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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-22
(45)【発行日】2023-01-05
(54)【発明の名称】スクリーン印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B41F 15/08 20060101AFI20221223BHJP
   B41F 15/42 20060101ALI20221223BHJP
   B41F 15/40 20060101ALI20221223BHJP
   H05K 3/34 20060101ALI20221223BHJP
【FI】
B41F15/08 303E
B41F15/42
B41F15/40 B
H05K3/34 505D
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020516196
(86)(22)【出願日】2019-04-10
(86)【国際出願番号】 JP2019015536
(87)【国際公開番号】W WO2019208213
(87)【国際公開日】2019-10-31
【審査請求日】2022-01-31
(31)【優先権主張番号】P 2018086039
(32)【優先日】2018-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】礒端 美伯
(72)【発明者】
【氏名】坂上 隆昭
(72)【発明者】
【氏名】妹尾 亮
(72)【発明者】
【氏名】豊田 奨
(72)【発明者】
【氏名】森本 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】末安 祐介
(72)【発明者】
【氏名】黒田 聖弥
【審査官】小野 郁磨
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-198348(JP,A)
【文献】特開2013-043362(JP,A)
【文献】特開平01-127345(JP,A)
【文献】特開2009-143061(JP,A)
【文献】特開2008-055607(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0205518(US,A1)
【文献】特開2013-121693(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41F 15/08
B41F 15/40-15/44
H05K 3/12
H05K 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のパターン孔を有するマスクの上面に供給されたペーストをスキージユニットで移動させながら前記マスクの下に配置された被印刷物に前記複数のパターン孔を通じて転写するスクリーン印刷装置であって、
第1昇降軸と第2昇降軸を昇降させるスキージ駆動部と、
前記第1昇降軸と前記第2昇降軸の昇降動作によって水平軸回りに回動する揺動部材を含むリンク機構と、
前記揺動部材に装着されたスキージユニットと、
前記スキージ駆動部を制御することにより少なくとも前記スキージユニットの回転方向の姿勢と高さを制御する制御部と、を備え
前記リンク機構は、
前記第1昇降軸と前記揺動部材を連結する第1ジョイントと、
一端部が第2ジョイントによって前記第2昇降軸と連結され、他端部が第3ジョイントによって前記揺動部材に連結された中間リンクと、を有する、スクリーン印刷装置。
【請求項2】
前記スキージユニットは、
直線状のエッジを前記マスクの上面に当接させながら前記マスクの上面のペーストを一方向に移動させる第1ブレードと、
直線状のエッジを前記マスクの上面に当接させながら前記マスクの上面のペーストを前記一方向とは反対方向に移動させる第2ブレードと、
前記第1ブレードと前記第2ブレードをそれぞれのエッジを下に向けた状態で且つ互いの角度を異ならせた状態で保持するブレード保持部と、を有する、請求項1記載のスクリーン印刷装置。
【請求項3】
前記スキージユニットは、
前記第1ブレードの移動によってペーストが前記第1ブレードの両端から漏れ出ることを防止する一対の第1漏れ防止部材と、
前記第2ブレードの移動によってペーストが前記第2ブレードの両端から漏れ出ることを防止する一対の第2漏れ防止部材と、を有する、請求項2記載のスクリーン印刷装置。
【請求項4】
前記スキージユニットは、前記揺動部材に着脱自在である、請求項1記載のスクリーン印刷装置。
【請求項5】
前記リンク機構は、前記第1昇降軸および前記第2昇降軸に対して着脱自在である、請求項1記載のスクリーン印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複数のパターン孔を有するマスクを用いて被印刷物にペーストを転写するスクリーン印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のパターン孔を有するマスクを使用して、クリーム半田等のペーストを基板などの被印刷物に転写(印刷)するスクリーン印刷装置が知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1に記載のスクリーン印刷装置は往復移動する2つのスキージを備えており、一方向にスキージを移動させる場合は一方のスキージをマスクに下降させてペーストを印刷し、反対方向にスキージを移動させる場合は他方のスキージをマスクに下降させてペーストを印刷している。また、2つのスキージは、スキージがマスクに接する傾斜角度(アタック角)を変更可能なモータをそれぞれ備えており、スキージの下降量と傾斜角度を適切に設定して、マスクやペーストの品種に応じた良好な印刷を実行することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10―757号公報
【発明の概要】
【0004】
本開示のスクリーン印刷装置は、複数のパターン孔を有するマスクの上面に供給されたペーストをスキージユニットで移動させながら前記マスクの下に配置された被印刷物に前記複数のパターン孔を通じて転写するスクリーン印刷装置であって、第1昇降軸と第2昇降軸を昇降させるスキージ駆動部と、前記第1昇降軸と前記第2昇降軸の昇降動作によって水平軸回りに回動する揺動部材を含むリンク機構と、前記揺動部材に装着されたスキージユニットと、前記スキージ駆動部を制御することにより少なくとも前記スキージユニットの回転方向の姿勢と高さを制御する制御部と、を備え、前記リンク機構は、前記第1昇降軸と前記揺動部材を連結する第1ジョイントと、一端部が第2ジョイントによって前記第2昇降軸と連結され、他端部が第3ジョイントによって前記揺動部材に連結された中間リンクと、を有する
【0005】
本開示によれば、簡素な構成でスキージの下降量と傾斜角度を変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、本開示の一実施の形態のスクリーン印刷装置の構造説明図である。
図2図2は、本開示の一実施の形態のスクリーン印刷装置の構造を示す正面図である。
図3A図3Aは、本開示の一実施の形態のスクリーン印刷装置が備えるスキージユニットの正面図である。
図3B図3Bは、本開示の一実施の形態のスクリーン印刷装置が備えるスキージユニットの平面図である。
図4A図4Aは、本開示の一実施の形態のスクリーン印刷装置が備えるスキージユニットの側面図である。
図4B図4Bは、本開示の一実施の形態のスクリーン印刷装置が備えるスキージユニットの側面断面図である。
図5図5は、本開示の一実施の形態のスクリーン印刷装置が備えるスキージユニットの組み立て説明図である。
図6A図6Aは、本開示の一実施の形態のスクリーン印刷装置が備えるリンク機構の平面図である。
図6B図6Bは、本開示の一実施の形態のスクリーン印刷装置が備えるリンク機構の側面図である。
図6C図6Cは、本開示の一実施の形態のスクリーン印刷装置が備えるリンク機構の昇降軸との連結説明図である。
図7A図7Aは、本開示の一実施の形態のスクリーン印刷装置が備えるリンク機構にスキージユニットを装着した正面図である。
図7B図7Bは、本開示の一実施の形態のスクリーン印刷装置が備えるリンク機構にスキージユニットを装着した平面図である。
図8A図8Aは、本開示の一実施の形態のスクリーン印刷装置におけるスキージユニットの姿勢制御の説明図である。
図8B図8Bは、本開示の一実施の形態のスクリーン印刷装置におけるスキージユニットの姿勢制御の説明図である。
図8C図8Cは、本開示の一実施の形態のスクリーン印刷装置におけるスキージユニットの姿勢制御の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
上述の特許文献1に記載のスクリーン印刷装置では、2つのスキージの下降量と傾斜角度を変更して印刷するために、スキージを昇降させる2つの機構と傾斜角度を変更する2つのモータが必要であり、機構が複雑で高価になるという問題点があった。
【0008】
そこで本開示は、簡素な構成でスキージの下降量と傾斜角度を変更することができるスクリーン印刷装置を提供することを目的とする。
【0009】
以下に図面を用いて、本開示の一実施の形態を詳細に説明する。以下で述べる構成、形状等は説明のための例示であって、スクリーン印刷装置の仕様に応じ、適宜変更が可能である。以下では、全ての図面において対応する要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。以下、基板の搬送方向(図2における左右方向)をX方向、X方向と水平面内において直交する方向(図1における左右方向)をY方向、水平面に直交する方向(図1における上下方向)をZ方向と定義する。
【0010】
まず図1図2を参照して、スクリーン印刷装置1の構造を説明する。スクリーン印刷装置1の基台上には、基板搬送機構2がX方向に設置されている。スクリーン印刷装置1は、制御部Cを備えている。基板搬送機構2は制御部Cによって制御され、上流側から搬入された基板3をX方向へ搬送し、所定のクランプ位置に保持する。また、基板搬送機構2は、印刷作業が完了した基板3を下流側に搬出する。基板3は、クリーム半田、フラックス、導電性接着剤、銀ペースト、インク等のペーストPが転写される被印刷物である。
【0011】
クランプ位置に保持された基板3の上方には、基板3にペーストPを印刷(転写)するための複数のパターン孔を有するマスク4が設置されている。マスク4の上方には、印刷ヘッド移動機構5によってY方向に移動する印刷ヘッド6が備えられている。印刷ヘッド移動機構5は、Y方向に延伸する送りねじ7と、送りねじ7を回転駆動するモータ8を備えている。印刷ヘッド6は、送りねじ7のネジ山と係合するネジ山を有して送りねじ7の回転によってY方向に移動する移動ベース9を備えている。モータ8は制御部Cによって制御され、送りねじ7を正方向または逆方向に回転駆動することにより、移動ベース9を備える印刷ヘッド6がY方向に往復移動する。
【0012】
図1図2において、印刷ヘッド6は、移動ベース9の上部にスキージ駆動部10を備えている。スキージ駆動部10には、下方に延伸する第1昇降軸11Aを昇降駆動するシリンダなどを備える第1駆動部10Aと、下方に延伸する第2昇降軸11Bを昇降駆動するシリンダなどを備える第2駆動部10BがY方向に並設されている。
【0013】
第1駆動部10Aは制御部Cによって制御され、X方向に所定の間隔で設けられた2本の第1昇降軸11Aを同時に昇降させる。第2駆動部10Bは制御部Cによって制御され、2本の第1昇降軸11Aの間隔と同じ間隔でX方向に設けられた2本の第2昇降軸11Bを同時に昇降させる。このように、スキージ駆動部10は、第1昇降軸11Aと第2昇降軸11Bを個別に昇降させる。
【0014】
図1図2において、第1昇降軸11Aと第2昇降軸11Bの下端(すなわち、印刷ヘッド6の下端)には、揺動部材12を含むリンク機構20が接続されている。揺動部材12は、後述する第1昇降軸11Aと第2昇降軸11Bの昇降動作によってX軸(水平軸)回りに回動する。揺動部材12の下面には、スキージユニット30が装着されている。スキージユニット30には、直線状のエッジを有してX方向に延伸する2枚のブレードがY方向に所定の間隔を離して保持されている。以下、第1昇降軸11A側のブレードを「第1ブレード31A」、第2昇降軸11B側のブレードを「第2ブレード31B」と称する。
【0015】
このように、制御部Cは、スキージ駆動部10を制御することによりスキージユニット30の高さとスキージユニット30のX軸回りの回転方向の姿勢とを制御し、印刷ヘッド移動機構5を制御することにより印刷ヘッド6の下方に装着されたスキージユニット30をY方向に往復移動させる。
【0016】
図1において、スクリーン印刷装置1は、クランプ位置に基板3を保持した状態でスキージユニット30を回動させて一方のブレード(図1では、第1ブレード31A)をマスク4の上面に当接させる。そして、スクリーン印刷装置1は、スキージユニット30をY方向の一方向(図1では、左方向)に移動させながら、マスク4の上面に供給されたペーストPをマスク4の下に配置された基板3(被印刷物)に複数のパターン孔を通じて転写(印刷)する。
【0017】
次に図3A図3B図4A図4Bを参照して、スキージユニット30の構成について説明する。図3Aはスキージユニット30を移動方向(Y方向)から見た側面図、図3Bはスキージユニット30を上方から見た平面図である。図4Aはスキージユニット30を移動方向に直交する方向(X方向)から見た側面図、図4B図3Bに示すA-Aの位置における断面図である。スキージユニット30は、第1ブレード31Aと第2ブレード31Bを保持するブレード保持部32を備えている。
【0018】
ブレード保持部32は、水平方向に広がる水平部32aと、水平部32aにおけるスキージユニット30の移動方向の前後からそれぞれ下斜め外方に延出する第1保持部32bと第2保持部32cを含んで構成される。第1保持部32bと第2保持部32cは、水平部32aにおけるスキージユニット30の移動方向(Y方向)の中央を通る垂直面(YZ面)に対して対称な形状をしている。第1ブレード31Aは第1保持部32bの下面に装着され、第2ブレード31Bは第2保持部32cの下面に装着され、ブレード固定具33とブレード保持部32の間にその一部が挟まれて保持されている。
【0019】
図4Bにおいて、ブレード固定具33の上面は、水平部32aの下面、第1保持部32bの下面に装着された第1ブレード31Aの一部、第2保持部32cの下面に装着された第2ブレード31Bの一部に沿う形状をしている。ブレード固定具33は、下方から挿入されてブレード固定具33と水平部32aを貫通して水平部32aの上面から突出した固定ネジ34の外周に形成されたネジ山と、固定ボルト35の内周に形成されたネジ山がかみ合わされてブレード保持部32に固定されている。固定ボルト35は、固定ネジ34と係合した状態で、固定ボルト35の下面と水平部32aの上面の間に、揺動部材12の厚さT(図6B参照)よりやや広い隙間Gが形成される形状をしている。
【0020】
ここで図5を参照して、第1ブレード31Aと第2ブレード31Bをブレード保持部32に装着するスキージユニット30の組み立て手順について説明する。まず、第1ブレード31Aを第1保持部32bの下面に、第2ブレード31Bを第2保持部32cの下面に、マスク4の上面に当接するエッジを下方に向けて取り付ける。次いでブレード固定具33を下方からブレード保持部32の下面に沿うように取り付けて、下方から固定ネジ34を挿入する。
【0021】
次いでブレード固定具33とブレード保持部32を貫通してブレード保持部32の上面より突出した固定ネジ34のネジ山に、ブレード保持部32の上方から固定ボルト35のネジ山を係合させる。これによって、第1ブレード31Aと第2ブレード31Bが、それぞれのエッジを下に向けた状態で且つマスク4に対する第1ブレード31Aの傾斜角度とマスク4に対する第2ブレード31Bの傾斜角度とを異ならせた状態で、ブレード保持部32に保持される。
【0022】
図3A図3B図4Aにおいて、ブレード保持部32のスキージユニット30の移動方向に直交する方向(X方向)の両端には、それぞれサイドプレート36が設置されている。サイドプレート36には、第1ブレード31Aのエッジに対応する位置に第1漏れ防止部材37Aが、第2ブレード31Bのエッジに対応する位置に第2漏れ防止部材37Bが設置されている。第1漏れ防止部材37Aと第2漏れ防止部材37Bは、スキージユニット30の移動方向(Y方向)に延伸する形状をしている。
【0023】
第1ブレード31Aをマスク4の上面に当接させて移動させると、マスク4上のペーストPが第1ブレード31Aの幅方向(X方向)に広がる。第1漏れ防止部材37Aは、このように第1ブレード31Aに沿って広がるペーストPが端から漏れ出ることを防止する。同様に、第2漏れ防止部材37Bは、第2ブレード31Bに沿って広がるペーストPが端から漏れ出ることを防止する。
【0024】
このように、スキージユニット30は、第1ブレード31Aの移動によってペーストPが第1ブレード31Aの中央から幅方向に広がってその両端から漏れ出ることを防止する一対の第1漏れ防止部材37Aと、第2ブレード31Bの移動によってペーストPが第2ブレード31Bの中央から幅方向に広がってその両端から漏れ出ることを防止する一対の第2漏れ防止部材37Bと、を有している。
【0025】
次に図6A図6B図6Cを参照して、リンク機構20の構成について説明する。図6Aにおいて、リンク機構20は、水平方向に延伸する板状の揺動部材12を備えている。揺動部材12には、スキージユニット30の移動方向(Y方向)の一辺に開口し、内部でL字型に曲がった一対のスリット12aが形成されている。
【0026】
図6A図6Bにおいて、揺動部材12の上面には、上方に延伸する一対の第1軸受け部21Aと、上方に延伸する一対の第2軸受け部21Bが、スキージユニット30の移動方向(Y方向)に所定の間隔を離して形成されている。一対の第1軸受け部21Aの上部は、第1昇降部23Aの下部と、一対の第1ジョイント24によって連結されている。また、第1昇降部23Aの上部には、スキージユニット30の移動方向に直交する方向(X方向)に延伸し、2本の第1昇降軸11Aの下端部とそれぞれ連結される2つの第1連結部22Aが形成されている。そして、第1昇降部23Aと第1軸受け部21Aは、第1ジョイント24を回転軸として互いに回動する。
【0027】
一対の第2軸受け部21Bの上部は、板状の一対の中間リンク25の下端部(他端部)と一対の第3ジョイント27によって連結されている。また、中間リンク25の上端部(一端部)は、第2昇降部23Bの下部と、一対の第2ジョイント26によって連結されている(図7Aも参照)。また、第2昇降部23Bの上部には、スキージユニット30の移動方向に直交する方向(X方向)に延伸し、2本の第2昇降軸11Bの下端部とそれぞれ連結される2つの第2連結部22Bが形成されている。第2昇降部23Bと中間リンク25は、第2ジョイント26を回転軸として互いに回動する。また、中間リンク25と第2軸受け部21Bは、第3ジョイント27を回転軸として互いに回動する。
【0028】
図6B図6Cにおいて、第1連結部22Aと第2連結部22Bには、上部に開口して第1昇降軸11Aまたは第2昇降軸11Bの下端部が嵌入する嵌入部22aが形成されている。また、第1連結部22Aと第2連結部22Bには、第1昇降軸11Aまたは第2昇降軸11Bの下端部に形成された横孔11bに挿入される連結ピン28が貫通する貫通孔22bが形成されている。
【0029】
第1昇降軸11Aと第2昇降軸11Bの下端にリンク機構20を連結する際は、第1昇降軸11Aの下端部を第1連結部22Aの嵌入部22aに嵌入させる。その後、連結ピン28を第1連結部22Aの貫通孔22b、第1昇降軸11Aの横孔11bを順に貫通するよう挿入して第1昇降軸11Aを第1連結部22Aに固定する。同様に、第2昇降軸11Bの下端部を第2連結部22Bの嵌入部22aに嵌入させ、連結ピン28を第2連結部22Bの貫通孔22b、第2昇降軸11Bの横孔11bを順に貫通するよう挿入して第2昇降軸11Bを第2連結部22Bに固定する(図7Aも参照)。
【0030】
このように、リンク機構20は、第1昇降軸11Aと揺動部材12を連結する第1ジョイント24と、一端部(上端部)が第2ジョイント26によって第2昇降軸11Bと連結され、他端部(下端部)が第3ジョイント27によって揺動部材12に連結された中間リンク25と、を有している。
【0031】
次に図7A図7Bを参照して、第1昇降軸11Aと第2昇降軸11Bに連結されたリンク機構20の揺動部材12に、スキージユニット30を装着する手順について説明する。まず、揺動部材12に形成された一対のスリット12aの開口の方向から、スキージユニット30の固定ボルト35とブレード保持部32の間に形成されている隙間G(図4B参照)を、揺動部材12に差し込む。
【0032】
その際、固定ボルト35を少し緩めた状態で、2つの固定ボルト35の下部を一対のスリット12aにそれぞれ挿入する(図7Bにおいて、紙面の下方向にスキージユニット30を移動)。その後、スリット12aに沿ってスキージユニット30をL字に水平移動させ(図7Bにおいて、紙面の右方向にスキージユニット30を移動)、スリット12aの行き止まりに固定ボルト35の下部を位置させる(図7Bのスキージユニット30の位置)。その後、固定ボルト35を締めてスキージユニット30を揺動部材12に固定させる。
【0033】
スキージユニット30をリンク機構20の揺動部材12から取り外す場合は、上記と逆の手順である。すなわち、固定ボルト35を緩めて、スリット12aに沿ってL字にスキージユニット30を移動させて揺動部材12から取り外す。このように、スキージユニット30は、揺動部材12に着脱自在である。すなわち、本実施の形態のスクリーン印刷装置1は、スキージユニット30のリンク機構20(揺動部材12)からの着脱、さらにスキージユニット30(ブレード保持部32)からの第1ブレード31Aと第2ブレード31Bの着脱を容易に実行することができる。これにより、ブレード(第1ブレード31A、第2ブレード31B)の交換、洗浄を容易に実行することができる。
【0034】
なお、リンク機構20を第1昇降軸11Aと第2昇降軸11Bに固定している連結ピン28を外すことで(図6C参照)、リンク機構20はスクリーン印刷装置1から取り外すことができる。すなわち、リンク機構20は、第1昇降軸11Aおよび第2昇降軸11Bに対して着脱自在となっている。また、リンク機構20を取り外した第1昇降軸11Aと第2昇降軸11Bの下端部には、それぞれ従来型のスキージユニット(角度固定型のスキージユニット)を装着することができる。したがって、本実施例に係るスクリーン印刷装置1では、スキージユニット30と共に従来型のスキージユニットを併用することも可能である。
【0035】
次に図8A図8B図8Cを参照して、制御部Cによるスキージユニット30の高さとスキージユニット30の回転方向の姿勢との制御について説明する。図8Aは、揺動部材12が水平な状態を示している。
【0036】
図8Bは、制御部Cによる第1ブレード31Aを使用したペーストPの転写の制御を説明する説明図である。第1ブレード31Aを使用する場合、まず、制御部Cは、スキージ駆動部10の第1駆動部10Aを制御して第1昇降軸11Aを下降させる(矢印a)。第1昇降軸11Aが第2昇降軸11Bに対して相対的に下降すると、第1ブレード31Aが下がる方向に揺動部材12がX軸回りに回動し(矢印b)、第1ブレード31Aの傾斜角度θが大きくなる。すなわち、第1昇降軸11Aの相対的な下降量を変更することで、第1ブレード31Aがマスク4に当接する際の傾斜角度θが変化する。このように、制御部Cは、第1昇降軸11Aを下降させて第1ブレード31Aを所定の傾斜角度θに設定する。
【0037】
次いで制御部Cは、スキージ駆動部10の第1駆動部10Aと第2駆動部10Bを制御して、第1昇降軸11Aと第2昇降軸11Bを同時に同じ距離を下降させ、傾斜角度θを保持した状態で第1ブレード31Aをマスク4の上面に当接させる。第1昇降軸11Aと第2昇降軸11Bを同時に下降させる下降量を変更することで、第1ブレード31Aのマスク4への押込み量が変化する。次いで制御部Cは、所定の傾斜角度θと所定の押込み量に設定した第1ブレード31Aの直線状のエッジをマスク4の上面に当接させながら、印刷ヘッド移動機構5を制御してスキージユニット30をY方向の一方向(矢印c)に移動させ、マスク4上のペーストPを一方向に移動させる。
【0038】
図8Cは、制御部Cによる第2ブレード31Bを使用したペーストPの転写の制御を説明する説明図である。第2ブレード31Bを使用する場合、まず、制御部Cは、スキージ駆動部10の第2駆動部10Bを制御して第2昇降軸11Bを下降させる(矢印d)。第2昇降軸11Bが第1昇降軸11Aに対して相対的に下降すると、第2ブレード31Bが下がる方向に揺動部材12がX軸回りに回動し(矢印e)、第2ブレード31Bの傾斜角度θが大きくなる。
【0039】
第2ブレード31Bを所定の傾斜角度θに設定すると、制御部Cは、第1駆動部10Aと第2駆動部10Bを制御して、第1昇降軸11Aと第2昇降軸11Bを同時に同じ距離を下降させ、第2ブレード31Bをマスク4の上面に所定の押込み量で当接させる。次いで制御部Cは、所定の傾斜角度θと所定の押込み量に設定した第2ブレード31Bの直線状のエッジをマスク4の上面に当接させながら、印刷ヘッド移動機構5を制御してスキージユニット30をY方向の一方向とは反対方向(矢印f)に移動させ、マスク4上のペーストPを反対方向に移動させる。
【0040】
このように、揺動部材12は、第1昇降軸11Aと第2昇降軸11Bの昇降動作によってX軸(水平軸)回りに回動し、第1ブレード31Aと第2ブレード31Bの傾斜角度θが変化する。本実施の形態のスクリーン印刷装置1は、第1昇降軸11Aと第2昇降軸11Bの昇降動作によって第1ブレード31Aと第2ブレード31Bの傾斜角度θと押込み量(下降量)を所定の値に設定することができ、マスク4やペーストPの品種に応じた適切な印刷を容易に実行できる。
【0041】
なお、制御部Cは、所定の傾斜角度θと所定の押込み量となる第1昇降軸11Aの下降位置(または下降量)と第2昇降軸11Bの下降位置(または下降量)が予め分かっている(記憶されている)場合は、第1昇降軸11Aと第2昇降軸11Bを同時に下降させながら所定の下降位置で停止するようにスキージ駆動部10(第1駆動部10A、第2駆動部10B)を制御するようにしてもよい。
【0042】
上記説明したように、本実施の形態のスクリーン印刷装置1は、第1昇降軸11Aと第2昇降軸11Bを昇降させるスキージ駆動部10と、第1昇降軸11Aと第2昇降軸11Bの昇降動作によって水平軸回りに回動する揺動部材12を含むリンク機構20と、揺動部材12に装着されたスキージユニット30と、スキージ駆動部10を制御することにより少なくともスキージユニット30の高さとスキージユニット30の回転方向の姿勢とを制御する制御部Cとを備え、複数のパターン孔を有するマスク4の上面に供給されたペーストPをスキージユニット30で移動させながらマスク4の下に配置された被印刷物(基板3)に複数のパターン孔を通じて転写する。これによって、簡素な構成で第1ブレード31Aと第2ブレード31B(スキージ)の下降量(押込み量)と傾斜角度θを変更することができる。
【0043】
なお、上記はスクリーン印刷装置1がペーストPを印刷する被印刷物として、電子部品が実装されるプリント基板などの基板3を例に説明したが、被印刷物は基板3に限定されることはない。例えば、被印刷物はインクなどのペーストPが印刷されるTシャツなどの衣類であっても、ガラス、陶磁器などであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本開示のスクリーン印刷装置は、簡素な構成でスキージの下降量と傾斜角度を変更することができるという効果を有し、部品を基板に実装する分野において有用である。
【符号の説明】
【0045】
1 スクリーン印刷装置
3 基板(被印刷物)
4 マスク
10 スキージ駆動部
11A 第1昇降軸
11B 第2昇降軸
12 揺動部材
20 リンク機構
24 第1ジョイント
25 中間リンク
26 第2ジョイント
27 第3ジョイント
30 スキージユニット
31A 第1ブレード
31B 第2ブレード
32 ブレード保持部
37A 第1漏れ防止部材
37B 第2漏れ防止部材
C 制御部
P ペースト
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C