる。
【0133】
これに関連して、図11aは、好ましくは実施されるステップを示す。上記のステップS5の後、次いでステップS5Aにおいて、第1の画像情報項目に基づく第2の参照パターンおよび関連する第2の参照位置が検出される。次いで、上記のステップS6が続く。その後のステップS7Aにおいて、次いで、それぞれの種類の抗原に対するそれぞれの抗原スポットパターンの割当を示す割当情報項目ZIが生成される。これは、検出された第1の参照位置、検出された第2の参照位置およびそれぞれの抗原スポットパターンの検出されたさらなる位置およびさらに好ましくは配列データセットに基づいて行われる。
【0134】
図20aは、好ましくは赤色チャネルである、第1の色チャネルにおける第1の画像情報項目BI11によって表される、第1の参照パターンRM、第2の参照パターンRM2および抗原スポットパターンAMを示す。
【0135】
これに関連して、図20bは、第1の画像情報項目BI11において、矩形として描かれている、対応する例示的な抗原スポット位置AGSPI1を示す。このような抗原スポット位置AGSPI1および図20aからの参照パターンRM、RM2についての対応する位置の検出後、次いで個々のパターンAM、RM、RM2、好ましくはラインパターンに対して、個々のスポットを割当てることが可能になる。したがって、それぞれのパターンAM、RM、RM2について、配置方向ANRに沿ったそれぞれの位置を決定することが可能になる。次いで好ましくは配列データセットに基づいて、上記のように個々の種類の抗原に対して個々の抗原スポットパターンを割当てることが簡単に可能になる。
【0136】
図21aは、図20aおよび20bからのものと同じ抗原チップの第2の色素によるスポットの染色を示す。図21aは、第2の色素に起因し、したがって第2の色チャネル、好ましくは緑色チャネルにおけるスポット、特に抗原スポットの染色を表す第2の画像情報項目BI12を示す。
【0137】
ここで、図20bからの第1の画像情報項目BI11に基づいて識別されたスポットの位置は、生体試料からの特定の抗体の結合が特定の抗原スポットおよびしたがって特定の種類の抗原について存在するかどうかを第2の画像情報項目BI21において決定するために、図21bに示されるように、順番に使用され得る。この決定または評価に基づいて、次いでそれぞれの種類の抗原についての結合の測定値を決定し、好ましくはその後に提供することが可能になる。
【0138】
図10に関連して上で述べた方法ステップS5およびS6に関して、図14に描かれるように好ましいサブステップを実施することが可能になる。方法ステップS20において、次いで行われることは少なくとも1つの第1の画像情報項目に基づく複数の潜在的なパターンの識別である。さらなる方法ステップS21において、次いで行われることは、それぞれの識別された潜在的なパターンについてのそれぞれの識別されたパターン内のスポットのそれぞれの規則的な平均スポット距離の検出である。ステップS22において、次いで行われることは、検出された平均スポット距離に基づいて参照パターンとして識別されたパターンのうちの1つの選択である。当業者に明らかであるように、これはまた、第2の参照パターンについて実施することもできる。
【0139】
次に、個々のスポットの識別およびそれに次ぐパターンの識別およびパターンに対するスポットの割当がどのように達成され得るかを詳細に説明する。これに関連して、図15は、好ましくは実施されるステップを示す。
【0140】
図20aからの第1の画像情報項目BI11を使用してまたはこれらに基づいて、ステップS30において最初に行われることは、ハフ変換による第1の画像BI11における円形オブジェクトの識別である。
【0141】
ステップS31において、見出された各円について行われることは、例えば、輪郭および/または強度特性などの識別された円形オブジェクトについての特性の抽出である。この特性は、円周、完全な自由円からの偏差またはオブジェクトの平均強度であってもよい。
【0142】
ステップS32において、次いでサポートベクターマシンを使用して行われることは、その特性を有するハフ変換により提示された円形オブジェクトの、第1のクラス「スポット」または第2のクラス「画像アーチファクト」への分類である。スポットとして分類されるこれらの画像領域またはオブジェクトのみが後で使用される。
【0143】
スポットとして分類された全ての画像領域について、次いでXおよびY位置に関して、抗原チップ上または画像情報BI11における位置をステップS31において決定することが可能になるか、または既に決定されていることが可能になる。ステップS33において、次いで、パターンまたはラインパターンまたはラインを形成するためのスポットが組み合わされる。これにより、画像内のそれらのY位置に基づいてソートされたスポットのリストが生成される。その後、スポットがリストから取得され、ユークリッド距離内のその次の近接が確認される。両方のスポットが互いに対して約90°の角度である場合または配置方向に対して90°の角度を形成する直線を形成する場合、それらは同じパターンまたは同じラインに属すると想定される。この90°の値はまた、プラスまたはマイナス数度の不確実性のウィンドウで提供され得る。パターンを形成するためまたはパターンの配置方向に関連する約90°のこのような直線を形成するための互いとの2つの意図されたスポットのこのような関連性が存在しない場合、距離またはY位置に従ってソートされたリストからの次のスポットが意図される。リストからスポットを現在意図されているパターンまたは現在意図されているラインにこれ以上割当てることができない場合、パターンの配置方向に対して垂直な方向における新たなパターンまたは新たなラインが開始される。次いでこのような方法によって、スポットは反復様式でそれぞれのパターンまたはそれぞれのラインに割当てられる。
【0144】
ステップS34において、次いで、パターンまたはラインパターンの連続的な番号付けが行われる。これは好ましくは、スポットは互いに最大の平均距離を有するパターンまたはラインがそれぞれ参照パターンまたは参照ラインパターンであると想定されるように行われる。好ましくは、第2の参照パターンは、スポットが互いに最小の平均距離を有するそのパターンまたはそのラインであると想定される。
【0145】
ステップS35において、次いで図21bからの第2の画像情報項目BI12に基づいて、パターンまたはラインに割当てられたこれらのスポットについて、第2の色素による色に基づく第2の色チャネルにおけるスポットあたりのそれぞれの強度またはピクセル強度を確認することが可能になる。これは好ましくはスポットの強度の中央値として行われる。
【0146】
最後に、次いでステップS36において行われ得ることは、パターンの平均強度値の決定であり、その結果、パターンのスポットの中央強度の中央値が確認される。次いで前記中央値は、特定の種類の抗原に対する生体試料からの抗体の結合または結合の程度を示す結合の測定値である。
【0147】
したがって好ましくは、第2の画像情報項目BI12に基づいて結合の測定値を決定するためのステップS9に関して、図16に描写されるように、第1の画像情報項目BI11に基づいてステップS6から事前に得られた抗原スポット位置情報項目AGSPIおよびさらにステップS5において得られた参照スポット位置情報項目RSPIを使用することが可能になる。したがって参照スポットパターンおよびそれぞれの抗原スポットパターンの検出は、個々のスポット位置の検出ならびに参照パターンおよびそれぞれの抗原スポットパターンに対するスポットまたはスポット位置の割当を含む。
【0148】
好ましくは、結合の測定値は、データ要素を介して提供され、パターンまたは種類の抗原について確認された中央強度に適用され得る閾値を使用することによって決定される。パターンの中央強度値が閾値を下回っている場合、抗体の結合が全くないと想定される。パターンの中央値が特定の閾値を上回る場合のみ、対応する種類の抗原に対する抗体の結合が存在することを示す値が出力される。
【0149】
結合の測定値はデータ要素を介する出力であってもよく、図12に描写されるように、データセットBDは対応する種類の抗原ATに対する結合の測定値BMの割当を示す。データセットBDは、例えば、リストであってもよい。種類の抗原AT1に関して、次いで結合の測定値BM1が存在し、同様に対応する種類の抗原AT2、AT3に関して対応する結合の測定値BM2、BM3が存在する。
【0150】
上記のように、代替の実施形態では、参照パターンは、パターンの配置方向に沿って直近に隣接するパターンに関連して、抗原スポットパターンの他の近接距離とは異なるような近接距離を有する。これに関連して、図22aは、1つの参照パターンRMのみが存在する実施形態A21を示す。参照パターンRMは、配置方向ANRにおけるこれらの次の直接隣接するパターンAM2、AM3、RMに関連する他のパターンAM1、AM2、AM3の近接距離DI12より長い、配置方向ANRにおける次の直接隣接するパターンAM1に関連する近接距離DI11を有する。
【0151】
この実施形態では、次いで好ましくは、自動検出するための方法および自動画像処理するための方法に関し、
- 第1の画像情報項目に基づいて複数のパターンAM1、AM2、AM3、RMを識別するステップ、
- それらのそれぞれの、好ましくは直接または直近に隣接する次のパターンに関連して、パターンの配置方向の方向において、好ましくはパターンの配置方向に沿って、識別したパターンのそれぞれの近接距離DI11、DI12を検出するステップ、
- 検出された近接距離DI11、DI12に基づいて参照パターンとして識別したパターンのうちの1つを選択するステップ
を実施することが可能になる。
【0152】
ここで、それぞれのパターンまたはラインパターンに対してスポットを割当てるために、詳細に上記したように、順番に第1の画像情報項目BI11に基づいて、図20bに示されるように、検出された参照スポットおよび抗原スポットのスポット位置を使用することが可能になり、その結果として、複数のパターンが、第1の画像情報項目BI11に基づいて簡単に識別される。パターンの配置方向ANRに沿ってまたはパターンの配置方向ANRにおいて、次いでパターンの間のそれぞれの近接距離DI11、DI12、すなわち、例えば、配置方向ANRの方向においてその右側にあり、直接隣接する、次のパターンに関連する参照パターンについての近接距離を決定することが可能になる。参照パターンが、抗原スポットパターンの近接距離とは異なる近接距離を有する場合、参照パターンは確実に検出され、識別され得る。
【0153】
上記のように、代替の実施形態において提供されることは、参照パターン内および抗原スポットパターン内で、それぞれの関連するスポットが、それぞれの同一のサイズを有し、参照パターンの参照スポットのサイズが抗原スポットパターンの抗原スポットのサイズとは異なることである。これに関連して、図22bは、1つのみの参照パターンRMが存在する、抗原チップの好ましい実施形態A22を示す。参照パターンRMの参照スポットは同一のサイズを有する。前記サイズは、抗原パターンAMの抗原スポットが有する同一かつ共通のサイズとは異なる。
【0154】
この実施形態では、次いで、自動検出するための方法および自動画像処理するための方法に関し、
- 少なくとも1つの第1の画像情報項目に基づいて複数のパターンRM、AM1、AM2、AM3を識別するステップ、
- それぞれの識別したパターンRM、AM1、AM2、AM3についてそれぞれのスポットサイズを検出するステップ、
- 検出されたスポットサイズに基づいて参照パターンRMとして識別したパターンのうちの1つを選択するステップ
を好ましくは実施することが可能になる。
【0155】
ここで、それぞれのパターンまたはラインパターンに対してスポットを割当てるために、詳細に上記したように、順番に第1の画像情報項目BI11に基づいて、図20bに示されるように、検出された参照スポットおよび抗原スポットのスポット位置を使用することが可能になり、その結果として、複数のパターンが、第1の画像情報項目BI11に基づいて簡単に識別される。各スポットに関して、識別した円または円形オブジェクトの円周などの特性が次いで決定される。結果として、識別した円周または同一のサイズのスポットが次いで同じパターンに割当られ得る。そのパターン(そのスポットが他のパターンと比較して平均して最も大きいスポットサイズを有する)は、次いで参照パターンとして検出され得る。
【0156】
図8は、試料中の抗体を自動検出するための一実施形態に従う本発明によるデバイスV1を示す。デバイスV1は、いわゆる顕微鏡デバイスを備える。
【0157】
抗原チップCは、少なくとも1つのカメラK1、K2によって対物レンズOを通して見ることができる。
【0158】
カメラK1、K2は、画像収集装置と称されることがある。デバイスV1についての図8からのアセンブリは、別個の画像収集装置K1、K2による画像情報項目の収集前に2つの色チャネルまたは光チャネルの明確な分離を提供する。このようなデバイスはまた、単一の画像収集装置のみが提供されるという点で、光学フィルターの一時的交換によって実現され得るが、異なる色チャネルについての異なる光学フィルターの使用により、それぞれの色チャネルの上記のそれぞれの画像情報項目を収集することが可能になることは当業者には明らかである。
【0159】
蛍光光源LQは、図7に記載したように、励起光スペクトルALがダイクロイックミラーSP1上に向けられるように励起光フィルターF1によってフィルターを通される励起光ALを発する。次いでダイクロイックミラーSP1は前記励起光ALを対物レンズOの方へ向け、次いでそれを通して励起光が抗原チップCおよびそのスポットに当たる。次いで抗原チップCまたはスポットの蛍光色素によって放出される第1および第2の蛍光は、励起光ALまたはそのスペクトルを遮断する光学フィルターF2の方へ、対物レンズOによってダイクロイックミラーSP1を通って進み、第1の色チャネルおよびさらに第2の色チャネルの蛍光を送る。次いで蛍光は、第1の色チャネルの蛍光または第1の蛍光を第1の画像収集装置またはカメラK1の方へ反射するさらなるダイクロイックミラーSP2に到達する。好ましくは、入ってくるスペクトルからの第1の蛍光のフィルタリングはさらに光学フィルターFRによって実施される。フィルターFRは特に赤色チャネルフィルターである。
【0160】
ダイクロイックミラーSP2は、第2の蛍光または第2の色チャネルの光を第2の画像収集装置またはカメラK2の方へ送る。好ましくは、前記蛍光は、さらなる光学フィルターFGによってもう一度フィルターを通され、光学フィルターFGは、好ましくは緑色チャネルフィルターである。
【0161】
次いで第1のカメラK1は第1の画像情報項目BI1を収集し、演算装置Rを利用可能にする。次いで第2の画像収集装置K2は第2の画像情報項目BI2を取得し、演算装置R2を利用可能にする。
【0162】
次いでしたがって少なくとも1つの画像収集装置の例として第1の画像収集装置および第2の画像収集装置は、第1の色素、特に第1の蛍光色素による抗原チップCの参照スポットおよび抗原スポットの染色を表す第1の画像情報項目BI1を収集するように設計される。さらに、少なくとも1つの画像収集装置K1、K2は、抗原チップを、生体試料と、および第2の色素で標識された二次抗体を含むコンジュゲートとともにインキュベートした後、第2の色素、特に第2の蛍光色素による抗原チップの抗原スポットの潜在的な染色を表す第2の画像情報項目BI2を収集するように設計される。
【0163】
演算装置Rは特に、抗体を自動検出するための方法および抗体を検出するための自動画像処理する方法に関連する上記の図10からのステップS4、S5、S6、S7およびS9のうちの1つまたは複数を実施するように設計される。この目的のために、演算装置Rは画像収集装置K1、K2および蛍光光源LQを適切に制御する。
【0164】
さらに、図8からのデバイスV1は好ましくはデータインターフェースDS1を含み、それを介してデータ要素DAが受信または送信され得る。特に、ここで、このようなデータ要素DAを介して結合の測定値を送信することおよび好ましくは閾値を示すデータ要素を受信することが可能になる。
【0165】
デバイスV1はデータインターフェースDS1を介してデータ要素DAを交換することができる。次いでこのようなデータ要素DAは、
図17からの、受信される閾値データ要素TH、
図11cからの、受信される配列データセットADS、
図10からの、出力または提供される結合データセットBD、
図11aからの、出力または提供される割当情報項目ZI
のうちの1つまたは複数であってもよい。
【0166】
したがって蛍光光源LQと共に、デバイスV1は、第1の色素による第1の波長範囲の第1の蛍光の放出を励起するための励起光を発するための照明装置を備える。さらに、光源LQはまた、第2の色素による第2の波長範囲の第2の蛍光の放出を励起するための励起光を発するための少なくとも1つの照明装置である。
【0167】
図17は、記載している抗体を自動検出するための方法および/または自動画像処理するための方法における好ましいステップを示す。
【0168】
ステップS40において行われることは、上記のように、抗原スポット位置情報項目AGSPIまたはさらなる位置情報項目AGMPIを使用する図21aおよび21Bからの第2の色チャネルまたは第2の画像情報項目BI12における抗原スポットの識別である。さらに、参照スポットがまた、抗原を含む場合、好ましくは行われることは、参照位置情報項目RPIまたは参照スポット位置情報項目RSPIを使用する参照スポットの識別である。
【0169】
ステップS41において行われることは、上記のように、特定のパターンおよびしたがってまた、特定の種類の抗原に対する画像領域またはスポットの割当である。
【0170】
ステップS42において行われることは、第2の色チャネルにおけるまたは第2の画像情報項目に基づくパターンの平均強度または中央強度の決定である。
【0171】
方法ステップS43において行われることは、中央強度に適用される閾値を示すデータセットTHを提供することまたは受信することである。
【0172】
次いでステップS43において行われることは、それぞれのパターンの確認された平均強度に対する前記閾値の適用である。
【0173】
ステップS44において次いで行われることは、それぞれのパターンについてのそれぞれの結合の測定値の決定である。
【0174】
好ましくは実施されるステップS44aにおいて、次いで行われることは、第2の色チャネルまたは第2の画像情報項目における参照パターンの参照スポットが十分な染色または平均強度を有しない場合、好ましくは光学ディスプレイ装置または好ましくはデータインターフェースを介して出力されるデータ要素による、ユーザーへの記録の出力である。これは、参照パターンの参照スポットが抗体、特にIgGを含む場合、特に行われ、これによって、ヒト患者の液体生体試料との抗原チップの適切なインキュベーションが実施されたかどうかをチェックすることが可能になる。
【0175】
ステップS45において、次いで行われることは結合の測定値の出力である。
【0176】
図9は、好ましくはまた、クラウドシステムとも称されることがある、本発明によるデータネットワークデバイスV2の一実施形態を示す。
【0177】
液体および生体試料中の抗体を検出するための自動画像評価のためのデータネットワークデバイスV2は、少なくとも1つのデータインターフェースDSを備え、それを介してデータ要素DA2はデータネットワークを介して交換され得る。
【0178】
デバイスV2は、好ましくはデータバスDBを介してデータインターフェースDSに接続される、少なくとも1つの演算装置R2を備える。好ましくは、データネットワークデバイスV2は少なくとも1つの記憶装置MEMを備える。
【0179】
少なくとも1つのデータインターフェースDSは、第1の色素による抗原チップの参照スポットおよび抗原スポットの染色を表す第1の画像情報項目を受信するように設計される。少なくとも1つのデータインターフェースDSはさらに、抗原チップを、生体試料および第2の色素で標識された二次抗体を含むコンジュゲートとともにインキュベートした後、第2の色素による抗原チップの抗原スポットの潜在的な染色を表す第2の画像情報項目を受信するように設計される。
【0180】
演算装置R2は、自動画像処理するための方法に関連する上記のステップ、特にステップS4、S5、S6、S7およびS9のうちの1つまたは複数を実施するように設計される。さらに、演算装置R2は、好ましくは実施され、上記に詳細に説明されていた自動画像処理するための方法のさらなるステップを実施するように設計される。
【0181】
図9からのデバイスV2はさらに好ましくは、データインターフェースDSを介して、それぞれの種類の抗原に対する抗体のそれぞれの結合の測定値を示す情報項目であるデータ要素DA2を提供するように設計される。
【0182】
さらに、データインターフェースDSは、データ要素を介して、抗原スポットおよび/またはパターンならびに参照スポットまたは参照パターンの検出された位置を示すようにさらに設計される。
【0183】
図9からのデバイスV2によって実施される方法において、行われることは、特に、少なくとも1つのデータインターフェースDSを介して受信され、少なくとも1つの記憶装置MEMによって提供される第1の画像情報項目によって液体生体試料中の抗体を検出するための自動画像処理であり、第2の画像情報項目は、データインターフェースDSを介してさらに受信され、同様に記憶装置MEMによって提供される。
【0184】
好ましくは、デバイスV2は、データインターフェースDSを介して、特定の種類の抗原を示すデータ要素を受信するように設計され、この特定の種類の抗原に関連して結合の測定値が出力される。次いで好ましくは行われることは、前記示した特定の種類の抗原についての評価およびさらに対応する特定の種類の抗原の結合の測定値を示すデータ要素の送信である。
【0185】
いくつかの態様がデバイスに関して記載されているが、前記態様はまた、対応する方法の説明であることが明らかであり、したがってデバイスのブロックまたはコンポーネントもまた、対応する方法ステップまたは方法ステップの特徴として理解され得る。類推により、方法ステップに関してまたは方法ステップとして記載されている態様はまた、対応するデバイスの対応するブロックまたは詳細または特徴の説明である。
【0186】
特定の実装要件に応じて、本発明の例示的な実施形態は、ハードウェア形式および/またはソフトウェア形式で演算装置R、R2を実現することができる。ここで、現在述べられている演算装置R、R2の実現は、少なくとも1つの演算装置として、またはそうでなければ複数の演算装置の接続によって、達成され得る。実装は、デジタル記憶媒体、例えば、フロッピーディスク、DVD、Blu-Ray Disc、CD、ROM、PROM、EPROM、EEPROMまたはFLASHメモリ、ハードディスクまたはいくつかの他の磁気もしくは光メモリを使用して達成され得、これらは、問題となっている方法が実施されるようにプログラム可能なハードウェアコンポーネントと協働するかまたは協働することができる電子的に読み取り可能な制御信号を記憶する。
【0187】
プログラム可能なハードウェアコンポーネントは、プロセッサ、中央処理装置(CPU)、コンピュータ、コンピュータシステム、特定用途向け集積回路(ASIC)、集積回路(IC)、システム・オン・チップ(SOC)、プログラム可能な論理素子またはマイクロプロセッサを備えたフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)によって演算装置として形成され得る。
【0188】
したがってデジタル記憶媒体は、機械により読み取り可能またはコンピュータにより読み取り可能であり得る。したがっていくつかの例示的な実施形態は、本明細書に記載されている方法のうちの1つが実施されるようにプログラム可能なコンピュータシステムまたはプログラム可能なハードウェアコンポーネントと協働することができる電子的に読み取り可能な制御信号を有するデータキャリアを含む。
【0189】
一般に、本発明の例示的な実施形態または例示的な実施形態の部分は、プログラム、ファームウェア、コンピュータプログラムもしくはプログラムコードを含有するコンピュータプログラム製品としてまたはデータとして実装され得、プログラムコードまたはデータは、プログラムがプロセッサもしくはプログラム可能なハードウェアコンポーネント上で実行する場合、方法もしくは方法の部分のうちの1つを実施する際に有効である。
図1
図2
図3a
図3b
図4a
図4b
図5a
図5b
図6
図7
図8
図9
図10
図11a
図11b
図11c
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20a
図20b
図21a
図21b
図22a
図22b