(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-22
(45)【発行日】2023-01-05
(54)【発明の名称】ボトル
(51)【国際特許分類】
B65D 51/16 20060101AFI20221223BHJP
B65D 53/00 20060101ALI20221223BHJP
B65D 1/18 20060101ALI20221223BHJP
【FI】
B65D51/16 100
B65D53/00
B65D1/18 111
(21)【出願番号】P 2020075070
(22)【出願日】2020-04-21
【審査請求日】2022-06-28
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】小立 徹
(72)【発明者】
【氏名】藤井 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】東條 はるか
【審査官】杉田 剛謙
(56)【参考文献】
【文献】特開昭51-55262(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/228183(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第585919(EP,A1)
【文献】国際公開第2002/53470(WO,A2)
【文献】特開2004-269001(JP,A)
【文献】米国特許第5860552(US,A)
【文献】特表2017-524901(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 1/18-1/20
B65D 51/16
B65D 53/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体を発生させる液体を内部に貯蔵する柱状のボトルであって、
内部に前記液体を貯蔵する胴体部と、
前記胴体部の上面に設けられ、外部に開口する注ぎ口と、
前記注ぎ口を開閉可能に覆う蓋と、
前記注ぎ口の開口部と前記蓋との間に取り付けられ、液体を通過させず気体を通過させるパッキンと、を備え、
前記胴体部は、上方から見て、上面に前記注ぎ口が設けられた略半円柱形状と、前記注ぎ口から離れるに従って幅が細くなる略角柱形状と、により構成されているボトル。
【請求項2】
前記略角柱形状が接地するように前記ボトルを横倒しにした時、
前記注ぎ口の上端が、定格容量で貯蔵されている前記液体の液面よりも高くなるように構成された請求項1に記載のボトル。
【請求項3】
前記胴体部の上面は、上方に凸となるように形成されている請求項1又は2に記載のボトル。
【請求項4】
前記略半円柱形状は、上方から見て、前記略角柱形状から離れた先端位置において円弧の中心位置が前記ボトルの重心より先端側となるように、先端側の曲率を大きく形成されている請求項1~3のいずれか一項に記載のボトル。
【請求項5】
前略角柱形状は、略四角柱である請求項1~4のいずれか一項に記載のボトル。
【請求項6】
前略角柱形状は、略三角柱である請求項1~4のいずれか一項に記載のボトル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液体を貯蔵するボトルに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、気体を発生させる液体を貯蔵し、発生した気体のみを容器外に排出するボトルを開示する。
【0003】
特許文献1におけるボトルは、略直方体状のケースと、ケースの開口を着脱可能に封止するキャップを、防水通気効果を有し、キャップの内面に装着されたパッキンとを備えている。パッキンは、キャップが開口を封止した状態において開口全体を覆い、ケース内部で発生した気体を容器外へ放出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記従来のボトルは、横倒し状態となった場合、液体の液面よりも開口の位置が低くなるため、発生した気体がパッキンから排出されずにボトル内に充満するという課題があった。
【0006】
本開示は、気体を発生させる液体を貯蔵するボトルにおいて、正規の置き方と異なる置き方で載置された場合でも、気体を外部へ排出できるボトルを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示におけるボトルは、気体を発生させる液体を内部に貯蔵する柱状のボトルであって、内部に前記液体を貯蔵する胴体部と、前記胴体部の上面に設けられ、外部に開口する注ぎ口と、前記注ぎ口を開閉可能に覆う蓋と、前記注ぎ口の開口部と前記蓋との間に取り付けられ、液体を通過させず気体を通過させるパッキンと、を備え、前記胴体部は、上方から見て、上面に前記注ぎ口が設けられた略半円柱形状と、前記注ぎ口から離れるに従って幅が細くなる略角柱形状と、により構成されている。
【発明の効果】
【0008】
本開示におけるボトルは、気体を発生させる液体を貯蔵し、正規の置き方と異なる置き方で載置された場合でも気体を外部へ排出できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図3】同ボトルの注ぎ口周辺における気体の動きを示す模式図
【
図4】同ボトルを正規の置き方で載置した場合の液面を示す模式図
【
図5】実施の形態1における第2の平面が接地するようにボトルを載置した場合の液面を示す模式図
【
図6】実施の形態1における半円柱部が接地するようにボトルを載置した場合のボトルの動きを示す模式図
【
図7】実施の形態1における凸部が接地するようにボトルを載置した場合のボトルの動きを示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0011】
(実施の形態1)
[ボトルの構成]
ボトル1は、樹脂材料により形成された胴体部3を備えている。胴体部3は、底面20を有する有底筒状に形成されており、内部空間に液体4を貯蔵することができる。
図1及び
図2に示すように、胴体部3は、上方から見て、外方に凸になるように湾曲して形成された半円柱部15、及び、全ての側面が略平面となるように形成された角柱部11、を有している。
【0012】
角柱部11は、上方から見て、半円柱部から離れるに従って幅が細くなる台形状に形成されている。角柱部11の側面には、第1の平面12及び第2の平面13が設けられており、角柱部11の上面には、凸部7が設けられている。凸部7は、上方に凸になるように円弧状に形成されている。対向する二つの第1の平面12には、それぞれ把持部8が設けられている。把持部8は、窪ませて形成されており、指を掛けて胴体部3を把持するために設けられている。
【0013】
半円柱部15の側面は、曲率の大きな第1の曲面16、第1の曲面16より曲率が小さい第2の曲面17、及び、第2の曲面17より曲率が小さく角柱部11と隣接する第3の曲面18、を含んでいる。三つの曲面は、水平方向の断面において、それぞれ曲率の異なる円弧となるように形成されている。これら三つの曲面により、半円柱部15は、外方に向かって先端が細くなる略半円柱状に構成されている。
【0014】
半円柱部15の上面には、胴体部3に貯蔵された液体4を流出させる注ぎ口5が形成されている。注ぎ口5は、上方に開口する筒状に形成されており、注ぎ口5の側面には、キャップ9の内部に形成されたキャップ側リブ9a(
図3参照)と螺合するように、注ぎ口側リブ5aが形成されている。
【0015】
図3に示すように、キャップ9の裏側には、パッキン2が設けられている。パッキン2は、通気性及びクッション性を有する基材と、基材の表面に形成され、無数の微小孔を有する薄膜により構成されている。パッキン2は、防水通気材料であり、気体6のみを透過させて液体4を透過させない。パッキン2は、キャップ9が注ぎ口5を閉塞した状態でキャップ9と注ぎ口5との間に挟み込まれ、液体4が外部に漏れることを抑制する。
【0016】
[ボトルと液体の関係]
本実施の形態におけるボトル1は、液体4として洗濯槽クリーナー液を貯蔵している。
【0017】
洗濯槽クリーナー液は、洗濯機の洗濯槽内部のカビ等を除去するために用いられるものであり、数%に希釈された次亜塩素酸ナトリウムを主成分とする。次亜塩素酸ナトリウムは、自然分解又は加熱分解により酸素を発生させる。密閉した状態の容器内に次亜塩素酸ナトリウムを貯蔵すると、発生した気体により容器内の内圧が上昇し、容器が変形又は破損する虞がある。従って、酸素を含む容器内の気体を容器外へ排出し、容器内の内圧を減少させる必要がある。
【0018】
一般に、液体を貯蔵する容器の定格容量は、消費者に不安感を与えないよう、一般的な液体を貯蔵可能な容量の75%以上に設定されている。本実施の形態におけるボトル1も、一般的な液体を貯蔵可能な容量の約78%となるように、液体4を貯蔵している。一方、ボトル1の内部空間の残りの部分は、気体6により占められている。なお、気体6は、後述のように、酸素を含む混合気体である。
【0019】
図4に示すように、胴体部3の底面が接地する正規の置き方でボトル1を載置した場合、液面10は注ぎ口5より下方に位置する。正規の置き方でボトル1を保管した場合、次亜塩素酸ナトリウムの自然分解により発生した酸素は、気体6と入り混じって液面10より上方に充満し、パッキン2から外部へ排出される。
【0020】
図5に示すように、第2の平面13が接地するようにボトル1を横置きで載置した場合、液面10は注ぎ口5の上端より下方に位置する。この場合も、パッキン2の一部は液面10より上方に位置するため、液体4から発生した酸素を含む気体6は、パッキン2から外部へ排出される。
【0021】
図6に示すように、半円柱部15の側面が接地するようにボトル1を横置きで載置した場合、ボトル1は、自重により横転し、第1の平面12が接地した状態で静止する。角柱部11は、注ぎ口5から離れるに従って幅が細くなっており、第1の平面12で接地した際に注ぎ口5が上方に位置するようになっている。これにより、注ぎ口5の一部分は、液面10より上方となっており、パッキン2の一部分と気体6とが接触するようになっている。次亜塩素酸ナトリウムの自然分解により発生した酸素は、気体6と入り混じってパッキン2から外部へ排出される。
【0022】
また、半円柱部15の側面の中央に位置する第1の曲面16は、曲率が大きく構成されており、第1の曲面16の円弧の中心Xは、ボトル1の重心Wより低くなっている。
【0023】
もし、中心Xが重心Wより高くなるように第1の曲面16を形成したとすると、第1の曲面16が接地するようにボトル1を載置した場合、起き上がりこぼしのようにバランスをとり静止してしまう。
【0024】
本実施の形態のように、中心Xが重心Wより低くなるように構成することで、第1の平面12が接地する方向にボトル1が倒れやすくなる。更に、ボトル1が傾くに従って胴体部3内で液体4が移動し、第1の平面12が接地する方向に重心Wの位置がずれていく。これにより、ボトル1は、一旦バランスを崩すと第1の平面12が接地する方向に重力が働くので、半円柱部15の側面が接地した状態で静止させず、第1の平面12を接地させることができる。
【0025】
図7に示すように、ボトル1は、上下反対に載置した場合、円弧状に形成された凸部7により自立できず自重で横転し、第1の平面12が接地した状態で静止する。
【0026】
以上のように、本実施の形態におけるボトル1は、横置き又は上下反対等に載置された場合には、胴体部3が転動して角柱部11が接地し、パッキン2の一部分と気体6とが接触するように構成されている。これにより、ボトル1は、正規の置き方と異なる置き方で載置された場合でも、気体6をパッキン2から排出する置き方へ自ら移行できる。そのため、ボトル1の保管中又は移送中に、気体の発生によりボトル1内部の内圧が上昇し、ボトル1が破損や変形することで液漏れすることを抑制できる。
【0027】
[作用等]
本実施の形態におけるボトル1は、気体を発生させる液体4を内部に貯蔵する柱状のボ
トルであって、内部に液体4を貯蔵する胴体部3と、胴体部3の上面に設けられ、外部に開口する注ぎ口5と、注ぎ口5を開閉可能に覆うキャップ9と、注ぎ口5の開口部とキャップ9との間に取り付けられ、液体を通過させず気体を通過させるパッキン2と、を備え、胴体部3は、上方から見て、上面に注ぎ口5が設けられた半円柱部15と、注ぎ口5から離れるに従って幅が細くなる角柱部11と、により構成されている。
【0028】
これにより、ボトル1を横倒しにした場合、半円柱部15が接地したときにはボトル1が側方に揺動して角柱部11で接地するように動き、注ぎ口5が上方に位置する状態で静止する。
【0029】
そのため、ボトル1を横倒しにしてもボトル1の注ぎ口5からパッキン2を介して気体6を流出させることができるので、内圧の増加による液体4の液だれ等を防ぐことができる。
【0030】
本実施の形態のように、角柱部11が接地するようにボトル1を横倒しにした時、注ぎ口5の上端が、定格容量で貯蔵されている液体4の液面10よりも高くなるように構成されてもよい。
【0031】
これにより、ボトル1を横倒しにしてもボトル1の注ぎ口5が液体4で閉塞されない。
【0032】
そのため、パッキン2を介して気体6を流出させることができるので、内圧の増加による液体4の液だれ等を防ぐことができる。
【0033】
本実施の形態のように、胴体部3の上面は、上方に凸となるように形成されてもよい。
【0034】
これにより、ボトル1を上下反対に載置した場合、不安定な状態のボトル1は角柱部11で接地するように側方に向かって倒れ、注ぎ口5が上方に位置する状態で静止する。
【0035】
そのため、ボトル1の注ぎ口5からパッキン2を介して気体6を流出させることができるので、内圧の増加による液体4の液だれ等を防ぐことができる。
【0036】
本実施の形態のように、半円柱部15は、上方から見て、角柱部11から離れた先端位置において円弧の中心Xがボトル1の重心Wより先端側となるように、先端側の曲率を大きく形成されていてもよい。
【0037】
これにより、半円柱部15が接地するようにボトル1を載置した場合、第1の曲面16の円弧の中心Xが重心Wより低いので、ボトルが側方に揺動しやすくなっている。
【0038】
そのため、半円柱部15が接地した状態で安定して静止することを妨げ、角柱部11を接地させてパッキン2から気体6を流出させることができるので、内圧の増加による液体4の液だれ等を防ぐことができる。
【0039】
本実施の形態のように、角柱部11は、上方から見て台形形状となる、四角柱に形成してもよい。
【0040】
これにより、奥行き寸法を押さえながら胴体部3の体積を大きくできるので、ボトル1の定格容量を大きく設定できる。
【0041】
(他の実施の形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態1を説明した。
しかしながら、本開示における技術は、これに限定されない。
【0042】
そこで、以下、他の実施の形態を例示する。
【0043】
実施の形態1では、気体を発生させる液体の一例として、自然分解又は加熱分解により酸素を発生させる次亜塩素酸ナトリウムを主成分とする液体4を説明した。液体は、気体を発生させるものであればよいので、次亜塩素酸ナトリウムを主成分とする液体に限定されない。液体は、過酸化水素水等であってもよい。
【0044】
実施の形態1では、胴体部の一例として、上方から見て略線対称に形成された胴体部3を説明した。胴体部は、略半円柱形状と、注ぎ口から離れるに従って幅が細くなる略角柱形状と、により構成されていればよいので、上方から見て線対称である形状に限定されない。胴体部は、非対称であってもよい。
【0045】
実施の形態1では、胴体部の一例として、角柱部11及び半円柱部15により構成された胴体部3を説明した。胴体部は、柱状であればよいので、柱体に限定されない。胴体部は、例えば、錐体であってもよいし、柱体と錐体とを組み合わせた形状であってもよい。
【0046】
実施の形態1では、略角柱形状の一例として、上方から見て台形形状となる角柱部11を説明した。略角柱形状は、注ぎ口から離れるに従って幅が細くなる角柱であればよいので、上方から見て台形形状に限定されない。略角柱形状は、
図8に示すように、上方から見て三角形である三角柱部41であってもよい。
図8に示すボトル31は、例えば、略半円柱に形成された半円柱部45、半円柱部45の上面に設けられた注ぎ口35、三角柱部41の上面に設けられた凸部37、注ぎ口35を開閉可能に覆うキャップ39、等を備えている。
【0047】
実施の形態1では、略半円柱形状の一例として、先端側の曲率を大きく形成された半円柱部15を説明した。略半円柱形状は、上面に注ぎ口が設けられ、外方に向かって凸となるように側面が湾曲して形成されていればよいので、半円柱部15に限定されない。半円柱部15は、例えば、水平断面が真円の一部となる半円柱であってもよい。また、略半円柱形状は、先端側になるに従って曲率が徐々に大きくなるように形成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本開示は、気体を発生させる液体を貯蔵する容器に適用可能である。具体的には、洗浄剤、殺菌剤、漂白剤、医薬品、又は化学薬品、等を貯蔵する容器に、本開示は適用可能である。
【符号の説明】
【0049】
1 ボトル
2 パッキン
3 胴体部
4 液体
5 注ぎ口
6 気体
7 凸部
8 把持部
9 キャップ
10 液面
11 角柱部
12 第1の平面
13 第2の平面
15 半円柱部
16 第1の曲面
17 第2の曲面
18 第3の曲面
20 底面
31 ボトル
35 注ぎ口
37 凸部
39 キャップ
41 三角柱部
45 半円柱部