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特許7198942WIMセンサーのための較正及びサイト選択、並びにWIMセンサー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-21
(45)【発行日】2023-01-04
(54)【発明の名称】WIMセンサーのための較正及びサイト選択、並びにWIMセンサー
(51)【国際特許分類】
   G01G 23/01 20060101AFI20221222BHJP
   G01G 19/03 20060101ALI20221222BHJP
【FI】
G01G23/01 Z
G01G19/03
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021551943
(86)(22)【出願日】2020-02-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-21
(86)【国際出願番号】 EP2020052853
(87)【国際公開番号】W WO2020182376
(87)【国際公開日】2020-09-17
【審査請求日】2021-09-01
(31)【優先権主張番号】19161646.5
(32)【優先日】2019-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】502281471
【氏名又は名称】キストラー ホールディング アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハイレスラッシー、ビルク
【審査官】森 雅之
(56)【参考文献】
【文献】特許第3101637(JP,B2)
【文献】特許第5885733(JP,B2)
【文献】特許第2995589(JP,B2)
【文献】特許第3700705(JP,B2)
【文献】米国特許出願公開第2017/0350698(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01G
G08G
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
WIMセンサー(7)の較正関数(C)を生成するための方法であって、前記WIMセンサー(7)が車道(1)に配置され、前記WIMセンサー(7)が、前記車道(1)の表面に加えられた車輪力(W)を測定し、
a)(101)車道(1)の道路プロファイル(2)が記録されるステップであって、前記車道(1)の前記道路プロファイル(2)が前記車道(1)の前記表面の3次元表現であるステップと、
b)(102)前記車輪力(F9)がシミュレーション(102)によって決定されるステップであって、前記車輪力(F9)が車輪(8)によって前記道路プロファイル(2)に加えられ、前記車輪(8)が長手方向(X)においてステップa)の前記道路プロファイル(2)上をある速度で移動しており、前記車輪(8)が前記車道(1)の前記表面に押し付けられるステップと、
c)(103)ステップa)において記録された前記道路プロファイル(2)に対するステップb)(102)において決定された前記車輪力(F9)の依存性が、ステップa)において記録された前記道路プロファイル(2)の少なくとも1つの位置(P)についてのシミュレーション(102)によって決定されるステップと、
d)(104)ステップc)において決定された前記位置(P)の前記依存性が、前記WIMセンサー(7)によって測定された前記車輪力(W)への前記道路プロファイル(2)の影響を最小にするために使用されるステップと
が実行されることを特徴とする、WIMセンサー(7)の較正関数(C)を生成するための方法。
【請求項2】
ステップa)(101)において、前記道路プロファイル(2)が、前記車道(1)の垂直軸(Z’Z)に沿って少なくとも1mmの精度で記録されることと、ステップa)(101)において、前記道路プロファイル(2)が、前記車道(1)の縦軸(X’X)に沿って少なくとも100mmの精度で記録されることと、ステップa)(101)において、前記道路プロファイル(2)が、前記車道(1)の横軸(Y’Y)に沿って少なくとも100mmの精度で記録されることとを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップb)(102)において、前記車輪(8)が少なくとも1つのボディ・マス(m3)に接続されることと、ステップb)における前記車輪(8)が前記ボディ・マス(m3)によって前記道路プロファイル(2)に押し付けられることとを特徴とする、請求項1又は2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
ステップb)(102)において、前記車輪(8)が、事前定義されたばね定数(c42、c84)と減衰定数(k41、k83)とをもつ弾性接続、たとえばばね要素(42)とダンパー要素(41)又はショック・アブソーバ(41)とを備える弾性接続、特に車輪サスペンション(4)を介して、前記ボディ・マスm3に接続されることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
ステップb)(102)において、前記車輪(8)が、車輪マス(m8)と、ばね要素(84)と、ダンパー要素(83)とを採用し、ステップb)における前記車輪(8)が前記車輪マス(m8)によって前記車道(1)の前記表面に押し付けられることと、前記ばね要素(84)とダンパー要素(83)とをもつ前記車輪(8)がダンパー付きマススプリング・システム(200)であることとを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
ステップb)(102)において、前記シミュレーション(102)が少なくとも1つのダンパー付きマススプリング・システム(200)を備え、前記ダンパー付きマススプリング・システム(200)が、少なくとも1つのばね要素(42、84)と、少なくとも1つのダンパー要素(41、83)と、少なくとも1つのマス(m3、m8)とを備えることと、前記マス(m3、m8)が、少なくとも1つのダンパー要素(41、83)と少なくとも1つのばね要素(42、84)とを介して接触点(9)に接続されることと、前記シミュレーションは、車輪(8)が車輪(8)と車道(1)との間の接触点(9)に加える前記車輪力(F9)を決定することとを特徴とする、請求項1から5までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
ステップb)(102)において、前記シミュレーションが、前記車道(1)の前記表面の凹凸の上をある速度で移動している前記車輪(8)によって励起される前記ダンパー付きマススプリング・システム(200)の励振を決定し、前記凹凸がステップa)の前記道路プロファイル(2)内で表されることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
ステップc)(103)におけるある位置について、前記車輪力(F9)が前記少なくとも1つのダンパー付きマススプリング・システム(200)の前記ばね要素(42、84)と前記ダンパー要素(41、83)とに依存することと、ステップc)(103)におけるある位置について、前記車輪力(F9)が、前記車道(1)の前記表面の上を移動している前記車輪(8)の前記速度に依存することと、ステップc)(103)におけるある位置について、前記車輪力(F9)が前記マス・スプリング・システム(200)の少なくとも1つのマス(m3、m8)に依存することとを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
ステップc)が、前記縦軸(X’X)上のいくつかの隣接する位置(P)及び/又は前記横軸(Y’Y)上の隣接する位置(P)について実行され、隣接する位置(P)が互いに2mmと500mmとの間の距離を有することと、ステップc)が、少なくとも1つのマス(m3、m8)と、少なくとも1つのばね要素(42、84)と、少なくとも1つのダンパー要素(41、83)とを備える少なくとも1つのダンパー付きマススプリング・システム(200)について、及び前記道路プロファイル(2)上の前記車輪(8)の少なくとも1つの速度について実行され、前記速度が前記車道(1)の前記道路プロファイル(2)との組合せで前記ダンパー付きマススプリング・システム(200)の前記励振を決定することとを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
ステップa)(101)において、前記道路プロファイル(2)が、前記車道(1)上を運転している間に前記車道(1)の前記凹凸を記録する記録車両によって記録されるか、又はステップa)(101)の前記道路プロファイル(2)が、前記車道(1)の上を又は前記車道(1)に隣接して飛行している間に前記車道(1)の前記凹凸を記録する航空機によって記録されることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
ステップd)の、
d1a)、ステップa)における前記道路プロファイル2は、前記長手方向(X)に対してWIMセンサー(7)が配置されている位置(P)の前のある距離において開始し、前記WIMセンサー(7)が配置されている前記位置(P)の少なくとも100mm後ろで終了する、前記車道(1)のセクションの少なくとも1つのレーンについて記録され、前記距離が少なくとも25mであるサブステップと、
d2a)ステップb)による前記車輪力(F9)が前記シミュレーション(102)によって決定されるサブステップと、
d3a)前記車道(1)における前記WIMセンサー(7)が配置されている前記位置(P)における前記道路プロファイル(2)に対する前記車輪力(F9)の前記依存性が、5km/hと250km/hとを含む、5km/hと250km/hとの間の全速度範囲内の異なる速度範囲について、ステップc)(103)に従って決定され、ステップc)(103)が、車輪(8)当たり、1000Nと50000Nとを含む、1000Nと50000Nとの間の全車輪力範囲内の異なる車輪力範囲について実行され、ばね要素(42、84)及びダンパー要素(41、83)がそれぞれの車輪力範囲について事前決定されるサブステップと、
d4a)前記速度範囲及びマス範囲に応じた、並びに前記マス範囲内のマスをもつ静止している車両(10)の測定された車輪力(W)からの前記道路プロファイル(2)に応じた、)による前記車輪力(F9)の偏差が決定され、生成された前記較正関数(C)が、前記車輪力範囲に従って、及び前記車輪(8)について決定された速度の前記速度範囲に従って、前記WIMセンサー(7)の測定された車輪力(W)から前記偏差を減算することが可能であるサブステップと
が実行されることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
請求項11に記載のWIMセンサー(7)のための較正関数(C)を使用するWIMシステム(77)であって、前記WIMシステム(77)が評価要素(6)を有し、前記WIMシステム(77)が、前記WIMセンサー(7)の上を運転している車輪(8)の前記速度を決定するように適応され、
前記WIMセンサー(7)がWIMシステム(77)の一部であることと、前記評価要素(6)が、前記測定された車輪力(W)が範囲内にある前記車輪力範囲に従って、及び前記車輪(8)について決定された前記速度が範囲内にある前記速度範囲に従って、前記WIMセンサー(7)の測定された車輪力(W)から前記偏差を減算するために前記較正関数(C)を使用し、前記評価要素(6)が、前記結果を較正された車輪力(CW)として与えることとを特徴とする、WIMシステム(77)。
【請求項13】
前記WIMセンサー(7)によって測定された前記車輪力(W)が、前記較正関数(C)を用いて較正されることと、前記較正された車輪力(CW)が、前記測定された車輪力(W)への前記道路プロファイル(2)の前記影響を、静止している車両(10)の前記測定された車輪力(W)に対して少なくとも75%だけ低減することを特徴とする、請求項12に記載のWIMシステム(77)。
【請求項14】
WIMセンサー(7)のためのロケーションを選択するための方法であって、前記WIMセンサー(7)が、請求項1から11までのいずれか一項に従って、前記車道(1)中の、前記選択されたロケーションに配置されるべきであり、
a2)前記車道(1)のセクションの道路プロファイル(2)は、前記WIMセンサー(7)がその中に配置されるべき、前記車道(1)の少なくとも1つのレーンについて、ステップa)に従って記録され、前記車道(1)の前記セクションが、少なくとも25mの長手方向(X)における長さを備えるステップと、
b2)車輪力(F9)がステップb)(102)によるシミュレーション(102)によって決定されるステップと、
c2)ステップa)(101)において決定された前記道路プロファイル(2)に加えられる前記車輪力(F9)の前記依存が、前記長手方向(X)におけるいくつかの隣接する位置(P)についてのシミュレーション(102)によって決定され、隣接する位置(P)が互いに250mmと5000mmとの間の距離を有し、前記位置(P)が、ステップa)(101)において記録された前記道路プロファイル(2)内にあるステップと、
c3)ステップc2)が、5km/hと250km/hとを含む、5km/hと250km/hとの間の全速度範囲内の異なる速度範囲について実行され、ステップc2)が、車輪当たり、1000Nと50000Nとを含む、1000Nと50000Nとの間の全車輪力範囲内の異なる車輪力範囲について実行され、ばね要素(42、84)及びダンパー要素(41、83)がそれぞれの車輪力範囲について事前決定されるステップと、
d2)ステップc3)の前記結果から、前記車道(1)の位置(P)が選択され、車輪力(F9)の前記依存が、少なくとも1つのあらかじめ選択された車輪力範囲と、少なくとも1つのあらかじめ選択された速度範囲とについて最小であるステップと
が実行されることを特徴とする、WIMセンサー(7)のためのロケーションを選択するための方法。
【請求項15】
少なくとも1つのWIMセンサー(7)を備えるWIMシステム(77)であって、前記WIMセンサー(7)が、請求項14に記載の方法を適用することによって選択されたロケーションに設置される、WIMシステム(77)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行車両重量測定(Weigh in Motion)(WIM)センサーの測定精度を改善するための方法に関する。本発明はまた、車道に配置される、改善された計測精度をもつWIMセンサーに関する。
【背景技術】
【0002】
WIMセンサーは、車両が、車道のセクション上を運転している間に、車両の車輪によって車道のセクションの表面に加える力を測定する。簡潔のために、車道のセクションをただ車道と呼ぶ。そのようなWIMセンサーは、しばしば、車両識別、速度測定又は環境要因の測定のための他のセンサーと組み合わせてWIMシステム中で使用される。WIMセンサーは、車両の少なくとも1つの車輪がWIMセンサーの上を移動するような形で、車道に配置される。
【0003】
車輪力(wheel force)又は車軸力(axle force)又は車両の総重量を測定するために、少なくとも1つのWIMセンサーをもつWIMシステムがしばしば使用される。車輪力は、主に、車輪によって車道表面に加わる車両の総重量の比率に対応する。車軸力は、車軸の車輪のすべての車輪力の和である。総重量は、車両のすべての車軸のすべての車軸力の和である。車道に配置されたWIMセンサーに力が加わった場合、力は力信号の形態で与えられる。
【0004】
たとえば、過積載の車両が車道上を走行しているときに、過大に高い車輪力が車道に強い影響を及ぼし、摩耗の増加、又はさらには車道の損傷につながり得る。
【0005】
過積載の車両の直接執行、又は車輪力、車軸力若しくは総重量に依存する通行料金支払いなどの適用例は、WIMシステムとWIMセンサーの力測定との精度に高い要求を課す。
【0006】
WIMセンサーは欧州特許第0491655B1号公報から知られている。WIMセンサーは中空プロファイルとして設計され、プロファイル内には、互いからある距離において離間したいくつかの力測定要素がある。力測定要素は力信号を与える。WIMセンサーの較正は、既知の重量をもつ車両をWIMセンサーの上で運転することによって行われる。車両の重量は、車両が静止している間に計量される静的な計量ステーション上であらかじめ決定され得る。静止計量ステーションの欠点は、車輪によって車道に加えられる力に影響を及ぼす動的効果が考慮に入れられないことである。「動的」という用語は「時間に依存する変化」を指す。動的効果は、たとえば、車輪サスペンションを介して車輪に接続されたボディ・マス(body mass)の揺動(swinging)である。ボディ・マスは車両のボディのマスである。車両のボディは、車輪と車輪サスペンションとを除く、車両のすべてのパーツを備える。たとえば、エンジン、シャシー、適用可能な場合は1人又は複数の人、及び適用可能な場合は積荷が、ボディ・マスの一部である。
【0007】
ボディ・マスの揺動は車道表面における前の凹凸によって引き起こされ得る。揺動は、距離、たとえば車道までのボディの距離の時間的変化である。各時間的位置について、ボディ・マスの加速が決定され得る。ボディ・マスの加速は、車両の車輪が車道に加えている車輪力の変化を引き起こす。動的効果についての別の実例は、同様にボディ・マスの加速を引き起こす、車両の加速又は減速である。動的効果により、車輪を通して車道表面に作用する力は、車両の総重量の比率によって引き起こされ得るだけでなく、移動するボディ・マスの加速によっても引き起こされ得る。
【0008】
信号を与えることは、信号がさらなる使用のために利用可能であることを指す。信号を与えることはまた、信号を電子メモリに記憶することと、前記メモリから信号をロードすることとを含む。信号を与えることはまた、信号をディスプレイ・ユニット上に表示することを含む。
【0009】
動的効果は、WIMセンサーの上を通る較正車両によって較正されるWIMセンサーを開示している国際公開第2011120176A1号において考察されている。較正車両には、車輪がWIMセンサーの上を通るときに車道表面に及ぼす動的車輪力を直接決定する、少なくとも1つの測定車輪、いわゆる車輪力動力計(dynamometer)が装備されている。較正関数は、較正車両によって測定された車輪力をその車輪のためのWIMセンサーによって測定された力と比較することによって決定される。較正プロシージャが終わった後に、較正されたWIMセンサーを通る車両の動的効果は、較正関数を使用することによって除去され得ない。
【0010】
動的効果は、車道表面における凹凸によって引き起こされる。凹凸という用語は、車道の平均表面を定義する平面から0.01mm超逸脱する、車道の表面内のすべての凸部及び凹部を指す。
【0011】
平均表面は、この表面に平行である2つの方向、長手方向と横方向とを定義する。長手方向は、車両が車道上を移動している方向である。横方向は長手方向に直角である。横方向は、横方向に平行である横軸を定義する。長手方向は、長手方向に平行である縦軸を定義する。車道上の位置は、横軸上のそれの座標と、それの縦軸上のそれの座標とによって定義される。
【0012】
第3の方向は垂直方向によって与えられる。垂直方向は横方向に直角である。垂直方向は長手方向に直角である。垂直方向は、垂直方向に平行である垂直軸を定義する。垂直軸上の座標によって定義される高さは、ある位置における平均表面からの凹凸の偏差についての測度である。0の高さは車道の平均表面上の位置を定義する。
【0013】
平均表面は、凹凸の高さが利用可能である、車道上のすべての位置を考慮した2乗平均偏差が最小である表面である。
【0014】
車道の表面の3次元表現は、高さを有する横座標と縦座標とによって定義された、車道上の少なくとも3つの位置からなる。車道の表面のそのような3次元表現は、「道路プロファイル」と呼ばれ、たとえば、米国特許出願公開第2017350698A号に開示されているような車道測量車両を用いて、高い精度で決定され得る。
【0015】
車道の表面上のすべての位置について、高さが記録され得る。道路プロファイルが、ある位置についての記録された高さを含んでいない場合、この位置についての高さは、高さが利用可能である、最も近い位置の高さの補間を使用して決定される。
【0016】
車道に配置されたWIMセンサーの精度を高めるために、WIMセンサーの力測定要素は、しばしば管轄地区の規制に従って、事前決定された間隔で較正される。これらの較正には費用がかかり、時間がかかる。
【0017】
本発明のタスクは、WIMセンサーの測定精度を高めることである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【文献】欧州特許第0491655B1号
【文献】国際公開第2011120176A1号
【文献】米国特許出願公開第2017350698AA号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
タスクのうちの少なくとも1つは独立クレームの特徴によって解決される。
【0020】
本発明は、WIMセンサーの較正関数を生成するための方法であって、WIMセンサーが車道に配置され、WIMセンサーが、車道の表面に加えられた車輪力を測定し、
a)車道の道路プロファイルが記録されるステップであって、車道の道路プロファイルが車道の表面の3次元表現であるステップと、
b)車輪力がシミュレーションによって決定されるステップであって、車輪力が車輪によって車道の表面に加えられ、車輪が長手方向においてステップa)の道路プロファイル上をある速度で移動しており、車輪が車道の表面に押し付けられるステップと、
c)ステップa)において決定された道路プロファイルに対するステップb)において決定された車輪力の依存性が、ステップa)において記録された道路プロファイルの少なくとも1つの位置についてのシミュレーションによって決定されるステップと、
d)ステップc)において決定された位置の依存性が、WIMセンサーによって測定された車輪力への道路プロファイルの影響を最小にするために使用されるステップと
が実行される、方法に関する。
【0021】
道路プロファイルからWIMセンサーによって測定された車輪力の依存を最小にすることにより、WIMセンサーの測定精度が高くなる。
【0022】
車両は少なくとも2つの車輪を備え、車輪は車輪サスペンションによってボディ・マスに接続される。ボディ・マスは、車輪と車輪サスペンションとを除く、車両のすべてのパーツの複合マスを備える。たとえば、エンジン、シャシー、適用可能な場合は1人又は複数の人、及び適用可能な場合は積荷のマスが、ボディ・マスの一部である。サスペンションは、ばね要素と減衰要素とを備える。サスペンションは、ボディ・マスの動きへの車道の表面の凹凸の影響を最小にする。たとえば、サスペンションは、車道の表面上を運転している間に凹凸に遭遇するボディ・マスに接続された車輪に対するボディ・マスの揺動を最小にする。車輪は、車道の表面と接触している走行表面を備える。さらに、車輪は車輪ハブを備え、車輪ハブは、車道の表面の上を運転している間の車輪の回転の中心であり、車輪ハブは車輪サスペンションに接続される。走行表面は、車輪の通常は弾性の要素、たとえば、車輪がガス入りタイヤである場合はガス入り要素、又は車輪がフルソリッド(full-cushion)タイヤである場合はゴム要素の一部である。車輪は、したがって、ばね様の挙動と、減衰挙動とを示す。
【0023】
車輪のサスペンションにもかかわらず、車輪が平坦でない表面の上を運転しているときに、ボディ・マスは揺動を示す。ボディ・マスの揺動は、車輪を車道の表面に押し付ける力に影響を及ぼす。ボディ・マスが、車道に配置されたWIMセンサーの上を運転している間に揺動している場合、車輪力又は車軸力はWIMセンサーによって正確に決定されない。車輪力は経時的な動的挙動を示す。この動的挙動は、車両の速度が既知である場合、車道上の各位置について位置依存車輪力に変換され得る。ボディの揺動の影響を受ける車両の車輪力を動的車輪力と呼ぶ。
【0024】
本発明による方法は、車両の動的車輪力をシミュレートするために、及びWIMセンサーの精度を改善するためにこのシミュレーションを使用するために使用される。
【0025】
シミュレーションは、好ましくは、対応する部分ボディ・マスとともに表面上で車両の1つの車輪をシミュレートしている、いわゆるクォーター・カー・モデルに基づく。部分ボディ・マスは、車輪を車道の表面に押し付けるマスである。部分ボディ・マスを、便宜のために、ボディ・マスと呼ぶ。もちろん、車の片側、すなわち車軸当たり1つの車輪がシミュレートされる、いわゆるハーフ・カー・モデルも使用され得る。シミュレーションはまた、車両全体がシミュレートされる、フル・カー・モデルとしても知られる、いわゆるフル・トラック・モデルに基づき得る。最後の2つの上述のモデルは、1つの車輪の動きもシミュレーションの他の車輪に影響を及ぼすので、ややより現実的なモデルになる見込みがあるが、計算能力の増加は莫大である。以下で説明する適用例について、それらのモデルが使用され得るが、いわゆるクォーター・カー・モデルが十分であると考えられる。したがって、以下では、クォーター・カー・モデルについての説明を与える。しかしながら、当業者がハーフ・カー・モデル又はフル・カー・モデルを代わりに使用し得ることは明らかである。
【0026】
ボディ・マス及び車輪のマスは第1のばねと第1の減衰要素とによって接続され、第1の減衰要素及び第1のばねはボディ・マスと車輪のマスとの間に並列に配置される。車輪が押し付けられる表面の位置は第2のばねと第2の減衰要素とによって車輪のマスに接続され、第2の減衰要素及び第2のばねは、車輪のマスと車輪が押し付けられる表面上の位置との間に並列に配置される。静止しているとき、第1のばねと第2のばねは両方とも静的予荷重平衡の状態にある。
【0027】
動いている車輪は車道の表面の凹凸に遭遇し、その結果、車輪のマスと、車輪が押し付けられる表面上の位置との距離が変化する。距離のこの変化は第2のばねの荷重を変化させる。表面の動きは、したがって、第2のばねのばね定数(spring constant)と第2の減衰要素の減衰定数(damping constant)に応じて車輪のマスの動きを励起する。車輪マスは第1のばねと第1の減衰要素とによってボディ・マスに接続されるので、車輪マスの動きは自由ではない。車輪マスの動きはボディ・マスまでの車輪マスの距離を変化させる。距離のこの変化は第2のばねの荷重を変化させる。車輪マスとボディ・マスとの間の変化は、したがって、第1のばねのばね定数と第1の減衰要素の減衰定数とに応じてボディ・マスの動きを励起する。事実上、車輪が押し付けられる表面上の位置の変化は、したがって、ダンパー付き2本ばねシステムによって結合されたボディ・マスと車輪マスとの複雑な動きをもたらす。ダンパー付き2本ばねシステムによって結合されたボディ・マスと車輪マスとの動きは、車輪マスとボディ・マスとの動きの式を解く連立微分方程式によって説明され得る。車輪マスとボディ・マスとの動きは、車輪を車道の表面に押し付ける力を決定する。
【0028】
したがって、動的車輪力は、ホイール・トラック中の車道の凹凸の知識を用いて決定され得る。ホイール・トラックは、車道の表面の上で車輪がそれの動き中にカバーしている車道のセクションである。
【0029】
好ましくは、シミュレーションは、異なる速度、車輪マス、ボディ・マス、第1のばね定数、第1の減衰定数、第2のばね定数、第2の減衰定数、車道の表面上を固有の速度で進行している固有のクォーター・カーを定義するそれらの1つの組合せについて実行される。動的車輪力及び静的車輪力からのそれの偏差は車道の表面上のホイール・トラックの各位置について決定される。静的車輪力は、停止している車両の車輪が車道の表面に加えている力である。
【0030】
シミュレーションの結果を用いれば、所定のクォーター・カーについて車道上のどの位置が最小偏差を示すかを評価することによって、WIMセンサーの設置のために最も好適なロケーションを識別することが可能である。最近のテストにおいて、車両のばね定数及び減衰定数は、ある範囲のボディ・マスの車両については、通常、小さい範囲内であることがわかっている。所望の進行速度及び/又は車両の1つ又は複数のボディ・マスのような、所定のパラメータについて、静的重量からの動的重量の最小偏差を示す最良のロケーションが選定され得る。通常、このロケーションは、少なくとも1mの距離の間、長手方向に延びるべきである。さらに、WIMセンサーの設置のために最も好適なロケーションは、車両の異なる速度のような、複数のパラメータを考慮するとき、最良の妥協点として選定され得、前記ロケーションは、考慮されたすべてのパラメータについて静的重量からの動的重量の最小偏差を示す。これは、たとえば、可変メッセージ・サインが天候条件、時間又は交通条件に関して車道のセクションの速度制限を変化させるゾーン中にWIM設置が配置される場合に重要である。速度と重量とのためのパラメータの選択は車両マス測定のための所望の基準に関して行われ得る。上記で説明した方法によって選択されたロケーション中に配置されたWIMセンサーは、車道のランダムな位置に配置された同様のWIMセンサーよりも高い精度を示す。したがって、本方法はWIMセンサーの精度を改善する。
【0031】
さらに、シミュレーションはWIMセンサーのための較正関数を決定する。WIMセンサーについての評価要素は、WIMセンサーの測定要素によって決定され、与えられた、少なくとも1つの力信号を評価する。評価要素は、較正関数を力信号に適用し、結果を較正された力信号として与える。較正された力信号は、較正関数の使用なしに測定された車輪力よりも小さい静的車輪力からの偏差を示し、前記較正関数は上記で説明したシミュレーションによって決定される。したがって、本方法は、車輪力を測定するWIMセンサーの精度を改善する。
【0032】
実施例について説明するために使用される図面。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】WIMセンサーの精度を改善するための方法の図である。
図2】車道上の車両の断面図の表現である。
図3】車道上の車両の車輪の断面図の表現である。
図4】車道上の車両を表すマススプリング・モデルの表現である。
図5】関与する力を示す、図4の車道上の車両を表すマススプリング・モデルの表現である。
図6】WIMセンサーが車道に配置された、車道上の車両の車輪の断面図のスケッチである。
図7】車道のセクションの上面図のスケッチである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1は、ステップa)101、ステップb)102、ステップc)103及びステップd)104を含む、車道に配置されるWIMセンサーの精度を改善するための方法の図を示す。以下でこれらのステップについて詳細に説明する。
【0035】
ステップa)は、車道1のプロファイルを記録することを含み、車道のプロファイルは車道の表面の3次元表現である。決定された車道のプロファイルは、たとえば3次元物体の形態で、電子メモリに電子的に記憶される。電子メモリは、ランダム・アクセス・メモリ(RAM:random-access memory)及び/又はメモリ、たとえば電気的消去可能プログラマブル読取り専用メモリ(EEPROM:Electrically Erasable Programmable Read-only Memory)であり得る。3次元物体は、コンピュータ支援設計ソフトウェアから既知である3次元ワイヤ・フレーム・モデルの形態で表され得る。電子的に記憶された道路プロファイル2は、ステップb)102のシミュレーションにおいてさらに使用するために与えられる。
【0036】
ステップb)102は、シミュレーション102によって車輪力F9を決定することを含み、車輪力F9が車輪8によって道路プロファイル2に加えられ、車輪8が長手方向Xにおいてステップa)の道路プロファイル2の上をある速度で移動しており、車輪8が車道1の表面に押し付けられる。シミュレーションはコンピュータ・システムの処理要素上で実行される。シミュレーションは、処理要素が入力に対して実行するべきいくつかの演算を定義するコンピュータ・プログラムである。シミュレーションの入力は、少なくとも、道路プロファイル2、並びに車両及び車両速度の説明である。説明は、以下で説明するように、車輪力F9を出力として計算するためにシミュレーションが必要とするすべてのデータを含む。
【0037】
図2は、横軸Y’Yと垂直軸Z’Zとによって与えられる平面における車道上の車両の断面図のスケッチを示す。車両10の車輪8はサスペンション4によってボディ・マス3に接続される。車両10は長手方向X(図示せず)において車道1の表面上を移動している。
【0038】
図3は、シミュレーション102の一実施例においてシミュレートされた、縦軸X’Xと垂直軸Z’Zとによって与えられる平面における車道1上の車両10の車輪8の断面図を示す。ステップb)において、車輪は少なくとも1つのボディ・マスm3に接続される。ステップb)102における車輪8はボディ・マスm3によって道路プロファイル2に押し付けられる。
【0039】
一実施例では、ステップb)において、車輪8は、事前定義されたばね要素定数c42、c84とダンパー要素定数k41、k83とをもつ弾性接続、たとえば弾性接続、特に、ばね要素42とダンパー要素41又は車両10のショック・アブソーバ41とをもつ車輪サスペンション4を介してボディ・マスm3に接続される。シミュレーションにおいて、車輪は長手方向Xにおいて車道1の表面の上を移動する。車輪8は車輪ハブ82を備え、車輪ハブ82は、車輪8の回転の中心であり、シミュレーションにおける車輪マス8の理論ロケーションである。
【0040】
シミュレーション102の一実施例では、ステップb)において、車輪8は、ばね要素84及びダンパー要素83、たとえば、所定のばね要素84とダンパー要素83とをもつ弾性走行表面を特徴としている。したがって、ばね要素84とダンパー要素83とをもつ車輪8はダンパー付き(damped)マス・スプリング・システム200である。
【0041】
一実施例では、ステップb)において、シミュレーション102は少なくとも1つのダンパー付きマス・スプリング・システム200を備え、ダンパー付きマス・スプリング・システム200は、少なくとも1つのばね要素42、84と、少なくとも1つのダンパー要素41、83と、少なくとも1つのマスm3、m8とを備える。
【0042】
図4は、ステップb)102の一実施例においてシミュレートされたダンパー付きマス・スプリング・システム200を示す。車道1上の車両10のモデルの数学的説明は、第1のばね84と車輪マス8と第2のばね42とボディ・マス3との1次元並置(juxtaposition)として表され得る。第1のばね84に平行に、第1のダンパー要素83が配置される。各ばね42、84及びダンパー要素41、83は、垂直軸Z’Zに平行である1つの次元において移動され得る。
【0043】
シミュレーションは、車輪8が、少なくとも1つのダンパー要素41、83と少なくとも1つのばね要素42、84とを介して接触点9に接続されたマスm3、m8によって車道1の表面上の、車輪8と車道1との間の接触点9に加える、車輪力F9を決定する。
【0044】
第1のばね84及び第1のダンパー要素83は車輪マス8に固定される。第1のばねマス84の第2の端部及び第1のダンパー要素83は通常は理論接触点9に接続される。接触点9は車道2の表面と接触している。接触点9は、車輪8が車道2の表面に接触する接触面の中間の点である。
【0045】
第2のばね42に平行に、第2のダンパー要素41が配置される。第2のばね42及び第2のダンパー要素41は、ボディ・マス3に接続され、車輪マス8に接続される。
【0046】
ボディ・マス3及び車輪マス8は、垂直軸Z’Z内で、及びばね42、84及びダンパー要素41、83がボディ・マス3及び車輪マス8に及ぼす力によって与えられる制約内で、自由に移動することができる。
【0047】
静止している車両10について、ボディ・マス3に作用する力と車輪マス8に作用する力とは平衡している。移動している車両10について、平衡力と異なっている力のみが考慮されなければならない。車道1の表面上を移動している車両10のシミュレーション102に関与する力は図5に示されている。
【0048】
ボディ・マスに作用する力は微分方程式
【数1】

によって与えられ、d/dtは第1の時間導関数であり、d/dtは第2の時間導関数であり、h3はボディ・マスm3と車輪マスm8との間の距離であり、F3は、車両10の加速又は減速による力及び/又は車道1上の曲線に沿って運転する車両10による力であり、c42は第2のばね42のばね定数であり、k41は第2のダンパー41の減衰定数である。
【0049】
車輪マスm8に作用する力は微分方程式
【数2】

によって与えられ、d/dtは第1の時間導関数であり、d/dtは第2の時間導関数であり、h8は車輪マスm8と接触点9との間の距離であり、F8は車輪8の潜在的不均衡又は車輪8の不均一性などによる力であり、c84は第1のばね84のばね定数であり、k83は第2のダンパー83の減衰定数である。
【0050】
道路プロファイル2に作用する車輪力F9は微分方程式
F9=F84+F83
によって与えられる。シミュレーション102は、ダンパー付きマス・スプリング・システム200の励振として、道路プロファイル2に車道1の凹凸を導入することによって、車輪マスmとボディ・マスmとの動きを決定する。道路プロファイル2の上の車輪8の動きは、接触点9を長手方向Xにおいて移動することによってシミュレートされる。これは距離h8を変化させる。距離h8が変化する時間変化率は車両10の速度に依存する。したがって、車道1上の所与の位置における車輪力F9を計算するために、シミュレーションは、入力データとして、車道上のすべての位置について、車両10の速度と、車輪8が遭遇する車道1の道路プロファイル2とを入手しなければならない。これは、特に、ステップa)において記録された車道1の道路プロファイル2が長手方向に限定されるので、実際問題として不可能であるので、シミュレーションは、関与するダンパー付きマス・スプリング・システムが平衡状態にあるという開始条件で開始される。車道上のある位置における車輪力F9を決定するために、シミュレーションの開始位置は、車輪力がシミュレーションによって計算されるべきである位置から、少なくとも1mの距離、好ましくは少なくとも100mの距離、最適な500mの距離になるように選定される。
【0051】
本発明の好ましい実施例では、車輪力F9は、上記で与えられたダンパー付きマス・スプリング・システム200のための微分方程式によって与えられる連立微分方程式を確立し、解くことによって決定される。
【0052】
本発明の別の実施例では、車輪力F9は、上記で与えられたマス・スプリング・システム200のための微分方程式によって与えられる連立微分方程式を確立し、解くことによって決定され、連立微分方程式のいくつかの項は無視される。項は、それが得られた車輪力F9に10パーセント超、好ましくは1パーセント未満寄与しない場合、無視される。
【0053】
本発明の別の実施例では、車輪力F9は、上記で与えられたマス・スプリング・システム200のための微分方程式によって与えられる連立微分方程式を確立し、解くことによって決定され、第1のばね84と第2のばね42とは1つのばね要素(図示せず)に組み合わせられ、第1のダンパー要素83と第2のダンパー要素41とは1つのダンパー要素(図示せず)に組み合わせられ、車輪マス8は無視され、車輪8に作用する力F8は無視される。微分方程式及び連立微分方程式はそれぞれ適応させられる。この実施例では、計算は、第1及び第2のダンパー要素41、83を別個に計算することと比較して、より速く実行される。
【0054】
本発明の別の実施例では、車輪力F9は、上記で与えられたマス・スプリング・システム200のための微分方程式によって与えられる連立微分方程式を確立し、解くことによって決定され、車輪マス8と接触点9とは、距離h8定数を含む一定の長さの要素を用いて接続される。第1のダンパー要素83及び第1のばね要素84は省略される。微分方程式及び連立微分方程式はそれぞれ適応させられる。
【0055】
本発明の別の実施例では、車輪力F9は、上記で与えられたマス・スプリング・システム200のための微分方程式によって与えられる連立微分方程式を確立し、解くことによって決定され、第1のダンパー要素83及び第2のダンパー要素41は省略される。微分方程式及び連立微分方程式はそれぞれ適応させられる。
【0056】
本発明の別の実施例では、車輪力F9は、上記で与えられたマス・スプリング・システム200のための微分方程式によって与えられる連立微分方程式を確立し、解くことによって決定され、第1のダンパー要素83は省略される。微分方程式及び連立微分方程式はそれぞれ適応させられる。
【0057】
本発明の別の実施例では、車輪力F9は、上記で与えられたマス・スプリング・システム200のための微分方程式によって与えられる連立微分方程式を確立し、解くことによって決定され、車輪8の潜在的不均衡又は車輪8の不均一性などにより車輪マス8に作用する力F8は省略される。微分方程式及び連立微分方程式はそれぞれ適応させられる。
【0058】
本発明の別の実施例では、車輪力F9は、上記で与えられたマス・スプリング・システム200のための微分方程式によって与えられる連立微分方程式を確立し、解くことによって決定され、車両10の加速又は減速により及び/又は車道1上の曲線に沿って運転する車両10によりボディ・マス3に作用する力F3は省略される。微分方程式及び連立微分方程式はそれぞれ適応させられる。
【0059】
本発明の別の実施例では、力F3は、車両10の他の車輪8の車輪力F9によってボディ・マスm3に加えられる力を含む。車輪力F9はシミュレーション102を用いて決定され得、各車輪8はそれのシミュレーションにおいてそれ自体のボディ・マスを有する。各車輪8のボディ・マスm3は実車両10中で接続されているので、1つの車輪8のボディ・マスm3の動きは車両10の他の車輪8の他のボディ・マスm3の動きに影響を及ぼす。微分方程式及び連立微分方程式は、他のボディ・マスm3の動きを考慮するように適応させられる。このシミュレーション102は、したがって、上述のフル・カー・モデル又はハーフ・カー・モデルを使用する。
【0060】
上記で説明した異なる実施例では、項を省略すること、項の組合せ、又は項を定数にすることにより、計算はより速い。このようにして、計算力が節約され得、シミュレーションのためのよりコスト効果的な計算デバイスが使用され得る。
【0061】
異なる実施例は可能な場合組み合わせられ得、上記で説明した実施例のそのような組合せから得られる実施例も本発明の一部である。
【0062】
図1のステップc)において、ステップa)において記録された道路プロファイル2へのステップb)102において決定された車輪力F9の依存は、ステップa)において記録された道路プロファイル2の少なくとも1つの位置Pについてのシミュレーション102によって決定される。
【0063】
ステップc)において決定された位置Pの依存性は、WIMセンサー7によって測定された車輪力Wへの道路プロファイル2の影響を最小にするために使用される。これにより、道路プロファイル2による測定の変動が最小になるので、WIMセンサー7の測定精度が高くなる。
【0064】
動的車輪力F9のシミュレーション102において現実的な結果を取得するために、ステップa)101において記録された道路プロファイル2が、車道1の垂直軸Z’Zに沿って少なくとも1mm、好ましい0.2mmの精度で記録され、ステップa)101において記録された道路プロファイル2が、車道1の縦軸X’Xに沿って少なくとも100mm、好ましい2mmの精度で記録され、ステップa)において記録された道路プロファイル2が、車道1の横軸Y’Yに沿って少なくとも100mm、好ましい2mmの精度で記録されることがわかっている。
【0065】
一実施例では、ステップb)において、シミュレーションは、車道1の表面の凹凸の上をある速度で移動している車輪8によって励起されるダンパー付きマス・スプリング・システム200の励振を決定する。シミュレーション102に関して、凹凸はステップa)の道路プロファイル2内で表されている。これは、シミュレーション102の結果が、車道1上を進行しているであろう車両10と同じ車輪力F9を示していることを保証する。
【0066】
一実施例では、ステップc)における位置Pについて、車輪力F9は、少なくとも1つのダンパー付きマス・スプリング・システム200のばね定数によって定義されるばね要素42、84と、減衰定数によって定義されるダンパー要素41、83とに依存している。車輪力F9は、車道1の表面の上を移動している車輪8の速度に依存している。車輪力F9は、ステップc)における位置について、マス・スプリング・システム200の少なくとも1つのマスm3、m8に依存している。車輪8の速度は、マス・スプリング・システム200の励振を変化させ、したがって、励起されたダンパー付きマス・スプリング・システム200並びにダンパー付きマス・スプリング・システムの動的動きに影響を及ぼし、動的動きは、ダンパー付きマス・スプリング・システム200の一部であるマスm3、m8に依存している。
【0067】
一実施例では、ステップc)は、縦軸X’X上のいくつかの隣接する位置P及び/又は横軸Y’Y上のいくつかの隣接する位置Pについて実行され、隣接する位置は互いに2mmと500mmとの間の距離を有する。さらに、ステップc)は、少なくとも1つのマスm3、m8と、少なくとも1つのばね要素42、84と、少なくとも1つのダンパー要素41、83とを備える少なくとも1つのダンパー付きマス・スプリング・システム200と、道路プロファイル2上の車輪8の少なくとも1つの速度とについて実行され、車道1の道路プロファイル2と組み合わせた速度はダンパー付きマス・スプリング・システム200の励振を決定する。
【0068】
一実施例では、ステップa)101における道路プロファイル(2)は、車道(1)上を運転している間に車道(1)の凹凸を記録する記録車両(図示せず)によって決定されるか、又はステップa)101の道路プロファイル(2)は、車道(1)の上を又は車道(1)に隣接して飛行している間に車道(1)の凹凸を記録する航空機(図示せず)によって記録される。
【0069】
道路プロファイル2からWIMセンサー7の測定の車輪力F9の依存を最小にすることは、WIMセンサー7のための較正関数(C)の生成によって達成される。較正関数(C)の生成のために、以下のステップが実行される。すなわち、
d1a)ステップa)における道路プロファイル2は、長手方向Xに対してWIMセンサー7が配置されている位置Pの前のある距離において開始し、WIMセンサー7が配置されている位置Pの少なくとも100mm後ろで終了する、車道1のセクションの少なくとも1つのレーンについて記録され、距離が少なくとも25m、好ましい100m、最適の500mであるステップと、
d2a)ステップb)による車輪力F9がシミュレーション102によって決定されるステップと、
d3a)車道1におけるWIMセンサー7が配置されている位置Pにおける道路プロファイル2への車輪力F9の依存性が、5km/hと250km/hとを含む、5km/hと250km/hとの間の全速度範囲内の異なる速度範囲について、ステップc)103に従って決定され、ステップc)103が、車輪8当たり、1000Nと50000Nとを含む、1000Nと50000Nとの間の全車輪力範囲内の異なる車輪力範囲について実行され、ばね要素42、84及びダンパー要素41、83がそれぞれの車輪力範囲について事前決定されるステップと、
d4a)速度範囲及びマス範囲と、マス範囲内のマスをもつ静止している車両10の測定された車輪力Wからの道路プロファイル2とに応じた、d3a)による車輪力F9の偏差が決定され、生成された較正関数(C)が、車輪力範囲に従って、及び車輪8について決定された速度の速度範囲に従って、WIMセンサー7の測定された車輪力Wから偏差を減算することが可能であるステップ。
【0070】
ステップd1a)において与えられた道路プロファイル2の長さは、シミュレーション102から車輪力F9の現実的な結果を取得するために十分であることがわかった。ステップd4a)のシミュレーション102の結果を用いて、測定された車輪力Wに応じて、測定された車輪力Wを較正するだけでなく、車両10の速度に応じて、測定された車輪力Wも較正する、較正関数(C)が生成され得る。
【0071】
このようにして、較正関数(C)は、測定された車輪力Wを較正する。較正関数(C)は、測定された車輪力Wと車両10の速度との関数である。
【0072】
較正関数(C)はWIMシステム77中で容易に使用され得る。WIMシステム77の一実施例は図に実例として示されている。WIMシステム77は評価要素6を有している。WIMシステム77は、WIMセンサー7の上を運転している車輪の速度を決定するように適応される。WIMセンサー7はWIMシステム77の一部であり、評価要素6は、測定された車輪力が範囲内にある車輪力範囲に従って、及び車輪8について決定された速度が範囲内にある速度範囲に従って、WIMセンサー7の測定された車輪力から偏差を減算するために較正関数(C)を使用し、評価要素6は、結果を較正された車輪力CWとして与える。
【0073】
WIMシステム77のWIMセンサー7によって決定された車輪力F9は、較正関数(C)を用いて較正され、較正された車輪力CWは、測定された車輪力Wへの道路プロファイル2の影響を、静止している車両10の測定された車輪力Wに対して少なくとも75%だけ低減する。
【0074】
一実施例では、シミュレーションは、WIMセンサー7のためのロケーションを選択するために使用される。これは、WIMセンサー7が車道1に配置される前に、道路プロファイル2に応じた測定された車輪力Wの偏差が最小にされ得るので、有利である。
【0075】
車道1に配置されるべきWIMセンサー7のためのロケーションの選択のために、以下のステップが実行される。すなわち、
a2)車道1のセクションの道路プロファイル2が、WIMセンサー7がその中に配置されるべき、車道1の少なくとも1つのレーンについて、ステップa)に従って記録され、車道1のセクションが、少なくとも25m、好ましい1000m、最適の5000mの長手方向Xにおける長さを備えるステップと、
b2)車輪力(F9)がステップb)(102)によるシミュレーション(102)によって決定されるステップと、
c2)ステップa)101において決定された道路プロファイル2に加えられる車輪力F9の依存が、長手方向Xにおけるいくつかの隣接する位置Pについてのシミュレーション102によって決定され、隣接する位置Pが互いに250mmと5000mmとの間の距離を有し、その位置が、ステップa)101において記録された道路プロファイル(2)内にあるステップと、
c3)ステップc2)が、5km/hと250km/hとを含む、5km/hと250km/hとの間の全速度範囲内の異なる速度範囲について実行され、ステップc2)が、車輪当たり、1000Nと50000Nとを含む、1000Nと50000Nとの間の全車輪力範囲内の異なる車輪力範囲について実行され、ばね要素(42、84)及びダンパー要素41、83がそれぞれの車輪力範囲について事前決定されるステップと、
d2)ステップc3)の結果から、車道1の位置Pが選択され、車輪力F9の依存が、少なくとも1つのあらかじめ選択された車輪力範囲と、少なくとも1つのあらかじめ選択された速度範囲について最小であるステップ。
【0076】
もちろん、あらかじめ選択された車輪力範囲は、車輪力測定値Wに対する要求に従って選定されなければならない。そのような要求は、料金所における車輪力測定値Wと、採掘現場における又は空港における車輪力測定値Wについて異なる。同じことは、あらかじめ選択された速度範囲にも当てはまる。車輪力範囲と速度範囲との選択は、したがって、WIMセンサー7の所有者の裁量による。
【0077】
一実施例では、車道に配置されるWIMセンサー7のロケーションは、WIMシステム77のすべてのWIMセンサー7について選択される。WIMシステム77は少なくとも1つのWIMセンサー7を備える。WIMシステムのすべてのWIMセンサー7が、道路プロファイル2に応じた測定された車輪力Wの偏差が最小になるそれぞれの位置Pにあるとき、WIMシステム77の全体的精度は高くなる。
【0078】
上記で説明した異なる態様及び実施例は、可能な場合、組み合わせられ得、上記で説明した実施例のそのような組合せから得られる実施例も本発明の一部であることを理解されたい。
【符号の説明】
【0079】
1 車道
10 車両
11 車輪のトラック
101 ステップa)
102 ステップb)/シミュレーション
103 ステップc)
104 ステップd)
2 道路プロファイル
3 ボディ
4 サスペンション
41 ダンパー要素
42 ばね要素
6 評価要素
7 WIMセンサー
77 WIMシステム
8 車輪
81 走行表面
82 ハブ
83 ダンパー要素
84 ばね要素
9 接触点
c42 ばね定数
c84 ばね定数
CW 較正された車輪力
F9 決定された車輪力
h3 距離
h8 距離
k41 減衰定数
k83 減衰定数
m3 ボディ・マス
m8 車輪マス
P 位置
W 測定された車輪力
X 長手方向
Y 横方向
Z 垂直方向
X’X 縦軸
Y’Y 横軸
Z’Z 垂直軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7