IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 青島海爾滾筒洗衣机有限公司の特許一覧 ▶ 海爾智家股▲フン▼有限公司の特許一覧

特許7198917衣類処理装置の制御方法及び衣類処理装置
<>
  • 特許-衣類処理装置の制御方法及び衣類処理装置 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-21
(45)【発行日】2023-01-04
(54)【発明の名称】衣類処理装置の制御方法及び衣類処理装置
(51)【国際特許分類】
   D06F 58/48 20200101AFI20221222BHJP
   D06F 58/38 20200101ALI20221222BHJP
【FI】
D06F58/48
D06F58/38
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021517359
(86)(22)【出願日】2019-09-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-24
(86)【国際出願番号】 CN2019104899
(87)【国際公開番号】W WO2020063310
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-08-19
(31)【優先権主張番号】201811150652.8
(32)【優先日】2018-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】514114622
【氏名又は名称】青島海爾滾筒洗衣机有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】520148792
【氏名又は名称】海爾智家股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】HAIER SMART HOME CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.1 Haier Road, Laoshan District Qingdao, Shandong 266101 China
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】李文偉
(72)【発明者】
【氏名】呉軍
(72)【発明者】
【氏名】潘光輝
(72)【発明者】
【氏名】王光鋒
(72)【発明者】
【氏名】王育宝
(72)【発明者】
【氏名】趙志龍
【審査官】石井 茂
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第108085941(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第102859063(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 33/00-34/34
D06F 58/30-58/52
D06F 58/00
D06F 58/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣類処理装置の制御方法であって、前記衣類処理装置は同一の熱交換システムを共用する複数の衣類乾燥領域を含み、前記制御方法において、
複数の乾燥領域は同時に乾燥を開始し、環境温度及び負荷に基づいて各乾燥領域に必要な初期パワーを算出し、初期パワーに基づいて一定の比率で各乾燥領域に熱量を供給することを特徴とする制御方法。
【請求項2】
前記衣類処理装置の衣類乾燥領域には負荷の大きさを判断する計量構造が設けられており、環境温度と計量値に基づいて各乾燥領域に必要なパワーを算出し、取得したパワーに基づいて一定の比率で各乾燥領域に供給する熱量を調節することを特徴とする請求項1に記載の衣類処理装置の制御方法。
【請求項3】
前記衣類処理装置には、環境温度及び計量値に対応するパワーデータベースが設けられており、パワーと環境温度及び計量値との対応関係は、パワーをP、乾燥領域の計量値をGとすると、パワーP=K*G+Bとなり、このうち、KとBは環境温度に対応する定数であり、環境温度の違いによってKとBが取る値は異なことを特徴とする請求項2に記載の衣類処理装置の制御方法。
【請求項4】
前記衣類処理装置の複数の衣類乾燥領域は同一の風路を共用し、前記風路の排気口には、複数の衣類乾燥領域の吸気口とそれぞれ連通する開口が設けられており、開口には開度を制御可能な風分岐弁が設けられており、各衣類乾燥領域に必要な初期パワーに基づいて風分岐弁の開度を制御することで、各乾燥領域に進入する熱風量を調節することを特徴とする請求項2又は3に記載の衣類処理装置の制御方法。
【請求項5】
前記衣類処理装置は、同一負荷の場合には、環境温度が高いほどK 及びB が取る値は小さくなることを特徴とする請求項2に記載の衣類処理装置の制御方法。
【請求項6】
前記衣類処理装置は第1乾燥領域及び第2乾燥領域を含み、前記第1乾燥領域及び前記第2乾燥領域の温度に基づいて前記風分岐弁の開度を調節し、前記風分岐弁の開度と前記第1乾燥領域及び前記第2乾燥領域の温度との対応関係は、前記衣類処理装置の制御ユニットに予め設定されていることを特徴とする請求項4に記載の衣類処理装置の制御方法。
【請求項7】
前記第1乾燥領域及び前記第2乾燥領域の排気口の温度に基づいて風分岐弁の開度を調節し、一方の乾燥領域の温度上昇速度が他方の乾燥領域よりも速い場合には、温度上昇の速い乾燥領域に向かう風分岐弁の開口が小さくなるよう制御し、
好ましくは、単位時間における第1乾燥領域の排気口の温度をT1、第2乾燥領域の排気口の温度をT2とし、T1とT2の差分値と風分岐弁の開度の大きさとの対応関係を衣類処理装置に予め設定しておき、T1とT2の差分値に基づき、対応する風分岐弁の開度の大きさを取得して調節することを特徴とする請求項6に記載の衣類処理装置の制御方法。
【請求項8】
前記熱交換システムはヒートポンプシステム又はヒートパイプ水冷システムであり、各乾燥領域に必要なパワーを算出し、コンプレッサの回転速度又はヒートパイプのパワーを制御して出力することで、乾燥領域のパワーを調節することを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の衣類処理装置の制御方法。
【請求項9】
前記熱交換システムはヒートポンプシステムであり、ヒートポンプは、蒸発器、コンプレッサ、凝縮器を含み、乾燥領域の排気口における温度と、蒸発器と凝縮器の間の部位における温度との差分値が所定の値よりも大きい場合には、乾燥が完了したと判断することを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の衣類処理装置の制御方法。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の衣類処理装置の制御方法を用いることを特徴とする衣類処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は衣類処理装置の技術分野に属し、具体的には、衣類処理装置の制御方法及び衣類処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、多槽式衣類処理装置がますます増加しており、各種の組み合わせもますます新奇なものとなっている。しかし、多槽同時乾燥機能を有する衣類処理装置の場合、従来の乾燥制御方法では熱交換システムの熱量を十分に利用することが難しく、エネルギー消費が増加する。また、乾燥効果が芳しくない。
【0003】
そのため、多槽同時乾燥機能に適応して、熱利用率を高め、乾燥時間を短縮し、乾燥効率を向上させる乾燥制御方法が必要とされている。
【0004】
以上に鑑みて、本発明を提案する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする技術的課題は、従来技術の瑕疵を解消するために、衣類処理装置の制御方法及び衣類処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の技術的課題を解決するために、本発明で採用する技術方案の基本思想は以下の通りである。
【0007】
衣類処理装置の制御方法において、前記衣類処理装置は同一の熱交換システムを共用する複数の衣類乾燥領域を含んでいる。複数の乾燥領域は同時に乾燥を開始する。当該制御方法では、環境温度及び負荷に基づいて各乾燥領域に必要な初期パワーを算出し、初期パワーに基づいて一定の比率で各乾燥領域に熱量を供給する。
【0008】
本発明の一実施形態として、前記衣類処理装置の制御方法において、衣類処理装置の衣類乾燥領域には負荷の大きさを判断する計量構造が設けられている。当該制御方法では、環境温度と計量値に基づいて各乾燥領域に必要なパワーを算出し、取得したパワーに基づいて一定の比率で各乾燥領域に供給する熱量を調節する。
【0009】
本発明の一実施形態として、前記衣類処理装置の制御方法において、衣類処理装置には、環境温度及び計量値に対応するパワーデータベースが設けられている。パワーと環境温度及び計量値との対応関係は、パワーをP、乾燥領域の計量値をGとすると、パワーP=K*G+Bとなる。このうち、KとBは環境温度に対応する定数であり、環境温度の違いによってKとBが取る値は異なる。
【0010】
好ましくは、同一負荷の場合には、環境温度が高いほどK及びBが取る値は小さくなる。
【0011】
本発明の一実施形態として、前記衣類処理装置の制御方法において、衣類処理装置の複数の衣類乾燥領域は同一の風路を共用する。風路の排気口には、複数の衣類乾燥領域の吸気口とそれぞれ連通する開口が設けられており、開口には開度を制御可能な風分岐弁が設けられている。各衣類乾燥領域に必要な初期パワーに基づいて風分岐弁の開度を制御することで、各乾燥領域に進入する熱風量を調節する。
【0012】
本発明の一実施形態として、前記衣類処理装置の制御方法において、衣類処理装置は第1乾燥領域と第2乾燥領域を含む。第1乾燥領域の計量値をG1、第2乾燥領域の計量値をG2、第1乾燥領域の補正係数をM1、第2乾燥領域の補正係数をM2、第1乾燥領域及び第2乾燥領域の同時乾燥に対応する風分岐弁の基準開度をC、風分岐弁の初期開度をDとすると、D=(M1*G1/M2*G2)*Cとなる。このうち、Cは、実験で取得した同一負荷の場合に乾燥効率が最高となったときの風分岐弁の開度値である。
【0013】
本発明の一実施形態として、前記衣類処理装置の制御方法では、第1乾燥領域及び第2乾燥領域の温度に基づいて風分岐弁の開度を調節する。風分岐弁の開度と第1乾燥領域及び第2乾燥領域の温度との対応関係は、衣類処理装置の制御ユニットに予め設定されている。
【0014】
本発明の一実施形態として、前記衣類処理装置の制御方法では、第1乾燥領域及び第2乾燥領域の排気口の温度に基づいて風分岐弁の開度を調節する。一方の乾燥領域の温度上昇速度が他方の乾燥領域よりも速い場合には、温度上昇の速い乾燥領域に向かう風分岐弁の開口が小さくなるよう制御する。
【0015】
好ましくは、単位時間における第1乾燥領域の排気口の温度をT1、第2乾燥領域の排気口の温度をT2とし、T1とT2の差分値と風分岐弁の開度の大きさとの対応関係を衣類処理装置に予め設定しておく。そして、T1とT2の差分値に基づき、対応する風分岐弁の開度の大きさを取得して調節する。
【0016】
本発明の一実施形態として、前記衣類処理装置の制御方法において、熱交換システムはヒートポンプシステム又はヒートパイプ水冷システムである。各乾燥領域に必要なパワーを算出し、コンプレッサの回転速度又はヒートパイプのパワーを制御して出力することで、乾燥領域のパワーを調節する。
【0017】
本発明の一実施形態として、前記衣類処理装置の制御方法において、熱交換システムはヒートポンプシステムである。ヒートポンプは、蒸発器、コンプレッサ、凝縮器を含む。乾燥領域の排気口における温度と、蒸発器と凝縮器の間の部位における温度との差分値が所定の値よりも大きい場合には、乾燥が完了したと判断する。
【0018】
本発明の他の目的は、衣類処理装置を提供することである。当該衣類処理装置は、上記内容のいずれかで述べた衣類処理装置の制御方法を用いる。
【発明の効果】
【0019】
上記の技術方案を用いることで、本発明は従来技術と比較して以下の有益な効果を有する。
【0020】
本発明で記載する衣類処理装置の制御方法は、複数の乾燥領域が同時運転する状態に適用されて、熱交換システムから供給される熱量を十分に利用する。これにより、熱利用率が向上し、乾燥時間が短縮される。また、乾燥効率が向上し、エネルギー消費の節約となる。
【0021】
以下に、図面を組み合わせて、本発明の具体的実施形態につき更に詳細に述べる。
【0022】
図面は本発明の一部として本発明の更なる理解のために用いられる。また、本発明の概略的実施例及びその説明は本発明の解釈のために用いられるが、本発明を不当に限定するものではない。なお、言うまでもなく、以下で記載する図面は実施例の一部にすぎず、当業者であれば、創造的労働を要することなくこれらの図面から更にその他の図面を得ることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、本発明で記載する衣類処理装置の制御方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
説明すべき点として、これらの図面及び文字記載は何らかの方式で本発明の構想の範囲を制限するとの意図ではなく、特定の実施例を参照して当業者に本発明の概念を説明するためのものである。
【0025】
本発明における実施例の目的、技術方案及び利点をより明確とすべく、以下では、本発明の実施例にかかる図面を組み合わせて、実施例の技術方案につき明瞭簡潔に述べる。なお、以下の実施例は本発明を説明するためのものであって、本発明の範囲を制限するものではない。
【0026】
本発明の記載において、説明すべき点として、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「内」、「外」等の用語で示される方向又は位置関係は、図示に基づく方向又は位置関係であって、本発明の記載の便宜上及び記載の簡略化のためのものにすぎず、対象となる装置又は部材が特定の方向を有し、且つ特定の方向で構成及び操作されねばならないことを明示又は暗示するものではない。よって、本発明を制限するものと理解すべきではない。
【0027】
本発明の記載において、説明すべき点として、別途明確に規定及び限定しない限り、「装着する」、「連なる」、「接続する」との用語は広義に解釈すべきである。例えば、固定接続であってもよいし、取り外し可能な接続であってもよいし、一体的な接続であってもよい。また、機械的な接続であってもよいし、電気的な接続であってもよい。更には、直接的な連なりであってもよいし、中間媒体を介した間接的な連なりであってもよい。当業者であれば、具体的状況に応じて本発明における上記用語の具体的意味を解釈可能である。
【実施例1】
【0028】
衣類処理装置の制御方法において、前記衣類処理装置は同一の熱交換システムを共用する複数の衣類乾燥領域を含んでいる。複数の乾燥領域は同時に乾燥を開始する。当該制御方法では、環境温度及び負荷に基づいて各乾燥領域に必要な初期パワーを算出し、初期パワーに基づいて一定の比率で各乾燥領域に熱量を供給する。
【0029】
本発明の一実施形態として、前記衣類処理装置の制御方法において、衣類処理装置の衣類乾燥領域には負荷の大きさを判断する計量構造が設けられている。当該制御方法では、環境温度と計量値に基づいて各乾燥領域に必要なパワーを算出し、取得したパワーに基づいて一定の比率で各乾燥領域に供給する熱量を調節する。
【0030】
本発明の一実施形態として、前記衣類処理装置の制御方法において、衣類処理装置には、環境温度及び計量値に対応するパワーデータベースが設けられている。パワーと環境温度及び計量値との対応関係は、パワーをP、乾燥領域の計量値をGとすると、パワーP=K*G+Bとなる。このうち、KとBは環境温度に対応する定数であり、環境温度の違いによってKとBが取る値は異なる。
【0031】
好ましくは、同一負荷の場合には、環境温度が高いほどK及びBが取る値は小さくなる。
【0032】
本発明の一実施形態として、前記衣類処理装置の制御方法において、衣類処理装置の複数の衣類乾燥領域は同一の風路を共用する。風路の排気口には、複数の衣類乾燥領域の吸気口とそれぞれ連通する開口が設けられており、開口には開度を制御可能な風分岐弁が設けられている。各衣類乾燥領域に必要な初期パワーに基づいて風分岐弁の開度を制御することで、各乾燥領域に進入する熱風量を調節する。
【0033】
本発明の一実施形態として、前記衣類処理装置の制御方法において、衣類処理装置は第1乾燥領域と第2乾燥領域を含む。第1乾燥領域の計量値をG1、第2乾燥領域の計量値をG2、第1乾燥領域の補正係数をM1、第2乾燥領域の補正係数をM2、第1乾燥領域及び第2乾燥領域の同時乾燥に対応する風分岐弁の基準開度をC、風分岐弁の初期開度をDとすると、D=(M1*G1/M2*G2)*Cとなる。このうち、Cは、実験で取得した同一負荷の場合に乾燥効率が最高となったときの風分岐弁の開度値である。
【0034】
本発明の一実施形態として、前記衣類処理装置の制御方法では、第1乾燥領域及び第2乾燥領域の温度に基づいて風分岐弁の開度を調節する。風分岐弁の開度と第1乾燥領域及び第2乾燥領域の温度との対応関係は、衣類処理装置の制御ユニットに予め設定されている。
【0035】
本発明の一実施形態として、前記衣類処理装置の制御方法では、第1乾燥領域及び第2乾燥領域の排気口の温度に基づいて風分岐弁の開度を調節する。一方の乾燥領域の温度上昇速度が他方の乾燥領域よりも速い場合には、温度上昇の速い乾燥領域に向かう風分岐弁の開口が小さくなるよう制御する。
【0036】
好ましくは、単位時間における第1乾燥領域の排気口の温度をT1、第2乾燥領域の排気口の温度をT2とし、T1とT2の差分値と風分岐弁の開度の大きさとの対応関係を衣類処理装置に予め設定しておく。そして、T1とT2の差分値に基づき、対応する風分岐弁の開度の大きさを取得して調節する。
【0037】
本発明の一実施形態として、前記衣類処理装置の制御方法において、熱交換システムはヒートポンプシステム又はヒートパイプ水冷システムである。各乾燥領域に必要なパワーを算出し、コンプレッサの回転速度又はヒートパイプのパワーを制御して出力することで、乾燥領域のパワーを調節する。
【0038】
本発明の一実施形態として、前記衣類処理装置の制御方法において、熱交換システムはヒートポンプシステムである。ヒートポンプは、蒸発器、コンプレッサ、凝縮器を含む。乾燥領域の排気口における温度と、蒸発器と凝縮器の間の部位における温度との差分値が所定の値よりも大きい場合には、乾燥が完了したと判断する。
【0039】
本発明の他の目的は、衣類処理装置を提供することである。当該衣類処理装置は、上記内容のいずれかで述べた衣類処理装置の制御方法を用いる。
【0040】
上記の技術方案を用いることで、本発明は従来技術と比較して以下の有益な効果を有する。
【0041】
本発明で記載する衣類処理装置の制御方法は、複数の乾燥領域が同時運転する状態に適用されて、熱交換システムから供給される熱量を十分に利用する。これにより、熱利用率が向上し、乾燥時間が短縮される。また、乾燥効率が向上し、エネルギー消費の節約となる。
【実施例2】
【0042】
本実施例は、実施例1を更に限定又は合理化するものである。
【0043】
衣類処理装置の制御方法において、前記衣類処理装置は同一の熱交換システムを共用する複数の衣類乾燥領域を含んでいる。複数の乾燥領域は同時に乾燥を開始する。当該制御方法では、環境温度及び負荷に基づいて各乾燥領域に必要な初期パワーを算出し、初期パワーに基づいて一定の比率で各乾燥領域に熱量を供給する。
【0044】
本発明の一実施形態として、前記衣類処理装置の制御方法において、衣類処理装置の衣類乾燥領域には負荷の大きさを判断する計量構造が設けられている。当該制御方法では、環境温度と計量値に基づいて各乾燥領域に必要なパワーを算出し、取得したパワーに基づいて一定の比率で各乾燥領域に供給する熱量を調節する。
【0045】
環境温度の検出方法としては、環境温度センサにより環境温度を直接検出するか、コンプレッサシステムの温度センサによって間接的に判断する。
【0046】
好ましくは、コンプレッサシステムの温度センサによって間接的に判断する。コンプレッサの排気温度と凝縮器の出口温度から総合的に分析して環境温度を取得すれば、外部の環境温度を検出するために温度センサを特別に衣類処理装置の外部に設けなくともよいため、占有スペースの節約となる。
【0047】
本発明の一実施形態として、前記衣類処理装置の制御方法において、衣類処理装置には、環境温度及び計量値に対応するパワーデータベースが設けられている。パワーと環境温度及び計量値との対応関係は、パワーをP、乾燥領域の計量値をGとすると、パワーP=K*G+Bとなる。このうち、KとBは環境温度に対応する定数であり、環境温度の違いによってKとBが取る値は異なる。
【0048】
環境温度に対応する段階を低温環境、中温環境、高温環境の3段階に分ける。前記パワーデータベースには、低温環境、中温環境、高温環境にそれぞれ対応するサブデータベースが含まれている。
【0049】
例えば、環境温度がm1~m2の間の場合には、低温環境であり、パワーP=K*G+Bとなる。
【0050】
環境温度がm2~m3の間の場合には、中温環境であり、パワーP=K*G+Bとなる。
【0051】
環境温度がm3~m4の間の場合には、高温環境であり、パワーP=K*G+Bとなる。
【0052】
複数の乾燥領域が同時に乾燥を開始する際には、まず、環境温度が属する段階を判断してから、サブデータベースのパワー算出方法を然るべく呼び出す。
【0053】
本発明の一実施形態として、前記衣類処理装置の制御方法において、衣類処理装置の複数の衣類乾燥領域は同一の風路を共用する。風路の排気口には、複数の衣類乾燥領域の吸気口とそれぞれ連通する開口が設けられており、風路の吸気口には、複数の衣類乾燥領域の排気口とそれぞれ連通する開口が設けられている。また、風路の排気口及び吸気口の開口には、いずれも開度を制御可能な風分岐弁が設けられている。各衣類乾燥領域に必要な初期パワーに基づいて風分岐弁の開度を制御することで、各乾燥領域に進入する熱風量又は乾燥領域から風路に進入する風量を調節する。
【0054】
前記衣類処理装置の制御方法において、衣類処理装置は第1乾燥領域と第2乾燥領域を含む。第1乾燥領域の計量値をG1、第2乾燥領域の計量値をG2、第1乾燥領域の補正係数をM1’、第2乾燥領域の補正係数をM2’、第1乾燥領域及び第2乾燥領域の同時乾燥に対応する風分岐弁の基準開度をC’、風分岐弁の初期開度をD’とすると、D=(M1’*G1/M2’*G2)*C’となる。このうち、C’は、実験で取得した同一負荷の場合に乾燥効率が最高となったときの風分岐弁の開度値である。
【0055】
本発明の好ましい方案として、リアルタイムで各乾燥領域の乾燥状況に基づき柔軟な調節を行えるよう、ステッピングモータを用いて風分岐弁の開度の大きさを制御する。
【0056】
上記の技術方案を用いることで、本発明は従来技術と比較して以下の有益な効果を有する。
【0057】
本発明で記載する衣類処理装置の制御方法は、複数の乾燥領域が同時運転する状態に適用されて、熱交換システムから供給される熱量を十分に利用する。これにより、熱利用率が向上し、乾燥時間が短縮される。また、乾燥効率が向上し、エネルギー消費の節約となる。
【実施例3】
【0058】
本実施例は、実施例1又は実施例2を更に限定又は合理化するものである。
【0059】
図1に示すように、前記衣類処理装置の制御方法において、衣類処理装置は、同一の熱交換システムを共用する上下に設置された2つの衣類乾燥領域を含む。乾燥領域が同時に乾燥を開始する際には、具体的に以下のステップを含む。
【0060】
S1:2つの乾燥領域が同時に乾燥を開始する。
【0061】
S2:環境温度と負荷に基づいて、各乾燥領域に必要な初期パワーを算出する。
【0062】
S3:風分岐弁の上下の開度を算出する。
【0063】
S4:乾燥領域に設置されている温度センサの温度値を取得する。
【0064】
S5:乾燥領域の温度に基づき風分岐弁の開度を調整し、一定時間運転する。
【0065】
S6:乾燥条件を満たす乾燥領域が存在するか否かを判断し、存在しない場合にはステップS4を実行する。
【0066】
また、存在する場合には当該乾燥領域の運転を終了し、風分岐弁を他方の乾燥領域に切り替える。そして、乾燥条件を満たすまで1領域乾燥プログラムを実行してから運転を終了する。
【0067】
前記ステップS2において、初期パワーの算出方法は次の通りである。パワーをP、乾燥領域の計量値をGとすると、パワーP=K*G+Bとなる。このうち、KとBは環境温度に対応する定数であり、環境温度の違いによってKとBが取る値は異なる。
【0068】
前記ステップS3において、風分岐弁の上下の開度は以下の方法で取得する。第1乾燥領域の計量値をG1、第2乾燥領域の計量値をG2、第1乾燥領域の補正係数をM1、第2乾燥領域の補正係数をM2、第1乾燥領域及び第2乾燥領域の同時乾燥に対応する風分岐弁の基準開度をC、風分岐弁の初期開度をDとすると、D=(M1*G1/M2*G2)*Cとなる。このうち、Cは、実験で取得した同一負荷の場合に乾燥効率が最高となったときの風分岐弁の開度値である。
【0069】
前記ステップS5では、第1乾燥領域及び第2乾燥領域の排気口の温度に基づいて風分岐弁の開度を調節する。一方の乾燥領域の温度上昇速度が他方の乾燥領域よりも速い場合には、温度上昇の速い乾燥領域に向かう風分岐弁の開口が小さくなるよう制御する。
【0070】
好ましくは、前記風分岐弁の開度の調節は以下の方法で行う。単位時間における第1乾燥領域の排気口の温度をT1、第2乾燥領域の排気口の温度をT2とし、T1とT2の差分値と風分岐弁の開度の大きさとの対応関係を衣類処理装置に予め設定しておく。そして、T1とT2の差分値に基づき、対応する風分岐弁の開度の大きさを取得して調節する。
【0071】
上記の技術方案を用いることで、本発明は従来技術と比較して以下の有益な効果を有する。
【0072】
本発明で記載する衣類処理装置の制御方法は、複数の乾燥領域が同時運転する状態に適用されて、熱交換システムから供給される熱量を十分に利用する。これにより、熱利用率が向上し、乾燥時間が短縮される。また、乾燥効率が向上し、エネルギー消費の節約となる。
【実施例4】
【0073】
本実施例は、実施例1~3の方案の更なる限定、合理化又は置き換えである。なお、各実施例の方案は組み合わせて使用することができる。
【0074】
本実施例で記載する衣類処理装置の制御方法は、いずれかの乾燥領域が乾燥したか否かを判断するステップを含む。乾燥判断の方法は、次の通りである。
【0075】
ステップA:X秒ごとに排気口の温度を1回採取し、いずれかの温度値の連続出現回数がNとなった場合、当該温度値を現時点における平衡温度値TempA1とする。
【0076】
ステップB:衣類処理装置に記憶されている平衡温度値TempAと平衡差分値△Tとの関係を取得して、現時点における平衡温度値TempA1に対応する平衡差分値△T1を取得する。
【0077】
ステップC:加熱を続け、リアルタイムで排気口の温度と平衡温度値TempA1との差分値を検出及び算出し、前記差分値が平衡差分値△T1以上となった場合に衣類が乾燥したと判断する。
【0078】
実施形態として、前記ステップAの前には、更に以下が設けられている。
【0079】
ステップA1:負荷別に乾燥試験を行って、各種負荷の場合の乾燥温度・時間曲線を取得する。
【0080】
ステップA2:乾燥温度・時間曲線に基づき、各種負荷に対応する平衡温度値TempA及び終点温度値Tを算出する。
【0081】
ステップA3:公式T=TempA+△Tから、各平衡温度値TempAに対応する平衡差分値△Tを算出する。
【0082】
実施形態として、前記ステップAのあと且つステップBの前には、更に以下が設けられている。
【0083】
ステップA4:排気口の温度を継続的に採取し、いずれかの温度値の連続出現回数が前回のTempA1の出現回数よりも多い場合には、改めてこの温度値をTempA1とする。
【0084】
前記ステップAにおいて、任意の設定時間内にTempA1が得られなかった場合には、当該時間内で出現回数が最も多かった温度値をTempA1とする。
【0085】
前記ステップAにおいて、Xが取る値は構造機種の違いに応じて調整する。なお、Xが取る値の範囲は、1≦X≦30である。
【0086】
前記ステップAにおいて、Nが取る値は負荷タイプ及び負荷重量の違いに応じて調整する。なお、Nが取る値の範囲は、3≦N≦15である。
【0087】
前記ステップAにおいて、負荷が大きい場合には、いずれかの温度値の連続出現回数がNとなったことを検出したときに、当該温度値を現在の平衡温度値TempA1とする。また、負荷が小さい場合には、いずれかの温度値の連続出現回数がN-aとなったことを検出したときに、当該温度値を現在の平衡温度値TempA1とする。なお、aは実験定数である。
【0088】
実施形態として、前記ステップBにおいて、平衡温度値TempAと平衡差分値△Tとの関係は、40℃≦TempA≦42℃の場合には△Tが24℃、43℃≦TempA≦46℃の場合には△Tが21℃、47℃≦TempA≦50℃の場合には△Tが16℃となる。
【0089】
前記衣類処理装置の乾燥領域の排気口には温度センサが装着されており、乾燥領域の排気温度を検出するために用いられる。
【実施例5】
【0090】
本実施例は、ヒートポンプシステム、複数の衣類乾燥領域及び乾燥領域に熱風を供給する風路を含む衣類処理装置を提供する。ヒートポンプシステムは、蒸発器、コンプレッサ、凝縮器を含む。熱交換媒体は、前記蒸発器、コンプレッサ、凝縮器が順に連通して形成される循環回路内で循環することで、風路を通過する空気を加熱する。
【0091】
衣類処理装置は、外槽、風路、及び外槽内に設けられる内槽を含む。前記風路の吸気口と排気口はそれぞれ外槽の後部と前部に接続されている。風路と外槽は閉回路を形成している。風路内にはファンが設けられている。蒸発器は風路の吸気口に設けられており、風路を通過する空気を凝縮するために用いられる。また、凝縮器はファンと蒸発器の間の風路に位置し、風路を通過する空気を加熱するために用いられる。
【0092】
複数の衣類乾燥領域は同一の風路を共用する。風路の排気口には、複数の衣類乾燥領域の吸気口とそれぞれ連通する開口が設けられており、開口には開閉を制御可能な風分岐弁が設けられている。また、風路の吸気口には、複数の衣類乾燥領域の排気口とそれぞれ連通する開口が設けられており、開口には開閉を制御可能な風分岐弁が設けられている。
【0093】
前記衣類処理装置は、2つの回転槽を有する衣類乾燥機、衣類乾燥機能を有する洗濯機、又は洗濯乾燥一体機である。
【0094】
或いは、前記衣類処理装置は、2つ又は2つ以上の乾燥領域を有する衣類乾燥キャビネット、又は、乾燥キャビネットと衣類乾燥機能を有する洗濯機とを組み合わせた衣類処理装置、又は、乾燥機能を有する衣類処理構造を組み合わせたその他の装置である。
【0095】
各乾燥領域の吸気口、排気口にはいずれも温度センサが設けられており、乾燥領域の給気温度と排気温度を検出するために用いられる。
【0096】
上記の衣類処理装置は、本発明で記載したいずれかの衣類処理装置の制御方法を用いる。
【0097】
以上は本発明の好ましい実施例にすぎず、本発明を何らかの形式に制限するものではない。本発明については好ましい実施例によって上記のように開示したが、本発明を限定するとの主旨ではない。本発明の技術方案を逸脱しない範囲において、当業者が上記で提示した技術内容を用いて実施可能なわずかな変形或いは補足は、同等に変形された等価の実施例とみなされ、いずれも本発明の技術方案の内容を逸脱するものではない。また、本発明の技術的本質に基づいて上記の実施例に加えられる任意の簡単な修正、同等の変形及び補足は、いずれも本発明の方案の範囲に属する。
図1